説明

マクロ細孔性シリカ−アルミナをベースとする触媒を用いるオレフィン炭化水素供給原料のオリゴマー化方法

【課題】分子当たり2〜10個の炭素原子を含む軽質オレフィン供給材料からの燃料の製造、例えば、ガソリンおよび/または灯油および/またはディーゼル燃料の製造のためのオレフィンのオリゴマー化の方法を提供する。
【解決手段】オレフィン炭化水素供給原料のオリゴマー化方法であって、前記供給原料を、少なくとも1種のシリカ−アルミナを含む少なくとも1種の触媒と接触させることからなり、前記触媒の重量によるシリカ含量は5〜95重量%であり、形成された際の前記シリカアルミナの多孔度は、i)4〜15nmの径を有するメソ細孔の容積V1は、水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の30〜80%を示し、ii)50nm超の径を有するマクロ細孔の容積V2は、水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の15〜80%を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子当たり2〜10個の炭素原子を含む軽質オレフィン供給材料からの燃料の製造、例えば、ガソリンおよび/または灯油および/またはディーゼル燃料の製造のためのオレフィンのオリゴマー化の任意の方法であって、形成された時に特定の細孔分布を有する少なくとも1種のシリカ−アルミナを含むオリゴマー化触媒を用い、前記触媒の重量によるシリカ含量が5〜95重量%である、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
より大きい分子量のオレフィンの製造を意図した軽質オレフィンのオリゴマー化方法は、ガソリン、灯油若しくはディーゼル燃料タイプの燃料用基材又は溶媒へ軽質オレフィンの性能を向上させることを目的として、精製及び石油化学の分野において広く用いられている。オリゴマー化反応は、触媒、ほとんどの場合固形触媒の存在下に行われる。オレフィンが結合すると、ダイマー、トリマー、テトラマー等が生じ、オレフィンの重合度は、使用される触媒のタイプ並びに採用される温度及び圧力の操作条件に依存する。同じ生成物範囲に至る当業者に周知の精製及び石油化学の分野における他の方法と比較した、オリゴマー化方法の利点は、このようにして得られる生成物が硫黄を含まず、芳香族化合物の含量が非常に低いという点にある。文献でしばしば言及されている固体のオリゴマー化触媒は、酸性触媒であり、その主な例は、軽質オレフィンのオリゴマー化の分野においては、固体担体上の含浸リン酸タイプの触媒(例えば、特許文献1及び2)、シリカ−アルミナ(例えば、特許文献3〜5)、ゼオライト(例えば、特許文献6及び7)、およびより頻度が低いが、ヘテロポリアニオン(例えば、特許文献8)である。
【0003】
固体担体上の含浸リン酸タイプの触媒(SPA)は、良好なオリゴマー化活性を有するとともに、ガソリンフラクションに品質向上させられ得る生成物の収率が高い。しかしながら、これらの触媒は、オレフィンの存在下に重量が増加するそれらの傾向のため、特に、方法と関連する装置から排出する時に扱い難い。さらに、前記の固体担体上の含浸リン酸タイプの触媒は、反応の過程で分解し、再生され得ない。
【0004】
ゼオライトは、関連する部位の性質により軽質オレフィンのオリゴマー化に活性な酸性の材料である。従って、これらの触媒は、前記適用に使用される。ゼオライト触媒を適切に選択することで、適当な幾何学的選択性を通じて、無定形触媒を使用した場合と比較して分岐がより少ないオリゴマーを多く製造することが可能となる。従って、オリゴマー化触媒としてゼオライトのタイプを注意深く選択することで、反応の選択性を調節することが可能となり、従って、何等の形状選択性を要求しない触媒により触媒された反応に由来するオリゴマーよりも分岐の度合いが低いオリゴマーをもたらすことが可能となる。選択性におけるこの利益は、良好な質、つまり高いセタン価を有するディーゼル燃料を製造する意味において、好ましいものであるが、例えば良好なオクタン価を有するガソリンの製造では、むしろ好ましくないものである。
【0005】
ヘテロポリアニオンタイプの触媒は、軽質オレフィンのオリゴマー化反応に使用されている。これらの触媒は熱的に安定ではなく、従って、操作温度が限定されるため、転化率が低くなり、制限された重合度を有するオリゴマーが得られるに至る。
【0006】
一般用語「シリカ−アルミナ」は、オリゴマー化反応に適した組織的(textural)及び物理化学的特性を有する、広範な無定形アルミノケイ酸塩触媒をカバーする。触媒の調製方法により影響を受けかつ当業者に周知である上記材料の組織的及び酸性の特性により、触媒の活性及び選択性が決定される。知られているように、大きな細孔容積を有する無定形シリカ−アルミナをベースとする触媒は、それらのゼオライトのホモログと比較して幾何学的制約が少なく、従って、軽質オレフィンのオリゴマー化反応を通じた良好な質のガソリン及び/又は灯油の製造のための興味深い候補である。例えば、ガソリン及び/又は灯油プールにおいて品質向上させられ得る生成物へのプロピレンのオリゴマー化に関する特許文献5に開示された触媒は、500〜1000m/gの大きな比表面積により特徴付けられる無定形シリカ−アルミナである。
【0007】
オリゴマー化触媒の性能を検証する1つの方法は、必要とされる反応生成物、つまり、225℃未満の沸点を有するオリゴマーに関する前記の触媒の選択性を推定することからなる。
【0008】
所与の操作条件下での生成物Pに関する触媒の質量当たりの選択性は、生成物Pの質量対反応生成物の質量の合計の比率として定義される。生成物Pに関する選択性は、二次反応(要求される生成物とは異なる生成物の形成につながる反応として定義される)が最小限になるに従って高くなる。軽質オレフィンのオリゴマー化の場合、次なるオリゴマー化反応又は未制御のオリゴマー化反応により、要求される生成物の分子量よりも大きな分子量を有する生成物が製造されるに至る。一方、分解反応により、必要とされる生成物の分子量よりも小さい分子量を有する生成物が製造される。したがって、これらの2タイプの反応は、生成物又は生成物のファミリーに関する選択性を向上させるため、最小限とされなければならない。これらの二次反応を最小限とする1つの方法は、触媒床内の拡散の問題を制限することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第2913506号明細書
【特許文献2】米国特許第3661801号明細書
【特許文献3】米国特許第4197185号明細書
【特許文献4】米国特許第4544791号明細書
【特許文献5】欧州特許第0463673号明細書
【特許文献6】米国特許第4642404号明細書
【特許文献7】米国特許第5284989号明細書
【特許文献8】インド国特許第170903号明細書
【特許文献9】欧州特許第0387109号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、オレフィン炭化水素供給原料のオリゴマー化方法であって、前記供給原料を、少なくとも1種の触媒と接触させることからなり、該少なくとも1種の触媒は、少なくとも1種のシリカ−アルミナを含み、前記触媒の重量によるシリカ含量は5〜95重量%であり、形成される時の前記シリカ−アルミナの多孔性は、
i)4〜15nmの径を有するメソ細孔の容積V1が水銀圧入ポロシメーターにより測定される全細孔容積の30〜80%を示し
ii)50nm超の径を有するマクロ細孔の容積V2が水銀圧入ポロシメーターにより測定される全細孔容積の15〜80%を示す
ようにされる、方法に関する。
【0011】
好ましくは、オリゴマー化触媒は、全体的に前記シリカ−アルミナによって構成され、押出物の形態である。
【0012】
