説明

マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤

マクロライド系化合物(例えば、タクロリムス)を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤においては、バルブ部の「ガスケット」を構成する材料の種類によっては主薬であるマクロライド系化合物が該バルブ部を構成する樹脂に一部吸着され、エアゾール製剤を保管する場合に、エアゾール組成物の組成が経時変化し、エアゾール組成物に占める主薬の割合が小さくなるとの問題があった。本発明は、マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤において、該封入容器のバルブ部の「ガスケット」を構成する材料として、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、もしくは、熱可塑性エラストマーから一種類または複数種類の樹脂材料を選択することにより上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤に関する。
【背景技術】
従来、ラパマイシン、タクロリムス、アスコマイシン等のStreptomyces属の微生物が産出するマクロライド系化合物やその類似体、およびそれらの誘導体が知られている。マクロライド系化合物とは大環状ラクトンであり、環の員数が12またはそれ以上の化合物の総称である。マクロライド系化合物の好ましい一つの例としては、トリシクロ化合物およびその医薬として許容される塩が挙げられる。
このようなトリシクロ化合物並びにラパマイシンおよびその誘導体は、類似の基本骨格、すなわちトリシクロマクロライド骨格と少なくとも一つの類似の生物学的特性(例えば、免疫抑制作用)を有する。
また、医療用のエアゾール製剤(本明細書におけるエアゾール製剤は、エアゾール組成物と、該エアゾール組成物を封入する封入容器とを合わせたものとする)は、例えば、気管支喘息発作の処置のために受容者の気道の中へ微細化した形態の医薬活性化合物を吸気とともに送達するために適合した薬物送達システム、いわゆる吸入用製剤として医薬の分野で広く用いられている。
そして、上記医療用のエアゾール製剤に用いられる、マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物の一例として、タクロリムスを主薬として含有し、その他必要に応じて中鎖脂肪酸トリグリセライド(飽和脂肪酸〔CH3(CH2)nCOOH;n=4〜10〕のトリグリセライド)からなる潤滑剤や、液化ヒドロフルオロアルカン(例えば、HFA−134a)からなる噴射剤等を含有するエアゾール組成物の技術は公知となっている。例えば、国際公開第97/010806号パンフレットに記載の如くである。
このようなエアゾール組成物を封入するための封入容器の具体例としては、定量噴霧式吸入器(Metered Dose Inhaler;MDI)等が挙げられる。該定量噴霧式吸入器は主に、容器部と、蓋部と、バルブ部と、で構成され、該バルブ部は、蓋部と容器部との接触部位や蓋部とバルブ部との接触部位においてエアゾール組成物が外部に漏れるのを防止するガスケット(パッキン)としての機能(この機能を達成するためのバルブ部の構造部分を「ガスケット」と称する。請求の範囲の記載においても同じ。)と、使用時に該エアゾール組成物を封入容器外に定量噴霧する機能とを兼ねている。例えば、国際公開第99/043575号パンフレットに記載の如くである。
【発明の開示】
上記定量噴霧式吸入器のバルブ部の「ガスケット」を構成する材料としては、通常、樹脂材料がよく使用されるが、前記タクロリムスを包含するマクロライド系化合物を主薬として含有するエアゾール組成物を、定量噴霧式吸入器に封入することにより、エアゾール製剤を調製すると、該マクロライド系化合物がバルブ部の「ガスケット」を構成する樹脂材料に一部吸着(収着の場合を含む)される場合があることが明らかとなった。このことは、上記エアゾール組成物を定量噴霧式吸入器に封入した状態で保管する場合に、該定量噴霧式吸入器内でエアゾール組成物の組成が経時変化し、エアゾール組成物に占める主薬の割合が小さくなる可能性があることを示唆するものである。特に、初期状態(封入容器に封入された時点)での主薬の濃度が小さい(濃度が低い)エアゾール組成物の場合においては、主薬がバルブ部の「ガスケット」に吸着されることによる主薬の含有量の低下(濃度低下)が大きな問題となる。
本発明は以上の如き状況に鑑み、マクロライド系化合物(例えば、タクロリムス)を含有するエアゾール組成物を、その組成を経時変化させることなく長期間保管可能とするエアゾール製剤を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
上記課題を解決するためには、「ガスケット」を構成する材料の選択が肝要である。
まず、マクロライド系化合物(例えば、タクロリムス)を吸着することがない(より厳密には、マクロライド系化合物の吸着量が非常に小さい)材料を選択することが必要である。
また、「ガスケット」がバルブ部において果たす役割の面から、一定の強度と、一定の柔軟性とを兼ね備える材料を選択することも必要である。要請される「強度」と「柔軟性」とのバランスは、バルブ部の構造上「ガスケット」が占める部分によっても、適宜調整する必要がある。
このような観点から、マクロライド系化合物(例えば、タクロリムス)を主薬として含有するエアゾール組成物を封入容器に封入することにより調製されるエアゾール製剤に最適な「ガスケット」構成材料を探索し、以下の構成を有するエアゾール製剤が、上記課題を解決できることを見出した。
「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤において、
該封入容器のバルブ部の「ガスケット」を構成する材料として、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、もしくは、熱可塑性エラストマー、
から一種類または複数種類の樹脂材料を選択したものである、エアゾール製剤。」
【図面の簡単な説明】
図1は不使用時における定量噴霧式吸入器の側面断面図である。図2は使用時における定量噴霧式吸入器の側面断面図である。図3は樹脂材料の種類と、該樹脂材料へのエアゾール組成物中の主薬の吸着性との関係を示す図である。図4はエアゾール製剤静置時におけるエアゾール組成物中の主薬残存率の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明のエアゾール製剤について詳述する。
