説明

マイクロ波・ミリ波イメージング

マイクロ波および/またはミリ波イメージングのために、複数の変調されたスロットを有するセンサアレイを提供する。アレイ内のスロットの位置は、オブジェクトからの電界を検出するために、空間ドメインをオブジェクトから離して規定する。該スロットはそれぞれ、測定された電界および該スロットの位置を表す信号を出力する。プロセッサは、該信号を復号化し、前記オブジェクトのイメージを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利についての声明.
米国政府は、アメリカ航空宇宙局(NASA)マーシャル宇宙飛行センターによって与えられたグラント番号NNM06AA06Gについて提供されるような合理的な点について、第三者にライセンスを与えることを特許権者に求めるために、限定された環境におけるペイドアップライセンスおよび権利を有する。
【背景技術】
【0002】
当分野で知られる非破壊の実時間イメージングは電磁放射を使用して、検査中のオブジェクトのプロパティを検出する。一般的には、電磁界源は、オブジェクトを照明し、センサ素子のアレイは、オブジェクトによって散乱された電界を受信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
各センサ信号は、典型的には、1つの信号を別の信号と区別するために、別個のピックアップ回路を必要とする。例えば、イメージングに関する従来の変調散乱手法(MST)は、十分でないダイポールアンテナを使用して電磁界をサンプリングし、したがって、特により高い周波数の電磁界に対する感度が十分でない。イメージングに関する切換えアンテナアレイ技法は、各ピックアップアンテナが各アレイ素子の位置から電磁界を検出するために、高価で大型の高周波(RF)回路を必要とする。残念ながら、このような従来の切換えアンテナアレイ技法のイメージングは、特により高い周波数において、十分な分解能を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、イメージングシステムは、オブジェクトからの電界を測定するために、複数の変調されたスロットを有するセンサアレイを備える。これらのスロットは、オブジェクトから遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応する位置に配置される。また、これらのスロットはそれぞれ、スロットの対応する位置で検出された電界を表す出力信号を提供する。当該イメージングシステムはさらに、これらのスロットから出力信号を受信するために、該アレイに動作可能に接続された受信器と、受信された出力信号に基づいて、規定された空間ドメイン内のオブジェクトを表す多次元プロファイルを生成するように構成されたプロセッサと、多次元プロファイルのイメージを表示するためのディスプレイとを備える。
【0005】
別の態様において、イメージングシステムは、オブジェクトから遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応する複数の位置で導電性表面に形成された複数の変調されたスロットを備える。これらのスロットは、オブジェクトからの電界を検出するために、超高周波よりも高い周波数で電磁エネルギーを受信してそれに応答する。また、これらのスロットはそれぞれ、スロットの対応する位置で検出された電界を表す出力信号を提供する。当該イメージングシステムはさらに、複数の位置で検出された電界を表す出力信号を受信するために、スロットに動作可能に接続された受信器と、受信された出力信号に基づいて、前記規定された空間ドメイン内の前記オブジェクトを表す多次元プロファイルを生成するように構成されたプロセッサとを備える。
【0006】
本発明の諸態様を実施する方法は、多次元プロファイルを生成する。この方法は、超高周波よりも高い周波数を有する電磁エネルギーの電界でオブジェクトを照明するステップ、かつ、該電界によって照明された該オブジェクトによって散乱されるステップを含む。この方法はさらに、該オブジェクトから遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応する複数の位置でセンサアレイを介して、該散乱された電界をサンプリングするステップを含む。当該アレイは、該散乱された電界を検出するために、それらのそれぞれの位置で変調されたスロットを含み、これらのスロットはそれぞれ、スロットの対応する位置で検出された電界を表す出力信号を提供する。この方法はまた、それらのスロットから出力信号を受信するステップと受信された出力信号に基づいて、規定された空間ドメイン内のオブジェクトを表す多次元プロファイルを生成するステップとを含む。
【0007】
この発明の概要は、発明を実施するための形態おいて以下にさらに記載される概念の選択を単純化された形式で紹介するために提供される。発明の概要は、特許請求された主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また、特許請求された主題の範囲を決定する一助として使用されることを意図するものでもない。
【0008】
その他の特徴は、部分的には明らかであり、部分的には以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の諸態様を実施するマイクロ波・ミリ波イメージングシステムを示す図である。
【図2】図1のシステムのアレイにおける使用に好適な例示的なスロットアンテナを示す図である。
【図3A】本発明の諸実施形態によるスロットのアレイの例示的な位置を示す図である。
【図3B】本発明の諸実施形態によるスロットのアレイの例示的な位置を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による、変調されたスロットアンテナのアレイおよび該スロットアンテナから信号を受信するためのコレクタを有するイメージングシステムを示す図である。
【図5A】本発明の実施形態による、K帯域スロットアレイを有するイメージングシステムの頂部層を示す図である。
【図5B】本発明の実施形態による、K帯域スロットアレイを有するイメージングシステムの底部層を示す図である。
【図6A】図5Aおよび図5Bのイメージングシステムによって取得されたオブジェクトの例示的なイメージを示す図である。
【図6B】図5Aおよび図5Bのイメージングシステムによって取得されたオブジェクトの例示的なイメージを示す図である。
【図7A】本発明の実施形態による、変調されたスロットアンテナのアレイおよび該スロットアンテナから信号を受信するためのピックアップネットワークを有するイメージングシステムの頂部層を示す図である。
【図7B】本発明の実施形態による、変調されたスロットアンテナのアレイおよび該スロットアンテナから信号を受信するためのピックアップネットワークを有するイメージングシステムの底部層を示す図である。
【図8A】図7Aおよび図7Bのイメージングシステムによって取得されたオブジェクトの例示的なイメージを示す図である。
【図8B】図7Aおよび図7Bのイメージングシステムによって取得されたオブジェクトの例示的なイメージを示す図である。
【図9】本発明の実施形態による、変調されたスロットアンテナのアレイおよび該スロットアンテナから信号を受信するための長方形の導波管ピックアップを有するイメージングシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面全体において、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【0011】
