説明

マイクロ波支援の化学のための高温高圧ベッセル

【課題】高温高圧化学反応において使用できるベッセルを提供すること。
【解決手段】高温高圧化学のための圧力ベッセルアセンブリであって、1つの端部に開放口部を画定する円筒形のベッセルと、該ベッセルの該口部の周囲を該口部から横に延びている円周状のリップと、該口部において該ベッセルを係合および閉鎖するためのシールカバーと、該シールカバーの該傾斜面と該ベッセルリップの該傾斜面との接合部において、該シールカバーによって画定される、円周状の圧力解放チャネルと、該圧力解放チャネルと連絡する、該シールカバーにおける少なくとも1つの圧力解放開口部と、該ベッセルの該傾斜面と該シールカバーの該傾斜面とが会合する位置において該シールカバーを包囲する保持リングであって、該ベッセルリップに対して該シールカバーを半径方向に促す、保持リングとを含む、圧力ベッセルアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本願発明は、ロバスト溶媒(robust solvent)における材料の蒸解(digestion)を含むがそれには限定されない、高温高圧のマイクロ波支援の反応のために用いられるベッセルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に用語「蒸解」は、材料の内容を分析するプロセスをいい、該プロセスは、該材料を、材料を構成する化合物をそれらの構成元素またはより基本的な化合物に低減する溶媒内に溶解させることにより行われる。そのような形態において、材料内に元来存在する元素または化合物(「目的の被検体」)は、それらの存在性およびそれらの量の両方について、より容易に識別され得る。しかしながら、多くの場合において、目的の被検体は、蒸解される材料のバルクのほんの一部分しか含まない。結果として、材料の残りの分析されない部分は、さらなる分析のために目的の被検体を遊離するために、除去されなければならない。
【0003】
1つの例として、土壌サンプルは、重金属等の特定の汚染材料の存在性について分析され得る。該分析は、土壌材料(マトリックス)のバルクをブレークダウンし、重金属を溶媒和し、それらをさらなる分析のために利用可能にする強酸内での加熱により行われる。結果的に得られる要素の溶液は、希釈または精製され、その後、質量分析、原子吸光分析、原子発光分析等の周知の技術を用いることにより、内容および品質について分析され得る。
【0004】
一部の材料は、室温(すなわち、約20℃)において酸内で蒸解し得る。その他の材料は、中程度または幾分高い温度(例えば、100℃〜150℃)まで加熱されたときに、蒸解し得る。しかしながら、その他の材料は、温度が少なくとも200℃まで上昇させられ、一部の場合では、それよりも高い温度まで上昇させられるまで、蒸解に耐え得る。
【0005】
加えて、蒸解の性質と一部の場合のテストされる材料の組成との両方が、蒸解プロセスの一部分としてガスを生成する化学的反応を生じる。一般的にこれらのガスは、材料のマトリックスのブレークダウンの偶発的な副産物である。材料の分析されない部分のガス質の副産物への変換は、(主にさらなる分析のために被検体を遊離することから)蒸解プロセスの重要な部分と見ることができる。一般的に蒸解プロセスを行うために用いられる溶媒は液体であり、該液体の沸点は、温度および圧力と公知な関係を有する。
【0006】
理想気体の法則(およびより複雑なバージョンの気体法則)によって示されているように、規定された体積のシールされたベッセル内で高温に加熱されるガスは、それに応じて増大させられた圧力をベッセルに対して加え得る。
【0007】
圧力蒸解技術において、プロセスの温度は、シールされた加熱コンテナ内で蒸解を実行することにより、上昇させられる。これは、反応が蒸解溶媒の大気の沸点よりも上に到達することを可能にする。温度の増大はまた、蒸解を達成する化学反応の速度を増大させる。そして蒸解は、温度の増大に伴って、より完全でより速くなる。
【0008】
マイクロ波支援の蒸解において、該蒸解におけるマイクロ波の使用は、加熱プロセスをさらに加速し、シールされた圧力ベッセルが、蒸解反応を閉じ込めるために用いられる。金属はマイクロ波を遮断したり、または、マイクロ波のスパークを引き起こしたりする傾向があるので、典型的にマイクロ波蒸解は、ポリアミド等の工業用ポリマーから形成されるマイクロ波透過性ベッセルにおいて実行される。一般的に蒸解に用いられる温度において、ベッセル内の圧力は、2つの成分から生成される。(少なくとも1つの)蒸解溶媒によって生成される蒸気圧が1つの成分を提示し、この成分は、溶媒の温度に基づいて予測可能である。蒸解プロセスの間に生成されたガス質の副産物の圧力が第2の成分を提示する。このように、ベッセル内の圧力の大きさは、溶媒の沸点と、蒸解されるサンプルのサイズおよび組成との両方に関係する。
【0009】
典型的に分析されるサンプルは、ガス質の副産物を形成し得る未知の量の(1つ以上の)材料を含んでいるので、結果として得られるガス圧力の大きさは、予測不可能である。
【0010】
一般的に、マイクロ波透過性の圧力ベッセルは、機能不全前の比較的高圧に耐えることができる工業プラスチックから形成される。しかしながら、ポリマーおよびプラスチックの性質は、ベッセルが圧力のもとで機能不全になる場合に、破局的な機能不全を起こす傾向があり得る性質である。
【0011】
