説明

マイクロ波を応用した加熱装置

【課題】 マイクロ波を応用して良質な炭素繊維や黒鉛繊維などを生産することができ、かつ、構成簡単にして電気エネルギーの省力化に適する加熱装置を提案すること。
【解決手段】 加熱炉本体11にマイクロ波電力を導入するマイクロ波供給手段と、前記加熱炉本体11の入口部11aと出口部11bに設けてマイクロ波電力の漏洩を防ぐフィルタゾーン12a、12bと、マイクロ波発熱材で中空体として形成し、前記加熱炉本体11の入口部11aと出口部11bとの間に配設した加熱釜15と、前記加熱炉本体11の内部11cと、前記加熱釜15内の空間とを分離し、かつ、前記加熱釜15を保持するマイクロ波吸収の少ない断熱材16、17とを備え、前記入口部11aから供給した線状のワーク18を、前記加熱釜15内を通し、前記出口部11bより排出し、前記加熱釜15内で加熱する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波エネルギーを応用した加熱装置で、例えば、炭素繊維や黒鉛繊維の生産に使用する加熱炉に適する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)などの有機合成繊維を200〜300℃の耐炎化炉を用いて空気中で熱処理(耐炎化処理)して糸状の耐炎繊維を予め生産し、さらに、この耐炎繊維を1000〜1500℃の炭化炉を用いて不活性雰囲気の中で熱処理することで生産される。
このように生産された炭素繊維は、自動車などの部品材料として使用されている。
また、上記の炭素繊維は、2000〜2500℃の黒鉛化炉を用いて不活性雰囲気の中で熱処理することで黒鉛繊維が生産される。
この黒鉛繊維は、航空機などの部品材料として使用されている。
【0003】
上記した炭素繊維を生産する炭化炉や黒鉛繊維を生産する黒鉛化炉は、一般に、電気ヒータ構造の加熱炉が広く使われている。
図19は従来例の加熱炉の要部断面を示した概略構成図、図20は図19図上のA−A線拡大断面図である。
【0004】
図示するように、この加熱炉1は、長形の加熱炉本体2と、その加熱炉1の入口部3および出口部4、加熱釜5、加熱釜5の支持台6、電気ヒータ7、断熱層8から構成されている。
この加熱炉1は、入口部3から供給した糸状のワーク(有機合成繊維)9を加熱釜5内を通し、出口部4から引き出すことで、ワーク9を所定の高温に加熱し、続いて、ワーク9を冷却装置で冷却し、炭素繊維または黒鉛繊維を生産する。
【0005】
加熱釜5は、熱伝導率が高く、目的とする加熱温度に充分に耐える炭素等を使って扁平断面の中空体として形成してあり、また、加熱炉本体2の入口部3と出口部4とを結ぶ直線上に配置されるように断熱材からなる支持台6で支持させた横長形状のものとなっている。
そして、加熱釜5の上下位置には、多数の電気ヒータ7が配列されており、電気ヒータ7を通電して発熱させ、その輻射熱で加熱釜5を加熱昇温させる。
【0006】
電気ヒータ7は、図20より分かるように、棒状の電気抵抗発熱体7a、導電性の発熱体端子部7b、電極7cから構成されており、発熱体端子部7bを電気絶縁材を介在させて加熱炉本体2に取り付け、また、この発熱端支部7bに電極7cをクランプすることにより、この電気ヒータ7がワーク9の移送方向に交叉する方向となるようにして備えられている。
【0007】
このように構成された電気ヒータ7は、電極7cから商用電源電力を供給し、電気抵抗発熱体7aに交流電流を流して発熱させる。
したがって、加熱釜5の加熱温度が電気抵抗発熱体7aの発熱によって上昇するため、ワーク9が加熱釜5からの輻射熱等により加熱され、必要な熱処理が行われる。
なお、電気抵抗発熱体7aはジュール損により発熱するが、電気抵抗発熱体7aから放射される熱エネルギーは、電気抵抗発熱体7aの温度の4乗に比例し、距離の2乗に反比例するので、温度が高いほど輻射熱は増大する。
そして、加熱釜5が得るエネルギーは、加熱釜5と電気抵抗発熱体7aの形状と配置にも影響される。
【0008】
一方、炭素繊維の生産には、上記した電気ヒータ構造の加熱炉の他に、マイクロ波電力を利用した加熱炉が特公昭62−7288号公報などによって提案されている。
この加熱炉は、炉体と、炉体内を走行する搬送装置(ベルトコンベヤ)と、炉内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、不活性ガス流通装置とから構成され、これらに関連して温度制御装置、冷却装置が設けられている。
この加熱炉は、原料繊維を収容した容器をベルトコンベアに乗せて炉体内を移送し、原料繊維にマイクロ波を照射する。
したがって、マイクロ波の照射で加熱され炭素繊維となった被加熱物が出口から排出され、続いて、冷却装置で冷却される。
【0009】
この加熱炉において、石炭系ピッチの繊維を不融化したものを炭素繊維とするには、原料繊維の長さ1m程度のものをトウ状にし、厚さ100mmに積み重ねて容器に充填密度50kg/mで収容する。
このような容器を多数準備して順次炉体内に送り込むことによって炭素繊維を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公昭62−7288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した電気ヒータ構造の加熱炉は、電気ヒータ7の電極7cが高温となるため、この電極7cを水などの液体で冷却し規定温度以下に保持している。
