説明

マイケル付加組成物を使用する方法

【課題】基体を接着し、フォームを形成し、エラストマーを形成するための官能性混合物の使用方法の提供。
【解決手段】硬化反応として潜在的に有用な1つの化学反応マイケル付加により硬化される組成物を用いる基体を接着するための方法、フォームを形成するための方法、およびエラストマーを形成するための方法であり、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体と、少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、及び強塩基触媒、を含む官能性混合物の層を第1の基体上に適用する工程と、更なる基体を1つ前記混合物に接触させる工程により、ラミネートを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体を接着し、フォームを形成し、およびエラストマーを形成するための官能性混合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォーム、接着剤、シーラント、および/またはエラストマーとして有用である多くの組成物は硬化する。すなわち、これらは分子量を増大する有用な化学反応を起こす。硬化反応は、重合、ポリマーの分岐、ポリマーの架橋、および架橋網目の形成の1以上の作用からなる。硬化反応として潜在的に有用な1つの化学反応はマイケル付加である。例えば、米国特許第5,084,536号は、コーティングの1つのタイプである硬化ラッカーの形成におけるマイケル付加の使用を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,084,536号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、硬化反応がマイケル付加を包含する接着剤、フォーム、およびエラストマーを見出すことが望まれる。本発明が取り組む問題は、マイケル付加反応により硬化することができる組成物を用いて、基体を接着するための方法、フォームを形成するための方法、およびエラストマーを形成するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様において、
(a)(i)少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、
(ii)少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および
(iii)少なくとも1つの強塩基触媒
を含む官能性混合物の層を第1の基体上に適用する工程と、
(b)少なくとも1つのさらなる基体を前記混合物の前記層に接触させる工程と
を含む方法が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様において、接着剤組成物と接触する少なくとも2つの基体を含む結合物品であって、前記接着剤組成物が
(i)少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、
(ii)少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および
(iii)少なくとも1つの強塩基触媒
を含む官能性混合物の反応生成物を含む結合物品が提供される。
【0006】
本発明の第3の態様において、
(i)少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、
(ii)少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および
(iii)少なくとも1つの強塩基触媒
を含む官能性混合物の反応生成物を含むエラストマーが提供される。
【0007】
本発明の第4の態様において、
(i)少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、
(ii)少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および
(iii)少なくとも1つの強塩基触媒
を含む官能性混合物の反応生成物を含むポリマーフォームが提供される。
【0008】
本発明の第5の態様において、
(i)少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、
(ii)少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および
(iii)少なくとも1つの強塩基触媒
を含む官能性混合物が提供され、ここで前記官能性混合物はTピール試験において150g以上の値を与える。
【0009】
本発明の第6の態様において、
(i)少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、
(ii)少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および
(iii)少なくとも1つの強塩基触媒
を含む官能性混合物が提供され、ここで前記官能性混合物の反応生成物はラミネート接着剤として好適であり、前記官能性混合物の反応生成物は−30℃以上のTgを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書で使用されるように、「(メタ)アクリレート」はアクリレートまたはメタクリレートを意味し、そして「(メタ)アクリル」はアクリルまたはメタクリルを意味する。
【0011】
本発明は、マイケル付加反応を行うことのできる官能基を有する化合物の使用を包含する。マイケル付加は、例えば、RT MorrisonおよびRN Boydによって「Organic Chemistry」、第3版、Allyn and Bacon、1973年、で教示されている。この反応は、強塩基触媒の存在下でマイケル供与体とマイケル受容体の間で起こると考えられる。
【0012】
本明細書で使用される「マイケル供与体」は、少なくとも1つのマイケル供与体官能基を有する化合物であり、これは少なくとも1つのマイケル活性水素原子を含有する官能基であり、これは例えばC=Oおよび/またはC≡Nなどの2つの電子吸引基の間に位置する炭素原子に結合する水素原子である。マイケル供与体官能基の例は、マロネートエステル、アセトアセテートエステル、マロンアミド、およびアセトアセトアミド(ここでは、マイケル活性水素は2つのカルボニル基の間の炭素原子に結合している)、ならびにシアノアセテートエステルおよびシアノアセトアミド(ここでは、マイケル活性水素はカルボニル基とシアノ基の間の炭素原子に結合している)である。2以上のマイケル活性水素原子を有する化合物は、本明細書では多官能性マイケル供与体として認識される。マイケル供与体は、1、2、3またはそれ以上の別の官能基を有することができ、その各々が1つまたはそれ以上のマイケル活性水素原子を有している。分子上のマイケル活性水素原子の全数は、マイケル供与体の官能価である。本明細書で使用されるマイケル供与体の「骨格」は、マイケル活性水素原子を含む官能基以外の供与体分子部分である。
【0013】
本明細書で使用される「マイケル受容体」は、構造(I)
C=C−C(O)R
を有する、少なくとも1つの官能基を有する化合物である。式中、R、R、およびRは、独立に、水素または有機基であり、例えばアルキル(線状、分枝状、あるいは環状)、アリール、アルカリール(これらの誘導体および置換体を含む)である。R、R、およびRは、エーテル結合、カルボキシル基、さらなるカルボニル基、これらのチオ類似体、窒素含有基、またはこれらの組み合わせを独立に含有してもよく、あるいは含有しなくともよい。構造(I)を各々含む、2以上の官能基を有する化合物は、本明細書では多官能性マイケル受容体として認識される。この分子上で構造(I)を含む官能基の数は、マイケル受容体の官能価である。本明細書で使用されるマイケル受容体の「骨格」は、構造(I)以外の供与体分子の部分である。任意の構造(I)は別の(I)基に結合することができ、あるいは骨格に直接に結合することができる。
【0014】
本発明の実施において、多官能性マイケル受容体の骨格は、多官能性マイケル供与体の骨格と同一であっても、あるいは異なってもよい。ある態様において、1以上の多価アルコールが少なくとも1つの骨格として使用される。多官能性マイケル受容体または多官能性マイケル供与体のいずれかの骨格として好適ないくつかの多価アルコールとしては、例えば、アルカンジオール、アルキレングリコール、グリセロール、糖、ペンタエリスリトール、これらの多価誘導体、またはこれらの混合物が挙げられる。骨格として好適ないくつかの多価アルコールとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ヒマシ油、トリメチロールプロパン、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、類似の多価アルコール、これらの置換体、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
本発明で骨格として好適な多価アルコールのさらなる例としては、例えば、150以上の分子量の多価アルコール(本明細書で上記に挙げたものに加えて)が挙げられる。1つの好適な150以上の分子量を有する多価アルコールは、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(Chemical Abstracts Service(CAS)登録番号26896−48−0)であり、任意のこれらの異性体または混合物が好適である。他の好適な150以上の分子量を有する多価アルコールは、Polysorbate80(CAS登録番号9005−65−6)である。骨格として好適な150以上の分子量を有する多価アルコールのさらなる例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グルコース、およびジペンタエリスリトールが挙げられる。加えて、広範で多様な脂肪酸およびそれと関連する油は多価アルコールであるか、あるいは多価アルコールを形成する種々の方法によりヒドロキシル化されることができるかのいずれかであり、このような多価アルコールも好適である。本発明で骨格として好適な脂肪酸およびそれと関連する油のいくつかの例としては、ヒマシ油、ヒドロキシル化された脂肪および油、脂肪および油のヒドロキシル化誘導体、並びにこれらの混合物である。上記に挙げたものに類似した多価アルコールも骨格として好適である。好適な多価アルコールの混合物も好適である。
【0016】
ある態様において、多官能性マイケル供与体もしくは多官能性マイケル受容体または両方の骨格はオリゴマーまたはポリマーである。ポリマーは、本明細書で使用されるように、そしてFW Billmeyer,JRにより「Textbook of Polymer Science」、第2版、1971年(「Billmeyer」)で定義されているように、より小さな化学的な繰り返し単位の反応生成物から構成される相対的に大きな分子である。通常、ポリマーは11以上の繰り返し単位を有する。ポリマーは線状、分枝状、星形、ループ状、超分枝状、あるいは架橋された構造を有してもよく、ポリマーは単一タイプの繰り返し単位を有しても(「ホモポリマー」)、あるいは1タイプ以上の繰り返し単位を有しても(「コポリマー」)よい。本明細書で使用されるように、「樹脂」はポリマーと同義である。
