説明

マイクロ流体弁取り付け装置、マイクロ流体弁アセンブリ、及び、マイクロ流体弁システム

【解決手段】マイクロ流体弁アクチュエータ装置と、流体分配マニホルドと、マイクロ流体POD装置とを備えるマイクロ流体弁システムが提供されている。POD装置は、ハウジングの遠位取り付け端からハウジングの近位部分までびる内部中央通路を規定するPODハウジングを備える。POD装置は、さらに、内部中央通路に配置された固定子装置を備えており、固定子装置は、遠位取り付け端の開口部と協働してガスケット収容部を規定する遠位固定子面を備える。比較的薄いエラストマガスケット部材が、固定子とマニホルドの連通面との間で両者に接触してハウジングのガスケット収容部に配置される。こうして、固定子装置のそれぞれの固定子連通ポートとマニホルドの対応するマニホルド連通ポートとの間に、流体密シールが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2010年2月25日出願の同時係属の米国仮特許出願第61/308,232号「MULTI−POSITION MICRO−FLUIDIC VALVE ASSEMBLY SYSTEM」の優先権を主張し、その仮特許出願は参照によってその全体が組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、弁アセンブリに関し、特に、体外診断(IVD)および分析機器の分野の多位置弁アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
回転式せん断弁アセンブリが、HPLC分析装置市場で一般に利用されている。これらの弁アセンブリは、比較的長寿命かつ高精度の流体供給によって特徴付けられる。多くの回転式弁アセンブリは、固定子装置上の複数の位置に溝付回転子装置を配置するために用いられるステッパモータによって駆動される。回転子装置および固定子装置要素は、PEEK、PFA、MFA、および、UHMWPEなど、化学的耐性のあるプラスチック材料で製造される。さらに、化学的不活性は、長寿命および低摩耗性というさらなる利点を持つセラミック材料を用いて達成されてもよい。
【0004】
より費用のかかる機械加工法によって従来製造されていた部品を射出成形することによって、非常に低コストでせん断弁アセンブリを生産することができる。かかる部品は、太陽歯車、遊星歯車、および、リング歯車、ならびに、これらの要素を収容するハウジングを含む。低コスト高性能ステッパモータと共に射出成形部品を利用することにより、大きな設計およびコストの利点を得ることができる。
【0005】
電磁弁アセンブリが、多くの産業界で用いられている。しかしながら、IVDおよび分析機器市場において単に見過ごされているだけでない性能の制限がある。ほとんどの電磁弁アセンブリは、例えば、流れの単一点を制御する単一のオン/オフ切り替え装置である。したがって、複数点の流量制御が望まれる場合、2以上の電磁弁アセンブリが必要になる。これらの電磁弁アセンブリで一般に見られる別の問題は、望ましくないポンピング現象(脈動流による変動)であり、コイル、バウンス、および、圧力差の動的効果に関連すると考えられている。さらに、電磁弁アセンブリシートは、シート上に蓄積したよごれまたは異物によって引き起こされる付着および漏れの問題から影響を受けやすいことが知られている。
【0006】
これらの問題に対処するために、かかるマイクロ流体せん断弁アセンブリが、流体分配マニホルド装置に直接取り付けられた。このように、単一のせん断弁アセンブリが、複数の個別の電磁弁アセンブリに置き換わって、電磁弁アセンブリのポンピング現象特性をほぼ排除しうる。
【0007】
しかしながら、ほとんどの場合、分配マニホルド装置にせん断弁アセンブリを直接取り付けることが、悪影響をもたらしている。例えば、1つの特定の設計において、マニホルド装置の表面に対して固定子装置をシールするために、エポキシが用いられる。この技術には、漏れとコストに関する不利点があると考えられる。エポキシは、固定子装置のポートを通る流体の流れを妨げないように、固定子装置およびマニホルド装置の接合部に注意深く塗布される必要がある。さらに、固定子装置およびマニホルド装置の接触面に必要な寸法公差および仕上げには費用が掛かり、エポキシ界面において漏れが発生することが知られている。したがって、固定子装置を除去して行う漏れの修理は、マニホルド装置に損傷を与えることなく容易に達成できるものではない。しばしば、解決策は、マニホルド装置全体の交換となり、大きなコストが掛かる。
【0008】
したがって、漏れまたは動作上の障害なしに、簡単かつコスト効率よく、流体分配マニホルドに直接取り付けることができるマイクロ流体弁アセンブリを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、マイクロ流体弁アセンブリを流体分配マニホルドの連通面に直接、流体密に動作可能に取り付けるよう構成されたマイクロ流体POD装置を提供する。POD装置は、近位部分および遠位取り付け端を有するPODハウジングを備える。ハウジングの近位部分は、弁アクチュエータ装置に取り付けられるよう構成されており、遠位取り付け端は、分配マニホルドの連通面に直接取り付けられるよう構成される。PODハウジングの内壁は、ハウジング遠位取り付け端の開口部からハウジング近位部分まで伸びる内部中央通路を規定する。POD装置は、さらに、遠位固定子面のそれぞれの連通ポートで終了する複数の固定子通路を有する固定子装置を備える。固定子装置は、内部中央通路内で着座位置に配置され、それにより、その遠位固定子面は、PODハウジングの遠位取り付け端と実質的に隣接して配置される。
【0010】
本発明によると、比較的薄いエラストマガスケット部材が、その近位ガスケット面と固定子装置の遠位固定子面とを接触させた状態で、ハウジングのガスケット収容部内に配置される。ガスケット部材は、さらに、複数の独立した貫通孔を有しており、各貫通孔は、PODハウジングが分配マニホルドにしっかりと取り付けられた時に、遠位ガスケット面が圧縮状態でマニホルド連通面に接触して、それぞれの固定子連通ポートと、マニホルド連通面の対応するマニホルド連通ポートとの間に流体密シールを形成するように、戦略的に配置される。
【0011】
したがって、マイクロ流体弁アセンブリをマニホルド装置に直接取り付けて、固定子装置の固定子連通ポートと、それに整列された対応するマニホルド連通ポートとの間に、直接的な流体連通を提供することができる。このメンテナンスフリーの設計は、この特殊なエラストマガスケット部材を用いることにより、最大約7バール(102psi)の高圧での何百万回の作動の間、比較的きつい化学物質に耐えることができる。具体的な一例では、エラストマガスケット部材は、45から85デュロメータの範囲のショアA硬さを有するEPDM、Viton、および、FFKMの内の1つから形成される。
【0012】
具体的な一実施形態において、固定子装置が着座位置に配置され、ガスケット部材が非圧縮状態でガスケット収容部内に配置された時に、遠位ガスケット面は、約0.2mmから約0.3mmの範囲の距離だけハウジング取り付け端から遠位方向にはみ出る。
【0013】
