説明

マイコプラズマ・ガリセプティカム製剤

本発明は、キジ目の鳥類において病原性マイコプラズマ・ガリセプティカム(Mycoplasma gallisepticum)感染を予防する製剤を提供する。本製剤は、製薬上許容される担体中に、生きたマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831またはその派生物を含有する。キジ目の鳥類において病原性マイコプラズマ・ガリセプティカム感染を予防するワクチンも提供する。製剤およびワクチンを投与する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生きた製剤として投与された場合に、非病原性、免疫原性の、安定なマイコプラズマ・ガリセプティカム(Mycoplasma gallisepticum)(MG)株K5831、その子孫および派生物を提供する。
【0002】
継続出願データ
本出願は、2009年1月22日に出願された米国仮出願第61/146,472号の利益を主張し、それは参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
マイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)は、ニワトリおよびシチメンチョウの感染性呼吸器病原体である。それは、最も病原性が高く、経済的に重大な家禽のマイコプラズマ病原体である。屠体の廃棄または等級低下、飼料効率および産卵効率の低下、ならびに薬剤費の増加による経済的損失は、これを世界中で商業的家禽生産が直面する最も経済的負担が大きい疾患問題の1つにする要因である。MGの抑制は通常、MGを持たない種畜の隔離および維持による。しかし、小さな地理的地域および多様な齢の過密な飼育場での家禽生産の急速な拡大により、このような防疫対策の取り組みだけによるMGの根絶および抑制を困難であり、追加措置の実施が必要である。このような状況において、MG関連疾患に対する家禽の予防接種は、不活化ワクチンの使用、またはMGの弱毒化生ワクチン株への暴露を含む。例えば、Klevenら、1997, Acta Vet Hung; 45(3):299-305を参照されたい。
【0004】
しかし、それぞれのアプローチには欠点がある。不活化ワクチンは、通常採卵鶏における産卵の低下の予防に有効であるが、確実には感染を予防せず、または呼吸器疾患に対する確実な防御を提供しない。そして、弱毒化生MGワクチンは、不活化ワクチンより有効であると考えられ、従って、より一般的であるが、それらは疾患を生じ得る、または生殖機能を低下させ得る。
【0005】
有効なMG生ワクチンの重要な特徴は、野生型株の感染に対する抵抗性を増加させる能力、および多様な齢の生産現場において野生型株をワクチン株に置換する能力である(LevisohnおよびKleven, 2000, Rev Sci Tech; 19(2):425-42;ならびにTurnerおよびKleven, 1998, Avian Dis; 42(2):404-7)。
【0006】
現在、MGの抑制に利用可能な生ワクチンは、F株(Luginbuhlら、1967, Ann NY Acad Sci; 143:234-238; Adlerら、1960, Am J Vet Res; 21:482-485)、6/85(EvansおよびHafez, 1992, Avian Dis; 36:197-201)ならびにts-11(Whithearら、1990, Aust Vet J; 67:159-165;およびWhithearら、1990, Aust Vet J; 67:168-174)を含む。F株は、ワクチン未接種の同じ囲いの動物および隣接した囲いのニワトリに伝播可能であり、ワクチン接種が終わったずっと後の飼育場から分離され得る。ts-11株および6/85株は、接触した際、ワクチン接種された家禽からワクチン未接種の家禽に、わずかではあるが伝播する。F株は上気道にts-11または6/85のいずれかよりも高レベルで残存し、ts-11は6/85よりも効率的に定着すると考えられる。F株はまためんどりから卵にも伝播する。残念ながら、現在利用可能なワクチンのそれぞれは利点を持っているが、いずれもあらゆる点において理想的な状態には達していない。従って、安全かつ有効な、安定で非病原性の、改良された生MGワクチン株の必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株を包含し、その単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株は、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株である。
【0008】
本発明は、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株の本質的に生物学的に純粋な培養物を包含する。
【0009】
本発明は、単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株を包含し、その単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株は、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物であり、その子孫もしくは派生物は、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株と同一の生物学的、血清学的、および/または遺伝学的特性を有する。
【0010】
本発明は、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物の本質的に生物学的に純粋な培養物を包含し、その子孫もしくは派生物は、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株と本質的に同一の生物学的および血清学的特性を有する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株、その子孫または派生物は凍結乾燥されている。
【0012】
本発明は、本明細書に記載されるような単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株、その子孫または派生物を含有する組成物を包含する。いくつかの実施形態では、組成物は、更に水を含有しうる。いくつかの実施形態では、組成物は、更に製薬上許容される担体を含有しうる。いくつかの実施形態では、組成物は、粘膜投与のために製剤化されうる。いくつかの実施形態では、組成物は、鼻内投与、眼内投与、または経口投与のために製剤化されうる。いくつかの実施形態では、組成物は、噴霧または気体化(aerolizing)のために製剤化されうる。
【0013】
本発明は、本明細書に記載されるような単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株、その子孫もしくは派生物、または本明細書に記載されるような組成物を含有するワクチンを包含する。いくつかの実施形態では、ワクチンは、マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患に対するキジ目の鳥類の感受性を減少させうる。
【0014】
本発明は、マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患から鳥類を防御するのに十分な量の、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその派生物、および製薬上許容される担体を含有する、キジ目の鳥類のためのワクチンを包含する。いくつかの実施形態では、防御量は、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株が鳥類の上気道に定着する(colonize)ために必要とされる量である。いくつかの実施形態では、防御量は、鳥1羽あたり約50〜約5×107 ccuである。
【0015】
本発明は、マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患に対するキジ目の鳥類の感受性を低下させる方法を包含し、その方法は、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物を鳥類に投与することを含む。
【0016】
本発明は、マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患に対するキジ目の鳥類の感受性を減少させる方法を包含し、その方法は、本明細書に記載されるような単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株、その子孫もしくは派生物、本明細書に記載されるような組成物、または本明細書に記載されるようなワクチンを鳥類に投与することを含む。
【0017】
本発明は、マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患からキジ目の鳥類を防御する方法を包含し、その方法は、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物を鳥類に投与することを含む。
【0018】
本発明は、マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患からキジ目の鳥類を防御する方法を包含し、その方法は、本明細書に記載されるような単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株、その子孫もしくは派生物、本明細書に記載されるような組成物、または本明細書に記載されるようなワクチンを鳥類に投与することを含む。
【0019】
本発明の方法のいくつかの態様では、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物は、鳥類の気道上皮に残存する。本発明の方法のいくつかの態様では、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物は、他のマイコプラズマ・ガリセプティカム株を気道上皮から排除する。本発明の方法のいくつかの態様では、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物は、呼吸粘膜に投与される。本発明の方法のいくつかの態様では、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物は、点眼薬によって投与される。本発明の方法のいくつかの態様では、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物は、経鼻投与される。本発明の方法のいくつかの態様では、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物は、エアロゾルによって投与される。本発明の方法のいくつかの態様では、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物は、飲料水によって投与される。本発明の方法のいくつかの態様では、方法は更に、少なくとも1つの更なるブースター製剤を鳥類に投与することを含む。本発明の方法のいくつかの態様では、鳥類は、ニワトリまたはシチメンチョウでありうる。