上記「ガスケット」を構成する各樹脂材料について、好適なものを具体例として挙げると以下の通りである。なお、本出願における「樹脂材料」とは、ゴム、プラスチックおよび熱可塑性エラストマーを包含する高分子材料を意味するものとする。また、後述する樹脂材料の具体例に、劣化防止、物性改良、等のために高分子材料分野で通常用いられる添加剤(例えば、加工安定化剤(具体例には、Irgafos(商標;チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレイテッド社製)168、Irgafos P−EPQ、等)、紫外線吸収剤(具体例には、Chimassorb(商標;チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレイテッド社製)81、Tinuvin(商標;チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレイテッド社製)213、Sumisorb(商標;住友化学工業製)400、等)、酸化防止剤(具体例には、Sumilizer(商標;住友化学工業製)GA80、Irganox(商標;チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレイテッド社製)245、Irganox B215、等)、等)を添加したものも、本発明の範囲のものである。
「ブチルゴム」: 不飽和度(イソプレン量)が0.6〜2.5モル%のブチルゴム、例えば、Valois社コード番号540、等
「エチレンプロピレンゴム」: プロピレン含量が15〜50モル%のエチレンプロピレンゴム;または、エチレンプロピレンゴムに、少量の第三成分として、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、等を重合したエチレンプロピレンジエンゴム、例えば、Valois社コード番号808、等
「クロロプレンゴム」: 硫黄変性タイプ、非硫黄変性タイプまたは高結晶化タイプのクロロプレンゴム、例えば、ネオプレン(商標;Du Pont社製)、Valois社コード番号210B、等
「ポリエチレン」: 低密度、中密度または高密度ポリエチレン、例えば、Hostalen(商標;Bassel Polyolefine社製)、等
「ポリブチレンテレフタレート」: テトラメチレングリコール(1,4ブタンジオール)とテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとの重縮合で合成されたポリブチレンテレフタレート、例えば、Valox(商標;General Electric Plastics社製)、等
「ポリアセタール」: ホモポリマータイプ(ポリオキシメチレン)またはコポリマータイプのポリアセタール、例えば、Delrin(商標;Du Pont社製)、Kematal(商標;Ticona社製)、等
「ポリアミド」: ナイロン6、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン66、等のポリアミド、例えば、Zytel(商標;Du Pont社製)
「ポリテトラフルオロエチレン」: 日晃商会コード番号8070、等
「ポリプロピレン」: ExxonMobil社製PP1013H1、等
「熱可塑性エラストマー」:ソフトセグメントとして、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、ハードセグメントとして、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチック、との混合物である熱可塑性エラストマー、例えば、Valois社コード番号S8501、等
上記「ガスケット」を構成する樹脂材料中、より好ましいものは以下の通りである。
1)ブチルゴム
2)エチレンプロピレンゴム
3)クロロプレンゴム
4)ソフトセグメントとしてのブチルゴム、エチレンプロピレンゴムまたはクロロプレンゴムと、ハードセグメントとしてのポリエチレンまたはポリプロピレンとの混合物であるポリオレフィン系の熱可塑性エラストマー(特に好ましくは、ブチルゴムとポリエチレンとの混合比(重量比)が約2:3から約3:2の範囲の混合物であるポリオレフィン系の熱可塑性エラストマー)
上記熱可塑性エラストマー以外でも、ポリスチレン系の熱可塑性エラストマー(ポリスチレンとポリブタジエンとの混合物、ポリスチレンとポリイソプレンとの混合物等)、1,2ポリブタジエン系の熱可塑性エラストマー(シンジオ−1,2ポリブタジエンと無定形1,2ポリブタジエンとの混合物等)、ポリオレフィン系の熱可塑性エラストマー(ポリエチレンまたはポリプロピレンとエチレン・ブテンゴムとの混合物等)、ポリウレタン系の熱可塑性エラストマー(ポリウレタンとポリエステルとの混合物、ポリウレタンとポリエーテルとの混合物等)、ポリエステル系の熱可塑性エラストマー(ポリエステルとポリエーテルとの混合物等)、ポリアミド系の熱可塑性エラストマー(ポリアミドとポリエステルとの混合物、ポリアミドとポリエーテルとの混合物等)、塩素化ポリエチレン系の熱可塑性エラストマー(ブロック型塩素化ポリエチレンとランダム塩素化ポリエチレンとの混合物等)、ポリ塩化ビニル系の熱可塑性エラストマー(ポリ塩化ビニルと非晶質ポリ塩化ビニルとの混合物等)、ポリフルオロカーボン系の熱可塑性エラストマー(フッ素樹脂とフッ素ゴムとの混合物等)において、マクロライド系化合物を吸着することがない(より厳密には、マクロライド系化合物の吸着量が非常に小さい)樹脂材料については、「ガスケット」を構成する材料として使用することが可能である。
「ガスケット」を構成する材料の選択においては、前述した通り一定の強度と一定の柔軟性とのバランスをとる必要がある。この観点から、バルブ部の構造上どの部分を占める「ガスケット」を構成する材料であるかも加味して、材料を選択しなければならない。
一般にバルブ部を構成する「ガスケット」は、以下の3つの部分からなる(但し、この構成には限定されない)。
(1)封入容器の気密性(容器部と蓋部との気密性)を確保するためのガスケット部分、すなわちネックガスケット部分
(2)摺動部材に当接して封入容器の内部と定量室とを気密的に区画するガスケット部分、すなわち第一ガスケット部分
(3)摺動部材に当接して定量室と封入容器の外部とを気密的に区画するガスケット部分、すなわち第二ガスケット部分
ここで、定量室とは、封入容器内のエアゾール組成物を所定量取り出すためのバルブ部の構成部分をいう。また、摺動部材とは、封入容器の内部に退避する方向に摺動して封入容器の内部と定量室とを連通し、封入容器の外部に突出する方向に摺動して封入容器の外部と定量室とを連通して所定量のエアゾール組成物を外部に噴出するためのバルブ部の構成部分をいう。
本出願において、上記三つのガスケット部分をそれぞれネックガスケット部分、第一ガスケット部分、第二ガスケット部分と称する。
ネックガスケット部分は、封入容器の内部空間である封入室の気密性を確保するための部材である。そのため、ネックガスケット部分には、ある程度の柔軟性(塑性変形または弾性変形し得ること)を有し、容器部や蓋部、あるいはバルブ部を構成する他の部材と密着可能であることが要求される。
