説明

マイクロ流体装置の新規な材料として使用するための光硬化性ペルフルオロポリエーテル

耐溶媒性のあるマイクロ流体装置を作製する材料として、官能化された光硬化性ペルフルオロポリエーテルが用いられる。それらの耐溶媒性のあるマイクロ流体装置を用いて、有機溶媒などの少量の流体の流れを制御し、他のポリマー系マイクロ流体装置では追随できないマイクロスケールの化学反応を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2003年9月23日出願の米国特許仮出願番号第60/505,384号、および2003年11月21日出願の米国特許仮出願番号第60/524,788号の優先権を主張するものであり、各々をその全体を引用することにより本明細書に組み込んでいる。
【0002】
(技術分野)
耐溶媒性PFPE系マイクロ流体装置を製造するための、光硬化性ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料の使用、耐溶媒性のあるPFPE系マイクロ流体装置中に材料を流して化学反応を行う方法、および耐溶媒性のあるPFPE系マイクロ流体装置自体。
【0003】
(略語)
aL =アトリットル
℃ =摂氏温度
cm =センチメートル
cSt =センチストークス
DBTDA =ジブチルスズジアセテート
DMA =ジメタクリレート
DMPA =2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
DMTA =動的熱機械分析
EIM =2−イソシアネートエチルメタクリレート
fL =フェムトリットル
Freon113 =1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン
g =グラム
h =時間
Hz =ヘルツ
kHz =キロヘルツ
kPa =キロパスカル
MHz =メガヘルツ
min =分
mL =ミリリットル
mm =ミリメートル
mmol =ミリモル
mN =ミリニュートン
m.p. =融点
nL =ナノリットル
nm =ナノメートル
PDMS =ポリジメチルシロキサン
PFPE =ペルフルオロポリエーテル
pL =ピコリットル
psi =ポンド・平方インチ
s =秒
Tg =ガラス転移温度
μL =マイクロリットル
μm =マイクロメートル
UV =紫外線
W =ワット
ZDOL =ポリ(テトラフルオロエチレンオキシ−co−ジフルオロメチレンオキシド)α,ωジオール
【背景技術】
【0004】
(背景)
1990年代初期に開発されたマイクロ流体装置は、シリコンおよびガラスなどの硬質材料からフォトリソグラフィーおよびエッチング技術を用いて作製された。Ouellette, Jの論文、The Industrial Physicist 2003, August/September, 14-17、Sherer, Aらの論文、Science 2000, 290, 1536-1539を参照されたい。しかし、フォトリソグラフィーおよびエッチング技術は、コスト高であり、労働集約的であり、クリーンルームの条件を必要とし、材料の見地からいくつかの欠点を有する。これらの理由のため、マイクロ流体装置作製用の代替の材料として柔らかい材料が出現した。柔らかい材料の使用は、バルブ、ポンプ、混合器を含む装置の製造および作動を可能にした。例えば、Ouellette, Jの論文、The Industrial Physicist 2003, August/September, 14-17、Sherer, Aらの論文、Science 2000, 290, 1536-1539、Unger, M. A.らの論文、Science 2000, 288, 113-116、McDonald, J. C.らの論文、Acc. Chem. Res. 2002, 35, 491-499、Thorsen. T.らの論文、Science 2002, 298, 580-584を参照されたい。例えば、それらのマイクロ流体装置の1種は、機械的バルブを使用することなくオーバーフロー方向制御を可能にする。Zhao, B.らの論文、Science 2001, 291, 1023-1026を参照されたい。
【0005】
増加するマイクロ流体装置の複雑さは、急速に成長する多数の用途にそれらの装置を使用する需要を生んだ。この目的のために、柔らかい材料の使用はマイクロ流体を有用な技術に展開させ、ゲノムマッピング、急速分離、センサ、ナノスケール反応、インクジェット印刷、薬物送達、ラボオンチップ、インビトロ診断、インジェクションノズル、生物学的研究、薬剤スクリーニングに用途を見出した。例えば、Ouellette, Jの論文、The Industrial Physicist 2003, August/September, 14-17、Sherer, Aらの論文、Science 2000, 290, 1536-1539、Unger, M. A.らの論文、Science 2000, 288, 113-116、McDonald, J. C.らの論文、Acc. Chem. Res. 2002, 35, 491-499、Thorsen. T.らの論文、Science 2002, 298, 580-584、Liu, J.らの論文、Anal. Chem.2003, 75, 4718-4723を参照されたい。
【0006】
ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)は多くのマイクロ流体装置用途のために選択される柔らかい材料である。Sherer, Aらの論文、Science 2000, 290, 1536-1539、Unger, M. A.らの論文、Science 2000, 288, 113-116、McDonald, J. C.らの論文、Acc. Chem. Res. 2002, 35, 491-499、Thorsen. T.らの論文、Science 2002, 298, 580-584、Liu, J.らの論文、Anal. Chem.2003, 75, 4718-4723を参照されたい。PDMS材料はマイクロ流体用途に多くの魅力的な特性を提供する。架橋すると、PDMSは例えば約750kPaの低ヤング率を有する弾性材料になる。Unger, M. A.らの論文、Science 2000, 288, 113-116を参照されたい。この特性はPDMSに表面への整合性と可逆的な封止の形成を可能にする。さらに、PDMSは例えば約20erg/cmの低い表面エネルギーを有し、パターン形成後、金型からのその取り外しを容易にする。Sherer, Aらの論文、Science 2000, 290, 1536-1539、McDonald, J. C.らの論文、Acc. Chem. Res. 2002, 35, 491-499を参照されたい。
【0007】
PDMSの他の重要な特徴は高いガス透過性である。この特性はマイクロ流体装置のチャンネル内のガス気泡を装置の外へ透過させる。また、この特性は、マイクロ流体装置のフィーチャー(feature)内部の細胞や微生物を保持するのに有用である。また、PDMSなど、シリコンの非毒性の性質はこの点で有益であり、医療移植の領域に好機を与える。McDonald, J. C.らの論文、Acc. Chem. Res. 2002, 35, 491-499。
【0008】
多くの現在のPDMSマイクロ流体装置は、Sylgard(登録商標)184(Dow Corning, Midland, Michigan, United States of America)に基づく。Sylgard(登録商標)184は、白金触媒作用のヒドロシリル化反応によって熱的に硬化される。Sylgard(登録商標)184の完全な硬化は5時間ほどかかることがある。しかし、Sylgard(登録商標)184に類似した機械的特性を有する、ソフトリソグラフィーに使用される光硬化性PDMS材料の合成が、最近報告された。Choi, K. M.らの論文、J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 1060-4061を参照されたい。
【0009】
前述の利点にもかかわらず、PDMSはそれが大部分の有機溶媒中で膨潤するというマイクロ流体用途における欠点を有する。したがって、PDMS系マイクロ流体装置は、様々な有機溶媒との適合性が限られている。Lee, J. N.らの論文、Anal. Chem.2003, 75, 6544-6554を参照されたい。PDMSを膨潤させる有機溶媒の中には、ヘキサン、エチルエーテル、トルエン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル(hexane, ethyl ether, toluene, dichloromethane, acetone, and acetonitrile)がある。Lee, J. N.らの論文、Anal. Chem.2003, 75, 6544-6554を参照されたい。PDMSマイクロ流体装置の有機溶媒による膨潤は、そのミクロン規模のフィーチャー、例えばチャンネル(channel)または複数のチャンネルを破壊し、チャンネルを通る有機溶媒の流れを制限し、または完全に遮断することがある。したがって、PDMS系装置でのマイクロ流体用途は、水など、PDMSを膨潤させない流体の使用に限定される。その結果、有機溶媒を用いることの必要な用途には、ガラスやシリコンなど硬質材料から作製されたマイクロ流体システムを使用することが必要となろう。Lee, J. N.らの論文、Anal. Chem.2003, 75, 6544-6554を参照されたい。しかし、この手法は硬質材料からマイクロ流体装置を作製するという欠点によって制約を受ける。
【0010】
さらに、PDMS系装置および材料は、水性系化学薬品の中でさえ、使用するのに十分不活性ではないということは周知である。例えば、PDMSは弱酸および強酸と塩基の反応に敏感である。また、PDMS系装置は、特に酸および塩基に露出された後、抽出可能物、特に抽出可能なオリゴマーおよび環状シロキサンを含むことは周知である。PDMSは容易に有機物によって膨潤するので、水にわずかに可溶性の疎水性材料さえ、PDMS系マイクロ流体装置の作製に用いられるPDMS系材料の中に割込むことがある。
【0011】
したがって、通常の有機溶媒中への膨潤抵抗性とともにPDMSの魅力的な機械的特性を示す弾性材料は、現在のPDMS系装置では達成できない様々な新しい化学的用途へマイクロ流体装置の使用を拡大するであろう。したがって、本明細書に開示される主題によって示される手法は、弾性材料、さらに詳細には、通常の有機溶媒中でマイクロ流体装置の作製において膨潤抵抗性のある、光硬化性ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料を用いる。
【0012】
光硬化性PFPE材料は、独特な種類のフルオロポリマーを表し、室温で液体であり、低表面エネルギー、低モジュラス、高ガス透過性、低毒性を示し、加えて極めて化学的抵抗性のある特徴を有する。Scheirs, J.らの論文、Modern Fluoropolymers; John Wiley & Sons, Ltd.: New York, 1997; pp 435-485を参照されたい。さらに、PFPE材料は疎水性と疎液性の特性を示す。この理由のため、PFPE材料は、厳しい条件下の高性能機械運転の潤滑剤としてしばしば用いられる。PFPE材料の合成および超臨界二酸化炭素への溶解性が報告された。Bunyard, W.らの論文、Macromolecules 1999, 32, 8224-8226を参照されたい。
【0013】
本明細書に開示される主題は、耐溶媒性のあるマイクロ流体装置の作製用材料としての光硬化性ペルフルオロポリエーテルの使用を説明する。マイクロ流体装置作製用材料としての光硬化性ペルフルオロポリエーテルの使用は、PDMSなど他のポリマー材料から作られたマイクロ流体装置が示す、有機溶媒中の膨潤に伴う問題に対処する。したがって、PFPE系マイクロ流体装置は、有機溶媒など小容積の流体の流れを制御し、他のポリマーのマイクロ流体装置では追随できないマイクロスケールの化学反応を実施するのに用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
マイクロ流体装置の新規な材料として使用するための光硬化性ペルフルオロポリエーテルを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(要旨)
本明細書に開示される主題は、耐溶媒性のあるマイクロ流体装置の作製用の光硬化性PFPE材料の使用を説明する。さらに詳細には、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、光硬化性PFPE材料のパターン層の形成方法を説明する。いくつかの実施形態において、方法は、エッチングされたシリコンウェハ(silicone wafer)などの基板をペルフルオロポリエーテル前駆体でコーティングし、ペルフルオロポリエーテル前駆体を光硬化して、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を形成することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、多層にパターン形成光硬化ペルフルオロポリエーテル材料の形成方法を説明する。いくつかの実施形態において、方法は、光硬化ペルフルオロポリエーテルの第1パターン層を光硬化ペルフルオロポリエーテルの第2パターン層の上に積み重ねるステップと、光硬化ペルフルオロポリエーテルの第1層と第2層のパターンを所定の配列に配列するステップと、次いで光硬化ペルフルオロポリエーテルの第1層と第2層を所定時間UV放射に露出するステップとを含む。この硬化ステップによって2層は互いに接着し、それによって2層の光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層の間に封止を作る。
【0017】
いくつかの実施形態において、多層にパターン形成ペルフルオロポリエーテル構造は、複数のマイクロスケールのチャンネルを含み、さらにマイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を通して材料を流す方法を説明する。いくつかの実施形態において、材料を流す方法はマイクロスケールチャンネル内のバルブ構造を作動させるステップを含む。いくつかの実施形態において、材料を流す方法は側部の作動バルブ構造を含む。いくつかの実施形態において、材料を流す方法は異なる形状と寸法の流れチャンネルを含む。いくつかの実施形態において、材料を流す方法は、複数のバルブ構造を同時に作動させてマイクロスケールチャンネルの多重網目構造を通る流れを制御することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題はマイクロ流体装置中で化学反応を行う方法を説明し、方法は、第1試薬と第2試薬をマイクロ流体装置中で接触させて反応生成物を形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、第1試薬と第2試薬はヌクレオチドとポリヌクレオチド(a nucleotide and a polynucleotide)の1種から独立に選択され、反応生成物はポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはDNAである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、マイクロ流体装置を集積化された反応系または流れ系の中に組み込む方法を説明する。
【0019】
さらに、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題はサンプルの特性スクリーニング方法を説明する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は材料の分配方法を説明する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は材料の分離方法を説明する。
【0020】
上で述べた本明細書に開示される主題のある目的は、本明細書に開示される主題において全体的にまたは部分的に取り扱われるが、以下に最善に記述される添付の図面と実施例と共に説明が進行すれば、他の態様および目的は明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(詳細な説明)
ここで、添付の図面と、代表的実施形態が示される実施例を参照して、以降本明細書に開示される主題をさらに詳細に説明する。しかし、本明細書に開示される主題は、他の形態で実施することができ、本明細書に記載された実施形態に制限されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全であり、当業者に実施形態の範囲を完全に伝えるように提供される。
【0022】
特に定義されないかぎり、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本明細書に開示される主題が属する分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に述べられるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体を参照して本明細書に組み込まれている。
【0023】
明細書および請求項を通じて、与えられた化学式または名称は、すべての光学異性体、立体異性体、ならびにそれらの異性体および混合物が存在するラセミ体混合物を包含するものである。
【0024】
(I.定義)
本明細書に用いられる用語「マイクロ流体装置(microfluidic device)」は、一般に、いくつかのマイクロスケールの実施形態において、およびいくつかのナノスケールの実施形態において、材料、特に液体などの流動性材料がそこを通って移動することのできる装置を指す。したがって、本明細書に開示される主題によって説明されるマイクロ流体装置は、マイクロスケールのフィーチャー、ナノスケールのフィーチャー、およびその組合せを含むことができる。
【0025】
したがって、マイクロ流体装置は、典型的にミリメートル規模またはそれ以下の程度の寸法の構造的または機能的フィーチャーを含み、マイクロリットル/分またはそれ以下の程度の流量を操作することが可能である。典型的に、それらのフィーチャーはチャンネル、流体貯蔵器、反応室、混合室、および分離領域を含むが制限されない。いくつかの実施例において、チャンネルは、約0.1μm〜約500μmの範囲の少なくとも1個の断面寸法を含む。この程度の寸法を使用することによって、より小さな面積中により多くのチャンネルを組み込み、より少量の流体を使用することが可能になる。
【0026】
マイクロ流体装置は、単独で存在することも、または、例えば、制限することなく、例えばサンプル、薬剤、緩衝剤等の流体を系におよび/または系を通して導入するためのポンプ、検出装置または系、データ収納系、および流体移動および/または装置内の方向を制御し、装置中の流体に加えられる例えば温度、電流等の環境条件を監視し制御するための制御系を含むことのできるマイクロ流体系の一部とすることもできる。
