マスキングテープ及びウエハの表面処理方法

【課題】常温における粘着力に優れ、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮し、かつ、使用後は容易に剥離可能なマスキングテープを提供する。
【解決手段】基材と前記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮するマスキングテープであって、前記基材は、幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が60N以下であるマスキングテープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温における粘着力に優れ、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮し、かつ、使用後は容易に剥離可能なマスキングテープに関する。本発明は、また、めっき時にウエハの表面を簡便かつ確実に保護することができるウエハの表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの製造においては、アルミニウムパッドと配線ワイヤーとの密着性向上、はんだボールを搭載する際の密着性向上、はんだ拡散防止等の目的で、ウエハの片面にニッケルや金等からなる金属膜(バリアメタル)を形成することが行われる。このようなバリアメタルは、スパッタ等のドライ処理法により形成されていた。
近年、半導体デバイスに対してより高い信頼性が求められるようになってきたことから、バリアメタルを厚くすることが求められるようになってきた。しかし、従来のドライ処理法で厚いバリアメタルを形成するためには、コスト面や作業効率の面で問題があった。そこで、より簡便に厚いバリアメタルを形成可能なウエット処理法が検討されるようになってきた。
【0003】
代表的なウエット処理法としては、無電解めっき法や電解めっき法等のめっき法が挙げられる。めっき法によれば、比較的厚いバリアメタルを容易に形成することができる。しかし、めっき法ではウエハの全体をめっき浴に浸漬する工程が必須となる。この浸漬工程によって、ウエハの他方の面がめっき液で汚染されてしまったり、場合によってはウエハの他方の面にまでめっきが施されてしまうことがあり、歩留まり低下の原因となっていた。
【0004】
めっき液との接触を防止したい面を保護する方法としては、レジスト法が提案されている(例えば、特許文献1等)。即ち、めっき工程前に、予めウエハの片面に液状レジストをスピンコート等により被覆し、該レジストを硬化しておくことにより、ウエハの片面を確実に保護することができる。しかし、めっき処理後にレジストを完全に除去するためには、溶剤等を用いた煩雑なレジスト除去工程が必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−206064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対して本発明者は、マスキングテープによりウエハの片面を保護することを考えた。マスキングテープを用いれば、面倒な操作を行うことなく、容易にウエハの片面を保護することが期待できる。しかしながら、めっき法により厚いバリアメタルを形成するためには、80〜100℃の比較的高温のめっき液にウエハを浸漬する必要がある。リードフレームのめっき保護用として使用されている従来公知のマスキングテープを転用しても、80〜100℃の高温水中では粘着力が著しく低下し、めっき工程中に剥離してしまう。特に均一なめっきを施すためには、ウエハをめっき浴に浸漬した状態で撹拌を行う必要があるが、該撹拌によって更にマスキングテープの剥離が発生しやすくなる。このような課題に対して、マスキングテープの粘着剤層のガラス転移温度を高く調整して高温接着力を向上させることも考えられたが、この場合には、常温における粘着力が低下してしまい正確にマスキングすることが困難になるという問題が発生した。更に、めっき工程後にはウエハを破損しないように容易に剥離できることも要求される。
本発明は、常温における粘着力に優れ、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮し、かつ、使用後は容易に剥離可能なマスキングテープを提供することを目的とする。本発明は、また、めっき時にウエハの表面を簡便かつ確実に保護することができるウエハの表面処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材と前記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮するマスキングテープであって、前記基材は、幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が60N以下であるマスキングテープである。
本発明は、無電解めっき法又は電解めっき法によるめっきの際に非めっき面を保護するためのマスキングテープであって、基材と前記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、前記基材は、JIS K 7126に準じた方法により測定した酸素透過率が9cc/m/hr/atm以下であるマスキングテープである。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者は、マスキングテープの粘着剤層を検討し、アルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルに由来するセグメントを主成分とし、単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるアクリルモノマーに由来するセグメントを共重合することによりガラス転移温度を一定の範囲に調整した共重合体を含有する粘着剤層を用いるマスキングテープは、常温における粘着力と、80〜100℃の高温水中における粘着力とを両立できることを見出した。更に、該共重合体に側鎖にラジカル重合性の不飽和結合を有するセグメントを共重合させることにより、紫外線等を照射するだけで容易に剥離可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明のマスキングテープは、基材と該基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなる。
