説明

マスカラブラシ

【課題】ブラシ毛材の先端で塗布液を塗布したり、あるいは洗浄する際に回転使用することなく、塗布液を多く含ませて多く塗布することができ、また洗浄液を多く含ませて多い洗浄液で洗浄することが可能である。
【解決手段】マスカラブラシ1は、多数のブラシ毛材5が、芯材6を中心に放射状に設けられ、放射状のブラシ毛材5を、芯材6を中心に集めて芯軸方向に沿った束状に形成してなるブラシ部4を有し、ブラシ部4の周囲に、芯材6を中心に芯軸方向に沿った空間部7を有する。ブラシ部4は、放射状のブラシ毛材5の先端に鍵状に折り曲げた鍵部を有するようにしてもよく、また芯軸方向から見て、放射状のブラシ毛材5の中央部が長く、この中央部から側部に向かうに従って短く形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に塗布対象毛にマスカラなど塗布液を塗布し、または塗布液を洗浄するためのマスカラブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスカラブラシは、特許文献1に開示されているように、通常多数のブラシ毛材を2つ折りとされた芯材で挟み、この芯材を巻き上げて多数のブラシ毛材が芯材から放射状になるように形成し、芯材の基端が埋め込み固定されるハンドルから構成されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−228018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなマスカラブラシは、ブラシ毛材がスパイラル状に連続しているため、まつ毛の下面をブラシ毛材の先端で塗布液を塗布したり、あるいは洗浄液によって洗浄することになる。したがって、マスカラの塗布では、例えばまつ毛の略下面だけが塗布され、また洗浄でもまつ毛の下面だけで側面や上面の洗浄液を払拭できない。ましてやマスカラブラシは、ブラシ断面が円形であるから回転をしないと、塗布液の塗布や洗浄液の払拭をすることができない。
【0005】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、ブラシ毛材の先端で塗布液を塗布したり、あるいは洗浄する際に回転使用することなく、塗布液を多く含ませて多く塗布することができ、また洗浄液を多く含ませて多い洗浄液で洗浄することが可能なマスカラブラシを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明のマスカラブラシは、多数のブラシ毛材が、芯材を中心に放射状に設けられ、前記放射状のブラシ毛材を、前記芯材を中心に集めて芯軸方向に沿った束状に形成してなるブラシ部を有し、前記ブラシ部の周囲に、前記芯材を中心に芯軸方向に沿った空間部を有することを特徴とする。
【0007】
前記ブラシ部は、前記放射状のブラシ毛材の先端が針状に尖っていることが好ましい。また、前記ブラシ部は、前記放射状のブラシ毛材の先端に鍵状に折り曲げた鍵部を有するようにすることができる。さらに、前記ブラシ部は、芯軸方向から見て、前記放射状のブラシ毛材の中央部が長く、この中央部から側部に向かうに従って短く形成してもよい。
【0008】
前記ブラシ部は、複数設け、前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、前記芯材を中心とした対称位置に配置したものでもよい。また、前記ブラシ部は、複数設け、前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、前記芯材を中心とした鋭角となる位置に配置したものでもよい。また、前記ブラシ部は、複数設け、前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、多角形の頂点となる位置に配置したものでもよい。また、前記ブラシ部は、複数設け、前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、円形の円周に沿って等間隔の位置に配置したものでもよい。また、前記ブラシ部は、複数設け、前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、半円形の円周に沿って等間隔の位置に配置したものでもよい。
【0009】
前記ブラシ部は、前記放射状のブラシ毛材を、少なくとも加圧、加熱、超音波、高周波のいずれかにより加工して前記芯材を中心に集めて芯軸方向に沿った束状に形成したものでもよい。前記ブラシ部は、芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝を有するものである。
【0010】
前記ブラシ部には、溝成形治具により加工することによって前記放射状のブラシ毛材に芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝が形成され、前記ブラシ部は、前記溝成形治具を取り付けない状態である。また、前記ブラシ部には、溝形成部を有するブラシカバーを前記芯材に保持することによって前記放射状のブラシ毛材に芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝が形成され、前記ブラシ部は、前記ブラシカバーを取り付けた状態である。
【発明の効果】
【0011】
前記構成により、この発明は、ブラシ部が放射状のブラシ毛材を、芯材を中心に集めて芯軸方向に沿った束状であり、まつ毛に塗布液を塗布する際には、束状のブラシ部に塗布液を多く含ませ、しかもブラシ部の周囲に、芯材を中心に芯軸方向に沿った空間部を有することから、ブラシ部を回転させることなく、まつ毛の下面などに塗布液を塗布することができる。また、まつ毛を洗浄液によって洗浄する際には、束状のブラシ部に洗浄液を多く含ませて、ブラシ部を回転させることなく、ブラシ部の側面によりまつ毛の下面や側面、上面の洗浄し、この洗浄した液を払拭することができる。
【0012】
ブラシ部は、放射状のブラシ毛材の先端が針状に尖っていると、針状の先端によってまつ毛を梳き微細な塗布や洗浄をすることができる。また、ブラシ部は、放射状のブラシ毛材の先端に鍵状に折り曲げた鍵部を有するようにすることで、鍵部がまつ毛に絡み効果的に塗布したり、洗浄することができる。また、ブラシ部は、芯軸方向から見て、放射状のブラシ毛材の中央部が長く、この中央部から側部に向かうに従って短く形成することで、ブラシ部の先端部が尖った形状になり、ブラシ部の先端部によってまつ毛を梳き微細な塗布や洗浄をすることができる。
【0013】
また、ブラシ部は、複数設け、複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、芯材を中心とした対称位置に配置することで、空間部を広く確保し、複数のブラシ部に塗布液を多く含ませて多く塗布することができ、また洗浄液を多く含ませて多い洗浄液で洗浄することができ、またブラシ部の側面によりまつ毛の下面や側面、上面の洗浄し、この洗浄した液を払拭することができ、しかもブラシ部を回転させることがないのでまつ毛を痛めない。
