説明

マイクロ流体デバイス

マイクロチップを様々なタイプのモジュールにインターフェースするための方法およびデバイスが、開示される。開示される技術は、DNA配列決定および遺伝子型決定、プロテオミクス、病原体検出、診断および生物兵器防衛などの様々な用途のためのサンプル調製および分析システムとして使用することができる。本開示は、様々なサンプルに由来する標的分析物の調製および分析のための補足的な機能を有する集積化モジュラーシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(A.連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明の態様は、国防総省によって承認された1つ以上のプロジェクト番号W911SR−04−P−0047、NIH(国立衛生研究所)によって承認された許可番号5R01HGO03583−01、HSARPA(国土安全保障先端研究計画局)によって承認された契約番号NBCHC050133、HSARPAによって承認された注文番号TTA−1−0014(契約番号W81XWH−04−9−0012)に基づく政府支援によって実施された。政府は、本発明に特定に権利を有する。
【背景技術】
【0002】
(B.背景)
過去10〜20年にわたって、多くの場合生物学的分析法におけるサンプル量の要件を減少させることを目標にして、本質的に異なり、多くの場合は互換性がない設計の多様なマイクロ流体デバイスが開発されてきた。外寸のフォームファクタを管理する規格がない場合、上流および下流の外部インターフェース、並びに内部のマイクロ流体デバイスなどのマイクロ流体経路の長さ、断面形状、および直径の特性は、多くの場合、互いに、および既存の上流の精製デバイスおよび下流の分析デバイスと適合しないことが判明している。
【0003】
マイクロリットル台、ナノリットルまたはピコリットル台の分析でも可能にする微細加工の進歩にも関わらず、生体サンプルおよび環境サンプルは、既存のマイクロ流体分析デバイスの量よりはるかに多く、適合しない量で最初に入手される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、集積化流体システムの構成要素として使用可能であり、異なる外寸フォームファクタ、外部インターフェース、および/または内部流体ジオメトリを有するマイクロ流体構成要素を効果的に流体的に連通させるようにインターフェースさせることができ、マイクロ流体調製および/または分析構成要素とともに比較的大規模に動作する予備モジュールまたは方法をインターフェースさせることができるモジュール式マイクロ流体構成要素に対する技術的必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(C.概要)
本発明は、上記およびその他の技術的必要性を解決するものである。
【0006】
当業者は、以下に説明する図面が、いかなる点でも本発明の開示範囲を制限することを意図しているのではないことを理解するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(E.詳細な説明)
図面を含む上記の一般的な説明、および以下の詳細な説明は、単なる例示および説明的なものであり、本発明を制限するものではないことを理解するべきである。本開示では、単数形を使用する場合、特記しない限り複数形を含む。また、「または」を使用する場合、特記しない限り「および/または」を意味する。同様に、一人称または三人称の単数現在の「備える」、「備えている」、一人称または三人称単数現在の「含む」、および「含んでいる」は、制限することを意図するのではない。「要素」または「構成要素」などの用語は、特記しない限り、1つのユニットを備える要素および構成要素、並びに複数のユニットを備える要素または構成要素の両方を含む。本明細書で使用する各段落の見出しは、単に構成上の目的であり、記載されている主題を制限するように解釈しないものとする。本明細書で引用するすべての参考文献、および参考文献の部分は、あらゆる目的で本明細書で引用することにより本明細書に明示的に援用し、こうした参考文献としては、特許、特許出願、論文、書籍および専門書が挙げられるが、これらだけに限らない。援用された参考文献の1つまたは複数が本開示と矛盾する場合、本開示を優先する。
【0008】
本開示は、様々なサンプルに由来する標的分析物の調製および分析のための補足的な機能を有する集積化モジュラーシステムを提供する。本明細書に開示するシステムは、様々な標的分析物の調製および分析に使用され、こうした標的分析物としては、分子(たとえば、毒素、薬剤)、生体分子(たとえば、核酸、ポリペプチド、脂質)、細胞(たとえば、真核細胞および原核細胞(たとえば、バシラス、エシェリキア))、胞子(たとえば、Bacillus anthracis)、ウイルス(たとえば、インフルエンザ、疱瘡)、および医師の裁量で選択できるその他の材料が挙げられるが、これらだけに限らない。様々な例示的な実施形態では、サンプル調製および分析は、以下に記載するとおり、1つ以上のシステムモジュールによって実施することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するシステムは、サンプル捕捉または精製(SCPM)用のフロントエンドモジュールを備え、代表的な実施形態では、このフロントエンドモジュールは、捕捉および/または精製サンプルをバイオプロセッサモジュール(BPM)内に導入することがさらに可能であり、バイオプロセッサモジュールは、さらに他の調製および/または分析のために、1つまたはマイクロ流体デバイス(たとえば、マイクロスケール、ナノスケール、またはピコスケールのデバイス)を備えることが可能である。したがって、本明細書では、サンプル由来の標的分析物を捕捉、濃縮、または精製し、その後、標的分析物を1つ以上のマイクロ流体デバイス内に導入するために使用するモジュラーシステムおよび方法を開示する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、オフチッププラットフォームに供給することができる。
【0010】
様々な例示的な実施形態では、SCPMは、溶解、乳化、音波処理、遠心分離、クロマトグラフィ、固相抽出法(SPE)、免疫捕捉(たとえば、免疫分離(IMS)、ビードベースの捕捉、およびこれらの組合せなどの様々な方法によって、標的分析物を捕捉、精製、または濃縮することができる。いくつかの実施形態では、SCPMは、ミリリットルをマクロリットル以下の容量に濃縮することによって、マクロスケールのサンプル溶液をマイクロスケールの容量に減少させて、1つ以上のマイクロ流体デバイス内に導入することができる。これらのSCPM実施形態は、モジュールスケールインターフェースとして動作することができ、マイクロスケールおよび/またはナノスケールデバイスを、より大きいスケールで動作する動作モジュールを備える流体システムとして集積化することを可能にする。これらのSCPM実施形態は、有利なことに異なる寸法フォームファクタを有するモジュールを、流体的に連通するシステム内に集積化することを可能にする。いくつかの実施形態では、SCPMは、粗サンプル中に存在し、下流の処理または分析の抑制剤として作用し得る1つ以上の作用物質を除去することによって、サンプルを浄化することができる。サンプル中の標的分析物を捕捉、精製、または濃縮することによって、SCPMは、本明細書で開示するシステムの感度を従来の方法と比較して増加させることができる。
【0011】
BPMは、一般に、1つ以上のマイクロ流体デバイスを備える。本明細書で使用する「マイクロ流体デバイス」は、マイクロリットル(μL)、ナノリットル(nL)、および/またはピコリットル(pL)容量など、ミリリットル未満の量の流体を操作、保存、処理、または分析するために適しているデバイスを意味する。例示的な様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、1つ以上のマイクロチップ(たとえば、マイクロスケール、ナノスケール、ピコスケールのデバイス)、毛細管、およびこれらの組合せを備えることが可能である。本明細書に開示するマイクロチップは、先行技術で公知の微細加工技術によって製造することができ、バルブ、ポンプ、チャンバ、チャネル、レザバなどを備えることができ、1つ以上の標的分析物の処理または分析に適する可能性がある。例示的な様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、マイクロチップベースのカートリッジでよく、非交換/再使用または使い捨て式でよい。本明細書に開示するマイクロチップは、任意の形状または寸法を有することが可能である。たとえば、マイクロチップは、1つ以上の放射状サンプル調製または分析ユニットを有する円形カートリッジでよく、マイクロチップを作動させる機器とともに使用することができる。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは自動化可能である。たとえば、マイクロチップは、「CDチェンジャ」内に保存し、1つ以上の機能を実行するために自動的に挿入、操作することができ、必要に応じて、プログラム可能な機器によって保存することができる。したがって、機器は、マイクロチップの取扱い、外部空気圧、温度制御装置、試薬溶液などを提供し、1つ以上のマイクロチップを同時または順次作動させることが可能である。
【0012】
いくつかの実施形態では、SCPMは、1つ以上の付着標的分析物を含む可能性がある懸濁液、コロイド(たとえば、乳濁液)、または捕捉ビードをBPM内に、また様々なこうした実施形態では、BPMの1つ以上のマイクロ流体デバイス内に導入することができる。こうした実施形態では、BPMの1つ以上のマイクロ流体デバイスは、1つ以上の固体、たとえばビードをデバイスのマイクロ流体経路に通して、閉塞が生じない状態で移動させるために適している。
【0013】
ビードまたはその他の固体をSCPMからBPMに通過させると、検体含有サンプル量をダウンスケールし、その結果、マクロスケールモジュールをマイクロスケールデバイスにインターフェースするのに役立つ可能性がある。したがって、このようなSCPMおよびBPM実施形態は、異なるスケールおよび/または寸法フォームファクタのデバイスをモジュール式でインターフェースし、マイクロスケール、および/またはナノスケールデバイスを、より大きいスケールで動作するモジュールを備える流体システム内に集積化することを可能にする。
【0014】
ビードベースのマイクロ流体デバイスで処理するために適している例示的な様々な実施形態では、ビードは、流体回路内に挿置された堰またはその他の物理的障害によって、磁界によって、ビードのアフィニティー捕捉(affinity capture)によって、電気的捕捉またはその他の機構によって、マイクロ流体通路または回路の様々な位置で可逆的に固定化することができる。様々な実施形態では、ビードは、流体通路または回路を通って移動し、物理的または化学的処理を受けることができる。ビードに対して付着性であるか、または付着、吸着、吸収するか、さもなければ接着する検体は、その後下流の反応チャンバ内に移動することができ、さらにオンチップ(つまり、マイクロ流体デバイス内で)処理または分析が行われる。いくつかの実施形態では、標的分析物などの物質は、必要に応じてビードから溶離させることができる。いくつかの実施形態では、親和性が異なる一連のビードは、高度の特異性および感受性を有するより複雑な生体分子プロセスに結合することができ、たとえば、1つの工程は、細胞をビードに結合することができ、次の工程は、特異的なDNA配列をビード上に固定して、反応前に浄化することができ、第3のビードは、反応生成物を結合し、精製してから質量分析計などに導入することができる。いくつかの実施形態では、アフィニティー捕捉試薬を有するゲルも、当業者の裁量で選択される様々な工程で使用することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、BPMは、スタンドアロン型サンプル調製システムとして使用することができる。したがって、例示的な様々な実施形態では、BPMは、上流の様々なサンプル収集デバイス(たとえば、エアロゾルサンプラ)に接続するか、または下流の分析プラットフォームもしくは方法(たとえば、質量分析(MS)、核磁気共鳴(NMR)、毛細管アレイ電気泳動法(CAE)、逆転者−PCR (RT−PCR)、単分子検出システムなど)に供給することができる。しかし、いくつかの実施形態では、1つ以上の分析方法は、チャネル、レザバ、反応チャンバなど、またはこれらの組合せのマイクロチップ上で実施することができる。
【0016】
本明細書に開示するシステムは、生物兵器防衛監視、感染性疾患の診断、法医学、ゲノミクス、プロテオミクス、およびその他の分野に広汎な用途を有する。生物兵器防衛の場合、この技術は、建築物、飛行機、または空港用の病原体監視デバイスとして使用される分野で展開されるか、またはテスト受容の急増に対応するために実験室で使用し得るコンパクトなユニットを提供する。このシステムは、空気、体液、農産出物、またはその他のソースに由来するサンプルを調製および分析して、標的病原体を検出することができる。消費コストの低下と、調製および分析の自動化との組合せは、分子診断に著しい影響を与える。臨床診断の場合、この技術は、途切れない状態で集積化される使い捨てデバイスを使用してPCR診断機器を製造し、必要に応じて追加の分析を設定するように構成することができる。本明細書に開示するシステムは、薬理遺伝学、ヒト遺伝医学、生物医学の研究、動植物の型別分類、および人物同定に応用することもできる。
【0017】
本明細書に開示するシステムのその他の用途としては、微生物の検出、遺伝子型決定、配列決定、および法医学などの分子診断学;RT−PCR、再配列決定、およびタンパク質分析など、様々な方法のためのサンプル調製および分析用プラットフォームの作製;質量分析、毛細管アレイ電気泳動法、差次的発現、および単分子検出などの殆どの分析プラットフォーム、並びに生物兵器防衛用途のためのサンプル調製ステーションの作製が挙げられる。
【0018】
本明細書に開示するシステムは、たとえばロボット工学を使用して全体的または部分的に自動化することができ、ハンドヘルド型デバイスから現場のモニタ、実験機器に拡張することが可能である。
【0019】
(1.標的分析物の濃度)
いくつかの実施形態では、サンプル中の標的分析物は、マイクロ流体デバイス内に導入する前に濃縮し、さらに他の処理または分析を行うことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的分析物は、マクロスケール容量(たとえば、ミリリットルからリットル容量)を保持し、1つ以上の標的分析物を小さい表面(たとえば、マイクロビード)上に濃縮させることが可能な1つ以上のオフチップ貫流デバイスを使用して濃縮させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的分析物は、マクロスケール容量を保持するオフチップレザバによって供給可能なオンチップ貫流デバイスを使用して濃縮させることができる。いくつかの実施形態では、オンチップとオフチップデバイスとを組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、捕捉された標的分析物は、下流での処理または分析に適する容量に選択的に溶離させることができる。図1に示すように、SCPM1は免疫捕捉2、溶解3、核酸精製4のモジュールを含むことが可能であり、ナノバイオプロセッサ5と集積化可能である。いくつかの実施形態では、毒素などの分子を免疫捕捉し、ナノバイオプロセッサ5に直接供給することが可能である(図2)。
【0020】
表面上に標的分析物を捕捉するために適している物質としては、ビード、モノリス、変性ポリマーなどを含むことが可能な様々なタイプの抽出マトリックス材が挙げられる。いくつかの実施形態では、抽出マトリックス材は、様々な付着官能基(たとえば、C、C18、カルボキシ基、およびアミノ基)、様々なビードまたは化学物質の混合床、またはアフィニティー捕捉部分(たとえば、抗体、レクチン、ハプテン、リガンド(たとえば、ビオチン)、受容体、核酸など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、核酸は、SPRIまたは未変性シリカビードなどのカルボキシル化ビードを使用して捕捉することができ、水などの適切な量の極性溶媒中に溶離させることができる。いくつかの実施形態では、シリカ毛細管を使用するナノスケール捕捉法を使用でき、この場合、チオシアン酸塩などのカオトロピック剤が核酸を毛細管の表面に押しやり、洗浄後、濃縮および精製された核酸を緩衝液中に溶離させて、さらに処理または分析することができる(たとえば、米国特許第6,489,112号参照)。様々な標的分析物の固相捕捉に関する他の方法は、たとえば、Weimer等、2001 Appl.Environ.Microbiology,67:1300−1307に記載されている。
【0021】
a)オフチップ貫流デバイス
いくつかの実施形態では、標的分析物は、濃縮マトリックス140を通してマクロスケールのサンプル量を送るオフチップ貫流デバイス130を使用して濃縮させることができる(図4)。いくつかの実施形態では、濃縮マトリックスは標的分析物を保持し、バルク溶液および干渉化合物はデバイスを通過する。いくつかの実施形態では、干渉化合物または望ましくない化合物がマトリックス140上に保持され、標的分析物はデバイスを通過する。粗濾過(約、20μm)は、サンプルの形状(表面、水、土壌、エアロゾル、生体材料)に応じて、嵩高な不純物および微粒子を除去するために使用し得る。いくつかの実施形態では、オフチップ貫流デバイスは、内部にマトリックスが装填されている底部にフリットの開口部150を含むことができ、溶離用の穿孔(≦1mm)ポートを含むことが可能である(図4)。濃縮マトリックスは、本明細書に記載するように、非親和性培地またはアフィニティー捕捉培地を使用することができる。BPMマイクロ流体デバイスと集積化されたオフチップ貫流デバイスの一例は、図3に示されている。
【0022】
i)非アフィニティー捕捉
本明細書で使用する「非アフィニティー捕捉」は、疎水性、親水性、またはイオン性相互作用による培地上での標的分析物の非特異的捕捉を意味する。
【0023】
いくつかの実施形態では、標的分析物の非アフィニティー捕捉は、20μmのポリエチレンフリットを含むSPE培地の組合せが事前に装填された1.5mL(または4mL)のカラムを含むExtract−Clean(商標)固相抽出法(SPE)キット(Alltech)を使用することができる。培地は、標的分析物を捕捉して後に溶離させるか、または望ましくない物質が培地上に保持されている時に、標的分析物が通過することを可能にすることができる。たとえば、1〜10CFU/mL、約10〜10PFU/mL、および0.1〜10ng/mLの範囲内の細胞溶解物中の細胞、ウイルス、またはタンパク質は、それぞれ培地に塗布することができる。サンプルは、手動またはロボットを介して装填し、必要に応じて真空を適用して培地を貫流させることができる。いくつかの実施形態では、標的分析物は、洗浄可能な充填物質に結合され、標的分析物は培地からの溶離によって濃縮させることができる。例示的な様々な実施形態では、流動特性および保持特性の点でチャネリングを防止するためのシリカマイクロファイバディスクを有する3mLのシリンジバレルSPEC(ANSYS Technologies)、またはBigビードを使用することができる。標準または特殊クロマトグラフィ用培地も、所望の材料を濃縮または精製するために使用することができる。任意の選択された培地に関して、床容量、異なる培地処方、洗浄、および溶離条件は、当業者であれば最大限に保持して感受性を強化するように最適化することができる。
【0024】
様々な方法を使用して、デバイスを貫流するサンプルを監視することができ、こうした方法としては、たとえばAvalanche蛍光スキャナ(GE)を使用する免疫標識付けおよび蛍光検出、たとえばMegaBACE 1000(GE)を使用する、細胞の成長アッセイによる毛細管電気泳動法、または当業者が周知しているその他の方法が挙げられる。
【0025】
ii)アフィニティー捕捉
