説明

マイクロ波放射計

【課題】電波吸収体の中で温度差が発生することを抑制できるマイクロ波放射計を得る。
【解決手段】観測用マイクロ波を反射する主反射鏡4と、低温校正用マイクロ波を反射する低温校正用反射鏡6と、高温校正用マイクロ波を放射する高温校正源7と、観測用マイクロ波を受信し、低温校正位置で低温校正用マイクロ波を受信し、高温校正位置で高温校正用マイクロ波を受信する一次放射器5とを備え、高温校正源7は、開口部9aが形成された収容箱9と、収容箱9の内側に設けられた電波吸収体10と、収容箱9の外側を覆ったMLI11と、収容箱9の壁を加熱するヒータ12と、電波吸収体10の温度を検出する第1の温度センサ13とを有し、低温校正用マイクロ波の強度の値、深宇宙の温度の値、高温校正用マイクロ波の強度の値および電波吸収体10の温度の値を用いて、測定される観測対象の温度の値を校正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、観測対象から入射する観測用マイクロ波を反射する主反射鏡と、主反射鏡で反射された観測用マイクロ波を受信する一次放射器とを備え、受信した観測用マイクロ波を用いて観測対象の温度を測定するマイクロ波放射計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工衛星に回転可能に取り付けられる構体と、この構体に連結体を介して固定され、観測対象から入射する観測用マイクロ波を反射する主反射鏡と、人工衛星に固定され、深宇宙から入射する低温校正用マイクロ波を反射する低温校正用反射鏡と、人工衛星に固定され、高温校正用マイクロ波を放射する高温校正源と、構体に固定され、構体の回転にともなって移動する一次放射器とを備え、高温校正源は、開口部が形成され収容箱と、この収容箱の内側に取り付けられ、高温校正用マイクロ波を放射する電波吸収体と、この電波吸収体に取り付けられたヒータと、電波吸収体に取り付けられた温度センサとを有したマイクロ波放射計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このものの場合、一次放射器が主反射鏡に反射された観測用マイクロ波を受信して、受信した観測用マイクロ波を用いて観測対象の温度を測定する。
また、このマイクロ波放射計は、一次放射器が、低温校正用反射鏡に反射された低温校正用マイクロ波を受信し、高温校正源から放射された高温校正用マイクロ波を受信して、一次放射器が受信した低温校正用マイクロ波の強度の値と、深宇宙の温度の値と、一次放射器が受信した高温校正用マイクロ波の強度の値と、そのときに温度センサによって検出された電波吸収体の温度の値とを用いて、一次放射器が受信する観測用マイクロ波の強度の値を校正する。
【0003】
【特許文献1】特開2006−162287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このものの場合、電波吸収体にヒータが取り付けられているので、電波吸収体の中で、ヒータに近い領域は高温となり、ヒータから遠い領域は低温となってしまい、電波吸収体の中で温度差が発生してしまう。
これにより、温度センサが検出した電波吸収体の温度と、そのときに一次放射器に受信された高温校正用マイクロ波を放射した電波吸収体の温度との間に差が生じてしまい、校正の精度が悪いという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、電波吸収体の中で温度差が発生することを抑制することができるマイクロ波放射計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るマイクロ波放射計は、ベースに回転可能に設けられる構体と、前記構体に連結体を介して固定され、観測対象から入射する観測用マイクロ波を反射する主反射鏡と、前記構体に固定され、前記構体が回転するとともに移動して、前記主反射鏡に反射された前記観測用マイクロ波を受信する一次放射器とを備え、前記一次放射器が受信した前記観測用マイクロ波の強度の値を用いて前記観測対象の温度を測定するマイクロ波放射計であって、前記ベースに固定され、深宇宙から入射する低温校正用マイクロ波を反射して、低温校正位置にある前記一次放射器に前記低温校正用マイクロ波を入射させる低温校正用反射鏡と、前記ベースに固定され、高温校正用マイクロ波を放射し、高温校正位置にある前記一次放射器に前記高温校正用マイクロ波を入射させる高温校正源とを備え、前記高温校正源は、前記高温校正位置にある前記一次放射器に対向する開口部が形成された収容箱と、前記収容箱の内側に設けられた、前記高温校正用マイクロ波を放