【0014】
また、ブラシ部は、複数設け、複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、芯材を中心とした鋭角となる位置に配置することで、複数のブラシ部の間に空間部を確保し、塗布液を多く含ませて多く塗布することができ、また洗浄液を多く含ませて多い洗浄液で洗浄することができ、またブラシ部の側面によりまつ毛の下面や側面、上面の洗浄し、この洗浄した液を払拭することができ、しかもブラシ部を回転させることがないのでまつ毛を痛めない。
【0015】
また、ブラシ部は、複数設け、複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、多角形の頂点となる位置に配置し、またブラシ部は、複数設け、複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、円形の円周に沿って等間隔の位置に配置し、また、ブラシ部は、複数設け、複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、半円形の円周に沿って等間隔の位置に配置したものでは、複数のブラシ部の間に空間部を広く確保し、塗布液を多く含ませて多く塗布することができ、また洗浄液を多く含ませて多い洗浄液で洗浄することができ、またブラシ部の側面によりまつ毛の下面や側面、上面の洗浄し、この洗浄した液を払拭することができ、しかもブラシ部を回転させることがないのでまつ毛を痛めない。さらに、ブラシ部の配置位置によって、ブラシ部の両側部が傾斜することになり、ブラシ中心方向の芯軸に近くなる程ブラシ毛材が短くなり、ブラシ毛材が密集するようになり塗布液、洗浄液での使用において細かく梳くことができる。したがって、まつ毛を荒く梳きたい場合は、ブラシ部の先端部のブラシ毛材が密集していない部分で梳き、まつ毛を細かく梳きたい場合は、ブラシ部を深くまつ毛に差し込んでブラシ毛材が密集している部分で梳く。ブラシ部は、放射状のブラシ毛材を、少なくとも加圧、加熱、超音波、高周波のいずれかにより加工して確実に芯材を中心に集めて芯軸方向に沿った束状に形成したものである。
【0016】
ブラシ部は、芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝を有し、この複数の横溝によって塗布液や洗浄液を多く含ませて、まつ毛に塗布したり、洗浄することができる。ブラシ部には、溝成形治具により加工することによって放射状のブラシ毛材に芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝が形成され、ブラシ部は、溝成形治具を取り付けない状態であり、溝成形治具を設けない分軽量になり使い勝手がよい。
【0017】
ブラシ部には、ブラシカバーを芯材に保持することによって放射状のブラシ毛材に芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝が形成され、ブラシ部は、ブラシカバーを取り付けた状態であり、使用によっても複数の横溝が変形することが抑制され、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態のマスカラブラシの構成を示すである。
【図2】マスカラブラシの製造方法を説明する図である。
【図3】マスカラブラシの使用を説明する図である。
【図4】第1の実施の形態の変形例1の構成を説明する図である。
【図5】第1の実施の形態の変形例2の構成を説明する図である。
【図6】第1の実施の形態の変形例3の構成を説明する図である。
【図7】(a),(b)は第1の実施の形態のマスカラブラシを示す図、(c)乃至(e)はマスカラブラシの製造方法を説明する図である。
【図8】マスカラブラシの使用を説明する図である。
【図9】(a)乃至(d)は第2の実施の形態の変形例1の構成を説明する図、(e),(f)は第2の実施の形態の変形例2の構成を説明する図である。
【図10】(a),(b)は第3の実施の形態のマスカラブラシを示す図、(c)乃至(e)はマスカラブラシの製造方法を説明する図である。
【図11】(a),(b)は第4の実施の形態のマスカラブラシを示す図、(c)乃至(e)はマスカラブラシの製造方法を説明する図である。
【図12】第5の実施の形態のマスカラブラシの構成を示す図である。
【図13】マスカラブラシの製造方法を説明する図である。
【図14】第5の実施の形態のマスカラブラシの構成を説明する図である。
【図15】ブラシカバーの構成を説明する図である。
【図16】第5の実施の形態の変形例1の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明のマスカラブラシの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
[第1の実施の形態]
(マスカラブラシの構成)
この実施の形態を、図1に基づいて説明する。この実施の形態のマスカラブラシ1は、握り部2と、この握り部2の先端に全体の外観形状として手元側から先端側まで断面がほぼ長方形形状に成形されたブラシ本体3を有する。ブラシ本体3は、2個のブラシ部4を有する。このブラシ部4は、多数のブラシ毛材5が、芯材6を中心に放射状に設けられ、この放射状のブラシ毛材5が、芯材6を中心に集めて芯軸方向L1に沿った束状に形成してなり、ブラシ部4の周囲に、芯材6を中心に芯軸方向L1に沿った空間部7を有する。
【0020】
ブラシ部4は、放射状のブラシ毛材5を、少なくとも加圧、加熱、超音波、高周波のいずれかにより加工して芯材6を中心に集めて芯軸方向L1に沿った束状に形成した構成であり、この実施の形態では芯材6の幅に集めて平板状に形成されている。
【0021】
また、2個のブラシ部4は、芯材6を中心として直線状になるような対称位置にあり、このブラシ部4は、図1(b)に示すように、多数のブラシ毛材5により形成された平板状の厚さH1が、芯材6の直径D1より大きく形成されている。平板状の厚さH1が、芯材6の直径D1と略同じ大きさであると、狭い隙間に塗布したり洗浄することができ、直径D1より略3倍程度大きく形成されていると、広い隙間に塗布したり洗浄することができる。
【0022】
また、ブラシ部4は、多数のブラシ毛材5の先端部5aが平面状になるように揃えられ、かつ手元から先端まで芯材6の芯軸方向L1に沿って平行になっている。このように、2個のブラシ部4は、芯材6を中心とした対称位置に形成され、対称位置に形成されたブラシ部4の間には、空間部7が容易に確保される。ブラシ部4は、図1(c)に示すように、放射状のブラシ毛材5の先端が針状に尖っていると、針状の先端によってまつ毛を梳き微細な塗布や洗浄をすることができる。
【0023】
(マスカラブラシの製造方法)
