説明

マイクロ流体デバイスにおける液滴の蒸発制御方法

【課題】マイクロ流体デバイスにおいて、場合により液滴中に存在する分析物の濃度を増加することができる、液滴の蒸発制御方法を提供する。
【解決手段】マイクロ流体デバイスの2つの壁の間に置かれ、第1の液体と非混和性の第2の液体によって囲まれる、前記第1の液体の液滴の蒸発制御方法であって、前記壁の間に存在する前記液滴及び/又は気泡を互いに、前記液滴を前記気泡中に蒸発可能に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的利用及び/又は生物学利用のための、マイクロ流体デバイスにおける液体サンプル調整の分野に関する。
【0002】
液体サンプルは、液滴として発生し、クローズ型又はコンファイン型のマイクロ流体デバイスに置かれる。より正確に言えば、液滴は、デバイスの2つの壁の間に位置付けられ、液滴と非混和性の液体によって囲まれる。
【0003】
本発明は、このようなマイクロ流体デバイスに置かれた液滴の蒸発制御方法に関する。
【0004】
液滴は、分析物、例えば、高分子、セル、オーガニート(organites)、病原体、又は挿入剤等の、化学的及び/又は生物学的粒子を含有する。
【0005】
このような場合、本発明はまた、液滴中の分析物の濃度を増加する方法に関する。
【背景技術】
【0006】
多くの技術分野において、特に、液滴に含み得る分析物の濃度を知るために、液体サンプルを分析しようとすることが度々起こる。
【0007】
特に、診断、農業食品追跡、又は環境モニタリングの分野において起きる。
【0008】
これに対して、いわゆる「lab-on-chip」型マイクロ流体デバイスが用いられ、非常に小さな液体体積を効果的に扱うことができる。
【0009】
従って、マイクロ流体デバイスの同じサポート上で、相対的に短い時間で、体積が小さなサンプルや試薬を使用して、液滴の分析工程をすべて実施することができる。
【0010】
これらの分析工程はしばしば、分析物の検出や液滴中の分析物の測定の前に、液滴中の分析物の濃度を増加する工程を含み、公知の分析手段により効率的かつ正確な検出をする。
【0011】
例として、出願人を代表とする特許文献1(FR 2 887 983)には、液滴中に存在する分析物の濃度を増加することができるマイクロ流体デバイス及び方法が開示されている。
【0012】
図1及び図2に示されるように、このマイクロ流体デバイスは、液滴として液体サンプル2が自身の上に置かれる基板10を含む。液滴2は最初の濃度で分析物を含有する。液滴2は液滴体積を減少させるために蒸発が実施され、分析物の濃度を増加する。従って、分析物の検出及び分析が改善される。
【0013】
基板10は独立した電極12のアレイを備え、液滴2は電極12の上にサスペンドされた対向電極12と接触する(図2)。液滴2は、疎水性層13で覆われた誘電体層14によって電極12と分離される。液滴2はさらに、気体によって囲まれる。
【0014】
引き続き、電極12を作動させることによって、液滴2を基板10上のエレクトロウェッティング、すなわち、電極12のアレイと対向電極22との間の電界の適用により液滴2のぬれ角を変化させることによって移動させる。
【0015】
基板10上を移動するとき、液滴2が基板10上に静止したままのときよりも高い蒸発率で、液滴2は周囲気体中に蒸発する。
【0016】
従って、液滴の体積は、蒸発によって減少する。
【0017】
液滴2が分析物を含有するとき、分析物の濃度は液滴体積が減少するに従い増加する。
【0018】
本マイクロ流体デバイスは、液滴が単一基板上にあり、液体ではなく気体によって囲まれる限りにおいて、いわゆる「オープン型」デバイスである点で注目に値する。
【0019】
従って、このデバイスは、液滴が2つの平行な壁の間に置かれ、又は一様に閉じ込められ、そして液滴の液体と疎水性の液体によって囲まれる、「クローズ型」又は「コンファイン型」のマイクロ流体デバイスとは相違する。
【0020】
2つの壁の間に密閉された液滴とは、液滴が前記壁と接触することを意味する。液滴の厚さは、2つの壁の間の距離によって定義され、液滴の直径よりも小さい。
【0021】
図3は、「クローズ型」又は「コンファイン型」の例示的なマイクロ流体デバイスを示す。
【0022】
液滴2は、2つの平行な疎水性の壁11,21の間に閉じ込められる。壁11,21は、互いに面する下部基板10の表面と上部基板20の表面によって形成される。
【0023】
下部基板10は、図2に記載されたデバイスの基板と類似又は同一である。下部基板10は、独立に作動可能な電極12のアレイを備える。電極12のアレイは、誘電体層14と第1の疎水性層13とで覆われている。上部基板20は、第2の疎水性層23で覆われる対向電極22を備える。
【0024】
液滴2は、液滴2の液体と疎水性の周囲の液体3によって囲まれる。
【0025】
液滴移動の原理は、オープン型マイクロ流体デバイスに関して上述した原理と同じである。
【0026】
クローズ型又はコンファイン型の他の例示的なマイクロ流体デバイスは、非特許文献1の論文に見出すことができる。
【0027】
上述のような、液滴の蒸発によって体積を減少し、そして液滴中に存在する分析物の濃度を増加する方法は、クローズ型又はコンファイン型のマイクロ流体デバイスに用いられることがないようである。
【0028】
