説明

マグネシウム高含有の麺食品用つゆ

【課題】うどん、素麺、日本蕎麦、ラーメン、乾麺等の麺食品用であって、マグネシウム含量の多いつゆを提供する。
【解決手段】うどん、素麺、日本蕎麦、ラーメン、乾麺等の麺食品用のつゆに濃縮にがりを配合したマグネシウム(Mg)含有量が多いつゆを提供する。すなわち、本発明は濃縮にがりを無配合と比べて、味がマイルドでコクがあり、必須ミネラルであるMgを高含有し、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、高脂血症等を誘引せず、また妊婦のつわりを軽減できる栄養機能食品としてのうどん、素麺、日本蕎麦、ラーメン、乾麺等の麺食品用のつゆを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はうどん、素麺、日本蕎麦、ラーメン、乾麺等を食するための、つゆ(液・汁)に関する。すなわちマグネシウムを多く含有する天然濃縮にがりを配合したマグネシウム(Mg)高含有麺食品用のつゆを提供する。
【0002】
本発明において“つゆ”とは、前述した麺食品(小麦粉、蕎麦粉または米粉を細長く加工した食品)を食するために使用される、風味や香味を有する液状物(スープも含む)を意味する。つゆは、ゆでた麺食品と一緒に食することもあれば、またゆでた麺食品をつゆの中に付けて食することもある。一般にはうどん、素麺、日本蕎麦またはラーメンは、醤油をベース味としたつゆに付けるか、或いはつゆと一緒に食されている。
【背景技術】
【0003】
麺食品、例えば、うどん、素麺、日本蕎麦、ラーメン等は広く食されており、これら麺食品を食するつゆの味をよくするため種々提案がなされてきた。例えば、胡麻、味噌、緑黄色野菜、薬味等をつゆに配合したつゆ(特開2000−93117号公報)、トルマリンで改質した水を使用したり(特開2003−38120号公報)、醤油の代わりに塩をベースとするもの(特開2006−191907号公報)等が開示されている。
【0004】
しかし、いずれの提案も昔ながらの塩分(NaCl)を主体として含むものであり、そのため高血圧、動脈硬化、脳卒中、腎臓病等への配慮はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−93117号公報
【特許文献2】特開2003−38120号公報
【特許文献3】特開2006−191907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はうどん、素麺、日本蕎麦、ラーメンまたは乾麺等の麺食品のつゆに、マグネシウム高含有の濃縮にがりを配合することにより、比較的に塩分(NaCl)を減少することができ、その上味はマイルドでコクがあり、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、高脂血症等を誘引せず、また妊婦のつわりの症状を軽減できるつゆを提供する。
一方、食生活の近代化と共に、ミネラルとしてのマグネシウムの摂取量の不足が問題化されているが、本発明のつゆはこのマグネシウム不足の問題の解消にも役立つものである。
【0007】
本発明の濃縮にがりは天然濃縮にがりでも、人工的に海水またはにがりを濃縮したものでも、にがりの主成分である塩化マグネシウムを濃縮した物でもよい。天然の濃縮にがりは、例えば、湖で天然に産出した濃縮されたにがりであり、マウスを用いた急性経口毒性試験では2,000mg/Kg以上で安全な物質である。
雨季には湖面は水で覆われているが、乾季になると強烈な太陽エネルギーが湖水を蒸発させ、湖面は硬く厚い塩の層へと変わる。その塩の層の下には、マグネシウムをはじめとするミネラルを充分に含んだ濃厚液が存在する。この濃厚な湖水を地表のプールにくみ出し、夏季の強烈な太陽の熱でさらに濃縮すると、ナトリウムはマグネシウムより早く結晶化して析出されるので、マグネシウムを豊富に含み、ナトリウムは99%除去されたミネラル液が産出される。
【0008】
この天然濃縮にがりは、一般に海水から塩を作る時の副産物であるにがり(苦汁)とは全く異なるものである。一般ににがり(苦汁)のマグネシウムは多いが、ナトリウムもある程度は残っている。本発明に使用の天然濃縮にがりはナトリウムが極めて少なく、マグネシウムが高濃度に濃縮されていることが特徴である。
【0009】
この天然濃縮にがりの主な生産地は西オーストラリアのデボラ湖で、この地域は海から内陸に向かって強い西風が吹いており、その西風に乗ってインド洋の海の飛沫が内陸に運ばれ、遠く離れたデボラ湖に降り積もったといわれており、この大自然の営みは現在も続いている。表1に天然濃縮にがり(商品名:マグネホース、オーストラリア、デボラ湖産)の代表的な分析値を示す。また表2には、前記天然濃縮にがりと瀬戸内海沿岸で産する海水からのにがり(苦汁)とのナトリウム含量、マグネシウム含量、比重およびpHを比較して示した。
【0010】
【表1】