次に、マスカラブラシ1の製造方法を、図2に基づいて説明する。この実施の形態の場合、ブラシ本体3は、0.1〜2.0〔mmφ〕の太さの2本になるように折り曲げたステンレス線材の心材6間に、その延長方向に多数のブラシ繊維材料のブラシ毛材5を配列するように挟み込んだ状態において(図2(a))、心材6にねじり加工を施すことにより、ねじり加工された芯材6を中心として、直線的に外方にブラシ毛材5を突出するように植毛し、多数のブラシ毛材5が、芯材6を中心に放射状に設けられた状態になる(図2(b))。
【0024】
多数のブラシ繊維材料のブラシ毛材5は、一端を針状に尖らすか(図2(c))、両端を針状に尖らせたもの(図2(d))を用いてもよい。ブラシ繊維材料は、0.028〜0.3〔mmφ〕の合成樹脂材料(ナイロン、テトロン、ポリエステル、ポリプロピレンなど)の繊維素材を用いることができ、心材6やブラシ毛材5の材質、大きさ、形状等はブラシ具の使用用途によって自由に選定される。
【0025】
多数のブラシ毛材5が、芯材6を中心に放射状に設けられた状態では、芯材6の芯軸方向から見ると、多数のブラシ毛材5が真円形状になっており、この多数のブラシ毛材5に4個の成形治具50を芯材6方向に差し込み(図2(e))、この4個の成形治具50を用いて放射状のブラシ毛材5が芯材6を中心になるように集め、4個の成形治具50に電流を流すことにより、ジュール熱を発生させ加熱し、集めた放射状のブラシ毛材5を平板状に加圧加熱する(図2(f))。このように、図1に示すように、多数のブラシ毛材5を、加圧加熱によって芯材6の芯軸方向に沿って平板状に形成してなるブラシ部4が形成される。このブラシ部4は、芯材6を中心とした対称位置に形成され、対称位置に形成されたブラシ部4の間には、芯材6を中心に芯軸方向L1に沿った空間部7が形成される。
【0026】
この実施の形態では、成形治具50に電流を流すことにより、ジュール熱を発生させて集めた放射状のブラシ毛材5を束状に加圧加熱するが、集めた放射状のブラシ毛材5を加圧して束状にしてもよく、また放射状のブラシ毛材5を集めた状態でブラシ毛材5の基部を加熱することで軟化して屈曲し、これにより放射状のブラシ毛材5を束状にしてもよい。
【0027】
また、放射状のブラシ毛材5を集めた状態で、ブラシ毛材5の基部に、超音波、または高周波を照射し、この超音波、または高周波によってブラシ毛材5を塑性変形させ、これによりブラシ毛材5の基部を屈曲させて、放射状のブラシ毛材5を束状にしてもよい。
【0028】
(マスカラブラシの使用)
このマスカラブラシ1の使用を、図3に基づいて説明する。マスカラブラシ1を、液塗布に用いる場合には、束状のブラシ毛材5に塗布液を付着させるために、例えば塗布液を貯留した液容器にブラシ本体3を入れ、ブラシ部4に塗布液を付着させて取り出すことがあるが、この取り出すときに液容器の口部に設けられたパッキン等で束状のブラシ部4のブラシ毛材5がしごかれる。このしごき後には、束状のブラシ部4のブラシ毛材5に塗布液の溜りができ、したがってまつ毛60に多量塗布ができ、塗布後には束状のブラシ部4のブラシ毛材5によってまつ毛60を1本1本梳くようにして塗布液を均一に塗布することができる。
【0029】
すなわち、まつ毛60に塗布液を塗布する際には、図3(a)に示すように、束状のブラシ部4のブラシ毛材5に塗布液を多く含ませて、しかも束状のブラシ部4の周囲に、芯材6を中心に芯軸方向に沿った空間部7を有することから、束状のブラシ部4によって回転させることなく矢印方向に移動させて、束状のブラシ部4の側面からまつ毛60に塗布液を塗布することができる。
【0030】
また、ブラシ部4は、多数のブラシ毛材5により形成された平板状の厚さH1が、芯材6の直径D1より大きいことで、まつ毛60をブラシ部4のより多数のブラシ毛材5によって1本1本梳くようにして塗布液をより均一に塗布することができる。
【0031】
また、ブラシ部4は、多数のブラシ毛材5の先端部5aが平面状になるように揃えられており、液塗布ブラシとして用いる場合には、多数のブラシ毛材5の長さが揃っていることで、多くのまつ毛60を1本1本梳くようにして塗布液をより均一に塗布することができる。
【0032】
また、まつ毛60を洗浄液によって洗浄する際には、図3(b)に示すように、束状のブラシ部4に洗浄液を多く含ませて、束状のブラシ部4の周囲に、芯材6を中心に芯軸方向に沿った空間部7を有することから、束状のブラシ部4によって回転させることなく、束状のブラシ部4の側面から矢印方向に移動してブラシ部4の側面によりまつ毛の下面や側面、上面の洗浄し、この洗浄した液を払拭することができ、しかもブラシ部を回転させることがないのでまつ毛を痛めない。
【0033】
(第1の実施の形態の変形例1)
次に、第1の実施の形態の変形例1を、図4に基づいて説明する。この第1の実施の形態の変形例1は、2個のブラシ部4が芯材6を中心として直線状になるような対称位置にあり、このブラシ部4が芯材6の幅に集めて平板状に形成されているものである。
【0034】
図4(a)のブラシ部4は、放射状のブラシ毛材5の先端に鍵状に折り曲げた鍵部5bを有し、この鍵部5bがまつ毛60に絡み効果的に塗布したり、洗浄することができる。図4(b)のブラシ部4は、芯軸方向L1から見て、放射状のブラシ毛材5の中央部が長く、この中央部から側部に向かうに従って短く形成したことで、ブラシ部4の先端部5cが尖った形状になり、ブラシ部4の先端部5cによってまつ毛60を梳き微細な塗布や洗浄をすることができる。
【0035】
図4(c)のブラシ部4は、放射状のブラシ毛材5の先端部5dを外方へ広げたもので、広げた先端部5dがまつ毛60の間に入り込み効果的に塗布したり、洗浄することができる。
【0036】
図4(d)のマスカラブラシ1は、2個のブラシ部4の間に芯材6を中心に短いブラシ毛材の部分5eを有し、この短いブラシ毛材の部分5eにも塗布液や洗浄液が溜まり、短いブラシ毛材の部分5dで塗布したり、洗浄することができる。図4(e)及び図4(f)のマスカラブラシ1は、図4(d)のマスカラブラシ1と同様に、芯材6を中心に短いブラシ毛材の部分5fを有するが、図4(e)の実施の形態では、2個のブラシ部4の間で直交方向に向けて延びるように形成し、図4(f)の実施の形態では、2個のブラシ部4の間で2方向に斜めに延びるように形成した構成であり、図4(d)のマスカラブラシ1と同様な効果を有する。
【0037】
図4(g)のマスカラブラシ1は、2個のブラシ部4の一方を短くした構成で、図4(h)のマスカラブラシ1は、1個のブラシ部4で、芯材6を中心に芯軸方向に沿った空間部7を有する構成である。
【0038】
図4(i)のマスカラブラシ1は、2個のブラシ部4を、それぞれ芯軸方向から見て、波状に曲げた構成であり、2個のブラシ部4にも塗布液や洗浄液が溜まり、ブラシ部4に溜まった塗布液や洗浄液を用いて塗布したり、洗浄することができる。
【0039】
(第1の実施の形態の変形例2)
次に、第1の実施の形態の変形例2を、図5に基づいて説明する。この第1の実施の形態の変形例2は、ブラシ部4が芯材6の幅に集めて平板状に形成され、ブラシ部4は長方形状とするが、長方形状を変形させたり、別にブラシ毛材を付加するなどしたものである。この実施の形態では、第1の実施の形態の変形例1と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
