説明

マイクロ流体デバイス及びマイクロ流体デバイス装置

【課題】多段階の反応を一つの動作で進めることができるマイクロ流体デバイスを提供する。
【解決手段】試料液よりも密度が小さく試料液中の目的物質と反応する第1反応物質が固定化された反応性微粒子が収容され、試料液導入口と試料液に浮上した反応性微粒子を移動させる出口とを有する第1室と、該第1室よりも下流側に位置し、反応性微粒子に反応固定された目的物質と反応する標識付き第2反応物質を含む第2反応溶液が収容され、移動してくる反応性微粒子を受け入れる入口と、第2反応溶液に浮上した反応性微粒子を移動させる出口とを有する第2室と、両室を連結する第1連結流路と、を備え、第1室入口はその出口よりも遠心方向上方に設けられ、第2室入口は第1室出口よりも遠心方向下方に設けられ、第2室出口はその入口よりも遠心方向下方に設けられ、前記第1連結流路は遠心方向に傾斜しているマイクロ流体デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段階的な反応を順次進めることのできるマイクロ流体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生化学分野においては、マイクロ化技術を利用したマイクロ流体デバイス技術が急速に発展している。マイクロ流体デバイスは、ガラスやプラスチック等からなる1枚の基板上に半導体製造で培われた微細加工技術を利用して、検体を含む溶液を流すことのできる微小な流路を形成し、流路の途中に反応領域を設けたものであるが、このものを用いると、微量な試料溶液を用いて目的物質の量を簡便に検出することができる。
【0003】
このようなマイクロ流体デバイス技術は、例えば以下の文献に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−4628号公報(要約)
【特許文献2】特表2001−502793号公報(請求項1など)
【特許文献3】特開2006-110523号公報(要約)
【0005】
特許文献1には、ガラスビーズやプラスチックビーズなどの固体微粒子の表面に反応物質を固定したものを反応固相とする免疫分析装置および免疫分析方法に関する技術が提案されている。この技術は、微粒子表面を反応固相とするので、下記(1)−(3)の利点を有しており、近年大きな注目を集めている。
【0006】
(1)反応後にビーズを取り出し、未反応のビーズを再度充填するという単純な操作で装置を再利用できる。
(2)ビーズを用いる方法であると、チップ外でビーズに反応物質を固定化できるので、流路内に形成した反応部に直接反応物質を固定化する方法に比較し反応物質の固定化操作が容易である。
(3)ビーズを密に充填することにより、反応表面積を大きくできるので、高感度かつ短時間の分析が可能となる。
【0007】
このように特許文献1の技術は有用であるが、次のような課題を有している。抗原の量を測定する方法としては、ELISA(Enzyme−linked ImmunoSorbent Assay)があるが、この方法を用いる場合、一次抗体と抗原との反応、一次抗体−抗原複合体と酵素標識付き二次抗体との反応、酵素基質反応等、複数の工程を順次行う必要があり、操作が煩雑となる。このため、測定の簡略化、短時間化を図る上で、この一連の工程を一回の操作で行うことが望まれるが、マイクロ流体デバイス用いた分析においては、一連の工程を一回の操作で行うことが困難である。この理由を説明する。
【0008】
マイクロ流体デバイスは、流路やチャンバー等がマイクロメートルスケールで形成されたものである。マイクロメートルスケールの微小な流路は、慣性力と粘性力の比を表すレイノルズ数が非常に小さい。よって、通常、流路内の流れは層流になり、乱流による攪拌現象がほとんど起こらないので、ビーズ表面に固定された反応物質と試料溶液に含まれる目的物質との会合機会が少なくなる。それゆえ、反応速度や測定感度を不十分に高め難く、反応速度や測定感度を高めるためには、外部動力を用いて測定溶液をマイクロ流体デバイス内に強力に送液して、乱流を発生させる必要がある。
【0009】
しかし、それぞれ種類の異なる溶液を用いて、一次抗体と抗原との反応、一次抗体−抗原複合体と酵素標識付き二次抗体との反応、酵素基質反応等を行う必要があるために、一連の工程を一回の操作で行うことはできない。
【0010】
特許文献2には、化学分析用装置であって、反応チャンバーが中に設けられている部材を含んで成り、当該部材は少なくとも1個の分析用セル、少なくとも1個のリザーバー及び少なくとも1個の遠心チャンバーと流体連絡しており、当該少なくとも1個の遠心チャンバーは入口ポートを介してサンプルを受容するように仕上げられており、従って使用の際、当該部材が第一配向に置かれている場合当該サンプルは当該遠心チャンバーを通って当該反応チャンバーに流れ込み;当該部材が第二配向に置かれている場合当該サンプルは当該反応チャンバーから第一リザーバーに流れ込み;当該部材が第三配向に置かれている場合当該サンプルは当該リザーバーから当該反応チャンバーに流れ込み;そして当該部材が第四配向に置かれている場合当該サンプルは当該反応セルから少なくとも1個の分析セルに流れ込む装置が提案されている。
【0011】
