説明

マカ抽出物の製造方法

本発明は、長期にわたって摂取することができ、安全性に優れた抗アレルギー作用を有するマカ抽出物の効果的な抽出方法、さらには、得られた抽出物を応用した、抗アレルギー作用を有する飲食品、香粧品または医薬品に関する。本発明の抽出方法は、マカの粉砕物に、エタノール含有水溶液を加え、抽出液の温度が20〜75℃であり、エタノール含有水溶液におけるエタノールの濃度が20〜100容量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アブラナ科の植物から得られるマカ抽出物の抽出方法、および当該抽出物を含有する抗アレルギー作用を有する飲食品、香粧品または医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに種々の薬理活性を有する多くの化合物が合成され、各種疾患に対して効果的に適用される医薬が見出され、臨床的に使用されてきている。そのなかで、抗アレルギー剤に関しては、トラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム(以下、「DSCG」と略記する場合もある)など化学合成医薬品が登場し、また、アラキドン酸よりロイコトリエンを生成させる5−リポキシゲナーゼの阻害剤として、カフェー酸を多量に含むヨモギ抽出物などの植物抽出物が用いられてきている。
【0003】
しかしながら抗アレルギー剤は、一般的に眠気、口渇、胃腸障害などの副作用が発現する場合が多く、長期にわたって服用するにはその安全性が問題となる。また、他方、アレルギー性疾患の治療に寄与すると思われる食品素材も数多く探索されてきており、例えば甜茶の抽出物には抗アレルギー活性があることが知られており(特許文献1)、甜茶抽出物を含有するのど飴等が登場し、花粉症状を和らげるために飲用されている。
【0004】
ところで、マカ(Lepidium meyenii Walp)は、南米ペルーのアンデスの高地を原産とするアブラナ科の植物である。マカは地を這うように葉を広げて生育し、その根はカブのような形をしている。マカは、アンデス地方においてはほぼ2千年以上前から栽培されており、健康維持のための食品として食されてきた植物である。このマカの主成分は多糖類、たんぱく質等であり、また、アミノ酸が多く含まれており、特に、体内で合成できず、食品から摂取する必要のある必須アミノ酸がたくさん含まれている。その他にも、各種ビタミン(ビタミンB群、C、Eなど)やミネラル(カルシウム、鉄、亜鉛など)などが豊富に含まれており、ペルーでは、マカを用いた食品が何十品目にも及んでいる。そのなかでも、マカを入れたクッキーやジュース「CHICHA DE MACA」、マカ酒をはじめ、マカの粉末をヨーグルトにかけて食べたりするなど、健康維持用の食品として多くの人々に親しまれている植物である。
【0005】
マカの効能に関しては、古くからは活力再生、滋養強壮に効果があり、また抗癌作用や性機能改善作用を示す組成物が開示されている(特許文献2)。また、シカの枝角(antler)と組み合わせて用いることにより、ヒト中のテストステロン濃度を増加させる効果を有する組成物が示されている(特許文献3)。さらに、マカの抗炎症作用や抗アレルギー剤としての可能性が期待される旨の報告もある(非特許文献4)。
【特許文献1】特開平6−192114号公報
【特許文献2】アメリカ特許第6267995 B1公報
【特許文献3】特表2003−523945号公報
【非特許文献1】医学と生物学:Vol.145, No.6, p81-86, 2002.12.10
【0006】
最近になって、マカの様々な効能が注目され、マカの乾燥粉砕物あるいは抽出エキスを用いた飲食品が登場してきている。しかしながら、抗アレルギー作用に特に着目して、強力な抗アレルギー作用を有するマカの抽出物を、安全性の高い溶媒で効率良く抽出して得る方法については、殆ど検討がなされていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、長期にわたって摂取することができる、安全性に優れた抗アレルギー作用を有するマカ抽出物の効果的な抽出方法、さらには、得られた抽出物を応用した、抗アレルギー作用を有する飲食品、香粧品または医薬品を提供することを課題とする。
