説明

マイクロ流体装置のパッケージング

通路(16)によって試薬チャンバ(14)に接続された入口(12)を有するマイクロ流体装置(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、生物学的試料、たとえば血液、尿などの分析を実施するために使用することができるマイクロ流体装置に関する。特に、本発明は、そのような装置のための材料及びそれらの構造に関する。
【0002】
マイクロ流体装置は多くの特許及び特許出願の主題である。本発明のマイクロ流体装置の一般原理は米国特許出願第10/082,415号で論じられており、そのような装置のより具体的な特徴は他の出願の主題である。このようなマイクロ流体装置は、液体試料が通常は毛管力又は加えられる遠心力によって装置中を毛管通路に沿って移動するときその液体試料と接触する液体又は固体試薬を収容する非常に小さなチャンバを含む(ただし、液体を移動させる他の手段が開示されており、一部のマイクロ流体装置で使用することができる)。少量の液体試料が加えられたのち、所望の量の試料が計量されて、1個の以上のチャンバを通過し、チャンバ中で、後続の反応のために試料を準備する、又は試料中の分析対象物と反応して検出可能な応答、たとえば色の変化を生じさせる試薬と遭遇する。
【0003】
マイクロ流体装置は、患者に近い環境での試験に関して、乾燥試薬ストリップの使用に勝る多くの利点を有している。しかし、非常に少量の試料、たとえば約20マイクロリットル以下の試料しか使用しないことは、試料と装置の壁との相互作用がその性能にとってきわめて重大であることを意味する。試料は、装置中の空間をはじめに満たしていた空気がパージされると同時に所望の量で毛管及びチャンバの中を移動し、乾燥試薬と均一に接触しなければならない。このような問題は他の特許出願ででも考察されており、本明細書でさらに論じる必要はない。本発明は、マイクロ流体装置、特に液体又は固体試薬を含有し、使いやすさ及び貯蔵寿命が成功にとって重要であるマイクロ流体装置の実用に伴う問題に関する。
【0004】
マイクロ流体装置は、製造することはできても、使用されるときが来るまで試薬を装填されることはできない。このような方法には、活性の高い試薬が使用されることを保証するという利点がある。しかし、非常に少量の試薬を手作業でマイクロ流体装置に装填することは、高精度で実施することが困難であり、不正確な分析結果を招くおそれがある。したがって、本発明者らは、全機能マイクロ流体装置がその使用者によって好まれるであろうと考えた。すなわち、装置は、試薬を事前に装填され、最小限の準備だけですぐに使うことができるべきである。その際に、本明細書で取り扱う重要な課題が生じる。
【0005】
マイクロ流体装置は、それが所期の方法で機能することを妨げるおそれのある物質によって汚染されてはならないということは明白である。装置に装填されている試薬を保護することが特に重要である。いくつかのタイプの分析では、乾燥試薬だけが使用される。乾燥試薬は、おそらくは製造から数年後に使用されるときでも試薬が所期のとおりに作用して正確な結果を提供することを保証するため、周囲大気との反応による劣化から保護されなければならない。水分浸透に対する保護は特に重要である。
【0006】
他のチャンバでは、液体試薬、希釈剤、緩衝剤などをマイクロ流体装置に装填することができる。このような液体は、汚染ならびに溶媒及び水の損失による試薬濃度の変化から保護されなければならない。マイクロ流体装置の利点は、使用時まで試薬どうしを分けて維持することができる固有の能力があることである。したがって、液体試薬を、それらが装填されているチャンバから移動させないことも重要である。装置は小さく、試料及び試薬はマイクロリットルサイズであるため、許容しうる貯蔵寿命を有し、正確な結果を確実に提供しなければならないならば、装置のパッケージングが重要な考察事項であることは明白であろう。
【0007】
本発明者らは、これらの課題を考察した結果、以下の明細書で提示する解決手段を提案する。
【0008】
発明の概要
本発明は一般に、長期の貯蔵寿命を有するマイクロ流体装置に関する。乾燥試薬が適切なチャンバの中に配置され、その中で、汚染及び水分との接触による劣化から保護される。液体試薬などが、約100μL以下の有効容積を有するマイクロリザーバの中に配置され、マイクロ流体装置の中に封止されている。マイクロリザーバは、このような液体からの水分の逃散を装置の貯蔵寿命にわたって10%以下の率に制限することができる。いくつかの実施態様では、マイクロリザーバは、水分の逃散を所望のレベルに制限するのに十分な厚さの、低い水分透過率を有するプラスチックでできている。他の実施態様では、マイクロリザーバは、金属箔でできているか、金属化されたプラスチックフィルム又はプラスチック被覆された金属箔でできている。
【0009】