実際、このようなデバイスにおいて、液滴は、液滴の蒸発を妨げ、従って液滴体積の制御された減少を妨げる、例えば、シリコン油等の疎水性の液体により囲まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2887983号明細書
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Pollack et al. entitled “Electrowetting-based actuation of droplets for integrated microfluics”, Lab Chip, 2002, 2 (1), 96-101
【非特許文献2】Berge entitled “Electrocapillarite et mouillage de films isolants par l’eau” C.R. Acad. Sci., 317, series 2, 1993 157-163
【非特許文献3】Mugele et Baret entitled “Electrowetting: from basics to applications”, J. Phys. Condens. Matter, 17 (2005), R705-R774)
【非特許文献4】Baviere et al. entitled “Dynamics of droplet transport induced by electrowetting actuation”, Microfluid Nanofluid, 4, 2008, 287-294
【発明の概要】
【0031】
本発明の目的は、クローズ型又はコンファイン型のマイクロ流体デバイスに置かれた液滴の蒸発制御方法を提供することである。
【0032】
そのために、本発明の一の目的は、マイクロ流体デバイスの2つの壁の間に置かれ、第1の液体と疎水性の第2の液体によって囲まれた、第1の液体の液滴の蒸発制御方法を提供することである。
【0033】
本発明によれば、2つの壁の間に存在する液滴及び/又は気泡が互いに、液滴が気泡の中で蒸発可能に接触する。
【0034】
本明細書では、蒸発によって、気泡中の気相に液滴の液相の自然転換が起こることを意味する。従って、これは自然転換として記載され得る。
【0035】
従って、本発明の範囲内では、気泡の気体は、第1の液体の飽和蒸気圧よりも実質的に低い第1の液体の蒸気の分圧を有し、液滴と気泡が互いに接触するとき、気泡中に第1の液体の自然転換がある。
【0036】
気泡と液滴との間で直接接触する点、すなわち、気泡と液滴とが第1の液体とその上の気泡との境界を示す界面を形成する点で注目に値する。従って、液滴の液体は気泡と直接接触する。
【0037】
第2の液体の薄膜が気泡と液滴の間に存在するため、気泡と液滴との間の接触は直接でなくともよい。しかしながら、「気泡/第2の液体」の界面と「液滴/第2の液体」の界面との間の第2の液体のこの薄膜の最小厚みは、気泡中の液滴の第1の液体の自然蒸発を妨げないほど十分に薄い。第2の液体のこの薄膜の最小厚みは、第2の液体への液滴の第1の液体の分子の中間拡散距離と同程度又はそれよりも小さい大きさである。従って、自然蒸発は、第2の液体のこの薄膜の存在にも関わらず、効果的である。
【0038】
本発明はまた、マイクロ流体デバイスの2つの壁の間に置かれ、第1の液体と疎水性の第2の液体のよって囲まれる第1の液体の液滴に存在する分析物の濃度を増加する方法に関する。
【0039】
本発明によれば、液体の蒸発制御方法は、蒸発による液滴体積の減少が液滴中の分析物の濃度の増加を引き起こす、上記の特徴に従って実行される。
【0040】
気泡中の液滴の蒸発中、液滴の体積は有利に測定される。
【0041】
気泡中の液滴の蒸発中、気泡が最初の体積よりも小さな所定の体積を有すると、気泡中の液滴の蒸発を抑えるように、液滴及び/又は気泡は有利に互いに離れる。
【0042】
最初の体積は、蒸発工程前の液滴体積を意味する。
【0043】
気泡中の液滴の蒸発中、気泡中の液滴の蒸発率を増加するように、気泡及び場合により液滴を加熱することができる。
【0044】
蒸発率は、単位時間当たりの、気泡中の蒸発した液滴の第1の液体の量を意味する。
【0045】
気泡及び場合により液滴は、50℃と液滴の第1の液体の沸点との間の温度、好ましくは70℃〜95℃の間の温度にすることができる。
【0046】
本発明の第1の実施形態によれば、液滴は、電気コマンドの影響下で、エレクトロウェッティングによって気泡と接触させられる。
【0047】
従って、第1の液体及び第2の液体の一方は導電性があり、他方は誘電性がある。好ましくは、第1の液体は導電性で、第2の液体は誘電性がある。
【0048】
本発明の第2の実施形態によれば、液滴は、電気コマンドの影響下で、液体の誘電泳動によって気泡と接触させられる。
【0049】
従って、第1の液体及び第2の液体は互いに異なる誘電係数を有する。
【0050】
本発明の第3の実施形態によれば、前記気泡は、気泡を加熱することによって、気泡の熱膨張により液滴と接触させられる。
【0051】
実質的に蒸発工程で、気泡は、前記壁のいずれかで準備されたポートを介して、前記壁によって仕切られた空間に排出され得る。
【0052】
蒸発工程の前に、気泡は前記壁のいずれかで準備されたポートによって、前記壁の間に導入され得る。
【0053】
本発明はまた、2つの壁、その間に第1の液体の液滴が置かれて、第1の液体と疎水性の第2の液体によって囲まれる2つの壁を含むマイクロ流体デバイスに関する。
