説明

マイクロ波撮像システム及びマイクロ波による撮像方法

【課題】
離れた領域内の、禁制品等の対象物を識別するのに十分な解像度で離れたところのマイクロ波撮像を実行することが可能なマイクロ波撮像システム及びマイクロ波による撮像方法を提供。
【解決手段】
複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイが、離れた領域を含む容積部分内のターゲットにマイクロ波照射が向かうようにそれぞれの方向係数がプログラム可能にされ、ターゲットから反射された反射マイクロ波照射を受信するようにそれぞれの方向係数が更にプログラム可能にされている。プロセッサは、反射マイクロ波照射の強度を測定し、容積部分のマイクロ波画像内のボクセルの値を求める。そして、離れた領域内の対象物を識別するのに十分な解像度でマイクロ波画像を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波撮像システム及びマイクロ波による撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、監視システムでは、施設をモニタするために、光学ビデオカメラを用いている。従来から、これらのカメラは、検査及び記録のために、監視下のエリアのアナログビデオ画像をセキュリティモニタリングセンタに送信してきた。多くの施設では、アナログビデオカメラは、デジタルカメラに置き換わりつつある。デジタルカメラは、監視下のエリア内の侵入者、誤動作又は火災の様子等のイベントを検出し、その静止画像を取り込む。デジタルカメラは、アナログビデオカメラを上回るいくつかの利点を有する。例えば、デジタルカメラは、無線によりリンクが可能であり、また電池のよる駆動が可能であるため、費用のかかる固定インフラストラクチャ(例えばビデオケーブル及び電力線)を設ける必要がなくなり、監視システムを安価で且つ容易に構築することができる。
【0003】
しかし、デジタルカメラは、感度が制限され、光を通さない物品や隠された物品を撮像することができない。例えば、政府の建物、学校、空港、又は他の建造物等の施設の入り口において、従来のアナログカメラやデジタルカメラは、隠された武器又は他の禁制品(例えば、爆発物)を識別することができない。したがって、改良された監視システムに対するニーズに応えるべく、既存の光学システムに対する代わりに、種々のマイクロ波撮像システムが提案されている。マイクロ波放射は、一般に、高周波と赤外波との間の波長を有する電磁放射として定義される。マイクロ波放射は非電離放射であることから、中程度の電力レベルでは、既知の健康上のリスクを人間にもたらさない。更に、マイクロ波放射のスペクトル帯域においては、衣服、紙、プラスチック及び皮革等の大部分の誘電材料は、ほぼ透過するものである。したがって、マイクロ波撮像システムは、衣服を透過して、衣服によって隠されている物品を撮像する能力を有する。
【0004】
現在、利用可能なマイクロ波撮像技術がいくつか存在する。例えば、1つの技術においては、マイクロ波検出器(以下、「アンテナ素子」と呼ぶ)のアレイを使用することにより、ターゲットに対するアクティブ型マイクロ波照射に応答して、人又は他の対象物に関連するターゲットによって放出されたパッシブ型マイクロ波放射又はターゲットから反射した反射マイクロ波放射のいずれかを捕捉する。ターゲット位置に対してアンテナ素子のアレイを走査すると共に/又は、送信又は検出されているマイクロ波放射の周波数(又は、波長)を調整することによって、人又は他の対象物の2次元画像又は3次元画像が作成される。
【0005】
通常、マイクロ波撮像システムは、対象物との間でマイクロ波放射を送信や受信、反射させるための、送信アンテナアレイや受信アンテナアレイ、反射型アンテナアレイを有する。こうしたアンテナアレイは、従来のアナログ位相合成アレイ又は2値反射器アレイを使用して構成することができる。いずれの場合にも、アンテナアレイは、通常、本明細書ではターゲットと呼ぶ対象物の画像内の1つ又は複数のボクセルに相当する3D空間内の点又は領域/容積部分に向けて、いくつかの個々のマイクロ波放射を含むマイクロ波放射ビームを送る。これは、それぞれの位相シフト(アンテナ素子がマイクロ波放射のそれぞれの放射の位相を変更すること)を、アレイ内のそれぞれのアンテナ素子にプログラミングすることによって達成される。各アンテナ素子の位相シフトは、それぞれのアンテナ素子からのマイクロ波放射の全てが、実質的に同位相でターゲットに達するように選択される。プログラム可能なアンテナアレイの例は、特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0006】
しかし、所望の解像度を維持するために、アンテナアレイの開口数(サイズ)は、距離に関して線形である。そのため、撮像距離が長くなると、アンテナアレイの開口のサイズ及びコストが、多くの状況で桁外れに高くなる場合がある。更に、遠く離れた距離における撮像は、システムの走査容積(すなわち、走査されるべきボクセル数が、距離と共に線形に増大する)を必然的に増加させ、マイクロ波撮像システムのコスト及び計算の複雑さを更に増加させる。
【特許文献1】米国特許出願第10/997,422号
【特許文献2】米国特許出願第10/997,583号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、離れた領域内の、禁制品等の対象物を識別するのに十分な解像度で離れたところのマイクロ波撮像を実行することが可能なマイクロ波撮像システム及びマイクロ波による撮像方法を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、コスト及び計算の複雑さが軽減され、離れたところのマイクロ波撮像を実行することが可能なマイクロ波撮像システム及びマイクロ波による撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るマイクロ波撮像システムでは、複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイが、離れた領域を含む容積部分内のターゲットにマイクロ波照射が向かうようにそれぞれの方向係数がプログラム可能にされ、ターゲットから反射された反射マイクロ波照射を受信するようにそれぞれの方向係数が更にプログラム可能にされている。プロセッサは、反射マイクロ波照射の強度を測定し、容積部分のマイクロ波画像内のボクセルの値を求める。そして、離れた領域内の対象物を識別するのに十分な解像度でマイクロ波画像を作成する。
【0010】
一の形態では、アレイのサイズを最小にするために、マイクロ波撮像システムは、離れた領域において所望の解像度を生成するのに必要な周波数で動作する。更なる形態では、高周波数で動作するか又は所望の解像度を生成するのに十分なサイズのアレイで動作するが、複数のアンテナ素子が、ターゲットにマイクロ波照射の送信ビームが向かう送信ビームパターンとなるように配列されたアンテナ素子の第1のアレイと、ターゲットからのマイクロ波照射の受信ビームを受信する、送信ビームパターンと相補的な受信ビームパターンとなるように配列されたアンテナ素子の第2のアレイとを有するように、まばらにアンテナアレイを設けて構成される。ターゲットに関連するボクセルは、送信ビームと受信ビームの交差部で形成される。
【0011】
別の形態では、容積部分の大きさ、したがってマイクロ波画像内のボクセル数を最小にするために、マイクロ波撮像システムは、容積部分内の対象物の光学画像を取り込み、光学画像を表す光学画像データを生成するように構成された光学撮像システムに拡張される。対象物に関連する容積部分内の対象領域を識別するためにプロセッサが使用するために、光学画像データから光学画像情報を抽出することができる。更に、プロセッサは、アレイを制御し、対象領域内のターゲットだけを照射して、その対象領域のみに関するマイクロ波画像を生成することができる。更に、別の形態では、離れた領域において、アレイに近い領域の解像度より粗い解像度を使用することによって、画像内のボクセル数も減らすことができる。
【0012】
更に別の形態では、プロセッサは、容積部分内の複数のターゲットを走査し、これら複数のターゲットのそれぞれからの反射マイクロ波照射の強度を測定することによって、容積部分の前記マイクロ波画像を作成する。
【0013】
また別の形態では、プロセッサに動作可能に結合して容積部分のマイクロ波画像を表示し、所定のフレームレートで連続したマイクロ波画像を表示するディスプレイを更に設けている。
【0014】
