説明

マスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物

【課題】 アイライナーとしてもマスカラとしても使用可能なマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】 次の成分(A)〜(F);(A)水添ロジン酸ペンタエリスリチル、キャンデリラレジン、重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸およびポリメチルシルセスキオキサンから選ばれる1種または2種以上の皮膜形成性樹脂を2〜10質量%(B)水添アビエチン酸グリセリル、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体、重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸およびポリメチルシルセスキオキサンから選ばれる1種または2種以上の皮膜形成性樹脂を1〜10質量%(C)25℃において固形状の炭化水素油、(D)デキストリン脂肪酸エステル、(E)粉体、(F)揮発性油剤を配合することを特徴とするマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイライナーとして使用した際には、瞼に滑らかに塗布でき、化粧膜が経時で割れることがなく、マスカラとして使用した際には、十分な付着力があり、均一な塗布膜が得られ、カールキープ力や化粧持ちに優れる、アイライナーとしてもマスカラとしても使用可能なマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マスカラ化粧料は、睫に塗布することにより、睫を、濃く見せたり、太く見せたり(ボリューム効果)、カールしているように見せたり(カール効果)、長く見せたり(ロング効果)する化粧料である。ボリューム効果を具現化するために、油溶性樹脂を配合して付着性を高めたり、ゲル化剤や固形油を配合して系の粘度を高めに設定したりし、一度に塗布できる量を増加させ、厚い化粧膜を形成させることで、高い化粧効果を得ている。
また、マスカラ化粧料は、カール効果が途中で低下したり、瞬きに伴い経時で下瞼に化粧移りすることのないよう、化粧持ちに優れる必要がある為、化粧膜はある程度強度が必要となる。
例えば、特定の油溶性樹脂を配合することで、高い化粧効果が得られ、且つその効果の持続性を高める技術が挙げられる(例えば特許文献1参照)。また、トリメチルシロキシケイ酸と特定のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体と低沸点シリコーン油および/または低沸点イソパラフィンとを配合することにより、均一な皮膜を形成し、且つ耐水性耐皮脂性を向上させ、化粧持続性を高めた技術があった(例えば特許文献2参照)。さらに、特定のロジンエステル化合物と水添ロジンペンタエリスリチル、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル−シリコーングラフト共重合体から選ばれる油溶性樹脂と揮発性油剤とを組み合わせて、睫への付着性、ボリューム効果、カール効果を持ち、束付きがなく均一で美しい化粧膜を得ることができ、かつ化粧膜の柔軟性やしなやかさに優れる技術(例えば特許文献3参照)が挙げられる。
【0003】
一方、従来のアイライナー化粧料は瞼の際にラインを描いて塗布することにより、瞳の輪郭を際立たせ目を大きく見せるなど、目元の印象を強める化粧料である。アイライナー化粧料には、細かい部分に塗布する為、かすれず均一で滑らかな使用性が求められ、且つ頻繁に瞬きで動く部位である為、経時で化粧膜が割れてしまわないよう動きに追従するしなやかな化粧膜が求められる。化粧料の粘度を低く抑えることで、滑らかな塗り心地と、しなやかな化粧膜を具現化している。
アイライナーの技術としては、例えば、有機変性合成粘土鉱物と融点60℃〜100℃のワックスを配合し、塗布時に軽く、滑らかな使用感を有し、経時安定性の良好なアイライナーの技術が挙げられる(例えば特許文献4参照)。また、油溶性皮膜形成性樹脂とフッ素化合物処理粉体とを特定量で含有し、使用性と化粧持ちを両立させる技術があった(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−300092号公報
【特許文献2】特開平7−196449号公報
【特許文献3】特開2009−114099号公報
【特許文献4】特開2007−261994号公報
【特許文献5】特開2001−187715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マスカラとアイライナーは、睫と目の際というどちらも目の周りの隣接した部位に塗布するものであるが、化粧対象が睫と瞼で異なり、化粧方法も毛を覆うものと、ラインを描くものと異なるため、上記技術のように求められる機能は全く異なるものである。そのためマスカラとアイライナーは別な化粧料として使い分けられているのが現状である。しかし、隣接し細かい部位に塗布するため、マスカラは瞼に、アイライナーは睫に誤って付着することのないよう丁寧に塗布する必要があり、使い分けることによる手間もあった。
また最近では、睫とアイラインの色や質感を統一すると目元に一体感が生まれて睫が濃く見え、目を大きく見せ、目元を際立たせるといった化粧効果をより高めることが出来るため、完全に両者の色や質感が一致するアイライナーとマスカラが求められるようになってきた。特に黒以外のアイメイクを行う際は睫とアイラインに統一感が得づらく、目元の化粧効果が十分に得られないという問題点があった。
そこで、マスカラをアイライナーとして使用してみると、マスカラはもともとボリューム効果を得る為に付着性と粘度を高めなっていることより、アイライナーとして使用すると滑らかさに欠け、かすれたり、筆の両端に沿って化粧料がよれる部分もあり、美しいラインを描くことができなかった。更に、カール効果と化粧持ちを高める為に硬い皮膜を形成する為、アイライナーとして使用すると乾燥後の皮膜が瞼の動きに追従できず、経時で化粧膜の割れが発生し、化粧効果の持続性が著しく低下してしまうという欠点が生じた。
一方、アイライナーをマスカラとして使用してみると、逆にアイラナーは滑らかに塗布できるよう粘度を下げ、付着性も適度なレベルに抑えて分厚い化粧膜にならないように設定してある為、睫に塗布するにはボリューム感に欠け、化粧効果が弱くなってしまうものであった。また、しなやかな皮膜を形成する為、睫に塗布してもカール効果が弱く、経時で睫が下がってきてしまい、塗布した睫が下がると、瞬きで下瞼に触れるようになり、しかも柔らかい化粧膜である為、下瞼への化粧移り、いわゆる化粧崩れの状態を引き起こしてしまうという欠点があった。
このようにマスカラとアイライナーは、同じアイメイクアップ化粧料でありながら、マスカラをアイライナーに使用することやアイライナーをマスカラに使用することは困難であった。
【0006】
上記の理由から、同一の化粧料でマスカラとアイライナーの両方に使用することができると、便利で、携帯性に優れ、且つ睫とアイラインの色味が完全に一致する為、高い化粧効果が得られるメリットがあり、マスカラとアイライナーの両方に使用することができる化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、溶媒に溶解している状態では滑らかで均一な厚みの膜を作ることができ、溶媒が揮発して皮膜を形成したとき強度のある膜でありながら脆さをなくすには、強度のある皮膜形成性樹脂をその強度を保持しつつ柔軟性を付与できる別な皮膜形成性樹脂を組み合わせると実現することを見出し、さらに固形状の炭化水素油とデキストリン脂肪酸エステルと粉体と揮発性油剤とを組み合わせることにより、マスカラとして求められるカール効果およびボリューム効果とその化粧効果の持続性に優れ、且つアイライナーとして求められる塗布時の滑らかさ、化粧膜のしなやかさを両立し、これを使用した場合に目元に一体感が得られ目元がはっきりする効果が得られるマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)次の成分(A)〜(F);
