説明

マクロモノマー混合物、末端反応性ポリマー混合物、マクロモノマーのための中間体、及びシリコーンヒドロゲル

高重合した親水性マクロモノマーであり、重合後、ポリマー鎖に結合されていない構成成分をほとんど有さず、かつ浸出の可能性がより低い、親水性マクロモノマー混合物を得ること。重合可能な基を、その末端部において重合開始剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーである、マクロモノマーAと、重合可能な基を、その末端部において連鎖移動剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーである、マクロモノマーBと、を含有するマクロモノマー混合物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年12月22日に出願された米国特許出願第12/975,509号、及び2009年12月28日に出願された日本特許第2009−296803号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、高度官能化マクロモノマー混合物、末端反応性ポリマー混合物、マクロモノマーのための中間体、及びシリコーンヒドロゲルに関する。マクロモノマー混合物は、良好な湿潤性を示し、ポリマー鎖に結合されていない構成成分をほとんど有さず、かつ浸出の可能性がより低く、そのためそれは、眼鏡レンズ、内視鏡、カテーテル、輸血管、ガス移動管、ステント、シース、カフ、管コネクタ、アクセスポート、排液バッグ、血液回路、創傷被覆材、及び種々のタイプの薬品担体、とりわけ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、及び人工角膜のような医療機器において好適に使用される。
【0003】
継続的な着用に使用される材料として、近年では、シリコーンヒドロゲル材料を用いるコンタクトレンズが知られている。シリコーンは、疎水性であることから、表面に湿潤性を与えるために、これまでに多くの考案が提案されている。それらのうちの1つとして、親水性マクロモノマーをモノマー混合物に添加して、それを他のモノマーと共重合させる方法が知られている(特許文献1)。親水性マクロモノマーの合成方法として、官能基を有する連鎖移動剤を含有する親水性モノマーの重合後、重合可能な官能基を有する化合物を官能基と反応させて、親水性マクロモノマーを得る方法が知られている。しかしながら、この方法によって得られる親水性マクロモノマーは、官能基を有さない重合開始剤断片を有する親水性ポリマーを含有する。故に、重合可能な基を導入しようとするとき、官能基を有さず、その中に重合可能な基が導入され得ないようなポリマー鎖が含有され、モノマー混合物との共重合において使用する場合、親水性ポリマーの浸出が生じるという問題が存在している。結果として生じるコポリマーの湿潤性が不十分であるという問題も存在している。
【0004】
先行技術文献
特許文献
特許文献1:米国特許公開第2008/0003252号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、分子中に官能基を有する重合開始剤及び分子中に官能基を有する連鎖移動剤を同時に用いて、親水性ポリマーを重合させ、次いで重合可能な基を官能基に導入することによって得られる、高重合した親水性マクロモノマーを提供することを目標とする。本発明の親水性マクロモノマーの共重合によって得られるポリマーは、良好な湿潤性を示し、ポリマー鎖に結合されていない構成成分をほとんど有さず、かつ浸出の可能性がより低く、そのためそれは、コンタクトレンズ、眼内レンズ、及び人工角膜のような眼鏡レンズの原料として好適である。
【0006】
上述の目標を達成するために、本発明は、次の構成物を有する。即ち、
(1)重合可能な基を、その末端部において重合開始剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーであるマクロモノマーAと、重合可能な基を、その末端部において連鎖移動剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーである、マクロモノマーBと、を含有するマクロモノマー混合物、
(2)次の一般式(I):
[化学構造1]
〜〜〜〜〜I−RG−PG (I)
によって表現される少なくとも1種類のマクロモノマーAと、
次の一般式(II):
[化学構造2]
〜〜〜〜〜CTA−RG−PG (II)
によって表現される少なくとも1種類のマクロモノマーBと、を含有し、
式中、−−−−−が、マクロモノマー骨格鎖を表し、I−RGが、重合開始剤に由来する基を表し、CTA−RGが、連鎖移動剤に由来する基を表し、RGが、重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤に由来する反応基を表し、PGが、少なくとも1個の重合可能な基を有する基を表す、(1)のマクロモノマー混合物、
(3)重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤に由来する反応基が各々独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種類の官能基である、(1)又は(2)のマクロモノマー混合物、
(4)次の一般式(i1)〜(i5):
【化1】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のマクロモノマーAと、
次の一般式(c1)、(c2)、及び(c3):
【化2】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のマクロモノマーBと、を含み、
式中、R〜Rが、次の一般式(m):
【化3】

によって表現されるモノマーが重合性を有するようなモノマーになることができる基を表し、
式中、R及びRが、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はAを表し、R〜Rが、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はAを表すが、(i1)〜(i5)が各々、少なくとも1つのAを有することを条件とし、R〜Rが、一緒に環を形成し得、R10及びR11が、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表し、かつ一緒に環を形成し得、A及びAが各々独立して、ラジカル重合可能な官能基を有する1〜20個の炭素原子を有する基である、マクロモノマー混合物、
(5)式中、A及びAが各々、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルからなる群から選択されるラジカル重合可能な官能基を有する基である、(4)のマクロモノマー混合物、
(6)式中、A及びAが各々、次の式(a1)〜(a5):
【化4】

によって表現される構造から選択される重合可能な基であり、
式中、Rが、H又はメチルを表し、Xが、O又はNHを表し、L及びLが、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表す、(4)のマクロモノマー混合物、
(7)一般式(m)によって表現されるモノマーが有する重合可能な基が、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルから選択される少なくとも1種類である、(4)のマクロモノマー混合物、
(8)一般式(m)によって表現されるモノマーが、親水性モノマーである、(4)のマクロモノマー混合物、
(9)一般式(m)によって表現されるモノマーが、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選択されるモノマーである、(4)〜(6)のうちのいずれか1つのマクロモノマー混合物、
(10)分子中にヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する重合開始剤、並びに分子中にヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する連鎖移動剤を用いた、親水性モノマーのラジカル重合後、ラジカル重合可能な官能基を有する化合物が、結果として生じるポリマー混合物と反応させられる、(1)〜(9)のうちのいずれか1つのマクロモノマー混合物の生成方法、
(11)重合開始剤が、次の式(j1)〜(j4):
【化5】

のうちのいずれか1つによって表現される重合開始剤である、(10)のマクロモノマー混合物の生成方法、
(12)連鎖移動剤が、次の一般式(d1)〜(d5):
【化6】

のうちのいずれか1つによって表現される連鎖移動剤であり、
式中、Lが、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表し、R10及びR11が、1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表す、(10)のマクロモノマー混合物の生成方法、
(13)重合開始剤に由来する反応基を有するポリマーxと、連鎖移動剤に由来する反応基を有するポリマーyと、を含む、末端反応性ポリマー混合物、
(14)次の一般式(III):
[化学構造9]
〜〜〜〜〜I−RG (III)
によって表現される少なくとも1種類のポリマーxと、
次の一般式(IV):
[化学構造10]
〜〜〜〜〜CTA−RG (IV)
によって表現される少なくとも1種類のポリマーyと、を含み、
式中、−−−−−が、マクロモノマー骨格鎖を表し、I−RGが、重合開始剤に由来する基を表し、CTA−RGが、連鎖移動剤に由来する基を表し、RGが、重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤に由来する反応基を表す、(13)の末端反応性ポリマー混合物、
(15)重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤に由来する反応基が各々独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種類の官能基である、(13)又は(14)の末端反応性ポリマー混合物、
(16)次の一般式(x1)〜(x5):
【化7】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のポリマーxと、
次の一般式(y1)〜(y3):
【化8】