別の形態では、マイクロ波撮像システムは、解像度を生成するのに必要な周波数で動作する。
【0015】
本発明に係る方法は、マイクロ波により離れて撮像を実行する方法であって、複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイを設け、アンテナ素子のそれぞれに方向係数をプログラムし(1120)、離れた領域を含む容積部分内のターゲットにマイクロ波照射を向かわせ、ターゲットから反射された反射マイクロ波照射を受信する。そして、反射マイクロ波照射の強度を測定し、容積部分のマイクロ波画像内のボクセルの値を求め、離れた領域内の対象物を識別するのに十分な解像度でマイクロ波画像を作成する。
【0016】
一の形態では、複数のアンテナ素子を設けることは、ターゲットにマイクロ波照射の送信ビームが向かう送信ビームパターンとなるように配列されたアンテナ素子の第1のアレイを設け、ターゲットからのマイクロ波照射の受信ビームを受信する、送信ビームパターンと相補的な受信ビームパターンとなるように配列されたアンテナ素子の第2のアレイを設ける。そして、ボクセルは、送信ビームと受信ビームとの交差部において形成される。
【0017】
別の形態では、容積部分内の対象物の光学画像を取り込み、光学画像を表す光学画像データを生成し、光学画像データから光学画像情報を抽出し、光学画像データを使用して対象物に関連する容積部分内の対象領域を識別し、アレイを制御して対象領域内のターゲットのみを照射して、対象領域のマイクロ波画像を生成している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0019】
本明細書では、マイクロ波放射及びマイクロ波照射という用語は、約1GHz〜約1,000GHzの周波数に対応する0.3mm〜30cmの波長を有する電磁放射の帯域を示している。したがって、マイクロ波放射及びマイクロ波照射という用語は、従来のマイクロ波放射及び一般にミリメートル波放射として知られているものも含む。本明細書では、「マイクロ波撮像システム」という用語は、マイクロ波周波数の範囲内で動作する撮像システムを示し、マイクロ波撮像システムによって得られる結果の画像は、本明細書で「マイクロ波画像」と呼ばれる。本明細書では、「離れた」という用語は、撮像装置と対象物との間の距離が約2.743m(9フィート)以上であることを示している。一実施形態では、この「離れた」という用語は、撮像装置と対象物との間の距離が2.743m〜137.2m(9フィート〜450フィート)であることを示している。但し、本発明はこれに限定されない。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る、離れたところをマイクロ波により撮像を実行するマイクロ波撮像システム10を示す概略図である。図1に示すように、マイクロ波撮像システム10は、継続的に監視を行うのに使用されて、建造物内への進入点を制御するか、エリア(例えば、建物の廊下、部屋、又は建物の外)の通行人をモニタするか、移動車両から通行人をモニタするか、又は、個々の疑わしい者を遠隔でスクリーニングすることができる。
【0021】
図1を見てわかるように、マイクロ波撮像システム10は、アンテナ素子80のアレイ50の形態の撮像装置を有し、各アンテナ素子80は、マイクロ波放射を送信、受信、及び/又は、反射して、十分な解像度を有するアレイ50によってアドレス指定可能な容積部分160のマイクロ波画像を取り込むことが可能である(すなわち、所望の解像度の特定の倍率内で解像することができる容積)。図1では、容積部分160は、対象物150(例えば、スーツケース、図1に示す人の対象物又は任意の他の対象物品)を含む。それぞれのアンテナ素子80は、ターゲットにマイクロ波放射ビームが向かうように、それぞれの方向係数(例えば、透過係数又は反射係数)がプログラム可能である。本明細書において用いられる限りにおいて、「ターゲット」という用語は、対象物150のマイクロ波画像内の1つ又は複数のボクセルに相当する、3D空間内の点又はエリア/容積を指す。更に、それぞれアンテナ素子80は、ターゲットから反射した反射マイクロ波照射を受信するように、それぞれの方向係数(例えば、透過係数又は反射係数)を更にプログラム可能である。
【0022】
一実施形態では、アレイ50は、1つ又は複数のマイクロ波アンテナ60への、及び/又は、1つ又は複数のマイクロ波アンテナ60からの、マイクロ波放射を反射する反射型のアンテナ素子80からなるパッシブ型プログラム可能反射器アレイである(後述するように、マイクロ波放射を透過する透過型のアンテナ素子80であってもよい。)。例えば、それぞれの反射型のアンテナ素子80は、それぞれの方向係数がプログラムされてターゲットに向けてマイクロ波アンテナ60の1つから放出されたマイクロ波照射を反射することができる。更に、それぞれの反射型のアンテナ素子80は、方向係数が更にプログラムされてターゲットから反射されるマイクロ波照射をマイクロ波アンテナ60の1つに向けて反射することができる。なお、透過型にアンテナ素子80については「反射」を「透過」に置き換えれば良いだけである。
【0023】
単一のマイクロ波アンテナ60は、マイクロ波放射の供給源と受信の両方の役割を果たすことができるが、別個のマイクロ波アンテナ60を、アレイ50を照射するとともにアレイ50からの反射マイクロ波照射を受信するのに使用するようにしてもよい。図1に示される例は、供給源と受信とを別個のマイクロ波アンテナ60で実現している。
【0024】
別の実施形態では、アレイ50は、アクティブ型アンテナ素子80からなるアクティブ型の送信/受信アレイであり、各アクティブ型のアンテナ素子は、マイクロ波放射を生成し、送信することが可能であるとともに、反射マイクロ波放射を受信し、取り込むことが可能である。この実施形態では、アレイ50がマイクロ波放射源として動作するため、マイクロ波源/受信アンテナ60は使用されない。
【0025】
動作時に、アレイ50は、容積部分160にわたってマイクロ波放射を放出し、照射した容積部分160内の対象物150から反射した反射マイクロ波照射を受信して、その容積部分160のマイクロ波画像を取り込む。特に、マイクロ波撮像システム10は、容積部分160内の複数のターゲットを走査して、それぞれのターゲットからの反射マイクロ波照射の強度を測定することによって、アレイ50によってアドレス指定可能な容積部分160のマイクロ波画像を取り込む。各ターゲットからの測定強度は、容積部分160のマイクロ波画像内のボクセルを表す。一例として、アレイ50は、容積部分内で1秒当たり数百万のターゲットを走査することを可能にする周波数で動作する。
【0026】
容積部分160の監視を常時行うために、マイクロ波撮像システム10は、容積部分160の連続したマイクロ波画像を取り込む。例えば、マイクロ波撮像システム10は、約30フレーム/秒のフレームレートで動作する。但し、マイクロ波撮像システム10は、所望の画像品質に応じて、30フレーム/秒より速いか、又は、遅いフレームレートで動作するようにしてもよい。マイクロ波撮像システム10の走査周波数は、フレームレートの大きさより大きいため、画像フレームの取り込み中における容積部分160内の対象物150の任意の動きは、ソフトウェアで補償することができる。
【0027】
図2は本発明の一実施形態に係るマイクロ波撮像システム10の一例を概略的に示したブロック図である。
図2に示すように、アンテナアレイ50は、反射型のアンテナ素子80を有し、各反射型のアンテナ素子は、それぞれの反射係数をプログラムしてマイクロ波照射を反射することが可能である。したがって、マイクロ波源60aが、マイクロ波照射ビーム65をアンテナアレイ50に向けて送信すると、反射型のアンテナ素子80は、撮像される対象物150上のターゲット155に向けてマイクロ波照射70を反射するようにプログラムされることができる。更に、ターゲット155から反射した反射マイクロ波照射90がアンテナアレイ50で受信されると、反射型のアンテナ素子80は、マイクロ波照射95をマイクロ波受信機60bに向けて反射するようにプログラムされることができる。
【0028】