射する複数の電波吸収体と、前記収容箱の外側を覆った断熱材と、前記収容箱の壁に設けられ、前記壁を加熱する加熱手段と、前記電波吸収体に設けられ、前記電波吸収体の温度を検出する第1の温度センサとを有し、前記一次放射器が受信した前記低温校正用マイクロ波の強度の値と、前記深宇宙の温度の値と、前記一次放射器が受信した前記高温校正用マイクロ波の強度の値と、そのときに前記第1の温度センサによって検出された前記電波吸収体の温度の値とを用いて、前記一次放射器が受信する前記観測用マイクロ波の強度の値から測定される前記観測対象の温度の値を校正する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るマイクロ波放射計によれば、加熱手段が収容箱を加熱することで、この収容箱の内側に設けられた電波吸収体の全体が加熱されるので、電波吸収体の中で温度差が発生することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この実施の形態に係るマイクロ波放射計を示す斜視図である。
この実施の形態に係るマイクロ波放射計は、観測対象である地球表面または大気から放射される観測用マイクロ波を受信し、この観測用マイクロ波の波長分布を測定することにより、水蒸気量、海面水温、海氷密接度等の物理量の分布を算出することを目的とした輝度温度分布測定装置である。
このマイクロ波放射計は、ベースである人工衛星1に回転可能に取り付けられた構体2と、この構体2にトラス構造の連結棒3を介して固定された主反射鏡4と、構体2に固定された一次放射器5と、人工衛星1に固定された低温校正用反射鏡6と、人工衛星1に固定された高温校正源7とを備えている。
構体2は、制御機器および電源機器等を内蔵している。
【0009】
構体2は回転中心軸8を中心に回転し、連動して、主反射鏡4が回転中心軸8を中心に回転し、一次放射器5が回転中心軸8を中心に同心円上を移動する。
主反射鏡4は、地球表面または大気から入射する観測用マイクロ波を反射し、一次放射器5は、主反射鏡4に反射された観測用マイクロ波を受信する。
低温校正用反射鏡6は、深宇宙から入射する低温校正用マイクロ波を反射し、一次放射器5は、低温校正位置にあるときに、低温校正用反射鏡6に反射された低温校正用マイクロ波を受信する。
高温校正源7は、高温校正用マイクロ波を放射し、一次放射器5は、高温校正位置にあるときに、高温校正源7から放射された高温校正用マイクロ波を受信する。
【0010】
図2は図1のマイクロ波放射計の要部を示す断面図である。
高温校正源7は、開口部9aが形成された収容箱9と、この収容箱9の内側に取り付けられた複数の電波吸収体10と、収容箱9の外側を覆った断熱材であるMLI11とを有している。
収容箱9は、構体2側に開口部9aが形成された中空直方体形状であり、反構体2側の面であるトッププレート9bと、側面である4枚の側面プレート9cとから構成されている。
電波吸収体10は、四角錘形状であり、底面がトッププレート9bに固定され、先端部が開口部9aに指向している。
また、電波吸収体10は、誘電体材料から構成されており、不要な電波の反射を抑制する。
【0011】
また、この高温校正源7は、トッププレート9bおよび側面プレート9cのそれぞれの外面に取り付けられた、収容箱9を加熱する複数の加熱手段であるヒータ12と、電波吸収体10の表面に取り付けられた、電波吸収体10の温度を検出する第1の温度センサ13と、トッププレート9bおよび側面プレート9cのそれぞれの外面に取り付けられた、収容箱9の温度を検出する第2の温度センサ14とを有している。
なお、ヒータ12は、トッププレート9bおよび側面プレート9cの少なくとも何れか1つに取り付けられていればよい。
また、第1の温度センサ13は、電波吸収体10の内部に取り付けられてもよい。
ヒータ12および第2の温度センサ14は、構体2に収容された収容箱温度制御部(図示せず)に接続されており、この収容箱温度制御部は、第2の温度センサ14から収容箱9の温度の値が入力され、収容箱9の温度が一定となるように、ヒータ12の駆動を制御する。
また、収容箱温度制御部は、トッププレート9bおよび側面プレート9cのそれぞれの温度を独立して制御することができる。
MLI11は、最表層に、太陽光吸収率の小さい銀蒸着PEI(ポリエーテルイミド)が使用されており、太陽光入射時におけるMLI11の温度上昇を抑制する。
なお、MLI11の最表層は、銀蒸着PEIに限らず、例えば、銀蒸着テフロン(テフロンは登録商標)であってもよい。
