マイルドハイブリッド車両用充電装置
【課題】 スーパーキャパシタの充電電圧がバッテリーの充電電圧より低い場合に、バッテリーの電圧がスーパーキャパシタに急速に逆充電されるのを防止する、マイルドハイブリッド車両用充電装置を提供する。
【解決手段】 エンジン、エンジンを始動させる複合起動発電機(ISG)、ISGで発生した三相交流電力を直流電力に変換するインバータ、インバータから直流電力を受けて充電され、また、充電した直流電力をインバータに伝達するスーパーキャパシタ、インバータから直流電力を受けて電圧を降下させるDC−DC変換器、DC−DC変換器から直流電力を受けて充電される電装バッテリー、スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の経路に装着され、電装バッテリーからスーパーキャパシタにエネルギーが逆流するのを防止するための逆充電防止装置、を含むことを特徴とする。
【解決手段】 エンジン、エンジンを始動させる複合起動発電機(ISG)、ISGで発生した三相交流電力を直流電力に変換するインバータ、インバータから直流電力を受けて充電され、また、充電した直流電力をインバータに伝達するスーパーキャパシタ、インバータから直流電力を受けて電圧を降下させるDC−DC変換器、DC−DC変換器から直流電力を受けて充電される電装バッテリー、スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の経路に装着され、電装バッテリーからスーパーキャパシタにエネルギーが逆流するのを防止するための逆充電防止装置、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイルドハイブリッド車両用充電装置に関し、より詳しくは、スーパーキャパシタの充電電圧がバッテリーの充電電圧より低い場合に、バッテリーの電圧がスーパーキャパシタに急速に逆充電されるのを防止する、マイルドハイブリッド車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、エネルギー枯渇問題及び環境汚染問題によって、ハイブリッド自動車及び電気自動車などの環境に優しい自動車が注目されていている。ハイブリッド自動車は、動力源としてエンジンを備えているため、外部の常用電源を利用してバッテリーを充電する必要がないが、電気自動車は、エンジンを備えていないため、外部の常用電源を利用してバッテリーを周期的に充電しなければならない。特許文献1参照。
【0003】
また、ハイブリッド自動車は、充電方式によってマイルドハイブリッド自動車及びプラグインハイブリッド自動車に分類される。マイルドハイブリッド自動車は、内燃機関で発生したエネルギーの一部を利用してバッテリーを充電するハイブリッド自動車であり、プラグインハイブリッド自動車は、外部の常用電源からのエネルギーを利用してバッテリーを充電するハイブリッド自動車である。
【0004】
純粋な電気自動車やプラグインハイブリッド自動車は、外部の常用電源からエネルギーを受けるため、入力端の電圧及び出力端の電圧の差が大きい。したがって、図9のように、変圧機(transformer)を使用した絶縁降圧型DC−DC変換器(insulated buck type DC−DC converter)を使用する。
【0005】
図9に示したように、前記絶縁降圧型DC−DC変換器は、高圧バッテリー102の端子に入力キャパシタ(Ci)が付着され、4つのスイッチング素子(Q1、Q2、Q3、Q4)がフルブリッジ(Full Bridge)形態に構成されるスイッチング素子部106の入力は高圧バッテリー102に連結され、スイッチング素子部106の出力は変圧機108の1次側端子に連結される。前記スイッチング素子部106の4つスイッチング素子を一対ずつ(Q1−Q2及びQ3−Q4)交互にターンオン及びターンオフして、高圧バッテリー102の電圧を交流電圧に変換し、この交流電圧を変圧機108によって減圧して、2次側コイルに低電圧がかかるようにする。
【0006】
変圧機108の2次側各コイルに発生する低電圧を整流した後、インダクタ(L)−キャパシタ(Co)によって平滑化して、電装バッテリー104に直流電圧が充電されるようにする。
【0007】
前記絶縁降圧型DC−DC変換器を制御する制御するデューティ比(D)は数1の通りである。
【数1】
ここで、VHIGHは高圧バッテリー102の電圧であり、VLOWは電装バッテリー122の電圧であり、N1は1次側コイルの巻線数であり、N2は2次側コイルの巻線数である。
【0008】
前記絶縁降圧型DC−DC変換器の場合、変圧機を使用するため、コアの損失によって効率が多少低いが、高圧側と低圧側との間が電気的に絶縁される長所がある。また、万が一、出力端の電圧が入力端の電圧より高くても、逆充電される現象は起こらない。
【0009】
マイルドハイブリッド車両では、充電装置の入力端の電圧及び出力端の電圧の差が大きくないので、変圧機を使用した絶縁型DC−DC変換器を使用せずに、図10に示された非絶縁降圧型DC−DC変換器が使用される。
【0010】
図10に示したように、エンジンで発生した電圧が保存されるスーパーキャパシタ120と電装バッテリー122との間には非絶縁降圧型DC−DC変換器124が配置されている。前記非絶縁降圧型DC−DC変換器124は、スイッチング素子126、インダクタ(L)132、キャパシタ(C)134、そして還流ダイオード(free−wheeling diode)130から構成される。
【0011】
非絶縁降圧型DC−DC変換器124は、所望の出力電圧を得るために、入力であるスーパーキャパシタ120の両端電圧(VHIGH)及び電装バッテリー122の両端電圧(VLOW)からデューティ比(Duty Ratio)を計算して、前記スイッチング素子126をデューティ比制御する。
【0012】
デューティ比制御とは、スイッチング周波数を固定して、一周期の波形でターンオンの比率を制御する方法である。非絶縁降圧型DC−DC変換器124のデューティ比(D)は数2の通りである。
【0013】
【数2】
【0014】
また、制御されるデューティ比の最小値をDminとし、負荷の等価インピーダンスをZL、スイッチング素子126に加えられる周波数をf、出力電圧をVo、脈動出力電圧をΔVoとすれば、回路に適用されるインダクタ132の最小の大きさLmin及びキャパシタ134の最小の大きさCminは数3の通りである。
【0015】
【数3】
【0016】
数式3から分かるように、インダクタ132の大きさはスイッチング周波数(f)に反比例し、キャパシタ134の大きさはスイッチング周波数(f)の自乗に反比例する。スイッチング周波数(f)が高ければ、インダクタ132及びキャパシタ134の大きさを小さくすることができるので、変換器の大きさを小さくすることができる。
【0017】
小型のDC−DC変換器を製作するために、スイッチング周波数を高くしなければならないので、IGBTよりはMOSFETをスイッチング素子として多く使用する。しかし、MOSFETは、高いスイッチング周波数を適用することができるが、高電圧及び高電流が流れる回路には適切でない。
【0018】
マイルドハイブリッド車両に使用されるDC−DC変換器において、スーパーキャパシタの電圧は低電圧(15V〜30V)であるが、高電流が流れる。したがって、1個のMOSFETで回路を構成することができないため、図11のように2個以上のスイッチング素子126を並列に接続して、電流容量を分担するように回路を構成する。
【0019】
マイルドハイブリッド車両の充電装置に使用されるスーパーキャパシタ120は、自己放電回路を備えていて、スーパーキャパシタ120に充電されたエネルギーが遅い速度で放電される。放電されたスーパーキャパシタ120は、車両が始動された後に発電モードでだけ充電が可能であるので、長時間車両を動かさない場合、スーパーキャパシタ120の充電電圧が持続的に低下する。