マイクロ波撮像システム10は、プロセッサ100と、メモリ110と、ディスプレイ120とを更に有する。プロセッサ100は、アレイ50を制御して、ターゲット155から反射された受信マイクロ波放射を処理して、対象物150のマイクロ波画像を作成するために使用される任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、それらの組み合わせを有する。例えば、プロセッサ100は、コンピュータプログラムの命令を実行するように構成される、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブル論理回路、デジタル信号プロセッサ、又は、他のタイプの処理装置と、プロセッサ100によって使用される命令及び他のデータを記憶する1つ又は複数のメモリ(例えば、キャッシュメモリ)を有することが可能である。メモリ110は、ハードドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、コンパクトディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、ZIP(登録商標)ドライブ、テープ駆動機構、データベース、若しくは、他のタイプの記憶装置、又は、記憶媒体を含むが、それらに限定されない、任意のタイプのデータ記憶装置を含む。
【0029】
プロセッサ100は、アンテナアレイ50が、対象物150上の複数のターゲット155を照射するようにプログラムされて動作する。一例として、プロセッサ100は、それぞれの振幅/位相遅延又は振幅/位相シフトをアレイ50の個々のアンテナ素子80のそれぞれの中にプログラムして、対象物150上の各ターゲット155に照射する。更に、プロセッサ100は、それぞれの振幅/位相遅延又は振幅/位相シフトをアレイ50の個々のアンテナ素子80のそれぞれの中にプログラムして、対象物150上の各ターゲット155からの反射マイクロ波照射を受信する。位相シフトを使用する実施形態では、プログラムされる位相シフトは、2値位相シフトか、連続位相シフトのいずれかでよい。
【0030】
更に、プロセッサ100は、対象物150上の各ターゲット155からの、アレイ50によって取り込まれた反射マイクロ波放射の強度を使用して、対象物150のマイクロ波画像を作成することが可能である。例えば、アレイ50が反射器アレイである場合には、マイクロ波受信機60bは、アレイ50の各アンテナ素子80から反射した反射マイクロ波放射を合成して、ターゲット155における反射マイクロ波放射の実効強度値を生成することが可能である。強度値は、プロセッサ100に送られる。プロセッサ100は、対象物150上のターゲット155に相当するピクセル又はボクセルの値として、強度値を使用する。反射マイクロ波放射が、ターゲット155(3D空間内のエリア/容積)の各マイクロ波画像について、ボクセルのエリア/容積の強度を表す他の実施形態では、プロセッサ100は、対象物150の所望の画像のフーリエ変換成分を測定する。プロセッサ100は、測定したフーリエ変換成分を使用して逆フーリエ変換を実行して、対象物150の画像を生成する。
【0031】
結果として得られる対象物150のマイクロ波画像は、プロセッサ100からディスプレイ120に送られて、マイクロ波画像を表示することができる。一例として、ディスプレイ120は、対象物150の3次元マイクロ波画像又は対象物150の1つ若しくは複数の1次元マイクロ波画像若しくは2次元マイクロ波画像を表示するための2次元ディスプレイである。但し、ディスプレイ120が、対象物150の3次元マイクロ波画像を表示することが可能な3次元ディスプレイであってもよい。
【0032】
図3は本発明の一実施形態に係るマイクロ波放射を反射するアレイ50の一例を示す概略的な斜視図である。
図3に示すように、マイクロ波源60aから送信されたマイクロ波放射の供給源ビーム65は、アレイ50の種々のアンテナ素子80によって受信される。マイクロ波源60aは、点状供給源、ホーンアンテナ又は任意の他のタイプのアンテナであれば良いが、それらに限定されず、アレイ50を照射するのに十分な任意の供給源であれば良い。アレイ50内のそれぞれのアンテナ素子80は、それぞれの位相シフトがプログラムされて、ターゲット155に向けて反射マイクロ波放射の送信ビーム70を送る。位相シフトは、ターゲット155における反射マイクロ波放射ビーム70内のマイクロ波放射の全ての間で強め合う干渉が生じるように選択される。理想的には、アンテナ素子80のそれぞれの位相シフトは、供給源(アンテナ素子80)からターゲット155まで、反射マイクロ波放射70の各マイクロ波放射について同じ位相遅延が生じるように調整される。
【0033】
同様に、図3に示すように、ターゲット155から反射され、アレイ50において受信されたマイクロ波放射の反射ビーム90は、マイクロ波受信機60bに向けた反射マイクロ波放射の受信ビーム95として反射することができる。同様に、位相シフトは、マイクロ波受信機60bにおける反射マイクロ波放射ビーム90内のマイクロ波放射の全ての間で強め合う干渉を生じるように選択される。マイクロ波受信機60bは、マイクロ波源60aと異なる空間位置に示されているが、マイクロ波源60aは、別個のアンテナとして又はマイクロ波受信機60bの一部(例えば、共焦撮像システム)として、マイクロ波受信機60bと同じ空間位置に配置することができる。
【0034】
図4は本発明の一実施形態に係るマイクロ波照射を送るための透過型のアレイ50を使用した携帯型のマイクロ波撮像システム10の一例を示す概略的な斜視図である。
図4に示すように、マイクロ波アンテナ(例えば、ホーン)60は、マイクロ波源とマイクロ波受信機の両方として機能する。ホーン60は、アレイ50の背後に位置して、背後からアレイ50を照射する(すなわち、アレイ50は、ターゲット155とホーン60との間にある)。
【0035】
動作時には、ホーン60から送信されたマイクロ波照射65は、アレイ50内のいくつかのアンテナ素子80によって受信される。アレイ50内のそれぞれのアンテナ素子80は、それぞれの透過係数がプログラムされて、対象物150上のターゲット155に向けて透過マイクロ波照射40を送る。透過係数は、ターゲット155におけるそれぞれのアンテナ素子80からの透過マイクロ波照射40が強め合う干渉を生じるように選択される。それぞれのターゲット155から反射された反射マイクロ波照射45は、アレイ50内のいくつかのアンテナ素子80によって受信される。同様に、アレイ50内のそれぞれのアンテナ素子80は、それぞれの透過係数がプログラムされて、ホーン60に向けて透過マイクロ波照射85を送る。
【0036】
ホーン60は、アレイ50の各アンテナ素子80からの透過マイクロ波放射85を合成して、ターゲット155における反射マイクロ波放射45の実効強度値を生成する。強度値は、プロセッサ100に送られ、プロセッサ100は、対象物150上のターゲット155に相当するピクセル又はボクセルの値として、強度値を使用する。プロセッサ100は、対象物150の各ターゲット155からの、アレイ50によって取り込まれた反射マイクロ波放射45の強度を使用して、対象物150のマイクロ波画像を作成する。結果として得られる対象物150のマイクロ波画像は、プロセッサ100からディスプレイ120に送られて、マイクロ波画像が表示される。
【0037】
図5は、アンテナ素子200のインピーダンス状態に応じて位相を変えて電磁放射を反射するように動作する反射型アンテナ素子200(図1〜図4のアンテナ素子80に相当する)の断面図を示す。反射型アンテナ素子200は、アンテナ(パッチアンテナ220a)と非理想スイッチング素子(表面実装電界効果トランジスタ「FET」222)とを有する。
【0038】
反射型アンテナ素子200は、プリント回路基板基材214の表面上及び内側に形成され、表面実装FET222、パッチアンテナ220a、ドレインビアホール232、グランドプレーン236、及びソースビアホール238を有する。表面実装FET222は、平面パッチアンテナ220aと反対側のプリント回路基板基材214に実装され、グランドプレーン236は、平面パッチアンテナ220aと表面実装FET222との間に位置する。ドレインビアホール232は、表面実装FET222のドレイン228を平面パッチアンテナ220aに接続し、ソースビアホール238は、表面実装FET222のソース226をグランドプレーン236に接続する。
【0039】
特に、この実施形態では、反射器アンテナアレイは、ドライバ電子部品を含むコントローラ基板240に接続される。図5に示す例のコントローラ基板240は、グランドプレーン244、ドライブ信号ビアホール246、及びドライバ電子部品242を有する。コントローラ基板240はまた、反射器アンテナアレイのコネクタ250と互換性があるコネクタ248を含む。2つの基板のコネクタ248及び250は、例えば、ウェーブソルダリングを使用して互いに接続することができる。他の例として、FET222は、平面パッチアンテナ220aと同じ側のプリント回路基板基材214に表面実装することもできる。更に、ドライバ電子部品242は、反射型アンテナ素子200が組み込まれている同じプリント回路基板に直接はんだ付けすることもできる。