図5(a)の実施の形態では、2個のブラシ部4を対称位置に有しているが、先端部に向けて先細りになっており、図5(b)の実施の形態では、手元から先端部に向けて先細りになっており、図5(c)の実施の形態では、中央部が細くなっており、これらはブラシ部4の変化した先細り部分を利用して効果的に塗布したり、洗浄することができる。
【0041】
図5(d)の実施の形態では、中央部から先端側は図5(c)の実施の形態と同様であるが、中央部から手元側はブラシ毛材5が放射状になっており、図5(e)の実施の形態では、4個のブラシ部4を中央部から先端側の対称位置に有し、先端部に向けて先細りになっており、中央部から手元側はブラシ部4より短いブラシ毛材5が放射状になっており、図5(f)の実施の形態では、4個のブラシ部4を中央部から手元側の対称位置に有し、対応する一対のブラシ部4が対向する他の一対のブラシ部4より短くなっており、中央部から先端側はブラシ部4より短いブラシ毛材5が放射状になっている。
【0042】
図5(g)の実施の形態では、4個のブラシ部4を中央部から手元側の対称位置に有し、図5(f)の実施の形態と同様に構成されているが、先端側はブラシ部4と同じ長さから先細りになるようにブラシ毛材5が放射状になっており、これらはブラシ部4とブラシ毛材5が放射状の部分とを利用して効果的に塗布したり歯垢清掃することができる。
【0043】
図5(h)の実施の形態では、ブラシ部4が芯材6を中心に螺旋状になるように形成され、ブラシ部4を種々の形状に変化させている。このように、ブラシ部4は、芯材6を中心とした螺旋状に形成されているから、液塗布ブラシとして用いる場合には、液容器から取り出すときに液容器の口部に設けられたパッキン等でブラシ部4のブラシ毛材5がしごかれ、このしごき後には、ブラシ部4のブラシ毛材5に塗布液の溜りができ、かつ螺旋状のブラシ部4の間の部分に塗布液や洗浄液の溜まりができる。この液溜りでまつ毛60に多量塗布ができ、ブラシ部4のブラシ毛材5を回転操作してまつ毛60を1本1本梳くようにして塗布液や洗浄液を均一に塗布することができる。
【0044】
(第1の実施の形態の変形例3)
次に、第1の実施の形態の変形例3を、図6に基づいて説明する。この第1の実施の形態の変形例3は、ブラシ部4が芯材6の幅に集めて平板状に形成されているものであるが、別の部材を付加するものである。この実施の形態では、第1の実施の形態の変形例1と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0045】
図6(a)の実施の形態では、ブラシ本体3が2個のブラシ部4を対称位置に有し、成形型の軸部70に芯材6が位置するように配置され、ブラシ本体3の先端は軸部70から先方へ突出し、軸部70には突起70aが多数形成されている。ブラシ本体3の先端は、2個のブラシ部4が先細りになっている。
【0046】
図6(b)の実施の形態では、図6(a)の実施の形態と同様に成形型の軸部70に芯材6が位置するように配置され、軸部70には溝70bが軸方向に多数連続して形成されている。図6(c)の実施の形態では、ブラシ本体3が1個のブラシ部4を有し、芯材6が成形型の半円の軸部70に配置され、ブラシ本体3の先端は軸部70から先方へ突出し、軸部70には溝70bが軸方向に多数連続して形成されている。
【0047】
図6(d)の実施の形態では、ブラシ本体3が1個のブラシ部4を有し、芯材6が成形型の半円の軸部70に配置され、軸部70には突起70aが多数形成されている。図6(e)の実施の形態では、ブラシ本体3が1個のブラシ部4を有し、芯材6が成形型の半円の軸部70に配置され、軸部70には櫛72が形成されている。図6(f)の実施の形態では、ブラシ本体3が1個のブラシ部4を有し、芯材6が左右の櫛72の間に位置するように配置されている。
【0048】
このように、ブラシ部4は、塗布液を塗布する櫛または成形型の塗布部と軸方向に組み合わせた構成であるから、櫛または成形型の塗布部を用いて例えばまつ毛に多量塗布し、ブラシ部4のブラシ毛材5によってまつ毛を1本1本梳くようにして塗布液を均一に塗布し、または洗浄することができる。
【0049】
[第2の実施の形態]
(マスカラブラシの構成)
この実施の形態を、図7(a),(b)に基づいて説明する。この実施の形態のマスカラブラシ11は、握り部12と、この握り部12の先端に全体の外観形状として手元側から先端側まで断面がほぼ長方形形状に成形されたブラシ本体13を有する。ブラシ本体13は、2個のブラシ部14を有するが、このブラシ部14は、多数のブラシ毛材15が、芯材16を中心に放射状に設けられ、この放射状のブラシ毛材15が、芯材16を中心に集めて芯軸方向L21に沿った束状に形成してなり、ブラシ部14の周囲に、芯材16を中心に芯軸方向L21に沿った空間部17a.17bを有する。
【0050】
ブラシ部14は、放射状のブラシ毛材15を、第1の実施の形態と同様に少なくとも加圧、加熱、超音波、高周波のいずれかにより加工して芯材16を中心に集めて芯軸方向L21に沿った束状に形成した構成である。
【0051】
この2個のブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心とした鋭角となる位置に配置され、この実施の形態では芯材6を中心としてV字状となる位置であり、鋭角となる位置に配置されたブラシ部14の間には、狭い空間部17aが確保され、2個のブラシ部4の回りに広い空間部17bが確保されている。ブラシ部14は、多数のブラシ毛材15の先端部15aが平面状になるように揃えられている。
【0052】
(マスカラブラシの製造方法)
次に、マスカラブラシ11の製造方法を、図7(c),(d),(e)に基づいて説明する。この実施の形態の場合、ブラシ本体13は、多数のブラシ毛材15が、芯材16を中心に放射状に設けられた状態であり、芯材16の芯軸方向から見ると、多数のブラシ毛材15が真円形状になっている(図7(c))。真円形状の多数のブラシ毛材15には、3個の成形治具50を芯材16方向に差し込み(図7(d))、両側の成形治具50を中央の成形治具50に向けて移動させて3個の成形治具50に熱を与えて集めた放射状のブラシ毛材15を平板状に加圧加熱する(図7(e))。このように、多数のブラシ毛材15を、加圧加熱によって芯材16の芯軸方向に沿って平板状に形成してなる2個のブラシ部14が、図7に示すように形成される。
【0053】
(マスカラブラシの使用)
このマスカラブラシ11は、まつ毛60に塗布液を塗布する際には、図8(a)に示すように、ブラシ部14の間に空間部17aを確保しており、この空間部17aに塗布液を溜めることで、空間部17aからブラシ部14に供給して多く含ませて、かつブラシ部14の周囲に、芯材16を中心に芯軸方向に沿った空間部17bを有することから、ブラシ部14によって回転させることなく矢印方向に移動させて、束状のブラシ部14の側面からまつ毛60に塗布液を塗布することができる。
【0054】