【0017】
ポリマーは相対的に高い分子量を有する。ポリマーの分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィまたは固有粘度などの標準的な方法により測定することができる。一般に、ポリマーは1,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する。ポリマーは極端に高いMwを有することができるが、いくつかのポリマーは1,000,000をこえるMwを有し、典型的なポリマーは1,000,000以下のMwを有する。
【0018】
本明細書で使用される「オリゴマー」は、より少ない繰り返し単位と低い分子量を有することを除いて、ポリマーに類似した構造である。通常、オリゴマーは2〜10の繰り返し単位を有する。一般に、オリゴマーは400〜1,000のMwを有する。
【0019】
ある態様において、オリゴマーおよび/またはポリマーを1以上の骨格として使用してもよい。オリゴマーおよび/またはポリマーを1以上の骨格として使用する1つの理由は、所望の粘度の官能性混合物を提供するためである。また、官能性混合物を接着剤として使用する態様において、オリゴマーおよび/またはポリマーは、接着剤のグリーン強度(すなわち、硬化反応が完結する前に得られる接着強度)も改善すると考えられる。
【0020】
本発明の実施は、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および少なくとも1つの強塩基触媒を包含する官能性混合物の形成を包含する。ある態様において、本発明の官能性混合物は、性質の改善のために選択された1以上のアジュバントを含有することができ、例えば、溶媒、粘着剤、乳化剤、ポリマー、可塑剤、発泡剤、膨張性ミクロスフェア、増粘剤、または多官能性マイケル供与体でも多官能性マイケル受容体でもない反応性化合物をはじめとする。アジュバントは、好ましくは官能性混合物と相溶性であるように選択され、本発明の実施を妨げない方法で使用される(例えば、構成成分の混合、混合物の硬化、基体への適用、または硬化混合物の最終特性を妨げないアジュバントが好ましくは選択される)。
【0021】
官能性混合物中に包含する特定の多官能性マイケル供与体および特定の多官能性マイケル受容体の選択において、官能価を考慮することが望ましい。2の官能価を有するマイケル供与体と2の官能価を有するマイケル受容体とを反応させることは線状の分子構造を生じると一般に考えられる。しばしば、分岐したおよび/または架橋した分子構造を生じさせることが望ましく、これは、3以上の官能価を有する成分を少なくとも1つ使用することが必要であると考えられる。従って、少なくとも1つのマイケル供与体もしくは少なくとも1つのマイケル受容体またはその両方が3以上の官能価を有することが好ましい。ある態様において、二つをあわせた官能性混合物中のすべてのマイケル供与体およびすべてのマイケル受容体の平均官能価は2より大きく、ある態様において、平均官能価は2.5以上であり、あるいは3以上であり、あるいは4以上である。
【0022】
本発明のある態様において、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体は、同一の炭素原子に結合した2つのマイケル活性水素原子(本発明では「マイケルツイン(twin)」水素原子と呼ぶ)を有するマイケル供与体官能基を有する。マイケルツイン水素原子を有するある態様において(本発明では「逐次的な」態様と呼ぶ)、硬化は、通常、第1のマイケルツイン水素原子が引き抜かれた後、第2のマイケルツイン水素原子を引き抜く代わりに異なるマイケル供与体官能基から水素原子をまず引き抜くことにより進行する。逐次的な態様において、マイケルツイン水素原子を有する官能基の大部分または全部がマイケルツイン水素原子の1つを引き抜かれた後に、さらなるマイケル付加反応が起こる場合には、第2のマイケルツイン水素原子が前記の官能基から引き抜かれる。ある逐次的な態様において、1個のマイケルツイン水素原子が既に引き抜かれたマイケル供与体官能基から第2のマイケルツイン水素原子が殆どあるいは全く引き抜かれない場合には、硬化は停止する。マイケルツイン水素原子を有する他の態様(本発明では「非逐次的な」態様と呼ぶ)においては、両方のマイケルツイン水素原子が単一のマイケル供与体官能基から引き抜かれ、その後にマイケルツイン水素原子を有する官能基の大部分あるいは全部が1個の水素原子を引き抜かれてもよい。本発明の実施においては、逐次的および非逐次的な態様の任意の組み合わせである態様も考えられる。
【0023】
本発明の混合物においては、多官能性マイケル受容体の多官能性マイケル供与体に対する相対比率は、反応当量比により特性付け可能であり、これはこの混合物中の官能基(I)全部の数の、この混合物中のマイケル活性水素原子数に対する比である。ある態様において、この反応当量比は0.1:1以上であり、好ましくは0.2:1以上であり、より好ましくは0.3:1以上であり、なおより好ましくは0.4:1以上であり、最も好ましくは0.45:1以上である。ある態様において、反応当量比は3:1以下であり、好ましくは1.75:1以下であり、より好ましくは1.5:1以下であり、最も好ましくは1.25:1以下である。
【0024】
相対的に高い反応当量比を有するある態様において、硬化した官能性混合物は未反応官能基(I)を含有するであろうと考えられ、反応当量比が充分に高い場合、硬化した官能性混合物は官能基(I)のいずれも反応しなかった全多官能性マイケル受容体分子(本明細書では「未反応多官能性マイケル受容体分子」と呼ぶ)を含有するであろうと考えられる。例えば、多官能性マイケル受容体分子がすべて各々2つの官能基(I)を有する場合には、次いで、2:1以上の反応当量比を有する官能性混合物は、若干の未反応多官能性マイケル受容体分子が存在する硬化した官能性混合物を生成するであろうと考えられる。ある態様において、未反応多官能性マイケル受容体分子の存在が望ましい(例えば、マイケル付加に加えて化学反応を行うことを意図する場合)。他の態様において、未反応多官能性マイケル供与体分子を殆どあるいは全く有しないことが望ましく、前記の態様において、実施者ならば硬化した官能性混合物が未反応多官能性マイケル供与体分子を殆ど有しないか、あるいは全く有しないことを可能にするのに充分低い反応当量比を容易に選択することができるであろうと考えられる。
【0025】
多官能性マイケル供与体、多官能性マイケル受容体、強塩基触媒、および他の成分をこれらの混合物が均質となる(すなわち、この混合物は静置または硬化時に相分離しない)ように選択することが本発明の実施において好ましい。
【0026】
本発明のある態様において、官能性混合物の構成成分を溶媒に溶解させるか、あるいは流体媒体に担持させる(例えば、エマルションまたは分散液として)。他の態様において、本発明の官能性混合物は溶媒を実質的に含まない。「溶媒を実質的に含まない」とは、組成物が官能性混合物の全重量を基準として少なくとも70重量%の固形分、好ましくは少なくとも95重量%の固形分を含有するということを本明細書では意味する。「固形分」とは、本明細書では、すべてのマイケル供与体、すべてのマイケル受容体、すべてのポリマー、純粋である場合に25℃で固体であるすべての材料、および200℃以上の沸点を有するすべての材料の重量を意味する。
【0027】
本発明の実施は、少なくとも1つの多官能性マイケル受容体の使用を包含する。ある態様において、多官能性マイケル受容体の骨格は、例えば、本明細書で上記に掲げたものなどをはじめとする多価アルコールの残基である。ある態様において、多官能性マイケル受容体の骨格はポリマーであることができ、例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリジエン、水素化ポリジエン、アルキド、アルキドポリエステル、(メタ)アクリルポリマー、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリエステル、ハロゲン化ポリエステル、これらのコポリマー、またはこれらの混合物などが挙げられる。ある態様において、多官能性マイケル受容体の骨格はオリゴマーであることができる。
【0028】
本発明のある好適な多官能性マイケル受容体は、例えば、構造(I)の一部または全部がエステル結合により多官能性マイケル受容体分子に結合した、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、フマル酸、もしくはマレイン酸、これらの置換体、またはこれらの組み合わせの残基である分子が挙げられる。エステル結合によりこの化合物に結合している(メタ)アクリル酸の2以上の残基を包含する構造(I)を有する化合物は、本明細書では「多官能性(メタ)アクリレート」と呼ばれる。マイケル付加において受容体として作用することの出来る少なくとも2つの二重結合を有する多官能性(メタ)アクリレートは、本発明で好適な多官能性マイケル受容体である。好ましい多官能性(メタ)アクリレートは多官能性アクリレート(エステル結合により結合しているアクリル酸の2以上の残基を有する化合物)である。
【0029】
多官能性アクリレートである好適な多官能性マイケル受容体の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリレート化ポリエステルオリゴマー、ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、アクリレート化脂肪族ウレタンオリゴマー、アクリレート化芳香族ウレタンオリゴマーなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
また骨格がポリマー性である多官能性(メタ)アクリレートも多官能性マイケル受容体として好適である。(メタ)アクリレート基を広範で多様な方法のいずれかでポリマー性骨格に結合させてもよい。例えば、(メタ)アクリレートエステルモノマーをエステル結合により重合性官能基に結合させ、そして(メタ)アクリレート基の二重結合を未反応のままにとどめる方法でこの重合性官能基を他のモノマーと重合させてもよい。別の例として、(メタ)アクリレートエステルと反応(例えば、エステル交換により)させて、ペンダントの(メタ)アクリレート基を有するポリマーを生成させる官能基を有するポリマー(例えば、残存ヒドロキシルを有するポリエステルをはじめとする)を製造してもよい。さらに別の例として、すべてのアクリレート基は反応しない方法で多官能性アクリレートモノマー(トリメチロールプロパントリアクリレートをはじめとする)を包含するホモポリマーまたはコポリマーを製造してもよい。多官能性マイケル受容体の骨格がポリマーである態様において、官能基(I)はポリマー鎖にペンダントであるか、もしくはポリマー鎖の中に組み込まれているか、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0031】
好適な多官能性マイケル受容体の内には、構造(I)を各々含有する2以上の官能基を有する化合物もあり、構造(I)を含有する官能基の1以上が(メタ)アクリルアミドの残基である。すなわち、構造(I)を含有する官能基の1以上は、
【化1】