【0020】
スーパーキャパシタ120の充電電圧が電装バッテリー122の電圧より低くなる場合、非絶縁降圧型DC−DC変換器124のスイッチング素子126に付着されたボディーダイオード128を通して電装バッテリー122に充電されたエネルギーがスーパーキャパシタ120に逆充電される現象が発生する。
【0021】
特に、マイルドハイブリッド車両の電源システムの初期組立て時、スーパーキャパシタ120の充電電圧が3Vと最低状態であるため、電装バッテリー122との電圧差が最も大きくなる。したがって、電源システムの初期組立て時に、高電流が流れるようになる。つまり、図12に示したように、放電されたスーパーキャパシタを接続すると、電装バッテリーの電圧が低くなって、スーパーキャパシタの充電電圧が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特表2009−523002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は前記のような問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、スーパーキャパシタのエネルギーを電装バッテリーに充電する非絶縁降圧型DC−DC変換器において、スーパーキャパシタの放電によって電装バッテリーからDC−DC変換器を通してスーパーキャパシタが逆充電される現象を防止することができる、マイルドハイブリッド車両用充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の目的を実現するために、本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置は、エンジン、前記エンジンに連結されて、三相交流電力を発生させ、また、前記エンジンを始動させる複合起動発電機(ISG)、前記ISGで発生した三相交流電力を直流電力に変換し、また、前記直流電力を前記三相交流電力に変換して、前記ISGに伝達するインバータ、前記インバータから直流電力を受けて充電され、また、充電された前記直流電力を前記インバータに伝達するスーパーキャパシタ、前記スーパーキャパシタと共にインバータに連結し、インバータから直流電力を受けて電圧を降下させるDC−DC変換器、前記DC−DC変換器から直流電力を受けて充電される電装バッテリー、そして前記スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の経路に装着されて、前記電装バッテリーから前記スーパーキャパシタにエネルギーが逆流するのを防止するための逆充電防止装置、を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の第1実施形態によれば、前記DC−DC変換器は、回路を断続するスイッチング素子を含み、前記逆充電防止装置は、ボディーダイオードが除去された前記スイッチング素子であることを特徴とする。
【0026】
本発明の第2実施形態によれば、前記逆充電防止装置は、回路断続用トランジスタであることを特徴とする。
【0027】
前記回路断続用トランジスタは、ボディーダイオードがないIGBTまたは電力用トランジスタであることを特徴とする。
【0028】
本発明の第3実施形態によれば、前記逆充電防止装置は、リレーであることを特徴とする。
【0029】
本発明の第4実施形態によれば、前記逆充電防止装置は、前記スーパーキャパシタから電装バッテリーに向かって順方向バイアスされたダイオードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ボディーダイオードがないスイッチング素子を使用して、電装バッテリーからスーパーキャパシタに順方向バイアスされる経路をなくし、マイルドハイブリッド車両において、スーパーキャパシタの自己放電によって電装バッテリーがDC−DC変換器のボディーダイオードを通して逆充電される現象を防止することができる。
【0031】
また、ボディーダイオードがない回路断絶用トランジスタをスーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に挿入し、スーパーキャパシタ及び電装バッテリーの電圧の大きさを比較して、回路断絶用トランジイスを断続させることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0032】
また、リレーをスーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に挿入し、スーパーキャパシタ及び電装バッテリーの電圧の大きさを比較して、前記リレーを断続させることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0033】
また、スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に電流遮断用ダイオードを付着して、スーパーキャパシタの電圧が低くなれば、逆方向バイアスされることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置の概略図である。
【図2】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、エンジン始動時のエネルギーの流れを示した概略図である。
【図3】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、バッテリー充電時のエネルギーの流れを示した概略図である。
【図4】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第1実施形態である。
【図5】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第2実施形態である。
【図6】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第3実施形態である。
【図7】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第4実施形態である。
【図8】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、逆充電を防止するための装置を装着する位置を示した概略図である。
【図9】絶縁降圧型DC−DC変換器を使用した従来の充電装置を示した概略図である。
【図10】非絶縁降圧型DC−DC変換器を使用した従来の充電装置を示した概略図である。
【図11】非絶縁降圧型DC−DC変換器を使用した従来の充電装置の他の例を示した概略図である。
【図12】非絶縁降圧型DC−DC変換器を使用した従来の充電装置において、逆充電が起こる場合のバッテリーの電圧、スーパーキャパシタの電圧、そしてスーパーキャパシタの電流を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
図1は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置の概略図であり、図2は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、エンジン始動時のエネルギーの流れを示した概略図であり、図3は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、バッテリー充電時のエネルギーの流れを示した概略図である。
【0037】