によって表現される構造を有する少なくとも1種類のポリマーyと、を含み、
式中、R〜Rが、次の一般式(m):
【化9】

によって表現されるモノマーが重合性を有するようなモノマーになることができる基を表し、
式中、R12及びR13が、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はBを表し、R14〜R16が、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はBを表すが、(x1)〜(x5)が各々、少なくとも1つのBを有することを条件とし、R12〜R16が、一緒に環を形成し得、R10及びR11が、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表し、かつ一緒に環を形成し得、B及びBが各々独立して、反応基を有する1〜20個の炭素原子を有する基である、末端反応性ポリマー混合物、
(17)(13)〜(16)のうちのいずれか1つの末端反応性ポリマー混合物からなる、マクロモノマーのための中間体、並びに
(18)少なくとも1種類のシリコーンモノマーを、(1)〜(9)のうちのいずれか1つのマクロモノマー混合物を含有する少なくとも1種類のモノマー混合物と共重合させることによって得られる、シリコーンヒドロゲル。
【0007】
本発明に従って、高度官能化され、かつ主鎖に結合されていない構成成分をほとんど有さず、湿潤性低下及び浸出の発生に至ることがほとんどない、マクロモノマー混合物を得ることが可能である。マクロモノマー混合物は、種々のタイプの医療機器、特にコンタクトレンズ、眼内レンズ、及び人工角膜において好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例4における重合可能な官能基の導入前の、ポリマーのMALDI−MSチャート。
【図2】比較実施例1におけるポリマーのMALDI−MSチャート。
【図3】実施例14におけるポリマーのMALDI−MSチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のマクロモノマー混合物は、重合可能な基を、その末端部において重合開始剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーである、マクロモノマーAと、重合可能な基を、その末端部において連鎖移動剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーである、マクロモノマーBと、を含有することを特徴とする。
【0010】
重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤に由来する反応基の好適な例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物が挙げられる。これらの中でも、反応性が高く、重合可能な基の導入が増大され得るという観点から、ヒドロキシ基及びアミノ基が好ましい。
【0011】
本発明のマクロモノマー混合物の別の好ましい態様としては、次の一般式(I):
[化学構造14]
〜〜〜〜〜I−RG−PG (I)
によって表現される少なくとも1種類のマクロモノマーAと、
次の一般式(II):
[化学構造15]
〜〜〜〜〜CTA−RG−PG (II)
によって表現される少なくとも1種類のマクロモノマーBと、を含有することを特徴とする、マクロモノマー混合物が挙げられる。
【0012】
一般式(I)又は(II)において、−−−−−は、マクロモノマー骨格鎖を表す。マクロモノマー骨格鎖は、ラジカル重合可能なモノマーの重合によって得られるポリマーからなる。そのようなモノマーの重合可能な基としては、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルからなる群から選択されるラジカル重合可能な官能基を有する置換基が好ましい。これらの中でも、得られるポリマーの物理的性質の観点から、アクリロイル及びビニルがより好ましく、アクリロイルが最も好ましい。
【0013】
マクロモノマー骨格鎖において使用されるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン、N−ビニルカルボン酸アミド、環式N−ビニルピリジン、及びN−ビニルイミダゾールが好ましい。追加的に、本発明において、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルを表す。
【0014】
マクロモノマー骨格鎖において使用されるモノマーがシリコーンモノマーである場合の好適な例としては、3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ−メタクリロイルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及び次の式(s1)〜(s3):
【化10】

によって表現されるシリコーンモノマーが挙げられる。
【0015】
マクロモノマー骨格鎖において使用されるモノマーは、好ましくは親水性モノマーであり、この場合、好適な例としては、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、
N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、
N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、
N−ビニル−4、5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニルイミダゾール、酢酸ビニル(重合後、それは、加水分解によってポリビニルアルコールになる)、アクリロイルモルホリン、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、得られるマクロモノマー混合物の親水性と溶解度との間の平衡の観点から、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び酢酸ビニル(重合後、それは、加水分解によってポリビニルアルコールになる)が好ましい。
【0016】
本発明のマクロモノマー混合物に含有されるマクロモノマーは、マクロモノマー骨格鎖において使用される複数個の種類のモノマーを用いて共重合させられたポリマーであってもよい。
【0017】
一般式(I)において、I−RGは、重合開始剤に由来する基を表す。ここで、重合開始剤に由来する基は、重合開始剤の構造の少なくとも一部からなる基を意味する。
【0018】
一般式(II)において、CTA−RGは、連鎖移動剤に由来する基を表す。ここで、連鎖移動剤に由来する基は、連鎖移動剤の構造の少なくとも一部からなる基を意味する。
【0019】
一般式(I)又は(II)において、RGは、重合開始剤に由来する反応基、及び連鎖移動剤に由来する反応基を表す。RGの好適な例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物が挙げられる。これらの中でも、反応性が高く、重合可能な基の導入が増大され得るという観点から、ヒドロキシ基及びアミノ基が好ましい。
【0020】
一般式(I)又は(II)において、PGは、重合可能な基を表す。ここで、重合可能な基は、ラジカル重合可能な官能基を有する1〜20個の炭素原子を有する基を表す。ラジカル重合可能な官能基の好適な例としては、(メタ)アクリロイル、スチリル、ビニルなどが挙げられる。これらの中でも、得られるマクロモノマー混合物の重合性の観点から、(メタ)アクリロイルが最も好ましい。更に、特異的構造として、次の一般式(b1)〜(b6):
【化11】

によって表現される置換基が挙げられる。
【0021】
一般式(b1)〜(b6)において、Rは、H又はメチルを表す。
【0022】
一般式(b1)〜(b6)において、Xは、0又はNHを表す。
【0023】
一般式(b1)〜(b6)において、Lは、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表す。それは、より好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキレン及びアリーレンである。好適な例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、オクチレン、デシレン、フェニレンなどが挙げられる。アルキレン及びアリーレンは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、メチレン、エチレン、プロピレン、及びブチレンがより好ましく、エチレンが最も好ましい。
【0024】
一般式(b6)において、Rは、水素、又は1〜20個の炭素原子を有する置換基を表す。それは、より好ましくは水素、又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル若しくはアリールである。好適な例としては、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチルなどが挙げられる。アルキルは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチルがより好ましく、水素及びメチルが最も好ましい。
【0025】
本発明のマクロモノマー混合物の別の好ましい態様として、次の一般式(i1)〜(i5):
【化12】

からなる群から選択される構造を有するマクロモノマーAと、
次の一般式(c1)〜(c3):
【化13】

からなる群から選択される構造を有するマクロモノマーBと、を含有することを特徴とする、マクロモノマー混合物が挙げられる。
【0026】
一般式(i1)〜(i5)及び(c1)〜(c3)において、R〜R及び次の一般式(m)によって表現されるモノマーは、(x1)〜(x5)及び(y1)〜(y3):
【化14】

の場合においてと同じである。
【0027】
一般式(i1)〜(i5)において、R及びRは、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はAを表す。R及びRが1〜20個の炭素原子を有するアルキルである場合の好適な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、イコシルなどが挙げられる。アルキルは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチルがより好ましく、メチルが最も好ましい。
【0028】
一般式(i1)〜(i5)において、Aは、ラジカル重合可能な官能基を有する置換基である、1〜20個の炭素原子を有する置換基である。ラジカル重合可能な官能基の好適な例として、(メタ)アクリロイル、スチリル、ビニルなどが挙げられ、これらの中でも、得られるマクロモノマー混合物の重合性の観点から、(メタ)アクリロイルが最も好ましい。更に、特異的構造として、次の一般式(a1)〜(a5):
【化15】

によって表現される置換基が挙げられる。
【0029】
一般式(a1)〜(a5)において、Rは、H又はメチルを表す。
【0030】
一般式(a1)〜(a5)において、Xは、0又はHを表す。
【0031】
一般式(a1)〜(a5)において、L及びLは、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表す。それは、より好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキレン及びアリーレンである。好適な例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、オクチレン、デシレン、フェニレンなどが挙げられる。アルキレン及びアリーレンは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、メチレン、エチレン、プロピレン、及びブチレンが好ましく、エチレンが最も好ましい。
【0032】
一般式(i2)〜(i5)において、R〜Rは、H又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はAを表す。この点では、(i1)〜(i5)は各々、少なくとも1つのAを有するモノマーである。R〜RがH又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルである場合の好適な例としては、H、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、イコシルなどが挙げられる。アルキルは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチルよりが好ましく、H、メチル、及びn−ブチルが最も好ましい。
【0033】
一般式(i2)〜(i5)において、R〜Rは、一緒に環を形成し得る。好適な例としては、−R−R−が、エチレン、プロピレン、又はブチレンである場合が挙げられる。これらの中でも、形成される環の安定性の観点から、−R−R−がエチレンである場合が最も好ましい。
【0034】
一般式(c2)において、R10及びR11は、一般式(y2)の場合においてと同じである。
【0035】
一般式(c1)〜(c3)において、Aは、ラジカル重合可能な官能基を有する置換基である、1〜20個の炭素原子を有する置換基を表す。Aにおけるラジカル重合可能な官能基の好適な例としてとしては、(メタ)アクリロイル、スチリル、及びビニルが挙げられ、これらの中でも、得られるマクロモノマー混合物の重合性の観点から、(メタ)アクリロイルが最も好ましい。より具体的な例としては、次の一般式(a1)〜(a5):
【化16】