(A)水添ロジン酸ペンタエリスリチル、キャンデリラレジン、重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸、重量平均分子量7000以上のポリメチルシルセスキオキサンから選ばれる1種または2種以上の皮膜形成性樹脂を2〜10質量%
(B)水添アビエチン酸グリセリル、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体、重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸、重量平均分子量6000以下のポリメチルシルセスキオキサンから選ばれる1種または2種以上の皮膜形成性樹脂を1〜10質量%
(C)25℃において固形状の炭化水素油
(D)デキストリン脂肪酸エステル
(E)粉体
(F)揮発性油剤
を配合することを特徴とするマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物、
(2)前記成分(A)と(B)の配合質量比が6.5:3.5〜4:6であることを特徴とする前記(1)に記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物、
(3)前記成分(C)の配合量が2〜20質量%であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物、
(4)更に成分(G)として25℃において固形状のエステル油を配合することを特徴とする前記(1)〜(3)の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物、
(5)前記成分(D)の配合量が2.5〜10質量%であることを特徴とする前記(1)〜(4)の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物、
(6)前記成分(A)の皮膜形成性樹脂が重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸であることを特徴とする前記(1)〜(5)の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物、
(7)前記成分(B)の皮膜形成性樹脂が重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸であることを特徴とする前記(1)〜(6)の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物、
(8)前記成分(A)の皮膜形成性樹脂が重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸であり、前記成分(B)の皮膜形成性樹脂が重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸であることを特徴とする前記(1)〜(5)の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物、
(9)前記(1)〜(8)の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物をマスカラ塗布部とアイライナー塗布部をそれぞれ持つ同一の塗布具付き容器に充填されてなることを特徴とするマスカラ・アイライナー兼用化粧料及び
(10)前記(1)〜(8)の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物をマスカラ塗布部とアイライナー塗布部を持つ同一の塗布具で使用することを特徴とするマスカラ・アイライナー兼用化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物は、マスカラとしてもアイライナーとしても使用することができ、マスカラとして求められるカールキープ効果およびボリューム効果とその化粧効果の持続性に優れ、且つアイライナーとして求められる塗布時の滑らかさ、化粧膜のしなやかさを両立し、これを使用した場合に目元に一体感が得られ目元がはっきりする効果が得られる化粧料組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、マスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物とは、同一化粧料組成物をアイライナーおよびマスカラとして使用することができる化粧料組成物である。
【0011】
本発明の成分(A)水添ロジン酸ペンタエリスリチル、キャンデリラレジン、重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸、重量平均分子量7000以上のポリメチルシルセスキオキサンの皮膜形成性樹脂としては、マスカラ・アイライナー兼用化粧料として用いたとき、他の必須成分と組み合わせることにより、強度と柔軟性のある化粧膜を形成することができるものである。
水添ロジン酸ペンタエリスリチルとしてはマツ科植物から得られる樹脂酸とペンタエリスリトールとのエステルで、市販品としては例えばエステルガムHP(荒川化学工業社製)が挙げられる。
キャンデリラレジンとしては、キャンデリラワックスを有機溶媒中にて分別抽出して得られる樹脂で、樹脂分が好ましくは65質量%以上(以下単に「%」と示す。)、更に好ましくは85%以上の割合で含有されるものであり、市販品としては例えばキャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製)が挙げられる。
重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸としては、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造をもつ化合物でSiO単位と(CHSiO0.5単位から成るシリコーン樹脂であり、市販品としては例えば溶剤に溶解したものとして、KF−9021(固形分50%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。トリメチルシロキシケイ酸の重量平均分子量は7000以上であり300,000以下が好ましい。
尚、本発明において、重量平均分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。
重量平均分子量7000以上のポリメチルシルセスキオキサンとしては、RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂であり、市販品としては、SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等があげられる。ポリメチルシルセスキオキサンの重量平均分子量は7000以上であり300,000以下が好ましい。
本発明の成分(A)の中でも、重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸がマスカラとして必要なカールキープ効果と、アイライナーとして必要な塗布時の滑らかさを両立する点で特に好ましい。
