説明

マイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプ

【課題】 照明器具の白熱灯電球と交換するだけで、マイクロ波センサによって人体の存在と生体情報を検知して、所定の生体情報を検知したときに音や光によってアラームを発する照明器具のランプを提供することを目的とする。
【解決手段】 照明器具への装着手段を備えたランプ(1)に、マイクロ波センサ(2)と、アラームを発する報知手段(3)とを一体に備え、マイクロ波センサ(2)で人体の存在を検知するとともに、体動、呼吸、心拍を検知モニタし、呼吸及び心拍の何れか、あるいはその両方が所定の時間検知されなかったとき、報知手段(3)によってアラームを発して早期に救命処置を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波センサによって生体情報を検知するシステムを内蔵した照明器具のランプに関し、特にマイクロ波センサによって人体の存在と生体情報を検知して、一定の生体情報を検知したときに、音や光によってアラームを発する照明器具のランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住居での入浴中の中高年者や高齢者の突然死が増加している。原因の多くは、心筋梗塞などに代表される循環器系疾患や、脳内出血、クモ膜下出血などの脳血管系疾患である。また、血圧低下による意識障害や、眠り込んでしまうことで顔が浴槽の湯の中に入り、そのまま溺死するといったケースもある。多くの場合、浴室からいつまでも出てこなかったり、静かで物音がしなかったりといったことを家族が不審に思い、様子を見に行って気付くケースがほとんどで、早期に発見することができれば一命を取り留める可能性が大きいが、時間が経過している場合は既に手遅れのことが多い。
【0003】
また、ビジネスホテルなど宿泊施設の浴室でも宿泊者の前記同様の突然死が増加している。ツインルームであれば同宿者が異常に気付くこともあるが、シングルルームでの単独宿泊の場合、宿泊者が突然死したとしても翌朝のチェックアウト時間まで気付くことはない。チェックアウト時間を大幅に過ぎてもフロントに現れないことで初めて異常に気付くのである。このようなケースでは、時間が経過しているので既に死亡していることが多く、諸々の処理などで暫く部屋が使用できなくなるなど、ビジネスホテルにとっても多大な損害が生じる。
【0004】
そこで、このような事故を防止するためにマイクロ波センサを用いたシステムが種々発明されている。マイクロ波センサは、空間に向けてマイクロ波を送出し、物体での反射波を受信して物体の移動状態を検出できる。また、マイクロ波は樹脂、セラミックなどを透過するので浴室内面に設置する必要は無く天井裏や壁裏に設置することが可能であるので、浴室内において、天井裏などの水のかからない場所に設置でき、赤外線センサなど他のセンサを用いる場合のように特別の防水処理が不用である。
【0005】
例えば、特開2002−117466号公報(特許文献1)の「浴室システム」は、入浴中に意識を失った人の事故を未然に防ぐシステムで、当該公報の段落番号0029乃至0034に記載されているように、浴室の入口に備えた赤外線センサユニットで使用者の入口通過を検出し、樹脂製の天井の上面に備えたマイクロ波センサで浴室内での使用者の体動を検出して、使用者の体動が所定時間以上検出できなかった場合は、使用者が浴室内部にいて動かなくなったと判断して、浴室内部に設置してあるブザーを鳴動させて使用者を覚醒させるように構成したものである。
【0006】
また、特開2002−71825号公報(特許文献2)の「マイクロ波利用人体検知装置」は、マイクロ波センサを使用して人体の存在と生体情報を検出するものである。人体の生体情報とは、呼吸や鼓動であり呼吸や鼓動による胸の膨らみをマイクロ波センサで検出して呼吸しているか否か、心臓の鼓動があるか否かを検出する。また、マイクロ波センサは、システムキッチン、洗面台、トイレ、風呂、シャワーなどに組み込まれ、日常の生活シーンで人体の存在と生体情報を検出するもので、マイクロ波センサを組み込む場所の例として、当該公報の段落番号0014には洗面台の照明器具の並びもしくは内部にマイクロ波センサを組み込むことが記載されている。本文献においては、マイクロ波センサで人体の存在と生体情報を検出することだけが記載され、活用方法についての具体的な説明はないが、特許文献1の技術を鑑みれば、入浴中及びその他の生活シーンでの体調のモニタや事故を防止することに活用することが考えられる。
