説明

マイクロRNAの製造方法およびその治療的応用

本発明は、治療的有効量のmiRNAを含む組成物、該組成物で治療することが有益な病状を治療するための該組成物の使用、およびmiRNAを含む組成物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療的有効量のmiRNAを含む組成物、該組成物による治療が役立つ病状を治療するためのその使用に関する。miRNAを含む組成物の製造方法も本発明に含まれる。
【背景技術】
【0002】
マイクロRNA(miRNA)は、標的mRNAとの配列特異的塩基対化を介して遺伝子発現を調節すると考えられる短い(約21〜24ヌクレオチド)非コーディングRNAである。根本的なメカニズムはまだほとんど解っていないが、翻訳開始の阻害が関与するようである。
【0003】
マイクロRNAの多くの機能的役割は、ヒト疾患における、および成長および増殖の主な調節因子としてのマイクロRNAの潜在的関与を暗示する。多くのマイクロRNAはヒトの原発腫瘍において無秩序であるので、ヒト癌におけるマイクロRNAの役割が示唆されている。したがって、miRNA不足または過剰は、心筋梗塞から癌に及ぶ臨床的に重要な多くの疾患と関連がある。
【0004】
免疫系の発達および調節におけるマイクロRNAの潜在的役割も示唆されている。
【0005】
免疫系の重要な要素である炎症は、防御(生理学的)および病態生理学的事象の両方において、組織、器官、および個々の細胞の恒常性を維持するように働く。急性炎症は、血漿による種々の活性化成分、例えばインターロイキン、抗体、ホルモンなどの、および白血球の組織への浸潤による炎症の古典的兆候すなわち、腫脹、発赤、疼痛、発熱、および機能喪失を特徴とする短期のプロセスである。急性炎症は、有害刺激が存在する限り生じ、該刺激が除去されると治まる。慢性炎症は、活動性炎症、組織破壊、および修復の試みが同時に生じるのを特徴とする病的状態である。慢性的炎症組織は、単核免疫細胞 (単球、マクロファージ、リンパ球、樹状細胞、および他の形質細胞)の浸潤、組織破壊、および血管新生と線維症を含む治癒の試みを特徴とする。
【0006】
炎症なしには、創傷や感染は治癒することができないだろうし、組織の進行性破壊は生物の生存を脅かす。他方で不適切な炎症は、限定されるものではないが、花粉症、アテローム性動脈硬化症、神経変性疾患、例えばアルツハイマー、癌、およびリウマチ性関節炎などの兆候を含む種々の疾病をもたらしうる。これらの理由で、身体は炎症を厳重に調節する。
【0007】
単核免疫細胞は、感染条件下で、食作用により外来病原体を排除するために感染部位に集まる。白血球および樹状細胞は、ここで病原体により活性化し、プロ炎症性サイトカイン、例えばIL-1α、IL-1β、IL-3、IL-5、IL-6、IL-8、TNF-α (腫瘍壊死因子-α)、GM-CSF (顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子)、NF-κB (活性化B細胞の核因子κ軽鎖エンハンサー)、およびMCP-I (単球走化性タンパク質-1)を合成し、放出する。次に、これらの放出されたサイトカインは、感染部位にさらにより多くの免疫細胞を集め、免疫系の反応を増幅して外来病原体から宿主を守る。
【0008】
樹状細胞は造血骨髄前駆細胞由来である。該前駆細胞は最初に未成熟樹状細胞に変化する。該細胞は、高いエンドサイトーシス活性と低いT細胞活性化能を特徴とする。未成熟樹状細胞は、常に周囲環境の外来病原体についてサンプリングする。これは、病原体のサブセットにみいだされる特異的な化学的サインを認識するパターン認識レセプター、例えばトール様レセプター (TLR)によって行われる。未成熟樹状細胞は、提示可能な抗原と接触すると、活性化して成熟樹状細胞になり、リンパ節に移動し始める。未成熟樹状細胞は、病原体を貪食し、そのタンパク質を小片に分解し、成熟すると該断片をMHC分子を用いてその細胞表面に提示する。同時に、該細胞はT細胞活性化において共働レセプター(coreceptor)として作用する細胞表面レセプターを上方調節する。リンパ節に入ると、該細胞は、非抗原特異的共刺激シグナルと共に、病原体由来の抗原を提示することによりヘルパーT細胞、キラーT細胞、およびB細胞の活性化において抗原提示細胞として働く。
【0009】
ほとんどの哺乳動物のmiRNAの生物学的役割とin vivoでの機能はまだあまり解っておらず、なぜどのようにmiRNAが無秩序になるかの根本的メカニズムはほとんど解っていない。
【0010】
グルココルチコイド(「コルチコステロイド」または「ステロイド薬」ともいう)および非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、今日、急性炎症を含むある範囲の炎症性病状に対する最も有効な臨床的治療の一つである。
【0011】
しかしながら、これらの薬剤は、患者の健康全般を脅かす副作用を有しうる。
【0012】
自己免疫疾患、炎症性障害、および癌または異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候の安全で有効な治療方法の開発が依然として必要である。本発明は、そのような疾患および障害を治療するための組成物および方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
(発明の目的)
本発明の態様の目的は、自己免疫疾患、炎症性障害、および癌、または限定されるものではないが、不妊、精子産生の減少、習慣性流産、および大腸炎を含む異常細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候を治療するのに適した組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要約)
本発明者らは、特異的miRNAが体液またはその成分中で細胞または細胞成分が活性化するか刺激されると該体液またはその成分中で上方調節されること、およびmiRNAを含む組成物は、身体における疾患、障害、または機能不全の症状、例えば、炎症に関連する病状、免疫系の疾患、例えば免疫系の望ましくない活性化、および/または癌または異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候を治療または軽減するのに用いることができることをみいだした。
【0015】
第1の局面において、本発明は、医薬を製造するための、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む組成物であって、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される組成物に関する。
【0016】
第2の局面において、本発明は、以下からなるリストから選ばれる兆候を治療するための、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む組成物であって、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される組成物に関する:炎症に関連した疾患もしくは障害、免疫系の疾患、例えば免疫系の望ましくない活性化、癌、または異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候、例えば白血球、慢性炎症、歯周病(paradontosis)、習慣性流産、潰瘍性大腸炎、リウマチ性多発性筋痛、むち打ち症関連障害、子宮内膜症、例えば腺筋症、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、糖尿病、例えばI型糖尿病、AIDS/HIV、骨粗しょう症、乾癬、および創傷治癒、生殖器系の病状、例えば低精子産生、配偶子もしくはその派生物の炎症性もしくは変性性病状、セルトリ細胞唯一症候群の発現、およびヒトおよび動物における胎児の流産。
【0017】
この他に、本発明の組成物は、染色体異常、腹腔内の炎症性病状、または卵巣の変性疾患などの病状における卵巣の原始卵胞の発達を促す効果を有しうる。
【0018】
第3の局面において、本発明は、以下の工程を含む、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む組成物であって、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される組成物の製造方法に関する:
a) 該体液またはその成分を哺乳動物から回収し、
b) 回収した体液またはその成分を、増加した表面積と接触させてインキュベーションし、
c) 工程b)後に産生される該体液を回収し、所望により該miRNAを精製する。
【0019】
ある態様において、該体液またはその成分は、工程b)において24時間以上、例えば48時間以上、例えば60時間以上、72時間、84時間、96時間、120時間、または150時間インキュベーションされる。
【0020】
さらなる局面において、本発明は、以下の工程を含む、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む組成物であって、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される組成物の製造方法に関する:
a) 該体液またはその成分を哺乳動物から回収し、
b) 回収した体液またはその成分を、増加した表面積と接触させてインキュベーションし、
c) 該体液またはその成分中の上方調節された1またはそれ以上のmiRNAを同定し、
d) 工程c)で同定された1またはそれ以上のmiRNA分子を単離された形で得、次いでこれを該組成物に加える。
【0021】
さらなる局面において、本発明は以下を含む部分のキットに関する:
a) 治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される、組成物を製造するための、所望により誘導物質を含む容器を含む装置、
b) 本発明の方法に従って用いるための指示書、および
c) 所望により磁性ナノ粒子の調製物、例えばポリエチレンイミン (PEI)コートした鉄磁性ナノ粒子。
【0022】
ある態様において、該容器は、内部空間の周囲に連続的に形成された壁構造、および体液またはその成分を内部空間に注射するための壁の上端に設けられた入り口を有する。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、炎症に関連した疾患もしくは障害、免疫系の疾患の症状、例えば免疫系の望ましくない活性化、および/または癌または異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候を治療または軽減するための方法であって、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される、組成物を該治療を必要とする対象に投与することを含む方法に関する。
【0024】
ある態様において、本発明の治療方法は、さらにmiRNA分子が結合している磁性ナノ粒子の調製物を含む該組成物の投与後に、疾患部位またはその近く、例えば腫瘍またはその周囲にin vivoで磁石を置く工程を含む。
【0025】
さらなる局面において、本発明は、mirRNAを体内に導入するためのウイルスベクターを用いて自己免疫疾患または不適切な細胞増殖もしくは反応による疾患の症状を治療または軽減するための方法に関する。
【0026】
さらなる局面において、本発明は、注射用の2つのゴムポートと圧を均等にするための小さな穴を含む遠心分離に適した60ml容器(ここで、該容器は2〜25gのガラスビーズ(1〜8mm、例えば4mm)を含むか含まない)からなる本発明の方法に適した装置に関する。表面積を増加させるためのビーズ以外の手段を用いることができる。
【0027】
他の可能性がある適切な装置はEP0740964、EP1638691、WO2008097230、EP1093390、またはEP1549552のいずれかに記載されており、該装置は、miRNAの産生を刺激するためのビーズを有する上清を回収するためのチャンバー、またはmiRNAの産生を刺激する表面構造を有する上清を回収するためのチャンバー中に予め充填されている。
【0028】
さらなる局面において、本発明は、本明細書に記載されているか、またはEP0740964、EP1638691、WO2008097230、EP1093390、またはEP1549552のいずれかに記載されている可能性がある容器中で活性化される血液調製物の活性化方法であって、該装置が、miRNAの産生を刺激するためのビーズを有する上清を回収するためのチャンバー、またはmiRNAの産生を刺激する表面構造を有する上清を回収するためのチャンバー中に予め充填されている方法に関する。
(発明の詳細な説明)
【0029】
本発明者らは、単球を含む体液の表面上で活性化、例えば刺激するとある種のmiRNAが上方調節されることをみいだした。本発明者らは、そのような活性化体液を、種々の兆候、例えば、炎症に関連する疾患または障害、免疫系の疾患、例えば免疫系の望ましくない活性化、癌または異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候の治療に用いることができることもみいだした。
【0030】
したがって、本発明者らは、治療的有効量のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む組成物を製造することができることをみいだした。
【0031】
ある態様において、miRNAは以下からなるリストから選ばれる:hsa-let-7a、hsa-let-7a-1、hsa-let-7a-2、hsa-let-7a-3、hsa-let-7b、hsa-let-7b*、hsa-let-7c、hsa-let-7d、hsa-let-7d*、hsa-let-7e、hsa-let-7e*、hsa-let-7f、hsa-let-7f-1、hsa-let-7f-2、hsa-let-7g、hsa-let-7i、hsa-miR-1、hsa-miR-1-2、hsa-miR-100、hsa-miR-100-1、hsa-miR-100-2、hsa-miR-101、hsa-miR-101-1、hsa-miR-101a、hsa-miR-101b-2、hsa-miR-102、hsa-miR-103、hsa-miR-103-1、hsa-miR-103-2、hsa-miR-104、hsa-miR-105、hsa-miR-106a、hsa-miR-106a-1、hsa-miR-106b、hsa-miR-106b-1、hsa-miR-107、hsa-miR-10a、hsa-miR-10b、hsa-miR-122a、hsa-miR-1228*、hsa-miR-123、hsa-miR-124a、hsa-miR-124a-1、hsa-miR-124a-2、hsa-miR-124a-3、hsa-miR-125a、hsa-miR-125b、hsa-miR-125b-1、hsa-miR-125b-2、hsa-miR-126、hsa-miR-126-5p、hsa-miR-126*、hsa-miR-127、hsa-miR-128a、hsa-miR-128b、hsa-miR-129、hsa-miR-129-1、hsa-miR-129-2、hsa-miR-130、hsa-miR-130a、hsa-miR-130a-1、hsa-miR-130b、hsa-miR-130b-1、hsa-miR-132、hsa-miR-133a、hsa-miR-133b、hsa-miR-134、hsa-miR-135a、hsa-miR-135b、hsa-miR-136、hsa-miR-137、hsa-miR-138、hsa-miR-138-1、hsa-miR-138-2、hsa-miR-139、hsa-miR-139-5p、hsa-miR-140、hsa-miR-140*、hsa-miR-141、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-142-5p、hsa-miR-143、hsa-miR-144、hsa-miR-144*、hsa-miR-145、hsa-miR-146a、hsa-miR-146a*、hsa-miR-146b、hsa-miR-147、hsa-miR-148a、hsa-miR-148b、hsa-miR-149、hsa-miR-15、hsa-miR-150、hsa-miR-151、hsa-miR-151*、hsa-miR-152、hsa-miR-153、hsa-miR-154、hsa-miR-154*、hsa-miR-155、hsa-miR-15a、hsa-miR-15a-2、hsa-miR-15b、hsa-miR-16、hsa-miR-16-1、hsa-miR-16-2、hsa-miR-16a、hsa-miR-164、hsa-miR-170、hsa-miR-172a-2、hsa-miR-17、hsa-miR-17-3p、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-17-92、hsa-miR-18、hsa-miR-18a、hsa-miR-18b、hsa-miR-18a*、hsa-miR-181a、hsa-miR-181a-1、hsa-miR-181a-2、hsa-miR-181a*、hsa-miR-181a-1*、hsa-miR-181b、hsa-miR-181b-1、hsa-miR-181b-2、hsa-miR-181c、hsa-miR-181d、hsa-miR-182、hsa-miR-182*、hsa-miR-183、hsa-miR-184、hsa-miR-185、hsa-miR-186、hsa-miR-188、hsa-miR-189、hsa-miR-190、hsa-miR-191、hsa-miR-192、hsa-miR-192-1、hsa-miR-192-2、hsa-miR-192-3、hsa-miR-193a、hsa-miR-193b、hsa-miR-194、hsa-miR-195、hsa-miR-195*、hsa-miR-196a、hsa-miR-196a-2、hsa-miR-196b、hsa-miR-197、hsa-miR-198、hsa-miR-199a、hsa-miR-199a-1、hsa-miR-199a-1-5p、hsa-miR-199a-2、hsa-miR-199a-2-5p、hsa-miR-199a-3p、hsa-miR-199b、hsa-miR-199b-5p、hsa-miR-19a、hsa-miR-19b、hsa-miR-19b-1、hsa-miR-19b-2、hsa-miR-200a、hsa-miR-200b、hsa-miR-200c、hsa-miR-202、hsa-miR-203、hsa-miR-204、hsa-miR-205、hsa-miR-206、hsa-miR-207、hsa-miR-208、hsa-miR-20a、hsa-miR-20b、hsa-miR-21、hsa-miR-210、hsa-miR-211、hsa-miR-212、hsa-miR-213、hsa-miR-214、hsa-miR-215、hsa-miR-216、hsa-miR-217、hsa-miR-218、hsa-miR-218-2、hsa-miR-219、hsa-miR-219-1、hsa-miR-22、hsa-miR-220、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-223、hsa-miR-224、hsa-miR-23a、hsa-miR-23b、hsa-miR-24、hsa-miR-24-1、hsa-miR-24-2、hsa-miR-25、hsa-miR-26a、hsa-miR-26a-1、hsa-miR-26a-2、hsa-miR-26b、hsa-miR-27a、hsa-miR-27b、hsa-miR-28、hsa-miR-296、hsa-miR-298、hsa-miR-299-3p、hsa-miR-299-5p、hsa-miR-29a、hsa-miR-29a-2、hsa-miR-29b、hsa-miR-29b-1、hsa-miR-29b-2、hsa-miR-29c、hsa-miR-301、hsa-miR-302、hsa-miR-302a、hsa-miR-302b、hsa-miR-302b*、hsa-miR-302c、hsa-miR-302c*、hsa-miR-302d、hsa-miR-30a、hsa-miR-30a-3p、hsa-miR-30a-5p、hsa-miR-30b、hsa-miR-30b*、hsa-miR-30c、hsa-miR-30c-1、hsa-miR-30d、hsa-miR-30e、hsa-miR-30e*、hsa-miR-30e-5p、hsa-miR-31、hsa-miR-32、hsa-miR-32*、hsa-miR-320、hsa-miR-320-2、hsa-miR-320a、hsa-miR-323、hsa-miR-324-3p、hsa-miR-324-5p、hsa-miR-325、hsa-miR-326、hsa-miR-328、hsa-miR-328-1、hsa-miR-33、hsa-miR-330、hsa-miR-331、hsa-miR-335、hsa-miR-337、hsa-miR-337-3p、hsa-miR-338、hsa-miR-338-5p、hsa-miR-339、hsa-miR-339-5p、hsa-miR-34a*、hsa-miR-340、hsa-miR-340*、hsa-miR-341、hsa-miR-342、hsa-miR-342-3p、hsa-miR-345、hsa-miR-346、hsa-miR-347、hsa-miR-34a、hsa-miR-34b、hsa-miR-34c、hsa-miR-351、hsa-miR-352、hsa-miR-361、hsa-miR-362、hsa-miR-363、hsa-miR-355、hsa-miR-365、hsa-miR-367、hsa-miR-368、hsa-miR-369-5p、hsa-miR-370、hsa-miR-371、hsa-miR-372、hsa-miR-373、hsa-miR-373*、hsa-miR-374、hsa-miR-375、hsa-miR-376a、hsa-miR-376b、hsa-miR-377、hsa-miR-378、hsa-miR-379、hsa-miR-381、hsa-miR-382、hsa-miR-383、hsa-miR-409-3p、hsa-miR-419、hsa-miR-422a、hsa-miR-422b、hsa-miR-423、hsa-miR-424、hsa-miR-429、hsa-miR-431、hsa-miR-432、hsa-miR-432*、hsa-miR-433、hsa-miR-449a、hsa-miR-451、hsa-miR-452、hsa-miR-483、hsa-miR-483-3p、hsa-miR-484、hsa-miR-485-5p、hsa-miR-485-3p、hsa-miR-486、hsa-miR-487b、hsa-miR-451、hsa-miR-452、hsa-miR-452*、hsa-miR-491、hsa-miR-492、hsa-miR-493-3p、hsa-miR-493-5p、hsa-miR-494、hsa-miR-495、hsa-miR-497、hsa-miR-498、hsa-miR-5、hsa-miR-501、hsa-miR-503、hsa-miR-508、hsa-miR-509、hsa-miR-510、hsa-miR-511、hsa-miR-512-5p、hsa-miR-513、hsa-miR-513-1、hsa-miR-513-2、hsa-miR-515-3p、hsa-miR-516-5p、hsa-miR-516-3p、hsa-miR-518a-2*、hsa-miR-518b、hsa-miR-518c*、hsa-miR-519a、hsa-miR-519d、hsa-miR-520c、hsa-miR-521、hsa-miR-524*、hsa-miR-525*、hsa-miR-532-5p、hsa-miR-539、hsa-miR-542-3p、hsa-miR-542-5p、hsa-miR-550、hsa-miR-551a、hsa-miR-561、hsa-miR-563、hsa-miR-565、hsa-miR-572、hsa-miR-582、hsa-miR-584、hsa-miR-594、hsa-miR-595、hsa-miR-598、hsa-miR-600、hsa-miR-601、hsa-miR-602、hsa-miR-605、hsa-miR-608、hsa-miR-611、hsa-miR-612、hsa-miR-615、hsa-miR-615-3p、hsa-miR-622、hsa-miR-627、hsa-miR-628、hsa-miR-635、hsa-miR-637、hsa-miR-638、hsa-miR-642、hsa-miR-648、hsa-miR-652、hsa-miR-654、hsa-miR-657、hsa-miR-658、hsa-miR-659、hsa-miR-662、hsa-miR-663、hsa-miR-7、hsa-miR-7-1、hsa-miR-7-1*、hsa-miR-7-2、hsa-miR-7-3、hsa-miR-708、hsa-miR-765、hsa-miR-769-3p、hsa-miR-802、hsa-miR-885-3p、hsa-miR-9、hsa-miR-9-1、hsa-miR-9-3、hsa-miR-9*、hsa-miR-9-3p、hsa-miR-92、hsa-miR-92-1、hsa-miR-92-2、hsa-miR-9-2、hsa-miR-92、hsa-miR-92a、hsa-miR-93、hsa-miR-95、hsa-miR-96、hsa-miR-98、hsa-miR-99a、およびhsa-miR-99b、ならびにそれらの変異体。
【0032】
ある態様において、miRNAは以下からなるリストから選ばれる:hsa-Let-7a、hsa-Let-7b、hsa-Let-7b*、hsa-Let-7c、hsa-Let-7d、hsa-Let-7d*、hsa-Let-7e、hsa-Let-7f 、hsa-Let-7f*、hsa-Let-7g、hsa-Let-7g*、hsa-Let-7i、hsa-miR-103、hsa-miR-106A、hsa-miR-106B、hsa-miR-107、hsa-miR-125A、hsa-miR-125B、hsa-miR-126、hsa-miR-128、hsa-miR-130A、hsa-miR-130B、hsa-miR-140-3P、hsa-miR-140-5P、hsa-miR-142-3P、hsa-miR-142-5P、hsa-miR-143、hsa-miR-144、hsa-miR-146A、hsa-miR-148A、hsa-miR-148B、hsa-miR-150、hsa-miR-151-3P、hsa-miR-151-5P、hsa-miR-152、hsa-miR-15A、hsa-miR-15B、hsa-miR-16、hsa-miR-15B*、hsa-miR-17、hsa-miR-181A、hsa-miR-185、hsa-miR-186、hsa-miR-18A、hsa-miR-18A*、hsa-miR-18B、hsa-miR-192、hsa-miR-191、hsa-miR-194、hsa-miR-197、hsa-miR-1979、hsa-miR-19A、hsa-miR-19B、hsa-miR-20A、hsa-miR-20B、hsa-miR-21、hsa-miR-205、hsa-miR-210、hsa-miR-215、hsa-miR-22、hsa-miR-22*、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-223、hsa-miR-223*、hsa-miR-23A、hsa-miR-23B、hsa-miR-24、hsa-miR-25、hsa-miR-26A、hsa-miR-26B、hsa-miR-27A、hsa-miR-27B、hsa-miR-28-5P、hsa-miR-29A、hsa-miR-29B、hsa-miR-29C、hsa-miR-30A、hsa-miR-301A、hsa-miR-30B、hsa-miR-30C、hsa-miR-30D、hsa-miR-30E、hsa-miR-320A、hsa-miR-320B、hsa-miR-324-3P、hsa-miR-326、hsa-miR-328、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-339-5P、hsa-miR-33A、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-365、hsa-miR-378、hsa-miR-423-3P、hsa-miR-423-5P、hsa-miR-424、hsa-miR-425、hsa-miR-451、hsa-miR-484、hsa-miR-486-5P、hsa-miR-505、hsa-miR-502-3P、hsa-miR-590-5P、hsa-miR-628-3P、hsa-miR-652、hsa-miR-660、hsa-miR-720、hsa-miR-92A、hsa-miR-92B、hsa-miR-93、hsa-miR-93*、hsa-miR-99A、hsa-miR-99B、hsa-miR-103-2*、hsa-miR-106B*、hsa-miR-133A、hsa-miR-133B、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-340、hsa-miR-34A、hsa-miR-34B、hsa-miR-376A、hsa-miR-532-3P、hsa-miR-125A-5P、hsa-miR-154、hsa-miR-196B、hsa-miR-1979、hsa-miR-326、hsa-miR-425*、hsa-miR-127-3P、hsa-miR-1537、hsa-miR-183、hsa-miR-29B-2*、hsa-miR-339-3P、hsa-miR-551A、hsa-miR-629、hsa-miR-766、hsa-miR-2110、hsa-miR-361-3P、hsa-miR-501-5P、hsa-miR-940、hsa-miR-1249、hsa-miR-132、hsa-miR-1538、hsa-miR-149、hsa-miR-125a-5P、hsa-miR-132、hsa-miR-155、hsa-miR-182、hsa-miR-324-5P、hsa-miR-331-3P、hsa-miR-335、hsa-miR-374b、およびhsa-miR-532-5P、ならびにそれらの変異体。
【0033】
ある態様において、miRNAはLet-7ファミリーのメンバーまたはその変異体である。
【0034】
ある態様において、本発明の組成物は、さらに以下からなる群から選ばれるmiRNAを含む:hsa-miR-7、hsa-Let-7a、hsa-Let-7b、hsa-Let-7b*、hsa-Let-7c、hsa-Let-7d、hsa-Let-7d*、hsa-Let-7e、hsa-Let-7f 、hsa-Let-7f*、hsa-Let-7g、hsa-Let-7g*、hsa-Let-7i、hsa-miR-103、hsa-miR-106A、hsa-miR-106B、hsa-miR-107、hsa-miR-125A、hsa-miR-125B、hsa-miR-126、hsa-miR-128、hsa-miR-130A、hsa-miR-130B、hsa-miR-140-3P、hsa-miR-140-5P、hsa-miR-142-3P、hsa-miR-142-5P、hsa-miR-143、hsa-miR-144、hsa-miR-146A、hsa-miR-148A、hsa-miR-148B、hsa-miR-150、hsa-miR-151-3P、hsa-miR-151-5P、hsa-miR-152、hsa-miR-15A、hsa-miR-15B、hsa-miR-16、hsa-miR-15B*、hsa-miR-17、hsa-miR-181A、hsa-miR-185、hsa-miR-186、hsa-miR-18A、hsa-miR-18A*、hsa-miR-18B、hsa-miR-192、hsa-miR-191、hsa-miR-194、hsa-miR-197、hsa-miR-1979、hsa-miR-19A、hsa-miR-19B、hsa-miR-20A、hsa-miR-20B、hsa-miR-21、hsa-miR-205、hsa-miR-210、hsa-miR-215、hsa-miR-22、hsa-miR-22*、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-223、hsa-miR-223*、hsa-miR-23A、hsa-miR-23B、hsa-miR-24、hsa-miR-25、hsa-miR-26A、hsa-miR-26B、hsa-miR-27A、hsa-miR-27B、hsa-miR-28-5P、hsa-miR-29A、hsa-miR-29B、hsa-miR-29C、hsa-miR-30A、hsa-miR-301A、hsa-miR-30B、hsa-miR-30C、hsa-miR-30D、hsa-miR-30E、hsa-miR-320A、hsa-miR-320B、hsa-miR-324-3P、hsa-miR-326、hsa-miR-328、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-339-5P、hsa-miR-33A、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-365、hsa-miR-378、hsa-miR-423-3P、hsa-miR-423-5P、hsa-miR-424、hsa-miR-425、hsa-miR-451、hsa-miR-484、hsa-miR-486-5P、hsa-miR-505、hsa-miR-502-3P、hsa-miR-590-5P、hsa-miR-628-3P、hsa-miR-652、hsa-miR-660、hsa-miR-720、hsa-miR-92A、hsa-miR-92B、hsa-miR-93、hsa-miR-93*、hsa-miR-99A、hsa-miR-99B、hsa-miR-103-2*、hsa-miR-106B*、hsa-miR-133A、hsa-miR-133B、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-340、hsa-miR-34A、hsa-miR-34B、hsa-miR-376A、hsa-miR-532-3P、hsa-miR-125A-5P、hsa-miR-154、hsa-miR-196B、hsa-miR-1979、hsa-miR-326、hsa-miR-425*、hsa-miR-127-3P、hsa-miR-1537、hsa-miR-183、hsa-miR-29B-2*、hsa-miR-339-3P、hsa-miR-551A、hsa-miR-629、hsa-miR-766、hsa-miR-2110、hsa-miR-361-3P、hsa-miR-501-5P、hsa-miR-940、hsa-miR-1249、hsa-miR-132、hsa-miR-1538、およびhsa-miR-149、hsa-miR-125a-5P、hsa-miR-132、hsa-miR-155、hsa-miR-182、hsa-miR-324-5P、hsa-miR-331-3P、hsa-miR-335、hsa-miR-374b、およびhsa-miR-532-5P、hsa-miR-320a、hsa-miR-130a、hsa-miR-320c、hsa-miR-628-3p、hsa-miR-637、hsa-miR-320b、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-943、hsa-miR-185*、hsa-miR-340*、hsa-miR-744、hsa-miR-638、hsa-miR-585、hsa-miR-26b、hsa-miR-485-3p、hsa-miR-103、hsa-miR-146b-5p、hsa-miR-642、hsa-miR-146a、hsa-let-7a、hsa-let-7f、hsa-miR-200b*、hsa-miR-320d、hsa-let-7d、hsa-miR-1282、hsa-miR-124、hsa-miR-602、hsa-let-7g、hsa-miR-221、hsa-miR-25*、hsa-miR-1184、hsa-miR-663、hsa-miR-93、hsa-miR-30b*、hsa-miR-124*、hsa-miR-22、hsa-miR-1281、hsa-miR-1237、hsa-miR-34b、hsa-miR-1290、hsa-miR-193b*、hsa-miR-526b、hsa-miR-622、hsa-miR-191、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-92a、hsa-miR-1280、hsa-miR-1236、hsa-miR-30c、hsa-miR-877*、hsa-miR-548n、hsa-miR-1249、hsa-let-7i、hsa-miR-1224-3p、hsa-miR-17、hsa-miR-300、hsa-miR-193a-5p、hsa-let-7d*、hsa-miR-24、hsa-miR-518c*、hsa-miR-222、hsa-miR-664、hsa-miR-130b、hsa-miR-625*、hsa-miR-593、hsa-miR-885-5p、hsa-miR-505*、hsa-miR-491-3p、hsa-miR-421、hsa-miR-7、hsa-miR-106a、hsa-miR-99b*、hsa-miR-1300、hsa-miR-92b、hsa-miR-30d、hsa-miR-720、hsa-miR-1260、hsa-miR-425、hsa-miR-939、hsa-miR-30a、hsa-miR-30e、hsa-miR-654-5p、hsa-miR-509-5p、hsa-miR-1826、およびそれらの変異体。