【0040】
パッチアンテナ素子220aは、反射型アンテナ素子200のインピーダンスレベルに応じて、大きいか、又は、小さい位相シフトで反射するように機能する。反射型アンテナ素子200は、アンテナ設計パラメータの関数であるインピーダンス特性を有する。アンテナの設計パラメータは、誘電材料の構造、誘電材料の厚さ、アンテナの形状、アンテナの長さ及び幅、給電点、並びにアンテナ金属層の厚さ等の物理的特性を含むが、それらに限定されない。
【0041】
FET222(非理想スイッチング素子)は、その抵抗状態を変化させることによって、反射型アンテナ素子200のインピーダンス状態を変化させる。低抵抗状態(例えば、閉回路又は「短絡」回路)は、低インピーダンスになる。逆に、高抵抗状態(例えば、開回路)は、高インピーダンスになる。性能特性が理想なスイッチング素子(本明細書では、「理想」スイッチング素子と呼ばれる。)は、その抵抗がその最低状態の場合には、事実上、ゼロインピーダンス(Z=0)をもたらし、その抵抗がその最高状態の場合には、事実上、無限インピーダンス(Z=∞)をもたらす。本明細書で説明するように、スイッチング素子は、そのインピーダンスがその最低状態(例えば、Zon=0)の場合には「オン」になり、そのインピーダンスがその最高状態(例えば、Zoff=∞)の場合には「オフ」になる。理想スイッチング素子のオン及びオフのインピーダンス状態は、事実上、Zon=0及びZoff=∞であるため、理想スイッチング素子は、オン状態とオフ状態との間で、電磁放射を吸収することなく、最大位相シフトを生じさせることが可能である。すなわち、理想スイッチング素子は、0度の位相状態と180度の位相状態との間でスイッチングを生じさせることが可能である。理想スイッチング素子の場合、最大位相−振幅性能は、任意の有限非ゼロインピーダンスを示すアンテナによって実現可能である。
【0042】
理想スイッチング素子とは対照的に、「非理想」スイッチング素子は、それぞれ、Zon=0及びZoff=∞のオン及びオフのインピーダンス状態を示さないスイッチング素子である。より正確に言うと、非理想スイッチング素子のオン及びオフのインピーダンス状態は、通常、例えば0<|Zon|<|Zoff|=∞のどこかにある。しかし、アプリケーションによっては、オン及びオフのインピーダンス状態は|Zoff|≦|Zon|であってもよい。非理想スイッチング素子は、特定の周波数範囲内では(例えば、<10GHz)、理想なインピーダンス特性を示し、他の周波数範囲では(例えば、>20GHz)、かなり非理想なインピーダンス特性を示す可能性がある。
【0043】
非理想スイッチング素子のオン及びオフのインピーダンス状態は、Zon=0とZoff=∞との間のどこかにあるため、非理想スイッチング素子は、必ずしも、対応するアンテナのインピーダンスとは無関係に、最大位相状態性能を提供しない。ここで、最大位相状態性能は、0度の位相状態と180度の位相状態との間のスイッチングを必要とする。本発明の一実施形態によれば、図5の反射型アンテナ素子200は、最適位相性能を提供するように設計され、反射型アンテナ素子の最適位相状態性能は、反射素子が、0度の位相−振幅状態と180度の位相−振幅状態との間のスイッチングに最も近い状態にあるポイントである。この実施形態では、最適位相状態性能を達成するために、アンテナ素子200は、非理想スイッチング素子(FET222)のインピーダンスの関数として構成される。例えば、アンテナ素子200は、アンテナ素子200のインピーダンスが、FET222のインピーダンス特性の関数であるように設計される。
【0044】
更に、アンテナ素子200は、オン状態にある非理想スイッチング素子(FET222)のインピーダンスZon、及び、オフ状態にある非理想スイッチング素子222のインピーダンスZoffの関数として構成されている。或る特定の実施形態において、反射型アンテナ素子200の位相状態性能が最適化されるのは、アンテナ素子200のインピーダンスがオン及びオフのインピーダンス状態Zon及びZoffにある場合に非理想スイッチング素子222のインピーダンスの平方根に対して共役化させられるように、アンテナ素子200の構成がなされている場合である。具体的には、アンテナ素子200のインピーダンスは、対応する非理想スイッチング素子222のオン及びオフのインピーダンス状態Zon及びZoffの幾何平均の複素共役である。この関係は、下記のように表わされる。
【0045】
antenna=(Zonoff1/2 式(1)
ここで、()は複素共役を表す。上記関係式は、供給源インピーダンスと負荷インピーダンスとの間の複素反射係数に関する既知の公式を用いて導き出される。アンテナ素子200である供給源及び非理想スイッチング素子222である負荷を選択して、オン状態反射係数が、オフ状態反射係数の逆に等しくなるように設定することによって、式(1)が得られることになる。
【0046】
最適な位相−振幅性能を示すアンテナ素子200の設計は、反射型アンテナ素子200に用いられる特定の非理想スイッチング素子のオン及びオフのインピーダンスZon及びZoffを求めることを含む(この場合、FET222)。次に、アンテナ素子200の設計パラメータが操作されて、上記式(1)において表わされた関係に整合するインピーダンスを有するアンテナ素子200が得られる。Zon及びZoffが別個の値になるように求められる限りにおいて、式(1)を満たすアンテナ素子200を設計することが可能である。
【0047】
対象とする周波数帯域にわたって非理想的なインピーダンス特性を示す、図5に示す表面実装FET222以外の別のタイプのスイッチング素子は表面実装ダイオードである。しかし、表面実装ダイオードは、表面実装FETに比較して、対象とする周波数帯域にわたって改善されたインピーダンス特性を示し、表面実装FETは、比較的安価であり、反射器アンテナアレイアプリケーションにおける使用のために、個々にパッケージングすることができる。
【0048】
非理想スイッチング素子としてFETを利用する反射器アンテナアレイの場合、実現可能なビーム走査速度は、信号対雑音比、クロストーク、及びスイッチング時間を含むいくつかのファクターによって決まる。FETの場合、スイッチング時間は、ゲート容量、ドレイン−ソース間容量、及びチャネル抵抗(すなわち、ドレイン−ソース間抵抗)によって決まる。チャネル抵抗は、実際には、空間依存性且つ時間依存性である。インピーダンス状態間のスイッチング時間を最短にするため、FETのドレインは、常にDC短絡状態にあることが好ましい。ドレインを電気的に浮いた状態にすると、大きいオフ状態チャネル抵抗、及び、パッチアンテナの巨大な平行板面積に起因する大きいドレイン−ソース間容量をもたらすので、ドレインは、常にDC短絡状態にあることが好ましい。これは、アンテナがDC短絡状態にあることが好ましいことを表わしているが、望まれるのは、アンテナがソースにおいて「rf短絡」状態になることだけである。したがって、アンテナの摂動を最小限に抑えるのに最適な位置において、追加のアンテナ/ドレインの短絡を施さなければならない。
【0049】
反射型アンテナ素子200において、パッチアンテナ220aの代わりに他のタイプのアンテナを使用することができる。限定としてではなく、例として、他のアンテナタイプは、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナ、及び誘電体共振器タイプのアンテナを含む。さらに、他の実施形態では、反射型アンテナ素子200は、FET222を可変コンデンサ(例えば、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)コンデンサ)と置き換えることによって、連続位相シフトアンテナ素子200とすることができる。可変コンデサ搭載パッチによって、FET搭載パッチによって生成される2値位相シフトの代わりに、各アンテナ素子200について連続位相シフトを達成することができる。連続位相合成アレイは、マイクロ波ビームを或るビーム走査パターンで任意の方向に方向制御するために、任意の所望の位相シフトを提供するように調整されることができる。
【0050】