MLI11が、収容箱9、ヒータ12および第2の温度センサ14を覆うことにより、太陽光の熱が、収容箱9、ヒータ12および第2の温度センサ14に影響することを抑制し、また、収容箱9、ヒータ12および第2の温度センサ14の熱が深宇宙へ漏れることを抑制する。
【0012】
また、このマイクロ波放射計は、収容箱9の開口部9aに対向して構体2に固定された熱制御パネル15を備えている。
熱制御パネル15は環状に形成されており、構体2が回転することで、熱制御パネル15も回転するものの、熱制御パネル15は常に収容箱9の開口部9aに対向している。
熱制御パネル15の下面には、熱制御パネル15を加熱するヒータ16と、熱制御パネル15の温度を検出する第3の温度センサ17とが取り付けられている。
ヒータ16および第3の温度センサ17は、構体2に収容されたパネル温度制御部(図示せず)に接続されており、このパネル温度制御部は、第3の温度センサ17から熱制御パネル15の温度の値が入力され、熱制御パネル15の温度が一定となるように、ヒータ16の駆動を制御する。
熱制御パネル15は、断熱材から構成されたスペーサ18を介して構体2に固定されている。
これにより、構体2からの温度の影響を低減させて、熱制御パネル15の温度を独立して制御することができる。
熱制御パネル15は、太陽光吸収率が小さく、かつ、赤外放射率の大きい白色塗装で表面処理されており、これにより、太陽光入射時における熱制御パネル15の温度上昇を抑制する。
【0013】
次に、この実施の形態に係るマイクロ波放射計の動作について説明する。
構体2は、回転中心軸8を中心に、1.5秒に一回転の速度で人工衛星1に対して、回転し、連動して、一次放射器5が移動し、主反射鏡4および熱制御パネル15が回転する。
一次放射器5が高温校正位置に移動したときには、高温校正源7から放射された高温校正用マイクロ波を一次放射器5が受信する。
次に、一次放射器5が低温校正位置に移動したときには、低温校正用反射鏡6に反射された低温校正用マイクロ波を一次放射器5が受信する。
マイクロ波放射計は、一次放射器5が受信した高温校正用マイクロ波の強度の値と、そのときに第1の温度センサ13が検出した電波吸収体10の温度の値と、一次放射器5が受信した低温校正用マイクロ波の強度の値と、深宇宙の温度の値とを用いて、観測用マイクロ波の強度の値と、地球表面または大気の温度の値との相関式を算出する。
次に、マイクロ波放射計は、この相関式を用いて、一次放射器5が受信する観測用マイクロ波の強度の値から測定される地球表面または大気の温度の値を校正する。
構体2が一回転する間に、一次放射器5は、観測用マイクロ波、高温校正用マイクロ波および低温校正用マイクロ波のそれぞれを受信するので、一次放射器5が受信する観測用マイクロ波の強度の値から測定される地球表面または大気の温度の値を、1.5秒毎に繰り返し校正することができる。
その結果、測定される地球表面または大気の温度の精度を向上させることができる。
【0014】
以上説明したように、この実施の形態に係るマイクロ波放射計によれば、ヒータ12により高温校正源7の収容箱9の壁が加熱され、この収容箱9の内側に設けられた電波吸収体10の全体が加熱されるので、電波吸収体10の中で温度差が発生することを抑制することができる。
その結果、マイクロ波放射計の校正の精度を向上させることができ、マイクロ波放射計による観測対象の温度の測定の精度を向上させることができる。
実際、本願発明者は、収容箱9の温度を20℃にして、電波吸収体10の温度をほぼ20℃となるように制御することができた。
また、軌道上を模擬した熱解析の結果、電波吸収体10の中での温度差を2℃以下とすることが確認できた。
【0015】
また、第2の温度センサ14が収容箱9の温度を検出し、収容箱温度制御部が、第2の温度センサ14によって検出された収容箱9の温度の値が入力され、収容箱9の温度が一定となるようにヒータ12の駆動を制御するので、収容箱9の温度変化を低減させることができ、マイクロ波放射計の校正の精度を向上させることができる。
【0016】
また、熱制御パネル15が、収容箱9の開口部9aに対向し、収容箱9の内側を加熱しながら、構体2とともに回転するので、電波吸収体10の温度変化を低減させることができる。
【0017】
なお、この実施の形態では、ヒータ12および第2の温度センサ14が収容箱9の外面に取り付けられたマイクロ波放射計について説明したが、勿論このものに限らず、ヒータ12および第2の温度センサ14が収容箱9の内面に取り付けられたマイクロ波放射計であってもよい。
【0018】
また、この実施の形態では、加熱手段として、ヒータ12を例に説明したが、勿論このものに限らない。例えば、ペルチェ素子を用いて収容箱9を加熱してもよい。
【0019】
実施の形態2.