【0054】
本発明によれば、マイクロ流体デバイスは、前記壁の間に存在する前記液滴及び/又は気泡の移動手段を含む。前記移動手段は前記液滴及び/又は気泡を互いに接触させることができ、前記接触により液滴が気泡の中で蒸発することができる。
【0055】
好ましくは、液滴及び/又は気泡の移動手段は、気泡中の液滴の蒸発を抑えるように、液滴及び/又は気泡を互いから離れるように移動させることができる。
【0056】
有利には、マイクロ流体デバイスは液滴体積の測定手段を含む。
【0057】
好ましくは、マイクロ流体デバイスは、気泡中の液滴の蒸発中に蒸発率を増加するように、気泡及び場合により液滴を加熱する加熱手段を含む。
【0058】
加熱手段は、気泡及び場合により液滴の近くに設けられた電気抵抗、及び/又は、電磁放射線の放出手段を備えることができる。
【0059】
気泡及び/又は液滴の移動手段は、エレクトロウェッティング又は液体の誘電泳動によって、液滴の電気的移動手段を備えることができる。
【0060】
気泡及び/又は液滴の移動手段は、代替として、気泡の熱膨張を保証するように、気泡を加熱する加熱手段を備えることができる。
【0061】
マイクロ流体デバイスはまた、壁のいずれか一方を介して気泡を導入及び/又は排出する手段を含むことができる。
【0062】
さらに、本発明の有利な点及び特徴は、以下の非制限的な詳細な説明において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】液滴の体積を蒸発により減少することができる従来技術のオープン型マイクロ流体デバイスの概略平面図。
【図2】図1のオープン型マイクロ流体デバイスの長手方向部分断面図。
【図3】従来技術のクローズ型又はコンファイン型のマイクロ流体デバイスの長手方向概略断面図。
【図4】本発明の実施形態のクローズ型又はコンファイン型のマイクロ流体デバイスの長手方向概略部分断面図。
【図5】図4のマイクロ流体デバイスの平面図。
【図6】気泡の熱膨張により液滴に移動することを示す、本発明の他の実施形態のマイクロ流体デバイスの部分平面図。
【図7】気泡の熱膨張により液滴に移動することを示す、本発明の他の実施形態のマイクロ流体デバイスの部分平面図。
【図8】気泡の熱膨張により液滴に移動することを示す、本発明の他の実施形態のマイクロ流体デバイスの部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の実施形態は、非制限的な実施例により、添付図面を参照して以下に説明される。
【0065】
図4及び図5に、液滴の制御された蒸発と、場合により液滴中に存在する分析物の濃度の増加とを可能にする、本発明の第1の実施形態のマイクロ流体デバイス1が説明される。
【0066】
明確にするために、スケールは重視されないことに留意されたい。
【0067】
以下の説明において、動詞「覆う(cover)」、「置かれる(be located on)」及び「設けられる(be provided on)」は必ずしも直接接触することを意味しない。従って、材料又は液体を、材料と壁の間で直接接触することなく、壁に供給することができる。従って、中間材料が存在することができる。用語「直接(directly)」は上述の動詞とともに使用されるとき、直接接触する。
【0068】
本発明のマイクロ流体デバイス1は、第1の液滴2と気体の気泡4とが、その間に置かれる、又は一様に密閉される2つの壁11,21を備える。
【0069】
以下の説明全体において、慣例により、図1に示され直交座標(X,Y,Z)の正の正規基準座標系が使用される。平面(X,Y)は壁11,21と平行であり、Z方向は壁11,21に対して直角である。
【0070】
明細書において、用語「下部」及び「上部」は、基準座標系のZ方向に従った位置付けである。
【0071】
密閉されるとは、液滴2及び気泡4の各々が2つの壁11,21と同時に接触するときを意味する。液滴2及び気泡4は、液滴2及び気泡4の径より実質的に大きい厚さを有し得る。明細書において、液滴2及び気泡4の厚さは、2つの壁11,21の間の距離によって定義される。
【0072】
液滴2及び気泡4は、第1の液体と疎水性の第2の液体3によって囲まれる。
【0073】
従って、壁11,21によって境界が示される空間は、第2の液体3で満たされ、液滴2及び気泡4を備える。
【0074】
マイクロ流体デバイス1は、気泡4及び/又は液滴2が互いに接触することをもたらすことが可能な、気泡4及び/又は液滴2の移動手段を備える。接触により、液滴2を気泡4中で蒸発させることができる。
【0075】
図4及び図5に示された実施形態によれば、移動手段は、エレクトロウェッティング、より正確には誘電体上のエレクトロウェッティング(EWOD)によって、液滴2の気泡4への移動を保証する。
【0076】
マイクロ流体デバイス1は、互いに面する、下部基板10と、キャップを形成する上部基板20とを備える。
【0077】
下部基板10は、互いに独立して作動する電極12のアレイを含む。
【0078】
電極12のアレイは、誘電体層14と、疎水性層13とにより覆われる。疎水性層13の自由表面(free surface)は、マイクロ流体デバイス1の2つの壁11,21の壁11を形成する。
【0079】
キャップ20は、第2の疎水性層23で覆われた対向電極22を備える。第2の疎水性層23の自由表面はマイクロ流体デバイス1の2つの壁11,21の第2の壁21を形成する。