【0007】
さらに、特開2011−34938号公報(特許文献3)の「ドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具」は、電球型のLED照明器具にマイクロ波センサを内蔵して人体の存在を検知して自動的に照明器具の点灯・消灯を行う照明器具であり、アウターケースの上部に透光性素材からなるドームカバーを備えるとともに、該アウターケースの下部に電球のソケットに装着可能な口金を備えて外観を電球形状とした照明器具本体であって、該照明器具本体の内部に、LEDを備えるとともに中央部に四角形の開口部を備えたアルミナ基板と、該アルミナ基板の下方には、マイクロ波を送受信するドップラーモジュールを備えるとともに時間調整部と感度ボリュームを備えた該LEDの点灯制御を行うモジュール基板と、該モジュール基板の駆動電圧を供給するAC−DCユニットを備えて構成したものである。これによって、既存の白熱灯照明器具に使用している白熱灯電球と交換するだけで、容易に人体を検知して照明器具の点灯・消灯ができ、スイッチ操作の煩わしさを解消するとともに、消し忘れによる無駄な点灯を抑止して、省エネルギー及び電気代節約を可能としたものである。ドップラーモジュールから発射されるマイクロ波は、既存の白熱灯照明器具で白熱灯電球が、ガラスや樹脂のカバーやシェードで覆われているようなものであっても確実に透過して人体を検知し、LEDの点灯制御を行うことができる。これにより、シーリングライト、ブラケット、浴室灯、トイレ灯、スタンドなど照明器具の態様を問わず、既存の照明器具のカバーやシェードを外して白熱灯電球と交換するだけで極めて広範囲、かつ容易に装着することを可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開2002−117466号公報
【特許文献2】 特開2002−71825号公報
【特許文献3】 特開2011−34938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示された「浴室システム」は、浴室にシステムを設置する必要があり、水を使う場所であることを配慮した電源や各センサの配線工事が必要となり、電気的な安全性から使用者自ら設置することには難がありコスト面からも普及しづらい。また、ブザーを鳴動させるなどして使用者を覚醒させるシステムであるので、何らかの発作で意識を失った状態では覚醒を期待できず、住居内の離れた場所に家族がいたとしても気付かずに手遅れとなる危険性がある。さらには、ビジネスホテルなど宿泊施設への設置であれば、全室への設置が必要であるのでコスト負担は多大である。
【0010】
特許文献2に示された「マイクロ波利用人体検知装置」は、マイクロ波センサの特性を利用して人体の存在、呼吸や鼓動などの生体情報を検出するものであるが、単にマイクロ波センサをシステムキッチン、洗面台など日常の生活シーンでの組み込み例を示したに過ぎない。
【0011】
特許文献3に示された「ドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具」は、マイクロ波ドップラーモジュールを用いているため、既存の白熱灯照明器具で電球がガラスや樹脂のカバーやシェードで覆われているようなものであってあっても確実にマイクロ波が透過して人体を検知し、LEDの点灯制御を行うことができる。シーリングライト、ブラケット、浴室灯、トイレ灯、スタンドなど照明器具の態様を問わず、既存の照明器具のカバーやシェードを外して白熱灯電球と交換するだけで使用可能であること、容易に装着可能であること、省エネルギー性などといった優れた特徴を有するがLEDの点灯制御を行うに過ぎないものである。
【0012】
そこで本発明は、前記課題を解決するために、既存の照明器具のカバーやシェードを外して白熱灯電球と交換するだけで、マイクロ波センサによって人体の存在と生体情報を検知して、一定の生体情報を検知したときに音や光によってアラームを発する照明器具のランプを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は本発明の請求項1によれば、照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段とを一体に備えたことで解決される。
【0014】