によって表現される構造が挙げられる。
【0036】
一般式(a1)〜(a5)において、Rは、H又はメチルを表す。
【0037】
一般式(a1)〜(a5)において、Xは、0又はNHを表す。
【0038】
一般式(a1)〜(a5)において、L及びLは、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表す。それは、より好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキレン及びアリーレンである。好適な例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、オクチレン、デシレン、フェニレンなどが挙げられる。アルキレン及びアリーレンは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。
【0039】
本発明のマクロモノマーAのより具体的な例としては、次の一般式(e1)〜(e6):
【化17】

によって表現される構造が挙げられる。
【0040】
これらの中でも、重合可能な官能基を導入する際に、完全に除去することが困難な縮合試薬を使用する必要がないこと、並びにイソシアネート及び(メタ)アクリル酸ハロゲン化物との高反応性アミノ基、ヒドロキシ基の組み合わせによって合成が可能であるという観点から、重合可能な官能基を高度に導入することができるという点で、一般式(e1)〜(e5)によって表現される構造が好ましく、更に高反応性の観点から、式(e1)〜(e3)、及びアミノ基を有する反応開始剤によって得ることが可能な構造がより好ましく、また反応中に塩を生成しないという観点から、式(e1)によって表現される構造、及びその加水分解に起因して作り出される式(e2)によって表現される構造が最も好ましい。式(e1)によって表現される構造は、時に加水分解され、例えば、本発明のマクロモノマー混合物を眼鏡レンズにおいて用いる場合、煮沸滅菌における加熱に起因して、式(e2)によって表現される構造に変化され得る。式(e2)の構造は、それが加水分解に対してより安定であるため、好ましい。
【0041】
本発明のマクロモノマーBのより具体的な例としては、次の一般式(f1)〜(f5):
【化18】

によって表現される構造が挙げられる。
【0042】
これらの中でも、重合可能な官能基を導入する際に、完全に除去することが困難な縮合試薬を使用する必要がないこと、並びにイソシアネート及び(メタ)アクリル酸ハロゲン化物との高反応性アミノ基、ヒドロキシ基の組み合わせによって合成が可能であるという観点から、重合可能な官能基を高度に導入することができるという点で、(f1)〜(f4)の構造が好ましく、また反応中に塩を生成しないという観点から、式(f1)及び(f2)によって表現される構造が最も好ましい。
【0043】
本発明のマクロモノマー混合物の分子量は、それが小さすぎるとき、マクロモノマー混合物の物理的性質が十分に示されず、またそれが大きすぎるとき、重合混合物の粘度が高くなり、溶解度が低くなるという問題が生じることから、好ましくは1000〜2000000、より好ましくは10000〜1000000、及び最も好ましくは200000〜800000である。
【0044】
本発明のマクロモノマー混合物を得る際、マクロモノマーの重合可能な官能基を導入するための官能化剤として、重合可能な基を有し、かつ重合開始剤及び連鎖移動剤の官能基と反応することができる官能基を更に有する化合物を使用することが可能である。好適な例としては、(メタ)アクリル酸クロライド、2−イソシアナトエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸無水物、及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、高反応性のため、(メタ)アクリル酸クロライド、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸無水物が好ましく、更に、それが脱離基を有さないため、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが最も好ましい。
【0045】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、少なくとも1種類のシリコーンモノマーの、本発明のマクロモノマー混合物との共重合によって得られる。
【0046】
本発明のシリコーンヒドロゲルにおいて使用されるシリコーンモノマーの例としては、3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ−メタクリロイルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及び次の式(s1)〜(s3):
【化19】

によって表現されるシリコーンモノマーが挙げられる。
【0047】
本発明の末端反応性ポリマー混合物は、重合開始剤に由来する反応基を有するポリマーxと、連鎖移動剤に由来する反応基を有するポリマーyと、を含むことを特徴とする。
【0048】
重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤に由来する反応基の好適な例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物が挙げられる。これらの中でも、反応性が高く、重合可能な基の導入が増大され得るという観点から、ヒドロキシ基及びアミノ基が好ましい。
【0049】
本発明の末端反応性ポリマー混合物の別の好ましい態様としては、次の一般式(III):
[化学構造26]
〜〜〜〜〜I−RG (III)
によって表現される少なくとも1種類のポリマーxと、
次の一般式(IV):
[化学構造27]
〜〜〜〜〜CTA−RG (IV)
によって表現される少なくとも1種類のポリマーyと、を含有することを特徴とする、末端反応性ポリマー混合物が挙げられる。
【0050】
一般式(III)又は(IV)において、−−−−は、末端反応性ポリマー骨格鎖を表す。末端反応性ポリマー骨格鎖は、ラジカル重合可能なモノマーの重合によって得られるポリマーからなる。そのようなモノマーの重合可能な基としては、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルからなる群から選択されるラジカル重合可能な官能基を有する置換基が好ましい。これらの中でも、得られるポリマーの物理的性質の観点から、アクリロイル及びビニルがより好ましく、アクリロイルが最も好ましい。
【0051】
末端反応性ポリマー骨格鎖において使用されるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン、N−ビニルカルボン酸アミド、環式N−ビニルピリジン、及びN−ビニルイミダゾールが好ましい。
【0052】
末端反応性ポリマー骨格鎖において使用されるモノマーがシリコーンモノマーである場合の好適な例としては、3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ−メタクリロイルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及び次の式(s1)〜(s3):
【化20】

によって表現されるシリコーンモノマーが挙げられる。
【0053】
末端反応性ポリマー骨格鎖において使用されるモノマーは、好ましくは親水性モノマーであり、この場合、好適な例としては、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、
N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、
N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、
N−ビニル−4、5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニルイミダゾール、酢酸ビニル(重合後、それは、加水分解によってポリビニルアルコールになる)、アクリロイルモルホリン、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、得られるマクロモノマー混合物の親水性と溶解度との間の平衡の観点から、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び酢酸ビニル(重合後、それは、加水分解によってポリビニルアルコールになる)が好ましい。
【0054】
本発明の末端反応性ポリマー混合物に含まれるポリマーに含まれるマクロモノマーは、マクロモノマー骨格鎖において使用される複数個の種類のモノマーを用いて共重合させられたポリマーであってもよい。
【0055】
一般式(III)において、I−RGは、重合開始剤に由来する基を表す。ここで、重合開始剤に由来する基は、重合開始剤の構造の少なくとも一部からなる基を意味する。
【0056】
一般式(IV)において、CTA−RGは、連鎖移動剤に由来する基を表す。ここで、連鎖移動剤に由来する基は、連鎖移動剤の構造の少なくとも一部からなる基を意味する。
【0057】
一般式(III)又は(IV)において、RGは、重合開始剤に由来する反応基、及び連鎖移動剤に由来する反応基を表す。RGの好適な例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物が挙げられる。これらの中でも、反応性が高く、重合可能な基の導入が増大され得るという観点から、ヒドロキシ基及びアミノ基が好ましい。
【0058】
本発明の末端反応性ポリマー混合物の別の好ましい態様としては、次の一般式(x1)〜(x5):
【化21】

からなる群から選択される構造を有するポリマーxと、
次の一般式(y1)〜(y3):
【化22】

からなる群から選択される構造を有するポリマーyと、からなる、末端反応性ポリマー混合物が挙げられる。
【0059】
一般式(x1)〜(x5)及び(y1)〜(y3)において、R〜Rは、次の一般式(m):
【化23】