また、ネックガスケット部分は、封入容器の内部空間たる封入室に充填されたエアゾール組成物との接触面積が大きいことから、マクロライド系化合物の吸着が特に少ないことが要求される。
第一ガスケット部分および第二ガスケット部分は、摺動部材に気密的に摺接する部材である。また、充填量にもよるが、摺動部材は、封入容器に充填されるエアゾール組成物を完全に(最後まで)使用するまでに数百回程度の往復摺動をする。
そのため、第一ガスケット部分および第二ガスケット部分には前記ネックガスケット部分よりも更に高い柔軟性が要求される。
また、第一ガスケット部分および第二ガスケット部分にもマクロライド系化合物の吸着量が小さいことが要求されることは言うまでもないが、第一ガスケット部分および第二ガスケット部分は、ネックガスケット部分と比較すると小さい部材であり、封入容器に充填されるエアゾール組成物との接触面積も小さい。ここで、マクロライド系化合物のバルブ部を構成する部材への吸着は、該マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物と接触する該部材の表面で起こると考えられるので、表面積の小さい第一ガスケット部分および第二ガスケット部分を構成する材料については、表面積の大きいネックガスケット部分を構成する材料ほど高いマクロライド系化合物の非吸着性(単位面積当たりのマクロライド系化合物の吸着が少ないこと)は要求されない。
よって、第一ガスケット部分および第二ガスケット部分を構成する材料は高い柔軟性をより重視して選択することができる。
以上の種々の条件を考慮して、各ガスケット部分の特に好ましい構成材料としての樹脂材料を挙げると、以下の通りである。
ネックガスケット部分: ブチルゴム(具体的には、Valois社コード番号540、等が挙げられる); または、熱可塑性エラストマー、より好ましくは、ブチルゴムとポリエチレンとの混合物である熱可塑性エラストマー、さらに好ましくは、ブチルゴムとポリエチレンとの混合比(重量比)が約2:3から約3:2の範囲の混合物である熱可塑性エラストマー(具体的には、Valois社コード番号S8501、等が挙げられる)
第一ガスケット部分および第二ガスケット部分: ブチルゴム(具体的には、Valois社コード番号540、等が挙げられる)、エチレンプロピレンゴム(具体的には、Valois社コード番号808、等が挙げられる)、または、クロロプレンゴム(具体的には、ネオプレン(商標;Du Pont社製)、Valois社コード番号210B、等が挙げられる);より好ましくは、クロロプレンゴム(具体的には、Valois社コード番号210B、等が挙げられる)
なお、該樹脂材料へのマクロライド系化合物(例えば、タクロリムス)の吸着を望ましい範囲内に留めるとの観点からは、上記「ガスケット」を構成する樹脂材料として、
「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料」を選択することが取り分け好ましい。
「マクロライド系化合物」とは、大環状ラクトンであり、環の員数が12またはそれ以上の化合物の総称であり、本発明を実施する上で特に好ましいものとしては、タクロリムス、その水和物またはその塩類が挙げられる。
「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物」としては、主薬としてマクロライド系化合物(好ましくは、タクロリムス)、噴射剤として液化ヒドロフルオロアルカン、を含有するエアゾール組成物が挙げられる。適宜、中鎖脂肪酸トリグリセライド等の潤滑剤を含有させることができる。中鎖脂肪酸トリグリセライドの具体例としては、ミグリオール(商標;サソール社製)、パナセート(商標;日本油脂製)、ココナード(商標;花王製)、ミリトール(商標;ヘンケル−白水製)GM、ODO(商標;日清製油製)等の市販品が挙げられる。
「液化ヒドロフルオロアルカン」としては、HFA−134a、HFA−227等が挙げられる。これらは、各々単独で、または、混合して使用することができる。該液化ヒドロフルオロアルカンを用いてエアゾール組成物を調製する場合、該液化ヒドロフルオロアルカンに溶解し得るタクロリムスの含有量は、最大で0.15wt%程度である。
「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物」は、当分野での常法により調製することができる。
「バルブ部」は、当分野で通常使用されるものを用いることができるが、定量噴霧式吸入器のためのものであることが好ましい。
なお、「バルブ部」は、前記の「ガスケット」および摺動部材、後記の定量チャンバー部材、ハウジングおよびプロテクションリング、を構成部材として含むことが好ましい。
本発明の「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤」のその他の構成部分については、当業者は当分野の技術常識に基づいて適宜調製することができる。
本発明の好ましい実施態様を以下に例示する。但し、本発明の実施態様がこれらに限定されるものではない。
本発明に係るマクロライド系化合物が、タクロリムスまたはその水和物であることが好ましい。
特に、該タクロリムスまたはその水和物のエアゾール組成物における含有量が0.15wt%以下であることが好ましい。
本発明に係るエアゾール組成物が、液化ヒドロフルオロアルカンを含有することが好ましい。
特に、該液化ヒドロフルオロアルカンが、HFA−134a、もしくは、HFA−227、または、それらの混合物である、ことが好ましい。
本発明に係るエアゾール組成物が、中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有することが好ましい。
本発明に係る封入容器が、定量噴霧式吸入器であることが好ましい。
本発明に係る「ガスケット」を構成する材料が、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、もしくは、熱可塑性エラストマーから選択された一種類または複数種類の樹脂材料であることが好ましい。
本発明に係る「ガスケット」を構成する材料の少なくとも1つが熱可塑性エラストマーであり、
該熱可塑性エラストマーが、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、もしくはクロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、
ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチックとの混合物であることが好ましい。
特に、該熱可塑性エラストマーが、ブチルゴムとポリエチレンとの混合物であることが好ましい。
本発明に係る「ガスケット」を構成する少なくとも1つの材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものであることが好ましい。