図6にアクティブタイプの送信/受信又は反射アレイで使用するためのアクティブタイプのアンテナ素子300(図1〜図4のアンテナ素子80に対応する)の例を示す。アクティブタイプのアンテナ素子300は、それぞれのスイッチ315に接続されるアンテナ310を含む広帯域2値位相合成アンテナ素子である。スイッチ315は、例えば、単極双投(SPDT)スイッチ又は2極双投(DPDT)スイッチとすることができる。スイッチ315の動作状態は、それぞれのアンテナ素子300の位相を制御する。例えば、スイッチ315の第1の動作状態では、アンテナ素子300は第1の2値状態(例えば、0度)にあってもよく、一方、スイッチ315の第2の動作状態では、アンテナ素子300は第2の2値状態(例えば、180度)にあってもよい。スイッチ315の動作状態は、スイッチ315の端子接続を規定する。例えば、第1の動作状態では、端子318は、給電線316をアンテナ310とスイッチ315との間で接続する閉(短絡回路)位置にあってもよく、一方端子319は開位置にあってもよい。各スイッチ315の動作状態は、各アンテナ素子300の位相を個々に設定するために、制御回路(図示せず)によって独立に制御される。
【0051】
本明細書において用いられる限りにおいて、対称アンテナ310という用語は、2つの給電点311又は313のいずれかにおいてタップで接続されるか、又は給電されて2つの逆の対称電界分布又は電流の一方を生じさせることが可能なアンテナを指す。図6に示すように、2つの逆対称電界分布は、そのミラー軸350に関して形状が対称を成す対称アンテナ310を利用して生成される。ミラー軸350は、アンテナ310を通って、2つの対称側352及び354を形成する。給電点311及び313は、アンテナ310のミラー軸350の両側352及び354に配置される。この実施形態では、給電点311及び313は、ミラー軸350に関してほぼ対称を成すようにアンテナ310上に配置される。例えば、ミラー軸350は、アンテナ310の1つの次元360(例えば、長さ、幅、高さ等)に対し平行に延びることが可能であり、給電点311及び313は、次元360の中点370近くに配置することが可能である。図6の場合、給電点311及び313は、図示のように、ミラー軸350の各側352及び354において、アンテナ310の中点370近くに配置されている。
【0052】
対称アンテナ310は、A及びBで表示される2つの逆対称電界分布を生じさせることが可能である。電界分布Aの大きさ(例えば、電力)は、電界分布Bの大きさとほぼ同じであるが、電界分布Aの位相は、電界分布Bの位相と180度異なっている。したがって、電界分布Aは、電気的周期が±180°の電界分布Bに類似している。
【0053】
対称アンテナ310は、給電線316及び317を介して対称スイッチ315に接続されている。給電点311は、給電線316を介して対称スイッチ315の端子318に接続され、給電点313は、給電線317を介して対称スイッチ315の端子319に接続されている。本明細書で用いられる限りにおいて、対称スイッチという用語は、スイッチの2つの動作状態が端子318及び319に関して対称を成すSPDTスイッチ又はDPDTスイッチを表す。
【0054】
例えば、SPDTスイッチの第1の動作状態において、或るチャネル(チャネルαと呼ばれる)のインピーダンスが10Ωで、別のチャネル(チャネルβと呼ばれる)のインピーダンスが1kΩであれば、SPDTスイッチの第2の動作状態において、チャネルαのインピーダンスは1kΩで、チャネルβのインピーダンスは10Ωになる。チャネルインピーダンスは、完全な開路又は短絡である必要はなく、或いは、実在する必要さえないことが理解されるべきである。さらに、クロストークが状態対称性である限りにおいて、チャネル間にはクロストークが生じる可能性がある。一般に、スイッチのSパラメータマトリックスがスイッチの2つの動作状態に関して同じであれば(例えば、端子318と319との間において)、スイッチは対称性である。
【0055】
ここで、図7(A)及び(B)を参照すると、マイクロ波画像の所望の解像度を維持するために、アレイ50の開口数は、距離に関して線形であるべきである。しかし、撮像距離が長くなると、アンテナアレイの開口のサイズ及びコストが、桁外れに高くなる。例えば、1メートル×1メートルのアレイが、1メートル離れたターゲットを撮像するのに使用されると仮定すると、150メートル離れたターゲットについて同じ解像度を維持するために、150メートル×150メートルのアレイが必要とされ、それは、多くの状況で実用的でない。マイクロ波撮像においてより高い周波数を使用することによって、与えられた距離に対してアレイ50の開口のサイズが小さくなる。そのため、マイクロ波撮像システムの周波数を増加することによって、アレイ50のサイズを増加することなく、より遠い距離における解像度が改善される。しかし、アレイ50において必要とされるアンテナ素子80の数は、波長に関して二乗となる。その結果、マイクロ波撮像システム50の周波数を増加することは、アンテナ素子80の数を増加させ、したがって、アレイ50のコストを増加させる。
【0056】
より高い周波数の大きなアレイ又は小さなアレイを使用して、離れたマイクロ波撮像を実施することが可能なアレイ50を製造するコストを下げるために、図7(A)に示すように、アレイ50内に、それぞれ、相補的な送信アンテナアレイ510及び受信アンテナアレイ520を設けることによって、アレイ50のアンテナ素子80の数を減らすことができる。送信アレイ510及び受信アレイ520のアンテナ素子80は、それぞれのパターンで配列される。送信アレイ510のアンテナ素子80のパターンは、受信アレイ520のアンテナ素子80のパターンに対して相補的である。具体的には、送信アレイ510のアンテナ素子80のパターンは、受信アレイ520のアンテナ素子80のパターンに直交する。相補的な送信アンテナアレイ510及び受信アンテナアレイ520は、それぞれ、図7(B)に示すように、それぞれ、相補的な送信マイクロ波ビームパターン530及び受信マイクロ波ビームパターン540を生成する。ターゲットのマイクロ波画像は、それぞれ、相補的な送信マイクロ波ビームパターン530及び受信マイクロ波ビームパターン540の交差部550で形成される。より具体的には、生成される画像は、それぞれ、送信マイクロ波ビーム530及び受信マイクロ波ビーム540の容積積分した交差積である。こうした送信/受信「十字線」は、小径特徴部の解像を可能にする。そのため、送信ビーム530の不足を、受信ビーム540で補償することができ、また、その逆も可能である。
【0057】
ここで、図7(A)の詳細を考えると、送信アレイ510は2行のアンテナ素子を含み、一方、受信アレイ520は2列のアンテナ素子を有する。しかし、一般に、図7(A)に示す設計は、M≫mである長方形m*M送信アレイ510パターン及びN≫nである長方形Nn受信アレイ520パターンとして表すことができる。例えば、個数が、nmアンテナ素子からなると規定される場合、NMアンテナ素子の密な四角形アレイは、(N/m)(M/n)個からなる。図7(A)に従って設計したアレイでは、それぞれ、送信アレイ510及び受信アレイ520の間で共有される交差個数を有する、N+M−1の個数だけが存在する。図7(B)に示すように、送信アレイ510は、垂直楕円ビームパターンで送信ビーム530を生成し、一方、受信アレイ520は、水平楕円ビームパターンで受信ビーム540を生成する。本明細書において用いられる限りにおいて、「水平(垂直)楕円パターン」は、ビームの焦点スポットが楕円であり、楕円の長軸が水平(垂直)であることを意味する。ターゲットのマイクロ波画像は、それぞれ、相補的な送信マイクロ波ビームパターン530及び受信マイクロ波ビームパターン540の交差部550で形成される。
【0058】
図7(A)に示す相補的な送信アンテナアレイ510及び受信アンテナアレイ520は、それぞれ、図3に示す元の密なアレイと比較して、アレイ50の総アンテナ素子が大幅に減少するように、著しく減少した数のアンテナ素子からなる。この素子数の減少は、直接、コストの低減になる。アレイのコストが密なアレイの面積(A)に比例する密なアレイ(図3に示すアレイ等)と対照的に、図7(A)に示す相補的で素子数が減少したアレイ510及び520のコストは、Aの平方根のみに比例し、大幅なコスト節約を達成する。更に、高い解像度を有するアドレス指定可能な容積部分(以降で、アドレス指定可能視野(AFOV)と呼ぶ)は、図3の密なアレイと、図7(A)に示す相補的な、素子数が減少したアレイ510及び520との間で変わらない。その理由は、相補的アレイの全体の大きさ及び最小ピッチが、元の密なアレイと同じであるためである。
【0059】