図1乃至図3に示したように、本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置は、エンジン10、複合起動発電機(Integrated Starter and Generator;ISG)20、PWMインバータ30、スーパーキャパシタ40、DC−DC変換器50、そして電装バッテリー60を含む。
【0038】
エンジン10は、自動車に適用可能な全ての種類のエンジンを使用することができ、例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、LPIエンジンなどを使用することができる。
【0039】
前記エンジン10のクランクシャフトにはメインプーリ12が装着されて、クランクシャフトと共に回転する。
【0040】
ISG20は、前記エンジン10と動力伝達手段で連結されている。本明細書では、前記動力伝達手段としてベルトを例示したが、これに限定されない。このような目的のために、前記ISG20には補助プーリ22が回転可能に装着され、前記補助プーリ22は、前記メインプーリ12とベルト14を通して作動的に連結されている。
【0041】
前記ISG20は、エンジン10が始動される時には始動モータとして作用し、エンジン10が駆動される時には発電機として作用して、電装バッテリー60を充電する。前記ISG20では三相交流電圧を発生させる。
【0042】
PWMインバータ30は、前記ISG20と電気的に連結されて、三相交流電圧の印加を受け、この三相交流電圧を直流電圧に変換する。また、エンジン10の始動時には、スーパーキャパシタ40に保存された直流電圧を三相交流電圧に変換して、前記ISG20に伝達する。
【0043】
前記PWMインバータ30の直流端にはスーパーキャパシタ40及びDC−DC変換器50が同時に連結されている。したがって、電装バッテリー60の充電時には、スーパーキャパシタ40及びDC−DC変換器50にDC電圧が印加される。
【0044】
DC−DC変換器50としては、非絶縁型降圧型DC−DC変換器が使用される。DC−DC変換器50の一側端子は前記PWMインバータ30に電気的に連結されて、高電圧がかかり、DC−DC変換器50の他側端子は電装バッテリー60に電気的に連結されて、低電圧が形成される。
【0045】
マイルドハイブリッド自動車が始動する時には、図2に示したように、スーパーキャパシタ40に保存されたエネルギーがPWMインバータ30を通してISG20に伝達される。そうすると、ISG20は、始動モータとして作動し、エンジン10をクランキングする。
【0046】
この時、DC−DC変換器50は、電装バッテリー60にエネルギーを充電しない。つまり、DC−DC変換器50及び三相PWMインバータ30は、電子制御装置(ECU)からCAN通信で命令値を受けて、始動のために必要な動作を行うようになる。
【0047】
エンジン10によってマイルドハイブリッド車両が走行すれば、図3に示したように、ISG20は発電する。ISG20で発生した三相交流電力は、PWMインバータ30によって直流電力に変換される。変換された直流電力は、スーパーキャパシタ40にエネルギーを保存すると同時に、DC−DC変換器50に入力される。
【0048】
DC−DC変換器50は、入力された電圧の大きさVHIGH及び電装バッテリー60の電圧に応じた制御信号のデューティ比(Duty Ratio)を計算して、DC−DC変換器50内のスイッチング素子に加える。
【0049】
DC−DC変換器50内のスイッチング素子の主機能は、制御信号によって回路をターンオン及びターンオフさせることである。制御回路、電圧、電流容量、スイッチング周波数によって使用されるスイッチング素子の種類が異なるが、代表的にMOSFET及びIGBTがスイッチング素子として多く使用される。
【0050】
インダクタを含む回路において、スイッチング素子をターンオフさせて回路を開放すると、瞬間的に電流が0になるため、インダクタの両端に非常に高電圧が発生する。この高電圧によって、インダクタをはじめとして他の素子が焼損される現象が発生するので、スイッチング素子によって回路が開放されても、インダクタ負荷が有するエネルギーを消耗させるための経路を確保しなければならない。
【0051】
このような目的のために、前記スイッチング素子の両端にボディーダイオードを付着した回路が一般的に適用される。スイッチング素子及びボディーダイオードは別途に製作されて組立てられるが、スイッチング素子を製作する時にボディーダイオードを並列に付着させた製品が市場に出ている。
【0052】
前記のように、前記ボディーダイオードによって電装バッテリー60に充電されたエネルギーがスーパーキャパシタ40に逆充電される場合が発生する。したがって、本発明の実施形態では、スーパーキャパシタ40が逆充電されるのを防止する。
図4は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第1実施形態である。
【0053】
図4に示したように、本発明の第1実施形態による非絶縁降圧型DC−DC変換器50は、スイッチング素子51、インダクタ(L)、キャパシタ(C)、そして還流ダイオード52を含む。この時、前記スイッチング素子51は、ボディーダイオードが除去されている。つまり、ボディーダイオードを通して電装バッテリー60のエネルギーがスーパーキャパシタ40に伝達されるのを防止する。したがって、スーパーキャパシタ40の逆充電が防止される。DC−DC変換器50の他の構成要素については、当業者に周知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0054】
スイッチング素子51として多く使用されるMOSFET及びIGBTは、大部分がボディーダイオードが内蔵されている。ボディーダイオードは、スイッチング素子51を製作する時に製造工程上で付随的に形成されるが、工程によってボディーダイオードをなくすこともできる。
【0055】
電装バッテリー60において、スーパーキャパシタ40に順方向経路を形成する素子は、スイッチング素子51の両端に付着されたボディーダイオードだけであるため、ボディーダイオードが形成されないようにスイッチング素子51を製作すればよい。
【0056】
MOSFETは、製造工程上で不純物の量を調節すれば、ボディーダイオードが形成されるのを防止したり、ボディーダイオードの抵抗成分を大きくすることができる。IGBTは、MOSFETよりボディーダイオードをなくす工程が容易で、容易にボディーダイオードを除去することができる。
【0057】
IGBTよりMOSFETのスイッチング周波数がはるかに高いため、高いスイッチング周波数を適用する回路ではMOSFETを使用する。MOSFETは、高電流を流すことができないため、IGBTよりは比較的小さい容量に適用され、電流容量を増大させるためにMOSFETを並列に接続した回路を適用する。MOSFETを並列に多く接続するほど、逆充電可能な経路が多くなる。したがって、ボディーダイオードがないMOSFETを降圧型DC−DC変換器50に適用すれば、電装バッテリー60からスーパーキャパシタ40方向に逆充電される現象をなくすことができる。
【0058】
IGBTは、MOSFETより容易にボディーダイオードをなくすことができるが、スイッチング周波数がMOSFETより低いため、小型の製品を製造するのが多少難しい。マイルドハイブリッド車両に使用されるDC−DC変換器50は、小型でなければならないため、スイッチング周波数が高いMOSFETを使用しなければならない。
【0059】
図5は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第2実施形態である。
【0060】