【0080】
疎水性層13,23の疎水性とは、液滴2が、動かない、すなわち、液滴2の下に位置付けられた電極12が作動していないとき、疎水性層と90°よりも大きい接触角を有するということを意味する。
【0081】
液滴2の第1の液体は導電性があり、第2の液体3は誘電性がある。液滴2は、第2の液体3と界面を形成する。
【0082】
電極12及び対向電極22は、電圧Uを電極間に印加することができる電圧源に接続される。
【0083】
界面に面する電極12が作動されると、スイッチ手段を用いて、コマンドコンダクタを介してスイッチ手段を閉鎖することにより電極12と電圧源との間を接続し、電圧下の一連の液滴2、誘電体層14、及び作動した電極12がキャパシタンスとして機能する。
【0084】
非特許文献2に示されたように、液体の界面に接触角θは以下の関係式で表現される。
【数1】

ここで、eは誘電体層14の厚さであり、εrは誘電体層14の誘電率であり、σは第1の液体の界面の表面張力である。
【0085】
バイアス電圧Uが交流であるとき、バイアス電圧の周波数がカットオフ周波数よりも実質的に小さい範囲で、第1の液体は導体として機能する。特に液体の導電性に依存するカットオフ周波数は通常、20〜30KHzのオーダーである(例えば、非特許文献3)。加えて、液体の流体力学的応答時間に対応する周波数よりも好ましくは実質的に大きい周波数は、例えば表面張力、粘度、又は2つの壁11,21の間の距離等の物理的パラメータに依存し、20〜30Hz又は数百Hzのオーダーである。そして、上述の関係に従って、接触角が電圧U2によって決まるので、液体の応答は電圧の二乗平均平方根によって決まる。
【0086】
そして、非特許文献4で説明されるように、接触ラインの近場で界面に機能する静電圧が起きる。そして、引き続き電極12を作動することによって、疎水性の表面13上で液滴2をステップ状に気泡4に移動させることできる。
【0087】
気泡4は液滴2の移動によって実質的に影響されず、実質的に移動しないということに留意されたい。
【0088】
電極12が実際に2次元で直線的に設けられるので、液滴2の取り扱いは平面に置かれ、従って、液滴に対する移動平面を定義する(図5)。従って、電極2は液体サンプルタンク5、試薬タンク6、及び液滴排出ウェル7と接続する流体経路を形成する。
【0089】
マイクロ流体デバイス1は、液滴2が気泡4と接触するとき、気泡4の気体温度及び場合により液滴2の第1の液体の温度を上昇するために、気泡4及び場合により液滴2を加熱する手段30を備える。気泡4が加熱されると、蒸発率が減少する。さらに、飽和蒸気圧の値がより高いとき、気泡4中で蒸発し得る第1の液体の量は増加する。
【0090】
加熱手段30は、気泡4及び場合により液滴2を加熱することができるように設けられる、ジュール効果の電気抵抗を備えることができる。
【0091】
加熱手段30はまた、ペルチェ効果の熱電モジュールを備えることができる。
【0092】
加熱手段30は、基板10,20のいずれか一方と接触し、又は離れて設けられることができる。
【0093】
加熱手段30はまた、例えば赤外線等の電磁放射線の放出手段を備えることができる。この場合、放射線は、前記波長の放射線には実質的に透明である基板を通過する。
【0094】
デバイス1はまた、気泡中及び/又は液滴中の温度を測定することができる制御手段(図示せず)を備えることができる。これは、例えば、基板と接触して、好ましくは気泡又は液滴の近場に設けられた温度プローブであってもよい。このプローブは測定された温度の関数として、加熱手段を駆動する。駆動はPID(proportional-plus-integral-plus-derivative)型であってもよい。
【0095】
マイクロ流体デバイス1は液体の液滴2の体積の測定手段40を備える。
【0096】
測定手段40は、ダイレクトライト型(direct light type)光学顕微鏡を含むことができる。好ましくは、観察は、キャップ20が透明な場合、キャップ20を介して実行される。
【0097】
測定手段40は、実行された一連の画像を後処理及び分析するために、ショット管理及びデータ記憶ユニットを備える。
【0098】
従って、画像は、リアルタイムでデジタル化され、液滴のアウトラインが画像処理ソフトウェアを用いて後処理で検出される。そして、計算手段により液滴の体積を推定することができる。
【0099】
制御手段(図示せず)、例えば、スイッチ手段の接続するPC型コンピュータは、電極12を一つずつ制御又は作動することができる。
【0100】
制御手段はまた、加熱手段30と、温度制御手段と、液滴体積の測定手段40とに接続される。
【0101】
従って、ユーザは、液滴2の気泡4への移動を制御でき、気泡4中での液滴2の蒸発を速め又は遅くすることができ、液滴2の体積を的確に制御することができる。この制御は、液滴及び気泡の近場で、又は上述の加熱手段で作動することによって実行される。
【0102】
下部基板10又はキャップ20は、壁11,21のいずれか一つを通過し、開口する少なくとも一つのポート31を含むことができる。
【0103】
このポートにより、気泡が、デバイスの壁の間に導入され、及び/又は、デバイスから除去され得る。
【0104】
ポートは、気泡生成手段、例えば、ガスタンクや、タンクの加圧手段に接続され得る。タンクとデバイスとの間の接続は、ポート31を通過する針によって確保され得る。ポート31は隔壁によってシールされる。
