説明

マグネットコネクタ

【課題】電気機器に対しプラグを容易に着脱することができるマグネットコネクタを提供すること。
【解決手段】第一端子としての給電端子13が設けられたプラグ2と、外殻体15に形成された凹部16に第二端子としての受電端子22が設けられた電気機器3とを有して構成され、前記プラグ2に設けられたマグネット部材12を、前記電気機器3の凹部16に設けられた吸着片19に磁着させた際に、前記給電端子13と受電端子22とが電気的に接続されるマグネットコネクタ1であり、前記給電端子13を前方及び下方から露出させ、前記凹部16を上方と後方、即ち交差する二方向に開放させ、前記受電端子22を上方及び後方から露出させたことで、前記給電端子13と受電端子22が露出するあらゆる方向から、前記電気機器2の凹部16に対し、前記プラグ2を容易に着脱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一端子が設けられたプラグと第二端子が設けられた電気機器とを、マグネットの磁力によって着脱可能に接続するマグネットコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のマグネットコネクタとしては、吸着板(本願発明の吸着片に相当する)及びプラグ側接点部材(本願発明の第一端子に相当する)が設けられたプラグと、マグネット、磁性板(本願発明の導磁片に相当する)及びプラグ受け側接点部材(本願発明の第二端子に相当する)が設けられたプラグ受け(本願発明の電気機器に相当する)とを有するマグネットコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このマグネットコネクタのプラグ受けには、開口凹陥部が形成されており、この開口凹陥部に案内されることで、前記プラグが前記プラグ受けにおける所定の位置に案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−171652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなマグネットコネクタは、前記プラグが前記プラグ受けに対して一方向からしか挿入できない。同様に、このようなマグネットコネクタは、前記プラグが前記プラグ受けに対して一方向からしか外されない。このため、前記プラグ受けが置かれる位置によっては、このプラグ受けに対し前記プラグを容易に着脱することができないという問題があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、電気機器に対しプラグを容易に着脱することができるマグネットコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のマグネットコネクタは、第一端子が設けられたプラグと、外殻体に形成された凹部に第二端子が設けられた電気機器とを有して構成され、前記プラグ又は電気機器の一方にマグネット部材を、他方に吸着片を設け、前記マグネット部材と吸着片とが磁着した際に、前記第一端子と第二端子とが電気的に接続されるマグネットコネクタにおいて、前記第一端子を、この第一端子が設けられた面に露出させ、前記凹部を、交差する少なくとも二方向に開放させ、前記第二端子を、この第二端子が設けられた面に露出させると共に、前記第一端子と第二端子の少なくとも何れか一方を、前述の露出方向と交差する方向からも露出させるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載のマグネットコネクタは、請求項1において、前記第一端子の第一接点又は前記第二端子の第二接点が、第一方向へ移動可能であり、前記第一接点又は第二接点の前記第一方向への移動距離を、前記マグネット部材と吸着片の磁着範囲における、前記第二端子側から反第二端子側への第二方向に沿った寸法よりも大きくすると共に、前記第一方向と第二方向とが平行であるものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載のマグネットコネクタは、第一端子及び第一マグネット部材が設けられたプラグと、外殻体に形成された凹部に第二端子及び第二マグネット部材が設けられ電気機器とを有して構成され、前記第一マグネット部材と第二マグネット部材が磁着した際に、前記第一端子と第二端子とが電気的に接続されるマグネットコネクタにおいて、前記第一端子を、この第一端子が設けられた面に露出させ、前記凹部を、交差する少なくとも二方向に開放させ、前記第二端子を、この第二端子が設けられた面に露出させると共に、前記第一端子と第二端子の少なくとも何れか一方を、前述の露出方向と交差する方向からも露出させるものである。
【0009】