本発明に係る「ガスケット」が、
封入容器の気密性を確保するためのネックガスケット部分を具備し、
該ネックガスケット部分を構成する材料として、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、もしくは、熱可塑性エラストマー、から一種類または複数種類の樹脂材料を選択したものであることが好ましい。
特に、該ネックガスケット部分を構成する材料が、ブチルゴムあるいは熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
本発明に係るネックガスケット部分を構成する材料が、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、もしくはクロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、
ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチックとの混合物である熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
特に、該ネックガスケット部分を構成する材料が、ブチルゴムとポリエチレンとの混合物である熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
本発明に係るネックガスケット部分を構成する少なくとも1つの材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものであることが好ましい。
本発明に係るバルブ部が、
封入容器内のエアゾール組成物を所定量取り出すための定量室と、
封入容器の内部に退避する方向に摺動して封入容器の内部と定量室とを連通し、封入容器の外部に突出する方向に摺動して封入容器の外部と定量室とを連通して所定量のエアゾール組成物を外部に噴出する摺動部材と、を具備するものであり、
前記バルブ部の「ガスケット」が、
封入容器の気密性を確保するためのネックガスケット部分と、
摺動部材に当接して封入容器の内部と定量室とを気密的に区画する第一ガスケット部分と、
摺動部材に当接して定量室と封入容器の外部とを気密的に区画する第二ガスケット部分とを具備し、
該ネックガスケット部分、第一ガスケット部分、並びに第二ガスケット部分を構成する材料として、各々ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、もしくは、熱可塑性エラストマーから一種類または複数種類の樹脂材料を選択したものであることが好ましい。
本発明に係るネックガスケット部分を構成する材料が、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、もしくはクロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、
ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチックとの混合物である熱可塑性エラストマーであり、
第一ガスケット部分および第二ガスケット部分を構成する材料が、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムまたはクロロプレンゴムであることが好ましい。
本発明に係るネックガスケット部分を構成する材料が、ブチルゴムとポリエチレンとの混合物である熱可塑性エラストマーであり、
第一ガスケット部分および第二ガスケット部分を構成する材料が、クロロプレンゴムであることが好ましい。
本発明に係るネックガスケット部分、第一ガスケット部分、並びに、第二ガスケット部分を構成する少なくとも1つの材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものであることが好ましい。
本発明に係るバルブ部が、定量チャンバー部材、摺動部材およびハウジングを具備するものであり、該定量チャンバー部材、摺動部材およびハウジングを構成する材料の少なくとも一つが樹脂材料である場合に、
該樹脂材料として、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類の樹脂材料を選択したものであることが好ましい。
特に、該樹脂材料として、ポリブチレンテレフタレートを選択したものであることが好ましい。
さらに、該樹脂材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものであることが好ましい。
本発明に係るバルブ部が、プロテクションリングを具備するものであり、該プロテクションリングを構成する樹脂材料が、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンであることが好ましい。
特に、該樹脂材料が、ポリエチレンまたはポリアミドであることが好ましい。
さらに、該樹脂材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものであることが好ましい。
本発明の「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤」は、エアゾール製剤中のエアゾール組成物の組成が実質的に経時変化することがなく、医薬品としての品質を長期間保持することができるとの効果を奏する。
バルブ部の「ガスケット」の構成材料を適宜選択したことにより上記の効果が生じることを示すため、具体的な実験データを後述の実施例において詳述する。
「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤の具体例」
以下では図1および図2を用いて、本発明の「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤」のうち、特に吸入用製剤の調製に好適な封入容器である定量噴霧式吸入器1の詳細な構成を、本発明の実施の一形態として説明する。
なお、本発明のエアゾール製剤は、以下の実施例に示す吸入用製剤に限定されず、他の用途の製剤(例えば、外用塗布剤、空間噴霧剤、内服剤、等)としても適用可能である。
なお、以下の説明においては、便宜上図1中の矢印Aの方向を「上」とする。
図1に示す如く、定量噴霧式吸入器1は主に、容器部2、蓋部3、バルブ部4で構成される。
容器部2はエアゾール組成物を封入するための定量噴霧式吸入器1の胴体を構成する部材であり、下面が開口し、上面が閉塞された略円筒形状を呈している。本実施例においては、容器部2はアルミニウム合金で構成されている。
蓋部3は、エアゾール組成物を容器部2内に充填後、密封するための蓋としての機能と、定量噴霧式吸入器1にバルブ部4を固定するための固定部材としての機能とを備える。