【0105】
ポート31はまた、気泡4のすべて又は一部が除去されることが望まれるとき、マイクロ流体デバイス1を囲む外気に接続される。
【0106】
気泡が導入又は除去されることが望まれないとき、ポート31はシールされることが好ましい。
【0107】
ポート31により、気泡4に含まれる気体が排出されることができるとき、ポート31はベントとして機能する。このポートは、気泡4中に存在する気体のすべて又は一部がデバイスの外側に排出することができるように、2つの基板10,20の間で密閉された空間と、デバイス外側の媒体との間の連絡を保証する。
【0108】
ポート領域は、非混和性流体が排出されることを防ぐのに十分小さい。例えば、ポート径は、デバイスの外側で媒体を構成する気体中で、非混和性液体3のキャピラリー長よりも小さくし得る。一般的に、この径(非円形のポート31の場合、最大幅)は、100μm〜5mmの間が好ましく、より好ましくは、100μm〜1mm、例えば、500μmである。
【0109】
気泡4は、液滴2によって押されることによりポートに面しながら、移動され得る。液滴2は移動手段、例えば、エレクトロウェティングによって移動される。従って、気泡4は、液滴2の一部の蒸発の影響下で成長した後、その体積が減少するまで、ポートと接触させられ得る。
【0110】
代替案によれば、液滴2と接触するように置かれると、気泡4の体積の増加によって、気泡がポート31と接触可能となる。
【0111】
ポート31の存在は気泡4のサイズの調整手段であることがわかる。従って、ベントとして機能するこのようなポートの存在は、実施形態すべてで望ましい。
【0112】
気泡4はまた、2つの壁11,21の間に第2の液体3の事前導入の間、形成されることに留意されたい。実際に、気泡4は、一方では、壁11,21によって形成されたコーナーで、そして、他方では、1又は2つの隣接する側壁で生成される。このため、第2の液体3を導入する前、デバイスに不完全真空、例えば、0.1mbarが与えられ、そして、第2の液体3、例えば、オイルで満たされる。充填は大気圧で実行される。従って、オイル3は、最初に形成された不完全真空を置換する。この真空は不完全なので、気泡4はデバイスのコーナーに形成され得る。
【0113】
下部基板10及びキャップ20は、透明材料、例えば、ガラス又はポリカーボネートで作られるのが好ましい。
【0114】
間隔くさびにより、2つの基板10,20が離間されることができる。間隔くさびは、Ordyl型写真現像型ドライフィルムで作られるのが好ましい。
【0115】
下部基板10と上部基板20との間の空間は通常、10μm〜500μmの間であり、好ましくは50μm〜100μmである。
【0116】
電極12及び対向電極22は、基板上に、材料、好ましくは透明材料、例えば、ITOを蒸着することにより作成される。導電層は、スプレーされ、又は、ゾルゲル法で形成され得る。従って、適切なパターンに従って、例えば、ウェットエッチングによってエッチングされる。
【0117】
電極12の厚さは10nm〜1μmの間であり、好ましくは300nmである。電極12は、側辺の長さが数μm〜数mmの間、好ましくは50μm〜1mmの間である四角形であることが好ましい。電極12の領域は、運ばれる液滴のサイズにより決定される。隣り合う電極の間の空間は、1μm〜10μmの間であることが好ましい。
【0118】
誘電体層14は、一般に100nm〜1μmの間、好ましくは300nmの厚さの窒化ケイ素(Si)層を蒸着することに形成される。プラズマ化学気相成長法(PECVD)は、熱による理由のため、低圧化学蒸着(LPCVD)が好ましい。実際、基板の温度は、LPCVD蒸着で約750℃であるのに対して、(所望の特性により決定される)150℃〜350℃の間である。
【0119】
疎水性層13,23は、下部基板10及び上部基板20上に、テフロン(登録商標)、SiOC、又は、パリレンの真空蒸着によって得られる。疎水性層13,23は、特に、ぬれ角のヒステリシス効果を、減少又は一様に防ぐことができる。疎水性層の厚さは通常、100nm〜5μmの間、好ましくは1μmである。
【0120】
気泡を導入及び/又は排出するポート31は、100μm〜2mmの間の径を有することができる。
【0121】
第1の液体は、導電性であり、水又は生理食塩水であってもよい。
【0122】
第2の液体は、誘電性であり、第1の液体と非混和性である。例えば、鉱油又はシリコン油である。
【0123】
液滴及び気泡は、0.1ナノリットル〜1マイクロリットルの間の体積を有することができる。気泡の気体は空気であってもよい。
【0124】
本発明の第1の実施形態のマイクロ流体デバイスの作動は、以下の通りである。
【0125】
図4に示されるように、気泡4は、マイクロ流体デバイス1の2つの壁11,21の間に存在する。
【0126】
気泡4は、壁11,21の間への第2の液体3の導入の間に形成され、又は、適当な手段によって導入され得る。
【0127】
液滴2はまた、2つの壁11,21の間に存在する。液滴2は、液滴2が自然蒸発しないように、気泡4から離れ、第2の液体3によって囲まれる。
【0128】
エレクトロウェッティングによって、引き続いて、電極12を作動することによって、液滴2を移動し、液滴2を気泡4と接触させる。接触により、液滴2が気泡4中に自然蒸発することができる。
【0129】