によって表現されるモノマーが、重合性を有するモノマーになることができる、基を表す。
【0060】
一般式(m)によって表現されるモノマーの重合可能な基としては、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルからなる群から選択されるラジカル重合可能な官能基を有する置換基が好ましい。これらの中でも、得られるポリマーの物理的性質の観点から、アクリロイル及びビニルがより好ましく、アクリロイルが最も好ましい。
【0061】
一般式(m)によって表現されるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン、N−ビニルカルボン酸アミド、環式N−ビニルピリジン、及びN−ビニルイミダゾールが好ましい。
【0062】
一般式(m)によって表現されるモノマーがシリコーンモノマーである場合の好適な例としては、3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、3−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ−メタクリロイルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及び次の式(s1)〜(s3):
【化24】

によって表現されるシリコーンモノマーが挙げられる。
【0063】
一般式(m)によって表現されるモノマーは、好ましくは親水性モノマーであり、この場合、好適な例としては、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸、N−ビニル−2−ピペリドン、
N−ビニル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、
N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、
N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、
N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、
N−ビニル−4、5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニルイミダゾール、酢酸ビニル(重合後、それは、加水分解によってポリビニルアルコールになる)、アクリロイルモルホリン、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、得られるマクロモノマー混合物の親水性と溶解度との間の平衡の観点から、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び酢酸ビニル(重合後、それは、加水分解によってポリビニルアルコールになる)が好ましい。
【0064】
末端反応性ポリマー混合物に含有されるポリマー及び本発明のマクロモノマー混合物に含有されるマクロモノマーは各々、式(m)によって表現される複数個の種類のモノマーを用いて共重合させられたポリマーであってもよい。
【0065】
一般式(x1)〜(x5)において、R12及びR13は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はBを表す。R12及びR13が1〜20個の炭素原子を有するアルキルである場合の好適な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、イコシルなどが挙げられる。アルキルは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチルがより好ましく、メチルが最も好ましい。
【0066】
一般式(x1)〜(x5)において、Bは、反応基を有する1〜20個の炭素原子を有する置換基である。反応基の好適な例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ヒドロキシ基及びアミノ基がより好ましく、アミノ基が最も好ましい。
【0067】
一般式(x2)〜(x5)において、R14〜R16は、H又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はBを表す。この点では、(x1)〜(x5)は各々、少なくとも1つのBを有するモノマーである。R14〜R16がH又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルである場合の好適な例としては、H、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、イコシルなどが挙げられる。アルキルは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、及びt−ブチルがより好ましく、H、メチル、及びn−ブチルが最も好ましい。
【0068】
一般式(x2)〜(x5)において、R12〜R16は、一緒に環を形成し得る。好適な例としては、−R15−R16−が、エチレン、プロピレン、及びブチレンである場合が挙げられる。これらの中でも、形成される環の安定性の観点から、−R15−R16−がエチレンである場合が最も好ましい。
【0069】
一般式(y2)において、R10及びR11は、水素原子又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表し、かつ一緒に環を形成し得る。好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、イコシルなどが挙げられる。アルキルは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、立体障害が少なく、連鎖移動が生じやすいという観点から、メチル、エチル、及びプロピルが好ましい。一緒に環を形成する場合の好適な例としては、−R10−R21−がエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなどである場合が挙げられる。これらの中でも、形成される環における安定性の観点から、ブチレン及びペンチレンが好ましい。
【0070】
一般式(y1)〜(y3)において、Bは、反応基を有する1〜20個の炭素原子を有する置換基である。反応性官能基の好適な例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ヒドロキシ基及びアミノ基がより好ましく、ヒドロキシ基が最も好ましい。
【0071】
本発明の末端反応性ポリマー混合物は、1つの末端部に反応基を有する複数個の種類のポリマーの混合物であり、混合物の、官能基を有さないポリマーの含有量を低下させることができるという特徴を有する。
【0072】
本発明の末端反応性ポリマー混合物は、末端部の反応性を利用することによる種々のタイプのポリマー生成物における中間体、及び種々の生成物(例えば、表面処理剤及びコーティング材)の変性剤に好適である。とりわけ、それは、マクロモノマーのための中間体に好適である。
【0073】
ラジカル重合によって本発明の末端反応性ポリマー混合物及びマクロモノマー混合物を得るために使用される、重合開始剤は、分子中にヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する。
【0074】
好適な例としては、次の一般式(j1)〜(j4):
【化25】

によって表現される重合開始剤が挙げられ得る。
【0075】
上記のうち、得られるポリマーの反応開始剤末端部における高反応性の観点から、分子中にヒドロキシ基又はアミノ基を有する式(j1)〜(j3)によって表現される重合開始剤がより好ましく、分子中にアミノ基を有する式(j1)によって表現される重合開始剤が最も好ましい。使用量は、得られることになる末端反応性ポリマー混合物及びマクロモノマー混合物の標的分子量に従って、好適に調整されるべきである。量が少なすぎるとき、重合は開始しない一方で、それが多すぎるとき、分子量が低くなりすぎるか、又は再結合停止反応が生じる傾向があるため両方の末端部に官能基を有するポリマー若しくはマクロモノマーが生成される傾向がある。故に、量は、モノマーに対して好ましくは0.001〜5モル%、より好ましくは0.005〜3モル%、及び最も好ましくは0.01〜1モル%である。
【0076】
ラジカル重合によって本発明の末端反応性ポリマー混合物及びマクロモノマー混合物を得るために使用される連鎖移動剤は、好ましくは、分子中にヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する。好適な例としては、次の一般式(d1)〜(d5):
【化26】