別の実施形態において、各ガスケット部材貫通孔は、近位固定子面および前記遠位固定子面の少なくとも一方に、それぞれの面から円周状に直立して各貫通孔を囲む成形Oリングシール面を備える。
【0014】
各ガスケット貫通孔の直径は、非圧縮状態で、対応する各固定子連通ポートよりも若干大きいサイズを有する。ガスケット部材が固定子装置とマニホルドの連通面との間で圧縮されると、各ガスケット貫通孔の直径は、対応する固定子連通ポートの直径と実質的に同じサイズになる。
【0015】
さらに別の具体的な実施形態は、近位方向に伸びる少なくとも1つの取り付けピンを備えたガスケット部材の近位ガスケット面を提供する。このピンは、遠位固定子面に規定された対応する位置合わせ孔に整列して滑りばめされるよう構成される。
【0016】
また別の具体的な実施形態は、回転軸の周りを回転するようにハウジング中央通路内に配置された回転子要素を提供する。回転子要素は、回転子固定子界面で近位固定子面に対向して接触するように配置された遠位回転子面を有する。POD装置は、さらに、回転子要素と係合接触するように形成された遠位部分を有するシャフトアダプタを備える。その近位部分は、遠位回転子面および近位固定子面の間の選択的な相対回転のために弁アセンブリの駆動アセンブリと回動可能に係合するよう構成される。
【0017】
具体的な一実施形態では、弁駆動アセンブリおよびシャフトアダプタの間で協働して、回転子固定子界面で遠位回転子面および近位固定子面の間に軸方向の圧縮圧力を生成し、それらの間での流体密の相対回転を可能にする圧力調整アセンブリが備えられる。圧力調整アセンブリは、シャフトアダプタと協働する遠位部分と、弁シャフトと協働する遠位部分とを有する圧縮バネとして提供されることが好ましい。
【0018】
シャフトアダプタの遠位面は、その遠位方向に伸びる2以上の位置合わせポストを備える。これらのポストは、回転子の近位回転子面に規定された対応する位置合わせ凹部に整列して滑りばめされるよう構成される。
【0019】
また別の具体的な構成は、係合位置でPODハウジングの内壁に係合し、着脱可能に固定子装置を着座状態に保持するよう構成されたキャップリテーナを提供する。シャフトアダプタは、略円筒形で、第1の直径を有しており、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する環状遠位フランジ部を有する。キャップリテーナは、シャフトアダプタの第1の直径を回動可能に受けることを可能にするようなサイズのリテーナ直径を有する中央貫通路を規定する環状リング体を備える。ただし、リテーナ直径は、第2の直径を有するシャフトアダプタの環状遠位フランジ部が軸方向に通過するのを防ぐようなサイズを有する。本発明によると、シャフトアダプタがマイクロ流体弁アセンブリの駆動アセンブリと係合接触していない時に、回転子要素を固定子装置に当てて緩やかに保持することができる。
【0020】
さらに別の実施形態において、キャップリテーナは、リング体の周囲に放射状に離間されリング体から遠位方向に伸びる複数の保持レッグを備える。保持レッグは、回転軸の周りの選択的な相対回転を可能にするように、シャフトアダプタの環状遠位フランジ部および回転子要素の両方の周りに放射状に伸びるよう構成される。保持レッグの遠位端は、キャップリテーナが係合位置にある時に、近位固定子面に接触して固定子装置を着座状態に保持するような大きさおよび寸法を有する。
【0021】
本発明の別の態様では、駆動モータと流体分配マニホルドとの間に動作可能に取り付けられるマイクロ流体弁アセンブリが提供される。弁アセンブリは、近位部分と、分配マニホルドの連通面に取り付け接触するよう構成された遠位取り付け端とを有するアセンブリハウジングを備える。アセンブリハウジングは、さらに、ハウジング遠位取り付け端の開口部からハウジング近位部分まで伸びる内部中央通路を規定する内壁を備える。駆動アセンブリが、中央通路内でハウジング近位部分に近接して回動可能に配置され、駆動モータに回動可能に結合される。弁アセンブリは、さらに、回転子固定子界面で互いに係合する回転子要素および固定子装置を備える。回転子要素は、遠位回転子面を備えており、複数の別々の流体分配位置の間で回転軸の周りで選択的に回転するように、駆動アセンブリに回動可能に結合される。固定子装置は、内部中央通路45内で着座位置に配置され、それにより、その遠位固定子面は、アセンブリハウジングの遠位取り付け端と実質的に隣接して配置される。遠位固定子面およびハウジング開口部は、集合的に、固定子装置が着座位置に配置された時に、ガスケット収容部を規定する。固定子装置は、さらに、遠位固定子面のそれぞれの連通ポートで終了する複数の固定子通路を規定する。近位ガスケット面および反対側の遠位ガスケット面を有する比較的薄いエラストマガスケット部材が提供される。ガスケット部材は、近位ガスケット面および遠位固定子面を接触させた状態でハウジングのガスケット収容部に配置されるよう構成される。アセンブリハウジングが分配マニホルドにしっかりと取り付けられると、各々戦略的に配置された複数の独立した貫通孔を有するガスケット部材の遠位ガスケット面は、圧縮状態でマニホルド連通面と接触する。こうして、それぞれの固定子連通ポートと、対応するマニホルド連通ポートとの間に、流体密シールが形成される。
【0022】
具体的な一構成では、圧力調整アセンブリが、駆動アセンブリの弁シャフトとシャフトアダプタとの間で協働して、回転子固定子界面で遠位回転子面および近位固定子面の間に軸方向の圧縮圧力を生成し、それらの間での流体密な相対回転を可能にする。
【0023】
さらに別の実施形態は、シャフトアダプタと協働する遠位部分と、弁シャフトと協働する近位部分とを有する圧縮バネを備えた圧力調整アセンブリを提供する。弁シャフトは、内部にシャフトアダプタの近位部分が軸方向に滑りばめされるような寸法で形成された遠位収容部を規定する。
【0024】
またさらに別の構成は、遠位内壁を有するバネ収容部を規定する近位端を備えたシャフトアダプタを提供する。圧力調整アセンブリは、シャフトアダプタが軸方向に弁シャフト遠位収容部内に摺動可能に受け入れられた時に、弁シャフトの遠位収容部およびシャフトアダプタのバネ収容部の両方の中に配置される圧縮バネを備える。これにより、回転子要素が近位固定子面に向かって付勢され、それらの間の流体密接触が回転子固定子界面で確立する。
【0025】
本発明のさらに別の態様では、マイクロ流体弁アクチュエータ装置と、流体分配マニホルドと、マイクロ流体POD装置とを備えるマイクロ流体弁システムが提供されている。弁アクチュエータ装置は、アクチュエータハウジングおよび駆動アセンブリを備える。流体分配マニホルドは、連通面と、マニホルド連通面で終了する連通ポートを各々有する複数の流体分配路とを備える。集合的に、弁アクチュエータ装置およびPOD装置は、POD装置を介してマニホルドの連通面に直接取り付けられるマイクロ流体弁アセンブリを構成する。
【0026】