本発明の諸態様を実施するイメージングシステムおよび方法は、マイクロ波および/またはミリ波の電磁放射を受け、それらに応答する変調されたスロットのアレイを提供する。該アレイ内のこれらのスロットの位置は、オブジェクトによって散乱された電磁界を検出するために、オブジェクトから離れて空間ドメインを規定する。これらのスロットはそれぞれ、スロットの検出された電磁界および位置を表す信号を出力する。これらの信号を復号化することによって、オブジェクトのイメージを生成することができる。本発明の諸態様は、高い測定感度、高い空間的分解能、実時間動作および可搬性を実現する。
【0012】
図1をここで参照すると、本発明の諸態様を実施するイメージングシステム21は、特に電磁スペクトルのマイクロ波領域およびミリ波領域内の周波数のように比較的高い周波数(すなわち超高周波より高い)での使用に対して、頑強で高感度のシステムを提供する。少なくとも1つ実施形態では、イメージングシステム21は、電界をサンプリングするためのアレイ23を含む。「レティナ」とも呼ばれるこのアレイ23は、レティナの空間的範囲全体に分散された多くのアレイ素子、すなわちセンサ25を有する。以下にさらに詳しく記載されるように、マイクロ波・ミリ波イメージングシステム21の一実施形態は、導体スクリーン、プリント回路基板(PCB)の基板などの中に切り込まれた、あるいは別様にその中に形成された変調されたスロットアンテナ(図2参照)を使用して、センサ25を実装する。有利にも、スロットを変調することにより、レイ23内の各スロットが、1つのスロットを別のスロットと区別するための一意のコードを用いて、自身の出力信号にタグを付ける、あるいは自身の出力信号を識別できるようになる。
【0013】
本発明の諸態様によると、イメージングシステム21は、システムの視界に仮想的に存在する任意のオブジェクト29の実質的に実時間のイメージを生成する。電磁界によって照明されると、標的オブジェクト29は、電磁界のうち少なくともいくつかを、オブジェクトの材料および幾何学的性質の関数として様々な方向に散乱させる。例えば、照明している電磁界は、入射または照射しているマイクロ波またはミリ波と関連付けられる。マイクロ波およびミリ波は誘電性材料を貫通するので、イメージングシステム21は、そのような材料を含むオブジェクトの内部を見ることができる。同様に、イメージングシステム21は、誘電性材料の内側に隠されたあるいは別様に配置されたオブジェクトを検出およびイメージングすることができる。イメージングシステム21は、オブジェクト29から離れて配置された規定された空間ドメインに対応する複数の別個の場所(例えば、平面の平坦な一部分、円筒状の一部分、球面状の一部分、または任意の形状の一部分)で、散乱された電界を測定する。
【0014】
また、イメージングシステム21は、電磁放射源の検査を可能にする。例えば、オブジェクト29自体が、アレイ23で測定することができるマイクロ波および/またはミリ波の電磁放射を射出することができる。
【0015】
システム21の所望の使用法に応じて、センサアレイ23は、様々な形状となるようにカスタム設計することができる。例えば、アレイ23は、1次元、2次元または3次元に分散させたセンサ25で作成することができる。代替的な実施形態では、センサアレイ23は、平坦なまたは任意に湾曲した導電性表面(直線のまたは曲線のグリッドと共形の任意の形状(長方形、正方形、三角形、円形、円弧、錐形、箱型、半球形、球形など))で作成することができる。図1は、長方形パターンに配列されたセンサ25の例示的な2次元アレイを示す。
【0016】
図1に示されるように、アレイ23は、ディスプレイ31ならびに受信器35およびプロセッサ37を含むその他のシステムコンポーネントと統合される。受信器35は、アレイ23内の各センサ素子から信号を受信し、この情報をプロセッサ37に通信する。センサの出力信号はそれぞれ区別することができるので、プロセッサ37は、受信器35がどのセンサ25からどの信号を受信したか分かる。一実施形態では、システム21は、複数のセンサ25から複数の信号を受信するために単一の受信器35を利用する。センサ25から受信器35で受信された信号を(空間的にも電子的にも)適切に配列することによって、プロセッサ37は、イメージングされているオブジェクト29からアレイ23の領域に入射する実際の電磁界のサンプリングされたバージョン、つまりマップを取得する。プロセッサ37は続いて、このマップを処理して、照明されたオブジェクト29のイメージを生成する。プロセッサ37は、各センサ25から受信された信号の配列および任意のより高いレベルの処理の実行を担当し、電子タグ付けおよび同期に関するシステムのタイミングを制御する。
【0017】
別個の位置(すなわち各センサ25の位置)における測定値の特別な処理を使用して、システム21は、ディスプレイ31上に、オブジェクトの空間プロファイルおよび/または誘電体プロファイルのイメージを生成する。例えば、イメージングシステム21は、ホログラフィックイメージのようなオブジェクト29の多次元(すなわち2Dまたは3D)イメージを生成し、表示する。
【0018】
図2は、センサ25のうち1つとして使用するのに好適な例示的なスロット41を示す。スロット41に電子的または光学的に制御可能な負荷をかけることにより、この位置で測定された電磁界を異なる位置で測定された電磁界と区別するために、スロットを通過した信号を変調することができるようになる。この場合、ダイオードのような能動素子43が、スロット41に負荷をかける、したがってスロット41を変調するために、スロット41を横切って電気的に接続される。一例として、各スロット41は、アレイ23を規定するパターンにしたがって、導電性スクリーン45中に切り込まれる。能動素子43(例えば、PIN(Positive Intrinsic Negative)ダイオード、バラクタダイオード、フォトダイオード)は、それぞれ対応するスロット41の縁部マージンにある導電性スクリーン45を、各スロット41の外周部内に配置されたコンダクタ47に電気的に接続する。例示された実施形態では、直流電気または光学バイアスをかけることにより、能動素子43の電子負荷値が変化する。電気負荷制御の場合、それぞれの個別の負荷(またはマトリックススイッチ)にルーティングされた専用のバイアス線49は、例示された実施形態においてバイアス電圧を提供する。DCバイアスは、基本的には、ダイオードをON/OFF切換えして、ダイオードのインピーダンスを制御する。PINダイオードの場合、例えば、ダイオード接合全体にゼロまたは負のDCバイアス電圧を印加することにより、ダイオードをOFFして、それにより、それぞれ対応するスロット41がアレイ23内のその場所における電界を表す信号が出力される。順方向にバイアスがかけられると、PINダイオードはONし、したがって、それぞれ対応するスロット41からの出力を遮断する。このようにしてスロット41に負荷をかけると、本質的には、スロットの静電容量が変化し、それにより、スロットの共振周波数が変化する。一実施形態では、能動素子43は、電界強度が最大の位置にあるスロット41うち対応する1つに電気的に接続される。
【0019】
以下により詳細に記載されるように、スロット41のサイズ、形状および間隔は、イメージングシステム21のある特定の動作特性に依存する。例えば、図2のスロット41の長さは、その幅よりも大きい(長さ=0.1866インチ、幅=0.1400インチ)。この例では、コンダクタ47の半径が0.0311インチであり、コンダクタ47は、スロット41の長さに沿って中央に配置される。コンダクタ47の中心は、スロット41の幅に対して0.0228インチ偏心して配置される。バイアス線49は、導電性スクリーン45のチャネル内に(チャネルの縁部から0.0160インチに)常駐する。