であり、式中Rは本明細書上記で定義したR、R、およびRと同一の様式で定義され、R、R、R、およびRのすべては相互に独立に選択されることができる。ある好適な多官能性マイケル受容体において、構造(I)を含有するすべての官能基は(メタ)アクリルアミドの残基である(例えば、メチレンビスアクリルアミドが挙げられる)。他の好適な多官能性マイケル受容体においては、構造(I)を含有する少なくとも1つの官能基は(メタ)アクリルアミドの残基であり、そして構造(I)を含有する少なくとも1つの官能基は(メタ)アクリルアミドの残基以外の官能基である。
【0032】
好適な多官能性マイケル受容体の混合物も好適である。
【0033】
本発明の実施は、多官能性マイケル供与体の使用を包含する。本発明のある態様において、多官能性マイケル供与体の骨格は、本明細書で上記に掲げたものなどの多価アルコールの残基である。ある態様において、多官能性マイケル供与体の骨格はポリマーであることができ、例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリジエン、水素化ポリジエン、アルキド、アルキドポリエステル、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリエステル、ハロゲン化ポリエステル、(メタ)アクリレートポリマー、これらのコポリマー、またはこれらの混合物などをはじめとする。多官能性マイケル供与体の骨格がポリマーである態様において、マイケル供与体官能基はポリマー鎖にペンダントであるか、もしくはポリマー鎖の中に組み込まれているか、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0034】
好適な多官能性マイケル供与体において、マイケル活性水素を有する官能基を広範で多様な任意の配置で骨格に結合させてもよい。ある態様において、多官能性マイケル供与体は、構造
【化2】

を有し、ここでnは少なくとも2であり、

【化3】

であり、

【化4】

であり、
およびRは、独立に、H、アルキル(線状、環状、あるいは分枝状)、アリール、アルカリール、またはこれらの置換体であり、そして
Rは多官能性マイケル供与体の骨格として好適であると本明細書で上述した多価アルコールあるいはポリマーのいずれかの残基である。ある態様において、Rはマイケル受容体の残基である。ある態様において、RまたはRはマイケル活性水素を有するさらなる官能基に結合している。
【0035】
いくつかの好適な多官能性マイケル供与体としては、例えば、マロン酸、アセト酢酸、マロン酸のアミド、アセト酢酸のアミド、マロン酸のアルキルエステル、およびアセト酢酸のアルキルエステルが挙げられ、ここでアルキル基は線状、分枝状、環状、またはこれらの組み合わせである。他の好適な多官能性マイケル供与体としては、1以上のヒドロキシル基がエステル結合によりアセトアセテート基に連結されている多価アルコールが挙げられる。ある好適な多官能性マイケル供与体は、例えば、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテート、他のアルキルアセトアセテート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールジアセトアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセトアセテート、ネオペンチルグリコールジアセトアセテート、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジアセトアセテート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジアセトアセテート、ジエチレングリコールジアセトアセテート、エチレングリコールジアセトアセテート、プロピレングリコールジアセトアセテート、ジプロピレングリコールジアセトアセテート、ポリエチレングリコールジアセトアセテート、ポリプロピレングリコールジアセトアセテート、シクロヘキサンジメタノールジアセトアセテート、他のジオールジアセトアセテート、トリメチロールプロパントリアセトアセテート、ペンタエリスリトールトリアセトアセテート、グリセロールトリスアセトアセテート、トリメチロールエタントリアセトアセテート、他のトリオールトリアセトアセテート、トリオールのジアセトアセテート、類似のマロネートエステルなどである。好適な多官能性マイケル供与体のいくつかのさらなる例としては、ポリオールのテトラ−、ペンタ−およびより高いアセトアセテート(すなわち、4、5、あるいはそれ以上のヒドロキシル基がエステル結合によりアセトアセテート基に連結されているポリオール)が挙げられ、例えば、ペンタエリスリトールテトラアセトアセテート、グルコーステトラアセトアセテート、グルコースペンタアセトアセテート、ジペンタエリスリトールペンタアセトアセテート、およびジペンタエリスリトールヘキサアセトアセテートが挙げられる。
【0036】
さらなる好適な多官能性マイケル供与体は、1以上の以下の官能基:アセトアセテート、アセトアセトアミド、シアノアセテート、およびシアノアセトアミドを有する化合物を包含し、ここで官能基は1以上の以下の骨格:ヒマシ油、ポリエステルポリマー、ポリエーテルポリマー、(メタ)アクリルポリマー、ポリジエンポリマーに結合することができる。ある好適な多官能性マイケル供与体は、例えば、アセトアセテート官能性ヒマシ油、アセトアセテート官能性ポリエステルポリマー、アセトアセテート官能性ポリエステルアミドポリマー、アセトアセトアミド官能性ポリエーテルポリマー、アセトアセテート官能性(メタ)アクリルポリマー、シアノアセトアミド官能性(メタ)アクリルポリマー、シアノアセテート官能性(メタ)アクリルポリマー、アセトアセテート官能性ポリブタジエンポリマーである。
【0037】
ある好ましい多官能性マイケル供与体は、多官能性アセトアセテート官能性ポリエステルポリマーおよびアセトアセテート官能性ポリエステルアミドポリマーである。アセトアセテート官能性ポリエステルポリマーは任意の可能な方法により製造されることができ、1つの方法は、例えば、2工程プロセスである。第1の工程においては、ジオールまたはトリオールなどの1以上の多価アルコールを1以上のジ−あるいはトリカルボン酸と縮合して、ヒドロキシ基末端のポリエステルを形成させる。第2の工程においては、このポリエステルを例えば、1〜4つの炭素原子を有するアルキル基を有するアルキルアセトアセテートをはじめとするアセトアセテート化合物と反応させる。同様に、アセトアセテート官能性ポリエステルアミドポリマーを任意の可能な方法により製造することができ、1つの方法は例えば2工程プロセスである。第1の工程においては、少なくとも1つのアミノアルコールを包含するジオールまたはトリオールなどの1以上の多価アルコールを1以上のジ−あるいはトリカルボン酸と縮合して、ヒドロキシ基末端のポリエステルアミドを形成させる。第2の工程においては、このポリエステルアミドを例えば、1〜4つの炭素原子を有するアルキル基を有するアルキルアセトアセテートをはじめとするアセトアセテート化合物と反応させる。
【0038】
好適な多官能性マイケル供与体の混合物も好適である。
【0039】
本発明のある態様において、構造(I)は、マイケル供与体官能基が結合している分子と別の分子に結合している。構造(I)およびマイケル供与体官能基が同一分子に結合している他の態様(本明細書では「デュアル」態様と呼ばれる)も考えられ、すなわち、分子が、1以上の構造(I)および1以上のマイケル供与体官能基を有する場合、多官能性マイケル供与体および多官能性マイケル受容体の両方として機能することが可能である。デュアル態様の1つの例において、マロネート分子がポリエステルポリマーの骨格の中に組み込まれ、そしてポリマーの末端がアクリル官能基を有する。デュアル態様の第2の例において、マレイン酸および/または無水マレイン酸がポリエステルポリマーの骨格の中に組み込まれ、そしてポリマーの末端がアセトアセテート官能基を有する。
【0040】
本発明の実施は強塩基触媒の使用を包含する。本明細書で使用される「強塩基触媒」は、マイケル付加反応を触媒する化合物である。本発明を特定の理論に限定するのではないが、強塩基触媒がマイケル供与体から水素イオンを引き抜くと考えられる。強塩基触媒として機能することが知られているいくつかの化合物は、例えば、特定のアミン化合物、アンモニウム化合物、アセチルアセトナート化合物、水酸化物、アルコキシド、およびアセトアセテート基から誘導されるアニオンを有する化合物である。好適なアミン化合物の内には、例えば、ピペリジンおよびアミジン化合物がある。アミジン化合物は基
【化5】

を含有する。ある好適なアミジン化合物としては、例えば、グアニジンおよび環状アミジン化合物が挙げられ、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)および1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBE)をはじめとする。好適なアンモニウム化合物には、例えば四級アンモニウムヒドロキシドがあり、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、およびテトラオクチルアンモニウムヒドロキシドをはじめとする。好適なアセチルアセトナート化合物には、例えばアルカリアセチルアセトナートがあり、例えば、ナトリウムアセチルアセトナートおよびカリウムアセチルアセトナートをはじめとする。また、アセトアセテート基から誘導されるアニオンを有する好適な化合物には、少なくとも1つのアセトアセテート基を含有するマイケル供与体化合物から出発し、少なくとも1つのアセトアセテート基の少なくとも1つを転化させアセトアセテートアニオンのアルカリ金属エノラートにすることにより製造される化合物があり、すなわち、
フラグメント
【化6】