従って、液滴2は、気泡4と直接接触し得る。液滴2の界面の一部は、液滴2の第1の液体と気泡4の気体との境界を示すことによって定義される。
【0130】
この界面の一部では、液滴2の第1の液体が、気泡4の気体中に、自然に蒸発する。
【0131】
自然蒸発が発生するためには、気泡4の気体は、第1の液体の飽和蒸気圧よりも実質的に低い第1の液体の蒸気分圧を有する。
【0132】
しかしながら、第2の液体3の薄膜は、液滴2を気泡4中に蒸発するのを妨げることなく、液滴2を気泡4から分離することに留意されたい。
【0133】
この場合、この薄膜は、「気泡/第2の液体」の界面と、「液滴/第2の液体」の界面との間の最小厚さを有する。
【0134】
この薄膜の存在に関わらず、気泡4中で液滴2の自然蒸発が起きるためには、最小厚さは、第2の液体3中の液滴2の第1の液体の分子の平均拡散距離とほぼ同程度、又はより小さい。
【0135】
特に、この厚さは、第2の液体3と液滴2の薄膜の局所的温度により決定される。実際、中間拡散距離は、分子撹拌によって、温度とともに増加する。
【0136】
例として、オイル中の水の分子拡散率は、10−10/sと同程度である。従って、第2の液体の薄膜を介した第1の液体の分子の特徴的な拡散距離は、特性時間1sに対して、10μmと同程度である。
【0137】
また、液滴2と気泡4の間の第2の液体3の最小薄膜厚さは、100μmと同等又はそれよりも小さく、例えば、100μmと1nmの間、好ましくは10μmと1nmの間、さらに好ましくは1μmと1nmの間であることが可能である。
【0138】
従って、液滴2及び気泡4が互いに接触するとき、第2の液体3の薄膜を持っていようといまいが、液滴2は気泡4中に自然蒸発する。
【0139】
蒸発工程の間、気泡4及び場合により液滴2を室温より高温にするように、気泡4及び場合により液滴2は加熱され得る点で注目に値する。従って、気泡中の液滴の蒸発率は、増加する。さらに、飽和蒸気圧の値も増加するので、気泡4中に蒸発し得る第1の液体の量はより多くなる。
【0140】
しかしながら、温度は、液滴2の沸点よりも低いままである。
【0141】
液滴2及び気泡4の場合、温度は、25℃〜95℃の間、好ましくは50℃〜95℃の間、さらに好ましくは70℃〜95℃の間である。気泡中の液滴の蒸発は、液滴の温度が上昇するよりもかなり速い。
【0142】
従って、液滴2の体積は、リアルタイムで測定される。より正確には、液滴2の一連の画像は記録され、これらの画像はデジタル化され、液滴2のアウトラインが処理ソフトウェアによって検出される。そして、液滴2の体積がそれらから推定される。
【0143】
液滴2の体積が蒸発工程の前に定義された最初の体積よりも小さい所定の値に減少したとき、液滴2は、エレクトロウェッティングにより気泡4から実質的に離れて移動し、気泡4中の液滴2のさらなる蒸発を防ぐ。
【0144】
液滴2は分析物を含む場合、液滴2中の分析物の濃度は、蒸発によって、液滴2の体積の減少により増加する。
【0145】
分析物が蛍光剤でラベルされると、液滴2の分析物の濃度が増加するので、蛍光シグナルは強度が増加する。分析物の検出はより精確になる。
【0146】
この方法により、液滴2が制御された正確な方法で蒸発させることができ、従って、液滴の体積を減少し、場合により液滴2中に存在する分析物の濃度を増加することができる点に留意されたい。
【0147】
液滴2及び気泡4が実質的に互いに離れ、さらなる蒸発を防ぐとき、液滴2は一定体積を維持する。従って、場合により存在する分析物の濃度も一定である。
【0148】
次に、本発明の第2の実施形態のマイクロ流体デバイス(図示せず)を説明する。
【0149】
本実施形態は、互いに接触する気泡4及び/又は液滴2の移動手段に関してのみ、第1の実施形態と相違する。
【0150】
本実施形態によれば、移動手段は、液体の誘電泳動によって液滴2を移動するのに適し、従って、液滴2を気泡4と接触させ、そして、気泡4から離させることができる。
【0151】
液滴2の第1の液体及び第2の液体3は、導電性又は絶縁性である。しかしながら、それらは、互いに異なる誘電係数を有する。
【0152】
液体の誘電泳動(LDEP)は、電気的に絶縁性又は導電性の液体、本明細書では液滴の第1の液体の電気力、本明細書では不均一な周期的に振動する電界によって生成される電気力の利用を意味する。
【0153】
液滴2の第1の液体は、第2の液体3の誘電係数よりも実質的に大きい誘電係数を有する。
【0154】
液滴2は電界に置かれると、第1の液体の分子が、非ゼロの双極子を得て、分極する。電界は不均一なので、クーロン力が生じ、液体の分子の移動を引き起こす。従って、液滴全体のすべてが最大電界に向かう移動を引き起こす。
【0155】
下部基板10は、エレクトロウェッティングに関して、基板10の平面に1又は2次元の電極のアレイを備え、そして、液滴2用の流体経路を画定する。下部基板10はまた、1又は2次元に延び、そして液滴2用の流体経路を画定する、電極の一つのアレイではなく、互いに平行な2つの電極を備える。
【0156】
電極は、第1の液体及び第2の液体が導電性があるか否かにより、誘電体層で覆われ得る。
【0157】
疎水性層は、第1の基板を覆い、従って、マイクロ流体デバイスの2つの壁の一方を画定する。
【0158】
デバイスの2つの壁の他方は、キャップの疎水性層によって形成される。キャップは、対向電極を備えなくともよい。
【0159】