【0020】
図2をさらに参照すると、能動素子43は、対応するスロット41を変調するように機能する。能動素子43がOFFのときには、スロット41は、その位置でアレイ23に入射する電界を示す信号を通過させる。しかし、能動素子43がONのときには、スロット41は、そのような信号を通過させない。プロセッサ37は、能動素子43の動作をトリガして、スロット41を変調し、したがって、その信号に、アレイ23のその他のセンサ25に対するスロット41の位置を識別する情報をタグ付けする。
【0021】
アレイ23を形成するように配列されると、複数のスロット41は、比較的より高い周波数において高い測定感度および空間的分解能を提供する。導電性スクリーン45(例えば、金属プレート)内に切り込まれた変調されたスロット41を含むアレイ23は、マイクロ波周波数およびミリ波周波数でマッピングする電界に、予測できないほどよく適している。反対に、従来のイメージングシステムは、導電性金属が電磁波を反射して戻す傾向があるので、能動素子の周りの導電性金属などの材料を回避する。アレイ23は、続いて、受信器回路、処理回路およびディスプレイ回路(すなわち、それぞれ受信器35、プロセッサ37およびディスプレイ31)を含むその他のシステムコンポーネントと統合される。別個の位置における測定値の特別な処理を使用して、システム21は、オブジェクトの空間プロファイルおよび/または誘電体プロファイル(例えば、ホログラフィックイメージ)の多次元のイメージを生成する。
【0022】
一実施形態では、複数のアレイセンサ25(すなわち変調されたスロット41)は、オブジェクト29からの電磁界の適当なサンプリングを提供するように、互いに緊密に隣接して配置される。さらに、スロット41の設計は、隣接するスロット間に弱い相互結合をもたらす点で有利である。スロット41をアレイ素子(すなわちセンサ25)として使用することにより、その他の場合には2つの対向する対物レンズであるセンサ25間の間隔および相互結合を低減することによって電磁界のサンプリング性能を最適化できるようになる。センサ25はそれぞれ、アレイ23内の特定の素子の位置で、電磁界に比例する信号を通過させる。
【0023】
センサアレイ23の面積全体にわたる電界における比較的小さな変化を検出することによって、イメージングシステム21は、取得されたイメージ内のわずかなオブジェクトの特徴を非常に敏感に観察できるようになる。さらに、イメージングシステム21は、実質的に実時間の動作を提供するために、電界を迅速にサンプリングする。そして、本発明の少なくとも1つの実施形態では、センサアレイ23は、比較的小型で、緊密に間隔をおかれたセンサ25を有するので、イメージングシステム21は再現性および空間的分解能が高いイメージを提供する。
【0024】
スロットアンテナ41によって実施され、アレイ23内に組み込まれたセンサ25は、システム21の特定のアプリケーションに応じて、サブ共振スロットまたは共振スロットのように様々な設計を取ることできる。さらに、利用可能な変調タイプには、連続変調、平行変調およびハイブリッド変調が含まれる。連続変調は、一度に1つのスロットを変調することに関し、平行変調は、(例えば、直交変調符号を使用して)同時に複数のスロットを変調することに関する。いくつかのスロットは平行して変調され、いくつかは連続的に変調されるハイブリッド変調では、様々な変調パターンが可能である。
【0025】
本発明のさらなる諸態様は、スロットの伝送プロパティに影響を与えるために、変調されたスロット41に能動素子43で負荷をかけることに関する。例えば、変調されたスロット41は、共振スロット、サブ共振スロット、広帯域スロット、再構成可能な共振スロット、および再構成可能な形状のスロットとすることができる。共振スロットは、小型設計(例えば、λ/2未満のスロット間隔、ただしλは自由空間波長である)を有し、狭帯域であるが比較的高感度である。換言すると、スロット41は、単一周波数で効率的に開閉する。サブ共振の変調されたスロットは、比較的感度が低い設計では同様に小型であるが、より広範囲の周波数にわたって使用することができる。効率は、広帯域の動作のトレードオフである。広帯域スロットは、複数の周波数範囲にわたって穏当な感度を有するより大きな素子である。一例として、広帯域スロット間のスロット間隔は、約λ/2である。有利にも、より広い帯域の周波数により、ホログラフィーが可能になる。再構成可能な共振スロットは、掃引周波数動作に関する共振周波数を制御するために、(例えば、バラクタダイオード、PINダイオードなどの使用を通じて)負荷条件を変更できる共振スロットである。換言すると、1つまたは複数の追加の能動素子を使用して、スロットに電気的に負荷をかけると、予測可能なよく制御された方法で、スロットの共振周波数が変化する。再構成可能な形状のスロットは、必要とされ得るサイズよりも大きな規定されたサイズを有し、スロットの寸法、したがってスロットの周波数応答を電子的に変化させる(すなわち狭帯域動作対広帯域動作)ために選択的に活性化される複数のPINダイオードで負荷をかけられている。例えば、長さが1cmの再構成可能な形状のスロットは、1mm毎に1つの能動素子を有することができる。(いくつかの素子のうちどれを使用してスロットに負荷をかけるかに応じて)スロットに様々な位置で異なって負荷をかけることによって、スロットの選択された個別のまたは重複する部分を開閉することができる。代替的な実施形態では、再構成可能な形状のスロットは、液晶ポリマー(LCP)のような高度に空間的に選択可能なスクリーン材料で構築され、それにより、狭帯域スロットならびに広帯域スロットを実現することができる。この設計は、電気的制御を介して、LCPの効果的な誘電率を局所的に変化させることに基づく。LCPの誘電率が独立して局所的な変化することにより、散乱界をサンプリングするために使用されるピクセル(すなわちスロット)が生成される。当業者は、印加電圧に応答する電気特性を有するLCP材料に精通している。
【0026】
図1を再び参照すると、プロセッサ37は、受信器35がアレイ23を介して取得した信号を復号化して、オブジェクト29のイメージを生成し、かつ、センサ25を変調するための制御信号を生成する。一実施形態では、コンピュータの形態のプロセッサ37は、データ収集(DAQ)カードを介してアレイ23とインターフェースし、ソフトウェアを実行して、変調信号を含む制御信号を生成する。DAQカードは、変調されたセンサ信号をピックアップ回路(すなわち受信器35)から取得し、続いて、その信号をソフトウェア内で処理して復号化する。復号化された信号のそれぞれを、コンピュータのスクリーン、つまりディスプレイ31上に表示するために、それぞれ対応するスロット位置にしたがって配列する。
【0027】
代替的には、アナログ−デジタル変換器およびディスプレイ31とインターフェースする高速デジタル信号プロセッサ(DSP)は、プロセッサ37を実施する。
【0028】
さらに別の代替的な実施形態では、プロセッサ37は、制御信号を生成するために、個別のコンポーネントまたはフィールドプログラマブルゲートアレイで作成されるデジタルスイッチングネットワークのような特注回路を備える。変調されたセンサ信号はそれぞれ、アナログ処理技法またはデジタル処理技法を使用して、ハードウェア内で復号化される。プロセッサ37は、サンプリングされた測定値を処理し、ディスプレイ用イメージを生成するために、DAQカードなどを介して、復号化された信号を取得する。
【0029】