本実施例においては、蓋部3は容器部2と同じくアルミニウム合金で構成され、その形状は上面が開口し、下面が閉塞された略円筒形状である。また、蓋部3の下面中央部は下方に膨出し、膨出部3aが形成される。蓋部3の内側にはバルブ部4が配置され、膨出部3aを側方からカシメ変形させることにより、バルブ部4が蓋部3に固定される。
該膨出部3aの略中央には孔が穿設され、バルブ部4を構成する部材の一つである摺動部材8が該孔より下方に突出する。容器部2と、蓋部3と、バルブ部4とで囲まれる空間である封入室13には、例えば、タクロリムスを主薬として含有するエアゾール組成物が封入される。
バルブ部4は、蓋部3と容器部2との接触部位および蓋部3とバルブ部4との接触部位においてエアゾール組成物が外部に漏れるのを防止するガスケット(パッキン)としての機能と、使用時に該エアゾール組成物を定量噴霧式吸入器1の外部に定量噴霧する機能とを兼ねている。
本実施例におけるバルブ部4は主にハウジング5、プロテクションリング6、ネックガスケット7、摺動部材8、バネ9、定量チャンバー部材10、第一ガスケット11、第二ガスケット12等で構成される。
ハウジング5は直径の異なる二つの円筒を積層した形状であり、ハウジング5の上半部の直径が小さく、ハウジング5の下半部の直径が大きく形成される。また、ハウジング5の最上面は閉塞されるとともに最下面は開口されている。ハウジング5の上半部の内部はバネ室14となっており、該バネ室14にはバネ9が配置される。
ハウジング5の上半部の外周面にはスリット5a・5a・5aが穿設され、該スリット5a・5a・5aにより、バネ室14と、エアゾール組成物が封入されている空間である封入室13とが連通される。
プロテクションリング6は蓋部3を容器部2に外嵌し、塑性変形させてエアゾール組成物を密封する際に、容器部2が容器部2の内部に向かって塑性変形しないように保護(支持)するための部材である。本実施例におけるプロテクションリング6は略リング形状の部材であり、ネックガスケット7とともにハウジング5の上半部に外嵌される。
ネックガスケット7は定量噴霧式吸入器1の気密性を確保するための部材であり、本実施例においては略中央に孔が穿設された略円盤形状に形成される。
蓋部3の上縁部を、容器部2の側面に周方向に設けられた凹みである凹み部2aに沿って内側に変形させると、容器部2の下縁部が下方に押し下げられ、ネックガスケット7の下面と蓋部3の下面内壁とが密着するとともに、容器部2の下縁部がネックガスケット7の上面に当接する。
そして、ネックガスケット7が弾性変形(または塑性変形)して、ネックガスケット7に穿設された孔の端面とハウジング5の下半部の外周面とが密着する。従って、定量噴霧式吸入器1の内部空間である封入室13の気密性が確保される。
摺動部材8は略円柱形状の部材であり、ハウジング5に上下方向(すなわち、定量噴霧式吸入器1の内部に退避する方向および定量噴霧式吸入器1の外部に突出する方向)に摺動可能に収容される。
摺動部材8の側面中途部には周方向に突出した二箇所の係止部8a・8bが形成される。
このとき、バネ9はハウジング5上半部の内部空間であるバネ室14に収容され、摺動部材8の側面上部に形成された係止部8aに係合して摺動部材8を下方(すなわち、定量噴霧式吸入器1の外部に突出する方向)に付勢している。
ハウジング5の下半部には、上方から下方に向けて順に、第一ガスケット11、定量チャンバー部材10および第二ガスケット12が収容され、ハウジング5に収容された摺動部材8は、ハウジング5の下半部を上下に貫通している。そして、第一ガスケット11、第二ガスケット12、定量チャンバー部材10、ハウジング5の下半部、および摺動部材8の外周面で囲まれた空間である定量室15は、定量噴霧式吸入器1の封入室13に充填されたエアゾール組成物を所定量取り出すための空間である。
本実施例における第一ガスケット11および第二ガスケット12は、中央部に孔が形成された略円盤形状の部材であり、該孔に摺動部材8が摺動可能に貫装される。このとき、第一ガスケット11および第二ガスケット12は摺動部材8の外周面と気密的に摺接(摺動可能に当接)する。
摺動部材8の側面中途部に形成された係止部8bは、係止部8aより下方、かつ定量室15内となる位置に形成されている。
バネ9により下方に付勢された摺動部材8は、図1に示す不使用時においては、係止部8bが第二ガスケット12の上面(定量室15に対向する面)に当接した位置で静止している。
摺動部材8には連通経路16および噴霧経路17が穿設されるとともに、摺動部材8の下部は蓋部3の膨出部3aに穿設された孔から下方(すなわち、定量噴霧式吸入器1の外部)に突出している。
連通経路16の上端側の開口部は、摺動部材8の外周面において図1に示す不使用時(係止部8bが第二ガスケット12の上面に当接し、摺動部材8が最も下方に摺動しているとき)および図2に示す使用時(摺動部材8が上方に摺動しているとき)のいずれの時にもバネ室14に対向している部分(または摺動部材8の上端面)に設けられている。
連通経路16の下端側の開口部は、摺動部材8の外周面において図1に示す不使用時にはバネ室14に対向し、かつ、図2に示す使用時には定量室15に対向する部分に設けられている。
噴霧経路17の上端側の開口部は、摺動部材8の外周面において図1に示す不使用時には定量噴霧式吸入器1の外部に突出し、かつ、図2に示す使用時には定量室15に対向する部分に設けられている。
噴霧経路17の下端側の開口部は、摺動部材8の下端面に設けられており、噴霧口17aを形成している。
また、定量室15の容積は、定量噴霧式吸入器1から噴霧される一回分のエアゾール組成物の量と略同じに構成されている。
このように構成することにより、摺動部材8が下方に摺動し、図1に示す不使用時の状態になると、定量室15は、定量噴霧式吸入器1の外部と気密的に区画されるが、連通経路16により定量噴霧式吸入器1の内部空間たる封入室13と連通している。すなわち、不使用時には、定量室15に一回分の噴霧量となるエアゾール組成物が収容されている。
次に、摺動部材8が上方に摺動し、図2に示す使用時の状態になると、定量室15は、封入室13と気密的に区画されるが、噴霧経路17により定量噴霧式吸入器1の外部と連通している。
このとき、定量室15内のエアゾール組成物の圧力は封入室13内のエアゾール組成物の圧力と略同じであり、大気圧よりも高く設定されているため、定量室15に収容されていた一回分の噴霧量となるエアゾール組成物が噴霧口17aより定量噴霧式吸入器1の外部に噴出される。
ハウジング5および摺動部材8は、バルブ部4の構造体たる部材であり、バネ9により付勢される。また、定量チャンバー部材10は、第一ガスケット11および第二ガスケット12が摺動部材8の摺動に伴って動かないように支持する部材である。そのため、定量チャンバー部材10、ハウジング5および摺動部材8には高い強度が要求される。
また、タクロリムスを包含するマクロライド系化合物の吸着はエアゾール組成物が接触する部材の表面において起こると考えられるが、取り分け、ハウジング5、摺動部材8およびプロテクションリング6は定量噴霧式吸入器1の内部空間たる封入室13に充慎されたエアゾール組成物との接触面積が大きいことから、マクロライド系化合物の吸着が特に少ないことが要求される。