送信アレイ510及び受信アレイ520が、それぞれ、図7(A)に示すように、反射器アレイである場合、アレイ510及び520は、アレイ510及び520に対してマイクロ波ビームを送信し、また、アレイ510及び520からマイクロ波ビームを受信するように設計されたマイクロ波源及びマイクロ波受信機によって無線で給電される)。図7(A)では、それぞれ、楕円マイクロ波照射ビーム(又は扇ビーム)65及び95で、反射器アレイ510及び520に給電する注文製のホーン60a及び60bが示されている。各注文製のホーン60a及び60bは、正確な位相面を実現するために、高アスペクト比放射開口及びその放射開口における差し込まれたレンズを有する。マイクロ波源60aは狭いが長い開口を有するホーンであり、一方、マイクロ波受信機60bは広いが短い開口を有するホーンである。図7(A)に示す特定のホーン給電装置の代わりに、他のタイプの注文製のホーン給電装置が可能である。例えば、本発明の実施形態と共に、漏洩導波路、円柱レンズ、円柱ミラー或いは他のタイプの注文製のホーンが使用されてもよい。注文製のホーンのタイプによらず、注文製のホーン給電装置放射器のアンテナパターンは、主ローブの2つの主平面のビーム幅の間に高いアスペクト比を持てばよい(すなわち、給電装置は、送信アレイ510又は受信アレイ520を照射するのにほぼ最適な扇状ビームの楕円を生成する)。更に、マイクロ波源60a及びマイクロ波受信機60bは、ホーン60a及び60bの相補的なアスペクト比のために、別個の、並べて配置されない放射器であればよい。
【0060】
但し、他の例として、マイクロ波源60a及びマイクロ波受信機60bは、並べて配置された放射器であっても勿論かまわない。更に、他の例として、送信及び受信アレイ510及び520は、それぞれ、透過型のアレイであってもよく、透過型のアレイでは、ホーン60a及び60bが、図4に示すように、アレイ50の背後に位置して、送信アレイ510及び受信アレイ520を、それぞれ、背後から照射すればよい(すなわち、アレイ510及び520は、ターゲットと、ホーン60a及び60bとの間にある)。更に、他の例として、アレイ510又は520の一方が、前面を照射される反射器アレイであり、他方のアレイ510又は520が背後から照射される透過型のアレイである、ハイブリッドな構成とすることも可能である。
【0061】
ここで、図8を参照すると、離れた距離における撮像は、アレイのサイズ及び/又はコストを増加させる可能性があるだけでなく、システムの走査容積を必ず増加させることがわかる(走査すべきボクセル数が、距離と共に直線的に増加する)。したがって、疎な(相補的な送信/受信)アンテナアレイを使用するのに加えて、又は、その代わりにマイクロ波撮像システムは、光学撮像システムによってマイクロ波撮像システムを補強する「二峰性(bi-modal)」撮像システム800内に含まれることができる。本明細書において用いられる限りにおいて、「光学撮像システム」という用語は、可視光又は近赤外周波数範囲で動作する撮像システムを示し、光学撮像システムによって得られる結果の画像は、その画像を、マイクロ波撮像システムによって得られるマイクロ波画像と区別するために、「光学画像」と呼ぶ。
【0062】
光学撮像システムは、対象物150からの反射光を受信して、対象物150の光学画像を取り込むカメラ810を有する。反射光は、レンズ(図示せず)によって、カメラ810内のセンサ(図示せず)に向けて送られる。一例として、センサは、対象物150の光学画像を取り込み、光学画像を表す光学画像データを生成する複数のピクセルを有する。また、光学撮像システムは、対象物150を光で照射する光源(図示せず)を有する。光源は、可視光又は近赤外光の任意の適した供給源とすることができる。例えば、光源は、1つ又は複数の点光源、1つ又は複数のコリメートした、又は、整構造の光源、1つ又は複数の光源アレイ、或いは、光学撮像システムにおいて使用するのに適した光源の任意の他の組み合わせ等の、1つ又は複数の発光素子を有するものとすることができる。
【0063】
光学画像データは、対象物150のマイクロ波画像を取り込むときにマイクロ波撮像システムによって使用される。例えば、一例としては、光学画像データは、マイクロ波撮像システムによってアドレス指定可能な容積部分160内の対象となる空間領域165(すなわち、データ点)を識別するのに使用される。対象となる空間領域に対応する識別されたデータ点を使用して、対象となる空間領域165に向けてマイクロ波放射を送ることができる。
【0064】
図9は本発明の一実施形態に係るマイクロ波撮像システムが光学撮像システムによって補強される画像処理システム400のブロック図である。
図9に示すように、画像処理システム400は、光学画像プロセッサ180及びマイクロ波画像プロセッサ100を有する。光学画像プロセッサ180は、画像プロセッサ420及び抽出プロセッサ430を有する。一例としては、画像プロセッサ420及び抽出プロセッサ430は、以下で述べる機能を実行するように構成されたASIC回路又はFPGA回路である。別の例としては、画像プロセッサ420及び抽出プロセッサ430は、以下で述べる機能を実現するアルゴリズムを実行する汎用プロセッサ内で結合される。
【0065】
光学画像プロセッサ180は、カメラ810(図8では示さず)内のセンサ150から、光学画像を表す画像データ170を受信する。複数のカメラが存在する場合、各カメラは、光学画像プロセッサ180に別個の光学画像を供給すればよい。更に、使用される光源に応じて、光学画像プロセッサ180は、光源の照射パターンに関する情報を得る必要が更にある場合がある。
【0066】
画像データ170は、A/D変換器410によってアナログからデジタルへ変換され、デジタル画像データ170を処理する画像プロセッサ420に送られる。例えば、センサ150が、カラーフィルタアレイを組み込むカラーセンサである場合、画像プロセッサ420は、画像をデモザイク処理することができる。デモザイク処理は、各ピクセルロケーションについての抜けているカラー値を、近傍ピクセルから補間するプロセスである。多くのデモザイク処理が今日の当該技術分野で既知である。限定としてではなく、例として、種々のデモザイク処理方法は、ピクセル複製、双一次補間、及びメディアン補間を含む。画像プロセッサ420が実行することができる他のタイプの処理は、ノイズフィルタリング及び画像強調を含む。
【0067】
抽出プロセッサ430は、画像プロセッサ420から処理された画像データを受け取るように接続され、処理された画像データから光学画像情報175を抽出するように動作する。画像データ170から光学画像情報175を抽出するのに使用することができる、多くの高速且つ簡単な、既知のアルゴリズムが存在する。例えば、一例としては、抽出プロセッサ430は、3次元画像用の画像作成アルゴリズムを使用して、対象物の3D表面を抽出する。3次元画像の画像作成プロセスの例は、米国特許出願第10/392,758号に記載されており、照射勾配を使用して、対象物からの反射照射の強度特性及び/又はスペクトル特性を空間的に変えて、対象物の表面上の空間ロケーションにおける表面勾配が求められる。表面勾配は、次に、対象物の3次元画像を作成するのに使用される。他の3次元画像作成プロセスは、レーザ三角測量法、立体撮像、構造光及びフォトメトリックステレオ(photometric stereo)を含む。例えば、種々の3次元画像作成プロセスは、Horn他著[Toward Optimal Structured Light Patterns](IEEE Proceedings International Conference on Recent Advances in 3−D Digital Imaging and Modeling, Ottawa, Ontario, Canada, May 12−15, 1997, pp.28−35)及びBeraldin他著[Optimized Position Sensors for Flying−Spot Active Triangulation System](IEEE Proceedings International Conference on Recent Advances in 3−D Digital Imaging and Modeling, Banff, Albertta, Canada, October 6−10, 2003, pp.29−36)に記載されている。
【0068】
別の例としては、抽出プロセッサ430は、対象である対象物の特徴部を抽出する。本明細書において使用される限りにおいて、「対象物の特徴部」は、対象物の測定値、対象物の表面又は対象物内の構成要素、或いは、対象物の他の印を含むものであればよい。さらなる例としては、抽出プロセッサ430は、所望の画像データ170からの任意の他の情報を抽出する。