【0020】
「含む、含有する、包含する(comprises)」という用語およびその変化形は、これらの用語が明細書および特許請求の範囲に見られる場合、限定的な意味を持たない。
【0021】
他に特に規定のない限り、「a」、「an」、「the」、および「少なくとも1つ(at least one)」は同義に用いられ、1つまたは1つ以上を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】直接接触伝播率試験での結果の要約を表すグラフである。結果は、%陽性として示す。
【図2】排出試験の結果の要約を表すグラフである。結果は、%陽性として示す。
【図3】ワクチン接種されたニワトリおよびワクチン未接種のニワトリ(対照)における、R株播種群導入後0、2、4、および8週目のR株のコピー数(Log10)で、置換試験結果を表すグラフである。
【図4】ワクチン接種されたニワトリおよびワクチン未接種のニワトリ(対照)における、R株播種群導入後0、2、4、および8週目のR株のコピー数(Log10)で、置換試験結果を表すグラフである。
【図5】R株播種群導入後0、2、4、および8週目のニワトリからのワクチンのコピー数(Log10)で、置換試験結果を表すグラフである。
【図6】R株播種群導入後0、2、4、および8週目のニワトリからのワクチンのコピー数(Log10)で、置換試験結果を表すグラフである。
【図7】K5831B-19および戻し継代分離株K5883-2をフィンガープリントするための、ランダム増幅多型DNA(RAPD)解析の結果を示す。レーン1はK2101である。レーン2はK5831B-19である。レーン3はK5833-2である。レーン4はR株である。レーン5は6/85である。レーン6はts-11である。レーン7はF株である。レーン8は陰性対照である。レーン9は100 bpラダーである。
【図8】K5831B-19、K882-1、またはR株による抗原投与後10日目のK5831B-19戻し継代分離株をフィンガープリントするための、ランダム増幅多型DNA(RAPD)解析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実例的実施形態の詳細な説明
本発明は、生きた製剤として投与された場合に、非病原性、免疫原性の、安定なマイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株K5831、その子孫および派生物を提供する。本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカムの製剤は、マイコプラズマ・ガリセプティカム感染を抑制するために安全かつ効果的であり、鳥類におけるマイコプラズマ・ガリセプティカム感染の疾患の罹患率および重症度の低下に有効であるだろう。
【0024】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831は、2008年9月15日にPTA-9495として、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))、10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, USAに寄託された。この株は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に従って寄託された。マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831はまた、本明細書においてマイコプラズマ・ガリセプティカム 株 K5831B-19、MG K5831、MG K5831B-19、MG株K5831、MG株K5831B-19、K5831、K5831B-19、ATCC PTA-9495、およびPTA-9495ともいう。マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831は、マイコプラズマ・ガリセプティカム株K2101(MG K2101)を抗原投与されたニワトリから分離された。MG K2101は、1984年にコロラド州で、卵の防御の低下を示す市販採卵鶏の一群から分離された、野生分離株であった。分離株B-1〜B-30の、約30の分離株のうち、分離株MG K5831B-19が、更なる特性評価および分析のために選択された。
【0025】
本発明は、2008年9月15日にATCC特許寄託受託番号PTA-9495として寄託された、単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株K5831を包含する。本明細書において用いられる場合、「単離された/分離された(isolated)」とは、その本来の環境(例えば、それが自然に生じるものの場合、その自然環境)から取り出された物質を指し、従ってその自然状態から「ヒトの手によって」改変されている。マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831、ATCC特許寄託受託番号PTA-9495の分離された子孫および分離された派生物、ならびに同等または同様の生物学的、血清学的、および/もしくは遺伝学的特性を有する株もまた、本発明に包含される。本明細書において用いられる場合、血清学的、生物学的、および遺伝学的特性は、本明細書に含まれる実施例および図面のデータに記載される1つ以上の特性を含みうる。より具体的には、PTA-9495物質の子孫または派生株は、特に良好な本発明に属する防御特性を保持している。マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831、ATCC特許寄託受託番号PTA-9495の子孫は、例えば、in vitro培養または鳥での戻し継代を含む、当技術分野において公知の任意の様々なマイコプラズマ・ガリセプティカムを増殖させる方法によって入手されうる。子孫の例は、例えば、実施例3に記載されるような、再分離株K5866、K5969、K5872、およびK5876、およびK5883-2を含む。マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831、ATCC特許寄託受託番号PTA-9495の派生物は、寄託されたMG K5831株の遺伝子改変型を含むものとする。このような操作は、MG株を突然変異させること、あるいは代替タンパク質もしくは非機能性タンパク質をコードする遺伝子または遺伝子カセット、または非コードヌクレオチド配列をMG微生物に導入することを含むが、それらに限定されない。
【0026】
MG株K5831ならびにその子孫および派生物は、例えば、タンパク質プロフィール解析(Khanら、1987, Avian Dis; 31:315-320)、制限断片長多型(RFLP)(Klevenら、1988, Avian Dis; 32:731-741)、リボタイピング(Yogev ら、1988, Avian Dis; 32:220-231)、株特異的DNAプローブ(Khanら、1989, Avian Pathol; 18:135-146)、株特異的プライマーによるPCR(Nascimentoら、1993, Avian Dis; 37:203-211)、ならびにランダム増幅多型DNA(RAPD)(Charltonら、1999, J Vet Diag Invest; 11:158-161; Fanら、1995, Avian Dis 39; 729-735;およびGearyら、1994, Mol Cell Probes; 8:311-316)を含む、M. ガリセプティカム株の識別のために開発された任意の多くの技術を用いて、同定され、他のM. ガリセプティカム株と識別されうる。RAPD法は、実験条件および現場条件の両方においてワクチン株を同定するため(Leyら、1997, Avian Dis; 41:187-194; KlevenおよびFan, 1998, Avian Dis; 42:300-306; TurnerおよびKleven 1998, Avian Dis 42; 404-407)、ならびに現場での疫学的に関連する分離株の追跡のため(Kempf, 1998, Avian Pathol; 27:7-14; Leyら、1997, Emerg Infect Dis; 3:375-380; Charltonら、1999, J Vet Diagn Invest 11, 408-415; LevisohnおよびKleven, 2000, Rev Sci Tech; 19:425-442)にうまく利用されてきた。K5831の子孫または派生物は、MG株K5831の1つ以上の同定特性を共有しうる。K5831の子孫または派生物は、実質上すべてのこのような同定特性を共有しうる。本発明はまた、更なる態様において、親株MG K2101、その子孫および派生物、ならびに本明細書に記載された任意の組成物、ワクチン、および方法におけるそれらの使用を企図する。
【0027】
MG株K5831、その子孫および派生物は、ランダム増幅多型DNA(RAPD)解析を用いて同定され、他のM. ガリセプティカム株と区別されうる。簡潔には、Fanら(Fanら、1995, Avian Dis; 39:729-735)によってより詳細に記載された手順を用いて、3サイクルの低ストリンジェンシー増幅を含む任意にプライムされたポリメラーゼ連鎖反応(AP-PCR)に続いて、3つの任意に選択したプライマーを用いてより高いストリンジェンシーでのPCRを行う。使用する3つのオリゴヌクレオチドプライマーは、M16SPCR5'(AGGCAGCAGTAGGGAAT(配列番号16));M13F(GTAAAACGACGGC(配列番号17));およびS1OLIGO3'(CATAACTAACATAAGGGCAA(配列番号18))である。K5831B-19および子孫K5833-2に対するこのようなRAPD解析の代表的な結果を、図7および8に示す。その子孫および派生物は、Fanプライマーを利用した場合、マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831、ATCC特許寄託受託番号PTA-9495と実質的に同等のRAPDプロフィールを示しうる。
【0028】