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、マカを抽出する際の条件によって、得られた抽出物の抗アレルギー作用の強さが大きく異なることを新規に見出し、特に、抽出溶媒としてエタノール含有水溶液を用いた場合には、抽出液のエタノール濃度および抽出溶媒の温度を特定の範囲とすることで、抗アレルギー作用の優れた抽出物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって本発明は、
(1)マカの粉砕物に、エタノール含有水溶液を加えて抽出するマカ抽出物の抽出方法において、抽出液の温度が20〜75℃であることを特徴とするマカ抽出物の抽出方法;
(2)エタノール含有水溶液におけるエタノールの濃度が20〜100容量%であることを特徴とする上記(1)に記載の抽出方法;
(3)マカ粉砕物1重量部に対し、エタノール含有水溶液を0.3〜500重量部使用することを特徴とする上記(1)に記載の抽出方法;
(4)マカの粉砕物が、水抽出残渣であることを特徴とする上記(1)ないし(3)に記載の抽出方法;
を提供する。
【0010】
また本発明は、
(5)上記した(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法により得られたマカ抽出物;
(6)上記(5)に記載のマカ抽出物を含む飲食品、香粧品または医薬品;
(7)上記(6)に記載のマカ抽出物を、乾燥重量換算で0.01〜99.5%含有する請求項5に記載の飲食品、香粧品または医薬品;
(8)抗アレルギー作用を有する上記(6)または(7)に記載の飲食品、香粧品または医薬品;
(9)上記(5)に記載のマカ抽出物を含有することを特徴とする、飲食品用、香粧品用または医薬品用の添加剤または配合剤;
(10)飴、トローチ、ガム、顆粒または錠剤である上記(8)に記載の飲食品、香粧品または医薬品;
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、強力な抗アレルギー作用を有し、経口的に服用することに適したマカ抽出物が提供される。さらに、当該マカ抽出物またはその乾燥品を含有させることによって、抗アレルギー作用を有する飲食品、香粧品または医薬品が提供され、また、それら飲食品、香粧品または医薬品を製造するために使用される添加剤または配合剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明方法により抽出物を得るための原料として用いるマカ(Lepidium meyenii Walp)は、南米の高地で自生または栽培されているアブラナ科の植物である。抽出用の原料として用いる部位は、全草、花、果実、種子、地下茎を含む茎、球根等のいずれの部位であってもよいが、なかでも、特に球根部を好適に用いることができる。これらの原料は、粉砕ないし切断したりして、小片状または粉状の粉砕品として抽出に供することができる。必要により乾燥処理を施すことができる。事前に水で抽出したマカを用いることもできる。
【0013】
マカについてその抽出物を得るために用いる抽出溶媒としては、種々の溶媒を挙げることができるが、抽出物が最終的には飲食品等に配合され、経口的に摂取される点を考慮すると、安全性の面からみて、水−エタノールの混合水溶液(エタノール含有水溶液)を用いることが好ましい。
【0014】
本発明者らの検討の結果、抽出溶媒として用いるエタノール含有水溶液において、エタノールの含有比率により得られる抽出物の抗アレルギー作用の強度が大きく異なることが判明した。したがって、この場合のエタノールと水の混合比率は、抗アレルギー作用の強い抽出物を得られる混合比とすることが肝要であり、具体的には、容積比でエタノールが20〜100%、なかでも45〜100%程度であることが望ましい。
また、抽出時の抽出溶媒の温度条件については、抗アレルギー作用の強い抽出物を得られる温度とすることが肝要であり、また、溶媒の沸点よりも低い温度とすることが操作の面から望ましい。具体的には、抽出時の抽出溶媒の温度として20〜75℃、なかでも40〜60℃程度とするのが望ましい。
【0015】
抽出に際してのマカと溶媒との混合比率は特に限定されるものではないが、マカ1重量部に対して溶剤を0.3〜5,000重量倍程度用いるのが好ましく、特に、抽出操作、抽出効率の点からみて、5〜100重量倍とするのが好ましい。
【0016】