によって表現される連鎖移動剤が挙げられる。
【0077】
これらの中でも、それが、連鎖移動を引き起こしやすく、高反応性を有する、アミノ基又はヒドロキシ基を有することから、重合可能な官能基が高度に導入され得るという観点から、(d1)又は(d2)によって表現される連鎖移動剤が好ましい。
【0078】
式(d1)〜(d5)において、Lは、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表す。それは、より好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキレン及びアリーレンである。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、オクチレン、デシレン、フェニレンなどが挙げられる。アルキレン及びアリーレンは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、立体障害が少なく、連鎖移動が生じやすいという観点から、エチレン及びプロピレンが最も好ましい。
【0079】
一般式(d1)〜(d5)において、R10及びR11は、1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表す。例としては、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、イコシルなどが挙げられる。アルキルは、分岐鎖でも直鎖でもあり得る。これらの中でも、立体障害が少なく、連鎖移動が生じやすいという観点から、メチル、エチル、及びプロピルが好ましい。R10及びR11が一緒に環を形成する場合の−R10−R11−の好適な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ドセシレン、及びイコシレンが挙げられる。これらの中でも、形成される環の安定性の観点から、ブチレン及びペンチレンが好ましい。
【0080】
本発明の末端反応性ポリマー混合物及びマクロモノマー混合物を得る際に使用される連鎖移動剤の好適な例としては、2−メルカプトエタノール、2−アミノエタンチオール、2−アミノエタンチオール塩酸塩、2−チオプロピオン酸などが挙げられる。これらの中でも、得られる連鎖移動剤の末端部における高反応性の観点から、2−メルカプトエタノール、2−アミノエタンチオール、及び2−アミノエタンチオール塩酸塩が最も好ましい。使用量は、得られることになるマクロモノマー混合物の標的分子量に従って、好適に調整されるべきである。量が多すぎるとき、未反応の連鎖移動剤が体系内に残留する傾向があることから、それは、モノマーに対して好ましくは0.01〜50モル%、より好ましくは0.05〜40モル%、及び最も好ましくは0.1〜25モル%である。
【0081】
重合によって本発明の末端反応性ポリマー混合物及びマクロモノマー混合物を得る際に、重合溶媒が使用され得る。溶媒として、種々のタイプの有機又は無機溶媒が採用され得る。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、第三級ブタノール、第三級アミルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、及びテトラヒドロリナロールのような種々の種類のアルコール溶媒、ベンゼン、トルエン、及びキシレンのような種々の種類の芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、及びパラフィンのような種々の種類の脂肪族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンのような種々の種類のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチル、及び二酢酸エチレングリコールのような種々の種類のエステル溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダムコポリマーのような種々の種類のグリコールエーテル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドンのような種々の種類のアミド溶媒、並びにジメチルスルホキシドが存在し、これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ラジカル重合を阻害することが困難であるという観点から、水、第三級ブタノール、第三級アミルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、及び3,7−ジメチル−3−オクタノールがより好ましい。
【0082】
本発明の末端反応性ポリマー混合物及びマクロモノマー混合物を得る際に、重合溶媒を用いる場合のモノマーの濃度は、それが低すぎるとき、十分な分子量を得ることができない一方で、それが高すぎるとき、重合熱に起因するオーバードライブの危険性が存在することから、好ましくは10重量%〜80重量%、より好ましくは15重量%〜65重量%、及び最も好ましくは20重量%〜50重量%である。
【0083】
シリコーンヒドロゲル中のシリコーン構成成分の含有量が少なすぎるとき、眼鏡レンズを継続的に着用するために必要な酸素透過性が得られない一方で、それが多すぎるとき、親水性構成成分との適合性がほとんど得られない傾向がある。故に、種々のモノマーの総重量が100重量部であることを考慮すると、シリコーンモノマーの含有量は、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは30〜80重量部、及び最も好ましくは50〜80重量部である。
【0084】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、共重合構成成分として親水性モノマーを含んでもよい。共重合させられることになる親水性モノマーとしては、それが重合可能である限り、それは制限されず、(メタ)アクリロイル、スチリル、アリル、ビニル、及び他の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーが使用され得る。
【0085】
これ以降、モノマーの複数の例が挙げられるが、本発明は、それらに限定されない:(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、及びビニル安息香酸のようなカルボン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド、並びにN−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾールなど。
【0086】
重合によって本発明のシリコーンヒドロゲルを得る際、良好な力学的性質、並びに消毒剤及び洗浄液に対する良好な耐性を得る観点から、共重合構成成分として、分子中に少なくとも2つの共重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーを使用することが好ましい。分子中に少なくとも2つの共重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーの共重合比は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.3〜15重量%、及び更に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0087】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、UV吸収剤、染料、着色剤などを含んでもよい。重合可能な基を有するUV吸収剤、染料、及び着色剤が共重合させられる形態で、それらが含まれてもよい。
【0088】
重合によって本発明のシリコーンヒドロゲルを得る際に、重合を簡便にするために、ペルオキシド及びアゾ化合物によって典型的に表される熱重合開始剤、並びに光重合開始剤を添加することが好ましい。熱重合を行う場合、所望の反応温度に対して最適の分解特徴を有する熱重合開始剤が選択及び使用される。広くは、40℃〜120℃の温度で10時間の半減期期間を有する、アゾ反応開始剤及びペルオキシド反応開始剤が好適である。光重合開始剤としては、カルボニル化合物、ペルオキシド、アゾ化合物、イオウ化合物、ハロゲン化物、金属塩などが挙げられ得る。これらの重合開始剤は、単独で又は組み合わせて使用され、モノマー構成成分の100重量部に対して最大約1重量部で使用される。
【0089】
重合によって本発明のシリコーンヒドロゲルを得る際に、重合溶媒が使用され得る。溶媒として、種々のタイプの有機又は無機溶媒が採用され得る。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、第三級ブタノール、第三級アミルアルコール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、及びテトラヒドロリナロールのような種々の種類のアルコール溶媒、ベンゼン、トルエン、及びキシレンのような種々の種類の芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、及びパラフィンのような種々の種類の脂肪族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンのような種々の種類のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチル、及び二酢酸エチレングリコールのような種々の種類のエステル溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダムコポリマーのような種々の種類のグリコールエーテル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドンのような種々の種類のアミド溶媒、並びにジメチルスルホキシドが存在し、これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。これらの中でも、それらが水での洗浄によって、得られる医療用材料から簡便に除去され得るという観点から、アルコール溶媒及びグリコールエーテル溶媒が好ましい。
【0090】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、所望の形状に独立して成型されて使用され得、それはまた、他の材料と混合された後にも成型され得る。成型され生成物の表面にコーティングを適用することもまた好適である。
【0091】
本発明のシリコーンヒドロゲルを眼鏡レンズとして使用するために成型する場合、重合方法及び形成方法として、次の方法が通常使用され得る。例えば、シリコーンヒドロゲルが一旦、丸棒又はプレートに形成され、製作物を切断するなどによってこれが所望の形状に加工される方法、成形型重合法、スピンキャスト法などが挙げられ得る。
【0092】
一例として、本発明のシリコーンヒドロゲルから作製される眼鏡レンズが成型重合法によって得られる場合が、下記に説明されるであろう。
【0093】
モノマー組成物が、レンズ形状を有する2つの成型の間の空間に充填される。光重合又は熱重合を行って、レンズ形状を形成する。成形型は、樹脂、ガラス、セラミック、金属などから作製される。光重合の場合、光学的に透明な材料が使用され、通常は、樹脂又はガラスが使用される。眼鏡レンズがシリコーンヒドロゲルから生産されるとき、多くの場合、空間は、2つの向かい合った成形型によって形成され、モノマー組成物が空間に充填される。その後、空間に充填されたモノマー組成物を有する成形型は、UVのようなアクティブレイで照射されるか、又は炉若しくは液剤タンク中で加熱されて、モノマーを重合させる。両方を同時に用いる方法を使用することもまた可能であり、この場合、熱重合が光重合後に行われるか、又は光重合が熱重合後に行われる。光重合の場合、概して、例えば、光源として水銀ランプ又は誘蛾灯からの多くのUVを含む光が短時間照射される(通常1時間以内)。熱重合を行う場合、ポリマーの光学的均一性及び品質を維持し、再現性を増加させるために、温度が室温前後から60℃〜200℃にまで数時間〜数十時間にわたって徐々に上昇させられる条件が好ましい。
【0094】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、種々の方法による変性処理を経ることができる。具体的な変性方法としては、電磁波(光を含む)照射、プラズマ照射、蒸着及びスパッタリングのような化学蒸着処理、加熱、塩基処理、酸処理、他の好適な表面処理剤の使用、並びにこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0095】
本発明のシリコーンヒドロゲルの酸素透過性は、酸素透過性係数の点から、好ましくは70×10−11(cm/秒)mLO/(mL−hPa)以上である。
【0096】
本発明のシリコーンヒドロゲルの動的接触角(前進接触角)は、好ましくは90°以下、より好ましくは75°以下、及び最も好ましくは60°以下である。
【0097】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、眼鏡レンズ、内視鏡、カテーテル、輸血管、ガス移動管、ステント、シース、カフ、管コネクタ、アクセスポート、排液バッグ、血液回路、創傷被覆材、及び種々のタイプの薬品担体、とりわけ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、及び人工角膜のような医療機器に好適である。
【実施例】
【0098】
これ以降、本発明は、例を用いて具体的に説明されるが、本発明は、それらに限定されない。
【0099】
分析方法
(1)ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)測定(表1、3、及び5)
表1、3、及び5のGPC測定は、次の条件下で行った。
装置:東ソー株式会社HLC−8220GPC
カラム:TSKgel SUPER HM−H、2ピース(粒径:5μm、6.0mm ID×15cm)
移動相:N−メチルピロリドン(10mM LiBr)
カラム温度:40℃
測定時間:40分間
注入量:10μL
検出器:RI検出器
流量:0.2mL/分
試料濃度:0.4重量%
標準試料:ポリスチレン(分子量500〜1090000)
【0100】
(2)MALDI−MS測定
GPCにおけるマクロモノマー混合物におけるピークの頂点の付近を分画し、MALDI−MS測定(陽性)を、マトリックスとしてジトラノール及びカチオン化剤としてトリフルオロ酢酸を用いるリフレクタモードによって行った。
【0101】
(3)動的接触角測定
動的接触角についての試料として、被膜様試料から切り抜いた約5mm×10mm×0.1mmのサイズの被膜を使用し、ホウ酸塩緩衝溶液(pH 7.1〜7.3)に向かって前進する動的接触角を測定した。浸漬速度を0.1mm/秒に設定し、浸漬深度を7mmに設定した。
【0102】
(4)GPC測定(表7)
表7のGPC測定を次の条件下で行った。
装置:島津製作所LC−20AD(ポンプ)、RID−20A(RI検出器)、CTO−20A(カラム炉)
カラム:TSKgel GMPWXL(粒径:13μm、7.8mm ID×30cm)
移動相:水/メタノール=50/50(0.1N LiN0
カラム温度:40℃
測定時間:30分間
注入量:100μL
検出器:RI検出器
流量:0.5mL/分
試料濃度:0.1重量%
標準試料:ポリエチレングリコール(分子量106〜1258000)
【0103】
(実施例1)
500mLの3口フラスコに、N−ビニルピロリドン(NVP、77.80g、0.70mol)、次の式(j1)によって表現される重合開始剤(VA−061、和光純薬工業株式会社、0.44g、1.76mmol)、2−メルカプトエタノール(2−ME、10.00g、128mmol)、及びt−アミルアルコール(TAA、205.89g)を添加し、三方ストップコック、温度計、及び機械的撹拌器を装着した。3口フラスコの内部を真空ポンプによって脱気し、アルゴン置換を3回反復した後、温度を75℃にまで上昇させ、混合物を7時間撹拌した。
【化27】