この装置では、分析セルを回転可能なディスクに載置し、遠心力で例えば血清から血球を分離等すると共に、分析セルを重力が作用する位置にまで回動させ、重力により反応後の溶液を移動させる。この装置では、段階的な化学反応を行うため、各段階で、回転を止め溶液を移動させたり、分析セルに新たな試薬を注入するなどの操作を行う必要がある。よって、第一段階の反応工程から次段階の反応工程への移行を連続的に行うことかできない。
【0012】
また、特許文献2の装置では、流路内にビーズを配置した場合、ビーズが流去しないようにするために、堰き止め部を設ける必要があるが、堰き止め部は液の流れを障害する要因になるので、当該部分に大きな流圧がかかると共に、ビーズに作用する遠心力により堰き止め部近傍に負荷が掛かる等のため破損の恐れが生じる。また、堰き止め部は、流れを障害し流速を低下させるので、分析時間が長くなる。
【0013】
特許文献3には、回転できる基盤の中心以外の位置に化学反応デバイスを支持し、回転による遠心力で送液し、基盤とは独立に流路の向きを逆転させる機構を設置した化学反応装置が記載されている。この装置は、遠心力を利用することにより、複数の化学反応デバイス(ビーズアレイデバイス)に対して溶液の往復送液を同時に行うことを可能にしており、この装置によると、分析操作時間の短縮や操作コストの削減が図れるとされる。
【0014】
しかし、特許文献3のこの装置においては、基盤の回転と、流路の向きを逆転させる位置変えのための回転という少なくとも2種類の回転が必要であり、この装置で上記一連の反応を行うには、多数回の操作が不可欠である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記各技術の課題を解消するためになされたものであり、本発明の目的は、抗原の捕捉から検出までの一連の工程を自動的・連続的に行うことができるマイクロ流体デバイスを提供することであり、更にまた、一連の工程を自動的・連続的に行うことができ、かつ非特異的吸着による検出ノイズの発生を防止することのできるマイクロ流体デバイス構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するためのマイクロ流体デバイスにかかる本発明は次のように構成されている。
試料液よりも密度が小さい微粒子であって前記試料液中に含まれる目的物質と反応する第1反応物質が粒子表面に固定化された反応性微粒子と、
前記反応性微粒子が収容された中空容器であって、前記試料液を導入する試料液導入口と、試料液により浮上した反応性微粒子を下流側に移動させる第1チャンバー出口とを有する第1チャンバーと、
前記第1チャンバーよりも下流側に位置し、前記反応性微粒子の表面に反応固定された前記目的物質と反応する標識付き第2反応物質を含む第2反応溶液が収容される中空容器であって、前記第1チャンバーから移動してくる反応性微粒子を受け入れる第2チャンバー入口と、前記第2反応溶液に浮上した反応性微粒子を下流側に移動させる第2チャンバー出口とを有する第2チャンバーと、
前記第1チャンバー出口と前記第2チャンバー入口とを連結する第1連結流路と、を少なくとも備え、前記第1チャンバー及び第2チャンバーは、それぞれ遠心上面とこれに対向する遠心底面とを有し、前記第1チャンバーの遠心上面から遠心底面に向かう方向を遠心方向と定義するとき、前記第1チャンバー入口は前記第1チャンバー出口よりも遠心方向上方に設けられ、前記第2チャンバー入口は前記第1チャンバー出口よりも遠心方向下方に設けられ、かつ前記第2チャンバー出口は前記第2チャンバー入口よりも遠心方向下方に設けられ、前記第1連結流路は、遠心方向に傾斜していることを特徴とする構造のマイクロ流体デバイス。
【0017】
この構成では、反応性微粒子の密度が試料液の密度よりも低いため、遠心力等の外力が加えられると、試料液が遠心力方向に移動する作用と、反応性微粒子が遠心力とは逆方向の浮力により浮上する作用とがあいまって、反応性微粒子が十分に撹拌される。このため、試料液に含まれる目的物質と反応性微粒子との会合機会が増大し、反応性微粒子と目的物質との反応効率及び反応速度が向上する。
【0018】
また、このデバイスに遠心力等の外力が加えられると、第1チャンバーに試料液が導入され、第1チャンバー内で撹拌された後、浮力により浮上した反応性微粒子が第1連結流路を通って第2チャンバーに移動し、第2チャンバー内で目的物質を捕捉した反応性微粒子と第2反応溶液に含まれる標識付き第2反応物質とが反応して複合体を形成する。この標識の量を測定することにより目的物質の量を知ることができる。すなわち、遠心力等の外力を加えるという一つの操作で、目的物質の量を測定することができる。
【0019】
この構成の意義を、1枚の基板に作り込まれたマイクロ流体デバイスを例として更に説明する。上記構成では、試料液よりも密度が低い反応性微粒子を用いるので、例えばこの反応性微粒子が試料液の入った第1チャンバー内に入ると、浮力により試料液中に反応性微粒子が浮かぶ(基板に垂直方向の上側に位置する)。ここで、第1チャンバーの遠心底面の方向(基板に平行な方向)に遠心力等の外力を作用させると、試料液が遠心底面方向(遠心力方向)に移動し、反応性微粒子が遠心力とは逆方向に移動する。この移動の過程で反応性微粒子が試料液中の目的物質に強制的に会合させられ、目的物質と反応するので、反応性微粒子に固定された第1反応物質と目的物質との反応が、迅速かつ効率よく進む。
【0020】