当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の統合方式の様々な組合せを使用して、制御信号を生成し、得られる変調された信号を復号化できることが理解されよう。システム統合により、持ち運び可能なイメージングシステム21を展開できるようになる。さらに、システムコンポーネント間のインターフェースのうち1つまたは複数が、ワイヤレスインターフェースである(例えば、信号を遠隔的に取得または表示できる)。
【0030】
レティナ領域(すなわちアレイ23の領域)全体の電界マップの未加工のイメージではなく、イメージングシステム21は、イメージングされたオブジェクト29の幾何学形状/形状の2Dプロファイルおよび3Dプロファイルおよび誘電性プロパティを取得するために、当業者に知られる空間的および/または一時的なフォーカシング技法(例えば、合成開口法、逆伝播法、ビーム形成法、ホログラフィック法など)を適用する。
【0031】
次に図3Aおよび図3Bを参照すると、本発明の諸態様は、より高い分解能および/または感度などを取得するために、イメージングシステム21の性能を高める。例えば、散乱された電界の3Dマップを取得するために、アレイ23を同様のセンサアレイで走査し(すなわち機械的に移動させ)、および/または、同様のセンサアレイで構成する。代替的には、波長毎に取得されたサンプルの数を増加させるために、アレイ23を2つの直交する方向に移動させる。換言すると、イメージングシステム21は、アレイ23を平行移動させ、それぞれの位置でオブジェクトのイメージを生成し、より高い空間的分解能およびフィデリティを有するイメージを取得するためにこれらのイメージを処理するための手段を含む。
【0032】
図3Aのアレイ23は、複数のスロット41を有する(例えば、図3Aには、便宜上、6個のスロットが示される)。アレイ23は、任意の数のスロット41を含み得ることを理解されたい。例えば、1つまたは複数の平行移動をしているアレイ23の6個のスロットの位置が図3Aに示される。例示された実施形態では、アレイ23は、最初に下にずれ、横にずれ、次いで上にずれるが、移動前の位置は2点鎖線で示される。水平方向の移動は、右向きでも左向きでもよい。移動アクション、イメージ生成アクションおよび信号処理アクションを迅速に実行することにより、実時間のままのイメージングプロセスが可能になる。一例として、該移動は、センサの間隔の半分である。
【0033】
次に図3Bを参照すると、1つの実施形態における変調されたスロット41は、線形に偏光するようにサイズ設定および成形される。例えば、図2に示された変調されたスロット41は、一般的には、一方向では散乱された電界のコンポーネントを通過させ、その他の方向では散乱された電界のコンポーネントを遮断する縦長形状を有する。本発明の諸態様によると、異なる偏光で散乱された電界を測定すると、イメージングされたオブジェクト29に関して明らかになった幾何学情報または材料情報の量が増加する。偏光が、電界の空間的配向に関連するので、イメージングシステム21は、いくつかの偏光で、アレイ23またはレティナにおける電界を測定するように設計することができる。様々な偏光を測定する能力は、イメージングされたオブジェクト29に関して明らかになった情報の量を増加させる。例えば、センサ25はそれぞれ、電界のコンポーネントを測定するために、線形に偏光された変調されたスロット41を含む。線形に偏光された変調されたスロット41を使用すると、図3Bに示された中心点を中心として、垂直偏光から水平偏光までレティナを90度回転させること(2点鎖線で示される)によって、アレイ23は、直交方向の散乱された電界を測定できるようになる。さらに、回転アクションを迅速に行うことにより、実時間のままのイメージングプロセスが可能になる。イメージングシステム21の実装形態にしたがって回転の量および方向を変更できることを理解されたい。
【0034】
代替的には、レティナ空間に配置された線形に偏光されたセンサ素子の2つのセットにより、(連続してまたは同時に)2つの直交する電界成分の測定が可能になる。この代替的な実施形態では、一方のセット内のセンサ25は、第1の方向に沿って配向されるスロット41を備え、他方のセット内のセンサ25は、第1の方向と直交する第2の方向に沿って配向されるスロット41を備える。さらに別の代替的な実施形態では、センサ25は、(連続してまたは同時に)2つの直交する電界成分を測定するために、偏光全体にわたる電気的制御を用いて二重偏光されたセンサ素子を備える。
【0035】
別の実施形態では、より高い空間的分解能を取得し、および/または、照射領域の寸法を増加させるためにアレイ23を走査する(すなわち、機械的に移動させる)。例えば、センサ25の2つのセットを有するアレイ23(段落番号0030(原文では[0038])参照)または線形のアレイ23を、オブジェクトの近くに平行移動させることができる。
【0036】
上述された一般的な動作は、照明源(例えば、アンテナ)とは関係なく、電磁界照明源に依存し、様々なモードの動作が可能である。オブジェクトから散乱された光エネルギーを受けるのみの人間の眼の網膜とは異なり、センサアレイ23またはレティナは、マイクロ波および/またはミリ波エネルギーを受けるだけでなく、伝送するために使用することができる。イメージングシステム21は、独立した源によって発生され、オブジェクト29によって散乱された電界を表す信号を受信するという意味で受動的とすることができる。この受動モードでは、独立した源は照明フィールドを生成し、それにより、イメージングシステム21は、散乱された電界の空間的なマップを取得することができる。一般的には、この独立した源は、レティナ空間ドメインの外側にあり、アレイ23の一部ではない。同様に、オブジェクト29自体が、イメージングシステム21から独立して電磁放射を射出する。一方、能動的動作モードでは、照明電界源は、イメージングシステム21の一部である。能動モードで動作するときには、1つまたは複数のセンサ25は、アレイ23が散乱された電界をサンプリングする際にオブジェクト29を照明するために、レティナ領域内に備えられた放射源を構成する。該能動モードは、多くのアプリケーションにおいて幅広く使用され、また、様々な位置および分散に対応する様々なパターンを生成できるので、可搬性が促進される。図1の構成は、例示的なものに過ぎず、様々な構成が本発明の範囲内で企図されることを理解されたい。例えば、標的オブジェクト29は、図1に示されるように外部電界源とアレイ29との間に配置することができる。さらに別の代替的な実施形態では、電界は、アレイ23自体から放射し、オブジェクト29に当たり、次いで、再びアレイ23に向かって散乱される。
【0037】
図1を再び参照すると、受信器35は、動作のモード(能動/受動)に応じて、送受信器(受信器/送信器)として機能することができる。受動動作の場合、受信器35は、受信器としてのみ機能する(聞くのみである)。能動モードでは、受信器35は、アンテナなどを介して照明信号を提供する電界源も有する。この場合、受信器35は、送信された信号を開始するだけでなく、アレイ23から信号を受信し、それらの信号を、プロセッサ37によるさらなる処理(例えば、プレコンディショニングおよびダウンコンバージョン)に好適な形態にする。
【0038】
次に図4を参照すると、例示された実施形態において、センサ25は、変調されたスロットアンテナ41を備える。受信器35は、スロット41を介してサンプリングされた電界を受信する。一例として、受信器35は、最終信号を組み合わせる1つまたは複数のピックアップアンテナを有する無線周波数(RF)回路を備える。受信器35をアレイ23から離れて配置できることを理解されたい。
【0039】