本明細書で使用する「アフィニティー捕捉」は、標的分析物に対して実質的に特異的な分子(たとえば、抗体、リガンド、受容体、レクチン、ハプテン、エピトープ、オリゴヌクレオチドなど)を含む培地を使用する標的分析物の捕捉を意味する。いくつかの実施形態では、標的分析物(たとえば、細胞、有機体、胞子、または毒素)の表面エピトープに対する単クローン抗体で修正された磁気ビードをサンプルに添加することができる。いくつかの実施形態では、特異的な有機体、細胞型、亜型、種、核酸、タンパク質などに対する抗体を塗布されたビードの混合物または集合は、順次、または医師の裁量で選択された様々な組み合わせで適用することができる。抗体を塗布されたビードは、標的分析物に結合し、それによって標的分析物を溶液から捕捉することができる。ビードは磁石によって収集することができ、不純物および潜在的な抑制剤を洗浄して除去することができる。
【0026】
例示的な様々な実施形態では、収集して洗浄されたビードは、貫流デバイスまたは別のデバイス内に再懸濁されてさらに処理されるか、またはBPMのマイクロチップ上に移動させることができる。本明細書に記載するとおり、生物兵器防衛用途に関連する実施形態の場合、収集して洗浄されたビードは、10μLの緩衝液中に再懸濁させ、小型音波ホーンを挿入することができる。いくつかの実施形態では、図6に示すデバイスを使用する貫流音波処理を使用することができる。音波処理後、音波処理された物質は、フィルタを通してBPMマイクロ流体デバイス上に送ることができる。
【0027】
b)オンチップ貫流デバイス
いくつかの実施形態では、BMPマイクロ流体デバイスは、標的分析物を濃縮するために使用することができる。いくつかの実施形態では、標的分析物のオンチップ濃縮は、モジュールの集積化、超微細加工技術の使用、および同一チャンバ内でPCRなどの様々な方法を実施する能力を促進することができる。いくつかの実施形態では、この場合、適切な流量を生成するために、比較的大径のチャネルを使用する必要があり得る。いくつかの実施形態では、免疫アフィニティー捕捉は、サンプル由来の病原性有機体もしくはウイルス、タンパク質、またはその他の標的分析物を濃縮および精製するための迅速かつ特異的な方法を提供する。たとえば、標的分析物を濃縮するため、ビードベースのサンプル調製は、バッチ処理からオンチップ処理に変更することができる。たとえば、抗体が塗布されたビードは、導電学的ビード床充填、および堰ビード補足方法を使用して集積化、超微細加工捕捉チャンバ内に配置することができる(Oleschuk等、2000.Analytical Chemistry 72:585−5909)。
【0028】
いくつかの実施形態では、貫流モードにおける充填床内のカルボキシル化ビードは、微細加工ガラスデバイス内で使用して、DNA配列決定混合物などのポリヌクレオチドを後処理することができる。ビードを捕捉するためのダムを有するガラスチップは、Borofloatガラスから微細加工することができる。ダムの上部と反対側のチャネルとの間のダムの隙間は、カルボキシル化ビード、またはシリカビードなどのその他のタイプのビード、抗体、レクチン、もしくは核酸などを使用するアフィニティー捕捉によるビードに応じて設計することができる。先ず、深いチャネルは、HFでエッチングされ、次に、第2の浅いエッチングは、特定のビードおよび用途に応じて、0.5μm以上のダム高さを確定することができる。いくつかの実施形態では、ビードは、圧力で充填し、真空吸引で除去することができる。いくつかの実施形態では、免疫官能化またはその他の磁気ビードは、堰がないチャンバ内に導入し得る。チャンバの平面に垂直の小さい磁界を印加すると、ビードは、ある程度規則的で、約5mmの間隔を有する一連の垂直ポスト状に自己組織化する(Doyle等、2002.Science 295:2237)。
【0029】
例示的な様々な実施形態では、マトリックス、たとえばクロマトグラフィ培地、付着抗体、もしくはその他のアフィニティー捕捉物質を有するゲル、化学的変更が行われたか、または行われないゲル、固相抽出培地、モノリス、または当業者が十分に周知しているその他の分離または結合マトリックスを使用することができる。
【0030】
(2.溶解モジュール)
いくつかの実施形態では、標的分析物は、オンチップまたはオフチップで破壊および溶解することができる。破壊または溶解させることが可能な標的分析物の非制限的な例としては、(たとえば、原核、真核、古細菌)、胞子(たとえば、細菌(たとえば、Bacillus anthracis、クロストリジウム)または真菌(たとえば、C.イミチス))、細胞小器官(たとえば、ミトコンドリア、核など)、核酸、染色体、プラスミド、リボソーム、プロテオソーム、ウイルス(疱瘡、インフルエンザ、ウエストナイル、ポリオ、肝炎、およびレトロウイルス)が挙げられる。いくつかの実施形態では、標的分析物は、音波処理によって破壊または溶解させることができる。いくつかの実施形態では、ビード上に捕捉される標的分析物は、マイクロチップ上に導入する前に超音波処理することができる。
【0031】
超音波破壊は、未加工の標的分析物溶液、またはビード上に捕捉され、濃縮および精製された標的分析物を含む溶液中に浸漬されるホーンを使用して実施することができる。ソニケータは、収集装置の廃液中に直接浸漬可能なプローブを有する貫流音波処理デバイスでもよい(図6)。チャンバも、エアロゾルを含有または捕捉するように設計することができ、本明細書に記載するように自動化することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、破壊または溶解は、ビードビーティングによって達成することができる。ビードは、本明細書に記載する捕捉ビードと同じであっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、溶解および/または捕捉に使用されるビードの磁気対非磁気、相違する密度などの溶解および/または捕捉のために使用されるビードの微分的性質、たとえば磁気対非磁気、異なる密度などは、様々なタイプのビードを分離して、下流の処理または分析を単純化するために使用し得る。いくつかの実施形態では、貫流進行波ビードビーティングデバイス10を使用することができる(図5)。たとえば、図5に示すように、回転する磁極片20は、磁極片が回転する時に、貫流管(flow through tube)30の下方に磁気波(magnetic wave)を生成する。回転は最大約100Hzでよく、隣接する管を通るビードを十分に加速して、管を貫流する胞子およびその他のタイプの標的分析物を破壊することができる。いくつかの実施形態におけるビードは、溶解を促進するために複数の形状を有する。
【0033】
破壊または溶解を評価するため、生存能力の損失対時間を使用して、所望の出力設定、露出時間、容量、およびジオメトリを決定することができる;こうしたパラメータの設定は、当業者の能力の範囲である。いくつかの実施形態では、TaqManアッセイにおけるDNAまたはRNAの放出をテストするため、選択されたサンプルを使用することができる。破壊は、胞子および巨大分子の粘度および断面積を低下させ、しかもこれらを下流で処理または分析できない状態にならないように、胞子に関して、かつ巨大分子の剪断に関して最適化することができる。いくつかの実施形態では、溶解物は、少なくとも約10μm、さらに少なくとも約20μm、30μm、またはそれ以上の細孔サイズを有するフィルタに通過させて、マイクロ流体デバイスのマイクロチャネルを閉塞させる可能性がある塊を除去することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、破壊または溶解された物質は、オンチップまたはオフチップで、さらに精製するための原材料として使用することができる。たとえば、核酸をアッセイするために、選択的オリゴヌクレオチドにより核酸をビード上にハイブリッド化する精製工程は、標的配列を背景から精製することができる。選択的オリゴヌクレオチドを備えるビード上での核酸ハイブリッド化の精製工程はバックグラウンドから標的配列を精製することができる。タンパク質の場合、固体表面に対する捕捉、たとえば疎水性、カルボキシル化、またはその他の化学反応は、あるクラスのタンパク質の非特異的な精製を提供し、同時に、アフィニティー捕捉は、必要に応じて強化された特異性を提供することができる。同様に、多数の精製工程は、必要に応じてオンチップおよびオフチップ、並びにビードベースのその他のマトリックスの種々雑多な組合せにより実施することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、溶解は、マイクロチップ内へ導入後に実施することができる。こうした実施形態では、マイクロチップは、溶解される細胞を含むサンプルを収容する。
【0036】
(3.核酸精製モジュール)
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、核酸精製モジュール(NAPM)を含むことができる。NAPMは、その他の物理的形態の溶液またはサンプル、たとえば1つ以上のビード、コロイド、多相(不均質もしくは異質)溶液、またはその他の組成物を収容するように設計することができる。いくつかの実施形態では、NAPは、溶解モジュールからの投入量を収容するように設計することができる。NAPMによって収容される量の範囲は、ミリリットルからピコリットル未満の量にわたる可能性がある。いくつかの実施形態では、NAPの生産量は、BPMマイクロチップまたはその他のマイクロ流体デバイスに供給され、さらに処理または分析を行うことができる。
【0037】
様々な化学物質は、NPAMで使用するように構成することができる。例示的な様々な実施形態では、NAPMは、様々な方法で全核酸精製を実行するように設計することができ、こうした方法としては、カオトロピック剤を使用する表面吸着/脱離による精製;たとえば、オリゴヌクレオチド含有ゲル上での電気泳動捕捉による選択的核酸精製;またはオリゴヌクレオチド含有ビード上へのハイブリッド化による選択的核酸精製が挙げられる。NAPMの実施例を図7に示す。
【0038】
a)全核酸精製
サンプル中の全核酸は、カオトロピック剤を使用して、核酸を溶液から表面上に押しやるという非特異的な捕捉方法を使用して精製することができる。たとえば、米国特許第6,489,112号は、チオシアン酸塩またはグアニジニウムなどのカオトロピック剤を使用して、核酸をシリカ毛細管の表面上に押しやる定量的ナノスケール「テンプレート捕捉」法について記載している。洗浄後、濃縮および精製された核酸は、緩衝液中に溶離させて、サイクル配列決定などのナノスケールサンプル処理または分析を行うことができる。この方法は、核酸を溶解物から精製するために使用することもできる。
【0039】
いくつかの実施形態では、投入サンプルは、ガラスビード、またはその他の適切な表面、たとえばチャネル壁部などの存在下でカオトロピック剤と混合することができる。また、カオトロピック剤は、核酸を溶液から押し出して、ガラスビードまたはその他の表面に吸着させる。カオトロピック剤は、サンプル中に存在する可能性があって、核酸の分解を実質的に抑制するヌクレアーゼを不活性化する。定温放置期間後、細胞残屑、変性タンパク質、およびカオトロピック剤中で溶解可能なその他の組成物は、たとえば真空を使用する吸引によって除去し、廃棄流中に廃棄することができる。精製されたサンプルは、さらに洗浄してその他の不純物を除去し、拡散を緩衝液中に溶離して回収し、マイクロチップまたはその他の流体システム内に導入することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、核酸精製条件は、5Mチオシアン酸ナトリウムを95℃で90秒間変性させ、30℃で5分間にわたって表面(たとえば、ガラスビード)に結合し、および2秒間の80% EtOHを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、数種の異なるカオトロピック剤および溶離回収化学作用を使用して、変性ビード上、たとえばSPRIカルボキシル化ビード上に精製することができる。
【0041】
b)選択核酸精製
いくつかの実施形態では、標的核酸は、オフチップハイブリッド化を使用して、オリゴヌクレオチド捕捉配列に選択的に精製することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、サンプルは、電気泳動法、動水圧、遠心分離、または他の力によって、未変性ビード、変性ビード、交換可能なアフィニティー捕捉ゲル、モノリス、コロイド、2相溶液、およびその他の物質からなる固定または可動マトリックス上に移動させることができる。例示的な様々な実施形態では、マトリックスは未変性で、物質の表面特性に基づいて標的核酸へ結合し得るか、マトリックスは、サンプルの成分の結合を強化または遅延させるために変性させることができるか、またはマトリックスは、標的配列、結合抗体、もしくはその他のアフィニティー捕捉物質に相補的に付着したオリゴヌクレオチド配列を有することができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド上のビオチンラベルは、標的DNAとハイブリッド化することが可能である。ビード上のストレプトアビジン部分は、ビオチンに結合させて、所望の標的核酸を精製することができる。
【0043】
たとえば、標的核酸を含むサンプルは、標的核酸に対して相補的な結合オリゴヌクレオチド配列を含むビードに適用し得る。結合標的核酸は、低イオン強度緩衝液中で洗浄して、塩、不純物、および誤対合断片を除去し、熱および電圧によってナノリットル容量中に溶離させることができる。いくつかの実施形態では、アフィニティー捕捉は、迅速(≦7分間)、かつ高効率で(サイクル配列決定生成物の場合≧90%)行うことができる。この方法は、オフチップ構成にスケールすることができる。出力値は、物理的構成に応じて約10nLから約1mLまで変化することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、上記の組成物および方法は、タンパク質、脂質、炭水化物、または非同族核酸に関してアッセイ可能なサンプルから核酸を除去するために使用することもできる。
【0045】
(4.ビードまたは溶液のマイクロチップ内への導入)
サンプルは、様々なマイクロ流体デバイス、またはその他の流体システムに直接、または処理後、たとえば本明細書に記載するように捕捉および核酸精製によって導入することができる。いくつかの実施形態では、アフィニティー捕捉工程に由来するビードは、マイクロリットルまたはナノリットル容量などの小量でマイクロチップ内に導入することができる。ビードは、たとえばシリンジポンプまたはピペットデバイスを使用して、マイクロチップ上のレザバ内に揚送することができ、オンマイクロチップポンプは、ビードが捕捉または保持されているマイクロチップの部分の内部にビードを移動させるために使用することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、単独のビードは、マイクロチップ上に移動させて、処理または分析、たとえば。マトリックス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)走査、およびペプチドフィンガープリントを含むDNA配列決定、単一分子分析、タンパク質のMS分析を行うことができる。単一ビードは、たとえば、流動細胞技術を適用することによって、個々のチャンバ内にオンマイクロチップで個々のチャンバに送ることができる。あるいは、単一ビードは、平均で、1個のビードのみがチャンバ内に到達すると予測される確率配分過程でチャンバ内に配置することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、サンプルは、バッチモードなどの様々なタイプの流体システム、貫流システム、またはこれらの組合せでさらに処理することができる。このシステムは、マイクロチップ、毛細管、管類、ウェル、または他の容器、およびマイクロ流体デバイスをベースとすることができる。導入されたサンプルは、成分、タグ成分を分離するために生化学的または化学的に処理するか、オンマイクロチップで分析するか、または下流で分析するために調製することができる。
【0048】
(5.BPM)
BPMは、一般的に、以下に記載するように機器およびプログラム可能なソフトウェアによって任意に動作することが可能な1つ以上のマイクロ流体デバイスを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、カートリッジ内に保持されたマイクロチップ、ナノチップ、またはピコチップであって、SCPMからサンプルを投入し、流体回路と反応チャンバとの間に液体を送り、試薬を添加し、核酸および毒素などの様々な標的分析物についてアッセイを実行することが可能なものでよい。いくつかの実施形態では、様々なタイプのチップは、MOVバルブ、ポンプ、およびルータをシステム制御要素として使用して、それによって反応時間および順序を制御する個々のバイオプロセッサモジュール内でサンプルを処理することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するチップはSCPMと集積化することができる。
【0049】
a)マイクロロボットオンチップバルブおよびポンプ(MOV(商標))技術
MOVマイクロバルブ、マイクロポンプ、およびマイクロルータは、2つのガラスマイクロ流体層を、バルブを開閉するポリジメチルシロキサン(PDMS)などの変形可能な膜層、および膜を変形させてバルブを作動させる空気層と結合する。上部ガラス層(図9)内にエッチングされた流体チャネルは不連続であり、バルブシートとして作用するバイアに至る。PDMS膜40は、バルブシートに接して着座し、通常は2つのバイア間の流路を閉鎖する。PDMS膜40の反対側には、エッチングによって形成された空気置換チャンバが、フルスケールの真空源または圧力源に接続されている。超小型オフチップソレノイドを制御することによって、真空または圧力(約1/2気圧)をPDMS膜40に印加すると、可撓性膜の単純な変形によってバルブを開放(50)または閉鎖(60)することができる。
【0050】
自給式MOVポンプ(図10)は、3つのバルブ70、80、90の動作を調整することによって製造することができ、いずれかの方向の流れを形成することができる。多様な流量は、作動順序のタイミング、隔壁のサイズ、チャネル幅の変更、およびその他のオンチップ寸法によって達成することができる。ルータ(図11)は、同様にこれらのバルブおよびポンプから形成することができる。ルータは、中心隔壁バルブ100に接続する別個のチャネル110、120上に各々の3つ以上のバルブを使用して形成することができる。適切な組み合わせのバルブを作動させることによって、1つのチャネルからの液体は、中心隔壁バルブ内に吸収され、別のチャネル内に排出されて、液体を一掃することができる。バス構造を形成することも可能である。
【0051】
MOVバルブおよびポンプは、単一シートのPDMS膜を使用して1つの製造プロセスで同時に作製することができ、つまり、1つのチップ上で5つのMOVポンプを作製するコストは、500個のポンプを作製する場合と同じである。したがって、本明細書の開示は、チップ上で複雑なマイクロ、ナノ、およびピコ流体回路を作成する方法を提供し、事実上任意の反応またはアッセイをチップ上に移植することを可能にする。一般に、この技術は、溶解イオン強度の変化、および表面汚染に対して少なくとも実質的に反応せず、電界の印加を必要としない。
【0052】
b)マイクロ流体デバイス
図31は、核酸分析に使用可能な単一バイオプロセッサモジュールの例を示す。この構造では、捕捉されたビードは、IMSおよび核酸精製に由来する精製核酸が結合しており、下方のチャネル350に投入することができる。オンチップMOVポンプ351は、ビードを堰352に移動させ、堰352では、リアルタイムPCR試薬および内部の標準物質を試薬投入部から添加することができるため、核酸は、熱を局所的に印加することによって放出され、μRT−PCRチャンバ353内に揚送することができる。チャンバを囲むバルブは閉鎖して、熱が循環する。
【0053】
