説明

マクロライドの精製方法

マクロライドを吸着樹脂層上に負荷し、そして適切な溶離液、例えば水及びテトラヒドロフランの組合せにより溶出することを包含する、マクロライド、特にタクロリマスの精製方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着樹脂を用いての分離方法により、マクロライド、特に、タクロリマス(tacrolimus)、アクソマイシン(acsomycin)、シロリマス(sirolimus)、エベロリマス(everolimus)又はピメクロリマス(pimecrolimus)を精製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明背景
マクロライドは、置換基として1又は複数のデオキシ糖を有する多員ラクトン環である。エリトロマイシン、アジトロマイシン及びクラリトロマイシンは、静菌及び/又は殺菌活性を有するマクロライドである。
タクロリマス(FK506)はまた、免疫抑制剤でもあるマクロライド抗生物質である。シクロスポリンよりも有能なタクロリマスは、T−リンパ球に対して選択的阻害効果を有することが報告されている。
【0003】
ピメクロリマスは、マクロラクタムであり、そして前−炎症性サイトカインのT細胞及び肥満細胞による生成を阻害することが報告されている(Merck Index 1331(Maryadele J.O'Neil et al.eds., 13th ed. 2001))。ピメクロリマスは、免疫抑制製剤として使用されることが報告されている。
もう1つのマクロライドであるシロリマスは、免疫抑制剤であることが報告されている。シロリマスは、移植片拒絶を回避するために移植の後、シクロスポリン及びコルチコステロイドと共に投与されて来た。Martindale: The Complete Drug Reference 568 (Sean C. Sweetman ed., Pharmaceutical Press 33rd ed. 2002)。
【0004】
シロリマスの誘導体であるエベロリマスは、器官移植に使用される免疫抑制剤であることが報告されている。539でのMartindale.
マクロライドは、いくつかの合成路が知られているが、典型的には発酵により得られる。得られるマクロライドは典型的には、種々の手段、例えば高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により検出され得るいくつかの不純物を含む。医薬化合物における不純物の不在は所望されず、そして多くの支配権下の健康保険局(例えば、合衆国の食品医薬品局)は、医薬における不純物の許容できるレベルに関する指標を確立した。いずれの医薬における不純物レベルをも低める方法の必要性及び商業的利用が明白である。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
1つの観点においては、本発明は、マクロライド、特にタクロリマス、アクソマイシン、シロリマス(ラパマイシン)、エベロリマス又はピメクロリマスから不純物を分離する(すなわち、不純物のレベルを低める)方法に関する。前記方法は、マクロライドの負荷装填物(loading charge)を調製し;湿った吸着樹脂層上に前記負荷装填物を負荷し;THF、又はアセトントリル、水及び任意には、追加の有機溶媒を含む溶離液により前記層を溶出し;溶離液の主要画分(中間留分)を集め;そしてその主要画分から低められた不純物を有するマクロライドを単離する段階を包含する。
【0006】
もう1つの観点においては、本発明は、上記方法により調製されるマクロライド、特にタクロリマス、アクソマイシン、シロリマス(ラパマイシン)、エベロリマス又はピメクロリマスに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
発明の特定の記載
本明細書においては使用される場合、用語、周囲温度とは、約0℃〜約40℃、好ましくは約10℃〜約35℃の温度に関する。
本明細書において使用される場合、用語、低められた圧力とは、約760mmHg以下の圧力を言及する。
本明細書において使用される場合、用語、抗−溶媒とは、マクロライドが最良にゆるやかに溶解する物質、通常、周囲温度での液体を言及する。
【0008】
本明細書において使用される場合、用語“不純物”とは、所望するマクロライドとは異なった滞留時間を有するいずれかの化合物を言及する。異なった滞留時間は例えば、下記に記載されるHPLC方法により測定され得る。
本明細書において使用される場合、用語、RRTO. 95及びRRT1.25とは、それぞれ、下記に記載されるように、HPLC分析において約0.95及び1.25の相対的滞留時間(タクロリマスに対する)を有する、タクロリマスにおける不純物である、アスコマイシン及びジヒドロタクロリマスを言及する。
【0009】
液体の混合物又は組合せに関して、本明細書において使用される場合、用語、体積%又は体積−%とは、次の通りに計算された体積画分(種Aに対して例示される):
体積-%A=WtA×ρA/(WtA×ρA+WtB×ρB
式中、WtA及びWtBはそれぞれ、種A及びBのg重量であり、そして
ρA及びρBはそれぞれ、種A及びBのg/mlでの密度である。
【0010】
1つの態様においては、本発明は、マクロライドを、そこにおける不純物から分離するための(すなわち、マクロライドにおける不純物のレベルを低めるための)クロマトグラフィー方法を提供する。分離(低減)は、吸着樹脂層上にマイクロライドを負荷し、そしてTHF又はアセトニトリル、水及び任意には追加の有機培養を含む溶離液により溶出することによりもたらされる。本発明の実施のための好ましいマクロライドは、タクロリマス、アクソマイシン、シロリマス、エベロリマス又はピメクロリマスを包含する。タクロリマスがマクロライドである場合、低められる不純物は、少なくともアスコマイシン及びジヒドロタクロリマスを包含し、HPLCによるその定量化は下記に記載される。アスコマイシンがマクロライドである場合、低められる不純物は、少なくともタクロリマスを包含する。使用されるマクロライドはいずれの源からでもあり得る。
【0011】
本発明の実施においては、低減(分離)は、溶出液を得るために、マクロライドの負荷装填物により負荷された吸着樹脂層を、溶離液により溶出することによりもたらされる。本発明の実施において有用な吸着樹脂は、当業界において良く知られており、そして好ましくは、架橋された非イオン性スチレン−ジビニルベンゼン材料であるが、しかし化学的には変性され得ない。アクリル型吸着樹脂もまた知られている。吸着樹脂は、それらの表面が種々の化学種を吸収し、次に脱着する、高い多孔性の構造を有する。吸収及び脱着は、環境、例えば使用される溶媒により影響される。極性溶媒(例えば、水)の存在下で、吸着樹脂は疎水性挙動を示す。非極性溶媒(例えば、炭化水素)が使用される場合、吸着樹脂はいくらかの極性挙動性を示すことができる。典型的には、吸着樹脂は、高網状構造を有し、そして少なくとも約300m2/gの表面積を有する。