K5831、その子孫または派生物は、遺伝子標的配列決定(GTS)アプローチを用いて同定され、他のM. ガリセプティカム株と区別されうる。任意の様々な遺伝子が解析されうる。例えば、gapA遺伝子、mgc2遺伝子、pvpA遺伝子および/または予測され、保存された表層リポタンパク質をコードする遺伝子の遺伝子配列が使用されうる。これらの4つの遺伝子配列は、M. ガリセプティカム Rlow株のゲノムで最初に同定された(Papazisiら、2003, Microbiol; 149:2307-2316)。gapA遺伝子は、ゲノムコードDNA配列(CDS)MGA_0934として同定された、細胞接着(cytadhesion)過程に関与することが示されているタンパク質をコードする(Gohら、1998, Microbiol; 144:2971-2978)。mgc2遺伝子は、ゲノムCDS MGA_0932として同定された、付着過程において役割を果たすことも知られている第二のサイトアドヘシン(cytadhesin)タンパク質をコードする(Hnatowら、1998, Infect Immun; 66:3436-3442)。pvpA遺伝子は、M. ガリセプティカム株の間でサイズ変化を示す推定付属サイトアドヘシンをコードする(Boguslavskyら、2000, Infect Immun; 68:3956-3964; Liuら、2001, J Clin Microbiol; 39:1882-1888)。もともとNascimentoら(Nascimentoら、1991, Avian Dis; 35:62-69)によって認められた、予測され、保存された表層リポタンパク質をコードする遺伝子は、ゲノムCDS MGA_0319として同定された(Papazisiら、2003, Microbiology; 149:2307-2316)。
【0029】
K5831の子孫または派生物は、例えば、Fergusonら(Fergusonら、2005, Microbiol; 151:1883-1893)により詳細に記載された手順に従って、実施例8においてより詳細に記載される遺伝子標的配列決定(GTS)解析によって決定されるように、サイトアドヘシンpvpA遺伝子(配列番号13)、サイトアドヘシンgapA遺伝子(配列番号15)、サイトアドヘシンmgc2遺伝子(配列番号14)、またはゲノムコードDNA配列(CDS)MGA_0319に指定される特性化されていない仮想表層リポタンパク質をコードする遺伝子(配列番号12)の一部において、マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831Bの1つ以上の同定配列を共有しうる。
【0030】
MG株K5831およびその子孫または派生物は、1つ以上の鋳型log10 コピー数、1、2、3、4、5、6、7、および8のそれぞれに対して、37.20、33.48、30.48、27.15、23.97、20.74、17.28、および13.70の平均CT値;y=-0.3021x + 12.203の線形方程式;ならびに/または、0.9996のR二乗値を有する、TaqmanリアルタイムPCR標準曲線を示しうる。このようなTaqmanリアルタイムPCRは、例えば、AY556238のヌクレオチド218〜237を含むフォワードプライマー配列(5’→3’)(CTCAAGAACCAACTCAACCA(配列番号1))、AY556238のヌクレオチド329〜308を含むリバースプライマー配列(5’→3’)(GGATTAGGACCAAATTGCGGAT(配列番号2))、AY556238のヌクレオチド280〜303を含む二重標識プローブ配列(5’→3’)(CAACCAGGATTTAATCAACCTCG(配列番号3))、および61℃のアニーリング/伸長温度を用いるように、GenBank受入番号AY556238のmgc2遺伝子に由来するプライマーを利用しうる。あるいは、GenBank受入番号AY556282のmgc2遺伝子に由来する類似のプローブが使用されうる。このような測定のための方法は、Ravivら(Ravivら、2008, Veterinary Medicine; 129(1-2):179-87)によってより詳細に記載されている。K5831の子孫または派生物は、このようなTaqmanリアルタイムPCRアッセイによって決定されるMG株K5831の1つ以上の同定特性を共有しうる。
【0031】
本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム株は、様々な更なる生物学的および/または血清学的特性を示し、それは、本明細書に含まれる実施例に記載される任意の特性を含むがそれらに限定されない。例えば、本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム株は、伝播率の低下を示しうる。本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム株は、上気道における持続性の増加を示しうる。本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム株は、戻し継代した際、ほとんどまたはまったく病原性の増加を示さない可能性がある。本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム株は、限られた垂直感染しか示さない、またはまったく垂直感染を示さない可能性がある。本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム株によるワクチン接種は、他のマイコプラズマ・ガリセプティカム株、例えば、R株などの定着の低下をもたらしうる。本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム株によるワクチン接種は、主として抗原投与された鳥類の呼吸器系にとどまる抗原投与後の肉眼的病変をもたらしうる。
【0032】
本発明では、マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831は、最小投与量、伝播率、持続性および排出、戻し継代、体内分布、垂直感染、病原性株の置換、発育卵およびニワトリにおける病原性を調査するための研究、ならびに生化学的、生物学的および血清学的特性の解析によって評価された。感染および適切なワクチン防御の誘導のために必要なMG K5831の最小力価は、約6.22×105 CCU/mlであった。MG K5831は、比較的低い伝播率を有し、少なくとも5ヶ月間上気道に残存した。ニワトリを介して5回戻し継代し、抗原投与後の肉眼的病変を評価した際、MG K5831の病原性の増加はなかった。MG K5831は、主として抗原投与された鳥の呼吸器系にとどまった。MG K5831の垂直感染は検出されなかった。また、MG K5831によるワクチン接種は、R株の定着の低下をもたらした。
【0033】
本発明は、本明細書に記載されるマイコプラズマ・ガリセプティカム株、その子孫および派生物の組成物を包含する。このような組成物は、マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患に対する鳥類の感受性を減少させるワクチンとして機能しうる。このような組成物は、マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患から鳥類を防御するワクチンとして機能しうる。本発明の組成物およびワクチンは、例えば、水または培地を含有しうる。このような組成物およびワクチンは、製薬上許容される担体または希釈剤を含有しうる。担体は、例えば、安定剤、保存剤およびバッファーを含む。適切な安定剤は、例えば、SPGA、糖質(ソルビトール、マンニトール、デンプン、ショ糖、デキストラン、グルタミン酸もしくはグルコースなど)、タンパク質(乾燥乳清、アルブミンもしくはカゼインなど)またはその分解産物を含む。適切なバッファーは、例えば、アルカリ金属リン酸塩を含む。適切な保存剤は、例えば、チメロサール、メチオレート(merthiolate)およびゲンタマイシンを含む。希釈剤は、水、水性バッファー(緩衝生理食塩水など)、アルコール、およびポリオール(グリセロールなど)を含むが、それらに限定されない。
【0034】
本発明のMG株、組成物およびワクチンは、実質的に純粋でありうる。本明細書において用いられる場合、「実質的に純粋」とは、通常、天然でそれとともに見られるであろう、あらゆる類似の高分子または他の生物学的存在を本質的に含まない物質を意味する。
【0035】
好ましくは、このような製剤に使用される微生物は生きている。いくつかの実施形態では、微生物、組成物、またはワクチンは凍結乾燥されうる。
【0036】
本発明の組成物およびワクチンは、家禽、キジ目の鳥類、および外来種の鳥を含むがそれらに限定されない、マイコプラズマ・ガリセプティカムに感受性の任意の様々な種の鳥類に投与されうる。キジ目の鳥類は、ニワトリ、シチメンチョウ、ライチョウ、ウズラ、およびキジを含むがそれらに限定されない。本明細書において用いられる場合、家禽とは、卵を採集する目的、または肉および/もしくは羽のために屠殺する目的で飼育される、家畜化された鳥類を含む。これらは、最も一般的には、キジカモ上目(家禽)、特にキジ目(例えば、ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、およびライチョウを含む)、ならびに、「水鳥」(例えば、アヒル、ガチョウ、およびハクチョウを含む)として一般に知られている(ガンカモ目の中の)ガンカモ科のメンバーである。家禽はまた、ハト(pigeons or doves)のように肉のために屠殺される他の鳥類、またはキジのように狩猟用と考えられる鳥類を含みうる。ニワトリは、メンドリ、オンドリ、ブロイラー、ロースター、採卵鶏、種鶏、種鶏メンドリの子孫および採卵鶏の子孫を含むが、それらに限定されない。本明細書において用いられる場合、「に感受性の」という用語は、非感受性の個体もしくは群、および/またはマイコプラズマ・ガリセプティカム感染を示す1つ以上の病理状態と比較した場合、例えば、活力の低下または発育不全のような、参照微生物に対する有害な反応の可能性あるいは現実性を意味する。
【0037】
本発明の組成物およびワクチンは、例えば、粘膜投与、鼻内投与、眼内投与、または経口投与など、獣医学技術分野において公知の任意の様々な経路による送達のために製剤化されうる。本発明の組成物およびワクチンは、呼吸粘膜への送達のために製剤化され、直ちにまたは最終的に鳥類の呼吸粘膜に接触するように投与されうる。本発明の組成物およびワクチンは、例えば、噴霧または気体化など、獣医学技術分野において公知の任意の様々な方法による送達のために製剤化されうる。本発明の免疫原性組成物またはワクチンは、経鼻投与、眼科的投与、注射による投与、飲料水、食餌、暴露による投与、卵内投与、母体を介した投与などを含むがそれらに限定されない、鳥類に接種する任意の適切な公知の方法によって投与されうる。
【0038】
免疫原性組成物またはワクチンは、飲料水にワクチンを入れる、または動物の環境に噴霧するなどの、集団投与技術によって投与されうる。組成物は、溶液を個体または群れに噴霧することによって投与されてもよく、このようなエアロゾル送達は、小さな液体粒子に取り込まれた組成物の投与を含みうる。このような噴霧型の粒子は、約10〜約100ミクロンの範囲の液滴サイズ、より好ましくは約<1〜約50ミクロンの液滴サイズを有しうる。小さな粒子を発生させるために、背負い式噴霧(knapsack spray)、孵化場噴霧(hatchery spray)および霧吹き噴霧(atomist spray)用の市販のスプレー発生器のような、従来の噴霧装置およびエアロゾル発生器が使用されうる。飲料水を介した投与は、従来の装置を用いて行われ得る。注射によって投与される場合、免疫原性組成物またはワクチンは、非経口的に投与されうる。非経口投与は、例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、または腹腔内注射による投与を含む。