を含有するマイケル供与体化合物は、
アニオン
【化7】

に転化され、アルカリ金属カチオンもこの組成物中に存在する。
【0041】
本発明のある態様において、強塩基触媒である少なくとも1つの化合物を官能性混合物の1以上の構成成分に添加する。本発明の他の態様において、少なくとも1つの強塩基触媒をインサイチュ(in situ)で生成させ、すなわち、1以上の強塩基前駆体化合物を官能性混合物の1以上の構成成分に添加し、次に、1以上の強塩基前駆体化合物が広範で多様な化学反応のいずれか1つにより強塩基触媒を形成する。ある態様において、強塩基前駆体化合物が官能性混合物の1以上の構成成分に添加された時、強塩基前駆体化合物が強塩基触媒を形成する反応が開始されるが、ある態様においては、反応は刺激、例えば、温度の上昇または放射線(例えば、紫外線をはじめとする)への曝露を適用するまで起こらない。強塩基前駆体化合物が強塩基触媒を形成する反応が刺激を加えることを必要とするか否かに関わらず、この反応は一分子的(unimolecular)(例えば、強塩基前駆体化合物の転位または分解)であることができ、あるいは反応は第1の強塩基前駆体化合物分子および少なくとも1つのさらなる分子の間で起こることができ、ここでさらなる分子は少なくとも1つの他の強塩基前駆体化合物分子(第1の強塩基前駆体化合物分子と同一であるか、あるいは異なる)であってもよく、あるいはさらなる分子は官能性混合物中のある他の部分の少なくとも1つの分子であってもよく、あるいはさらなる分子はこれらのなんらかの混合物であってもよい。少なくとも1つの強塩基触媒を官能性混合物の1以上の構成成分に添加し、そして少なくとも1つの強塩基触媒をインサイチュで生成させる本発明の態様も考えられる。
【0042】
強塩基触媒として好適な水酸化化合物の内には、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムがある。強塩基触媒として好適なアルコキシドの内には、例えば、ナトリウムアルコキシドおよびカリウムアルコキシドがあり、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、およびカリウムブトキシドをはじめとする。
【0043】
上記に挙げたものに類似する化合物も強塩基触媒として好適である。好適な強塩基触媒の混合物も好適である。好ましい強塩基触媒はナトリウムアルコキシドおよびカリウムアルコキシドであり、ナトリウムエトキシドはさらに好ましい。
【0044】
本発明のある態様において、官能性混合物はいかなる単官能性マイケル受容体も含有しない。他の態様において、官能性混合物は、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および少なくとも1つの強塩基触媒に加えて、少なくとも1つの単官能性マイケル受容体を含有する。本明細書で使用される「単官能性マイケル受容体」は、各分子中に厳密に1つの構造(I)を有するマイケル受容体(本明細書で上記に定義した)である。いくつかの単官能性マイケル受容体としては、例えば、1分子当り1つの構造(I)を有する(メタ)アクリル酸およびこれらのエステルが挙げられ、例えばアルキル(メタ)アクリレート(例えば、C〜Cアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、およびイソボルニルアクリレートをはじめとする)、置換アルキル(メタ)アクリレート、およびカプロラクトン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0045】
本発明の実施は官能性混合物の使用を包含する。マイケル付加が本発明の実施の条件下で起こるように、官能性混合物の構成成分は選択されると考えられる。例えば、特定の多官能性マイケル受容体は、他の多官能性マイケル供与体よりもある多官能性マイケル供与体とマイケル付加反応を容易に起こしにくい場合がある。さらに、ある強塩基触媒は他の強塩基触媒よりも強くマイケル付加反応を促進する。また、マイケル付加反応は高温でより急速に進行する。例えば、メタクリレート基は、通常、アセトアセテート基よりもシアノアセテート基とより容易に反応する。しかしながら、特定の多官能性マイケル供与体および特定の多官能性マイケル受容体の間の反応が遅いか、あるいは非効果的であっても、ある場合において、より活性な強塩基触媒を使用するか、反応を高温で行うか、あるいはその両方によって反応を加速するか、あるいは反応を効果的とすることが可能である。マイケル付加反応を高温で行う態様には、ある好適な高温、例えば、43℃(110°F)以上、あるいは49℃(120°F)以上がある。マイケル付加反応を高温で行う態様には、ある好適な高温、例えば、93℃(200°F)以下、あるいは71℃(160°F)以下、あるいは60℃(140°F)以下がある。マイケル付加反応を高温で行う態様には、反応混合物を高温に暴露するある好適な時間、例えば、2分以上、あるいは5分以上、あるいは10分以上がある。マイケル付加反応を高温で行う態様には、反応性混合物を高温に暴露するある好適な時間、例えば、60分以下、あるいは30分以下、あるいは20分以下がある。本発明の実施者ならば、本発明を効果的に実施するために構成成分と温度の効果的な組み合わせを容易に選択することが可能であろう。
【0046】
加えて、マイケル付加反応の速度に無関係に、多官能性マイケル供与体、多官能性マイケル受容体、および強塩基触媒のある特定の組み合わせは、他の組み合わせをベースとする組成物よりも意図する目的について、よりよく機能する組成物を生み出す。本発明の実施者ならば、意図する目的によく機能する構成成分の効果的な組み合わせを容易に選択することが可能であろう。
【0047】
本発明の官能性混合物は、新しく混合した時には、有用な粘度を有するべきである。粘度の正しい値は、構成成分を混合するのに使用される手段および官能性混合物を成形するか、あるいは基体に適用するのに使用される手段でもって求められる。好ましくは官能性混合物を成形あるいは基体に適用される温度で、粘度を測定する。基体に適用する接着剤としての使用を包含する態様については、官能性混合物の好ましい粘度は、0.1Pa・s(100cps)以上であり、より好ましくは0.2Pa・s(200cps)以上であり、最も好ましくは0.4Pa・s(400cps)以上であり、基体への適用については、好ましい粘度は10Pa・s(10,000cps)以下であり、より好ましくは6Pa・s(6,000cps)であり、最も好ましくは3Pa・s(3,000cps)以下である。エラストマーおよび/またはポリマーフォームとしての使用を包含する態様において、好ましい粘度は、通常、基体に適用される接着剤について好ましい粘度よりも高い。
【0048】
本発明の官能性混合物において、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体もしくは少なくとも1つの多官能性マイケル受容体または各々の少なくとも1つは、150以上の分子量を有する骨格を有することが好ましく、より好ましくは400以上である。少なくとも1つの多官能性マイケル供与体もしくは少なくとも1つの多官能性マイケル受容体または各々の少なくとも1つがオリゴマーまたはポリマーである骨格を有する官能性混合物も好ましい。官能性混合物を基体に適用し、かつ少なくとも1つの骨格がポリマーである態様において、好ましいポリマーは25,000以下のMwを有し、より好ましくは10,000以下であり、最も好ましくは5,000以下である。
【0049】
官能性混合物は好ましくは有用なポットライフを有する。ポットライフを測定する1つの便利な方法は、官能性混合物の形成から、混合物の粘度が上昇しもはや官能性混合物を成形あるいは基体に適用できなくなるほど高くなるまでの時間を測定することである。いずれの特定の態様についても、新しく混合した官能性混合物の粘度を任意の標準的な方法によって測定することができ、ここで粘度測定は官能性混合物を基体に適用するか、あるいは型の中に入れる温度で行わるべきである。ポットライフの1つの有用な尺度は、粘度がその温度で5倍上昇するのに必要とされる時間である。接着剤としての使用を包含する態様については、官能性混合物の好ましいポットライフは5分以上であり、より好ましくは10分以上であり、さらにより好ましくは25分以上である。8時間以下のポットライフも好ましく、より好ましくは4時間以下であり、さらにより好ましくは2時間以下であり、なおより好ましくは1時間以下であり、最も好ましくは30分以下である。例えば、ある態様は25℃で有用なポットライフを有し、他の態様は50℃で有用なポットライフを有し、なお他の態様はこれらの態様に適切な適用方法を用いて成形または基体に適用するのに有用であるあらゆる温度で有用なポットライフを有する。エラストマーまたはポリマーフォームとして硬化した官能性混合物を使用することを包含するある態様は、官能性混合物を接着剤として使用することを包含する態様に好ましいポットライフよりも短い好ましいポットライフを有すると考えられる。
【0050】
本発明のある態様は官能性混合物の層を基体に適用することを包含する。層は連続あるいは不連続のフィルムであることができる。適用方法は、当業者に既知の多数の方法であることができ、例えば、ブラシ適用、スプレー適用、ローラーコート、グラビア印刷コート、フレキソ印刷コート、フローコート、カーテンコート、浸漬、ホットメルトコート、押し出し成形、共押し出し成形、類似の方法、およびこれらの組み合わせをはじめとする。
【0051】
他の態様、特に硬化した官能性混合物をフォームまたはエラストマーとして使用する態様において、官能性混合物は、構成成分を型または他の好適な容器中で混合することにより形成され、硬化反応時にその中に保持されることができる。別法として、構成成分を混合した後、官能性混合物を型または他の好適な容器中に配置し、硬化反応時にその中に保持することができる。
【0052】
ある態様において、官能性混合物を乾燥してもよい。すなわち、これを加熱するか、および/または減圧にかけて、例えば、溶媒などの任意の揮発性化合物を除去することができる。硬化反応が起こる前、間、あるいは後に乾燥を行うことができる。独立に、官能性混合物を基体に適用するか、あるいは型の中に配置することを包含する態様において、官能性混合物を基体に適用するか、あるいは型の中に配置する前、間、あるいは後に乾燥を行ってもよい。
【0053】