【0012】
本発明の実施において有用な吸着樹脂は、Rohm and Haasから入手できるAmberlite(商標) XAD;例えばXAD 4, XAD 7 HP, XAD 16 HP, XAD 761,及び XAD 1180を包含する。Mitsubishから入手できるDiaion吸着樹脂;例えばBP 10,HP 20,HP 21,HP 30,HP 40, HP 50, SP 800, SP 825, SP 850, SP 875, SP 205, SP 206, SP 207,HP1MG 及びHP2MGがまた有用である。Amberlite SAD1180は、本発明の実施において有用な好ましい吸着樹脂の例である。Amberlite SAD1180は、架橋された高網状芳香族ポリマーである。それは、非イオン性、疎水性、架橋されたポリマーであり、それは、その本発明の高網状構造(連続ポリマー相及び連続多孔相の両者を含む)からのその吸着性質、高い表面積及びその表面の芳香族性質を誘導する。表面積は、500m2/g又はそれ以上である。多孔度は、0.60ml/ml又はそれ以上である。PDS 0205A-Jan. 98-1/2の製品データシートは、この樹脂についてのさらなる情報を与える。
【0013】
本発明の方法の第1段階においては、マクロライドの負荷装填物は、吸着樹脂層上に負荷される。負荷装填物は、抗−溶媒と組合される、有機溶媒中、マクロライドの溶液として供給され得る。
【0014】
他方では、マクロライドの負荷装填物は、吸着樹脂層上の負荷の前、吸着樹脂の負荷部分上に吸着される(沈着される)。任意には、水を含む、有機溶媒中、マクロライドの溶液が、吸着樹脂の一部及び抗−溶媒と組合される。吸着樹脂は、前記層を調製するために使用される同じ樹脂であるか、又はそれは異なった吸着樹脂であり得る。吸着樹脂の負荷部分は、前記層の約33〜約50体積%であり得る。次に、負荷部分は、湿った吸着層を並置され、負荷装填物により負荷された層が供給される。
【0015】
負荷装填物が負荷されるか又は沈着される溶液を調製するために使用される有機溶媒は好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、アセトニトリル(CAN)、メタノール、エタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールエステル(例えば、酢酸エチル)及び二極性非プロトン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMH)から成る群から選択される。より好ましくは、有機溶媒は、THF、アセトン又はACNである。
【0016】
マクロライドがタクロリマスである場合、THF及びCANが好ましい溶媒である。好ましくは、抗−溶媒は、水、又は直鎖又は枝分れ鎖のアルカン又はシクロアルカン、例えばヘキサン、ヘプタン又はシクロヘキサンである。抗−溶媒の添加は、溶液におけるマクロライドの溶解性を低め、そしてそれは、吸着樹脂の負荷部分上へのサンプルの吸着を促進すると思われる。抗−溶媒は、付着物及び充填物を導くことができる、マクロライドの部分的大きな沈殿をもたらすことができる大きな濃度グラジエントを回避するために、ゆっくり添加される。好ましくは、溶媒:抗−溶媒の割合は、40%又はそれ以下である。
【0017】
マクロライド溶液、吸着樹脂の負荷部分及び抗−溶媒の組合せは、攪拌機(例えば、拡販されたタンパク質反応器)を備えたいずれかの便利な容器に存在することができる。
特定の態様においては、吸着樹脂の負荷部分は、カラムに含まれ、そして循環システムにおいてカラムを通してマクロライド溶液の流れと接触される。抗−溶媒は、吸着樹脂の負荷部分を通して、及びその周囲で流れるよう液流中に徐々に導入され、マクロライドサンプルは吸着樹脂の負荷部分上に徐々に吸着される。
【0018】
例えば、マクロライドがタクロリマスである場合、その溶液は約100g/lであり、そして抗−溶媒の体積は溶液の体積の少なくとも約5倍である。吸着樹脂の負荷部分の体積は、溶液の体積にほぼ等しい。当業者は、吸着樹脂の負荷部分上へのマクロライドの吸着を得るために、通常の実験によりその割合を最適化することを知るであろう。
吸着が実質的に完結した後(溶液中に残存するマクロライドの濃度をモニターすることによりモニターされ得る)、負荷装填物はその残存する溶液から分離される。分離は、濾過により行われる。負荷装填物を製造するための循環カラム方法が使用される場合、カラムは単純に、その再循環システムから分離される。
【0019】
この態様の続く段階においては、このマクロライド−負荷された負荷部分は、湿った吸着樹脂の調製された層と並置される。層は、適切な容器に閉じ込められる。好ましくは、層は、円形断面のカラム内に閉じ込められる。層を調製するためには、所望する量の吸着樹脂が水、又は水及び溶媒(例えば、THF又はACN)の混合物と共にスラリーされる。水−溶媒の組合せは、その層が大きな直径である場合、好都合である。次に、スラリーは所望する容器に移行され、好ましくは円柱状カラムがカラムクロマトグラフィーのために使用される。水(又は、水−溶媒組合せ)は、排水され、湿った吸着樹脂の層が残る。クロマトグラフィーカラムを調製するか又はパッキングするための実施は当業界に良く知られており、そして既知の実施は本発明の実施に容易に適合される。
【0020】
負荷部分は、湿った吸着樹脂層に、その上の層として並置され得る。付加装填物が再循環システムにおいて調製される場合、負荷装填物を含む容器が、湿った吸着樹脂層を保持する容器に、それとの流体連絡を確立するいずれかの手段によりカップリングされ得る。
マイクロライド(例えば、タクロリマス、アクソマイシン、シロリマス、エベロリマス又はピメクロリマス)及び不純物の分離(それにより、マクロライドにおける不純物のレベルは低められる)は、負荷装填物を通して、及び続いて、それに並置され、そしてそれとの流体連絡において吸着樹脂層を通して溶離液を通すことによりもたらされる。
【0021】
溶離液は、水、及び有機溶媒、例えばTHF又はACNを包含する。好ましい溶離液は、特にタクロリマスがマクロライドである場合、特に約20体積%〜約50体積%、最も好ましくは約31体積%〜約40体積%のTHFを有する、THF及び水の混合物である。有機溶媒、例えばメタノール、アセトニトリル、アセトン又はブタノールがTHF−水溶離液と共に使用される場合、THF含有率は、38体積以下、好ましくは約4〜約38体積%である。もう1つの好ましい含有物は、約30体積%〜約70体積%、最も好ましくは約40体積%〜約65体積%のアセトニトリルを有する、アセトニトリル及び水の混合物である。溶離液がアセトニトリル及び水の混合物である場合、溶離液のまた、溶離液1部に対して約0.0005〜約0.003部の有機酸を含むことができる。好ましい無機酸は、リン酸である。