また、まつ毛60を洗浄液によって洗浄する際には、図8(b)に示すように、束状のブラシ部14の間に空間部17aに洗浄液を溜め、空間部17aからブラシ部14に供給して多く含ませて、かつブラシ部14の周囲に、芯材16を中心に芯軸方向に沿った空間部17bを有することから、ブラシ部14によって回転させることなく、束状のブラシ部14の側面から矢印方向に移動してブラシ部14の側面によりまつ毛の下面や側面、上面の洗浄し、この洗浄した液を払拭することができ、しかもブラシ部14を回転させることがないのでまつ毛を痛めない。
【0055】
(第2の実施の形態の変形例1)
次に、第2の実施の形態の変形例1を、図9(a),(b),(c),(d)に基づいて説明する。この第2の実施の形態の変形例1は、複数のブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心とした鋭角となる位置に配置したものであり、ブラシ部14は長方形状である。
【0056】
図9(a)の実施の形態は、3個のブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心とした鋭角となる位置に配置したものであり、3個のブラシ部14の間に、それぞれ空間部17aを有し、かつブラシ部14の周囲に、芯材16を中心に芯軸方向に沿った空間部17bを有する。
【0057】
図9(b)の実施の形態は、4個のブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心とした鋭角となる位置に配置したものであり、3個のブラシ部14の間に、それぞれ空間部17aを有し、かつブラシ部14の周囲に、芯材16を中心に芯軸方向に沿った空間部17bを有する。
【0058】
図9(c)の実施の形態は、2個のブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心とした鋭角となる位置に配置し、さらにこの2個のブラシ部14を芯材16を中心として対称位置に配置し、2個のブラシ部14の間に、それぞれ空間部17aを有し、かつブラシ部14の周囲に、芯材16を中心に芯軸方向に沿った空間部17bを有する。
【0059】
図9(d)の実施の形態は、2個のブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心とした鋭角となる位置に配置するものであるが、一方のブラシ部14は、ブラシ毛材15が芯材16を中心に放射状に設けられた状態であり、一方のブラシ部14の周囲にのみ、芯材16を中心に芯軸方向に沿った空間部17bを有する。
【0060】
(第2の実施の形態の変形例2)
次に、第2の実施の形態の変形例2を、図9(e),(f)に基づいて説明する。この第2の実施の形態の変形例2は、複数のブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心とした鋭角となる位置に配置したものであるが、複数のブラシ部14を寄せて集めたものである。この実施の形態では、第2の実施の形態の変形例1と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0061】
図9(e)の実施の形態は、2個のブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心とした鋭角となる位置に配置して寄せ集めて一体にし、さらにこのブラシ部14を芯材16を中心として対称位置に配置し、2個の寄せ集めたブラシ部14の間に、それぞれ空間部17bを有する。
【0062】
図9(f)の実施の形態は、ブラシ部14を、芯軸方向から見て、芯材16を中心として寄せ集めて一体にし、このブラシ部14の周りに芯材16を中心とした空間部17bを有する。
【0063】
[第3の実施の形態]
(マスカラブラシの構成)
この実施の形態を、図10(a),(b)に基づいて説明する。この実施の形態のマスカラブラシ21は、握り部22と、この握り部22の先端に全体の外観形状として手元側から先端側まで断面がほぼ長方形形状に成形されたブラシ本体23を有する。ブラシ本体23は、3個のブラシ部24を有し、この3個のブラシ部24は、芯軸方向から見て、三角形の頂点となる位置に配置した構成である。このブラシ部24は、多数のブラシ毛材25が、芯材26を中心に放射状に設けられ、この放射状のブラシ毛材25が、芯材26を中心に集めて芯軸方向L31に沿った束状に形成してなり、ブラシ部24の周囲に、芯材26を中心に芯軸方向L31に沿った空間部27aを有する。
【0064】
ブラシ部24は、放射状のブラシ毛材25を、第1の実施の形態と同様に少なくとも加圧、加熱、超音波、高周波のいずれかにより加工して芯材26を中心に集めて芯軸方向L31に沿った束状に形成した構成であり、この実施の形態では芯材26の幅に集めて平板状に形成されている。
【0065】
(マスカラブラシの製造方法)
次に、マスカラブラシ21の製造方法を、図10(c),(d),(e)に基づいて説明する。この実施の形態の場合、ブラシ本体23は、多数のブラシ毛材25が、芯材26を中心に放射状に設けられた状態であり、芯材26の芯軸方向から見ると、多数のブラシ毛材25が真円形状になっている(図10(c))。そして、真円形状の多数のブラシ毛材25を芯材26の芯軸方向から見て三角形状になるように切断し(図10(d))、3個の成形治具50を芯材26方向に差し込み(図10(e))、3個の成形治具50に熱を与えて集めた放射状のブラシ毛材25を平板状に加圧加熱する。このように、マスカラブラシ21は、3個のブラシ部24が芯軸方向L31から見て、三角形の頂点となる位置に配置し、3個のブラシ部24の間に空間部27aを確保した構成になる。
【0066】
(マスカラブラシの使用)
このマスカラブラシ21は、3個のブラシ部24は、芯軸方向L31から見て、三角形状の頂点となる位置に配置し、3個のブラシ部24の間に空間部27aを確保し、3個のブラシ部24に塗布液を多く含ませ、かつ空間部27aに塗布液を溜めることで、塗布液を多く塗布することができ、また同様に洗浄液を多く含ませて多い洗浄液で洗浄することができる。
【0067】
また、ブラシ部24の側面によりまつ毛の下面や側面、上面に塗布したり、洗浄し、しかも洗浄した液を払拭することができ、しかもブラシ部24を回転させることがないのでまつ毛を痛めない。
【0068】
さらに、ブラシ部24の両側部が傾斜することになり、ブラシ中心方向の芯軸に近くなる程ブラシ毛材25が短くなり、ブラシ毛材25が密集するようになり塗布液、洗浄液での使用において細かく梳くことができる。したがって、まつ毛を荒く梳きたい場合は、ブラシ部24の先端部のブラシ毛材25が密集していない部分で梳き、まつ毛を細かく梳きたい場合は、ブラシ部24を深くまつ毛に差し込んでブラシ毛材25が密集している部分で梳くことができる。
【0069】
(第3の実施の形態の変形例1)