【0039】
本発明の組成物またはワクチンは、孵化前または孵化後に鳥に投与されうる。鳥は、任意の様々な齢でこのようなワクチンの組成物を与えられうる。孵化後の送達では、物質は、例えば、孵化の約1週間後、孵化の約2週間後、孵化の約3週間後、孵化の約4週間後、孵化の約5週間後、孵化の約6週間後、またはその任意の範囲で送達されうる。卵内投与において、物質は、孵卵の約17日目、孵卵の約18日目、孵卵の約19日目、孵卵の約20日目、およびその任意の範囲で送達されうる。
【0040】
本発明の組成物およびワクチンは、指定された濃度のマイコプラズマ・ガリセプティカムを含有するように調整されうる。微生物は色調変化単位(color changing unit)として測定されうる。本明細書において「ccu」とも呼ばれるマイコプラズマ・ガリセプティカムの色調変化単位は、例えば、RodwellおよびWhitcomb(“Methods in Mycoplasmology,”RazinおよびTully編, 1993中)に記載される方法を含む、確立された標準的な方法を用いて定量され得る。例えば、有効量は、1羽の鳥に対して鳥の目あたり1滴(1滴は約0.05 ml)で、従って約1×103〜約1×106 色調変化単位/ml(ccu/ml)の濃度を用いて投与されうるが、これは鳥1羽あたり約50〜約50,000 ccuに相当する。例えば、約50、約1×102 ccu/ml、約5×102 ccu/ml、約1×103 ccu/ml、約5×103 ccu/ml、約1×104 ccu/ml、約5×104 ccu/ml、約1×105 ccu/ml、約5×105 ccu/ml、約1×106 ccu/ml、約5×106 ccu/ml、約1×107 ccu/ml、約5×107 ccu/ml、およびその任意の範囲(例えば、約1×105 ccu/ml〜約1×106 ccu/mlなど)の濃度が使用されうる。
【0041】
本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム株は、マイコプラズマ・ガリセプティカム感染に対する感受性を低下させるために鳥類に投与されうる。このような投与によって、その物質はマイコプラズマ・ガリセプティカムを示す著しい臨床兆候または病変を引き起こさない。本物質は、存続し、遺伝子操作によって作製されず、多くのin vivoでの継代にわたって低い病原性、安定性の上昇を有し、5回戻し継代した場合に病原性が上昇せず、および/または主として呼吸器系にとどまる。本物質は、卵に伝播せず、または非常に低い率でしか卵に伝播しない。更に、本発明は、病原性の野生型株を置換し、養鶏場由来の循環固有株を駆逐しうる。
【0042】
従って、本発明の目的は、MG疾患を示す著しい臨床兆候または病変を引き起こさない免疫物質を提供することである。他の目的は、少なくとも5ヶ月間上気道に残存する免疫物質を提供することである。他の目的は、遺伝子操作によって作製されない免疫物質を提供することである。他の目的は、病原性の低い免疫物質を提供することである。他の目的は、多くのin vivoでの継代にわたって安定性の上昇を有する免疫物質を提供することである。他の目的は、少なくとも5回戻し継代した場合に病原性が上昇しない免疫物質を提供することである。他の目的は、主として呼吸器系にとどまる免疫物質を提供することである。他の目的は、卵に伝播せず、または非常に低い率でしか卵に伝播しない免疫物質を提供することである。他の目的は、病原性の野生型株による感染を予防し、養鶏場由来の循環固有株を駆逐する免疫物質を提供することである。
【0043】
いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本発明のMG株は、免疫を刺激し、処理された鳥の呼吸粘膜、特に上気道に残存する。従って、本物質による鳥の処理の有益な結果は、本物質が病原性の野外株の上気道への定着を排除する能力である。本明細書において用いられる場合、「野外」株は、鳥類の環境に存在するあらゆる株を含み、野生型株、または以前のワクチン接種の試みによって混在する家禽に存在する株を含んでいる。投与される量は、好ましくは病原性の野生型株の侵入に対する防御をもたらすために十分な期間、任意の個々の鳥、または任意の所定の群れの上気道に定着するのに必要な量でありうる。投与される量は、鳥類の気道に定着するのに十分なものでありうる。
【0044】
本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株は、限定はされないが下記の手順に従って培養液中で増殖されうる。鳥マイコプラズマの分離のためのFrey培地:
マイコプラズマブロスベース 22.5 g
デキストロース 3 g
ブタ血清 120 ml
イースト抽出物 35 ml
フェノールレッド(1%) 2.5 ml
酢酸タリウム(10%)A 6 ml
アンピシリン 1 g/リットルA
試薬を混合し、蒸留水適量で1000 mlに調整する。
【0045】
A‐酢酸タリウムおよびアンピシリンは、商業的ワクチン生産などにおいて、純粋なMG培養物を用いて作業する場合、省略され得る。
【0046】
20% NaOHを用いてpHを7.8に調整し、ろ過滅菌する。
【0047】
他の増殖因子および保存剤は、本発明の範囲から逸脱することなく上記のものの代わりに使用され得る。
【0048】
寒天培地には、ion agar #2、Noble agar、またはDifco purified agarなどの1%の精製寒天を使用する。血清およびアンピシリン以外のすべての成分を121℃、15分間のオートクレーブによって滅菌する。50℃に冷まし、事前にろ過滅菌し50℃に温めた血清およびアンピシリンを無菌的に加える。混合し、プレートに注いで約5 mmの深さにする。
【0049】
本発明はまた、本明細書に記載されるマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831、および/またはその子孫もしくは派生物を含有するキットを提供する。キットは、本発明のマイコプラズマ・ガリセプティカムを充填した1つ以上の容器を含みうる。マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831は凍結乾燥されうる。キットは、マイコプラズマ・ガリセプティカムの他の株、または家禽の他の病原体の、更なる別の容器を含みうる。加えて、キットは、本発明を実施するために必要とされるバッファーおよび溶液などの他の試薬を含みうる。任意で、このような容器に付随して、通知書または印刷された説明書が含まれ得る。本発明のキットは、「包装材」を含みうる。本明細書において用いられる場合、「包装材」という用語は、キットの内容物を収納するために使用される1つ以上の物理的構造を指す。包装材は、好ましくは無菌の、汚染物質を含まない環境を提供するために、よく知られた方法によって構築される。包装材は、ガラス、プラスチック、紙、ホイルなどの固体マトリックスまたは材料でありうる。従って、例えば、包装容器は、ccu量のマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831を含有するために使用されるガラスまたはプラスチックバイアルであり得る。
【0050】
本発明を、下記の実施例によって説明する。特定の実施例、物質、量、および手順は、本明細書に記載の本発明の範囲および趣旨に従って広義に解釈されるべきであることが理解される。本明細書に開示される個別のステップを含む任意の方法について、そのステップは、任意の実行可能な順序で実施されうる。また、必要に応じて、2つ以上のステップの任意の組み合わせが、同時に実施されうる。
【実施例1】
【0051】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831 最小投与量試験
本実施例は、ニワトリにおける生ワクチンとしてのマイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株K5831の最小感染投与量および最小防御投与量を調べる。80羽の市販の採卵鶏を、8週齢でMGおよびMSがないことが知られている供給源から入手し、8つの囲いで飼育した。到着時に、培養および血清学によって、マイコプラズマの存在についてニワトリをスクリーニングした。ニワトリのワクチン接種前スクリーニングの結果は、マイコプラズマおよび抗体の存在について陰性であった。
【0052】
血清学的スクリーニングのために、市販の抗原(Intervet America, Millsboro, Del)を用いた血清プレート凝集(SPA)試験、ならびにA5969株から調製された抗原およびニワトリ赤血球による赤血球凝集抑制(HI)試験を用いて、血清をMG抗体について分析した。SPAおよびHI試験は、Kleven(Kleven, S. H. Mycoplasmosis. In: A Laboratory Manual for the Isolation and Identification of Avian Pathogens, 第4版、D. E. Swayne, J. R. Glisson, M. W. Jackwood, J. E. PearsonおよびW. M. Reed編、American Association of Avian Pathologists, Kennett Square, PA. pp 74-80. 1998)によって記載された手順に従って行われた。SPAスコア≧1を陽性と見なした。HI力価1:20を疑わしいと見なし、≧1:40を陽性と見なした。また、血清に対して市販の酵素結合免疫吸着法(ELISA)も行った(IDEXX, Westbrook, Maine)。
【0053】
マイコプラズマの単離および同定のために、後鼻孔裂、気管、気嚢または体内分布のための様々な部位からの綿棒スワブを、培養のために使用した。スワブをFrey改変培地および寒天に植菌し、37℃で最低3週間培養した。直接免疫蛍光法を用いてマイコプラズマ単離体を同定した。
【0054】
最小感染投与量を決定するために、107 色調変化単位/ml(ccu/ml)から102 ccu/mlのK5831B-19の希釈物を含むエアロゾルを用いて、12羽のニワトリの6群にワクチン接種した。抗原投与の3日後に、ニワトリを綿棒でぬぐい、MGを培養した。ワクチン接種5週間後に、ニワトリから採血し、培養した。6.22 ×106 ccu/mlの投与量は、12羽のニワトリのうち10羽(83%)を感染させ、6.22×105 ccu/mlは12羽のニワトリのうち4羽(33%)を感染させ、6.22×104 ccu/mlは12羽のニワトリのうち2羽(17%)を感染させた。ワクチン接種の33日後、6.22 ×106 ccu/mlおよび6.22×10 5 ccu/mlのK5831B-19を用いてワクチン接種された群は、培養によりMGについて100%陽性であった。これらの試験結果は、表1にまとめる。