図5に示したように、本発明の第2実施形態によるDC−DC変換器50は、ボディーダイオード55を含むスイッチング素子51’を使用する。しかし、スーパーキャパシタ40とDC−DC変換器50との間にボディーダイオードがない回路断続用トランジスタ70が装着されている。
【0061】
前記回路断続用トランジスタ70としては、ボディーダイオードがないIGBTや電力用トランジスタ(Power BJT Transistor)を使用することができる。このような回路断続用トランジスタ70を使用するためには、電子制御装置(ECU)がスーパーキャパシタ40の電圧及び電装バッテリー60の電圧を検出し、電装バッテリー60の電圧がスーパーキャパシタ40の電圧より高ければ、回路断続用トランジスタ70をターンオフする。
【0062】
したがって、電装バッテリー60からスーパーキャパシタ40にエネルギーが移動する経路が遮断されて、スーパーキャパシタ40が逆充電されない。
【0063】
図6は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第3実施形態である。
【0064】
図6に示したように、本発明の第3実施形態によるDC−DC変換器50は、ボディーダイオード55を含むスイッチング素子51’を使用する。しかし、スーパーキャパシタ40とDC−DC変換器50との間にリレー80が装着されている。
【0065】
前記リレー80を使用するためには、電子制御装置(ECU)がスーパーキャパシタ40の電圧及び電装バッテリー60の電圧を検出し、電装バッテリー60の電圧がスーパーキャパシタ40の電圧より高ければ、前記リレー80をターンオフする。したがって、電装バッテリー60からスーパーキャパシタ40にエネルギーが移動する経路が遮断されて、スーパーキャパシタ40が逆充電されない。
【0066】
図7は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第4実施形態である。
【0067】
図7に示したように、本発明の第4実施形態によるDC−DC変換器50は、ボディーダイオード55を含むスイッチング素子51’を使用する。しかし、スーパーキャパシタ40とDC−DC変換器50との間にスーパーキャパシタ40から電装バッテリー60に向かって順方向バイアスされたダイオード90が装着されている。このダイオード90によって、スーパーキャパシタ40から電装バッテリー60に向かっては電流が流れるが、電装バッテリー60からスーパーキャパシタ40に向かっては電流が流れない。したがって、スーパーキャパシタ40の逆充電が防止される。
【0068】
図8は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、逆充電を防止するための装置を装着する位置を示した概略図である。
【0069】
図8に示したように、逆充電を防止するための装置(ボディーダイオードがないスイッチング素子51、回路断続用トランジスタ70、リレー80、そしてダイオード90)は、スーパーキャパシタ40及び電装バッテリー60を連結するいかなる位置91、92、93、94、95に装着されてもよい。
【0070】
例えば、逆充電を防止するための装置は、スーパーキャパシタ40とDC−DC変換器50との間の位置91、92、DC−DC変換器50内の位置93、またはDC−DC変換器50と電装バッテリー60との間の位置94、95に装着される。
【0071】
前記のように、本発明によれば、ボディーダイオードがないスイッチング素子を使用して、電装バッテリーからスーパーキャパシタに順方向バイアスされる経路をなくして、マイルドハイブリッド車両において、スーパーキャパシタの自己放電によって電装バッテリーがDC−DC変換器のボディーダイオードを通して逆充電される現象を防止することができる。
【0072】
また、ボディーダイオードがない回路断絶用トランジスタをスーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に挿入し、スーパーキャパシタ及び電装バッテリーの電圧の大きさを比較して、回路断絶用トランジスタを断続させることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0073】
また、リレーをスーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に挿入し、スーパーキャパシタ及び電装バッテリーの電圧の大きさを比較して、前記リレーを断続させることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0074】
また、スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に電流遮断用ダイオードを付着して、スーパーキャパシタの電圧が低くなれば、逆方向バイアスされることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0075】
以上で、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する当業者によって、本発明の技術的範囲内において容易に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、スーパーキャパシタの充電電圧がバッテリーの充電電圧より低い場合に、バッテリーの電圧がスーパーキャパシタを急速に逆充電するのを防止する、マイルドハイブリッド車両用充電装置の分野に適用できる。
【符号の説明】
【0077】
10 エンジン
20 複合起動発電機(ISG)
30 PWMインバータ
40 スーパーキャパシタ
50 DC−DC変換器
51、51’ スイッチング素子
52 還流ダイオード
55 ボディーダイオード
60 電装バッテリー
70 回路断続用トランジスタ
80 リレー
90 ダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイルドハイブリッド車両用充電装置に関し、より詳しくは、スーパーキャパシタの充電電圧がバッテリーの充電電圧より低い場合に、バッテリーの電圧がスーパーキャパシタに急速に逆充電されるのを防止する、マイルドハイブリッド車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、エネルギー枯渇問題及び環境汚染問題によって、ハイブリッド自動車及び電気自動車などの環境に優しい自動車が注目されていている。ハイブリッド自動車は、動力源としてエンジンを備えているため、外部の常用電源を利用してバッテリーを充電する必要がないが、電気自動車は、エンジンを備えていないため、外部の常用電源を利用してバッテリーを周期的に充電しなければならない。特許文献1参照。
【0003】
また、ハイブリッド自動車は、充電方式によってマイルドハイブリッド自動車及びプラグインハイブリッド自動車に分類される。マイルドハイブリッド自動車は、内燃機関で発生したエネルギーの一部を利用してバッテリーを充電するハイブリッド自動車であり、プラグインハイブリッド自動車は、外部の常用電源からのエネルギーを利用してバッテリーを充電するハイブリッド自動車である。
【0004】
純粋な電気自動車やプラグインハイブリッド自動車は、外部の常用電源からエネルギーを受けるため、入力端の電圧及び出力端の電圧の差が大きい。したがって、図9のように、変圧機(transformer)を使用した絶縁降圧型DC−DC変換器(insulated buck type DC−DC converter)を使用する。
【0005】