上記課題は本発明の請求項2によれば、照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段と、アラーム信号を送信する通信手段とを一体に備えたことで解決される。
【0015】
上記課題は本発明の請求項3によれば、アラーム信号を送信する通信手段は、電力線搬送通信(PLC)、無線通信の何れかであることで解決される。
【0016】
上記課題は本発明の請求項4によれば、照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段とを一体に備え、マイクロ波センサで人体の存在を検知するとともに、体動、呼吸、心拍を検知モニタし、呼吸及び心拍の何れか、あるいはその両方が所定の時間検知されなかったとき、報知手段によってアラームを発することで解決される。
【0017】
上記課題は本発明の請求項5によれば、照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段と、アラーム信号を送信する通信手段とを一体に備え、マイクロ波センサで人体の存在を検知するとともに、体動、呼吸、心拍を検知モニタし、呼吸及び心拍の何れか、あるいはその両方が所定の時間検知されなかったとき、報知手段によってアラームを発するとともに、アラーム信号を送信する通信手段によって浴室の外部に備えられたアラーム信号を受信する受信手段でアラームを発することで解決される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によれば、照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段とを一体に備えたので、使用者自らが、例えば浴室の白熱灯電球と交換するだけで容易に設置することが可能である。浴室に設置した場合は、浴室の人体を検知して点灯するとともに、体動、呼吸、心拍を検知モニタし、その検知状況に応じて使用者の異変を検知したときに報知手段でブザーなどの音やランプ自体を点滅させるなどのアラームを発することで、使用者が万が一浴槽で寝てしまっても、アラームによって覚醒するので、顔が浴槽の湯の中に入りそのまま溺死しまうといった事故を防止することが可能となる。さらに、使用者がアラームによって覚醒しない、すなわち何らかの疾患の発作によって意識を失った場合は、アラームによって家族が異変に気付くことで、早期に発見して救命処置を施すことができるので、最悪の事態を回避することも可能となる。また、人体を検出して自動で点灯・消灯するので、消し忘れによる無駄な点灯を抑止して、電力不足が叫ばれる昨今、省エネルギーで電力使用量の削減も実現した。
【0019】
本発明の請求項2によれば、照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段と、アラーム信号を送信する通信手段とを一体に備えたので、マイクロ波センサが、体動、呼吸、心拍の異変を検知したときに報知手段でアラームを発するとともに、アラーム信号を送信する通信手段によって外部に異変を知らせることができるので、使用者が何らかの疾患の発作によって意識を失った場合でも、住居内の離れた場所にいる家族やビジネスホテルなど宿泊施設のフロントに異変を知らせ、早期に発見して救命処置を施すことができるので、最悪の事態を回避することが可能となる。
【0020】
本発明の請求項3によれば、アラーム信号を送信する通信手段は、電力線搬送通信(PLC)、無線通信の何れかであるので、通信手段が電力線搬送通信(PLC)とした場合は、住居内や宿泊施設のAC100Vコンセントに対応する受信機器を接続することで、住居内の離れた場所にいる家族や、ビジネスホテルなど宿泊施設のフロントに異変を知らせることができる。また、通信手段が無線通信の場合、例えば、微弱電波のFMトランスミッタとすれば、敢えて専用の受信機を用意せずともFMラジオを所定の周波数にセットすることでアラームを受信すれば、住居内の離れた場所にいる家族に異変を知らせることができる。
【0021】
本発明の請求項4によれば、照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段とを一体に備え、マイクロ波センサで人体の存在を検知するとともに、体動、呼吸、心拍を検知モニタし、呼吸及び心拍の何れか、あるいはその両方が所定の時間検知されなかったとき、報知手段によってアラームを発するので、使用者の呼吸や心拍が停止したことをアラームによって、住居内の離れた場所にいる家族や、ビジネスホテルなど宿泊施設のフロントに異変を報知することで早期に発見して救命処置を施すことができるので、最悪の事態を回避することが可能となる。