【表1】

【0055】
最小防御投与量を決定するために、ワクチン接種6週間後に、ニワトリにR株を抗原投与した。1つの群はワクチン接種されず抗原投与された対照として機能し、第二の抗原投与されない群は陰性対照として機能した。鳥を抗原投与後10日目に解剖し、気嚢病変スコア、血清学、培養および気管粘膜の厚さおよびスコアによって評価した。6.22×106 ccu/mlおよび6.22×105 ccu/mlのK5831B-19をワクチン接種した群は、非ワクチン接種抗原投与対照と比較した場合、有意に低い平均気嚢病変スコアおよび平均気管粘膜測定値を有していた。6.22×106 ccu/mlのワクチン投与量はまた、対照と比較した場合、鳥の気嚢からの有意に少ないMG分離を示した。6.22×106 ccu/mlおよび6.22×105 ccu/mlのK5831B-19をワクチン接種した群に由来するいくつかの分離株のRAPD解析は、分離株がR株とK5831B-19との混合培養物でありうることを示した。これらの結果は、表2にまとめる。
【0056】
従って、6.22×105 ccu/mlのK5831B-19は、感染および適切なワクチン防御の誘導に必要な最小力価である。初期にはこの投与量によって33%のニワトリしか感染しなかったが、30日後には群の100%が感染し、防御は良好であった。6.22×106 ccu/mlの力価は、より良好な防御をもたらした。この最小投与量は、投与方法、飼育方法(housing)および環境を含む多くの要因に影響されうる。
【実施例2】
【0057】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831 伝播率および排出
本実施例は、マイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株K5831が感染したニワトリから感染していないニワトリに伝播する可能性を調べる。ワクチン接種された鳥の気道におけるK5831B-19の残存(排出)を調べた。
【0058】
手順
125羽の採卵鶏のオスを、マイコプラズマがいない供給源から入手した。鳥を囲いの中に収容した。伝播率試験のために4群(それぞれの囲いに35羽、15羽、20羽および20羽のニワトリ)、排出試験のために35羽のニワトリの1群とした。3週齢目に、5羽のニワトリを培養および血清学によってマイコプラズマについてスクリーニングした。
【0059】
伝播率。4週齢目に、播種群のニワトリ35羽にK5831B-19をエアロゾルによって感染させた。これらのニワトリのうち5羽を、その後、15羽の直接接触群と混在させた。20羽のニワトリを、直接接触群に直接隣接している囲いに置いた(ワイヤーを隔てた接触群)。他の20羽の群を、空いた囲いによって直接接触群から隔てられている囲いに置いた(空いた囲いを隔てた接触群)。15羽の直接接触群ならびにワイヤーを隔てた接触群および空いた囲いを隔てた接触群のそれぞれに由来する5羽のニワトリから、播種群の接種後1、2、4、8、12、16および20週目に、血清学のために採血し、マイコプラズマ培養のためにスワブを採取した。それぞれの採血/スワブ採取時に、5羽の古い播種群を取り出し(採血およびスワブ採取し)、5羽の新しい播種群と入れ替えた。接種後20週目に、すべての鳥から採血し、培養し、安楽死させた。
【0060】
排出。4週齢目に、35羽のニワトリにエアロゾルによってK5831B-19を接種した。接種後1、2、4、8、12、16および20週目に、5羽のニワトリを取り出し、血清学、気管および気嚢スワブの培養ならびに気管の組織病理学によって評価した。
【表2】

【0061】
結果
伝播率。伝播率の結果は、表3に示す。播種群の導入後(PI)4週目には、1羽の混在された鳥(直接接触)がK5831B-19について培養陽性であった。PI 8週目には、直接接触群は、培養および血清学によって低レベルの感染(2/15)を示した。PI 16週目には、直接接触群のほとんど(12/14)が、K5831B-19に感染した。ワクチンは、金網によって隔てられた隣接した囲いの鳥、または空いた囲いによって隔てられた鳥には伝播しなかった。これらのデータは、図1に図示する。
【表3】

【表4】

【0062】
排出。排出の結果は、表4に示す。K5831B-19は、ワクチン接種後20週目までにワクチン接種された鳥から再分離し、その時点で試験を終了した。気嚢および気管からの再分離率は時間とともに低下した。ワクチンは、ワクチン接種後8週目までには気嚢からは見られなくなり、気管からの回収率は、ワクチン接種後20週目には60%(3/5)に低下した。鳥は、ワクチン接種後20週目では血清反応陽性を持続した。これらのデータは、図2に図示する。
【0063】
この試験では、混在されたニワトリの大部分は、性的成熟の始まった後の20週齢まで陰性のままであった。K5831B-19は比較的低い伝播率を有するということが結論づけられる。この試験では、K5831B-19は、試験期間(5ヶ月)の間、上気道に残存した。
【実施例3】
【0064】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831 ニワトリでの戻し継代
本実施例は、マイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株K5831がニワトリでの5回の戻し継代後にニワトリに疾患を引き起こす可能性を調べる。抗原投与されたニワトリの体内でのMGの分布もまた調べた。
【0065】
手順
戻し継代。25羽のSPFニワトリを3週齢で入手し、5つの隔離ユニットで飼育した。5羽のニワトリの1群に、点眼薬によってK5831B-19を抗原投与した。抗原投与の1週間後、これらの鳥の気管を綿棒でぬぐい、これらのスワブを用いて5羽のニワトリの第2の群を感染させた。このようにしてK5831B-19を5回戻し継代した。感染を移すためにスワブを使用した後、気管スワブを改変Frey培地に植菌することによって、感染したニワトリからMGを再分離した(K5866、K5969、K5872、およびK5876)。K5831B-19の最後の再分離株(K5883-2)を抗原投与試験に使用した。
【0066】
抗原投与。80羽の市販の採卵鶏を、MGおよびMSがいないことが知られている供給源から入手した。これらのニワトリを4つの群体飼育舎(colony houses)で飼育した。4週齢目に、8羽のニワトリをスクリーニングし、血清学および培養によってそれらがMGを含まないことを確認した。5週齢目に、ニワトリの3つの群に、K5831B-19(2.59×108 CCU/ml)、K5883-2(1.21×107ccu/ml)、およびR株(1.15×108 ccu/ml)の対数期培養物を抗原投与した。1つの群には抗原投与しなかった(陰性対照)。抗原投与の10日後に鳥を解剖し、気嚢病変スコア、血清学、および培養によって評価した。
【0067】
体内分布。気管および気嚢に加えて、上記のK5831B-19(2.59×108 ccu/ml)を抗原投与した5羽の鳥から6つの部位(腎臓、肝臓、嚢(bursa)、肺、盲腸扁桃、および脾臓)を培養した。
【0068】
ランダム増幅多型DNA(RAPD)。MG分離株のフィンガープリントのためにRAPD解析を用いた。RAPD解析および4つの標的遺伝子(pvpA、mgc2、gapAおよびMGA_0319)の配列決定を用いて、K2101、K5831B-19およびK5883-2を比較した。使用された手順およびプライマーは、Fanら(Fanら、1995, Avian Dis; 39:729-735)によって記載されている。
【0069】
DNA配列解析。分離株および参照株のDNA配列を、前述のように解析、比較した(Fergusonら、2003, Avian Dis; 47(3):523-30)。pvpA遺伝子(Boguslavskyら、2000, Infect Immun; 68:3956-3964;およびLiuら、2001, J Clin Microbiol; 39:1882-1888)、リポタンパク質配列(MGA_0319)(Nascimentoら、1991, Avian Dis; 35:62-69)、gapA(Gohら、1998, Microbiol; 44:2971-2978;およびKeelerら、1996, Infect Immun; 64:1541-1547)ならびにmgc2 サイトアドヘシン(cytadhesin)遺伝子(Hnatowら、1998, Infect Immun; 66:3436-3442)の配列は、前述のように比較した(Fergusonら、2005, Microbiol; 151:1883-1893)。配列解析は、MegAlign(DNASTAR, Lasergene, Inc. Madison, Wisconsin)によって行った。
【0070】
定量的株識別リアルタイムPCR。解剖された鳥の咽頭を、4 mlの滅菌したPBSのチューブに採取した。1 mlの咽頭洗浄液(30秒間サンプルをボルテックスした後)をDNA抽出に用いた。DNA抽出物を、ワクチン(K5831B-19、K5054、ts-11、6/85、F株)とR株とを識別できるプローブおよびプライマーを用いたTaqmanリアルタイムPCRに供した。解析は、反応の標準化対照を用いて事前に決定された標準曲線上に閾値サイクル数(CT値)をプロットすることによって定量化された。(Ravivら、2008, Vet Microbiol; 129(1-2):179-87)。
【0071】
結果
戻し継代。K5831B-19およびK5883-2のRAPDおよび配列解析は、戻し継代による遺伝的変化を示さなかった。両方ともK2101のRAPDパターンを示した。RAPDの結果は、図7および8に示す。
【0072】
抗原投与。抗原投与の結果は、表5に示す。戻し継代された分離株(K5883-2)による抗原投与は、もとのK5831B-19による抗原投与および陰性対照と比較して、有意な肉眼的病変(気嚢スコア)の増加を引き起こさなかった(P<0.05)。
【0073】
体内分布。K5831B-19を抗原投与された鳥の肺(5/5)ならびに気管(20/20)からMGを回収した。MGはまた、これらのニワトリ20羽のうち6羽の気嚢(30%)から再分離された。腎臓、肝臓、嚢(bursa)、盲腸の試験からは分離されなかった。
【表5】

【0074】
考察
天然に生じた低病原性のMG株であるK5831B-19は、実験室での弱毒化ワクチン株と比較して、多くのin vivo継代にわたる安定性上昇の利点を有しうる。本実施例は、ニワトリを介して5回の戻し継代を行い、抗原投与後の肉眼的病変を評価した際、K5831B-19の病原性の上昇がないことを実証する。体内分布分析から、本実施例はまた、K5831B-19が主として抗原投与された鳥の呼吸器系にとどまることを実証する。
【実施例4】
【0075】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831 垂直感染