図4は、共振変調されたスロット41を有するアレイ23ならびに受信器35(すなわちコレクタ53およびアレイ23から再放射された信号を受信するための同相/直角位相(I/Q)受信器55)を概略的に示す。この実施形態におけるI/Q受信器55は、コレクタ53からの高周波数RF信号を、さらなる処理に好適なローパス(低周波数)信号にダウンコンバート(変換)する。これは、RF信号がDC(ゼロ周波数)に直接的にダウンコンバートされる直接変換である。このため、I/Q受信器55は、例えば、互いから90度位相がずれた局所発振器信号によって駆動された2つの平衡ミキサを備える。代替的な実施形態では、受信器35は、スーパーヘテロダイン受信器などを含み、それによりRF信号は、単一または複数の中間周波数(IF)ステージへとダウンコンバートされ、次いで、検出が望まれる周波数(例えば、DC)にさらにダウンコンバートされる。IFステージで、信号調整(増幅およびフィルタリング)を適用することができる。当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、6ポート接合受信器のようなその他の高周波数受信器技術も使用できることが理解されよう。
【0040】
図4において、イメージングシステム21は、アレイ23の変調されたスロット41が、導体スクリーン45内に切り込まれるマイクロ波システムを実施する。例えば、アレイ23は、λ/2の間隔(ただし、λは自由空間波長)を有する6×5パターンに配置され、24GHz(K帯域)の周波数で動作する30個のスロットを有する。
【0041】
図4のアレイ23は、高速でスイッチングする能動素子43、つまりPINダイオードで負荷がかけられる高Q小型共振スロット41を利用する点で有利である。これにより、スイッチング速度および変調度が改善されるが、これらは迅速変調散乱手法(MST)に基づくイメージングシステムの重要なパラメータである。一例として、PINダイオードは、3ナノ秒で切り換えられ、スロットは、ダイオードが切り換えられると、非常に低い挿入損失(−20dB)から非常に高い挿入損失(−2dB)になる。これにより、比較的早いスイッチング速度(すなわち迅速なフィールド測定)とともに、より大きな変調度が提供される。大きな変調度と、いくつかの変調周期にわたるコヒーレント平均が簡単に可能であるという事実とにより、比較的高い信号対雑音比(SNR)を有するシステム21が提供される。
【0042】
それに加えて、図4のスロット41は効率的であり、非常にわずかな相互結合しか示さない。この実施形態におけるスロット41の最も長い寸法は、λ/3未満であるが、特殊な負荷によって、対象となる周波数で動作するように共振される。λ/2のスロット間隔により、相互結合により悪影響を受ける信号再現性を犠牲にすることなく、散乱された電界の適度なサンプリングが確実にできるようになる。イメージングされるべきオブジェクト29によって散乱された電界は、アレイ23の平面に達し、各スロット41の特定の位置におけるそれぞれ対応する電界は、そのスロット中に結合される。続いて、この信号は、アレイ23の反対側に再放射される。
【0043】
さらに図4を参照すると、PINダイオードを能動素子43として使用して、各スロット41がある特定の変調率で変調される。このようにして、各スロット41に起因する電界を個別に区別し、測定することができる。変調により、オブジェクト29からの電界を、対象となる平面領域全体にわたって、明白に決定することができるようになる。変調された電界を各スロット41から取り出すために、受信器35のコレクタ53は、アレイ23を形成するスクリーン45の後ろ側に配置され、そのアパーチャに共振スロット57を有する長方形の導波路を備える。このコレクタ53は、挿入損失が非常に小さく、かつ、放射パターンが広くて主ローブ内にアレイ23を包含する点で有利である。単一のコレクタを有することにより、複雑なマイクロ波コンバイナを使用せずに、単一のRFフロントエンドを使用できるようになる。比較的大きなレティナ(すなわち平坦なアレイ23)と比較的小さなコレクタ53を図4に示されるように組み合わせた結果、各アレイセンサ25(すなわちスロット41)とコレクタ53の間の結合係数が、大きさでも位相でも非均一になる。これらの係数を修正するために、アレイ23上に均等平面波を適用することによって、電界が測定される。測定された電界は、均一な大きさおよび知られる位相分布を有するので、そのノルムからの任意のバリエーションは、アレイ23の唯一の効果と考えられる。したがって、任意の後続の測定値は、均等平面波の測定値を基準にする。最終的には、I/Qディテクタ55は、各スロット41によって受信された再放射された信号の大きさおよび位相を測定する。
【0044】
図5Aおよび図5Bに示されるように、センサ25が変調されたスロットアンテナを備える一実施形態をさらに参照すると、センサ素子は、導体スクリーン45中に切り込まれた変調されたスロット41を備える。図5Aは、本発明の諸態様を実施するアレイ23の頂部層であり、図5Bはその底部層である。
【0045】
図5Aおよび図5Bの例示的な実施形態では、アレイ23は、0.020インチ(0.5mm)厚のRogers4350基板上に標準的なフォトリソグラフィックプリント回路基板(PCB)製造技法にしたがって製造されたK帯域スロットアレイを備える。図5Aおよび図5Bの実施形態により、伝送する端部の開いたK帯域の長方形の導波路のファーフィールド領域内で受信器として作動する貫通伝送構成が可能になる。この場合、該導波路は、照明電界を提供する。導波路または送信器とアレイ23との間の間隔は、例えば80mmである。伝送する端部の開いたK帯域の長方形の導波路によって照射された入射電界に起因する電界分布が測定され、アレイ23によって引き起こされた歪みを修正するための基準として使用される。
【0046】
図5Aおよび図5Bの例示的な実施形態にしたがって標的オブジェクト29をイメージングすると、図6Aおよび図6Bの例示的なイメージがもたらされる。具体的には、図6Aおよび図6Bは、比較的小さな金属性の球面(例えば、直径4mm)によってアレイ23から5mmの距離で散乱された測定された電界の大きさ(dB)および位相(度)をそれぞれ示す。
【0047】
図6Aおよび図6Bをさらに参照すると、この実施形態におけるプロセッサ37は、界分布を(例えば、20回)サンプリングし、そのデータを空間的に補間して、図5Aおよび図5Bのアレイ23によって提供されたセンサ25によって直接得られるものよりも電界分布のイメージをよりよく表すイメージ(すなわち合計で30ピクセル)を生成する。それらのイメージは、実時間(例えば、15ミリ秒未満で)で測定および処理される。図6Aは、球面の表示を低強度領域(暗い領域)として明確に表している。
【0048】
代替的な実施形態では、受信器35は、図7Aおよび図7Bに示されるように、PCB内に製造されたコンバイナ/デバイダー線のピックアップネットワークとマイクロストリップ/ストリップ線とを備える。図7Aは、イメージングシステム21のこの代替的な実施形態の頂部層を示し、図7Bは、その底部層を示す。マイクロストリップ線/ストリップ線によって供給された比較的広帯域のスロットは、受信器が取り付けられる単一の受信ポイントに信号をルーティングするコンバイナ/デバイダーのピックアップネットワークに制御されたRF接続を提供することによって、変調することができる(例えば、ONまたはOFFを切り換える)。各スロット41とピックアップネットワークとの間のRF接続は、供給線とスロットの位置にルーティングされたピックアップネットワーク分岐との間に取り付けられたPINダイオードによって制御される。この実施形態では、該供給線は、スロット41の後ろ側の基板のもう一方側に配置される。スロット41に入射する電界は、ダイオードをONまたはOFF切換えすることによって、それぞれ、ピックアップネットワークと結合したり、ピックアップネットワークから結合解除されたりする。