【0012】
本発明の成分(A)の配合量としては、2〜10%であり、3〜8%が好ましい。配合量が2%未満であると、マスカラとして使用した時、化粧膜の強度が不足し、カールキープ効果が低くなり、化粧効果が弱くなる為良くない。また、カールキープ効果が低くなると、下がった睫が瞬きする度に下瞼に触れ、更に化粧膜も柔らかいものとなる為、下瞼に化粧移りが発生し、化粧持ちの点で劣る。一方、10%を超えると、化粧膜が硬くなりすぎ、アイライナーとして使用した時に瞼の動きに硬い化粧膜が追従できず、ポロ落ちが発生し、同じく化粧持ちの点で劣る。
【0013】
本発明の成分(B)水添アビエチン酸グリセリル、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体、重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸、重量平均分子量6000以下のポリメチルシルセスキオキサンの皮膜形成性樹脂としては、マスカラ・アイライナー兼用化粧料として用いたとき、他の必須成分と組み合わせることにより、強度と柔軟性のある化粧膜を形成することができるものである。
水添アビエチン酸グリセリルとしては、ロジンを不均化して得られた主としてデヒドロアビエチン酸およびジヒドロアビエチン酸の混合物のグリセリンエステルで、市販品としては、パインクリスタル KE−311、KE−100、エステルガム H、スーパーエステル A−75、A−100(いずれも荒川化学工業社製)が挙げられる。
アクリル−シリコーン系グラフト共重合体としては、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とアクリレートおよび/またはメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとのラジカル重合体で、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等が挙げられる。これら市販品は、アクリル−シリコーングラフト共重合体を溶剤に溶解したものもあり、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマーでは、KP―541(固形分60%、溶媒:イソプロパノール)、KP−545(固形分30%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)、KP−550(固形分40%、溶媒:イソドデカン)、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーでは、KP−575(固形分30%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーでは、KP−561P、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーでは、KP−562P(いずれも信越化学工業社製)が挙げられる。
重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸としては、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造をもつ化合物でSiO単位と(CHSiO0.5単位から成るシリコーン樹脂であり、成分(A)とは、分子量が異なるものである。市販品としては例えば、SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、溶剤に溶解したものとしてX−21−5250(固形分50%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)、X−21−5595(固形分60%、溶媒:イソドデカン)、X−21−5616(固形分60%、溶媒:イソドデカン)(いずれも信越化学工業株式会社製)、BY11−018(固形分30%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、メチルポリシロキサンに溶解したものとしてTSF4600(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)などが挙げられる。トリメチルシロキシケイ酸の重量平均分子量は重量平均分子量6000以下であり100以上が好ましい。
重量平均分子量6000以下のポリメチルシルセスキオキサンとしては、RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂であり、成分(A)とは、分子量が異なるものである。ポリメチルシルセスキオキサンの重量平均分子量は6000以下であり100以上が好ましい。
本発明の成分(B)の中でも、重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸がマスカラとして必要なカールキープ効果と、アイライナーとして必要な塗布時の滑らかさ、化粧膜のしなやかさを両立する点で特に好ましい。
【0014】
成分(B)の配合量としては、1〜10%であり、3〜8%が好ましい。配合量が1%未満であると、化粧膜にしなやかさが足りず、アイライナーとして使用した時に瞼の動きに硬い化粧膜が追従できず、ポロ落ちが発生し、化粧持ちの点で良くない。一方、10%を超えるとマスカラとして使用した時、化粧膜がしなやかになりすぎ、カールキープ効果が低くなり、化粧効果が弱くなる為良くない。また、カールキープ効果が低くなると、下がった睫が瞬きする度に下瞼に触れ、更に化粧膜も柔らかいものとなる為、下瞼に化粧移りが発生し、同じく化粧持ちの点で劣る。
【0015】
本発明の成分(C)25℃において固形状の炭化水素油は、化粧膜に適度な厚みを持たせ化粧効果を高めたり、適度な硬度を持たせ化粧持ちを高めたりする成分であり、25℃にて固形状の炭化水素油で化粧料に用いられるものであれば、特に限定されず用いることができる。
例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、セレシンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどが挙げられ、これらを必要に応じて1種または2種以上用いることができる。
市販品としては、例えば、市販品としては、PERFORMALENE 655、PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)、合成ワックスP−200(日本ナチュラルプロダクツ社製)、ASENSA PR200(ハネウェル社製)、EP−700、EP−1100(Baker Petrolite社製)、PM−WAX82(日興リカ社製)、OZOKERITE WAX SP−273P(STRAHL & PITSCH社製)、ムルチワックスW−445(SONNEBORN社製)、CIREBELLE 108(CIREBELLE社製)、CIREBELLE 109L(CIREBELLE社製)などが挙げられる。
本発明の成分(C)の中でもがポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスが睫に均一に付着しカールキープ効果に優れ、且つアイライナーとして求められる塗布時の滑らかさを両立する点で特に好ましい。
【0016】
成分(C)の配合量としては、2〜20%が好ましく、4〜10%が特に好ましいこの範囲であれば、睫への付着が良好で、十分なボリューム効果、カール効果、そのその持続性が得られ、且つアイライナーとして求められる塗布時の滑らかさ、化粧膜のしなやかさが得られる。
【0017】