抽出時間については、特に限定されない。従来の例では、数日〜数週間以上を要して抽出を行なっている例もあるが、本発明の特定のエタノール含有率に基づく抽出溶媒、特定の範囲の抽出温度を用いれば、1分から72時間の範囲、特に10分から5時間程度の抽出時間で十分である。
【0017】
なお、抽出溶媒として水(室温、熱水ともに)を用いて得られた抽出物には、抗アレルギー作用はほとんど認められていない。したがって、エタノール水溶液による抽出操作を行なう前に、前処理として、水を用いた抽出操作を行ない、抗アレルギー活性を示さない不純物を除去することもまた好ましいものである。
【0018】
かくして得られたマカ抽出物は、抽出操作の完了した抽出液そのまま、あるいは、抽出液の溶媒を除去した濃縮エキス、または抽出液を凍結乾燥あるいは風乾などの手段により乾燥させて得た乾燥粉末品として用いることができる。保存安定性や持ち運びが容易である点からみれば、抽出濃縮エキスまたは乾燥粉末品として用いることが好ましい。なお、本発明でいうマカ抽出物とは、これら抽出液、抽出濃縮エキスおよび乾燥粉末品を指す。
【0019】
本発明は、これらで得たマカ抽出物を含有する飲食品、香粧品および医薬品などを提供するものでもある。マカ自体は、古来よりペルーでは食品として用いられたものであり、本発明で使用するその抽出物には安全性の点での問題はない。したがって、本発明が提供する飲食品、香粧品および医薬品におけるマカ抽出物の配合量は、その効果、添加した際の製品の香り、色調等を考慮して、適宜その配合量を決定することができる。しかしながら、配合範囲として、マカ抽出物を乾燥重量で換算し、0.01〜99.9%、好ましくは0.01〜99.5%の濃度範囲とすることが望ましい。
【0020】
本発明が提供する飲食品としては、飴、トローチ、ガム、ヨーグルト、アイスクリーム、プディング、ゼリー、水ようかん、アルコール飲料、コーヒー飲料、ジュース、果汁飲料、炭酸飲料、清涼飲料水、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料等、種々のものをあげることができる。
【0021】
なお、これらの飲食品は、必要により各種添加剤を配合し、常法に従って調製することができる。具体的には、これらの飲食品を調製する場合には、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェノール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等、通常の食品原料として使用されているものを適宜配合して、常法に従って製造することができる。
【0022】
また、本発明が提供する香粧品とは、化粧品や香料製品と称される製品である。例えば、化粧水、化粧クリーム、乳液、ファンデーション、口紅、整髪料、ヘアトニック、育毛料、シャンプー、リンス、入浴剤といった非口中用の香粧品や、歯磨き類、洗口液、うがい薬、口腔香料といった口中用の香粧品に対して、マカ抽出物を適量含有させて、目的とする香粧品を調製することができる。
【0023】
これらの香粧品は、例えば、植物油等の油脂類、ラノリンやミツロウ等のロウ類、炭化水素類、脂肪酸、高級アルコール類、エステル類、種々の界面活性剤、色素、香料、ビタミン類、植物・動物抽出成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、防腐・殺菌剤等、通常の香粧品原料として使用されているものを適宜配合して、常法に従って得ることができる。
【0024】
さらにまた、本発明が提供する医薬品を調製する場合には、必要により各種添加剤を配合し、さらにマカ抽出物を適量含有させて、各種剤形の医薬品として調製することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、エキス剤等の経口医薬品として、あるいは、軟膏、眼軟膏、ローション、クリーム、貼付剤、坐剤、点眼薬、点鼻薬、注射剤といった非経口医薬品として、提供することができる。
【0025】
これらの医薬品は、各種添加剤を用いて常法に従って製造すればよい。使用する添加剤には特に制限はなく、通常用いられているものを使用することができるが、その例としてはデンプン、乳糖、白糖、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等の固形担体;蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール等のアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の液体担体;各種の動植物油、白色ワセリン、パラフィン、ロウ類等の油性担体等を挙げることができる。