もう一つの態様で、本発明は、マイクロ流体装置を製造する方法であって、マイクロリザーバを、装置のベース中の所定の空所に配置し、所望の液体試薬で満たし、最後に装置の中に封止する方法である。装置を使用しなければならない場合、マイクロリザーバを開放すると、封止されていた空所が試薬で満たされるチャンバになり、それにより、その装置の目的であった分析法に利用可能になる。マイクロリザーバを開放するためには、マイクロリザーバの壁を穿孔すること又はマイクロリザーバ中に用意した弱い箇所を破裂させることを含む種々の方法を使用することができる。
【0010】
さらなる態様で、本発明は、マイクロ流体装置であって、装置を製造するために使用される材料が、装置に出入りする水分の透過を1日0.01mg/m2以下に抑えて装置の貯蔵寿命を延ばすものであるマイクロ流体装置である。水分に対して適当な低さの親和力を有するプラスチックが、水分透過を所望の量に制限することができる厚さで使用される。好ましい実施態様では、装置のベースは、少なくとも2mmの厚さを有するポリスチレンでできており、装置のトップカバーは、少なくとも0.1mmの厚さを有する箔又は少なくとも1mmの厚さを有するポリプロピレンでできている。トップカバーは、水分透過を制限することができる感圧接着剤でベースに接着されている。好ましい実施態様では、水分吸収剤を含めることにより、装置の水分含量が低い値に維持される。
【0011】
好ましい実施態様の説明
マイクロ流体装置の概説
マイクロ流体装置は「チップ」と呼ばれることもある。これらの装置は一般に小さく平坦であり、典型的には約1〜2インチ四方の正方形(25〜50mm四方の正方形)又は同様なサイズの円板(たとえば半径25〜120mm)である。マイクロ流体チップに供給される試料の量は通常、少なく、すなわち約0.3〜1.5μLである。試料液は、幅が10〜500μm、好ましくは20〜100μmの範囲である毛管通路によって相互接続された一連のチャンバを通過して移動する。通路の最小許容深さは、試料の性質によって決めることができる。たとえば、深さは、通常は少なくとも5μmであるが、全血が試料である場合、少なくとも20μmである。
【0012】
毛管及び試料溜めを形成することができるいくつかの方法、たとえば射出成形、レーザ融食、ダイヤモンド練磨又はエンボス加工があるが、高い忠実度で造作を複製しながらもコストを最小限にするためには、射出成形を使用することが好ましい。一般に、チップのベース部を切削又は成形して、チャンバ及び毛管の所望のネットワークになる空所を形成する。チップを完成させるためベースの上に上部が取り付けられる。
【0013】
呼称直径が約200μm未満である通路の場合、液体試料及び壁の界面エネルギーに対して毛管力が優勢である。壁が液体で湿潤している場合、液体は、外力を加えられることなく、通路を通って移動する。逆に、壁が液体で湿潤していない場合、液体は通路から退こうとする。これらの一般的傾向を利用して、液体を通路を介して移動させたり、異なる断面積を有する別の通路との接合部で動きを止めさせたりすることができる。液体が静止状態にあるならば、力、たとえば遠心力を加えることによって動かすことができる。あるいはまた、異なる断面積又は界面エネルギーを有する通路間の接合部で必要な圧力変動を導くことができる、空気圧、真空、電気浸透、吸収剤、さらなる毛管などをはじめとする他の手段を使用してもよい。通路が非常に小さい場合、毛管力が、毛管ストッパに打ち勝たなければならない短い期間を除いて、外力を要することなく、毛管力だけによって液体を動かすことを可能にする。しかし、より小さな通路は本来、生物学的試料又は試薬の中の粒子による閉塞を受ける可能性がより高い。その結果、通路壁の界面エネルギーは、試験される試料流体、たとえば血液、尿などとの使用に関する要求に応じて調節される。
【0014】
毛管通路は、液体試料又は試薬によって固体面に形成される接触角に関して定義される性質である、疎水性又は親水性のいずれかになるように調節される。通常、表面は、接触角が90°未満であるならば親水性とみなされ、接触角が90°よりも大きいならば疎水性とみなされる。好ましくは、プラズマ重合が通路表面で実施される。他の方法、たとえば親水性又は疎水性材料による被覆、グラフト又はコロナ処理を使用して、毛管壁の界面エネルギーを制御してもよい。所期の試料流体との使用に備えて、毛管壁の界面エネルギー、すなわち親水性又は疎水性の程度を調節してもよい。
【0015】
毛管路を通過する液体の移動は、その名が示すように液体が毛管を通過して流れることを防ぐ毛管ストッパによって防ぐことができる。疎水性の毛管ストッパは通常、疎水性の壁を有する小さめの通路である。小さなサイズと非湿潤性の壁との組み合わせが液体の浸入に対抗する表面張力を生じさせるため、液体は疎水性ストッパを通過することができない。試料チャンバ中の液体は、液体が対抗する表面張力に打ち勝ち、液体を疎水性通路に通過させるのに十分な力、たとえば遠心力が加えられるまでは、毛管に入ることを阻止される。