本発明のある態様において、官能性混合物は2部系から形成され、ここにおいて一方の部が1以上の多官能性マイケル受容体を含有し、他方の部が1以上の多官能性マイケル供与体を含有する。触媒はどちらかの部または両方の部に存在してもよい。官能性混合物を基体に適用することを包含する態様において、次いで、官能性混合物を基体に適用する。別法として、官能性混合物をフォームまたはエラストマーとして使用する場合には、2つの部を型または他の好適な容器中で混合することにより、官能性混合物を形成することができ、別法として、2つの部を混合した後、官能性混合物を型または他の好適な容器の中に配置することができる。
【0054】
官能性混合物の層を基体に適用することを包含するある態様において、官能性混合物との接触に先立って、例えば、コロナ放電または化学的プライマーによる被覆などの1以上の処理を用いて、1以上の基体を処理してもよい。他の態様において、基体を前処理なしで本発明の官能性混合物と接触させる。官能性混合物を0.2〜5.8g/m(0.12〜3.56 lb/リーム)のレベルで適用してもよい。
【0055】
官能性混合物を使用して、基体を相互に結合する態様において、官能性混合物の層を第1の基体に適用した後、層を別の基体と接触させて、複合体を形成することができる。このように形成された複合体は任意に圧力をかけられ、例えばローラーの間を通して、基体と組成物との接触を増加させ、場合によっては硬化反応が実質的に完結する前に、このような圧力を加える。本発明の別の態様において、官能性混合物の層を第1の基体の両方の表面に同時にあるいは逐次的に適用し、次に、この層を2つのさらなる基体と同時あるいは逐次的に接触させることができ、ここで基体は同一であるかまたは異なってもよい。本発明の官能性混合物または異なる組成物を本明細書で述べる方法の前または後に用いて、この複合体構築物を他の基体に逐次的に結合させることができることがさらに考えられる。本発明の方法において結合されるべき第1および第2の基体は同一であるか、あるいは異なってもよく、例えばプラスチック、金属化プラスチック、金属、および紙が挙げられ、これは平滑あるいは構造化された表面を有する。
【0056】
官能性混合物を使用して、基体を相互に結合させる態様の内、これらの態様のあるものにおいて、官能性混合物を任意の基体と接触させる前に、あるいは官能性混合物を1つの基体のみと接触させている間にマイケル付加反応の大部分または全部が完結する。
【0057】
官能性混合物を使用して、基体を相互に結合させる他の態様において、官能性混合物を少なくとも2つの基体と接触させる時にマイケル付加反応の実質的な部分が起こる。前記の態様のあるものにおいては、官能性混合物を少なくとも2つの基体と接触させる時に少なくとも25モル%のマイケル付加反応が起こり、他の前記の態様において、官能性混合物を少なくとも2つの基体と接触させる時に少なくとも50モル%、または少なくとも75モル%、または少なくとも90モル%のマイケル付加反応が起こる。
【0058】
本発明のある態様において、基体は相対的に薄くかつ平坦であり、そして得られる複合体はラミネートと呼ばれる。ラミネート用の基体のいくつかの例としては、ポリアルキレン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリビニルクロライド、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン)、エチルセルロース、セルロースアセテート、金属化ポリプロピレン、紙、アルミニウムホイル、他の金属、セラミックシート材料などが挙げられ、これらは、ロール、シート、フィルム、ホイルなどの態様で提供されることができる。ラミネート用の基体のさらなる例としては、織布または不織布が挙げられ、これは、例えば、木綿、羊毛、レイヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリアルキレン、ガラス、またはセラミックなどの材料でできた1以上の天然あるいは合成繊維を用いる繊維で構成されることができる。
【0059】
基体を互いに結合して、ラミネートを形成するのに好適な接着剤は既知であり、本明細書では「ラミネート接着剤」として示される。
【0060】
本発明の実施において、本発明の組成物により結合されて、ラミネートを形成することのできる基体の対としては、例えば、ポリプロピレン/ポリプロピレン、ポリエステル/ナイロン、ポリエステル/ポリエチレン、ポリプロピレン/金属化ポリプロピレン、ポリプロピレン/アルミニウムホイル、ポリエステル/アルミニウムホイル、ポリアミド/アルミニウムホイルなどが挙げられる。例えば、上記に名前を挙げた基体の種々の組み合わせを用いる多層ラミネート構築物構造も考えられ、ここにおいて少なくとも1つの接着剤層が本発明の官能性混合物を包含する。
【0061】
本発明のある態様において、官能性混合物の一部または全部は1以上の化学反応を行う。ある態様において、化学反応はマイケル付加であり、ある態様において、化学反応は1以上の他の(すなわち、マイケル付加以外の)反応であり、そしてある態様において、化学反応はマイケル付加および1以上の他の化学反応の両方である。化学反応から生じる化合物は、化学反応の「生成物」としておよび「硬化した官能性混合物」として本明細書では同義的に認識される。
【0062】
硬化した官能性混合物は、ガラス転移温度(Tg)を測定することにより、特性付けることができる。ガラス転移温度は、動的粘弾性測定(DMA)により、1ヘルツ(1サイクル/秒)の曲げモードで測定することができる。Tgは温度に対するtanデルタの曲線におけるピークとして同定される。DMA試験は硬化した官能性混合物それ自身について行うことができ、あるいはDMA試験は硬化した官能性混合物を他の材料と接触させている間に行うこともできる。例えば、硬化した官能性混合物が複合体中の基体の間の層中にある場合には、全複合体がDMA試験で試験されることができ、当業者ならば、温度に対するtanデルタの曲線における基体または硬化した官能性混合物以外の材料によるものであるピークをどのように無視するかを容易に認識するであろう。ある態様において(本明細書では「複数Tg」態様と呼ぶ)、硬化した官能性混合物は温度に対するtanデルタの曲線中に1以上のピークを有する。
【0063】
硬化した官能性混合物がある値の「Tgを有する」という記述は、硬化した官能性混合物がそのある値の単独のTgを有すること、あるいは硬化した官能性混合物が複数Tg態様であり、かつ温度に対するtanデルタの曲線におけるピークの1つがそのある値のピークを有すること、のいずれかを本明細書では意味すると理解される。
【0064】
本発明の硬化した官能性混合物は任意の広範囲のTgを有することができる。ある態様において、硬化した官能性混合物は−80℃以上のTgを有する。独立に、ある態様において、硬化した官能性混合物は120℃以下のTgを有する。Tgまたは複数Tgは、硬化した官能性混合物の意図した使用に望まれる最良の性質を付与するように選択される。
【0065】
例えば、硬化した官能性混合物を構造用接着剤として使用することを意図する場合には、硬化した官能性混合物が50℃以上のTgを有するように、通常、官能性混合物が選択される。別の例として、硬化した官能性混合物を感圧接着剤として使用することを意図する場合には、この硬化した官能性混合物が15℃以下の、または0℃以下の、または−25℃以下の、または−50℃以下のTgを有するように、通常、官能性混合物が選択される。さらに別の例として、硬化した官能性混合物をラミネート接着剤として使用することを意図する場合には、硬化した官能性混合物は−30℃以上の、または−15℃以上の、または−5℃以上の、または15℃以上の、または30℃以上のTgを有するように、通常、官能性混合物が選択される。
【0066】
本発明の官能性混合物を評価する1つの方法はTピール試験である。Tピール試験を使用して、官能性混合物を評価することができ、ここで官能性混合物の実際の意図した使用が接着剤としてであるか否かは問題とされない。Tピール試験において、約1.5g/m(0.9lb/リーム)のコート重量の官能性混合物の層を厚さ約0.025mm(1ミル)のコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理した表面に適用する。層を適用する前、間、あるいは後に、官能性混合物中に存在するいかなる溶媒または他の揮発性化合物も実質的に除去する。次に、アルミニウムホイル(厚さほぼ0.025mm(1ミル))を官能性混合物の層と接触させ、このように形成されたラミネートをニップローラーの間でプレスする。官能性混合物を硬化するか、あるいは硬化させる。幅25mm(1インチ)幅のラミネートの帯状片を切り出し、この帯状片を引っ張り試験機により4.2mm/秒(10インチ/分)の速度で引き剥がす。Tピールの結果を帯状片の引き剥がしに必要とされる最大負荷として(グラムでの負荷で)記録する。
【0067】
本発明のある態様において、官能性混合物を使用して、エラストマーを作製する。エラストマーは、本明細書で使用され、そしてBillmeyerにより定義されるように、破壊せずに少なくとも100%の伸びを可能とし、完全に伸張した場合比較的高い引っ張り強度を有し、そして伸張後元の寸法に収縮する材料である。通常、エラストマーは非晶質(すなわち、非結晶性の)ポリマーであり、意図した使用の温度以下のガラス転移(Tg)を有し、架橋網目を有し、そして比較的高い分子量(すなわち、少なくとも絡み合い分子量(entanglement molecular weight)ほどに高い)を架橋間に有する。
【0068】
1つの態様において、官能性混合物は硬化した官能性混合物がエラストマーとなるように選択される。広範で多様な構成成分の組み合わせの任意の1つ(すなわち、多官能性マイケル供与体、多官能性マイケル受容体、強塩基触媒、および任意の他の構成成分)を、結果としてエラストマーとなる硬化した官能性混合物を達成するように選択することができると考えられる。構成成分の前記の組み合わせには、少なくとも1つの骨格が20℃以下のTgのポリマーである組み合わせ、すなわち、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体もしくは少なくとも1つの多官能性マイケル受容体のいずれか、または各々の少なくとも1つが20℃以下のTgのポリマーである骨格を有する組み合わせがある。
【0069】
例えば、硬化した官能性混合物がエラストマーである態様において、多官能性マイケル供与体が、3つのアセトアセテート基ならびに3,000〜100,000の間のMwおよび−40℃近傍のTgを有するポリマーである骨格を有し;多官能性マイケル受容体が相対的に低い分子量のジアクリレートであり;反応当量比が0.34:1〜1:1の間であり、そしてマイケル付加反応を触媒するのに有効であるように強塩基触媒が選択される。有用なエラストマー特性を有する硬化した官能性混合物を生成するために、構成成分(供与体の骨格、受容体の組成物、および強塩基触媒の組成物を包含する)および反応当量比が選択される。これらの態様のあるものにおいて、多官能性マイケル供与体の骨格は、ポリプロピレンオキシドポリマー、ポリエステルポリマー、ポリエステルアミドポリマー、またはこれらの混合物もしくはコポリマーである。