【0104】
重合の完了後、温度を室温にまで減少させ、重合反応液を900mLのN−ヘキサン中に注ぎ、静置させ、次いで上清をデカンテーションによって除去した。残留物をN−ヘキサン/エタノール=450mL/20mLで2回洗浄した。固形分を真空乾燥機によって40℃で16時間乾燥させた。液体窒素を入れた後、それをへらで微粉砕し、チャックを有するバッグに移した。乾燥を、真空乾燥機によって40℃で3時間行って、それによって末端反応性ポリマー混合物を得た。得られた末端反応性ポリマー混合物の分子量は、表1に示す通りである。
【0105】
(実施例2〜4)
実施例1におけるそれと同じ重合を、表1に示す電荷比で行った。得られた末端反応性ポリマー混合物の分子量は、表1に示す通りである。
【0106】
(実施例5)
実施例1で得た50gの末端反応性ポリマー混合物、15.0mgのBHT(ポリマーに対して300ppm)、及び330gの1,4−ジオキサンを、500mLの4口丸底フラスコに添加した。4口丸底フラスコに、機械的撹拌器、ガラス栓、窒素配管に連結した連結管、及びクライゼン管を装着し、前部に、リービッヒ冷却器、蒸留アダプタ、及び回収フラスコを接続した。窒素流下で撹拌しながら、温度を126℃にまで上昇させ(槽温度)、混合物を、1,4−ジオキサンの残りの量が約110〜120gになるまで126℃で維持して、反応系から水を除去した。温度を90℃にまで減少させた。30μLのジブチルスズ(IV)ジラウレート及び1.581gの2−イソシアナトエチルメタクリレート(MOI)を窒素流下でそこに添加し、90℃で3時間反応させた。
【0107】
反応の完了後、温度を70℃にまで減少させ、20gのエタノールを添加し、混合物を60分間撹拌した。室温にまで冷却した後、重合反応液を600mL/10mLのN−ヘキサン/メタノール中に注いだ。上清をデカンテーションによって除去した。残留物をN−ヘキサン/メタノール=400mL/20mLで2回洗浄した。固形分を真空乾燥機によって40℃で16時間乾燥させた。液体窒素を入れた後、それをへらで微粉砕し、チャックを有するバッグに移した。乾燥を、真空乾燥機によって40℃で3時間行って、それによってマクロモノマー混合物を得た。
【0108】
(実施例6〜8)
実施例2〜4で得た末端反応性ポリマー混合物を用いて、実施例5におけるそれと同じ官能化を、表2のMOI量によって行った。
【0109】
比較例1
重合開始剤VA−061を、次の式(j0)によって表現される重合開始剤(ADVN和光純薬工業株式会社)で置き換え、電荷比を表1で示すものに変更したことを除いて、実施例1におけるそれと同じ重合を行った。
【化28】

【表1】

【表2】

【0110】
(実施例9)
実施例4の末端反応性ポリマー混合物に関して、GPCにおける主なピークの頂点の付近を分画することによって得た分留を濃縮し、MALDI−MS測定を行った。実施例4の末端反応性ポリマー混合物のMALDI−MSチャートを図1に示す。結果として、実施例4の末端反応性ポリマー混合物は、連鎖移動剤末端部を有するポリマー及び反応開始剤末端部を有するポリマーの両方において反応基を有し、重合可能な基を導入することによって標的マクロモノマー混合物が得られたことを確認した。
【0111】
比較例2
比較実施例1の末端反応性ポリマー混合物を用いることを除いて、実施例6におけるそれと同じMALDI−MS測定を行った。比較実施例1の末端反応性ポリマー混合物のMALDI−MSチャートを図2に示す。結果として、比較実施例1の末端反応性ポリマー混合物が反応開始剤(ADVN)末端部を有するポリマーを含有し、重合可能な官能基を導入することができなかったことを確認した。
【0112】
(実施例10〜12)
N,N−ジメチルアクリルアミドを、N−ビニルピロリドンの代わりに用いて、実施例1におけるそれと同じ重合を表3に示す電荷比で行って、それによって末端反応性ポリマー混合物を得た。
【表3】

【0113】
(実施例13〜15)
実施例10〜12で得た末端反応性ポリマー混合物を用いて、実施例5におけるそれと同じ官能化を、表4のMOI量によって行った。
【表4】

【0114】
(実施例16)
そこに重合可能な官能基を導入した、実施例14のマクロモノマー混合物のMALDI−MS測定を行った。実施例14のマクロモノマー混合物のMALDI−MSチャートを図3に示す。非官能性ピークが全く観察されず、標的マクロモノマー混合物が得られたことが理解され得る。
【0115】
(実施例17)
次の式(s1)によって表現されるシリコーンモノマー(30重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(31重量部)、次の式(s2)によって表現されるシリコーンモノマー(23重量部)、実施例5で得たマクロモノマー混合物(6重量部)、エチレングリコールジメタクリレート(0.75重量部)、光反応開始剤イルガキュア819(0.23重量部)、及び第三級アミルアルコール(40重量部)を混合し、撹拌した。均質で透明なモノマー混合物を得た。このモノマー混合物をアルゴン大気下で脱気した。窒素大気下のグローブボックス中、10cm四方及び3mm厚の2つのガラスプレート(簡便に剥離するために、これらのうちの1つにアルミホイルを取り付けた)の間に、その中央部を切り抜いた100μm厚の2ピースのパラフィルムをスペーサーとして挿入し、その中にモノマー混合物を投じ、プレートの間の重合を光照射(株式会社東芝、FL6D、8.4kls、15分間)によって行って、被膜様試料を得た。
【化29】

【化30】

【0116】
得られた被膜様試料を、水中、超音波で20分間照射し、ガラスプレートから剥離し、60℃の60%イソプロピルアルコール(IPA)水溶液に一晩浸漬し、更に、60℃の80% IPA水溶液に2時間浸漬して残留モノマーのような不純物を抽出し、段階的にIPA濃度を低下させながら、つまり、各々約30分間の50% IPA水溶液、25% IPA水溶液、及び水による、液体への浸漬によって水和した。これを、200mLガラス瓶中のホウ酸塩緩衝溶液(pH 7.1〜7.3)に浸漬し、ガラス瓶をオートクレーブ中に配置し、120℃で30分間煮沸処理に供した。冷却するまで放置した後、被膜様試料をガラス瓶から取り出し、ホウ酸塩緩衝溶液(pH 7.1〜7.3)に浸漬した。
【0117】
(実施例18〜21)
表5に示す電荷比で、実施例1におけるそれと同じ重合、実施例5におけるそれと同じ官能化、及び実施例17におけるそれと同じシリコーンヒドロゲルポリマーの重合を行った。得られたマクロモノマー混合物の分子量及び動的接触角(前進接触角)は、表5に示す通りであった。
【0118】
比較例3〜6
表5に示す電荷比で、実施例1におけるそれと同じ重合、実施例5におけるそれと同じ官能化、及び実施例17におけるそれと同じシリコーンヒドロゲルポリマーの重合を行った。得られたマクロモノマー混合物の分子量及び動的接触角(前進接触角)は、表5に示す通りであった。
【0119】
したがって、実施例18〜21及び比較実施例3〜6において、ほとんど同じ分子量を有するマクロモノマー混合物を用いたシリコーンヒドロゲルの動的接触角を比較すると、実施例18〜24の動的接触角が小さく、良好な湿潤性が示されたことを確認した。
【表5】