【0027】
本明細書に用いられる用語「チャンネル(channel)」、「マイクロスケールチャンネル(microscale channel)」、および「マイクロ流体チャンネル(microfluidic channel)」は、互換的に用いられ、パターン基板から材料中に付与することによって、または任意の適切な材料除去技術によって、材料中に形成された窪みまたは空洞を意味することができ、または、管、毛細管等の窪みまたは空洞中に取り付けられた任意の適切な流体伝導構造と組み合わせた窪みまたは空洞を意味することができる。
【0028】
本明細書に用いられる用語「流れチャンネル(flow channel)」および「制御チャンネル(control channel)」は、互換的に用いられ、材料、例えばガスまたは液体などの材料が通過することのできるマイクロ流体装置中のチャンネルを意味することができる。さらに詳細には、用語「流れチャンネル(flow channel)」は、対象の材料、例えば溶媒または化学試薬が通過することのできるチャンネルを指す。さらに、用語「制御チャンネル(control channel)」は、材料、例えばガスまたは液体などの材料がバルブまたはポンプを作動するように通過することのできる流れチャンネルを指す。
【0029】
本明細書に用いられる用語「バルブ」は、特記ないかぎり、2個のチャンネルが弾性体部分、例えばPFPE部分によって分離され、他のチャンネル、例えば制御チャンネルに加えられた作動力に応答して、チャンネルの1つ、例えば流れチャンネルへ偏向し、またはチャンネルの1つから格納することができる構成を指す。
【0030】
本明細書に用いられる用語「パターン」は、チャンネル、またはマイクロ流体チャンネルまたはマイクロ流体チャンネルの集積化された網目構造を意味することができ、いくつかの実施形態において、所定の点で交差することができる。また、パターンは、1個または複数のマイクロスケールの流体貯蔵器、マイクロスケールの反応室、マイクロスケールの混合室、およびマイクロスケールの分離領域を含むことができる。
【0031】
本明細書に用いられる用語「交差する(intersect)」は、一点で交わること、一点で交わり通り抜け、または横断すること、一点で交わり重なり合うことを意味することができる。さらに詳細には、本明細書に用いられる用語「交差する(interesect)」は、2個のチャンネルが一点で交わる実施形態、一点で交わり通り抜け、または互いに横断する実施形態、または一点で交わり互いに重なり合う実施形態を説明する。したがって、いくつかの実施形態において、2個のチャンネルは交差することができる、すなわち、一点で交わり、または一点で交わり互いに通り抜けること、および互いに流体が連通することができる。いくつかの実施形態において、流れチャンネルと制御チャンネルが交差する場合などのように、2個のチャンネルは交差することができる、すなわち、一点で交わり互いに重なり合い、互いに流体連通しない。
【0032】
本明細書に用いられる用語「連通する(communicate)」(例えば、第1成分が第2成分と「連通する」または「連通している」)、およびその文法的な変形は、2種またはそれ以上の成分または要素の間の構造的な、機能的な、機械的な、電気的な、光学的な、または流体的な関係、または任意のその組合せを指すために用いられる。このように、1つの成分が第2成分に連通しているということは、第1と第2成分の間に追加の成分が存在し、および/または動作的に関連しまたは連動することのできる可能性を除外するものではない。
【0033】
流体の含有物または動きを取り扱うためにマイクロ流体装置の使用を指すとき、装置の「中の(in)」、「上の(on)」、「中に(into)」、「上に(onto)」「通って(through)」、および「横断して(cross)」という用語は一般に等しい意味を有する。
本明細書に用いられる用語「モノリシック(monolithic)」は、単一の均一な構造を含む、または単一の均一な構造として働く構造を指す。
【0034】
本明細書に用いられる用語「非生体有機材料(non-biological organic materials)」は、有機材料、すなわち炭素−炭素共有結合を有する生物学的材料以外の化合物を指す。本明細書に用いられる用語「生物学的材料」は、核酸ポリマー(例えば、DNA、RNA)、アミノ酸ポリマー(例えば、酵素)、および小さい有機化合物(例えば、ステロイド、ホルモン)を含み、小さな有機化合物は生物学的活性、特に人間またはペットや家畜などの市場に多い動物用の生物学的活性を有し、小さな有機化合物は主として治療または診断の目的に用いられる。生物学的材料は医薬および生物学的技術の用途に関して関心がもたれるが、用途の多数は、生物学的材料以外のもの、すなわち非生体有機材料によって高められる化学的工程を含む。
【0035】
長期にわたる特許法会議に従って、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」、は、請求項を含んで本明細書に用いられるとき、「1つまたはそれ以上の」を指す。したがって、例えば、「1つのマイクロ流体チャンネル(a microfluidic channel)」の参照は、複数個のそれらのマイクロ流体チャンネルを含む。
【0036】
(II.光硬化性ペルフルオロポリエーテル材料からのマイクロ流体装置の製造方法)
本明細書に開示される主題は、光硬化性ペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料からのマイクロ流体装置の製造方法を説明する。さらに詳細には、本明細書に開示される主題は、光硬化性PFPE材料のパターン層の形成方法を説明する。また、少なくとも1層の光硬化性PFPE材料のパターン層を含むマイクロ流体装置も開示される。
【0037】
(II.A.光硬化性ペルフルオロポリエーテル材料のパターン層の形成方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、光硬化性PFPE材料のパターン層の形成方法を提供する。ここで、図1A〜1Cを参照すれば、本明細書に開示される主題の実施形態の概要図が示される。隆起した突起Pを含むパターン表面PSを有する基板Sが描かれる。したがって、基板Sのパターン表面PSは、パターンの形状を形成する少なくとも1個の隆起した突起Pを含む。いくつかの実施形態において、基板Sのパターン表面PSは、複雑なパターンを形成する複数の隆起した突起Pを含む。
【0038】
図1Bに最善に見られるように、ポリマー前駆体PPは基板Sのパターン表面PSに配置される。ポリマー前駆体PPはペルフルオロポリエーテルを含むことができる。図1Bに示すように、紫外光UVを加えてポリマー前駆体PPの光硬化を提供する。ポリマー前駆体PPが硬化すると、図1Cに示すように光硬化されたペルフルオロポリエーテルのパターン層PLが形成される。
【0039】
図1Cに示すように、光硬化されたペルフルオロポリエーテルのパターン層PLは、パターン層PLの底部表面に形成される窪みRを含む。窪みRの寸法は基板Sのパターン表面PSの隆起した突起Pの寸法に一致する。いくつかの実施形態において、窪みRは、少なくとも1個のチャンネルCHを含み、本明細書に開示される主題のいくつかの実施形態においてマイクロスケールのチャンネルを含む。パターン層PLは、基板Sのパターン表面PSから除去されてマイクロ流体装置MDが生成される。
【0040】
したがって、いくつかの実施形態において、光硬化されたペルフルオロポリエーテルのパターン層の形成方法は、
(a)パターン表面を含む基板を提供するステップと、
(b)ペルフルオロポリエーテル前駆体を基板のパターン表面に接触させるステップと、
(c)ペルフルオロポリエーテル前駆体を光硬化して光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を形成するステップとを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層の形成方法は、
(a)基板のパターン表面にペルフルオロポリエーテル前駆体と光開始剤の混合物をコーティングして、コーティングされたパターン基板を形成するステップと、
(b)コーティングされたパターン基板を所定時間紫外線に露出して、パターン基板上に光硬化ペルフルオロポリエーテルの層を形成するステップと、
(c)光硬化ペルフルオロポリエーテルの層をパターン基板から除去して、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を作製するステップとを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、パターン基板はエッチングされたシリコンウェハを含む。いくつかの実施形態において、パターン基板はフォトレジストのパターン基板を含む。本明細書に開示される主題の目的のために、パターン基板は、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー、およびイオン研磨を含む当技術分野に知られた任意の加工方法によって作製することができるが制限されない。
【0043】
いくつかの実施形態において、コーティングステップはスピンコーティングステップを含む。いくつかの実施形態において、ペルフルオロポリエーテル前駆体はポリ(テトラフルオロエチレンオキシド−コ−ジフルオロメチレンオキシド)α,ωジオールを含む。いくつかの実施形態において、光開始剤は2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを含む。いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルはペルフルオロポリエーテルジメタクリレートを含む。いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルはジスチレン系ペルフルオロポリエーテルを含む。
【0044】
当業者であれば理解するように、ペルフルオロポリエーテル(PFPE)は25年以上にわたり多くの用途に使用されてきた。市販のPFPE材料は、過フッ化モノマーの重合によって製造される。この種類の第1メンバーはヘキサフルオロプロペンオキシド(HFPO)のフッ化セシウム触媒作用重合によって製造され、Krytox(登録商標)(DuPont, Wilmington, Delaware, United states of America)と呼ばれる一連の分岐ポリマーを生成する。類似のポリマーは、ヘキサフルオロプロペン(Fomblin(登録商標)Y)(Solvay Solexis, Brussels, Belgium)のUV触媒作用の光−酸化によって製造される。さらに、直鎖ポリマー(Fomblin(登録商標)Z)(Solvay)は類似の工程によって調製されるが、テトラフルオロエチレンを用いる。最終的に、第4のポリマー(Demnum(登録商標))(Daikin Industries, Ltd., Osaka, Japan)はテトラフルオロオキセタンの重合に続く直接フッ素化によって製造される。これらの流体の構造は表Iに示される。表IIはいくつかのPFPEの種類の潤滑剤の特性データを含む。これらの市場で入手可能なPFPE流体に加えて、新しい一連の構造が直接フッ素化技術によって調製されている。これらの新しいPFPE材料の代表的な構造は表IIIに示される。上述のPFPE流体の中で、Krytox(登録商標)とFomblin(登録商標)Zのみが広く用途に使用された。参照により本明細書に組み込まれている、Jones, W. R., Jr.、「宇宙用途に用いられたペルフルオロポリエーテルの特性」(The Properties of Perfluoropolyethers Used for Space Applications)、NASA Technical Memorundum106275(July 1993)を参照されたい。したがって、それらのPFPE材料の使用は本明細書に開示される主題の中で提供される。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
いくつかの実施形態において、紫外線は約365ナノメートルの波長を有する。いくつかの実施形態において、パターン形成されコーティングされた基板が紫外線に露出される時間は、約1秒〜約300秒の範囲である。いくつかの実施形態において、パターン形成されコーティングされた基板が紫外線に露出される時間は、約1秒〜約100秒の範囲である。いくつかの実施形態において、パターン形成されコーティングされた基板が紫外線に露出される時間は、約6秒間である。いくつかの実施形態において、パターン形成されコーティングされた基板が紫外線に露出される時間は、約60秒である。
【0049】
いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層は、約0.1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層は、約0.1マイクロメートル〜約10マイクロメートルの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層は、約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層は、約20マイクロメートルの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層は、約5マイクロメートルの厚さである。
【0050】
いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層は複数のマイクロスケールのチャンネルを含む。いくつかの実施形態において、チャンネルは、約0.01μm〜約1000μmの範囲の幅、約0.05μm〜約1000μmの範囲の幅、および/または約1μm〜約1000μmの範囲の幅を有する。いくつかの実施形態において、チャンネルは約1μm〜約500μmの範囲の幅、約1μm〜約250μmの範囲の幅、および/または約10μm〜約200μmの範囲の幅を有する。例示的チャンネル幅は、0.1μm、1μm、2μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、及び250μmであるが制限されない。
【0051】
いくつかの実施形態において、チャンネルは、約1μm〜約1000μmの範囲の深さ、および/または約1μm〜約100μmの範囲の深さを有する。いくつかの実施形態において、チャンネルは、約0.01μm〜約1000μmの範囲の深さ、約0.05μm〜約500μmの範囲の深さ、約0.2μm〜約250μmの範囲の深さ、約1μm〜約100μmの範囲の深さ、約2μm〜約20μmの範囲の深さ、および/または約5μm〜約10μmの範囲の深さを有する。例示的チャンネル深さは、0.01μm、0.02μm、0.05μm、0.1μm、0.2μm、0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、7.5μm、10μm、12.5μm、15μm、17.5μm、20μm、22.5μm、25μm、30μm、40μm、50μm、75μm、100μm、150μm、200μm、及び250μmであるが制限されない。
【0052】
いくつかの実施形態において、チャンネルは、約0.1:1〜約100:1の範囲の幅対深さ比を有する。いくつかの実施形態において、チャンネルは、約1:1〜約50:1の範囲の幅対深さ比を有する。いくつかの実施形態において、チャンネルは、約2:1〜約20:1の範囲の幅対深さ比を有する。いくつかの実施形態において、チャンネルは、約3:1〜約15:1の範囲の幅対深さ比を有する。いくつかの実施形態において、チャンネルは、約10:1の幅対深さ比を有する。
【0053】
当業者であれば、本明細書に開示される主題のチャンネルの寸法は上述の例示的範囲に制限されず、幅と深さは、チャンネルを通して材料を流し、および/またはバルブを作動させてその中の材料の流れを制御するために必要な大きさの力が作用するように変化できることを理解するであろう。さらに、以下にさらに詳細に述べるように、より大きな幅を有するチャンネルは、流体貯蔵器、反応室、混合チャンネル、分離領域等としての使用が考えられる。
【0054】
(II.B.多層にパターン形成光硬化性ペルフルオロポリエーテル材料の形成方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、多層にパターン形成光硬化性ペルフルオロポリエーテル材料の形成方法を説明する。いくつかの実施形態において、多層にパターン形成光硬化性ペルフルオロポリエーテル材料は、モノリシック系マイクロ流体装置の製造に用いられる。
【0055】
ここで、図2A〜2Dを参照すれば、本明細書に開示される主題の実施形態の調製の概要が図示されている。パターン層PL1とPL2が提供され、各々ペルフルオロポリエーテル材料を含む。この実施例において、パターン層PL1とPL2の各々はチャンネルCHを含む。本明細書に開示される主題の本実施形態において、チャンネルCHはマイクロスケールのチャンネルである。パターン層PL1において、図2A〜2C中チャンネルは点線、すなわち斜線中の点線で示される。パターン層PL2は、所定の配列にパターン層PL1と重ね合わせられる。この実施例において、所定の配列は、パターン層PL1とPL2中のチャンネルCHが実質上互いに垂直であるようになっている。いくつかの実施形態において、図2A〜2Dに描かれたように、パターン層PL1は非パターン層NPL上に重ね合わせられる。非パターン層NPLはペルフルオロポリエーテルを含むことができる。
【0056】
図2A〜2Dの参照を続ければ、パターン層PL1とPL2、およびいくつかの実施形態において、非パターン層NPLは紫外光UVに露出される。層PL1とPL2、およびいくつかの実施形態において非パターン層NPLを紫外光UVに露出することは、図2Cおよび2Dに示されるように、パターン層PL1とPL2の互いの接着、およびいくつかの実施形態においてパターン層PL1と非パターン層NPLの接着を提供する。得られるマイクロ流体装置MDは、図2Dの断面で最善に見えるように、所定の交差点IPで交差するマイクロスケールチャンネルCHの集積化された網目構造INを含む。また、パターン層PL1のチャンネルCHの上部表面を含む膜Mが図2Dに示されており、パターン層PL1のチャンネルCHからパターン層PL2のチャンネルCHを分離する。
【0057】
図2A〜2Dの参照を続ければ、いくつかの実施形態において、パターン層PL2は複数の孔を含み、孔は入口開口IAおよび出口開口OAで示される。いくつかの実施形態において、孔、例えば入口開口IAおよび出口開口OAはチャンネルCHと流体連通している。いくつかの実施形態において、図5Aおよび5Bに示されるように、および以下でより詳細に論じるように、孔はPFPE材料の薄い膜を含む側部作動バルブ構造を含み、隣接するチャンネル中の流れを制限するように作動することができる。
【0058】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、多層にパターン形成光硬化ペルフルオロポリエーテル材料の形成方法を説明し、方法は、