本発明の成分(D)デキストリン脂肪酸エステルは、他の必須成分と組み合わせることで適度な粘度とチキソトロピー性が得られ、塗布のし易さを調節し、安定性に寄与する成分である。成分(D)は、化粧料に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリンなどが挙げられる。この中でも特に、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリンが、安定性や使用性、塗布時の滑らかさなどの点でより好ましい。市販品としては、例えば、レオパールKL2、レオパールTL2、レオパールTT2、レオパールMKL2(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0018】
成分(D)の配合量としては、2.5〜10%が好ましく、3〜8%が特に好ましい。
この範囲であれば、睫に塗布する際滑らかで均一の化粧膜を形成することができ、且つアイライナーとしては塗布時の滑らかさが得られ、マスカラ・アイライナー化粧料組成物として適当な粘度を具現化することが出来る。
【0019】
本発明の成分(E)粉体は、着色させることができ、乾燥速度を速め、より仕上がりのべとつきを抑えることで、睫、および瞼の際に塗布し易く使用性の良好なものが得られる。また、成分(A)(B)と組み合わせることで、マスカラとして必要なカールキープ力と、アイライナーとして必要な化粧膜のしなやかさを両立することができ、化粧効果と発色の持続性を高めることができる。
成分(E)の粉体としては、化粧料一般に使用される粉体であれば、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カルミン、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、無水ケイ酸、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、カオリン、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化鉄・酸化チタン被覆合成金雲母、魚燐箔、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体類、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機粉体類、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等の複合粉体等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。また、これら粉体は2種以上の複合化したものを用いても良く、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石ケン、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、油脂、炭化水素、界面活性剤、アミノ酸系化合物、水溶性高分子等の1種または2種以上を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。
主に着色を目的とした場合は、それぞれ希望する色が発色する粉体を選択することができる。例えば、黒のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物を得る場合は、黒酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化鉄被覆雲母、黒の有機色素等を使用することができる。
着色以外では、例えば、タルクは適度なボリューム効果と隠ぺい力を付与する点で良好なものが得られ、無水ケイ酸は乾燥速度を速め、仕上がりのべたつきのなさや睫への塗布しやすさの点でより良好なものが得られる。タルクは化粧料一般に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができ、市販品としては、タルク ハイフィラーK−5(松村産業株式会社製)、タルク LMS200(冨士タルク工業株式会社製)等が挙げられる。無水ケイ酸は化粧料一般に使用されるものであり、無定形構造のもの、疎水化処理したもの、あるいは結晶構造を有するものも好適に使用できる。市販品としては、AEROSIL200、AEROSIL300、AEROSILR972(日本アエロジール社製)ニップシールE−220(日本シリカ工業社製)、サイリシア550、サイリシア770、サイロスフェア C−1504(富士シリシア化学社製)等があげられる。
【0020】
本発明の成分(E)の配合量は、特に限定されないが、8〜25%が好ましく、更に好ましくは10〜22%である。この範囲であれば、着色でき、塗布時が滑らかで、仕上がり時のベタツキがなく、均一で適度な柔軟性と強度を持つ皮膜が形成され、そしてその持続性に優れたものが得られる。
【0021】
本発明の成分(F)の揮発性油剤は、本発明の化粧料組成物の溶媒として働き、塗布しやすくし、化粧膜の形成を助けるものである。成分(F)は、1気圧、25℃において揮発性であり、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、具体的には、軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、メチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサン等が挙げられる。
市販品としては、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF−995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン TMF−1.5(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサンとしてはKF−96L−2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF−96L−1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFT ETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。中でも、軽質流動イソパラフィンが、成分(A)および(B)の樹脂と相溶性がよく、仕上がり時のベタツキをおさえ、均一な皮膜を演出する点で好ましい。
【0022】
成分(F)の配合量は特に限定されないが、15〜80%が好ましく、更に好ましくは25〜70%である。この範囲であれば、仕上がり時のベタツキがなく、均一で適度な柔軟性と強度を持つ皮膜が形成され、そしてその持続性に優れたものが得られる。
【0023】
本発明のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物に、成分(G)25℃にて固形状のエステル油を配合することによって、付着力と化粧膜のしなやかさを格段に向上させることができる。エステル油としては、化粧料に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウなどが挙げられ、これらを必要に応じて1種または2種以上用いることができる。
市販品としては、例えば、精製カルナウバワックスNo.1、NC−1630キャンデリラワックス(いずれもセラリカ野田社製)、精製キャンデリラワックスSR−3、高融点キャンデリラワックスFR100、精製キャンデリラワックスMD−21(日本ナチュラルプロダクツ社製)、SUPER REFINED BEESWAX‐PA−(JP)(クローダジャパン社製)等が挙げられる。