本発明のこの態様によると、POD装置は、近位部分と、遠位取り付け端と、内部中央通路を規定する内壁とを有するPODハウジングを備える。この通路は、ハウジング遠位取り付け端の開口部からハウジング近位部分まで伸びる。POD装置は、さらに、内部中央通路内で着座位置に配置された固定子装置を備えており、その遠位固定子面は、PODハウジングの遠位取り付け端と実質的に隣接して配置される。集合的に、遠位固定子面およびPODハウジング開口部は、固定子装置が着座位置に配置された時に、ガスケット収容部を規定する。近位ガスケット面および反対側の遠位ガスケット面を有する比較的薄いエラストマガスケット部材が提供される。ガスケット部材は、近位ガスケット面および遠位固定子面を接触させた状態でハウジングのガスケット収容部に配置されるよう構成される。アセンブリハウジングが分配マニホルドにしっかりと取り付けられると、各々戦略的に配置された複数の独立した貫通孔を有するガスケット部材の遠位ガスケット面は、圧縮状態でマニホルド連通面と接触する。こうして、それぞれの固定子連通ポートと、対応するマニホルド連通ポートとの間に、流体密シールが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のアセンブリは、添付の図面を参照すると、発明を実施する最良の形態に関する以下の記載、および、添付の特許請求の範囲から、より容易に明らかになる他の目的および利点を有する。
【0028】
【図1】本発明に従って構成されたPOD装置を備えるマイクロ流体弁アセンブリを示す底面斜視図。
【0029】
【図2】本発明に従って構成されたマイクロ流体弁アセンブリを示す底面斜視図。
【0030】
【図3】図1のマイクロ流体弁アセンブリの断面を示す拡大側面斜視図。
【0031】
【図4A】図1のマイクロ流体弁アセンブリのPOD装置を示す分解底面斜視図。
【0032】
【図4B】図1のマイクロ流体弁アセンブリのPOD装置を示す分解上面斜視図。
【0033】
【図5】PODハウジングへの固定子要素の挿入を示す図4のPOD装置のPODハウジングの拡大部分分解上面斜視図。
【0034】
【図6】着座位置への固定子要素の配置を示す図5のPODハウジングの拡大上面斜視図。
【0035】
【図7】PODハウジングへの固定子要素の挿入を示す図5のPODハウジングの拡大部分分解底面斜視図。
【0036】
【図8】着座位置への固定子要素の配置を示す図6のPODハウジングの側断面図。
【0037】
【図9】図4のPOD装置を示す拡大側断面図。
【0038】
【図10】マニホルド装置に取り付けられた図4のPOD装置を示す拡大側断面図。
【0039】
【図11】図4のPOD装置の固定子装置およびエラストマガスケット部材を示す拡大分解底面斜視図。
【0040】
【図12】マニホルド装置から離された図1のマイクロ流体弁アセンブリを示す上面斜視図。
【0041】
【図13】マニホルド装置に取り付けられた図1のマイクロ流体弁アセンブリを示す上面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、いくつかの具体的な実施形態を参照しつつ記載されるが、その記載は本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態に対して本発明への様々な変形を行うことができる。理解しやすいように、同じ構成要素には、様々な図面で同じ符号を付けていることに注意されたい。
【0043】
ここで、図1〜図4および図10〜図13を参照すると、マニホルドの連通ポート25と液密に結合するように、マイクロ流体弁アセンブリ24を流体分配マニホルド装置22の連通面21に直接取り付けることができるマイクロ流体弁システム(一般に符号20)が提供されている。弁システム20全体は、概して、マイクロ流体弁アセンブリ24、および、それが取り付けられたマニホルド装置22を含む。一方、マイクロ流体弁アセンブリ24は、基本的に、アクチュエータハウジング41および駆動アセンブリ32を一般に備える弁アクチュエータ装置26と、回転子要素31、固定子装置30、および、固定子装置のそれぞれの連通ポート35をマニホルド装置22の面21における対応する連通ポート25に直接的に流体密結合することを可能にする構造要素(後に説明する)を一般に備えるマイクロ流体POD装置27と、を備える。
【0044】
本発明によると、POD装置27は、近位部分と、遠位取り付け端36と、ハウジングの遠位取り付け端36における内部中央通路45への開口部からハウジングの近位端まで伸びる内部中央通路45を規定する内壁39(図8)とを有するPODハウジング29を備える。固定子装置30は、内部中央通路45内で着座位置(図3、図8、および、図9)に配置され、それにより、その遠位固定子面37は、PODハウジングの遠位取り付け端36と実質的に隣接して配置される。固定子装置内には、軸方向に複数の固定子通路が伸びており、各通路は、遠位固定子面37にあるそれぞれの連通ポート35を終点とする。図8に最もよく示されているように、集合的に、遠位固定子面37、および、遠位取り付け端36における中央通路45へのPODハウジング開口部は、固定子装置が着座位置に配置された時に、遠位ガスケット収容部47を規定する。
【0045】
比較的薄いエラストマガスケットメンバ28(図3、図9、および、図11)は、近位ガスケット面38および遠位固定子面37を接触させた状態でPODハウジング41のガスケット収容部47に配置されるよう構成される。ガスケット部材28は、さらに、複数の独立した貫通孔33を規定しており、各貫通孔は、PODハウジング29が分配マニホルド装置22の連通面21にしっかりと取り付けられた時に、圧縮状態(すなわち、マニホルド装置22に取り付けられた状態(図2、図10、および、図13))で、遠位ガスケット面40がマニホルドの連通面21に接触して、それぞれの固定子の連通ポート35と、対応するマニホルドの連通ポート25との間の流体密シールを形成するように、戦略的に配置されている。
【0046】
したがって、POD装置27がマニホルド装置22に直接取り付けられると、マニホルドの連通ポート25は、それらに対して整列された固定子装置30の対応する連通ポート35との直接的な流体連通を提供する。このように、1.0μL/分未満の漏れでマイクロ流体弁アセンブリをマニホルド装置に直接シールすることができる比較的低コストの弁アセンブリが提供される。この特殊なエラストマガスケット28を適用することにより、このシステムは、さらに、最大7バール(102psi)の高圧での何百万回の作動の間、比較的きつい化学物質に耐えることができる。さらに、固定子および回転子要素の材料として、より新しいセラミック固定子装置/回転子装置材料を選択することにより、何百万回の作動を行っても、非常に望ましくメンテナンスフリーで稼働させることができる。
【0047】
図1〜図3に戻ると、マニホルド装置22は、マニホルド装置の連通面21に配置された流体連通ポート25で終わる複数の流体路23を規定する。一方、弁アセンブリ24は、回転子要素31によって、マニホルド装置22の連通ポート25を通る流体の流れの方向を選択的に決定するものであり、上述のように、3つの主要な構成要素:弁アクチュエータ装置32、POD装置27、および、エラストマガスケット28を備える。
【0048】
次いで、POD装置27(そのPODハウジング29は、せん断または回転弁(すなわち、固定子装置30および回転子装置31)を収容する)は、弁アクチュエータ装置26(すなわち、集合的に弁アセンブリ24)と共に、マニホルド装置22の連通面21に直接的に取り付けられうる。