すなわち、電極7cは銅材などの電気良導体が使われている関係で、電気抵抗発熱体7aの高熱が発熱体端子部7bを通って熱伝搬することにより高温となるため、銅材などの溶融を防ぐために電極7cを水等で冷却している。
したがって、この種の加熱炉1は、電極7cにおいて水等で冷却される加熱量が無駄となり、この加熱量のために電気ヒータ7に給電する全電力の30%以上の電気エネルギーが無駄に捨てられている。
【0012】
また、電気ヒータ構造の加熱炉の場合、電気ヒータ7の熱エネルギーは、加熱釜5を加熱昇温させるだけでなく、加熱釜を見込む立体角相当分だけが加熱釜の加熱に寄与し、それ以外は損失となり、例えば、断熱層8の表面を加熱するエネルギーとなるから、このような構成部品に放射される熱エネルギーが電気ヒータ7の全エネルギーの50%以上にも達し、それだけ電気エネルギーが無駄に消費されている。
【0013】
さらに、電気ヒータ構造の加熱炉は、上記のように多くの電気エネルギーが無駄に消費されているために、加熱炉1を立ち上げる際に、加熱炉本体2が熱平衡状態になるまでの時間、つまり、温度が安定してワークの加熱処理が安定してできるようになるまでの時間が長時間となり、この結果、加熱炉の立ち上げの際に無駄に消費される電気エネルギーも大きくなる。
一般的に省電力を考えた電気ヒータ構造の炭素繊維製造炉でも、投入した全電気エネルギーに対し、製品の加熱に寄与するエネルギーは45%程度と言われている。
【0014】
一方、マイクロ波電力を利用した加熱炉は、原料繊維を高い充填密度で収容した容器を炉体内移送し、原料繊維にマイクロ波を照射して炭素繊維を生産する構成であるので、原料繊維を一本一本並べて炉体内を通すような場合、例えば、12000本の原料繊維を並べて炉体内を通す場合には、充填密度が極めて低くなるので、この加熱炉では原料繊維の加熱が困難になる。
【0015】
そこで、本発明では、上記した実情にかんがみ、マイクロ波を応用して良質な炭素繊維や黒鉛繊維などを生産することができ、かつ、構成簡単にして電気エネルギーの省力化に適する加熱装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した目的を達成するため、本発明では第1の発明として、金属材からなる加熱炉本体と、前記加熱炉本体にマイクロ波電力を導入するマイクロ波供給手段と、前記加熱炉本体の一方側に設けた入口部と他方側に設けた出口部に設けてマイクロ波電力の漏洩を防ぐフィルタゾーンと、マイクロ波発熱材で長形の中空体として形成し、前記加熱炉本体の入口部と出口部との間に直線的に配設した加熱釜と、前記加熱炉本体の内面と前記加熱釜外面とで囲まれた空間と、前記加熱釜内の空間とを分離し、かつ、前記加熱釜を保持するマイクロ波吸収の少ない断熱材とを備え、前記入口部から供給したワークを、前記加熱釜内を通し、前記出口部より排出し、前記加熱釜内で加熱する構成としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【0017】
第2の発明としては金属材からなる加熱炉本体と、前記加熱炉本体にマイクロ波電力を導入するマイクロ波供給手段と、前記加熱炉本体の一方側に設けた入口部と他方側に設けた出口部の近くに設けてマイクロ波電力の漏洩を防ぐフィルタゾーンと、マイクロ波発熱材で長形の中空体として形成し、前記加熱炉本体の入口部のフィルタゾーンと出口部のフィルタゾーンを通し、入口部と出口部との間に直線的に配設した加熱釜と、上記加熱釜を保持するマイクロ波吸収の少ない断熱材とを備え、前記入口部から供給したワークを、前記加熱釜内を通し、前記出口部より排出し、前記加熱釜内で加熱する構成としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【0018】
第3の発明としては、上記した第1または2の発明の加熱装置において、前記加熱釜の外表面の一部又は全部をマイクロ波吸収の少ない断熱材で覆ったことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【0019】
第4の発明としては、上記第1〜第3の発明のいずれかの加熱装置において、前記加熱炉本体の内面の一部または全部を断熱材で覆ったことを特徴としたマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【0020】
第5の発明としては、上記した第1〜第4の発明のいずれかの加熱装置において、マイクロ波発熱材で長形の中空体として形成した前記加熱釜は、内面をマイクロ波遮蔽材で形成したことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【0021】
第6の発明としては、上記した第1〜第5の発明のいずれかの加熱装置において、前記加熱釜は、内面をマイクロ波遮蔽材で形成し、外面を加熱釜軸方向に断続させたマイクロ波加熱層としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【0022】