従って、定量チャンバー部材10、ハウジング5、摺動部材8およびプロテクションリング6を構成する材料として、金属材料、樹脂材料、等を使用することができるが、樹脂材料を使用する場合には、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択することが好ましく、ポリブチレンテレフタレートを選択することがより好ましい。
例えば、「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料」を選択することができる。
本実施例の定量噴霧式吸入器1においては、バルブ部4の「ガスケット」(すなわち、ネックガスケット7、第一ガスケット11、第二ガスケット12)を、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー、のいずれか、で構成し、バルブ部4のハウジング5、摺動部材8および定量チャンバー部材10、並びにプロテクションリング6を各々ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンのいずれかで構成し、バネ9を鉄材料(ステンレススチール)で構成し、残りの部材(容器部2および蓋部3)は金属材料(アルミニウム合金)で構成した。
なお、前記定量チャンバー部材10、ハウジング5、摺動部材8およびプロテクションリング6に限らず、バルブ部4の「ガスケット」を構成する樹脂材料としても、「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料」を選択することができる。
以下では、図3および図4を用いて、本発明に係るエアゾール組成物の主薬であるマクロライド系化合物の一例であるタクロリムスを用いた吸着性確認試験の結果について説明する。
「バルブ部を構成する樹脂材料へのタクロリムスの吸着性」
図3は、タクロリムスを主薬として含有するエアゾール組成物に種々の樹脂材料を浸漬した場合における当該樹脂材料への主薬の吸着性を示す図である。
図3中の縦軸は試験開始時におけるエアゾール組成物中の主薬の量を100%とした場合におけるエアゾール組成物中の主薬量(すなわち、主薬の残存量)を示している。
図3に示す試験においては、主薬の含有量が0.025wt%のエアゾール組成物(主薬であるタクロリムス2.5mg、噴射剤である液化ヒドロフルオロアルカン(HFA−134a)10ml、および定量噴霧吸入に供されるエアゾール組成物に通常用いられる少量の潤滑剤からなる溶液)を使用した。
図3に示す試験においては、検体の樹脂材料を、それぞれ第一ガスケット11の形状に近い直径5mmの円形(表面積:39mm)に形成し、それぞれ前記エアゾール組成物中に浸漬し、相対湿度(RH)75%、温度50℃の環境下で1ヶ月間静置した。
浸漬した検体の樹脂材料は、BR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴムの一種のエチレンプロピレンジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、HDPE(高密度ポリエチレン)、TPE(熱可塑性エラストマー、本実験ではPEとBRの混合物)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリアセタールの一つであるポリオキシメチレン)、PA(ポリアミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PP(ポリプロピレン)、NBR(ニトリルゴム)である。
各検体の樹脂材料としての市販品は以下のとおりである。
(1)BR:Valois社コード番号540
(2)EPDM:Valois社コード番号808
(3)CR:Valois社コード番号210B
(4)HDPE:Hostalen(商標;Bassel Polyolefine社製)GC7260
(5)TPE:Valois社コード番号S8501
(6)PBT:Valox(商標;General Electric Plastics社製)312C−1001
(7)POM:Kematal(商標;Ticona社製)M270.14
(8)PA(Nylon66):Zytel(商標;Du Pont社製)E101LNC 10G
(9)PTFE:日晃商会コード番号8070
(10)PP:ExxonMobil社製PP1013H1
(11)NBR:Valois社コード番号403
なお、主薬の残存量は各樹脂材料を浸漬した3つのサンプルの平均値により求めた(n=3)。
図3に示す如く、ニトリルゴムをエアゾール組成物に浸漬した場合、エアゾール組成物中の主薬の含有量が大きく減少する。
すなわち、エアゾール組成物に浸漬されたニトリルゴムに主薬であるタクロリムスが比較的多く吸着されることを示している。
一方、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレンとブチルゴムの混合物からなる熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンをエアゾール組成物に浸漬した場合、エアゾール組成物中の主薬の含有量はほとんど減少しない。
すなわち、エアゾール組成物に浸漬されたブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレンとブチルゴムの混合物からなる熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンに主薬であるタクロリムスはほとんど吸着されないことを示している。
従って、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー(特に、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチックと、の混合物からなる熱可塑性エラストマー)、は定量噴霧式吸入器1のバルブ部4を構成する材料として好ましい。
特に、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、熱可塑性エラストマー(特に、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチックと、の混合物からなる熱可塑性エラストマー)は、一定の強度と、一定の柔軟性とを兼ね備えることが要求される「ガスケット」を構成する材料として好ましい。
また、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンは、高い強度が要求されるバルブ部の定量チャンバー部材、ハウジング、摺動部材およびプロテクションリングを構成する材料として好ましい。
「エアゾール製剤中でのタクロリムスの濃度変化」