【0022】
溶離液は、負荷部分及びそれと並置される吸着樹脂層を通して、前記層の全断面積に依存する速度(溶離液の流れに垂直に測定される)で溶出される。好ましくは、その流速(断面に対して)は、約25cm/時以下、好ましくは約15cm/時以下である。遅い溶出速度は、時間を早めるが、しかし分離効率を改良する。高められた分離効率のための好ましい溶出速度は、約90ml/時間である。
【0023】
吸着樹脂層から流れる溶離液(すなわち、溶出液)は、固定相(例えば、静電層)上の化学種の選択的保持に依存する、分離方法、例えばクロマトグラフィーを用いて、当業者に通例であるように、1又は複数の画分に集められる。無機酸、例えばリン酸が、溶出液に添加され得る。
【0024】
好ましくは、多くの量の溶離液により層を溶出した後、その層は第2層との流体連絡下に配置され、その結果、第1層からの溶出液が第2層を通して溶出する。第1及び第2層の溶出の後、第2層が存在し、そして好ましくは、第1層から分離され(すなわち、流体連絡が破壊される)、そして溶出が第2層のみを通して続けられる。溶離液は、約33〜35体積%のTHFを有する、THF及び水の混合物である。
【0025】
任意には、追加のカラムが、そのシステムに連結され得る。
画分の濃度及び組合せは、いずれかの便利な手段によりモニターされ得る。マクロライドにおける不純物、特にタクロリマスにおけるアスコマイシン及びジヒドロタクロリマスの検出及び定量化は、下記に記載されるHPLC方法により行われ得る。
【0026】
中でも、溶離液のカラム負荷、及び組成及び流速に依存して、溶液は最初に存在する、約60重量%以上、好ましくは約60〜約90重量%のマクロライドを包含する溶出液の主要画分(中間留分)が集められる。タクロリマスがマクロライドであり、そしてTHF−水(31〜40体積%のTHF)が溶離液である場合、主要画分は、最終の単離される生成物が約0.1面積%又はそれ以下(下記HPLCによれば)の不純物RRT0.95を有するよう集められる。
【0027】
所望により、不純物から分離され、そして従って、低められたレベルの不純物を有するマクロライドが、いずれかの従来の手段(例えば、抽出、凍結乾燥、蒸発、抗−溶媒の添加)により、溶出液から単離され得る。水、アルカン及びシクロアルカンが、有用な抗−溶媒として言及され得る。単離方法は、組合され得る。例えば、抗−溶媒は、濃縮された溶出液と組合され得る。
好ましい単離方法は、70℃又はそれ以下、好ましくは60℃又はそれ以下、好ましくは760mHgの圧力で、その初期体積の約50%へのその主要画分の濃縮を包含し、それにより、生成物の結晶が得られる。溶離液IL当たり約1〜約10mlの酸が好ましくは、マクロライドを安定化するために、濃縮の前に添加される。
【0028】
任意には、濃縮された主要画分は、保持時間の間、周囲温度で維持される。保持時間が使用される場合、好ましい保持時間は約1〜4日である。低められた不純物を有するマクロライドの結晶は、いずれかの従来の手段、例えば濾過(重力又は真空)により回収される。
不純物のさらなる低下は、回収された生成物を、本発明の方法に従って、いくつかの追加の処理にゆだねることにより達成され得る。
本発明の方法により達成されるマクロライドにおける不純物の低下は、下記に記載されるHPLCによりモニターされ得る。
【0029】
もう1つの態様においては、マクロライドはタクロリマスであり、そして少なくとも、不純物のアスコマイシン及びジヒドロタクロリマスのレベルが低められる。他の不純物のレベルがまた低められる。前記方法は、吸着樹脂、特に高網状樹脂、例えばAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20の負荷部分を伴って、又はそれらを伴わないで、タクロリマスの溶液を含んで成るタクロリマスの負荷充填物を調製し;湿った吸着樹脂、特に容器、特にカラムに含まれ得るAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20に前記負荷装填物を負荷し;約20〜約50体積%、特に約31〜40体積%のTHFを含んで成る、テトラヒドロフラン(THF)及び水の混合物、又は約30〜約70体積%及び特に約40〜約65体積%のアセトニトリルを含んで成る、アセトニトリル(ACN)及び水の混合物である溶離液により、負荷部分及び吸着樹脂を溶出し;約60%以上、好ましくは約60〜約90%の初期タクロリマス(初期純度に依存して)を含む溶離液の少なくとも主要画分(中間留分)を集め;そして任意には、酸の存在下で減圧下で主要画分を濃縮し、そして任意には、そのようにして得られる生成物を回収することにより、主要画分から低められた不純物を有するタクロリマスを単離する段階を包含する。
【0030】
もう1つの態様においては、本発明は、上記方法に従って調製されるタクロリマスを供給する。
【0031】
さらにもう1つの態様においては、マクロライドはアスコマイシンであり、そして少なくとも、不純物のタクロリマスのレベルが低められる。他の不純物のレベルがまた低められる。前記方法は、吸着樹脂、特に高網状樹脂、例えばAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20の負荷部分を伴って、又はそれらを伴わないで、アスコマイシンの溶液を含んで成るアスコマイシンの負荷充填物を調製し;湿った吸着樹脂、特に容器、特にカラムに含まれ得るAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20に前記負荷装填物を負荷し;約20〜約50体積%、特に約31〜40体積%のTHFを含んで成る、テトラヒドロフラン(THF)及び水の混合物、又は約30〜約70体積%及び特に約40〜約65体積%のアセトニトリルを含んで成る、アセトニトリル(ACN)及び水の混合物である溶離液により、負荷部分及び吸着樹脂を溶出し;約60%以上、好ましくは約60〜約90%の初期アスコマイシン(初期純度に依存して)を含む溶離液の少なくとも主要画分(中間留分)を集め;そして任意には、酸の存在下で減圧下で主要画分を濃縮し、そして任意には、そのようにして得られる生成物を回収することにより、主要画分から低められた不純物を有するアスコマイシンを単離する段階を包含する。
【0032】
もう1つの態様においては、本発明は、上記方法に従って調製されるアスコマイシンを供給する。
【0033】
