説明

マイケル付加生成物およびシッフ塩基芳香化学物質

式(I):


(式中、基R1およびR2の炭素原子の合計数が10個以上であることを条件としてR1はH、脂肪族基または芳香族基であり、R2は、脂肪族基または芳香族基であり;R3、R4およびR6は、それぞれ独立して水素であるかまたはC(O)R5と一緒に式:R5C(O)R6C=CR3R4の化合物をオドラントもしくはフレーバラントの特徴を有する物質にする有機部分であり、R5は、水素または有機部分である)を有するか;または式(II):R8R9C=NR10(式中、R10は、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪族基または芳香族基であり、R8およびR9の一方のみが水素であることを条件として、R8およびR9は、それぞれ独立して水素であるかまたはC=Oと共に式:R8R9C=Oの化合物をオドラントもしくはフレーバラントの特徴を有する物質にする有機部分である)を有するか;または式(III):


(式中、基R1およびR2中の炭素原子の合計数が、10個以上であることを条件として、R1は、H、脂肪族基または芳香族基であり、R2は、脂肪族基または芳香族基であり;Zは、CH2またはOであり、nは、環が5または6員環であるような0または1であり、R11は、式(IV)


の化合物をオドラントまたはフレーバラントの特徴を有する物質にする10個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルである)を有するプロオドラントまたはプロフレーバラントが記載されている。またこれらの化合物の製造方法ならびにフレーバーおよびフェレグランスとしてのこれらの使用も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にフレグランスおよびフレーバラントの分野に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、長期間にわたってフレグランスおよびフレーバーの特徴を放出する新規なプロフレグランスおよびプロフレーバラントならびに種々の基材への適用のためのフレグランスおよびフレーバー組成物としてのこれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香をつけたおよび風味をつけた製品、組成物および物品は、当技術分野においてよく知られており、広く使用されている。しかしながら、消費者によるこれらの製品の受け入れは、大体において、経時的にこれらのフレグランスおよび/またはフレーバーを保持し、放出する能力に左右される。ある芳香成分が、許容できる長さの時間、これらのフレグランスの特徴を保持できないことが、繊維ケアの領域における継続的な問題である。香料添加物は、繊維洗浄剤、漂白組成物および繊維柔軟剤中に伝統的に含まれている。しかしながら、このような香料は、典型的に、繊維処理環境、例えば洗濯機中の洗濯およびすすぎの水のサイクルおよび衣料乾燥機中の乾燥サイクルに対してすぐに失われ、もし、あっても、ほとんど伝えられないか、または処理された繊維中にほとんど長く残らない。繊維処理における高価な芳香成分のこのような効率の悪い送達は、製造者および同様に消費者にとって高いコストをもたらし、このような製品の消費者の受け入れに不利な影響を及ぼしている。
【0003】
フレグランスおよびフレーバー組成物のある期間にわたりフレグランスおよびフレーバー放出する特性を延長する要求は、同様に他の産業および応用においても存在する。例えば、もしその中に組み込まれたフレグランスおよびフレーバー成分を、より長く持続させることができるならば、多数の製品の消費者の受け入れは、大きく増大し、このコストは、大きく減少させられるだろう。このような製品は、食品、パーソナルケア製品、家庭用および産業用クリーニング組成物、殺菌剤、飲料、チューインガム、薬学および医学上の組成物および経口送達可能なマトリックスを含む。
【0004】
特に繊維ケア業界においてフレグランスの「持続する」特性を改良するため、多数の努力がなされてきた。
【0005】
米国特許第5,188,753号は、例えばカプセル化などのキャリヤー機構を記載しているが、これが、成功したことは証明されていない。
【0006】
他の解決策は、フレグランス自体の使用によるよりも長い期間にわたってフレグランスの遅くした放出を提供する製品(プロフレグランス)を形成するために、香料と反応剤との反応生成物の調製を含む。米国特許出願公開第20030211963号、第20030211960号、第20030134772号、第20030073607号、第20050043205号、第20050009727号、第20040147426号、第20040116320号、20040097397号、第20040018955号および米国特許第6,858,575号、第6,790,815号、6,764,986号、第6,740,713号、第6,699,823号、第6,566,312号、第6,511,948号、第6,451,751号および第6,413,920号を参照されたい。フレグランス化合物と前記の特許および刊行物において特定された試薬との反応は、プロフレグランスの特徴を有する組成物を提供するが、固体であるか、または高粘度を有する流動体を含む反応生成物を提供する。
【0007】
本発明は、特にフレーバラント/フレグランスのアルデヒドおよびケトンと、第1級および/または第2級アミンとの、あるいは、少なくとも1つの第1級および/または第2級アミン基を有するアミノ官能性ポリマーとの反応生成物に関するものである。
【0008】
種々のケトンと、第1級および/または第2級アミンとの、あるいは、少なくとも1つの第1級および/または第2級アミン基を有するアミノ官能性ポリマーとの間の反応生成物を調製することは、知られている。例えば、米国特許第6,699,823号;第6,511,948号;第6,413,920号および第6,566,312号(これらの特許の全ての内容および開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0009】
本明細書における以前に公開された文献の列挙または議論は、その文献が最新技術の一部であるか、または普通の一般的知識であるということを認めているものと必ずしも解釈すべきではない。
【0010】
アルデヒドはフレグランス化合物または芳香化学物質からシッフ塩基を形成することが、先行技術において示唆されている。しかしながら、アルキルアントラニレートのような揮発性アミンが利用された場合、これは、シッフ塩基が減成した場合にこれら自体、時々は不快な香りを環境に対して与え、これによって、芳香化学物質のフレグランスの特徴に不利な影響を与える。
【特許文献1】米国特許第5,188,753号
【特許文献2】米国特許出願公開第20030211963号
【特許文献3】米国特許出願公開第20030211960号
【特許文献4】米国特許出願公開第20030134772号
【特許文献5】米国特許出願公開第20030073607号
【特許文献6】米国特許出願公開第20050043205号
【特許文献7】米国特許出願公開第20050009727号
【特許文献8】米国特許出願公開第20040147426号
【特許文献9】米国特許出願公開第20040116320号
【特許文献10】米国特許出願公開第20040097397号
【特許文献11】米国特許出願公開第20040018955号
【特許文献12】米国特許第6,858,575号
【特許文献13】米国特許第6,790,815号
【特許文献14】米国特許第6,764,986号
【特許文献15】米国特許第6,740,713号
【特許文献16】米国特許第6,699,823号
【特許文献17】米国特許第6,566,312号
【特許文献18】米国特許第6,511,948号
【特許文献19】米国特許第6,451,751号
【特許文献20】米国特許第6,413,920号
【特許文献21】米国特許第4,563,365号
【特許文献22】米国特許第4,654,168号
【特許文献23】米国特許第4,587,129号
【非特許文献1】J. Braz. Chem. Soc. Vol.9、No.6、583〜585頁、1998
【非特許文献2】J. Jauchら、Angew. Chem.、101(1989)1039頁
【非特許文献3】Augew. Chem. Int. Ed. Engl.、28(1989)1022頁
【非特許文献4】J. Am. Chem. Soc.、61、3303頁(1939)
【非特許文献5】Tetrahedron Letters 23、335頁(1982)
【非特許文献6】Guntert, M.; Emberger, R; Hopp, R.; Kopsel, M.; Silberzahn, W.; Werkhoff P.、「Chiral analysis in flavor and essential oil chemistry. Part A, Filbertone, the character impact compound of hazelnuts」、Flavor Science and Technology、Y. Bessiere & A. F. Thomas、Editors、John Wiley & Sons, Pub.、Chichester、UK、29〜32頁 (1990)
【非特許文献7】Guntert, M.; Emberger, R.; Hopp, R.; Kopsel, M.; Silberzahn, W.; Werkhoff, P. 「Chirospecific analysis in flavor and essential oil chemistry. Part A, Filbertones, the character impact compound of hazelnuts.」、Z. Lebensm. Unters. Forsch.、192、108〜110頁 (1991)
【非特許文献8】Schurig, V.、Jauch, J, Schmalzing, D.、Jung, M., Bretschneider, W.、Hopp, R.、Werkhoff, P.、「Analysis of the Chiral Aroma Compound Filbertone by Inclusion Gas Chromatography」、Z. Lebensm. Unters. Forsch.、191、28頁 (1990)
【非特許文献9】Jauch, J.、Schmalzing, D.、Schurig, V.、Emberger, R.、Hopp, R、Kopsel, M.、Silberzahn, W.、Werkhoff, P.、「Isolierung, Synthese und absolute Konfiguration von Filberton, dem aktiven Prinzip des Haselnussaromas (Isolation, Synthesis, and Absolute Configuration of Filbertone, the Principal Flavor Component of the Hazelnut)」、Angew. Chem.、101 (8)、1039〜1041頁(1989)
【非特許文献10】Angew. Chem. Int. Ed. Engl.、28、1022〜1023頁 (1989)
【非特許文献11】Emberger; Roland; Kopsel, Manfred; Bruning, Jurgen; Hopp, Rudolf; Sand, Theodor; 「Flavoring with 5-methyl-hept-2-en-4-one」
【非特許文献12】Bachem、1996、Peptides and Biochemicals Catalog
【非特許文献13】S. Arctander、Perfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、N.J.、USA
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
芳香化学物質のアルデヒドおよびケトンと、第1級および/または第2級アミンとの、あるいは、少なくとも1つの第1級および/または第2級アミン基を有するアミノ官能性ポリマーとの新規な反応生成物を提供することが本発明の目的である。
【0012】
新規なフレグランスおよびフレーバー芳香化学物質が、これらの化合物の製造方法、芳香化学物質の使用および芳香化学物質を含む製造物品と同様に本明細書において開示される。これらの新規な誘導体は、あるアロマのテーマを必要とするあらゆる応用における有用性がある。また、本発明は、これらの誘導体の混合物、これらの調製方法および種々の基材への適用のための香料物質としての使用にも関係する。本発明の化合物を組み込むことができる製造物品の例は、香水およびオーデコロン、キャンドル、空気清浄剤、洗浄剤組成物ならびに殺菌剤を含む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一般式(I):
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、基R1およびR2の炭素原子の合計数が10個以上であることを条件としてR1はH、脂肪族基または芳香族基であり、R2は、脂肪族基または芳香族基であり;R3、R4およびR6は、それぞれ独立して水素であるかまたはC(O)R5と一緒に式:R5C(O)R6C=CR3R4の化合物をオドラントもしくはフレーバラントの特徴を有する物質にする有機部分であり、R5は、水素または有機部分である)を有するプロオドラントまたはプロフレーバラントを提供する。
【0016】
基R3、R4、R5およびR6は、例えばH、直鎖または分岐または環状のC1〜12アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、置換の直鎖または分岐または環状のC1〜12アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、置換または非置換の芳香族、ハロ、ヒドロキシル、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、イソシアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素であり得る。置換アルキル、アルケニル、アルコキシまたは芳香族基上の好適な置換基は、ハロ、ヒドロキシル、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、イソシアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素を含む。
【0017】
好ましくは、R5およびR3は、それぞれ独立して直鎖または分岐のC1〜12アルキルまたはアルケニル、置換の直鎖または分岐のC1〜12アルキルまたはアルケニルであり、さらに好ましくは、直鎖または分岐のC1〜6アルキルまたはアルケニルである。さらにもっと好ましくは、R5は、4つの炭素原子を含むアルキル基であり、最も好ましくは、R5は、-CH(CH3)CH2CH3または-CH2CH2CH=CH2である。R3は、好ましくはメチル基である。
【0018】
好ましくは、R4およびR6の少なくとも一方は、Hである。例えばR4およびR6の両方がHである。R6についての他の好ましい基は、シクロヘキシルである。
【0019】
本発明の一態様において、基R1およびR2の炭素原子の合計数が10個以上、例えば12から25個まで、または15から20個まで、例えば18個であることを条件として、R1は、H、アルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、R2は、アルキル、アルケニルまたはアルコキシである。アルキル、アルケニルまたはアルコキシ基は、直鎖または分岐または環状であり得る。さらに好ましくは、R1は、Hである。あるいは、R1およびR2の少なくとも一方は、芳香族基であり得る。
【0020】
式(I)の特に好ましい化合物は、
【0021】
【化2】