そのような破局的な機能不全を回避するために、マイクロ波蒸解のためのベッセルは、圧力解放のための何らかの手段を含むように開発されてきた。一部の場合では、圧力解放は、ベッセルの内側から外側に通じる小さな通路によって提供され、該通路の小さな部分は、所定の圧力において機能不全を起こし得るダイアフラムによってブロックされる。そのようなベッセル内の圧力が所定の限界を超えたときに、ダイアフラムがバーストし、ベッセルからガスが排出され得、破局的な機能不全または破局的に近い機能不全は起こらない。
【0012】
同一譲受人の特許文献1、2、3、4および5は、マイクロ波支援の蒸解および関連する反応において用いられるベッセルのための圧力解放システムのダイアフラムのタイプの代表例である。
【0013】
したがって、圧力解放が完全ではなく一時的であり、圧力解放の間および圧力開放の後に反応を継続することを可能にするベッセルが開発されてきた。そのようなベッセルは、ベッセル内の圧力が所定の限界を超えたときに、小量のガスを排出し、そして圧力が所定の限界未満になったときに、それらを再びシールするように設計されている。例は、同一譲受人の特許文献6、7、8および9を含む。
【0014】
一般的にそのようなベッセルは、180〜200℃で動作し、より高い温度が達成されることを可能にするための十分な圧力を含むことができない。
【0015】
これらのベッセルが、200℃を超える温度でガス圧力を閉じ込めることを試みる方法で(典型的には、ネジ山のある締め具を過度にきつく締めることによって)シールされた場合に、これらのベッセルの高圧部分は機能不全を起こし得る。
【0016】
当然ながら、そのような機能不全は、実験を繰り返させることになるので、効率性を低下させる。より重要なことには、そのようなベッセルが200℃を超えて加熱されたときに、および、それらがそのような温度でガスを解放したときに、その解放は、たとえ破局的な機能不全が回避されたとしても、ベッセルを永久的に歪めてしまう傾向がある。
【0017】
ベッセルは先進的な工業プラスチックから形成されるので、それらは比較的高価である傾向がある。結果として、ベッセルの機能不全は、ベッセルの経済的損失につながり、それに加えて、特定の実験の損失と、実行されているテストの全体的な効率の損失とに繋がる。
【0018】
200℃までの温度でシールされた圧力解放ベッセルにおいて蒸解を実行するためのキャパシティは、多くの状況において価値があるが、そのような温度においてさえも蒸解しないことがあり得る材料であって、完全に蒸解する前に200℃を大きく超えて加熱されなければならない、多くのタイプの材料がある。組成物が完全に蒸解しない場合、よそが誤って識別され得る可能性や、誤った量で識別されたり完全に識別されないままになったりする可能性が増大し得る。
【0019】
例えば、ポリマー、潤滑油、高分子量組成物、芳香族化合物の顕著な特性を含む組成物、耐熱材料等の材料の全ては、適切に蒸解する前に、200℃よりも高くに加熱される必要がある。例えば、子供用玩具におけるプラスチックを分析し、望ましくない(または一部の場合では、禁止されている)量の重金属またはその他の材料を含んでいないかどうかを確認することには、そのような高温の蒸解を必要とし得る。様々な機械、自動車、トラック、列車および航空機等の幅広く存在する、多くの潤滑油および関連する油に対しても、同じことが当てはまる。
【0020】
蒸解サンプルは、しばしば、非常に小量の目的の被検体を含む。したがって、所与の温度でなんらかのシールされたベッセル内で蒸解され得るサンプルのサイズは、ベッセルの安全動作圧力によって制限される。効率的な蒸解のために十分な温度を維持しながらも、サンプルのサイズを最大化することは、技術の重要な局面であり、分析の精度を増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第6,258,329号明細書
【特許文献2】米国特許第5,520,886号明細書
【特許文献3】米国特許第5,427,741号明細書
【特許文献4】米国特許第5,369,034号明細書
【特許文献5】米国特許第5,230,865号明細書
【特許文献6】米国特許第6,927,371号明細書
【特許文献7】米国特許第6,287,526号明細書
【特許文献8】米国特許第6,136,276号明細書
【特許文献9】米国特許第6,124,582号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、マイクロ波支援の化学に適しており、高温に耐えることができ、高圧を閉じ込めることができ、所定の限界を超えた圧力を解放することができるが、その一方で、識別または定量化される必要のある材料を含み得るガスの損失を回避するか最小化し、ベッセルの永久的または破局的な機能不全を回避する、ベッセルに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
(概要)
本発明の一局面において、高温高圧化学のためのベッセルアセンブリが提供される。アセンブリは、円筒形のベッセルと円筒形のベッセルシールカバーとを含み、ベッセルとベッセルシールカバーとは、それぞれ、係合されたときにベッセルとシールカバーとの間に円周状の内側通路を画定する表面を有する。シールカバー内の圧力解放開口部が、円周状の通路と流体連絡する。圧力がガスをベッセル内に追いやり、ガスを円周状の通路の中を流れるようにし、そしてガスを圧力解放開口部の外部に出るようにするときに、シールカバーとベッセルとの間の外側の円周状の係合を維持するために、保持リングが、ベッセルとシールカバーとが会合する位置において、ベッセルおよびシールカバーを包囲する。
【0024】