更に、本発明の請求項4に記載のマグネットコネクタは、請求項3において、前記第一端子の第一接点又は前記第二端子の第二接点が、第一方向へ移動可能であり、前記第一接点又は第二接点の前記第一方向への移動距離を、前記第一マグネット部材と第二マグネット部材の磁着範囲における、前記第二端子側から反第二端子側への第二方向に沿った寸法よりも大きくすると共に、前記第一方向と第二方向とが平行であるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載のマグネットコネクタは、以上のように構成することにより、前記電気機器の外殻体に形成された凹部に、前記第一端子と第二端子の双方が露出するあらゆる方向から前記プラグを挿入して、前記マグネット部材と吸着片とを磁着させ、前記第一端子と第二端子とを電気的に接続することができるので、前記電気機器に対する前記プラグの着脱を容易に行うことができる。
【0011】
なお、前記第一端子の第一接点又は前記第二端子の第二接点を、第一方向へ移動可能とし、前記第一接点又は第二接点の前記第一方向への移動距離を、前記マグネット部材と吸着片の磁着範囲における、前記第二端子側から反第二端子側への第二方向に沿った寸法よりも大きくすると共に、前記第一方向と第二方向とを平行にすれば、前記マグネット部材と吸着片とを磁着させることで、前記第一端子と第二端子とを電気的に確実に接続させることができる。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載のマグネットコネクタは、以上のように構成することにより、前記電気機器の外殻体に形成された凹部に、前記第一端子と第二端子の双方が露出するあらゆる方向から前記プラグを挿入して、前記第一マグネット部材と第二マグネット部材とを磁着させ、前記第一端子と第二端子とを電気的に接続することができるので、前記電気機器に対する前記プラグの着脱を容易に行うことができる。
【0013】
なお、前記第一端子の第一接点又は前記第二端子の第二接点を、第一方向へ移動可能とし、前記第一接点又は第二接点の前記第一方向への移動距離を、前記第一マグネット部材と第二マグネット部材の磁着範囲における、前記第二端子側から反第二端子側への第二方向に沿った寸法よりも大きくすると共に、前記第一方向と第二方向とを平行にすれば、前記第一マグネット部材と第二マグネット部材とを磁着させることで、前記第一端子と第二端子とを電気的に確実に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すマグネットコネクタの右側面図である。
【図2】同、平面図である。
【図3】同、プラグの底面図である。
【図4】同、電気機器の平面図である。
【図5】同、A−A断面図である。
【図6】同、B−B断面図である。
【図7】同、プラグを上方から電気機器に対し着脱する場合を示す説明図である。
【図8】同、プラグを後方から電気機器に対し着脱する場合を示す説明図である。
【図9】同、プラグを後方斜め上から電気機器に対し着脱する場合を示す説明図である。
【図10】同、プラグを後方斜め上から回動させて電気機器に対し着脱する場合を示す説明図である。
【図11】同、プラグの上限位置を示す説明図である。
【図12】同、マグネット部材と吸着片と第一端子及び第二端子の位置関係を示す説明図である。
【図13】本発明の第二の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図14】本発明の第三の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図15】本発明の第四の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図16】本発明の第五の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図17】本発明の第六の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図18】本発明の第七の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図19】本発明の第八の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図20】本発明の第九の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図21】本発明の第十の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図22】本発明の第十一の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図23】本発明の第十二の実施形態を示すマグネットコネクタの説明図である。
【図24】本発明のマグネットコネクタを用いた機器の一例である電気掃除機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図12に基づいて説明する。なお、本実施形態では、図1及び図5乃至図12における左側を前、右側を後と規定する。また、図1及び図5乃至図12における上下は、実際の上下と一致する。