【0022】
を含む。
【0023】
また、本発明は、式(II):
R8R9C=NR10
(式中、R10は、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪族基または芳香族基であり、R8およびR9の一方のみが水素であることを条件として、R8およびR9は、それぞれ独立して水素であるかまたはC=Oと共に式:R8R9C=Oの化合物をオドラントもしくはフレーバラントの特徴を有する物質にする有機部分である)を有するプロオドラントまたはプロフレーバラントを提供する。
【0024】
基R8およびR9は、例えばH、直鎖または分岐または環状のC1〜12のアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、置換の直鎖または分岐または環状のC1〜12のアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、置換または非置換の芳香族、ハロ、ヒドロキシル、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、イソシアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素であり得る。置換のアルキル、アルケニル、アルコキシまたは芳香族基上の好適な置換基は、芳香族基、ハロ、ヒドロキシル、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、イソシアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素を含む。
【0025】
好ましくは、R8およびR9は、それぞれ独立して水素、直鎖または分岐または環状のC1〜12のアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、置換の直鎖または分岐または環状のC1〜12のアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、置換または非置換の芳香族基であり、さらに好ましくは、直鎖または分岐のC1〜6のアルキルまたはアルケニルである。例えばR8は、CH(CH3)CH2CH3などの4個の炭素原子を含むアルキル基であり得、芳香族基、例えばCH2CH(CH3)(C6H5)を含むこともできる。例えばR9は、水素またはメチル基であり得る。
【0026】
本発明の一態様において、R10は、少なくとも10個、例えば12個から25個まで、または15個から20個まで、例えば18個の炭素原子を有し、アルキル、アルケニルまたはアルコキシである。このアルキル、アルケニルまたはアルコキシ基は、直鎖でも分岐でもよい。
【0027】
式(II)の好ましい化合物は、
【0028】
【化3】

【0029】
である。
【0030】
また、本発明は式(III):
【0031】
【化4】

【0032】
(式中、基R1およびR2の炭素原子の合計数が、10個以上であることを条件として、R1は、H、脂肪族基または芳香族基であり、R2は、脂肪族基または芳香族基であり;Zは、CH2またはOであり、nは、環が5または6員環となるように0または1であり、R11は、式:
【0033】
【化5】