さらにもう1つの態様においては、マクロライドはシロリマスである。シロリマスから不純物を分離する方法は、吸着樹脂、特に高網状樹脂、例えばAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20の負荷部分を伴って、又はそれらを伴わないで、シロリマスの溶液を含んで成るシロリマスの負荷充填物を調製し;湿った吸着樹脂、特に容器、特にカラムに含まれ得るAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20に前記負荷装填物を負荷し;約20〜約50体積%、特に約31〜40体積%のTHFを含んで成る、テトラヒドロフラン(THF)及び水の混合物、又は約30〜約70体積%及び特に約40〜約65体積%のアセトニトリルを含んで成る、アセトニトリル(ACN)及び水の混合物である溶離液により、負荷部分及び吸着樹脂を溶出し;約60%以上、好ましくは約60〜約90%の初期シロリマス(初期純度に依存して)を含む溶離液の少なくとも主要画分(中間留分)を集め;そして任意には、酸の存在下で減圧下で主要画分を濃縮し、そして任意には、そのようにして得られる生成物を回収することにより、主要画分から低められた不純物を有するシロリマスを単離する段階を包含する。
【0034】
もう1つの態様においては、本発明は、上記方法に従って調製されるシロリマスを供給する。
【0035】
さらにもう1つの態様においては、マクロライドはエベロリマスである。エベロリマスから不純物を分離する方法は、吸着樹脂、特に高網状樹脂、例えばAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20の負荷部分を伴って、又はそれらを伴わないで、エベロリマスの溶液を含んで成るエベロリマスの負荷充填物を調製し;湿った吸着樹脂、特に容器、特にカラムに含まれ得るAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20に前記負荷装填物を負荷し;約20〜約50体積%、特に約31〜40体積%のTHFを含んで成る、テトラヒドロフラン(THF)及び水の混合物、又は約30〜約70体積%及び特に約40〜約65体積%のアセトニトリルを含んで成る、アセトニトリル(ACN)及び水の混合物である溶離液により、負荷部分及び吸着樹脂を溶出し;約60%以上、好ましくは約60〜約90%の初期エベロリマス(初期純度に依存して)を含む溶離液の少なくとも主要画分(中間留分)を集め;そして任意には、酸の存在下で減圧下で主要画分を濃縮し、そして任意には、そのようにして得られる生成物を回収することにより、主要画分から低められた不純物を有するエベロリマスを単離する段階を包含する。
【0036】
もう1つの態様においては、本発明は、上記方法に従って調製されるエベロリマスを供給する。
【0037】
さらにもう1つの態様においては、マクロライドはピメクロリマスである。ピメクロリマスから不純物を分離する方法は、吸着樹脂、特に高網状樹脂、例えばAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20の負荷部分を伴って、又はそれらを伴わないで、ピメクロリマスの溶液を含んで成るピメクロリマスの負荷充填物を調製し;湿った吸着樹脂、特に容器、特にカラムに含まれ得るAmberlite(商標)XAD 1180 及び Diaion HP 20に前記負荷装填物を負荷し;約20〜約50体積%、特に約31〜40体積%のTHFを含んで成る、テトラヒドロフラン(THF)及び水の混合物、又は約30〜約70体積%及び特に約40〜約65体積%のアセトニトリルを含んで成る、アセトニトリル(ACN)及び水の混合物である溶離液により、負荷部分及び吸着樹脂を溶出し;約60%以上、好ましくは約60〜約90%の初期ピメクロリマス(初期純度に依存して)を含む溶離液の少なくとも主要画分(中間留分)を集め;そして任意には、酸の存在下で減圧下で主要画分を濃縮し、そして任意には、そのようにして得られる生成物を回収することにより、主要画分から低められた不純物を有するピメクロリマスを単離する段階を包含する。
【0038】
もう1つの態様においては、本発明は、上記方法に従って調製されるピメクロリマスを供給する。
【0039】
クロマトグラフィー条件
カラム: ZORBAX SB-C18 75 x 4.6 mm ; 3.5μm
プレ−カラム:SymmetryShieldRepp18 3.9 x 20 mm ; 5μm
溶離液: A:2000mlのメスフラスコ中で200mlのアセトニトリルを測定し、次に蒸 留水によりその体積を、合計2000mlの体積に希釈する。次に、100μlの 50%酢酸を添加する。
B:2000mlのアセトニトリルに100μlの50%酢酸を添加する。
【0040】
【表1】

【0041】
流速: 2.3ml/分
検出波長: 210nm
注入された体積: 20μl
サンプルの溶媒: アセトニトリル
カラムユニットの温度: 60℃
分析時間: 27分
タクロリマスの滞留時間:約14分
【0042】
不純物のアスコマイシン(RRT0.95)及びジヒドロタクロリマス(RRT1.25)の滞留時間は、タクロリマスに対してであり、そしてクロマトグラムに対するすべてのピークの面積に対する面積%として表わされる。
不純物タクロリマス(RRT1.00)の滞留時間は、マスコマイシンに対してであり、そしてクロマトグラムにおける全てのピークの面積に対する面積%として表わされる。
本発明の方法は、次の非制限的例により例示され得る。
【実施例】
【0043】
例1
面積%とは、上記に記載される方法により得られるHPLCクロマトグラムの面積%を言及する。
下記方法を、28〜32℃で行った。
カラム(約100Lの湿った吸着樹脂)を充填するために水:THFを用いてのカラム(直径45cm)における吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180)の層を調製した。
【0044】
水(86L)を、吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180;9L)が攪拌により懸濁される、アセトニトリル(10L)中、タクロリマス(1227g)の溶液に、攪拌しながらゆっくりと添加した。使用されるタクロリマスは、約2.6面積−%のRRT0.95及び約2.9面積−%のRRT1.25を含んだ。水の添加が完結した後、吸着樹脂の負荷装填物を、濾過により集めた。
集められた負荷装填物を、湿った吸着樹脂層の上部に、層として負荷した(並置した)。
【0045】
カラムをまず、THF/水(33体積%のTHF)から製造された第1溶離液約1800Lにより溶出した。次に、カラムを、THF/水(40体積%のTHF)から製造された第2溶離液により溶出した。溶出速度は、約11〜13L/時(6.9〜8.2cm/時)であった。約820gのタクロリマスを含む約460Lの主要画分(67%の収率)を集めた。約190gのタクロリマスを含むプレ−画分約80Lを集めた。
【0046】
主要画分(460L)を、リン酸(85%、460ml)と共に組合し、そして約230Lの体積に減圧下で濃縮した。濃縮物を1日間、周囲温度で保持した。(より長い保持時間を、続く実験において試みた。得られる結晶は、そこで得られた結晶よりも容易に濾過された)。結晶を、ヘキサンにより洗浄し、そして40℃で乾燥した。
主要画分から単離された生成物は、約0.1面積−%のRRT0.95及び約1.7面積−%のRRT1.25を有した。