(定義)
【0035】
本明細書で用いている用語「miRNA」または「miR」または「マイクロRNA」は、コーディングRNAとハイブリダイズし、その発現を調節する長さ17〜25核酸塩基の非コーディングRNAを意味する。17〜25ヌクレオチドのmiRNA分子は、天然プロセシング経路(例えば、完全な細胞または細胞溶解物を用いる)によるか、または合成プロセシング経路(例えば、単離されたプロセシング酵素、例えば単離されたDicer、Argonaut、またはリボヌクレアーゼIIIを用いる)によりmiRNA前駆体から得ることができる。該17〜25ヌクレオチドのRNA分子は、miR前駆体からプロセシングされずに生物学的もしくは化学的合成により直接製造することもできると理解される。
【0036】
本明細書で用いている用語「miRNA分子」は、miRNAを表すあらゆる核酸分子を表す。この定義には、天然miRNA分子、プレmiRNA、プリmiRNA、核酸配列が天然型と同一なmiRNA分子、および1またはそれ以上の核酸が1またはそれ以上のDNAヌクレオチドおよび/または核酸類似体で置換されているか、または表される核酸配列が含まれる。miRNA分子は、本明細書においてmiRNAをコードする核酸分子または単に核酸分子ということがある。
【0037】
本明細書で用いている用語「miR前駆体」、「プレmiRNA」、または「プレmiR」は、miRNAを含む、ヘアピン構造を有する非コーディングRNAを意味する。ある態様において、プレmiRNAは、Droshaとして知られる二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼによる一次miRNA転写物または「プリmiR」の開裂産物であるが、プレmiRNAは、プリmiRからプロセシングされることなく生物学的または化学的に合成することにより直接製造することもできる。
【0038】
用語「体液またはその成分」は、哺乳動物の身体から得ることができるあらゆる液体またはそれ由来の成分を表す。この定義内には、脳脊髄液、血液、例えば循環系もしくは臍帯由来の血液、血清、リンパ液、血漿、胸腔浸出液、腹腔浸出液、骨髄浸出液、細胞外液、関節液、羊水が含まれる。この定義内には、細胞、例えば造血幹細胞またはin vitro細胞培養、例えば単球の細胞培養、ならびにエキソソームもしくは体液由来の他の構造物も含まれる。
【0039】
本明細書で用いている用語「順化細胞培地」は、細胞を、例えばin vitro培養により一定時間培養した培地、例えば増殖培地を表す。培養時間は、1、2、4、8、16、24、48、72時間、または細胞が生存し、安定している限りである。
【0040】
好ましい態様において、本発明によれば体液は、白血球、例えば単球、および樹状細胞を含む。
【0041】
骨髄浸出液は、一定量の骨髄(例えば腰由来)を針で除去する骨髄吸引により得ることができる。針を骨の最上層を貫いて配置し、骨髄細胞を含む液体試料をシリンジに吸引して得る。骨髄浸出液をさらに遠心分離して血液細胞を含む分画を得ることができる。
【0042】
ある態様において、体液は、血液、例えば末梢血、または血液由来のあらゆる成分、例えば単球である。
【0043】
本明細書で用いている用語「活性化」、「活性化した」、または「順化した(conditioned)」は、体液またはその成分をin vitroまたはin vivoで一定時間、血液調製物の白血球、例えば単球、または樹状細胞の免疫反応を引き起こすことができる表面などの表面を含む容器中で処理することを表す。ある態様において、全血を、増強物質に暴露するか、または増強物質を発現する刺激により活性化する。
【0044】
本明細書で用いている用語「自己(autologous)」は、それが由来した同じ個体に投与される組成物の調製物を表す。好ましい態様において、該組成物は、治療を必要とする哺乳動物に対して自己である。
【0045】
本明細書で用いている用語「症状を軽減する」は、病状または疾患の少なくとも1の指標の重症度を弱めることを意味する。ある態様において、症状を軽減するには、病状または疾患の1またはそれ以上の指標の進行を遅延または遅くすることが含まれる。指標の重症度は、当業者に知られている主観的または客観的手段により決定することができる。
【0046】
本発明の文脈において、用語「治療(処置)」には、炎症に関連して予期される病状、免疫系の疾患、例えば免疫系の望ましくない活性化、癌もしくは異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候の予防が含まれる。
【0047】
すなわち、本発明の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体の予防的投与は用語「治療(処置)」に含まれる。
【0048】
本明細書で用いている用語「対象」は、あらゆる動物、具体的には哺乳動物、例えばヒトを意味することを意図し、適切であれば用語「患者」と互換性に用いることができる。
【0049】
本明細書で用いている用語「癌」には、限定されるものではないが、固形腫瘍および血液由来腫瘍(白血病およびリンパ腫を含む)が含まれる。用語「癌」は、皮膚、組織、器官、骨、軟骨、血液、および脈管の疾患を表す。用語「癌」には、さらに原発癌と転移癌が含まれる。
マイクロRNA
【0050】
本発明は、炎症に関連した疾患もしくは障害、免疫系の疾患、例えば免疫系の望ましくない活性化、癌または異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候からなるリストから選ばれる兆候の治療におけるmiRNA分子の使用に関連する組成物および方法を指向する。
【0051】
miRNA活性を破壊することなくmiRNAまたはプレmiRNAもしくはプリmiRNAの配列を修飾することができることは当該分野でよく知られている。本明細書で用いているmiRNA配列の用語「機能的変異体」は、天然miRNA配列から変化しているが、miRNAの1またはそれ以上の機能的特性(例えば、細胞増殖の阻害、癌細胞のアポトーシスの誘導、化学療法剤に対する癌細胞の感受性の増強、特異的miRNA標的阻害)を保持するオリゴヌクレオチド配列を表す。ある態様において、「機能的変異体」は、例えば1または2個の置換、付加、欠失、またはそれらの組み合わせのような1または2個のヌクレオチドが変化しているmiRNAを表す。ある態様において、miRNA配列の機能的変異体は、miRNAの機能的特性のすべてを保持する。ある態様において、miRNAの機能的変異体は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはそれ以上の核酸塩基の領域にわたりmiRNAまたはその前駆体と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸塩基配列を有するか、または機能的変異体はストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でmiRNAまたはその前駆体とハイブリダイズする。したがって、ある態様において、機能的変異体の核酸配列は、miRNAの1またはそれ以上の標的配列とハイブリダイズすることができる。
【0052】
本明細書に記載のあらゆる核酸塩基配列は、糖部分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基に対するあらゆる修飾と無関係であると理解される。さらに、Uを含む核酸塩基配列は、「U」が「U」を有する1またはそれ以上の位置で「T」で置換されている同じ核酸塩基配列も含むと理解される。反対に、「T」を含む核酸塩基配列は、「T」が「T」を有する1またはそれ以上の位置で「U」で置換している同じ核酸塩基配列も含むと理解される。
【0053】
本明細書に記載の核酸塩基配列miRNAおよびそれに対応するステムループ配列は、miRNA配列のオンライン検索可能なデータベースであるmiRBaseおよび注釈(http://microrna.sanger.ac.uk/)に記載されている。miRBase配列データベースの記載事項は、成熟miRNA配列の位置および配列の情報、およびmiRNA転写物の推定ヘアピン部分(該ステムループ)を示す。該データベース中のmiRNAステムループ配列は、厳密には前駆体miRNA(プレmiRNA)ではなく、場合により、プレmiRNAおよび推定一次転写物由来のいくつかのフランキング配列を含みうる。本明細書に記載のmiRNA核酸塩基配列は、miRBase配列データベースのリリース10.0に記載の配列およびmiRBase配列データベースのより初期のリリースに記載の配列を含むmiRNAのあらゆるバージョンを含む。配列データベースのリリースは、ある種のmiRNAの改称を生じることがある。配列データベースのリリースは成熟miRNA配列の変動を生じることがある。
【0054】
用語「Let-7 miRNAファミリー」は、hsa-let-7a-1、hsa-let-7a-2、hsa-let-7a-3、hsa-let-7b、hsa-let-7c、hsa-let-7d、hsa-let-7e、hsa-let-7f-1、hsa-let-7f-2、hsa-let-7g、およびhsa-let-7iの種を含むmiRNAのコレクションを表す。
【0055】
本発明は、核酸分子を含む医薬組成物に関する。本明細書で用いている用語「核酸分子」は、DNA分子およびRNA分子、ならびにヌクレオチド類似体を用いて作製したDNAまたはRNAの類似体を含むことを意図する。該核酸分子は、一本鎖または二本鎖、例えば低分子干渉RNA (siRNA)または二本鎖miRNA (dsmiRNA)の形であり得、精製酵素を用いるかまたは化学合成により製造することができる。該核酸分子は、粗であるかまたは精製されていてよい。用語「miRNA」は特記しない限り、成熟miRNA配列を表す。
【0056】
具体的態様において、本発明の核酸分子は、完全長のmiRNAと少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上同一なヌクレオチド配列、またはこれらヌクレオチド配列のいずれかの部分を含む。
【0057】
具体的態様において、本発明の核酸分子は、長さ約100ヌクレオチド以下、長さ約80ヌクレオチド以下、長さ約60ヌクレオチド以下、長さ約40ヌクレオチド以下、長さ約30ヌクレオチド以下、長さ約25ヌクレオチド以下、長さ約23ヌクレオチド以下、長さ約21ヌクレオチド以下、長さ約19ヌクレオチド以下であるヌクレオチド配列を含む。
【0058】
具体的態様において、本発明の核酸分子は、長さが少なくとも約19ヌクレオチド、例えば少なくとも約21ヌクレオチド、例えば少なくとも約23ヌクレオチド、例えば少なくとも約25ヌクレオチド、例えば少なくとも約30ヌクレオチド、例えば少なくとも約40ヌクレオチド、例えば少なくとも約50ヌクレオチド、例えば少なくとも約50ヌクレオチド、例えば少なくとも約60ヌクレオチド、例えば少なくとも約80ヌクレオチド、例えば少なくとも約100ヌクレオチドであるヌクレオチド配列を含む。
【0059】
核酸配列は、RNAまたはDNAであり得、一本鎖または二本鎖であり得、以下からなる群から選ばれ得る:RNAヌクレオチド、DNAヌクレオチド、および核酸類似体、例えばペプチド-核酸 (PNA)、偽相補的PNA (pc-PNA)、ロックド(locked)核酸 (LNA)など。
病状
【0060】
本発明の方法に従って治療することができる疾患または障害は、癌、または悪性もしくは異常な細胞増殖または細胞分裂に関連する他の病状、例えば以下からなるリストから選ばれるものでありうる:急性リンパ芽球性白血病 (ALL)、急性骨髄性白血病 (AML)、急性前骨髄性白血病 (APL)、腺腫、副腎皮質癌、アルコール性肝臓疾患 (ALD)、アルツハイマー病、未分化甲状腺癌 (ATC)、不安障害、喘息、自閉症スペクトラム障害 (ASD)、B細胞性慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、ベッカー型筋ジストロフィー (BMD)、膀胱癌、乳癌、バーキットリンパ腫、心臓肥大、心筋症、小脳神経変性、子宮頸癌、胆管癌、慢性リンパ性白血病 (CLL)、慢性骨髄性白血病 (CML)、慢性膵炎、結腸直腸癌、先天性心疾患、冠動脈疾患、コーデン症候群、皮膚筋炎 (DM)、糖尿病性腎症、下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL)、ダウン症候群 (DS)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、子宮内膜癌、子宮内膜症、サルコイド、上皮性卵巣癌 (EOC)、食道癌、顔面・肩甲・上腕筋ジストロフィー (FSHD)、濾胞性リンパ腫 (FL)、濾胞性甲状腺癌 (FTC)、前頭側頭認知症、胃癌、グリア芽腫、多形性グリア芽腫(GBM)、神経膠腫、糸球体疾患、糸球体硬化症、過誤腫、HBV性肝硬変、HCV感染、頭部・頸部癌、頭部・頸部扁平上皮細胞癌 (HNSCC)、難聴、心不全、肝細胞癌 (HCC)、ホジキンリンパ腫、ホモ接合性鎌状赤血球病 (HbSS)、ハンチントン病 (HD)、高血圧、封入体筋炎 (IBM)、膵島細胞腫、腎臓癌、喉頭癌、2A型肢帯筋ジストロフィー(LGMD2A)、脂肪腫、肺癌、リンパ増殖性疾患、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、 悪性中皮腫 (MM)、マントル細胞リンパ腫 (MCL)、髄芽腫、黒色腫、代謝性疾患、三好ミオパシー(MM)、多発性骨髄腫 (MM)、MYC再編成リンパ腫、骨髄増殖性疾患、筋腫、鼻咽頭癌(NPC)、ネマリンミオパシー (NM),腎炎、神経芽細胞腫(NB)、陳旧性好中球増多症(neutrophiliais_obsolete)、非小細胞肺癌 (NSCLC)、肥満、口腔癌、口腔扁平上皮細胞癌 (OSCC)、卵巣癌 (OC)、膵臓癌、膵管腺癌 (PDAC)、甲状腺乳頭癌(PTC)、パーキンソン病、PFV-1感染、下垂体腺腫、多発性嚢胞腎、多嚢胞肝疾患、陳旧性真性赤血球増加症(polycythemia vera (PV)is_obsolete)、多発性筋炎 (PM)、原発性胆汁性肝硬変 (PBC)、前立腺癌、乾癬、肺性高血圧、再発性卵巣癌、腎明細胞癌、網膜色素変性症 (RP)、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、統合失調症、漿液性卵巣癌 、非皮膚病、脊髄小脳失調、扁平上皮癌、T細胞白血病、奇形腫、精巣性胚細胞腫瘍、地中海貧血、甲状腺癌、舌扁平上皮細胞癌、トゥレット症候群、II型糖尿病、潰瘍性大腸炎 (UC)、子宮平滑筋腫 (ULM)、ぶどう膜メラノーマ、血管疾患、水胞性口炎、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)。
【0061】
ある具体的態様において、本発明の方法に従って治療することができる疾患または障害は、癌、例えば黒色腫またはサルコイドでありうる。
【0062】
本発明の方法に従って治療することができる別の疾患は、AIDS/HIV、例えばHIVのAIDSへの進行の予防であり得る。
【0063】
さらなる他の態様において、本発明の方法に従って治療することができる疾患は、アポトーシス、脂肪代謝、または心臓血管疾患に関連する兆候である。
【0064】
本明細書で用いている用語「歯周病」(「paradentosis」または「periodontitis」)は、口腔内の歯周組織が罹患する炎症性疾患を表す。ある態様において、歯周病は、局所痛、紅斑、腫脹、歯の脱落、および歯周ポケットを伴う。
【0065】