【0034】
の化合物をオドラントまたはフレーバラントの特徴を有する物質にする10個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルまたはアルコキシである)を有するプロオドラントまたはプロフレーバラントを提供する。
【0035】
本発明の一態様において、基R1およびR2の炭素原子の合計数が、10個以上、例えば12から25個まで、または15から20個まで、例えば18個であることを条件として、R1は、H、アルキル、アルケニルまたはアルコキシであり、R2は、アルキル、アルケニルまたはアルコキシである。アルキル、アルケニル、またはアルコキシ基は、直鎖でも分岐でもよい。さらに好ましくは、R1は、Hである。あるいは、R1およびR2の少なくとも一方は、芳香族基であってもよい。
【0036】
R11は、直鎖または分岐のアルキル、アルケニルまたはアルコキシであり得る。場合により、R11は、置換されていてもよい。好適な置換基は、ハロ、ヒドロキシル、チオール、チオエーテル、アミン、カルボン酸、エステル、ニトロ、シアノ、イソシアノ、スルホン酸、尿素およびチオ尿素を含む。
【0037】
ZがOであり、および/またはnが0である式(III)の化合物が好ましい。
【0038】
特に好ましい式(III)の化合物は、
【0039】
【化6】

【0040】
を含む。
【0041】
本明細書に使用される「プロオドラント」および「プロフレーバラント」という用語は、これら自体は実質的に香りまたはフレーバーを有しないが、ある期間にわたりおよび/またはある条件下に減成して、これらのベースになっているオドラントまたはフレーバラントの分子を与え、その結果そのベースの分子の香りおよびフレーバーを与える化合物である。
【0042】
式(I)の本発明の化合物は、アルデヒドまたはケトン基と1,4-共役する炭素-炭素二重結合を含む芳香化学物質、例えばα、β-不飽和ケトンと、第1級アミンまたは第2級アミンとのマイケル付加反応によって製造することができる。この反応に使用に好適な芳香化学物質は、式(IV):
【0043】
【化7】

【0044】
(式中、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して水素であるかまたは前に定義した有機部分である)を有する。
【0045】
この反応において使用されるアミンは、式:NHR1R2(式中、R1およびR2は、前で定義の通りである)を有する。
【0046】
この反応において使用され得る式(IV)の芳香化学物質/フレーバラントは、次のものに限定されないが、
【0047】
【化8】

【0048】
を含む。
【0049】
フィルベルトン(filbertone)は、特徴的なヘーゼルナッツのフレーバー/香りを有する知られたフレーバラント/フレグランス化合物である。フィルベルトン[化学名-(E)-5-メチル-2-ヘプテン-4-オン;CAS登録番号102322-83-8 登録]。
【0050】
二重結合が、ケト基に対して1,4-共役である多くの化合物が、アロマおよびフレーバーの特徴を有する。
【0051】
フィルベルトンは、J. Braz. Chem. Soc. Vol.9、No.6、583〜585頁、1998およびJ. Jauchら、Angew. Chem.、101(1989)1039頁;Augew. Chem. Int. Ed. Engl.、28(1989)1022頁;J. Am. Chem. Soc.、61、3303頁(1939);Tetrahedron Letters 23、335頁(1982)に記載された方法によって調製することができる。E-ケトンは、2つの立体異性体:
【0052】
【化9】

【0053】
を有する。
【0054】
R-立体異性体は、S-立体異性体より約10倍高い臭気閾値を有するヘーゼルナッツ、ソフトな、バター、チョコレート、金属性のフレーバーを有する。また、R-立体異性体は、(-)-(E,R)-ヘーゼルトーンまたは(-)-(E,R)-5-メチル-2-ヘプト-4-オンとしても知られている。
【0055】
S-立体異性体は、R-立体異性体よりも約10倍低い臭気閾値を有するヘーゼルナッツ、金属性、脂肪、ピリジンのフレーバーを有する。これは、(+)-(E,S)-ヘーゼルトーンまたは(+)-(E,S)-5-メチル-2-ヘプテン-4-オンとしても知られている。未加工のヘーゼルナッツの鏡面異性体組成物は、80〜85%(+)-(E,S)および15〜20%(-)-(E,R)の比率に入るが、ローストされたヘーゼルナッツについては、この比率は、約71.5〜72.5%(+)-(E,S)および27.5〜28.5%(-)-(E,R)である[Guntert, M.; Emberger, R; Hopp, R.; Kopsel, M.; Silberzahn, W.; Werkhoff P.、「Chiral analysis in flavor and essential oil chemistry. Part A, Filbertone, the character impact compound of hazelnuts」、Flavor Science and Technology、Y. Bessiere & A. F. Thomas、Editors、John Wiley & Sons, Pub.、Chichester、UK、29〜32頁 (1990); Guntert, M.; Emberger, R.; Hopp, R.; Kopsel, M.; Silberzahn, W.; Werkhoff, P. 「Chirospecific analysis in flavor and essential oil chemistry. Part A, Filbertones, the character impact compound of hazelnuts.」、Z. Lebensm. Unters. Forsch.、192、108〜110頁 (1991); Schurig, V.、Jauch, J.、Schmalzing, D.、Jung, M.、Bretschneider, W.、Hopp, R.、Werkhoff, P.、「Analysis of the Chiral Aroma Compound Filbertone by Inclusion Gas Chromatography」、
Z. Lebensm. Unters. Forsch.、191、28頁 (1990)、Jauch, J.、Schmalzing, D.、Schurig, V.、Emberger, R.、Hopp. R.、Kopsel, M.、Silberzahn, W.、Werkhoff, P.、「Isolierung, Synthese und absolute Konfiguration von Filberton, dem aktiven Prinzip des Haselnussaromas (Isolation, Synthesis, and Absolute Configuration of Filbertone, the Principal Flavor Component of the Hazelnut)」、Angew. Chem.、101 (8)、1039〜1041頁(1989); Angew. Chem. Int. Ed. Engl.、28、1022〜1023頁 (1989); Emberger; Roland; Kopsel, Manfred; Bruning, Jurgen; Hopp, Rudolf; Sand, Theodor; 「Flavoring with 5-methyl-hept-2-en-4-one」、米国特許第4,563,365 号および米国特許第 4,654,168号を参照されたい]。
【0056】
ラセミ体混合物についてのフレーバー感知閾値(3%の庶糖溶液における)=0.000005ppmであり、認知閾値は、約0.00003ppmである。感知閾値において、(ラセミ体の)5-メチル-ヘプト-2-エン-4-オンは、「ソフトで、バター様の口中一杯になった感覚」として記載され得るテイストを生じ、前記の認知閾値超においては、テイストの説明は、「ナッツ様、ヘーゼルナッツ様、ソフトで、バター様の口中一杯になった感覚」となる。適切なフレーバー組成物におけるヘーゼルナッツ風味の特定の特徴付けに加えて、それは、全てのナッツタイプの組成物において、特別に丸味をつける効果を有し、このバター様のソフトな基本的な充満性のためにさらに自然さを付与する。
【0057】
フィルベルトンのアロマおよびフレーバーの特徴は、分子の二重結合がケト基と1,4-共役化されている他の芳香化学物質/フレーバラントによって共有されると信じられている。
【0058】
フィルベルトンおよび多くのそのα、β-不飽和ケトンの同類物は、非常に揮発性であり、水溶性であるという欠点があり、例えば洗濯用洗浄剤、繊維柔軟剤および同様のものの中に組み入れることによって衣服に新鮮で、快い香りを与えるなどの洗濯応用における使用のためにこれらを不利な立場にしている。環境に曝されるとすぐに、それらは蒸発し、または洗濯水に溶解し、その結果、繊維上のこれらの残留時間を短くする。本発明者は、これらの不利益が本発明の化合物を使用することによって克服され得ることを見出した。
【0059】
式(II)の本発明の化合物は、少なくとも1個のアルデヒドまたはケトン基を有する芳香化学物質を第1級アミンと反応させ、式(II)のイミンを形成することによって製造することができる。
【0060】
この反応において使用されるアルデヒドおよびケトンは、式(V):
R8R9C=O
(式中、R8、R9は、前で定義の通りである)を有する。
【0061】
この反応に使用される式(V)の好ましい化合物は、
【0062】
【化10】