別の局面において、ベッセルアセンブリは、1つの端部に口部を画定する円筒形のベッセルと、ベッセルの口部の周囲を口部から横に延びている円周状のリップとを含む。シールカバーは、口部においてベッセルを係合および閉鎖する。リップは、リップは、内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とをそれぞれ有しており、ベッセルは、対応する内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とをそれぞれ有しており、該対応する内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とは、それぞれリップの傾斜面に係合する。
【0025】
円周状の圧力解放チャネルが、シールカバーの傾斜面とベッセルリップの傾斜面との接合部において、シールカバーによって画定される。シールカバーにおける少なくとも1つの圧力解放開口部が、圧力解放チャネルと連絡し、保持リングが、ベッセルの傾斜面とシールカバーの傾斜面とが会合する位置においてシールカバーを包囲し、ベッセルリップに対して該シールカバーを半径方向に促す。
【0026】
別の局面において、本発明は、高温高圧の化学的反応のための方法に関する。この局面において、方法は、蓋を含む耐圧ベッセル内で少なくとも200℃の温度で、サンプルを強酸内で蒸解し、その間に、圧力のもとで該ベッセル内にガスを維持するために、規定された力を蓋に対して加えることと、過剰圧力のもとで、ベッセルから、ベッセルおよびその耐圧蓋によって画定された円周状の通路の中にガスを配向することと、円周状の通路から蓋の外部にガスを配向することであって、その間に、ベッセルの縁部を超えて外部にガスが流れることを防止することとを含む。
【0027】
上述の目的およびその他の目的、本願発明の利点、ならびにそれらを達成するための方法は、添付の図面と合わせて、以下の詳細な記述に基づいて、より明瞭に理解することができるであろう。
【0028】
本願は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
高温高圧化学のための圧力ベッセルアセンブリであって、
1つの端部に開放口部を画定する円筒形のベッセルと、
該ベッセルの該口部の周囲を該口部から横に延びている円周状のリップと、
該口部において該ベッセルを係合および閉鎖するためのシールカバーであって、該リップは、内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とをそれぞれ有しており、該ベッセルは、対応する内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とをそれぞれ有しており、該対応する内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とは、それぞれ該リップの該傾斜面に係合する、シールカバーと、
該シールカバーの該傾斜面と該ベッセルリップの該傾斜面との接合部において、該シールカバーによって画定される、円周状の圧力解放チャネルと、
該圧力解放チャネルと連絡する、該シールカバーにおける少なくとも1つの圧力解放開口部と、
該ベッセルの該傾斜面と該シールカバーの該傾斜面とが会合する位置において該シールカバーを包囲する保持リングであって、該ベッセルリップに対して該シールカバーを半径方向に促す、保持リングと
を含む、圧力ベッセルアセンブリ。
(項目2)
上記圧力ベッセルアセンブリは、マイクロ波放射に対して実質的に透過的な材料から形成され、上記ベッセルはまた、強酸による攻撃に対して実質的な耐性を有する材料から形成される、上記項目に記載の圧力ベッセルアセンブリ。
(項目3)
規定された力を上記シールカバーおよび上記ベッセルに対して加えるための、該ベッセルおよび該シールカバーを包囲するフレームをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の圧力ベッセルアセンブリ。
(項目4)
上記フレームにおいて上記ベッセルの周囲に補強スリーブをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の圧力ベッセルアセンブリ。
(項目5)
上記補強リングは、少なくとも約500MPaの引っ張り強度を有する、上記項目のいずれかに記載のベッセルアセンブリ。
(項目6)
上記保持リングは、ステンレス鋼を含む、上記項目のいずれかに記載のベッセルアセンブリ。
(項目7)
高温高圧化学のためのベッセルアセンブリであって、
円筒形のベッセルおよび円筒形のベッセルシールカバーであって、該ベッセルおよび該シールカバーは、それぞれ、係合されたときに該ベッセルと該シールカバーとの間に円周状の内側通路を画定する表面を有している、円筒形のベッセルおよび円筒形のベッセルシールカバーと、
該円周状の通路と流体連絡する、該シールカバーにおける圧力解放開口部と、
該ベッセルと該シールカバーとが会合する位置における、該ベッセルおよび該シールカバーの周囲の保持リングであって、圧力がガスを該ベッセル内に追いやり、該ガスを該円周状の通路の中を流れるようにし、そして該ガスを該圧力解放開口部から外側に出るようにするときに、該シールカバーと該ベッセルとの間の外側の円周状の係合を維持する、保持リングと
を含む、ベッセルアセンブリ。
(項目8)
上記ベッセルおよび上記シールカバーを包囲するフレームと、該ベッセルが該フレーム内にあるときに、該ベッセルに対して上記シールカバーを締め付けるための、該フレームにおけるボルトとをさらに含む、上記項目のいずれかに記載のベッセルアセンブリ。