第7の発明としては、上記した第1〜第6の発明のいずれかの加熱装置において、前記加熱釜は、マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3槽構成としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【0023】
第8の発明としては、第1〜第7の発明のいずれかの加熱装置において、前記加熱釜は、四辺形断面の長形中空体として形成し、かつ、上下辺に当たる釜部分は、マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面槽の3層構成とし、左右辺に当たる釜分部は、マイクロ波遮蔽材からなる内面層とマイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の2層構成としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【0024】
第9の発明としては、第1〜第8の発明いずれかの加熱装置において、前記フィルタゾーンには、マイクロ波吸収材としてマイクロ波発熱体を備えたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置を提案する。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明の加熱装置は、加熱釜を集中的に発熱昇温させることができる点に特徴がある。
なお、加熱釜は、炭素や黒鉛の粉末、カーボンナノチューブなどを混入させたセラミックス、ジルコニア、炭化珪素などのマイクロ波発熱材で形成することができる。
【0026】
また、加熱炉の加熱炉本体は、非磁性金属材で形成することが好ましい。
非磁性金属材は、マイクロ波電力が僅か数μmの深さしか進入しなく、それもジュール損だけの僅かな発熱(損失)であるので、マイクロ波電力による加熱昇温は少ない。
また、ジュール損として消費されなかった殆どのマイクロ波電力は非磁性金属材の加熱炉本体で反射される。
なお、加熱炉本体を磁性金属材で形成すると、その表面はジュール損とヒステリシス損の両方で加熱されてマイクロ波電力が減少し、加熱釜の加熱効率が下がるが、この点を考慮すれば実施化が可能である。
【0027】
さらに、加熱炉本体内面と加熱釜外面とで囲まれた空間と、加熱釜内の空間とを分離する断熱材は、マイクロ波吸収性能が少ない材料で形成してある。
この断熱材は、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、マグネシアなどを主成分とする材料、つまり、マイクロ波電力を透過する材料の断熱材で形成することができる。
【0028】
したがって、加熱炉本体を非磁性金属材で形成すると共に、加熱炉本体内と加熱釜内を断熱材で分離して加熱釜を隔離することにより、加熱釜を集中的に発熱昇温させることができる。
この結果、消費電力が少なく、また、ワークを加熱釜内を通す簡単な構成で良質な炭素繊維や黒鉛繊維を生産することができる加熱装置となる。
【0029】
特に、加熱釜の内部は周囲から同じ熱エネルギーで放射される、いわゆる等温障壁としても作用するので、この加熱釜には複数本のワークやワークの束を通過させても、均一に加熱することができ、品質の良い炭素繊維や黒鉛繊維が生産できる。
【0030】
さらに、加熱炉本体内と加熱釜内とを断熱材によって分離したので、ワークが加熱釜内で加熱される際に発生する煙やガスは、加熱炉本体の入口部や出口部から排出させることができる。
この結果、加熱炉内部がワークから出る煙やガスよって汚染されることが少ないので、長時間使用しても安定して発熱昇温する加熱釜を備える加熱装置となる。
【0031】
他方、加熱炉本体内と加熱釜内を分離する断熱材は、マイクロ波電力を殆ど吸収しないマイクロ波透過性のものであるので、マイクロ波電力が加熱釜内にも侵入する。
しかし、加熱釜内ではマイクロ波の電磁界分布が一様ではないから、マイクロ波吸収性能の大きいワークを複数本入れると、マイクロ波電磁界分布の異なる場所をワークが通るため、加熱温度が異なる状態、つまり、加熱ムラが生じる可能性がある。
【0032】
一般に、加熱釜を形成するマイクロ波発熱材のマイクロ波吸収性能と比較して、ワークのマイクロ波吸収性能が10%以上の物質は、マイクロ波電力の影響を受けて加熱される。
特に、マイクロ波吸収性能が50%以上のワークの場合は、加熱釜内を通過している間に、不均一なマイクロ波電磁界分布の影響を強く受けて処理温度に違いがでる。
【0033】
このことから、第1の発明の加熱装置は、ワークのマイクロ波吸収性能が少なくとも、加熱釜を形成するマイクロ波発熱体のマイクロ波吸収性能の50%以下である必要がある。
ただ、特殊なワークを除き、殆どの物質はマイクロ波発熱体のマイクロ波吸収性能の50%以下であるので、第1の発明の加熱装置において良質な炭素繊維や黒鉛繊維などが生産できる。
【0034】
一方、同じ誘電損失係数の物質であっても、それに含まれる各種配合剤の成分や量が異なるワークでは、誘電損失係数が異なる。
そのため、第1の発明の加熱装置では、誘電損失係数の大小を判別する必要があるが、その都度、誘電損失係数を調査することは大変な労力を要する。