【0063】
である。
【0064】
この反応に使用され得るアミンは、式:NH2R10(式中、R10は上で定義の通りである)を有する。
【0065】
式(III)の本発明の化合物は、第1級または第2級アミンと式(VI):
【0066】
【化11】

【0067】
(式中、Zは、CH2またはOであり、nは、それぞれ環が5または6員環となるように0または1であり、R11は、前で定義の通りである)の芳香化学物質/フレーバラントの特徴を有するα、β-不飽和ケトンとのマイケル付加反応によって製造することができる。
【0068】
この反応において使用されるアミンは、式:NHR1R2(式中、R1およびR2は、前で定義の通りである)を有する。
【0069】
この反応に使用され得る式(VI)の芳香化学物質/フレーバラントは、次のものに限定されないが、
【0070】
【化12】

【0071】
を含む。
【0072】
簡単なよく知られた従来の方法によって、本発明の化合物および本発明の化合物を含む組成物を製造することができる。最適な結果を生み出すための特別な反応における要件は、それぞれの場合において使用される反応剤に依存し得るが、これらの手順を実行するための反応条件およびパラメーターは、先行技術においてよく知られている。
【0073】
芳香成分(例えば、式(IV)、(V)または(VI)の化合物)は、反応を行わせ、結果としてアミン反応生成物を与えるように、典型的にはアミン化合物に対して当モル量で使用される。もちろん、より多くの量は、除外されないし、アミン化合物が1つを超えるアミン官能基を含む場合、むしろ好ましくなり得る。アミン化合物が、1つを超える遊離の第1級および/または第2級アミン官能基を含む場合、いくつかの異なる芳香原料物質を、アミン化合物に対して結合することができる。
【0074】
本発明に使用されるアミン化合物は、典型的にジプロピレングリコール中のメチルアントラニレートの1%溶液のそれより少ない臭気強度指数および5を超える乾燥表面臭気指数を有する。
【0075】
臭気強度指数を測定すること、それは、純粋な化学物質が、香水において使用される無臭溶剤のジプロピレングリコール中に1%で希釈されることを意味する。このパーセンテージは、より典型的な使用のレベルである。スメリングストリップ(smelling strip)あるいはいわゆる「ブロッター(blotters)」が浸漬され、評価のために専門パネリストに提供される。専門パネリストは、香りの等級付けにおいて少なくとも6カ月間訓練され、この等級付けを、継続的に参照に対して正確さおよび再現性についてチェックする査定者である。それぞれのアミン化合物に関して、パネリストは2つのブロッター(1つの対照のメチルアントラニレートおよびサンプル)が提供される。パネリストは、両方のスメリングストリップを0から5までの臭気強度尺度(0は香りが検出されず、5は非常に強力な香りが存在する)にランク付けすることが要請される。
【0076】
本発明の化合物を製造するための反応において使用に好適なアミンは、好ましくは、比較的低い蒸気圧および比較的高い分子量を有する、フレグランスがなく、香りがない非揮発性のアミン、すなわち例えばオレイルアミンおよび同様のものなどの、少なくとも1つの遊離かつ変性されていない第1級および/または第2級アミノ基を含む約10を超える炭素原子を含む芳香族または脂肪族アミンである。好ましくは、アミンは、少なくとも150ダルトンの分子量を有する。
【0077】
本発明の実施おいて使用することができる好適なアルキルまたはアルケニルの分岐または直鎖アミンは、少なくとも10の炭素原子、例えば12から25まで、または15から20まで、例えば18の炭素原子を有し、比較的香りがなく、芳香化学物質と香りがない、比較的不溶性の誘導体を形成する。
【0078】
「第1級および/または第2級アミン」とは、少なくとも1つの第1級および/または第2級アミンおよび/またはアミド官能基を保持する成分を意味する。
【0079】
アルデヒドおよびケトンと反応させて本発明の化合物を製造することができるアミンおよびアミノ官能基ポリマーは、本明細書に記載された基準を満足する米国特許第6,699,823号;第6,511,948号;第6,413,920号および第6,566,312号に詳しく説明されたもののいずれかを含む。さらに、これらの特許文献に記載された手順を、本発明の化合物を調製するために使用することができる。
【0080】
さらに、少なくとも1つのアミノ基を含むアミノ官能性ポリマーは、本発明の実施において使用され得る。本発明の少なくとも1つの第1級アミンを含むアミノ官能性ポリマーの一般構造式は、次の通りである。
(NH2)n-[B]
(式中、nは少なくとも1の指数であり、Bは、ポリマーのバックボーンである)Bは、NH2基が付いた分岐の基を場合により含むことができる。本発明の実施に有用なアミノ官能性ポリマーは、ポリマーが-NH2基の代わりに1つまたは複数の-NH-基を含むことを除いて、前記構造と類似の構造を有する第2級アミン基を含むものである。さらにまた、ポリマー構造は、-NH2-および-NH-基の両方の1つまたは複数を含むことができる。
【0081】
本発明に使用することができるアミノ官能性ポリマーは、水素置換または他の好適な挿入によって主鎖に付いた、少なくとも1つの遊離かつ未変性の第1級および/または第2級アミノ基を含む。また、側鎖上に存在する未変性の第1級および/または第2級アミノ基を含むアミノ官能性ポリマーも好適である。
【0082】
好ましくは、アミノ官能性ポリマーを使用する場合、これは、1個を超える、さらに好ましくは10個を超えるアミノ基を含む。本発明において使用されるアミノ官能性ポリマーは、好ましくは400から100,000までの、さらに好ましくは50,000まで、さらにもっと好ましくは600から40,000までの範囲の分子量(MW)を有する。
【0083】
アミノ官能性ポリマーは、線状ホモポリマー、コポリマーおよび場合により、分岐した、グラフトしたおよび/または架橋したものであってもよい。
【0084】
本発明において使用に好適なアミノ官能性ポリマーの好ましい例は、ポリビニルアミン、この誘導体、このコポリマー、アルキレンポリアミン、ポリアミノ酸およびこれらのコポリマー、架橋ポリアミノ酸、アミノ置換ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンビスアミンまたはビスアミノアルキル、アミノアルキルピペラジンおよびこれらの誘導体、直鎖または分岐のN,N'-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン(TPTA)ならびにこれらの混合物から選択される。
【0085】
ポリアミノ酸は、アミノ官能性ポリマーの1つの好適な、好ましいクラスである。ポリアミノ酸は、アミノ酸または化学的に変性されたアミノ酸から作られた化合物である。これらは、アラニン、セリン、アスパラギン酸、アルギニン、バリン、スレオニン、グルタミン酸、ロイシン、システイン、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、チロシン、アスパラギン、メチオニン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グルタミン、グリシンおよびこれらの混合物を含むことができる。化学的に変性されたアミノ酸においては、アミンまたはアミノ酸の酸性官能基が化学試薬と反応している。これは、その後の反応においてアミノ酸のこれらの化学的なアミンおよび酸官能基を保護するために、または例えば改良された溶解性などの特別な特性をアミノ酸に与えるためにしばしば行われる。このような化学的な変性の例は、ベンジルオキシカルボニル、アミノ酪酸、ブチルエステルおよびピログルタミン酸である。アミノ酸および小さいアミノ酸フラグメントの一般的な変性剤のさらに多くの例は、Bachem、1996、Peptides and Biochemicals Catalogにおいて見出すことができる。好ましいポリアミノ酸は、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリグルタミン、ポリアスパラギン、ポリヒスチジン、ポリトリプトファンまたはこれらの混合物である。最も好ましいものは、リシンの側鎖における第1級アミン官能基が、全てのアミノ酸の中で最も反応性が高いので、ポリリシンまたは50%を超えるアミノ酸がリシンであるポリアミノ酸である。好ましいポリアミノ酸は、500から10,000,000まで、さらに好ましくは5,000と750,000との間の分子量を有する。