(項目9)
上記フレームにおいて上記ベッセルを包囲する補強スリーブをさらに含む、上記項目のいずれかに記載のベッセルアセンブリ。
(項目10)
上記ベッセルアセンブリは、マイクロ波放射に対して実質的に透過的な材料から形成される、上記項目のいずれかに記載のベッセルアセンブリ。
(項目11)
上記ベッセルおよび上記シールカバーは、強酸による攻撃に対して実質的な耐性を有する材料から形成される、上記項目のいずれかに記載のベッセルアセンブリ。
(項目12)
上記ベッセルは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される、上記項目のいずれかに記載のベッセルアセンブリ。
(項目13)
上記補強リングは、少なくとも約500MPaの引っ張り強度を有する、上記項目のいずれかに記載のベッセルアセンブリ。
(項目14)
高温高圧化学のための方法であって、
蓋を含む耐圧ベッセル内で少なくとも200℃の温度で、サンプルを強酸内で蒸解し、その間に、圧力のもとで該ベッセル内にガスを維持するために、規定された力を該蓋に対して加えることと、
過剰圧力のもとで、該ベッセルから、該ベッセルおよびその耐圧蓋によって画定された円周状の通路の中にガスを配向することと、
該円周状の通路から該蓋の外部に該ガスを配向することであって、その間に、該ベッセルの縁部を超えて外部にガスが流れることを防止する、ことと
を含む、方法。
(項目15)
マイクロ波放射に対して実質的に透過的なベッセル内のサンプルにマイクロ波放射を適用することにより、該サンプルを蒸解することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
規定された所定の力で、上記ベッセルに対して上記蓋を固定することをさらに含み、該規定された所定の力は、該ベッセルから上記円周状の通路の中にガスが流れ得るガス圧力を規定する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記ベッセルに対して上記蓋を固定することは、該ベッセルおよび該蓋をフレームによって包囲し、該フレーム内で該ベッセルに対して該蓋を締め付けることを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
210℃よりも高い温度でサンプルを蒸解することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
220℃よりも高い温度でサンプルを蒸解することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
230℃よりも高い温度でサンプルを蒸解することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0029】
(摘要)
高温高圧の化学的反応のためのベッセルアセンブリが開示される。ベッセルアセンブリは、円筒形のベッセルと円筒形のベッセルシールカバーとを含む。ベッセルおよびベッセルシールカバーは、それぞれ、係合されたときにベッセルとベッセルシールカバーとの間に円周状の内側通路を画定する表面を有する。シールカバーにおける圧力開放開口部は、円周状の通路と流体連絡する。圧力がガスをベッセル内に追いやり、ガスを円周状の通路の中を流れるようにし、そしてガスを圧力解放開口部の外部に出るようにするときに、シールカバーとベッセルとの間の外側の円周状の係合を維持するために、ベッセルとシールカバーとが会合する位置において、ベッセルおよびシールカバーを包囲する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、マイクロ波機器において典型的に配列された、本発明に従う、複数のベッセルの斜視図である。
【図2】図2は、本発明に従う、ベッセルの一実施形態の分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明に従う、ベッセルの第2の実施形態の分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従う、シールカバーおよびプローブの断面図である。
【図5】図5は、本発明のベント構造の一部の拡大断面図である。
【図6】図6Aは、図4の線6−6に沿ってとられたシールカバーの断面図である。図6Bは、図6Aのシールカバーの底面図である。
【図7】図7は、本発明に従う、シールカバーの第2の実施形態の上面図である。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿ってとられたシールカバーの第2の実施形態の断面図である。
【図9】図9は、図7および図8に示されたシールカバーの第2の実施形態の底面図である。
【図10】図10は、ベッセルおよびシールカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(詳細な説明)
本明細書においてベッセルは、蒸解化学に関して説明されているが、蒸解化学は、有益ではあるが、高圧高温ガス発生化学の単なる一例であることが理解される。従って、本明細書において、その利点と共に記載され、請求されるベッセルは、確実に、同一の目的のための他のタイプの高温高圧反応に、同一の有利な結果を有して、組み込まれ得る。
【0032】