【0070】
硬化した官能性混合物がエラストマーである態様において、硬化に先立って、官能性混合物を形成させるか、あるいは型または他の好適な容器の中に移動させる。硬化反応が実質的に完結した後に、得られる組成物は有用なエラストマーである。
【0071】
硬化した官能性混合物がエラストマーである態様において、この硬化反応の生成物は、好ましくは0℃以下の、より好ましくは−10℃以下の、さらにより好ましくは−20℃以下の、なおより好ましくは−30℃以下の、一層より好ましくは−40℃以下のTgを有するポリマーを含む。ある複数Tgエラストマー態様において、温度に対するtanデルタの曲線におけるピークは、好ましくは0℃以下、より好ましくは−10℃以下、さらにより好ましくは−20℃以下、なおより好ましくは−30℃以下、一層より好ましくは−40℃以下で起こる最高温度のピークを有する。他の複数Tgエラストマー態様において、温度に対するtanデルタの曲線における0℃をこえる1以上のピークが存在することができ、前記の態様において、ピークの最大点でのtanデルタの最高値を有するピークは、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下、さらにより好ましくは−30℃以下、一層より好ましくは−40℃以下の温度で起こる。
【0072】
本発明のある態様において、官能性混合物を使用して、ポリマーフォームを製造する。ポリマーフォームは、見掛けの密度が、ポリマー塊に分散した無数のセルの存在により実質的に低減されたポリマーである。このフォームはフレキシブルであっても、あるいは剛性(rigid)であってもよい。このセルは閉じていても、あるいは開放していてもよい。ポリマーフォームの表面は固体スキンを有していても、あるいは有していなくともよい。フォームのポリマー部分は広範で多様な任意の組成およびガラス転移温度を有してもよい。このポリマー部分はエラストマー性であってもなくともよく、架橋されていても、あるいは熱可塑性であってもよい。
【0073】
硬化した官能性混合物がポリマーフォームである態様において、硬化反応の生成物は、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−30℃以下、さらにより好ましくは−40℃以下のTgを有するポリマーを含む。ある複数Tgポリマーフォーム態様において、温度に対するtanデルタの曲線におけるピークは、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−30℃以下、さらにより好ましくは−40℃以下で生じる最高温度でのピークを有する。他の複数Tgポリマーフォーム態様において、温度に対するtanデルタの曲線において−20℃をこえる1以上のピークが存在することもあり、前記の態様において、ピークの最大点でtanデルタの最高値を有するピークは、好ましくは−20℃以下、さらにより好ましくは−30℃以下、なおより好ましくは−40℃以下の温度で生じる。
【0074】
ポリマーフォームを種々の方法で製造してもよい。あるフォームは外部圧力(例えば、押し出し、圧縮成形、および射出成形)を低下させることにより製造され、あるフォームはセル内に圧力上昇を生じさせることにより製造され(膨張性配合物)、さらにあるフォームはガスをポリマー中に分散させることにより製造され(発泡方法)、そしてさらにあるフォームはセルをトラップするようにポリマー粒子を焼結することにより製造される。ある膨張性配合物においては、高温に曝された時にガスを放出する化学物質である発泡剤の分解により、セル内のガス圧力を生じさせることができる。他の膨張性配合物において、加熱時にガスを放出する例えば、Expancel(商標)ミクロスフェア(Akzo Nobel Company)をはじめとする膨張性ミクロスフェアからのガスの放出によりセル内のガス圧力を生じさせることができる。
【0075】
本発明の1つの態様において、好適な発泡性ミクロスフェアを包含する好適な官能性混合物を作製する。官能性混合物を好適な型または他の容器中で作製するか、あるいはその中に移動させる。次に、この官能性混合物を加熱し、発泡性ミクロスフェアからガスを放出させて、セルを形成し、そしてマイケル付加反応物が硬化して、セルが分散したポリマー塊を形成する。
【0076】
本発明の実施において、本発明の官能性混合物は周囲温度(25℃付近)で乾燥し、硬化すると考えられる。しかしながら、ある態様において、任意の揮発性化合物を除去するため、硬化反応を加速させるため、官能性混合物の粘度を低下させるため、その他の理由のため、またはこれらの任意の組み合わせのために、官能性混合物を加熱することができる。
【0077】
本明細書および特許請求の範囲の目的について、本明細書で記述した範囲と比率の境界値は組み合わせ可能であると理解されるべきである。例えば、特定のパラメーターに対して60〜120および80〜110の範囲が記述されるとすると、60〜110および80〜120の範囲の両方も考えられると理解される。加えて、1および2の最小範囲値が記述され、そして3、4、および5の最大範囲値が記述されるならば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜3、2〜4、および2〜5はすべて考えられる。
【実施例】
【0078】
下記の実施例においては、次の物質と略号を使用する。
SR−259=ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート(Sartomer Co.)
CD−501=プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer Co.)
SR−306HP=トリプロピレングリコールジアクリレート(Sartomer Co.)
Morcure(商標)2000=ジグリシジルエーテルビスフェノールAのジアクリレート(Rohm and Haas Co.)
EB−8402=ウレタンジアクリレート(UCB Co.)
SR−9003=プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(Sartomer Co.)
SR−610=ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(Sartomer Co.)
IRR−214=シクロ脂肪族ジアクリレート(UCB Co.)
CN−983=脂肪族ポリエステルウレタンジアクリレート(Sartomer Co.)
CN−965=脂肪族ポリエステルウレタンジアクリレート(Sartomer Co.)
CN−978=90/10(重量パーセント)ブレンド:芳香族ポリエステルウレタンジアクリレート/2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート
GF−19=高スリップ性低密度ポリエチレンフィルム、厚さ0.025mm(1ミル)
PET=コロナ処理ポリエチレンテレフタレート、厚さ0.023mm(92ゲージ)
PP=ポリプロピレン
PE=ポリエチレン
OPP=コロナ処理配向ポリプロピレン、厚さ0.025mm(1ミル)
Alホイル=アルミニウムホイル、厚さ0.025mm(1ミル)
LLDPE=線状低密度ポリエチレンフィルム、厚さ0.05mm(2ミル)
金属化OPP=金属化配向ポリプロピレン、厚さ0.025mm(1ミル)
【0079】
実施例1:マイケル供与体樹脂の調製
2リットルの4ツ口丸底フラスコにメカニカルスターラー、熱電対、窒素入口、取り出しヘッドとフレデリックス(Fredrichs)凝縮器を付けたスチームジャケット付きラシヒリング充填のアリン(Allyn)凝縮器および添加漏斗を取り付けた。熱電対を可変変圧器および加熱マントルを制御するコントローラに接続した。系に真空を印加する設備も設けた。
【0080】
このフラスコを465.8g(3.188モル)のアジピン酸、257.4g(1.550モル)のイソフタル酸、495.0g(5.494モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオールおよび87.6g(0.653モル)のトリメチロールプロパンにより装填し、攪拌し、Nのゆっくりとした流れの下で150℃に加熱した。水が形成し始め、スチームをカラムジャケットに通して、除去を促進した。水が捕集されるに従って、温度は段階的に225℃に上昇した。約7時間後、水の蒸留は遅くなり、160mlが捕集された。反応物を175℃に冷却し、そして1.1mlのTyzor(商標)TBT触媒(DuPont Co.)を添加した。圧力を66.5kPa(500トル)に低下させ、滴定が3.0未満の酸価を示すまで温度をさらに5時間200℃に維持した。
【0081】
反応温度を100℃に調整し、さらに1.1mlのTyzor(商標)TBT触媒を添加し、約30分間攪拌した。窒素のゆっくりとした流れの下、79.8kPa(600トル)の圧力でエチルアセトアセテート(476.0g,3.659)をこの反応混合物に約8ml/分で添加した。添加が完結した時(60分)、エタノール副生成物の除去を促進するためにカラムジャケットにスチームを通しながら温度を130℃に上昇させ、圧力を66.5kPa(500トル)に低下させた。温度を135℃に上昇させ、そして次に2時間かけて140℃に上昇させ、次にその温度で7時間保持した。回収エタノールを基準にすると、エステル交換の転化率は77%であった。
【0082】
実施例2:他のマイケル供与体樹脂の調製
実施例1の方法を使用して、構成成分を次のモル比率で用いてマイケル供与体樹脂を製造した。
アジピン酸:アジピン酸1モル当り1.00モル
2−メチル−1,3−プロパンジオール:アジピン酸1モル当り1.16モル
トリメチロールプロパン:アジピン酸1モル当り0.14モル
エチルアセトアセテート:アジピン酸1モル当り0.74モル
【0083】
実施例3:接着剤配合物の調製
構成成分を次のようにブレンドすることにより、接着剤配合物を製造した。パーセントは接着剤配合物の全重量を基準とした重量パーセントを表す。各配合物にエタノール中のナトリウムエトキシド(21重量%)である触媒溶液を添加する。供与体中のアセトアセテート基に対するナトリウムエトキシドのモル比は、下記に示すように各接着剤配合物中で2.5:100(2.5%)、5:100(5%)、または10:100(10%)のいずれかである。
【0084】
【表1】