第2の発明の加熱装置はこの問題を解決している。
【0035】
第2の発明の加熱装置は、加熱炉本体の入口部のフィルタゾーンと出口部のフィルタゾーンとを直線的に連結する配置とした加熱釜としてあり、これによって、加熱釜の端部は加熱炉本体外で開口するので、加熱釜内にはマイクロ波電力が侵入しない。
したがって、加熱釜内を通るワークは、マイクロ波吸収性能の大小に係わらず、マイクロ波電力の影響を受けないので、加熱釜内に複数のワークを通して加熱しても、加熱処置後のワークはどのワークも一様に加熱され、良質な生産物となる。
【0036】
さらに、第3の発明のように、加熱釜の外表面の一部又は全部をマイクロ波吸収の少ない断熱材で覆う構成とすれば、加熱釜の外表面から放出される熱エネルギーが少なくなるので、エネルギーの省力化の効果が増す。
なお、加熱釜を覆う断熱材としては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、マグネシアなどを主成分とする材料が使用できる。
【0037】
同様に、第4の発明のように、加熱炉本体の内面の一部または全部を断熱材で覆う構成とすればエネルギーの省力化の効果が増す。
加熱炉本体の内面を覆う断熱材は、使用温度が加熱釜の外表面と比較して充分に低いので、加熱釜に用いるマイクロ波吸収の少ない断熱材を必ずしも使用する必要がないが、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、マグネシアなどを主成分とする材料、つまり、高温でもマイクロ波の吸収が少ない材料を使用すれば、断熱材を透過する際のマイクロ波電力の減衰が更に小さくなるから、エネルギーの省力化に有利となる。
この結果、加熱釜の外表面と、加熱炉本体の内表面との両方をマイクロ波吸収の少ない断熱材で覆うことで、さらに、エネルギーの省力化の効果を増加させることができる。
【0038】
さらに、第5の発明のように、マイクロ波発熱材で形成した加熱釜の内面をマイクロ波遮蔽材で形成すれば、マイクロ波電力がマイクロ波加熱材を加熱しつつ浸透してマイクロ波遮蔽材に達し、この遮蔽材で反射する。
この結果、マイクロ波電力が加熱釜のトンネル内には透過しない。
特に、この発明によれば、加熱釜の設計に、マイクロ波浸透深さ(半減深度)を気にする必要がなく、マイクロ波発熱材の使用量を減らすことができる。
【0039】
下記に半減深度の参考図を示す。

【0040】
この参考図によれば、例えば、25℃の炭化珪素の場合、2.45GHzのマイクロ波電力では、半減深度Dは5cmとなる。
一般に、半減深度は高温になると浅くなる。
例えば、ジルコニアの場合、300℃では半減深度が約2.5cm、500℃では半減深度が約1.9cm、800℃では半減深度が約0.7cmとなる。
【0041】
一方、マイクロ波発熱体に浸透するマイクロ波電力の半減深度Dは、次の式によって求まる。

ここで、fは周波数、εrは比誘電率、tanδは誘電体損失角である。
【0042】
したがって、加熱釜を形成するマイクロ波発熱体の中に進むマイクロ波の電力比は、次のようになる。
表面からの深さ その深さにおいて、更に浸透するマイクロ波電力(%)
1×D 50.0%
2×D 25.0%
3×D 12.5%
4×D 6.25%
5×D 3.13%
6×D 1.56%
7×D 0.78%
8×D 0.39%
と言う関係になる。
【0043】
したがって、例えば、ジルコニアをマイクロ波発熱材として、厚さ5cmの加熱釜とすると、おおまかな計算では、300℃では25.0%、500℃では16.14%、800℃では0.7%が加熱釜のトンネル内に突き抜けることになる。
つまり、マイクロ波発熱材の厚さが薄い場合は、加熱釜の温度が比較的に低い領域では、強いマイクロ波電力が加熱釜のトンネル内に浸透し、トンネル内を通って加熱装置外に漏れ出す可能性を示唆している。
【0044】
これに対し、電気良導体の場合は、表面の電磁界の値に対し、1/e=0.368なる深さ、すなわち、表皮の深さ(skin depth)δが関係する。

ここで、ωは角周波数(ω=2πf:fは周波数)、μは物質の透磁率、σは物質の電気伝導率である。
【0045】
上記の式によれば、2.45GHzのマイクロ波電力の場合、銅の表皮の深さは約1.32μmで、炭素(黒鉛)の表皮の深さは約41.2μmとなる。
すなわち、炭素は電気抵抗体であるので、銅と比較して表皮の深さは約31倍にもなるが、厚さ0.5mmの炭素の板であれば、マイクロ波電力の電磁界強度は表面の約185,700分の1になってしまうので、0.5mmでマイクロ波電力を充分に遮蔽することができる。
【0046】
例えば、ジルコニアのマイクロ波発熱材で形成した加熱釜の内面に、0.5mmの炭素の層をマイクロ波遮蔽材として設けるだけで、加熱釜のトンネル内へのマイクロ波電力の漏洩を阻止することができる。
また、加熱釜の内面に設けるマイクロ波遮蔽材としては、価格の安く、ワークに傷がつきにくい炭素が有利であるが、しかし、マイクロ波電力を反射するものであれば使用可能であるから、金属などの電気良導材であっても使用することができる。
【0047】