上記基材は特に限定されないが、光を透過又は通過するものであることが好ましく、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
【0010】
上記基材は、幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が60N以下である基材(以下、「柔軟基材」ともいう。)が好ましい。このような柔軟基材を用いた場合には、マスキングテープを貼着したウエハを80℃程度のめっき浴中でめっき処理した場合でも、マスキングテープの剥離が起こり難い。
本発明者は、80℃程度の高温水中でウエハからマスキングテープが剥離する態様について検討を行った。その結果、80℃程度のめっき浴中に浸漬したときにウエハとマスキングテープとの間に発生する応力に原因があることを見出した。即ち、マスキングテープを貼着したウエハを80℃程度のめっき浴中に浸漬すると、急激な温度変化に伴い部材が膨張しようとする。マスキングテープの基材、粘着剤層とウエハとは、それぞれ熱膨張係数が異なることから、温度変化時の膨張率が異なる。この膨張率の相違により、各界面に応力が発生する。また、特に均一なめっきを施すためには、ウエハをめっき浴に浸漬した状態で撹拌を行う必要があるが、該撹拌によってウエハからはみ出したマスキングテープ部分に水流が当たり、マスキングテープとウエハとの間に剥離応力が発生する。
本発明者は、鋭意検討の結果、一定条件下で引張り試験を行ったときの引張り強度が一定値以下である基材をマスキングテープの基材として用いることにより、80℃程度のめっき浴中に浸漬したときにウエハとマスキングテープとの間に発生する応力を緩和して剥離を抑制できることを見出した。これは、上記条件を満たす柔軟基材を用いることにより、膨張率の相違により発生した応力を緩和することができるとともに、撹拌時にウエハからはみ出したマスキングテープ部分に水流が当たっても発生する剥離圧力が小さくなるためと考えられる。
【0011】
上記柔軟基材の引張り強度の下限は特に限定されないが、幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が0.1N以上であることが好ましい。上記条件での引張り強度が0.1N未満であると、実質的に基材としての形状を維持することが困難になる。
【0012】
上記柔軟基材は、基材を構成する材料と基材の厚さとを選択することにより、上記条件での引張り強度を60N以下に調整することができる。
上記柔軟基材を構成する材料は特に限定されないが、柔軟であり比較的厚くても所期の引張り強度を達成可能であることから、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリイミド、塩化ビニル等が挙げられる。
上記柔軟基材の厚さは、材質に応じて、上記条件での引張り強度が60N以下となるように適宜調整すればよい。
【0013】
基材と上記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮するマスキングテープであって、上記基材は、幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が60N以下であるマスキングテープもまた、本発明の1つである。
【0014】
上記基材は、JIS K 7126に準じた方法により測定した酸素透過率が9cc/m/hr/atm以下である基材(以下、「低酸素透過率基材」ともいう。)が好ましい。このような低酸素透過率基材を用いた場合には、マスキングテープを貼着したウエハを80℃程度のめっき浴中でめっき処理した場合でも、マスキングテープの剥離が起こり難いことに加え、めっき処理を行って得た半導体ウエハの電気的な不良の発生を防止することができる。
【0015】
本発明者は、80℃程度の高温水中でウエハからマスキングテープが剥離する原因の一つが、めっき液が基材を透過して粘着剤層に達し、ウエハに対する密着性を低下させることにあることを見出した。また、マスキングテープによりウエハの片面を保護した状態でめっきを行って得られた半導体ウエハを、実際にデバイスとして使用した場合、ショート等の電気的な不良が発生することがある。本発明者らがこの電気的な不良の発生の原因を検討した結果、テープの剥がれ等によるめっき液の染み込みだけでなく、めっき液に含まれる微量の陰イオン、特に塩素イオンがマスキングテープやレジストを透過して、保護面に形成された電極用の金属膜に付着することが原因であることを見出した。
そして更に検討の結果、マスキングテープの基材の酸素透過率を一定以下とすることにより、高温水中での剥離を防止し、かつ、塩素イオンの透過による電気的な不良の発生を防止できることを見出した。
【0016】
上記低酸素透過率基材の酸素透過率が9cc/m/hr/atmを超えると、塩素イオン等の透過を抑えられなくなり、得られた半導体ウエハの電気的な不良の発生を防止することができない。上記低酸素透過率基材の酸素透過率は、9cc/m/hr/atm以下であることが好ましい。上記低酸素透過率基材の酸素透過率が9cc/m/hr/atm以下であれば、一般的な無電解めっきの条件では、充分に半導体ウエハの電気的な不良の発生を防止することができる。
なお、現在の一般的な無電解めっきの条件は70〜90℃、30〜90分間程度であるが、今後デバイスにより高い信頼性を付与するために、より厳しい条件で無電解めっきを行い、より厚いめっきを施すようになることが予測される。従って、上記低酸素透過率基材の酸素透過率のより好ましい上限は1cc/m/hr/atmである。上記低酸素透過率基材の酸素透過率が1cc/m/hr/atm以下であれば、より厳しい条件で無電解めっきを行った場合にでも、塩素イオン等の透過を確実に防止して半導体ウエハの電気的な不良の発生を防止でき、無電解めっき中のマスキングテープの剥離を防止することができる。