【0016】
1は、本発明のマグネットコネクタである。このマグネットコネクタ1は、プラグ2と、電気機器3とを有して構成される。
【0017】
前記プラグ2は、その筐体4の前面5に一対の貫通孔6が形成される。また、前記筐体4の下面7の前部から前記前面5の下部にかけて、一対の凹部8が形成されると共に、これらの凹部8に、それぞれ貫通孔9が形成される。従って、前記凹部8は、下方及び前方、即ち二方向に開放する。なお、前記前面5と下面7は、ほぼ直交する。そして、前記貫通孔6から、一対の導磁片10が突出する。なお、これらの導磁片10同士の間隔はP1である。更に、これらの導磁片10の間には、マグネット11が磁気結合する。そして、一対の前記導磁片10とマグネット11によって、マグネット部材12が構成される。即ち、このマグネット部材12は、前記プラグ2の前面5に設けられる。一方、前記貫通孔9から突出して、第一端子としての一対の給電端子13が設けられる。即ち、前記給電端子13は、前記プラグ2の下面7に設けられる。なお、前記給電端子13の接点部13A同士の間隔はP2である。また、前記給電端子13は、弾性変形可能に構成される。そして、この給電端子13の接点部13Aは、前記凹部8内に位置する。なお、前述した通り、前記凹部8が下方及び前方に開放するので、前記給電端子13の接点部13Aは、前記給電端子13が設けられた下面7の方向、即ち底面視で露出するばかりでなく、前記凹部8が開放する前方、即ち正面視でも露出する。また、14は電源コードである。
【0018】
前記電気機器3は、その外殻体15に凹部16が形成される。この凹部16は、上方及び後方、即ち二方向に開放すると共に、これらの二方向の中間となる後方斜め上も開放する。また、前記凹部16の垂直な第一面17には、上方及び後方が開放した一対の溝部18が垂直方向で且つ平行に形成され、これらの溝部18内において、吸着片19が後方に露出する。即ち、この吸着片19は、前記凹部16の第一面17に設けられる。なお、前記溝部18同士の間隔P3は、前記導磁片10同士の間隔P1とほぼ等しい。一方、前記凹部16の水平な第二面20には、一対の貫通孔21が形成され、これらの貫通孔21を通って、第二端子としての一対の受電端子22の接点部22Aが、それぞれ前記第二面20の上方に突出する。即ち、前記受電端子22は、前記凹部16の第二面20に設けられる。なお、前記受電端子22の接点部22A同士の間隔P4は、前記給電端子13の接点部13A同士の間隔P2とほぼ等しい。また、前記受電端子22の接点部22Aは、前記第二面20よりも上方に突出するので、前記受電端子22が設けられた第二面20の方向、即ち平面視で露出するばかりでなく、前記凹部16が開放する後方、即ち背面視でも露出する。
【0019】
なお、図5及び図6に示すように、前記溝部18に前記マグネット部材12の導磁片10を挿入して、その下部を前記吸着片19の上部に磁着させると、前記給電端子13の接点部13Aが、前記凹部8に入った受電端子22の接点部22Aに押されて弾性変形することで、前記給電端子13の接点部13Aが前記受電端子22の接点部22Aに圧接して電気的に接続される。この際、図12に示すように、前記導磁片10と吸着片19とが磁着する範囲の上下方向(即ち、受電端子22側−反受電端子22側となる方向)に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きい。なお、寸法L1の方向と移動距離L2の方向は平行である。
【0020】
次に、本発明の作用について説明する。まず、前記プラグ2を前記電気機器3に取り付ける場合について説明する。なお、前述した通り、前記電気機器3の凹部16の上方及び後方が開放していることにより、前記プラグ2は、図7乃至図9に示すように、前記電気機器3の上方からでも後方からでも後方斜め上からでも、前記凹部16に挿入して前記電気機器3に取り付けることができる。また、前記プラグ2は、図10に示すように、回動させるようにして前記電気機器3に取り付けることもできる。
【0021】
前記プラグ2を前記電気機器3の上方から取り付ける場合、前記プラグ2の下面7が前記電気機器3の凹部16の第二面20と対向するようにして、図7に示すように、前記プラグ2を下方に移動させる。そして、前記プラグ2を下方に移動させると、前記マグネット部材12の導磁片10は、前記溝部18に上方から挿入される。また、前記給電端子13の接点部13Aは、前記受電端子22の接点部22Aと当接する。そして、更に前記プラグ2を下方に移動させると、前記給電端子13は、前記受電端子22に押されて弾性変形する。即ち、前記給電端子13の接点部13Aは、前記受電端子22の接点部22Aに圧接して、前記受電端子22と電気的に良好に接続される。そして、更に前記プラグ2を下方に移動させると、前記溝部18に挿入された導磁片10は、前記溝部18内において露出した前記吸着片19に磁着する。そして、前記導磁片10が吸着片19に磁着することで、前記プラグ2は前記電気機器3に保持される。