【0026】
なお、本発明が提供するマカ抽出物は抗アレルギー作用を有するとともに、経口服用時の安全性にもすぐれていることから、飲食品、経口医薬品、口中用の香粧品として好適に用いることができる。
【0027】
マカ抽出物の1日あたりの使用量、投与量は特に制限されず、例えば、乾燥重量換算で0.01mgから10g程度とすることができるが、特に経口で顕著な抗アレルギー作用を期待する場合には、たとえば、乾燥重量換算で1mg〜1,000mgとするのが好ましい。
【0028】
本発明が提供するマカ抽出物を用いて飲食品、香粧品または医薬品を調製する場合には、他の抗炎症・抗アレルギー性の香粧品原料、例えば、天草抽出成分(特にグリチルリチン酸)、塩酸ジフェンヒドラミン、アズレン、dl−α−トコフェノールおよびその誘導体、ビタミンBおよびBなどと併用して用いることができる。
【0029】
さらにまた、本発明でいう、飲食品用、香粧品用または医薬品用の添加剤または配合剤とは、香料、色素、酸化防止剤などの、飲食品、香粧品または医薬品用として通常用いられる添加剤または配合剤に、マカ抽出物を混合したものをいう。その混合比率は、目的に応じ適宜設定すればよい。なおここで用いる飲食品、香粧品または医薬品用の添加剤または配合剤としては、上述の各種添加剤が挙げられる。
[試験方法]
【0030】
本発明が提供するマカ抽出物の抗アレルギー作用は、肥満細胞からヒスタミンの遊離を抑制する作用を指標として、評価することができる。
その具体的試験方法を以下に示す。
肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用
平井裕子らの方法(生薬学雑誌、37巻、374-380、1983)に準じた。すなわち、脱血致死させたウイスター系ラットの腹腔内にタイロード(Tyrode)液を注入して採取した腹腔細胞から、牛血清アルブミン(BSA)−生理食塩水(比重:1.068)を用いる重層遠心法により肥満細胞を単離した。得られた細胞は2×10個/mLとなるように0.1%BSA含有タイロード液に懸濁し、細胞浮遊液を調製した。試料溶液10μLに細胞浮遊液10μLを加えて37℃にて10分間放置した後、脱顆粒誘発剤としてコンパウンド48/80(5μg/mL)20μLを加えて、37℃にて10分間反応させた。その後、いったん氷冷し、遠心分離(150g×5分)した上清中に遊離されたヒスタミン量を、蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0031】
ヒスタミン遊離抑制活性は次式により算出した。
ヒスタミン遊離抑制率(%)=100×[1−(SR−C)/(R−C)]
ここで、
C:対照の細胞から遊離されるヒスタミン量
R:誘発剤を加えたときに細胞から遊離されるヒスタミン量
SR:試料を共存させて誘発剤を加えたときに細胞から遊離されるヒスタミン量
である。
【実施例】
【0032】
以下に実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1各種マカ抽出物の製造
最初に、マカの抽出条件(抽出温度、エタノール濃度)が、得られたマカ抽出物の抗アレルギー作用に及ぼす影響を検討した。
マカ10gを300mLの三角フラスコにいれ、下記表1に示す各種エタノール濃度の水溶液100mLを加え、表1に示す温度条件にて3時間抽出を行った。このうち、発明品10および発明品11についてはマカをあらかじめ50℃で1時間の水抽出を行い、その残渣のマカを用いた。
以上により得られた抽出液を濾過し、濾液を凍結乾燥し、本発明品1〜4を得た。得られたそれぞれの発明品を0.25mg/mL溶液とし、上述した肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用を評価した。
一方、抽出条件(抽出温度、エタノール濃度)を変えた以外は発明品と同様の操作を行なって得た対象品1〜4について、上述の肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用を評価した。