さらに、第6の発明のように、内面をマイクロ波遮蔽材で形成し、外面を加熱釜軸方向に断続させたマイクロ波加熱層とした加熱釜は、マイクロ波遮蔽材が熱伝導体でもあるから、マイクロ波発熱層で発生した熱エネルギーがマイクロ波遮蔽材を拡散して伝搬するので、定常状態になると、加熱釜の端部及び端部に近い部分を除いて、マイクロ波遮蔽材が比較的一様な温度分布となる。
【0048】
したがって、マイクロ波電力が強く放射されている部分にマイクロ波発熱層を配置することができる。
また、マイクロ波発熱層を製造する上で最適な軸方向寸法で製造し、それをわざわざ連続配置するのではなく、適当な間隔で配置すれば、所望の特性をもった加熱釜となる。
【0049】
第7の発明は、加熱釜について、マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構成としたことが特徴となっている。
また、第8の発明は、第7の発明の変形であり、加熱釜について、四辺形断面の長形中空体として形成し、かつ、上下辺に当たる釜部分は、マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、断熱材からなる外面層の3層構成とし、左右辺に当たる釜分部は、マイクロ波遮蔽材からなる内面層と断熱材からなる外面層の2層構成としたことが特徴となっている。
【0050】
第9の発明のように、フィルタゾーンの空間にマイクロ波吸収材としてマイクロ波発熱体を配置すると、マイクロ波電力を吸収して発熱するので、フィルタ効果が増すと同時に、加熱釜の端部の熱流が改善され、加熱釜の保温に役立ち、加熱炉本体の入口部および出口部のマイクロ波電力の漏洩を防止し、さらに、エネルギーの省力化に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、ワークの移送方向に平行して切断した加熱装置の断面図である。
【図2】図1上のB−B線拡大断面図である。
【図3】加熱炉本体の内面に断熱材を設けた上記第1実施形態の改良例を示す図1同様の断面図である。
【図4】加熱釜の外表面にマイクロ波吸収の少ない断熱材を設けた上記第1実施形態の改良例を示す図1同様の断面図である。
【図5】加熱炉本体の内面に断熱材を設け、かつ、加熱釜外面にマイクロ波吸収の少ない断熱材を設けた上記第1実施形態の改良例を示す図1同様の断面図である。
【図6】マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構成とした加熱釜と、加熱炉本体の内面に断熱材とを設けた上記第1実施形態の改良例を示す図1同様の断面図である。
【図7】図6上のC−C線拡大断面図である。
【図8】マイクロ波遮蔽材からなる内面層、断続的に設けたマイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構成とした加熱釜を備えた上記第1実施形態の改良例を示す図1同様の断面図である。
【図9】マイクロ波遮蔽材からなる内面層、断続的に設けたマイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構成とした加熱釜と、加熱炉本体の内面に断熱材とを設けた上記第1実施形態の改良例を示す図1同様の断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態を示し、ワークの移送方向に平行して切断した加熱装置の断面図である。
【図11】加熱釜の外表面にマイクロ波吸収の少ない断熱材を設けた上記第2実施形態の改良例を示す図10同様の断面図である。
【図12】マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構成とした加熱釜を備えた上記第2実施形態の改良例を示す図10同様の断面図である。
【図13】マイクロ波遮蔽材からなる内面層、部分的に設けたマイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構成とした加熱釜を備えた上記第2実施形態の改良例を示す図10同様の断面図である。
【図14】マイクロ波遮蔽材からなる内面層、断続的に設けたマイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構成とした加熱釜を備えた上記第2実施形態の改良例を示す図10同様の断面図である。
【図15】フィルタゾーンにマイクロ波吸収材としてマイクロ波発熱体を備えた上記第2実施形態の改良例を示す図10同様の断面図である。
【図16】加熱炉本体の内面に断熱材を設けた図15同様の改良例を示す断面図である。
【図17】マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構成からなる加熱釜を横長の四辺形断面に形成した変形例を示す図7同様の断面図である。
【図18】四辺形断面の上下辺部分を、マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、断熱材からなる外面層の3層構成とし、その左右辺部分を、マイクロ波遮蔽材からなる内面層、断熱材からなる外面層の2層構成とした加熱釜の変形例を示す図17同様の断面図である。
【図19】従来例として示した加熱炉の断面図である。
【図20】図19上のA−A線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