【0022】
前記プラグ2を前記電気機器3の後方から取り付ける場合、前記プラグ2の前面5が前記電気機器3の凹部16の第一面17と対向するようにして、図8に示すように、前記プラグ2を前方に移動させる。そして、前記プラグ2を前方に移動させると、前記給電端子13の接点部13Aは、前記受電端子22の接点部22Aと当接する。そして、更に前記プラグ2を前方に移動させると、前記給電端子13は前記受電端子22に押されて弾性変形することで、前記受電端子22の接点部22Aに圧接して、前記受電端子22と電気的に良好に接続される。そして、更に前記プラグ2を前方に移動させると、前記マグネット部材12の導磁片10は、前記溝部18に後方から挿入され、この溝部18内において露出した前記吸着片19に磁着する。そして、前記導磁片10が吸着片19に磁着することで、前記プラグ2は前記電気機器3に保持される。
【0023】
前記プラグ2を前記電気機器3の後方斜め上から取り付ける場合、前記プラグ2の前面5が前記電気機器3の凹部16の第一面17とほぼ平行になるようにすると共に、前記プラグ2の下面7が前記凹部16の第二面20とほぼ平行になるようにして、図9に示すように、前記プラグ2を前方斜め下に移動させる。そして、前記プラグ2を前方斜め下に移動させると、前記マグネット部材12の導磁片10は、前記溝部18に後方斜め上から挿入されると共に、前記給電端子13の接点部13Aは、前記受電端子22の接点部22Aと当接する。そして、更に前記プラグ2を前方斜め下に移動させると、前記給電端子13は、前記受電端子22に押されて弾性変形することで、前記受電端子22の接点部22Aに圧接して、前記受電端子22と電気的に良好に接続される。そして、更に前記プラグ2を前方斜め下に移動させると、前記マグネット部材12の導磁片10は、前記溝部18内において露出した前記吸着片19に磁着する。そして、前記導磁片10が吸着片19に磁着することで、前記プラグ2は前記電気機器3に保持される。
【0024】
前記プラグ2を前記電気機器3の後方斜め上から回動させながら取り付ける場合、前記プラグ2の前部が低くなるように、前記プラグ2の前下部を前記電気機器3の凹部16に挿入する。この状態から、図10に示すように、前記プラグ2の後部を下方に移動させるように回動させる。そして、このように前記プラグ2を回動させると、前記マグネット部材12の導磁片10は、前記溝部18に後方斜め上から挿入されると共に、前記給電端子13の接点部13Aは、前記受電端子22の接点部22Aと当接する。そして、更に前記プラグ2を回動させると、前記給電端子13は、前記受電端子22に押されて弾性変形することで、前記受電端子22の接点部22Aに圧接して、前記受電端子22と電気的に良好に接続される。そして、更に前記プラグ2を回動させると、前記マグネット部材12の導磁片10は、前記溝部18内において露出した前記吸着片19に磁着する。そして、前記導磁片10が吸着片19に磁着することで、前記プラグ2は前記電気機器3に保持される。
【0025】
このように、前記凹部16が、上方と後方の二方向、及びこれらの方向の中間である後方斜め上に開放するので、前記プラグ2を上方から後方にかけてのあらゆる方向から、直線的に、又は回動させながら前記凹部16に挿入することができるので、前記プラグ2を電気機器3に対し容易に取り付けることができる。なお、前記プラグ2を電気機器3から取り外す場合は、上述した何れかの取付手順を逆に行えばよい。そして、何れの手順を用いても、前記プラグ2を電気機器3から容易に取り外すことができる。
【0026】
なお、図11は、前記プラグ2が電気機器3に取り付けられる上限を示すものである。この位置関係において、前記マグネット部材12の導磁片10の下端と、前記吸着片19の上端とが磁着する。そして、この位置関係において、前記給電端子13の接点部13Aは、前記給電端子13が弾性変形した状態で、前記受電端子22の接点部22Aに対し圧接状態で電気的に接触する。これは、前述したように、前記導磁片10と吸着片19とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいためである。即ち、このような構造であれば、前記導磁片10の下端と前記吸着片19の上端とが接することができる前記プラグ2の位置を、前記給電端子13の接点部13Aが前記受電端子22の接点部22Aと接することができる前記プラグ2の位置よりも低くすることができる。そして、前記導磁片10が前記吸着片19に磁着すると同時に、前記給電端子13の接点部13Aと受電端子22の接点部22Aが離間することはない。換言すれば、前記導磁片10を前記吸着片19に磁着させることで、前記給電端子13の接点部13Aと受電端子22の接点部22Aを確実に電気的に接触させることができる。
【0027】