【0069】
光学画像情報175は、抽出プロセッサ430によって、マイクロ波画像を作成する時に使用するためのマイクロ波プロセッサ100に出力される。また、光学画像情報175は、抽出プロセッサ430からディスプレイ120に送信される。マイクロ波プロセッサ100は、送受信ロジック440、A/D変換器450及び画像作成プロセッサ460を有する。一例としては、送受信ロジック440及び画像作成プロセッサ460は、以下で述べる機能を実行するように構成されたASIC回路又はFPGA回路である。別の実施形態では、送受信ロジック440及び画像作成プロセッサ460は、は、以下で述べる機能を実現するアルゴリズムを実行する汎用プロセッサ内で結合される。
【0070】
つまり、送受信ロジック440は、受信マイクロ波ノード(例えば、マイクロ波受信機60b)から、対象物に関連するターゲットから反射したマイクロ波照射強度を表すマイクロ波測定値480を受け取る。マイクロ波測定値480は、A/D変換器450によってアナログからデジタルへ変換され、対象物のマイクロ波画像を作成するために、画像作成プロセッサ460に送られる。画像作成プロセッサ460は、対象物のマイクロ波画像を表すマイクロ波画像データ490を生成し、マイクロ波画像データ490をディスプレイ120に送信する。
【0071】
この実施形態によれば、抽出プロセッサ430によって出力された光学画像情報175は、送受信ロジック440及び画像作成プロセッサ460の一方又は両方で受け取られる。一例としては、光学画像情報175は、対象物に関連する対象となる空間領域に対応するデータ点を識別する。一例としては、送受信ロジック440は、光学画像情報175を使用して、対象となる空間領域(又は領域)に向けてマイクロ波放射を送るための送信命令470を送信マイクロ波ノード(例えば、マイクロ波源60a)に供給する。別の例としては、画像作成プロセッサ460は、光学画像情報175を使用して、識別されたデータ点に対応する測定値480を使用して、マイクロ波画像を作成する。
【0072】
光学画像情報175によって、識別されている対象物が占める実際の容積部分が確認されて、容積内のどんなデータ点を実際に求める必要があるかが決定される。そのため、空間の離散的なサンプリング時に、関連するデータ点のみがアドレス指定される必要がある。解析すべき最大許容可能容積及び遭遇する可能性のある最小値に応じて、計算負荷を、大幅に減らすことができる。
【0073】
ここで、図10を参照すると、マイクロ波画像内のボクセル数を減らすための別のオプションは、可変サイズボクセルを使用することである。図10は、可変サイズボクセルを使用したマイクロ波撮像システムの動作の一例を示している。図10では、アンテナアレイ50は、警察車両又は軍事車両等の車両600に搭載される。アレイ50が反射器アレイである例では、1つ又は複数のマイクロ波アンテナ60も車両に搭載され、アレイ50を照射するように配置される。アレイ50は、容積部分160内の対象物150のマイクロ波画像を取り込むために、容積部分160にわたってマイクロ波放射を放出する。マイクロ波画像は、車両の内部に位置する1つ又は複数のディスプレイ120上に表示することができる。
【0074】
但し、図10からわかるように、アレイ50からの距離が増加すると、ボクセルサイズも増加する。したがって、マイクロ波画像の解像度は、アレイ50に近い領域(例えば、領域610)に比べて、離れた領域(例えば、領域620)において粗い。セキュリティアプリケーションでは、固定の爆発物又は他の武器によって生じる損害量は、距離に依存する。結果として、遠距離における粗い解像度と近距離における高い解像度は、セキュリティ脅威を識別するのに十分である可能性がある。
【0075】
図11は本発明の一実施形態に係るセキュリティアプリケーションにおける離れたマイクロ波撮像のためのプロセス1100の一例を示すフローチャートである。
最初に、ブロック1105及び1110にて、プログラム可能なアンテナ素子のアレイが、離れた領域を含むアドレス指定可能容積部分を撮像するために設けられる。ブロック1115にて、離れた領域内の、禁制品等の対象物を識別するのに必要とされる解像度が求められる。その後、ブロック1120及びブロック1125にて、アレイ内の個々のアンテナ素子は、容積部分内のターゲットに向けてマイクロ波照射を送るように、それぞれの方向係数がプログラムされる。ターゲットから反射されたマイクロ波照射は、アレイ内の個々のアンテナ素子に、それぞれの付加的な方向係数をプログラムすることによって、ブロック1130にてアレイにおいて受信される。
【0076】
ブロック1135にて、ターゲットから反射された反射マイクロ波照射の強度は、容積部分のマイクロ波画像内のボクセル値を求めるために測定される。ブロック1140にて、そのときのマイクロ波画像に走査されるべきターゲットが更に存在する場合、対象物上の他のターゲットから反射された反射マイクロ波照射の強度を測定するために、アンテナ素子は、ブロック1120〜1135にて再びプログラムされる。そのときの走査が終了する場合、ブロック1145にて、容積部分のマイクロ波画像は、測定されたボクセル値の全てから求められた解像度で作成される。
【0077】
図12は本発明の一実施形態に係る、離れたところのマイクロ波撮像を実行するためのプロセスの一例を示すフローチャートである。
最初に、ブロック1205にて、プログラム可能なアンテナ素子のアレイが、離れた領域を含むアドレス指定可能容積部分を撮像するために設けられる。アドレス指定可能な容積部分内の離れたターゲットにおいて禁制品等の対象物を識別するのに高い周波数が必要とされる例では、アレイは、アレイ内のアンテナ素子の数を減らすために疎なアンテナアレイであることができる。一例としては、疎なアレイは、アレイ内に相補的な送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイを含むことによって、形成することができる。
【0078】
ブロック1210にて、容積内のターゲットにおいて禁制品を識別するのに必要とされる解像度が、アレイからのターゲットの距離に基づいて求められる。ブロック1215にて、マイクロ波撮像システムが、走査容積部分を最小にしながら、十分な解像度でターゲットのマイクロ波画像を取り込むために、光学撮像システムによって補強できるかどうかについて判定が行われる。こうした二峰性撮像システムが存在する場合、ブロック1220にて、マイクロ波撮像システムによってアドレス指定可能な容積内の対象領域(ROI)が、光学撮像システムによって識別される。
【0079】
その後、二峰性撮像システムが存在しない場合、ブロック1225にて、アレイ内の個々のアンテナ素子のそれぞれが、ブロック1230にて、容積(又はROI)内のターゲットに向けてマイクロ波照射を送るように、それぞれの方向係数をプログラムされる。ターゲットから反射されたマイクロ波照射は、アレイ内の個々のアンテナ素子にそれぞれの付加的な方向係数をプログラムすることによって、ブロック1235にてアレイにおいて受信される。
【0080】
ブロック1240にて、ターゲットから反射された反射マイクロ波照射の強度は、対象物のマイクロ波画像内のボクセル値を求めるために測定される。ブロック1245にて、そのときのマイクロ波画像に走査されるべきターゲットが更に存在する場合、ブロック1210にて、他のターゲットの解像度が、可変解像度を可能にするために再び求められ、次に、容積部分(又はROI)内の他のターゲットから反射された反射マイクロ波照射の強度を測定するために、アンテナ素子は、ブロック1225〜1240にて再びプログラムされる。マイクロ波画像内にさらなるターゲットが存在しない場合、ブロック1250にて、そのときの走査が終了し、容積部分(又はROI)のマイクロ波画像は、測定されたボクセル値の全てから求められた解像度で作成される。
【0081】