図32は、図31の設計を使用する6’’マイクロチップに関する48ユニットの設計の一例を示す。いくつかの実施形態では、96以上のユニットは、6’’チップ上に放射状に配置することができる。いくつかの実施形態では、384個の分離チャネルは、8’’チップ上に配置することができる。96チャネルのマイクロチップは、これらのチャネルが約3回のみ再利用される場合、約30日間にわたって動作することができる。いくつかの実施形態では、240個のユニットは、最終的な仕様の要件、テストされる標的分析物の数、および多重化の程度に応じて、12’’マイクロチップ上に放射状に配置することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、様々なチップは、たとえばRT−PCRで使用可能な反応チャンバ(図29)として、バルブチャンバを形成する穿孔バイア孔を含むことが可能である。3mm厚の穿孔ウェハ、および300μmのダイアドリルを使用することによって、長軸(チャネルに対して横方向ではなく)に沿って下方に3mmの検出経路長を有する212nLのチャンバを精製することができる。いくつかの実施形態では、これらのチャンバは、優れた表面対容量比を有することが可能である。いくつかの実施形態では、容量がより大きければ、表面対容量比もより優れ、経路長もより長くすることができる。一般に、チップ上の検出は、チャネルに対して横断方向で実施することができ、経路長はチャネルの深さに等しく、約30μmであり;同様に、毛細管システムでは、経路長は約50〜200μmである。優れた容量対表面比、および約100倍長い経路長は、この単一構造によって、それぞれサンプル調製生化学(より高い容量対表面比)、および蛍光検出の両方に有利である。同じ検出構造は、毒素の検出に使用することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、様々なチップは、MOVルータを使用し、内部標準物質を含有するPCRマスターミックスなどの試薬を添加することによって、投入サンプルを適切な数の反応に分配することができる(達成される多重化度に応じて)。図33に示すように、法医学的記録および再テストのためのサンプルは、投入MOVルータを使用して等分することができ、次に任意の陽性リアルタイムPCR反応に由来するサンプルをμCAEのために選択することができる。図33は、いくつかの実施形態では、μCAEチャネルが、各々のバイオプロセッサユニットまたは反応に必要ではないことを示す。いくつかの実施形態では、完全6’’マイクロチップ上の2〜4つのμCAEチャネルを使用でき、つまり、これらのチャネルは、確認のために使用することができ、数十のリアルタイムPCRチャンバ、およびその他のタイプのアッセイチャンバ(たとえば、毒素アッセイチャンバ)に接続するように深く入れ子状にすることができるからである。
【0056】
図25は、使い捨てカートリッジとして設計される生物兵器防衛用途のマイクロチップ、および病原体のサンプル調製のためにマイクロチップを作動させるプラットフォームの一例を示す。チップは、MOVバルブ、ポンプ、および反応チャンバ、試薬注入用のサンプルポート、並びに上流の濃縮モジュール、および下流の分析モジュールとインターフェースするための入口および出口ポートを備える。図17は、放射状に配置された12ユニットのバイオプロセッサを有する円形基板を使用するマイクロチップを示す。いくつかの実施形態では、1度に1つのユニットを使用することができ、マイクロチップは、使用の合間に回転させることができる。あるいは、様々なジオメトリの基板、および様々な流体配置を有する実施形態を使用することができる。
【0057】
この例ではマイクロチップ上に流体機器を有するバイオプロセッサモジュールは、上流のSCPMに由来するサンプルを収容し、記録および再テスト用の部分標本のサンプルを生成し、サンプルをオンチップで溶解し、サンプルを調製および標識付けし、そのサンプルを検出器に送って分析することができる。この実施例では、BPMは、流体機器有するマイクロチップカートリッジ、およびカートリッジを作動させる機器を備える。カートリッジは、「CD」形式であり、セクタ内のカートリッジごとに12個のバイオプロセッサユニットを有することができ、各々のユニットは単一サンプル、または複数のサンプルに使用される。たとえば、カートリッジは1つのサンプルを処理し、回転して次のサンプルを収容することができる。カートリッジは、様々なサンプリング方法に適合するように構成され、必要に応じて変更することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジの集合は、CDチェンジャに類似する小型の回転ラック内に保管することができる。機器は、試薬を保管、充填し、カートリッジを作動および変更し、プロセスを制御する機構を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、オンカートリッジMOVバルブおよびポンプを制御要素として使用して、サンプルを処理するように設計されたナノバイオプロセッサカートリッジを使用することができる。MOVバルブは通常は閉鎖されており、堅牢で製造が容易であり、緻密なアレイで動作することができ、死空間は少なくてよい。このバルブは、Grover等(2003年)の Sensors and Actuators B89:315−323の設計に従って、ガラス層とポリジメチルシラン(PDMS)とを変形可能な膜として結合することによって作製することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、自給式ポンプ(図10)は、図9に示す3つのバルブを結合することによって作製することができる。中心の隔壁バルブは、流動方向を制御するように機能する側面バルブより大きくてよい。さらに、中心バルブは、反応チャンバまたは混合機として機能することが可能である:PDMSは、最大2mm変形して、多ければ100マイクロリットル台、少なければ10ナノリットル台を有する反応チャンバを形成できる(Grover等、2003年。Sensors and Actuators B89:315−323)。これらのチャンバは、動的に拡張および縮小することが可能である。
【0060】
本開示では、MOVバルブおよびポンプは、プロセッサ内に結合されて、マイクロスケールおよびナノスケールサンプルを調製および処理することができる。
【0061】
本開示では、バイアホールのサイズは、バイアホール内に反応チャンバを形成するように変化させることができる。バイアホールの幅、およびバイアホールが貫通するウェハの厚さの変化を組み合わせることによって、広範なチャンバを構成することができる。バイホールは、反応チャンバとして機能するほか、光学的検出およびその他の検出のために経路長を増加するために使用することも可能である。たとえば、図29は、バイアホール231がリアルタイムPCRを実施するために使用され、かつ検出セルとして使用されるマイクロチップ230を示す。検出は、バイアホールのコーティングまたはウェハ基板として内部反射材料を使用して強化することも可能である。
【0062】
(6.用途、機器、およびソフトウェア)
いくつかの実施形態では、マイクロチップは、真空チャック上の固定位置に保持することができる。マイクロチップインターフェースデバイスは、マイクロチップと合体させて、外部の制御要素、たとえば外気、熱循環温度制御要素、温度制御装置、および試薬導入ラインを提供することができる。
【0063】
図16は、外部作動MOVバルブおよびポンプを使用して、流れを制御するように設計され、比較的大きい中心隔壁バルブが反応チャンバとしても機能するマイクロチップカートリッジの一実施形態を示す。このカートリッジは、バイオプロセス160〜162、記憶領域170、およびレザバ180のための3つの主チャネルを有する。これらのチャネルの1つは、DNAベースの分析のための処理のために設けられ、第2および第3チャネルは、免疫学的アッセイでの分析による毒素および粒子の処理のために設けられる。図16に示す配置は、多くの可能性のある配置の1つであり、生物兵器防衛用途のための下流の単一分子検出器とインターフェースするように設計される。
【0064】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、以下のように機能することできる。100μLのサンプルは、内部コントロールを追加した後に、オフチップサンプル濃縮器によって、カートリッジ上の投入レザバ190内に送達される。7つの未処理10μLの部分標本は、「A」と標識されたルータ200によって、レザバから4℃に保持されたオンカートリッジ保管チャンバ内に揚送される。これらの部分標本の3つは再テスト180用であり、分析サンプルのテストが陽性である場合、予定される確認用であり、その他の4つの部分標本170は、最初の陽性の検出結果が、再テストによって確認された場合、後の回収および法医学的分析用である。すべての部分標本は、TEC Peltier冷却器などの外部冷却器によって、カートリッジ上で冷却保存され;必要な場合、これらのレザバ内で、安定化試薬を乾燥保存することができる。カートリッジの使用後、使用済みのカートリッジは、冷蔵小型回転ラック内に保存される。
【0065】
次に、即時処理のための部分標本が形成および処理される。10μLのテスト部分標本は、ルータA 200を介してバイオプロセスチャネル2 161内に移動してチャンバD 163に到達し、以下に記載するように、毒素検出のための免疫標識付けが行われる。第2の10μLテスト部分標本は、ルータA 120を介してバイオプロセスチャネル3 160内に移動してチャンバE 164に到達し、以下に記載するように、完全な細菌またはウイルス粒子の検出のための免疫標識付けが行われる。次に、投入レザバは、上からキャップが形成され、残りのサンプルは、カートリッジの底部を介して結合された外部ソニケータホーンを使用して音波処理される。生成された超音波は、増殖性細胞、胞子、およびウイルスを破壊し、DNAを剪断して、粘度を減少させ、ハイブリッド化の反応速度および流動特性を改善する。溶解サンプルは、ルータA 200を介してバイオプロセスチャネル1 162内に移動してチャンバC 165に到達し、DNA分析のために標識付けされたプローブとのハイブリッド化が行われる。
【0066】
3つのチャネルのバイオプロセスは、同時に行うことができる。RNA、タンパク質、および脂質を分解するサンプル消化工程は、DNAベースの単一分子検出のためにサンプルの背景を減少させ、下流検出器に対する要求を減少させるために望ましい場合がある。このプロセスが実行される場合(たとえば、単一分子の検出のために)、DNA分析サンプルは、非DNA物質を分解させるために添加された緩衝液中のRNAse、プロテアーゼ、およびリパーゼのカクテルを有する可能性がある。添加は、物質をレザバBから、サンプルを有するチャンバC内に揚送することによって行ってよい。必要な場合、サンプルおよび消化試薬は、隣接するチャンバ間を往復するように揚送して混合することができる。チャンバC内の部分標本は、レザバFに由来するDNAプローブとハイブリッド化することによって、DNA分析のために標識付けすることができる。ハイブリッド化または抗体プローブは、試薬カートリッジ内で低温保存することができ、個別バイオプロセッサユニットを使用する前に、外部ポンプを使用してカートリッジに添加することができる。プローブは、オンカートリッジポンプを使用してチャンバ内に送出され、試薬を混合することができる。やはり、サンプルおよび試薬は、プローブチャンバと反応チャンバCとの間を往復するように揚送し、必要に応じてさらに混合することができる。取付具は、加熱要素をチャンバの下に有することができる。ハイブリッド化する場合、側面バルブを閉鎖し、チャンバを95℃まで加熱してDNAを変性させてから、ハイブリッド化最適条件まで冷却すると、存在する任意の標的にDNAプローブをハイブリッド化することができる。これらのバルブは、これらのチャンバ内でPCRを実施するように十分に封止し、したがって、蒸発を実質的になくすことができる。
【0067】
上記のBPMは、任意のPCRベースのアッセイ、たとえば個別もしくは多重化PCR、可変数縦列反復(VNTR)、多座VNTR分析(MLVA)、またはその他のアッセイに適用することができる。ハイブリッド化プローブは、適切なPCRプライマーと置換して、外部熱源を循環させることができる。消化工程は、制限消化と置換して、増幅された断片長多形(AFLP)をインプリメントすることができる。毒素を検出する場合、チャンバD内の部分標本は、レザバGに由来する毒素に対する抗体プローブと混合することができ、粒子の検出の場合、チャンバE内の部分標本は、レザバHに由来する微生物の表面層に対する抗体プローブ、37℃に保持されたサンプルと混合することができる。
【0068】
標識付けの後、バイオプロセスされたサンプルは、3つの外部レザバ内に揚送することができ、サンプルは、レザバ内に吸引することによって取り上げられ、検出器によって分析される。あるいは、毛細管電気泳動法または光学的検出は、修正バージョンのマイクロチップ上で実行することができる。
【0069】
検出器が内部コントロールのみを検出する場合、カートリッジを回転させて、次のバイオプロセッサユニットを用意することができる。サンプルがテストで陽性だった場合、バイオプロセッサユニットは回転させず、代わりに再テストフラッシュレザバからフラッシュされ、新鮮な試薬が争点される。サンプルの検査結果が陽性の場合は、バイオプロセッサユニットは回転させられず、その代わりに再検査フラッシュレザバからフラッシュされて新鮮な試薬が装填される。再テストのために保存された3つのサンプルは、ルータを介して、1つのサンプルは、毒素アッセイのために直接チャンバDに、第2のサンプルは、粒子の検出のためにチャンバCに、および第3のサンプルは、音波処理およびDNA分析のために投入レザバに逆に揚送することができる。再テストサンプルは、上記のように処理されて検出器に排出され、陽性が検出される可能性があると推測される事象として確認される。
【0070】
マイクロチップを作動させるための機器は、外部機器であるマイクロチップインターフェースデバイス内に収容することができる。マイクロチップは、真空チャックの上部に保持されたマイクロチップカートリッジ、および空気圧、加熱、および冷却を有するマイクロチップと合体するマイクロチップインターフェースデバイス、並びに試薬をレザバ内に移動させるシリンジポンプとともに開発される。コンピュータ制御マイクロチップインターフェースデバイスは、ソレノイドを制御して、外部のフルスケールのバルブを開閉し、その結果、マイクロチップバルブを制御し、サンプルを揚送し、マイクロチップ上に移動させることができる。
【0071】
マイクロチップインターフェースデバイスは、加熱器、たとえば、ニクロムなどの抵抗加熱器、Peltier加熱器、空気ベースの加熱器、または当業者が十分に周知しているその他の加熱器、および熱電対、またはその他の温度測定デバイス、並びにマイクロチップの領域の温度、加熱および冷却速度を制御する関連制御回路構成およびソフトウェアを備えることができる。冷却は、放射冷却、ファンからの能動的な冷却、Peltierによる冷却、水、または当業者が十分に周知しているその他の方法によって行うことができる。マイクロチップ全体の温度も、真空チャックを加熱することによって設定することができる。
【0072】
シリンジポンプは、取り付けられたマイクロチップ上のレザバに試薬を送達するように制御するか、または試薬を含有する加圧チャンバは、試薬が管を貫流して、マイクロチップ上のレザバ内に入るのを可能にするように開放するバルブを有することができる。いくつかの実施形態では、重力流を使用することができる。施態様によっては、電気によって試薬を移動させ、ビードまたは粒子に付着した試薬を磁気的に送達することは、本開示の範囲に含まれる。上記のすべてのハードウェアおよびNanoPrepソフトウェアは、Laboratory Rapid Automation Toolkitソフトウェアまたは他のソフトウェアを使用して制御することができる。
【0073】
Laboratory Rapid Automation Toolkit(LabRAT(商標))ソフトウェアプラットフォーム500(図26)は、機器ソフトウェア開発キットであり、これは、機器を駆動させ、プロセスを自動化するための堅固な商業グレードのソフトウェアプラットフォームを迅速に作製することを可能にするものである。LabRATは、一連の通信および命令プロトコル501〜503を画定し、標準化された自動化アーキテクチャおよびフレームワークを有し、これは、市販のものより単純で、より対応性があり、より効率的である。LabRATフレームワークは、多重オペレーティングシステム、開発言語、および通信媒体504にわたる可能性がある一連の技術の核心をベースとしている。
【0074】
LabRAT自動化アーキテクチャの中心には、SOAP(シンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル)標準の中心であるXML−RPC(拡張マークアップ言語−遠隔手続き呼出し)をベースとする機器通信および制御インターフェースプロトコルがある。XML−RPCは、プロセス間通信のための優れた機構である:これは、単純、迅速、堅固であり、現在のほぼあらゆるソフトウェア開発システムのために広汎に利用可能なインプリメンテーションを有し、TCP/IPおよびHTTP上で動作し、容易にインプリメントすることができる。XML−RPCは、非常に高レベルの「メタ機構」として動作し、本質的に異なる構成要素を、厳密に順序付けられたインプリメンテーションシステム状に互いに結合することができる。中心の通信および命令プロトコルのほかに、構成要素間で「実験サービス」を交換するために、実験用インプリメンテーションに適する一連のインターフェースが画定され、インプリメントされた。
【0075】
LabRATまたは類似のソフトウェアは、マイクロチップインターフェースデバイスを制御するように構成されていた。既存のLabRATソフトウェアは、個々の構成要素のドライバが「ラップされる」と、すべての層に機能を提供する。局所的な温度循環を制御するNanoPrepサーマルサイクラーソフトウェアは、LabRAT内に既に組み込まれている。空気ソレノイド、シリンジポンプ、および検出器を含むその他の要素も、LabRATソフトウェアで制御することができる。さらに、様々なハードウェア構成要素の相互作用は、LabRATスクリプト記述命令を介して調整することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、3つのハードウェアデバイスを制御することができる:1)加熱および温度循環、2)オンチップバルブおよびポンプ(空気圧で動作)、並びに3)試薬を送達するシリンジポンプ。温度循環は、反応チャンバの真下に配置されたニクロム加熱コイルを使用して行うことができ、既存のNanoPrepソフトウェアおよびハードウェアにより制御することができる。MiniPrep Cartesianロボット(Tecan)は、「Smart I/O」基板(Tecan)を駆動して、マイクロチップ上の小型ロボットバルブおよびポンプを制御するための最大32ttlの出力ライン、およびマイクロチップ上にサンプルを装填し、マイクロチップ上のサンプルを取り出すためのフルスケールのロボットを作動させるために使用することができる;また、LabRAT CANインターフェースは、高精度シリンジポンプを作動させて流体をチップ内に分配することができる。
【0077】
Smart I/O基板は、Crydom固体リレーモジュールを駆動させることができる(各ラインに対して1個、MODC−5 SSRモジュール、DigiKey #CC1226−ND、およびMS−44−Pos実装基板、DigiKey #CC1230−ND)、その結果、24V DCソレノイドバルブ(ARO、P251SS−024−0)を作動させることができる。これらのバルブは3方直接駆動ユニットであり、1つの共通ポート、通常開放するポート、通常閉鎖するポートを各1つ(それぞれ真空および加圧空気ラインに接続)有する。ソレノイドは、8つの多岐管(マイクロチップ上のM1〜M8)を介して作動する8本のフルスケールの真空および加圧ラインを制御するであろう。制御ソフトウェアは、チップ上のチャネル内で流体を駆動するポンプ作用を生じるように、これらのソレノイドを順次作動させることができる。ロボット制御ソフトウェアは、LabRATソフトウェアの制御下で順に、Express Script Engine(Tecan)によって実行されるASCII符号化スクリプトの形態でよい。既存のLabRATソフトウェアは、高度XML−RPCベースのフレームワークを使用して機器を作動させる完全な機能を提供する。
【0078】
マイクロチップを作動させるためのハードウェアは、スタンドアロン型機器として開発するか、または既存の機器と結合することができる。たとえば、Tecan MiniPrep機器は、必要に応じてオンチップおよびオフチップで溶液を滴定し、Tecan Smart I/Oカードはハードウェアを制御し、ひいてはMOVバルブおよびポンプを制御するために使用することができる。
【0079】