驚くべきことに、少なくとも1種のシリカ−アルミナであって、形成された時に特定の細孔分布、特に、高いマクロ細孔容積、すなわち、全細孔容積の15〜80%を示すマクロ細孔容積を有するシリカ−アルミナを含む触媒により、分子当たり2〜10個の炭素原子を有するオレフィン分子を含むオレフィン炭化水素供給原料のオリゴマー化方法(この方法は、燃料の製造、例えば、ガソリンおよび/または灯油および/またはディーゼル燃料の製造を可能にする)においてそれが用いられた時に所望の生成物に関する選択性の点で触媒性能が向上することが発見された。事実、本発明の方法において使用されるオリゴマー化触媒の、適切な表面組織特性(textural property)、特にマクロ細孔性に関連した特性と組み合わされた特定の物理化学的特性により、上述の二次反応が軽減させられ、従って、分子当たり2〜10個の炭素数を有するオレフィン分子を含有するオレフィン炭化水素供給原料のオリゴマー化方法において前記触媒を適用する際に所望の生成物に関する選択性が向上する。従って、本発明のオリゴマー化方法に使用される触媒中に存在する少なくともシリカ−アルミナ内での試薬及び生成物の粒子内拡散の向上は、所望のオリゴマー(一般的に50〜225℃の沸点を有する)に関するより良好な選択性に反映される。より正確には、本発明の方法に使用されるオリゴマー化触媒は、ガソリンフラクションに取り込まれ得る生成物に対応する155℃未満の沸点を有する生成物に関してのみならず、灯油フラクションに取り込まれ得る生成物に対応する155〜225℃の沸点を有する生成物に関してもより選択的である。本発明による方法に使用されるオリゴマー化触媒は、所望のガソリン、灯油およびディーゼル燃料フラクション中の直接的には品質向上させられ得ないより重質の生成物を犠牲にして、ガソリンおよび/または灯油および/またはディーゼル燃料フラクションに容易に取り込まれ得るオリゴマーの製造を促進する。
【0013】
(特徴づけ技術)
本発明のオリゴマー化方法に使用される、少なくとも1つのシリカ−アルミナをベースとする触媒は、複数の分析法、特に、広角X線回折(X-ray diffraction:XRD)、窒素吸着等温線、水銀圧入ポロシメトリ、エネルギー分散型X線分析(energy-dispersion X-ray analysis:EDX)と組み合わされることもある透過電子顕微鏡法(transmission electron microscopy:TEM)、アルミニウム原子固体の核磁気共鳴(27Al MAS NMR)、赤外(infrared :IR)および蛍光X線(X-ray fluorescence:XRF)、又は原子吸光分析(Atomic absorption:AA)により特徴づけられる。また、本発明の方法に使用される触媒の密度も評価される。
【0014】
広角X線回折(5〜70°の範囲の角度2θの値)の技術により、分子スケールでの構造単位又は単位格子の繰り返しにより定義される結晶固体を特徴付けることが可能である。以下の記載において、X線分析は、粉末について、反射で動作しかつ後部モノクロメータを装備した回折計により、銅からの放射(波長1.5406Å)を用いて行われる。角度2θの所与の値に対応する回折パターンで通常観察されるピークは、ブラッグの関係式:2d(hkl)sin(θ)=nλによって触媒の構造的対称性(単数または複数)に特徴的な格子面間隔(interplanar spacing)d(hkl)((hkl)は、逆格子のミラー指数である)と関連する。この指数付けは、次いで、直接格子(direct lattice)の格子パラメータ(abc)を決定することを可能にする。例えばおよび有利には、本発明の範囲内で、本発明方法の適用のために用いられるオリゴマー化触媒の回折パターン中に存在する2つの最も強いピークは、1.39〜1.40Åの範囲のd及び1.97〜2.00Åの範囲のdに対応する位置に位置する。これらのピークは、オリゴマー化触媒に含まれるシリカ−アルミナ中のガンマアルミナの存在と関連する。以下、ガンマアルミナとは、とりわけおよび例えば、以下のアルミナを含む群に含まれるアルミナを意味する:立方晶ガンマ(gamma cubic)、疑立方晶ガンマ(gamma pseudo-cubic)、正方晶ガンマ(gamma tetragonal)、不完全にまたはわずかに結晶化された正方晶ガンマ、大きい表面積を有するガンマ、小さい表面積を有するガンマ、バルクベーマイトに由来するガンマ、結晶化ベーマイトに由来するガンマ、わずかにまたは不完全に結晶化されたベーマイトに由来するガンマ、結晶化ベーマイトおよび無定形ゲルの混合物に由来するガンマ、無定形ゲルに由来するガンマ、デルタに向かって発展するガンマ。エータ、デルタおよびエータアルミナの回折ピークの位置について、B. C. Lippens and J. J. Steggerdaによる文献“Physical and Chemical Aspects of Adsorbents and Catalysts”, E. G. Linsen(Ed.), Academic Press, London, 1970, 171が参考になろう。本発明による方法において使用される触媒について、X線回折パターンにより、無定形シリカの存在の特徴であるブロードのピークが示される。さらに、それ以降の文章の全体にわたって、オリゴマー化触媒のアルミナ部分は、XRD法により検出が困難な無定形部分を含み得る。従って、以下暗示されるように、アルミナ部分は、無定形部分又は低結晶化部分を含み得る。
【0015】
一定温度における漸次圧力増加による触媒多孔性中の窒素分子の物理吸着に対応する窒素吸着等温線分析により、本発明による方法において用いられるオリゴマー化触媒の特定の表面組織的(textural)特徴(細孔径、多孔性のタイプ、比表面積)が得られる。特に、それにより、前記触媒の比表面積およびメソ細孔分布を見出すことができる。比表面積とは、定期刊行物“The Journal of American Society”, 1938, 60, 309に記載されたBRUNAUER-EMMETT-TELLER法を用いて確立されるASTM D 3663-78基準による窒素吸着によって測定されるBET比表面積(SBET /g)を意味する。1.5〜50nmに集中するメソ細孔の集団を代表する細孔分布は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)モデルにより測定される。BJHモデルによる窒素吸着/脱着等温線は、定期刊行物“The Journal of American Society”, 1951, 73, 373(E. P. Barrett, L. G. Joyner及びP. P. Halenda著)に記載されている。以下の説明では、「触媒の窒素吸着容積」は、窒素が全ての細孔に充填されると推定される圧力であるP/P=0.99で測定される容積に対応する。
【0016】
以下の開示において、「触媒の水銀容積」は、水銀圧入ポロシメーターにより、標準ASTM D4284-83に従って、最大圧力4000バールにおいて、表面張力484dyne/cmおよび少なくとも1種の無定形シリカ−アルミナを含むオリゴマー化触媒の接触角140°を用いて測定される容積に対応する。平均水銀径は、この径未満のサイズの全ての細孔が3.6〜100nmの範囲の細孔の容積(VHg)の50%を構成する径であるとして定義される。濡れ角は、J. CharpinおよびB. Rasneurによる著作“Techniques de l’ingenieur, traite analyse et caracterisation”, 1050の推奨に従って140°として得られた。より正確には、下記で与えられる水銀容積(mL/g)の値は、30psi(約2barまたは0.2MPa)に対応する圧力についてのサンプルについての全水銀容積(mL/g)の値から同一サンプルについて測定される水銀容積(mL/g)の値を引いて得られる値に対応する。細孔分布のより良好な特徴付けのため、水銀における細孔分布の以下の基準が規定される:4〜15nmの範囲の径を有する細孔に対応する容積である容積V1、50nm超の径を有するマクロ細孔の容積である容積V2および25nm超の径を有する細孔の容積である容積V3。
【0017】
透過型電子顕微鏡法(transmission electron microscopy:TEM)による分析も、本発明によるオリゴマー化方法において用いられる少なくとも1種のシリカ−アルミナを含むオリゴマー化触媒を特徴付けるために広く用いられる技術である。このものは、調査中の固体の画像の形成を可能にし、観察されるコントラストは、観察される粒子の構造組織化、表面組織、形態または組成の特徴であり、技術の解像度は、最大0.2nmに達する。このことに関し、エネルギー分散型X線(energy-dispersive X-ray:EDX)分光計(例えば、TracorまたはEdax)を装備した電子顕微鏡(走査を有することがあるJeol 2010またはPhilips Technai20Fタイプ)が用いられる。EDX検出器は、軽元素の検出が可能でなければならない。これらの2つのツール、即ちTEM及びEDXの組み合わせにより、良好な空間解像度をもって画像化及び局所化学分析の組み合わせが可能となる。この種の分析に関し、サンプルは、乳鉢で微細に粉砕され、乾燥させられる。粉末は、その後、樹脂中に埋め込まれ、約70nmの厚みを有する超微細な切片が作られる。これらの切片は、支持体として機能する、孔を有する無定形カーボンフィルムで覆われた銅製の格子上に収集される。その後、高真空下での観察及び分析のため、顕微鏡に導入される。画像化の下、樹脂領域のサンプル領域は、容易に区別される。その後、最小で10、好ましくは15〜30の一定数の分析がサンプルの異なる領域について行われる。領域を分析するための電子ビームのサイズ(分析対象の領域のサイズをおよそ決定付ける)は、最大で50nmの径、好ましくは20nmの径、さらにより好ましくは10、5、2又は1nmの径である。走査モードにおいて、分析対象の領域は、走査対象の領域のサイズに依存し、全般に減弱したビームのサイズには依存しない。EDX分光計を用いて得られたX線スペクトルの半定量的処理により、分析対象の領域のそれぞれについて元素Al及びSiの相対濃度(原子%)及びSi/Alの元素比が得られる。その後、この一連の測定の平均値Si/Al及び標準偏差σが計算され得る。