本発明の成分(G)の中でもカルナウバワックス、キャンデリラワックス、およびミツロウが、睫に対する付着力とボリューム効果に優れ、且つアイライナーとして求められる塗布時の滑らかさと化粧膜のしなやかさを両立する点でより好ましい。
【0024】
成分(G)の配合量としては、特に限定されないが、0.1〜10%が好ましく、1〜8%が特に好ましい。この範囲であれば、睫への付着が良好で、十分なボリューム効果、カール効果、そのその持続性が得られ、且つアイライナーとして求められる塗布時の滑らかさ、化粧膜のしなやかさが得られる。
【0025】
前記の成分(A)〜(G)の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば成分(C)、(D)、(F)、(G)以外で基材やエモリエント成分としての油性成分、粉体分散や感触調整としての界面活性剤、保湿としての水性成分、成分(A)、(B)以外の皮膜形成剤、繊維、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0026】
成分(C)、(D)、(F)、(G)以外の油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、および、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤等が挙げられる。
具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0027】
粉体の分散性向上を目的とした界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機および有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0028】
水性成分としては、水および水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の他の保湿剤を含有する事もできる。但し、本発明は油性のマスカラ・アイライナー兼用化粧料であるため、水としては1%以下が好ましい。
【0029】
成分(A)、(B)以外の皮膜形成剤としては、高重合度ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチラール等のビニル系樹脂、変性セルロース系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
繊維としては、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等が挙げられる。このうち、ナイロンを用いる場合には、長さは0.3〜3mmのものが好ましく、太さは0.1〜20デニールのものが好ましく、更には0.5〜10デニールのものがより好ましい。これらの繊維は、必要に応じて表面処理を施して使用される。表面処理剤としてはフッ素化合物、シリコ−ン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0030】
本発明のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物は、マスカラ塗布部とアイライナー塗布部をそれぞれ持つ同一の塗布具付き容器に充填して用いるのに適する。マスカラ塗布部とアイライナー塗布部をそれぞれ持つ同一の塗布具付き容器は、軸体先端にアイライナー用筆先部を、軸体先端側に外周に突出したマスカラ用塗布部を、軸体手前側に把持部を備えたマスカラ・アイライナー共用塗布具であることが好ましい。
このうち、アイライナー用筆先部はポリアミド繊維で形成され、かつこれらが繊維の構造を残した状態で固着された大略円錐形の形状であることが好ましい。
また、マスカラ用塗布部は、軸体と一体に形成されており、その形状は、コーム(くし)状や、円形、楕円形、多角形、不定形またはこれらを組み合わせたもの等、種々形状の板を連続的に並べて構成した板状コームであってもよいが、好ましくは三角形ないし略三角形の板を軸体から外側方向に突出させた突出板が連続したものであることが好ましい。なお、このマスカラ塗布部および軸体の材質としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の材料が好ましい。
【0031】
本発明のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物は、マスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物をマスカラ塗布部とアイライナー塗布部を持つ同一の塗布具で使用することによって、簡便性や、睫とアイラインの色や質感を統一し目元に一体感を与えることに適している。
【0032】
本発明のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物は、形態としては、クリーム状、ゲル状、液状等が挙げられるが、中でもゲル状が好ましく、外観は、半透明、不透明それぞれの化粧料として使用することができる。
本発明のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物は、水を含有することもできるが、液状、半固形状または固形状の油剤や油溶性化合物である油性成分を連続相とする実質的に水を含まないものが好ましい。
本発明のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物は、マスカラ・アイライナーとして使用すると、より化粧効果が高められるが、それぞれ単独のマスカラ、アイライナーとして使用することも可能である。
【0033】
本発明のマスカラ・アイライナー兼用化粧料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、成分(A)〜(F)を含む油性成分と粉体を110℃程度で加熱混合したものを混練後、容器に充填することにより得ることができる。
【0034】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0035】
実施例1〜11および比較例1〜11:マスカラ・アイライナー兼用化粧料(油性型)
表1、2に示す処方のマスカラ・アイライナーを下記製法により調製し、マスカラとしてはカールキープ効果、化粧膜の均一性、付着性(ボリューム効果)、にじみ(化粧効果の持続性)について、アイライナーとしては塗布時の滑らかさ、化粧膜のポロ落ち(化粧膜のしなやかさ)、目元の一体感について、下記の方法により官能評価を行った。その結果も併せて表1、2に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
*1:IPソルベント1620(出光興産社製)
*2:レオパールTL2(千葉製粉社製)
*3:PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)
*4:シリコンKF−9021(信越化学工業社製)(固形分50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(成分(A))
*5:エステルガムHP(荒川化学工業社製)(成分(A))
*6:キャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製)(成分(A))
*7:X−21−5250(信越化学工業社製)(固形分50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(成分(B))
*8:パインクリスタル KE−311(荒川化学工業社製)(成分(B))