【0085】
構成成分を次のようにブレンドすることにより、さらなるシリーズの接着剤配合物を製造する。このシリーズにおいては、上記と同一の触媒レベルを使用し、かつ触媒レベルは各配合物中で5%である。
【0086】
【表2】

【0087】
構成成分を次のようにブレンドすることにより、別のさらなるシリーズの接着剤配合物を製造する。このシリーズにおいては、上記と同一の触媒レベルを使用し、かつ触媒レベルは各配合物中で5%である。
【0088】
【表3】

【0089】
実施例4:ラミネートの調製と試験
接着剤配合物を0.2〜5.8g/m(0.12〜3.56 lb/リーム)のコート重量で第1の基体上にコーティングし、接着剤配合物の層を乾燥し、第2の基体をこのコーティングに接触させ、そしてラミネートをローラーの間でプレスすることにより、ラミネートを形成させる。GF−19/PET、PET/Alホイル、OPP/OPP、GF−19/A1ホイル、LLDPE/PET、およびGF−19/金属化OPPの第1/第2の基体の対を使用して、実施例3に示した接着剤配合物によりラミネートを作製する。
【0090】
いくつかのラミネートを室温(ほぼ20℃)で1日、5日、あるいは7日間貯蔵し、他のラミネートを60℃で72時間貯蔵老化(「熱老化」と呼ぶ)する。25mm(1インチ)幅の帯状片を各ラミネートから切り出す。この帯状片を引っ張り試験機により4.2mm/秒(10インチ/分)の速度で引き剥がす。ピール強度を帯状片の引き剥がしに必要とされる最大負荷として記録する。
【0091】
1日、5日、7日、および熱老化後のすべての配合物のピール強度は有用に高い。
【0092】
実施例5:ヒマシ油をベースとしたアセトアセテート官能性マイケル供与体
1リットルの4ツ口丸底フラスコを500g(1.46当量OH)のヒマシ油(COLMグレード、ヒドロキシル価=164)により装填し、Nのゆっくりとした流れの下で100℃まで加温する。Tyzor(商標)TBT触媒(1.25g)をこのフラスコに添加する。攪拌しながら、199.5g(1.53モル)のエチルアセトアセテートを部分真空の下に徐々に添加する。この反応の進行を回収エタノールの量によりモニターすることができる。転化率が理論の少なくとも80%に達した時、圧力を13.3kPa(100トル)以下に低下させ、残存揮発分(エタノール、アセトン、過剰のエチルアセトアセテート)を除去する。生成物は黄色のオイルであり、かつ1.95ミリモル/gのアセトアセテート官能基を有する。
【0093】
実施例6:アセトアセトアミドをベースとするマイケル供与体
2リットルの4ツ口丸底フラスコを148g(1モル)のJeffamine(商標)EDR−148(Huntsman Performance Chemicals Co.からの2当量の一級アミン)および400mlのトルエンにより装填し、N下で攪拌しながら100℃に加熱する。2,2,6−トリメチル−4H−1,3−ジオキシン−4−オン(298.9g、95%で2モル)を1時間かけて急速に攪拌されている溶液に添加し、そしてアセトンを蒸留により除去するように、温度を110℃に上昇させる。反応が本質的に完結したことが決定されたならば、真空をフラスコに慎重に印加して、大部分のトルエンの除去を継続する。110℃において13.3kPa(10トル)以下の圧力により運転されるワイプドフィルムエバポレーターで処理することにより、生成物を単離して、赤色がかったオイルを得る。アセトアセトアミドの濃度は約6.33ミリモル/gである。
【0094】
実施例7:ポリエーテルジアミンをベースとするシアノアセトアミド官能性マイケル供与体
フラスコを297g(3.0モル)のメチルシアノアセテートにより装填し、N下、室温(15〜25℃)で攪拌する。Jeffamine(商標)D230(ポリオキシプロピレンジアミン、Mw〜225)(330g,最大アセチル化量3.0モル)を添加漏斗に装填し、効率的に攪拌しながら、反応器にゆっくりと添加する。添加速度を制御して、バッチの温度を65℃未満に維持する。添加を完結した後、反応物を攪拌し、そして分析(nmr、ir、および/または滴定)が反応の完結を示すまで、温度を65℃で維持する。反応物を40℃に冷却し、そして真空を注意深く印加して、メタノール反応副生成物を蒸留し、充分な真空で仕上げを行って、すべての揮発性副生成物および過剰反応物を除去する。この生成物は5.65ミリモル/gの理論シアノアセトアミド濃度を有する赤色のオイルである。
【0095】
実施例8:アクリルポリマーをベースとするシアノアセテート官能性マイケル供与体
ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートオリゴマー前駆体を調製するために使用した手順は、米国特許第6,433,098号中の実施例IDに記述されているものと実質的に同一であった。このように調製したBA/GMAオリゴマーは、3.3BA/2.7GMAの平均モル単位式(当量重量=292;2.7個のエポキシ官能基)を有し、名目上重合度6であった。
【0096】
熱電対、メカニカルスターラーおよび凝縮器を取り付けた500mlの4ツ口丸底フラスコを230g(0.788当量のエポキシ)のBA/GMAオリゴマーおよび67.0g(0.788モル)のシアノ酢酸により装填した。熱電対は加熱マントルを上昇させ、空冷を行うのに使用される自動ジャッキを制御した。混合物を65℃に加温した。温度が24分で約60℃に達するのに従って、混合物は透明になり、約3分で90℃まで発熱を続けた。反応物を水浴により冷却し、80℃で4時間保持した。酸の滴定量は0.178ミリモル/gであった。反応物を、0.049ミリモル/gの酸の滴定量(見積もられた転化率=98%)を得るまでさらに加熱および攪拌した。nmrはエポキシ官能基の大部分が反応したことを示した。シアノアセテート官能基の理論濃度は2.65ミリモル/gであり、0.049ミリモル/gの残存カルボン酸官能基が存在する。
【0097】
実施例9:ヒドロキシル末端ポリブタジエンからのアセトアセテート官能性マイケル供与体
1リットルの4ツ口丸底フラスコを500g(0.9当量OH)のPoly bd R20LM樹脂(Sartomer、ヒドロキシル価=101)により装填し、Nのゆるやかな流れの下で100℃に加温する。Tyzor(商標)TBT触媒(1.15g)をこのフラスコに添加し、そして添加漏斗を130g(1.0モル)のエチルアセトアセテートにより装填する。Nのゆるやかな流れと部分的な真空を維持しながら、エチルアセトアセテートを攪拌した混合物に添加する。次に、温度を130℃に上昇させ、圧力を低下させる。転化率が理論の少なくとも80%に達した時に、圧力を低下させて、残存揮発分(エタノール、アセトン、過剰のエチルアセトアセテート)を除去する。生成物は1.28ミリモル/gのアセトアセテート官能基を有する黄色のオイルである。
【0098】
実施例10〜14:接着剤配合物
実施例5、6、7、8、および9の触媒化されたマイケル供与体および多官能性アクリレートポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(Sartomer SR−610)を用いて、接着剤配合物を実証することができる。混合物比を計算して、アクリレート部分1モル当りのアセトアセテート、アセトアセトアミド、シアノアセテートあるいはシアノアセトアミドの部分1モルを提供する。上記の触媒溶液(エタノール中の21%ナトリウムエトキシド)をナトリウムエトキシドのマイケル供与体官能基に対するモル比5%で使用する。
【0099】
【表4】