【0086】
ポリアミノ酸は、架橋されていてもよい。架橋は、例えばリシンなどのアミノ酸の側鎖におけるアミン基をアミノ酸上のカルボキシル官能基または例えばPEG誘導体のようなタンパク質架橋剤と縮合させることによって得ることができる。なお、架橋されたポリアミノ酸は、芳香化学物質成分と反応のために残された遊離の第1級および/または第2級アミノ基を有することが必要である。好ましい架橋ポリアミノ酸は、20,000から10,000,000まで、さらに好ましくは200,000と2,000,000との間の分子量を有する。
【0087】
ポリアミノ酸またはアミノ酸は、例えば酸、アミドまたは塩化アシル、例えばアミノカプロン酸、アジピン酸、エチルヘキサン酸、カプロラクタムまたはこれらの混合物のような他の試薬と共重合することもできる。これらのコポリマーにおいて使用されるモル比は、1:1(試薬/アミノ酸(リシン))から1:20まで、さらに好ましくは1:1から1:10までの範囲内である。例えばポリリシンのようなポリアミノ酸は、部分的にエトキシル化されていてもよい。
【0088】
リシン、アルギニン、グルタミン、アスパラギンを含むポリアミノ酸の例および供給物は、Bachem, 1996、Peptides and Biochemicals Catalogにおいて示されている。
【0089】
ポリアミノ酸は、芳香化学物質との反応の前に塩の形態で得ることができる。例えば、ポリリシンは、ポリリシン臭化水素酸塩として供給され得る。ポリリシン臭化水素酸塩は、Sigma、Applichem、Bachem and Flukaから商業的に入手できる。
【0090】
本発明の目的のための少なくとも1つの第1級および/または第2級アミン基を含む好適なアミノ官能性ポリマーの例は、約300から2×106までの分子量を有するポリビニルアミン;分子量約600、1200または3000およびエトキシル化度0.5を有するアルコキシル化ポリビニルアミン;ポリビニルアミンポリビニルアルコール(モル比2:1)、ポリビニルアミンビニルホルムアミド(モル比1:2)およびポリビニルアミンビニルホルムアミド(モル比2:1);トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン;ビス-アミノプロピルピペラジン;ポリアミノ酸(モル比10/1のL-リシン/ラウリン酸)、ポリアミノ酸(モル比5/5/1のL-リシン/アミノカプロン酸/アジピン酸)、ポリアミノ酸(モル比5/3/1のL-リシン/アミノカプロン酸/エチルヘキサン酸)、ポリアミノ酸(ポリリシン-コカプロラクタム);ポリリシン臭化水素酸塩;架橋ポリリシン、400から300,000までの範囲内の分子量を有するアミノ置換ポリビニルアルコール;例えばSigmaから入手できるポリオキシエチレンビス[アミン]; 例えばSigmaから入手できるポリオキシエチレンビス[6-アミノヘキシル];直鎖または分岐のN,N'-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン(TPTA);および1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジン(BNPP)である。
【0091】
少なくとも1つの第1級および/または第2級アミン基を含む好ましいアミノ官能性ポリマーは、600、1200、3K、20K、25Kまたは50Kからの範囲内の分子量を有するポリビニルアミン;400から300,000までの範囲内の分子量を有するアミノ置換ポリビニルアルコール;Sigmaから入手できるポリオキシエチレンビス[アミン]; 例えばSigmaから入手できるポリオキシエチレンビス[6-アミノヘキシル];直鎖または分岐のN,N'-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン(TPTA);1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジン(BNPP);架橋ポリリシン、ポリリシン臭化水素酸塩である。
【0092】
本発明の1つの特定の目的は、芳香化学物質自体よりもはるかに低い揮発性および溶解性であり、繊維および他の基材に対して直接的である(すなわち、これらが繊維または基材に結合する)、例えばα、β-不飽和芳香化学物質/フレーバラントケトンなどの芳香化学物質の新規な誘導体を提供することである。
【0093】
本発明は、フレーバーおよび/またはフレグランスとしての本発明の化合物およびこれらの混合物の使用を提供する。
【0094】
本発明の組成物は、オドラントまたはフレグランスの遅延した放出を必要とする応用においておよびこの応用のために利用することができる。これは、例えば柔軟化組成物などのすすぎにおける使用のための組成物、例えばシャワーゲル、デオドラント、バー、シャンプーなどのパーソナルクリーニング組成物;例えばデオドラント組成物、殺虫剤などのスタンドアローン組成物および同様のものを含む。
【0095】
1つの好ましい応用は、本発明の化合物を繊維と接触させることを含むものに関する。本発明の組成物は、例えば家庭用の洗濯操作の、例えば前および/または後処理組成物、洗浄添加物として、すすぎ過程における使用に好適な組成物として、どの工程での使用にも好適である。明らかに、例えば繊維を本発明の前処理組成物で処理し、その後にすすぎ過程および/または乾燥過程における使用に好適な組成物で処理するなどの多くの応用も可能である。すすぎ過程における使用に好適な組成物とは、すすぎ添加剤のみならず柔軟化および/または帯電防止の利益も与える、例えばすすぎに添加される繊維柔軟化組成物および乾燥機添加組成物(例えばシート)などの組成物を含むと理解すべきである。
【0096】
本発明の化合物は、典型的にある期間にわたり減成して、消費者がより長い期間享受できるようにゆっくりと芳香化学物質/フレーバラントを放出し、および/またはこれらが誘導された親の化合物よりも長い有効寿命を有する。
【0097】
本出願人は、処理された基材をある条件または物質に曝すことによってフレーバラント/フレグランスをある期間にわたり放出するように、基材を本発明の化合物で処理することができることを見出した。
【0098】
共役不飽和アルデヒドまたはケトンへの飽和または不飽和アミンの1,4-付加による式(IV)または(VI)の芳香化学物質の誘導体化は、それ自体の香りまたはフレーバラントのプロファイルを全く有しないが、減成して元来のアルデヒドまたはケトンを生成しやすい式(I)または(II)の化合物の製造をもたらすことが見出された。同じコメントが、式(II)のシッフ塩基に当てはまる。したがって、本発明の化合物は、これらが誘導された親の化合物と同じ香りの特徴を本質的に有する。
【0099】
誘導体化剤としてオレイルアミンの使用する式(I)の化合物を製造する反応スキームの例が、以下に記載される。
【0100】
【化13】

【0101】
本発明は、またフィルベルトンのZ異性体および同類物にも適用できることを、当業者は理解するはずである。
【0102】
誘導体化剤としてオレイルアミンの使用する式(II)の化合物を製造する反応スキームの例が、以下に記載される。
【0103】
【化14】