【0016】
また、毛管が親水性であるとしても親水性ストッパを使用することもできる。このようなストッパは毛管よりも幅広く、したがって、液体の表面張力が、液体の流れを促進する低めの力を生成する。毛管と幅広のストッパとの間の幅の変化が十分であるならば、液体は、毛管ストッパへの入口で停止する。液体がストッパの親水性壁に沿って進む場合でも、このストッパは効果的である。あるいはまた、親水性ストッパは、通路が急激に狭くなって、適切な力、たとえば遠心力が加えられるまで液体が狭い通路を通って流れないようになる結果であることもできる。
【0017】
試薬
マイクロ流体装置は多くの潜在的用途を有する。本発明者らにとって特に興味深いものは、研究室からの分析結果を待つことなく情報を速やかに得るために患者の近くで実施される医療試験である。したがって、医学的状態をより速やかに診断し、治療を開始することができる。そのような試験の多くは血液及び尿の試料に対して実施されるが、唾液、髄液、胃液、水、精液及び老廃物流をはじめとする他のタイプの試料も試験されている。吸収性材料の上に配置された乾燥試薬がそのような試験にしばしば使用されるが、これらの試薬には欠点がある。マイクロ流体装置は、装置の中で分けておくことができる液体試薬を使用することにより、理論上、これらの欠点を解消することができる。このような装置は、他の試薬とも接触しない乾燥試薬を含むことができる。しかし、新たな課題が生じ、それが本発明で解決される。
【0018】
本明細書で使用する「試薬」は、試料の成分と反応する物質及び後続の反応のために試料を準備する物質、たとえば希釈剤、緩衝剤などの両方を含むと理解されるべきである。生物学的試料は、試薬を接触させて試料中の分析対象物に対する所望の反応を提供する前に、前処理又はコンディショニング、たとえば、試料を緩衝液で洗浄する、又は液体溶媒と接触させるかして、DNA、タンパク質又は他の分析対象物を試料の残りから分離することを要するかもしれない。他の場合、試料を、試料中の干渉化合物を除去する、たとえば発色を妨害する無傷の赤血球を捕らえる試薬と接触させてもよい。他の前処理としては、試薬に対するその後続の反応を改善するための、分析対象物との予備的な反応、たとえば分析対象物に対する反応で生成されるシグナルの増幅を挙げることができる。他の前処理及びコンディショニング工程としては、媒介、活性化ならびに分光検出及び電気化学的検出で必要な他の反応を挙げることができる。液体試薬としては、たとえば、細胞溶解緩衝液、界面活性剤、生化学的物質、たとえば酵素、タンパク質、補因子及びプローブならびに粒子、たとえば標識、酵素、基質、金属又はポリマーの懸濁液がある。
【0019】
マイクロ流体装置が長い貯蔵寿命を有しなければならないならば、装置の外から浸入する水分又は液体試薬に含まれる水分によって乾燥試薬が劣化を受けてはならない。液体試薬が装置の壁を通して水分又は他の溶媒を失うならば、これらの液体の濃度は高まる。したがって、装置が長い貯蔵寿命を有し、所期のとおり作用しなければならないならば、マイクロ流体装置で使用するための設計及び材料選択が非常に重要である。いくつかのマイクロ流体装置では、乾燥試薬が使用される。これらは普通、基材、たとえば吸収性材料の上又は中に配置したのち乾燥させた液体試薬である。基材の例には、セルロース紙、ニトロセルロース、プラスチックフィルム、ポリマー被覆、膜、ガラス、多孔質プラスチック、ポリエステル類、繊維及び多孔質無機媒体が含まれる。マイクロ流体装置が乾燥試薬だけを含有するならば、水分を吸収することによって効能を失うおそれがあるため、使用の準備ができるまで乾燥試薬を乾燥状態に維持しておくことが重要である。したがって、マイクロ流体装置が数年の貯蔵寿命を有しなければならないならば、装置の構造は、水分の浸入を制限するような構造でなければならない。しかし、マイクロ流体装置が乾燥試薬及び液体試薬又はコンディショニング剤の両方を含有する場合、装置は、乾燥試薬の貯蔵寿命にとって問題を生じさせると同時に液体試薬及びコンディショニング剤に関する難題を呈しかねない水分を内部に含有する。
【0020】
水分透過の阻止
理論上、マイクロ流体装置は多くの材料で製造することができるが、実際には、いくつかの理由からプラスチック材料が好ましい。装置は一般に使い捨てであるため、コストがもっとも明白な理由である。成形による製造方法によりそのような小さな装置を複製することができるので、プラスチック材料は大量生産にも有用である。また、脆くなって貯蔵又は取り扱いの際に簡単に破損する可能性が低い。しかし、これらの利点すべてを考慮しても、プラスチック材料が普遍的に受け入れられるわけではない。試薬と相互作用するおそれもあるし、試薬との間で水分を受け渡すおそれもあるし、試料中の分析対象物に対する試薬の応答の正確な計測を妨害するおそれもある。
【0021】