目的物質と反応させられつつ浮上した反応性微粒子は、第1チャンバー出口の位置まで遠心浮上した段階で、次の反応過程に移る。すなわち、この段階で反応性微粒子は、第1チャンバー出口から第1連結流路(遠心方向に傾斜)と第2チャンバー入口(前記第1チャンバー出口よりも遠心方向下方に設けられている)を通って、標識付き第2反応物質を含む第2反応溶液が入っている第2チャンバーに自動的に移動する。ここで、第1チャンバーにおけると同様な原理により、反応性微粒子は標識付き第2反応物質と反応させられる。このようにして、自動的に反応が進む。よって、上記構成のマイクロ流体デバイスを用いると、抗原の捕捉から検出までの一連の工程を自動的・連続的に行うことができる。
【0021】
上記構成において、前記マイクロ流体デバイスは、更に前記第2チャンバー出口に連結された流路であって前記遠心方向に対し下方に傾斜する洗浄流路を備え、当該洗浄流路には、前記第2チャンバー出口から出てくる反応性微粒子を洗浄する洗浄液導入路が連結されている構成とすることができる。
【0022】
目的物質の一部は、反応性微粒子表面の第1反応物質と結合せずに、反応性微粒子に非特異的に吸着され、捕捉されてしまうことがある。このような非特異的吸着が起こると、正確に目的物質の量を知ることができない。この構成では、洗浄流路が設けてあるので、反応性微粒子に非特異的に吸着した目的物質を洗浄液によって洗浄除去することができる。これにより、目的物質の量を正確に測定することが可能になる。
【0023】
上記構成において、前記洗浄液導入路は、上流から下流に向かって流路が多段階に分枝した分枝流路であり、当該分枝流路の複数の出口が前記洗浄流路にそれぞれ連結されている構成とすることができる。
【0024】
この構成を採用すると、最小限の洗浄液で効率よく反応性微粒子に非特異的に吸着した目的物質を洗浄除去できる。
【0025】
上記構成において、前記標識が酵素であり、前記マイクロ流体デバイスは、更に前記洗浄流路で洗浄された反応性微粒子に基質を含む第3溶液を収容する第3チャンバーを備え、当該第3チャンバーの入口は前記洗浄流路の出口に連結され、当該第3チャンバーの入口は、前記洗浄流路の出口よりも遠心方向下方に位置する構成とすることができる。
【0026】
この構成によると、遠心力等の外力によって反応性微粒子が第3チャンバーに送られるので、一回の操作で酵素基質反応までを行うことができる。この構成における標識として、酵素を用いる。標識としては、蛍光色素、放射性同位体、金コロイド、酵素等を用いることができるが、酵素を用いる方法は検出感度に優れるので、好ましい。
【0027】
上記構成において、前記マイクロ流体デバイスは、更に前記第1チャンバーの上流側に、前記第1チャンバーに試料液を供給する試料液供給チャンバーを備え、前記第1チャンバー入口は当該試料液供給チャンバー出口よりも遠心方向下方に位置し、当該試料液供給チャンバー出口と前記第1チャンバー入口とは、断面積が9μm2以上、300μm2以下の試料液導入用微小流路で連結されている構成とすることができる。
【0028】
この構成によると、試料液供給チャンバーがマイクロ流体デバイスに組み込まれているため、遠心力等の外力によって試料液が第1チャンバーに自動的に送られる。試料液導入用微小流路の断面積が300μm2よりも大きくなると、外力を加えなくとも試料液が第1チャンバー内に移動し易くなるので好ましくない。他方、断面積を9μm2未満にすると、遠心力を作用させても十分な液量を移動させられないので好ましくない。
【0029】
上記構成において、前記第1乃至第3のチャンバー、前記第1連結流路、前記洗浄流路及び前記洗浄液導入路は、同一基板に形成されている構成とすることができる。
【0030】
同一基板にこれらの要素が全て形成されていると、一つのチップで必要な一連の反応工程を賄うことができ、遠心力等の外力を作用させ易いなど、取り扱い性が格段に向上する。
【0031】
上記構成において、前記目的物質がタンパク質であり、前記第1反応物質が前記目的物質と特異的に反応する抗体であり、前記第2反応物質が前記目的物質と反応する第2抗体である構成とすることができる。
【0032】
上記本発明は、目的物質をタンパク質とし、第2反応物質を第2抗体とする場合に顕著な効果が得られる。
【0033】
上記構成において、前記第1及び第2のチャンバーの前記遠心方向における中心軸は、前記基板面と平行である構成とすることができる。
【0034】
この構成によると、効率よく試料液を移動させることができる。また、この構成であると、基板面を垂直方向に掘って中空を形成し、これを第1、第2のチャンバーとする場合に、中空の形成が容易であるという利点がある。なお、この構成のマイクロ流体デバイスは、第1と第2のチャンバー(中空容器)とが、基板の深さ方向ではなく、基板の横方向(遠心方向)に配列されているので、前記遠心上面、遠心底面は基板面の上面と底面ではなく、基板面に直交する面(基板面に直交する中空容器の側面)になる。よって、この構成のデバイスは、基板面に平行な方向に遠心力を作用させて使用することになる。
【0035】
上記課題を解決するためのマイクロ流体デバイス装置にかかる本発明は、上記マイクロ流体デバイスと、当該マイクロ流体デバイスを回転させ、前記遠心方向に向かう遠心力を発生させる遠心力発生装置とを備えた装置である。
【0036】
この構成によると、遠心力発生装置によりマイクロ流体デバイスに遠心力を加えることができ、試料液や反応性微粒子を自動的に次反応領域に順次移動させることができる装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0037】