【0049】
この実施形態の別の特徴は、低プロファイルで軽量のアレイ23である。さらに、各スロット41からの結合された信号は、最終的に受信ポイントに到達する前に非常に小さな減衰を受け、その結果、SNRが比較的高くなる。フィルタリングおよび減衰のような基板上のRF信号調整を、受信器35の同じピックアップネットワークに組み込むことができる。測定ダイバーシチおよび平均算出を目的として、複数の受信ポイントを同様に使用することができる。
【0050】
この設計の潜在的な可能性を例示するために、アレイ23は、これらのスロットの間隔がλ/2(ただしλは自由空間波長)で、24GHzの周波数で動作する30個のスロット(6×5)を有する。この実施形態のアレイ23は、上述されたものと同じ技法および基板材料を使用して製造される。アレイ23のスロットは、図7Aに示されるように、基板の頂部層にエッチングされる。ウィキンソン型デバイダー、マイクロストリップ線および終端構造で構成される50Ωのピックアップネットワーク61は、図7Bに示されるように、基板の底部層にエッチングされる。受信ポートで、例えばサイドローンチPCB RFコネクタは、受信器接続を提供し、PINダイオードは、オンボードコネクタを使用してDCバイアスされる。図7Bに示されるように、3つのマクロストリップ線分岐63はそれぞれ、30個のスロット41のうち10個から結合された信号を収集する。本実施形態では、スロット41およびそれらの供給線は、各分岐線上に重複して配置され、重複したスロットは、分岐線に対して互いにミラーリングする。
【0051】
図7Aおよび図7Bの例示的な実施形態にしたがって標的オブジェクト29をイメージングすると、図8Aおよび図8Bの例示的なイメージがもたらされる。具体的には、図8Aおよび図8Bは、比較的小さな金属性の球面(例えば、直径9mm)によってアレイ23から20mmの距離で散乱された測定された電界の大きさ(dB)および位相(度)をそれぞれ示す。能動イメージングモードで動作させると、アレイ23は、マイクロ波信号で視野を照明し、同時に散乱された電界を受信およびサンプリングする。図8Aおよび図8Bは、球面の得られた大きさおよび位相のイメージをそれぞれ示す。上述された方式と同じ較正方式および補間方式を使用して、これらのイメージを生成することができる。
【0052】
図9は、変調されたスロット41が、金属性/誘電性導波路部分の広いまたは狭い壁部に切り込まれるさらに別の実施形態を示す。
【0053】
図9をさらに参照すると、この実施形態は、長方形の導波路ピックアップ67が受信器35を実施するマイクロ波システムを備える。ここで、アレイ23は、1つまたは複数のピックアップポイントに組み合わせられた金属性/誘電性導波路部分の広いまたは狭い壁部に切り込まれた変調されたスロット41で構成される。該導波路部分は、導波路湾曲部/コンバイナを介して接続することができる。導波路67(すなわち受信器35)は、信号を収集しガイドするための低損失伝送線を提供する点で有利である。この特徴により、多数のスロット41の後ろ側の領域を追跡する単一のブロック中に1つの導波路を機械加工できるようになる。SNRを増加させるために、導波路67上のスロット41を広帯域スロットまたは共振スロットとすることができる。
【0054】
導波路67に対する各スロット41の位置に応じて、(導波路に沿った)水平方向および/または(導波路と直交する)垂直の偏光を有するアレイを構築することができる。さらに、標準的な導波路の幅寸法はλ/2より大きいので、2つの列のスロットを該導波路内に配置することができる。
【0055】
この技法の潜在的な可能性を例示するために、24GHzのイメージングシステム21は、30個のサブ共振/広帯域スロット41のアレイを有する。図9に示されるように、スロットのサイズは、例えば4mm×1mmである。この実施形態における小さなサブ共振スロット41により、導波路67の性能に影響を与えることなく、アレイ23を高密度に実装できるようになる。各スロット上で、能動素子43、つまりPINダイオードは、それぞれ対応するスロット41の狭い側部に沿って真ん中に配置される。PINダイオードを順方向/逆方向にバイアスすると、スロット41のインピーダンスが変化し、信号を変調するために使用される現象は、そのスロットを介してピックアップした。この変調された信号をピックアップし、それをプロセッサ37中にルーティングするために、受信器35は、機械加工して、例えば2つの湾曲部によって接続された3列のアルミニウム製のブロックにされた長方形の導波路67を備え、2つの導波路開口部は、動作モードに応じて、受信器同士を接続する、あるいは、受信器と送信器とを接続する。導波路67の直線部分はそれぞれ、2列のスロット41を収容するが、2列のスロット41は、それらの間の相互作用を低減するために互い違いになっている。この実施形態におけるアレイ23は、標準的なフォトリソグラフィック技法を使用して、PCB上に構築される。PCBにより、PINダイオードをより簡単に配置できるようになり、また、DCバイアス線49を適宜ルーティングできるようになる。スロットアレイ23を含むPCBは、導波路67の上面に載置される。変調率およびそれに続いて整合フィルタリング(変調の固有の平均算出を利用する)を高めることにより、サブ共振スロットのSNRが増加する。
【0056】
マイクロ波・ミリ波イメージングシステム21は、少なくとも以下の応用例で有用である。
【0057】
A.アンテナパターン測定、比吸収率(SAR)測定およびレーダ断面積(RCS)測定に関する急速電界測定
【0058】
B.一般的なマイクロ波・ミリ波イメージング
【0059】
C.誘電性複合材料および材料特性の非破壊検査
【0060】
D.標的の位置特定および到達角度推定
【0061】
E.衝突防止装置
【0062】
F.EMIおよびEMC
【0063】
G.超広帯域マイクロ波およびミリ波通信リンク
【0064】
H. 監視およびセキュリティシステム
【0065】
I.密輸品の検出
【0066】
本発明の諸態様を実施するイメージングシステム21は、オブジェクト29から電界を検出するための複数の変調されたスロット41を有するセンサアレイ23を備える。スロット41は、オブジェクト29から遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応する位置に配置される。また、スロット41はそれぞれ、スロットの対応する位置で検出された電界を表す出力信号を提供する。イメージングシステム21はさらに、スロット41から出力信号を受信するためのアレイ23に、かつ、受信された出力信号に基づいて、規定された空間ドメイン内のオブジェクト29を表す多次元プロファイルを発生させるように構成されたプロセッサ37に動作可能に接続する受信器35を備える。さらに、イメージングシステム21は、多次元プロファイルのイメージを表示するためのディスプレイ31を含む。
【0067】
別の実施形態では、イメージングシステム21は、複数の位置で導電性表面45に形成された複数の変調されたスロット41を備える。それらの位置は、オブジェクト29から遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応する。超高周波より高い周波数で電磁エネルギーを受信し、その電磁エネルギーに応答するスロット41は、オブジェクト29から電界を検出し、スロット41はそれぞれ、そのスロットの対応する位置で検出された電界を表す出力信号を提供する。イメージングシステム21はさらに、複数の位置で検出された電界を表す出力信号を受信するためのスロット41に、かつ、受信された出力信号に基づいて、規定された空間ドメイン内のオブジェクト29を表す多次元プロファイルを生成するように構成されたプロセッサ37に動作可能に接続された受信器35を備える。