本明細書で用いている用語「習慣性流産」(「流産」としても知られる)は、妊娠第20週以前に子宮から胚または胎児が排出されることにより反復して妊娠が自然停止する病状を表す。本発明の態様において、この病状は原因不明の不妊症とも呼ばれ、本発明により治療される因子の不均衡により子宮内膜に胚盤胞を付着させ、移植することができない。
【0066】
本明細書で用いている用語「潰瘍性大腸炎」(「colitis ulcerosa」または「ulcerative colitis」は、大腸および/または直腸の慢性炎症性疾患を表す。潰瘍性大腸炎は、腹痛、発熱と悪寒、および重篤な下痢の再発性の発現を特徴とすることが多い。
【0067】
本明細書で用いている用語「リウマチ性多発性筋痛」は、頸部、肩帯、および腰帯の激しい痛みと硬直(通常、近位筋群の激しい痛みを生じる)を特徴とする臨床症状を現す。
【0068】
本明細書で用いている用語「むち打ち」または「むち打ち症関連障害」は、首の突然の歪みによるか、それに関連して生じる一定範囲の首の損傷を表す。ある態様において、むち打ちは、交通事故、自転車や馬からの落下、または頭部打撲に関連する。
【0069】
本明細書で用いている用語「子宮内膜症」は、子宮内膜細胞が子宮腔の外側の領域に蓄積する女性の全身病状を表す。子宮腔の外側の領域に蓄積した子宮内膜細胞(子宮内膜症)は、骨盤痛の症状を生じ、不妊をもたらすことがある。
【0070】
ある特定の態様において、本発明にしたがって治療される病状は、子宮内膜症、特に不妊、推定不妊、または妊娠の減少に関連する子宮内膜症である。ある態様において、本発明に従って治療される病状は、原因不明の不妊である。ある態様において、患者は、体外受精(IVF)の処置中または該処置に伴って本発明に従って治療される。
【0071】
本明細書で用いている用語「腺筋症」または「アデノミオーシス」は、子宮内膜細胞が子宮内膜腔の外側の子宮筋層内に蓄積する女性の病状を表す。腺筋症は、出血、疼痛、および不妊をもたらすことがある。
【0072】
ある態様において、該体液またはその成分は、限定されるものではないが、国際特許出願WO06007529、WO07090569、WO03080122、WO0046249、またはWO9909051のいずれかに開示された装置を含む装置中で活性化されるかもしれない。
【0073】
本明細書で用いている用語「誘導物質」または「増強物質」は、抗原提示細胞 (APC)の活性化などの本発明に従って用いる体液調製物の成熟または活性化を誘導するのに用いることができるあらゆる物質または化合物を表す。ある態様において、該誘導物質は、血液調製物の白血球または樹状細胞の免疫反応を誘導または増強することができる生物学的化合物、例えば免疫グロブリンまたは癌細胞である。
【0074】
本明細書で用いている用語「抗凝固剤」は、凝固を抑制するあらゆる物質を表す。この定義には、ワルファリン(クマジン)、アセノクマロール、フェンプロクモン、フェニンジオン、ヘパリン、低分子量ヘパリン、合成第Xa因子阻害剤、例えばフォンダパリヌクスおよびイドラパリヌクス、トロンビン阻害剤、例えば、アルガトロバン、レピルジン、ビバリルジン、およびダビガトランが含まれる。
【0075】
本明細書で用いている用語「多血小板血漿」または「PRP」は、自己血小板などの血小板の濃縮された供給源を表す。PRPは、軟組織の治癒を促進する種々の成長因子(サイトカインを含み、それを(脱顆粒を介して)放出することも知られている。
【0076】
ある態様において、本発明に従って用いる体液は、多血小板血漿 (PRP)と混合した活性化血清調製物である。これは、種々のタイプの医学的障害もしくは病状、例えば、創傷治癒(例えば外科手術に関連する)、腱炎、心疾患治療、軟骨再生、椎間板再生、および口腔衛生に用いることができる。
【0077】
本発明のある非限定的態様において、体液調製物をさらに活性化し、該調製物の抗炎症活性および/または免疫抑制活性を増強する。
【0078】
増強物質は、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、およびNFκBアンタゴニストであってよく、限定されるものではないが、TGF-β、IL-10、CTLA4-Ig、sCD40-Ig、IL-4、IL-13、FasL、IL-1レセプターアンタゴニストタンパク質(IL-1Ra)、vIL-10、sICAM-1、sICAM-3、およびTRAILが含まれる。ある非限定的態様において、該増強物質は、IL-1Ra、IL-10、もしくはIL-4、またはその組み合わせである。
【0079】
所望により、限定されるものではないが、ウイルスまたは細菌由来の抗原を含む特異抗原または特異抗原供給源が知られている場合は、そのような特異抗原や特異抗原供給源(例えば固定もしくは弱毒化感染性物質)を増強物質として培養に加えることができる。
【0080】
本発明のある態様において、末梢血を例えばシリンジを用いて個体から取り出し、次いで、容器に移し、血液を、miRNAの産生を促進するビーズの存在下でインキュベーションして活性化する。あるいはまた、該末梢血をビーズを含む容器中に直接取り出すことができる。次に、血清を回収し、本発明に従って用いることができる。
【0081】
さらなる別の方法では、末梢血を個体から除去し、バフィーコートおよび/または血清を血液調製物から回収し、miRNAの産生を刺激するビーズを含む容器に移す。
【0082】
さらなる別の方法では、末梢血、骨髄調製物、または血液成分を含む他の調製物を個体から取り出すか、または他の方法で得、本明細書に記載の、またはEP0740964、EP1638691、WO2008097230、EP1093390、もしくはEP1549552のいずれかに記載されている可能性がある装置に移す。該装置は、miRNAの産生を促進するためのビーズを含む上清を回収するためのチャンバー、または本発明の方法に従ってmiRNAの産生を促進する清浄表面を含む表面構造を有する上清を回収するためのチャンバーの壁に予め充填する。
【0083】
この目的に用いることができるビーズには、限定されるものではないが、所望によりリンパ球の増殖を刺激する物質、例えばCrSO4で処理した直径0.5〜10mmまたは0.5〜5mmのガラスもしくはプラスチックビーズが含まれる(Mignini et al.、2004、Preventive Med 39(4) 767-775; Rhee et al.、2002、Clin Exp Immunol 127(3):463-469)。直径4mmの医療グレードのガラスビーズを50% CrSO4中でインキュベーションして修飾することができる。処理または非処理ビーズを適切な容器、例えばマイクロタイタープレート、遠心分離チューブ、培養チューブ、またはシリンジ、または本明細書に記載の他の装置中に入れ、次いで滅菌する(例えばオートクレーブまたはガンマ線照射により)。ある態様において、末梢血をビーズ含有容器中に入れ、次いで、所望により5%CO2と共に、37℃で無菌的に、例えば2〜200時間、例えば2〜150時間、または2〜48時間インキュベーションする。次に、例えば4200rpmで10分間遠心分離してビーズ/血液懸濁液から血清を回収する。典型的には、最初の末梢血の全容量の30パーセントを回収することができる。次に、得られたmiRNAを含む血清を-20℃で保存することができる。
【0084】
本発明の関連する具体的な非限定的態様において、増強物質をビーズとインキュベーションする前に、またはその代わりに末梢血試料に加える。例えば、5μg/mlの末梢血を加えることができる。
【0085】
本発明のある非限定的態様において、血清調製物は以下のごとく製造する:末梢血から血清を回収し、所望によりビーズおよび/または増強物質とインキュベーションし、遠心分離して(例えば3000〜5000gで10分間)形成された血液成分を除去し、次いで超遠心分離する(例えば100,000gで1時間)。得られたペレットを生理学的食塩水に再懸濁し、次いで好ましくは滅菌する(例えば、0.2μmフィルターでろ過する)。
【0086】
ある態様において、血液を抗凝固剤、例えばヘパリンまたはクエン酸塩で処理することができる。
【0087】
さらなる態様において、本発明では、容器中で該体液またはその成分を、好ましくは生理学的温度または室温(すなわち20℃〜41℃、特に35〜37℃)で2〜200時間、例えば2〜150時間、例えば2〜100、または2〜72時間、例えば20時間にわたりインキュベーションする。
【0088】
本発明のある形態において、本発明では、体液中の治療的または予防的活性タンパク質または化合物の形成後に、例えば後者の特定の成分、例えば血漿または血小板を除去するためにさらに体液を処理する。
【0089】
本発明のある態様において、この除去は、遠心分離、ろ過、または凝固により凝固因子および/または凝固物質を除去することにより行うことができる。本発明の別の態様において、体液組成物を他の体液または体液成分と混合することができる。したがって、ある特定の態様において、活性化体液組成物、例えば活性化血清調製物を多血小板血漿と混合し、次いで患者に投与する。これは、関節、腱、靱帯、および筋肉に関連する兆候の治療、例えば、筋肉痛、リウマチ性多発性筋痛、およびむち打ち症関連障害の治療に用いるために特に適している。
【0090】
上記のように、本発明は、病状の症状を治療または軽減するための方法、これらの症状を治療または軽減するための医薬を製造するための血清調製物を含む組成物、および医薬の製造におけるこれら組成物の使用に関する。
【0091】
本発明のある局面において、血液調製物は容器内または別の方法で活性化される。ある別の態様において、血液調製物は、他の場所に記載の別の体液で置換される。したがって、ある別の態様において、容器を、体液またはその成分、例えばin vitro細胞培養、骨髄浸出液などで充填するか、または血液調製物を処理するために用いる方法と同様または同じ方法で処理する。ある態様において、該体液は、直接患者からシリンジで採る。
【0092】
ある態様において、バフィーコートを血液調製物から取り出し活性化する。これは、血液調製物の血漿分画の存在下でも非存在下でもよい。ある態様において、血漿を含むか含まないバフィーコートを、表面の活性化中または該活性化前に増殖培地の存在下でインキュベーションする。
【0093】
ある態様において、本発明の組成物は、さらにミセル、小胞、またはリポソームをさらに含み、好ましくはミセル、小胞、リポソームはmiRNAを含む。
【0094】
リポソームは、典型的には、封入された水性容積を含む脂質二重層膜を含む完全に密閉された構造である。リポソームは、水性相により分離された多くの同心円状の脂質二重層(多重膜小胞またはMLV)を含み得るか、または単一膜二重層(単層小胞)を含み得る。脂質二重層は、疎水性「尾部」領域および親水性「頭部」領域を有する2つの脂質単層からなる。膜の二重層において、脂質単層の疎水性(非極性)「尾部」は二重層の中心に向かうが、親水性(極性)「頭部」は水性相に向かう。本明細書に記載のリポソームに用いることができる脂質成分は一般的に文献中に記載されている。一般的には、これらは以下のようなリン脂質である:ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、および/またはスフィンゴ脂質。さらなる成分、例えばステロール、例えばコレステロール、または他の成分、例えば脂肪酸(例えばステアリン酸、パルミチン酸)、ジセチルホスフェート、またはコレステロールヘミスクシネートを用いることができる。さらに、リポソーム膜は保存料も含むことができる。リポソーム膜は、その分散挙動を修飾する成分も含みうる。リポソーム膜には、例えばホスファチジルエタノールアミンのPEG化誘導体、脂質(例えばGM1)、または糖と疎水性成分のコンジュゲート(例えばデキストランのパルミチン酸エステルまたはステアリン酸エステル)が含まれる。
【0095】
リポソームの基本構造は、当該分野で知られた種々の技術により作製することができる。
【0096】
例えば、リポソームは、典型的には有機溶媒に懸濁した脂質を反応容器中で減圧下で蒸発させて乾燥フィルムにするBangham et al.、(1965 J. Mol. Biol.、13: 238-252)の方法を用いて製造される。次に、適切な量の水性相を容器に加え、混合物を撹拌する。次に、混合物を多重膜小胞を形成するのに充分な時間、実質的に静かに放置する。
【0097】
リポソームは、現在利用可能な多くの技術を用いて再現性よく製造することができる。これらの多くの技術を用いて製造することができるリポソームの種類には以下のものが含まれる:小単層小胞 (SUV) [Papahadjapoulous and Miller、Biochem. Biophys. Acta.、135、p. 624-638 (1967)参照]、逆相蒸発小胞 (REV) [米国特許No.4,235,871(1980年11月25日発行)参照]、安定多層小胞 (SPLV) [米国特許No.4,522,803(1985年6月11日発行)参照]、および大単層小胞(同時係属の米国特許出願No.622,690(出願日1984年6月20日)、Cullis et.al.、「Extrusion Technique for Producing Unilamellar Vesicles」に記載の押出成形(extrusion)技術により製造される)。好ましい態様において、リポソームは以下の方法を用いて製造する。リポソームは、それぞれ適切な量の、CDAN、DOPE、およびアミノキシ脂質(CPA)などのストック溶液を硝酸およびジメチルシリルジクロリドで前処理した丸底フラスコ内でピペッティングし、溶媒を蒸発させ、次いで激しくボルテックスしながら乾燥脂質フィルムを水で水和し、多重膜リポソームを生成することにより製造する。
【0098】
単層リポソームは、多重膜リポソームを30分間超音波処理することにより製造することができる。好ましくは、これを約30nmより小さいサイズに達するまで続ける。
(発明の具体的態様)
【0099】
ある態様において、治療的適用に適した組成物を、該組成物が由来する同じ個体を治療するのに用いる(すなわち、例えば血液試料を得、それを活性化した同じヒトに使用する自己使用)。
【0100】
しかしながら、治療的適用に適した組成物は、同じ種の遺伝的に同一でないメンバー、例えば別のヒトに由来してもよい。この場合の体液またはその成分の調製物を同種異系またはホモローガスという。
【0101】
ある態様において、治療的適用に適した組成物は、別の種すなわち異種調製物に由来する。これは同様または密接に関連した哺乳動物由来の異種調製物でありうる。
【0102】
ある好ましい態様において、体液は循環系由来の血液である。
【0103】
ある態様において、体液は有意なレベルの赤血球細胞を含まない血液調製物である。ある態様において、該体液調製物は、例えば活性化の測定可能な作用を有する有意なレベルの完全な単球を含む。
【0104】
ある態様において、体液調製物は、有意なレベルの凝固因子を含まない。「体液調製物」は、ある態様において凝固因子を含みうる。
【0105】
ある態様において、本発明に用いるmiRNAは以下からなる群から選ばれる:hsa-miR-320a、hsa-miR-130a、hsa-miR-320c、hsa-miR-628-3p、hsa-miR-637、hsa-miR-320b、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-943、hsa-miR-185*、hsa-miR-340*、hsa-miR-744、hsa-miR-638、hsa-miR-585、hsa-miR-26b、hsa-miR-485-3p、hsa-miR-103、hsa-miR-146b-5p、hsa-miR-642、hsa-miR-146a、hsa-let-7a、hsa-let-7f、hsa-miR-200b*、hsa-miR-320d、hsa-let-7d、hsa-miR-1282、hsa-miR-124、hsa-miR-602、hsa-let-7g、hsa-miR-221、hsa-miR-25*、hsa-miR-1184、hsa-miR-663、hsa-miR-93、hsa-miR-30b*、hsa-miR-124*、hsa-miR-22、hsa-miR-1281、hsa-miR-1237、hsa-miR-34b、hsa-miR-1290、hsa-miR-193b*、hsa-miR-526b、hsa-miR-622、hsa-miR-191、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-92a、hsa-miR-1280、hsa-miR-1236、hsa-miR-30c、hsa-miR-877*、hsa-miR-548n、hsa-miR-1249、hsa-let-7i、hsa-miR-1224-3p、hsa-miR-17、hsa-miR-300、hsa-miR-193a-5p、hsa-let-7d*、hsa-miR-24、hsa-miR-518c*、hsa-miR-222、hsa-miR-664、hsa-miR-130b、hsa-miR-625*、hsa-miR-593、hsa-miR-885-5p、hsa-miR-505*、hsa-miR-491-3p、hsa-miR-421、hsa-miR-7、hsa-miR-106a、hsa-miR-99b*、hsa-miR-1300、hsa-miR-92b、hsa-miR-30d、hsa-miR-720、hsa-miR-1260、hsa-miR-425、hsa-miR-939、hsa-miR-30a、hsa-miR-30e、hsa-miR-654-5p、hsa-miR-509-5p、hsa-miR-1826、およびそれらの変異体。
【0106】
ある態様において、本発明の組成物は血液産物由来ではない。ある態様において、該組成物は実質的に他の血液由来成分を含まない。
【0107】
ある態様において、該miRNAは活性化すると血液調製物中で上方調節される。
【0108】