次に、第3の実施の形態の変形例1を、図11(a),(b)に基づいて説明する。この実施の形態のマスカラブラシ21は、4個のブラシ部24を有し、この4個のブラシ部24は、芯軸方向から見て、四角形の頂点となる位置に配置した構成であり、ブラシ部24は、多数のブラシ毛材25が、芯材26を中心に放射状に設けられ、この放射状のブラシ毛材25が、芯材26を中心に集めて芯軸方向L31に沿った束状に形成してなり、ブラシ部24の周囲に、芯材26を中心に芯軸方向L31に沿った空間部27aを有する。
【0070】
ブラシ部24は、放射状のブラシ毛材25を、少なくとも加圧、加熱、超音波、高周波のいずれかにより加工して芯材26を中心に集めて芯軸方向L31に沿った束状に形成した構成であり、この実施の形態では芯材26の幅に集めて平板状に形成されている。
【0071】
(マスカラブラシの製造方法)
次に、マスカラブラシ21の製造方法を、図11(c),(d),(e)に基づいて説明する。この実施の形態の場合、ブラシ本体23は、多数のブラシ毛材25が、芯材26を中心に放射状に設けられた状態であり、芯材26の芯軸方向から見ると、多数のブラシ毛材25が真円形状になっている(図11(c))。そして、真円形状の多数のブラシ毛材25を芯材26の芯軸方向から見て四角形状になるように切断し(図11(d))、4個の成形治具50を芯材26方向に差し込み(図11(e))、4個の成形治具50に熱を与えて集めた放射状のブラシ毛材25を平板状に加圧加熱する。このように、マスカラブラシ21は、4個のブラシ部24が芯軸方向L31から見て、四角形の頂点となる位置に配置し、4個のブラシ部24の間に空間部27aを確保した構成になる。
【0072】
(第3の実施の形態の変形例2)
次に、第3の実施の形態の変形例2について説明するが、説明図は省略する。この実施の形態では、複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、多角形の頂点となる位置に配置する構成であればよく、例えば第2の実施の形態の変形例2と同様に構成されるが、マスカラブラシは、6個のブラシ部が芯軸方向から見て、六角形の頂点となる位置に配置し、6個のブラシ部の間に空間部を確保した構成であり、また8個のブラシ部が芯軸方向から見て、八角形の頂点となる位置に配置し、8個のブラシ部の間に空間部を確保した構成である。また、マスカラブラシは、ブラシ部が芯軸方向から見て、長方形の頂点となる位置に配置してもよい。
【0073】
さらに、マスカラブラシは、三角形、四角形、六角形などの多角形の各辺が曲線して凹ませた形状、あるいは突出させた形状になるように切断し、成形治具を芯材方向に差し込み、ブラシ部が芯軸方向から見て、多角形の頂点となる位置に配置した構成でもよい。
【0074】
(第3の実施の形態の変形例3)
次に、第3の実施の形態の変形例3について説明するが、説明図は省略する。この第3の実施の形態の変形例3では、ブラシ部は、複数設け、この複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、円形の円周に沿って等間隔の位置に配置し、この配置する構造は第3の実施の形態の変形例1及び第3の実施の形態の変形例2と同様である。
【0075】
(第3の実施の形態の変形例4)
次に、第3の実施の形態の変形例4について説明するが、説明図は省略する。この第3の実施の形態の変形例4では、ブラシ部は、複数設け、この複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、半円形の円周に沿って等間隔の位置に配置し、この配置する構造は第3の実施の形態の変形例1及び第3の実施の形態の変形例2と同様である。
【0076】
[第4の実施の形態]
(マスカラブラシの構成)
この実施の形態を、図12に基づいて説明する。この実施の形態では、マスカラブラシ31は、握り部32と、この握り部32の先端に全体の外観形状として手元側から先端側まで断面がほぼ長方形形状に成形されたブラシ本体33を有する。ブラシ本体33は、2個のブラシ部34が第1の実施の形態と同様に芯材36を中心とした対称位置に形成され、対称位置に形成されたブラシ部34の間には、空間部37が容易に確保される。ブラシ部34は、多数のブラシ毛材35が、芯材36を中心に放射状に設けられている。この実施の形態のブラシ部34は、芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38を有する構成であり、この複数の横溝38によって塗布液や洗浄液を多く含ませて、まつ毛に塗布したり、洗浄することができる。この実施の形態は、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態のブラシ部において、芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝を有する構成である。
【0077】
このブラシ部34は、溝成形治具90により加工することによって放射状のブラシ毛材35に芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38が形成され、加工後に溝成形治具90を取り外すことによってブラシ部34には、溝成形治具90を取り付けない状態である。
【0078】
(マスカラブラシの製造方法)
次に、マスカラブラシ31の製造方法を、図13に基づいて説明する。この実施の形態のマスカラブラシ31は、2個のブラシ部34が第1の実施の形態と同様に製造され、この2個のブラシ部34に横溝38が図13に示す製造手順によって製造される。ブラシ本体33が用意され(図13(a))、このブラシ本体33に対して、図13(b)に示すように、縦方向aにピッチP2を有するコイルスプリング形状の溝成形治具90が用意され、この溝成形治具90が、図13(c)に示すように、ブラシ本体33に嵌め合される。
【0079】
ここで、溝成形治具90は、金属性線材を弦巻状に巻き込んでなり、そのピッチP2は、ブラシ本体33のブラシ毛材35のピッチP1(図13(a))より大きく、かつ(図13(d))に示すように、ブラシ毛材35の外周面に形成すべき横溝38に対応する値に選定されている。また、溝成形治具90の線材の太さD1は、ブラシ毛材35の外周面に形成すべき横溝38の縦方向への幅に相当する値に選定される。
【0080】
図13(c)に示すように、ブラシ本体33に溝成形治具90を嵌め合せた状態になると、図12(c)に示すように、ブラシ本体33の芯材36から外方に突出するブラシ毛材35のうち、溝成形治具90の線材90A間に位置するブラシ毛材35は、溝成形治具90による成形動作の影響を受けずに(すなわち干渉を受けずに)溝成形治具90の線材間を通って外方に突出する。
【0081】
これに対して、ブラシ本体33のブラシ毛材35より外方に突出するブラシ毛材35のうち、溝成形治具90の線材90Aに当接する(すなわち干渉する)ブラシ毛材35は、当該線材90Aの干渉面によって変形されて干渉を逃げる位置に折り曲げられ、その結果線材90Aの間を通って外方に突出する。
【0082】
かくして、溝成形治具90を嵌め合された状態にあるブラシ本体33のブラシ毛材35の先端部分は、それぞれ芯材36から外方に突出する位置と溝成形治具90の線材90Aとの位置関係に基づいて、溝成形治具90の線材間の隙間を通って外方に突出する状態にその突出状態を成形される。