図4はバルブ部の「ガスケット」を構成する材料をクロロプレンゴムまたは熱可塑性エラストマーとした場合におけるエアゾール組成物中の主薬の残存率の経時変化を示す図である。より詳細には、図4中の縦軸は試験開始時におけるエアゾール組成物中の主薬の量を100%としたときのエアゾール組成物中の主薬量(すなわち、主薬の残存率)を示し、横軸は経過時間を示す。
図4に示す試験においては、主薬の含有量が0.025wt%のエアゾール組成物(上記「バルブ部を構成する樹脂材料へのタクロリムスの吸着性」におけるものと同じ)が封入容器に封入されたエアゾール製剤(図1に示す吸入用製剤)を用いた。
図4に示す試験においては、定量噴霧式吸入器1のハウジング5、摺動部材8、および定量チャンバー部材10はポリブチレンテレフタレート(Valox 312C−1001)で、第一ガスケット11および第二ガスケット12はクロロプレンゴム(Valois社コード番号210B)で、ネックガスケット7はポリエチレンとブチルゴムとの混合物からなる熱可塑性エラストマー(Valois社コード番号S8501)で、プロテクションリング6はポリアミド(Zytel E 101 LNC 10G)で、それぞれ、図1に示すそれぞれの形状に形成されたものを用いて、図1に示すように組み立てられた定量噴霧式吸入器1に前記エアゾール組成物が封入された吸入用製剤を、相対湿度(RH)60%の環境下に静置した。吸入用製剤の保持温度を25℃とし、吸入用製剤が室温で放置される場合に略相当する条件としている。
なお、主薬の残存率は各時間経過後の3つのサンプルの平均値により求めた(n=3)。
図4に示す如く、バルブ部の「ガスケット」を構成する材料をクロロプレンゴムまたは熱可塑性エラストマーとした場合には、エアゾール組成物中の主薬の残存率は、24ヶ月(2年)経過時点で90%を大きく上回っている。
すなわち、クロロプレンゴムまたは熱可塑性エラストマーを、バルブ部4の「ガスケット」を構成する材料として使用した場合には、タクロリムスを含有するエアゾール組成物を、その組成を実質的に経時変化させることなく長期間保管することが可能である。
ここで図3の試験結果を参照すると、保持温度40℃で相対湿度が75%の環境下では、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー(ポリエチレンとブチルゴムとの混合物)、のうち、クロロプレンゴムがこれらの樹脂材料の中では最もタクロリムスの吸着性が高い。
従って、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー(取り分け、ポリエチレンとブチルゴムとの混合物)を「ガスケット」構成材料として選択して、図4での試験と同様の条件下に吸入用製剤を保持しても、「ガスケット」構成材料としてクロロプレンゴムを選択した場合と同様に、エアゾール組成物中の主薬の残存率は24ヶ月目(2年)経過時点で90%を大きく上回るものと考えられる。
すなわち、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー(取り分け、ポリエチレンとブチルゴムとの混合物)を、バルブ部4の「ガスケット」を構成する材料として使用した場合にも、タクロリムスを含有するエアゾール組成物を、その組成を実質的に経時変化させることなく長期間保管することが可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明の「マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤」は、例えば、医薬品産業の分野で有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物が封入容器に封入されたエアゾール製剤において、
該封入容器のバルブ部の「ガスケット」を構成する材料として、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、もしくは、熱可塑性エラストマー、から一種類または複数種類の樹脂材料を選択したものである、エアゾール製剤。
【請求項2】
前記マクロライド系化合物が、タクロリムスまたはその水和物である、
請求項1に記載のエアゾール製剤。
【請求項3】
前記タクロリムスまたはその水和物の前記エアゾール組成物における含有量が0.15wt%以下である、
請求項2に記載のエアゾール製剤。
【請求項4】
前記エアゾール組成物が、液化ヒドロフルオロアルカンを含有する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項5】
前記液化ヒドロフルオロアルカンが、HFA−134a、もしくは、HFA−227、または、それらの混合物である、
請求項4に記載のエアゾール製剤。
【請求項6】
前記エアゾール組成物が、中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項7】
前記封入容器が、定量噴霧式吸入器である、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項8】
前記「ガスケット」を構成する材料が、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、もしくは、熱可塑性エラストマーから選択された一種類または複数種類の樹脂材料である、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項9】
前記「ガスケット」を構成する材料の少なくとも1つが熱可塑性エラストマーであり、
該熱可塑性エラストマーが、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、もしくはクロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、
ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチックと、
の混合物である、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項10】
前記熱可塑性エラストマーが、ブチルゴムとポリエチレンとの混合物である、
請求項9に記載のエアゾール製剤。
【請求項11】
前記「ガスケット」を構成する少なくとも1つの材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものである、
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項12】
前記「ガスケット」が、
封入容器の気密性を確保するためのネックガスケット部分を具備し、
該ネックガスケット部分を構成する材料として、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、もしくは、熱可塑性エラストマー、から一種類または複数種類の樹脂材料を選択したものである、