プラスチック材料は、試料又は試薬と反応して正確な分析結果の取得を妨害する溶媒もしくは可塑剤又は他の化合物を含有してはならない。たとえば、極微量の溶媒、プラスチック又は一般に使用される離型剤が問題を生じさせることもあり、マイクロ流体装置で使用するためのプラスチック材料の選択においては避けるべきである。
【0022】
水分が乾燥試薬を損傷させたり、液体試薬の蒸発を許したりすることができるため、水分の透過が材料選択において特に重大な性質である。したがって、装置の寿命にわたって乾燥試薬1mgに対して水0.01mg以下しか加えられるべきではないため、材料は本質的に水蒸気を非常に低い速度でしか透過させないべきである。数年の貯蔵寿命を有すると予想されるマイクロ流体装置に両タイプの試薬が装填される場合、水分の移動が注意深く制御されなければならない。乾燥試薬は装置の有効寿命にわたって試薬1mgあたり水0.01mg以下しか受け取るべきではないため、水が装置の壁から浸入することを阻止しなければならない。また、水が液体試薬容器から移動することを阻止しなければならない。両方の目的の達成には、バリヤ材料の入念な選択を要する。一般に、プラスチックは、H2Oを1日0.01mg/m2以下しか透過させるべきではないが、多くのプラスチックは、非常に厚いプラスチック層が使用されない限り、この要件を満たすことはできない。
【0023】
多くのプラスチック、たとえばポリカーボネートは水を吸収し、保持する。比較的高い水分吸収を有する他のプラスチックとしては、ABS、アセタール類、アクリル樹脂、アクリロニトリル、酢酸セルロース、エチルセルロース、アルキルビニルアルコール類、ポリアリールエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリエーテルケトン類、メラミンホルムアルデヒド、フェノール(ホルムアルデヒド)樹脂、ポリアミド類(たとえばナイロン6、ナイロン66、ナイロン12)、ポリアミド−イミド、ポリジシクロペンタジエン、ポリエーテル−イミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリイミド類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフタルアミド、メチルメタクリレート、ポリウレタン類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類及びビニルホルマールがある。
【0024】
ポリスチレンは水分を吸収するが、ポリカーボネートよりもはるかに少ない水しか吸収しないため、マイクロ流体装置における使用には受け入れられると考えられている。ポリスチレンは、飽和すると、約0.01〜0.03%の水を保持する。類似した性質を有する他のプラスチック材料は、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリブチレン、エポキシ樹脂、Teflon(登録商標)、PET、PTFE及びクロロフルオロエチレン類、ポリフッ化ビニリデン、PE−TFE、PE−CTFE、液晶ポリマー、Mylar(登録商標)、ポリエステル、LDPE、HDPE、ポリメチルペンテン、ポリ硫化フェニレン、ポリオレフィン類、PVC及び塩素化PVCである。ガラス繊維は、プラスチックが水を保持する能力を下げるが、水蒸気の透過に大きくは影響しない。
【0025】
好ましいプラスチック材料でさえ水分をいくぶん透過させるため、選択される厚さは、所望のレベル、通常は1日約0.01g/m2までの水分の透過に抵抗するそのプラスチック固有の能力に基づく。また、プラスチック材料は、少量ではあるが影響のある量の水を保持するため、装置が低湿度環境に維持されるとしても、水が装置の中に移動することがある。したがって、吸湿剤、たとえばシリカゲル、塩又はモレキュラシーブを装置の中に配置して乾燥状態が維持されることを保証することが好ましい。
【0026】
液体試薬は、装置中の水の移動を防ぐバリヤ材料によって隔離して、蒸散又は蒸発による濃度の変化を避け、水分が乾燥試薬に達することを阻止しなければならない。したがって、容器として使用される材料の選択は、装置そのものの材料の選択よりも困難であるかもしれない。これは、装置が使用されるとき液体試薬を放出する必要性によって煩雑になる。
【0027】