ある態様において、該miRNAは所望により誘導物質を含む容器中で活性化されると体液またはその成分中で上方調節される。
【0109】
ある態様において、該miRNAは、球体、ゲル、ガラスウール、顆粒物質、およびポリスチレンもしくはガラスを含む表面構造または粒子からなる群から選ばれる表面上で活性化すると上方調節される。
【0110】
ある態様において、本発明に用いる誘導物質は、球体、ゲル、ガラスウール、顆粒物質、およびポリスチレンもしくはガラスを含む表面構造または粒子からなる群から選ばれる構造上にコーティングされる。ある態様において、該誘導物質は免疫グロブリンを含む。
【0111】
ある態様において、該誘導物質は、自己、同種異系、または異種(ヘテロローガス)腫瘍細胞(例えば103〜107腫瘍細胞/ml組成物)により表される。
【0112】
ある態様において、特定のmiRNA種は、組成物中に、少なくとも約1000、例えば少なくとも約5000、例えば少なくとも約104、例えば少なくとも約5x104、例えば少なくとも約105、例えば少なくとも約5x105、例えば少なくとも約106、例えば少なくとも約5x106、例えば少なくとも約107、例えば少なくとも約5x107、例えば少なくとも約108、例えば少なくとも約5x108フェムトグラム/ml(例えば250ピコグラム/ml以下)の量で存在する。
【0113】
ある態様において、miRNAの全量は、組成物中に、少なくとも約1000、例えば少なくとも約5000、例えば少なくとも約104、例えば少なくとも約5x104、例えば少なくとも約105、例えば少なくとも約5x105、例えば少なくとも約106、例えば少なくとも約5x106、例えば少なくとも約107、例えば少なくとも約5x107、例えば少なくとも約108、例えば少なくとも約5x108フェムトグラム/ml(例えば250ピコグラム/ml)の量で存在する。
【0114】
ある態様において、1またはそれ以上のmiRNAが、組成物中に、活性化されていない組成物中のmiRNAの濃度レベルより高い、少なくとも約50%、例えば少なくとも約100%、例えば少なくとも約200%、例えば少なくとも約300%、例えば少なくとも約400%、例えば少なくとも約500%、例えば少なくとも約600%、例えば少なくとも約700%、例えば少なくとも約800%の濃度で存在する。
【0115】
ある態様において、該組成物は血清由来である。
【0116】
ある態様において、該組成物は正常生理学的レベル、例えばレベル135〜145mEq/Lのナトリウムを有する。
【0117】
ある態様において、該組成物は、さらにリボヌクレアーゼによる分解からmiRNAを保護するための担体タンパク質および/またはミセルおよび/または小胞および/またはリポソームを含む。
【0118】
ある態様において、本発明の該組成物は、さらに磁性ナノ粒子、例えばポリエチレンイミン(PEI)コートした鉄磁性ナノ粒子の調製物を含む。
【0119】
ある態様において、本発明の組成物に用いる核酸分子は合成手段により製造される。
【0120】
ある態様において、miRNA分子を含む組成物は、1またはそれ以上の血清タンパク質、例えば血清アルブミン、免疫グロブリン、フィブリノーゲン、プロトロンビン、α1-アンチトリプシン、α2-マクログロブリン、および他のグロブリン、トランスフェリンを含まない。
【0121】
ある態様において、該核酸分子は測定可能な量で存在する。
【0122】
ある態様において、該組成物中に存在する1またはそれ以上のmiRNA分子は、活性化中に測定可能な量の増加が0.00001〜10000倍、例えば0.00001〜1000倍に上方調節されている。
【0123】
ある態様において、該核酸分子は、親和性増強ヌクレオチド類似体、例えばペプチド核酸 (PNA)、偽相補的PNA (pcPNA)、ロックド核酸 (LNA)、またはその類似体を含む。
【0124】
ある態様において、本発明の該組成物は、異なる少なくとも1〜100、例えば少なくとも2〜50、例えば少なくとも10〜50種のmiRNAを含む。
【0125】
ある態様において、該組成物は、さらにエキソソームの調製物を含む。ある態様において、エキソソームの調製物は、体液またはその成分が由来する同じ患者由来である。ある態様において、エキソソームの調製物はin vitroで製造され、例えばin vitroで培養された細胞由来である。
【0126】
miRNAが豊富化されたエキソソーム調製物は、ExoQuick(登録商標)沈降キットを用いて製造することができる。
【0127】
miRNAはエキソソームの表面上にあるか、またはその中に組み込むことができ、miRNAを分解から保護することができる。
【0128】
ある態様において、該エキソソームは、本発明の核酸分子で豊富化される。
【0129】
ある態様において、本発明の体液またはその成分はin vitro細胞培養、例えば単球細胞培養である。
【0130】
ある態様において、本発明の体液またはその成分は血清調製物である。
【0131】
ある態様において、本発明の体液またはその成分はバフィーコート調製物である。ある態様において、該バフィーコート調製物はさらに血漿分画を含む。ある態様において、血漿分画を含むかまたは含まない該バフィーコート調製物を、本発明に従って活性化する前または活性化中に増殖培地と共にインキュベーションする。
【0132】
ある態様において、本発明の体液またはその成分は全血調製物である。
【0133】
ある態様において、本発明の体液またはその成分は骨髄浸出液由来である。
【0134】
ある態様において、活性化体液またはその成分をさらに血小板豊富化血漿(PRP)と混合する。
【0135】
ある態様において、本発明の体液またはその成分は、さらに該体液またはその成分を抗凝固剤で処理する工程、次いで所望により該体液の所望の部分を単離する分離工程を含む手順で活性化される。
【0136】
ある態様において、本発明の体液またはその成分は、2またはそれ以上の哺乳動物、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、または100以上の哺乳動物から回収される。
【0137】
ある態様において、体液が由来する哺乳動物はヒトである。
【0138】
ある態様において、該哺乳動物は家畜である。
【0139】
ある態様において、本発明の体液またはその成分は、健康な個体から回収する。
【0140】
ある態様において、本発明の体液またはその成分は、病気の個体から回収する。
【0141】
ある態様において、本発明の体液またはその成分は、健康および病気の個体の組み合わせから回収する。
【0142】
ある態様において、1またはそれ以上のmiRNAは、工程b)で活性化されていない組成物中のmiRNAの濃度レベルに比べて、少なくとも約50%、例えば少なくとも約100%、例えば少なくとも約200%、例えば少なくとも約300%、例えば少なくとも約400%、例えば少なくとも約500%、例えば少なくとも約600%、例えば少なくとも約700%、例えば少なくとも約800%濃度レベルを上方調節する。
【0143】
ある態様において、該方法は、さらに、回収した体液またはその成分をmiRNAの合成もしくは他の供給源の存在下、増加した表面積と接触させてインキュベーションする工程を含む。
【0144】
ある態様において、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子(ここで、該miRNAは該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される)またはその機能的変異体を含む該組成物は、本明細書に記載されているか、または本発明の方法により製造される組成物である。
【0145】
ある態様において、投与は、静脈内、筋肉内、関節内、経皮的、皮下、鼻内、経口、神経周囲、くも膜下投与、または例えば外科手術中の局所注射もしくは点滴注射、またはこれらのあらゆる組み合わせによる。
【0146】
ある態様において、本発明の該組成物は、該治療を必要とする対象に対して自己である。
【0147】
ある態様において、本発明の該組成物は、該治療を必要とする対象に対してホモローガスである。
【0148】
ある態様において、本発明の該組成物は、該治療を必要とする対象に対して異種である。
【0149】
ある態様において、該組成物は、該体液またはその成分がその中に含まれる該組成物を投与する前に1〜150、例えば1〜100時間インキュベーションされる本発明の方法により製造され、
【0150】
ある態様において、本発明の治療を必要とする対象はヒトである。
【0151】
ある態様において、本発明の方法により処置することができる病状は以下からなるリストから選ばれる:癌、例えば白血病、歯周病、習慣性流産、潰瘍性大腸炎、リウマチ性多発性筋痛、むち打ち症関連障害、子宮内膜症、例えば腺筋症、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、糖尿病、例えば糖尿病I、AIDS/HIV、骨粗しょう症、乾癬、および創傷治癒。
【0152】
ある態様において、本発明の方法により治療することができる病状は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって生じる後天性免疫不全症候群(AIDS)である。ある具体的態様において、本発明の方法はHIV感染に関連する症状の発現を予防する。
【0153】
ある態様において、本発明に従って用いる核酸分子はmiRNAである。
【0154】
ある態様において、本発明に従って用いる核酸分子はプリmiRNAである。
【0155】
ある態様において、本発明に従って用いる核酸分子はプレmiRNAである。
【0156】
ある態様において、本発明に従って用いる核酸分子は低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0157】
ある態様において、炎症に関連した疾患もしくは障害、免疫系の疾患の症状、例えば免疫系の望ましくない活性化、および/または癌または異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候を治療または軽減するための方法は、さらに化学療法剤の投与を含む。
【0158】
ある態様において、該化学療法剤は、以下からなる群から選ばれる:アルキル化剤、例えばチオテパおよびサイクロフォスファミド(cyclosphosphamide);アルキルスルフォネート、例えばブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ、およびウレドーパ;エチレンイミンおよびメチルアメルアミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホラミド、トリエチレンチオホスフォラミド、およびトリメチルオールメラミン(trimethylolomelamine);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体のトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065 (そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189、およびCBl-TMlを含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンジスタチン;ニトロゲンマスタード(例えばクロランブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードを含む);ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン(ranimnustine);抗生物質、例えばエンジイン抗生物質 (例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマll、およびカリケアマイシンオメガll);ジネマイシン(ジネマイシンAを含む);ブスホスホネート、例えばクロドラネート;エスペラマイシン;およびネオカルジノスタチンクロモフォア、および関連クロモタンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authrarnycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、からビシン、カミノマイシン、カル時のフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝薬、例えばメトトレキセートおよび5-フルオロウラシン(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトトレキセート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナル、例えば、アミノグルテチミド、マイトタン、トリロスタン、葉酸補充薬、例えばフォリン酸;アセグラトン;アンドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン;エリプチニウムアセテート;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシノイド、例えばマイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2',2"-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロニジンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル(doxetaxel);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金錯体化合物、例えばシスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えばCPT-I l);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluoromethylomithine)(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;および上記のあらゆる医薬的に許容される塩、酸、または誘導体。別の態様において、本発明の組成物は、以下のものを含む他の生物活性物質を含むことができる:治療薬またはプロドラッグ、例えば他の化学療法剤、スカベンジャー化合物、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗炎症薬、血管収縮薬、および抗凝固薬、癌ワクチン適用に有用な抗原、または対応するプロドラッグ。
(本発明の番号付けした態様)
【0159】
態様1. 医薬を製造するための、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNAをコードする核酸分子またはその機能的変異体を含む組成物(ここで、該miRNAは該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される)。
【0160】
態様2. miRNAが以下からなる群から選ばれる態様1の組成物:hsa-miR-320a、hsa-miR-130a、hsa-miR-320c、hsa-miR-628-3p、hsa-miR-637、hsa-miR-320b、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-943、hsa-miR-185*、hsa-miR-340*、hsa-miR-744、hsa-miR-638、hsa-miR-585、hsa-miR-26b、hsa-miR-485-3p、hsa-miR-103、hsa-miR-146b-5p、hsa-miR-642、hsa-miR-146a、hsa-let-7a、hsa-let-7f、hsa-miR-200b*、hsa-miR-320d、hsa-let-7d、hsa-miR-1282、hsa-miR-124、hsa-miR-602、hsa-let-7g、hsa-miR-221、hsa-miR-25*、hsa-miR-1184、hsa-miR-663、hsa-miR-93、hsa-miR-30b*、hsa-miR-124*、hsa-miR-22、hsa-miR-1281、hsa-miR-1237、hsa-miR-34b、hsa-miR-1290、hsa-miR-193b*、hsa-miR-526b、hsa-miR-622、hsa-miR-191、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-92a、hsa-miR-1280、hsa-miR-1236、hsa-miR-30c、hsa-miR-877*、hsa-miR-548n、hsa-miR-1249、hsa-let-7i、hsa-miR-1224-3p、hsa-miR-17、hsa-miR-300、hsa-miR-193a-5p、hsa-let-7d*、hsa-miR-24、hsa-miR-518c*、hsa-miR-222、hsa-miR-664、hsa-miR-130b、hsa-miR-625*、hsa-miR-593、hsa-miR-885-5p、hsa-miR-505*、hsa-miR-491-3p、hsa-miR-421、hsa-miR-7、hsa-miR-106a、hsa-miR-99b*、hsa-miR-1300、hsa-miR-92b、hsa-miR-30d、hsa-miR-720、hsa-miR-1260、hsa-miR-425、hsa-miR-939、hsa-miR-30a、hsa-miR-30e、hsa-miR-654-5p、hsa-miR-509-5p、hsa-miR-1826、およびそれらの変異体。
【0161】
態様3. 血液生成物由来でない態様1〜2のいずれかに記載の組成物。