当業者には明らかなように、本出願書において説明された新規の概念は、さまざまな適用範囲にわたって修正及び変更を加えることが可能である。したがって、本発明の技術的な範囲は、記載された特定の例のいずれにも限定されるべきではなく、本出願の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る、離れたところをマイクロ波により撮像を実行するマイクロ波撮像システムを示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るマイクロ波撮像システムの一例を概略的に示したブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るマイクロ波放射を反射するアレイの一例を示す概略的な斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るマイクロ波照射を送るための透過型のアレイを使用した携帯型のマイクロ波撮像システムの一例を示す概略的な斜視図である。
【図5】アンテナ素子のインピーダンス状態に応じて位相を変えて電磁放射を反射するように動作する反射型アンテナ素子の断面図である。
【図6】アクティブタイプの送信/受信又は反射アレイで使用するためのアクティブタイプのアンテナ素子の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る疎なアンテナアレイ構成の一例を示す概略図である。
【図8】本発明のマイクロ波撮像システムと共に光学(可視光)撮像システムを組み込む撮像システムの一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るマイクロ波撮像システムが光学撮像システムによって補強される画像処理システムのブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る可変サイズボクセルを使用したマイクロ波撮像システムの一例の動作を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るセキュリティアプリケーションにおける離れたマイクロ波撮像のためのプロセスの一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係る、離れたところのマイクロ波撮像を実行するためのプロセスの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
10 マイクロ波撮像システム
50 アンテナアレイ
80 アンテナ素子
100 プロセッサ
175 光学画像情報
155 ターゲット
160 容積部分
165 対象領域
510 第1のアレイ
520 第2のアレイ
530 送信ビーム
540 受信ビーム
550 交差部
800 光学撮像システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離れたところをマイクロ波により撮像を実行するマイクロ波撮像システムであって、
離れた領域を含む容積部分(160)内のターゲット(155)にマイクロ波照射が向かうようにそれぞれの方向係数がプログラム可能にされ、前記ターゲット(155)から反射された反射マイクロ波照射を受信するようにそれぞれの方向係数が更にプログラム可能にされた複数のアンテナ素子(80)を有するアンテナアレイ(50)と、
前記反射マイクロ波照射の強度を測定し、前記容積部分(160)のマイクロ波画像内のボクセルの値を求め、前記離れた領域内の対象物(150)を識別するのに十分な解像度で前記マイクロ波画像を作成するように動作可能なプロセッサ(100)と
を具備するマイクロ波撮像システム。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロ波撮像システムであって、
前記プロセッサ(100)は、前記容積部分(160)内の複数のターゲット(155)を走査し、これら複数のターゲット(155)のそれぞれからの反射マイクロ波照射の強度を測定することによって、前記容積部分の前記マイクロ波画像を作成するように動作可能であるマイクロ波撮像システム。
【請求項3】
請求項1に記載のマイクロ波撮像システムであって、
前記プロセッサ(100)に動作可能に結合して前記容積部分(160)の前記マイクロ波画像を表示し、所定のフレームレートで連続したマイクロ波画像を表示するように動作可能なディスプレイを更に具備するマイクロ波撮像システム。
【請求項4】
請求項1に記載のマイクロ波撮像システムであって、
前記解像度を生成するのに必要な周波数で動作するマイクロ波撮像システム。
【請求項5】
請求項1に記載のマイクロ波撮像システムであって、
前記複数のアンテナ素子は、
前記ターゲット(155)に前記マイクロ波照射の送信ビーム(530)が向かう送信ビームパターンとなるように配列されたアンテナ素子(80)の第1のアレイ(510)と、
前記ターゲット(155)からのマイクロ波照射の受信ビーム(540)を受信する、前記送信ビームパターンと相補的な受信ビームパターンとなるように配列されたアンテナ素子(80)の第2のアレイ(520)とを有し、
前記ボクセルは、前記送信ビーム(530)と前記受信ビーム(540)の交差部(550)において形成されるマイクロ波撮像システム。
【請求項6】
請求項1に記載のマイクロ波撮像システムであって、
前記容積部分(160)内の対象物(150)の光学画像を取り込み、この光学画像を表す光学画像データを生成し、この光学画像データから光学画像情報(175)を抽出するように構成された光学撮像システム(800)を更に備え、
前記プロセッサ(100)は、前記光学画像情報(175)を使用して、前記対象物(150)に関連する前記容積部分(160)内の対象領域(165)を識別し、前記アレイ(50)を制御して、前記対象領域(165)内のターゲット(155)のみを照射し、前記対象領域(165)のみに関する前記マイクロ波画像を生成するように動作可能であるマイクロ波撮像システム。
【請求項7】
請求項1に記載のマイクロ波撮像システムであって、
前記離れた領域内の前記マイクロ波画像の前記解像度は、前記離れた領域よりも前記アレイ(50)に近い距離の領域における前記マイクロ波画像の付加的な解像度より粗いマイクロ波撮像システム。
【請求項8】
マイクロ波により離れて撮像を実行する方法であって、
複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイを設け(1105)、
前記アンテナ素子のそれぞれに方向係数をプログラムし(1120)、離れた領域を含む容積部分内のターゲットにマイクロ波照射を向かわせ(1125)、
前記ターゲットから反射された反射マイクロ波照射を受信し(1130)、
前記反射マイクロ波照射の強度を測定し(1135)、前記容積部分のマイクロ波画像内のボクセルの値を求め、
前記離れた領域内の対象物を識別するのに十分な解像度で前記マイクロ波画像を作成する(1145)
マイクロ波による撮像方法。
【請求項9】
請求項8に記載のマイクロ波による撮像方法であって、
前記複数のアンテナ素子を設けること(1105)は、
前記ターゲットに前記マイクロ波照射の送信ビームが向かう送信ビームパターンとなるように配列されたアンテナ素子の第1のアレイを設け、
前記ターゲットからのマイクロ波照射の受信ビームを受信する、前記送信ビームパターンと相補的な受信ビームパターンとなるように配列されたアンテナ素子の第2のアレイを設け、
前記ボクセルは、前記送信ビームと前記受信ビームとの交差部において形成される
マイクロ波による撮像方法。
【請求項10】
請求項8に記載のマイクロ波による撮像方法であって、
前記容積部分内の対象物の光学画像を取り込み、
前記光学画像を表す光学画像データを生成し、
前記光学画像データから光学画像情報を抽出し、
前記光学画像データを使用して前記対象物に関連する前記容積部分内の対象領域を識別し(1220)
前記アレイを制御して前記対象領域内のターゲットのみを照射して、前記対象領域の前記マイクロ波画像を生成する
ことを更に有するマイクロ波による撮像方法。
【請求項11】
請求項8に記載のマイクロ波による撮像方法であって、
前記マイクロ波画像を作成することは、前記離れた領域内の前記解像度が前記離れた領域よりも前記アレイに近い距離を有する領域における前記マイクロ波画像の付加的な解像度より粗い状態で前記マイクロ波画像を作成する
ことを更に有するマイクロ波による撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−163474(P2007−163474A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318154(P2006−318154)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】5301 Stevens Creek Boulevard Santa Clara California U.S.A.
【Fターム(参考)】