大部分のマイクロ流体装置のプラスチックベースは、水分透過率を、装置の貯蔵寿命にわたって乾燥試薬1mgあたり加えられる水が0.01mg未満になるように維持するため、比較的厚く、たとえば約2〜8mmである。しかし、装置は通常、所望の造作をベース中に切削又は形成したのち、それらの造作が切削された面を比較的薄い層で覆って装置を完成させることによって製造される。この上層が、同じく装置の性能に影響するかもしれない接着剤で接着される。この上層を通過する水分透過が重要になることがある。しかし、計測される試料を導入するために上層を穿孔することが必要になるかもしれないため、あまり厚く作ることはできない。したがって、上層は、容易に穿孔するのに十分な薄さであるが、取り扱いに耐えると同時に水分損失又は浸入を制限するのに十分な強靱でなければならない。本発明者らは、特定のプラスチック材料がこれらの要件を満たすということを見いだした。好ましいものは、ポリプロピレン、ポリスチレン、PET、ポリオレフィン類、たとえば環式オレフィンコポリマー、COC、BCOP又はLCP、PCTFE、PVC、ならびに多層材料、たとえばPCTFE、PVC及びポリエステル類、ポリオレフィン類又はポリアミド類を伴うCPCもまた適切である。必ずしも同等な結果が得られるわけではないが使用することができる他の材料としては、ポリエチレン及びポリエステル類、たとえばMylar(登録商標)又はSCOがある。約30〜600μmの厚さが大部分のプラスチック材料に好ましい。好ましいポリプロピレンフィルムが使用される場合、厚さは、約150〜300μmであることができる。上層の水分透過率は、1日約0.007〜0.01g/m2、より一般的には1日0.02g/m2以下であるべきである。
【0028】
上層及び下層の両方に重要なもう一つの性質は、その光学透明度である。試料中の分析対象物の存在又は非存在に対する試薬の反応が色もしくは色の純度の変化又はエネルギーの放出率、吸収率、反射率もしくは透過率の変化として計測される場合、上層の計測点の上にかかる区域が計測を妨害すべきではない。たとえば、上層が薄い金属化プラスチックフィルムで作られるならば、そのような層は、容易に穿孔することができ、良好な水分バリヤになるであろうが、光学計測が実施される領域の上で使用することはできないであろう。運良く、水分バリヤとして薄いフィルムで許容することができ、穿孔可能である好ましいポリプロピレンフィルムは、特に厚さが増すとき、検出領域の上で使用するのに十分な光学透明度を有している。十分な光学透明度を有する他のプラスチック材料としては、ポリスチレン、PET、ポリエチレン、ポリオレフィン及びポリエステルがあるが、すべてが他の所望の性質において好ましいポリプロピレンほど満足なわけではない。
【0029】
上層が接着剤、すなわち、マイクロ流体装置の動作に影響することができるもう一つのポリマー材料の層でベースに固着されるならば、その接着剤が、接着剤が露出する層と層との間の縁を通して水分を入らせたり、放出したりすることができる。一般に、水分の流れを制限するため、装置の縁と、試薬を収容するチャンバの縁との間に少なくとも2mmが設けられるべきであると考えられる。通常、使用される接着剤のある部分が試料と接触し、また、接着剤の界面エネルギーが試料に作用する毛管力に影響するため、選択される接着剤は、供給されたままの状態で適当な界面エネルギーを有しなければならないか、そうでなければ、化学添加物による改質を要するかもしれない。接着剤の流動性、フィルム厚さ、塗布時間、塗布圧及び温度ならびに硬さの改変が必要であるかもしれない。アクリル系接着剤は、望ましい場合よりも高い速度で水分を透過させることがわかっているが、長期間にわたる良好な接着の保持、気泡を形成することのないよりきれいな封止、低い空気漏れ及び試薬とのより良好な適合性を含む他の性質に関して好ましい。必ずしもアクリル系接着剤と同等とはいえないが使用することができる他の接着剤には、シリコーン及びゴム系ならびに改質アクリル酸樹脂が含まれる。
【0030】
水分透過を制限するために有用な一つの材料は、消費者製品の包装で使用されるものに関連する金属化プラスチックフィルムである。このようなフィルムは、一方の側でシールを提供し、他方の側では金属の付着のための面を提供する第二のプラスチックとで同時押出しされるコアプラスチック、たとえばポリプロピレンを有することができる。アルミニウムが一般に、真空蒸着又は非常に薄い金属フィルムを残す他の方法によって被着される。他の金属、たとえば銅、銀及びクロムが金属被覆に関して提案されている。このような金属化フィルムの利点としては、低い水分透過率、たとえば1日0.001mg/m2及び比較的容易な剥離又は穿孔がある。本発明では、そのような金属化フィルムを使用してマイクロ流体装置の入口又は他の開口部、たとえば装置の使用中に空気が放出される通気孔を封止することが好ましい。もう一つの使用は、液体試薬又はコンディショニング剤を収容するために使用されるマイクロリザーバを封止することである。金属化フィルムはまた、本発明のいくつかの実施態様では、マイクロリザーバを形成するために使用することもできる。
【0031】
液体試薬の封入