図1は、複数の圧力ベッセルアセンブリを示し、これらの複数の圧力アセンブリの各々が、広く20で指定される。(限定するものではないが)例示的な配列において、複数のベッセルアセンブリ20は、ターンテーブル21または類似のプラットフォーム上に配置され、このターンテーブル21または類似のプラットフォームは、次いでマイクロ波機器(図示せず)の空洞内に位置決定される。図1は、ターンテーブル21上にある12個のこのようなベッセルアセンブリを示す。この複数のベッセルアセンブリを保持するために十分に大きいマイクロ波空洞を有する機器におけるマイクロ波の伝搬の性質により、マイクロ波が適用される間にベッセルを移動させることが有利になる。このことは、たいてい、料理に使用される家庭用マイクロ波電気器具において一般的に見出されるターンテーブルとほぼ類似の態様での回転を用いて、一般的に行われる。
【0033】
複数のベッセルアセンブリの各々がいくつかの部品で形成される。図1に示される実施形態において、反応ベッセル自体は見ることができない。なぜならば、反応ベッセルは、典型的には、ベッセルの周囲に補強サポートを提供する円筒スリーブ22によって囲まれているからである。スリーブ22はオプションであるが、このスリーブ22は、ベッセルが化学的攻撃に高い耐性がある材料(典型的にはポリマー)で形成されることを可能にし、一方で、反応体から絶縁されているスリーブは、強度に基づいて選択され得る。工業用ポリマーの織物は、これらが繊維補強ポリマーおよびこれらの材料の組み合わせであるため、スリーブに対して有用である。
【0034】
ベッセルおよびスリーブ22は、ほぼ長方形のフレーム23内に位置決定され、このフレーム23は、進行中の化学反応の間に圧力シールを提供することを助ける。フレームは、第1にその強度で選択され、製造のコストおよび容易さもまた考慮される。従って、適切な工業用ポリマーが典型的にフレーム23に対して使用される。
【0035】
ベッセルは、円形のシールカバー24で閉鎖され、このシールカバーの一部が図1の実施形態において示されている。シールカバー24の下部部分は、円形の保持リング25によって囲まれ、この保持リング25の構造および機能が、残りの図面を参照して説明される。
【0036】
切頭円錐の側断面を有する丸型荷重ディスク26が、フレーム23によって画定されたベッセルの開口部内に、シールカバー24の上部に位置決定される。例示される実施形態において、荷重ディスク26は、以下の態様で、圧力ネジ27と共に動作する。圧力ネジ27は、フレーム23によって画定された対応するネジ山のある開口部30にネジ留めされ、ネジ山のある開口部30を係合する。ネジ27は、開口部30に挿入され、回転され、ネジ27が荷重ディスク26に力を加え、同様にシールカバー24に力を加える。ベッセルアセンブリ20内で使用される材料の全体の強度を仮定して、ネジ山のあるネジ27によって荷重ディスク26およびシールカバー24に及ぼされる圧力の量は、気体がベッセルアセンブリから脱出可能な圧力荷重を規定する。従って、多くの場合において、ユーザは、ネジを所望の程度まで締め付けることによって圧力荷重を規定し得る。
【0037】
図2は、多くの要素が図1と同一である、分解斜視図である。これらは、フレーム23と、ネジ山のあるネジ27と、ベッセルスリーブ22と、荷重ディスク26とを含む。ベッセル31は、円筒形であり、マイクロ波放射を透過することと、蒸解温度における強酸(例えば、硝酸、硫酸、塩酸)による攻撃への耐性があることとの両方を満たす材料(PTFEが例示的である)で形成される。ベッセル31は、一方の端部において開放口部28を画定する。
【0038】
しかしながら、図2は、また、31における、ベッセル自体をスリーブ22との関係性と共に示す。シールカバー24は、より完全な図で示され、シールカバー24は、プローブ部分32を含み、このプローブ部分32は、中空で円筒形であり(図4)、このプローブ部分32の内部に温度測定デバイスが挿入され得、マイクロ波エネルギーの適用の間にベッセル内の材料の温度を追跡する。
【0039】
図2は、また、シールカバー24の周囲の適切な位置にある円周状保持リング25を、複数の圧力解放開口部33のうちの1つと共に示しており、これらは図4、図5および図6を参照してより詳細に説明される。
【0040】
ネジ27の円形開口部34、荷重ディスク26の円形開口部35、およびシールカバー24の円形開口部36は、ベッセルの動作中にプローブへのアクセスを提供する。プローブはシールされているので、これらの開口部は、大気または周囲圧力状況に対して開放され得る。
【0041】
図2は、また、ベッセル31の口部28のリップ37を示しており、このリップ37は他の図面を参照してより詳細に説明される。
【0042】
図3は、ベッセルアセンブリの第2の実施形態を示し、該ベッセルアセンブリは、多くの点において、図2の実施形態と同一であるが、ベッセル31内の反応体の圧力モニタリングを可能にする追加の装備品を有する。従って、図3に示される要素の大部分は、図2と同一の参照番号を保持する。
【0043】
しかしながら、図3に示されている実施形態において、シールカバー24は、図2に示されているシールカバー24よりも幾分大きく(軸方向に長く)、ネジ山のある開口部40として示された圧力ステムシートを含む。動作時、圧力ステム41は、典型的には、ネジ山のある装置を介してシート40に係合される。圧力ステム41は、また、シールカバー24の一体化部分として形成され得る。図4、図5および図6に示され、これらの図を参照して説明されるように、これらのアイテムは、マイクロ波エネルギーの適用の間に、ベッセル31内の圧力がモニタリングされることが可能である。
【0044】