*9:KP−545(信越化学工業社製)(固形分30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(成分(B))
*10:ベントン38V BC(ELEMENTIS社製)
*11:AEROSIL 300(日本アエロジール社製)
【0039】
(製法)
実施例1〜11および比較例1〜11
A.成分(1)の一部と成分(2)〜(5)を110℃まで加熱溶解し、これに成分(1)の残部と(14)〜(15)を混合して膨潤したものを加える。
B.Aに成分(6)〜(13)および成分(16)〜(18)を加え、均一に混合する。
C.Bをマスカラ塗布部とアイライナー塗布部をそれぞれ持つ一つの塗布具付き容器に充填し製品とする。ここで、図1のマスカラ・アイライナー共用塗布具を使用した。
【0040】
(評価方法)
10名の官能評価パネルにより、各試料を下記イ〜ヘの評価項目について、(1)絶対評価基準を用いて7段階に評価し、各試料の評点の平均値を(2)4段階判定基準を用いて判定した。評価項目トに関しては、下記目元の一体感の評価方法に従い、(1)絶対評価基準を用いて4段階に評価し、各試料の評点の平均値を(2)3段階判定基準を用いて判定した。
尚、表1、2には、判定と( )内に評点の平均値を記載した。評価項目イ〜ニについては、マスカラとして使用したときの評価項目とし、評価項目ホ、ヘについてはアイライナーとして使用したときの評価項目とし、評価項目トについては、マスカラとアイライナー両方の評価項目とした。
尚、評価項目ロ、ハ、ホは塗布直後を評価し、評価項目イ、ニ、ヘについては、試料を睫と目の際に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、6時間後の化粧効果について評価した。特にニの持続性については、マスカラが下瞼に移らず化粧膜が残っているかどうか、ヘの化粧膜のしなやかさについては、アイラインが崩れて化粧膜が剥がれ落ちていないかどうかを主な評価の指標とした。トについては塗布直後と6時間後の二回評価を行い、総合して判定した。
(評価項目)
(マスカラ使用時)
イ.カールキープ効果
ロ.化粧膜の均一性
ハ.付着性(ボリューム効果)
ニ.化粧効果の持続性
(アイライナー使用時)
ホ.塗布時の滑らかさ
へ.化粧膜のしなやかさ
(総合)
ト.目元の一体感
【0041】
(1)絶対評価基準
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(2)4段階判定基準
(平均点) :(判定)
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
1点を超えて3点以下:やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
【0042】
(目元の一体感の評価方法)
マスカラとアイライナーを塗布した官能評価パネルに鏡から50センチメートル離れたところに着席してもらい、鏡に映る自分の目元を確認した時に、見える様子について以下の基準にて判定を行った。
(1)絶対評価基準
(評点):(評価)
3:目元の一体感が得られる。
マスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、マスカラとアイラインが一体化することで睫が根元からボリュームアップしたような印象を受ける。また、アイラインの延長に扇状に広がる睫が自然につながることで、目が大きく見える。6時間後も同様の印象が得られた。
2:目元の一体感が得られるが、経時変化が少し見られる。
塗布直後はマスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、統一感ある化粧効果が得られるが、6時間後は、若干化粧効果が低下した。
1:目元の一体感が得られず、経時変化も見られる。
マスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別でき、マスカラはマスカラ単独で使用した時と同程度の化粧効果を、アイライナーはアイライナー単独で使用した時と同程度の化粧効果を示している。経時によりどちらかの化粧効果がかなり低下する。
0:目元の一体感が得られず、化粧効果も得られない。
マスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別でき、塗布直後の時点でマスカラとアイライナーのどちらか一方もしくは両方の化粧効果が低い。
(2)3段階判定基準
(平均点) :(判定)
2点以上 :目元の一体感が得られる :○
1点以上2点未満:目元の一体感が得られない:△
1点未満 :化粧効果が低い :×
【0043】
表1の結果から明らかなように、本発明品である実施例1〜11のマスカラ・アイライナー兼用化粧料は、マスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、マスカラとアイラインが一体化することで睫が根元からボリュームアップしたような印象を与えることができ、アイラインの延長に扇状に広がる睫が自然につながるように見えて、大きい目の印象を与えることができるものである。マスカラとしては、睫に対して均一に塗布しやすく、付着性も良く、カールキープ効果も得られ、下瞼に化粧が移らず、化粧効果に優れたものであった。また、アイライナーとしても滑らかに塗布でき、適度に柔軟な化粧膜を形成する為、経時での化粧膜のポロ落ちも見られなかった。よって、マスカラとしてもアイライナーとしても化粧効果の持続性にとても優れたものであった。
【0044】
表2の結果から明らかなように、成分(A)を配合せず、樹脂分として成分(B)のみ使用している比較例1および成分(A)の配合量が少ない比較例2では、塗布直後はマスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、統一感ある化粧効果が得られるが、経時で徐々に睫のカールが落ち、目元に統一感が見られたのは化粧直後のみであった。アイライナーとしてはしなやかな化粧膜を形成する為、十分な化粧持ち効果を有するものであったが、マスカラとしては、化粧膜の強度が不足し、十分なカールキープ効果が得られなかった。また、下がった睫が瞬きする度に下瞼に触れ、更に化粧膜も柔らかいものであった為、下瞼に化粧移りが発生し、化粧効果の持続性の点で満足のいくものが得られなかった。
更に、成分(A)の配合量を非常に多くした比較例3では、アイラインを綺麗に引くことが出来ず、目元の統一感を得るのが困難であった。マスカラとしては、化粧膜の強度が高い為、カールキープ効果は見られたが、化粧膜の均一性が低く、綺麗な化粧膜ではなかった。また、アイライナーとして使用した時には、塗布時の滑らかさに欠け、綺麗にラインを描けず、且つ瞼の動きに硬い化粧膜が追従できず、ポロ落ちが発生し、化粧効果及び化粧効果の持続性の点で満足のいくものが得られなかった。
成分(A)の代わりに、成分(B)を増加させた比較例4では、塗布直後はマスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、統一感ある化粧効果が得られるが、経時で徐々に睫のカールが落ち、目元に統一感が見られたのは化粧直後のみであった。アイライナーとしては非常にしなやかな化粧膜を形成する為、ややべたつきがあるものの十分な化粧効果の持続性を有するものであったが、マスカラとしては、化粧膜の強度が不足し、十分なカールキープ効果が得られなかった。また、下がった睫が瞬きする度に下瞼に触れ、更に化粧膜も非常に柔らかいものであった為、下瞼に化粧移りが発生し、化粧効果の持続性の点で満足のいくものが得られなかった。
【0045】