【0049】
本発明によると、上述のように、厳しい利用条件下で固定子装置30とマニホルド装置の連通面21との間の液密シールを容易にするために、特別なエラストマガスケット28がそれらの間に配置される。このガスケット28(図11)は、POD装置27のガスケット収容部47内に含まれることが好ましく、比較的薄くて、複数の貫通孔33を規定しており、各貫通孔は、それぞれ対応するマニホルド流体連通ポート25および固定子流体連通ポート35と整列されている。マニホルド装置の連通面21に対してPOD装置27を圧迫取り付けすると、液体を通さないエラストマガスケット28が、マイクロ流体弁アセンブリ24およびマニホルド装置22の間で圧縮され、それらの間にシールが形成される。具体的には、液密シールが、固定子装置30の遠位固定子面37およびガスケット28の近位ガスケット面38の間に形成され、別の液密シールが、ガスケットの遠位ガスケット面40およびマニホルド装置の連通面21の間に形成される。
【0050】
上述のように、弁アセンブリ24は、主に3つの構成要素:弁アクチュエータ装置26、POD装置27、および、エラストマガスケット28を備えており、そのPOD装置は、エラストマガスケット28を受けて着座させる。図3、図4Aおよび図4Bに最もよく示されているように、弁アクチュエータ装置26は、アクチュエータハウジング41と、ステッパモータ42と、モータ42から回転子要素31に回転運動を伝達する駆動アセンブリ32とを備える。具体的な一実施形態において、駆動アセンブリ32は、弁シャフト43および遊星歯車システム44によって、モータ42をPOD装置26に連結する。
【0051】
中間歯車を用いることなく弁シャフト43をモータ42に直接係合させる別の駆動システム(図示せず)が用いられてもよい。この構成では、歯車システムがないことによるモータトルクの低下を、より大きいトルクを持つモータを用いることによって補ってもよい。例えば、IDEX Health&Science社製のRheodyne Titan EZ弁(型式EZ670−000−4)は、射出成形された遊星歯車システムと42mmのtin−canタイプのステッパモータを組み合わせて、最大7インチポンドのトルクを達成する。
【0052】
PODハウジング29は、略円筒形であり、その中を通って遠位取り付け端36の開口部からハウジングの近位端まで軸方向に伸びる中央通路45を規定する(図4および図8)。段付き内壁39が、中央通路45を形成しており、着座位置に取り付けられた時に固定子装置30の着座受けになるような大きさおよび寸法を有する(図6、図8、および、図9参照)。固定子装置30の適切な着座、ひいては、ハウジングの遠位取り付け端36に対する遠位固定子面37の適切な配置を円滑にするため、ハウジング29は、段構造46を備える。中央通路45の遠位部分に配置され、半径方向内向きに伸びるこの段構造46は、対応する大きさおよび寸法を持った固定子装置30の外周凹フランジ49に接触して着座するような大きさおよび寸法を有する(図7〜図9)。
【0053】
固定子装置30が、段構造46に軸方向に当たって着座すると(両者は対応してキー加工されている)、遠位へのさらなる軸方向のずれが防止される。図8に示すように、固定子装置30が着座された時に、遠位固定子面37は、遠位取り付け端36の平面から少し離間され、エラストマガスケットが配置されるギャップすなわちガスケット収容部47を形成する。
【0054】
図4Aおよび図7に最もよく示されているように、固定子装置30およびPODハウジング29は両方とも、上述の段構造に加えて、それらの間の適切な回転位置合わせのためにキー加工されている。例えば、PODハウジング29の遠位取り付け端36は、一対の固定子位置合わせ切り欠き48を規定する。これらの切り欠きに対応するのは、PODハウジング29に挿入された時に固定子装置30を残りの弁アセンブリ24に対して正確な位置に位置合わせする一対の位置合わせ構造50である。さらに、図5および図6に示すように、固定子近位面69は、着座の位置合わせをさらに容易にするために、POD位置合わせ構造54を受け入れるような寸法で形成された位置合わせ切り欠き53を規定する。集合的に、これらの位置合わせ構造は、位置合わせを容易にするだけでなく、回転子要素31が固定子装置30に接触して回転した時にPODハウジング29内での固定子装置30の回転を防止する。
【0055】
駆動アセンブリ32に回転子装置31を機械的に結合するために、POD装置27(図3、図4A、図4B、および、図9参照)は、回転子装置の回転を可能にするように駆動弁シャフト43と回動可能に係合するシャフトアダプタ55を備える。弁シャフト43は、内部にシャフトアダプタ55の近位部分を軸方向に滑りばめできる寸法に形成された遠位収容部56を規定する。弁シャフト43の遠位収容部56を規定する内壁およびシャフトアダプタ55の近位部分を規定する近位外壁は両方とも、縦軸に関する弁シャフトの任意のトルクおよび回転がシャフトアダプタに伝達されるように、対応してキー加工される。シャフトアダプタの環状遠位フランジ部57は、回転子装置31と同等の直径まで半径方向外向きに広がっている。このように、シャフトアダプタの近位部分の第1の直径は、それに応じて、遠位フランジ部57の第2の直径よりも小さい。環状遠位フランジ部57には、シャフトアダプタ55の遠位アダプタ面60が、それに接触させて回転子装置31を着座させるように形成される。
【0056】
シャフトアダプタ55の遠位アダプタ面60から軸方向外向きに、1または複数の位置合わせポスト61が、セラミック回転子装置31の近位回転子面63にある対応する凹部62(図4Aおよび図4B)に滑りばめされるような寸法で形成されている。位置合わせポスト61および対応する凹部62は、弁シャフト43に対して回転子装置を位置合わせするように、サイズを決められ配置される。さらに、ポスト61は、縦軸に関するシャフトアダプタ55の任意のトルクおよび回転を回転子装置に伝達するよう機能する。
【0057】
図3、図4A、図4B、および、図9に最もよく示されているように、キャップリテーナ65が、回転子装置31およびシャフトアダプタ55をPODハウジング29に対して緩やかに保持するために組み込まれる。これは、POD装置27を弁アクチュエータ装置26に単一のユニットとして容易に取り付けることができる点で有利である。
【0058】
キャップリテーナ65も射出成形されることが好ましく、シャフトアダプタの第1の直径を回動可能に受けるようなサイズの貫通路64を規定する薄い環状リング体66を有する。ただし、貫通路64の直径は、シャフトアダプタの環状遠位フランジ部57が軸方向に通過するのを防ぐような大きさおよび寸法を有する。したがって、キャップリテーナ65が、後に説明するように係合位置(図3および図9)でPODハウジングに取り付けられた時、シャフトアダプタの第1の直径とリング体の貫通路64の直径との間の直径公差は、それらの間で正常な相対的回転を許容する。一方、フランジ部57の第2の直径は、キャップリテーナ65を通って近位方向に通過することを防止し、シャフトアダプタ55および取り付けられた回転子装置31をPODハウジング29に緩やかに保持する。もちろん、シャフトアダプタ55および回転子装置31の分離を防ぐために、位置合わせポスト61の長さは、遠位フランジ部57および環状リング体29の間で許容される軸方向のズレすなわち遊びよりも大きいことが好ましいことを理解されたい。