図9に示したように、前記絶縁降圧型DC−DC変換器は、高圧バッテリー102の端子に入力キャパシタ(Ci)が付着され、4つのスイッチング素子(Q1、Q2、Q3、Q4)がフルブリッジ(Full Bridge)形態に構成されるスイッチング素子部106の入力は高圧バッテリー102に連結され、スイッチング素子部106の出力は変圧機108の1次側端子に連結される。前記スイッチング素子部106の4つスイッチング素子を一対ずつ(Q1−Q2及びQ3−Q4)交互にターンオン及びターンオフして、高圧バッテリー102の電圧を交流電圧に変換し、この交流電圧を変圧機108によって減圧して、2次側コイルに低電圧がかかるようにする。
【0006】
変圧機108の2次側各コイルに発生する低電圧を整流した後、インダクタ(L)−キャパシタ(Co)によって平滑化して、電装バッテリー104に直流電圧が充電されるようにする。
【0007】
前記絶縁降圧型DC−DC変換器を制御する制御するデューティ比(D)は数1の通りである。
【数1】
ここで、VHIGHは高圧バッテリー102の電圧であり、VLOWは電装バッテリー122の電圧であり、N1は1次側コイルの巻線数であり、N2は2次側コイルの巻線数である。
【0008】
前記絶縁降圧型DC−DC変換器の場合、変圧機を使用するため、コアの損失によって効率が多少低いが、高圧側と低圧側との間が電気的に絶縁される長所がある。また、万が一、出力端の電圧が入力端の電圧より高くても、逆充電される現象は起こらない。
【0009】
マイルドハイブリッド車両では、充電装置の入力端の電圧及び出力端の電圧の差が大きくないので、変圧機を使用した絶縁型DC−DC変換器を使用せずに、図10に示された非絶縁降圧型DC−DC変換器が使用される。
【0010】
図10に示したように、エンジンで発生した電圧が保存されるスーパーキャパシタ120と電装バッテリー122との間には非絶縁降圧型DC−DC変換器124が配置されている。前記非絶縁降圧型DC−DC変換器124は、スイッチング素子126、インダクタ(L)132、キャパシタ(C)134、そして還流ダイオード(free−wheeling diode)130から構成される。
【0011】
非絶縁降圧型DC−DC変換器124は、所望の出力電圧を得るために、入力であるスーパーキャパシタ120の両端電圧(VHIGH)及び電装バッテリー122の両端電圧(VLOW)からデューティ比(Duty Ratio)を計算して、前記スイッチング素子126をデューティ比制御する。
【0012】
デューティ比制御とは、スイッチング周波数を固定して、一周期の波形でターンオンの比率を制御する方法である。非絶縁降圧型DC−DC変換器124のデューティ比(D)は数2の通りである。
【0013】
【数2】
【0014】
また、制御されるデューティ比の最小値をDminとし、負荷の等価インピーダンスをZL、スイッチング素子126に加えられる周波数をf、出力電圧をVo、脈動出力電圧をΔVoとすれば、回路に適用されるインダクタ132の最小の大きさLmin及びキャパシタ134の最小の大きさCminは数3の通りである。
【0015】
【数3】
【0016】
数式3から分かるように、インダクタ132の大きさはスイッチング周波数(f)に反比例し、キャパシタ134の大きさはスイッチング周波数(f)の自乗に反比例する。スイッチング周波数(f)が高ければ、インダクタ132及びキャパシタ134の大きさを小さくすることができるので、変換器の大きさを小さくすることができる。
【0017】
小型のDC−DC変換器を製作するために、スイッチング周波数を高くしなければならないので、IGBTよりはMOSFETをスイッチング素子として多く使用する。しかし、MOSFETは、高いスイッチング周波数を適用することができるが、高電圧及び高電流が流れる回路には適切でない。
【0018】
マイルドハイブリッド車両に使用されるDC−DC変換器において、スーパーキャパシタの電圧は低電圧(15V〜30V)であるが、高電流が流れる。したがって、1個のMOSFETで回路を構成することができないため、図11のように2個以上のスイッチング素子126を並列に接続して、電流容量を分担するように回路を構成する。
【0019】
マイルドハイブリッド車両の充電装置に使用されるスーパーキャパシタ120は、自己放電回路を備えていて、スーパーキャパシタ120に充電されたエネルギーが遅い速度で放電される。放電されたスーパーキャパシタ120は、車両が始動された後に発電モードでだけ充電が可能であるので、長時間車両を動かさない場合、スーパーキャパシタ120の充電電圧が持続的に低下する。
【0020】
スーパーキャパシタ120の充電電圧が電装バッテリー122の電圧より低くなる場合、非絶縁降圧型DC−DC変換器124のスイッチング素子126に付着されたボディーダイオード128を通して電装バッテリー122に充電されたエネルギーがスーパーキャパシタ120に逆充電される現象が発生する。
【0021】
特に、マイルドハイブリッド車両の電源システムの初期組立て時、スーパーキャパシタ120の充電電圧が3Vと最低状態であるため、電装バッテリー122との電圧差が最も大きくなる。したがって、電源システムの初期組立て時に、高電流が流れるようになる。つまり、図12に示したように、放電されたスーパーキャパシタを接続すると、電装バッテリーの電圧が低くなって、スーパーキャパシタの充電電圧が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特表2009−523002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は前記のような問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、スーパーキャパシタのエネルギーを電装バッテリーに充電する非絶縁降圧型DC−DC変換器において、スーパーキャパシタの放電によって電装バッテリーからDC−DC変換器を通してスーパーキャパシタが逆充電される現象を防止することができる、マイルドハイブリッド車両用充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の目的を実現するために、本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置は、エンジン、前記エンジンに連結されて、三相交流電力を発生させ、また、前記エンジンを始動させる複合起動発電機(ISG)、前記ISGで発生した三相交流電力を直流電力に変換し、また、前記直流電力を前記三相交流電力に変換して、前記ISGに伝達するインバータ、前記インバータから直流電力を受けて充電され、また、充電された前記直流電力を前記インバータに伝達するスーパーキャパシタ、前記スーパーキャパシタと共にインバータに連結し、インバータから直流電力を受けて電圧を降下させるDC−DC変換器、前記DC−DC変換器から直流電力を受けて充電される電装バッテリー、そして前記スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の経路に装着されて、前記電装バッテリーから前記スーパーキャパシタにエネルギーが逆流するのを防止するための逆充電防止装置、を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の第1実施形態によれば、前記DC−DC変換器は、回路を断続するスイッチング素子を含み、前記逆充電防止装置は、ボディーダイオードが除去された前記スイッチング素子であることを特徴とする。
【0026】
本発明の第2実施形態によれば、前記逆充電防止装置は、回路断続用トランジスタであることを特徴とする。
【0027】
前記回路断続用トランジスタは、ボディーダイオードがないIGBTまたは電力用トランジスタであることを特徴とする。
【0028】
本発明の第3実施形態によれば、前記逆充電防止装置は、リレーであることを特徴とする。
【0029】