プレ−画分から単離された生成物は、約3面積−%のRRT0.95及び約0.3面積−%のRRT1.25を有した。
【0047】
例2
例1の一般的方法を反復し、溶離液組成及び流速の効果を調べた。
それらの実験を通して、溶出流速の低下はクロマトグラフィーの分離効率を高めることが確立された。溶出流速の上昇は、クロマトグラフィーの効率を低める。25cm/cm2・時の流速(6.9〜8.2cm/cm2・時の代わりに)は、効率の有意な低下をもたらしたが、しかし例1に記載される画分の性質を有する主要画分が集められた。
【0048】
34体積%のTHF(33体積%の代わりに)の第1溶離液はクロマトグラフィーの収率を高めることがさらに確立された。その収率は69%であった。主要画分の不純物RRT:0.95レベルは、0.10面積%であった。
31体積%のTHFを有する溶出液が使用される場合、タクロリマスの溶出時間は高められた。言及される溶出液濃度(31、33、34,40体積%のテトラヒドロフラン)は、溶媒濃度の上昇を伴わないで、タクロリマスの溶出のために使用できることが見出された。
【0049】
それらのさらなる実験はまた、水:テトラヒドロフラン:溶媒の溶離混合物がまた効果的であることを確立した。水:テトラヒドロフラン:溶媒溶離液のために使用される試験される溶媒は、メタノール、アセトニトリル、アセトン、n−プロパノール及びn−ブタノールであった。適切な性質が、すべての場合において得られた。
【0050】
例3
面積%とは、上記に記載される方法により得られるHPLCクロマトグラムの面積%を言及する。
下記方法を、20〜25℃で行った。
カラム(約550mlの湿った吸着樹脂)を充填するために水を用いてのカラム(直径3.2cm)における吸着樹脂(Diaion SP 207)の層を調製した。
【0051】
タクロリマス(7.2g)を、アセトニトリル(30ml)及び水(20ml)の混合物に溶解した。タクロリマスは、約2.6面積%のRRT0.95(アスコマイシン)及び約2.9面積%のRRT1.25(ジヒドロタクロリマス)を含んだ。
タクロリマス溶液を、湿った吸着樹脂層の上部に層として負荷した。
カラムを、アセトニトリル/水リン酸(600:400:1)から製造された、約8Lの溶出液により溶出した。溶出速度は90ml/時であった。
【0052】
画分32〜45を一緒にした。組合された画分は、1.9gのタクロリマスを含んだ。一緒にされた画分の不純物含有物は、約2.9面積%のRRT0.95(アスコマイシン)及び約1.2面積%のRRT1.25(ジヒドロタクロリマス)であった。
記載される精製工程は、ジヒドロタクロリマスの低下のために適切である。好ましくは、溶離液は、約30〜70%、好ましくは約40〜65%のアセトニトリル含有率を有する。
【0053】
無機酸含有物は、クロマトグラフィー処理の間、タクロリマスの分離を妨げるために使用される。好ましくは、無機酸はリン酸である。好ましくは、リン酸含有物は、1部の溶離液に対して約0.005〜0.003部の酸である。
記載される精製工程は、例1及び2により記載される工程の効率を高める。
【0054】
例4
2つのカラムを、例1に従ってクロマトグラフィー処理のために調製した。クロマトグラフィー処理の前、3000gの活性物質含有タクロリマスを、次の方法に従って、吸着樹脂XAD1180上に吸着した。タクロリマスを、15Lのアセトンに溶解した。吸着樹脂(33L)を、前記溶液に添加し、そして90Lの水を、連続した攪拌下で前記溶液/樹脂混合物にゆっくり添加した。吸着樹脂の負荷装填物を、第1のカラムに含まれる吸着樹脂の上部に層として添加した(並置した)。
【0055】
第1のカラムを、テトラヒドロフラン:水の混合物(34体積%のTHF)により溶出した。溶出速度は15L/時であった。それぞれ20Lの画分を集めた。個々の画分の体積は20Lであった。35番目の画分の溶出の後、第2のカラムを、第1のカラムに連続的に連結し(流動的にカップリング)、そして溶出をカラム上で連続的に続けた。
95番目の画分が溶出した後、第1のカラムを分離し、そして溶出を第2カラムに対してのみ続けた。精製された適切な画分を組合した。
【0056】
THFの主要部分を、前記組み合わされた画分から、減圧下での蒸発により除去した。濃縮物を、酢酸エチルにより抽出し、そして相を分離した。分離された酢酸エチル相を、減圧下で濃縮した(約1部のタクロリマス及び1部の酢酸エチル)。シクロヘキサン及び水を、濃縮された酢酸エチル抽出物にゆっくりと添加した。沈殿されたタクロリマスを、混合物から0〜30℃で除去した。結晶を濾過し、そして乾燥した。
出発物質は、約0.5面積%のマスコマイシン(RRT0.95)及び約1.3%のジヒドロタクロリマス(RRT1.25)を含んだ。生成された結晶は、0.1面積%以下のアスコマイシン及び約0.4面積%のジヒドロタクロリマスを含んだ。
【0057】
例5
タクロリマスを、水:テトラヒドロフラン(67体積:33体積)混合物に溶解した。達成される溶媒濃度は約30g/lであった。その溶液を、吸着樹脂XAD1180上に通した。吸着樹脂は、タクロリマスを、吸着した。
吸着の後、タクロリマスの溶出を、例1におけるようにして続けた。
【0058】
例6
タクロリマスを、水:テトラヒドロフラン(67体積:33体積)混合物に溶解した。達成される溶媒濃度は約30g/lであった。その溶液を、吸着樹脂HP20上に通した。吸着樹脂は、タクロリマスを、吸着した。
吸着の後、タクロリマスの溶出を、例1におけるようにして続けた。
【0059】
例7
下記方法を、28〜32℃で行った。
カラム(約100Lの湿った吸着樹脂)を充填するために水:THFを用いてのカラム(直径45cm)における吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180)の層を調製した。
水(86L)を、吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180;9L)が攪拌により懸濁される、アセトニトリル(10L)中、タクロリマス(1227g)の溶液に、攪拌しながらゆっくりと添加した。使用されるアスコマイシンはRRT1.00を含んだ。水の添加が完結した後、吸着樹脂の負荷装填物を、濾過により集めた。
【0060】
集められた負荷装填物を、湿った吸着樹脂層の上部に、層として負荷した(並置した)。
カラムをまず、THF/水(33体積%のTHF)から製造された第1溶離液約1800Lにより溶出した。次に、カラムを、THF/水(40体積%のTHF)から製造された第2溶離液により溶出した。溶出速度は、約11〜13L/時(6.9〜8.2cm/時)であった。アスコマイシンを含む約460Lの主要画分を集めた。アスコマイシンを含むプレ−画分約80Lを集めた。
主要画分(460L)を、リン酸(85%、460ml)と共に組合し、そして約230Lの体積に減圧下で濃縮した。濃縮物を1日間、周囲温度で保持した。結晶を、ヘキサンにより洗浄し、そして40℃で乾燥した。