【0022】
本発明の請求項5によれば、照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段と、アラーム信号を送信する通信手段とを一体に備え、マイクロ波センサで人体の存在を検知するとともに、体動、呼吸、心拍を検知モニタし、呼吸及び心拍の何れか、あるいはその両方が所定の時間検知されなかったとき、報知手段によってアラームを発するとともに、アラーム信号を送信する通信手段によって浴室の外部に備えられたアラーム信号を受信する受信手段でアラームを発するので、使用者の呼吸や心拍が停止したことを報知手段のアラームはもとより、通信手段によって住居内の離れた場所にいる家族や、ビジネスホテルなど宿泊施設のフロントに異変を報知することで早期に発見して救命処置を施すことができるので、最悪の事態を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】マイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプの中央縦断面図である。
【図2】マイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプの分解斜視図である。
【図3】マイクロ波センサで検知した正常な生体情報の波形図である。
【図4】マイクロ波センサで検知した異常な生体情報の波形図である。
【図5】マイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプの動作フローチャートである。
【図6】マイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプの動作フローチャートである。
【発明を実施させるための形態】
【0024】
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の第1の実施例を、図面を参照して説明する。図1は、マイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプ本体(1)(以下、本体(1)という)の中央縦断面図、図2は本体(1)の分解斜視図である。
【0026】
本体(1)は、ABSなどの樹脂素材やアルミなどの金属素材で形成されるアウターケース(1a)、ABSやポリカーボネートなどの透明または半透明の透光性樹脂素材からなるドームカバー(1b)、照明器具への装着手段であるソケットに装着可能な口金(1c)とからなり、ドームカバー(1b)の下縁円周部に備えたネジ部(1f)とアウターケース(1a)の上縁円周部に備えたネジ部(1f)とで結合される。また、アウターケース(1a)の下縁円周部に備えたネジ部(1f)と口金(1c)の上縁円周部に備えたネジ部(1f)とで結合され、その外観を一般的な電球形状として構成する。なお、本実施例において、照明器具への装着手段は、一般的な回し込み式の口金で示しているが、差し込み式の口金など、特に口金の形状を限定するものではない。
【0027】
電球形状として構成された本体(1)の内部には、AC−DCユニット(1d)、LED(1e)、マイクロ波センサ(2)、報知手段(3)、制御ユニット(4)を備えて、マイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプとして構成される。AC−DCユニット(1d)は口金(1c)から供給されるAC100V電源をDC電源に変換して、LED(1e)、マイクロ波センサ(2)、報知手段(3)、制御ユニット(4)のに駆動電圧を出力する。LED(1e)は、ランプとしての発光部で照明用として高輝度のものを複数備える。マイクロ波センサ(2)は、人体の体動、呼吸、心拍を常時検知し、10.525GHzのマイクロ波の送受信回路と伝送路とからなるマイクロ波回路を基板に配設して備える。報知手段(3)は、ブザーなどの音やLED(1e)自体を点滅させるなどのアラームを発する。制御ユニット(4)は、EEPROMなどのメモリ回路を含む一般的なマイクロプロセッサを用い、マイクロ波センサ(2)で検知された人体の体動、呼吸、心拍をモニタし、体動、呼吸、心拍の何れかあるいは複数が、所定時間検知されなかったときに報知手段(3)にアラーム信号を発する。
【0028】