【0120】
(実施例22)
1Lの3口フラスコに、144.12g(2.000mol)のアクリル酸(これ以降、AA)、640.0gの水、重合開始剤VA−061(和光純薬工業株式会社、0.375g、1.51mmol)、及び2−アミノエタンチオール(これ以降、2−AET、15.43g、0.2mol)を添加し、三方ストップコック、冷却器、温度計、及び機械的撹拌器を装着した。3口フラスコの内部を真空ポンプによって脱気し、アルゴン置換を3回反復した後、温度を50℃にまで上昇させ、混合物を撹拌した。30分後、熱の減少の開始を確認した後、温度を70℃にまで上昇させ、混合物を3時間撹拌した。
【0121】
重合の完了後、温度を室温にまで減少させ、重合反応液を蒸発器によって約380gにまで濃縮し、アセトン/N−ヘキサン=1000mL/200mL中に注ぎ、一晩静置させ、次いで上清をデカンテーションによって除去した。残留物をアセトン/N−ヘキサン=500mL/50mLで5回洗浄した。固形分を真空乾燥機によって40℃で一晩乾燥させた。液体窒素を入れた後、それをへらで微粉砕し、チャックを有するバッグに移した。乾燥を、真空乾燥機によって40℃で3時間行って、それによって末端反応性ポリマー混合物を得た。
【0122】
(実施例23)
実施例22で得た90.00gの末端反応性ポリマー混合物、30.0mgのBHT(ポリマーに対して300ppm)、266.67gの1,4−ジオキサン、及び400.00gのN,N−ジメチルアセトアミドを、1Lの4口フラスコに添加した。4口フラスコに、機械的撹拌器、ガラス栓、窒素配管に連結した連結管、及びクライゼン管を装着し、前部に、リービッヒ冷却器、蒸留アダプタ、及び回収フラスコを接続した。窒素流下で撹拌しながら、温度を132℃にまで上昇させ(槽温度)、94.59gの1,4−ジオキサンを留去し、反応系から水を除去した。温度を110℃にまで減少させ、60μLのジブチルスズ(IV)ジラウレート、及び18.08g(0.1144mol、MOI/AET=1.02)の2−イソシアナトエチルメタクリレート(MOI)を窒素流下でそこに添加し、110℃で2時間反応させた。
【0123】
反応の完了後、温度を70℃にまで減少させ、70mLのエタノールを添加し、混合物を30分間撹拌した。室温にまで冷却した後、重合反応液をアセトン/N−ヘキサン=700/300mL中に注いだ。一晩静置させた後、上清をデカンテーションによって除去した。沈殿物をアセトン/N−ヘキサン=600mL/150mLで2回、アセトン/N−ヘキサン/水=600mL/150mL/20mLで1回、及びアセトン/N−ヘキサン=600mL/150mLで4回洗浄した。
【0124】
固形分を真空乾燥機によって40℃で一晩乾燥させた。液体窒素を入れた後、それをへらで微粉砕し、チャックを有するバッグに移した。乾燥を、真空乾燥機によって40℃で3時間行って、それによって標的マクロモノマー混合物を得た。得られたマクロモノマー混合物の分子量は、表7に示す通りである。
【0125】
(実施例24)
表6に示す電荷比で、実施例22におけるそれと同じ重合を行った。
【表6】

【0126】
(実施例25)
表7に示す電荷比で、及び実施例24の末端反応性ポリマー混合物を用いて、実施例23におけるそれと同じ官能化を行った。得られたマクロモノマー混合物の分子量は、表7に示す通りである。
【表7】

【0127】
産業上の利用可能性
本発明は、高度官能化マクロモノマー混合物に関し、このマクロモノマー混合物は、特にコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などにおいて好適に使用される。
【0128】
〔実施の態様〕
(1) 重合可能な基を、その末端部において重合開始剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーであるマクロモノマーAと、重合可能な基を、その末端部において連鎖移動剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーであるマクロモノマーBと、を含む、マクロモノマー混合物。
(2) 次の一般式(I):
[化学構造1]
〜〜〜〜〜I−RG−PG (I)
によって表現される少なくとも1種類のマクロモノマーAと、
次の一般式(II):
[化学構造2]
〜〜〜〜〜CTA−RG−PG (II)
によって表現される少なくとも1種類のマクロモノマーBと、を含み、
式中、−−−−−−が、マクロモノマー骨格鎖を表し、I−RGが、重合開始剤に由来する基を表し、CTA−RGが、連鎖移動剤に由来する基を表し、RGが、重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤に由来する反応基を表し、PGが、少なくとも1個の重合可能な基を有する基を表す、マクロモノマー混合物。
(3) 重合開始剤に由来する前記反応基及び連鎖移動剤に由来する前記反応基が各々独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種類の官能基である、実施態様1又は2に記載のマクロモノマー混合物。
(4) 次の一般式(i1)〜(i5):
【化31】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のマクロモノマーAと、
次の一般式(c1)、(c2)、及び(c3):
【化32】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のマクロモノマーBと、を含み、
式中、R〜Rが、次の一般式(m):
【化33】

によって表現されるモノマーが重合性を有するようなモノマーになることができる基を表し、
式中、R及びRが、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はAを表し、R〜Rが、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はAを表すが、(i1)〜(i5)が各々、少なくとも1つのAを有することを条件とし、R〜Rが、一緒に環を形成し得、R10及びR11が、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表し、かつ一緒に環を形成し得、A及びAは各々独立して、ラジカル重合可能な官能基を有する1〜20個の炭素原子を有する基である、マクロモノマー混合物。
(5) A及びAは各々、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルからなる群から選択されるラジカル重合可能な官能基を有する基である、実施態様4に記載のマクロモノマー混合物。
【0129】
(6) A及びAが各々、次の式(a1)〜(a5):
【化34】

によって表現される構造から選択される重合可能な基であって、
式中、Rが、H又はメチルを表し、Xが、0又はNHを表し、L及びLが、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表す、実施態様4に記載のマクロモノマー混合物。
(7) 前記一般式(m)によって表現されるモノマーが有する前記重合可能な基が、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルから選択される少なくとも1種類である、実施態様4に記載のマクロモノマー混合物。
(8) 前記一般式(m)によって表現されるものが、親水性モノマーである、実施態様4に記載のマクロモノマー混合物。
(9) 前記一般式(m)によって表現されるモノマーが、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選択されるモノマーである、実施態様4に記載のマクロモノマー混合物。
(10) 分子中にヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する重合開始剤、並びに分子中にヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する連鎖移動剤を用いた、親水性モノマーのラジカル重合後、ラジカル重合可能な官能基を有する化合物が、結果として生じるポリマー混合物と反応させられる、実施態様1〜9のいずれかに記載のマクロモノマー混合物の生成方法。
【0130】
(11) 前記重合開始剤が、次の式(j1)〜(j4):
【化35】

のうちのいずれか1つによって表現される重合開始剤である、実施態様10に記載のマクロモノマー混合物の生成方法。
(12) 前記連鎖移動剤が、次の一般式(d1)〜(d5):
【化36】