次に、本発明の実施形態について図面に沿って説明する。
図1は、第1実施形態を示し、ワークの移送方向に平行して切断した加熱装置の断面図であり、図2は、図1上のB−B線拡大断面図である。
これらの図面より分かる通り、本実施形態の加熱装置10は、加熱炉本体11と、この加熱炉本体内にマイクロ波電力を導入するマイクロ波供給手段を備えている。
【0053】
加熱炉本体11は、非磁性金属材で横長の箱状に形成してあり、その長手方向の一方側に入口部11aが、その他方側に出口部11bが設けてある。
また、これら入口部11aと出口部11bの近くには、マイクロ波電力の漏洩を防ぐフィルタゾーン12a、12bが形成してある。
フィルタゾーン12a、12bは、マイクロ波電力の波長の性質を利用したチョーク構造などにより、非接触であってもマイクロ波電力の通過を阻止することができ、加熱炉本体外に漏洩するマイクロ波電力を防止する。
【0054】
マイクロ波供給手段は、公知構成のもので、マイクロ波発振器13a、導波管回路13b、加熱炉本体11内にマイクロ波電力を放射する放射窓13cとから形成してある。
なお、本実施形態では、3つのマイクロ波供給手段を備えたが、マイクロ波供給手段の数は必要に応じて増減することができる。
【0055】
また、加熱炉本体11の内部には、ワークを通過させる加熱釜15が配設してある。
この加熱釜15は、既に述べたように、炭素や黒鉛の粉末、カーボンナノチューブなどを混入させたセラミックス、ジルコニア、炭化珪素などのマイクロ波発熱材で、長形の中空体として形成したもので、加熱炉本体11の入口部11aと出口部11bとを結ぶ直線上に配設してある。
【0056】
すなわち、この加熱釜15は、加熱炉本体11の内底面に固定した保持台16と、入口部11a及び出口部11bが位置する加熱炉本体11の内側壁部に設けた仕切壁17とによって加熱釜15を固定して保持させてある。
なお、保持台16と仕切壁17はマイクロ波吸収の少ない断熱材で形成してある。
【0057】
また、仕切壁17は加熱釜15を支持する他に、加熱炉本体11の内部空間11cと加熱釜15のトンネル15aの空間とを仕切り、トンネル15aを流れる気体、つまり、ワーク18が加熱処理される際に必要な不活性ガスと、ワーク18が加熱処理される際に発生する煙やガスとが加熱炉本体11の内部空間11cに漏れるのを防止している。
【0058】
上記した加熱釜15は、図2より分るように、ワーク18の移送方向に交叉する断面が扁平状の中空体であり、図2に示すように、一本一本のワーク18を複数本横並びにして通すことができるようにしてある。
なお、ワーク18は、棒状、線状、糸状、繊維状の原料繊維で、複数本を横並びにして加熱釜15のトンネル15a内を移送させてもよく、複数の原料繊維を束ね、束ねた複数の束を横並びにして加熱釜15のトンネル15a内を移送させることもできる。
【0059】
上記のように構成した加熱装置10は、放射窓13cから加熱炉本体11の内部11cに放射されるマイクロ波電力がマイクロ波発熱材からなる加熱釜15によって吸収され、加熱釜15が発熱して昇温する。
したがって、加熱炉本体11の入口部11aから供給され、加熱釜15のトンネル15a内を通り、出口部11bから排出されるワーク18が加熱釜15の輻射熱を受けて加熱処理される。
【0060】
なお、図示省略してあるが、加熱炉本体11や加熱釜15のトンネル15a内には温度測定手段を設け、その温度測定手段の測定値にしたがって、マイクロ波発振器13aから出力されるマイクロ波電力を制御する制御手段を備え、例えば、加熱釜15の温度をPID制御によって設定温度プロファイルにしたがって昇温し維持するようにマイクロ波電力の出力を制御する構成としてある。
【0061】
なお、PID制御において、Pは比例制御、Iは積分制御、Dは微分制御を表す。
例えば、具体例として、温度測定手段によって得られた測定値と設定温度プロファイルとを比較した、その温度差が大きい間は比例制御を主体的にしてマイクロ波出力を制御して素早く温度差を小さくさせ、その温度差が第1の閾値より小さくなったら微分制御を主体的にしてマイクロ波出力を制御して素早く設定温度プロファイルに近づけ、その温度差が第2の閾値より小さくなって設定温度プロファイルと略一致する範囲に入ったら積分制御を主体的にしてマイクロ波出力の微調整を行い設定温度プロファイル通りの温度プロファイルを実現する。
なお、上記は3パターンのPID制御係数を用いて温度を制御する方法を説明したが、これには拘わらない。
【0062】
図3は、上記第1実施形態の改良例を示す加熱装置10で、加熱炉本体11の内面に断熱材19を設けた構成となっている。
この加熱装置10は、加熱釜15の外表面から輻射により逃げた熱エネルギーを断熱材19によって断ち、加熱炉本体外部に漏れる熱エネルギーを防止し、熱エネルギーの省力化を計っている。
なお、断熱材19は、加熱炉本体内面の一部又は全部に設けることができる。
【0063】
図4は、上記第1実施形態の改良例を示す加熱装置10で、加熱釜15の外表面にマイクロ波吸収の少ない断熱材20を設けた構成となっている。
この加熱装置10は、加熱釜15の外表面から輻射により逃げる熱エネルギーを減少させて、上記同様に熱エネルギーの省力化を計っている。