図3は、この実施の形態に係るマイクロ波放射計の要部を示す断面図、図4は、図3の収容箱9および電波吸収体10を示す斜視図である。
この実施の形態に係るマイクロ波放射計は、収容箱9が内側ひさし部9dを含んでいる。
この内側ひさし部9dは、開口部9aの周縁部であって、熱制御パネル15の回転方向に沿った領域に、収容箱9の内側に向かって折曲されて形成されており、先端部が熱制御パネル15の側面に指向している。
その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0020】
この実施の形態に係るマイクロ波放射計によれば、収容箱9に内側ひさし部9dが形成されているので、熱制御パネル15の幅を狭くして小型にすることができる。
その結果、熱制御パネル15から深宇宙への熱の伝達を抑制することができ、ヒータ16で消費される電力を低減させることができる。
【0021】
実施の形態3.
図5は、この実施の形態に係るマイクロ波放射計の要部を示す平面図、図6は、図5の収容箱9および電波吸収体10を示す斜視図、図7は、図5の収容箱9および熱制御パネル15を示す斜視図である。
この実施の形態に係るマイクロ波放射計は、収容箱9が外側ひさし部9eを含んでいる。
この外側ひさし部9eは、開口部9aの周縁部であって、熱制御パネル15の回転方向に交差した領域に取り付けられた、収容箱9の外側に向かって折曲されたL字形状の板である
外側ひさし部9eは、断熱材から構成されたスペーサ19を挟んで締結手段20によって側面プレート9cに固定されている。
これにより、外側ひさし部9eの温度が変化した場合であっても、外側ひさし部9eのから側面プレート9cへの熱の流入出を抑制することができる。
その他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0022】
この実施の形態に係るマイクロ波放射計によれば、収容箱9に外側ひさし部9eが形成されているので、収容箱9と熱制御パネル15との間から、太陽光が直接、電波吸収体10に入射することが抑制され、また、太陽光が熱制御パネル15に反射して、電波吸収体10に入射することが抑制される。
また、この外側ひさし部9eにより、電波吸収体10の熱が深宇宙へ漏れることが抑制される。
その結果、電波吸収体10の温度をより均一にすることができる。
【0023】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4に係るマイクロ波放射計の要部を示す平面図である。
この実施の形態に係るマイクロ波放射計は、熱制御パネル15に、収容箱9の開口部9aに対向可能な孔部15aが形成されている。
この孔部15aには、一次放射器5が挿入されている。
その他の構成は、実施の形態3と同様である。
【0024】
この実施の形態に係るマイクロ波放射計によれば、熱制御パネル15に、一次放射器5が挿入される孔部15aが形成されているので、一次放射器5と熱制御パネル15との間から、太陽光が直接、電波吸収体10に入射することが抑制され、また、電波吸収体10の熱が深宇宙へ漏れることを抑制することができる。
また、熱制御パネル15は、常に、電波吸収体10と対向するので、電波吸収体10の温度の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態1に係るマイクロ波放射計を示す斜視図である。
【図2】図1のマイクロ波放射計の要部を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るマイクロ波放射計の要部を示す断面図である。
【図4】図3の収容箱および電波吸収体を示す斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るマイクロ波放射計の要部を示す平面図である。
【図6】図5の収容箱および電波吸収体を示す斜視図である。