上記に説明したように本発明によると、反応性微粒子と試料液とが移動の過程で自動的に撹拌されるので、反応効率や反応速度、反応時間を飛躍的に高めることができる。また、本発明によると、目的物質と反応性微粒子との反応、目的物質付き反応性微粒子と標識付き第2反応物質との反応、非特異的吸着した目的物質及び第2反応物質の洗浄、酵素基質反応などの一連の反応を、同一の外力(遠心力等の外力)を作用させるだけで自動的連続的に進行させることができる。また、本発明によると、非特異的吸着による検出ノイズの発生を抑制できるので、信頼性の高い分析結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0039】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかるマイクロ流体デバイスの構造を、図1に示す。マイクロ流体デバイスは、第1チャンバー6と、第2チャンバー8と、試料液供給チャンバー4と、試料液供給チャンバー4と第1チャンバーとを繋ぐ試料液導入用微小流路5と、第1チャンバー6と第2チャンバー8とを繋ぐ第1連結流路7と、第2チャンバー8の遠心方向下方に設けられた排出流路9と、を備えている。
【0040】
また、第1チャンバー6の内部には、試料液よりも比重の小さい反応性微粒子(表面に第1反応物質が固定された微粒子)30が収容されている。また、第2チャンバー8には、第2反応物質を含む液を導入するための第2反応物質注入路15が接続されている。また、デバイス内部に試料液を注入するための第1注入孔23、デバイス内部に第2反応物質を含む液を注入するための第2注入孔24、デバイス内からデバイス外へ液を排出する排出孔26が設けられている。
【0041】
ここで、試料液導入用微小流路5と第1チャンバー6との接続部分が、試料液導入口であり、第1チャンバー6と第1連結流路7との接続部分が、第1チャンバー出口であり、第1連結流路7と第2チャンバー8との接続部分が、第2チャンバー入口であり、第2チャンバー8と排出流路9との接続部分が、第2チャンバー出口である。なお、第1チャンバー入口及び出口、第2チャンバーの入口及び出口は、重力方向底面から離れた位置(重力方向上面側)に取り付けるのが好ましい。
【0042】
第1注入孔23、及び第2注入孔24の直径は、通常、0.1〜5mmとする。
【0043】
また、マイクロ流体デバイス本体は、通常、縦0.5cm〜10cm、横0.5cm〜10cm、厚さ0.5mm〜10mmの範囲とする。
【0044】
試料液供給チャンバー4は、通常、縦0.5mm〜10mm、横0.5mm〜10mm、第1チャンバー6及び第2チャンバー8は、通常、縦0.5mm〜5mm、横0.5mm〜10mmとする。
【0045】
また、第1連結流路7の流路径は、反応性微粒子の直径よりも大きく、より好ましくは、0.01〜1mmとする。また、試料液導入用微小流路5の流路径は、通常、0.01〜1mmとする。
【0046】
試料液供給チャンバー4の容量は、第1チャンバー6の容量と第2チャンバー8の容量の合計以上になるよう設計することが好ましく、このように設定することにより、試料液供給チャンバー4内の試料液を用いて、第1チャンバー6にある反応性微粒子30を第2チャンバー8まで移動させることができる。
【0047】
このようなマイクロ流体デバイスは、流路やチャンバー用の凹部を形成した主基板と、主基板に蓋をする、孔が設けられた蓋基板と、とで形成することができる。
【0048】
上記主基板及び蓋基板には、試料液が浸透せず、試料液と反応性しない材質であって、加工しやすい材料を使用する。
【0049】
検出手段として化学発光を用いる場合には、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリルコポリマー、アクリルオニトリルブタジエンスチレン、セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン等の、プラスチック材料を用いる。
【0050】
マイクロ流体デバイス内に電極を形成し、電気化学的に検出を行う手段を採用する場合には、基板または蓋基板のどちらか一方または両方の材料として、例えば、ガラスやシリコン等を用いる。また、主基板の厚みは0.1〜10mmであればよく、蓋基板の厚みは、0.01〜10mm程度とする。
【0051】
基板材料としてプラスチック材を用いる場合、溝や孔、チャンバーは、機械加工法やレーザー加工法、更には金型を用いた射出成型法、プレス成型法などの方法で形成することができる。このうち金型を用いる射出成型法は、量産性に優れ、形状の再現性に優れるので好ましい。
【0052】
基板材料としてシリコン基板やガラス基板を用いる場合には、フォトリソグラフィ法や化学エッチング法などを用いることができる。
【0053】
反応性微粒子の形状は制限されないので、球状、楕円状、多面状等のものを用いることができるが、通常、反応面積が広くなる球状の反応性微粒子を用いる。反応性微粒子の大きさは、通常、0.01〜100μmである。微粒子に第1反応物質を固定化する方法は、公知の方法を採用することができる。
【0054】
反応性微粒子の比重は、試料液以下であり、通常、微粒子自体の比重を0.9以下とすることが好ましい。このような微粒子は、公知の方法(例えば特開2001−299340に記載の方法)を利用し作製することができる。