本発明の第4実施形態によれば、前記逆充電防止装置は、前記スーパーキャパシタから電装バッテリーに向かって順方向バイアスされたダイオードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ボディーダイオードがないスイッチング素子を使用して、電装バッテリーからスーパーキャパシタに順方向バイアスされる経路をなくし、マイルドハイブリッド車両において、スーパーキャパシタの自己放電によって電装バッテリーがDC−DC変換器のボディーダイオードを通して逆充電される現象を防止することができる。
【0031】
また、ボディーダイオードがない回路断絶用トランジスタをスーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に挿入し、スーパーキャパシタ及び電装バッテリーの電圧の大きさを比較して、回路断絶用トランジイスを断続させることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0032】
また、リレーをスーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に挿入し、スーパーキャパシタ及び電装バッテリーの電圧の大きさを比較して、前記リレーを断続させることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0033】
また、スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に電流遮断用ダイオードを付着して、スーパーキャパシタの電圧が低くなれば、逆方向バイアスされることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置の概略図である。
【図2】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、エンジン始動時のエネルギーの流れを示した概略図である。
【図3】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、バッテリー充電時のエネルギーの流れを示した概略図である。
【図4】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第1実施形態である。
【図5】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第2実施形態である。
【図6】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第3実施形態である。
【図7】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第4実施形態である。
【図8】本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、逆充電を防止するための装置を装着する位置を示した概略図である。
【図9】絶縁降圧型DC−DC変換器を使用した従来の充電装置を示した概略図である。
【図10】非絶縁降圧型DC−DC変換器を使用した従来の充電装置を示した概略図である。
【図11】非絶縁降圧型DC−DC変換器を使用した従来の充電装置の他の例を示した概略図である。
【図12】非絶縁降圧型DC−DC変換器を使用した従来の充電装置において、逆充電が起こる場合のバッテリーの電圧、スーパーキャパシタの電圧、そしてスーパーキャパシタの電流を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
図1は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置の概略図であり、図2は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、エンジン始動時のエネルギーの流れを示した概略図であり、図3は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、バッテリー充電時のエネルギーの流れを示した概略図である。
【0037】
図1乃至図3に示したように、本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置は、エンジン10、複合起動発電機(Integrated Starter and Generator;ISG)20、PWMインバータ30、スーパーキャパシタ40、DC−DC変換器50、そして電装バッテリー60を含む。
【0038】
エンジン10は、自動車に適用可能な全ての種類のエンジンを使用することができ、例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、LPIエンジンなどを使用することができる。
【0039】
前記エンジン10のクランクシャフトにはメインプーリ12が装着されて、クランクシャフトと共に回転する。
【0040】
ISG20は、前記エンジン10と動力伝達手段で連結されている。本明細書では、前記動力伝達手段としてベルトを例示したが、これに限定されない。このような目的のために、前記ISG20には補助プーリ22が回転可能に装着され、前記補助プーリ22は、前記メインプーリ12とベルト14を通して作動的に連結されている。
【0041】
前記ISG20は、エンジン10が始動される時には始動モータとして作用し、エンジン10が駆動される時には発電機として作用して、電装バッテリー60を充電する。前記ISG20では三相交流電圧を発生させる。
【0042】
PWMインバータ30は、前記ISG20と電気的に連結されて、三相交流電圧の印加を受け、この三相交流電圧を直流電圧に変換する。また、エンジン10の始動時には、スーパーキャパシタ40に保存された直流電圧を三相交流電圧に変換して、前記ISG20に伝達する。
【0043】
前記PWMインバータ30の直流端にはスーパーキャパシタ40及びDC−DC変換器50が同時に連結されている。したがって、電装バッテリー60の充電時には、スーパーキャパシタ40及びDC−DC変換器50にDC電圧が印加される。
【0044】
DC−DC変換器50としては、非絶縁型降圧型DC−DC変換器が使用される。DC−DC変換器50の一側端子は前記PWMインバータ30に電気的に連結されて、高電圧がかかり、DC−DC変換器50の他側端子は電装バッテリー60に電気的に連結されて、低電圧が形成される。
【0045】
マイルドハイブリッド自動車が始動する時には、図2に示したように、スーパーキャパシタ40に保存されたエネルギーがPWMインバータ30を通してISG20に伝達される。そうすると、ISG20は、始動モータとして作動し、エンジン10をクランキングする。
【0046】
この時、DC−DC変換器50は、電装バッテリー60にエネルギーを充電しない。つまり、DC−DC変換器50及び三相PWMインバータ30は、電子制御装置(ECU)からCAN通信で命令値を受けて、始動のために必要な動作を行うようになる。
【0047】
エンジン10によってマイルドハイブリッド車両が走行すれば、図3に示したように、ISG20は発電する。ISG20で発生した三相交流電力は、PWMインバータ30によって直流電力に変換される。変換された直流電力は、スーパーキャパシタ40にエネルギーを保存すると同時に、DC−DC変換器50に入力される。
【0048】
DC−DC変換器50は、入力された電圧の大きさVHIGH及び電装バッテリー60の電圧に応じた制御信号のデューティ比(Duty Ratio)を計算して、DC−DC変換器50内のスイッチング素子に加える。
【0049】