【0068】
さらに別の実施形態は、多次元プロファイルを生成する方法に関する。この方法は、オブジェクト29を、電界により照明されたオブジェクト29によって散乱された超高周波よりも高い周波数を有する電磁エネルギーを含む電界で照明するステップを含む。また、この方法は、複数の位置でセンサアレイ23を介して、散乱された電界をサンプリングするステップを含む。それらの位置は、オブジェクト29から遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応し、アレイ23は、散乱された電界を検出するために、それぞれの位置に変調されたスロット41を含む。スロット41はそれぞれ、そのスロットの対応する位置で検出された電界を表す出力信号を提供する。この方法はさらに、スロット41から出力信号を受信するステップと、受信された出力信号に基づいて、規定された空間ドメイン内のオブジェクト29を表す多次元プロファイルを発生させるステップとを含む。
【0069】
本明細書に例示され記載された本発明の諸実施形態における動作の実行または遂行の順序は、特に指定されない限り、本質的なものではない。つまり、特に指定されない限り、動作を任意の順序で実行することができ、本発明の諸実施形態は、本明細書に開示されるものより多くのまたは少ない動作を含むことができる。例えば、特定の動作を、別の動作の前に、別の動作と同時に、あるいは、別の動作の後に実行また遂行することは、本発明の諸態様の範囲に含まれることが企図される。
【0070】
本発明の諸実施形態は、コンピュータ実行可能な命令を用いて実施することができる。コンピュータ実行可能な命令は、1つまたは複数のコンピュータ実行可能なコンポーネントまたはモジュールに構成することができる。本発明の諸態様は、任意の数および構成のそのようなコンポーネントまたはモジュールを用いて実施することができる。例えば、本発明の諸態様は、図面に示され、本明細書に記載された特定のコンピュータ実行可能な命令あるいは特定のコンポーネントまたはモジュールに限定されるものではない。本発明のその他の実施形態は、本明細書で例示され図示されるものよりも多くのまたは少ない機能を有する様々なコンピュータ実行可能な命令またはコンポーネントを含む。
【0071】
本発明の諸態様またはその諸実施形態の要素を紹介する際に、「a」「an」「the」および「前記」という記載は、1つまたは複数の要素が存在することを意味するものでない。用語「備える」「含む」および「有する」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
【0072】
本発明の諸態様について詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の諸態様の範囲から逸脱することなく、修正およびバリエーションが可能であることは明らかであろう。本発明の諸態様の範囲から逸脱することなく、上記の構成、製品および方法において様々な変更を成し得るが、上述の記載に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示的に解釈されるべきであり、限定的な意味ではないことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトからの電界を測定するために複数の変調されたスロットを有するセンサアレイであって、前記スロットが、前記オブジェクトから遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応する位置に配置され、前記スロットがそれぞれ、前記スロットの対応する位置で検出された前記電界を表す出力信号を提供するセンサアレイと、
前記スロットから前記出力信号を受信するために、前記アレイに動作可能に接続された受信器と、
前記受信された出力信号に基づいて、前記規定された空間ドメイン内の前記オブジェクトを表す多次元プロファイルを生成するように構成されたプロセッサと、
前記多次元プロファイルのイメージを表示するためのディスプレイと、を備えるイメージングシステム。
【請求項2】
前記スロットのそれぞれを変調するために、少なくとも1つの能動素子をさらに備える、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項3】
前記能動素子が、前記対応するスロットに電気的に接続されたダイオードを含む、請求項2に記載されるイメージングシステム。
【請求項4】
前記スロットのそれぞれが、線形に偏光される、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項5】
前記スロットが、サブ共振スロット、共振スロット、広帯域スロット、再構成可能な共振スロットおよび再構成可能な形状のスロットのうち1つまたは複数を含む、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項6】
前記センサアレイが、ミリ波またはマイクロ波の電磁エネルギーに応答する、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項7】
前記センサアレイが、異なる偏光で電界を測定するために調節可能である、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項8】
前記センサが、2つの直交する電界成分を測定するために、偏光全体にわたる電気制御を有する二重偏光されたセンサ素子である、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項9】
前記センサアレイが、前記複数のスロットにおいて、前記オブジェクトからの前記電界をサンプリングし、前記センサアレイが、イメージ毎に取得されたサンプルの数を増加させるために移動可能である、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項10】
前記アレイが、前記オブジェクトに対して移動可能である、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項11】
前記多次元プロファイルが、視野内に前記オブジェクトのイメージを含む、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項12】
前記スロットのそれぞれの前記出力信号が、前記センサアレイ内の前記スロットの対応する位置に対応する一意のアイデンティティを有し、前記プロセッサが、前記出力信号のそれぞれの前記一意のアイデンティティに基づいて、前記測定された電界のマップを生成するように構成される、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項13】
前記受信器が、前記センサアレイの後ろ側に配置され、かつ、前記スロットから出力された1つまたは複数の信号を受信するために、そのアパーチャに共振スロットを有する長方形の導波路を備える、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項14】
前記受信器が、コンバイナ/デバイダーのピックアップネットワークとプリント回路基板上に製造されたマイクロストリップ/ストリップ線とを備える、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項15】
前記受信器が、金属性/誘電性導波路部分の壁部中に切り込まれた前記変調されたスロットを備える、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項16】