図27は、マイクロチップを有するMiniPrepロボットを使用するシステムの正面図の一実施形態を示す。ステージの前面(右)には、アルミニウム合金の真空チャックが存在する。このチャックは、チップの広範囲にわたる加熱を可能にする「サンドイッチ型」構造内に埋め込まれた抵抗加熱要素を有る。温度制御装置は、一番左の黒色パネルの上部に見られる。オンチップバルブおよびポンプを駆動する8本の真空ラインは、チャックの左側から、管類を介して、Tecanパネル(この写真では見えない)の1つの裏側に設置された真空多岐管に接続される。ステージの左側には、「レザバ」の試薬をチップ上に分配するためのシリンジポンプ(シリンジが取り付けられている)が存在する。
【0080】
図28は、温度制御装置、8つの24V DC、およびリレーを含む多くの設置構成要素を有するMiniPrepの内部(後部パネルを取り外した後)を示す。空気ポンプおよびSmart I/O基板もMiniPrep内部に実装されているが見えない。
【0081】
本明細書に記載するバイオプロセッサカートリッジは、マイクロ流体オンカートリッジバルブおよびポンプを制御要素として使用して、サンプルを処理するように設計することができる。カートリッジは、これらの外部作動バルブおよびポンプを使用して流れを制御し、より大きい中心隔壁バルブが、反応チャンバとしても機能するように設計することができる。図15は、カートリッジ上の12個の同じバイオプロセッサユニット200の1つを示す。各々のユニットは1つのサンプルを投入し、バイオプロセスされた3つの産出サンプル201〜203を調製する:1)DNAハイブリッド化標識を使用するDNA分析、2)免疫標識を試用する毒素分析、および3)免疫標識を使用する粒子分析。さらに、各々のユニットは、試薬添加領域204、混合および反応領域205、並びに再テストのためのサンプル保存領域206を有することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、1mLのサンプルは、内部コントロールを添加した後、エアサンプラによってカートリッジ上の投入レザバ207内に送達することができる。投入レザバは、チャネルを閉塞させる恐れがある「大きい粒子状物質」を除去するために組み込まれる粗いフィルタを有するとよい。未処理の700μL部分標本は、投入レザバから「A」と標識されたチャンバ208内に揚送され、4℃に保持されたオンカートリッジ保管チャンバ206内に入る。保存サンプルは、1)任意の分析サンプルのテスト結果要請である場合、再テストおよび可能性のある確認が行われ、および2)最初に陽性の検出結果が、再テストによって確認された場合、後に回収され、法医学的な分析が行われる。保管サンプルは、TEC Peltier冷却器などの外部冷却器によってカートリッジ上で冷却保存することができる;必要な場合、安定化試薬をこれらのレザバ内に乾燥保存することができる。カートリッジの使用後、使用済みのカートリッジは、冷蔵小型回転ラック内に保管することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、DNA、毒素、および粒子を即時処理するための3つの部分標本を形成し、処理することができる。毒素を標識するための100μLのテスト用部分標本は、最初にチャンバA 208内に揚送し、免疫標識および毒素の検出用の試薬を、このチャンバ内に揚送することができる。サンプルおよび試薬を混合する必要がある場合、サンプルをチャンバB 209まで往復させて揚送することができる。サンプルは、低温放置用の産出レザバ201〜203内に揚送し、検出器に移動させることができる。第2の100μLテスト用部分標本は、免疫標識用のチャンバA 208内に移動させて、完全な細菌またはウイルス粒子を検出することができる。微生物またはウイルス表面層に対する抗体プローブは、チャンバA 208内に揚送することができ、サンプルは37℃に保持することができる。抗体プローブは、後に検出器で選別可能な抗体の複合混合物でよい。標識後、バイオプロセスされた粒子サンプルは、レザバ内に揚送され、毛細管内に吸引することによって取り上げられ、検出器で分析される。
【0084】
DNAサンプルを調製するには、毒素および粒子検出のために部分標本およびサンプルを処理した後、投入レザバは、上からキャップが形成され、残りのサンプルは、カートリッジの底部を介して結合された外部ソニケータホーンを使用して音波処理することができる。生成された超音波は、増殖性細胞、胞子、およびウイルスを破壊し、DNAを剪断して粘度を減少させ、ハイブリッド化の反応速度および流動特性が改善される。溶解したサンプルは、DNA分析用に標識されたプローブでハイブリッド化するために、試薬投入部204からチャンバA 208内に移動させることができる。ハイブリッド化のため、取付具は、チャンバA 208の下方に加熱要素を備えることができる。側面バルブは閉鎖し、チャンバは95℃まで加熱してDNAを変性させ、存在する任意の標的にDNAプローブをハイブリッド化するのに最適な温度まで冷却することができる。これらのバルブは、これらのチャンバ内でPCRを実施するように十分に封止し、したがって、蒸発を実質的になくすことができる。
【0085】
RNA、タンパク質、および脂質を分解するためのサンプル消化工程は、DNAベースの検出のためにサンプルの背景を減少させ、下流検出器に対する要求を減少させるために望ましい場合がある。これが望ましい場合、DNA分析サンプルは、非DNA物質を分解させるために試薬投入部208から添加される緩衝液中のRNAse、プロテアーゼおよびリパーゼのカクテルを有する可能性がある。添加は、サンプルを有するチャンバA 208内に物質を揚送することによって行うことができる。必要な場合、サンプルおよび消化試薬は、隣接するチャンバA 208およびB 209間を往復するように揚送して混合することができる。消化が望ましい場合、チャンバA 208内の消化された部分標本は、本明細書に記載するように、DNAプローブでハイブリッド化することによってDNA分析のために標識することができる。
【0086】
ハイブリッド化または抗体プローブは、試薬カートリッジ内に低温で保存することができ、個別バイオプロセッサユニットを使用する直前に外部ポンプを使用してカートリッジに添加することができる。プローブは、オンカートリッジポンプを使用してチャンバ内に揚送し、試薬を混合することができる。やはり、サンプルおよび試薬は、必要な場合、チャンバAおよびチャンバB間を往復するように揚送させて、さらに混合することができる。その後のインプリメンテーションは、バイオプロセッサカートリッジ内に予め装填された試薬を有してよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、検出器が、添加された内部コントロールのみを検出する場合、カートリッジを回転させて、次のバイオプロセッサユニットを用意することができる。サンプルのテスト結果が陽性である場合、バイオプロセッサユニットは回転させず、代わりに試薬投入部から緩衝液をフラッシュする。保存されている100μLのサンプルは、テスト結果が陽性のプロセスから開始して、チャンバA内に逆に揚送し、再テストする。再テストサンプルは、上記のように処理されて検出器に排出され、陽性が検出される可能性があると推測される事象として確認される。LabRAT(商標)ソフトウェアは、シリンジポンプ、チャンバA用の温度循環加熱要素、およびフルスケールのソレノイドを制御して、オンチップバルブを作動させることができる。
【0088】
ハイブリッド化および抗体結合に関する化学作用は、全容量またはマクロスケール容量の結果に基づいて、カートリッジ内で個々に最適化することができる。反応物質の濃度、反応時間、および温度は、カートリッジのフォーマットに応じて再度最適化し、スパイクエアサンプルを使用して、ある範囲の投入微生物の影響をテストすることができる。試薬の保存条件の決定は、当業者の能力の範囲内である。すべての試薬は、試薬カートリッジ内において4℃で保存することができる;安定剤、たとえば浸透圧保護剤(トレハロース、グリシンベタイン)、またはその他の作用物質を添加すると、保存期間を延長することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、混合方法としては、薄いエッチングの寸法で、一方の流れが他方の流れの上になるように、チャネル内で混合される2つの流れを配置することができる。流れの間の経路が短い場合、混合を強化する。別の混合方法としては、反応チャンバ内のビード、たとえば磁気ビードの存在、またはこうしたビードの添加を利用して、ビードを磁気的に操作することによって、層流を破壊することができる。いくつかの実施形態では、これは、一方の流れにある標的分析物を強制的に「他方の」流れに入れることができ、その結果、処理または分析反応を開始するために使用することができる。いくつかの実施形態では、必要に応じて、堰を使用して、ビードを捕捉することができる。いくつかの実施形態では、ビードは使用後に廃棄物中にフラッシュすることができる。
【0090】
試薬の安定化は、開示するシステムの様々な実施形態、たとえばフィールドデバイスにとって重要な問題である可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、試薬レザバは、Peltierを使用して温度制御して4℃まで冷却することができる。いくつかの実施形態では、試薬は、Ready−To−Go(商標)の化学作用、または浸透圧保護剤、たとえばトレハロースもしくはグリシンベタインを使用する凍結乾燥方法を使用して安定化させ、その後、使用前に再水和することができる。再水和に関するコンセプトは、破壊可能に封止されたアンプル中で安定化した試薬の毎日、または週ごとの部分標本でよい。水または緩衝液は、機器内のアンプル内に揚送し、安定化された試薬を水和させて、毎日または週ごとのストックを提供する。在庫されているストックは、安定性に応じて、シリンジポンプ内に移動させるか、または直接バイオプロセッサ内に装填することができる。
【0091】
a)マイクロビード集積化DNA配列決定(MINDS)システム
いくつかの実施形態では、MINDSシステムは、Sangerサンプルの自動化無人調製および分析を使用して、きわめて低い消費コストで配列決定サンプルを調製および分析することができる。配列決定テンプレートは、各々のビードが、1つのDNA断片に由来するDNAを搬送するバルク乳濁液PCR反応において、剪断染色体またはBAC DNAから開始して、ビード上で調製することができる。分類を行って、断片を含まないビードを除去した後、個々のビードは、浄化およびμCAE分析とともに400チャネルマイクロチップ上に集積化された低用量(たとえば、25nL)のサイクル配列決定反応チャンバに送達することができる。いくつかの実施形態では、ビードは堰によって捕捉され、サイクル配列決定は、順方向および逆方向両方の対合末端読み込みに関して実行され、生成物は、順方向または逆方向の読み込みのいずれかの親和性ゲル捕捉マトリックスを含む二重サンプル浄化チャンバ内に電気泳動することができる。親和性ゲルは、イオンヌクレオチド、および組み込まれていないヌクレオチドを除去するように洗浄することができる。精製されたサイクル配列決定断片は、温度を上昇させることによって親和性マトリックスから溶離させ、折り畳まれたCEチャネル内に注入して、電気泳動分析を行うことができる。この方法は、分子数によって決まる基本的限界に近い規模で配列決定を行うことができるため、試薬の量およびコストをある程度の桁数だけ減少させることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、集積化MINDSシステムは、ショットガン配列決定、指向性配列決定、および再配列決定のためのすべてのプロセスを自動化し、小型化することができる。MINDSシステムは、既存の配列決定基礎構造を活用するマイクロビードベースの蛍光DNAμCAEシーケンサを形成し、事業費を100分の1以下に削減することができる。各々のシステムは、フルスケールのロボットに代わる小型ロボットマイクロ流体回路を使用して、最大1週間の無人運転による完全自動化配列決定を実行することができる。
【0093】
MINDSシステムは、モジュールで実行することができ、各モジュールは、その後集積化される。いくつかの実施形態では、200nLのサイクル配列決定マイクロチップをベースとするモジュールを使用することができる。高速回転LIFスキャナをベースとするDNA分析モジュールは、μCAEマイクロチップを有するMINDSシステム用のプラットフォームモジュールとして構成され、このマイクロチップは、二重アフィニティー捕捉チャンバにより対合末端読み込みサンプルを浄化してから、高度マトリックスを使用して、電気泳動チャネルの対の内部に射出することができる。これらの5層マイクロチップは、「サービス」を行うマイクロ流体回路とともに、MOVバルブおよびポンプによって動作することができる。サイクル配列決定モジュールは、オンチップで結合して、100nLのサイクル配列決定、サンプル浄化、および分離を集積化するコアMINDSチップを製造することができる。いくつかの実施形態では、25nLのサンプル調製チャンバを含む完全なMINDSチップは、マイクロビードライブラリを入力し、出力配列情報を可能にすることができる。
【0094】
b)サイクル配列決定モジュール
マイクロ流体サイクル配列決定モジュール(CSM)は、スタンドアロン機能として、およびMINDSシステム用のマイクロチップベースのサンプル調製におけるモジュールとして使用することができる。CSMは、1)流れを制御するためのオンチップバルブおよびポンプを含むサンプル調製マイクロ流体回路を含むマイクロチップ、並びに2)オンチップバルブおよびポンプを介してマイクロチップを作動させるための外部インターフェースを含むことができる。サンプル調製CSMは、200nLのサイクル配列決定容量を有する16チャネルスケールであり、偏位チップ分析は、毛細管(CAE)およびマイクロチップ(μCAE)により行われる。いくつかの実施形態では、外部流体インターフェース、加熱、および空気作動装置を有するマイクロチップインターフェースデバイス(MID)は、400チャネル以上に拡張することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、オンチップバルブおよびポンプを有する16チャネルの200nLサイクル配列決定サンプル調製マイクロチップデバイスを使用することができる。単純化されたマイクロチップカートリッジの2つのチャネルは、図14に概略的に示されている。「投入」260および「排出」261と標識されたレザバは、本質的に、マイクロ流体チャネルに接続可能なマイクロチップ262の上層にある孔である。このデバイスは、マイクロタイタープレートに由来する投入DNAサンプル(PCR、プラスミド、または他のテンプレート)を取り出し、200nL容量でサイクル配列決定を実施し、蛍光標識されたサイクル配列決定生成物を、サンプル浄化、およびCAE機器またはμCAE分析の準備が整ったマイクロタイタープレート内に排出することができる。マイクロチップは、マイクロチップインターフェースデバイスによって作動し、ひいてはLabRAT(商標)ソフトウェアによって駆動することが可能である。CSMマイクロチップインターフェースデバイスは、1)オンチップバルブを開閉する、2)オンチップポンプを作動させる、3)貯蔵場所からマイクロチップ上に送達されるサイクル配列決定試薬を計量する、4)サイクル配列決定を実施するための加熱および冷却を制御する、並びに5)緩衝液および洗浄溶液によりチップを再生するための機構を提供することができる。マイクロチップおよびMIDは、流体の移送が可能なTecan MiniPrep流体処理ロボットのデッキ上に取り付けることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、200nLのCSMマイクロチップは、以下のように作動させることができる。サンプルは、Tecan MiniPrepロボットによって、マイクロタイタープレートから投入レザバ260のウェル内に装填することができる。MOVオンチップポンプ264は、図9〜10に記載するように、オンチップポンプを駆動する真空/圧力ラインの外部作動を使用するポンピングを制御することによって、部分標本を反応チャンバ内に移動させることができる。サイクル配列決定混合物265(CS Mix、図14)は、そのオンチップポンプで揚送され、ダイターミネータ法によるサイクル配列決定マスターミックスを反応チャンバ263内に分配することができる。コンピュータ制御下のMIDは、各々の反応チャンバ263を囲む3つのバルブを封止し、反応ミックスを熱サイクルする。完了後、200nLのサンプルは、オンカートリッジポンプによって、5μLの水を収容する投入レザバ261内に揚送することができる。希釈サンプルは、Tecanによってマイクロタイタープレート内の35μLのアルコール中に移動され、さらにオフチップ後処理および分析が行われる。いくつかの実施形態では、サンプルは、二重アフィニティー捕捉チャンバに移動され、浄化および分析が行われる。CSMカートリッジは、緩衝液をフラッシュして残留DNAテンプレートを除去して、新しいサンプルを再装填し、再度プロセスを開始することができる。サイクル配列決定は、以前の反応からのテンプレートによる5%を超える汚染を許容することができる:したがって、反応チャンバをフラッシュして、マイクロチップを再生することができる。いくつかの実施形態では、およびのマイクロチップは何百回もの反応に再使用することができる。
【0097】
c)CSM機器
CSMを作動させるための機器の特徴としては、1)CSMマイクロチップベースのカートリッジ内の液体の移動を制御するオンチップ小型ロボットの自動化外部作動、2)温度循環のための外部加熱および冷却の制御、3)サイクル配列決定試薬をチップに送達するためのシリンジポンプの駆動、および4)サンプルをマイクロタイタープレートから投入レザバ内に移動させ、調製されたサイクル配列決定サンプルをマイクロチップ排出レザバからマイクロタイタープレート内に送るためのTecan MiniPrepロボットの制御が挙げられる。これらの4つの要素はすべて、LabRATソフトウェアを介して制御することができる。
【0098】
温度循環は、加熱および冷却を使用して、マイクロチップの製造を単純化し、事業費を減少させることができる。いくつかの実施形態では、ファンからの冷却とともに、抵抗加熱コイル群を使用する。いくつかの実施形態では、熱電対センサを有するマイクロチップの上部に配置されたニクロム線加熱器を使用することができ、30℃/秒を超える変化時間を有することが可能である。いくつかの実施形態では、加熱器は、400チャネルのレベルでインプリメントすることができ、その結果、再現性かつ信頼性があり、すべてのチャネルを監視する必要はない。いくつかの実施形態では、サンプル調製および分析が集積化された場合、冷却空気にエンクロージャを使用して、マイクロチップの他の部分の温度が変化することを防止することができる。いくつかの実施形態では、高性能のPeltier効果加熱ポンプをストリップ状に使用して、反応チャンバにおける温度を迅速に循環させることができる。これらの様々な方法は、LabRAT(商標)の制御下で、既存のNanoPrepサーマルサイクラーソフトウェアを使用することができる。
【0099】
Peltier加熱ポンプによって冷却状態に維持されたシリンジポンプを使用して、サイクル配列決定試薬をマイクロチップ上のCSレザバチャネルに送達し、オンチップポンプが試薬を分配する際に、レザバに補充することができる。同様に、マイクロチップを再生するための水または緩衝液を送達し、調整することができる。いくつかの実施形態では、シリンジポンプは、1nLのフルステップサイズを有することができ、LabRAT(商標)ソフトウェアによって制御可能である。いくつかの実施形態では、溶液は、単純な重量流でレザバに補充することが可能である;ソフトウェア制御による小型バルブは、流れを調整することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、CSMは、Tecan MiniPrepのデッキ上にインプリメントすることができる。Tecanは、サンプルをマイクロタイタープレートから投入レザバ内に移動させ、完成サンプルを排出レザバから取り上げて、マイクロタイタープレート内に移動させることができる。Tecanは、チップが、CAN制御下でX−Y−Z運動を行なうロボット上に実装された状態で、単一シリンジポンプを作動させる能力を有する。上記のとおり、LabRATソフトウェアは、Microsoft WSH制御装置を使用してCANデバイスを制御することができる。液体をマイクロタイタープレート間で移動させるスクリプト記述は、単純である。手動滴定の代わりにTecanを使用すると、CSMを完全自動化モードで作動させることが可能になる。
【0101】