このように構成された本体(1)は、住居やビジネスホテルなど宿泊施設の浴室、トイレ、リビング、寝室など場所を選ばず、照明器具の白熱灯電球と交換するだけで極めて容易に設置することができる。特に、温度差などによって血圧変化が大きくなることで、何らかの疾患の発作が起きやすくなる浴室やトイレに設置することが望ましい。
【0029】
そこで、本体(1)を浴室に設置した場合を想定して動作を説明する。まず、浴室の白熱灯照明器具のガラスや樹脂製のカバーやシェードを取り外して予め装着されている白熱灯電球と本体(1)を交換装着し、取り外したカバーやシェードを装着する。本体(1)は、浴室の白熱灯照明器具のガラスや樹脂製のカバーやシェードの内側に装着されるが、マイクロ波センサ(2)が送受信するマイクロ波は、浴室の白熱灯照明器具のガラスや樹脂製のカバーやシェートを何ら問題なく透過するので、浴室の水滴や湿気を何ら気にする必要なく電気的に安全に使用することができる。そして本体(1)は、白熱灯照明器具のソケットから給電されることで、常時マイクロ波センサ(2)が作動して人体の存在の有無をモニタし、人体の存在を検知したとき制御ユニット(4)は、LED(1e)を点灯制御する。マイクロ波センサ(2)は、継続して浴室の人体の体動、呼吸、心拍をモニタする。
【0030】
図3は、マイクロ波センサ(2)で検知した正常な生体情報の波形図、図4は、マイクロ波センサ(2)で検知した異常な生体情報の波形図で、何れも浴室で浴槽に浸かっている状態の人体の体動、呼吸、心拍とする。体動は、人体が浴槽に静かに浸かっているときであっても微妙に身体が動いていることで検知される。呼吸は、胸部や腹部の動きを検知するが、浴槽の湯の中に胸部や腹部がすべて浸かっていたとしても、呼吸により湯面が上下するのでこれを検知する。心拍は、人体の皮膚を透過して心臓の鼓動を検知するが、浴槽の湯の中に胸部が浸かっていたとしてもマイクロ波は湯を透過して人体の心臓の鼓動を検知するができる。
【0031】
図3に示された生体情報の波形図は、正常に人体が生存していることを示している。他方、図4に示された生体情報の波形図は、途中で体動、呼吸、心拍が停止していることを示している。このように図4のような異常な状態がマイクロ波センサ(2)によって検知された場合、制御部(4)は、報知手段(3)にアラーム信号を出力し、報知手段(3)はブザーなどの音やLED(1e)自体を点滅させるなどしてアラームを発する。人体にこのような異常が生じた場合、如何に早期に救命処置を施すか否かで生存率が変わってくる。入浴中に、何らかの疾患によって意識不明となり呼吸や心拍が停止したときや、血圧低下による意識障害や、疲労や飲酒によって眠り込んでしまうことで顔が浴槽の湯の中に入りそのまま溺死するといったケースも想定されるため、人体の入浴中の異常を早期に発見して救命処置を施すことができる。
【0032】
図5は、本体(1)の動作フローチャートである。
S1 マイクロ波センサ(2)が人体の存在の有無のモニタをスタートする。
S2 マイクロ波センサ(2)が人体の存在の有無をモニタする。
人体を検知しないときはNOとしてS3へ。そしてS2に戻りモニタを継続。
人体を検知したときはYESとしてS4へ。
S3 人体を検知せず。S2に戻ってモニタを継続。
S4 LED(1e)点灯処理。
S5 マイクロ波センサ(2)が人体の体動、呼吸、心拍をモニタする。
所定時間、体動、呼吸、心拍の何れかを検知しなかったときS6へ。
体動、呼吸、心拍を検出しているときS7へ。そしてS5に戻りモニタを継続。
S6 制御ユニット(4)からアラーム信号を報知手段(3)に出力。
報知手段(3)でアラーム作動。
S7 LED(1e)点灯処理。そしてS5に戻り体動、呼吸、心拍のモニタを継続。
【0033】
以上のように構成された第1実施例においては、マイクロ波センサ(2)によって人体の存在を検知してLED(1e)を点灯させるとともに、体動、呼吸、心拍を検知するとともにモニタし、その検知状況に応じて使用者の異変を検知したときに報知手段(3)でブザーなどの音やランプ自体を点滅させるなどのアラームを発することで、入浴中に、何らかの疾患によって意識不明となり呼吸や心拍が停止したときや、血圧低下による意識障害や、眠り込んでしまうことで顔が浴槽の湯の中に入りそのままの状態に陥った場合でも、アラームによっていち早く異変に気付くことで、早期に救命処置を施すことができるので、最悪の事態を回避することが可能となった。
【0034】
また、人体を検出してLED(1e)は自動で点灯・消灯するので、消し忘れによる無駄な点灯を抑止して、省エネルギー及び電力使用量の削減も実現した。