【0059】
ここで、図4A、図4B、および、図10を参照すると、複数の放射状に離間された保持レッグ67、および、複数の放射状に離間され各保持レッグ67の間に交互に配置されたスナップフック68が、環状リング体66から遠位方向に伸びている。好ましくは、キャップリテーナ65は、リング体66の縦軸に関して放射状に等間隔に離間された3つの保持レッグ67と、それらの間に配置され等間隔に離間された3つのスナップフック68と、を備える。保持レッグ67およびスナップフック68は両方とも、シャフトアダプタの周囲に伸びるように直径方向に配置される。
【0060】
組み立ての際、シャフトアダプタ55および回転子装置31がPODハウジング29内の固定子装置30の上に配置されると、キャップリテーナ65がPODハウジング29に挿入される。リングの貫通路64に対する保持レッグ67およびスナップフック68の直径方向の配置は、シャフトアダプタ55の近位部分がリング体66を通して相対的に配置された時にシャフトアダプタ55の周囲に伸びるよう構成されている。各スナップフック68は、PODハウジング29の対応する爪受け70に係合および係止するように形成され寸法を決められた爪部分58を備えており、係合位置でPODハウジング29の中央通路45内にキャップリテーナを固定する。同時に、保持レッグ67は、固定子装置30の近位固定子面69に当たるような遠位方向のサイズを有しており、着座状態で外周凹フランジ49をPODハウジングの段構造46に当てて保持および着座させる。この構成では、上述のように、シャフトアダプタ55および回転子装置31は両方とも、POD装置が駆動アセンブリ32に取り付けられていない時、PODハウジング29内で少量の軸方向のズレを許容される。
【0061】
組み立てられると、固定子装置25、回転子装置31、キャップリテーナ65、および、シャフトアダプタ55は、図1、図3、および、図8に示すように、PODハウジングの中央通路45内に収容される。次いで、POD装置27を弁アクチュエータ装置26のアクチュエータハウジング41に取り付けまたは結合することができる。例えば、PODハウジング29は、標準的な4−40ネジ74を用いて2つの位置でアクチュエータハウジング41に取り付けられてよい。これら2つの領域で、リブ72が、内部のばね力および外部の曲げ力に抗する構造的強度を提供するためにPODハウジングに成形される。ほとんどのせん断弁アセンブリと同様に、固定子装置30は、POD装置に対して静止しており、回転子装置31は、アクチュエータハウジング41内の弁シャフト43によって駆動されると回転する。
【0062】
セラミック固定子装置30および回転子装置31は、圧縮力によって負荷を掛けられた時に回転子/固定子界面に液密シールを形成し、脱イオン水から塩溶液に及ぶ液体の存在下で何百万回の作動に耐えうる。回転子/固定子界面で固定子装置30および固定子要素31の間に圧縮力を生み出すために、圧力調整アセンブリ71が、駆動アセンブリ32およびシャフトアダプタ55の間で協働して、回転子固定子界面で遠位回転子面および近位固定子面69の間に軸方向の圧縮圧力を生成し、それらの間での流体密の相対回転を可能にする。
【0063】
具体的な一実施形態において、圧力調整アセンブリ71は、固定子装置30に対して回転子要素31を流体密シールするための主な力のメカニズムであるらせん圧縮バネ71として提供される。図3に最もよく示されているように、シャフトアダプタ55は、アダプタの近位端に、アクセス可能なバネ収容部73を規定する。弁アクチュエータ装置26にPOD装置27、ひいては、シャフトアダプタ55に駆動アセンブリ32の弁シャフト43を取り付ける際、らせん圧縮バネ71がそれらの間に配置される。それらの間のバネの圧縮により、シャフトアダプタ55は、固定子装置30に向かって軸方向に付勢され、回転子/固定子界面に流体密シールを形成する。したがって、らせんバネは、干渉接触を防止するために、シャフトアダプタ55の環状遠位フランジ部57を、キャップリテーナのリング体66から軸方向に十分な距離だけずらす。さらに、バネは、相互作用する構成要素間の軸方向のわずかなサイズの変動を調整するよう機能する。
【0064】
圧力調整メカニズム71(図3)は、PODハウジング29と接触する着座位置に固定子装置30を着座させる主な力であるが、キャップリテーナ65のキャップ保持レッグ67も、それに対するさらなる保持力を提供することを理解されたい。したがって、バネの力およびキャップリテーナ65の組み合わせが、エラストマガスケット28の圧縮に抗して所定の場所に固定子装置30を保持し、固定子装置/回転子要素、固定子装置/ガスケット、および、ガスケット/マニホルド装置の界面をシールするのに十分以上の力を集合的に生み出す。
【0065】
つまり、固定子装置30および回転子要素31に関してはセラミックが用いられているが、摩耗寿命および圧力が異なりうるものの、PEEK、PFA、MFA、および、UHMWPEなど、その他の材料が用いられてもよいことを理解されたい。さらに、Towerによる2010年7月9日出願の米国特許出願第12/833,834号「ROTARY SHEAR VALVE ASSEMBLY WITH HARD−ON−HARD SEAL SURFACES」に記載されたものなど、その他のハードオンハードの応用例が実装されてもよく、その出願は、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。
【0066】
本発明によると、上述のように、弁アセンブリ20は、POD装置27の遠位取り付け端36にあるガスケット収容部47に配置された成形エラストマガスケット28によって、マニホルド装置22(図2、図10、および、図13参照)に液密シールされる。ガスケット28の高さは、その遠位ガスケット面40がPODハウジング29の遠位取り付け端36の平面から若干はみ出る(図9)ような高さである。したがって、弁アセンブリ20がマニホルド装置に取り付けられると、エラストマガスケット28が圧縮され、マニホルドの連通ポート25および固定子の連通ポート35の周囲および間に液密シールを形成する。具体的な一実施形態において、以下のエラストマガスケット28の材料組成を用いると、ガスケット部材28がガスケット収容部47に配置された時に、非圧縮状態で、遠位ガスケット面40は、約0.2mmから約0.3mmの範囲の距離だけハウジングの取り付け端36から遠位方向にはみ出る。
【0067】
図1、図4、および、図10に最もよく示されているように、エラストマガスケット28は、近位および遠位ガスケット面38および40の両方から円周状に直立して各貫通孔33を囲む成形Oリング型シール面75を備える。これら周囲のシール面75は、最小のバネ力で十分なシールが達成されるようにシール領域を最適化する機能を有する。固定子装置/回転子装置をシールする力を最小化するには、より小さな力が望ましく、そうすれば長寿命および低摩耗につながる。同様に、非圧縮状態で、これらのOリング型シール面75は、約0.1mmから約0.2mmの範囲の距離だけ、それぞれのガスケット面38、40から近位方向および遠位方向に伸びる。