【0055】
次に、このデバイスを用いた測定方法について説明する。
【0056】
まず、試料液供給チャンバー4に孔23から目的物質を含む試料液を注入する。
【0057】
図1に示す矢印方向に遠心力が加えられるように、このデバイスを回転させる。これにより、試料液に遠心力が加わるため、試料液は押し出され試料液注入用微小流路5を通って第1チャンバー6に移動する。
【0058】
第1チャンバー6では、試料液が遠心力により遠心方向に移動する作用と、試料液よりも比重の軽い反応性微粒子30が浮力により遠心方向とは逆方向に浮上する作用とが相まって、反応性微粒子30が撹拌される。このため、反応性微粒子と目的物質との反応効率や反応速度が向上する。
【0059】
目的物質と反応した反応性微粒子30は、第1チャンバー内において浮力によって遠心方向とは逆方向に浮上し、第1チャンバー6の遠心方向上流側に設けられ、遠心方向に傾斜した第1連結流路7から、試料液とともに第2チャンバー8に入る。
【0060】
このとき、第2反応物質注入路15に、孔24から標識付き第2反応物質を含む液を注入する。第2反応物質を含む液は、遠心力によって第2チャンバー8に移動する。
【0061】
ここで、デバイス内部に第2反応物質溶液を入れるチャンバーを別個に設け、デバイスに加えられる遠心力により、自動的に第2反応物質を含む液を第2チャンバーに送り込む構成としてもよい。この構成を採用すると、操作がより一層簡便化する。
【0062】
第2チャンバー8では、第2反応物質を含む液が遠心力により遠心方向に移動する作用と、反応性微粒子30が浮力により遠心方向の逆方向に浮上する作用とがあいまって、反応性微粒子30が撹拌される。このため、目的物質付き反応性微粒子と第2反応物質との反応効率や反応速度が向上する。
【0063】
以上から、実施の形態1のマイクロ流体デバイスによると、デバイスを回転させるという単純な運動を加えるこにより、試料液に含まれる目的物質と反応性微粒子との反応及び目的物質付き反応性微粒子と第2反応物質との反応を自動的、連続的に行うことができる。
【0064】
この後、反応性微粒子に捕捉された第2反応物質に結合した標識(例えば、蛍光色素)の量を測定することにより、目的物質の量を知ることができる。
【0065】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかるマイクロ流体デバイスの構造を図2に示す。本実施の形態に係るマイクロ流体デバイスは、第1チャンバー6と、第2チャンバー8と、第2チャンバー8の下流側に設けられた遠心方向に対し下方に傾斜する洗浄流路18と、洗浄流路18の下流側に設けられた検出部17と、試料液供給チャンバー4と、洗浄液供給チャンバー10と、試料液供給チャンバー4と第1チャンバー6とを繋ぐ試料液導入用微小流路5と、第1チャンバー6と第2チャンバー8とを繋ぐ第1連結流路7と、第2チャンバー8と洗浄流路18とを繋ぐ第2連結流路16と、洗浄流路18と検出部17とを繋ぐ第3連結流路と、検出部17の遠心方向下方に設けられた排出流路9と、洗浄液供給チャンバー10と洗浄流路18とを繋ぐ多段階(図においては3段階)に分岐した洗浄液導入流路12と、を備えている。また、第1チャンバー6内部には、試料液よりも比重の小さい反応性微粒子30が収容されている。
【0066】
また、第2チャンバー8には、第2反応物質を含む液を導入するための第2反応物質注入路15が接続されている。また、洗浄流路18の遠心方向下方には、廃液溜め13が設けられ、廃液溜め13と洗浄流路18の境界には、反応性微粒子が廃液溜め13に移動することを防止するための堰き止め部29が設けられている。この堰き止め部29は、図2では網目状構造となっているが、反応性微粒子の通過を防止できればどのような構造であってもよく、例えば、反応性微粒子の粒径よりも間隔の狭い複数本の柱状構造物や、フィルター、網目状構造物等を用いることができる。
【0067】
また、微粒子注入孔22と、微粒子注入路14とが設けられ、反応性微粒子注入路14と第1チャンバー6とが繋がれている。この構造を採用することにより、デバイス内部への反応性微粒子の注入が容易となる。また、デバイス内部に試料液を注入するための第1注入孔23、デバイス内部に第2反応物質を含む液を注入するための第2注入孔24、デバイス内部に洗浄液を注入するための洗浄液注入孔25、デバイス内からデバイス外へ液を排出する排出孔26が設けられている。
【0068】
この実施の形態は、洗浄流路18、検出部17、洗浄液供給チャンバー10、洗浄液導入流路12、廃液溜め13、堰き止め部29、微粒子注入孔22、微粒子注入路14を設けた点以外は、上記実施の形態1と同様であり、デバイスの材料、大きさ、反応性微粒子、チャンバーの大きさ、流路径等は、上記実施の形態1と同様でよい。
【0069】
このデバイスを用いた測定方法について説明する。
【0070】
まず、試料液供給チャンバー4に孔23から試料液を注入する。
【0071】
図2に示す矢印方向に遠心力が加えられるように、このデバイスを回転させる。すると、試料液は遠心力によって試料液注入用微小流路5を通って第1チャンバー6に移動する。
【0072】
第1チャンバー6では、試料液が遠心力により遠心方向に移動する作用と、試料液よりも比重の小さい反応性微粒子30が浮力により遠心方向の逆方向に浮上する作用とがあいまって、反応性微粒子30が撹拌される。このため、反応性微粒子と目的物質との反応効率や反応速度が向上する。