その結果を併せて表1に示した。
【0033】
【表1】

【0034】
上記した表中に示した結果からも判明するように、抽出溶媒のエタノール濃度を20〜100%とし、抽出温度を20〜75℃の範囲で得た発明品1〜9のヒスタミン遊離抑制作用は、対照品1〜3に比較していずれも強いものであった。また、予めマカを水抽出して処理して得たマカ残渣を原料とした発明品10および11についても同様であった。
【0035】
なかでも、抽出溶液の抽出温度を60℃とし、エタノール濃度を45〜100%として得た発明品2〜5や、抽出溶媒の抽出温度を40℃とし、エタノール濃度を60%として得た発明品6については、ヒスタミンの遊離抑制活性は56〜83%であり、強い抗アレルギー作用を示していた。これは同じ試験系で評価したDSCG(0.1mg/mL)のヒスタミン遊離抑制作用(50%)に比較して強いものであった。
【0036】
以上より、抽出溶媒を比較的高温とし、かつ、エタノール濃度を高いものとした抽出溶媒でマカを抽出することにより、抗アレルギー活性の高いマカ抽出物が得られることが判明した。
【0037】
これらのマカ抽出物は、非常に強い抗アレルギー作用を有するものであり、かつ、抽出溶媒として安全性のあるエタノール水溶液を用いたものであることから、得られたマカ抽出物は、飲食品、経口医薬品、口中用の香粧品として利用可能である。
【0038】
製造例1マカ抽出物を含有する医薬品
錠剤:
以下に示す方法により、マカ抽出物を含有する医薬品(錠剤)を製造した。
マカの乾燥粉砕物3kgをステンレス容器に入れ、これにエタノール濃度が99容量%の水溶液30L加え、60℃にて3時間攪拌した。溶液を濾過して採取し、得られた抽出液から溶媒を除去し、180gのマカ抽出物を得た。
このマカ抽出物66.7gを、乳糖232.0gおよびステアリン酸マグネシウム1.3gとともに混合し、単発式打錠機にて打錠することにより、直径10mm、重量300mgの錠剤を製造した。
【0039】
顆粒剤:
上記した製造例と同様の方法で得られたマカ抽出物99.5gに、ステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、圧縮、粉砕、整粒し、篩別して20〜50メッシュの顆粒剤を得た。
【0040】
製造例2マカ抽出物を含有する各種飲食物
以下に示す組成にて、マカ抽出物入りの、各種飲食品を製造した。
飴:
(組成) (重量部)
粉末ソルビトール 99.7
香料 0.2
マカ抽出物 0.05
ソルビトールシード 0.05
全量 100.00
【0041】
キャンデー:
(組成) (重量部)
砂糖 47.0
水飴 49.76
香料 1.0
水 2.0
マカ抽出物 0.24
全量 100.00
【0042】
トローチ:
(組成) (重量部)
アラビアゴム 6.0
ブドウ糖 73.0
マカ抽出物 0.05
リン酸第二カリウム 0.2
リン酸第一カリウム 0.1
乳糖 17.0
香料 0.1
ステアリン酸マグネシウム 3.55
全量 100.00
【0043】
ガム:
(組成) (重量部)
ガムベース 20.0
炭酸カルシウム 2.0
ステビオサイド 0.1
マカ抽出物 0.05
乳糖 76.85
香料 1.0
全量 100.00
【0044】
キャラメル:
(組成) (重量部)
グラニュー糖 32.0
水飴 20.0
粉乳 40.0
硬化油 4.0
食塩 0.6
香料 0.02
水 3.22
マカ抽出物 0.16
全量 100.00
【0045】
ゼリー(コーヒーゼリー):
(組成) (重量部)
グラニュー糖 15.0
ゼラチン 1.0
コーヒーエキス 5.0
水 78.93
マカ抽出物 0.07
全量 100.00
【0046】
アイスクリーム:
(組成) (重量部)
生クリーム(45%脂肪) 33.8
脱脂粉乳 11.0
グラニュー糖 14.8
加糖卵黄 0.3
バニラエッセンス 0.1
水 39.93
マカ抽出物 0.07
全量 100.00
【0047】
カスタードプリン:
(組成) (重量部)
牛乳 47.51
全卵 31.9
上白糖 17.1
水 3.4
マカ抽出物 0.09
全量 100.00
【0048】
水ようかん:
(組成) (重量部)
赤生あん 24.8
粉末寒天 0.3
食塩 0.1
上白糖 24.9
マカ抽出物 0.1
水 49.8
全量 100.0
【0049】