【図7】図5の収容箱および熱制御パネルを示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係るマイクロ波放射計の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 人工衛星(ベース)、2 構体、3 連結棒、4 主反射鏡、5 一次放射器、6 低温校正用反射鏡、7 高温校正源、8 回転中心軸、9 収容箱、9a 開口部、9b トッププレート、9c 側面プレート、9d 内側ひさし部、9e 外側ひさし部、10 電波吸収体、11 MLI(断熱材)、12 ヒータ(加熱手段)、13 第1の温度センサ、14 第2の温度センサ、15 熱制御パネル、15a 孔部、16 ヒータ、17 第3の温度センサ、18 スペーサ、19 スペーサ、20 締結手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに回転可能に設けられる構体と、
前記構体に連結体を介して固定され、観測対象から入射する観測用マイクロ波を反射する主反射鏡と、
前記構体に固定され、前記構体が回転するとともに移動して、前記主反射鏡に反射された前記観測用マイクロ波を受信する一次放射器とを備え、
前記一次放射器が受信した前記観測用マイクロ波の強度の値を用いて前記観測対象の温度を測定するマイクロ波放射計であって、
前記ベースに固定され、深宇宙から入射する低温校正用マイクロ波を反射して、低温校正位置にある前記一次放射器に前記低温校正用マイクロ波を入射させる低温校正用反射鏡と、
前記ベースに固定され、高温校正用マイクロ波を放射し、高温校正位置にある前記一次放射器に前記高温校正用マイクロ波を入射させる高温校正源とを備え、
前記高温校正源は、
前記高温校正位置にある前記一次放射器に対向する開口部が形成された収容箱と、
前記収容箱の内側に設けられた、前記高温校正用マイクロ波を放射する複数の電波吸収体と、
前記収容箱の外側を覆った断熱材と、
前記収容箱の壁に設けられ、前記壁を加熱する加熱手段と、
前記電波吸収体に設けられ、前記電波吸収体の温度を検出する第1の温度センサとを有し、
前記一次放射器が受信した前記低温校正用マイクロ波の強度の値と、前記深宇宙の温度の値と、前記一次放射器が受信した前記高温校正用マイクロ波の強度の値と、そのときに前記第1の温度センサによって検出された前記電波吸収体の温度の値とを用いて、前記一次放射器が受信する前記観測用マイクロ波の強度の値から測定される前記観測対象の温度の値を校正することを特徴とするマイクロ波放射計。
【請求項2】
前記高温校正源は、
前記収容箱に設けられた、前記収容箱の温度を検出する第2の温度センサと、
前記第2の温度センサから前記収容箱の温度の値が入力され、前記収容箱の温度が一定となるように、前記ヒータの駆動を制御する制御部とをさらに有したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波放射計。
【請求項3】
前記収容箱の前記開口部に対向して前記構体に固定され、前記収容箱の内側を加熱しながら、前記構体とともに回転する熱制御パネルをさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマイクロ波放射計。
【請求項4】
前記収容箱は、前記開口部の周縁部であって、前記熱制御パネルの回転方向に沿った領域に、前記開口部より内側に向かって折曲した内側ひさし部を含んでいることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波放射計。
【請求項5】
前記収容箱は、前記開口部の周縁部であって、前記熱制御パネルの回転方向に交差した領域に、前記開口部より外側に向かって折曲した外側ひさし部を含んでいることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のマイクロ波放射計。
【請求項6】
前記熱制御パネルには、前記収容箱の前記開口部に対向可能な孔部が形成されており、前記孔部には前記一次放射器が挿入されていることを特徴とする請求項3ないし請求項5の何れか1項に記載のマイクロ波放射計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−107458(P2010−107458A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281940(P2008−281940)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【Fターム(参考)】