前記オブジェクトを照明するための電界源をさらに備え、前記電界が、超高周波よりも高い周波数を有する電磁エネルギーを備え、かつ、その電界によって照明された前記オブジェクトによって散乱される、請求項1に記載されるイメージングシステム。
【請求項17】
複数の位置で導電性表面に形成された複数の変調されたスロットであって、前記位置が、オブジェクトから遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応し、前記スロットが、前記オブジェクトからの電界を検出するために、超高周波よりも高い周波数で電磁エネルギーを受信してそれに応答し、前記スロットがそれぞれ、前記スロットの対応する位置で検出された前記電界を表す出力信号を提供する、複数の変調されたスロットと、
前記複数の位置で検出された前記電界を表す前記出力信号を受信するために、前記スロットに動作可能に接続された受信器と、
前記受信された出力信号に基づいて、前記規定された空間ドメイン内の前記オブジェクトを表す多次元プロファイルを生成するように構成されたプロセッサと、を備えるイメージングシステム。
【請求項18】
前記スロットのそれぞれを変調するために、少なくとも1つの能動素子をさらに含む、請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項19】
前記能動素子が、電界強度が最大である位置で対応するスロットに電気的に接続されたダイオードを含む、請求項18に記載されるイメージングシステム。
【請求項20】
前記スロットのそれぞれが、線形に偏光される、請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項21】
前記スロットが、サブ共振変調スロット、共振変調スロット、広帯域変調スロット、再構成可能な共振変調スロットおよび再構成可能な形状の変調スロットのうち1つまたは複数を含む、請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項22】
前記電界が、マイクロ波またはミリ波の電磁エネルギーを含む、請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項23】
前記受信器が、前記スロットから出力された1つまたは複数の信号を受信するために、そのアパーチャに共振スロットを有する長方形の導波路を含む、請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項24】
前記受信器が、コンバイナ/デバイダーおよびプリント回路基板上に製造されたマイクロストリップ線のピックアップネットワークを備える、請求項19に記載されるイメージングシステム。
【請求項25】
前記導電性表面が、その中に形成された前記スロットを有する導波路を備える、請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項26】
前記プロセッサにより生成された前記多次元プロファイルのイメージを表示するために、前記プロセッサに動作可能に接続されたディスプレイをさらに備える、請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項27】
前記導電性表面に形成された前記複数のスロットがセンサアレイを備え、前記センサアレイが、異なる偏光で前記散乱された電界を測定するために調節可能である請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項28】
前記複数のスロットが、前記オブジェクトからの前記電界をサンプリングし、前記導電性表面が、前記スロットのそれぞれから取得されたサンプルの数を増加させるために移動可能である、請求項17に記載されるイメージングシステム。
【請求項29】
多次元プロファイルを生成する方法において、前記方法が、
オブジェクトを電界で照明するステップであって、前記電界が、超高周波より高い周波数を有する電磁エネルギーを備え、かつ、その電界によって照明された前記オブジェクトによって散乱されるステップと、
複数の位置でセンサアレイを介して、前記散乱された電界をサンプリングするステップであって、前記位置が、前記オブジェクトから遠隔に配置された規定された空間ドメインに対応し、前記アレイが、前記散乱された電界を検出するために、前記位置のそれぞれに変調されたスロットを含み、前記スロットがそれぞれ、前記スロットの対応する位置で検出された前記電界を表す出力信号を提供するステップと、
前記スロットから前記出力信号を受信するステップと、
前記受信された出力信号に基づいて、前記規定された空間ドメイン内の前記オブジェクトを表す多次元プロファイルを生成するステップと、を含む方法。
【請求項30】
前記多次元プロファイルのイメージを表示するステップをさらに備える、請求項29に記載される方法。
【請求項31】
前記スロットのそれぞれを線形に偏光するステップをさらに備える、請求項29に記載される方法。
【請求項32】
異なる偏光で前記散乱された電界を測定するために、前記センサアレイを調節するステップをさらに含む、請求項29に記載される方法。
【請求項33】
前記センサアレイを調節するステップが、前記アレイを中心点を中心にして回転させるステップを含む、請求項32に記載される方法。
【請求項34】
前記電界をサンプリングするステップが、前記スロットのそれぞれから取得されたサンプルの数を増加させるために、前記センサアレイを移動させるステップを含む、請求項29に記載される方法。
【請求項35】
前記センサアレイを移動させるステップが、1つまたは複数の方向に前記センサアレイを平行移動させるステップを含む、請求項34に記載される方法。
【請求項36】
前記電界をサンプリングするステップが、前記散乱された電界を走査するために、前記オブジェクトに対して前記センサアレイを移動させるステップを含む、請求項29に記載される方法。
【請求項37】
電気的に接続された能動素子を介して、前記スロットのそれぞれに負荷をかけるステップをさらに含む、請求項29に記載される方法。
【請求項38】
前記スロットから前記出力信号を受信するステップが、前記センサアレイの後ろ側に長方形の導波路を配置するステップを含み、前記導波路が、前記スロットから出力された1つまたは複数の信号を受信するために、そのアパーチャにスロットを有する、請求項29に記載される方法。
【請求項39】
前記スロットから前記出力信号を受信するステップが、コンバイナ/デバイダーのピックアップネットワークで、前記スロットから出力された1つまたは複数の信号を受信するステップを含む、請求項29に記載される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−523029(P2011−523029A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500859(P2011−500859)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/036272
【国際公開番号】WO2009/148662
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(501305844)ザ・キュレーターズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミズーリ (12)
【氏名又は名称原語表記】THE CURATORS OF THE UNIVERSITY OF MISSOURI
【Fターム(参考)】