以上のように、本発明は、第一端子としての給電端子13が設けられたプラグ2と、外殻体15に形成された凹部16に第二端子としての受電端子22が設けられた電気機器3とを有して構成され、前記プラグ2にマグネット部材12を、前記電気機器3に吸着片19を設け、前記マグネット部材12と吸着片19とが磁着した際に、前記給電端子13と受電端子22とが電気的に接続されるマグネットコネクタ1であって、前記給電端子13を、前方及び下方から露出させ、前記凹部16を、上方と後方、即ち交差する二方向に開放させ、前記受電端子22を、上方及び後方から露出させたことで、前記電気機器2の凹部16に、前記給電端子13と受電端子22が露出するあらゆる方向から前記プラグ2を挿入して、前記マグネット部材12と吸着片19とを磁着させ、前記給電端子13と受電端子22とを電気的に接続することができるので、前記電気機器3に対する前記プラグ2の着脱を容易に行うことができるものである。
【0028】
また、本発明は、前記給電端子13の第一接点である接点部13Aを、第一方向である上下方向へ移動可能とし、前記接点部13Aの上下方向への移動距離L2を、前記マグネット部材12と吸着片19の磁着範囲における、前記第一方向と平行な第二方向である上下方向に沿った寸法L1よりも大きくしたことで、前記マグネット部材12と吸着片19とを磁着させることで、前記給電端子13と受電端子とを電気的に確実に接続させることができる。
【0029】
次に、本発明の第二の実施形態について、図13に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2に吸着片19を、電気機器3にマグネット部材31を設ける。そして、前記マグネット部材31を構成する導磁片32の上部に、前記吸着片19の下部が磁着するように構成される。それ以外の構成は、前述した第一の実施形態と同様である。また、前記導磁片32と吸着片19とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいことも、前述した第一の実施形態と共通する。更に、作用も前述した第一の実施形態と共通する。
【0030】
次に、本発明の第三の実施形態について、図14に基づいて説明する。本実施形態は、マグネット部材41を構成する導磁片42の前端の上下寸法を小さくすることで、前記導磁片42の前端全体が、吸着片19の上部に磁着するように構成される。それ以外は前述した各実施形態と同様である。また、前記導磁片42と吸着片19とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいことも、前述した各実施形態と共通する。更に、作用も前述した各実施形態と共通する。
【0031】
次に、本発明の第四の実施形態について、図15に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2に吸着片51を、電気機器3にマグネット部材31を設ける。そして、前記吸着片51の前端の上下寸法を小さくすることで、前記吸着片51の前端が、上下方向全体に亘って、前記マグネット部材31の導磁片32の上部に磁着するように構成される。それ以外は前述した各実施形態と同様である。また、前記導磁片32と吸着片51とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいことも、前述した各実施形態と共通する。更に、作用も前述した各実施形態と共通する。
【0032】
次に、本発明の第五の実施形態について、図16に基づいて説明する。本実施形態は、吸着片51の後端の上下寸法を小さくすることで、前記吸着片51の後端が、上下方向全体に亘って、マグネット部材12を構成する導磁片10の下部に磁着するように構成される。それ以外は前述した各実施形態と同様である。また、前記導磁片10と吸着片51とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいことも、前述した各実施形態と共通する。更に、作用も前述した各実施形態と共通する。
【0033】
次に、本発明の第六の実施形態について、図17に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2に吸着片19を、電気機器3にマグネット部材61を設ける。そして、前記マグネット部材61を構成する導磁片62の後端の上下寸法を小さくすることで、前記導磁片62の後端全体が、前記吸着片19の下部に磁着するように構成される。それ以外は前述した各実施形態と同様である。また、前記導磁片62と吸着片19とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいことも、前述した各実施形態と共通する。更に、作用も前述した各実施形態と共通する。
【0034】