第1の基板の2つの平行な電極の間に印加される電圧は、例えば、数kHz〜数MHzの間、例えば、10kHz〜10MHzの間や10kHz〜100kHzの間の周波数で、2〜3の二乗平均平方根(RMS)のボルトから200〜300の二乗平均平方根のボルトの優先電圧の交流電圧である。
【0160】
従って、液滴は、液滴を気泡中に蒸発させることができる、気泡との接触を行うことができない。
【0161】
液滴体積を減少し、場合により液滴中に存在する分析物の濃度を増加する方法は、第1の実施形態を参照して説明された方法と同じである。
【0162】
次に、本発明の第3の実施形態のマイクロ流体デバイスを説明する。
【0163】
本実施形態は、互いに接触する気泡及び/液滴の移動手段に関してのみ、第1の実施形態と相違する。
【0164】
本実施形態によれば、移動手段(図示せず)は、気泡の熱膨張によって、気泡を液滴と接触させるように構成される。
【0165】
本実施形態によれば、デバイスがベントとして機能するポート31を有し、非混和性液体3が誘電泳動力を受けると、非混和性液体3によって押されることにより気泡を移動することができる。
【0166】
液滴体積を減少し、場合により液滴中に存在する分析物の濃度を増加する方法は、第1の実施形態を参照して説明された方法と同じである。
【0167】
図6〜図8は、気泡の熱膨張により液滴に移動する実施例を示す、マイクロ流体デバイスの部分平面図である。
【0168】
これらの図は、第2の液体3に置かれた液滴2及び気泡4を示す。
【0169】
液滴2は、蛍光剤でラベルされた分析物を備える。液滴2は、蛍光剤からもたらされる蛍光シグナルによって図に位置付けられる。
【0170】
従って、気泡4を加熱することによって(図6)、気泡の体積は増加し、気泡の界面の一部が液滴2に向かって移動する(図7)。
【0171】
移動手段は気泡4全体を所定の方向に移動することができない点で、注目に値することに留意されたい。気泡4の重心速度は実際に、実質的にはゼロのままである。重心速度は、気泡4の重心の速度を意味する。
【0172】
移動手段は、気泡4及び場合により液滴2を加熱するように設けられるジュール効果電気抵抗を備え得る。
【0173】
移動手段はまた、ペルチェ効果熱電モジュールを備え得る。
【0174】
加熱手段は、基板のいずれか一方と接触し又は離れて、設けられることができる。
【0175】
加熱手段はまた、電磁放射線、例えば、赤外線の放出手段を備え得る。この場合、放射線は、放射線の波長に対して実質的に透明な基板を通過する。
【0176】
デバイスはまた、気泡中及び/又は液滴中の温度を測定することができる制御手段、例えば、上述したような加熱手段に接続する温度プローブを備え得る。
【0177】
従って、移動手段は、気泡4の一部を液滴2を接触させることができる(図8)。接触により、液滴2を気泡4中に蒸発させることができる。
【0178】
従って、蒸発によって液滴2の体積を減少することにより、液滴2中の分析物の濃度を増加する。
【0179】
これにより、液滴2中の分析物の濃度が増加するので、蛍光シグナルの増加した強度がもたらされる。分析物の検出がより精確に行われる。
【0180】
言うまでもなく、当業者であれば、非制限的な実施例により容易に、説明した発明の様々な変形を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体デバイス(1)の2つの壁(11,21)の間に置かれ、第1の液体と非混和性の第2の液体(3)によって囲まれる、前記第1の液体の液滴(2)の蒸発制御方法であって、
前記壁(11,21)の間に存在する前記液滴(2)及び/又は気泡(4)を互いに、前記液滴(2)を前記気泡(4)中に蒸発可能に接触させることを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の蒸発制御方法であって、
前記気泡(4)中で前記液滴(2)が蒸発する間に、前記液滴(2)の体積を測定することを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項3】
請求項2記載の蒸発制御方法であって、
前記気泡(4)中で前記液滴(2)が蒸発する間に、前記液滴(2)が最初の体積より小さな所定の体積を有すると、前記気泡(4)中で液滴(2)の蒸発を防ぐために、前記液滴(2)及び/又は前記気泡(4)を互いから離すことを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸発制御方法であって、
前記気泡(4)中で前記液滴(2)が蒸発する間に、前記気泡(4)中で前記液滴(2)の蒸発率を増加するように、前記気泡(4)及び場合により前記液滴(2)を加熱することを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の蒸発制御方法であって、
前記気泡(4)及び場合により前記液滴(2)を、50℃と前記液滴(2)の前記第1の液体の沸点との間の温度にすることを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸発制御方法であって、
電気コマンドの影響下でエレクトロウェティングによって、前記液滴(2)を前記気泡(4)と接触させることを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項7】
請求項6記載の蒸発制御方法であって、