【0068】
さらに、ガスケット28は、接合するマニホルド装置および固定子装置(図9参照)のそれぞれの連通ポート25および35よりも若干大きい直径の貫通孔33を備えるよう設計される。その目的は、ガスケットの孔を縮小させる設置時のガスケットの圧縮変形を考慮に入れることである。
【0069】
さらに、ガスケット孔33のパターンのボルトサークルは、設置時に圧縮された際に広がって固定子装置およびマニホルド装置の両方の孔のパターンのボルトサークルと一致するように、必要に応じて、若干縮小されてよい。最終的に、シール面のサイズは、ガスケット材料の弾性係数を考慮して、圧縮面積、圧縮力、および、圧縮変形などの要素を最適化するようカスタム設計される。PODおよび固定子装置によって規定された空間内に圧縮してシールを形成するには、ガスケットの特性、シール領域の寸法、および、ガスケットの厚さに応じて、様々な力が必要である。本発明は、45から85デュロメータの範囲のショアA硬さを有するEPDM、Viton、および、FFKMを含む様々なガスケット材料に対応しつつ、同じ構成要素を用いてコストを最小化するように設計されている。したがって、50Kサイクルより長い弁アセンブリの寿命を予測された約50psi超の圧力を保持することができるせん断面弁アセンブリを提供することが望ましい。
【0070】
簡潔に述べると、ガスケット部材28の貫通孔33を固定子装置30の貫通孔と整列させるために、固定子装置30の遠位固定子面37に規定された位置合わせ孔52に受け入れられる2つの成形取り付けポスト51が提供される(図11参照)。
【0071】
ここで、図2、図12、および、図13によると、マニホルド装置22への弁アセンブリ20の取り付けは、2つの技術のいずれかによって達成される。第1の技術は、マニホルド装置の遠位側からマニホルド装置22を通って、射出成形PODハウジング29に形成された取り付けボス77に配置されたねじ込みインサート79内に伸びる標準的な留め具76の利用に関する(図2)。
【0072】
第2の技術は、マニホルド装置22に取り付けられたカム状ヘッド81を有する取り付けクリート80の利用に関する(図12および図13)。これらのカム状ヘッド81は、留め具がアセンブリの背面上のマニホルド装置内に回転および/または螺入される時に、射出成形PODハウジング29の遠位フランジ83の環状ショルダ82と係合するように形成され寸法を決定される。
【0073】
組み立ての際にPOD装置27をマニホルド装置22に対して位置合わせするために、マニホルド装置22の連通面21に形成された対応する位置合わせ孔86(図2および図12)内に挿入される2つの成形位置合わせポスト85が備えられる。一構成において、これらの対応するキー加工構造は、固定子装置からガスケット、マニホルド装置に至るまで、正確な組み立てと、孔の正確な位置合わせとを保証するために、不規則な位置(すなわち、180°の離間以外の位置)に配置される。
【0074】
本発明は、高いライフサイクル能力を必要とする高圧用途(例えば、すべてのHPLC機器プラットフォーム/設計)のためのせん断面弁アセンブリに適用するものとして主に記載されているが、この技術は、すべてのせん断弁アセンブリプラットフォーム/設計(AI(分析化学)およびIVD(体外診断)など)に適用されてよいことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動アセンブリを有するマイクロ流体弁アセンブリを流体分配マニホルドの連通面に直接、流体密に動作可能に取り付けるよう構成された動作可能な取り付けPOD装置のためのマイクロ流体弁POD装置であって、前記流体分配マニホルドは、前記マニホルド連通面で終了する連通ポートを各々有する複数の流体分配路を規定し、前記POD装置は、
近位部分と、前記分配マニホルドの前記連通面に取り付け接触するよう構成された遠位取り付け端と、前記ハウジング遠位取り付け端の開口部から前記ハウジング近位部分まで伸びる内部中央通路を規定する内壁とを有するPODハウジングと、
前記内部中央通路内で着座位置に配置された固定子装置であって、前記固定子装置の遠位固定子面は、前記PODハウジング遠位取り付け端に実質的に隣接して配置され、前記遠位固定子面および前記PODハウジング開口部は集合的に、前記固定子装置が前記着座位置に配置された時にガスケット収容部を規定し、前記固定子装置は、さらに、前記遠位固定子面のそれぞれの連通ポートで終了する複数の固定子通路を規定する、固定子装置と、
近位ガスケット面および反対側の遠位ガスケット面を有する比較的薄いエラストマガスケット部材であって、前記近位ガスケット面および前記遠位固定子面を接触させた状態で前記ハウジングの前記ガスケット収容部に配置されるよう構成され、さらに、複数の独立した貫通孔を規定し、各貫通孔は、前記PODハウジングが前記分配マニホルドにしっかりと取り付けられた時に、圧縮状態で、前記遠位ガスケット面が前記マニホルド連通面に接触して、それぞれの固定子連通ポートと、対応するマニホルド連通ポートとの間に流体密シールを形成するように、戦略的に配置される、ガスケット部材と、
を備える、POD装置。
【請求項2】
請求項1に記載のPOD装置であって、
前記固定子装置が前記着座位置に配置され、前記ガスケット部材が非圧縮状態で前記ガスケット収容部内に配置された時に、前記遠位ガスケット面は、約0.2mmから約0.3mmの範囲の距離だけ前記ハウジング取り付け端から遠位方向にはみ出る、POD装置。
【請求項3】
請求項2に記載のPOD装置であって、
各ガスケット部材貫通孔は、前記近位固定子面および前記遠位固定子面の少なくとも一方に、それぞれの面から円周状に直立して各貫通孔を囲む成形Oリングシール面を備える、POD装置。
【請求項4】
請求項3に記載のPOD装置であって、
各Oリングシール面の高さは、約0.1mmから約0.2mmの範囲にある、POD装置。
【請求項5】
請求項3に記載のPOD装置であって、
各ガスケット貫通孔の直径は、前記PODハウジングが前記分配マニホルドに取り付けられた際の前記圧縮状態で、対応する固定子連通ポートの直径と実質的に同じサイズになるように、前記非圧縮状態では、各々の前記対応する固定子連通ポートの直径よりも若干大きいサイズを有する、POD装置。
【請求項6】
請求項2に記載のPOD装置であって、
前記ガスケット部材は、約45から約85デュロメータの範囲のショアA硬さを有する、POD装置。
【請求項7】
請求項2に記載のPOD装置であって、
前記近位ガスケット面は、近位方向に伸びて、前記遠位固定子面に規定された対応する位置合わせ孔に整列して滑りばめされるよう構成された少なくとも1つの取り付けピンを備える、POD装置。
【請求項8】
請求項1に記載のPOD装置であって、
前記PODハウジングの前記内壁は、前記遠位取り付け端の近位で軸方向かつ内向きに伸びる着座フランジを備え、
前記固定子装置は、前記ハウジング着座フランジと協働して前記着座位置への前記固定子装置の配置を容易にするよう構成された外周フランジを備える、POD装置。
【請求項9】
請求項1に記載のPOD装置であって、さらに、