【0100】
マイケル供与体成分をSartomer SR−610および触媒溶液と適用直前に混合し、ポリエステルの2.0ミルのシートに薄いフィルムとして適用、乾燥し、ポリエステルの別のシートにラミネートする。引っ張り試験機を用いてこのシートを引き剥がすことにより、1日および7日後にこの接着物を室温で試験する。各実施例はラミネート接着剤として機能する。
【0101】
実施例15:ポリマーフォーム
ポリマーフォームを調製するために、次の配合を使用する。
供与体:実施例1、71グラム
受容体:SR−306HP、14.5グラム、およびMorcure(商標)2000、14.5グラム
触媒:ナトリウムエトキシドのアセトアセテート基に対するモル比10:100を与えるのに充分な量の、エタノール中21%ナトリウムエトキシド溶液
3.63グラムのExpancel(商標)820DU40(Akzo Nobel Co.)膨張性ミクロスフェア
この配合物を120℃で15分間加熱する。この結果は有用なポリマーフォームである。
【0102】
実施例16:エラストマー
エラストマーを調製するために、次の配合を使用する。
供与体:実施例1、71グラム
受容体:SR−306HP、14.5グラム、およびMorcure(商標)2000、14.5グラム
触媒:ナトリウムエトキシドのアセトアセテート基に対するモル比10:100を与えるのに充分な量の、エタノール中21%ナトリウムエトキシド溶液
【0103】
この配合物を120℃で15分間加熱する。この結果は有用なエラストマーである。
【0104】
実施例17〜20:アセトアセテート官能性ポリエステルの合成
グリコール、カルボン酸、およびFascat(商標)4100を1リットルの一体型反応器に装填し、ゆっくりと100℃に加熱した。反応温度を200℃にゆっくりと上昇させた。水の生成が止まった時に、温度を175℃に低下させ、真空を印加した。酸価(AV)が1.0未満になるまで、この反応物を175℃および約0.4kPa(3トル)の圧力で維持した。反応温度を120℃に低下させ、次にエチルアセトアセテートを1時間間隔で徐々に添加した。反応温度を150℃に上昇させ、エタノール生成が止まるまで維持した。反応物を150℃で維持しながら、真空を印加し、残存エタノールおよびエチルアセトアセテートを除去した。使用した原料は次の通りであった。
【0105】
【表5】

【0106】
実施例21〜23:アセトアセテート末端ポリエステルアミドの合成
グリコール、カルボン酸、アミノアルコール、およびFascat 4100を1リットルの一体型反応器に装填し、100℃にゆっくりと加熱した。反応温度を200℃にゆっくりと上昇させた。水の生成が止まった時に、温度を175℃に低下させ、真空を印加した。酸価(AV)が1.0未満になるまで、この反応物を175℃および約0.4kPa(3トル)の圧力で維持した。反応温度を120℃に低下させ、次にエチルアセトアセテートを1時間間隔で徐々に添加した。反応温度を150℃に上昇させ、エタノール生成が止まるまで維持した。反応物を150℃で維持しながら、真空を印加し、残存エタノールおよびエチルアセトアセテートを除去した。使用した原料は次の通りであった。
【0107】
【表6】

【0108】
実施例24〜35:硬化性混合物
多官能性マイケル供与体、多官能性マイケル受容体、エタノール、および触媒を用いて、硬化性混合物を製造した。各場合に、触媒はナトリウムエトキシドであり、混合物に溶液(エタノール中21重量%)として添加された。混合物は次の通りであった。
【0109】
【表7】

【0110】
実施例36:硬化性混合物における試験結果
実施例24〜31の各々を3番ロッドにより第1のフィルム上にコーティングし、ニップローラーを150℃で通過させることにより、第2のフィルムにラミネートした。1日および7日後にピール強度を上記のように求めた。結果は次の通りであった。
【0111】
【表8】

【0112】
実施例37:さらなるマイケル供与体の調製
次のマイケル供与体を調製した。本明細書で上記の実施例1に記述した方法を用いて、供与体MD1およびMD2を製造した。Witzemanらにより米国特許第5,051,529号に記述されている方法を用いて、供与体MD3を調製した。
【0113】
【表9】

注a:アジピン酸化合物のモル当り使用される構成成分化合物のモル
【0114】
実施例38:さらなる接着剤配合物の調製
下記に掲げた構成成分をブレンドすることにより、接着剤配合物として有用な次の官能性混合物を調製した。パーセントはこの官能性混合物の全重量基準での重量パーセントを表す。
【0115】
【表10】

注b:供与体中のアセトアセテート基100モル当り5モルのナトリウムエトキシドを用いて、供与体をナトリウムエトキシド(エタノール中21%)の溶液と混合し、溶媒を蒸発により除去し、次に混合物を受容体と混合した。
注c:供与体中のアセトアセテート基100モル当り5モルのナトリウムエトキシドを用いて、供与体、受容体、およびナトリウムエトキシド(エタノール中21%)溶液を一緒に混合し、官能性混合物として使用した。
【0116】
実施例39:官能性混合物AF30〜AF33の試験
本明細書で上記に述べたDMAを用いて、AF30〜AF33の反応生成物のTgを測定した。また、各官能性混合物を1.6g/m(1 lb/リーム)〜3.3g/m(2 lb/リーム)の間のコート重量でポリエステルフィルム上にコーティングし、任意の揮発性成分を蒸発により除去するか、あるいは蒸発させ、高スリップ性低密度ポリエチレン(HSLDPE)のフィルムを官能性混合物に適用し、得られたラミネートをニップロールの間でプレスし、官能性混合物を硬化させ、25mm(1インチ)の幅に切断したラミネートの試料を引っ張り試験器中に配置し、そして4.2mm/秒(10インチ/分)のクロスヘッド速度で引き剥がし、そして最大力を「接着力」としてグラムの荷重で下記に報告する。
【0117】
【表11】

注d:HLSDPEフィルムが破壊された。
【0118】
4つの官能性混合物はすべてラミネート接着剤として有用に機能し、そしてTgが増加するに従ってその性能は改善する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)アルカンジオール、アルキレングリコール、グリセロール、糖およびペンタエリスリトールからなる群から選択される骨格を有する、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、
(ii)少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および
(iii)少なくとも1つの強塩基触媒
を含む官能性混合物の層を第1の基体に適用する工程、
(b)少なくとも1つのさらなる基体を該混合物の該層に接触させ、ラミネートを形成する工程、並びに
(c)前記ラミネートをローラーの間に通すことにより、前記ラミネートに圧力を加える工程、
を含む、ラミネートを製造する方法であって、
前記第1の基体がプラスチック、金属化プラスチック、金属および紙からなる群から選択され、および、
前記第2の基体がプラスチック、金属化プラスチック、金属および紙からなる群から選択され、並びに、
前記第1の基体および前記第2の基体それぞれが、相対的に薄くかつ平坦である、方法。
【請求項2】
前記マイケル供与体の骨格が、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ヒマシ油、トリメチロールプロパン、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、Polysorbate80、グルコースおよびジペンタエリスリトールからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
(a)(i)ポリアルキレンオキシド、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリジエン、水素化ポリジエン、アルキド、ポリオレフィンおよびハロゲン化ポリオレフィンからなる群から選択される骨格を有する、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、
(ii)少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、および
(iii)少なくとも1つの強塩基触媒
を含む官能性混合物の層を第1の基体に適用する工程、
(b)少なくとも1つのさらなる基体を該混合物の該層に接触させ、ラミネートを形成する工程、並びに、
(c)前記ラミネートをローラーの間に通すことにより、前記ラミネートに圧力を加える工程、
を含み、
前記第1の基体がプラスチック、金属化プラスチック、金属および紙からなる群から選択され、および、
前記第2の基体がプラスチック、金属化プラスチック、金属および紙からなる群から選択され、並びに、
前記第1の基体および前記第2の基体それぞれが、相対的に薄くかつ平坦である、方法。
【請求項4】
(i)または(ii)の少なくとも1つが3以上の官能価を有する請求項1または3記載の方法。
【請求項5】
前記官能性混合物が0.1:1〜3:1の反応当量比を有する請求項1または3記載の方法。
【請求項6】
(i)が、1分子当り少なくとも2つのアセトアセチル基を有する、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体を含む請求項1または3記載の方法。
【請求項7】
(ii)が、100〜1,000の間の分子量を有する、少なくとも1つの多官能性アクリレートを含む請求項1または3記載の方法。
【請求項8】
(i)と(ii)とを反応させる、あるいはこれらを反応可能にする工程をさらに含む請求項1または3記載の方法。
【請求項9】
前記反応させた、あるいは反応可能にした生成物が15℃以下のガラス転移温度を有する請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記反応させた、あるいは反応可能にした生成物が−10℃以上のガラス転移温度を有する請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記反応させた、あるいは反応可能にした生成物が50℃以上のガラス転移温度を有する請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記反応させる、あるいは反応可能にすることを43℃以上の温度で行う請求項8記載の方法。
【請求項13】
請求項1または3に記載の方法によって形成される、接着剤組成物と接触する少なくとも2つの基体を含む結合物品。
【請求項14】
前記マイケル供与体の骨格がポリジエンである、請求項3記載の方法。

【公開番号】特開2009−107339(P2009−107339A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−268774(P2008−268774)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【分割の表示】特願2003−429346(P2003−429346)の分割
【原出願日】平成15年12月25日(2003.12.25)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】