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルの第1層を光硬化ペルフルオロポリエーテルの第2層に重ね合わせ、光硬化ペルフルオロポリエーテルの第1層と第2層のパターンが所定の配列に配列されること、
(b)光硬化ペルフルオロポリエーテルの第1層と第2層を紫外線に所定時間露出することを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、光硬化PFPEの第1のパターン層はPFPE構造にある程度の機械的安定性を与える厚さに鋳造される。したがって、いくつかの実施形態において、光硬化PFPE材料の第1のパターン層は約50μm〜数センチメートルの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化PFPE材料の第1のパターン層は約50μm〜10ミリメートルの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化PFPE材料の第1のパターン層は5mmの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化PFPE材料の第1のパターン層は約4mmの厚さである。さらに、いくつかの実施形態において、光硬化PFPE材料の第1のパターン層の厚さは、約0.1μm〜約10cmの範囲、約1μm〜約5cmの範囲、約10μm〜約2cmの範囲、約100μm〜約10mmの範囲である。
【0060】
いくつかの実施形態において、光硬化PFPE材料の第2のパターン層は約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化PFPE材料の第2のパターン層は約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルの厚さである。いくつかの実施形態において、光硬化PFPE材料の第2のパターン層は約20マイクロメートルの厚さである。
【0061】
図2A〜2Cおよび図13は、PFPE材料の2層にパターン層が組み合わされたマイクロ流体装置の形成を開示するが、本明細書に開示される主題のいくつかの実施形態において、PFPE材料の1層のパターン層と1層の非パターン層を含むマイクロ流体装置を形成することが可能である。したがって、第1のパターン層は、マイクロスケールのチャンネルまたはマイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含むことができ、次いで第1のパターン層を非パターン層の上に積み重ね、本明細書に開示したように、紫外光を加える光硬化ステップを用いて非パターン層に接着し、その中に収容されたチャンネルを含むモノリシック構造を形成することができる。
【0062】
したがって、いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテル材料の第1と第2のパターン層、または代りに、光硬化ペルフルオロポリエーテル材料の第1のパターン層と光硬化ペルフルオロポリエーテル材料の第2の非パターン層が互いに接着し、それによってモノリシックPFPE系マイクロ流体装置を形成する。
【0063】
(III.PFPE系マイクロ流体装置を通して材料の流れを導く方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、PFPE系マイクロ流体装置を通して材料の流れを導く方法を説明する。いくつかの実施形態において、PFPE系マイクロ流体装置を通して材料の流れを導く方法は、マイクロ流体装置内のバルブ構造または複数のバルブ構造を作動させることを含む。いくつかの実施形態において、バルブ構造はマイクロ流体チャンネル自体の一部を含む。いくつかの実施形態において、バルブ構造は側部作動バルブをさらに含む。
【0064】
(III.A.PFPE系マイクロ流体装置内のバルブ構造の作動方法)
いくつかの実施形態において、PFPE系マイクロ流体装置内のバルブ構造の作動方法は、隣接する第2流れチャンネル(または「制御チャンネル」)に圧力を加えることによって第1流れチャンネルを閉じ、それによって2個のチャンネルを分離するPFPE材料の薄い膜を第1流れチャンネルに偏向させることを含む。図3Aおよび3Bは共に、第2流れチャンネルに圧力を加えることによる第1の流れチャンネルの閉鎖を示す。ここで、図3Aを参照すれば、平坦な非パターン形成PFPE層312に接着した多層にパターン形成PFPE材料310を含む、モノリシックPFPE系マイクロ流体装置300の前面断面図が示される。第1流れチャンネル320および第2流れチャンネル322は膜314によって分離され、第1流れチャンネル320の頂部と第2流れチャンネル322の底部を形成する。図3Aに描かれたように、流れチャンネル320は開放している。
【0065】
ここで図3Bを参照すれば、流れチャンネル322の加圧(その中に導入されたガスまたは流体のいずれかによる)は膜314を下方へ偏向させ、それによって図3Aに示すようにチャンネル320を通過する流れFを制限する。したがって、チャンネル322中の圧力を変化させることによって、流れチャンネル320が、必要に応じて膜314を偏向させることによって、実質上開放または実質上閉鎖され、または中間の開放または閉鎖位置になることができるような、作動可能なバルブ系が提供される。例示の目的のためのみに、図3B中に、「完全に閉じた」位置ではなく、「実質上閉鎖された」位置のチャンネル320が示される。
【0066】
いくつかの実施形態において、重なり合うチャンネル320と322を分離するPFPE材料の膜314は、約0.01μm〜1000μm、約0.05μm〜500μm、0.2μm〜250μm、1μm〜100μm、2μm〜50μm、5μm〜40μmの厚さを有する。膜の例示的厚さは、0.01μm、0.02μm、0.03μm、0.05μm、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.5μm、1μm、2μm、3μm、5μm、7.5μm、10μm、12.5μm、15μm、17.5μm、20μm、22.5μm、25μm、30μm、40μm、50μm、75μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、500μm、750μm、及び1000μmであるが制限されない。
【0067】
それらのバルブはチャンネル自体の一部を動かすこと(すなわち、膜314の偏向)によって作動し、追加の部品を必要としないので、本技術によって製造されたバルブおよびポンプはデッドボリュームがゼロであり、本技術によって作られた切換えバルブはバルブの活性容積に略等しいデッドボリューム、例えば、約100μm×100μm×10μm=100pLである。膜の動きによって消費されるそれらのデッドボリュームおよび面積は、既知の従来のマイクロバルブよりも2倍小さい。本明細書に開示される主題には、1aL〜1μL、100aL〜100nL、1fL〜1nL、100fL〜1nL、1pL〜100pLの範囲のデッドボリュームを含むバルブを含んで、より小さい、およびより大きなバルブが提供されるが制限されない。
【0068】
本明細書に開示される主題によるポンプおよびバルブによって送達することのできる流体などの小容量の材料は、当技術分野に知られたポンプおよびバルブよりも大きな利点を示す。例えば、手動で計量することの可能な、既知の最小の流体容量は、0.1μLである。さらに、自動化された系で計量することの可能な、既知の最小の流体容量は、約1μLである。本明細書に開示される主題によるポンプおよびバルブを用いて、10nLまたはそれ以下の流体容量を計量し、分配することができる。本明細書に開示される主題によって可能となる極めて小容量の流体を正確に計量することは、DNAなどのマイクロスケールの生物学的材料の合成、および診断試験および分析を含んで、多くの生物学的用途に非常に価値がある。
【0069】
その全体を参照して本明細書に組み込まれているUngerらの米国特許第6,408,878号に記載されたように、圧力に応答する弾性膜の偏向は、膜の長さ、幅、および厚さ、例えばヤングモジュラスで与えられる膜の可撓性、および加えられた作動力の関数である。これらの因子の各々は、特定の弾性体装置、例えば、本明細書に開示される主題によるPFPE装置の寸法および物理的組成物に応じて変化するので、広範囲の膜厚さ、チャンネル幅、作動力が提供される。
【0070】
皮下配管、例えば、金属性皮下注射針など配管の狭い第2部分に接続された配管の第1部分を通して流体または空気などのガスを通過させることによって圧力を加え、装置の膜を作動させることができ、金属製皮下注射針は、流れチャンネルに垂直な方向にPFPEブロックに挿入することによって流れチャンネルに接触して配置される。
【0071】
したがって、いくつかの実施形態において、PFPE系マイクロ流体装置の作動方法は、光硬化ペルフルオロポリエーテル材料の少なくとも1層のパターン層中に複数の孔を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、図2Aに示すように、複数の孔の少なくとも1個は入口開口IAを含む。いくつかの実施形態において、図2Aに示すように、複数の孔の少なくとも1個は出口開口OAを含む。
【0072】
さらに、それらの実施形態は、従来のマイクロ流体装置を外部の流体源に接続することによる多くの問題を対処する。それらの問題の1つは、マイクロ流体装置と外部流体源の間の接続の脆弱さである。従来のマイクロ流体装置は、シリコンなどの硬質の非可撓性材料を含み、そこに、外部要素への接続を提供する配管を連結しなければならない。従来材料の剛性は外部配管との接触点に物理的歪みを形成し、従来のマイクロ流体装置はこれらの接触点で破壊と漏洩を招きやすくなる。
【0073】
対照的に、本明細書に開示される主題のPFPE材料は可撓性があり、金属製皮下注射針など、硬質材料を含む剛性のある管を外部接続のために貫通させることができる。例えば、図1および2に示した方法を用いて作製されたPFPE構造において、構造の外部表面から流れチャンネルに展延する孔は、図2A〜2Cに示すように、PFPE材料の上部層を金型から除去した後(図1Cに示される)、およびこの層をPFPE材料の第2のパターン層に接合する前(図2A〜2Cに示される)に、PFPE材料のパターン層の外部表面を金属製皮下注射針で貫通することによって作ることができる。
【0074】
これらのステップの間に、流れチャンネルの一部は使用者の目に露出され、皮下注射針の挿入および適切な穴の配置のためにアクセスが可能である。装置作製の完了に続いて、金属製皮下注射針は穴の中に挿入され、外部流体源との流体接続が完了する。さらに、本明細書に開示される主題のPFPE材料は外部接続との接触点で物理的歪みに応答して撓み、外部の物理的接続をより堅牢にする。この可撓性は、本明細書に開示されるマイクロ流体装置の漏洩または破壊の可能性を実質上低減する。
【0075】
従来のマイクロ流体装置の他の欠点は、装置とその外部流体流れの接続間の効果的な封止を確立することの困難さである。これらのマイクロ流体装置の典型であるチャンネルの小さな直径のため、緩やかな流体流量を達成することにさえ高い圧力を必要とすることがある。したがって、装置と外部接続の間の接触点に望ましくない漏洩が起こり得る。本明細書に説明されるマイクロ流体装置が作製されるPFPE材料の可撓性は、高い入力圧力に係わる漏洩の防止を助ける。さらに詳細には、可撓性PFPE材料は挿入された配管の形状に整合し、実質上圧力に抵抗性のある封止を形成する。
【0076】
装置を通る材料の流れの制御は、これまで加えられたガス圧力を用いて説明したが、他の流体を用いることができる。ガスは圧縮性があり、したがって、例えば外部ソレノイドバルブによる圧力の印加と、マイクロ流体装置の流れチャンネルを分離している膜がこの圧力を受ける時間の間にはいくらか有限の遅れがある。したがって、本明細書に開示される主題のいくつかの実施形態において、圧力は外部源から水または油圧オイルなどの非圧縮性流体に加えられ、瞬間に近い膜への印加圧力が伝達される。膜の変位容積が大きければ、または流れチャンネルが狭ければ、制御流体のより高い粘度は作動の遅れに寄与し得る。したがって、圧力伝達の最適媒体は特定の用途および装置形態に依存するであろう。したがって、偏向可能な膜を作動するために、ガスおよび流体媒体の両方を使用することが、本明細書に開示される主題によって提供される。
【0077】
いくつかの実施形態において、外部圧力は圧力制御器および外部バルブを経由してポンプとタンク系によって加えられる。当業者であれば理解するように、外部圧力を加える他の方法は、ガスタンク、圧縮機、ピストン系、および液体の円柱を含み、本明細書に開示される主題によって提供される。また、血圧、胃部圧力、脳脊髄流体中に存在する圧力、眼球内に存在する圧力、通常の屈曲の間に筋肉によって働く圧力を含み、生物組織体内部に見出されるものなど、自然に発生する圧力源は、本明細書に開示される主題に用いるために提供される。微小バルブ、ポンプ、巨視的な蠕動ポンプ、ピンチバルブ(pinch valves)、および当技術分野に知られたものなど、他の種類の流体制御装置を含んで、外部圧力を制御する他の方法が、本明細書に開示される主題によって提供される。
【0078】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題によるマイクロ流体バルブの応答は、実質上その移動範囲部分にわたって線形に近く、ヒステリシスは最小である。その全体を参照して本明細書に組み込まれているUngerらの米国特許第6,408,878号を参照されたい。したがって、本明細書に開示される主題によるバルブは、マイクロ流体の計量および流体制御に理想的に適している。
【0079】
本明細書に開示される主題によるバルブおよびポンプは、開閉に線形の作動を必要としないが、線形の応答はバルブを計量装置として使用することを容易にする。いくつかの実施形態において、バルブの開きを用いて、判明している程度閉鎖を部分的に作動させることによって、流量を制御する。また、線形のバルブ作動は、バルブを望ましい程度閉鎖するのに必要な作動力量の決定が容易になる。線形作動の他の利点は、バルブ作動に必要な力が流れチャンネル中の圧力から決定できることである。したがって、作動が線形であれば、流れチャンネル中の圧力増加は、同じ圧力(単位面積あたりの力)をバルブの作動部分に加えることによって打ち消すことができる。したがって、流れチャンネル中の高い圧力(すなわち背圧)は作動圧力を増加することによって打ち消すことができる。
【0080】
バルブの応答の線形性は、構造、組成物、およびバルブ構造の作動方法に依存する。さらに、線形性がバルブの望ましい特性であるかどうかは用途による。したがって、本明細書に開示される主題には線形性と非線形性の両方に作動可能なバルブが提供され、バルブが線形作動可能な圧力範囲は、特定の実施形態で変動する。
【0081】
また、上述の圧力に基づく作動系に加えて、静電気作動および磁性作動系も本明細書に開示される主題によって提供される。例えば、静電気作動は、反対に荷電した電極(これは電位差がそれらに印加されるとき、互いを引き付ける傾向がある)をモノリシックPFPE構造に直接形成することによって達成することができる。再び図3Aを参照すれば、第1電極330A(仮想線で示される)は膜314の上(または中)に配置することができ、第2電極330B(やはり仮想線で示される)は平坦な非パターン形成PFPE層312の上(または中)に配置することができる。電極330Aと330Bが反対の極性に荷電されるとき、2つの電極間の引力は膜314を下方に偏向させ、それによって流れチャンネル320を閉じるであろう。
【0082】
膜電極が静電作動を支持するのに十分伝導性であるが、膜の動きを妨げる機械的な剛性がないようにするために、十分な可撓性の電極は膜314の上または中に提供しなければならない。それらの十分可撓性のある電極は、膜314の上に薄い金属化層を堆積し、伝導性材料でポリマーをドープし、または表面層を伝導性材料で作製することによって提供することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、偏向する膜に存在する電極は、薄い金属化層によって提供され、例えば、20nmの金などの薄層のスパッタリングによって提供することができる。スパッタリングによる金属化膜の形成に加えて、化学的エピタキシー、蒸着、電気めっき、および無電解めっきなどの他の金属化手段も可能である。例えば、平坦な基板上に接着性の低い金属を蒸着し、次いで弾性体を金属上に置き、金属を基板から剥離することによって、弾性体表面へ金属層を物理的に転写することも可能である。
【0084】
また、伝導性電極330Aは、カーボンブラック(例えばVulcan(登録商標)XC72R、Cabot Croporation, Boston, Massachusetts, United States of America)を弾性体表面上に堆積することによって形成することができる。代りに、電極330Aは、伝導性材料(すなわち、カーボンブラックまたは微細に分割した金属粒子)をドープした弾性体から、全体の構造300を作ることによって形成することができる。また、電極は、静電気堆積またはカーボンを生成する化学反応によって形成することができる。
【0085】
動くことが必要のない下部電極330Bは、上述の弾性電極または蒸着金、金属プレート、またはドープされた半導体電極など、従来の電極とすることができる。
いくつかの実施形態において、流れチャンネルの磁性作動は、流れチャンネルを分離する膜を鉄などの磁性的に分極可能な材料、または分極したNdFeBなど永久磁性材料で作製することによって達成することができる。
【0086】
膜が磁性分極材料で作製される実施形態において、膜は、加えられた磁界に応答する引力によって作動することができる。膜が永久磁性を維持できる材料で作製される実施形態において、材料は最初にかなり大きな磁界に露出することによって磁化し、次いで加えられた不均一な磁界の極性に応答する引力または反発力によって作動することができる。
【0087】
膜の作動を起させる磁界は、様々な方法で発生することができる。いくつかの実施形態において、磁界は弾性体膜中またはその近くに形成された小さな誘導コイルによって発生される。それらの磁性コイルの作動効果は局在化され、それによって個々のポンプおよび/またはバルブ構造の作動が可能になる。いくつかの実施形態において、磁界はより大きな、より強力な源によって発生され、その場合、作動は局在化されず、複数のポンプおよび/またはバルブ構造を同時に作動することができる。
【0088】
圧力作動を静電気または磁性作動と組み合わせることもさらに可能である。さらに詳細には、窪みおよび/またはチャンネルと流体連通しているベローズ(bellows)構造は、静電気的または磁性的に作動して窪みおよび/またはチャンネル中の圧力を変化させ、それによって窪みおよび/またはチャンネルに隣接する膜構造を作動することができよう。
【0089】