【0083】
図13(c)のように、溝成形治具90を嵌め合された状態のブラシ本体33は、別途加熱加工装置に入れられて溝成形治具90の線材に電流を流すことにより、当該線材からジュール熱を発生させる。
【0084】
この熱加工状態においてブラシ本体33のブラシ毛材35は熱可塑性を有する合成樹脂材料で構成されていることにより熱可塑変形を生じ、これにより溝成形治具90の線材90Aが螺旋状に巻き込まれていることに基づいて、当該線材90Aの螺旋状形状がブラシ本体33のブラシ毛材35の外周部分に、折り曲げられた痕跡を残すような成形処理がなされることになる。
【0085】
かかる成形処理の後、ブラシ本体33から溝成形治具90を外すと、図13(d)に示すように、ブラシ本体33(図13(a))のブラシ毛材35でなるブラシ本体部33の外周部について、溝成形治具90の線材90Aによる痕跡が芯材36の軸線を斜めに横切る横溝38として形成される。
【0086】
このように、ブラシ部34には、溝成形治具90により加工することによって放射状のブラシ毛材35に芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38が形成され、加工後に溝成形治具90を取り外すことによってブラシ部34には、溝成形治具90を取り付けない状態である。
【0087】
(マスカラブラシの使用)
このマスカラブラシ31は、塗布液容器のしごき部材によってブラシ本体部33のブラシ毛材35がしごかれることにより、余分な塗布液をしごき落とした状態で塗布液容器から引き抜かれる。
【0088】
このときブラシ本体部33には、比較的幅の広い横溝38が形成されていることにより、当該横溝38に多量の塗布液を保持した状態になっている。このように、ブラシ部34は、芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38を有し、この複数の横溝38によって塗布液や洗浄液を多く含ませることができることから、塗布液や洗浄液によってまつ毛に塗布したり、洗浄することができる。ブラシ部34には、溝成形治具90を取り付けない状態であり、溝成形治具90を設けない分軽量になり使い勝手がよい。
【0089】
この実施の形態では、ブラシ部34には、溝成形治具90の線材に電流を流すことにより、当該線材からジュール熱を発生させ加熱する加工により放射状のブラシ毛材35に芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38が形成されるが、溝成形治具90の線材によって加圧し、芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38を形成することができる。また、溝成形治具として溝を形成する突部を有する雄金型と、突部に対応する凹部を有する雌金型を用い、この雄金型と雌金型に嵌め合いで加圧して芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38を形成してもよい。
【0090】
また、ブラシ部34の放射状のブラシ毛材35に、超音波、または高周波を照射し、この超音波、または高周波によってブラシ毛材35を塑性変形させてブラシ部34に芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38を形成してもよい。
【0091】
この実施の形態では、ブラシ部34には、溝成形治具により加工することによって放射状のブラシ毛材35に芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38が形成され、ブラシ部34は、溝成形治具を取り付けない状態であり、溝成形治具を設けない分軽量になり使い勝手がよい。また、この実施の形態では、ブラシ部34には、溝成形治具により加工することによって放射状のブラシ毛材35に芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38が形成され、ブラシ部34は、溝成形治具を取り付けない状態であるが、コイルスプリング形状の溝成形治具など溝成形治具によっては取り付けた状態とした構成し、使用するようにしてもよい。
【0092】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態を、図14及び図15に基づいて説明する。この第5の実施の形態では、ブラシ部34には、ブラシカバー91を芯材36に保持することによって放射状のブラシ毛材35に芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38が形成され、ブラシ部34は、ブラシカバー91を取り付けた状態である。この実施の形態は、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態のブラシ部において、芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝を有する構成である。
【0093】
この実施の形態のブラシカバー91は、断面が円近似の形状をもって矢印aの縦方向に縦長な金属材料でなり、その内部空間にブラシ本体33を挿入する構造であり、ブラシカバー91の板部91Aと対向する上側部には矢印aの縦方向全体に亘って開口91Bが形成され、これによりブラシカバー91にブラシ本体33が差し込まれたとき、ブラシ本体33のブラシ毛材35が開口91Bを通って上方に突出するようになされている。
【0094】
さらに、ブラシカバー91の左部及び右部には、それぞれ複数の左部切込み91L及び右部切込み91Rが、間に左部干渉凸部91LX及び右部干渉凸部91RXを挟みながら、順次矢印aの縦方向に沿って形成されている。左部干渉凸部91LX及び右部干渉凸部91RXの先端は、鋭角になっており、左部干渉凸部91LX及び右部干渉凸部91RXがブラシ毛材35の間に入り込み易いようになっている。
【0095】
これにより、ブラシカバー91にブラシ本体33を差し込んだ状態において、ブラシカバー91の外側から内側向けて力を加えて曲げることで、左部干渉凸部91LX及び右部干渉凸部91RXが先端からブラシ毛材35の間に入り込み、ブラシ毛材35のうち、左部切込み91L及び右部切込み91Rに対応する部分は、左部切込み91L及び右部切込み91Rを通って外方に突出する。
【0096】
ブラシ本体33のブラシ毛材35のうち、左部干渉凸部91LX及び右部干渉凸部91RXに当接することにより干渉を受けるブラシ毛材は、左部干渉凸部91LX及び右部干渉凸部91RXと隣り合う左部切込み91L及び右部切込み91R側に逃げるように折り曲げられて、左部切込み91L及び右部切込み91Rから外方に突出するようになされている。
【0097】