図4、図5および図6は、断面図であり、本発明の構造的詳細および動作的詳細を示している。図4は、図3に示されているシールカバー24の実施形態の断面図である。この実施形態において、シールカバー24は、ヘッド部分42を含み、このヘッド部分42から、上述のプローブ部分32が延びている。図4は、ヘッド42およびプローブ32によって画定された開口部43を示し、この開口部43内に適切な温度測定デバイスが挿入され得る。
【0045】
図4においては、ベッセル31の小部分のみが示され、動作を説明する目的で、ベッセル壁は再び37で指定されたリップを有して44でラベル付けされる。以前の図面と同様に、保持リングが25で示される。
【0046】
図4および図5は、シールカバー24のヘッド部分42内の一対の圧力開放開口部33を示している。これらの開口部は、圧力解放通路45によって、シールカバー24内で互いに接続される。解放開口部33は、ガスが脱出することを可能にするので、解放開口部33の円形断面は、限定することなしに例示的である。
【0047】
示される実施形態において、圧力解放通路45は、シールカバー24内に半円の断面を有する開放チャネルによって画定される(例えば、図10)。シールカバー24がベッセル31を係合する場合に、ベッセルのリップ37は、通路45を画定する、チャネルに対する底部壁を形成する。
【0048】
通常動作の間、シールカバー24の内側傾斜面46は、ベッセル31のリップ37上の対応する内側傾斜面47と会合する。類似の態様で、シールカバー24の外側傾斜面50は、リップ37の外側傾斜面51と会合する。通常予期される動作圧力下で、これらの表面は、互いに係合されたままであり。必要なシールを提供する。
【0049】
しかしながら、過度の圧力において、ベッセル31は、内側傾斜面46と47との間の密閉関係を壊すために十分なほどにシールカバー24から係合解除される傾向にある。このことは、ガスが圧力解放通路45および圧力解放開口部33に到達することを可能にする。ガスの挙動の良く理解された性質に基づいて、通路45は、過度の圧力が、開口部33の両方からガスが逃げるように迅速に平衡になることを可能にする。2つの圧力解放開口部が図4に示されているが、所望または必要に応じて、より多くの(またはただ1つの)圧力解放開口部が含まれ得る。
【0050】
図5は、保持リング25の具体的な利点を示す。保持リング25は、ベッセル31の傾斜面(46、47、50、51)およびシールカバー34が会合する位置でシールカバー24を包囲する。保持リング25は、シールカバー24の外側部分(52で示される)が、圧力開放の間に外側に動くことを防止するために十分に強度がなければならない。別な言い方をすると、保持リング25は、外側傾斜面50および51を互いに対して維持し、その結果、ガスが逃げるとき、ガスが圧力解放通路45および圧力解放開口部33のみを通って逃げ、外側傾斜面50と51との間の任意の望ましくない開口部を通って逃げないようにする。図4および図5に示されているように、保持リング25は、シールカバー24の下部部分の全てを覆い、ベッセル31およびベッセルリップ37に向かう方向に、下部部分を越えて拡張する。
【0051】
実際、保持リング25がステンレス鋼のオーダーの強度を有することが適切であることが見出されており、マイクロ波の環境における場合でさえ、ステンレス鋼は、金属がマイクロ波場において提示し得るアーク放電または他の望ましくない挙動を防ぐ量および配向において使用されることを仮定して使用され得る。
【0052】
当然、用語「ステンレス鋼」は、(質量で)最低10%のクロムを含有するように広く定義される広範囲の合金に適用される。ステンレス鋼の引っ張り強度は、特定の合金に依存して変化し得、従って、基準値として、本発明に従う保持リングは、また、(その組成にかかわらず)少なくとも500メガパスカル(MPa)の引っ張り強度を有するように説明され得る。
【0053】
当然、他の材料が強度要件を満たす場合には、それらの材料も適切である。
【0054】
保持リング25がない場合には、ガスは外側傾斜面50と51との間から逃げ、制御された圧力解放ではなく、永久的なベッセルの歪みをしばしば引き起こすことが見出されている。
【0055】
図6Aは、図4の線6−6でとられたシールカバー24の断面図である。図6は、保持リング25と圧力解放開口部33とを示す。図6は、また、圧力測定通路54を有する圧力ステムシート40を示す。図4および図6に示されているように、圧力測定通路54は、シールカバー24、プローブ32およびベッセル31の長軸に平行に延びる。
【0056】
図6Bは、シールカバー24を底面図で示し、ここで、要素は本明細書の他の図面と一致する参照数字を保持する。
【0057】
マイクロ波エネルギーの適用の間に圧力および温度をモニタリングすることは、反応を進行させながら、マイクロ波電力の適用を抑制する(moderate)機会を提供する。排他的ではなく、典型的には、マイクロ波の適用は、温度または圧力が、特定の所定の値に達した場合には抑制されるか、または停止される。多くの場合には、このようなフィードバックおよび制御の能力は、圧力が、排出されなければならない量に達する前に、意図されて反応が中断なしに進行することを可能にし得る。選択された測定パラメータ(例えば、温度および圧力)に基づいて機器を制御するプロセッサおよび関連する電子回路の使用は、当該分野で一般的に良く理解されている。(限定ではなく)例示的な議論は、Dorf、「The Electrical Engineering Handbook」、第2編(1997)、CRC Press LLCを含む。
【0058】