なお、断熱材20は、加熱釜15の外表面の一部又は全部に設けることができる。
【0064】
図5は、上記第1実施形態の改良例を示す加熱装置10で、加熱炉本体11の内面に断熱材19を設けると共に、加熱釜15の外表面にマイクロ波吸収の少ない断熱材20が設けてある。
この加熱装置10は、加熱釜15の外表面から輻射により逃げる熱エネルギーを減少させ、さらに、加熱炉本体11から外部に漏れる熱エネルギーを防止するので、熱エネルギーの省力化が更に進む。
断熱材19は加熱炉本体内面の一部又は全部に、断熱材20は加熱釜15の外表面の一部または全部に設けることができる。
【0065】
図6及び図7は、上記第1実施形態の改良例を示す加熱装置10で、加熱釜15が、マイクロ波遮蔽材からなる内面層21と、マイクロ波発熱材からなる中間層22と、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層23の3層構成となっている。
この加熱装置10によれば、マイクロ波電力がマイクロ波遮蔽材からなる内面層21で反射されるので、加熱釜15のトンネル15a内にはマイクロ波電力が透過しない。
したがって、マイクロ波電力の影響を受け易いワーク18であっても、良品質の加熱処理物が生産できる。
【0066】
図8は、上記第1実施形態の改良例を示す加熱装置10で、この実施形態では、加熱釜15を図6及び図7同様に3層構造とし、さらに、中間層22については断続配置した構成としてある。
図示するように、マイクロ波発熱材からなる中間層22は、効率よく効果的に熱が必要になる場所に配置すればよく、本実施形態では、マイクロ波電力の放射窓14の近くに中間層22が配置してある。
なお、本実施形態の場合、断熱材からなる外面層23を設けなくとも実施することができる。
【0067】
図9は、上記第1実施形態の改良例を示す加熱装置10で、加熱炉本体11の内面に断熱材19を設けたことが特徴となっており、その他は図8の実施形態と同構成となっている。
【0068】
図10は、第2実施形態を示し、ワークの移送方向に平行して切断した加熱装置の断面図である。
本実施形態の加熱装置30は、加熱釜15の一端側をフィルタゾーンを通して入口部11aに突出させ、入口部11a内に設けた断熱材からなる支持体31によって支持し、また、加熱釜15の他端側はフィルタゾーンを通して出口部11bに突出させ、出口部11b内に設けた断熱材からなる支持体31によって支持させた構成としてあり、その他は図1に示した第1実施形態の加熱装置10と同じ構成となっている。
【0069】
このように構成した加熱装置30は、加熱炉本体11の内部11cと加熱釜15の両端開口部がフィルタゾーンによって仕切られるため、加熱炉本体11の内部11cのマイクロ波電力が加熱釜15の両端開口部から入り込むことがない。
したがって、加熱釜15内を通るワーク18は、マイクロ波吸収性能の大小に係わらず、マイクロ波電力の影響を受けないので、加熱釜15内に複数のワーク18を通して加熱しても、加熱処置後のワーク18はどのワークも一様に加熱され、良質な生産物となる。
【0070】
図11は、第2実施形態の加熱装置30において、図4の加熱装置と同様に、加熱釜15の外表面にマイクロ波吸収の少ない断熱材20を設けたことが特徴となっている
【0071】
図12は、第2実施形態の加熱装置30において、図6及び図7の加熱装置と同様に、マイクロ波遮蔽材からなる内面層21と、マイクロ波発熱材からなる中間層22と、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層23の3層構造からなる加熱釜15を備えたことが特徴となっている。
【0072】
図13は、図12の加熱装置30に備える加熱釜15について、マイクロ波発熱材からなる中間層22を部分的に設けたことが特徴となっている。
【0073】
図14は、第2実施形態の加熱装置30において、図12と同様に、加熱釜15を3層構造とし、さらに、中間層22については断続配置した構成としたことが特徴となっている。
なお、本実施形態の場合、断熱材からなる外面層23を設けなくとも実施することができる。
【0074】
図15は、図14に示す加熱装置30において、フィルタゾーン12a、12bには、マイクロ波吸収材からなるマイクロ波発熱体32を設けたことが特徴となっている。
【0075】
図16は、図14に示す加熱装置30において、フィルタゾーン12a、12bには、マイクロ波吸収材からなるマイクロ波発熱体32を設けると共に、加熱炉本体11の内面に断熱材19を設けたことが特徴となっている。
【0076】
図17は、図6または図12などに示した加熱装置の加熱釜15について、マイクロ波遮蔽材からなる内面層21と、マイクロ波発熱材からなる中間層22と、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層23の3層構造とすると共に、ワーク18の移送方向に交叉する断面を四辺形断面構造として実施する例を示す。
【0077】