ブラシカバー91内にブラシ本体33を差し込んだ状態において、ブラシカバー91の外側から内側向けて力を加えて曲げることで、左部干渉凸部91LX及び右部干渉凸部91RXが先端からブラシ毛材35の間に入り込み、ブラシ本体33は左部切込み91L及び右部切込み91Rから外部に突出したブラシ毛材35によって外周面に外方に突出するブラシ毛材35を形成すると共に、ブラシ毛材35の間に横溝38を形成する。
【0098】
このようにして、ブラシ部34には、ブラシカバー91を芯材36に保持することによって放射状のブラシ毛材35に芯材36を中心に放射状に延びる複数の横溝38が形成され、ブラシ部34は、ブラシカバー91を取り付けた状態であり、使用によっても複数の横溝38が変形することが抑制され、耐久性が向上する。
【0099】
(第5の実施の形態の変形例1)
次に、第5の実施の形態の変形例1を、図16に基づいて説明する。この第5の実施の形態の変形例1は、ブラシカバー91がその内部空間にブラシ本体33を挿入する構造であるが、ブラシカバー91の板部91Aと対向する上側部には矢印aの縦方向全体に亘って開口91Bが形成され、これによりブラシカバー91にブラシ本体33が差し込まれたとき、ブラシ本体33のブラシ毛材35が開口91Bを通って上方に突出するようになされ、ブラシカバー91の左部のみに、複数の左部干渉凸部91LXを所定間隔に順次矢印aの縦方向に沿って形成されている。左部干渉凸部91LXの先端は、鋭角になっており、左部干渉凸部91LXがブラシ毛材35の間に入り込み易いようになっている。
【0100】
これにより、ブラシカバー91にブラシ本体33を差し込んだ状態では、ブラシ毛材35が開口91Bを通って上方に突出するようになり、この状態でブラシカバー91の外側から内側向けて力を加えて左部干渉凸部91LXを曲げることで、左部干渉凸部91LXが先端からブラシ毛材35の間に入り込む。そして、左部干渉凸部91LXを開口91Bに掛け渡すように曲げることで、左部干渉凸部91LXの両側面から外部に突出したブラシ毛材35によって外周面に外方に突出するブラシ毛材35を形成すると共に、ブラシ毛材35の間に横溝38を形成する。
【産業上の利用可能性】
【0101】
この発明は、特に塗布対象毛にマスカラなど塗布液を塗布し、または塗布液を洗浄するためのマスカラブラシに適用可能であり、ブラシ毛材の先端で塗布液を塗布したり、あるいは洗浄する際に回転使用することなく、塗布液を多く含ませて多く塗布することができ、また洗浄液を多く含ませて多い洗浄液で洗浄することが可能である。
【符号の説明】
【0102】
1,11,21,31 マスカラブラシ
2,12,22,32 握り部
3,13,23,33 ブラシ本体
4,14,24,34 ブラシ部5,15,25,35 ブラシ毛材
6,16,26,36 芯材
7,17a.17b,27a,37 空間部
38 横溝
50 成形治具
60 まつ毛
90 溝成形治具
91 ブラシカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のブラシ毛材が、芯材を中心に放射状に設けられ、
前記放射状のブラシ毛材を、前記芯材を中心に集めて芯軸方向に沿った束状に形成してなるブラシ部を有し、
前記ブラシ部の周囲に、前記芯材を中心に芯軸方向に沿った空間部を有することを特徴とするマスカラブラシ。
【請求項2】
前記ブラシ部は、前記放射状のブラシ毛材の先端が針状に尖っていることを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ部は、前記放射状のブラシ毛材の先端に鍵状に折り曲げた鍵部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマスカラブラシ。
【請求項4】
前記ブラシ部は、芯軸方向から見て、
前記放射状のブラシ毛材の中央部が長く、この中央部から側部に向かうに従って短く形成したことを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項5】
前記ブラシ部は、複数設け、
前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、
前記芯材を中心とした対称位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項6】
前記ブラシ部は、複数設け、
前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、
前記芯材を中心とした鋭角となる位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項7】
前記ブラシ部は、複数設け、
前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、
多角形の頂点となる位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項8】
前記ブラシ部は、複数設け、
前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、
円形の円周に沿って等間隔の位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項9】
前記ブラシ部は、複数設け、
前記複数のブラシ部を、芯軸方向から見て、
半円形の円周に沿って等間隔の位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項10】
前記ブラシ部は、前記放射状のブラシ毛材を、少なくとも加圧、加熱、超音波、高周波のいずれかにより加工して前記芯材を中心に集めて芯軸方向に沿った束状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項11】
前記ブラシ部は、芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝を有することを特徴とする請求項1に記載のマスカラブラシ。
【請求項12】
前記ブラシ部には、溝成形治具により加工することによって前記放射状のブラシ毛材に芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝が形成され、
前記ブラシ部は、前記溝成形治具を取り付けない状態であることを特徴とする請求項11に記載のマスカラブラシ。
【請求項13】
前記ブラシ部には、ブラシカバーを前記芯材に保持することによって前記放射状のブラシ毛材に芯材を中心に放射状に延びる複数の横溝が形成され、
前記ブラシ部は、前記ブラシカバーを取り付けた状態であることを特徴とする請求項11に記載のマスカラブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−19817(P2012−19817A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157734(P2010−157734)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(594190884)東京パーツ株式会社 (39)
【Fターム(参考)】