【0061】
例8
2つのカラムを、例1に従ってクロマトグラフィー処理のために調製した。クロマトグラフィー処理の前、3000gの活性物質含有アスコマイシンを、次の方法に従って、吸着樹脂XAD1180上に吸着した。アスコマイシンを、15Lのアセトンに溶解した。吸着樹脂(33L)を、前記溶液に添加し、そして90Lの水を、連続した攪拌下で前記溶液/樹脂混合物にゆっくり添加した。吸着樹脂の負荷装填物を、第1のカラムに含まれる吸着樹脂の上部に層として添加した(並置した)。
【0062】
第1のカラムを、テトラヒドロフラン:水の混合物(34体積%のTHF)により溶出した。溶出速度は15L/時であった。それぞれ20Lの画分を集めた。個々の画分の体積は20Lであった。35番目の画分の溶出の後、第2のカラムを、第1のカラムに連続的に連結し(流動的にカップリング)、そして溶出をカラム上で連続的に続けた。
95番目の画分が溶出した後、第1のカラムを分離し、そして溶出を第2カラムに対してのみ続けた。精製された適切な画分を一緒にした。
【0063】
THFの主要部分を、前記一緒にされた画分から、減圧下での蒸発により除去した。濃縮物を、酢酸エチルにより抽出し、そして相を分離した。分離された酢酸エチル相を、減圧下で濃縮した(約1部のアスコマイシン及び1部の酢酸エチル)。シクロヘキサン及び水を、濃縮された酢酸エチル抽出物にゆっくりと添加した。沈殿されたアスコマイシンを、混合物から0〜30℃で除去した。結晶を濾過し、そして乾燥した。
【0064】
例9
下記方法を、28〜32℃で行った。
カラム(約100Lの湿った吸着樹脂)を充填するために水:THFを用いてのカラム(直径45cm)における吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180)の層を調製した。
水(86L)を、吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180;9L)が攪拌により懸濁される、アセトニトリル(10L)中、シロリマス(1227g)の溶液に、攪拌しながらゆっくりと添加した。使用されるシロリマスは不純物を含んだ。水の添加が完結した後、吸着樹脂の負荷装填物を、濾過により集めた。
【0065】
集められた負荷装填物を、湿った吸着樹脂層の上部に、層として負荷した(並置した)。
カラムをまず、THF/水(33体積%のTHF)から製造された第1溶離液約1800Lにより溶出した。次に、カラムを、THF/水(40体積%のTHF)から製造された第2溶離液により溶出した。溶出速度は、約11〜13L/時(6.9〜8.2cm/時)であった。シロリマスを含む約460Lの主要画分を集めた。シロリマスを含むプレ−画分約80Lを集めた。
主要画分(460L)を、リン酸(85%、460ml)と共に組合し、そして約230Lの体積に減圧下で濃縮した。濃縮物を1日間、周囲温度で保持した。結晶を、ヘキサンにより洗浄し、そして40℃で乾燥した。
【0066】
例10
2つのカラムを、例1に従ってクロマトグラフィー処理のために調製した。クロマトグラフィー処理の前、3000gの活性物質含有シロリマスを、次の方法に従って、吸着樹脂XAD1180上に吸着した。シロリマスを、15Lのアセトンに溶解した。吸着樹脂(33L)を、前記溶液に添加し、そして90Lの水を、連続した攪拌下で前記溶液/樹脂混合物にゆっくり添加した。吸着樹脂の負荷装填物を、第1のカラムに含まれる吸着樹脂の上部に層として添加した(並置した)。
【0067】
第1のカラムを、テトラヒドロフラン:水の混合物(34体積%のTHF)により溶出した。溶出速度は15L/時であった。それぞれ20Lの画分を集めた。個々の画分の体積は20Lであった。35番目の画分の溶出の後、第2のカラムを、第1のカラムに連続的に連結し(流動的にカップリング)、そして溶出をカラム上で連続的に続けた。
95番目の画分が溶出した後、第1のカラムを分離し、そして溶出を第2カラムに対してのみ続けた。精製された適切な画分を一緒にした。
【0068】
THFの主要部分を、前記一緒にされた画分から、減圧下での蒸発により除去した。濃縮物を、酢酸エチルにより抽出し、そして相を分離した。分離された酢酸エチル相を、減圧下で濃縮した(約1部のシロリマス及び1部の酢酸エチル)。シクロヘキサン及び水を、濃縮された酢酸エチル抽出物にゆっくりと添加した。沈殿されたシロリマスを、混合物から0〜30℃で除去した。結晶を濾過し、そして乾燥した。
【0069】
例11
下記方法を、28〜32℃で行った。
カラム(約100Lの湿った吸着樹脂)を充填するために水:THFを用いてのカラム(直径45cm)における吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180)の層を調製した。
水(86L)を、吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180;9L)が攪拌により懸濁される、アセトニトリル(10L)中、エベロリマス(1227g)の溶液に、攪拌しながらゆっくりと添加した。使用されるエベロリマスは不純物を含んだ。水の添加が完結した後、吸着樹脂の負荷装填物を、濾過により集めた。
【0070】
集められた負荷装填物を、湿った吸着樹脂層の上部に、層として負荷した(並置した)。
カラムをまず、THF/水(33体積%のTHF)から製造された第1溶離液約1800Lにより溶出した。次に、カラムを、THF/水(40体積%のTHF)から製造された第2溶離液により溶出した。溶出速度は、約11〜13L/時(6.9〜8.2cm/時)であった。エベロリマスを含む約460Lの主要画分を集めた。エベロリマスを含むプレ−画分約80Lを集めた。
主要画分(460L)を、リン酸(85%、460ml)と共に組合し、そして約230Lの体積に減圧下で濃縮した。濃縮物を1日間、周囲温度で保持した。結晶を、ヘキサンにより洗浄し、そして40℃で乾燥した。
【0071】
例12
2つのカラムを、例1に従ってクロマトグラフィー処理のために調製した。クロマトグラフィー処理の前、3000gの活性物質含有エベロリマスを、次の方法に従って、吸着樹脂XAD1180上に吸着した。エベロリマスを、15Lのアセトンに溶解した。吸着樹脂(33L)を、前記溶液に添加し、そして90Lの水を、連続した攪拌下で前記溶液/樹脂混合物にゆっくり添加した。吸着樹脂の負荷装填物を、第1のカラムに含まれる吸着樹脂の上部に層として添加した(並置した)。
【0072】
第1のカラムを、テトラヒドロフラン:水の混合物(34体積%のTHF)により溶出した。溶出速度は15L/時であった。それぞれ20Lの画分を集めた。個々の画分の体積は20Lであった。35番目の画分の溶出の後、第2のカラムを、第1のカラムに連続的に連結し(流動的にカップリング)、そして溶出をカラム上で連続的に続けた。