【実施例2】
【0035】
以下、本発明の第2の実施例を説明する。第2実施例においては第1実施例に、通信手段(5)を加えて構成した。基本的な構成は、第1実施例と同じであるので、通信手段(5)に係る説明を主にする。図1及び図2に示されるように電球形状として構成された本体(1)の内部には、AC−DCユニット(1d)、LED(1e)、マイクロ波センサ(2)、報知手段(3)、制御ユニット(4)、通信手段(5)を備えて、マイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプとして構成される。
【0036】
通信手段(5)は、電力線搬送通信(PLC)、無線通信の何れかでありこれによって、住居内やビジネスホテルなど宿泊施設において本体(1)の装着場所から離れた場所であっても、アラームを受けることができる。
【0037】
電力線搬送通信(PLC)は、電力線を通信回線として利用する技術で、通信手段(5)として通信用PLCモデムを備えた本体(1)を住居内やビジネスホテルなど宿泊施設の白熱灯照明器具の白熱灯電球と交換装着するだけで、住居内やビジネスホテルなど宿泊施設のAC100Vの電気配線網に接続され、なおかつ同じ電気配線網の例えば住居であればリビング、ビジネスホテルなど宿泊施設であればフロントにアラームを受信するパーソナルコンピュータや受信装置を設置することで、容易かつ低コストでアラームの通信網を構築することが可能となる。特に、ビジネスホテルなど宿泊施設においては、複数の部屋がある。新たにアラーム報知用のシステムを構築する場合は、各部屋にセンサの取付工事、ケーブルの敷設工事など多大な部品や工事費用などのコストを要するが、本実施例によれば極めて低コストで宿泊客の安全を確保することが可能となる。
【0038】
また、無線通信は、通信手段(5)に無線通信の送信回路を備えた本体(1)を照明器具に設置するとともに、別途適宜場所に設置した受信装置でアラームを受信することができる。無線通信の方式は、住居であれば住居内で無線通信ができれば良いので、本体(1)に組み込むこととコストを重視して微弱電波を用いることが好適である。また、ビジネスホテルなど宿泊施設であれば施設内で無線通信ができれば良いので、特定小電力無線を用いることが好適である。総務省における微弱無線局の規定では、無線設備から3メートルの距離での電界強度が、所定のレベルより低いものであれば、無線局の免許を受ける必要はなく、また、無線設備から500メートルの距離での電界強度が、200μV/m以下のもので、周波数などが総務省告示で定められている無線遠隔操縦を行うラジコンやワイヤレスマイク用などのものは、無線局の免許を受ける必要はないので手軽に用いることができる。また、携帯情報機器などで数m程度の機器間接続に使われる短距離無線通信技術の一つであるブルートゥース(登録商標)を用いてもよく、無線通信の種類は、設置場所やコストなどに応じて適宜選択して用いれば良い。
【0039】
そこで、通信手段(5)を備えた本体(1)を浴室に設置した場合を想定して動作を説明する。まず、浴室の白熱灯照明器具のガラスや樹脂製のカバーやシェードを取り外して予め装着されている白熱灯電球と本体(1)を交換装着し、取り外したカバーやシェードを装着する。本体(1)は、浴室の白熱灯照明器具のガラスや樹脂製のカバーやシェードの内側に装着されるが、マイクロ波センサ(2)が送受信するマイクロ波は、浴室の白熱灯照明器具のガラスや樹脂製のカバーやシェードを何ら問題なく透過するので、浴室の水滴や湿気を何ら気にする必要なく電気的に安全に使用することができる。そして本体(1)は、白熱灯照明器具のソケットからAC100が給電されることで、常時マイクロ波センサ(2)が作動して人体の存在の有無をモニタし、人体の存在を検知したとき制御ユニット(4)は、LED(1e)を点灯制御する。マイクロ波センサ(2)は、継続して浴室の人体の体動、呼吸、心拍をモニタする。
【0040】
図6は、本体(1)の動作フローチャートである。
S1 マイクロ波センサ(2)が人体の存在の有無のモニタをスタートする。
S2 マイクロ波センサ(2)が人体の存在の有無をモニタする。
人体を検知しないときはNOとしてS3へ。そしてS2に戻りモニタを継続。
人体を検知したときはYESとしてS4へ。
S3 人体を検知せず。S2に戻ってモニタを継続。
S4 LED(1e)点灯処理。
S5 マイクロ波センサ(2)が人体の体動、呼吸、心拍をモニタする。