【0018】
少なくとも1種のシリカ−アルミナを含み、本発明の方法において使用されるオリゴマー化触媒は、Bruker社からのMSL400タイプの分光計上での固体27AlのNMR MASにより、4mmプローブを用いて分析された。サンプルの回転速度は、11kHz程度である。潜在的に、アルミニウムのNMRにより、下記の化学シフトで、アルミニウムの3つのタイプを区別することが可能である:
− 100〜40ppm、AlIVで示される四配位型のアルミニウム原子
− 40〜20ppm、Alで示される五配位型のアルミニウム原子
− 20〜−100ppm、AlVIで示される六配位型のアルミニウム原子
アルミニウム原子は、四極子核である。一定の分析条件下(低い無線周波数電磁場:30kHz、小さいパルス角:π/2及び水で飽和されたサンプル)で、マジックアングルスピニング(magic angle spinning:MAS)NMRの技術は、定量技術である。NMR MASスペクトルの分析により、種々の種の量が直接得られる。スペクトルは、1Mの硝酸アルミニウム溶液に相対した化学シフトで調整される。AlIVおよびAlについて100〜20ppmのシグナルを積分すること(領域1に対応する)、AlVIについて20〜−100ppmのシグナルを積分すること(領域2に対応する)が決定された。本発明の以下の開示において、八面体AlVIの比率は、以下の比率、即ち、領域2/(領域1+領域2)を意味する。
【0019】
オリゴマー化触媒の酸性度は、赤外分光法により測定される。IRスペクトルは、Happ-Genselタイプのアポダイゼーションを有する、4cm−1の解像度のNexus-670タイプのNicolet干渉計に記録される。サンプル(20mg)は、自己支持性のペレットの形態に圧縮され、in-situ分析セル中に載置される(25〜550℃、IRビームからオフセットされた加熱炉、10−6mbarの高真空)。ペレットの直径は16mmである。下記の方法でサンプルは前処理され、物理的に吸着した水が除去され、触媒の表面が部分的に脱水酸化され、操作中の触媒の酸性度を示す像が得られる:
− 3時間内の25℃から300℃への昇温
− 300℃での10時間の保持
− 3時間内の300℃から25℃への降温
塩基性のプローブ(ピリジン)が、その後25℃における飽和圧力で吸着され、その後、下記の段階で熱脱着される:
− 高真空下、2時間にわたり25℃
− 高真空下、1時間にわたり100℃
− 高真空下、1時間にわたり200℃
− 高真空下、1時間にわたり300℃
スペクトルは、25℃で前処理の終了時および各脱着段階において伝導モードで100秒の累積時間により記録される。スペクトルは、等質量(正確に20mg)に調節される。ルイス酸部位の数は、ピーク領域に比例しており、その最大は、任意の肩(shoulder)部を含めて約1450cm−1であるブレンステッド酸部位の数は、ピークの領域に比例し、その最大は、約1545cm−1である。ブレンステッド酸部位の数対ルイス酸部位の数の比率(B/L)は、上記2つのピークの領域の比に等しいとして推定される。25℃におけるピーク領域が一般的に用いられる。この比率B/Lは、一般的に、ピリジンの吸着及び高真空下の2時間の平坦域の後に、25℃で記録されたスペクトルから算出される。
【0020】
本発明の方法で用いられるオリゴマー化触媒の全体的な組成、特にナトリウム元素の含量は、上記触媒の酸攻撃の後に、粉末の形態の上記触媒に関する蛍光X線(X-ray fluorescense:XRF)により、又は原子吸光(Atomic Absorption:AA)により、測定され得る。
【0021】
タップ密度(tap density:TD)は、J. F. Le Page, J. Cosyns, P. Courty, E. Freund, J.-P. Franck, Y. Jacquin, B. Juguin, C. Marcilly, G. Martino, J. Miquel, R. Montarnal, A. Sugier, H. Van Landeghem, Technip, Paris, 1987, Chapter 6. 2. 4, 167による著書“Applied Heterogeneous Catalysis”に記載されているようにして測定される。適切なサイズの目盛りを付けた円筒体に、連続的な添加物を満たされ、2つの連続する添加物の間に、触媒が、一定の体積に達するまで円筒体を振動させることによって充填される。この測定は、一般的に、約5:1の高さ対直径の比を有する円筒体中の1000cmの充填触媒について行われる。この測定は、好ましくは、Quantachrome(登録商標)によって販売されるAutotap(登録商標)等の自動化設備により行われ得る。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
以下、オリゴマー化とは、オレフィンの別のオレフィンへのあらゆる付加反応を意味する。
【0023】
本発明は、オレフィン炭化水素供給原料のオリゴマー化方法であって、前記供給原料を少なくとも1種の触媒と接触させる工程からなり、該触媒は、少なくとも1種のシリカ−アルミナを含み、前記触媒の重量によるシリカ含量は、5〜95重量%であり、形成された時の前記シリカ−アルミナの多孔性は、
i)4〜15nmの径を有するメソ細孔の容積V1は、水銀圧入ポロシメーターにより測定される全細孔容積の3〜80%を示し、
ii)50nm超の径を有するマクロ細孔の容積V2は、水銀圧入ポロシメーターにより測定される全細孔容積の15〜80%を示す
ようにされる、方法に関する。
【0024】
(本発明によるオリゴマー化方法において使用される触媒)
本発明によるオリゴマー化方法において使用される触媒は、少なくとも1種のシリカ−アルミナ、つまり、シリカ及びアルミナを含む非ゼオライト触媒である。
【0025】
本発明によると、オリゴマー化触媒の重量によるシリカ含量は、5〜95重量%、好ましくは18〜60重量%、より好ましくは18〜40重量%、さらにより好ましくは25〜40重量%である。従って、本発明による方法において使用されるオリゴマー化触媒のSi/Alモル比は、0.044〜17、好ましくは0.185〜1.27、より好ましくは0.185〜0.56、さらにより好ましくは0.28〜0.56である。
【0026】
本発明によると、ひとたび形成されたシリカ−アルミナは、下記の通りの細孔分布を有する:
i)4〜15nmの径を有するメソ細孔の容積V1は、水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の30〜80%を示し、
ii)50nm超の径を有するマクロ細孔の容積V2は、水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の15〜80%、好ましくは23〜80%、さらにより好ましくは35〜80%を示す。
【0027】
有利には、ひとたび形成されたシリカ−アルミナは、25nm超の径を有する細孔の容積V3を有し、この容積V3は、水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の20〜80%、好ましくは25〜60%、さらにより好ましくは30〜50%である。
【0028】
本発明によるオリゴマー化方法において使用される触媒に含まれる、前記形成されたシリカ−アルミナは、マクロ細孔性のシリカ−アルミナである。前記シリカ−アルミナの成形は、本発明の説明において後に記載される。好ましくは、前記シリカ−アルミナは、押出物の形態で成形される。
【0029】
形成されたシリカ−アルミナは、水銀圧入ポロシメーターにより測定される全細孔容積:0.45〜0.96mL/gを有する。水銀圧入ポロシメーターを用いて得られた形成シリカ−アルミナの細孔の平均径は、2〜15nmの範囲、好ましくは4〜12nmの範囲、さらにより好ましくは5〜12nmの範囲である。形成シリカ−アルミナは、窒素吸着等温線から測定される細孔容積:0.45〜0.96mL/gを有する。
【0030】