次に、成分(B)を配合せず、樹脂分として成分(A)のみ使用している比較例5および成分(B)の配合量が少ない比較例6では、塗布直後はマスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、統一感ある化粧効果が得られるが、経時で徐々にアイラインの化粧膜にひび割れが発生し、ポロ落ちした為、目元に統一感が見られたのは化粧直後のみであった。マスカラとしては、化粧膜の強度が高い為、カールキープ効果には優れていたが、アイライナーとして使用した時に瞼の動きに硬い化粧膜が追従できず、ポロ落ちが発生し、化粧効果の持続性の点で満足のいくものが得られなかった。
更に、成分(B)の配合量を非常に多くした比較例7では、塗布直後はマスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、統一感ある化粧効果が得られるが、経時で徐々に睫のカールが落ち、目元に統一感が見られたのは化粧直後のみであった。アイライナーとしてはしなやかな化粧膜を形成する為、十分な化粧効果の持続性を有するものであったが、マスカラとしては、化粧膜の強度が不足し、十分なカールキープ効果が得られなかった。また、下がった睫が瞬きする度に下瞼に触れ、更に化粧膜も非常に柔らかいものであった為、下瞼に化粧移りが発生し、化粧効果の持続性の点で満足のいくものが得られなかった。
成分(B)の代わりに、成分(A)を増加させた比較例8では、塗布直後はマスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、統一感ある化粧効果が得られるが、経時で徐々にアイラインの化粧膜にひび割れが発生し、ポロ落ちした為、目元に統一感が見られたのは化粧直後のみであった。マスカラとしては、化粧膜の強度が高い為、カールキープ効果には優れていたが、アイライナーとして使用した時に瞼の動きに硬い化粧膜が追従できず、ポロ落ちが発生し、化粧効果の持続性の点で満足のいくものが得られなかった。
【0046】
さらに、成分(C)を配合していない比較例9では、付着性が低くマスカラとしての化粧効果が低い上に、アイライナーとしても綺麗に塗布することが困難であり、化粧直後から目元の一体感が得られなかった。マスカラとしては、睫に滑らかに塗布できず、塗布した際の付着が弱い為、ボリューム効果に欠け、化粧膜が薄い為カールキープ効果も低かった。また、アイライナーとしても滑らかに塗布できず、ポロ落ちを評価する以前に均一な化粧膜を得られなかった。
成分(D)を配合していない比較例10では、滑らかさに欠ける為にアイライナーとして綺麗なラインを描くことができず、化粧効果が低かった為、化粧直後から目元の一体感が得られなかった。マスカラとしては、やや滑らかさには欠けるものの睫には塗布でき、付着性やカールキープ効果があり、下瞼に化粧移りもなかったが、アイライナーとして使用した際は、チキソトロピー性が無い為に、滑らかさに欠け、均一な化粧膜を得るのが困難であった。
成分(E)を配合していない比較例11では、着色していない為、マスカラとしてもアイライナーとしても化粧効果が低く、且つアイライナーの化粧膜がひび割れした為、化粧効果が非常に低く、目元の統一感が得られなかった。マスカラとしては、付着量が少ない上に着色できない為化粧効果に乏しく、塗布時や仕上がり時にややべたつき、アイライナーとしては、溶媒揮発後の樹脂分比率が高まり化粧膜の強度が高まる為、化粧膜がポロ落ちした。
【0047】
以下の参考例1のマスカラを睫に塗布し、参考例2のアイライナーを目の際に塗布し、目元の一体感に関して同様に評価した。
参考例1:油性ゲル状マスカラ(紫色)
(成分) (%)
(1)軽質流動イソパラフィン *1 残量
(2)デキストリン脂肪酸エステル *2 2
(3)キャンデリラワックス 3
(4)ミツロウ 3
(5)レシチン 0.3
(6)水添ロジン酸ペンタエリスリチル *5 5
(7)パラオキシ安息香酸メチルエステル 0.1
(8)フェノキシエタノール 0.1
(9)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト *10 6
(10)炭酸プロピレン 1
(11)無水ケイ酸 *11 3
(12)タルク 2
(13)赤酸化鉄 7
(14)グンジョウ 8
(製法)
A.成分(1)の一部と成分(2)〜(5)を約110℃で加熱混合し、これに成分(1)の残部と(9)〜(10)を混合して膨潤したものを加える。
B.成分(6)〜(8)および成分(11)〜(14)をAに加え均一に混合する。
C.Bを塗布具付き容器に充填し、油性マスカラを得た。
【0048】
参考例2:油性液状アイライナー(紫色)
(成分) (%)
(1)ポリイソブチレン *12 1.2
(2)マイクロクリスタリンワックス *13 0.8
(3)パラフィンワックス *14 1.5
(4)デキストリン脂肪酸エステル *2 4
(5)ポリエチレンワックス *2 5
(6)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(7)軽質流動イソパラフィン *1 残量
(8)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト*10 2.5
(9)プロピレンカーボネイト 0.5
(10)デカメチルシクロペンタシロキサン*15 10
(11)無水ケイ酸 *11 3
(12)タルク 2
(13)赤酸化鉄 7
(14)グンジョウ 8
*12 ビスタネックスMML−100
*13 ムルチワックスW−445(ソネボン社製)
*14 パラフィンワックス155F(日本精蝋社製)
*15 シリコンKF−995(信越化学社製)
(製法)
A.成分(7)の一部と成分(1)〜(6)を加熱溶解し、これに成分(7)の残部と(8)〜(9)を混合して膨潤したものを加える。
B.Aに成分(10)〜(14)を加え、均一に混合する。
C.Bを塗布具付き容器に充填して油性液状アイライナーを得た。
【0049】
参考例1と参考例2を塗布した結果、それぞれの持つ化粧効果と化粧持ちを示したが、同一の顔料処方であるにも係わらず組成が異なる為に、色味と仕上がりの質感が異なり、睫とアイライナーの境界が区別でき、マスカラとアイラインが一体化することで睫が根元からボリュームアップしたような印象を与えることやアイラインの延長に扇状に広がる睫が自然につながるように見えて、大きい目の印象を与えることはできず、目元の一体感は得られなかった。
【0050】
以下の実施例12、13についても、実施例1〜11と同様に評価した。
実施例12:マスカラ・アイライナー兼用化粧料
(成分) (%)
(1)軽質流動イソパラフィン *1 残量
(2)デキストリン脂肪酸エステル *2 8
(3)マイクロクリスタリンワックス・ポリエチレンワックス混合物 *16 4
(4)キャンデリラワックス 1
(5)ミツロウ 1
(6)レシチン 0.3
(7)水添ロジン酸ペンタエリスリチル *5 4
(8)ポリメチルシルセスキオキサン *17 2
(9)トリメチルシロキシケイ酸 *7 3
(10)KP−545 0.5
(11)フェノキシエタノール 0.1
(12)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト *10 5
(13)炭酸プロピレン 1
(14)無水ケイ酸 *11 2
(15)タルク 2
(16)グンジョウ 7
(17)黒酸化鉄 3
(18)シリコーン処理雲母チタン *18 4
(19)酸化チタン被覆ガラス末 4
*16 PM WAX‐82(日興リカ株式会社製)
*17 SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)(成分(A))
*18 :(ジメチコン/メチコン)コポリマー2%処理:FLAMENCO BLUE 620C(エンゲルハード社製)
