説明

マグネットローラー及びマグネットローラー搬送装置

【課題】 鉄筋などの磁性を有する線状体を搬送する際に、マグネットローラーコンベア等の搬送装置から脱線させることなく搬送できるようにすることを課題とする。
【解決手段】 磁気吸引力を有するローラーと、該ローラーの外周に沿って所定間隔を隔てて平行に設けられた一対の非磁性ガイド体を有するマグネットローラーであり、このマグネットローラーが搬送路に沿って複数設けられ、搬送路の上流から下流に向かって、非磁性ガイド体の間隔が狭くなされているマグネットローラー搬送装置である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄筋などの磁性を有する線状体を搬送するマグネットローラー及びそのマグネットローラーで構成したコンベア等の搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、マグネットローラーコンベアを構成するマグネットローラー本体の周面には、鉄などの磁性体で構成された溝付きガイド体が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マグネットローラー本体の周面に形成される溝付きガイド体が、鉄などの磁性体で構成されていると、ローラー内に埋設されたマグネットの影響によって磁化され、図3で示すように、鉄筋などの磁性を有する線状体(a)をガイド体(12)のテーパー面(12a)に吸引してしまい、線状体(a)が搬送中にマグネットローラーコンベアの搬送路外に飛び出して脱線するというトラブルが発生していた。そこで、本発明は、鉄筋などの磁性を有する線状体を搬送する際に、マグネットローラーコンベア等の搬送装置から脱線させることなく搬送できるようにすることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような目的を達成するために次のようなマグネットローラー及びマグネットローラー搬送装置を提供するものである。すなわち、磁気吸引力を有するローラーと、該ローラーの外周に沿って所定間隔を隔てて平行に設けられた一対の非磁性ガイド体を有するマグネットローラーであり、このマグネットローラーが搬送路に沿って複数設けられ、搬送路の上流から下流に向かって、非磁性ガイド体の間隔が狭くなされていることを特徴とするマグネットローラー搬送装置である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はマグネットローラーコンベア(マグネットローラー搬送装置)を構成するマグネットローラーの断面図であり、図2はマグネットローラーコンベアの様子を示す説明図である。また、図3は従来のマグネットローラーの断面図である。なお、図2の矢印X方向が下流側となる。
【0006】まず、初めに従来のマグネットローラーから説明する。この図3で示すように、従来のマグネットローラーは、中心部分にマグネット(11)が埋設され、マグネット(11)の外周面には一対の磁性ガイド体(12)が形成されており、マグネット(11)によってガイド体(12)が磁化されて吸引力を有するようになるものである。したがって、図示のように、鉄筋などの磁性を有する線状体(a)を搬送する際に、その線状体(a)をガイド体(12)のテーパー面(12a)に吸引してしまい、搬送中に、マグネットローラーコンベアの搬送路外に飛び出させてしまうというトラブルが発生していた。そこで、本発明は、このようなトラブルを解消するため、マグネットローラーの周面に形成するガイド体を非磁性体で構成するようにしたものである。
【0007】図1において、(4)はローラー軸であり、(1)はそのローラー軸(4)に嵌挿されているマグネットローラーである。このマグネットローラー(1)は、中心部分にマグネット(2)が埋設されて磁気吸引力を有するように構成されたローラーと、ローラーの外周に沿って所定間隔を隔てて平行に設けられた一対の非磁性ガイド体(3)とで構成されており、ガイド体(3)を非磁性体で構成することによって、マグネット(2)で磁化されないようにしたものである。したがって、従来のように、ガイド体(3)のテーパー面(3a)に鉄筋などの磁性を有する線状体(a)が吸引されるようなことはなく、ローラー周面に形成されたガイド体同士の間隙(以下、溝という)中央上に確実に載置されて搬送されるので、線状体(a)が搬送路外に飛び出すというようなトラブルが発生しなくなる。
【0008】また、本発明のマグネットローラー(1)を搬送路に沿って複数配設して構成したマグネットローラー搬送装置、即ちマグネットローラーコンベア(5)は、図2で示すように、搬送路の上流側から下流側に向かって、非磁性ガイド体同士の間隔、即ち溝(6)の間隔がだんだん狭くなるように構成している。これは、ALCパネル内に埋設する補強用鉄筋籠等を製作する際のスペーサー溶接機等への鉄筋搬送時など、精確に位置決めして搬送する必要があるときに特に有効なものであって、鉄筋がマグネットローラーコンベア上に導入され始める上流側の溝ほど間隔を広めにし、下流側へ搬送するにつれてだんだん溝(6)の幅を狭くしていくことによって、鉄筋を導入しやすくするとともに、最終的にはより精確に位置決めして搬送できるようにするものである。したがって、鉄筋などの線状体(a)は常にローラーの溝(6)中央上に載置される必要があり、本発明のマグネットローラー(1)がきわめて有効なものとなる。
【0009】以上のように、本発明によれば、マグネットローラー周面のガイド体を非磁性体で構成したので、従来のように鉄筋などの磁性を有する線状体が搬送路外に飛び出して脱線するようなことはなく、ローラーに埋設されたマグネット直近の溝中央部分上にしっかりと載置されるようになる。また、マグネットローラーの溝を上流側から下流側に向かってだんだんと狭くなるようにしてマグネットローラーコンベアを構成したので、鉄筋などの線状体を搬送する際、より精確に位置決めして搬送できるようになっている。なお、言うまでもなく、本発明は、本発明の精神の範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0010】
【発明の効果】本発明によれば、マグネットローラー周面のガイド体を非磁性体で構成したので、鉄筋などの磁性を有する線状体を搬送する際、ローラーに埋設されたマグネット直近のガイド体間隙中央部分上にしっかりと載置されて搬送される。したがって、線状体が搬送路から脱線するようなトラブルは発生しない。また、マグネットローラーのガイド体の間隔を上流側から下流側に向かってだんだんと狭くなるようにしてマグネットローラー搬送装置を構成したので、鉄筋などの線状体を搬送する際には、より精確に位置決めして搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネットローラーの断面図
【図2】マグネットローラーコンベアの様子を示す説明図
【図3】従来のマグネットローラーの断面図
【符号の説明】
1 マグネットローラー
2 マグネット
3 非磁性ガイド体
4 ローラー軸
5 マグネットローラーコンベア
6 溝
12 磁性ガイド体

【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気吸引力を有するローラーと、該ローラーの外周に沿って所定間隔を隔てて平行に設けられた一対の非磁性ガイド体を有するマグネットローラー。
【請求項2】 請求項1のマグネットローラーが搬送路に沿って複数設けられ、搬送路の上流から下流に向かって、非磁性ガイド体の間隔が狭くなされていることを特徴とするマグネットローラー搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平10−45329
【公開日】平成10年(1998)2月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−201852
【出願日】平成8年(1996)7月31日
【出願人】(000000033)旭化成工業株式会社 (901)
【出願人】(000143455)株式会社高田工業所 (14)