本発明によると、オリゴマー化触媒中に存在するシリカ−アルミナは、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、さらにより好ましくは0.025重量%未満の含量のカチオン性不純物を有する。カチオン性不純物の含量は、アルカリ、特にナトリウムの全含量を意味する。前記シリカ−アルミナは、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、さらにより好ましくは0.1重量%未満の含量のアニオン性不純物を有する。前記オリゴマー化触媒中に存在するアニオン性不純物は、特にハロゲン化物、特に塩化物、並びに、硫酸塩および硝酸塩である。
【0031】
本発明によると、オリゴマー化触媒中に存在する形成シリカ−アルミナのBET比表面積は、100〜550m/g、好ましくは150〜500m/g、より好ましくは150〜350m/g、さらにより好ましくは170〜310m/gである。
【0032】
本発明によると、オリゴマー化触媒のX線回折パターンは、有利には、アルファ、ロー、カイ、カッパ、エータ、ガンマ、シータおよびデルタからなる群中に含まれる遷移アルミナの少なくとも1つの特徴である主要ライン、好ましくは、ガンマ、エータ、シータおよびデルタアルミナからなる群中に含まれる遷移アルミナの少なくとも1つの特徴である主要ライン、より好ましくは、ガンマまたはエータアルミナの特徴である主要ラインを少なくとも含み、さらにより好ましくは、パターンは、1.39〜1.40Åに含まれるdおよび1.97〜2.00Åに含まれるdにピークを含む。本発明による方法において使用されるオリゴマー化触媒の、X線回折により得られる回折パターンは、サンプルのSiO含量に依存して、アルミナ、好ましくはガンマアルミナとシリカとの間に一定のバリエーションを有するシリカ及びアルミナの混合物に対応する。より正確には、X線回折による分析により、X線に対する無定形の特徴の増加が証明され、このことは、アルミナ、好ましくはガンマアルミナと比較したシリカ含量の増加により強調される。
【0033】
オリゴマー化触媒のタップ密度は、0.40g/cm超、好ましくは0.45g/cm超、非常に好ましくは、0.50g/cm超である。
【0034】
本発明による方法において用いられる触媒中に含まれる形成シリカ−アルミナは、好ましくは、マイクロメートルスケールで均一である、すなわち、マイクロメートルスケールで、シリカ−アルミナ中に存在するアルミナ部分とシリカ部分との間に相分離が区別され得ないシリカ−アルミナである。本発明による方法において用いられる触媒中に存在する形成シリカ−アルミナは、好ましくは、ナノメートルスケールで不均一である、すなわち、ナノメートルスケールで、シリカ−アルミナ中に存在するアルミナ部分とシリカ部分との間に相分離が区別されるシリカ−アルミナである。マイクロメートルスケールでの均一性及びナノメートルスケールでの不均一性は、好ましくは、走査型電子顕微鏡法(scanning electron microscopy:SEM)によって分析される。
【0035】
本発明の方法において用いられるオリゴマー化触媒の一実施態様において、前記触媒は、少なくとも2つのシリカ−アルミナ領域を含み、この領域は、蛍蛍光X線で測定された全Si/Alモル比未満またはこれを超えるSi/Alモル比を有する。したがって、0.5に等しい全Si/Alモル比を有する触媒は、例えば、2つのシリカ−アルミナ領域を含み、領域の1つは、TEMによって測定されるSi/Alモル比:0.5未満を有し、他方の領域は、TEMによって測定されるSi/Alモル比:0.5〜17を有する。
【0036】
本発明の方法において用いられるオリゴマー化触媒の他の実施態様において、前記触媒は、単一のシリカ−アルミナ領域を含み、この領域は、蛍光X線法により測定された全Si/Alモル比に等しいSi/Alモル比を有し、0.044超かつ17未満である。
【0037】
本発明によると、本発明のオリゴマー化方法において用いられる前記触媒は、好ましくは、前記シリカ−アルミナによって全体的に構成される;それは、任意の他の元素を欠いている。本説明において上記に規定されたような細孔容積V1、V2および有利にはV3に関して特徴を有する形成シリカ−アルミナは、オリゴマー化触媒を構成する。
【0038】
しかしながら、本発明による方法において用いられるオリゴマー化触媒は、有利には、バインダーを含有してもよい。例えば、前記バインダーは、シリカ、アルミナ、粘土、二酸化チタン、酸化ホウ素及びジルコニアを含む群から選択され、並びに上記バインダーの任意の混合物である。好ましいバインダーは、シリカ及びアルミナであり、さらにより好ましくは、当業者に知られた全ての形態のアルミナ、例えば、ガンマアルミナである。触媒中のバインダーの重量による含量は、1〜40%であり、さらにより好ましくは5〜20%である。本発明によると、バインダー、好ましくはシリカ又はアルミナにより形成されたシリカ−アルミナは、オリゴマー化触媒を構成し、本説明において上記に規定された細孔容積V1、V2および有利にはV3に関する特徴を有する。
【0039】
本発明の方法において用いられるオリゴマー化触媒の固体27AlのNMR MASスペクトルは、2つの分離した多重線ピークを示す。アルミニウムの第一のタイプでその最大値が10ppm近辺で共鳴するものは、−100〜20ppmにわたって広がっている。最大値の位置が示唆するのは、これらの種が、基本的にAlVI型(八配位型)のものであることである。マイナーなアルミニウムの第二のタイプでその最大値が60ppm近辺で共鳴するものは、20〜110ppmにわたって広がっている。この多重線は、少なくとも2つの種に分解され得る。この多重線の主要な種は、AlIV原子(四配位型)に対応するだろう。本発明のオリゴマー化方法において用いられるオリゴマー化触媒に関し、八配位型AlVIの比率は、有利には50モル%超、好ましくは60モル%超、さらにより好ましくは70モル%超である。
【0040】
本発明による方法において用いられるオリゴマー化触媒の酸性度は、有利には、ピリジンの熱脱着のIRモニタリングにより測定される。一般的に、本明細書において先に記載されたように、本発明による方法において用いられるオリゴマー化触媒のB/L比は、0.05〜1であり、好ましくは、0.05〜0.7であり、非常に好ましくは0.05〜0.5である。
【0041】
本発明の方法において用いられるオリゴマー化触媒は、場合によっては、第IVB族、第VB族、第VIB族及び第VIII族の金属並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。第IVB族の金属のうち、チタン、ジルコニウム及び/又はハフニウムが触媒中に存在してもよい。第VB族の金属のうち、バナジウム、ニオブ及び/又はタンタルが触媒中に存在してもよい。第VIB族の金属のうち、クロム、モリブデン及び/又はタングステンが触媒中に存在してもよい。第VIII族の金属のうち、第VIII族の第一列に属する金属、すなわち、鉄、コバルト及びニッケルが好ましい。これらの金属の含量は、最大で最終的な触媒の10重量%とすることができる。触媒はまた、場合によっては、シリカ−アルミナに沈着させられるドーピング元素として、ケイ素を含んでもよい。
【0042】
(本発明によるオリゴマー化方法において用いられる触媒の調製)
当業者に知られたシリカ−アルミナを合成するためのあらゆる方法であって、マイクロメートルスケールで均一であり、かつ、カチオン性の不純物が0.1重量%未満に低減させられ得、アニオン性の不純物が、1重量%未満に低減させられ得、本明細書において上記に規定されたような細孔容積V1、V2および有利にはV3に関して細孔分布を有する、シリカ−アルミナをもたらす方法が、本発明の方法において用いられるオリゴマー化触媒を調製することに適している。
【0043】
好ましい合成方法は、水性媒体中でアルミニウム化合物をケイ酸化合物と混合し、次いで、得られた生成物を乾燥させ、焼成することからなる。好ましくは、アルミニウムアルコラートが、アルミナ前駆体として使用され、オルトケイ酸が、有利には、シリカ前駆体として、イオン交換体により精製される。オリゴマー化触媒中に存在するシリカ−アルミナの調製方法は、有利にはイオン交換体により精製されたアルミニウムアルコラートを水により加水分解し、その後、有利にはイオン交換体により精製されたオルトケイ酸を同時又は続いて添加することを含む。より好ましくは、アルミニウムアルコラートは、イオン交換体で精製された水で加水分解されるのに対して、イオン交換体で精製されたオルトケイ酸は、好ましくは、同時に、0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%の量で、加水分解水に加えられるか、または、代替として、イオン交換体により精製された水による加水分解の後に得られたアルミナ/水の混合物が、イオン交換体により精製されたオルトケイ酸の溶液と、0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%の濃度で混合される。アルミナ/水混合物へのオルトケイ酸の添加は、例えば、攪拌反応器において行われてもよい。