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項13】
前記ネックガスケット部分を構成する材料が、ブチルゴムあるいは熱可塑性エラストマーである、
請求項12に記載のエアゾール製剤。
【請求項14】
前記ネックガスケット部分を構成する材料が、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、もしくはクロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、
ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチックと、
の混合物である熱可塑性エラストマーである、
請求項13に記載のエアゾール製剤。
【請求項15】
前記ネックガスケット部分を構成する材料が、ブチルゴムとポリエチレンとの混合物である熱可塑性エラストマーである、
請求項14に記載のエアゾール製剤。
【請求項16】
前記ネックガスケット部分を構成する少なくとも1つの材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものである、
請求項12から請求項15までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項17】
前記バルブ部が、
封入容器内のエアゾール組成物を所定量取り出すための定量室と、
封入容器の内部に退避する方向に摺動して封入容器の内部と定量室とを連通し、封入容器の外部に突出する方向に摺動して封入容器の外部と定量室とを連通して所定量のエアゾール組成物を外部に噴出する摺動部材と、を具備するものであり、
前記バルブ部の「ガスケット」が、
封入容器の気密性を確保するためのネックガスケット部分と、
摺動部材に当接して封入容器の内部と定量室とを気密的に区画する第一ガスケット部分と、
摺動部材に当接して定量室と封入容器の外部とを気密的に区画する第二ガスケット部分とを具備し、
該ネックガスケット部分、第一ガスケット部分、並びに第二ガスケット部分を構成する材料として、各々ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、もしくは、熱可塑性エラストマーから一種類または複数種類の樹脂材料を選択したものである、
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項18】
前記ネックガスケット部分を構成する材料が、
ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、もしくはクロロプレンゴムからなるゴム群から選択された一種類または複数種類のゴムと、
ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類のプラスチックと、
の混合物である熱可塑性エラストマーであり、
第一ガスケット部分および第二ガスケット部分を構成する材料が、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムまたはクロロプレンゴムである、
請求項17に記載のエアゾール製剤。
【請求項19】
前記ネックガスケット部分を構成する材料が、ブチルゴムとポリエチレンとの混合物である熱可塑性エラストマーであり、
第一ガスケット部分および第二ガスケット部分を構成する材料が、クロロプレンゴムである、
請求項18に記載のエアゾール製剤。
【請求項20】
前記ネックガスケット部分、第一ガスケット部分、並びに、第二ガスケット部分を構成する少なくとも1つの材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものである、
請求項17から請求項19までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項21】
前記バルブ部が、定量チャンバー部材、摺動部材およびハウジングを具備するものであり、該定量チャンバー部材、摺動部材およびハウジングを構成する材料の少なくとも一つが樹脂材料である場合に、
該樹脂材料として、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンからなるプラスチック群から選択された一種類または複数種類の樹脂材料を選択したものである、
請求項1から請求項20までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項22】
前記定量チャンバー部材、摺動部材およびハウジングを構成する材料の少なくとも一つが樹脂材料である場合に、
該樹脂材料として、ポリブチレンテレフタレートを選択したものである、
請求項21に記載のエアゾール製剤。
【請求項23】
前記定量チャンバー部材、摺動部材およびハウジングを構成する材料の少なくとも一つが樹脂材料である場合に、
該樹脂材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものである、
請求項21または請求項22に記載のエアゾール製剤。
【請求項24】
前記バルブ部が、プロテクションリングを具備するものであり、該プロテクションリングを構成する樹脂材料が、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、もしくはポリプロピレンである、
請求項1から請求項23までのいずれか一項に記載のエアゾール製剤。
【請求項25】
前記プロテクションリングを構成する樹脂材料が、ポリエチレンまたはポリアミドである、
請求項24に記載のエアゾール製剤。
【請求項26】
前記プロテクションリングを構成する樹脂材料として、
マクロライド系化合物を含有するエアゾール組成物(含有量0.025wt%;液量10ml)中に樹脂材料(表面積:39mm)を浸漬し、相対湿度75%かつ保持温度40℃の環境下に1ヶ月保持した場合に、該エアゾール組成物中のマクロライド系化合物の残存量が浸漬開始前のマクロライド系化合物含有量の80%以上である樹脂材料を一種類または複数種類選択したものである、
請求項24または請求項25に記載のエアゾール製剤。

【国際公開番号】WO2004/110335
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505042(P2005−505042)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008270
【国際出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【出願人】(000005245)藤沢薬品工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】