いくつかの実施形態では、CSMは、MegaBACE CAEおよびμCAEマイクロチップシステムの両方により、オンチップでのサイクル配列のサンプリング、およびオフチップでの分析を含むことが可能である。ダイターミネータ配列決定反応は、本質的には、DYEnamic(商標)ETターミネータ配列決定キット(Amersham)を使用して、メーカーが指定するプロトコルに従って実施することができる。いくつかの実施形態では、試薬は95℃で25秒間、50℃で10秒間、および60℃で2分間を30サイクルで循環させることができる。温度循環後、サンプルは、マイクロチップ排出レザバ内に移動し、マイクロタイタープレート内の室温の80%エタノール40μL中に空気圧によって搬送することができる。エタノールによる後処理では、サンプルは、約2,800RCFで45分間にわたって遠心処理され、50RCFで30秒間にわたって、短時間逆回転させることによってアルコールを除去することができる。サンプルは、10μLの二重蒸留水中に再度懸濁させることができる。
【0102】
対照としては、マイクロタイタープレート内で調製した全量サンプル、および毛細管内で調製された500nLおよび200nLのNanoPrepサンプルが挙げられる。サンプルは、10kV、15秒間の注入を使用して、96毛細管MegaBACE機器内に注入し、120V/cmの磁界強度を使用して分離することができる。4色電気泳動図は、説明するとおり、Cimarron 3.12ベースコーラー(Amersham Biosciences)、およびPhredベースコーリングおよび品質スコア生成アプリケーションを含むSequence Analyzerベースコーリングソフトウェアパッケージを使用して処理することができる。全体の読込み長さは、精度99%のPhred20ウィンドウとして報告することができる。
【0103】
増幅サイクルの数、反応時間、サイクリングプロファイル、および様々な反応物質、つまりプライマー、ポリメラーゼ、dNTPs、ddNTPsなどの濃度は、必要に応じて個々に最適化することができ、当業者の能力の範囲内である。たとえば、許容されるDNA濃度の範囲を決定し、ある範囲のDNA対プライマー濃度の性能のマトリックスを測定することができる。先ず、サンプルは、精製されたPCR産出物でよい。CSMをPCR産出物に応じて最適化すると、問題のない配列、および問題のある配列の両方を表す一連の実際のサンプルは、CAEおよびμCAE分析の両方に関してテストし、μCAEの結果を含む全量サンプル調製と比較することができる。許容基準は、全量サンプル調製結果と比較した等価なデータ品質、読込み長さ、および成功率でよい。対照としては、全量反応、並びにNanoPrep(500nLおよび200nL容量)反応が挙げられる。
【0104】
均一性は、加熱器および冷却器の構造、並びにマイクロチップの配置の変更の両方で対処することができる。表面の相互作用は、BSAまたはPVAなどの添加物によって抑制することができる。反応チャンバの表面の化学作用は、変性LPA、PEG、またはその他のコーティング剤のいずれかを使用して抑制することができる。ガラスの場合、多くの部位を加水分解して、ポリマーを遊離させなければならないため、代替方法は、ポリエーテルおよび酸化多糖類などのポリマーを多くの表面部位に同時に多点共有結合し、その結果、表面の不動態化の寿命を延長する方法でよい。
【0105】
d)集積化MINDSシステム
いくつかの実施形態では、完全なMINDSシステムは、3つのモジュール、つまりビードライブライリーモジュール、サイクル配列決定モジュール、およびDNA分析モジュールを含むことができる。いくつかの実施形態では、完全なMINDSシステムは、400チャネルのMINDSマイクロチップ上で、ビードベースのライブラリを分析することができ、このマイクロチップは、ハイパーターンを含む折り畳まれたマイクロチャネル上に、25nLの対合末端読み込みサイクル配列決定、対合アフィニティー捕捉浄化、およびμCAEに分離を集積化する。MINDSシステムは、ビードライブラリーの構造に応じて、ショットガン配列決定または再配列決定のための完全自動化システムでよい。いくつかの実施形態では、サイクル配列決定モジュールおよびDNA分析モジュールは集積化することができ、PCRまたは精製プラスミドなどの調製されたサンプルは投入サンプルとして使用することができる。いくつかの実施形態では、PCRまたは他の増幅は、マイクロチップ上で実施することができる。
【0106】
DNA分析モジュールは、回転スキャナ(図30)を備えることができ、マイクロチップ上で対合末端読み込みサンプルの浄化を実行し、次に、2つの別個のμCAEチャネル内にサンプルを注入して、順方向および逆方向配列決定反応の分離および検出を行うことができる。検出装置は、488nmの励起、および4色による検出を行なう回転LIFスキャナでよい。コアMINDSシステムを作製するため、サイクル配列決定モジュールは、DNA分析モジュール機器と集積化することができる。このコアシステムは、100nLのサイクル配列決定、対合アフィニティー捕捉浄化、および分離を同じマイクロチップ上に集積化することができる。FACS機器によって分類されたPCRフラグメントを含むビードは、マイクロチップに送達することができ、個々のビードは25nLサイクル配列決定チャンバ内に送ることができる。
【0107】
i)DNA分析モジュール
DNA分析モジュールは、標識されたDNA断片を各々の対合末端読み込みから分離および検出するため、対合末端読み込みおよびμCAEのサンプル浄化を行うことができる。サイクル配列決定は、ベクター内に挿入された固有のアフィニティー捕捉配列を各々有する順方向および逆方向の両方にプライマーを使用することができる。全容量、ナノスケール調製、またはCSMに由来する対合サイクル配列決定サンプルは、放射状構造を有する分析マイクロチップのレザバ内に装填することができる。サンプルは、順方向または逆方向読み込みの何れかに関するアフィニティー捕捉オリゴヌクレオチドを含む2つのサンプル浄化プチャンバ内に動電学的に移動させることができる。サイクル配列決定サンプルは、約20nLの容量に濃縮することができ、イオン、組み込まれていない色素、テンプレート、ヌクレオチド、および酵素は通過して廃棄物中に入る。濃縮および浄化されたサンプルは、温度を上昇させることによって遊離させ、twin Tインジェクタ内に注入して、分離マトリックスが充填されたマイクロチャネル内で分離することができる。放射状チャネルは、環状検出領域に集束し、この領域でマイクロチャネルを走査して検出することができる。
【0108】
モジュール式ハードウェア構成要素としては、1)多くの異なるマイクロチップのサイズおよび構造に適応することが可能なLIF回転式スキャナ、2)マイクロチップ、3)電気泳動制御装置、4)温度制御装置、および5)マイクロチップ再生が挙げられる。DNA分析モジュールは、完全集積化および自動化MINDSシステムの一部でよい。
【0109】
いくつかの実施形態は、きわめて感受性の高い走査システムを形成し、検出性能は、既存の回転スキャナと比較して10倍も改善された。10倍の改善は、スキャナ、マイクロチップの構造、および色素の化学的性質で、倍数的に増加する小さい改善(1.5〜3倍)を引き出すことによって得ることができる。スキャナの場合、最高品質のPMT、2色性、およびミラーが、光学効率を改善することができ、高開口レンズを有する高出力(200mW)の小型レーザと結合することができる。色素の化学的性質は、シアニン供与体を使用して、より明るい色素で改善することができる。マイクロチップは、追加の経路長で検出を改善し、帯域を鮮鋭化することによって解像度を改善するように、検出領域に非常に深いエッチングを有することができる。マイクロチップのサンドイッチおよびマイクロ光学系内の反射表面は、光収集を強化することができる。最後に、以下に記載する直接注入法は、完全サイクル配列決定サンプルを分離チャネル内に装填することを可能にすることが可能である。およびの要素を入念に最適化することによって、堅固な配列決定に必要な標識断片の量は、平並行して減少するため、検出限界は、現在の研究バージョンと比較して著しく改善することができる。
【0110】
回転式スキャナおよび機器。いくつかの実施形態では、上向きの回転式共焦点レーザ誘導蛍光スキャナを使用して、放射状μCAEデバイスに問い合わせることができる。回転式スキャナは、4色共焦点検出ユニットに結合された回転式対物ヘッドを備える。回転走査は、高度の位置決め精度、および速度の均一性による高度の走査速度を提供するという基本的な利点を有する。回転走査は、最少で1チャネルから384チャネルを超える10cm、30cm、またはそれ以上の直径の任意の放射状ウェハデバイスに適合可能である。したがって、チップの設計は、様々な用途、たとえば新しい配列決定用の長いレーン、および再配列決定用の短いレーンに適応させることができる。
【0111】
回転スキャナの一例の略図は、図30に示す。200mW、488nmのレーザ(Sapphire(商標)OPSL、Coherent、サンタクララ)は、2色ビームスプリッタおよびミラーによって、ステッピングモータの中空シャフトを通して反射される。シャフトの上部では、菱形プリズムがビームを回転軸から1cm移動させて、高開口(>0.7)対物レンズが、マイクロチップの最下層を通してチャネル上に収束させる。蛍光は、対物レンズによって収集され、光学系を通して返されて、そこでスペクトル的かつ空間的に濾過されてから、DA用の8チャネルを含むMicrostar IDSC基板を有するモジュール式共焦点4PMTユニット内で検出される。ステッピングモータは5Hzで動作し、12ミクロンの空間解像度を有する5120のデータ点/回転を与え、代表的な100ミクロンチャネル全体に約8個のデータ点が存在する。第5チャネルは、光ダイオードによって提供され、この光ダイオードは、スキャナのシャフトに取り付けられたディスク内のスロットによってトリガーされる;他の4つのチャネル内のデータ取得の開始は、第5チャネルにおける電圧上昇に関連付けられる。この構造は、一般に5Hzの走査速度で数pMの蛍光色素検出限界に感受性がある。いくつかの実施形態では、データは、市販のベースコーラーを使用して予め処理し、分析することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、DNA分析モジュール機器は、電気泳動法およびマイクロチップ再生を制御するために、マイクロチップインターフェースデバイスも有することができる。マイクロチップは、位置合わせツールを使用して位置決めした後、加熱された真空チャックによって所定の位置に保持することができる。いくつかの実施形態では、マイクロチップは、約600回の作動寿命を有することが可能である。チャックは、共焦点検出器の平面に対して平面状に維持するために、チップの高さを調節するための3つの位置を有することが可能である。電極リングは、マイクロチップの周囲でレザバに適合することができる;電極は、4つの高電圧電源装置(Stanford Research Systems、Model 3101)によって制御することができる。以下に記載するマイクロチップ再生は、中心に位置する「臍帯」を使用して所定の位置で実施し、使用するマトリックスのフラッシュ、および再充填を行うことができ、一方、レザバの清掃および再補充は、内側の管が外側の材料を除去し、外側の管が緩衝液またはその他の溶液を流すという管の中の管構造から行うことができる。
【0113】
マイクロチップおよび作動。いくつかの実施形態では、マイクロチップは、親和性サンプル浄化および分離チャネルを4層デバイス内に組み込むことができる。オリゴヌクレオチド捕捉配列によるアフィニティー捕捉浄化は、サンプル浄化および濃縮のための確かな解決策の可能性がある。オンチップでの濃縮工程ではなく、注入時に希釈サンプルを濃縮できる動電学的注入と違って、Twin Tインジェクタは、サンプルが装てんされる時に予め分離し、「中間留分」の注入を行うが、これらはともに、希釈サンプルの検出には不利な作用をする。分離用マイクロチップ上にアフィニティー捕捉を含むと、200nLのCSMサンプルをマイクロリットル容量まで希釈してから装填することが可能になり、つまり、アフィニティー捕捉は、組み込まれていないターミネータ、イオン、およびテンプレートを除去する際に、希釈サンプルを再度濃縮することができるからである。したがって、CSMおよびDNA分析モジュールは、個々に設計し、後に集積化することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、MINDSシステムは、放射状構造290(図34)、ハイパーターン、および中心の起点291を有する12’’のウェハを使用することができる。いくつかの実施形態では、8’’ウェハ292を有する部分放射状構造を使用することができ、この構造は、用途に応じて、400チャネル、および最大45cmの分離長さ(チャネルを折り畳むことによって達成される)を有することが可能な12’’構造と同じチャネル密度および長さを有する。8’’ウェハは、約108の分離チャネル293を有することができる。
【0115】
図21は、8’’ウェハの1つの実施形態を示す。例示的な様々な実施形態では、この8’’ウェハは、短い読込みの場合は直線状の14cm分離チャネル、長い読込みの場合は最大約45cmの折り畳まれたチャネルを有することが可能である。サンプルは、2つのアフィニティー捕捉チャンバに接続する単一の装填レザバ内にピペットで移され、その結果、分離チャネルに供給することができる。サンプルが装填された後、電極を含む電極リングを下降させ、各々のサイクル配列決定サンプルは、2つのアフィニティー捕捉サンプル浄化チャンバ上に電気泳動することができ、各々のチャンバは、順方向または逆方向読み込みの何れかを補足および濃縮し、その際サイクル配列決定反応ミックスに含まれる望ましくない構成成分を除去する。順方向または逆方向読み込みは、チャンバを>65℃まで加熱して各々の読込みを個々にTwin Tインジェクタ内に電気泳動することによって遊離させ、分析することができる。したがって、各々の装填レザバは、2つの分離チャネルに供給する。分離後、分離マトリックスは交換することができる。マトリックスは、マトリックスおよびフラッシュ溶液用の管類、および中心の共通陽極緩衝液レザバの電気接続を含む中心の「臍帯」を通して揚送することができる。400チャネルMINDSマイクロチップには、多くのジオメトリおよび構造を使用することができる。分離は、多くのCAEマトリックス中で実施することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、マイクロチップは、Peltier加熱器上の真空チャック上に保持され、最適な分離条件、および必要に応じて、マトリックス操作のために温度を制御することができる。分離後、緩衝液は、臍帯を通してフラッシュし、使用済みのマトリックスを置換することができる。マイクロチップインターフェースデバイス内の手動管内管真空吸引ユニットは、レザバから使用済み緩衝液およびマトリックスを除去することができる。新しいマトリックスは、中心チャンバを通して添加することができる;マトリックスセンサを組み込むと、マトリックス廃棄物を最小限に抑えるためのフィードバックを提供し得る。いくつかの実施形態では、マトリックスの交換は、カラム長さよりわずかに多いマトリックスのみを交換する精密ポンピングを使用して制御することができる。いずれの方法も、マトリックスの使用を10分の1に減少させることができる。緩衝液は、管内管の外側管によってレザバ内に再補充することができ、その際、マトリックスは内側管によって真空除去することができる。親和性サンプル浄化マトリックスも、必要に応じて、本明細書に記載するように、サービスラインを使用して交換することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、マイクロチップは、サンプルが清潔な場合、600回使用することができる。マイクロチップの性能は、性能が低下すると、LabRAT、e−メール、ページング、またはオンスクリーンディスプレイによって警告されたソフトウェアおよび操作者により監視することができる。マイクロチップの交換は、操作者が手動で実施することができる。いくつかの実施形態では、使用済みマイクロチップの除去は、マイクロチップの解放の前に、臍帯、電極リング、並びにオンチップバルブおよびポンプの作動バンドルを引き抜くことを含むことができる。新しいマイクロチップの取付けは、マイクロチップを適切に位置決めするための位置合わせツールによって促進することができる。位置合わせは、位置合わせマークの検出、並びにソフトウェアの補助による手動、または完全自動化の何れかによる光学系の焦点合わせによって検証することができる。
【0118】
マイクロチップの製造。例示的な様々な実施形態では、微細加工プロセスは、Liu等、2000.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97(10):5369−5374およびAnderson等、2000年.Nucleic Acids Res.28:e60に記載されているとおりでよい。一般に、Borofloatガラス製ウェハ(Schott、ニューヨーク州ヨンカーズ)は、高濃度HFで事前にエッチングし、次にCVDまたはスパッタリングによって、アモルファスシリコンマスクを蒸着させることができる。いくつかの実施形態では、アモルファスシリコンの代わりにクロム−金を使用することができる。HMDSの接着層をアモルファスシリコンの上部にコーティングし、ウェハにフォトレジスト(Shipley、カリフォルニア州サンタクララ)の薄層をスピンコーティングし、ソフトベークすることができる。フォトレジストは、所望のチャネルパターンを有するマスクを通して紫外線でパターン化することができる。フォトレジストが現像された後、露出したアモルファスシリコンは除去し、チャネルパターンは、濃縮フッ化水素酸を使用して、流体ウェハ上のチャネルの場合は約40μmの深さ、多岐管ウェハの場合は約70μmの深さまでガラスに化学エッチングすることができる。しかし、様々な成分の深さを決定することは、当業者の能力の範囲内である。残留するフォトレジストおよびアモルファスシリコンは、剥離させることができる。250μm以下の点検孔は、ダイアモンドドリルを含むCNC小型ミルを使用してBorofloatバイアウェハ内に穿孔することができる。いくつかの実施形態では、より小さい孔は、特注のレーザを使用して穿孔することができる。製造する場合、超音波穿孔は、すべての孔を同時に穿孔することができる。HSOZH中で最後に洗浄した後、流体ウェハおよびバイアウェハは、バイアホールがチャネル隙間とともに正確に位置決めされ、約570℃の真空炉内でバイアウェハと熱結合させて、2層のμCAEチップを製造するように位置合わせすることができる。5層マイクロチップでは、先ず3つのガラスウェハを位置合わせして組み立てることができる;ガラス層のうちの2つは薄いウェハでよい。多岐管ウェハおよび厚さ254μmのPDMS膜(Bisco Silicones、イリノイ州エルクグローブ)は、UVオゾンクリーナ中で洗浄し、4または5層のマイクロチップを組み立てることができる。UVオゾン処理は、不可逆性ガラス−PDMS結合を形成することができる。完成したマイクロチップは、個々のCSMマイクロチップを製造するためにダイスカットするか、または全体をMINDSマイクロチップに使用することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、マイクロチップは、射出成形、熱エンボス加工、積層などの方法、および十分に周知されているその他の方法を使用して、プラスチックおよびその他の物質で作製し、構造を複製することができる。これらの製造方法を応用してマイクロチップを製造することは、本開示の範囲に含まれる。
【0120】
DNA分析モジュールの特性化。回転スキャナを使用する実施形態では、検出限界は、流動する色素溶液、および内部標準物質として測定された水のRamanピーク(577.6nmおよび589.4nmの2つのピークから)を使用して測定することができる。DNA分析モジュールを含むサンプル浄化および分離マイクロチップの性能は、全容量PCR反応、その後の標準のPCR産出物の一連の希釈が行われた標準物質を使用して特性化することができる。サンプル浄化(たとえば、装填、洗浄、および溶離条件)、並びに注入および分離(時間、電圧、分離温度、緩衝液の濃度など)のパラメータは、当業者が十分に周知している方法を使用して最適化することができる。品質値、成功率、および読込み長さを測定し、テストサンプルおよび実際のサンプルと比較することができる。いくつかの実施形態では、読込み長さは約600塩基以上でよい。いくつかの実施形態では、アフィニティー捕捉の再生をテストし、性能が低下するまでの作動回数を測定することができる。分離マトリックス中における尿素とDMSOとの部分的交換は、作動時間を短縮し、毛細管内に長い読込み長さを形成することができる。いくつかの実施形態では、マイクロチップは、様々なマトリックスまたはコーティングを使用して、標準サンプルを使用して繰返し作動させて、マイクロチップの寿命を決定することができる。たとえば、8倍までショットガン配列を行うには、100チャネルのDNA分析モジュールマイクロチップを22回作動させる必要がある。