【0162】
態様4. 実質的に他の血液由来成分を含まない態様1〜3のいずれかに記載の組成物。
【0163】
態様5. 骨髄由来であり、所望により骨髄が血液細胞および造血幹細胞のために精製される、態様1〜2のいずれかに記載の組成物。
【0164】
態様6. 所望により血漿を含むバフィーコート調製物由来である態様1〜2のいずれかに記載の組成物。
【0165】
態様7. 順化細胞培地、例えばin vitro細胞培養である態様1〜2のいずれかに記載の組成物。
【0166】
態様8. 該miRNAが活性化されると血液調製物中で上方調節される態様1〜7のいずれかに記載の組成物。
【0167】
態様9. 該miRNAが誘導物質を含む容器中で活性化すると体液またはその成分中で上方調節される、先の態様のいずれかに記載の組成物。
【0168】
態様10. 球体、ゲル、ガラスウール、顆粒化物質、およびポリスチレンもしくはガラスを含む粒子もしくは表面構造からなる群から選ばれる表面上で活性化されると上方調節される先の態様のいずれかに記載の組成物。
【0169】
態様11. 誘導物質が免疫グロブリンを含む態様9〜10のいずれかに記載の組成物。
【0170】
態様12. 該核酸分子が合成手段により製造される態様1〜11のいずれかに記載の組成物。
【0171】
態様13. 該核酸分子が測定可能な量で存在する態様1〜12のいずれかに記載の組成物。
【0172】
態様14. 該核酸分子が親和性増強ヌクレオチド類似体、例えばペプチド核酸 (PNA)、偽相補的PNA (pcPNA)、ロックド核酸 (LNA)、またはその類似体を含む態様1〜13のいずれかに記載の組成物。
【0173】
態様15. それぞれ異なる種のmiRNAをコードする少なくとも1〜100、例えば少なくとも2〜50、例えば少なくとも10〜50の異なる核酸分子を含む態様1〜14のいずれかに記載の組成物。
【0174】
態様16. さらに、エキソソーム調製物、例えばin vitroで製造されたエキソソーム調製物を含む態様1〜15のいずれかに記載の組成物。
【0175】
態様17. 該エキソソームが該核酸分子で豊富化されている態様16に記載の組成物。
【0176】
態様18. 以下からなるリストから選ばれる適応症を治療するための医薬を製造するための、治療的有効量の、miRNA(ここで、該miRNAは該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される)またはその機能的変異体をコードする1またはそれ以上の核酸分子を含む組成物:炎症に関連した疾患もしくは障害、免疫系の疾患、例えば免疫系の望ましくない活性化、癌または異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候、例えば白血球、慢性炎症、歯周病、習慣性流産、潰瘍性大腸炎、リウマチ性多発性筋痛、むち打ち症関連障害、子宮内膜症、例えば腺筋症、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、糖尿病、例えば糖尿病 I、AIDS/HIV、骨粗しょう症、乾癬、および創傷治癒、生殖器系の病状、例えば低精子産生、セルトリ細胞唯一症候群の発現、およびヒトおよび動物における胎児の流産。
【0177】
態様19. 以下の工程を含む、治療的有効量の、miRNA(ここで、該miRNAは該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される)またはその機能的変異体をコードする1またはそれ以上の核酸分子を含む組成物の製造方法:
a) 該体液またはその成分を哺乳動物から回収し、
b) 回収した体液またはその成分を増加した表面積と接触させてインキュベーションする。
【0178】
態様20.以下の工程を含む、治療的有効量の、miRNA(ここで、該miRNAは該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される)またはその機能的変異体をコードする1またはそれ以上の核酸分子を含む組成物の製造方法:
a) 該体液またはその成分を哺乳動物から回収し、
b) 回収した体液またはその成分を、増加した表面積と接触させてインキュベーションし、
c) 該体液またはその成分中の上方調節された1またはそれ以上のmiRNAを同定し、
d) 工程c)で同定された単離された形のmiRNAをコードする該1またはそれ以上の核酸分子を得、次いでこれを該組成物に加える。
る。
【0179】
態様21. 該体液またはその成分がin vitro細胞培養、例えば単球細胞培養、造血幹細胞培養、または胎盤起源の細胞培養である態様19または20のいずれかに記載の方法。
【0180】
態様22. 該体液またはその成分が血清調製物である態様19または20のいずれかに記載の方法。
【0181】
態様23. 該体液またはその成分がバフィーコート調製物である態様19または20のいずれかに記載の方法。
【0182】
態様24. 該体液またはその成分が全血液調製物である態様19または20のいずれかに記載の方法。
【0183】
態様25. 該体液またはその成分が骨髄浸出液である態様19または20のいずれかに記載の方法。
【0184】
態様26. 該活性化体液またはその成分を、さらに血小板豊富化血漿 (PRP)と、所望によりエキソソーム調製物と組み合わせて混合する態様19〜25のいずれかに記載の方法。
【0185】
態様27. 該体液またはその成分が、該体液またはその成分を抗凝固剤で処理する工程をさらに含むプロセスにおいて活性化される態様19〜26のいずれかに記載の方法。
【0186】
態様28. 該体液またはその成分が、2またはそれ以上の哺乳動物、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、または100以上の哺乳動物から回収される態様19〜27のいずれかに記載の方法。
【0187】
態様29. 哺乳動物がヒトである態様19〜28のいずれかに記載の方法。
【0188】
態様30. 哺乳動物が家畜である態様19〜29のいずれかに記載の方法。
【0189】
態様31. 該体液またはその成分が健康な個体から回収される態様19〜30のいずれかに記載の方法。
【0190】
態様32. 該体液またはその成分が病気の個体から回収される態様19〜30のいずれかに記載の方法。
【0191】
態様33. 該体液またはその成分が健康な個体および病気の個体から回収される態様19〜31のいずれかに記載の方法。
【0192】
態様34. 該1またはそれ以上のmiRNAの濃度レベルが、工程b)で活性化されていない組成物中のmiRNAの濃度レベルに比べて、少なくとも約50%、例えば少なくとも約100%、例えば少なくとも約200%、例えば少なくとも約300%、例えば少なくとも約400%、例えば少なくとも約500%、例えば少なくとも約600%、例えば少なくとも約700%、例えば少なくとも約800%上方調節される態様19〜33のいずれかに記載の方法。
【0193】
態様35. 回収した体液またはその成分を、合成または別の供給源由来のmiRNAの存在下で、増加した表面積と接触させてインキュベーションする工程をさらに含む態様19〜34のいずれかに記載の方法。
【0194】
態様36. 該体液またはその成分を細胞増殖培地中でインキュベーションすることをさらに含む態様19〜35のいずれかに記載の方法。
【0195】
態様37. 以下を含む部分のキット:
a) 治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体をコードする核酸分子を含む、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される組成物を製造するための装置であって、誘導物質を含む容器を含む装置、および
b) 態様19〜36のいずれかに記載の方法を用いるための指示書。
【0196】
態様38. 炎症に関連した疾患もしくは障害、免疫系の疾患の症状、例えば免疫系の望ましくない活性化、および/または癌もしくは異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候を治療または軽減する方法であって、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体をコードする核酸分子を含む、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される組成物を、該治療を必要とする対象に投与することを含む方法。
【0197】
態様39. 治療的有効量の、1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体をコードする核酸分子を含む組成物であって、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される組成物が、態様1〜18のいずれかに記載の組成物、または態様19〜36のいずれかに記載の方法により製造される組成物である態様38に記載の方法。
【0198】
態様40. 該投与が、静脈内、筋肉内、関節内、経皮的、皮下、鼻内、経口、神経周囲、くも膜下投与、または例えば外科手術中の局所注射もしくは点滴による、態様38または39に記載の方法。
【0199】
態様41. 該組成物が該治療を必要とする対象に対して自己である態様38〜40のいずれかに記載の方法。
【0200】
態様42. 該組成物が該治療を必要とする対象に対してホモローガスである態様38〜40のいずれかに記載の方法。
【0201】
態様43. 該組成物が該治療を必要とする対象に対して異種である態様38〜40のいずれかに記載の方法。
【0202】
態様44. 該組成物を態様19〜36のいずれかに記載の方法により製造し、該体液またはその成分を1〜100時間インキュベーションし、次いでその中に含まれる組成物を投与する態様38〜43のいずれかに記載の方法。
【0203】
態様45. 対象がヒトである態様38〜44のいずれかに記載の方法。
【0204】
態様46. 該病状が、癌、例えば白血球、歯周病、習慣性流産、潰瘍性大腸炎、リウマチ性多発性筋痛、むち打ち症関連障害、子宮内膜症、例えば腺筋症、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、糖尿病、例えばI型糖尿病、AIDS/HIV、骨粗しょう症、乾癬、および創傷治癒からなるリストから選ばれる態様38〜45のいずれかに記載の方法。
【0205】
態様47. 該治療方法がさらに化学療法剤の投与を含む態様38〜46のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0206】
実施例1
活性化血清の製造
血液を、好ましくはいかなる感染や発熱もない、動物もしくはヒト、あるいは動物もしくはヒトのポピュレーションから収集する。血液を、経皮静脈穿刺により得、容器に収集した。次に、全血液、または血漿を含むか含まないバフィーコートを、表面を有するか、または活性化のための物質(例えばガラスビーズなど)を含む容器、好ましくは、2つの注射用ゴムポートおよび均圧用の小さな穴を含む遠心分離に適した60ml容器であって、2〜25gのガラスビーズ(1〜8mm、例えば4mm)を含むか含まない容器に移す。
【0207】
ある態様において、血漿分画を含むか含まないバフィーコート調製物を増殖用培地と共にインキュベーションする。これは、体液を活性化のための表面に暴露する手順前または手順中のいずれでもよい。
【0208】
試料を、37℃で1、2、4、10、24、48、72、96、120、または150時間、逆流させるか、またはあらゆる他の手順では血液細胞を活性化のための表面に暴露する。
【0209】
次に、温度を室温に下げてインキュベーションを完結し、次いで凝固した血液からろ過または遠心分離により血清を分離する。本発明のある態様において、全血液を抗凝固剤を用いてインキュベーションし、インキュベーション時間の後に血清を遠心分離またはろ過により得る。
【0210】
次に、調製した血清、血漿、またはバフィーコート調製物を、室温で保存するか-5〜18℃で凍結し、または小胞のような膜などのより複雑な構造を保存するのに適した凍結保存用に調製する。
実施例2
活性化血清を製造するための別の手順
【0211】
血液を、ガラスビーズ (SiliBeads-Borosilicate、Sigmund Linder、Germany)を含む無菌60ml容器中で2〜72、96、120、または150時間インキュベーションする。ガラスビーズは、直径2〜5mm、例えば2〜4mmであり、医療用である。容器に5〜25、例えば18gのビーズを詰め、オートクレーブまたはガンマ線照射により滅菌することができる。
【0212】
血液培養技術:すべての実験において、ビーズを詰めた容器(例えば60ml容器)に年齢20〜70歳の健康な男性または女性のドナー由来の新鮮ヒト全血液を、特記しない限り抗凝固剤を用いずに充填する。全血液培養を無菌層流条件下で達成する。インキュベーションは、無菌的に37℃、5%CO2で2〜72時間間隔で行う。インキュベーション後、血清を回収し、次いで遠心分離する(4200rpm、10分間)。あるいはまた、インキュベーション後に血清を5000gで10分間遠心分離して血液細胞から分離する。
実施例3
ヒト対象の活性化血清による処置
【0213】
患者の硬膜外神経周囲または筋肉内に1週間に1回、計3回注射する。以下のものを含む客観的および主観的評価を患者あたり6回(t1〜t6)行う:視覚的アナログ尺度(VAS) (Joyce et al.、Eur J Clin Pharmacol. 14:415-20 (1975))、Oswestry疼痛アンケート(Fairbank et al. Spine、25:2940-2953(2000))、SF-36 (短形式健康調査) (Ware et al.、Med. Care、30:473-483 (1992))、および標準化臨床検査。2mlの活性化血清を注射する。1群には2mlの活性化血清を投与し、別の群には10mgトリアムシノロン、最後に5mgトリアムシノロンを投与する。トリアムシノロンは炎症、アレルギー、関節炎、および喘息を治療するのに通常使用されるステロイドである。トリアムシノロンは、腰部神経根性疼痛を減少させるのに有効であることがわかっている(無作為化二重盲検試験、Kramer Eur Spine 1997)。同様の効果が実施例1または2のいずれかの方法により製造された活性化血液調製物でみられた。
実施例4
【0214】
腺筋症も伴う5人の重症子宮内膜症患者を実施例1または2に記載のごとく調製した順化(conditioned)血清で6週間処置した。5mlの活性化血清を患者の各筋肉内に毎週、5〜6週間にわたり投与した。患者の症状は有意に軽減された。
【0215】
筋肉内処置のバックグラウンドは、2年間にわたる4頭の馬への数回の実験的注射に基づいた。この動物試験は筋肉の圧痛が同じ注射間隔により治癒したことを示した。
実施例5
【0216】
2名の習慣性流産患者を、体外受精 (IVF)中に実施例4と同様の治療計画で処置し、1名がこの試験中に妊娠した。
実施例6
【0217】
3名の潰瘍性大腸炎患者および1名のクローン病患者に、活性化血清を同じ時間内に調製し、注射することによりその病状/疾患が有意に改善された。すなわち、急性初期治療ではより短い投与間隔が有益であり、症状がプラトーに達した後は血清のより長い投与間隔が全ての症状を安定化させるようである。
【0218】
該物質を投与するための逐次戦略のこの方法の利点は、本発明が急性期の疾患には高活性で対処し、疾患が安定期にあるときは該物質の活性を変化させることを可能にすることである。
【0219】
さらに、該活性化血清の投与は、治療計画の開始時により大容量(例えば5 ml、10ml、または20ml)の順化血清を投与することにより疾患の経過に対して有効である。
【0220】
ある患者は、活性化血清で治療する前に結腸鏡検査により視覚化すると腸に狭窄がある、1日に20回の排便がある重症の潰瘍性大腸炎と診断された。該患者は7週間以内に完全に治癒した(外部の医師が行う結腸鏡検査により証明された)。
実施例7
胎盤起源の細胞培養を含むmirRNA産生幹細胞のin vitro培養
【0221】
造血幹細胞または胎盤起源の細胞培養を、in vitro条件下で一定期間、所望により活性化させる物質(例えばガラスビーズなど)を含む容器中で培養する。
【0222】
あるいはまた、細胞および細胞培養液を、次の工程で活性化させる物質(例えばガラスビーズなど)を含む容器に移してよい。
【0223】
37℃で1、2、4、10、24、または48時間、逆流(regurgitate)後、またはあらゆる他の方法では細胞を活性化させる物質に暴露後、試料を、容量、容器の表面積および試料中の細胞数に応じて合計5〜24時間触らずに放置することができる。
【0224】
次に、温度を室温に下げてインキュベーションを終了する。
【0225】
次に、製造した細胞調製物を、室温で保存するか、-5〜18℃で凍結し、または膜様小胞などのより複雑な構造の保存を最適化するために凍結保存用に調製することができる。
実施例8
【0226】
実施例1または2に従って製造した活性化血清を、特定のmiRNAが活性化に応じて上方調節されるかを測定するためにアッセイにて試験した。miRCURY(登録商標) LNAアレイマイクロRNAプロファイリングサービスをExiqon (Denmark)により行った。結果を表1に要約する。
【0227】
表1は、すべてのハイブリダイゼーションからの正規化Hy3シグナル(log2変換)を含む。各スライドからの同じmiRNAの反復測定値の中央値を示す。
表1
【0228】
【表1−1】

【0229】
【表1−2】

実施例9
in vitroにおける腫瘍細胞増殖の減少
活性化血清に暴露後のヒトおよびウマ悪性メラノーマ細胞の増殖に対する効果試験
【0230】
ヒトおよびウマ悪性メラノーマ組織由来の初代腫瘍細胞を移植し、in vitroで増殖させて継代した。