多くの場合、液体試薬が必要であるため、蒸発による濃度の変化は重大な問題である。好ましくは、装置の寿命にわたって液体は10%以下しか逃散すべきではない。また、液体試薬は、装置が使用されるまで指定のチャンバからの移動を阻止されなければならない。これらの要件を満たす多くの可能な手段、たとえば、液体試薬を封入したのち、装置を使用しなければならないときに放出するやり方がある。封入を実施する場合にいくつかの実践的な考慮事項がある。まず、試薬の量を考慮しなければならない。約1〜100マイクロリットルしかないため、カプセルを破裂させることなく封入された試薬を取り扱い、装置中の正しい場所への配置することと同様に、適量をカプセルに封入することは困難である。そして、試薬は、分析を実施するために必要な量が装置中で利用可能なままでなければならないため、マイクロ流体装置が使用されるときのカプセルの開放が考慮事項である。試薬を正しいウェルに注入したのち上層を装置の上に配置して試薬が逃散するのを防ぐことが最良であると結論づけられるかもしれない。しかし、その場合、試薬が、試薬チャンバを上流側及び下流側のチャンバと接続する毛管通路の中を拡散又は移動することを防ぐために何らかの手段が設けられなければならない。そこで、装置が使用されるときに開かせることができる何らかのタイプの弁構造を考慮することができる。もう一つの可能性は、試薬にアクセスを提供する場合に加熱によって除去することができる何らかの材料、たとえば溶融性金属で毛管通路を塞ぐことである。もう一つの可能性は、試料が装置中を移動するとき試薬に作用する遠心力又は機械的力によって生じる応力によって開くことができる弱い箇所をバリヤ中に設けることである。
【0032】
マイクロ流体装置の有効貯蔵寿命にわたって液体試薬及びコンディショニング剤の活性を維持する課題に対する多くの可能な解決手段を考察したのち、本発明者らは、ここで論じた課題に対する比較的簡単な解決手段を見いだした。本発明者らは、装置中の適切なチャンバの一部として設けられた、又は装置中の適切なチャンバの中に設けられたマイクロリザーバに液体試薬を入れ、その試薬チャンバを、上面に対して封止することができる金属化プラスチックフィルムで保護することを提案する。マイクロリザーバがチャンバを満たすならば、試薬を完全に放出することは不可能なので、マイクロリザーバの形状は本発明の重要な側面である。したがって、マイクロリザーバは、下部に空隙を有して、試薬がカップから流れ出てチャンバに入るための空間を残す。一つの適当な設計が図2に示されている。典型的なマイクロ流体装置中の大部分のチャンバは丸いため、マイクロリザーバ20は略円柱形として示されているが、マイクロリザーバの形状は、それを受けるチャンバの形状に適合させることもできる。マイクロリザーバは、下部を穿孔して試薬を放出させることができるよう、テーパ状になっている。一般に使用される材料は、上記の上層の場合と同じ要件を満たすべきである。マイクロリザーバは、試薬に対して有害な作用を及ぼさず、試薬を放出させるために容易に穿孔するのに十分な薄さである。アルミニウム化プラスチックフィルムが好ましい材料であるが、溶融性金属のような他の材料、たとえばBi/In/Pb/Sn合金を使用してもよい。マイクロリザーバ20は、好ましくは、図1に示すマイクロ流体装置の断面図で見てとれるように、チャンバの縁に載ることができるよう、フランジ付き上部22を有する。
【0033】
図1は、本発明のマイクロ流体装置10を断面図で示す。この図では、1個の入口12だけが示され、1個の液体試薬チャンバ14が毛管通路16によって接続されている。本発明の他の装置では、構造はより複雑であり、より多数の毛管通路によって相互接続されたさらなるチャンバを含むということが理解されよう。チャンバは、液体が浸入するときそれを介して空気が除去される通気孔に接続される。これらの通気孔は、存在する少量の水分を除去するための吸着剤又は乾燥剤を含むことができる。装置のベース18は、好ましくは、使用中に起こる反応の視覚的結果の読みを可能にするのに十分な光学透明度を有し、比較的低い水分透過率を有するポリスチレンでできている。しかし、類似した性質を有する他の材料、たとえば上記のアルミニウム被覆フィルム及び必要な水分バリヤを提供するプラスチックを使用してもよい。図1に示す構造では、ベース18を切欠いて試料流体のための入口12及び入口チャンバ15を設けている。入口チャンバは、毛管通路16を介して試薬チャンバ14と連絡している。もし、試料液体がただちに試薬チャンバの中に進むならば、通路の壁は親水性であり、毛管力が液体を移動させる。あるいはまた、毛管ストッパを通路中に設けて、望みのときまで液体の移動を阻止してもよい。毛管ストッパには、遠心力を加えることによって打ち勝つことができるが、他の液体移動手段を使用してもよい。液体試薬は、それが使用されるところのチャンバから隔離されなければならない。これは、装置が使用されるまで水分の逃散を防ぐマイクロリザーバ20に試薬を入れることによって実施される。図1では、マイクロリザーバ20は、入口及び試薬チャンバを覆う上シート19の上に着座するフランジ付き上部22を有している。マイクロリザーバは、好ましくは、箔中の顕微鏡的大きさの穴が閉じていることを保証するため、金属化プラスチックフィルムでできている。