【0073】
目的物質と反応した反応性微粒子30は、浮力によって遠心方向とは逆方向に移動し、第1チャンバー6の遠心方向上流側に設けられた第1連結流路7から、試料液とともに第2チャンバー8に入る。
【0074】
このとき、第2反応物質注入路15に、孔24から標識付き第2反応物質を含む液を注入する。これにより、第2反応物質を含む液は、遠心力によって第2チャンバー8に移動する。
【0075】
第2チャンバー8では、第2反応物質を含む液が遠心力により遠心方向に移動する作用と、反応性微粒子30が浮力により遠心方向とは逆方向に浮上する作用とがあいまって、反応性微粒子30が撹拌される。このため、目的物質付き反応性微粒子と第2反応物質との反応効率や反応速度が向上する。
【0076】
第2反応物質と反応した反応性微粒子30は、浮力によって第2チャンバー8の遠心方向とは逆方向に移動し、第2チャンバー8の遠心方向上流側に設けられた第2連結流路16から、試料液とともに洗浄流路18に入る。
【0077】
また、遠心力が加えられることにより、洗浄液供給チャンバー10から、多段階(図では3段階)に分岐した洗浄液導入流路12を通って洗浄液が洗浄流路18に入る。
【0078】
このとき、洗浄流路18において、洗浄液が均一に反応性微粒子30に対して接触し、図3に示すように反応性微粒子30の表面に直接、非特異的に吸着した目的物質31が、洗浄液により洗浄される。非特異的吸着による目的物質を洗い流した後の洗浄液は、堰き止め部29の間の空隙を通過して、廃液溜め13に入る。
【0079】
この後、非特異的吸着による目的物質が洗浄された反応性微粒子が、遠心力により検出部17に移動する。検出部17で反応性微粒子に捕捉された標識(例えば、蛍光色素)の量を測定することにより、目的物質の量を正確に知ることができる。
【0080】
以上に説明したように、デバイスを回転させて遠心力作用させるという単純な操作で、試料液に含まれる目的物質と反応性微粒子との反応及び目的物質付き反応性微粒子と第2反応物質との反応、非特異的吸着した目的物質の洗浄を一度に行うことができる。
【0081】
なお、洗浄液導入流路12の形状を、多段階の分岐流路(図2)に代えて、図4や図5に示すような構造としてもよい。ここで、反応性微粒子が洗浄液導入流路12に侵入(逆流)することを確実に防止するため、洗浄液導入流路12の流路幅を反応性微粒子の直径よりも小さくしたり、図5に示すように堰き止め構造32を設けることが好ましい。
【0082】
(実施の形態3)
実施の形態3にかかるマイクロ流体デバイスの構造を図6に示す。本実施の形態に係るマイクロ流体デバイスは、第1チャンバー6と、第2チャンバー8と、第2チャンバーの下流側に設けられた洗浄流路18と、洗浄流路の下流側に設けられた第3チャンバー19と、検出部の下流側に設けられた検出部17と、試料液供給チャンバー4と、洗浄液供給チャンバー10と、基質溶液チャンバー11と、試料液供給チャンバーと第1チャンバーとを繋ぐ試料液導入用微小流路5と、第1チャンバーと第2チャンバーとを繋ぐ第1連結流路7と、第2チャンバーと洗浄流路とを繋ぐ第2連結流路16と、洗浄流路と第3チャンバーとを繋ぐ第3連結流路20と、第3チャンバーと検出部とを繋ぐ第4連結流路21と、排出流路9と、洗浄液導入流路12と、基質溶液導入流路27と、を備えている。また、第1チャンバー6内部には、試料液よりも比重の小さい反応性微粒子30が収容されている。
【0083】
また、第2チャンバー8には、第2反応物質を含む液を導入するための第2反応物質注入路15が接続されている。また、洗浄流路18の遠心方向下方には、廃液溜め13が設けられ、廃液溜め13と洗浄流路18の境界には、反応性微粒子が廃液溜めに移動することを防止するための堰き止め部29が設けられている。また、このデバイスには反応性微粒子注入孔22と、反応性微粒子注入路14とが設けられている。
【0084】
また、デバイス内部に試料液を注入するための第1注入孔23、デバイス内部に第2反応物質を含む液を注入するための第2注入孔24、デバイス内部に洗浄液を注入するための洗浄液注入孔25、デバイス内部に基質溶液を注入する基質溶液注入孔27、デバイス内からデバイス外へ液を排出する排出孔26が設けられている。
【0085】
この実施の形態は、第3チャンバー19、基質溶液チャンバー11、基質溶液導入流路27、第4連結流路21、基質溶液注入孔28、基質溶液導入流路27を設けた点以外は、上記実施の形態2と同様であり、デバイスの材料、大きさ、反応性微粒子等は、上記実施の形態2と同様でよい。
【0086】
次に、このデバイスを用いた測定方法について説明する。
【0087】
まず、試料液供給チャンバー4に孔23から試料液を注入する。
【0088】
このデバイスに遠心力を加える。すると、試料液は遠心力によって試料液注入用微小流路5を通って第1チャンバー6に移動する。
【0089】
第1チャンバー6では、試料液が遠心力により遠心方向に移動する作用と、反応性微粒子30が浮力により遠心方向の逆方向に浮上する作用とがあいまって、反応性微粒子30が撹拌される。このため、反応性微粒子と目的物質との反応効率や反応速度が向上する。
【0090】
試料液と反応した反応性微粒子30は、浮力によって第1チャンバー6の遠心方向とは逆方向に移動し、第1連結流路を通って試料液とともに第2チャンバー8に入る。