【0011】
【表2】

【0012】
本発明のつゆにこの濃縮にがりを使用することにより、塩分を低減できるばかりでなく、コクやうま味を増加し、さらにマグネシウムを多く摂取できる。マグネシウムを多く摂取すると、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドロームを誘引せず、さらに血管の細胞内にカルシウムが増えるのを抑えることが出来、その結果、血管の収縮が抑えられ、血圧が下がる等の効果がある。
また妊婦については妊娠初期には細胞内マグネシウムが増加し、血清マグネシウムが減少するので、マグネシウムの補給でつわりの症状を軽減することができる。
【0013】
一般につゆの原料配合量の基準はなく、醤油を基本とし、味、食感の好みにより適宜他の風味材や香味材の配合によりつゆがつくられている。
【0014】
本発明のつゆは、基本となるつゆに濃縮にがりを配合したつゆであるが、濃縮にがりの配合量は好みにより適宜決めればよいが、好ましくは、つゆ20mLに対し、マグネシウム(Mg)として20〜100mg、さらに好ましくは30〜80mgである。20mg以下の場合はマグネシウム摂取効果があまりなく、100mg以上の場合は、つゆが苦くなる。
【0015】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
イリコと昆布で取っただし汁300mLと、醤油100mL、みりん100mL、を混ぜ基本のつゆとする。これに天然濃縮にがり、商品名「マグネホース」(デボラ湖産)サンプルAをそれぞれ、1.0mL(Mgに換算して20.6mg)、2.0mL(Mgに換算して41.2mg)、3.0mL(Mgに換算して61.8mg)、4.0mL(Mgに換算して82.4mg)、または4.5mL(Mgに換算して92.7mg)添加する。これを素麺のつゆとして10人が食した。その結果を表3に示した。なお、「マグネホース」無添加のつゆを比較として準備した。
結果は「マグネホース」をいれることで、味も食感も変化なく、Mgを多く摂取で来た。
【0017】
【表3】

【実施例2】
【0018】
下記割合でつゆ原料を配合し、加熱殺菌後冷却し、うどん用つゆとした。
(wt%)
醤油 47.2
砂糖 13.1
食塩 3.5
糖類発酵調味料 3.3
かつおエキス 3.2
ブドウ糖 1.5
蛋白加水分解物 0.1
昆布エキス 0.1
化学調味料(アミノ酸) 1.9
マグネホース 2.0
アルコール 1.2
カラメル色素 0.1
甘味料(甘草) 0.1以下
水 22.8

このつゆ20mL(Mg含量43.0mg)を味認識装置(TS−5000Z、(株)インテリジェントセンサーテクノロジー)を用い味覚試験を行った。結果を表4に示す。
【0019】
【表4】

表4中の「コントロール品」とは「うどん用つゆ」に対してマグネホースをいれていないつゆを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺食品用の、濃縮にがりを配合したマグネシウム(Mg)を含有するつゆ。
【請求項2】
マグネシウム(Mg)をつゆ20mL当たり20〜100mg含む請求項1記載のつゆ。
【請求項3】
濃縮にがりが、ナトリウム(Na)濃度が1.0質量%以下である請求項1記載のつゆ。
【請求項4】
マグネシウム(Mg)をつゆ20mL当たり30〜80mg含む請求項1記載のつゆ。
【請求項5】
マグネシウム(Mg)をつゆ20mL当たり30〜50mg含む請求項1記載のつゆ。
【請求項6】
麺食品が、うどん、素麺、日本蕎麦、ラーメンまたは乾麺である請求項1記載のつゆ。
【請求項7】
マグネシウム(Mg)補給用食品としての請求項1記載のつゆ。
【請求項8】
濃縮にがりが、デボラ湖産天然濃縮にがりである請求項1記載のつゆ。