【0231】
ヒトおよびウマ由来の血清を実施例1または2に記載のごとく24時間または48時間活性化した。2%、5%、または10%の該活性化血清を初代腫瘍の増殖培地に適用した。
【0232】
細胞数で測定した初代腫瘍細胞の細胞増殖は、活性化血清への暴露後にin vitroで有意に減少した。
実施例10
in vitroでの腫瘍塊の減少
【0233】
血清を実施例1または2に記載のごとく48時間活性化した。
皮膚の直径1cm以下の4つの悪性メラノーマ腫瘍に関するウマでの試験において、ウマにメラノーマおよび別のウマから調製した活性化血清(48h)2または5mlを3日間間隔で3回注射した。すべてのメラノーマは完全に消失した。
【0234】
同じウマの1個の大きなメラノーマ(hwd: 5cm X 1cm X 1cm)のメラノーマ内に別のウマから調製した血清2mlを注射した。注射を4回繰り返した。メラノーマの大きさはhwd: 2cm X 0.4cm X 1cmに有意に減少した。
【0235】
さらなる試験において、10歳の灰色去勢馬に血清調製物(48hインキュベーション)を1週間に合計5ml、6週間筋肉内注射した。この期間中に、肛門周囲の悪性メラノーマプラークは完全に消失し、もはや認められなかった。2ヶ月の観察期間で再発はみられなかった。
実施例11
【0236】
サルコイド腫瘍の皮膚病変がある4頭のウマに5mlの血清 (48hインキュベーション)を5日間に1回、10週間にわたり注射した。腫瘍は消失する。
実施例12
【0237】
実施例9に記載のごとく調製した初代腫瘍細胞を、血清を活性化すると同時に血清に加えた。腫瘍細胞を含まない血清コントロールに比べて、調製した血清におけるmiRNAの有意な豊富化(50%まで高まる)がみられた。
実施例13
【0238】
インキュベーション時間が150時間までのときにヒト血清調製物におけるmiRNA含有量の増加がみられた。
【0239】
ヒト血清を実施例1または2に記載のごとく活性化したが、ヒト血清のインキュベーション時間は150時間であった。試料中の量を定量的PCRによりコントロール試料と比較した。以下のmiRNAにおいて1.5〜680倍の上方調節がみられた:hsa-Let-7a、hsa-Let-7b、hsa-Let-7b*、hsa-Let-7c、hsa-Let-7d、hsa-Let-7d*、hsa-Let-7e、hsa-Let-7f 、hsa-Let-7f*、hsa-Let-7g、hsa-Let-7g*、hsa-Let-7i、hsa-miR-103、hsa-miR-106A、hsa-miR-106B、hsa-miR-107、hsa-miR-125A、hsa-miR-125B、hsa-miR-126、hsa-miR-128、hsa-miR-130A、hsa-miR-130B、hsa-miR-140-3P、hsa-miR-140-5P、hsa-miR-142-3P、hsa-miR-142-5P、hsa-miR-143、hsa-miR-144、hsa-miR-146A、hsa-miR-148A、hsa-miR-148B、hsa-miR-150、hsa-miR-151-3P、hsa-miR-151-5P、hsa-miR-152、hsa-miR-15A、hsa-miR-15B、hsa-miR-16、hsa-miR-15B*、hsa-miR-17、hsa-miR-181A、hsa-miR-185、hsa-miR-186、hsa-miR-18A、hsa-miR-18A*、hsa-miR-18B、hsa-miR-192、hsa-miR-191、hsa-miR-194、hsa-miR-197、hsa-miR-1979、hsa-miR-19A、hsa-miR-19B、hsa-miR-20A、hsa-miR-20B、hsa-miR-21、hsa-miR-205、hsa-miR-210、hsa-miR-215、hsa-miR-22、hsa-miR-22*、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-223、hsa-miR-223*、hsa-miR-23A、hsa-miR-23B、hsa-miR-24、hsa-miR-25、hsa-miR-26A、hsa-miR-26B、hsa-miR-27A、hsa-miR-27B、hsa-miR-28-5P、hsa-miR-29A、hsa-miR-29B、hsa-miR-29C、hsa-miR-30A、hsa-miR-301A、hsa-miR-30B、hsa-miR-30C、hsa-miR-30D、hsa-miR-30E、hsa-miR-320A、hsa-miR-320B、hsa-miR-324-3P、hsa-miR-326、hsa-miR-328、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-339-5P、hsa-miR-33A、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-365、hsa-miR-378、hsa-miR-423-3P、hsa-miR-423-5P、hsa-miR-424、hsa-miR-425、hsa-miR-451、hsa-miR-484、hsa-miR-486-5P、hsa-miR-505、hsa-miR-502-3P、hsa-miR-590-5P、hsa-miR-628-3P、hsa-miR-652、hsa-miR-660、hsa-miR-720、hsa-miR-92A、hsa-miR-92B、hsa-miR-93、hsa-miR-93*、hsa-miR-99A、hsa-miR-99B、hsa-miR-103-2*、hsa-miR-106B*、hsa-miR-133A、hsa-miR-133B、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-340、hsa-miR-34A、hsa-miR-34B、hsa-miR-376A、hsa-miR-532-3P、hsa-miR-125A-5P、hsa-miR-154、hsa-miR-196B、hsa-miR-1979、hsa-miR-326、hsa-miR-425*、hsa-miR-127-3P、hsa-miR-1537、hsa-miR-183、hsa-miR-29B-2*、hsa-miR-339-3P、hsa-miR-551A、hsa-miR-629、hsa-miR-766、hsa-miR-2110、hsa-miR-361-3P、hsa-miR-501-5P、hsa-miR-940、hsa-miR-1249、hsa-miR-132、hsa-miR-1538、およびhsa-miR-149。
実施例14
磁性ビーズによるmiRNAの捕捉
【0240】
実施例1または2に従って96時間活性化して調製した、miRNAの豊富化量が予め解っている血清を、実質的にHuettinger et al J. Gene Med 2008;10:655-667に記載のごとくポリエチレンイミン (PEI)コートした鉄磁性ナノ粒子 (Chemicell Gmbh、Berlin、Germany)と1:1の割合で混合した。該調製物を20分間静かに混合した。磁性ナノ粒子を、ネオジム-鉄-ホウ素磁石(Neo Delta磁石NE2010;IBS磁石、Berlin、Germany)を用いて容器の側に引きつけた。ナノ粒子を含まない液体上清を回収し、定量的PCTでmiRNAを分析した。上清中のmiRNAの量は、予混合レベルに比べて50〜80%減少した。正に荷電した磁性ナノ粒子は、静電気的相互作用を介してmiRNAの結合を仲介した。磁性ナノ粒子と混合したmiRNA豊富化血清、または上清を除去した後のmiRNA豊富化血清と混合した後の磁性ナノ粒子を用い、末梢位置に注射後に腫瘍の上から磁石を使ってin vivoで腫瘍中または腫瘍の近くに配置することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬として用いるための、治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む組成物であって、該miRNAが体液またはその成分の活性化において該体液またはその成分中で上方調節される組成物。
【請求項2】
該miRNAがLet-7ファミリーのメンバーまたはその変異体である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該miRNAが以下からなる群から選ばれる請求項1記載の組成物:hsa-Let-7a、hsa-Let-7b、hsa-Let-7b*、hsa-Let-7c、hsa-Let-7d、hsa-Let-7d*、hsa-Let-7e、hsa-Let-7f 、hsa-Let-7f*、hsa-Let-7g、hsa-Let-7g*、hsa-Let-7i、hsa-miR-103、hsa-miR-106A、hsa-miR-106B、hsa-miR-107、hsa-miR-125A、hsa-miR-125B、hsa-miR-126、hsa-miR-128、hsa-miR-130A、hsa-miR-130B、hsa-miR-140-3P、hsa-miR-140-5P、hsa-miR-142-3P、hsa-miR-142-5P、hsa-miR-143、hsa-miR-144、hsa-miR-146A、hsa-miR-148A、hsa-miR-148B、hsa-miR-150、hsa-miR-151-3P、hsa-miR-151-5P、hsa-miR-152、hsa-miR-15A、hsa-miR-15B、hsa-miR-16、hsa-miR-15B*、hsa-miR-17、hsa-miR-181A、hsa-miR-185、hsa-miR-186、hsa-miR-18A、hsa-miR-18A*、hsa-miR-18B、hsa-miR-192、hsa-miR-191、hsa-miR-194、hsa-miR-197、hsa-miR-1979、hsa-miR-19A、hsa-miR-19B、hsa-miR-20A、hsa-miR-20B、hsa-miR-21、hsa-miR-205、hsa-miR-210、hsa-miR-215、hsa-miR-22、hsa-miR-22*、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-223、hsa-miR-223*、hsa-miR-23A、hsa-miR-23B、hsa-miR-24、hsa-miR-25、hsa-miR-26A、hsa-miR-26B、hsa-miR-27A、hsa-miR-27B、hsa-miR-28-5P、hsa-miR-29A、hsa-miR-29B、hsa-miR-29C、hsa-miR-30A、hsa-miR-301A、hsa-miR-30B、hsa-miR-30C、hsa-miR-30D、hsa-miR-30E、hsa-miR-320A、hsa-miR-320B、hsa-miR-324-3P、hsa-miR-326、hsa-miR-328、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-339-5P、hsa-miR-33A、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-365、hsa-miR-378、hsa-miR-423-3P、hsa-miR-423-5P、hsa-miR-424、hsa-miR-425、hsa-miR-451、hsa-miR-484、hsa-miR-486-5P、hsa-miR-505、hsa-miR-502-3P、hsa-miR-590-5P、hsa-miR-628-3P、hsa-miR-652、hsa-miR-660、hsa-miR-720、hsa-miR-92A、hsa-miR-92B、hsa-miR-93、hsa-miR-93*、hsa-miR-99A、hsa-miR-99B、hsa-miR-103-2*、hsa-miR-106B*、hsa-miR-133A、hsa-miR-133B、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-340、hsa-miR-34A、hsa-miR-34B、hsa-miR-376A、hsa-miR-532-3P、hsa-miR-125A-5P、hsa-miR-154、hsa-miR-196B、hsa-miR-1979、hsa-miR-326、hsa-miR-425*、hsa-miR-127-3P、hsa-miR-1537、hsa-miR-183、hsa-miR-29B-2*、hsa-miR-339-3P、hsa-miR-551A、hsa-miR-629、hsa-miR-766、hsa-miR-2110、hsa-miR-361-3P、hsa-miR-501-5P、hsa-miR-940、hsa-miR-1249、hsa-miR-132、hsa-miR-1538、およびhsa-miR-149、hsa-miR-125a-5P、hsa-miR-132、hsa-miR-155、hsa-miR-182、hsa-miR-324-5P、hsa-miR-331-3P、hsa-miR-335、hsa-miR-374b、およびhsa-miR-532-5P、ならびにそれらの変異体。
【請求項4】
さらに以下からなる群から選ばれるmiRNAを含む請求項1〜3のいずれかに記載の組成物:hsa-miR-7、hsa-Let-7a、hsa-Let-7b、hsa-Let-7b*、hsa-Let-7c、hsa-Let-7d、hsa-Let-7d*、hsa-Let-7e、hsa-Let-7f、hsa-Let-7f*、hsa-Let-7g、hsa-Let-7g*、hsa-Let-7i、hsa-miR-103、hsa-miR-106A、hsa-miR-106B、hsa-miR-107、hsa-miR-125A、hsa-miR-125B、hsa-miR-126、hsa-miR-128、hsa-miR-130A、hsa-miR-130B、hsa-miR-140-3P、hsa-miR-140-5P、hsa-miR-142-3P、hsa-miR-142-5P、hsa-miR-143、hsa-miR-144、hsa-miR-146A、hsa-miR-148A、hsa-miR-148B、hsa-miR-150、hsa-miR-151-3P、hsa-miR-151-5P、hsa-miR-152、hsa-miR-15A、hsa-miR-15B、hsa-miR-16、hsa-miR-15B*、hsa-miR-17、hsa-miR-181A、hsa-miR-185、hsa-miR-186、hsa-miR-18A、hsa-miR-18A*、hsa-miR-18B、hsa-miR-192、hsa-miR-191、hsa-miR-194、hsa-miR-197、hsa-miR-1979、hsa-miR-19A、hsa-miR-19B、hsa-miR-20A、hsa-miR-20B、hsa-miR-21、hsa-miR-205、hsa-miR-210、hsa-miR-215、hsa-miR-22、hsa-miR-22*、hsa-miR-221、hsa-miR-222、hsa-miR-223、hsa-miR-223*、hsa-miR-23A、hsa-miR-23B、hsa-miR-24、hsa-miR-25、hsa-miR-26A、hsa-miR-26B、hsa-miR-27A、hsa-miR-27B、hsa-miR-28-5P、hsa-miR-29A、hsa-miR-29B、hsa-miR-29C、hsa-miR-30A、hsa-miR-301A、hsa-miR-30B、hsa-miR-30C、hsa-miR-30D、hsa-miR-30E、hsa-miR-320A、hsa-miR-320B、hsa-miR-324-3P、hsa-miR-326、hsa-miR-328、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-339-5P、hsa-miR-33A、hsa-miR-342-3P、hsa-miR-365、hsa-miR-378、hsa-miR-423-3P、hsa-miR-423-5P、hsa-miR-424、hsa-miR-425、hsa-miR-451、hsa-miR-484、hsa-miR-486-5P、hsa-miR-505、hsa-miR-502-3P、hsa-miR-590-5P、hsa-miR-628-3P、hsa-miR-652、hsa-miR-660、hsa-miR-720、hsa-miR-92A、hsa-miR-92B、hsa-miR-93、hsa-miR-93*、hsa-miR-99A、hsa-miR-99B、hsa-miR-103-2*、hsa-miR-106B*、hsa-miR-133A、hsa-miR-133B、hsa-miR-338-3P、hsa-miR-340、hsa-miR-34A、hsa-miR-34B、hsa-miR-376A、hsa-miR-532-3P、hsa-miR-125A-5P、hsa-miR-154、hsa-miR-196B、hsa-miR-1979、hsa-miR-326、hsa-miR-425*、hsa-miR-127-3P、hsa-miR-1537、hsa-miR-183、hsa-miR-29B-2*、hsa-miR-339-3P、hsa-miR-551A、hsa-miR-629、hsa-miR-766、hsa-miR-2110、hsa-miR-361-3P、hsa-miR-501-5P、hsa-miR-940、hsa-miR-1249、hsa-miR-132、hsa-miR-1538、およびhsa-miR-149、hsa-miR-125a-5P、hsa-miR-132、hsa-miR-155、hsa-miR-182、hsa-miR-324-5P、hsa-miR-331-3P、hsa-miR-335、hsa-miR-374b、およびhsa-miR-532-5P、hsa-miR-320a、hsa-miR-130a、hsa-miR-320c、hsa-miR-628-3p、hsa-miR-637、hsa-miR-320b、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-943、hsa-miR-185*、hsa-miR-340*、hsa-miR-744、hsa-miR-638、hsa-miR-585、hsa-miR-26b、hsa-miR-485-3p、hsa-miR-103、hsa-miR-146b-5p、hsa-miR-642、hsa-miR-146a、hsa-let-7a、hsa-let-7f、hsa-miR-200b*、hsa-miR-320d、hsa-let-7d、hsa-miR-1282、hsa-miR-124、hsa-miR-602、hsa-let-7g、hsa-miR-221、hsa-miR-25*、hsa-miR-1184、hsa-miR-663、hsa-miR-93、hsa-miR-30b*、hsa-miR-124*、hsa-miR-22、hsa-miR-1281、hsa-miR-1237、hsa-miR-34b、hsa-miR-1290、hsa-miR-193b*、hsa-miR-526b、hsa-miR-622、hsa-miR-191、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-92a、hsa-miR-1280、hsa-miR-1236、hsa-miR-30c、hsa-miR-877*、hsa-miR-548n、hsa-miR-1249、hsa-let-7i、hsa-miR-1224-3p、hsa-miR-17、hsa-miR-300、hsa-miR-193a-5p、hsa-let-7d*、hsa-miR-24、hsa-miR-518c*、hsa-miR-222、hsa-miR-664、hsa-miR-130b、hsa-miR-625*、hsa-miR-593、hsa-miR-885-5p、hsa-miR-505*、hsa-miR-491-3p、hsa-miR-421、hsa-miR-7、hsa-miR-106a、hsa-miR-99b*、hsa-miR-1300、hsa-miR-92b、hsa-miR-30d、hsa-miR-720、hsa-miR-1260、hsa-miR-425、hsa-miR-939、hsa-miR-30a、hsa-miR-30e、hsa-miR-654-5p、hsa-miR-509-5p、hsa-miR-1826、およびそれらの変異体。