【0044】
シリカ−アルミナの調製方法の特定の実施態様によると、ジルコニア及びチタニアを含む群から選択される少なくとも1種の安定化要素が、半量未満の割合で、オルトケイ酸の溶液とともに、又はオルトケイ酸の溶液を添加した後に、添加される。安定化要素は、好ましくは、可溶性の塩の形態で添加される。
【0045】
前記調製の終了時に、粉末の形態でシリカ−アルミナが得られ、その後下記の通り成形される。前記粉末は、沈殿/ゲル化及びろ過により、懸濁液の噴霧により、及び当業者に周知の任意の他の方法により、得られ得る。
【0046】
(オリゴマー化触媒の成形)
本発明による方法において用いられるオリゴマー化触媒は、球体、ペレット又は押出物、好ましくは押出物の形態である。非常に有利には、前記オリゴマー化触媒は、0.5〜5mm、より詳しくは0.7〜2.5mmの直径を有する押出物の形態である。形状は、円筒体(中空であっても中空でなくてもよい)、捻れ円筒体、多葉状(例えば、2、3、4又は5葉)である。押出物はまた、環の形態であってもよい。円筒体及び多葉状の形状は、好ましく使用されるが、任意の他の形状が使用され得る。
【0047】
本発明の方法において用いられるオリゴマー化触媒は、当業者に知られるあらゆる技術により前記触媒中に存在する少なくとも前記シリカ−アルミナを成形することによって得られる。成形は、例えば、押出、コーティング、ペレット化、乾燥、噴霧、油滴法、回転プレート粒状化法、又は当業者に周知の任意の他の方法により行われてもよい。成形は、触媒の種々の成分の存在下に行われる。
【0048】
より正確には、触媒が押出物の形態である場合、押し出されるべきペーストの粘度を調節するため、水が添加されるか又は除去されてもよい。この段階は、シリカ−アルミナの混合段階のどの時点で行われてもよい。押し出されるべきペーストの固形含量を調節して押出可能とするため、主に固体であり好ましくは酸化物又は水和物である化合物を添加することも可能である。水和物が好ましく使用されることになり、さらにより好ましくは、アルミニウムの水和物が使用される。この水和物の強熱減量は15%超である。
【0049】
混合は、好ましくは、酸の存在下に行われる。成形前の混合中に添加される酸の含量は、合成中に使用されるシリカ−アルミナの無水質量の30重量%未満、好ましくは、0.5〜20重量%の範囲である。押出は、あらゆる従来の市販で利用可能なツールを用いて行われてよい。混合で得られるペーストは、ダイを通じて、例えば、ピストン又は単軸又は二軸の押出機を用いて押し出される。この押出段階は、当業者公知のどの方法で行われてもよい。本発明の方法において用いられるオリゴマー化触媒の押出物は、一般的に、少なくとも70N/cm、好ましくは100N/cm以上の圧縮強さを有する。好ましくは、押出物は、全体的にシリカ−アルミナにより構成され、本明細書において上記規定の細孔容積V1、V2および有利にはV3に関する特徴を有する。
【0050】
さらに、本発明による方法において用いられる前記オリゴマー化触媒は、当業者に周知であるように、シリカ−アルミナをベースとする前記触媒の成形を促進させ、かつ/または、最終機械特性を向上させるために添加物により処理されていてもよい。添加物の例として、特に、セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キサンタンガム、界面活性剤、ポリアクリルアミドなどの凝集剤、カーボンブラック、でんぷん、ステアリン酸、ポリアクリルアルコール、ポリビニルアルコール、バイオポリマー、グルコース、ポリエチレングリコールなど挙げられ得る。
【0051】
本発明の方法において用いられるオリゴマー化触媒の特徴的な多孔度の制御は、触媒の粒子を成形するこの段階の間に部分的に達成される。
【0052】
(オリゴマー化触媒の乾燥及び焼成)
オリゴマー化触媒の調製のため、オリゴマー化触媒の調製方法を実施している間に、1回以上の乾燥段階及び1回以上の焼成段階が行われる。
【0053】
乾燥は、当業者に公知の任意の技術により行われる。好ましくは、乾燥は、80〜600℃、好ましくは300〜600℃の温度で行われる。
【0054】
本発明のオリゴマー化方法において用いられる触媒を得るため、分子状酸素の存在下に、例えば、空気流中、1100℃以下の温度で焼成を行うことが好ましい。調製段階のいずれか1つの後に、少なくとも1回の焼成が行われ得る。この処理は、例えば、通過床(traversed bed)、滑り流床(swept bed)、又は静止雰囲気中で行われ得る。例えば、使用される加熱炉は、回転型加熱炉であってもよく、又は放射状の通過層を有する垂直加熱炉であってもよい。焼成条件(温度及び時間)は、触媒の最高使用温度に主として依存し、好ましい焼成条件は、200℃で1時間超から、1100℃で1時間未満の間である。焼成は、水蒸気の存在下に行われてもよい。最終的な焼成は、場合によっては、酸性又は塩基性の蒸気の存在下に行われてもよい。例えば、焼成は、アンモニアの分圧下に行われてもよい。
【0055】
オリゴマー化触媒の調製方法の非常に好ましい実施態様によると、最初の工程により、本明細書で先に記載されたように、アルミニウムアルコラート及びオルトケイ酸を用いた方法にしたがって、少なくとも前記シリカ−アルミナにより構成される固体が得られる。その後、前記固体は、上述の様式で押出物として成形される。前記押出物は、その後、乾燥されかつ焼成される。
【0056】
(成形焼成触媒に適用される合成後処理)
触媒の特性、特に上記で定義したマイクロメートルスケールでの均一性を向上させるため、合成後処理が行われ得る。
【0057】
好ましい実施様態によると、合成後処理は、水熱処理である。水熱処理は、当業者に公知の任意の技術により行われる。水熱処理は、蒸気相又は液相においてオリゴマー化触媒と水とを接触させることを意味する。水熱処理は、熱成、水蒸気処理、オートクレーブ処理、湿気を有する空気下での焼成、再水和を特に含んでいてもよい。本発明の範囲を減らすことなく、このような処理は、シリカ成分の移動を可能とする効果を有する。熱成は、有利には、成形の前又は後に行われる。
【0058】
水熱処理の好ましい実施によると、水蒸気処理は、加熱炉中、水蒸気の存在下に行われる。水蒸気処理中の温度は、600〜1100℃であってもよく、好ましくは、30分〜3時間の時間の期間にわたって700℃超である。水蒸気の含量は、乾燥空気の重量(kg)当たり水20g超、好ましくは乾燥空気の重量(kg)当たり水40g超、より好ましくは乾燥空気の重量(kg)当たり水100g超である。前記処理は、必要であれば、焼成処理と完全に又は部分的に置き換えてもよい。
【0059】
触媒はまた、有利には、密閉雰囲気中で水熱処理に供され得る。密閉雰囲気中での水熱処理とは、水の存在下、周囲温度を超える温度で、オートクレーブを通過させることによる触媒の処理を意味する。
【0060】
この水熱処理の過程で、前記シリカ−アルミナを含む触媒は、種々の方法で処理されてもよい。したがって、触媒は、それをオートクレーブ中に通過させる前に、酸性、塩基性または中性の溶液を含浸させられ得、触媒のオートクレーブ処理は、蒸気相中または液相中で行われ、オートクレーブの前記蒸気または液体の相は、酸性、塩基性または中性であり得る。オートクレーブ処理前のこの含浸は、酸性、塩基性または中性であり得る。オートクレーブ処理前のこの含浸は、乾式でまたは酸性、塩基性または中性の水溶液中の触媒の漬浸により行われ得る。乾式含浸は、触媒を、処理されたシリカ−アルミナの全細孔容積以下の容積の溶液と接触させることを意味する。好ましくは、含浸は、乾式で行われる。
【0061】
オートクレーブ処理は、好ましくは、特許出願EP-A-0 387 109において規定されるような回転バスケットオートクレーブである。
【0062】
オートクレーブ処理中の温度は、30分〜3時間の時間の期間にわたって、100〜250℃であってもよい。
【0063】
(本発明によるオリゴマー化方法)
本発明による方法は、分子当たり2〜10個、好ましくは2〜8個の炭素原子を含有する軽質オレフィン炭化水素供給原料からの、特に、高比率のプロピレンおよび/またはブテンおよび/またはペンテンを含む軽質オレフィン炭化水素供給原料からの、燃料の製造、例えば、ガソリンおよび/または灯油および/またはディーゼル燃料の製造のためのオレフィンのオリゴマー化方法であって、少なくとも1種のシリカ−アルミナを含み、本明細書において上記に規定されたような細孔容積V1、V2および有利にはV3に関する特徴を有する、オリゴマー化触媒を用いる、方法である。
【0064】