上述の電気的または磁性的作動に加えて、電解質的および動電学的な系も本明細書に開示される主題によって提供される。例えば、いくつかの実施形態において、膜への作動圧力は、膜と重なり合う窪みおよび/またはチャンネル中の電解質反応から生じる。それらの実施形態において、窪みおよび/またはチャンネル中に存在する電極は窪みおよび/またはチャンネル中の電解質に電圧を印加する。電位差は電極で電気化学的反応を起させ、ガス化学種の発生をもたらし、窪みおよび/またはチャンネル中に圧力差を生じさせる。
【0090】
いくつかの実施形態において、膜上の作動圧力は制御チャンネル中の動電学的流体流れから生じる。それらの実施形態において、制御チャンネルの反対側端部に存在する電極は制御チャンネル中に存在する電解質に電位差を印加する。電解質中の荷電した化学種のそれぞれの電極への移動は、圧力差を生じさせる。
いくつかの実施形態において、制御チャンネル中に、熱エネルギーの印加に基づく、熱膨張または液体からのガスの生成のいずれかによる流体の流れを起させることによって、装置を作動することが可能である。同様に、ガス状生成物を発生する化学反応は、膜作動のために十分な圧力増加を生成することができる。
【0091】
(III.B.異なる断面サイズおよび形状の流れチャンネルを含むPFPE系マイクロ流体装置内のバルブ構造を作動させる方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、異なる断面サイズと形状を含む流れチャンネルを説明し、それらの所望の用途に応じて、異なる利点、特に流れチャンネルの封止に関する利点を提供する。例えば、下部の流れチャンネルの断面形状は、その全体の長さに沿って、または上部横断チャンネルの下部に配置された領域中のいずれかに、湾曲した上部表面を有することができる。
【0092】
ここで図4Aを参照すれば、流れチャンネル320および322の図3Aのそれと類似の断面図が示される。この実施形態において、流れチャンネル320は断面形状が矩形である。いくつかの実施形態において、図4Bに示したように、流れチャンネル320の断面は32Aで描くように湾曲した上部表面を有する。
【0093】
再び図4Aを参照すれば、流れチャンネル322が加圧されると、流れチャンネル320と322を分離する膜部分314は、点線314A、314B、314C、314Dおよび314Eで示した連続的な位置に下方へ動くであろう。いくつかの場合に、矩形の流れチャンネル320と隣接する平坦なパターン形成されないPFPE層312の端部で、封止が不完全になることがある。
【0094】
再び図4Bを参照すれば、流れチャンネル320Aは湾曲した上部表面314Aを有する。流れチャンネル322が加圧されると、膜部分314は点線314A2、314A3、314A4および314A5で示した連続的な位置に下方へ動き、膜の縁部部分が最初に流れチャンネルの中へ動き、続いて頂部膜部分が動く。膜314の表面にそれらの湾曲した上部表面を有する利点は、流れチャンネル322が加圧されたときより完全な封止が提供されるであろうことである。さらに詳細には、流れチャンネル320Aの上部表面は、パターン形成されないPFPE層312に対して連続的な接触縁部を提供し、それによって、図4の膜314と流れチャンネル320の底部の間に見られる接触が不完全になることを防止する。
【0095】
膜314の表面にそれらの湾曲した上部表面を有することの他の利点は、作動に応答して膜が流れチャンネルの形状と容積により容易に整合できることである。さらに詳細には、矩形流れチャンネルが使用されるとき、外辺部全体(2×流れチャンネル高さ+流れチャンネル幅)が流れチャンネルの中に押し込まれる必要がある。湾曲した流れチャンネルが使用されるとき、材料のより小さな外辺部(半円アーチ部のみ)がチャンネル内に入り込めばよい。このようにして、膜は作動のためにより少ない外辺部の変化を必要とし、したがって、流れチャンネルを閉じるために加えられる作動力に対してより応答性がある。
いくつかの実施形態(図示されない)において、流れチャンネル320の底部は、上述の図4Bに示したように、その湾曲した表面が湾曲した上部表面314Aに噛合うように丸められる。
【0096】
要約すれば、作動の際に膜に生じる実際の整合的な変化は、特定のPFPE構造の形状に依存するであろう。さらに詳細には、整合的な変化は膜の長さ、幅、厚さのプロファイル、その構造の残部への付着、流れチャンネルおよび制御チャンネルの高さ、幅、形状、および使用されるPFPE材料の材料特性に依存するであろう。また、加えられた圧力に応答する膜の作動が磁力または静電気力に応答する作動とはいくらか変化するので、整合的な変化は作動の方法に依存することもある。
【0097】
さらに、所望の膜の整合的変化は、PFPE構造に対する特定の用途によっても変化するであろう。上述の実施形態において、バルブの閉鎖程度を制御する計量に応じて、バルブは開くことも閉じることもできる。
本明細書に開示される主題によって、矩形、台形、円形、楕円形、放物線形、双曲線形、多角形、ならびに前述の形状の部分を含む、多くの膜厚さプロファイルおよび流れチャンネル断面が提供される。また、直前に論じた、突起を有する実施形態、または流れチャンネル中に窪みを含む実施形態などのさらに複雑な断面形状も本明細書に開示される主題によって提供される。
【0098】
(III.C.側部作動バルブ構造の作動方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は側部作動バルブ構造を含む。ここで、図5Aおよび5Bを参照すれば、図5Aは作動位置にない側部バルブ構造500を示す。流れチャンネル510はPFPE層502中に形成される。また、流れチャンネル510に隣接する制御チャンネル512もPFPE層502中に形成される。いくつかの実施形態において、制御チャンネル512は、例えば、上述したように皮下注射針でPFPE層を穿孔することによって形成された「孔」を含む。制御チャンネル512は、PFPE膜部分504によって流れチャンネル510から分離される。第2PFPE層(示されない)は、例えば光硬化によって底部PFPE層502の上に接合され、流れチャンネル510および制御チャンネル512を封入する。
【0099】
図5Bは作動位置にある側部作動バルブ構造500を示す。制御チャンネル512内の圧力、または他の作動技術に応答して、膜504は流れチャンネル510中に変形し、流れチャンネル510を閉鎖する。制御チャンネル512内の圧力が開放されると、膜504は制御チャンネル512中に緩んで戻り、流れチャンネル510を開く。
【0100】
圧力に応答して作動する側部作動バルブ構造は、図5Aおよび5Bに示されるが、本明細書に開示される主題による側部作動バルブはこの構成に制限されない。いくつかの実施形態において、隣接する流れチャンネルおよび制御チャンネルの間に配置されたPFPE膜部分は、上述のように、電界または磁界によって操作される。
【0101】
(III.D.PFPE系マイクロ流体装置を含むマイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造の作動方法)
いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテル材料の第1層および第2層を予め配列することによって、複数のマイクロスケールチャンネルが形成される。いくつかの実施形態において、複数のマイクロスケールチャンネルはマイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む。いくつかの実施形態において、集積化された網目構造のマイクロスケールチャンネルは所定の交差点で交差する。
【0102】
ここで、図6Aおよび6Bを参照すれば、単一制御チャンネルで制御可能な複数の流れチャンネルの概要図が示される。この系は複数の互いに多重化された単一のアドレス可能なオン/オフバルブから構成される。さらに詳細には、複数の平行な流れチャンネル320A、320Bおよび320Cが提供される。流れチャンネル322(すなわち「制御線」)は流れチャンネル320A、320Bおよび320Cを通過する。制御線322の加圧は、制御線322と流れチャンネル320A、320Bおよび320Cの交差点に配置された膜314A、314Bおよび314Cを押し下げることによって、流れF1、F2およびF3を同時に閉鎖する。
【0103】
ここで、図7を参照すれば、選択されたチャンネルを通る流体の流れを可能にするように適用され、複数の単一オン/オフバルブから構成され、互いに結合または網目構造化された多重化系の概要図が示される。複数の平行な流れチャンネル320A、320C、320D、320Eおよび320Fは、複数の平行な制御線322A、322B、322Cおよび322Dの下部に配置される。上述のバルブ系に以下の修正を加えた任意のものを用いて、制御線322A、322B、322Cおよび322Dを作動し、平行な流れチャンネル320A、320C、320D、320Eおよび320Fを通って流れる流体の流れF1、F2、F3、F4、F5およびF6を遮断する。
【0104】
それぞれの流れチャンネルを、その上を通過する制御線から分離する、膜(例えば、図6Aおよび6B中の膜314A、314Bおよび314C)の下方向への偏向は、膜の寸法に依存する。したがって、図6Aおよび6B中の流れチャンネル制御線322の幅を変化させることによって、制御線に複数の流れチャンネルの上を通過させながら、所望の流れチャンネルのみを作動する(すなわち閉鎖)ことが可能である。制御線322A、322B、322Cおよび322Dには各々広い部分と狭い部分の両方がある。例えば、制御線322Aは流れチャンネル320A、320Cおよび320Eの上に配置された位置で広い。同様に、制御線322Bは流れチャンネル320B、320Dおよび320Fの上に配置された位置で広く、制御線322Cは、流れチャンネル320A、320B、320Eおよび320Fの上に配置された位置で広い。
【0105】
それぞれの制御線が広くなる位置で、その加圧は流れチャンネルと制御線(図6Bに示すように)を分離する膜314を大きく流れチャンネル中に押し込み、それによってそこを通る流れ通路を閉鎖する。逆に、制御線が狭い位置では、膜314も狭い。したがって、同じ程度の加圧は流れチャンネル320中へ膜314を押し込まない。したがって、その下部の流体通路は閉鎖されない。
【0106】
例えば、制御線322Aが加圧されるとき、それはそれぞれチャンネル320A、320Cおよび320E中の流れF1、F3およびF5を閉鎖する。同様に、制御線322Cが加圧されるとき、それはそれぞれチャンネル320A、320B、320Eおよび320F中の流れF1、F2、F5およびF6を閉鎖する。当業者であれば本開示を検討すれば理解するように、1個以上の制御線を同時に作動することができる。例えば、制御線322Aおよび322Cを同時に加圧して、F4以外のすべての流体流れを閉鎖する(制御線322AがF1、F3およびF5を閉鎖し、制御線322CはF1、F2、F5およびF6を閉鎖する)ことができる。
【0107】
異なる制御線322A〜Dを一緒におよび様々な順序の両方で選択的に加圧することによって、流体流れ制御の程度が得られる。さらに、本系を6個以上の平行な流れチャンネル320A〜F、および4個以上の平行な制御線322A〜Dに拡大することによって、および制御線の広い領域と狭い領域の位置を変えることによって、複雑な流体流れ制御系を作製することができる。
【0108】
(IV.PFPE系マイクロ流体装置の使用方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、PFPE系マイクロ流体装置中に材料を流し、および/または化学反応を行う方法を説明する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、DNAなどの生物ポリマーの合成方法を説明する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、特性のためのサンプルのスクリーニング方法を説明する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、材料の分配方法を開示する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、材料の分離方法を開示する。
【0109】
(IV.A.PFPE系マイクロ流体装置中に材料を流し、および/または化学反応を行う方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、PFPE系マイクロ流体装置中に材料を流し、および/または化学反応を行う方法を説明する。ここで、図8を参照すれば、本明細書に開示される主題のマイクロ流体装置の概要平面図が示される。マイクロ流体装置は全体が800で示される。マイクロ流体装置800は、パターン層802、および複数の孔810A、810B、810Cおよび810Dを含む。これらの孔は、入口開口810A、入口開口810Bおよび入口開口810C、および出口開口810Dとしてさらに説明することができる。開口810A、810B、810Cおよび810Dの各々は、封止820A、820B、820Cおよび820Dで被覆され、これは可逆的な封止であることが好ましい。封止820A、820B、820Cおよび820Dが提供されるので、溶媒、化学試薬、生物系の成分、サンプル、インク、反応生成物、および/または溶媒、化学試薬、生物系の成分、サンプル、インク、反応生成物、およびその組合せの混合物を含むが制限されない材料を貯蔵し、輸送し、または、望むならばマイクロ流体装置中に保持することができる。封止820A、820B、820Cおよび820Dは可逆的、すなわち除去可能とすることができるので、マイクロ流体装置800を化学反応または他の使用に実施し、次いで望むならば再封止することができる。
【0110】
図8の参照を続ければ、いくつかの実施形態において、開口810A、810Bおよび810Cは、開口に付随するマイクロ流体チャンネルを封止するために作動することのできる圧力作動バルブ(交差し、重ね合わされた流れチャンネル、図示されていない)をさらに含む。
【0111】
図8の参照を続ければ、マイクロ流体装置800のパターン層802は、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造830を含む。したがって、集積化された網目構造830は、831、832、833、834、835、936、837、838、839および840の参照文字で示される流体的に接続された一連のマイクロスケールチャンネルを含む。したがって、入口開口810Aは開口810Aから離れて展延するマイクロスケールチャンネル831と流体連通しており、マイクロスケールチャンネル832と折り曲げ部を経由して流体連通している。図8に描かれた集積化された網目構造830において、便宜上一連の90°の折り曲げ部が示される。しかし、集積化された網目構造830のチャンネル中に提供される通路および折り曲げ部は、任意の望ましい形状、角度、または他の特性を含むことができることに注目すべきである。実際に、貯蔵器850Aおよび850Bは、望むならば、それぞれマイクロスケールチャンネル831、832、833および834に沿って提供することができる。図8に示すように、流体貯蔵器850Aおよび850Bは、それらにすぐ隣接するチャンネルの寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法を含む。
【0112】
次に、図8の参照を続ければ、マイクロスケールチャンネル832および834は交差点860Aで交差し、単一のマイクロスケールチャンネル835中へ進む。マイクロスケールチャンネル835は、図8に示される実施形態において、マイクロスケールチャンネル835よりも広い寸法の室870へ進む。いくつかの実施形態において、室870は反応室を含む。いくつかの実施形態において、室870は混合室を含む。いくつかの実施形態において、室870は分離領域を含む。いくつかの実施形態において、分離領域はチャンネルの所与の寸法、例えば、長さを含み、材料は、電荷、または質量、またはその組合せ、または任意の他の物理的特性によって分離され、分離は所与の寸法にわたって行うことができる。いくつかの実施形態において、分離領域は活性材料880を含む。当業者であれば理解するように、用語「活性材料」は本明細書において便宜的に用いられ、材料がその意図された目的に使用するために活性化されなければならないことを意味しない。いくつかの実施形態において、活性材料はクロマトグラフィー材料である。いくつかの実施形態において、活性材料は標的材料である。
【0113】
図8の参照を続ければ、室870は必ずしも隣接するマイクロスケールチャンネルよりも広い寸法である必要はない。実際に、室870は、少なくとも2種の材料が分離され、混合され、および/または反応する、マイクロスケールチャンネルの所与の部分を単に含む。室870から実質上マイクロスケールチャンネル835の反対側に、マイクロスケールチャンネル836が展延している。マイクロスケールチャンネル836は、開口810Cから離れて展延し流体連通のあるマイクロスケールチャンネル837とT連結を形成する。したがって、マイクロスケールチャンネル836および837の連結は交差点860Bを形成する。マイクロスケールチャンネル838は、交差点860Bから、実質上反対側のマイクロスケールチャンネル837および流体貯蔵器850Cの方向へ展延する。流体貯蔵器850Cはマイクロスケールチャンネル838よりも所定の寸法だけ広い寸法になっている。しかし、上記のように、マイクロスケールチャンネルの所与の部分は、必ずしもマイクロスケールチャンネルの部分の寸法を変化させることなく、流体貯蔵器として働くことができる。さらに、マイクロスケールチャンネル838は反応室として働くことができ、マイクロスケールチャンネル837から交差点860Bへ流れる試薬は、マイクロスケールチャンネル836から交差点860Bおよびマイクロスケールチャンネル838中へ流れる薬剤と反応することができるであろう。
【0114】
図8の参照を続ければ、マイクロスケールチャンネル839は流体貯蔵器850Cから実質上反対側のマイクロ流体チャンネル838に展延し、折り曲げを経由してマイクロスケールチャンネル840へ移動する。マイクロスケールチャンネル840は出口開口810Dに流体連通している。出口開口810Dは、上で論じたように、封止820Dによって任意選択的に可逆的に封止することができる。再び、反応生成物がマイクロ流体装置800中で形成されマイクロ流体装置800の他の位置に輸送することが望まれる実施形態の場合、出口開口810Dを可逆的に封止することが望ましい。
材料の流れは、図7に説明される方法によって、チャンネル、流体貯蔵器、および反応室を含むマイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造830を通して導くことができる。