【0091】
このとき、第2反応物質注入路15に、孔24から酵素標識付き第2反応物質を含む液を注入する。すると、酵素標識付き第2反応物質を含む液は、遠心力によって第2チャンバー8に移動する。
【0092】
第2チャンバー8では、酵素標識付き第2反応物質を含む液が遠心力により遠心方向に移動する作用と、反応性微粒子30が浮力により遠心方向の逆方向に浮上する作用とがあいまって、反応性微粒子30が撹拌される。このため、反応性微粒子と第2反応物質との反応効率や反応速度が向上する。
【0093】
酵素標識付き第2反応物質と反応した反応性微粒子30は、浮力によって第2チャンバー8の遠心方向とは逆方向に移動し、第2連結流路16を通って洗浄流路18に入る。
【0094】
また、遠心力が加えられることにより、洗浄液供給チャンバー10から、多段階(図では3段階)に分岐した洗浄液導入流路12を通って洗浄液が洗浄流路18に入る。
【0095】
洗浄流路18において、洗浄液が均一に反応性微粒子に対して接触し、反応性微粒子表面に直接、非特異的に吸着した目的物質が、洗浄液により洗浄される。
【0096】
この後、反応性微粒子30は、浮力によって第2チャンバー8の遠心方向とは逆方向に移動し、第3連結流路20を通って第3チャンバー19に入る。
【0097】
また、遠心力により、基質溶液供給チャンバー11から基質溶液導入流路27を通って第3チャンバー19に入る。この第3チャンバー19において酵素基質反応が生じ、検出可能な物質(例えば、電極活性物質)が生じる。この物質の量を検出部17で測定することにより、目的物質の量を知ることができる。
【0098】
以上に説明したように、デバイスを回転させて遠心力作用させるという単純な操作で、試料液に含まれる目的物質と反応性微粒子との反応及び目的物質付き反応性微粒子と第2反応物質との反応、非特異的吸着した目的物質の洗浄、酵素基質反応を一度に行うことができる。
【0099】
(実施の形態4)
本実施の形態に係るマイクロ流体デバイスの要部立体図を図7に示す。図7に示すように、第1連結流路7及び第2連結流路16が重力方向にも傾斜している。この構造は、マイクロ流体デバイスの重力方向の厚みが大きくなるが、反応性微粒子の連結流路内での移動がよりスムーズになるという利点がある。
【0100】
この構造を採用する場合には、チャンバーや流路容積の増大を防止するために、主基板に形成したそれぞれの構造物に対応させて蓋基板の内側面に凸凹を形成し、第1チャンバー、第2チャンバーの重力方向高さ(深さ)、第1連結流路及び第2連結流路の重力方向高さ(溝深さ)を一致させる構造を採用することが好ましい。
【0101】
(実施の形態5)
図8に、本実施の形態に係るマイクロ流体デバイス装置を示す。回転軸1を有する回転盤2上に、マイクロ流体デバイス3が設置されている。このマイクロ流体デバイスは、上記実施の形態1〜4のものを用いることができる。
【0102】
回転軸1を中心とした直径5cm〜30cmの回転盤2上に縦0.5cm〜10cm、横0.5cm〜10cmのマイクロ流体デバイス3を着脱可能に設置する。回転盤2が回転軸1を中心に回転することによって生じる遠心力が、マイクロ流体デバイス3内の液体及び反応性微粒子に作用し、マイクロ流体デバイス3の中で溶液の送液、反応性微粒子の撹拌及び反応性微粒子の移動が行われる。この際、回転速度および回転軸1からマイクロ流体デバイス3の距離を調整することによってマイクロ流体デバイス3に働く遠心力を調整することができる。
【0103】
図9に化学反応デバイスの回転機構を示した模式図を示す。回転盤2はモーター40及び回転制御装置(図示せず)によって回転される。回転制御装置にはタイマーと回転回数をあらかじめプログラミングしておきモーター40を制御する。
【0104】
図8においてはマイクロ流体デバイスを1個回転盤2に設置したが、図10に示すように複数個設置してもよい。これにより複数のサンプルの同時検出が可能となる。
【0105】
また、マイクロ流体デバイス3は回転盤2と着脱可能であり、使用済みのマイクロ流体デバイスを取り替えることにより、マイクロ流体デバイス装置を再利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上説明したように、本発明によると、目的物質の捕捉から標識付き反応物質との結合までの反応を、遠心力を加えるという簡便な操作で実現できる。また、非特異的吸着による検出ノイズの発生を抑制できる。よって、産業上の意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】実施の形態1にかかるマイクロ流体デバイスを示す平面図である。
【図2】実施の形態2にかかるマイクロ流体デバイスを示す平面図である。
【図3】実施の形態2にかかるマイクロ流体デバイスの洗浄流路の拡大図である。
【図4】洗浄流路の変形例を示す図である。
【図5】洗浄流路の他の変形例を示す図である。
【図6】実施の形態3にかかるマイクロ流体デバイスを示す平面図である。
【図7】実施の形態4にかかるマイクロ流体デバイスを示す平面図である。
【図8】実施の形態5にかかるマイクロ流体デバイス装置を示す平面図である。
【図9】実施の形態5にかかるマイクロ流体デバイス装置を示す模式図である。
【図10】マイクロ流体デバイスの変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0108】