DC−DC変換器50内のスイッチング素子の主機能は、制御信号によって回路をターンオン及びターンオフさせることである。制御回路、電圧、電流容量、スイッチング周波数によって使用されるスイッチング素子の種類が異なるが、代表的にMOSFET及びIGBTがスイッチング素子として多く使用される。
【0050】
インダクタを含む回路において、スイッチング素子をターンオフさせて回路を開放すると、瞬間的に電流が0になるため、インダクタの両端に非常に高電圧が発生する。この高電圧によって、インダクタをはじめとして他の素子が焼損される現象が発生するので、スイッチング素子によって回路が開放されても、インダクタ負荷が有するエネルギーを消耗させるための経路を確保しなければならない。
【0051】
このような目的のために、前記スイッチング素子の両端にボディーダイオードを付着した回路が一般的に適用される。スイッチング素子及びボディーダイオードは別途に製作されて組立てられるが、スイッチング素子を製作する時にボディーダイオードを並列に付着させた製品が市場に出ている。
【0052】
前記のように、前記ボディーダイオードによって電装バッテリー60に充電されたエネルギーがスーパーキャパシタ40に逆充電される場合が発生する。したがって、本発明の実施形態では、スーパーキャパシタ40が逆充電されるのを防止する。
図4は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第1実施形態である。
【0053】
図4に示したように、本発明の第1実施形態による非絶縁降圧型DC−DC変換器50は、スイッチング素子51、インダクタ(L)、キャパシタ(C)、そして還流ダイオード52を含む。この時、前記スイッチング素子51は、ボディーダイオードが除去されている。つまり、ボディーダイオードを通して電装バッテリー60のエネルギーがスーパーキャパシタ40に伝達されるのを防止する。したがって、スーパーキャパシタ40の逆充電が防止される。DC−DC変換器50の他の構成要素については、当業者に周知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0054】
スイッチング素子51として多く使用されるMOSFET及びIGBTは、大部分がボディーダイオードが内蔵されている。ボディーダイオードは、スイッチング素子51を製作する時に製造工程上で付随的に形成されるが、工程によってボディーダイオードをなくすこともできる。
【0055】
電装バッテリー60において、スーパーキャパシタ40に順方向経路を形成する素子は、スイッチング素子51の両端に付着されたボディーダイオードだけであるため、ボディーダイオードが形成されないようにスイッチング素子51を製作すればよい。
【0056】
MOSFETは、製造工程上で不純物の量を調節すれば、ボディーダイオードが形成されるのを防止したり、ボディーダイオードの抵抗成分を大きくすることができる。IGBTは、MOSFETよりボディーダイオードをなくす工程が容易で、容易にボディーダイオードを除去することができる。
【0057】
IGBTよりMOSFETのスイッチング周波数がはるかに高いため、高いスイッチング周波数を適用する回路ではMOSFETを使用する。MOSFETは、高電流を流すことができないため、IGBTよりは比較的小さい容量に適用され、電流容量を増大させるためにMOSFETを並列に接続した回路を適用する。MOSFETを並列に多く接続するほど、逆充電可能な経路が多くなる。したがって、ボディーダイオードがないMOSFETを降圧型DC−DC変換器50に適用すれば、電装バッテリー60からスーパーキャパシタ40方向に逆充電される現象をなくすことができる。
【0058】
IGBTは、MOSFETより容易にボディーダイオードをなくすことができるが、スイッチング周波数がMOSFETより低いため、小型の製品を製造するのが多少難しい。マイルドハイブリッド車両に使用されるDC−DC変換器50は、小型でなければならないため、スイッチング周波数が高いMOSFETを使用しなければならない。
【0059】
図5は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第2実施形態である。
【0060】
図5に示したように、本発明の第2実施形態によるDC−DC変換器50は、ボディーダイオード55を含むスイッチング素子51’を使用する。しかし、スーパーキャパシタ40とDC−DC変換器50との間にボディーダイオードがない回路断続用トランジスタ70が装着されている。
【0061】
前記回路断続用トランジスタ70としては、ボディーダイオードがないIGBTや電力用トランジスタ(Power BJT Transistor)を使用することができる。このような回路断続用トランジスタ70を使用するためには、電子制御装置(ECU)がスーパーキャパシタ40の電圧及び電装バッテリー60の電圧を検出し、電装バッテリー60の電圧がスーパーキャパシタ40の電圧より高ければ、回路断続用トランジスタ70をターンオフする。
【0062】
したがって、電装バッテリー60からスーパーキャパシタ40にエネルギーが移動する経路が遮断されて、スーパーキャパシタ40が逆充電されない。
【0063】
図6は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第3実施形態である。
【0064】
図6に示したように、本発明の第3実施形態によるDC−DC変換器50は、ボディーダイオード55を含むスイッチング素子51’を使用する。しかし、スーパーキャパシタ40とDC−DC変換器50との間にリレー80が装着されている。
【0065】
前記リレー80を使用するためには、電子制御装置(ECU)がスーパーキャパシタ40の電圧及び電装バッテリー60の電圧を検出し、電装バッテリー60の電圧がスーパーキャパシタ40の電圧より高ければ、前記リレー80をターンオフする。したがって、電装バッテリー60からスーパーキャパシタ40にエネルギーが移動する経路が遮断されて、スーパーキャパシタ40が逆充電されない。
【0066】
図7は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置に使用される非絶縁降圧型DC−DC変換器の第4実施形態である。
【0067】
図7に示したように、本発明の第4実施形態によるDC−DC変換器50は、ボディーダイオード55を含むスイッチング素子51’を使用する。しかし、スーパーキャパシタ40とDC−DC変換器50との間にスーパーキャパシタ40から電装バッテリー60に向かって順方向バイアスされたダイオード90が装着されている。このダイオード90によって、スーパーキャパシタ40から電装バッテリー60に向かっては電流が流れるが、電装バッテリー60からスーパーキャパシタ40に向かっては電流が流れない。したがって、スーパーキャパシタ40の逆充電が防止される。
【0068】
図8は本発明の実施形態によるマイルドハイブリッド車両用充電装置において、逆充電を防止するための装置を装着する位置を示した概略図である。
【0069】
図8に示したように、逆充電を防止するための装置(ボディーダイオードがないスイッチング素子51、回路断続用トランジスタ70、リレー80、そしてダイオード90)は、スーパーキャパシタ40及び電装バッテリー60を連結するいかなる位置91、92、93、94、95に装着されてもよい。
【0070】
例えば、逆充電を防止するための装置は、スーパーキャパシタ40とDC−DC変換器50との間の位置91、92、DC−DC変換器50内の位置93、またはDC−DC変換器50と電装バッテリー60との間の位置94、95に装着される。
【0071】