本実施例は、マイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株K5831B-19が感染したニワトリから胚に感染する可能性を調べる。
【0076】
手順
30羽のメスおよび9羽のオスの採卵鶏を、マイコプラズマがいない供給源から入手した。鳥を3つの囲いで飼育した(囲いあたり10羽のメスおよび3羽のオス)。25週齢目(約80%産卵(production))に、5羽のニワトリを、培養および血清学によってマイコプラズマについてスクリーニングした。25.3週齢目に、ニワトリにK5831B-19(6.2×108 ccu/ml)をエアロゾルによって抗原投与した。24週齢目から試験の終わりまで毎日、卵を回収した。18日間孵卵した胚の卵黄嚢をマイコプラズマのために培養した。32週齢で、ニワトリを解剖し、評価した。
【0077】
結果
ワクチン接種前のスクリーニングでは、ニワトリは、血清学および培養でマイコプラズマについて陰性であった。
【0078】
胚培養。マイコプラズマは、試験の間、いずれの胚からも回収されなかった。
【0079】
気管および気嚢培養。MGは、ワクチン接種後7週目には、35/36(97%)の気管スワブから回収されたが、気嚢スワブは4/36(11%)からしか回収されなかった。
【0080】
血清学。ワクチン接種後7週目には、すべてのニワトリがMGに対して抗体陽転した。
【0081】
気管および気嚢病変。解剖時に気嚢病変は見られなかった。数羽の鳥は、リンパ球浸潤、粘液腺過形成、および線毛の欠失からなるごく軽度の気管病変を示した。
【0082】
病変の評価のために、試験の間に解剖したニワトリの病変を、0〜4段階での気嚢病変スコアによって肉眼的に評価した(Klevenら、1972, Avian Dis; 16:915-924)。気管病変は、気管粘膜の幅の測定によって顕微鏡的に評価された。気管上部3分の1(咽頭から約1インチ下部)から切片を採取し、10%中性ホルマリン中で固定した。気管の横断面の組織標本スライド上の等間隔の4点で、気管粘膜の厚さを測定した。また、気管病変を0〜3でスコアした。統計解析により、気嚢病変スコア、気管スコアおよびSPAスコアを、Kruskal-Wallisの順位和検定を用いて解析した。平均の気管粘膜の厚さ、HI力価log10、ELISA S/P比、およびコピー数log10は、Tukey-KramerのHSD検定を用いて解析された。JMP(登録商標)Statistics Made Visual(SAS Institute Inc., SAS Campus Drive, Cary, NC 27513)。
【0083】
考察
本実施例では、K5831B-19は、発育卵では検出されなかった。生殖器官を通して子孫に移行するためには、株は全身性になる必要がある。先行研究から、K5831B-19は主として上気道にとどまると考えられ、ワクチン接種後の比較的長い期間(最大20週間まで)この領域から回収され得るが、気嚢からの回収は変わりやすく、数週間で減少する。本実施例はまた、K5831B-19が仮に卵を通じて伝播するとすれば、これらの実験条件下で検出できない非常に低い率であることを実証する。
【実施例5】
【0084】
マイコプラズマ・ガリセプティカムワクチン置換
本実施例は、マイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)ワクチンK5831B-19、K5054、ts-11、6/85、およびF株が、感染したニワトリにおいて病原性株を置換する可能性を調べる。
【0085】
手順
127羽のMG/MSのいない採卵鶏を、生後1日目で商業的供給源から入手した。3週齢目に、10羽のニワトリを、培養および血清学によってマイコプラズマについてスクリーニングした。8週齢目に、20羽のニワトリの群にK5831B-19、K5054、ts-11、6/85、およびF株をワクチン接種した。13.3週齢目に、12羽のニワトリの群(播種群)にR株を点眼薬によって接種した。14週齢目に、それぞれのワクチン接種群から5羽のニワトリを解剖し、評価した(解剖1)。この時(ワクチン接種6週間後)、2羽の播種群を、それぞれのワクチン接種群の残りの15羽のニワトリおよび15羽の未感作のニワトリ(抗原投与対照)と混在させた。この時、ニューカッスル病/伝染性気管支炎のワクチン接種によって、ニワトリにストレスを加えた。播種群の導入の2週間後、それぞれの群から5羽の鳥を取り出し、解剖し、評価した(解剖2)。この手順を、抗原投与後4週目および8週目に繰り返した(解剖3および4)。それぞれの解剖において、評価は、培養、血清学、気嚢病変スコア、気管の組織病理学、および定量PCR(Q-PCR)分析で構成された。
【0086】
ワクチン接種。市販の塗料噴霧器(Preval Sprayer Division, Precision Valve Corporation, Yonkers, NY)を用いた粗粒スプレーによって、6/85(Mycovac-L(登録商標)Intervet, Millsboro, DE)およびF株(F Vax-MG(登録商標)Schering-Plough Animal Health Corporation, Summit, NJ)ワクチンを投与した。これらの凍結乾燥ワクチンは、メーカーの使用説明書に従って、蒸留水で1回分/mlの濃度に再構成された。また、粗粒スプレーによって、新鮮な活発に増殖している培養物としてK5831B-19およびK5054を投与した。利用する前に、対数期の培養物をFrey改変培地で1:10に希釈し、市販のワクチンの投与量により近づけた。鳥1羽あたり約1ミリリットル(ml)の培養物を投与した。ts-11ワクチン(Merial Select, Gainesville, GA)は、メーカーの使用説明書に従って、解凍され、点眼薬によって投与された。また、すべての群に、メーカーの説明書に従い粗粒スプレーによってニューカッスル病‐伝染性気管支炎のワクチンを接種した(Poulvac(登録商標)Aero, Fort Dodge Animal Health, Fort Dodge, IA)。
【0087】
抗原投与。R株は病原性MG株である。それを播種群に点眼薬(100μl/鳥)によって投与した。
【0088】
結果
血清学。第一の解剖(ワクチン接種6週間後)の血清学的結果から、6/85をワクチン接種した群を除き、すべてのワクチン接種群がMGに対して抗体陽転した。ts-11群は、K5831B-19、K5054およびF株をワクチン接種した群より抗体陽転が弱かった。6/85およびts-11群はともに、播種群の導入後4〜8週目まで抗体陽転に関して他の群よりも遅れていた。
【0089】
気嚢病変。播種群の導入後2週目には、何羽かの鳥は、おそらくニューカッスル病‐気管支炎ワクチン接種と関連する軽度の気嚢病変を有した。
【0090】
気管病変。気管反応の分析は、NDV/IBワクチンウイルスの導入によって複雑化した。また、播種群およびワクチンウイルスの導入前の群においていくらかの反応があり、それは飼育舎間の環境の差に関連しているかもしれない。
【0091】
PCR。K5831B-19およびF株をワクチン接種した群は、他のワクチンおよび非ワクチン接種対照と比較した場合、試験を通してずっと、より低いR株のコピー数log10であった。これらの差は必ずしも有意ではなかった。6/85をワクチン接種した群において、6/85は、播種群の導入後8週目の最後の解剖まで検出されなかった。すべての播種群はそれぞれのワクチンに感染していたことに留意しなければならない。
【0092】
考察
本実施例の結果は、表6および7ならびに図3〜6に示す。本実施例は、K5831B-19およびF株ワクチンが最も低いコピー数log10のR株をもたらすことを実証し、それはより低いR株の定着を示唆する。これらのワクチンは、病原性の野生型株による感染を予防し、そして養鶏場由来の循環している固有株を駆逐するために非常に有用でありうる。
【表6】

【表7】

【実施例6】
【0093】
発育卵におけるマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831の病原性
発育卵致死量(ELD50)の評価、およびR株のそれとの比較によって、発育卵におけるマイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株K5831の病原性を測定した。
【0094】
発育卵致死量(ELD50。0.2 mLの100〜108 ccu/mlに希釈されたサンプル(K5831B-19およびR株)を、卵黄嚢経路により10個の6日齢発育卵に接種した。12日間の孵卵にわたって、胚を観察し、ELD50を計算した。本実施例の結果は、表8および9に示す。
【実施例7】
【0095】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831の生化学的、生物学的および血清学的特性
本実施例では、マイコプラズマ・ガリセプティカム(MG)株K5831の生化学的、生物学的および血清学的特性を評価した。
【0096】
手順
K5831B-19の特性を下記の試験によって調べた:
1. グルコース発酵試験
2. アルギニン加水分解試験
3. β-NAD要求試験
4. テトラゾリウム還元試験
5. フィルムおよびスポット形成試験
6. 赤血球吸着試験
7. 増殖阻害試験(GIT)
8. 代謝阻害試験(MIT)。
【表8】

【表9】

【0097】
それぞれの試験は、Methods in Mycoplasmology, Vol. I. S. Razin, J. G. Tully編, 1983により詳細に記載される一般的な方法に従って実施した。簡潔には:グルコース発酵試験については、試料は、試験培地(改変Frey培地(グルコースを含む))、対照培地(グルコースを含まない改変Frey培地)、および試験株の対数期培地培養物であった。方法:対照培地で試験培養物の1:1000希釈を行った。0.1mlの希釈培養物を、試験培地および対照培地を入れた試験管に移した。試験管を37℃で24時間培養し、色の変化を観察した。
【0098】
アルギニン加水分解試験については、試料は、試験培地(アルギニンを含む改変Frey培地)、対照培地(改変Frey培地(アルギニンを含まない))、および試験株の対数期培地培養物であった。方法:対照培地で試験培養物の1:1000希釈を行った。希釈培養物を、試験培地および対照培地を入れた試験管に接種した。試験管を37℃で培養し、2週間色の変化を観察した。
【0099】
β-NAD要求試験については、試料には、試験培地(β-NADを含まない改変Frey培地)、対照培地(改変Frey培地(β-NADを含む))、および試験株の対数期培地培養物が含まれた。方法:試験培地で試験培養物の1:1000希釈を行った。希釈培養物を、試験培地および対照培地を入れた試験管に接種した。試験管を37℃で培養し、増殖(色の変化)を観察した。
【0100】
テトラゾリウム還元試験については、試料には、試験培地(テトラゾリウム培地)および試験株の対数期培地培養物が含まれた。方法:試験培地で試験培養物の1:1000希釈を行った。希釈培養物を、試験培地を入れた試験管に接種した。試験管を37℃で培養し、増殖および(ピンクから赤紫色への)色の変化を観察した。