本発明によるオリゴマー化方法において用いられるオレフィン炭化水素供給原料は、20〜100重量%、好ましくは25〜80重量%のオレフィンを含有する。オレフィン炭化水素供給原料中に存在するオレフィンは、例えば、接触分解器及び/又は水蒸気分解器及び/又はパラフィン脱水素化装置及び/又はメタノールを水および軽質オレフィンに重合脱水するための装置および/または軽質オレフィンにつながる任意の他の源に由来し得る。
【0065】
(本発明によるオリゴマー化方法において用いられる供給原料)
本発明のオリゴマー化方法を実施するために用いられ、かつ、少なくとも前記シリカ−アルミナをベースとする前記触媒を含むオリゴマー化反応器に送られるオレフィン炭化水素供給原料は、好ましくは、不純物、例えば、水、硫黄含有誘導体、および塩基性の窒素誘導体が除去された後に、オリゴマー化反応器に供給される。
【0066】
オレフィン炭化水素供給原料は、オレフィンC4留分であってもよく、このものは、通常、90重量%超まで、イソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテンおよび場合により少量のブタジエンを含む。ブタジエンは、一般的には、オリゴマー化の上流で選択的水素化により除去される。
【0067】
オレフィン炭化水素供給原料はまた、オレフィンC3−C4留分であってよい。オレフィンC3−C4留分の組成は、その起源に応じて大きく変わり得る。それは、約20〜50重量%のプロピレンおよびプロパン、約50〜80重量%のイソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテンおよび場合による少量のブタジエンを含み得る。ブタジエンは、一般的に、オリゴマー化の上流で選択的水素化によって除去される。
【0068】
オレフィン炭化水素供給原料は、さらに、オレフィンC3留分であってもよい。それは、通常、少なくとも90重量%のプロピレン及びプロパンを含む。
【0069】
オレフィン炭化水素供給原料はまた、オレフィンC5留分であってもよい。オレフィンC5留分の組成は、その起源に応じて大きく変わり得る。それは、有利には、30〜80重量%のオレフィンC5、1〜20重量%のオレフィンC6及び1〜20重量%のオレフィンC4を含む。
【0070】
オレフィン炭化水素供給原料はまた、C4+留分で示される4個超の炭素原子を有するオレフィンを含有する留分であってもよい。オレフィンC4+留分の組成は、その起源に応じて大きく変わり得る。それは、有利には、30〜80重量%のオレフィンC4+を含む。
【0071】
本発明によると、オリゴマー化反応の発熱性は、反応中に転化されなかったパラフィンを特に含む未転化流出物の少なくとも一部を、オリゴマー化反応器にリサイクルすることにより、および/または、別の源に由来するパラフィンを加えることによって供給原料を希釈することにより(該パラフィンは、同じ分子量のものであるか、オレフィン供給原料より重いものであり、前記パラフィンは、脂肪族または環状である)、または、生じたオリゴマーの一部をリサイクルすることにより管理され得る。
【0072】
ガソリン及び/又は灯油及び/又はディーゼル燃料及び/又はより一般的に50℃を超える温度の初留点を有するオレフィン留分の形成をもたらす方法の全ての場合において、方法を出たオレフィン留分は、場合によっては、部分的又は完全に、水素化されてもよい。
【0073】
(本発明によるオリゴマー化方法の操作条件)
前記オリゴマー化方法は、好ましくは、下記の操作条件下に用いられる:全圧:0.1〜20MPa、好ましくは0.2〜7MPa;温度:30〜600℃、好ましくは40〜400℃;毎時空間速度(hourly space velocity):0.01〜100h−1、好ましくは0.05〜20h−1
【0074】
本発明によると、オリゴマー化方法は、本質的に2〜10個のモノマーまたは基本分子に限定された付加に対応し、前記モノマーはオレフィンである。
【0075】
(本発明のオリゴマー化方法の実施形態)
(第1の実施形態:選択的オリゴマー化)
第1の実施形態によると、オレフィンC4留分は、本発明において記載されたような前記シリカ−アルミナを含む触媒と接触させられ、n−ブテンの全体的な転化が10重量%未満、好ましくは5重量%に制限されるのに対して、90重量%超、好ましくは95重量%超の量のイソブテンが転化される。イソブテンは、90重量%超がダイマーやトリマーに転化される。その後、オリゴマー化流出物は蒸留に付され、回収されたフラクションの1つ(軽質流出物)が90重量%超のオリゴマー化の間に反応しなかったブタン、イソブタンおよびブテンを含むようにされ、このフラクションの少なくとも一部は、例えば、アルキル化装置または水和装置に供給され、これに対して、得られたオリゴマーによって構成される他のフラクションは、場合によっては部分的または完全な水素化の後に、ガソリンベースとして用いられる。
【0076】
上記のオリゴマー化方法の実施形態は、イソブテンが主として転化される「選択的オリゴマー化」と称される実施形態に対応する。
【0077】
本発明のオリゴマー化方法の前記第1の実施形態によると、オリゴマー化反応が行われる温度は、30〜300℃であり、圧力は、0.1〜20MPaであり、毎時の触媒の体積当たりの送られるオレフィン炭化水素供給原料の体積は、0.05〜5h−1である。好ましくは、温度は40〜160℃であり、圧力は2〜7MPaである。液相中または少なくとも均一な相中(すなわち、全体的に液相であるかまたは全体的に気相である)で反応が起こることを確実にするためである。触媒の体積当たりかつ時間当たりの送られるオレフィン炭化水素供給原料の体積は、好ましくは、0.1〜2.5h−1である。
【0078】
オリゴマー化反応器の技術は、固定床、流動床、又は循環床であってもよい。好ましい技術は、固定床における実施である。
【0079】
好ましくは、こうして得られたオリゴマーは、補助オリゴマー化反応器(例えば、上記に記載されたような少なくとも前記シリカ−アルミナをベースとするオリゴマー化触媒を含む)に再注入される。オリゴマーの鎖の長さを増加させ、それ故に、灯油留分および/またはディーゼル留分またはより一般的に少なくとも150℃より高い温度の初留点を有するオレフィン留分を得るためである。
【0080】
有利には、オリゴマー化からの軽質流出物、即ち、C4留分は、未転化1−ブテンの一部を2−ブテンに水素化異性化して、熱力学的平衡に近づける目的で水素化異性化反応器に供給され得る。流出物の他の成分は、水素化異性化段階の間に大きくは転化されない。水素化異性化反応器の出口においてこうして得られたC4フラクションが、フッ化水素酸による脂肪族アルキル化のための反応器に供給されるならば、1−ブテンの2−ブテンへの転化は、非常に有用であり、イソブタンと2−ブテンのアルキル化により得られた生成物は、1−ブテンから得られたアルキル化物より良好なオクタン価を有する。
【0081】
オリゴマー化反応の高い発熱特性に鑑みて、オリゴマー化反応器に対する、炭化水素供給原料中のイソブテンの量は、好ましくは35重量%未満、さらにより好ましくは15重量%未満であり、前記量は、場合によっては、供給原料を、例えば、ブタンまたはイソブタンまたはオリゴマー化装置からのラフィネートにより希釈することによって得られる。
【0082】
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、オレフィンC4留分またはオレフィンC3−C4留分は、本発明において上記に記載されたような少なくとも前記シリカ−アルミナを含むオリゴマー化触媒と接触させられ、炭化水素供給原料中に含まれるブテンの一部は、ダイマーまたはトリマーに転化され、これらは、その後、ガソリンベースとして用いられる。本発明の方法の第2の実施形態によると、80重量%未満のブテンが転化され、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%のイソブテンが転化される。この方法により、最大量のガソリンの製造が可能となる一方、形成される灯油及びディーゼルの量が最小限とされる。
【0083】
前記第2の実施形態に適用するのに用いられるオリゴマー化反応器において、温度は、40〜250℃、好ましくは50〜200℃であり、圧力は、0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜6MPaであり、触媒の体積当たりかつ時間(1時間)当たりに送られる炭化水素供給原料の量は、0.05〜5h−1、好ましくは0.1〜2.5h−1である。反応器の技術は、固定床、流動床、又は循環床であってもよい。好ましい技術は、固定床を用いる。
【0084】