【0115】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に開示する主題はマイクロ流体装置中に材料を流す方法を含み、方法は、(a)光硬化ペルフルオロポリエーテル層の少なくとも1層のパターン層を含み、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層が少なくとも1個のマイクロスケールチャンネルを含む、マイクロ流体装置を提供するステップと、(b)マイクロスケールチャンネル中に材料を流すステップとを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、方法は材料をマイクロ流体装置中に配置することを含む。いくつかの実施形態において、図10に最善に示され、以下でさらに詳細に論じられるように、方法は、材料をマイクロスケールチャンネルに沿って動かす駆動力を加えることを含む。いくつかの実施形態において、方法は、複数のマイクロスケールチャンネルをさらに含む。いくつかの実施形態において、複数のマイクロスケールチャンネルはマイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む。いくつかの実施形態において、集積化された網目構造のマイクロスケールチャンネルは所定の点で交差する。いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層は複数の孔を含む。いくつかの実施形態において、複数の孔の少なくとも1個は入口開口を含む。いくつかの実施形態において、複数の孔の少なくとも1個は出口開口を含む。いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、圧力作動バルブは、(a)マイクロスケールチャンネル、および(b)複数の孔の少なくとも1個の1つによって定義される。いくつかの実施形態において、圧力作動バルブは加圧流体を、(a)マイクロスケールチャンネル、および(b)複数の孔の少なくとも1個の1つに導入することによって作動される。
【0117】
いくつかの実施形態において、加圧流体は約10psi〜約40psiの圧力を有する。いくつかの実施形態において、圧力は約25psiである。いくつかの実施形態において、材料は流体を含む。いくつかの実施形態において、流体は溶媒を含む。いくつかの実施形態において、溶媒は有機溶媒を含む。いくつかの実施形態において、材料はマイクロスケールチャンネルに沿って所定の方向に流れる。
【0118】
さらに、いくつかの実施形態において、本明細書に開示する主題は化学反応の実施方法を説明し、方法は、
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含むマイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)第1の薬剤と第2の薬剤をマイクロ流体装置中で接触させて反応生成物を形成するステップとを含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層は複数のマイクロスケールチャンネルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1個のマイクロスケールチャンネルは流体貯蔵器を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1個のマイクロスケールチャンネルは流体貯蔵器と流体連通している流体反応室を含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、方法は、マイクロ流体装置中に第1の薬剤と第2の薬剤を所定の方向に流すステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1試薬と第2試薬の接触がマイクロスケール反応室中で行われるステップを含む。いくつかの実施形態において、方法は、マイクロ流体装置中に反応生成物を所定の方向に流すステップをさらに含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、方法は反応生成物を回収するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、反応生成物をマイクロ流体装置の出口開口に流すステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、方法は、反応生成物を第3の薬剤に接触させて第2生成物を形成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1試薬および第2試薬は、ヘキサン、エチルエーテル、トルエン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリルを含む有機溶媒を含むが制限されない。
【0122】
(IV.B.PFPE系マイクロ流体装置中で生物ポリマーを合成する方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるPFPE系マイクロ流体装置は生物ポリマー、例えば、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、DNA等の合成に使用することができる。いくつかの実施形態において、それらの生物ポリマー合成系は、貯蔵器のアレイ、特定の貯蔵器から流れを選択するための流体ロジック、チャンネルのアレイ、貯蔵器、および合成が行われる反応室、および選択された薬剤がその中へ流れるチャンネルを決定するための流体ロジックを含む、集積化された系を含む。
【0123】
ここで図9を参照すれば、複数の貯蔵器、例えば、貯蔵器910A、910B、910Cおよび910Dは、示されるようにそれぞれその中に配置された底部A、C、TおよびGを有する。4個の流れチャンネル320A、320B、320Cおよび320Dは、貯蔵器910A、910B、910Cおよび910Dに接続される。4個の制御チャンネル322A、322B、322Cおよび322D(仮想線で示される)は、制御チャンネル322Aと交差して配置され、制御チャンネル322Aが加圧されるとき、流れチャンネル320Aだけを通って流れることを可能にする(すなわち、流れチャンネル320B、320Cおよび320Dを封止する)。同様に、制御チャンネル322Bは、加圧されるとき、流れチャンネル320Bだけを通って流れることを可能にする。このように、制御チャンネル322A、322B、322Cおよび322Dの選択的加圧は、望ましい貯蔵器322A、322B、322C、または322Dから、逐次的に望ましい底部A、C、TおよびGを選択する。次いで、流体は流れチャンネル920を通って多重チャンネル流れ制御器930(例えば、図7および8に示した任意の系を含む)へ流れ、流体の流れを、固体相合成を行うことのできる1個または複数の合成チャンネルまたは反応室940A、940B、940C、940D、または940Eに導く。
【0124】
いくつかの実施形態において、所望の底部A、C、TおよびGから出発する代りに、ヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの1種から選択された薬剤は、貯蔵器910A、910B、910Cおよび910Dの少なくとも1個の中に配置される。いくつかの実施形態において、反応生成物はポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはDNAである。
【0125】
したがって、本開示を検討した後、当業者であれば、本明細書に開示されるPFPE系マイクロ流体装置が、Ungerらの米国特許第6,408,878号、およびO'Connerらの米国特許第6,729,352号に記載された生物ポリマーの合成、および/または、van Damらの米国特許第6,508,988号に記載された組合せ合成系に使用できることを理解するであろう。これらの特許の各々はその全体を参照して本明細書に組み込まれている。
【0126】
(IV.C.PFPE系マイクロ流体装置を集積化された流体流れ系中に組み込む方法)
いくつかの実施形態において、PFPE系マイクロ流体装置内で化学反応を実施する方法または材料を流す方法は、集積化された流体流れ系中にマイクロ流体装置を組み込むことを含む。ここで、図10を参照すれば、本明細書に開示される主題によってマイクロ流体装置内に材料を流す方法および/または化学反応を実施する方法に関する系が概要図で示される。系自体は全体的に1000で示される。系1000は中央演算ユニット1002、1個または複数の駆動力作動器1010A、1010B、1010Cおよび1010D、収集器1020、および検出器1030を含むことができる。いくつかの実施形態において、検出器1030はマイクロ流体装置(影で示される)と流体連通する。図8の系のマイクロ流体装置1000、および図8中のこれらの参照数字は図10に用いられる。中央演算ユニット(CPU)1002は、例えば、関連するモニター、キーボード、または他の所望のユーザインターフェース(user interface)を備える汎用のパーソナルコンピュータとすることができる。駆動力作動器1010A、1010B、1010Cおよび1010Dは、本明細書に開示される主題を検討すれば当業者には明らかであろう任意の適切な駆動力作動器とすることができる。例えば、駆動力作動器1010A、1010B、1010Cおよび1010Dは、ポンプ、電極、射出器、注射器、または材料をマイクロ流体装置に通すために使用することのできる他の装置とすることができる。したがって、代表的な駆動力自体は、毛細管作用、ポンプ駆動流体流れ、電気泳動系流体流れ、pH勾配駆動流体流れ、または他の勾配駆動流体流れを含む。
【0127】
図10の概要図には、以下に説明するように、駆動力の少なくとも一部が、所望の溶液、薬剤等の流れの終点で提供することができることを説明するために、出口開口810Dに接続された駆動力作動器1010Dが示される。また、収集器1020は、反応生成物1048が、以下で論じるように、系の流れの終点で収集できることを示すために提供される。いくつかの実施形態において、収集器1020は流体貯蔵器を含む。いくつかの実施形態において、収集器1020は基板を含む。いくつかの実施形態において、収集器1020は検出器を含む。いくつかの実施形態において、収集器1020は治療処置が必要な対象を含む。便宜上、系の流れは図10において方向矢F1、F2およびF3によって全体的に表される。
【0128】
図10の参照を続ければ、いくつかの実施形態において、化学反応は集積化された流れ系1000の中で行われる。いくつかの実施形態において、材料1040、例えば化学試薬はマイクロ流体装置1000へ開口810Aを経由して導入され、第2の材料1042、例えば第2の化学試薬は入口開口810Bを経由してマイクロ流体装置1000へ導入される。駆動力作動器1010Aおよび1010Bは化学試薬1040および1042をそれぞれマイクロ流体チャンネル831および833へ駆動する。化学試薬1040および1042の流れは流体貯蔵器850Aおよび850Bに続き、薬剤1040および1042の貯蔵物が収集される。化学試薬1040および1042の流れはマイクロ流体チャンネル832および834中を交差点860Aへ続き、化学試薬1040と1042の間に最初の接触が行われる。次いで、化学試薬1040および1042の流れは反応室870へ続き、化学試薬1040および1042の間の化学反応が進行する。
【0129】
図10の参照を続ければ、反応生成物1044はマイクロスケールチャンネル836および交差点860Bへ流れる。次いで、化学試薬1046は、交差点860Bで始まり反応室838を通って流体貯蔵器850Cまで反応生成物1044と反応する。第2反応生成物1048が形成される。第2反応生成物1048の流れはマイクロスケールチャンネル840を通って開口810Dへ、最終的に収集器1020へ続く。したがって、CPU1002は、化学試薬1046が交差点860Bで適切な時に放出されて反応生成物1044に接触するように、駆動力作動器1010Cを作動する。
【0130】
(IV.D.PFPE系マイクロ流体装置の代表的な用途)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、サンプルの特性スクリーニング(screening)方法を開示する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、材料の分配方法を開示する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、材料の分離方法を開示する。したがって、当業者であれば、本明細書に説明されるPFPE系マイクロ流体装置は、ゲノムマッピング、急速分離、センサ、ナノスケール反応、インクジェット印刷、薬物送達、ラボオンチップ(Lab-on-a Chip)、インビトロ診断、インジェクションノズル(injection nozzles)、生物学的研究、薬物発見および材料科学などに用いるための高スループットのスクリーニング技術、診断および治療手段、研究手段、および携帯用監視装置または静止監視装置などで収集した土壌、水、および/または空気のサンプルなどの食品および天然資源の生物化学的監視を含むが制限されない、多くの用途に用いることができることを理解するであろう。
【0131】
(IV.D.1.サンプルの特性スクリーニング方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、サンプルの特性スクリーニング方法を開示し、方法は、
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含み、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層が複数のチャンネルを含む、マイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)標的材料を提供するステップと、
(c)複数のチャンネルの少なくとも1個にサンプルを配置するステップと、
(d)サンプルを標的材料に接触させるステップと、
(e)サンプルと標的材料の間の相互作用を検出するステップであって、相互作用の有無がサンプルの特性を示すステップとを含む。
【0132】
再び図10を参照すれば、材料1040および1042の少なくとも1つはサンプルを含む。いくつかの実施形態において、材料1040および1042の少なくとも1つは標的材料を含む。したがって、「サンプル」は一般に特性に関する情報が望まれる任意の材料を指す。また、「標的材料」は、標的材料とサンプル間の相互作用に基づいて、サンプルの特性に関する情報を提供するために用いることのできる任意の材料を指すことができる。例えば、いくつかの実施形態において、サンプル1040が標的材料1042に接触するとき、相互作用が起きる。いくつかの実施形態において、相互作用は反応生成物1044を生成する。いくつかの実施形態において、相互作用は結合現象を含む。いくつかの実施形態において、結合現象は、例えば、抗体と抗原の間、基板とリガンドの間、またはさらに詳細には受容体とリガンドの間、または触媒と1種または複数種の化学試薬の間の相互作用を含む。いくつかの実施形態において、反応生成物は検出器1030によって検出される。
【0133】
いくつかの実施形態において、方法は、複数のチャンネルの少なくとも1個の中に標的材料を配置することを含む。再び図10を参照すれば、いくつかの実施形態において、標的材料は活性材料880を含む。いくつかの実施形態において、標的材料は基板、例えば、図2A〜2Dに示した非パターン層NPLを含む。いくつかの実施形態において、基板は半導体材料を含む。ここでさらに詳細に図2B〜2Dを参照すれば、いくつかの実施形態において、マイクロ流体装置の複数のチャンネルの少なくとも1個は、基板、例えば非パターン層NPLと流体連通している。いくつかの実施形態において、標的材料は基板、例えば、非パターン層NPL上に配置される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体装置の複数のチャンネルの少なくとも1個は、基板上に配置された標的材料と流体接続している。
【0134】
いくつかの実施形態において、方法は、複数のチャンネルの少なくとも1個の中に複数のサンプルを配置することを含む。いくつかの実施形態において、サンプルは、治療薬剤、診断薬剤、研究試薬、触媒、金属配位子、非生体有機材料、無機材料、食材、土壌、水、空気からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、サンプルは、化学的または生物学的化合物または成分の1種または複数種のライブラリーの1つまたは複数のメンバーを含む。いくつかの実施形態において、サンプルは、核酸鋳型、シークエンシング(sequencing)試薬、プライマー(a primer)、プライマー伸張産物、制限酵素、PCR試薬、PCR反応産物の1種または複数種、またはその組合せを含む。いくつかの実施形態において、サンプルは、抗体、細胞受容体、抗原、受容体リガンド、酵素、基質、免疫化学物質、免疫グロブリン、ウイルス、ウイルス結合成分、タンパク質、細胞因子、増殖因子、抑制剤、またはその組合せの1種または複数種を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、標的材料は抗体、抗原、酵素、制限酵素、色素、蛍光色素、シークエンシング試薬、PCR試薬、プライマー、受容体、リガンド、化学試薬、またはその組合せの1種または複数種を含む。
いくつかの実施形態において、相互作用は結合現象を含む。いくつかの実施形態において、相互作用の検出は、分光光度計、流量計、光ダイオード、光電子増倍管、顕微鏡、シンチレーションカウンタ(scintillation counter)、カメラ、CCDカメラ、フィルム、光学検出系、温度センサ、導電率計、電位差計、電流計、pH計、またはその組合せの少なくとも1種または複数種によって行われる。
【0136】
したがって、本開示を検討した後、当業者であれば、本明細書に開示されるPFPE系マイクロ流体装置が、その全体を参照して本明細書に組み込んでいる、Berghらの米国特許第6,749,814号、Berghらの米国特許第6,737,026号、Parceらの米国特許第6,630,353号、Wolkらの米国特許第6,620,625号、Parceらの米国特許第6,558,944号、Kopf-Sillらの米国特許第6,547,941号、Wadaらの米国特許第6,529,835号、Kercsoらの米国特許第6,495,369号、Parceらの米国特許第6,150,180号に記載されたものなど、様々なスクリーニング技術に使用できることを理解するであろう。さらに、本開示を検討した後、当業者であれば、本明細書に開示されるPFPE系マイクロ流体装置が、例えば、その全体を参照して本明細書に組み込んでいるQuakeらの米国特許第6,767,706号に記載された、DNA、タンパク質、または特定の生物化学系に関連する他の分子の検出に使用できることを理解するであろう。
【0137】
(IV.D.2.材料の分配方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、材料の分配方法を説明し、方法は、
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含み、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層が複数のチャンネルを含み、複数のチャンネルの少なくとも1個が出口開口を含むマイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)少なくとも1種の材料を提供するステップと、