【0104】
誘導体化剤としてオレイルアミンの使用する式(III)の化合物を製造する反応スキームの例が、以下に記載される。
【0105】
【化15】

【0106】
本発明の化合物は、繊維の外観の利益、特に繊維衣料に対する色のケアおよび保護を提供することができる。まさに繊維(例えば衣服、寝具、例えばテーブル掛けのような家庭用繊維)の外観は、消費者にとって関心事の領域の1つである。確かに、繊維の例えば着用、洗濯、すすぎおよび/またはタンブル乾燥などの消費者の繊維の典型的な使用時に繊維の外観におけるロス(少なくとも部分的には、色の忠実度および色の鮮明度のロスに原因があり得る)が観察される。このような色のロスの問題は、マルチ洗濯サイクル後にさらに深刻になる。本発明の組成物は、繊維衣料に対して改良された繊維外観および保護を与え、洗濯された繊維、特にマルチ洗濯サイクル後でも改良された色のケアを与えることが見出された。
【0107】
したがって、本発明の組成物は、繊維ケアおよび長い永続性のある芳香の利益を同時に与えることができる。
【0108】
本発明の化合物が組み込むことができる組成物、製品、調合品および物品は、キャンドル、空気清浄剤、香水、フレグランス、オーデコロン、石鹸、バスまたはシャワーゲル、シャンプーまたは他のヘアケア製品、化粧調合品、ボディオドラント、デオドラントまたは制汗剤、液体または固体の繊維洗浄剤または柔軟剤、漂白製品(次亜塩素酸塩)、殺菌剤、あらゆる目的の家庭用または産業用クリーナー、食品、フレーバー付与剤、例えばビールおよびソーダなどの飲料、入れ歯クリーナー(タブレット)、例えばロゼンジ、キャンディ、チューインガム、マトリックス、医薬および同様のものなどのフレーバー付与経口送達製品を含む。
【0109】
この化合物は、芳香を与える成分として、単一化合物としてまたはこれらの混合物として芳香組成物の少なくとも約30重量%の範囲、さらに好ましくは組成物の少なくとも約60重量%の範囲で使用することができる。化合物は、これらの純粋な状態で、または混合物として、添加される成分なしで使用することができる。個々の化合物の臭覚特徴は、これらの混合物においても存在し、これらの化合物の混合物は、芳香成分として使用することができる。これは、化合物の混合物を使用することによって分離および/または精製工程を避けることができる場合に特に有益であり得る。
【0110】
本発明の化合物は、実際には従来の芳香化学物質、すなわち、このことについては自然のものであろうと天然のものであろうと他のフレグランスを含むことができるいかなる製造物品中にも含ませることができる。この例は、漂白剤、洗浄剤、フレーバー付与剤およびフレグランス、アルコール飲料を含む飲料および同様のものを含む。本発明の化合物は、石鹸、シャンプー、ボディデオドラントおよび制汗剤、繊維を処理するための固体または液体の洗浄剤、繊維柔軟剤、洗浄剤組成物および/または皿もしくは種々の表面をクリーニングするための、家庭および産業使用のためのあらゆる目的のクリーナーに使用することができる。もちろん、本化合物の使用は、前記の製品に限定されず、これらは、香水における他の現在の使用、すなわち、石鹸およびシャワーゲル、衛生またはヘアケア製品、およびボディデオドラント、空気清浄剤および化粧調合品の芳香付与ならびに精密香水、すなわち香水およびオーデコロンにおいても使用することができる。また、本発明の化合物は、食品、フレーバー付与剤、ビールおよびソーダ等の飲料、入れ歯クリーナー(タブレット)、例えばロゼンジ、キャンディ、チューインガム、マトリックス、医薬などのフレーバーが付与された経口送達製品および同様のものにおける利用も見つかっている。これらの使用は、以下にさらに詳細に記載される。
【0111】
記載された応用の全てにおいて、本発明の化合物は、単独で、互いに混合して、あるいは当技術分野において現在使用されている他の芳香成分、溶剤または助剤と混合して使用することができる。これらの共同成分の性質および種類は、ここで詳細に説明する必要はなく、さらに網羅的ではなく、当業者は一般的知識によって、芳香を付与される製品および所望される臭覚効果の性質の機能として後者を選択することができるはずである。
【0112】
これらの芳香を付与する成分は、典型的には、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、亜硝酸塩、テルペン、炭化水素、硫黄および窒素含有へテロ環状化合物ならびに天然または合成由来の精油のような変化に富んだ化学的クラスに属する。多数のこれらの成分は、例えばS. Arctander、Perfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、N.J.、USA(この内容は、参照によってその全てがここに組み込まれる)またはその最近の版の本などの参照のテキストブックまたは他の同様の性質の著作物に記載されている。
【0113】
本発明の化合物を種々の製品に組み込むことができる割合は、値の広い範囲内で変わる。これらの値は、芳香を付与することを望む物品または製品の性質ならびに探求される香り効果、ならびに本発明の化合物が、当技術分野において現在使用されている芳香を付与する共同成分、溶剤または助剤と混合して使用される場合の所与の組成物中の共同成分の性質に依存する。
【0114】
1つの例として、本発明の化合物は、典型的には、これらが組み込まれた芳香組成物の重量に対するこれらの化合物の重量により、約0.1%と約10%との間またはそれ以上の濃度で存在する。前記のものよりはるかに低い濃度は、化合物が前に列挙した種々の消費者の製品の芳香を付与するために直接適用する場合に、使用することができる。
【0115】
本発明の化合物は、漂白剤および例えばテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、次亜ハロゲン酸塩、特に次亜塩素酸塩、例えば過ホウ酸塩などの過酸化漂白剤のような活性化剤などを含む洗浄剤において使用することができる。また本発明の組成物は、ボディデオドラントおよび制汗剤、例えばアルミニウム塩を含むものの中に使用することができる。これらの実施形態は、以下にさらに詳細に記載される。
【0116】
本発明書に記載された化合物に加えて、本明細書における組成物は、洗浄界面活性剤および場合によりクリーニング性能を補助し、強化するための物質、クリーニングされる基材を処理するための物質または洗浄剤組成物の美的性質を変更するための物質(例えば芳香剤、着色料、色素など)を含む1つまたは複数の追加の洗浄剤成分を含む。典型的に約0.5重量%から約90重量%までのレベルにおいて本明細書における有用な合成洗浄界面活性剤の非限定的な例は、従来のC1〜18のアルキルベンゼンスルホネート(「LAS」)および第1級の分岐したランダム状のC10〜20アルキルサルフェート(「AS」)および同様のものである。
【0117】
合成洗浄剤のみを組み込んだ好ましい組成物は、約0.5%から50%までの洗浄剤レベルを有する。石鹸を含む組成物は、好ましくは、約10%から約90%までの石鹸を含む。
【0118】
本明細書における組成物は、例えば酵素、漂白剤、繊維柔軟剤、色素移行防止剤、泡抑制剤およびキレート剤、当技術分野の範囲内でよく知られた全てのものなどの他の成分を含むことができる。
【0119】
本発明の化合物は、飲料に組み込んで飲料に種々のフレーバーを付与することができる。飲料組成物は、コーラ飲料組成物であり得るし、コーヒー、茶、乳飲料、果汁飲料、オレンジ飲料、レモンライム飲料、ビール、モルト飲料または他の風味を付与した飲料であり得る。飲料は、液体または粉末の形態であり得る。また飲料組成物は、1つまたは複数のフレーバー付与剤;人工着色料;ビタミン添加物;保存料;カフェイン添加物;水;酸味料;増粘剤;緩衝剤;乳化剤;および/または果汁濃縮物を含むことができる。使用することができる人工着色料は、カラメルカラー、イエロー6およびイエロー5を含む。有用なビタミン添加物は、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC(アスコルビン酸)、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンおよび葉酸を含む。好適な保存料は、安息香酸ナトリウムまたはカリウムを含む。使用できる塩は、塩化ナトリウム、カリウムおよびマグネシウムを含む。例示的な乳化剤は、アラビアガムおよび純粋ガムであり、有用な増粘剤は、ペクチンである。好適な酸味料は、クエン酸、リン酸およびマレイン酸を含み、可能性のある緩衝剤は、クエン酸ナトリウムおよびカリウムを含む。