【請求項5】
血液生成物由来でない請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
実質的に血液由来成分を含まない請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
骨髄由来であり、所望により該骨髄が血液細胞および造血幹細胞のために精製される、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
所望により血漿およびバフィーコート調製物由来である、請求項1〜4のいずれかにの組成物。
【請求項9】
順化細胞培地、例えばin vitro細胞培地である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
該miRNAが、活性化において血液調製物中で上方調節される請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
該miRNAが、所望により誘導物質を含む容器中での活性化において体液またはその成分中で上方調節される先の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
球体、ゲル、グラスウール、粒状物質、およびポリスチレンもしくはガラスを含む粒子もしくは表面構造からなる群から選ばれる表面上で活性化されると上方調節される、先の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
誘導物質が免疫グロブリンを含む請求項11〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
誘導物質が、自己、同種異系、または異種(ヘテロローガス)腫瘍細胞、例えば腫瘍細胞103〜107個/ml組成物により示される請求項11〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
該miRNAが、少なくとも約1000、例えば少なくとも約5000、例えば少なくとも約104、例えば少なくとも約5x104、例えば少なくとも約105、例えば少なくとも約5x105、例えば少なくとも約106、例えば少なくとも約5x106、例えば少なくとも約107、例えば少なくとも約5x107、例えば少なくとも約108、例えば少なくとも約5x108フェムトグラム/ml、例えば250ピコグラム/ml以下の量で存在する請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
血清由来である請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
正常な生理学的レベル、例えば135〜145mEq/Lのレベルのナトリウムを有する請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
さらに、リボヌクレアーゼによる分解からmiRNAを保護するための、担体タンパク質および/またはミセルおよび/または小胞および/またはリポソームを含む請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
該核酸分子が合成手段により製造される請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
該核酸分子が測定可能な量で存在する請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
該核酸分子が親和性増強ヌクレオチド類似体、例えばペプチド核酸(PNA)、偽相補的PNA (pcPNA)、ロックド核酸(LNA)またはその類似体である請求項1〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1〜100、例えば少なくとも2〜50、例えば少なくとも10〜50の異なる種のmiRNAを含む請求項1〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
さらに、エキソソーム調製物、例えばin vitroで製造されるエキソソーム調製物を含む請求項1〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
該エキソソームが該核酸分子で豊富化されている請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
さらに磁性ナノ粒子、例えばポリエチレンイミン (PEI)コートした鉄磁性ナノ粒子の調製物を含む請求項1〜24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
以下からなるリストから選ばれる兆候を治療するための請求項1〜25のいずれかに記載の組成物:炎症に関連した疾患もしくは障害、免疫系の疾患、例えば免疫系の望ましくない活性化、癌もしくは異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候、例えば白血球、慢性炎症、歯周病、習慣性流産、潰瘍性大腸炎、リウマチ性多発性筋痛、むち打ち症関連障害、子宮内膜症、例えば腺筋症、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、糖尿病、例えば糖尿病I、AIDS/HIV、骨粗しょう症、乾癬、および創傷治癒、生殖器系の病状、例えば低精子産生、セルトリ細胞唯一症候群の発現、およびヒトおよび動物における胎児の流産。
【請求項27】
治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む組成物の製造方法であって、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される、以下の工程を含む製造方法:
a) 該体液またはその成分を哺乳動物から回収し、
b) 回収した体液またはその成分を、増加した表面積と接触させてインキュベーションし、
c) 工程b)後に製造された該体液を回収し、次いで所望により該miRANを精製する。
【請求項28】
該組成物が請求項1〜25のいずれかに記載のものである請求項27記載の方法。
【請求項29】
該体液またはその成分が、工程b)において24時間以上、例えば48時間以上、例えば60時間以上、72時間、84時間、96時間、120時間、または150時間インキュベーションされる請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む組成物の製造方法であって、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される、以下の工程を含む製造方法:
a) 該体液またはその成分を哺乳動物から回収し、
b) 回収した体液またはその成分を、増加した表面積と接触させてインキュベーションし、
c) 該体液またはその成分中の上方調節された1またはそれ以上のmiRNAを同定し、
d) 工程c)で同定された1またはそれ以上のmiRNA分子を単離された形で得、次いでそれを該組成物に加える。
【請求項31】
該体液またはその成分が、in vitro細胞培養、例えば単球細胞培養、造血幹細胞培養、または胎盤起源の細胞培養である請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
該体液またはその成分が血清調製物である請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
該体液またはその成分がバフィーコート調製物である請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
該体液またはその成分が全血液調製物である請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
該体液またはその成分が骨髄浸出液由来である請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
活性化体液またはその成分を、さらに血小板豊富化血漿(PRP)と、所望によりエキソソームの調製物と共に混合する請求項27〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
該体液またはその成分が、該体液またはその成分を抗凝固剤で処理する工程をさらに含むプロセスにおいて活性化される請求項27〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
該体液またはその成分が2またはそれ以上の哺乳動物、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、または100以上の哺乳動物から回収される請求項27〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
該哺乳動物がヒトである請求項27〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
該哺乳動物が家畜である請求項27〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
該体液またはその成分が健康な個体から回収される請求項27〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
該体液またはその成分が病気の個体から回収される請求項27〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
該体液またはその成分が健康な個体と病気の個体の組み合わせから回収される請求項27〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
該1またはそれ以上のmiRNAの濃度レベルが、工程b)で活性化されていない組成物中のmiRNAの濃度レベルに比べて、少なくとも約50%、例えば少なくとも約100%、例えば少なくとも約200%、例えば少なくとも約300%、例えば少なくとも約400%、例えば少なくとも約500%、例えば少なくとも約600%、例えば少なくとも約700%、例えば少なくとも約800%上方調節される請求項27〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
回収した体液またはその成分を、合成または別の供給源由来のmiRNAの存在下で、増加した表面積と接触させてインキュベーションする工程をさらに含む請求項27〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
該体液またはその成分を細胞増殖培地中でインキュベーションすることをさらに含む請求項27〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
以下を含む部分のキット:
a) 治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される、組成物を製造するための装置であって、所望により誘導物質を含む容器を含む装置、および
b) 請求項27〜46のいずれかに記載の方法を用いるための指示書、
c) 所望により磁性ナノ粒子の調製物、例えばポリエチレンイミン (PEI)コートした鉄磁性ナノ粒子。
【請求項48】
炎症に関連した疾患もしくは障害、免疫系の疾患の症状、例えば免疫系の望ましくない活性化、および/または癌もしくは異常な細胞増殖もしくは細胞分裂に関連する他の兆候を治療または軽減する方法であって、治療的有効量の、1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される、組成物を、該治療を必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項49】
治療的有効量の1またはそれ以上のmiRNA分子またはその機能的変異体を含む、該miRNAが該体液またはその成分の活性化において体液またはその成分中で上方調節される、組成物が、請求項1〜26のいずれかに記載の組成物、または請求項27〜46のいずれかに記載の方法により製造される組成物である請求項48に記載の方法。
【請求項50】
該投与が、静脈内、筋肉内、関節内、経皮的、皮下、鼻内、経口、神経周囲、くも膜下投与、または例えば外科手術中の局所注射もしくは点滴、またはそれらのあらゆる組み合わせによる、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
該組成物が該治療を必要とする対象に対して自己である請求項48〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
該組成物が該治療を必要とする対象に対してホモローガスである請求項48〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
該組成物が該治療を必要とする対象に対して異種(ヘテロローガス)である請求項48〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
該組成物を請求項26〜46のいずれかに記載の方法により製造し、該体液またはその成分を、その中に含まれる組成物を投与する前に、1〜200時間、例えば1〜150時間、例えば1〜100時間インキュベーションする請求項48〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
該対象がヒトである請求項48〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
該病状が、癌、例えば白血病、歯周病、習慣性流産、潰瘍性大腸炎、リウマチ性多発性筋痛、むち打ち症関連障害、子宮内膜症、例えば腺筋症、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、糖尿病、例えばI型糖尿病、AIDS/HIV、骨粗しょう症、乾癬、および創傷治癒からなるリストから選ばれる請求項48〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
該治療方法がさらに化学療法剤の投与を含む請求項48〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
磁性ナノ粒子の調製物を含む該組成物を投与した後に、該疾患部位またはその近く、例えば腫瘍中またはその周囲にin vivoで磁石を置く工程をさらに含む請求項48〜57のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2013−504542(P2013−504542A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528371(P2012−528371)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063313
【国際公開番号】WO2011/029903
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(512061630)
【氏名又は名称原語表記】Flemming VELIN
【出願人】(512061641)
【氏名又は名称原語表記】Svend LINDENBERG
【Fターム(参考)】