【0121】
ii)DNA分析モジュールとサイクル配列決定モジュールとの集積化
CSMの機能をDNA分析モジュールと結合すると、コアMINDSシステムを形成することができる。上記および図14のCSMマイクロチップの基本ユニット構造は、8’’DNA分析モジュールマイクロチップ上に移植することができる。その結果、100の対合末端読み込み親和性サンプル浄化チャンバおよび分離マイクロチャネルと集積化された対合末端読み込みのための50個の100nLサイクル配列決定サンプル調製チャンバを含むマイクロチップを形成することができる。このシステムのサービスでは、マイクロ流体および小型ロボットオンチップ機能を使用して、マイクロチップを作動および再生させることができる。サンプルを装填するために外部自動化を含む実施形態では、コアMINDSシステムは、現在の方法と比べて実質的に低コストで、1日当たり7M塩基の高品質配列を生成することができる。
【0122】
機器。コアMINDSシステム機器のベースは、DNA分析モジュール機器でよい。スキャナは、変更せずに使用することができる。上記のCSMマイクロチップインターフェースデバイスは、最低限の変更を加えることによって、1)CSMマイクロチップベースのカートリッジ内における液体の移動を制御するオンチップ小型ロボットの外部作動化を自動化し、2)温度循環のための外部加熱および冷却を制御し、および3)サイクル配列決定試薬をチップに送達するために、シリンジポンプを駆動するように直接適応させることができる。いくつかの実施形態では、Tecanロボットは不要である。1)のオンチップバルブの外部作動の場合、各々の作動チャネルが、2個または400個であっても、すべてのチャネルの1つの特定のバルブのすべてにサービスするために、装置を適応させる必要はない。2)の場合、加熱および冷却はマイクロチップの外側にあり、一連の抵抗加熱器またはPeltierのストリップでよい。熱の管理は、このシステムにとって重要な問題である。3)のシリンジポンプの場合、追加のポンプは不要である。以下に記載するサービスチャネルの追加によって、1つのシリンジポンプがすべてのチャネルにサービスすることが可能でなければならない。したがって、機器の変更は、CSMマイクロチップインターフェースデバイスの構成要素と、DNA分析モジュールマイクロチップインターフェースデバイスとを結合することでよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、マイクロチップインターフェースデバイス、およびマイクロチップの細部は、空間または温度に関する何らかの矛盾をなくすように設計することができる。真空チャックは、サンプル調製および浄化チャンバのために、より低温のリングを有するように構成することができる。結合されたCSMおよびDNA分析モジュールマイクロチップインターフェースデバイスの構造は、以下に記載するオンチップマイクロロボットを使用してマイクロチップにサービスするというコンセプトによって大幅に単純化することができる。
【0124】
マイクロチップおよび作動。コアMINDSマイクロチップは、CSMマイクロチップの機能および構造を、DNA分析モジュールからのサンプル浄化および分離と直接集積化することができる。図22は、1つの例示的な構造における1対のチャネルを示す。マイクロチップ上の環状リング内に存在するバルブおよびポンプの作動ライン314に注意する。これらは、図22に水平のラインとして示されている。
【0125】
サンプル、つまりPCR産出物、またはPCR産出物を含むビードは、投入レザバ内に装填することができる。基本的なCSM反復ユニット(約200回反復することが可能)は、100nLサイクル配列決定反応チャンバ316内にサンプルをサイクル配列決定混合物とともに揚送することができ、4つの周囲バルブが閉鎖し、サイクル配列決定が開始する。サイクル配列決定後、CSMの場合と同様、サイクル配列決定産物および反応物質は、水を含むレザバ内に揚送されるが、この場合は電極接続を有する。サンプルは、2つの対合読込みアフィニティー捕捉チャンバ317〜318上に電気泳動することができる。不純物を除去し、精製された蛍光標識サイクル配列決定の断片は、twin Tインジェクタを通して2つの分離チャネル内に注入することができ;このユニットは、たとえば、400個の分離チャネルを形成するために約200回繰り返すことができる。断片は、高性能ナノゲルまたは他のマトリックス内で分離し、回転式スキャナによって中心付近で検出することができる。いくつかの実施形態では、約100の分離チャネルを有する8’’を使用して、約400の分離チャネルを有することが可能な12’’ウェハの4分の1部分をモデル化することができる。
【0126】
マイクロチップは、45分間の分離サイクル時間、45分間のサイクル配列決定および浄化サイクル時間を提供することができ、1つの対合読込みサイクル配列決定反応チャンバは、2つの分離チャネルに供給することができる。その結果、構造が単純化し、必要なバルブ、電極、およびチャネルの数が減少する。分離はほぼ連続的で、マイクロチップ再生および予備作動のみが、サイクル時間および分離を共用する。35分間の分離の際、サンプル調製サイクルは、やはり、投入レザバ内に装填されたサンプルで開始することができる。いくつかの実施形態では、サンプルは、分離チャネルの注入が可能になる時までに、調製され、分離の準備が可能になる。いくつかの実施形態では、必要に応じて単一の分離チャネルに供給する複数のサイクル配列決定または遺伝子型決定チャンバを使用することができる。マイクロチップは、共通の中心陽極を有するほかに、大きい緩衝液容量を含むマイクロチップの周囲を通る共通の円形開放陰極チャネルをさらに有することができる。このチャネルは、分離を悪化させるイオン枯渇を防止する追加の緩衝液能を有することができ、電極の数および配置を単純化し、緩衝液および過剰なマトリックスを除去することなく、繰り返しマトリックスを装填することを可能にし得る。マイクロチップは、サービスチャネル(つまり、サイクル配列決定混合物、廃棄物、親和性ゲルポリマー、水)が他のチャネルに交差することを可能にするために3次元を使用し、構造および動作を大幅に単純化することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、結合CSMおよびDNA分析モジュールマイクロチップインターフェースデバイスは、中心ウェハが両側にエッチングされた3次元マイクロチップ構造を使用するオンチップ小型ロボットを使って、マイクロチップにサービスすることに頼っている。サービスチャネルは、多層構造の様々な層を接続するバルブの能力に基づく。
【0128】
図12は、サンプル浄化チャンバ321に新しいアフィニティー捕捉マトリックスを提供するサービスチャネル320の接続の一実施形態を示す。図示の構造では、サービスチャネルの流路は、エッチングウェハ322の上部の左から、分離チャネルを横断し、PDMS層上のバルブ323の1つの開口入って上昇し、次に、二重にエッチングされたウェハの最下層までバルブの第2開口を下降し、最下層では、サンプル調製、浄化、および分離チャネル321、324がエッチングされている。次に、サービスチャネルの流体路は、アフィニティー捕捉サンプル浄化チャンバ(図の平面に垂直に位置する)、およびバルブを通過して、エッチングマイクロチップの上部で再度結合する。その結果、マイクロチップの上側のサービスチャネルは、サンプル分離およびその他のチャネルの上を妨げられずに通過することによって、これらのチャネルを横断することを可能にする。この同じ原理は、サンプル調製チャネルに適用されるが、分析チャネルに適用することはできない。個々のサービスチャネルは、幅が広く深くてよく、サイクル配列決定混合物を送達し、2つのアフィニティー捕捉マトリックスを2つのサンプル浄化チャンバ内に補充し、洗浄してサンプル調製チャンバを回復させ、サンプル調製、サンプル浄化、および分離チャネルのすべてから廃棄物を収集する。6つのサービスチャネルは、各々がマイクロチップ上で同心リングを形成する。これらのリングは、シリンジポンプ、マクロスケールの流体ライン、または真空ラインに接続される。二重エッチングされたウェハとPDMSとの間の「追加の」ウェハ層は、貫通孔のみを含む。エッチングされたチャネルは、エッチングされたウェハの両側にあるため、貫通孔は、サイクル配列決定混合物を除いて、相対的に大きくてよい。
【0129】
マイクロチップの再生は、以下のとおりに行うことができる。分離後、中心の臍帯は、新しいマトリックスをチャネル内に押し入れ、分離チャネルを適切に充填する。側面チャネルの異なるチャネル幅は、マトリックスを陰極方向に方向付けることを可能にする。いくつかの実施形態では、2つのサンプル浄化チャンバは、2つのサービスチャネルを使用して再生することができる。サービスチャネルは、通常はバルブで閉鎖することができる。親和性マトリックスを交換するため、バルブを開放して、チャネルのシリンジポンプを作動させ、新しい親和性マトリックスは、たとえば、すべての順方向チャンバに揚送することができる(親和性マトリックスの装填ごとに、複数の作動が可能なであり得る)。他の親和性チャンバの場合も、類似の配列が生じる。サイクル配列決定反応チャンバは、洗浄溶液を洗浄サービスラインからチャンバを通し、廃棄物レザバ内に揚送することによって同様に洗浄することができる。緩衝液レザバは、一番上のウェハの上部にある大きな共通レザバに接続することができる。容量がより大きい場合、蒸発、および緩衝液の枯渇の影響を最小限にし、緩衝液の充填およびフラッシュを単純化することができる。
【0130】
本開示の態様は、以下の例を考慮すると、さらに理解することができるが、これらの態様は、いかなる点でも、本開示の範囲を制限するものであると解釈するべきではない。
【実施例】
【0131】
(F.実施例)
(1.E.coliのビードベースの捕捉)
磁気ビードに共役した単クローンまたは多クローン抗体を含む希釈溶液に由来するモデル標的有機体の捕捉は、BPMマイクロデバイス内に導入する濃縮精製物質を提供するために使用することができる。ここで、E.coli株O157に対する抗体と共役したDYNAL(登録商標)ビードの使用について説明する。3シリーズの実験を実施した:(1)希釈されたストックに由来するE.coliを捕捉する、(2)大幅に過剰なバシラス属細菌が存在する状態で、E.coliを捕捉する、(3)Baltimoreエアサンプラのエアロゾルサンプルに由来するE.coliを捕捉する。
【0132】
先ず、食品サンプル中でE.coliO157を検出するために使用されるDYNAL(登録商標)「スワブプロトコル」を、適切な成長培地上にビードを直接平面培養と比較した。非病原性菌株O157およびE.coli? ATCC株700728をトリプチケース大豆寒天培地(TSA)上に直接平面培養すると、約5倍多いコロニーが生じ、その結果、スワブ法と比べて、捕捉有機体の数の推定値がより良好であることが分かった。したがって、その後のすべての実験で、平面培地を使用した。
【0133】
DYNAL(登録商標)ビードが、PBS/Tween緩衝液中で10CFU/mL〜10CFU/mLの細胞力価範囲にわたってE.coliに結合する能力を測定した。上記、およびその後の免疫磁性分離(IMS)実験では、プロトコルは、5μLのDYNAL(登録商標)ビード懸濁液を、250μLのPBS/Tween中のE.coliの適切な希釈液に添加することだった。ビードが添加された細胞は、揺動プラットフォーム上で10分間にわたって、キャップ付きのプラスチック微量遠心管内で混合した。ビードは、次に、強力な磁石を使用して、管の側面に捕捉し、上清を除去し(ただし、平面培養のために保存)、ビードをPBS/Tween緩衝液で3回洗浄した。ビードを再度懸濁させて、ビードの希釈液を平面培養した。数回の実験では、洗浄液もプレートアウトした。一般に、洗浄液は、標的有機体を殆ど含んでいなかった;標的細胞はビード上に捕捉されるか、または結合せず、一次上清中で回収可能だった。
【0134】
図35は、細胞が2×l0、10、10、10、20、および2個/1mLという細菌の開始濃度に関して捕捉を3回実施した場合の、PBS/Tween中で希釈したE.coliO157を捕捉した結果を示す。捕捉された細胞の観察値は、細胞が10〜10個/mLの範囲で線形(R=0.995)であり、捕捉効率は、細胞が10〜10個/mLの範囲で約95%を超え、細胞が100個/mlでは87%に低下し、細胞20個/mLでは69%に低下した。他の実験(データは示さない)では、回収率は、一般に10〜10のE.coli濃度でPBS/Tweenから85%を超えた。
【0135】

(2.単クローン抗体を使用するE.coli捕捉の動作範囲)
捕捉の化学作用について、先ず、管内で250μLの容量で調査し、捕捉および洗浄は、緩衝液中に分散させたモデル有機体を使用して最適化した。図36は、DYNAL(登録商標)ビードに結合した単クローン抗体を使用したE.coliの代表的な捕捉を示す。E.coliO157は、250μLのPBS/Tween中に様々な濃度で含まれる抗E.coli抗体と結合した5μLのビードに添加した。この混合物は、回転混合器で10分間混合した。ビードは、強力な磁石を使用して管の側面に引き寄せ、上清を除去した。ビードは、250μLのPBS/Tween (PBST)を使用して3回洗浄した。洗浄したビードは、250μLのPBST中に再度懸濁させて、捕捉したE.coliをTSAで計算した。
洗浄したビー酢を250μLのPBST中に再懸濁させ、捕捉したE.coliをTSA上で計数した。
【0136】
図36に示した結果は、ビードの量と、ビードがE.coliを捕捉する能力との間に用量反応が見られたことを示すことを実証している。図36は、約10個/mLまでの細胞では線形であり、最高約4×10個/mLの細胞で飽和することを示す。細胞が10個/mLを超えると、より多くの割合の細胞が上清中で回収される。E.coliが飽和したDYNAL(登録商標)を直接顕微鏡検査すると、約5個/ビードの細胞が明らかになった。この捕捉方法は、250μL中に含まれる平均90%を超える標的細胞を、15分間未満で10μl未満の量まで精製および濃縮する能力を実証した。250μL中に含有される標的細胞の平均90%超を15分間未満に10μL未満の容量に精製および濃縮する能力を証明した。
【0137】
(3.単クローン抗体を使用したE.coliの特異的捕捉)
ビードベースの捕捉の特異性を決定するため、添加されたセレウス菌(ATCC 11778)細胞が、抗体が塗布されたビードに対するE.coliの結合に与える影響を、標準のアッセイ条件でテストした。E.coliが約10個/mLの懸濁液を様々な力価のセレウス菌と混合し、IMSを実施したが、回収は、選択的にセレウス菌を抑制するレベルで添加されたテトラゾリウムを含むTSA培地上で行った。その結果、細胞混合物の直接平面培養が可能になったが、E.coliのみを複製し、コロニー形成単位(CFU)として定量化できた。
【0138】
図37に示すように、セレウス菌を添加すると、2つの細菌が1/1比で存在する場合、ビードに結合するE.coliの量は約20%減少したが、100,000倍過剰なバシラス属細菌は、E.coliの結合をコントロールの56%まで減少させたにすぎなかった。これは、DYNAL(登録商標)ビードが優れた特異性を生じることが可能であることを示唆している。
【0139】
(4.単クローン抗体を使用した、エアロゾルサンプルに由来するE.coliの捕捉)
細菌細胞を効率的に捕捉し、精製、および回収できることを実証したので、これを、Spector Industriesから提供されたBaltimoreエアサンプラに由来する液体(BASL)サンプルの90%を含む溶液からのE.coliO157の回収に拡張することにした。BASLは、抗体を媒介とする結合および回収を潜在的に妨げる可能性がある、非常に多様な競合する微生物、花粉、並びにその他の化学物質および生物学的物質を含む。
【0140】
BASL溶液からのE.coliO157を濃縮および回収する能力をテストするため、菌株を純粋培地中で成長させ、90%のBASL、さらにコントロールとしてのPBST中で、10、10、および10CFU/mLの力価を用意した。DYNAL(登録商標)ビード(抗O157抗体を含む)の5μL懸濁液は、90%BASLまたはPBST中にE.coliを含む250μLのサンプルに添加し、揺動プラットフォーム上で10分間培養し、その後ビードを捕捉した。上清を除去し、ビードをPBSTで3回洗浄し、PPBST中に再度懸濁させた。一次上清およびビードをプレートアウトしてCFUの数を決定した。すべてのプレートの数は、セフィキシムおよび亜テルル酸塩(CT−SMAC)を添加されたMacConkeyソルビトール寒天培地を使用して決定した。CT−SMACは、E.coliO157のための半選択培地であり、BASL中に含まれる非常に多くの有機体から非E.coliCFUの総数を減少させるのに役立ち、ソルビトールの発酵によってO157の比色分析を提供する。
【0141】
E.coliO157の優れた結合および回収は、本願の標準IMSプロトコルを使用して、90%BASLを含む溶液から得られた(図38)。一般に、細胞が、PBSTまたは90% BASL中のどちらに分散していたかに関わらず、90%を超える細胞がIMSビードに結合して回収された。これは、10、10、および10CFU/mlからテストした細胞濃度範囲全体に言えることだった。
【0142】
図39は、特に10CFR/mlの力価に関するデータセットを示す。第1バーおよび第3バーは、コントロールの力価を示す。第2バーは、サンプルが、PBST中でのみコントロールとして実施された場合のビード分画および上清分画中で回収された細胞の比率を示す。第4バーは、実験が90% BASL中でのみ実施された場合のビード分画および上清分画中で回収された細胞の比率を示す。この実験は、BASL中の構成成分が、少なくともこの抗体およびそのエピトープに関して結合および回収を妨げないことを示す。
【0143】
(5.固相抽出法(SPE))
オフチップの使い捨て貫流デバイスのSPEを評価したが、この貫流デバイスは、最大でリットル台のサンプル量を処理することが可能であり、検体を小さい表面上に結合し、干渉化合物が貫流するのを可能にした。最終的に、標的分析物は濃縮形態で回収され、マイクロチップベースのバイオプロセッサによって下流処理が行われるか、またはSPE物質自体がマイクロチップのための供給原料でよい。
【0144】
E.coliのシリカマトリックスSPE捕捉を評価した。基本的なスキームは、様々な力価の細菌を固層に通し、少量のバックフラッシュで溶離し、次に、細菌分の上清および溶離液を分析することだった。以下の実験では、E.coliのDH5α菌株(Invitrogen Technologies)をPBS/Tween(PBST)中で、細胞が10〜10個/mLの範囲内の希釈で調製した。すべての実験で、100mgの固体床を有するベアシリカExtract−Clean SPEカートリッジ(Alltech Associates社)を使用した。
【0145】
各カートリッジに関して:(1)18μLの細菌/酵素混合液は、約5mL/分の流量でSPE床を通過させた;(2)上清を収集し、細菌力価を分析した;(3)カートリッジを2mLの緩衝液でバックフラッシュし、溶離液中の細菌数を決定した。分析は、上記のように37℃でTSA上における細菌の成長によって実施し、細菌の相対的な捕捉および回収を決定した。
【0146】
(6.貫流モードでのSPE培地による細菌の保持)
図40は、25,000または45,000CFU/mLの比較的高濃度の細菌含むサンプルを使用して、装填したサンプル中、並びにSPE後の上清および溶離液中の細菌濃度の関数としての細菌アッセイの結果を示す。この範囲では、80〜90%のE.coliがSPEマトリックス中に保持されるが(図41)、少量の細菌は通過し、非常に少量(1%)の細菌は、後流によって回収される。したがって、シリカ上で強力な結合が見られ、生存細胞の溶離は少ない。非常に低い力価、125および250CFU/mLでは、比例してより多くの細胞がカラムを通過し、約20%のみが保持される(データは示さない)。
【0147】