所定時間、体動、呼吸、心拍の何れかを検知しなかったときS6へ。
体動、呼吸、心拍を検出しているときS8へ。そしてS5に戻りモニタを継続。
S6 制御ユニット(4)からアラーム信号を報知手段(3)に出力。
報知手段(3)でアラーム作動処理。
S7 制御ユニット(4)からアラーム信号を通信手段(5)に出力。
通信手段(5)でアラーム信号送信処理。
S8 LED(1e)点灯処理。そしてS5に戻り体動、呼吸、心拍のモニタを継続。
【0041】
以上のように構成された第2実施例においては、マイクロ波センサ(2)によって人体の存在を検知してLED(1e)を点灯させるとともに、体動、呼吸、心拍を検知するとともにモニタし、その検知状況に応じて使用者の異変を検知したときに報知手段(3)でブザーなどの音やランプ自体を点滅させてアラームを発するとともに、通信手段(5)によって、本体(1)から離れた場所でもアラームを受信することが可能となる。これによって、入浴中に、何らかの疾患によって意識不明となり呼吸や心拍が停止したときや、血圧低下による意識障害や、眠り込んでしまうことで顔が浴槽の湯の中に入りそのままの状態に陥った場合でも、通信手段(5)が発するアラームによって住居内の離れた場所にいる家族や、ビジネスホテルなど宿泊施設のフロントでもいち早く異変に気付くことで、早期に救命処置を施すことができるので、最悪の事態を回避することが可能となった。
【0042】
また、人体を検出してLED(1e)は自動で点灯・消灯するので、消し忘れによる無駄な点灯を抑止して、省エネルギー及び電気使用量の節約も実現した。
【符号の説明】
【0043】
1 本体
1a アウターケース
1b ドームカバー
1c 口金
1d AC−DCユニット
1e LED
1f ネジ部
2 マイクロ波センサ
3 報知手段
4 制御ユニット
5 通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段とを一体に備えたことを特徴とするマイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプ。
【請求項2】
照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段と、アラーム信号を送信する通信手段とを一体に備えたことを特徴とするマイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプ。
【請求項3】
アラーム信号を送信する通信手段は、電力線搬送通信(PLC)、無線通信の何れかであることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプ。
【請求項4】
照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段とを一体に備え、マイクロ波センサで人体の存在を検知するとともに、体動、呼吸、心拍を検知モニタし、呼吸及び心拍の何れか、あるいはその両方が所定の時間検知されなかったとき、報知手段によってアラームを発することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプ。
【請求項5】
照明器具への装着手段を備えたランプに、マイクロ波センサと、アラームを発する報知手段と、アラーム信号を送信する通信手段とを一体に備え、マイクロ波センサで人体の存在を検知するとともに、体動、呼吸、心拍を検知モニタし、呼吸及び心拍の何れか、あるいはその両方が所定の時間検知されなかったとき、報知手段によってアラームを発するとともに、アラーム信号を送信する通信手段によって浴室の外部に備えられたアラーム信号を受信する受信手段でアラームを発することを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れかに記載のマイクロ波センサによる生体情報検知システム内蔵型ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−92512(P2013−92512A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245946(P2011−245946)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(509232717)株式会社ギガテック (5)
【Fターム(参考)】