【0120】
飲料は、例えば炭酸コーラ飲料であり得る。このpHは、一般的に約2.8であり、前記組成物のためのシロップを作るために次の成分:本明細書に記載された誘導体の1つまたは複数を含むフレーバー濃縮物(22.22ml)、80%リン酸(5.55g)、クエン酸(0.267g)、カフェイン(1.24g)、人工甘味料、砂糖またはコーンシロップ(実際の甘味料に依存した味)およびクエン酸カリウム(4.07g)を使用することができる。前記飲料組成物は、例えば炭酸水250mlに対してシロップ50mlの割合で、前記のシロップを炭酸水と混合することによって調製することができる。本明細書において記載された誘導体の1つまたは複数を含むフレーバーを付与した食品および医薬組成物もまた調製することができる。
【0121】
本発明の化合物は、当業者によく知られた技術を使用して従来の食品中に組み込むことができる。あるいは、本発明の化合物は、ポリマー粒子の中に組み込むこともでき、これらは、通常固体または半固体の基材である経口送達可能なマトリックス物質の中および/または表面に分散させることができる。チューイング組成物に使用される場合、本発明の化合物は、この組成物を噛むにつれて経口送達可能なポリマーマトリックス物質中に本発明の化合物が放出され、口の中に保持され、その結果、組成物のフレーバーを長持ちさせることができる。乾燥粉末および混合物の場合において、製品が消費されるにつれてフレーバーを利用できるようにすることもでき、組成物がさらに加工処理されたときにマトリックス物質中にフレーバーが放出されるようにすることもできる。2つのフレーバーをポリマー粒子で一緒にする場合、化合物の同時の放出および消耗がなされるように添加物の相対的な量を選択することができる。
【0122】
フレーバーを付与された組成物は、経口送達可能なマトリックス物質;多数の水不溶性ポリマー粒子が経口送達可能なマトリックス中に分散されていて、ポリマー粒子は個々に内部の細孔のネットワークを定めており、消化管においては分解されないものであり、本発明の1つまたは複数の化合物が、内部の細孔ネットワークの中に閉じ込められているものであり得る。本発明の化合物は、このマトリックスが噛まれ、口中で溶解する場合、あるいは液体添加、乾燥ブレンド、攪拌、混合、加熱、焼成および調理からなる群から選択されるさらなる処理を受けた場合に放出される。経口送達可能なマトリックス物質は、ガム、ラテックス物質、結晶化蔗糖、無定形蔗糖、フォンダン、ヌガー、ジャム、ゼリー、ペースト、粉末、ドライブレンド、乾燥食品ミックス、焼成商品、バッター、ドウ、タブレットおよびロゼンジからなる群から選択することができる。
【0123】
フレーバーなしのガムベースは、本明細書において記載された本発明の化合物または他の好適な化合物と所望のフレーバー濃度になるように一緒にすることができる。典型的には、ブレードミキサーを約110°Fに加熱し、ガムベースを軟らかくするために予備加熱し、次いでミキサーに加え、約30秒間混合する。次いで、フレーバーを付与される化合物(1つまたは複数)をミキサーに加え、好適な時間混合する。次いで、ミキサーからガムを取り出し、暖かい間にパラフィン紙上にスティックの厚さに圧延する。
【0124】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、フレグランスをコントロールされた方式で放出することができるシステム中に組み込むことができる。これらは、例えば空気清浄剤、洗濯用洗浄剤、繊維柔軟剤、デオドラント、ローションおよび他の家庭用品などの基材を含む。フレグランスは、一般的には本明細書に記載された精油の1つまたは複数の誘導体であり、それぞれは、異なる量で存在し、米国特許第4,587,129号(この内容は、参照によって全てここに組み込まれる)は、90重量%までのフレグランスまたは香油を含むゲル物品の調製方法を記載している。このゲルは、ヒドロキシ(低級アルコキシ)2-アルケネオエート、ヒドロキシ(低級アルコキシ)低級アルキル2-アルケネオエートまたはヒドロキシポリ(低級アルコキシ)低級アルキル2-アルケネオエートおよびポリエチレン性不飽和架橋剤を有するポリマーから調製される。これらの物質は、連続的なゆっくりした放出特性を有し、すなわち、これらは、フレグランス成分を長期間にわたって連続的に放出する。
【0125】
有利には、アルデヒド基を含むこれらの化合物の全てまたは一部を、アセタール基を含むように変性することができ、このアセタールは、加水分解してアルデヒド化合物を形成するので、配合物にある期間にわたりフレグランスを放出させることができる。
【0126】
本発明は、次の非限定の実施例によって例示される。
【0127】
(実施例)
(実施例1)
等モル量のアミン(オレイルアミン267g)およびオドラント(2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン152g)を完全に攪拌することによって混合し、3から5時間攪拌しながら50℃に温め、その時間で反応は実質的に完結した。
【0128】
反応の過程を例えばNMRまたはクロマトグラフィ(例えばガスクロマトグラフィ)または薄層クロマトグラフィなどの当技術分野において知られた手段によってモニターすることができる。
【0129】
(実施例2)
化学量論量のアミン(オレイルアミン35g)およびフィルベルトン(10g)を約50℃で3から5時間、反応が実質的に完全に進むまで攪拌によって一緒に混合した。反応混合物を冷却した(30分)ときに生成物は、分離の用意ができていた。
【0130】
(実施例3)
実施例2の生成物を、繊維コンディショナー中にフレグランスを典型的に感じる濃度で、繊維コンディショナー中に溶解した。同じ濃度でフィルベルトンを含む対照の繊維コンディショナーも製造した。
【0131】
家庭用洗濯機のすすぎサイクルにおいて2つの繊維コンディショナーで衣類を処理し、次いで乾燥した。
【0132】
実施例2の生成物を含む繊維コンディショナーで処理された衣類は、同じ濃度でフィルベルトン自体を含む繊維コンディショナーで処理した衣類よりも著しく長い間フィルベルトンに起因する香りを示した。フィルベルトンを含む繊維コンディショナーで処理した衣類は、約1時間までの間フィルベルトンに起因する香りを示したが、実施例2の生成物を含む繊維コンディショナーで処理した衣類は、約2週間までの間フィルベルトンに起因する香りを示した。
【0133】
本発明の主題を本明細書によって開示してきたが、本発明の多くの変更形態、代替形態および改変形態がこれらに照らして可能であることは明らかなはずである。本発明は、詳細に記載された以外も実行できると理解すべきである。このような変更形態、代替形態および改変形態は、本発明の範囲内であるということを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、基R1およびR2の炭素原子の合計数が10個以上であることを条件としてR1はH、脂肪族基または芳香族基であり、R2は、脂肪族基または芳香族基であり;R3、R4およびR6は、それぞれ独立して水素であるかまたはC(O)R5と一緒に式:R5C(O)R6C=CR3R4の化合物をオドラントもしくはフレーバラントの特徴を有する物質にする有機部分であり、R5は、水素または有機部分である)
を有するか;または
式(II):
R8R9C=NR10
(式中、R10は、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪族基または芳香族基であり、R8およびR9の一方のみが水素であることを条件として、R8およびR9は、それぞれ独立して水素であるかまたはC=Oと共に式:R8R9C=Oの化合物をオドラントもしくはフレーバラントの特徴を有する物質にする有機部分である)
を有するか;または
式(III):
【化2】