回転軸の周りを回転するように前記ハウジング中央通路内に配置された回転子要素であって、回転子固定子界面で前記近位固定子面に対向して接触するように配置された遠位回転子面を規定する、回転子要素と、
前記回転子要素と係合接触するように形成された遠位部分と、前記遠位回転子面および前記近位固定子面の間の選択的な相対回転のために前記弁アセンブリの前記駆動アセンブリと回動可能に係合するよう構成された近位部分とを有するシャフトアダプタと、
を備える、POD装置。
【請求項10】
請求項9に記載のPOD装置であって、さらに、
前記駆動アセンブリおよび前記シャフトアダプタの間で協働して、回転子固定子界面で前記遠位回転子面および前記近位固定子面の間に軸方向の圧縮圧力を生成し、それらの間での流体密の相対回転を可能にする圧力調整アセンブリを備える、POD装置。
【請求項11】
請求項10に記載のPOD装置であって、
前記圧力調整アセンブリは、前記シャフトアダプタと協働する遠位部分と、前記駆動アセンブリと協働する近位部分とを有する圧縮バネを備える、POD装置。
【請求項12】
請求項9に記載のPOD装置であって、
前記シャフトアダプタの遠位アダプタ面は、前記回転子要素の近位回転子面に接触して着座するよう構成されており、その遠位方向に伸びて、前記近位回転子面に規定された対応する位置合わせ凹部に整列して滑りばめされるよう構成された2以上の位置合わせポストを備える、POD装置。
【請求項13】
請求項9に記載のPOD装置であって、さらに、
係合位置で前記PODハウジングの前記内壁に係合し、着脱可能に前記固定子装置を着座状態に保持するよう構成されたキャップリテーナを備える、POD装置。
【請求項14】
請求項13に記載のPOD装置であって、
前記シャフトアダプタは略円筒形で第1の直径を有しており、前記シャフトアダプタは、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する環状遠位フランジ部を備え、
前記キャップリテーナは、前記シャフトアダプタが前記マイクロ流体弁アセンブリの前記駆動アセンブリと係合接触していない時に、前記回転子要素を前記固定子装置に当てて緩やかに保持するために、前記第1の直径を有する前記シャフトアダプタを回動可能に受けることを可能にしつつ、前記第2の直径を有する前記シャフトアダプタの前記環状遠位フランジ部が軸方向に通過するのを防ぐようなサイズのリテーナ直径を有する中央貫通路を規定する環状リング体を備える、POD装置。
【請求項15】
請求項14に記載のPOD装置であって、
前記キャップリテーナは、前記リング体の周囲に放射状に離間され前記リング体から遠位方向に伸びる複数の保持レッグを備え、前記保持レッグは、前記回転軸の周りの選択的な相対回転を可能にするように、前記シャフトアダプタの前記環状遠位フランジ部および前記回転子要素の両方の周りに放射状に伸びるよう構成され、前記保持レッグの遠位端は、前記近位固定子面に接触して前記固定子装置を前記着座状態に保持するような大きさおよび寸法を有する、POD装置。
【請求項16】
請求項15に記載のPOD装置であって、
前記キャップリテーナは、前記リング体の周囲に放射状に離間され前記リング体から遠位方向に伸びる複数のスナップフックを備え、前記スナップフックは、前記シャフトアダプタの前記環状遠位フランジ部および前記回転子要素の両方の周りに放射状に伸びるよう構成され、前記係合位置において、戦略的に配置され前記PODハウジングの前記内壁によって規定された対応する爪受けに係止受けされるよう構成される、POD装置。
【請求項17】
駆動モータおよび流体分配マニホルドの間に動作可能に取り付けられたマイクロ流体弁アセンブリであって、前記流体分配マニホルドは、マニホルド連通面で終了する連通ポートを各々有する複数の流体分配路を規定し、前記弁アセンブリは、
近位部分と、前記分配マニホルドの前記連通面に取り付け接触するよう構成された遠位取り付け端と、前記ハウジング遠位取り付け端の開口部から前記ハウジング近位部分まで伸びる内部中央通路を規定する内壁とを有するアセンブリハウジングと、
前記中央通路内で前記ハウジング近位部分に近接して回動可能に配置され、前記駆動モータに回動可能に結合された駆動アセンブリと、
遠位回転子面を有する回転子要素であって、複数の別々の流体分配位置の間で回転軸の周りを選択的に回転するように、前記駆動アセンブリに回動可能に結合された、回転子要素と、
前記内部中央通路内で着座位置に配置された固定子装置であって、前記固定子装置の遠位固定子面は、前記アセンブリハウジングの前記遠位取り付け端に実質的に隣接して配置され、前記遠位固定子面および前記ハウジング開口部は集合的に、前記固定子装置が前記着座位置に配置された時にガスケット収容部を規定し、前記固定子装置は、さらに、前記遠位固定子面のそれぞれの連通ポートで終了する複数の固定子通路を規定する、固定子装置と、
近位ガスケット面および反対側の遠位ガスケット面を有する比較的薄いエラストマガスケット部材であって、前記近位ガスケット面および前記遠位固定子面を接触させた状態で前記ハウジングの前記ガスケット収容部に配置されるよう構成され、さらに、複数の独立した貫通孔を規定し、各貫通孔は、前記アセンブリハウジングが前記分配マニホルドにしっかりと取り付けられた時に、圧縮状態で、前記遠位ガスケット面が前記マニホルド連通面に接触して、それぞれの固定子連通ポートと、対応するマニホルド連通ポートとの間に流体密シールを形成するように、戦略的に配置される、ガスケット部材と、
を備える、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
前記固定子装置が前記着座位置に配置され、前記ガスケット部材が非圧縮状態で前記ガスケット収容部内に配置された時に、前記遠位ガスケット面は、約0.2mmから約0.3mmの範囲の距離だけ前記ハウジング取り付け端から遠位方向にはみ出る、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項19】
請求項17に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
各ガスケット部材貫通孔は、前記近位固定子面および前記遠位固定子面の少なくとも一方に、それぞれの面から円周状に直立して各貫通孔を囲む成形Oリングシール面を備える、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項20】
請求項18に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
前記ガスケット部材は、約45から約85デュロメータの範囲のショアA硬さを有する、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項21】
請求項17に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
前記アセンブリハウジングの前記内壁は、前記遠位取り付け端の近位で軸方向かつ内向きに伸びる着座フランジを備え、
前記固定子装置は、前記ハウジング着座フランジと協働して前記着座位置への前記固定子装置の配置を容易にするよう構成された外周フランジを備える、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項22】