95番目の画分が溶出した後、第1のカラムを分離し、そして溶出を第2カラムに対してのみ続けた。精製された適切な画分を一緒にした。
【0073】
THFの主要部分を、前記一緒にされた画分から、減圧下での蒸発により除去した。濃縮物を、酢酸エチルにより抽出し、そして相を分離した。分離された酢酸エチル相を、減圧下で濃縮した(約1部のエベロリマス及び1部の酢酸エチル)。シクロヘキサン及び水を、濃縮された酢酸エチル抽出物にゆっくりと添加した。沈殿されたエベロリマスを、混合物から0〜30℃で除去した。結晶を濾過し、そして乾燥した。
【0074】
例13
下記方法を、28〜32℃で行った。
カラム(約100Lの湿った吸着樹脂)を充填するために水:THFを用いてのカラム(直径45cm)における吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180)の層を調製した。
水(86L)を、吸着樹脂(Amberlite(商標)×AD1180;9L)が攪拌により懸濁される、アセトニトリル(10L)中、ピメクロリマス(1227g)の溶液に、攪拌しながらゆっくりと添加した。使用されるピメクロリマスは不純物を含んだ。水の添加が完結した後、吸着樹脂の負荷装填物を、濾過により集めた。
集められた負荷装填物を、湿った吸着樹脂層の上部に、層として負荷した(並置した)。
【0075】
カラムをまず、THF/水(33体積%のTHF)から製造された第1溶離液約1800Lにより溶出した。次に、カラムを、THF/水(40体積%のTHF)から製造された第2溶離液により溶出した。溶出速度は、約11〜13L/時(6.9〜8.2cm/時)であった。ピメクロリマスを含む約460Lの主要画分を集めた。ピメクロリマスを含むプレ−画分約80Lを集めた。
主要画分(460L)を、リン酸(85%、460ml)と共に組合し、そして約230Lの体積に減圧下で濃縮した。濃縮物を1日間、周囲温度で保持した。結晶を、ヘキサンにより洗浄し、そして40℃で乾燥した。
【0076】
例14
2つのカラムを、例1に従ってクロマトグラフィー処理のために調製した。クロマトグラフィー処理の前、3000gの活性物質含有ピメクロリマスを、次の方法に従って、吸着樹脂XAD1180上に吸着した。ピメクロリマスを、15Lのアセトンに溶解した。吸着樹脂(33L)を、前記溶液に添加し、そして90Lの水を、連続した攪拌下で前記溶液/樹脂混合物にゆっくり添加した。吸着樹脂の負荷装填物を、第1のカラムに含まれる吸着樹脂の上部に層として添加した(並置した)。
【0077】
第1のカラムを、テトラヒドロフラン:水の混合物(34体積%のTHF)により溶出した。溶出速度は15L/時であった。それぞれ20Lの画分を集めた。個々の画分の体積は20Lであった。35番目の画分の溶出の後、第2のカラムを、第1のカラムに連続的に連結し(流動的にカップリング)、そして溶出をカラム上で連続的に続けた。
95番目の画分が溶出した後、第1のカラムを分離し、そして溶出を第2カラムに対してのみ続けた。精製された適切な画分を一緒にした。
【0078】
THFの主要部分を、前記一緒にされた画分から、減圧下での蒸発により除去した。濃縮物を、酢酸エチルにより抽出し、そして相を分離した。分離された酢酸エチル相を、減圧下で濃縮した(約1部のピメクロリマス及び1部の酢酸エチル)。シクロヘキサン及び水を、濃縮された酢酸エチル抽出物にゆっくりと添加した。沈殿されたピメクロリマスを、混合物から0〜30℃で除去した。結晶を濾過し、そして乾燥した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロライドを、そこにおける不純物から分離するための方法であって、
a)初期レベルの不純物を有するマクロライドの負荷装填物を供給し、
b)吸着樹脂層に前記負荷装填物を充填し、
c)水、及びテトラヒドロフラン及びアセトニトリルから選択された有機溶媒を含んで成る溶離液により前記負荷された吸着樹脂層を溶出し、溶出液を得、そして
d)前記マクロライドを含んで成る溶出液の少なくとも1つの画分を集める段階を含んで成る方法。
【請求項2】
前記マクロライドの負荷装填物がさらに、吸着樹脂の負荷部分を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記負荷装填物が、前記溶液と抗−溶媒との組合せを包含する段階において、有機溶媒中、その溶液から前記負荷部分上に沈着される請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記有機溶媒が、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、エステル及び二極性非プロトン性溶媒から成る群から選択される請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記有機溶媒が、テトラヒドロフラン、アセトン及びアセトニトリルから成る群から選択される請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記抗−溶媒が、水、直鎖又は枝分れ鎖のアルカン、又はシクロアルカンから成る群から選択される請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記抗−溶媒が水である請求項6記載の方法。
【請求項8】
組合わされた抗−溶媒に対する組合された溶液の割合が、40%又はそれ以下である請求項3記載の方法。
【請求項9】
初期レベルの不純物よりも低い最終レベルの不純物を有するマクロライドを、少なくとも1つの画分から単離する段階をさらに含んで成る請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記単離が、低められた圧力及び約70℃又はそれ以下の温度で少なくとも1つの画分を濃縮する段階を含んで成る請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記温度が、約60℃又はそれ以下である請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記圧力が、約760mmHgである請求項10記載の方法。
【請求項13】
濃縮の前、少なくとも1つの画分と無機酸とを組合す段階をさらに含んで成る請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記無機酸が、リン酸である請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記酸の量が、溶離液1L当たり1〜約10mlである請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記単離が、少なくとも1つの溶離液画分と抗−溶媒とを組合す段階を含んで成る請求項9記載の方法。
【請求項17】