(c)複数のチャンネルの少なくとも1個に少なくとも1種の材料を配置するステップと、
(d)出口開口を経由して少なくとも1種の材料を分配するステップとを含む。
【0138】
再び図10を参照すれば、いくつかの実施形態において、材料、例えば材料1040、第2材料1042、化学試薬1046、反応生成物1044、および/または反応生成物1048は出口開口810Dを通って流れ、収集器1020の中または上に分配される。
いくつかの実施形態において、材料は薬物を含む。いくつかの実施形態において、方法は、所定の投与量の薬物を計量するステップを含む。いくつかの実施形態において、方法は所定の投与量の薬物を分配するステップを含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、材料はインク組成物を含む。いくつかの実施形態において、方法は、インク組成物を基板上に分配することを含む。いくつかの実施形態において、インク組成物の基板上への分配は印刷像を形成する。
したがって、本開示を検討した後、当業者であれば、本明細書に開示されるPFPE系マイクロ流体装置が、その全体を参照して本明細書に組み込んでいる、Kaszczukらの米国特許第6,334,676号、DeBoerらの米国特許第6,128,022号、Wenらの米国特許第6,091,433号に記載された、マイクロ流体印刷に使用できることを理解するであろう。
【0140】
(IV.D.3.材料の分離方法)
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される主題は、材料の分離方法を説明し、方法は、
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含み、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層が複数のチャンネルを含み、複数のチャンネルの少なくとも1個が分離領域を含むマイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)少なくとも第1材料と第2材料を含む混合物をマイクロ流体装置中に分配するステップと、
(c)分離領域を含む複数のチャンネルの少なくとも1個に混合物を流すステップと、
(d)分離領域中で第1材料を第2材料から分離して少なくとも1種の分離された材料を形成するステップとを含む。
【0141】
再び図10を参照すれば、いくつかの実施形態において、少なくとも1種の材料1040および第2材料1042は混合物を含む。例えば、材料1040、例えば混合物は、いくつかの実施形態において分離領域を含むマイクロ流体系を通って室870へ流れる。いくつかの実施形態において、分離領域は活性材料880、例えば、クロマトグラフィー材料を含む。材料1040、例えば混合物は、室870、例えば分離室中で分離されて、第3の材料1044、例えば分離された材料を形成する。いくつかの実施形態において、分離された材料1044は、検出器1030によって検出される。
【0142】
いくつかの実施形態において、分離領域はクロマトグラフィー材料を含む。いくつかの実施形態において、クロマトグラフィー材料はサイズ分離マトリックス、親和力分離マトリックス、およびゲル排除マトリックス、またはその組合せからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、第1材料または第2材料は、化学的または生物学的化合物または成分の1種または複数種のライブラリーの1つまたは複数のメンバーを含む。いくつかの実施形態において、第1材料または第2材料は、核酸鋳型、シークエンシング試薬、プライマー、プライマー伸張産物、制限酵素、PCR試薬、PCR反応産物の1種または複数種、またはその組合せを含む。いくつかの実施形態において、第1材料または第2材料は、抗体、細胞受容体、抗原、受容体リガンド、酵素、基質、免疫化学物質、免疫グロブリン、ウイルス、ウイルス結合成分、タンパク質、細胞因子、増殖因子、抑制剤、またはその組合せの1種または複数種を含む。
【0143】
いくつかの実施形態において、方法は分離された材料の検出を含む。いくつかの実施形態において、分離された材料の検出は、分光光度計、流量計、光ダイオード、光電子増倍管、顕微鏡、シンチレーションカウンタ、カメラ、CCDカメラ、フィルム、光学検出系、温度センサ、導電率計、電位差計、電流計、pH計、またはその組合せの少なくとも1種または複数種によって行われる。
したがって、本開示を検討した後、当業者であれば、本明細書に開示されるPFPE系マイクロ流体装置が、その全体を参照して本明細書に組み込んでいる、Huangらの米国特許第6,752,922号、Chowらの米国特許第6,274,089号、Knappらの米国特許第6,444,461号に記載されたように、材料の分離に使用できることを理解するであろう。
【実施例】
【0144】
(V.実施例)
以下の実施例は、本明細書に開示される主題の実施形態を示すために含まれた。以下の実施例の或る態様は、本明細書に開示される主題の実施においてうまく働くことが見出されまたは意図される技術および手順に関して説明される。本開示および当分野の通常の技術水準の見地から、当業者であれば、以下の実施例は例示を意図しているだけであり、本明細書に開示される主題の範囲から逸脱することなく、多くの変化、修正、および変更が可能であることを理解することができる。
【0145】
(実施例1)
(光硬化官能化PFPE材料の合成)
官能化ペルフルオロポリエーテルの合成および光硬化の代表図は図1に提供される。
【0146】
【化1】

【0147】
この方法は、前に報告された手順に基づく。Priolaらの論文、Macromol. Chem. Phys. 1997, 198, 1893-1907を参照されたい。反応は、市場で入手可能なPFPEジオール((M)は3800g/モル)のイソシアナトエチルメタクリレートでのメタクリレート官能化を含む。後続の材料の光硬化は1重量%の2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンと混合し、UV線(λ=365nm)への露出によって行われる。
【0148】
(実施例2)
(材料)
ポリ(テトラフルオロエチレンオキシド−コ−ジフルオロメチレンオキシド)α,ωジオール(ZDOL、平均Mは約3,800g/モル、95% Aldrich Chemical Company, Milwaukee, Wisconsin, United State of America)、2−イソシアナトエチルメタクリレート(EMI、99% Aldrich)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA、99% Aldrich)、ジブチルスズジアセテート(DBTDA、99% Aldrich)、および1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン(Freon113、99% Aldrich)を受領したままで使用した。
【0149】
(実施例3)
(PFPEジメタクリレート(DMA)の調製)
典型的な合成において、ZDOL(5.7227g、1.5ミリモル)を乾燥した50mLの丸底フラスコに加え、アルゴンで15分間パージした。次いで、EIM(0.43mL、3.0ミリモル)をFreon113(2mL)およびDBTDA(50μL)と一緒に注射筒で加えた。溶液をオイル浴に浸漬し、50℃で24時間攪拌した。次いで、溶液をクロマトグラフカラム(アルミナ、Freon113、2cm×5cm)に通した。溶媒の蒸発によって透明な無色の粘度の高いオイルが生成し、これは0.22μmのポリエーテルスルホンフィルターを通すことによってさらに精製した。1H−NMR(ppm);2.1,s(3H);3.7,q(2H);4.4,t(2H);4.7,t(2H);5.3,m(1H);5.8,s(1H);6.3,s(1H)
【0150】
(実施例4)
(PFPE DMAの光硬化)
典型的な硬化において、1重量%のDMPA(0.05g、2.0ミリモル)を2mLのFreon113と一緒に、透明な溶液が形成されるまでPFPE DMA(5g、1.2ミリモル)に加えた。溶媒の除去後、曇った高粘度のオイルを0.22μmのポリエーテルスルホンフィルターに通し、PFPE DMA中に分散しなかったすべてのDMPAを除去した。次いで、濾過したPFPE DMAを10分間窒素パージしながらUV光源(Electro-lite UV curing chanmer model no.81432-ELC-500, Danbury, Connecticut, United States of America, λ=365nm)で照射し、透明なわずかに黄色のゴム状材料を得た。
【0151】
(実施例5)
(PFPE DMAでの装置作製)
典型的な作製において、光開始剤を含むPFPE DMA(実施例4で説明した)を、所望のフォトレジストパターンを含むSiウェハ上に厚さ20μmにスピンコート(800rpm)した。次いで、このウェハをUV硬化室に置き、6秒間照射した。別途、所望のフォトレジストパターンを含むSiウェハを取り囲む金型に、光開始剤を含むPFPE DMAを注ぐことによって、厚い層(約5mm)の材料を製造した。ウェハはUV光で1分間照射した。このステップに続いて、厚い層を除去し、装置の特定の領域に入口孔を注意深く穿孔した。次いで、2つの層のパターンが正確に配列されるように厚い層を注意深く薄層の頂部に置き、次いで装置全体を10分間照射した。完了後、両方の層を互いに接着させたまま、装置全体をウェハから剥離した。これらの硬化時間は、構造欠陥と2層の適切な接着の間に良好な均衡が取れる最適露出時間となるように決定した。
【0152】
(実施例6)
(膨潤実験)
完全に硬化したPFPE DMAおよび完全に硬化したSylgard(登録商標)184(Dow Corning, Midland, Michigan, United States of America)をジクロロメタン中に浸漬して膨潤実験を行った。膨潤%は次の式で求めた。
膨潤%=100%*(Wt−W)/W
式中、Wtはジクロロメタンに時間tの間浸漬し、ティッシュペーパで軽く叩いて乾燥させた直後の材料の重さであり、Wは材料の元の重さである。
【0153】
(実施例7)
(流量測定)
2種の弾性体前駆体(PFPE DMAおよびSylgard(登録商標)184)の粘度をTA Instrument AR2000 Rheometer(New Castle, Delaware, United States of America)で測定した。測定は、3〜5mLの材料で行った。Sylgard(登録商標)184前駆体の測定は2つの成分を混合した後、直ちに行った。Sylgard(登録商標)184の剪断速度は0.03s−1〜0.70s−1で変化し、粘度は各剪断速度で一定になった。PFPE DMAの剪断速度は0.28s−1〜34.74s−1で変化し、粘度はやはり剪断速度にかかわらず一定になった。粘度は、すべての測定された剪断速度について対数プロット上の平均粘度を利用することによって得た。これらの実験の生データを図11に示す。
【0154】
(実施例8)
(動的機械分析(DMA))
モジュラス測定をPerkin Elmer DMA 7e Dynamic Mechanical Analyzer(Boston, Massachusetts, United States of America)で行った。サンプルを4mm×8mm×0.5mm(幅×長さ×厚さ)の矩形に切断した。2個のサンプル各々への初期静止力は5mNであり、負荷はサンプルが破壊するまで、または6400mNに達するまで、500mN/分の速度で増加させた。引っ張りモジュラスは、応力/歪み曲線の初期勾配(約20%歪みまで)から得た。
【0155】
(実施例9)
(動的機械熱分析)
2種の弾性体の熱転移はSeiko DMS 210 Dynamic Mechanical Thermal Analyzer(Seiko Instruments, Inc., 千葉県,日本)によって得た。サンプルを4mm×20mm×0.5mm(幅×長さ×厚さ)の矩形に切断した。次の設定を用いた。ランプ=10、最小張力/圧縮力=10.000g、張力/圧縮補正=1.2、力振幅=100。温度掃引は−140℃〜50℃の範囲であった。T’gは対応するE”(損失弾性率)対温度のプロットの最大値の温度から得た。
【0156】
(実施例10)
(接触角測定)
KSV Instruments CAM 200 Optical Contact Angle Meter(KSV Instruments, Ltd., Helsinki, Finland)を用いて静的接触角を測定した。液滴は250μLスクリュー頭注射筒を用いて完全に硬化した弾性体の各々の上に置いた。
【0157】
(実施例11)
(結果)
耐溶媒性を測定するために、架橋したPFPE DMAとSylgard(登録商標)184、PDMSの両方で古典的な膨潤測定を行った。Rubinstein, Mら、Polymer Physics; Oxford University Press: New York, 2003; p 398。ジクロロメタンに数時間浸漬前と後のサンプル重量を比較した。データは、94時間後、PDMS網目構造が109重量%に膨潤したことを示したが、PFPE網目構造は無視できる程の膨潤(<3%)を示した。
【0158】
PDMSおよびPFPE前駆体材料および完全に硬化した網目構造は類似した加工特性および機械的特性を有する。レオロジー実験は未硬化のPFPE DMAの25℃での粘度が0.36Pa・sであり、未硬化のSylgard(登録商標)184の粘度よりかなり低いことを示した。しかし、両方の材料とも室温で高粘度のオイルであるので、PFPE材料も標準的なPDMS装置の作製方法を用いることができるであろう。
【0159】
言い換えれば、本明細書に開示される主題のPFPE材料は低粘度であり、注ぐことが可能である。これらの特性は、PFPE材料と、高い粘度を有するKalrez(登録商標)(DuPont Dow Elastomers, L.L.C., Wilmington, Delaware, United States of America)およびViton(登録商標)(DuPont Dow Elastomers, L.L.C., Wilmington, Delaware, United States of America)などの他のフルオロ弾性体とを区別するものである。例えば、Viton(登録商標)の粘度は160℃で7800Pa・sである。さらに、Kalrez(登録商標)およびViton(登録商標)はいずれも熱的に硬化するだけである。
【0160】
完全に硬化した材料で動的機械的熱分析(DMTA)を行った。PFPEおよびPDMS網目構造の両方とも、損失弾性率E”の最大値から明らかなように、低い温度転移(それぞれ−112℃および−128℃)を示した(図12参照)。この転移は、2種の架橋した材料の室温での類似の弾性挙動を説明する。応力歪み分析は、完全に硬化したPFPE系弾性体の引っ張りモジュラスが3.9MPaであり、これは完全に硬化したSylgard(登録商標)184の測定値(2.4MPa)と類似している。静的接触角測定を両方の弾性体で行った。
【0161】
表IVに示すように、PFPE DMA弾性体は、水およびメタノールに対して、Sylgard(登録商標)184よりも高い接触角を示した。トルエンおよびジクロロメタンは接触すると直ちにSylgard(登録商標)184を膨潤させ、測定が実施できなかった。しかし、これらの溶媒の接触角の値は、膨潤の起きないPFPE DMA材料について得た。
【0162】
【表4】

【0163】
いくつかの実施形態において、装置作製は図13に示す手順に従って行った。この手順は、フィーチャーサイズに妥協しないで2層を接着する部分硬化技術を用いる。Unger, M. A.ら、Science 2000, 288, 113-116。PFPE DMA材料はスピンコートし、Sylgard(登録商標)184用に設計された手順を用いて成形した。
【0164】
2種の材料から作製された装置の溶媒適合性を比較するために、ジクロロメタン、アセトニトリル、メタノールを含む染色した溶液をPFPEチャンネルおよびPDMSチャンネルに毛細管作用によって導入した(図14参照)。PFPEチャンネルは、溶液が容易にチャンネルを通過し、膨潤の証拠を示さなかった。良好な濡れ挙動を示す明瞭な逆メニスカスが観察された。対照的にPDMS装置には液滴に触れるとチャンネルが遮断されたので、溶液は侵入しなかった。対照実験として、染色したメタノール溶液は同じ方法で容易にPDMSチャンネルに導入された。バルブの作動は、厚い層のチャンネルの始まりに穿孔した小さな孔に、加圧した空気(約25psi)を導入することによって行った。溶液がチャンネル中に存在するとき、バルブの作動が観察された(図15参照)。
【0165】
本明細書に開示される主題の様々な詳細は、本明細書に開示される主題の範囲から逸脱することなく変更可能であることが理解されるであろう。さらに、前述の説明は例示のためのみであり、制限を目的とするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1A】本明細書に開示される主題による、パターン層の形成を記載する一連の概略端面図である。
【図1B】本明細書に開示される主題による、パターン層の形成を記載する一連の概略端面図である。
【図1C】本明細書に開示される主題による、パターン層の形成を記載する一連の概略端面図である。
【図2A】本明細書に開示される主題による、2層のパターン層を含むマイクロ流体装置の形成を記載する一連の概略端面図である。
【図2B】本明細書に開示される主題による、2層のパターン層を含むマイクロ流体装置の形成を記載する一連の概略端面図である。
【図2C】本明細書に開示される主題による、2層のパターン層を含むマイクロ流体装置の形成を記載する一連の概略端面図である。
【図2D】本明細書に開示される主題による、2層のパターン層を含むマイクロ流体装置の形成を記載する一連の概略端面図である。
【0167】
【図3A】開放流れチャンネルを示すPFPE系マイクロ流体装置の断面図である。
【図3B】実質上閉鎖された流れチャンネルを示すPFPE系マイクロ流体装置の断面図である。
【図4A】矩形流れチャンネルの断面図である。
【図4B】湾曲上部表面を有する流れチャンネルの断面図である。
【図5A】開放位置における側部作動バルブ構造を示す平面図である。
【図5B】遮断位置における側部作動バルブ構造を示す平面図である。
【0168】
【図6A】複数の流れチャンネルを同時に作動する1個の制御チャンネルの上部概要図である。
【図6B】図6Aに示した制御チャンネル322に沿って示す立面断面図である。
【図7】様々なチャンネルを通って流れるようにされた多重系の概要図である。
【図8】本明細書に開示される主題による、マイクロ流体装置の概要平面図である。
【図9】生物ポリマー合成のための集積化されたマイクロ流体系の概要図である。