次に、本発明の第七の実施形態について、図18に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2にマグネット部材41を、電気機器3に吸着片51を設けたものである。そして、前記マグネット部材41を構成する導磁片42の前端の上下寸法が、前記吸着片51の後端の上下寸法とほぼ等しくなるように構成する。この場合、前記導磁片42の前端の上下寸法及び前記吸着片51の後端の上下寸法が、磁着範囲の上下寸法L1ということになる。そして、この磁着範囲の上下寸法L1を、弾性変形可能な給電端子13の接点部13Aの上下方向への移動距離L2よりも小さくすることで、前述した各実施形態と同様の作用を奏することができる。
【0035】
次に、本発明の第八の実施形態について、図19に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2に吸着片51を、電気機器3にマグネット部材61を設けたものである。そして、前記マグネット部材61を構成する導磁片62の後端の上下寸法が、前記吸着片51の前端の上下寸法とほぼ等しくなるように構成する。この場合、前記導磁片62の後端の上下寸法及び前記吸着片51の前端の上下寸法が、磁着範囲の上下寸法L1ということになる。そして、この磁着範囲の上下寸法L1を、弾性変形可能な給電端子13の接点部13Aの上下方向への移動距離L2よりも小さくすることで、前述した各実施形態と同様の作用を奏することができる。
【0036】
次に、本発明の第九の実施形態について、図20に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2に第一マグネット部材71を、電気機器3に第二マグネット部材72を設けたものである。そして、前記第二マグネット部材72を構成する導磁片32の上部に、前記第一マグネット部材71を構成する導磁片10の下部が磁着するように構成される。なお、第一マグネット部材71を構成する導磁片10と、第二マグネット部材72を構成する導磁片32は、磁極が互いに逆なるようにする。それ以外の構成は、前述した各実施形態と同様である。また、前記導磁片32と導磁片10とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいことも、前述した各実施形態と共通する。更に、作用も前述した各実施形態と共通する。
【0037】
次に、本発明の第十の実施形態について、図21に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2に第一マグネット部材81を、電気機器3に第二マグネット部材82を設けたものである。本実施形態は、第一マグネット部材81を構成する導磁片42の前端の上下寸法を小さくすることで、前記導磁片42の前端全体が、前記第二マグネット部材82を構成する導磁片32の上部に磁着するように構成される。なお、第一マグネット部材81を構成する導磁片42と、第二マグネット部材82を構成する導磁片32は、磁極が互いに逆なるようにする。それ以外の構成は、前述した各実施形態と同様である。また、前記導磁片32と導磁片42とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいことも、前述した各実施形態と共通する。更に、作用も前述した各実施形態と共通する。
【0038】
次に、本発明の第十一の実施形態について、図22に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2に第一マグネット部材71を、電気機器3に第二マグネット部材92を設けたものである。本実施形態は、第二マグネット部材92を構成する導磁片32の後端の上下寸法を小さくすることで、前記導磁片32の後端全体が、前記第一マグネット部材71を構成する導磁片10の下部に磁着するように構成される。なお、第一マグネット部材71を構成する導磁片10と、第二マグネット部材92を構成する導磁片32は、磁極が互いに逆なるようにする。それ以外の構成は、前述した各実施形態と同様である。また、前記導磁片10と導磁片32とが磁着する範囲の上下方向に沿った寸法L1よりも、弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離L2の方が大きいことも、前述した各実施形態と共通する。更に、作用も前述した各実施形態と共通する。
【0039】
次に、本発明の第十二の実施形態について、図23に基づいて説明する。本実施形態は、プラグ2に第一マグネット部材81を、電気機器3に第二マグネット部材92を設けたものである。なお、第一マグネット部材81を構成する導磁片42と、第二マグネット部材92を構成する導磁片32は、磁極が互いに逆なるようにする。そして、前記第一マグネット部材81を構成する導磁片42の前端の上下寸法が、前記第二マグネット部材92を構成する導磁片32の後端の上下寸法とほぼ等しくなるように構成する。この場合、前記導磁片42の前端の上下寸法及び前記導磁片32の後端の上下寸法が、磁着範囲の上下寸法L1ということになる。そして、この磁着範囲の上下寸法L1を、弾性変形可能な給電端子13の接点部13Aの上下方向への移動距離L2よりも小さくすることで、前述した各実施形態と同様の作用を奏することができる。