前記のように、本発明によれば、ボディーダイオードがないスイッチング素子を使用して、電装バッテリーからスーパーキャパシタに順方向バイアスされる経路をなくして、マイルドハイブリッド車両において、スーパーキャパシタの自己放電によって電装バッテリーがDC−DC変換器のボディーダイオードを通して逆充電される現象を防止することができる。
【0072】
また、ボディーダイオードがない回路断絶用トランジスタをスーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に挿入し、スーパーキャパシタ及び電装バッテリーの電圧の大きさを比較して、回路断絶用トランジスタを断続させることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0073】
また、リレーをスーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に挿入し、スーパーキャパシタ及び電装バッテリーの電圧の大きさを比較して、前記リレーを断続させることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0074】
また、スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の直列経路に電流遮断用ダイオードを付着して、スーパーキャパシタの電圧が低くなれば、逆方向バイアスされることによって、スーパーキャパシタが逆充電される現象をなくすことができる。
【0075】
以上で、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する当業者によって、本発明の技術的範囲内において容易に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、スーパーキャパシタの充電電圧がバッテリーの充電電圧より低い場合に、バッテリーの電圧がスーパーキャパシタを急速に逆充電するのを防止する、マイルドハイブリッド車両用充電装置の分野に適用できる。
【符号の説明】
【0077】
10 エンジン
20 複合起動発電機(ISG)
30 PWMインバータ
40 スーパーキャパシタ
50 DC−DC変換器
51、51’ スイッチング素子
52 還流ダイオード
55 ボディーダイオード
60 電装バッテリー
70 回路断続用トランジスタ
80 リレー
90 ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン、
前記エンジンに連結されて、三相交流電力を発生させ、また、前記エンジンを始動させる複合起動発電機(ISG)、
前記ISGで発生した三相交流電力を直流電力に変換し、また、前記直流電力を前記三相交流電力に変換して、前記ISGに伝達するインバータ、
前記インバータから直流電力を受けて充電され、また、充電された前記直流電力を前記インバータに伝達するスーパーキャパシタ、
前記スーパーキャパシタと共にインバータに連結し、インバータから直流電力を受けて電圧を降下させるDC−DC変換器、
前記DC−DC変換器から直流電力を受けて充電される電装バッテリー、そして
前記スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の経路に装着されて、前記電装バッテリーから前記スーパーキャパシタにエネルギーが逆流するのを防止するための逆充電防止装置、を含むことを特徴とするマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項2】
前記DC−DC変換器は、回路を断続するスイッチング素子を含み、前記逆充電防止装置は、ボディーダイオードが除去された前記スイッチング素子であることを特徴とする、請求項1に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項3】
前記逆充電防止装置は、回路断続用トランジスタであることを特徴とする、請求項1に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項4】
前記回路断続用トランジスタは、ボディーダイオードがないIGBTまたは電力用トランジスタであることを特徴とする、請求項3に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項5】
前記逆充電防止装置は、リレーであることを特徴とする、請求項1に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項6】
前記逆充電防止装置は、前記スーパーキャパシタから電装バッテリーに向かって順方向バイアスされたダイオードであることを特徴とする、請求項1に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項1】
エンジン、
前記エンジンに連結されて、三相交流電力を発生させ、また、前記エンジンを始動させる複合起動発電機(ISG)、
前記ISGで発生した三相交流電力を直流電力に変換し、また、前記直流電力を前記三相交流電力に変換して、前記ISGに伝達するインバータ、
前記インバータから直流電力を受けて充電され、また、充電された前記直流電力を前記インバータに伝達するスーパーキャパシタ、
前記スーパーキャパシタと共にインバータに連結し、インバータから直流電力を受けて電圧を降下させるDC−DC変換器、
前記DC−DC変換器から直流電力を受けて充電される電装バッテリー、そして
前記スーパーキャパシタと電装バッテリーとの間の経路に装着されて、前記電装バッテリーから前記スーパーキャパシタにエネルギーが逆流するのを防止するための逆充電防止装置、を含むことを特徴とするマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項2】
前記DC−DC変換器は、回路を断続するスイッチング素子を含み、前記逆充電防止装置は、ボディーダイオードが除去された前記スイッチング素子であることを特徴とする、請求項1に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項3】
前記逆充電防止装置は、回路断続用トランジスタであることを特徴とする、請求項1に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項4】
前記回路断続用トランジスタは、ボディーダイオードがないIGBTまたは電力用トランジスタであることを特徴とする、請求項3に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項5】
前記逆充電防止装置は、リレーであることを特徴とする、請求項1に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【請求項6】
前記逆充電防止装置は、前記スーパーキャパシタから電装バッテリーに向かって順方向バイアスされたダイオードであることを特徴とする、請求項1に記載のマイルドハイブリッド車両用充電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−125130(P2012−125130A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126507(P2011−126507)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(511137219)株式会社イージートロニクス (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(511137219)株式会社イージートロニクス (1)
【Fターム(参考)】
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