(製法)
A.成分(1)の一部と成分(2)〜(6)を約110℃で加熱混合し、これに成分(1)の残部と(12)〜(13)を混合して膨潤したものを加える。
B.成分(7)〜(11)及び成分(14)〜(19)をAに加え均一に混合する。
C.Bを塗布具付き容器に充填し、マスカラ・アイライナー兼用化粧料を得た。
【0051】
以上のようにして得られた実施例12のマスカラ・アイライナー兼用化粧料は、マスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、マスカラとアイラインが一体化することで睫が根元からボリュームアップしたような印象を与えることができ、アイラインの延長に扇状に広がる睫が自然につながるように見えて、大きい目の印象を与えることができるものであった。マスカラとしては、睫に対して均一に塗布しやすく、付着性も良く、カールキープ効果も得られ、下瞼に化粧が移らず、化粧効果に優れたものであった。また、アイライナーとしても滑らかに塗布でき、適度に柔軟な化粧膜を形成する為、経時での化粧膜のポロ落ちも見られなかった。よって、マスカラとしてもアイライナーとしても化粧効果の持続性にとても優れたものであった。
【0052】
実施例13:マスカラ・アイライナー兼用化粧料
(成分) (%)
(1)軽質流動イソパラフィン *1 残量
(2)デキストリン脂肪酸エステル *19 3
(3)マイクロクリスタリンワックス・ポリエチレンワックス混合物 *15 5
(4)フィッシャートロプシュワックス *20 3
(5)エチレン・プロピレンコポリマー *21 1
(6)マイクロクリスタリンワックス *13 1
(7)キャンデリラワックス 1
(8)カルナウバワックス 1
(9)レシチン 0.3
(10)キャンデリラレジン *6 2.5
(11)ポリメチルシルセスキオキサン *17 2
(12)水添アビエチン酸グリセリル *8 2.5
(13)KP−545 1
(14)フェノキシエタノール 0.1
(15)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト *10 4
(16)炭酸プロピレン 1
(17)無水ケイ酸 *11 1
(18)マイカ 2
(19)グンジョウ 4
(20)黒酸化鉄 0.5
(21)黄酸化鉄 3
(22)アルミニウム粉末 2
(23)精製水 1
(24)エタノール 0.5
【0053】
*19:レオパールKL2(千葉製粉社製)
*20:CIREBELLE 108(CIREBELLE社製)
*21:EP−700(Baker Petrolite社製)
(製法)
A.成分(1)の一部と成分(2)〜(9)を約110℃で加熱混合し、これに成分(1)の残部と(15)〜(16)を混合して膨潤したものを加える。
B.成分(10)〜(14)および成分(17)〜(22)をAに加え均一に混合する。
C.成分(23)〜(24)をBに加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填し、マスカラ・アイライナー兼用化粧料を得た。
【0054】
以上のようにして得られた実施例13のマスカラ・アイライナー兼用化粧料は、マスカラを塗布した睫とアイライナーの境界が区別できず、マスカラとアイラインが一体化することで睫が根元からボリュームアップしたような印象を与えることができ、アイラインの延長に扇状に広がる睫が自然につながるように見えて、大きい目の印象を与えることができるものであった。マスカラとしては、睫に対して均一に塗布しやすく、付着性も良く、カールキープ効果も得られ、下瞼に化粧が移らず、化粧効果に優れたものであった。また、アイライナーとしても滑らかに塗布でき、適度に柔軟な化粧膜を形成する為、経時での化粧膜のポロ落ちも見られなかった。よって、マスカラとしてもアイライナーとしても化粧効果の持続性にとても優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例及び比較例で使用したマスカラ・アイライナー共用塗布具の一例の図面
【符号の説明】
【0056】
1:共用塗布具
2:マスカラ塗布部
3:アイライナー用筆先部
4:軸体
5:把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(F);
(A)水添ロジン酸ペンタエリスリチル、キャンデリラレジン、重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸、重量平均分子量7000以上のポリメチルシルセスキオキサンから選ばれる1種または2種以上の皮膜形成性樹脂を2〜10質量%
(B)水添アビエチン酸グリセリル、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体、重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸、重量平均分子量6000以下のポリメチルシルセスキオキサンから選ばれる1種または2種以上の皮膜形成性樹脂を1〜10質量%
(C)25℃において固形状の炭化水素油
(D)デキストリン脂肪酸エステル
(E)粉体
(F)揮発性油剤
を配合することを特徴とするマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。
【請求項2】
前記成分(A)と(B)の配合質量比が6.5:3.5〜4:6であることを特徴とする請求項1に記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。
【請求項3】
前記成分(C)の配合量が2〜20質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。
【請求項4】
更に成分(G)として25℃において固形状のエステル油を配合することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。
【請求項5】
前記成分(D)の配合量が2.5〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。
【請求項6】
前記成分(A)の皮膜形成性樹脂が重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。
【請求項7】
前記成分(B)の皮膜形成性樹脂が重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。
【請求項8】
前記成分(A)の皮膜形成性樹脂が重量平均分子量7000以上のトリメチルシロキシケイ酸であり、前記成分(B)の皮膜形成性樹脂が重量平均分子量6000以下のトリメチルシロキシケイ酸であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物をマスカラ塗布部とアイライナー塗布部をそれぞれ持つ同一の塗布具付き容器に充填されてなることを特徴とするマスカラ・アイライナー兼用化粧料。
【請求項10】
請求項1〜8の何れかに記載のマスカラ・アイライナー兼用化粧料組成物をマスカラ塗布部とアイライナー塗布部を持つ同一の塗布具で使用することを特徴とするマスカラ・アイライナー兼用化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−207865(P2011−207865A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49690(P2011−49690)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】