図4、図5および図6が示すように、シールカバー24と保持リング25との間の関係性は、圧力の影響下で、シールカバー24がベッセル31内から移動できる方向を制限する。具体的には、保持リング25は、ベッセル31の長軸に対する半径方向への歪みを防ぐので、このような過度の圧力は、シールカバーをベッセルの長軸に平行に移動させ、内側傾斜面46と47との間に上述の開口部を作成する。
【0059】
図7、図8および図9は、圧力ステムシート40、圧力ステム41またはプローブ32なしのシールカバー24の実施形態を示す。マイクロ波支援化学の分野では一般的に良く理解されているように、複数のベッセルが空洞内でマイクロ波に曝露される場合、そして、ベッセルがターンテーブル上で回転している場合には、各ベッセルの内容物は、一般的に、同一の曝露を受ける。従って、1つのベッセルがこのような状況下でモニタリングされる場合には、そのベッセルの観測条件は、同時期の空洞内の他の全てのベッセルと同一である可能性が非常に高いことが観測されている。従って、図1が示すような、複数のベッセルシステムの全体の複雑さは、全てのベッセルよりも少ない数のベッセルに、温度および圧力のモニタリングを限定することによって、低減され得る。多くの場合には、単一のベッセルをモニタリングすることにより、必要とされる情報が全て提供される。
【0060】
結果として、本発明に従う、多くのベッセルは、図4、図5および図6に示される詳細の全てを含む必要はない。従って、図7は、シールカバー24および保持リング25の上面図である。
【0061】
図8は、図7の線8−8に沿ってとられた断面図であり、再び、シールカバー24および保持リング25を示している。図8は、また、圧力解放開口部33、圧力解放通路45、ならびにシールカバー上のそれぞれの傾斜面46および50を示し、傾斜面46および50は、ベッセル31のリップ(図示せず)を係合する。
【0062】
図9は、図7および図8に示されるシールカバーの底面図である。このように、内側傾斜面46は、保持リング25、ベッセルの外側部分52および圧力解放通路45と同心円として示されている。図9は、結果として、示される実施形態において、圧力解放通路45がシールカバー24の内側の周囲に円形通路を形成することを最良に示す。
【0063】
今まで、本発明は、特定の材料を良好に蒸解するために使用され、この特定の材料は、背景分野で説明された圧力および温度の問題に基づいて、完全に蒸解することが困難であった。
【0064】
表1は、High−Purity Standards(Charleston SC 29423,USA)から得られたセレニウム(Se)、砒素(As)および水銀(Hg)の半無機金属標準の約300mgのサンプルに対して実行した6つの試験を表す。
【0065】
サンプルと約10mLの強酸(濃硝酸)とを本発明に従うベッセルに配置した。マイクロ波を、市販の機器(Matthews,NC,USAのCEM CorporationのMARSTMシステム)で適用し、温度を225℃より高くまで上げた。蒸解に続いて、反応生成物を濾過し、調製し、同定したところ、表1に示される結果が得られた。セレニウムおよび砒素を、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−OES)を使用して分析し、水銀を、直接水銀分析(DMA)を用いて分析した。これらのサンプルは、半無機金属化合物であるので、正確な結果を得るために完全な蒸解が必要である。従って、本発明に従うベッセルを用いて得られる結果の精度は、完全な蒸解が行われたことの証拠を提供する。表1において、ppmは、1グラムあたりのマイクログラム数(μm/g)を表す。
【0066】
【表1】

他の実験において、アセトアミノフェン、タラ肝油、石炭、モーターオイル、茶葉、鉱油、ポリマーおよび二酸化チタンが、230℃に近い温度で、一部の例では230℃を超える温度で、良好に蒸解した。
【0067】
図面および明細書において、本発明の好適な実施形態が記載され、特定の用語が使用されてきたが、これらの用語は包括的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定することを目的として使用されておらず、本発明の範囲は特許請求の範囲において定義される。
【符号の説明】
【0068】
20 圧力ベッセルアセンブリ
21 ターンテーブル
22 円筒スリーブ
23 フレーム
24 シールカバー
25 保持リング
26 丸型荷重ディスク
27 圧力ネジ
30 ネジ山のある開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温高圧化学のための圧力ベッセルアセンブリであって、
1つの端部に開放口部を画定する円筒形のベッセルと、
該ベッセルの該口部の周囲を該口部から横に延びている円周状のリップと、
該口部において該ベッセルを係合および閉鎖するためのシールカバーであって、該リップは、内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とをそれぞれ有しており、該ベッセルは、対応する内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とをそれぞれ有しており、該対応する内側の円周状傾斜面と外側の円周状傾斜面とは、それぞれ該リップの該傾斜面に係合する、シールカバーと、
該シールカバーの該傾斜面と該ベッセルリップの該傾斜面との接合部において、該シールカバーによって画定される、円周状の圧力解放チャネルと、