【0017】
上記低酸素透過率基材は、上記酸素透過率を満たすものであれば、単層からなるものであっても、複数の層からなるものであってもよい。
単層からなる低酸素透過率基材は、例えば、高延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、もともと比較的酸素透過率の低いものであるが、高延伸処理を行うことにより酸素透過率を9cc/m/hr/atm以下とすることができる。
【0018】
複数の層からなる低酸素透過率基材は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなるフィルムに、酸素の透過を妨げる層を積層したフィルム等が挙げられる。具体的には例えば、オレフィン系樹脂からなるフィルムに高延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した積層フィルムや、オレフィン系樹脂からなるフィルムに金属膜やシリカ膜を蒸着した蒸着フィルム等が挙げられる。
【0019】
上記蒸着フィルムにおいて、蒸着層の厚さの好ましい下限は5nm、好ましい上限は300nmである。蒸着層の厚さが5nm未満であると、充分に酸素透過率を低下させることができないことがあり、300nmを超えると、基材が堅くなり、剥離しやすくなることがある。上記蒸着フィルムの蒸着層の厚さのより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は200nmである。
【0020】
無電解めっき法又は電解めっき法によるめっきの際に非めっき面を保護するためのマスキングテープであって、基材と上記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、上記基材は、JIS K 7126に準じた方法により測定した酸素透過率が9cc/m/hr/atm以下であるマスキングテープもまた、本発明の1つである。
【0021】
上記粘着剤層は、アルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルに由来するセグメントと、単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるアクリルモノマーに由来するセグメントと、側鎖にラジカル重合性の不飽和結合を有するセグメントを有する共重合体(以下、単に「共重合体」ともいう。)を含有する。
【0022】
上記アルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルに由来するセグメントは、上記共重合体のベースとなるものである。上記粘着剤層を構成する共重合体がアルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルに由来するセグメントを有することにより、本発明のマスキングテープは80〜100℃の高温水中における高い粘着力を発揮することができる。
【0023】
上記アルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルは、例えば、エチルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート等が挙げられる。なかでも、エチルアクリレート、メチルアクリレートが好適である。
【0024】
上記共重合体における上記アルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルに由来するセグメントの含有量の好ましい下限は40重量%、好ましい上限は90重量%である。上記アルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルに由来するセグメントの含有量が40重量%未満であると、80〜90℃の高温における粘着剤の充分な凝集力が得られないことがあり、90重量%を超えると、粘着剤としての応力緩和力が減少し、接着力を損なうことがある。上記アルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルに由来するセグメントの含有量のより好ましい下限は50重量%、より好ましい上限は80重量%である。
【0025】
上記単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるアクリルモノマーに由来するセグメントは、上記共重合体のガラス転移温度を調整する役割を有する。上記共重合体における上記アルキル基の炭素数が5以下であるアクリル酸アルキルエステルの単独重合体では、ガラス転移温度が−20℃を下回り、高温における必要な弾性率調整ができない。上記単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるモノマーを共重合することにより、上記共重合体のガラス転移温度を調整することができる。
【0026】
上記単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるモノマーは、例えば、メチルメタクリレート、イソボロニルアクリレート、アクリロニトリル、アクリル酸等が挙げられる。なかでも、メチルメタクリレートやアクリロニトリルが好適である。
【0027】