図18は、図17に示す3層構造の加熱釜15は、上下辺部分について、マイクロ波遮蔽材からなる内面層21と、マイクロ波発熱材からなる中間層22と、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層23の3層構造とし、左右辺部分について、マイクロ波遮蔽材からなる内面層21と、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層23の2層構造として実施する例を示す。
【産業上の利用可能性】
【0078】
炭素繊維や黒鉛繊維などの生産に使用する加熱装置に適する。
【符号の説明】
【0079】
10 加熱装置
11 加熱炉本体
11a 入口部
11b 出口部
12a、12b フィルタゾーン
13a マイクロ波発振器
15 加熱釜
18 ワーク
19、20 断熱材
21 内面層
22 中間層
23 外面層
30 加熱装置
32 マイクロ波発熱体




























【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材からなる加熱炉本体と、
前記加熱炉本体にマイクロ波電力を導入するマイクロ波供給手段と、
前記加熱炉本体の一方側に設けた入口部と他方側に設けた出口部の近くに設けてマイクロ波電力の漏洩を防ぐフィルタゾーンと、
マイクロ波発熱材で長形の中空体として形成し、前記加熱炉本体の入口部と出口部との間に直線的に配設した加熱釜と、
前記加熱炉本体の内面と前記加熱釜外面とで囲まれた空間と、前記加熱釜内の空間とを分離し、かつ、前記加熱釜を保持するマイクロ波吸収の少ない断熱材とを備え、
前記入口部から供給したワークを、前記加熱釜内を通し、前記出口より排出し、前記加熱釜内で加熱する構成としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置。
【請求項2】
金属材からなる加熱炉本体と、
前記加熱炉本体にマイクロ波電力を導入するマイクロ波供給手段と、
前記加熱炉本体の一方側に設けた入口部と他方側に設けた出口部の近くに設けてマイクロ波電力の漏洩を防ぐフィルタゾーンと、
マイクロ波発熱材で長形の中空体として形成し、前記加熱炉本体の入口部のフィルタゾーンと出口部のフィルタゾーンを通し、入口部と出口部との間に直線的に配設した加熱釜と、
前記加熱釜を保持するマイクロ波吸収の少ない断熱材とを備え、
前記入口部から供給したワークを、前記加熱釜内を通し、前記出口部より排出し、前記加熱釜内で加熱する構成としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した加熱装置において、
前記加熱釜の外表面の一部又は全部をマイクロ波吸収の少ない断熱材で覆ったことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載した加熱装置において、
前記加熱炉本体の内面の一部または全部を断熱材で覆ったことを特徴としたマイクロ波を応用した加熱装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載した加熱装置において、
マイクロ波発熱材で長形の中空体として形成した前記加熱釜は、内面をマイクロ波遮蔽材で形成したことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載した加熱装置において、
前記加熱釜は、内面をマイクロ波遮蔽材で形成し、外面を加熱釜軸方向に断続させたマイクロ波発熱層としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載した加熱装置において、
前記加熱釜は、マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構造としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載した加熱装置において、
前記加熱釜は、四辺形断面の長形中空体として形成し、かつ、上下辺に当たる釜部分は、マイクロ波遮蔽材からなる内面層、マイクロ波発熱材からなる中間層、マイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の3層構造とし、左右辺に当たる釜分部は、マイクロ波遮蔽材からなる内面層とマイクロ波吸収の少ない断熱材からなる外面層の2層構造としたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載した加熱装置において、
前記フィルタゾーンには、マイクロ波吸収材としてマイクロ波発熱体を備えたことを特徴とするマイクロ波を応用した加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−2767(P2013−2767A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136276(P2011−136276)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000114031)ミクロ電子株式会社 (37)
【出願人】(000157072)関東冶金工業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】