該圧力解放チャネルと連絡する、該シールカバーにおける少なくとも1つの圧力解放開口部と、
該ベッセルの該傾斜面と該シールカバーの該傾斜面とが会合する位置において該シールカバーを包囲する保持リングであって、該ベッセルリップに対して該シールカバーを半径方向に促す、保持リングと
を含む、圧力ベッセルアセンブリ。
【請求項2】
前記圧力ベッセルアセンブリは、マイクロ波放射に対して実質的に透過的な材料から形成され、前記ベッセルはまた、強酸による攻撃に対して実質的な耐性を有する材料から形成される、請求項1に記載の圧力ベッセルアセンブリ。
【請求項3】
規定された力を前記シールカバーおよび前記ベッセルに対して加えるための、該ベッセルおよび該シールカバーを包囲するフレームをさらに含む、請求項2に記載の圧力ベッセルアセンブリ。
【請求項4】
前記フレームにおいて前記ベッセルの周囲に補強スリーブをさらに含む、請求項3に記載の圧力ベッセルアセンブリ。
【請求項5】
前記補強リングは、少なくとも約500MPaの引っ張り強度を有する、請求項1に記載のベッセルアセンブリ。
【請求項6】
前記保持リングは、ステンレス鋼を含む、請求項5に記載のベッセルアセンブリ。
【請求項7】
高温高圧化学のためのベッセルアセンブリであって、
円筒形のベッセルおよび円筒形のベッセルシールカバーであって、該ベッセルおよび該シールカバーは、それぞれ、係合されたときに該ベッセルと該シールカバーとの間に円周状の内側通路を画定する表面を有している、円筒形のベッセルおよび円筒形のベッセルシールカバーと、
該円周状の通路と流体連絡する、該シールカバーにおける圧力解放開口部と、
該ベッセルと該シールカバーとが会合する位置における、該ベッセルおよび該シールカバーの周囲の保持リングであって、圧力がガスを該ベッセル内に追いやり、該ガスを該円周状の通路の中を流れるようにし、そして該ガスを該圧力解放開口部から外側に出るようにするときに、該シールカバーと該ベッセルとの間の外側の円周状の係合を維持する、保持リングと
を含む、ベッセルアセンブリ。
【請求項8】
前記ベッセルおよび前記シールカバーを包囲するフレームと、該ベッセルが該フレーム内にあるときに、該ベッセルに対して前記シールカバーを締め付けるための、該フレームにおけるボルトとをさらに含む、請求項7に記載のベッセルアセンブリ。
【請求項9】
前記フレームにおいて前記ベッセルを包囲する補強スリーブをさらに含む、請求項8に記載のベッセルアセンブリ。
【請求項10】
前記ベッセルアセンブリは、マイクロ波放射に対して実質的に透過的な材料から形成される、請求項9に記載のベッセルアセンブリ。
【請求項11】
前記ベッセルおよび前記シールカバーは、強酸による攻撃に対して実質的な耐性を有する材料から形成される、請求項10に記載のベッセルアセンブリ。
【請求項12】
前記ベッセルは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される、請求項10に記載のベッセルアセンブリ。
【請求項13】
前記補強リングは、少なくとも約500MPaの引っ張り強度を有する、請求項7に記載のベッセルアセンブリ。
【請求項14】
高温高圧化学のための方法であって、
蓋を含む耐圧ベッセル内で少なくとも200℃の温度で、サンプルを強酸内で蒸解し、その間に、圧力のもとで該ベッセル内にガスを維持するために、規定された力を該蓋に対して加えることと、
過剰圧力のもとで、該ベッセルから、該ベッセルおよびその耐圧蓋によって画定された円周状の通路の中にガスを配向することと、
該円周状の通路から該蓋の外部に該ガスを配向することであって、その間に、該ベッセルの縁部を超えて外部にガスが流れることを防止する、ことと
を含む、方法。
【請求項15】
マイクロ波放射に対して実質的に透過的なベッセル内のサンプルにマイクロ波放射を適用することにより、該サンプルを蒸解することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
規定された所定の力で、前記ベッセルに対して前記蓋を固定することをさらに含み、該規定された所定の力は、該ベッセルから前記円周状の通路の中にガスが流れ得るガス圧力を規定する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ベッセルに対して前記蓋を固定することは、該ベッセルおよび該蓋をフレームによって包囲し、該フレーム内で該ベッセルに対して該蓋を締め付けることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
210℃よりも高い温度でサンプルを蒸解することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
220℃よりも高い温度でサンプルを蒸解することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
230℃よりも高い温度でサンプルを蒸解することを含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−204105(P2010−204105A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49372(P2010−49372)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(508047875)シーイーエム コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】