アルミニウムが好ましい。比較的厚いプラスチックフィルムを使用することが可能であるが、液体試薬を放出させるときに穿孔するのがより困難である。装置が組み立てられたのち、類似した金属化プラスチックフィルム24が被着されて、入口15及び試薬チャンバ14を覆う。装置を使用するときには、箔カバー24を穿孔して試料液の導入を許し、試薬をそのチャンバ14中に放出させると、その中で、試薬は、試料が試薬チャンバに移されたのち、その試料と反応することができる。試薬チャンバの上でカバーを穿孔するのではなく、試薬チャンバにスリットを設ける、又はそれに圧力を加えて破裂させることによって液体を放出させてもよい。また、局所的な熱の適用によって融解させることができる溶融性金属を使用して液体試薬(又はコンディショニング剤)を放出させることも可能である。
【0034】
図3は、本発明のもう一つのマイクロ流体装置30を断面図で示す。ベース32が切欠かれて入口34、試薬チャンバ36及び検出チャンバ38を形成している。上部40は、入口34、試薬チャンバ36及び検出チャンバ38の上に開口部を有している。フランジ付き上部によって上層40から吊り下げられ、箔シール46で覆われて装置内で液体試薬を隔離する試薬マイクロリザーバ44を除き、接着層42がベース32又は上部40のいずれかに接着されて装置を完成させている。もう一つの箔シール46が入口34の上に被着されている。
【0035】
使用に際して、箔シール46に開口を形成したのち、試料を入口34に入れる。試料は、毛管48を通って試薬チャンバに入り、チャンバ36中で、マイクロリザーバ44から放出された試薬と反応する。反応した試料は毛管50を通過して検出チャンバ38に入る。上層40は透明なプラスチックでできており、反応の結果を検出チャンバ38から直接、上層40越しに読むことを可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一つの装置の断面図である。
【図2】封入された液体試薬の詳細を示す図である。
【図3】本発明の第二の装置の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試薬を収容するマイクロ流体装置を製造する方法であって、
(a)前記試薬からの水分の逃散を前記装置の貯蔵寿命にわたって10%未満に制限することができる少なくとも1個の、液体試薬のためのマイクロリザーバを形成するステップと、
(b)前記リザーバを前記装置中の所定の場所に配置するステップと、
(c)前記リザーバを前記試薬又はコンディショニング剤で満たすステップと、
(d)ステップ(c)で満たした前記リザーバを、前記試薬からの水分の逃散を1日あたり0.01g/m2未満に制限することができる接着性カバーで封止するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記マイクロリザーバが、少なくとも30μmの厚さを有するポリプロピレンでできている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロリザーバが金属化プラスチックフィルムでできている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記プラスチックフィルムがアルミニウムで金属化されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記接着性カバーが金属化プラスチックフィルムである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記プラスチックフィルムがアルミニウムで金属化されている、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記接着性カバーが金属箔である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記マイクロリザーバが100μL以下の稼動容積を有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記接着性カバーが溶融性金属を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
マイクロ流体装置中で液体試薬又はコンディショニング剤を保持するためのマイクロリザーバであって、100μL以下の稼動容積を有し、前記試薬からの水分の逃散をマイクロ流体装置の貯蔵寿命にわたって10%未満に制限することができるマイクロリザーバ。
【請求項11】
少なくとも30μmの厚さを有するポリプロピレンでできている、請求項10記載のマイクロリザーバ。
【請求項12】
プラスチックでできている、請求項10記載のマイクロリザーバ。
【請求項13】
金属化プラスチックフィルムでできている、請求項10記載のマイクロリザーバ。
【請求項14】