前記組合せの前、少なくとも1つの溶出液画分を、減圧下で濃縮する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記吸着樹脂が、高網状樹脂である請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記高網状樹脂が、Amberlite(商標) XAD樹脂及びDiaion吸着樹脂から成る群から選択される請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記高網状樹脂が、Amberlite(商標) XAD1180である請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記吸着樹脂層が、カラムに閉じこめられる請求項1〜20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの画分において集められた溶出液の体積が、前記負荷装填物に最初に存在するマクロライドの約60〜約90重量%を含んで成る請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記溶離液の流速が、約25cm/時以下である請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記溶離液の流速が、約15cm/時以下である請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記マイクロライドが、タクロリマス(tacrolimus)、アクソマイシン(acsomycin)、シロリマス(sirolimus)、エベロリマス(everolimus)及びピメクロリマス(pimecrolimus)から成る群から選択される請求項1〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記マクロライドが、タクロリマスである請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記溶離液が、約20〜約50体積%のテトラヒドロフランを有する、テトラヒドロフラン及び水の混合物を含んで成る請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記溶離液が、約31〜約40体積%のテトラヒドロフランを有する請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記溶離液が、約33〜約35体積%のテトラヒドロフランを有する請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記溶離液が、約30〜約70体積%のアセトニトリルを有する、アセトニトリル及び水の混合物を含んで成る請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記溶離液が、約40〜約65体積%のアセトニトリルを有する請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記溶離液が、溶離液1体積部当たり約0.003体積部までの無機酸を含む請求項1〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記無機酸が、リン酸であり請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記マクロライドが、アスコマイシンである請求項25記載の方法。
【請求項35】
前記マクロライドが、シロリマスである請求項25記載の方法。
【請求項36】
前記マクロライドが、エベロリマスである請求項25記載の方法。
【請求項37】
前記マクロライドが、ピメクロリマスである請求項25記載の方法。
【請求項38】
前記負荷装填物が、高網状システムにおける吸着樹脂の負荷部分上に負荷される請求項2〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの追加の吸着樹脂層が、段階bの吸着樹脂層に連結される請求項1記載の方法。
【請求項40】
追加の一連の溶離液画分の後、段階bの樹脂層が切断される請求項39記載の方法。
【請求項41】
タクロリマスを、そこにおける不純物マスコマイシン及びジヒドロタクロリマスから分離するための方法であって、
a)高網状樹脂である吸着樹脂の負荷部分上に初期レベルの不純物マスコマイシン及びジヒドロタクロリマスを有するタクロリマスの負荷装填物を供給し、
b)吸着樹脂層に対して、タクロリマスの負荷装填物を担持する負荷部分を並置し、
c)前記負荷部分及びそれに対して並置される層を、水、及びテトラヒドロフラン及びアセトニトリルから選択された有機溶媒を含んで成る溶離液により溶出し、溶出液を得、
d)溶出液の少なくとも1つの画分を集め、そして
e)前記少なくとも1つの画分から、初期レベルの不純物よりも低い最終レベルの不純物アスコマイシン及びジヒドロタクロリマスを有するタクロリマスを単離する段階を含んで成る方法。
【請求項42】
前記溶離液が、約20〜約50体積%のテトラヒドロフランを有する、テトラヒドロフラン及び水の混合物を含んで成る請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記溶離液が、約31〜約40体積%のテトラヒドロフランを有する、テトラヒドロフラン及び水の混合物を含んで成る請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記混合物が、約33〜約35体積%のテトラヒドロフランを有する請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記溶離液が、約30〜約70体積%のアセトニトリルを有する、アセトニトリル及び水の混合物を含んで成る請求項41記載の方法。
【請求項46】
前記溶離液が、約40〜約65体積%のアセトニトリルを有する請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記溶離液が、溶離液1体積部当たり約0.003体積部までの無機酸を含む請求項41記載の方法。
【請求項48】
前記無機酸が、リン酸であり請求項47記載の方法。

【公表番号】特表2007−521013(P2007−521013A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521315(P2006−521315)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/024318
【国際公開番号】WO2005/010015
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(501309071)テバ ジョジセルジャール ザ−トケルエン ムケド レ−スベニュタ−ルシャシャ−グ (30)
【Fターム(参考)】