本発明の方法の前記第2の実施形態の変法は、供給原料として、例えば、オリゴマー化装置の上流で、エーテル化装置を用いて、n−ブテンその他を転化することなく、イソブテンをアルコール、例えば、メタノールまたはエタノールと選択的に反応させることにより、または、オリゴマー化装置の上流で、前記第1の実施形態において記載されたもののような選択的オリゴマー化装置を用いることにより事前に部分的または完全にイソブテンが除去されたオレフィン供給原料を用いることからなる。生じさせられたオリゴマーは、イソブテンを含む完全な留分の処理によって得られたものより分枝が少ない。
【0085】
(第3の実施形態)
本発明による方法の第3の実施形態は、場合によっては痕跡量のプロピレンを含むオレフィンC4留分をオリゴマー化に付して、供給原料中に含まれるブテンの主要部分がダイマーまたはトリマーに転化されることからなり、ダイマーまたはトリマーは、その後、ガソリンベースとして用いられる。本発明の方法の前記第3の実施形態によると、少なくとも90重量%の1−ブテン、少なくとも80重量%の2−ブテン、少なくとも97重量%のイソブテンおよび少なくとも80重量%のプロピレンが転化される。本発明の方法の前記第3の実施形態は、灯油またはディーゼルを製造することなく最大量のガソリンを製造することを可能にする。
【0086】
オレフィンC4留分は、通常、イソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン及び場合によっては少量のブタジエンを含む。ブタジエンは、一般的に、触媒を不活性化することになる重合反応を回避するために、選択的水素化によりオリゴマー化の上流で除去される。
【0087】
前記第3の実施形態により用いられる前記方法は、以下の段階を含む:
− 第1段階のオリゴマー化;オレフィンC4留分が、第1のオリゴマー化反応器において処理される;第1のオリゴマー化反応器において、供給原料中に含まれるn−ブテンの全体的な転化率は、45重量%未満であり、イソブテンの転化率は、80重量%超、好ましくは85重量%超であり、得られたオリゴマーは、80重量%超までダイマーおよびトリマーである;
− 第1段階のオリゴマー化からの流出物が、分画カラムに送られて、イソブテンおよび未転化n−ブテンを含む第1のフラクションおよび90重量%のダイマーおよびトリマーを含む第2のフラクションがオリゴマー化反応から回収される;
− 第2段階のオリゴマー化:前記回収された第1のフラクションは、第2のオリゴマー化反応器に供給され、この第2のオリゴマー化反応器において、オレフィンが、大部分、ダイマーおよびトリマーに転化され、すなわち、少なくとも50重量%のn−ブテンが転化され、好ましくは、少なくとも75重量%の1−ブテンおよび少なくとも55重量%の2−ブテンが転化される;および
− 第2段階のオリゴマー化からの流出物が、第1のオリゴマー化反応器と関連する分画カラムまたは第2のカラムに送られて、ガソリンまたは灯油またはディーゼルが、未転化C4化合物から分離される。
【0088】
オリゴマー化反応器において、温度は、40〜250℃、好ましくは45〜200℃であり、圧力は、0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜6MPaであり、触媒の体積当たりかつ時間当たりの送られる炭化水素供給原料の量は、0.05〜5h−1、好ましくは0.1〜2.5h−1である。反応器の技術は、固定床、流動床、又は循環床であってもよい。好ましい技術は、固定床である。
【0089】
好ましくは、第2のオリゴマー化反応器において、操作条件は、第1反応器におけるよりも厳しい。
【0090】
本発明の方法の前記第3の実施形態は、オレフィンC3−C4供給原料に適用されてもよい。
【0091】
(第4の実施形態)
第4の実施形態によると、オレフィンC4留分又はオレフィンC3−C4留分が、本発明において記載されたような前記シリカ−アルミナを含むオリゴマー化触媒と接触させられて、供給原料中に含まれるブテンの主要部分が転化されるようにし、ガソリンベースおよび灯油ベースが形成される。本発明の方法の前記第4の実施形態によると、少なくとも90重量%の1−ブテン、少なくとも80重量%の2−ブテン及び少なくとも97重量%のイソブテンが転化される。オレフィンC4留分は、通常、本質的にイソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン及び場合により少量のブタジエンを含む。オレフィンC3−C4留分は、本明細書において上記に与えられた比率で、プロパン及びプロピレンをさらに含む。
【0092】
オリゴマー化反応器において、温度は、60〜250℃、好ましくは100〜200℃であり、圧力は、0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜6MPaであり、触媒の体積当たりかつ時間当たりの送られる炭化水素供給原料の量は、0.05〜5h−1、好ましくは1〜2.5h−1である。反応器の技術は、固定床、流動床、又は循環床であってもよい。好ましくは、技術は、固定床である。
【0093】
(第5の実施形態)
前記第5の実施形態によると、オレフィンC3留分は、本発明において記載されたような前記シリカ−アルミナを含む前記オリゴマー化触媒と接触させられて、供給原料中に含まれるプロピレンの主要部分が転化され、すなわち、供給原料中に含まれる少なくとも80重量%のプロピレンが転化され、ガソリンベースおよび灯油ベースが形成される。オレフィンC3留分は、通常、少なくとも90重量%のプロピレン及びプロパンを含む。
【0094】
オリゴマー化反応が行われる温度は、30〜300℃であり、圧力は、約0.1〜20MPaであり、触媒の体積当たりかつ時間当たりの送られる炭化水素供給原料の体積は、0.05〜5h−1である。好ましくは、温度は、40〜160℃であり、圧力は、2〜7MPaであり、触媒の体積当たりかつ時間当たりの送られる炭化水素供給原料の体積は、好ましくは0.1〜2.5h−1である。反応器の技術は、固定床、流動床、又は循環床であってもよい。好ましい技術は、固定床における実施である。
【0095】
(第6の実施形態)
前記第6の実施形態によると、4個超の炭素原子を有するオレフィンを含むオレフィン留分、例えば、FCC(Fluidized-bed catalytic cracking)法に由来する留分が、本発明において記載されたような前記シリカ−アルミナを含む前記オリゴマー化触媒と接触させられて、供給原料中に含まれる少なくとも4個の炭素原子を含むオレフィンの主要部分が転化され、即ち、供給原料中に含まれる少なくとも70重量%のオレフィンが転化され、ガソリンベース、灯油ベースまたはディーゼルベースが形成される。
【0096】
オリゴマー化反応が行われる温度は、30〜300℃であり、圧力は、約0.1〜20MPaであり、触媒の体積当たりかつ時間当たりの送られる炭化水素供給原料の体積は、0.05〜5h−1である。好ましくは、温度は、40〜160℃であり、圧力は、2〜7MPaであり、触媒の体積当たりかつ時間当たりの送られる炭化水素供給原料の体積は、好ましくは0.1〜2.5h−1である。反応器の技術は、固定床、流動床、又は循環床であってもよい。好ましい技術は、固定床における実施である。リサイクルスキームを用いる転化方法も用いられ得る。
【0097】
以下に与えられる実施例は、本発明の範囲を限定することなく本発明を例証する。
【0098】
(実施例1:シリカ−アルミナSA1によって構成される触媒C1の調製(本発明に合致する))
触媒C1は、バインダーなしで、シリカ−アルミナSA1の押出により調製される。この実施例において、触媒C1は、したがって、形成シリカ−アルミナSA1と同一である。触媒C1の重量による化学組成は、Al71%及びSiO29%である。
【0099】
45.0gのアルミニウムヘキサノラートを、攪拌反応器中で45.5gの鉱質除去水を用いて90℃で45分間にわたり連続的に加水分解する。その後、アルコールから分離するアルミナの水性懸濁液を、イオン交換体により鉱質除去されたオルトケイ酸の全量8.9重量%と混合する。その後、得られた懸濁液を、300〜600℃の温度で噴霧器を用いて従来通り乾燥させ、このようにして、シリカ−アルミナSA1を得る。このように調製された粉末は、無水の生成物に対して3重量%の硝酸の存在下、Z−ブレード混合器で成形される。押出は、2.5mmに等しい径の開口部を有するダイにペーストを通過させることにより行われる。このようにして得られた触媒C1の押出物は、150℃で乾燥させられ、その後、550℃で焼成される。XRF及びEDXと組み合わされたTEM分析で測定された触媒C1のSi/Al比は、それぞれ、0.35及び0.33である。触媒C1のナトリウム含量及び塩素含量は、それぞれ、0.01重量%及び0.02重量%である。押出物は、1.6mmの直径を有する円筒体である。触媒C1の比表面積は、307m/gである。窒素吸着等温線法により測定された触媒C1の全細孔容積は、0.59mL/gである。水銀ポロシメトリで測定されたその全細孔容積は、0.78mL/gである。水銀ポロシメトリで測定された触媒C1の細孔の平均径は、7.6nmである。4〜15nmの径を有するメソ細孔の容積V1は、0.40mL/gであり、この容積は、全細孔容積の約51%を示す。50nm超の径を有する触媒のマクロ細孔の容積V2は、0.32cm/gであり、全細孔容積の約41%を示す。25nm超の径を有する触媒の細孔の容積V3は、0.35mL/gであり、全細孔容積の約45%を示す。触媒のTDは、0.50g/cmである。B/L比は、0.1程度の値を有する。