ジュース:
(組成) (重量部)
冷凍濃縮温州みかん果汁 5.0
果糖ブドウ糖液糖 11.0
クエン酸 0.2
L−アスコルビン酸 0.02
マカ抽出物 0.05
香料 0.2
色素 0.1
水 83.43
全量 100.00
【0050】
炭酸飲料:
(組成) (重量部)
グラニュー糖 8.0
濃縮レモン果汁 1.0
L−アスコルビン酸 0.10
クエン酸 0.09
クエン酸ナトリウム 0.05
着色料 0.05
香料 0.15
炭酸水 90.55
マカ抽出物 0.01
全量 100.00
【0051】
乳酸菌飲料:
(組成) (重量部)
乳固形分21%発酵乳 14.76
果糖ブドウ糖液糖 13.31
ペクチン 0.5
クエン酸 0.08
香料 0.15
水 71.14
マカ抽出物 0.06
全量 100.00
【0052】
コーヒー飲料:
(組成) (重量部)
グラニュー糖 8.0
脱脂粉乳 5.0
カラメル 0.2
コーヒー抽出物 2.0
香料 0.1
ポリグリセリン脂肪酸エステル 0.05
食塩 0.05
水 84.56
マカ抽出物 0.04
全量 100.00
【0053】
アルコール飲料:
(組成) (重量部)
50容量%エタノール 32.0
砂糖 8.4
果汁 2.4
マカ抽出物 0.2
精製水 57.0
全量 100.0
【0054】
製造例3マカ抽出物を含有する各種香粧品
以下に示す組成にて、マカ抽出物入りの、各種香粧品を製造した。
歯磨剤:
(組成) (重量部)
第二リン酸カルシウム 42.0
グリセリン 18.0
カラギーナン 0.9
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2
サッカリンナトリウム 0.09
パラオキシ安息香酸ブチル 0.005
マカ抽出物 0.05
香料 1.0
水 36.755
全量 100.00
【0055】
洗口液:
(組成) (重量部)
ラウリル硫酸ナトリウム 0.8
グリセリン 7.0
ソルビトール 5.0
エチルアルコール 15.0
マカ抽出物 0.05
l−メントール 0.05
香料 0.04
サッカリンナトリウム 0.1
水 71.96
全量 100.00
【0056】
柔軟香粧品(弱酸性):
(組成) (重量部)
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 4.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
マカ抽出物 0.05
ポリオキシエチレンソルビタン
モノラウリン酸エステル(20EO) 1.5
ポリオキシエチレンラウリル
エーテル(20EO) 0.5
エタノール 10.0
香料 0.1
染料 微量
防腐剤 微量
紫外線吸収剤 微量
精製水 78.75
全量 100.00
【0057】
エモリエントクリーム:
(組成) (重量部)
ミツロウ 2.0
ステアリルアルコール 5.0
ステアリン酸 8.0
スクアラン 10.0
自己乳化型プロピレングリコール
モノステアレート 3.0
ポリオキシエチレンセチル
エーテル(20EO) 1.0
香料 0.5
酸化防止剤 微量
防腐剤 微量
プロピレングリコール 4.8
グリセリン 3.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
マカ抽出物 0.1
トリエタノールアミン 1.0
精製水 61.5
全量 100.0
【0058】
エモリエントローション:
(組成) (重量部)
ステアリン酸 2.0
セタノール 1.5
ワセリン 3.0
ラノリンアルコール 2.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレンモノ
オレイン酸エステル(10EO) 2.0
香料 0.5
酸化防止剤 微量
防腐剤 微量
プロピレングリコール 4.8
グリセリン 3.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
マカ抽出物 0.1
トリエタノールアミン 1.0
精製水 70.0
全量 100.0
【0059】
乳液状ファンデーション:
(組成) (重量部)
ステアリン酸 2.4
モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0
セトステアリルアルコール 0.2