【図10】本明細書に開示される主題によるマイクロ流体装置中に溶液を流し、または化学反応を行う系の概要図であり、マイクロ流体装置800は図8に示した概要平面図に描かれている。
【0169】
【図11】Sylgard(登録商標)184とペルフルオロポリエーテルジメタクリレート(PFPE DMA)材料の粘度対剪断速度のプロットである。
【図12】温度の関数として損失弾性率の最大値を示す、架橋したポリジメチルシロキサン(PDMS)とペルフルオロポリエーテル(PFPE)材料の動的機械的熱分析(DMTA)追跡図である。
【図13A】代表的装置作製手順を示す図であり、図13Aで、PFPEの薄層(20μm)と厚い層(5mm)が部分的に硬化される。
【図13B】代表的装置作製手順を示す図であり、図13Bで、厚い層がそのウェハから剥離され、90°回転され、薄層の上に置かれる。次いで装置全体を完全に硬化して2層を互いに接着させる。
【図13C】代表的装置作製手順を示す図であり、図13Cで装置がウェハから剥離される。
【0170】
【図14】PFPE装置チャンネル(左)に入るジクロロメタン、アセトニトリル、メタノールの染色された溶液の写真である。比較として、膨潤のため同じサイズのPDMSチャンネルに入らない溶液を示す(右)。
【図15A】バルブの作動を示す写真であり、図15Aは溶媒を含まないチャンネルの上下図である。薄層上のチャンネル(流体)は垂直に走り、厚い層上のチャンネル(空気)は水平に走る。バルブの概要図は図の下に示される。
【図15B】バルブの作動を示す写真であり、図15Bは、アセトニトリル、ジクロロメタン、メタノールの染色された溶液で充填された薄層のチャンネルを示す。バルブの概要図は図の下に示される。
【図15C】バルブの作動を示す写真であり、図15Cは、厚い層チャンネル中に25psiの空気を導入することによってバルブ作動が生じた図である。バルブの概要図は図の下に示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を形成する方法であって、
(a)パターン表面を含む基板を提供するステップと、
(b)ペルフルオロポリエーテル前駆体を前記基板の前記パターン表面に接触させるステップと、
(c)前記ペルフルオロポリエーテル前駆体を光硬化して、光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を形成するステップとを含む方法。
【請求項2】
(a)前記基板の前記パターン表面にペルフルオロポリエーテル前駆体と光開始剤の混合物をコーティングして、コーティングされたパターン基板を形成するステップと、
(b)前記コーティングされたパターン基板を所定時間紫外線に露出して、前記パターン基板上に光硬化ペルフルオロポリエーテルの層を形成するステップと、
(c)前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの層を前記パターン基板から除去して、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を製造するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペルフルオロポリエーテル前駆体が、末端官能化したペルフルオロポリエーテルを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光開始剤が、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルが、ペルフルオロポリエーテルジメタクリレートを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルが、ジスチレン系ペルフルオロポリエーテルを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記パターン基板が、エッチングされたシリコンウェハを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記パターン基板が、パターン形成フォトレジスト基板を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティングステップが、スピンコーティングステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記紫外線が約365ナノメートルの波長を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
紫外線照射の期間が約1秒〜約300秒の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
紫外線照射の期間が約1秒〜約100秒の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
紫外線照射の期間が約60秒である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
紫外線照射の期間が約6秒である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの厚さである、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルの厚さである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、約20マイクロメートルの厚さである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、約0.1ミリメートル〜約10ミリメートルの厚さである、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、約5ミリメートルの厚さである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、複数のマイクロスケールチャンネルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが、所定の点で交差する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層中に複数の孔を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の孔の少なくとも1個が、入口開口を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の孔の少なくとも1個が、出口開口を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで規定される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
(a)前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの第1のパターン層を、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの第2のパターン層の上に被覆するステップであって、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1層と第2層のパターンが所定の配列に配列されるステップと、
(b)前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1層と第2層を所定時間紫外線に露出するステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1と第2のパターン層が互いに接着する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1のパターン層が約5ミリメートルの厚さである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの第2のパターン層が約20マイクロメートルの厚さである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1層と第2層の所定の配列が、複数のマイクロスケールチャンネルを形成する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが所定の点で交差する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1のパターン層中に複数の孔を形成するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで画定される、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
請求項1に記載の方法で製造されたマイクロ流体装置。
【請求項37】
光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含むマイクロ流体装置。
【請求項38】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルが、ペルフルオロポリエーテルジメタクリレートおよびジスチレン系ペルフルオロポリエーテルの1種またはその組合せから選択される、請求項37に記載のマイクロ流体装置。
【請求項39】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの厚さである、請求項37に記載のマイクロ流体装置。
【請求項40】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が約20マイクロメートルの厚さである、請求項39に記載のマイクロ流体装置。
【請求項41】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が約0.1ミリメートル〜約10ミリメートルの厚さである、請求項37に記載のマイクロ流体装置。
【請求項42】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が約5ミリメートルの厚さである、請求項41に記載のマイクロ流体装置。
【請求項43】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数のマイクロスケールチャンネルを含む、請求項37に記載のマイクロ流体装置。
【請求項44】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、前記マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項43に記載のマイクロ流体装置。
【請求項45】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが所定の点で交差する、請求項44に記載のマイクロ流体装置。
【請求項46】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数の孔を含む、請求項37に記載のマイクロ流体装置。
【請求項47】
前記複数の孔の少なくとも1個が入口開口を含む、請求項46に記載のマイクロ流体装置。
【請求項48】
前記複数の孔の少なくとも1個が出口開口を含む、請求項46に記載のマイクロ流体装置。
【請求項49】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで規定される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
光硬化ペルフルオロポリエーテルの第1のパターン層と光硬化ペルフルオロポリエーテルの第2のパターン層とを含むマイクロ流体装置であって、
(a)前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1のパターン層を、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第2のパターン層の上に被覆され、
(b)前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1層と第2層のパターンが、所定の配列に配列される、マイクロ流体装置。
【請求項51】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1と第2のパターン層が互いに接着する、請求項50に記載のマイクロ流体装置。
【請求項52】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1のパターン層が約5ミリメートルの厚さである、請求項50に記載のマイクロ流体装置。
【請求項53】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第2のパターン層が約20マイクロメートルの厚さである、請求項50に記載のマイクロ流体装置。
【請求項54】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記第1層と第2層の前記所定の配列が、複数のマイクロスケールチャンネルを形成する、請求項50に記載のマイクロ流体装置。
【請求項55】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項54に記載のマイクロ流体装置。
【請求項56】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが所定の点で交差する、請求項55に記載のマイクロ流体装置。
【請求項57】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの少なくとも1層の前記パターン層が複数の孔を含む、請求項50に記載のマイクロ流体装置。
【請求項58】
前記複数の孔の少なくとも1個が入口開口を含む、請求項57に記載のマイクロ流体装置。
【請求項59】
前記複数の孔の少なくとも1個が出口開口を含む、請求項57に記載のマイクロ流体装置。
【請求項60】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで規定される、請求項57に記載のマイクロ流体装置。
【請求項61】
光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含むマイクロ流体装置であって、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、その中に配置された溶媒を含むマイクロ流体装置。
【請求項62】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数のマイクロスケールチャンネルを含み、前記溶媒が前記チャンネルの1個または複数個に配置される、請求項61に記載のマイクロ流体装置。
【請求項63】
少なくとも1個の前記マイクロスケールチャンネルが流体貯蔵器を含み、前記溶媒が前記流体貯蔵器中に配置される、請求項62に記載のマイクロ流体装置。
【請求項64】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項62に記載のマイクロ流体装置。
【請求項65】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが、所定の点で交差する、請求項64に記載のマイクロ流体装置。
【請求項66】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数の孔を含む、請求項61に記載のマイクロ流体装置。
【請求項67】
前記複数の孔の少なくとも1個が入口開口を含む、請求項66に記載のマイクロ流体装置。
【請求項68】
前記複数の孔の少なくとも1個が出口開口を含む、請求項66に記載のマイクロ流体装置。
【請求項69】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで規定される、請求項66に記載のマイクロ流体装置。
【請求項70】
前記複数の孔の1個または複数個が可逆的に封止される、請求項66に記載のマイクロ流体装置。
【請求項71】
前記溶媒が、有機溶媒を含む、請求項61に記載のマイクロ流体装置。
【請求項72】
光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含むマイクロ流体装置であって、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、その中に配置された1種以上の化学反応物を含むマイクロ流体装置。
【請求項73】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数のマイクロスケールチャンネルを含み、前記1種以上の化学反応物が前記1個または複数のチャンネル中に配置される、請求項72に記載のマイクロ流体装置。
【請求項74】
少なくとも1個の前記マイクロスケールチャンネルが流体貯蔵器を含み、前記1種以上の化学反応物が前記流体貯蔵器中に配置される、請求項73に記載のマイクロ流体装置。
【請求項75】
前記マイクロスケールチャンネルの少なくとも1個が前記流体貯蔵器に流体連通している反応室を含み、1種以上の化学反応物が前記反応室中に配置される、請求項73に記載のマイクロ流体装置。
【請求項76】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項73に記載のマイクロ流体装置。
【請求項77】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが所定の点で交差する、請求項76に記載のマイクロ流体装置。
【請求項78】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数の孔を含む、請求項72に記載のマイクロ流体装置。
【請求項79】
前記複数の孔の少なくとも1個が入口開口を含む、請求項78に記載のマイクロ流体装置。
【請求項80】
前記複数の孔の少なくとも1個が出口開口を含む、請求項78に記載のマイクロ流体装置。
【請求項81】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで画定される、請求項78に記載のマイクロ流体装置。
【請求項82】
前記複数の孔の1個または複数個が可逆的に封止される、請求項78に記載のマイクロ流体装置。
【請求項83】
光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含むマイクロ流体装置であって、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、その中に配置された1種以上の反応生成物を含むマイクロ流体装置。
【請求項84】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数のマイクロスケールチャンネルを含み、前記1種以上の反応生成物が前記1個または複数のチャンネル中に配置される、請求項83に記載のマイクロ流体装置。
【請求項85】