(7.貫流モードでのSPEおよびアガロース「Bigビード」培地によるタンパク質(β−ガラクトシダーゼ)の保持)
いくつかの実施形態は、アガロースベースの「Bigビード」を使用して、生体材料を捕捉または精製する。市販のβ−ガラクトシダーゼ(Sigma)は、0.1Mのリン酸緩衝液、pH7.5、1mMのMgCl中に100および10ng/mLの2種類の濃度で溶解させた。これらの2種類の溶液は、50Åの細孔サイズを有する100mgの50μmシリカ粒子を含む「Extract−Clean」 SPEカートリッジ(Alltech)、または500μmの硬化アガロースビードを含む5mlの「Bigビード」カラムに通した。アガロースおよびシリカ由来の培地の両方に関して、酵素溶液(20ml)は、約5mL/分の流量でそれぞれのSPE床を貫流させ、上清を収集して、カートリッジを約1ml/秒の流量の2mLの緩衝液でバックフラッシュした。上清および溶離液は、o−ニトロフェニル−β−ガラクトシド(ONPG)を担体として使用して、酵素活性を分析した。
【0148】
図42は、10および100ng/mlの酵素濃度の2つのマトリックスに関して、「上清」、「溶離液」、および「保持された」分画のβ−ガラクトシダーゼ活性の分布のグラフを示している。「保持された」は、装填、貫流、および溶離の間の差で計算される。シリカに基づくSPE培地については、約75%のβ−ガラクトシダーゼが貫流し、上清中で回収される。バックフラッシュした溶離液中で、非常に少量の酵素(1〜2%)が検出される。したがって、約25%のβ−ガラクトシダーゼがカラム上に保持される。「Bigビード」培地の場合、85〜99%のβ−ガラクトシダーゼがカラムを貫流し、5%未満が溶離液中で回収される(図42)。これは、極めて少量の約0〜10%がマトリックス上に保持されることを意味する。したがって、これらの培地は、毒素などの標的分析物を、保持された物質から分離するために貫流モードで有用である可能性がある。
【0149】
(8.貫流モードにおける捕捉培地としてのアガロース「Bigビード」によるE.coliの保持)
アガロースBigビードカートリッジが、E.coliの菌株DH5αに選択的に結合して濃縮する能力を評価した。図43は、2,000または4,700CFU/mlの初期細胞濃度で実施されたBigビード捕捉実験から入手した分画中のE.coliDH5αの分布を示す。これらの実験は、10または10CFU/mLで20mLの細菌懸濁液を使用して、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5、1mMのMgCl中で実施した。このアッセイは、TSAプレート上における成長だった。低力価(2,000CFU/mL)では、>70%の細菌が、貫流する分画中で回収され、バックフラッシュした溶離液中では、1%未満が回収された。高力価(4,730CFU/mL)では、>80%の細菌が貫流する分画中で回収され、溶離液中では5%未満が回収された。したがって、25〜10%の細菌のみが、Bigビードマトリックスに結合した状態を保った。
【0150】
(9.NanoBioProcessor用マイクロチップ)
マイクロ流体デバイスのマイクロ製造は、本質的に、Liu et等、2000.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97(10):5369−5374に記載したように実施した。簡潔に述べるなら、Borofloatガラスウェハを洗浄し、アモルファスシリコンマスクを蒸着し、その後、HMDS層およびフォトレジスト層を接着した。フォトレジストは、マスクを通して紫外線でパターン化され、チャネルパターンは、一般的に、流体ウェハ上のチャネルの場合は40μmの深さまで、および多岐管ウェハの場合は、70μmの深さまで、高濃度HFで化学的にエッチングした。フォトレジストおよびアモルファスシリコンは剥離され、点検孔は、ダイアモンドドリルを有するCNC小型ミルを使用して穿孔した。これらの孔は、4層マイクロチップで反応および検出チャンバとして使用することができる。あるいは、超音波ドリルを使用して、すべての孔を同時に超音波穿孔する。洗浄後、流体用ウェハおよびバイアウエアを位置合わせして熱結合した。多岐管ウェハおよびPDMS膜を追加して、4層マイクロチップを形成した。
【0151】
2つのNanoBioProcessorのマイクロチップを設計し、構築した。第1のマイクロチップ、MBI−11 240(図19)は、多様なスケールで、本質的なマイクロ流体処理用オンチップ構成要素を隔離およびテストするために設計した。これは、(1)バルブの設計、(2)反応チャンバの設計、(3)連動反応、および(4)ルータの設計の実施形態を実証する。各々の動作は、バルブ、ポンプ、およびルータを作動させるため、8チャネルのフルスケールの空気圧システム241によって制御される。3層および4層チップにおけるMOVバルブ、ポンプ、およびルータの作動についてテストした。チップの各々の要素は、バルブの動作を促進するため、8チャネルのフルスケール空気圧バスを使用してインターフェースするように設計されている。
【0152】
第2NanoBioProcessorマイクロチップ、MBI−12は、サイクル配列決定またはPCRのビードに由来する両方のサンプル調製をテストするため、また、個々に、およびサンプル調製と一緒にμCAEをテストするために開発された。図20に示すマスクの構造は、エッチングされ、機能的な4層マイクロチップに組み立てられてテストされるテストされる。MBI−12は、μCAEチャネルのいくつかの設計、およびこれらを上流のサンプル調製デバイスに接続する方法を有する。
【0153】
MOVバルブ、ポンプ、およびルータを使用し、バイアなどの深いチャンバ内で良好に機能する表面弾性波(SAW)混合を使用して混合を実証した。SAWは、マイクロチップのチャンバ内で拍動内圧波を生成し、溶液を均質化して混合する。
【0154】
マイクロおよび/またはナノスケール量を混合することは難しく、一般に拡散によって制限される可能性があるが、本明細書に開示するMOVバルブ、ポンプ、およびルータは混合を強化し、溶液を混合する時間を実質的に減少させることができる。様々な例示的な実施形態では、本明細書に開示する1つ以上のバルブ、ポンプ、およびルータは、2種類以上の液体を連続的に、または実質的に同時に混合することを容易にするように、様々なジオメトリまたは形式で配置することができる。混合の速度および程度は、実践者の裁量で選択することができる。例示的な様々な実施形態では、混合は、迅速に行われるか、および/または実質的に完全に行われる。当業者は、混合速度および程度は流体の数およびタイプ、量、並びに混和性によって決まる可能性があることを理解するであろう。所望の混合速度および程度の選択は、当業者の能力の範囲内である。例示的な様々な実施形態では、混合は、MOVバルブおよび/またはポンプがルータとして使用されるか、または「T」混合器内で使用される場合に効果的である。いくつかの実施形態では、溶液は、2つ以上のポンプによって、ルータまたは「T」構造を通して、流体の往復運動によって混合することができる。
【0155】
(10.生物兵器防衛のためのサンプル調製を実施するNanoBioProcessor)
このバイオプロセッサモジュールは、上流のエアサンプル収集装置、または他の投入デバイスからサンプルを収容し、保存および再テストのための部分標本を作製し、サンプルを溶解し、サンプルを調製して標識し、単一分子蛍光相関検出器に排出して分析する。バイオプロセッサモジュールは、流体回路を含む使い捨てのプラスチックカートリッジ、およびカートリッジを作動させる機器を備える。
【0156】
分析前に、サンプルは区分され、部分標本に分割される。自動化マイクロ流体プロセッサは:1)テストのための核酸を調製し;2)テストのためのタンパク質を調製し;3)検出のための細胞を調製し;4)陽性サンプルの再テストおよび法医学的分析のために保存することができる。
【0157】
カートリッジは、「CD」フォーマットであり、セクタ内のカートリッジ当たり12個のバイオプロセッサユニットを有し、各々のユニットが単一サンプルに使用される。カートリッジは、あるバイオプロセッサユニット内で1つのサンプルを処理し、次に回転して、次のバイオプロセッサユニット内に次のサンプルを収容する。2時間のサンプリング体系のために、カートリッジは、CDチェンジャに類似する小型回転ラック内に保存された一連のカートリッジから自動的に毎日変更される。カートリッジおよび試薬を補給するための手動介入は、約2週間毎に約1回実施される。
【0158】
この機器は、カートリッジを保存し、試薬を装填し、実行し、および交換する機構を提供する。この機器は、1)圧力または真空を送達してソレノイドを開閉し、バルブおよびポンプを作動させ、2)カートリッジの領域を加熱および冷却し、3)小型回転ラックに、および小型回転ラックからカートリッジを移動させ、4)超音波により有機体を破壊し、並びに5)必要に応じて他の機能を行なう機能を有する。
【0159】
(11.生物兵器防衛のための遺伝子分析を実施するNanoBioProcessor)
サンプル濃縮モジュール。マクロスケールで開始し、標的有機体の表面エピトープに対する抗体で変性された磁気ビードは、チャンバ内のミリリットル量の空気収集装置210の廃液(または他のマトリックスから生成されたスラリ)に添加される(図8)。ビードは、個々の有機体、サブタイプ、種などに特異的な抗体を塗布された一連のビードの混合物である。問い合わせる有機体の範囲は、試薬の混合物を追加して拡張することができる。ビードは標的有機体を捕捉し、不純物は、洗浄によって、つまり一次元の選択性および特異性を提供することによって除去される。標的有機体を含むビードは、SCPM211内の磁石によって収集される。
【0160】
サンプル増幅および分析モジュール。次に、ビードは、マイクロスケールに入り、NanoBioProcessor(NBP)のマイクロチップ213上で溶解緩衝液を含むレザバ212内に装填され、その後のすべての操作はマイクロ流体スケールで行われる。NBPマイクロチップ200(図18)は、制御要素としてマイクロ流体オンチップバルブおよびポンプを使用して、個々のバイオプロセッサユニット内でサンプルを処理するように設計される。ビードは、レザバ221から揚送されて堰222によって捕捉され、堰222で超音波処理され、胞子および/または細胞を破壊して、DNAを放出する。DNAは、反応チャンバ223に移動され、そこでμRT−PCR用のプローブを有する特異的なプライマーとともにPCR試薬がオンチップポンプによって添加され、多重化反応でμRT−PCRが実施される−つまり、二次元の生化学的選択性および特異性を提供する。
【0161】
RT−PCRは、強力な分子診断学的ツールであるが、蛍光がヌクレアーゼ、非特異的伸長、または他のメカニズムによって抑制されないため、高度の可変的な背景という問題がある。擬陽性を最小限にするため、推定上陽性であるμRT−PCRサンプルは、高速(<5分間)オンチップマイクロチャネル毛細管アレイ電気泳動分離224によって分離され、さらに選択性および特異性を得る。様々な断片長さの産出物は、生物情報学的なプライマーの構造によって生成され、マイクロチャネル電気泳動分離、および蛍光発光によって識別される−つまり、断片のサイジングによって、真の陽性の確証および識別とともにPCR反応の多重化を高めることが可能になる。マイクロチップ225上には、少なくとも96個のバイオプロセッサユニットが放射状に配置される(図18)。96チャネルのマイクロチップは、時間当たり1個のチャネルを使用して4日間作動する。
【0162】
(12.NanoBioProcessorで実施されるEXPAR反応)
EXPARは、オリゴヌクレオチド配列、熱安定性ポリメラーゼ、および切断酵素を使用して、60℃でDNAの短い断片を特異的に増幅させるための高速等温法である。生成物は、蛍光またはMSによって検出される。EXPAR反応は、遺伝子テスト、遺伝子発現測定、分子診断学、生物兵器防衛およびその他の用途のためにNanoBioProcessorにインプリメントされる。
【0163】
反応ミックスは、単一工程でサンプルに添加され、熱安定性ポリメラーゼおよび切断酵素は、マイクロチャネル内で大多数のその他のタンパク質と同様に機能する。EXPARは、わずかな適応を行なった後、図15もしくは20に示すマイクロチップ内で、または図13に示すマイクロチップ内で実施される。拡散、DNAまたはRNAは、1つの標識されたIMS投入部250などのマイクロチャネル内で、MOVポンプ251を使用してチャンバ内に移動させられ、次に、試薬チャネル252の1つから単一反応ミックスが添加される。流体回路は、複数の反応物質の1つを反応チャンバ253に添加するために使用される。反応チャンバの温度は、任意に制御される。反応後、処理済みのサンプルは、MOVポンプを使用してレザバまたは管254内に揚送され、オフチップMSにより分析が行われるか、または蛍光、化学発光、もしくはその他の検出方法によってマイクロチップ上で分析される。分析用の単一チャネルのほか、サンプルは、MOVルータを使用して多数のチャネルとして分割し、その後、多重EXPARが行われる。
【0164】
(13.NanoBioProcessorで実施されるRiboMaker反応)
RiboMaker検出システムは、abscription(商標)と呼ばれるRNAポリメラーゼ(RNAP)転写の開始不全をベースとしており、人工プロモータ複合体(APS)、およびRiboLog(商標)と呼ばれるヌクレオチド類似体を使用する。APCは、50〜450個のトリヌクレオチド不全生成物/分/部位を生成するためにRNAPポリメラーゼのための開始部位を提供する。検出は、MS分析、蛍光、化学発光、または当業者が十分に周知している他の方法によって行うことができる。DNAまたはRNA分析では、APCは、標的部位プローブに特異性を提供するフランキング配列を有することができる。異なる質量単位を有するRiboLogは、どの部位が結合しているかを識別することができる。問い合わせる配列の異なる部分に複数のAPSを結合することによって、RiboLogのフィンガープリントは、生物兵器防衛に関する追加の特異性情報を提供することができ、擬陽性および擬警報を排除するのに役立つ可能性がある。タンパク質の場合、APCユニットは、抗体に結合させることができる。RiboMaker検出は、高速で線形であり、PCRと比べて、抑制に対して感受性が低いと主張される。
【0165】
RiboMaker反応は、NanoBioProcessor用マイクロチップ、たとえば図13に示すマイクロチップ上で行われる。単一APC試薬、次に単一反応ミックスを添加する場合、2つの混合工程が必要である。RiboMakerサンプルがビード上に捕捉されると、ビードは、IMS投入部(図13)を通って反応チャンバ内に入り、反応チャンバは、ビードを捕捉する堰または磁石を任意に有する。APCは、試薬チャネルの1つを使用して添加される。RiboLogは、第2試薬チャネルから添加される。必要な場合、反応物は、ポンプAおよびB間を往復して移動する。
【0166】
(14.マイクロチップCMSアレイの構造)
16チャネルマイクロチップ270の実施形態を図23に示す。バルブおよびポンプの作動ライン271は、垂直に延びており、外部作動ラインを接続可能なマイクロチップの底部上のバイアで終端するように示されている。サイクル配列決定混合物は、シリンジポンプによって左側のチャネル272に供給され、マイクロチップを再生させるための水または緩衝液は、右側のチャネル273に供給される。これらの「サービス」チャネルはともに、16チャネルすべてに供給するように多重化され、流れを制御するためにオンチップポンプまたはバルブ274をそれぞれ有する。このマイクロチップは、ガラス製ウェハおよびPDMS膜から4層デバイスとして構成される。
【0167】
(15.完全MINDSシステム)
完全なMINDSシステムを作製するため、コアMINDSシステムからの機器を修正する:1)ビードサービスチャネルが追加され、個々のビードを送達するためのビード分類メソッドとインターフェースされる;2)マイクロチップインターフェースデバイス上の抵抗加熱器構造、および電極リングがマイクロチップに変更される;3)単一ビードが、装填およびと除去を確実に繰り返すように、マイクロチップを修正する。
【0168】
MINDSマイクロチップの構造を図24に示す。このマイクロチップは、図22に示すコアMINDSマイクロチップに類似しているが、ビードサービスチャネルが、投入ラインに通じ(330)、サンプル容量が4分の1に減少して25nLになり、ビードを捕捉するため、サイクル配列決定チャンバ内に堰が形成されている点が異なる。単一ビードは、投入チャネルを通して投入される。堰は、2μmしかエッチングされていないため、追加のマスクおよび製造工程が必要である。
【0169】
単一ビードは、電極に通じるチャネルのみを使用して、サイクル配列決定チャンバ内に揚送され、アフィニティー捕捉チャンバに流れる。堰は、ビードの移動を停止する。ビードが装填されると、順方向および逆方向の両方の対合末端の読み込みのためのプライマーを含む25nLのサイクル配列決定混合物は、オンチップポンプで反応チャンバ内に揚送される。チャンバに隣接するバルブは閉鎖され、温度が循環する。循環後、サイクル配列決定混合物中のサイクル配列決定産出物は、電極レザバ6内に揚送され、2つのサンプル浄化チャンバ内に電気泳動され、本質的には上記のように処理され、読み込まれる各々の対合末端は個々の分離チャネル内に注入される。廃棄物に通じるバルブが開放され、ビードは、洗浄ラインによって廃棄物チャネル内にフラッシュされる。分離再生は、上記のように行われる。
【0170】
単一ビードは、1)十分に分離しているマイクロ流体ビードストリングを操作し、それらを連続的または同時に各々のチャネル内に移動させるか、2)各チャネル内にビードの「ビン」から供給し、それらを1度に1つずつサイクル配列決定反応器内に分配するか、または3)個々のビードを磁気的に操作するか、もしくは毛細管の端部上に取り上げて、「ピック・アンド・プレース」操作を行うことによって、各々のチャネル内に供給される。ビードストリングの方法では、ビードは、FluorInert(3M)などのおそらく不混和性の大量の液体によって次のビードから空間的に十分に分離される。以前、サイクル配列決定およびPCR反応に、多量のFluorlnertを使用して成功したことがある。ビードストリングは、一緒に粗位置に移動させる。その結果、バルブは、循環しているビードサービスチャネルを閉鎖し、流れは、ビードを装填チャネル内に移動させるのに十分な長さだけ、個々のサイクル配列決定チャンバを通って迂回する。装填チャネル上のバルブが閉鎖され、ビードサービスチャネル上のバルブが開放し、次のビードが次のチャネル内に配置される。また、並行した変更も可能であり、装填時間を最低限にすることができる。光学ビードセンサは、タイミングおよび供給流の調節を支援するのに役立つ可能性もある。
【0171】
MINDSシステムは、50μmのレーザ穿孔検査孔を有するバルブおよびポンプを使用して、数ナノリットルのポンプ容量を減少させる。あるいは、250μmの孔を有するバルブは、各サイクル上の部分「ストローク」で部分的に開放する。チャンバを囲むバルブは、拍動してチャンバ内のビードを移動させるか、または外部超音波混合が適用される。表面相互作用は、必要に応じて適用された表面改質を含む添加物によって改善される。
【0172】
直接注入するために、サンプル浄化マトリックスは、分離チャネルと直列に配置される。図44に示すように、この構造は、ビードおよびサンプル浄化用のサイクル配列決定チャンバのよく知られている要素を有するが、サンプル浄化チャンバは、分離チャネルの陰極側に移動されている。サイクル配列決定サンプルは、サンプル浄化マトリックス上に電気泳動さられ、不純物は、必要に応じてフラッシュされる陰極チャンバ内に移動される。清潔なサンプルは、サンプル浄化マトリックス上の鋭利なバンド内にあり、チャンバを加熱することによって放出され、分離が開始する。その結果、鋭利なバンドが容量測定的に分離チャネル上に注入される。したがって、各々のサンプル浄化マトリックス上に収集されたすべてのサンプルが分析され、これは、twinTの装填によって、1サンプルの分画のみの分析が可能になる一般的なtwinT注入に見られる「中間留分」と対照的である。
【0173】
(16.オンチップMOVデバイスによる混合)
4層マイクロチップを使用して、オンチップMOVデバイスによる混合を実証した。この混合の実証では、MBI−13マイクロチップ上に製造した3種類の構造、つまりボーラス混合、ルータ混合、および「T」混合を使用した。水およびブリリアントレッドの染料溶液を混合した。
【0174】