【0040】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、電気機器に形成された凹部が、後方及び上方に開放するが、これ以外の方向、例えば前方又は後方、右側又は左側、上方又は下方のうち、任意の二方向又は三方向で開放させるようにしても良い。また、前記凹部が開放する方向は、三次元の座標軸に限定されず、例えば、斜め前方と斜め後方に開放するようにしても良い。また、前記凹部が開放する、交差する二方向は、直交していなくても良い。また、マグネット部材又は吸着片、及び第二端子を、前記凹部のどの面に設けるかは、任意である。また、上記実施形態では、プラグに給電端子を、電気機器に受電端子を設けたが、プラグに受電端子、電気機器に給電端子を設けても良い。更に、上記実施形態では、各端子は電力を伝達するためのものであるが、電気信号を伝達するためのものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、一般的に給電用のマグネットコネクタが用いられる電気調理器等に用いることができるのは明らかである。また、図24に示すように、電気掃除機Cの充電のために使用することも可能である。また、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話等の情報機器への充電、或いは信号伝達用コネクタとして使用することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 マグネットコネクタ
2 プラグ
3 電気機器
7 下面(第一端子が設けられた面)
12,31,41,61 マグネット部材
13 給電端子(第一端子)
13A 接点部
15 外殻体
16 凹部
19,51 吸着片
20 第二面(第二端子が設けられた面)
22 受電端子(第二端子)
22A 接点部
71,81 第一マグネット部材
72,92 第二マグネット部材
L1 磁着範囲の上下方向に沿った寸法
L2 弾性変形した前記給電端子13の接点部13Aの上下方向に沿った移動距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端子が設けられたプラグと、外殻体に形成された凹部に第二端子が設けられた電気機器とを有して構成され、前記プラグ又は電気機器の一方にマグネット部材を、他方に吸着片を設け、前記マグネット部材と吸着片とが磁着した際に、前記第一端子と第二端子とが電気的に接続されるマグネットコネクタにおいて、
前記第一端子を、この第一端子が設けられた面に露出させ、
前記凹部を、交差する少なくとも二方向に開放させ、前記第二端子を、この第二端子が設けられた面に露出させると共に、
前記第一端子と第二端子の少なくとも何れか一方を、前述の露出方向と交差する方向からも露出させることを特徴とするマグネットコネクタ。
【請求項2】
前記第一端子の第一接点又は前記第二端子の第二接点が、第一方向へ移動可能であり、前記第一接点又は第二接点の前記第一方向への移動距離を、前記マグネット部材と吸着片の磁着範囲における、前記第二端子側から反第二端子側への第二方向に沿った寸法よりも大きくすると共に、前記第一方向と第二方向とが平行であることを特徴とする請求項1記載のマグネットコネクタ。
【請求項3】
第一端子及び第一マグネット部材が設けられたプラグと、外殻体に形成された凹部に第二端子及び第二マグネット部材が設けられ電気機器とを有して構成され、前記第一マグネット部材と第二マグネット部材が磁着した際に、前記第一端子と第二端子とが電気的に接続されるマグネットコネクタにおいて、
前記第一端子を、この第一端子が設けられた面に露出させ、
前記凹部を、交差する少なくとも二方向に開放させ、前記第二端子を、この第二端子が設けられた面に露出させると共に、
前記第一端子と第二端子の少なくとも何れか一方を、前述の露出方向と交差する方向からも露出させることを特徴とするマグネットコネクタ。
【請求項4】
前記第一端子の第一接点又は前記第二端子の第二接点が、第一方向へ移動可能であり、前記第一接点又は第二接点の前記第一方向への移動距離を、前記第一マグネット部材と第二マグネット部材の磁着範囲における、前記第二端子側から反第二端子側への第二方向に沿った寸法よりも大きくすると共に、前記第一方向と第二方向とが平行であることを特徴とする請求項3記載のマグネットコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−97867(P2013−97867A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236521(P2011−236521)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】