液状ラノリン 2.0
流動パラフィン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.5
パラオキシ安息香酸プロピル 微量
精製水 64.1
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ベントナイト 0.5
プロピレングリコール 3.8
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
マカ抽出物 0.1
トリエタノールアミン 1.1
パラオキシ安息香酸メチル 微量
酸化チタン 8.0
タルク 4.0
着色含量 微量
香料 微量
全量 100.0
【0060】
育毛ヘアトニック:
(組成) (重量部)
エタノール 70.0
センブリエキス 0.2
ビタミンE 0.2
l−メントール 0.4
グリチルリチン 0.1
マカ抽出物 0.1
サリチル酸 0.5
グリセリン 0.5
香料 微量
精製水 28.0
全量 100.0
【0061】
シャンプー:
(組成) (重量部)
アルキルエーテル硫酸ナトリウム 16.0
ラウリン酸ジエタノールアミド 4.0
プロピレングリコール 1.9
マカ抽出物 0.1
防腐剤 微量
色素 微量
香料 微量
精製水 78.0
全量 100.0
【0062】
リンス:
(組成) (重量部)
塩化ステアリルジメチル 1.4
ベンジルアンモニウムステアリルアルコール 0.6
グリセリンモノステアレート 1.5
食塩 0.1
マカ抽出物 0.1
精製水 96.3
全量 100.0
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上記載したように、本発明の抽出方法により、強力な抗アレルギー作用を有するマカ抽出物が提供される。得られたマカ抽出物は、強力な抗アレルギー活性を有していることから、これを含有する飲食品、香粧品または医薬品は、アレルギー疾患を有する患者にとって極めて効果的なものであり、日常生活におけるアレルギー症状の発現を抑制しうる点で、その産業上の貢献度は多大なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マカの粉砕物に、エタノール含有水溶液を加えて抽出するマカ抽出物の抽出方法において、抽出液の温度が20〜75℃であることを特徴とするマカ抽出物の抽出方法。
【請求項2】
エタノール含有水溶液におけるエタノールの濃度が20〜100容量%であることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項3】
マカの粉砕物1重量部に対し、エタノール含有水溶液を0.3〜500重量部使用することを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項4】
マカの粉砕物が、水抽出残渣であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の抽出方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法により得られたマカ抽出物。
【請求項6】
請求項5に記載のマカ抽出物を含む飲食品、香粧品または医薬品。
【請求項7】
請求項5に記載のマカ抽出物を、乾燥重量換算で0.01〜99.5%含有する請求項6に記載の飲食品、香粧品または医薬品。
【請求項8】
抗アレルギー作用を有する請求項6または7に記載の飲食品、香粧品または医薬品。
【請求項9】
請求項5に記載のマカ抽出物を含有することを特徴とする、飲食品用、香粧品用または医薬品用の添加剤または配合剤。
【請求項10】
飴、トローチ、ガム、顆粒または錠剤である請求項8に記載の飲食品、香粧品または医薬品。

【国際公開番号】WO2005/072684
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【発行日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517506(P2005−517506)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001201
【国際出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】