請求項17に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、さらに、
前記回転子要素と係合接触するように形成された遠位部分と、前記遠位回転子面および前記近位固定子面の間の選択的な相対回転のために前記駆動アセンブリの弁シャフトと回動可能に係合するよう構成された近位部分と、を有するシャフトアダプタを備える、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項23】
請求項22に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、さらに、
前記弁シャフトおよび前記シャフトアダプタの間で協働して、回転子固定子界面で前記遠位回転子面および前記近位固定子面の間に軸方向の圧縮圧力を生成し、それらの間での流体密の相対回転を可能にする圧力調整アセンブリを備える、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項24】
請求項23に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
前記圧力調整アセンブリは、前記シャフトアダプタと協働する遠位部分と、前記弁シャフトと協働する遠位部分とを有する圧縮バネを備える、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項25】
請求項23に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
前記弁シャフトは、内部に前記シャフトアダプタの前記近位部分が軸方向に滑りばめされるような寸法で形成された遠位収容部を規定する、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項26】
請求項23に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
前記シャフトアダプタの前記近位部分は、遠位内壁を有するバネ収容部を規定し、
前記圧力調整アセンブリは、前記シャフトアダプタが、軸方向に前記弁シャフト遠位収容部内に摺動可能に受け入れられた時に、前記弁シャフトの前記遠位収容部および前記シャフトアダプタの前記バネ収容部の両方の中に配置される圧縮バネを備え、前記回転子要素が前記近位固定子面に向かって付勢されることで、前記回転子固定子界面でそれらの間の流体密接触が形成される、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項27】
請求項22に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、さらに、
係合位置で前記アセンブリハウジングの前記内壁に係合し、着脱可能に前記固定子装置を着座状態に保持するよう構成されたキャップリテーナを備える、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項28】
請求項27に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
前記シャフトアダプタは略円筒形で第1の直径を有しており、前記シャフトアダプタは、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する環状遠位フランジ部を備え、
前記キャップリテーナは、前記シャフトアダプタが前記駆動アセンブリの前記弁シャフトと係合接触していない時に、前記回転子要素を前記固定子装置に当てて緩やかに保持するために、前記第1の直径を有する前記シャフトアダプタを回動可能に受けることを可能にしつつ、前記第2の直径を有する前記シャフトアダプタの前記環状遠位フランジ部が軸方向に通過するのを防ぐようなサイズのリテーナ直径を有する中央貫通路を規定する環状リング体を備える、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項29】
請求項28に記載のマイクロ流体弁アセンブリであって、
前記キャップリテーナは、前記リング体の周囲に放射状に離間され前記リング体から遠位方向に伸びる複数の保持レッグを備え、前記保持レッグは、前記回転軸の周りの選択的な相対回転を可能にするように、前記シャフトアダプタの前記環状遠位フランジ部および前記回転子要素の両方の周りに放射状に伸びるよう構成され、前記保持レッグの遠位端は、前記近位固定子面に接触して前記固定子装置を前記着座状態に保持するような大きさおよび寸法を有する、マイクロ流体弁アセンブリ。
【請求項30】
マイクロ流体弁システムであって、
アクチュエータハウジングおよび駆動アセンブリを有するマイクロ流体弁アクチュエータ装置と、
連通面と、前記マニホルド連通面で終了する連通ポートを各々有する複数の流体分配路とを有する流体分配マニホルドと、
POD装置と、
を備え、
前記POD装置は、
近位部分と、遠位取り付け端と、前記ハウジング遠位取り付け端の開口部から前記ハウジング近位部分まで伸びる内部中央通路を規定する内壁とを有するPODハウジングと、
前記内部中央通路内で着座位置に配置された固定子装置であって、前記固定子装置の遠位固定子面は、前記PODハウジング遠位取り付け端に実質的に隣接して配置され、前記遠位固定子面および前記PODハウジング開口部は集合的に、前記固定子装置が前記着座位置に配置された時にガスケット収容部を規定し、前記固定子装置は、さらに、前記遠位固定子面のそれぞれの連通ポートで終了する複数の固定子通路を規定する、固定子装置と、
近位ガスケット面および反対側の遠位ガスケット面を有する比較的薄いエラストマガスケット部材であって、前記近位ガスケット面および前記遠位固定子面を接触させた状態で前記ハウジングの前記ガスケット収容部に配置されるよう構成され、さらに、複数の独立した貫通孔を規定し、各貫通孔は、前記PODハウジングが前記分配マニホルドにしっかりと取り付けられた時に、圧縮状態で、前記遠位ガスケット面が前記マニホルド連通面に接触して、それぞれの固定子連通ポートと、対応するマニホルド連通ポートとの間に流体密シールを形成するように、戦略的に配置される、ガスケット部材と、
を備える、マイクロ流体弁システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2013−521442(P2013−521442A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555190(P2012−555190)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2011/026285
【国際公開番号】WO2011/106675
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512009528)アイデックス・ヘルス・アンド・サイエンス・リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】IDEX HEALTH & SCIENCE LLC
【Fターム(参考)】