前記第1の液体及び前記第2の液体の一方が導電性であり、他方が誘電性であることを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸発制御方法であって、
電気コマンドの影響下で液体の誘電泳動によって、前記液滴(2)を前記気泡(4)と接触させることを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項9】
請求項8記載の蒸発制御方法であって、
前記第1の液体及び前記第2の液体が互いに異なる誘電係数を有することを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸発制御方法であって、
前記気泡(4)を加熱することにより、熱膨張によって前記気泡(4)を前記液滴(2)に接触させることを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の蒸発制御方法であって、
前記蒸発の後で、前記壁(11,21)のいずれかに設けられたポート(31)を通じて、前記壁(11,21)によって境界が示される空間から前記気泡(4)を排出することを特徴とする蒸発制御方法。
【請求項12】
マイクロ流体デバイス(1)の2つの壁(11,21)の間に置かれ、第1の液体と非混和性の第2の液体(3)によって囲まれる、前記第1の液体の液滴(2)に存在する分析物の濃度の増加方法であって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の蒸発制御方法を前記液滴(2)に対して実行し、
蒸発のために、前記液滴(2)の体積の減少により前記液滴(2)中の分析物の濃度の増加を引き起こすことを特徴とする分析物の濃度の増加方法。
【請求項13】
請求項12記載の分析物の濃度の増加方法であって、
蒸発の前に、前記壁(11,21)のいずれかに設けられたポート(31)を通じて、前記壁(11,21)の間に前記気泡(4)を導入することを特徴とする分析物の濃度の増加方法。
【請求項14】
2つの壁(11,21)を含み、前記2つの壁(11,21)の間に第1の液体と非混和性の第2の液体(3)によって囲まれる前記第1の液体の液滴(2)が置かれるマイクロ流体デバイスであって、
前記壁(11,21)の間に存在する前記液滴(2)及び/又は気泡(4)の移動手段を含み、
前記移動手段は、前記液滴(2)及び/又は前記気泡(4)を互いに接触させることができ、接触により前記液滴(2)を前記気泡(4)中に蒸発可能に接触させることができることを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項15】
請求項14記載のマイクロ流体デバイスであって、
前記液滴(2)及び/又は前記気泡(4)の移動手段が、前記気泡(4)中で液滴(2)の蒸発を防ぐために、前記液滴(2)及び/又は前記気泡(4)を互いから離すことができることを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項16】
請求項14又は15記載のマイクロ流体デバイスであって、
前記液滴(2)の体積の測定手段を含むことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、
前記気泡(4)中で前記液滴(2)が蒸発する間に、蒸発率を増加するように、前記気泡(4)及び場合により前記液滴(2)を加熱する加熱手段(30)を含むことを特徴するマイクロ流体デバイス。
【請求項18】
請求項17記載のマイクロ流体デバイスであって、
前記加熱手段(30)は、前記気泡(4)及び場合により前記液滴(2)の近くに設けられた電気抵抗、及び/又は、電磁放射線の放出手段を備えることを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項19】
請求項14〜18のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、
前記液滴(2)及び/又は前記気泡(4)の前記移動手段は、エレクトロウェッティング又は液体の誘電泳動によって、前記液滴(2)を移動させる電気的移動手段を含むことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項20】
請求項14〜18のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、
前記液滴(2)及び/又は前記気泡(4)の前記移動手段は、前記気泡(4)の熱膨張を保証するように、前記気泡(4)を加熱する加熱手段を含むことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項21】
請求項14〜20のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスであって、
前記壁(11,21)のいずれかを通じて、前記気泡(4)を導入及び/又は排出する手段を含むことを特徴とするマイクロ流体デバイス。

【公開番号】特開2012−103252(P2012−103252A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−245976(P2011−245976)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】