前記プラスチックフィルムがアルミニウムで金属化されている、請求項13記載のマイクロリザーバ。
【請求項15】
前記試薬又はコンディショニング剤からの水分の逃散を1日あたり0.01g/m2未満に制限することができる接着性カバーで封止されている、請求項10記載のマイクロリザーバ。
【請求項16】
前記接着性カバーが金属化プラスチックフィルムである、請求項15記載のマイクロリザーバ。
【請求項17】
前記接着性カバーが金属箔である、請求項15記載のマイクロリザーバ。
【請求項18】
前記プラスチックフィルムがアルミニウムで金属化されている、請求項16記載のマイクロリザーバ。
【請求項19】
前記接着性カバーが溶融性金属を含む、請求項15記載のマイクロリザーバ。
【請求項20】
生物学的試料の分析のための、長期の貯蔵寿命を有するマイクロ流体装置であって、
液体試薬又はコンディショニング剤を収容し、前記試薬又はコンディショニング剤からの水分の逃散を前記装置の貯蔵寿命にわたって10%未満に制限する少なくとも1個のマイクロリザーバを含むマイクロ流体装置。
【請求項21】
前記マイクロリザーバが、少なくとも30μmの厚さを有するポリプロピレンでできている、請求項20記載のマイクロ流体装置。
【請求項22】
前記マイクロリザーバが金属化プラスチックフィルムでできている、請求項20記載のマイクロ流体装置。
【請求項23】
前記プラスチックフィルムがアルミニウムで金属化されている、請求項22記載のマイクロ流体装置。
【請求項24】
前記マイクロリザーバが100μL以下の稼動容積を有する、請求項20記載のマイクロ流体装置。
【請求項25】
前記リザーバが、前記試薬又はコンディショニング剤からの水分の逃散を1日あたり0.01g/m2未満に制限することができる接着性カバーで封止されている、請求項20記載のマイクロ流体装置。
【請求項26】
前記接着性カバーが金属化プラスチックフィルムである、請求項25記載のマイクロ流体装置。
【請求項27】
前記プラスチックフィルムがアルミニウムで金属化されている、請求項26記載のマイクロ流体装置。
【請求項28】
前記接着性カバーが金属箔である、請求項25記載のマイクロ流体装置。
【請求項29】
前記接着性カバーが溶融性金属を含む、請求項28記載のマイクロ流体装置。
【請求項30】
生物学的試料の分析のための、長期の貯蔵寿命を有するマイクロ流体装置であって、
(a)毛管通路によって相互接続されたチャンバを含有するベース層と、
(b)前記チャンバ及び毛管通路の少なくともいくつかを取り囲むための、前記ベース層の上の上層と、
(c)前記ベース層及び前記上層が、水分の透過率を1日あたり0.01g/m2未満に制限することができるように、前記上層を前記ベース層に固着するための、前記ベース層と前記上層との間に配置された接着剤と、
(d)任意に、(b)の前記上層によって取り囲まれないチャンバの上に配置された接着性カバーと、
を含むマイクロ流体装置。
【請求項31】
前記ベース層が、ポリスチレン、ポリアルキレン、ポリオレフィン類、エポキシ樹脂、PTFE、PET、クロロ−フルオロエチレン類、ポリフッ化ビニリデン、PE−TFE、PE−CTFE、液晶ポリマー、ポリエステル、ポリメチルペンテン、ポリ硫化フェニレン及びPVCからなる群の少なくとも一つのメンバーである、請求項30記載のマイクロ流体装置。
【請求項32】
前記上層が、ポリプロピレン、PET、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレンならびにPCTFE、PVC及びポリエステル、ポリオレフィン又はポリアミドを伴うLPCを含む多層材料からなる群の少なくとも一つのメンバーである、請求項30記載のマイクロ流体装置。
【請求項33】
前記接着剤が、アクリル系、シリコーン及びゴム系ならびに改質アクリル酸樹脂からなる群の少なくとも一つのメンバーである、請求項30記載のマイクロ流体装置。
【請求項34】
前記接着性カバーが金属化プラスチックフィルムである、請求項30記載のマイクロ流体装置。
【請求項35】
前記プラスチックフィルムがアルミニウムで金属化されている、請求項34記載のマイクロ流体装置。
【請求項36】
前記接着性カバーが溶融性金属を含む、請求項30記載のマイクロ流体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−500850(P2007−500850A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532520(P2006−532520)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/013394
【国際公開番号】WO2004/105946
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】