これらの構造は、(1)2つの対向するMOVポンプ(図45)、(2)2つの対向するMOVポンプ、および空気によって分離されたボーラスを形成する第3のポンプ、並びに(3)ルータを使用して、2つの流れを混合する方法を使用した。すべてのチップ混合構造は、浄水および赤色染料溶液の良好な混合を実証した。揚送配列では、液体の一部が往復して移動し、最後のバルブを出たことが観察された。最後のバルブは、チャネルが開放しているため、多量の液体をチャネルから吸引する。この移動によって、バルブ内部に良好な混合が生じた。
【0175】
図46に示す構造を使用して、ボーラスを生成した。5つのバルブによって形成されたMOVルータは、試薬を2つのウェル(標識1および3)から、および空気をウェル2から青色の反応チャンバ内に揚送し、空気によって分離されたボーラスを形成する。様々な論文が、ボーラス内部の混合は良好であり、こうした混合は、壁部に接触する物質が減速する時に、ボーラス内部に混合を生じる壁部の剪断力によって駆動されることを実証している。本願の事例では、混合は、複数の揚送工程で、2種類の試薬を往復させて空気チャネル内に移動させることによって支援された。一方は染料を含み、他方は単なる水という2種類の溶液を使用することによって、ボーラスが反応チャンバに達する時まで、色の変化は見られなかった。
【0176】
図45は、ボーラスおよびルータ混合の例示的なチップ構造を示す。混合された液体/空気のボーラスは、水1をポート1から、空気をポート2から、および染料をポート3から揚送することによって生成された。色に差がないことは、反応チャンバ全体で観察された。ルータ内における試薬1および3の混合は、ポート2を閉鎖して調査した。各々の揚送サイクルでは、水および染料は、層流モードでルータに入り(ルータは、半分白色、半分赤色に見える)、混合は、出口バルブ、およびチャネルの開始部分で開始する。次の揚送サイクルは、出口バルブが開放した時の出口バルブの量に等しい量を、チャネルの後部から吸引する。出口バルブ内部におけるこうした前後運動は、非常に効率的な混合高価を生じる。やはり、色の差は、反応チャンバ全体に見られず、これは、少なくとも顕微鏡スケールで、均一な混合と一致している。
【0177】
図47は、「T」混合の場合の例示的なチップ構造を示す。良好な混合は、ポンプの出口バルブ内部の「往復」運動により、「T」接合点から数mmで観察された。色の差は、2mm反応チャンバ全体に見られなかった。この特殊な「T」混合を分かりやすくするため、次の動画フレーム(図48)が、このプロセスを示す。工程1で、入口バルブが開放し、出口バルブが閉鎖する(混合溶液は、主チャネル内に押し入れられる)。工程2で、ポンプのバルブが開放する(水中の赤色染料がさらに拡散する状態が見られる)。工程4で、入口バルブが閉鎖し、出口バルブが開放する(半混合溶液のプラグが、主チャネルから逆に吸引する)。工程4で、ポンプのバルブが閉鎖する(新しい溶液スラグが押され、層状流が主チャネル内に見られる)。
【0178】
工程3の混合液の逆流は(出口バルブの開放による)、良好な混合を達成するのに役立つ)。図49は、「T」接合点から数mm下流における均一な溶液の色の拡大図を示す。
【0179】
テストした3種類のMOV混合方法はすべて、「このタイプの揚送システムによって誘発された「往復」運動により、良好な混合状態を生成した。ボーラス混合では、反応チャンバ内に気泡が生成されたが、これは、良好な反応を得る上で不利な場合がある。150μmチャネルのわずか数mmは(接合点から下流に)、良好な混合を達成するのに十分である。GenII構造では、新しいIonian NEAアッセイによるMOV混合を使用して試薬およびサンプルをチップ上で混合し、反応を実行し、MOV混合で反応を停止することにした。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、サンプル捕捉、精製モジュール(SCPM)、およびバイオプロセッサモジュール(BPM)ワークフローの一実施形態を示す。
【図2】図2は、毒素アッセイワークフローの一実施形態を示す。
【図3】図3は、バイオプロセッサモジュール(BPM)と集積化されたサンプル捕捉および精製モジュール(SCPM)の一実施形態を示す。
【図4】図4は、オフチップ貫流カートリッジの一実施形態を示す。
【図5】図5は、進行波貫流ビードビータの一実施形態を示す。
【図6】図6は、プローブが収集装置の廃液内に直接挿入される貫流音波処理の一実施形態を示す。
【図7】図7は、核酸精製モジュールの一実施形態を示す。
【図8】図8は、エアサンプラ、サンプル濃縮モジュール、並びにマイクロ流体サンプル増幅および分析モジュールを含む生物兵器防衛用途に使用可能なナノバイオプロセッサモジュラーシステムの一実施形態を示す。
【図9】図9は、MOV(商標)バルブの一実施形態を示す。
【図10】図10は、微細加工ポンプの一実施形態を示す。
【図11】図11は、微細加工ルータの一実施形態を示す。
【図12】図12は、サンプル浄化マトリックスを供給する3次元接続サービスチャネルの一実施形態を示す。
【図13】図13は、1つ以上の反応物を反応チャンバに追加するための流体回路の実施形態を示す。
【図14】図14は、サイクル配列決定モジュール(CSM)反復ユニットの一実施形態を示す。
【図15】図15は、単一バイオプロセッサユニットの一実施形態を示す。
【図16】図16は、外部作動MOVバルブおよびポンプを使用するマイクロチップカートリッジの一実施形態を示す。
【図17】図17は、12ユニットのバイオプロセッサカートリッジの一実施形態を示す。
【図18】図18は、非バイオプロセッサユニットおよびマイクロチップのレイアウトの一実施形態を示す。
【図19A】図19は、マイクロチップ実施形態MBI−11を示す。パネルAは、青色の流体層、および赤色の作動層を示すマスク構造を示す。パネルBは、2つの各入力および出力レザバ、反応チャンバ、保管チャンバ、並びに3方ルータを有するサブアセンブリを示す。バルブの8つの空気制御ラインは、空気に対する標準のコネクタで終端する。パネルCは、エッチングされたマイクロ流体ウェハを示す。パネルDは、組み立てられたMBI−113層マイクロチップを示し、縮尺比を示す実験用のマーキングペンを含む。
【図19B】図19は、マイクロチップ実施形態MBI−11を示す。パネルAは、青色の流体層、および赤色の作動層を示すマスク構造を示す。パネルBは、2つの各入力および出力レザバ、反応チャンバ、保管チャンバ、並びに3方ルータを有するサブアセンブリを示す。バルブの8つの空気制御ラインは、空気に対する標準のコネクタで終端する。パネルCは、エッチングされたマイクロ流体ウェハを示す。パネルDは、組み立てられたMBI−113層マイクロチップを示し、縮尺比を示す実験用のマーキングペンを含む。
【図19C】図19は、マイクロチップ実施形態MBI−11を示す。パネルAは、青色の流体層、および赤色の作動層を示すマスク構造を示す。パネルBは、2つの各入力および出力レザバ、反応チャンバ、保管チャンバ、並びに3方ルータを有するサブアセンブリを示す。バルブの8つの空気制御ラインは、空気に対する標準のコネクタで終端する。パネルCは、エッチングされたマイクロ流体ウェハを示す。パネルDは、組み立てられたMBI−113層マイクロチップを示し、縮尺比を示す実験用のマーキングペンを含む。
【図19D】図19は、マイクロチップ実施形態MBI−11を示す。パネルAは、青色の流体層、および赤色の作動層を示すマスク構造を示す。パネルBは、2つの各入力および出力レザバ、反応チャンバ、保管チャンバ、並びに3方ルータを有するサブアセンブリを示す。バルブの8つの空気制御ラインは、空気に対する標準のコネクタで終端する。パネルCは、エッチングされたマイクロ流体ウェハを示す。パネルDは、組み立てられたMBI−113層マイクロチップを示し、縮尺比を示す実験用のマーキングペンを含む。
【図20】図20は、サンプル調製と集積化された毛細管電気泳動法(μCAE)のためのナノ流体構造を含むマイクロチップの実施形態MBI−12を示す。流体チャネルは青色で示され、MOV作動チャネルは赤色で示されている。
【図21】図21は、二重分析チャネルによる二重対合末端読込みアフィニティー捕捉サンプル浄化の一実施形態を示す。暗色層はマイクロ流体、グレーのラインはサービス層である。バルブ作動層は図示されていない。薄い破線で囲まれたボックスは、DNA分析反復ユニットを画定する。
【図22】図22は、集積化されたサンプル、調製、浄化、および分析用MINDSマイクロチップ反復ユニットの一実施形態を示す。
【図23】図23は、16チャネルの200nLサイクル配列決定モジュールマイクロチップの一実施形態を示す。
【図24】図24は、マイクロビード供給集積化サンプル、調製、浄化、および分析用MINDSマイクロチップ反復ユニットの一実施形態を示す。2つのアフィニティー捕捉および分離チャネルを有する25nLサンプル調製チャンバが示されている。
【図25】図25は、充填されている試薬、核酸精製、および毒素モジュールを含む使い捨てカートリッジとして設計されているマイクロチップの一実施形態を示す。
【図26】図26は、マイクロチップインターフェースデバイスの機器制御の一実施形態を示す。
【図27】図27は、MiniPrep機器内に管類が実装されたマイクロチップ真空チャックの一実施形態を示す。
【図28】図28は、MiniPrep機器内でバイオプロセッサ用マイクロチップを作動させるための関連ハードウェアの一実施形態を示す。
【図29】図29は、経路長が増加したRT−PCRチャンバの一実施形態を示す。
【図30】図30は、回転スキャナの一実施形態を示す。
【図31】図31は、核酸分析(RT−PCRおよびμCAE)に使用可能なバイオプロセッサモジュールのマスクデザインの一実施形態を示す。
【図32】図32は、各々がRT−PCRおよびμCAE機能を有する48個のユニットを6’’ウェハを備えるバイオプロセッサ用マイクロチップのウェハスケールのデザインの一実施形態を示す。
【図33】図33は、多重化バイオプロセッサ回路の一実施形態を示す。MOVルータは、サンプルを3つの多重化RT−PCR反応物に分割し、法医学および再検査サンプルを作製し、μCAE確認のためのサンプルを選択することができる。
【図34】図34は、8’’ウェハによる12’’ウェハのモデル化を示す。
【図35】図35は、ある濃度範囲全体のビードによるE.coliの捕捉を示す。
【図36】図36は、E.coliの免疫捕捉において、DYNAL(商標)ビードに結合した単クローン抗体の滴定を示す。
【図37】図37は、セレウス菌がE.coliの免疫捕捉に与える影響を示す。
【図38】図38は、スパイクエアサンプラ液からの免疫捕捉によるE.coliの回収を示す。
【図39】図39は、特に図38の10CFU/mlの力価に関するデータセットを示す。
【図40】図40は、100mgのシリカExtract−Clean SPE培地床を通過したサンプルの様々な分画に関して、高力価のE.coliを濃縮させた結果を示す。
【図41】図41は、100mgのシリカExtract−Clean SPE培地床を通過した後の様々な分画中に存在する高濃度E.coliに由来するすべての細菌の割合を示す。
【図42】図42は、シリカビード(左)およびBigビード(右)を使用するβ−ガラクトシダーゼの回収を示す。
【図43】図43は、Bigビードを使用するE.coliの回収を示す。
【図44】図44は、分離チャネル内に直接射出させるサンプル浄化を含む直接射出スキームの一実施形態を示す。
【図45】図45は、MOVデバイスによるオンチップ混合の一実施形態を示す。
【図46】図46は、MBI−13T−channelsおよびボーラスに関するMOVポンプによる混合の一実施形態を示す。
【図47】図47は、ポート1から水を揚送し、ポート2から赤色染料を揚送した「T混合」のチップデザインの一実施形態を示す。実質的な混合は、「T」接合点から数ミリメートルで観察し、2mmの反応チャンバ全体で色の違いは見られなかった。
【図48】図48は、タイミングが各工程で1秒だった4工程揚送順序における「T」チャネル接合点の一実施形態の画像を示す。チャネル寸法は深さ50μm、幅150μmだった。ポンプのバルブ容量は約50nLだった。
【図49】図49は、「T」接合点から数ミリメートル下流で、揚送工程3で撮影された近接写真を示す。チャネル幅は150μmだった。実質的な混合と一致する均一な色が明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュラーシステムであって、
標的分析物を捕捉および精製するための手段、ならびに該標的分析物をマイクロ流体デバイス内に導入するための手段を備える第1モジュールと、
該マイクロ流体デバイスを備える第2モジュールであって、該マイクロ流体デバイスが、該標的分析物を検出または分析するために適している、第2モジュールと
を備えるモジュラーシステム。
【請求項2】
前記標的分析物が、細菌、ウイルス、胞子、真核細胞、または核酸からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記細菌が、Bacillus anthracisである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記胞子が、Bacillus anthracis胞子である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記細胞が、癌細胞である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記核酸が、DNAである、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記分析が、前記DNAの配列決定を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記分析が、前記DNAの増幅を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記マイクロ流体デバイスが、請求項32に記載のマイクロ流体デバイスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
回転する磁極片と、
貫流管と、
固定された磁性片と
を備える磁気進行波貫流デバイスであって、該回転する磁極片、該管、および該固定された磁性片は、該磁極片が回転すると、該貫流管内で磁気進行波を生成するために適している様式で配列され、該生成に適している材料を含む、磁気進行波貫流デバイス。
【請求項11】
前記磁極片の回転が、少なくとも約100Hzである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記管の内腔内に配置されたビードをさらに備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ビードが、磁気ビードである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
標的分析物が、前記磁気ビードに付着する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記標的分析物が、前記磁気ビードに対してアフィニティー捕捉される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記標的分析物が、細菌、胞子、ウイルス、真核細胞、および核酸からなる群から選択される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記貫流管が、マイクロ流体デバイス内に供給する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項18】
標的分析物を溶解または破壊する方法であって、
a)標的分析物および磁気ビードを、請求項10に記載の磁気進行波デバイスの貫流管内に導入する工程と、
b)該管内で1つ以上の方向に該磁気ビードを加速させるために適している周波数で、該デバイスの磁極片を回転させる工程と
を含み、それによって該ビードが、該標的分析物を溶解または破壊する、方法。
【請求項19】
前記標的分析物が、細菌、胞子、ウイルス、真核細胞、および核酸からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記回転が、少なくとも約100Hzである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記標的分析物が、前記磁気ビードに付着する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記標的分析物が、前記磁気ビードにアフィニティー捕捉される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記貫流管が、マイクロ流体デバイスと流体接続される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記標的分析物が、核酸であり、前記マイクロ流体デバイスが、該核酸の配列を増幅するために適している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記標的分析物が、核酸であり、前記マイクロ流体デバイスが、該核酸を配列決定するために適している、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
エアロゾルを含むために適しているチャンバと、
ソニケータプローブと
を備える貫流ソニケータであって、該チャンバが、サンプル入口およびサンプル出口を備え、該プローブが、該サンプル入口と該サンプル出口との間に配置されたサンプルを音波処理するために適している様式で該チャンバ内に配置されている、貫流ソニケータ。
【請求項27】
流体サンプルをさらに含む、請求項26に記載のソニケータであって、該サンプルが、前記チャンバを通して流れている、ソニケータ。
【請求項28】
前記サンプル出口が、マイクロ流体デバイスと流体接続される、請求項26に記載のソニケータ。
【請求項29】
標的分析物を溶解または破壊する方法であって、
請求項27に記載の貫流ソニケータのプローブを、標的分析物を含むサンプルが該ソニケータのチャンバ内に存在する場合に作動させる工程を含み、それによって該標的分析物が、音波処理される、方法。
【請求項30】
前記標的分析物が、細菌、胞子、ウイルス、真核細胞、および核酸からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
マイクロ流体デバイスであって、
2つのアフィニティー捕捉チャンバと流体接続される装填レザバであって、該捕捉チャンバが、各々、分離チャネルと流体接続されている、装填レザバと、
順方向核酸配列決定産物と逆方向核酸配列決定産物とを含むサンプルを、該レザバから該アフィニティー捕捉チャンバに電気泳動するために適している電極であって、該捕捉チャンバが、該順方向配列決定産物または逆方向配列決定産物を捕捉するために適しているアフィニティー捕捉マトリックスを備える、電極と、
該アフィニティー捕捉チャンバの温度制御のための手段と
を備える、マイクロ流体デバイス。
【請求項32】
マイクロスケール溶液またはナノスケール溶液を混合する方法であって、
2つ以上のMOVバルブまたはMOVポンプによって駆動されるルータまたは「T」構造を通る、マイクロ流体デバイス内の2つ以上の溶液の流れ方向を繰返し変更する工程であって、それによって該溶液が混合される、工程
を含む、方法。
【請求項33】
マイクロスケール溶液またはナノスケール溶液を混合する方法であって、
2つ以上のMOVバルブまたはMOVポンプによって駆動されるルータまたは「T」構造を通して2つ以上の溶液を往復して移動させる工程であって、それによって該溶液が混合される、工程
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公表番号】特表2009−525728(P2009−525728A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553535(P2008−553535)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/061573
【国際公開番号】WO2008/030631
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(507082471)マイクロチップ バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】