【0101】
フィルムおよびスポット形成試験については、試料には、卵黄エマルション寒天プレートおよび試験株の対数期培地培養物が含まれた。方法:試験株を寒天プレート上に接種し、37℃で培養した。プレートを毎日2週間、フィルムおよびスポットについて観察した。
【0102】
赤血球吸着試験については、試料には、洗浄したニワトリ赤血球の10%PBS懸濁液および試験株のコロニーを有する寒天プレートが含まれた。方法:2 ml PBS 中0.5%のRBC懸濁液を調製し、寒天プレート上にピペットで加えた。プレートを37℃で30分間培養した。余分なRBC懸濁液を捨て、プレートを5 ml PBSで洗浄した。RBCのコロニーへの吸着についてプレートを観察した。
【0103】
増殖阻害試験(GIT)については、試料には、抗血清(MGおよびMS)、滅菌した吸収性フィルターペーパーディスク(直径6mm)、試験微生物の培地培養物、ならびに改変Frey培地寒天プレートが含まれた。方法:ディスクにMGまたはMS抗血清をしみ込ませた。プレートに0.1 mlの希釈した試験培養物を接種し、均一に塗布した。接種物を室温で吸収させた。ディスクを少なくとも2 cm離して、接種された寒天の表面に置いた。プレートを37℃で培養し、阻害領域の痕跡を観察した。
【0104】
代謝阻害試験(MIT)については、試料には、改変Frey培地(グルコースおよびNADを含む)、試験微生物の培地培養物、抗血清(MGおよびMS)、ならびにマイクロタイタープレートが含まれた。方法:25μlの培地をマイクロタイタープレートのすべてのウェルに加えた。25μlの熱処理したMGまたはMS抗血清を第一のウェル(対照以外)に加え、連続的に希釈した(2倍)。50μlの適切な希釈培養物(103〜104 CCU/ml)を、対照以外のすべての適切なウェルに加えた。125μlの培地を、対照(これには175μlの培地を加えた)以外のすべてのウェルに加えた。マイクロタイタープレートを密閉し、37℃で培養した。培養の72時間後にプレートを初めて読み取った。
【0105】
下記の株を試験した:
K5831B-19
M. ガリセプティカム PG31
マイコプラズマ・シノビエ(Mycoplasma synoviae) WVU1853
M. アイオワエ(iowae)(血清型I)(アルギニン加水分解試験のみ)
M. ガリナルム(gallinarum)(血清型B)K285(フィルムおよびスポット形成試験のみ)。
【0106】
結果
表10は、これらの試験のデータを示す。
【表10】

【実施例8】
【0107】
遺伝子標的配列決定によるマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831の解析
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831B-19は、参照により本明細書に組み入れられるFergusonら(Fergusonら、2005, Microbiol; 151:1883-1893)により詳細に記載される手順に従い、推定サイトアドヘシンpvpA遺伝子、サイトアドヘシンgapA遺伝子、サイトアドヘシンmgc2遺伝子、およびゲノムコードDNA配列(CDS)MGA_0319に指定される特性化されていない仮想表層リポタンパク質をコードする遺伝子の一部の遺伝子標的配列決定(GTS)解析によって解析された。
【0108】
簡潔には、150〜250μlの改変Frey培地中で増殖された培養物または5%(v/v)グリセロールで保存された凍結Frey培地ストック培養物から、核酸を抽出した。メーカーの推奨に従いQIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN)を用いて、ゲノムDNAを抽出した。標的遺伝子のフォワードおよびリバース配列は下記の通りであった。gapAについては、フォワードプライマーは、TTCTAGCGCTTTAGCCCTAAACCC(配列番号4)の配列を有するgapA 3Fであり、リバースプライマーは、CTTGTGGAACAGCAACGTATTCGC(配列番号5)の配列を有するgapA 4Rであった。MGA_0319遺伝子については、フォワードプライマーは、CCAGGCATTTAAAAATCCCAAAGACC(配列番号6)の配列を有するlp 1Fであり、リバースプライマーは、GGATCCCATCTCGACCACGAGAAAA(配列番号7)の配列を有するlp 1Rであった。mgc2遺伝子については、フォワードプライマーは、GCTTTGTGTTCTCGGGTGCTA(配列番号8)の配列を有するmgc2 1Fであり、リバースプライマーは、CGGTGGAAAACCAGCTCTTG(配列番号9)の配列を有するmgc2 1Rであった。pvpA遺伝子については、フォワードプライマーは、GCCAMTCCAACTCAACAAGCTGA(配列番号10)の配列を有するpvpA 3Fであり、リバースプライマーは、GGACGTSGTCCTGGCTGGTTAGC(配列番号11)の配列を有するpvpA 4Rであった。
【0109】
すべての増幅は、PTC-200 DNA Engine MJサーモサイクラー(MJ Research)において、94℃3分間、および94℃20秒間、55〜60℃40秒間、72℃60秒間の40サイクル、および72℃5分間で行われた。MGA_0319およびpvpA遺伝子を増幅するために用いられた最適アニーリング温度は55℃であり、mgc2遺伝子を増幅するために58℃のアニーリング温度が用いられ、gapA遺伝子を増幅するためには60℃が用いられた。PCR産物は、μgエチジウムブロマイド/ mlを含有する2%アガロースゲル中でUV光を用いて検出した。増幅遺伝子断片はApplied Biosystems Prism 377自動シークエンサー(PE Applied Biosystems)を用いて配列決定した。それぞれの増幅産物を、フォワードおよびリバース増幅プライマーを用いて両方向で配列決定した。SEQMANプログラム(LASERGENE; DNASTAR)を用いて、相補的配列の完全な重ね合わせを行った。
【0110】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831B-19におけるMGA_0319遺伝子のGTS解析により、下記の配列が得られた:ATGAGAGCTT ATAACCAATT CATTACTAGA GGGTTGGACA GTTATGTAAA TAGTACAACT AAAGGGATTA ATATTCCCAA CAACTTATCA TCAGATTCTG GTGGTAAGTT GTTAATGACT GCTTCTGATA TGTTCGATAG TTTTGACGTA TCATTTAGTG CAGCTTATGT TCAACAATAT TTAAAACAAA CTAATAATAC TAACCGTGAT ACTGTTGGTG TAGTTCAATC AGATATTGAT GAGATCAATC TGATGAATAA TTTCATTAGA GCTAAGGCAA ATGGTAACAC AACCAACACC TACTCACAAC AGATTACTAA TAATTCATTA TTAAAAACTG GTGAAGCGAA TCGAACTACT GATCCATATT ACAATGCTTA TGCAGATTTA GCAGCTGGAA CTAAAGATAT CCACGAAATC TTTGAATGAA ATGGGATGAA GACAGTTGAT TCTTCGAAAT CAGATAATTC ATCAACAAAC GTAATGAGTA AAAAT(配列番号12)。
【0111】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831B-19におけるpvpA遺伝子のGTS解析により、下記の配列が得られた:GGTAGtCCTA AGTTATTAGG TCCAAACCAA GCTGGTCATC CACAACACGG ACCACGTCCG ATGAATGCTC ATCCAGGTCA ACCACGCCCT CAACAAGCTG GCCCACGTCC AATGGGAGCT GGTGGATCTA ACCAACCAAG ACCAATGCCA AATGGTCTAC AAAACCCACA AGGTCCACGA CCAATGAACC CTCAAGGCGA TCCTCGTCCT CAACCAGCTG GTGTCAGACC TAACAGCCCA CAAAATTCTC AACCACGCCC AATGCCAAAT AAACCACAAG GTCCACGACC AATGGGTGCT CCAAATCCTC AACCAGGCCC TCAACAAGCT GGCCCACGTC CAATGGGAGT TGGTGGATCT AACCAACCAA GACCAATGCC AAATCGTCCA CAAAACCCAC AAGGTCCACG ACCAATGAAC CCTCAAGGCG ATCCTCGTCC TCAACCAGCT GgtGTc(配列番号13)。
【0112】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831B-19におけるmgc2遺伝子のGTS解析により、下記の配列が得られた:TTTTATCCAG TAGTGGGTGC AGGTGCTGGG TTGATTGTTG TTTCTTTACT CTTGGGTTTA GGGATTGGGA TTCCGATCGC TAAGAAAAAA GAAAGAATGA TGATCCAAGA ACGTGAAGAA CACCAAAAGA TGGTTGAATC CCTTGGTATA ATCGAAGAAC AAAATAAAAC AGAAGCGATT GAGCCAACTG CAGCAGTGCC AACTGAAGAA GTTAATACTC AAGAACCAAC TCAACCAGCT GGTGTTAATG TAGCTAATAA CCCTCAGATG GGGATCAATC AACCAGGATT TAATCAACCT CAGATTAATC CGCAATTTGG TCCTAATCCC CAACAAAGAA TTAACCCACA GGGCTTTGGT GGCCCAATGC CACCTAACCA AATGGGAATG CGACCAGGGT TTAACCAAAT GCCCCCACAA ATGGGAGGAA TGCCACCTAA CCAAATGGGA ATGCGACCAG GGTTTAACCA AATGCCCCCA CAAATGGGAG GAATGCCACC AAGACCAAAC TTCCCTAACC AAATGCCTAA TATGAATCAA CCAAGACCAG GTTTCAGACC ACAACCTGGT GGTGGGGTGC CGATGGGAAA TAAAGCTGTA GGTGGGTTTA ATCAC(配列番号14)。