【0100】
(実施例2:シリカ−アルミナSA2により構成される触媒C2の調製及び成形(本発明に合致しない))
触媒C2は、ベーマイトを有する、シリカ−アルミナSA2の押出により調製される。触媒C2の重量による化学組成は、Al71%及びSiO29%である。
【0101】
30℃の温度に維持された、硫酸アルミニウム水溶液(アルミニウム6.1重量%)およびケイ酸ナトリウム(ケイ素10.2重量%)および水酸化ナトリウム(9.7重量%)をベースとする水溶液を、30℃に加熱された1.2Lの鉱質除去水を含有する反応器に供給する。反応器への添加の間の全溶液のpHは、硫酸溶液を用いて、8に保持される。このようにして得られた懸濁液をろ過する。生じたシリカ−アルミナSA2の重量による化学組成はAl30%およびSiO70%である。SA2のろ過からのケーキ状物を回収し、その後、無水生成物に対して3重量%の硝酸とベーマイトとの存在下、Z−ブレード混合器で混合し、触媒C2の重量による化学組成はAl71%およびSiO29%に達した。押出は、2.5mmの直径の開口部を有するダイにペーストを通過させることにより行われる。このようにして得られた触媒C2の押出物は、150℃で乾燥させられ、その後、550℃で焼成される。
【0102】
触媒C2の比表面積は、260m/gである。窒素吸着等温線法により測定されたその全細孔容積は、0.57mL/gである。水銀ポロシメトリで測定されたその全細孔容積は、0.44mL/gである。水銀ポロシメトリで測定された触媒C2の細孔の平均径は、7.7nmである。触媒C2のメソ細孔(4〜15nmの径)の容積V1は、0.40mL/gであり、この容積は、全細孔容積の約83%を示す。触媒C2のマクロ細孔(50nm超の径)の容積V2は、0.021mL/gであり、全細孔容積の約5%未満を示す。触媒C2の細孔(25nm超の径)の容積V3は、0.07mL/gであり、全細孔容積の16%未満を示す。触媒のTDは、0.61g/cmである。
【0103】
(実施例3:軽質オレフィンのオリゴマー化方法における触媒C1及びC2の触媒の評価(第1の実施形態))
接触分解装置に由来するオレフィンC4留分は、13Xタイプのモレキュラーシーブにより乾燥させられ、痕跡量の硫黄及び水が除去される。これらの処理の終了時における供給原料の組成を表1に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
触媒C1及びC2が、固定床反応器に装填され、表1に記載された供給原料のオリゴマー化反応について試験される。用いられた操作条件を表2に列挙する。触媒は、250℃、4時間、N下のオリゴマー化反応の前にin situで活性化される。
【0106】
【表2】

【0107】
HSV(h−1)=[触媒の体積/供給原料の体積流量]:0.85h−1
触媒の性能は、等価なオレフィンへの転化に対して必要な生成物についての選択性に関して評価される。155留分の選択性は、155℃未満の沸点を有する生成物の質量対反応生成物の全質量の比率として規定される。155℃未満の沸点を有する生成物を含む155留分は、ガソリンフラクションである。同様に、155−225留分の選択性は、155〜225℃の範囲の沸点を有する生成物の重量による割合として規定される。155〜225℃の範囲の沸点を有する生成物を含む155−225留分は、灯油留分である。試験の操作条件下での触媒C1及びC2の155留分及び155−225留分に関する質量に基づく選択性を、表3にまとめる。
【0108】
【表3】

【0109】
オレフィンへの等転化(iso-conversion)において、形成後のマクロ多孔性シリカ−アルミナから形成された触媒C1は、形成後の非マクロ多孔性シリカ−アルミナを含む触媒C2よりもより選択性が高い:触媒C1は、225℃超の沸点を有するより重質生成物の製造を犠牲にして、225℃未満の沸点を有するオリゴマーの製造を促進する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン炭化水素供給原料のオリゴマー化方法であって、
前記原料を、少なくとも1種のシリカ−アルミナを含む少なくとも1種の触媒と接触させることからなり、
前記触媒の重量によるシリカ含量は5〜95重量%であり、形成された前記シリカ−アルミナの多孔度は、
i)4〜15nmの径を有するメソ細孔の容積V1が、水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の30〜80%を示し;
ii)50nm超の径を有するマクロ細孔の容積V2が、水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の15〜80%を示す
ようにされる、方法。
【請求項2】
前記触媒の重量によるシリカ含量は、25〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載のオリゴマー化方法。
【請求項3】
形成された際の前記シリカ−アルミナの細孔分布は、マクロ細孔の前記容積V2が水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の35〜80%を示すようにされることを特徴とする請求項1または2に記載のオリゴマー化方法。
【請求項4】
水銀圧入ポロシメーターを用いて得られた、形成されたシリカ−アルミナの細孔の平均径は、2〜15nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項5】
形成された際の前記シリカ−アルミナの25nm超の径を有する細孔の容積V3は、水銀圧入ポロシメーターにより測定された全細孔容積の20〜80%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項6】
形成された際の前記シリカ−アルミナのBET比表面積は、100〜550m/gであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項7】
形成された際の前記シリカ−アルミナは、マイクロメートルスケールで均一であるシリカ−アルミナであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項8】
前記触媒は、全体的に前記シリカ−アルミナにより構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項9】
前記触媒は、バインダーを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項10】
前記オレフィン炭化水素供給原料は、25〜80重量%のオレフィンを含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項11】
前記オレフィン炭化水素供給原料は、少なくとも90重量%のプロピレン及びプロパンを含むオレフィンC3留分であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項12】
前記オレフィン炭化水素供給原料は、オレフィンC3〜C4留分であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項13】
前記オレフィン炭化水素供給原料は、90重量%超でイソブタン、n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテンを含むオレフィンC4留分であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。
【請求項14】
前記オレフィン炭化水素供給原料は、オレフィンC5留分であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のオリゴマー化方法。

【公開番号】特開2011−80063(P2011−80063A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−228016(P2010−228016)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】