1:回転軸
2:回転盤
3:マイクロ流体デバイス
4:試料液供給チャンバー
5:試料液導入用微小流路
6:第1チャンバー
7:第1連結流路
8:第2チャンバー
9:排出流路
10:洗浄液供給チャンバー
11:基質溶液供給チャンバー
12:洗浄液導入路
13:廃液溜め
14:反応性微粒子注入路
15:第2反応物質注入路
16:第2連結流路
17:検出部
18:洗浄流路
19:第3チャンバー
22:孔
23:孔
24:孔
25:孔
26:孔
27:基質溶液注入路
28:孔
29:堰き止め部
30:反応性微粒子
31:非特異的に吸着した目的物質
32:堰き止め構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液よりも密度が小さい微粒子であって前記試料液中に含まれる目的物質と反応する第1反応物質が粒子表面に固定化された反応性微粒子と、
前記反応性微粒子が収容された中空容器であって、前記試料液を導入する試料液導入口と、試料液により浮上した反応性微粒子を下流側に移動させる第1チャンバー出口とを有する第1チャンバーと、
前記第1チャンバーよりも下流側に位置し、前記反応性微粒子の表面に反応固定された前記目的物質と反応する標識付き第2反応物質を含む第2反応溶液が収容される中空容器であって、前記第1チャンバーから移動してくる反応性微粒子を受け入れる第2チャンバー入口と、前記第2反応溶液に浮上した反応性微粒子を下流側に移動させる第2チャンバー出口とを有する第2チャンバーと、
前記第1チャンバー出口と前記第2チャンバー入口とを連結する第1連結流路と、
を少なくとも備え、
前記第1チャンバー及び第2チャンバーは、それぞれ遠心上面とこれに対向する遠心底面とを有し、
前記第1チャンバーの遠心上面から遠心底面に向かう方向を遠心方向と定義するとき、
前記第1チャンバー入口は前記第1チャンバー出口よりも遠心方向上方に設けられ、
前記第2チャンバー入口は前記第1チャンバー出口よりも遠心方向下方に設けられ、
前記第2チャンバー出口は前記第2チャンバー入口よりも遠心方向下方に設けられ、
前記第1連結流路が、遠心方向に傾斜している、
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、
前記マイクロ流体デバイスは、更に前記第2チャンバー出口に連結された流路であって前記遠心方向に対し下方に傾斜する洗浄流路を備え、当該洗浄流路には、前記第2チャンバー出口から出てくる反応性微粒子を洗浄する洗浄液導入路が連結されている、
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、
前記洗浄液導入路は、上流から下流に向かって流路が多段階に分枝した分枝流路であり、当該分枝流路の複数の出口が前記洗浄流路にそれぞれ連結されている、
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
請求項2または3に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、
前記標識が酵素であり、
前記マイクロ流体デバイスは、前記洗浄流路で洗浄された反応性微粒子に基質を含む第3溶液を収容する第3チャンバーを更に備え、
当該第3チャンバーの入口は、前記洗浄流路の出口に連結され、当該第3チャンバーの入口は、前記洗浄流路の出口よりも遠心方向下方に位置する、
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、
前記マイクロ流体デバイスは、前記第1チャンバーの上流側に、前記第1チャンバーに試料液を供給する試料液供給チャンバーを更に備え、前記第1チャンバー入口は、当該試料液供給チャンバー出口よりも遠心方向下方に位置し、当該試料液供給チャンバー出口と前記第1チャンバー入口とは、断面積が9μm2以上、300μm2以下の試料液導入用微小流路で連結されている、
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、
前記第1乃至第3のチャンバー、前記第1連結流路、前記洗浄流路及び前記洗浄液導入路は、同一基板に形成されている、
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
請求項1ないし3の何れか1項に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、
前記目的物質がタンパク質であり、前記第1反応物質が前記目的物質と特異的に反応する抗体であり、前記第2反応物質が前記目的物質と反応する第2抗体である、
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、
前記第1及び第2のチャンバーの前記遠心方向における中心軸は、前記基板面と平行である、
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のマイクロ流体デバイスと、
当該マイクロ流体デバイスを回転させ、前記遠心方向に向かう遠心力を発生させる遠心力発生装置と、
を備えたマイクロ流体デバイス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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