【0113】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831B-19におけるgapA遺伝子のGTS解析により、下記の配列が得られた:CCTAACCGAA TTACTAACCC ATTAATGAAT AGAGATAACG TAATCGGTCA AGGTGCGTTC ATTAGTAGAA ATGATATTCC ATCATCATTC TTTGAAAACA AAATTAATGA TATTGTAACT ACAGAAGCTG ATGGTAAAGA AGTATTAGAT AGTAAATACA TTAATTCAAT CTATAGATAT ACTCCACCTC AAAACAATCC TGATATTAGA TTAAGATTAT TAGTAATTGA TCGTTCTAGA GCAACTAATG ACTTCATTAA GTTATTACCT CAAGTATTAG TTGATGGCGA ATACGTTGCT GTTCCACAA(配列番号15)。
【0114】
GTS解析により、Ferguson らに記載されるように、K5831B-19は、gapA配列型Va、MGA_0319配列型Va、mgc2配列型IVa、pvpA配列型IIIa、mgc2/pvpA配列型IIIa、およびgapA/MGA_0319/mgc2/pvpA配列型VIIaとして特徴付けられる。
【0115】
本明細書に引用されたすべての特許、特許出願、ならびに出版物、ならびに電子的に利用可能な資料(例えば、GenBankおよびRefSeqにおけるヌクレオチド配列寄託(submissions)、ならびに例えば、SwissProt、PIR、PRF、PDBにおけるアミノ酸配列寄託、ならびにGenBankおよびRefSeqにおける注釈つきコード領域からの翻訳物を含む)の全開示は、参照により組み入れられる。前述の詳細な説明および実施例は、理解を明確にするためにのみ与えられている。不要な制限はそれらから理解されるべきものではない。本発明は、示され記載された細部には限定されず、当業者にとって明白な変形形態は、特許請求の範囲によって規定される本発明に包含される。
【0116】
すべての表題は、読者の便宜のためであり、特定されない限り、表題に続く文章の意味を限定するために使用されるべきではない。
【配列表フリーテキスト】
【0117】
配列番号1〜11および16〜18 合成オリゴヌクレオチドプライマー。
【0118】
配列番号12 遺伝子標的配列決定によって得られたマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831B-19のMGA_0319遺伝子の部分ヌクレオチド配列。
【0119】
配列番号13 遺伝子標的配列決定によって得られたマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831B-19のpvpA遺伝子の部分ヌクレオチド配列。
【0120】
配列番号14 遺伝子標的配列決定によって得られたマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831B-19のmgc2遺伝子の部分ヌクレオチド配列。
【0121】
配列番号15 遺伝子標的配列決定によって得られたマイコプラズマ・ガリセプティカム株K5831BのgapA遺伝子の部分ヌクレオチド配列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム(Mycoplasma gallisepticum)株であることを特徴とする、単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株。
【請求項2】
特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株の本質的に生物学的に純粋な培養物。
【請求項3】
特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物であり、その子孫もしくは派生物が、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株と本質的に同一の生物学的および血清学的特性を有することを特徴とする、単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム株。
【請求項4】
特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物の本質的に生物学的に純粋な培養物であって、その子孫もしくは派生物が、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株と本質的に同一の生物学的および血清学的特性を有することを特徴とする、上記培養物。
【請求項5】
単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカムが凍結乾燥されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカムを含有する組成物。
【請求項7】
更に水を含有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
更に製薬上許容される担体を含有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
粘膜投与のために製剤化されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
鼻内投与、眼内投与、または経口投与のために製剤化されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
噴霧または気体化(aerolizing)のために製剤化されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム、または請求項6〜11のいずれか1項に記載の組成物を含有するワクチン。
【請求項13】
マイコプラズマ・ガリセプティカム株によって引き起こされる疾患に対するキジ目の鳥類の感受性を減少させる、請求項12に記載のワクチン。
【請求項14】
マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患から鳥類を防御するのに十分な量の、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物、および製薬上許容される担体を含有する、キジ目の鳥類のためのワクチン。
【請求項15】
防御量が、K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株が鳥類の上気道に定着する(colonize)ために必要とされる量である、請求項12〜14のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項16】
前記防御量が、鳥1羽あたり約50〜約5×107 ccuである、請求項12〜15のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項17】
マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患に対するキジ目の鳥類の感受性を減少させる方法であって、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物を鳥類に投与することを含む、上記方法。
【請求項18】
マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患に対するキジ目の鳥類の感受性を減少させる方法であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム、請求項6〜11のいずれか1項に記載の組成物、または請求項12〜16のいずれか1項に記載のワクチンを鳥類に投与することを含む、上記方法。
【請求項19】
マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患からキジ目の鳥類を防御する方法であって、特許受託番号 PTA-9495としてATCCに寄託されているK5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株、またはその子孫もしくは派生物を鳥類に投与することを含む、上記方法。
【請求項20】
マイコプラズマ・ガリセプティカムによって引き起こされる疾患からキジ目の鳥類を防御する方法であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離されたマイコプラズマ・ガリセプティカム、請求項6〜11のいずれか1項に記載の組成物、または請求項12〜16のいずれか1項に記載のワクチンを鳥類に投与することを含む、上記方法。
【請求項21】
K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株が鳥類の気道上皮に残存することを特徴とする、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株が他のマイコプラズマ・ガリセプティカム株を気道上皮から排除することを特徴とする、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株が呼吸粘膜に投与されることを特徴とする、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株が点眼薬によって投与されることを特徴とする、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株が経鼻投与されることを特徴とする、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株がエアロゾルによって投与されることを特徴とする、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
K5831 マイコプラズマ・ガリセプティカム株が飲料水によって投与されることを特徴とする、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
更に少なくとも1つの更なるブースター製剤を鳥類に投与することを含んでいる、請求項17〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記鳥類がニワトリまたはシチメンチョウである、請求項17〜28のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−515552(P2012−515552A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548121(P2011−548121)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021749
【国際公開番号】WO2010/085611
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(511176045)ユニバーシティ オブ ジョージア リサーチ ファンデーション,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】