(式中、基R1およびR2の炭素原子の合計数が、10個以上であることを条件として、R1は、H、脂肪族基または芳香族基であり、R2は、脂肪族基または芳香族基であり;Zは、CH2またはOであり、nは、環が5または6員環となるように0または1であり、R11は、式:
【化3】

の化合物をオドラントまたはフレーバラントの特徴を有する物質にする10個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルである)
を有するプロオドラントまたはプロフレーバラント。
【請求項2】
式:
【化4】

を有する、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
式:
【化5】

を有する、請求項1に記載の式(III)の化合物。
【請求項4】
式:
【化6】

を有する、請求項1に記載の式(III)の化合物。
【請求項5】
【化7】

である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式(IV):
【化8】

(式中、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して水素であるかまたは請求項1に規定の有機部分である)の化合物を式:NHR1R2(式中、R1およびR2は、請求項1で定義の通りである)のアミンと反応させることを含む請求項1に規定の式(I)の化合物の製造方法;または
式(V):
R8R9C=O
(式中、R8およびR9は、請求項1で定義の通りである)の化合物を式:NH2R10(式中、R10は、請求項1で定義の通りである)のアミンと反応させることを含む請求項1に規定の式(II)の化合物の製造方法;または
式(VI):
【化9】

(式中、Zは、CH2またはOであり、nは、環がそれぞれ5または6員環となるように0または1であり、R11は、請求項1で定義の通りである)の化合物を式:NHR1R2(式中、R1およびR2は、請求項1で定義の通りである)のアミンと反応させることを含む、請求項1に規定の式(III)の化合物の製造方法。
【請求項7】
【化10】

を製造するための請求項6に記載の方法であって、
【化11】

をH2N(CH2)8CH=CH(CH2)7CH3と反応させることを含む方法。
【請求項8】
式:
【化12】

の化合物を製造するための請求項6に記載の方法であって、
式:
【化13】

の化合物を式:NHR2(式中、R2は請求項1で定義の通りである)のアミンと反応させることを含む方法。
【請求項9】
式:
【化14】

の化合物を製造するための請求項6に記載の方法であって、
式:
【化15】

の化合物をH2N(CH2)8CH=CH(CH2)7CH3と反応させることを含む方法。
【請求項10】
式:
【化16】

のいずれか1つの化合物を製造するための請求項6に記載の方法であって、
式:
【化17】

の対応する化合物をNHR2(式中、R2は請求項1で定義の通りである)のアミンと反応させることを含む方法。
【請求項11】
アミンがH2N(CH2)8CH=CH(CH2)7CH3である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フレーバーまたはフレグランスとしての請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物の使用。
【請求項13】
請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物で処理された基材。
【請求項14】
基材を請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物で処理することを含む基材にフレーバラント/フレグランスを放出する特徴を付与するために基材を処理する方法。
【請求項15】
請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物を場合により当技術分野で現在使用されている他の芳香成分、溶剤または助剤と混合して含有するアロマ、フレグランスまたは香りを放出する特徴を有する組成物、製品、調合物または物品。
【請求項16】
請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物が少なくとも30重量%の量で存在する、請求項15に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項17】
請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物が少なくとも60重量%の量で存在する、請求項16に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項18】
香水、フレグランスまたはオーデコロン、石鹸、バスもしくはシャワーゲル、シャンプーまたは他のヘアケア製品、化粧調合品、ボディオドラント、デオドラントまたは制汗剤、空気清浄剤、液体または固体の繊維洗浄剤または柔軟剤、漂白製品、殺菌剤またはあらゆる目的に使用できる家庭用もしくは産業用クリーナーの形態の、請求項15から17までのいずれか一項に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項19】
請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物が、他の洗浄剤成分、溶剤または助剤と混合物との混合されている、請求項18に記載の洗浄剤組成物、製品、調合物または物品。
【請求項20】
請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物が、他の漂白剤成分、溶剤または助剤と混合されている、請求項18に記載の漂白剤組成物、製品、調合物または物品。
【請求項21】
請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物が、他の殺菌剤成分、溶剤または助剤と混合されている、請求項18に記載の殺菌剤組成物、製品、調合物または物品。
【請求項22】
化合物または化合物の混合物が、他のボディオドラント、デオドラントまたは制汗剤成分、溶剤または助剤と混合されているボディオドラント、デオドラントまたは制汗剤の形態の請求項18に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項23】
請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物を含む改良されたフレーバーまたはテイストの特徴を有する組成物、製品、調合物または物品。
【請求項24】
他の飲料成分、溶剤または助剤を場合により含む飲料の形態の請求項23に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項25】
他のフレーバー付与成分、溶剤または助剤を場合により含むフレーバー付与剤の形態の請求項23に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項26】
他の食品成分、溶剤または助剤を場合により含む食品の形態の請求項23に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項27】
他のチューインガム成分、溶剤または助剤を場合により含むチューインガムの形態の請求項23に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項28】
他の医薬成分、溶剤または助剤を場合により含む医薬の形態の請求項23に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項29】
他のマトリックス物質成分、溶剤または助剤を場合により含んでもよい経口送達可能なマトリックス物質の形態の請求項23に記載の組成物、製品、調合物または物品。
【請求項30】
組成物、製品、調合物または物品に、フレーバーとしての有効量の請求項1から5のいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物を加えることを含む組成物、製品、調合物または物品のテイストまたはフレーバー特性を与え、改良し、強化し、または変性する方法。
【請求項31】
前記組成物、製品、調合物または物品が、飲料、フレーバー付与剤、食品、チューインガム、医薬または経口送達可能なマトリックスの形態である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
組成物、製品、調合物または物品に、アロマ、フレグランスまたは香りとしての有効量の請求項1から5のいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物を加えることを含む組成物、製品、調合物または物品のアロマ、フレグランスまたは香りの特徴を与え、改良し、強化し、または変性する方法。
【請求項33】
前記組成物、製品、調合物または物品が、香水、ボディオドラント、デオドラントまたは制汗剤、洗浄剤、漂白剤製品または殺菌剤の形態である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
包装材料および包装材料中に含まれるアロマ、香り、フレグランス、テイストまたはフレーバー強化剤を含み、前記強化剤は、これが加えられた組成物、調合物、製品または物品のアロマ、香り、フレグランス、テイストまたはフレーバーを強化するために効果的であり、前記包装材料は、前記強化剤がアロマ、香り、フレグランス、テイストまたはフレーバーを強化するために使用され得ることを示すラベルを含み、前記強化剤は、請求項1から5までのいずれか一項に規定の化合物または化合物の混合物である製造物品。
【請求項35】
前記請求項および明細書において記載されたプロオドラントまたはプロフレーバラント。
【請求項36】
前記請求項および明細書において記載されたプロセスまたは方法。
【請求項37】
前記請求項および明細書において記載された組成物または製造物品。

【公表番号】特表2008−530296(P2008−530296A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554626(P2007−554626)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000212
【国際公開番号】WO2006/085049
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506426328)フレクシトラル・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】