のうちのいずれか1つによって表現される連鎖移動剤であり、
式中、Lが、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表し、R10及びR11が、1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表す、実施態様10に記載のマクロモノマー混合物の生成方法。
(13) 重合開始剤に由来する反応基を有するポリマーxと、連鎖移動剤に由来する反応基を有するポリマーyと、を含む、末端反応性ポリマー混合物。
(14) 次の一般式(III):
[化学構造9]
〜〜〜〜〜I−RG (III)
によって表現される少なくとも1種類のポリマーxと、
次の一般式(IV):
[化学構造10]
〜〜〜〜〜CTA−RG (IV)
によって表現される少なくとも1種類のポリマーyと、を含み、
式中、−−−−−−が、マクロモノマー骨格鎖を表し、I−RGが、重合開始剤に由来する基を表し、CTA−RGが、連鎖移動剤に由来する基を表し、RGが、重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤からの反応基を表す、実施態様13に記載の末端反応性ポリマー混合物。
(15) 重合開始剤に由来する前記反応基及び連鎖移動剤に由来する前記反応基が、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種類の官能基である、実施態様14に記載のマクロモノマーのための中間体。
【0131】
(16) 次の一般式(x1)〜(x5):
【化37】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のポリマーxと、
次の一般式(y1)〜(y3):
【化38】

によって表現される構造を有する少なくとも1種類のポリマーyと、を含み、
式中、R〜Rが、次の一般式(m):
【化39】

によって表現されるモノマーが重合性を有するようなモノマーになることができる基を表し、
式中、R12及びR13が、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はBを表し、R14〜R16が、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はBを表すが、(x1)〜(x5)が各々、少なくとも1つのBを有することを条件とし、R12〜R16が、一緒に環を形成し得、R10及びR11が、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表し、かつ一緒に環を形成し得、B及びBは各々独立して、反応基を有する1〜20個の炭素原子を有する基である、末端反応性ポリマー混合物。
(17) 実施態様13、14、16のいずれかに記載の末端反応性ポリマー混合物を含む、マクロモノマーのための中間体。
(18) 少なくとも1種類のシリコーンモノマーを、実施態様1〜9のいずれかに記載のマクロモノマー混合物を含有する少なくとも1種類のモノマー混合物と共重合させることによって得られる、シリコーンヒドロゲル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合可能な基を、その末端部において重合開始剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーであるマクロモノマーAと、重合可能な基を、その末端部において連鎖移動剤に由来する反応基に更に導入することによって得られる基を有するマクロモノマーであるマクロモノマーBと、を含む、マクロモノマー混合物。
【請求項2】
次の一般式(I):
[化学構造1]
〜〜〜〜〜I−RG−PG (I)
によって表現される少なくとも1種類のマクロモノマーAと、
次の一般式(II):
[化学構造2]
〜〜〜〜〜CTA−RG−PG (II)
によって表現される少なくとも1種類のマクロモノマーBと、を含み、
式中、−−−−−−が、マクロモノマー骨格鎖を表し、I−RGが、重合開始剤に由来する基を表し、CTA−RGが、連鎖移動剤に由来する基を表し、RGが、重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤に由来する反応基を表し、PGが、少なくとも1個の重合可能な基を有する基を表す、マクロモノマー混合物。
【請求項3】
重合開始剤に由来する前記反応基及び連鎖移動剤に由来する前記反応基が各々独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種類の官能基である、請求項1又は2に記載のマクロモノマー混合物。
【請求項4】
次の一般式(i1)〜(i5):
【化1】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のマクロモノマーAと、
次の一般式(c1)、(c2)、及び(c3):
【化2】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のマクロモノマーBと、を含み、
式中、R〜Rが、次の一般式(m):
【化3】

によって表現されるモノマーが重合性を有するようなモノマーになることができる基を表し、
式中、R及びRが、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はAを表し、R〜Rが、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はAを表すが、(i1)〜(i5)が各々、少なくとも1つのAを有することを条件とし、R〜Rが、一緒に環を形成し得、R10及びR11が、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表し、かつ一緒に環を形成し得、A及びAは各々独立して、ラジカル重合可能な官能基を有する1〜20個の炭素原子を有する基である、マクロモノマー混合物。
【請求項5】
及びAは各々、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルからなる群から選択されるラジカル重合可能な官能基を有する基である、請求項4に記載のマクロモノマー混合物。
【請求項6】
及びAが各々、次の式(a1)〜(a5):
【化4】

によって表現される構造から選択される重合可能な基であって、
式中、Rが、H又はメチルを表し、Xが、0又はNHを表し、L及びLが、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表す、請求項4に記載のマクロモノマー混合物。
【請求項7】
前記一般式(m)によって表現されるモノマーが有する前記重合可能な基が、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、及びビニルから選択される少なくとも1種類である、請求項4に記載のマクロモノマー混合物。
【請求項8】
前記一般式(m)によって表現されるものが、親水性モノマーである、請求項4に記載のマクロモノマー混合物。
【請求項9】
前記一般式(m)によって表現されるモノマーが、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選択されるモノマーである、請求項4に記載のマクロモノマー混合物。
【請求項10】
分子中にヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する重合開始剤、並びに分子中にヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する連鎖移動剤を用いた、親水性モノマーのラジカル重合後、ラジカル重合可能な官能基を有する化合物が、結果として生じるポリマー混合物と反応させられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマクロモノマー混合物の生成方法。
【請求項11】
前記重合開始剤が、次の式(j1)〜(j4):
【化5】

のうちのいずれか1つによって表現される重合開始剤である、請求項10に記載のマクロモノマー混合物の生成方法。
【請求項12】
前記連鎖移動剤が、次の一般式(d1)〜(d5):
【化6】

のうちのいずれか1つによって表現される連鎖移動剤であり、
式中、Lが、1〜10個の炭素原子を有する二価の基を表し、R10及びR11が、1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表す、請求項10に記載のマクロモノマー混合物の生成方法。
【請求項13】
重合開始剤に由来する反応基を有するポリマーxと、連鎖移動剤に由来する反応基を有するポリマーyと、を含む、末端反応性ポリマー混合物。
【請求項14】
次の一般式(III):
[化学構造9]
〜〜〜〜〜I−RG (III)
によって表現される少なくとも1種類のポリマーxと、
次の一般式(IV):
[化学構造10]
〜〜〜〜〜CTA−RG (IV)
によって表現される少なくとも1種類のポリマーyと、を含み、
式中、−−−−−−が、マクロモノマー骨格鎖を表し、I−RGが、重合開始剤に由来する基を表し、CTA−RGが、連鎖移動剤に由来する基を表し、RGが、重合開始剤に由来する反応基及び連鎖移動剤からの反応基を表す、請求項13に記載の末端反応性ポリマー混合物。
【請求項15】
重合開始剤に由来する前記反応基及び連鎖移動剤に由来する前記反応基が、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール、エステル、及びカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種類の官能基である、請求項14に記載のマクロモノマーのための中間体。
【請求項16】
次の一般式(x1)〜(x5):
【化7】

からなる群から選択される構造を有する少なくとも1種類のポリマーxと、
次の一般式(y1)〜(y3):
【化8】

によって表現される構造を有する少なくとも1種類のポリマーyと、を含み、
式中、R〜Rが、次の一般式(m):
【化9】

によって表現されるモノマーが重合性を有するようなモノマーになることができる基を表し、
式中、R12及びR13が、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はBを表し、R14〜R16が、水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、又はBを表すが、(x1)〜(x5)が各々、少なくとも1つのBを有することを条件とし、R12〜R16が、一緒に環を形成し得、R10及びR11が、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有するアルキルを表し、かつ一緒に環を形成し得、B及びBは各々独立して、反応基を有する1〜20個の炭素原子を有する基である、末端反応性ポリマー混合物。
【請求項17】
請求項13、14、16のいずれか一項に記載の末端反応性ポリマー混合物を含む、マクロモノマーのための中間体。
【請求項18】
少なくとも1種類のシリコーンモノマーを、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマクロモノマー混合物を含有する少なくとも1種類のモノマー混合物と共重合させることによって得られる、シリコーンヒドロゲル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−515825(P2013−515825A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546225(P2012−546225)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/061966
【国際公開番号】WO2011/090683
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(510294139)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
【Fターム(参考)】