少なくとも1個の前記マイクロスケールチャンネルが反応室を含み、前記1種以上の反応生成物が前記反応室中に配置される、請求項84に記載のマイクロ流体装置。
【請求項86】
前記マイクロスケールチャンネルの少なくとも1個が、前記反応室に流体連通している流体貯蔵器を含み、前記1種以上の反応生成物が前記反応室中に配置される、請求項85に記載のマイクロ流体装置。
【請求項87】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項84に記載のマイクロ流体装置。
【請求項88】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが所定の点で交差する、請求項87に記載のマイクロ流体装置。
【請求項89】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数の孔を含む、請求項83に記載のマイクロ流体装置。
【請求項90】
前記複数の孔の少なくとも1個が入口開口を含む、請求項89に記載のマイクロ流体装置。
【請求項91】
前記複数の孔の少なくとも1個が出口開口を含む、請求項89に記載のマイクロ流体装置。
【請求項92】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで規定される、請求項89に記載のマイクロ流体装置。
【請求項93】
前記複数の孔の1個以上が可逆的に封止される、請求項89に記載のマイクロ流体装置。
【請求項94】
光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含むマイクロ流体装置であって、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、その中に配置された1種以上の化学反応物および1種以上の反応生成物を含むマイクロ流体装置。
【請求項95】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数のマイクロスケールチャンネルを含み、前記1種以上の化学反応物および前記1種以上の反応生成物が前記1個または複数のチャンネル中に配置される、請求項94に記載のマイクロ流体装置。
【請求項96】
前記少なくとも1個のマイクロスケールチャンネルが第1流体貯蔵器を含み、前記1種以上の化学反応物が前記第1貯蔵器中に配置される、請求項95に記載のマイクロ流体装置。
【請求項97】
前記少なくとも1個のマイクロスケールチャンネルが、前記流体貯蔵器に流体連通している反応室を含み、前記1種以上の化学反応物および前記1種以上の反応生成物が前記反応室中に配置される、請求項96に記載のマイクロ流体装置。
【請求項98】
前記少なくとも1個のマイクロスケールチャンネルが、前記反応室に流体連通している第2流体貯蔵器を含み、前記1種以上の反応生成物が前記第2流体貯蔵器中に配置される、請求項97に記載のマイクロ流体装置。
【請求項99】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項95に記載のマイクロ流体装置。
【請求項100】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが所定の点で交差する、請求項99に記載のマイクロ流体装置。
【請求項101】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数の孔を含む、請求項95に記載のマイクロ流体装置。
【請求項102】
前記複数の孔の少なくとも1個が入口開口を含む、請求項101に記載のマイクロ流体装置。
【請求項103】
前記複数の孔の少なくとも1個が出口開口を含む、請求項101に記載のマイクロ流体装置。
【請求項104】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで規定される、請求項101に記載のマイクロ流体装置。
【請求項105】
前記複数の孔の1個以上が可逆的に封止される、請求項101に記載のマイクロ流体装置。
【請求項106】
マイクロ流体装置中に材料を流す方法であって、
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルの少なくとも1層のパターン層を含み、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が少なくとも1個のマイクロスケールチャンネルを含むマイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)前記マイクロスケールチャンネル中に材料を流すステップとを含む方法。
【請求項107】
前記マイクロ流体装置中に材料を配置するステップを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記マイクロスケールチャンネルに沿って前記材料を動かすために駆動力を加えるステップを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
複数のマイクロスケールチャンネルをさらに含む、請求項106に記載の方法。
【請求項110】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが所定の点で交差する、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数の孔を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項113】
前記複数の孔の少なくとも1個が入口開口を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記複数の孔の少なくとも1個が出口開口を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
少なくとも1個の圧力作動バルブを含み、前記圧力作動バルブが、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つで規定される、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
前記圧力作動バルブが加圧流体を、
(a)マイクロスケールチャンネルと、
(b)前記複数の孔の少なくとも1個の1つに導入することによって作動される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記加圧流体が約10psi〜約40psiの圧力を有する、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記圧力が約25psiである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記材料が流体を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項120】
前記材料が溶媒を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記溶媒が有機溶媒を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記材料が前記マイクロスケールチャンネルに沿って所定の方向に流れる、請求項106に記載の方法。
【請求項123】
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含むマイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)第1試薬と第2試薬を前記マイクロ流体装置中で接触させて、少なくとも1種の反応生成物を形成するステップとを含む、少なくとも1種の化学反応を行う方法。
【請求項124】
前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が、複数のマイクロスケールチャンネルを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記マイクロスケールチャンネルの少なくとも1個が流体貯蔵器を含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記マイクロスケールチャンネルの少なくとも1個が、前記流体貯蔵器に流体連通している流体反応室を含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記複数のマイクロスケールチャンネルが、マイクロスケールチャンネルの集積化された網目構造を含む、請求項124に記載の方法。
【請求項128】
前記集積化された網目構造の前記マイクロスケールチャンネルが所定の点で交差する、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記第1試薬と前記第2試薬が前記マイクロ流体装置の分離したチャンネル中に配置される、請求項123に記載の方法。
【請求項130】
前記第1試薬と前記第2試薬を、前記マイクロ流体装置の所定の方向に流すステップを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項131】
前記第1試薬と前記第2試薬の接触がマイクロスケール反応室中で行われる、請求項123に記載の方法。
【請求項132】
前記反応生成物を、前記マイクロ流体装置の所定の方向に流すことを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項133】
前記反応生成物を回収するステップを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項134】
前記反応生成物を前記マイクロ流体装置の出口開口に流すステップを含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記反応生成物を第3薬剤に接触させて、第2反応生成物を形成することを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項136】
前記第1試薬と前記第2試薬が有機溶媒を含む、請求項123に記載の方法。
【請求項137】
前記化学反応がナノスケール化学反応を含む、請求項123に記載の方法。
【請求項138】
請求項123に記載の方法によって形成される反応生成物。
【請求項139】
前記第1試薬と第2試薬が、ヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの1種から独立に選択される、請求項123に記載の方法。
【請求項140】
前記反応生成物がポリヌクレオチドを含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
請求項139に記載された方法によって形成される反応生成物。
【請求項143】
サンプルを特性スクリーニングする方法であって、
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含み、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数のチャンネルを含むマイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)標的材料を提供するステップと、
(c)前記サンプルを前記複数のチャンネルの少なくとも1個に配置するステップと、
(d)前記サンプルを前記標的材料に接触させるステップと、
(e)前記サンプルと前記標的材料間の相互作用を検出するステップであって、前記相互作用の有無が前記サンプルの特性を示すステップとを含む方法。
【請求項144】
前記標的材料を前記複数のチャンネルの少なくとも1個に配置するステップを含む、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記標的材料が基質を含む、請求項143に記載の方法。
【請求項146】
前記マイクロ流体装置の前記複数のチャンネルの少なくとも1個が前記基板に流体連通している、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記標的材料が基板上に配置される、請求項143に記載の方法。
【請求項148】
前記マイクロ流体装置の前記複数のチャンネルの少なくとも1個が、前記基板上に配置された前記標的材料に流体連通している、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
複数のサンプルを前記複数のチャンネルの少なくとも1個中に配置するステップを含む、請求項143に記載の方法。
【請求項150】
前記サンプルが、治療薬、診断剤、研究試薬、触媒、金属配位子、非生体有機材料、無機材料、食材、土壌、水、および空気からなる群から選択される、請求項143に記載の方法。
【請求項151】
前記サンプルが、化学的または生物学的化合物または成分の1種以上のライブラリーの1つまたは複数のメンバーを含む、請求項143に記載の方法。
【請求項152】
前記サンプルが、核酸鋳型、シークエンシング試薬、プライマー、プライマー伸張産物、制限酵素、PCR試薬、PCR反応産物、またはその組合せの1種以上を含む、請求項143に記載の方法。
【請求項153】
前記サンプルが、抗体、細胞受容体、抗原、受容体リガンド、酵素、基質、免疫化学物質、免疫グロブリン、ウイルス、ウイルス結合成分、タンパク質、細胞因子、増殖因子、抑制剤、またはその組合せの1種以上を含む、請求項143に記載の方法。
【請求項154】
前記標的材料が、抗原、抗体、酵素、制限酵素、色素、蛍光色素、シークエンシング試薬、PCR試薬、プライマー、受容体、リガンド、化学試薬、またはその組合せの1種以上を含む、請求項143に記載の方法。
【請求項155】
前記相互作用が結合現象を含む、請求項143に記載の方法。
【請求項156】
前記相互作用の前記検出が、分光光度計、流量計、光ダイオード、光電子増倍管、顕微鏡、シンチレーションカウンタ、カメラ、CCDカメラ、フィルム、光学検出系、温度センサ、導電率計、電位差計、電流計、pH計、またはその組合せの少なくとも1種以上によって行われる、請求項143に記載の方法。
【請求項157】
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含み、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数のチャンネルを含み、前記複数のチャンネルの少なくとも1個が出口開口を含むマイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)少なくとも1種の材料を提供するステップと、
(c)少なくとも1種の材料を前記複数のチャンネルの少なくとも1個に配置するステップと、
(d)少なくとも1種の材料を前記出口開口を経由して分配するステップとを含む材料の分配方法。
【請求項158】
前記材料が薬物を含む、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
所定の投与量の前記薬物を計量するステップを含む、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
所定の投与量の前記薬物を分配するステップを含む、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記材料がインク組成物を含む、請求項157に記載の方法。
【請求項162】
前記インク組成物を基板上に分配するステップを含む、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
前記インク組成物の基板上への前記分配が、印刷像を形成する、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
(a)光硬化ペルフルオロポリエーテルのパターン層を含み、前記光硬化ペルフルオロポリエーテルの前記パターン層が複数のチャンネルを含み、前記複数のチャンネルの少なくとも1個が分離領域を含むマイクロ流体装置を提供するステップと、
(b)少なくとも第1材料と第2材料を含む混合物を前記マイクロ流体装置に提供するステップと、
(c)分離領域を含む前記複数のチャンネルの少なくとも1個に前記混合物を流すステップと、
(d)前記分離領域中で前記第1材料を前記第2材料から分離して、少なくとも1種の分離された材料を形成するステップとを含む材料の分離方法。
【請求項165】
前記分離領域がクロマトグラフィー材料を含む、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記クロマトグラフィー材料が、サイズ分離マトリックス、アフィニティーマトリックス、ゲル排除マトリックス、またはその組合せからなる群から選択される、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記第1材料または第2材料が、化学的または生物学的化合物または成分の1種以上のライブラリーの1つ以上の部材を含む、請求項164に記載の方法。
【請求項168】
前記第1材料または第2材料が、核酸鋳型、シークエンシング試薬、プライマー、プライマー伸張産物、制限酵素、PCR試薬、PCR反応産物、またはその組合せの1種以上を含む、請求項164に記載の方法。
【請求項169】
前記第1材料または第2材料が、抗体、細胞受容体、抗原、受容体リガンド、酵素、基質、免疫化学物質、免疫グロブリン、ウイルス、ウイルス結合成分、タンパク質、細胞因子、増殖因子、抑制剤、またはその組合せの1種以上を含む、請求項164に記載の方法。
【請求項170】
前記分離された材料を検出するステップを含む、請求項164に記載の方法。
【請求項171】
前記分離された材料の検出が、分光光度計、流量計、光ダイオード、光電子増倍管、顕微鏡、シンチレーションカウンタ、カメラ、CCDカメラ、フィルム、光学検出系、温度センサ、導電率計、電位差計、電流計、pH計、またはその組合せの少なくとも1種以上によって行われる、請求項170に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図13C】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図15C】
image rotate


【公表番号】特表2007−522433(P2007−522433A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527164(P2006−527164)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/031274
【国際公開番号】WO2005/030822
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【出願人】(502414655)ノースカロライナ・ステイト・ユニバーシティ (1)
【出願人】(501272937)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】