上記共重合体における上記単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるアクリルモノマーに由来するセグメントの含有量は、上記共重合体のガラス転移温度が−5〜15℃になるように適宜調整すればよい。一般的には、上記共重合体における上記単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるアクリルモノマーに由来するセグメントの含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。上記単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるアクリルモノマーに由来するセグメントの含有量が10重量%未満であると、充分な高温での凝集力が得られないことがあり、40重量%を超えると、粘着力が著しく低下することがある。上記単独重合体のガラス転移温度が80〜120℃であるアクリルモノマーに由来するセグメントの含有量のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は35重量%である。
【0028】
上記側鎖にラジカル重合性の不飽和結合を有するセグメントは、上記共重合体に光硬化性を付与する役割を有する。上記粘着剤層を構成する共重合体が側鎖にラジカル重合性の不飽和結合を有するセグメントを有することにより、めっき工程後に本発明のマスキングテープに光を照射すれば、上記粘着剤層が硬化する。硬化した粘着剤層は、弾性率が著しく上昇して粘着力のほとんどを失うことから、容易に剥離することができる。
【0029】
上記共重合体に上記側鎖にラジカル重合性の不飽和結合を有するセグメントを挿入する方法は、例えば、分子内に官能基を持ったアクリルモノマーを共重合したうえで、該官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という。)と反応させる方法等が挙げられる。
【0030】
上記分子内に官能基を持ったアクリルモノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーや、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマーや、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマーや、アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマーや、アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
【0031】
上記官能基含有不飽和化合物は、例えば、上記分子内に官能基を持ったアクリルモノマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが挙げられ、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが挙げられ、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが挙げられ、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが挙げられる。
【0032】
上記共重合体における上記側鎖にラジカル重合性の不飽和結合を有するセグメントの含有量の好ましい下限は0.1meq/g、好ましい上限は2meq/gである。上記側鎖にラジカル重合性の不飽和結合を有するセグメントの含有量が0.1meq/g未満であると、充分な光硬化性を付与できず、光を照射してもマスキングテープを剥離できないことがあり、2meq/gを超えると、硬化後の粘着剤が脆くなることがある。上記側鎖にラジカル重合性の不飽和結合を有するセグメントの含有量のより好ましい下限は0.2meq/g、より好ましい上限は1.5meq/gである。
【0033】
上記共重合体は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、共重合可能なその他のモノマーに由来するセグメントを含有してもよい。上記共重合可能なその他のモノマーは、炭素数6以上の側鎖を有するアクリルモノマー、例えば2−エチルヘキシルアクリレートやイソオクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等が挙げられる。
【0034】
上記粘着剤層は、光を照射することにより気体を発生する気体発生剤を含有することが好ましい。このような気体発生剤を含有する上記粘着剤層に光を照射すると、上記共重合体が架橋硬化して粘着剤層全体の弾性率が上昇し、このような硬い粘着剤層中で発生した気体は粘着剤層から接着界面に放出され接着面の少なくとも一部を剥離することから、より容易にマスキングテープを剥離することができる。
【0035】
上記気体発生剤は特に限定されないが、例えば、アジド化合物、アゾ化合物等が挙げられる。なかでも、耐熱性に優れるアジド化合物が好適である。
上記アジド化合物としては特に限定されず、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド、3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマー(GAP)等のアジド基を有するポリマー等が挙げられる。
【0036】
上記粘着剤層は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
上記光重合開始剤は、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられる。このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物や、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物や、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物や、フォスフィンオキシド誘導体化合物や、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記粘着剤層は、多官能オリゴマー又はモノマーを含有することが好ましい。上記多官能オリゴマー又はモノマーは、上記共重合体に光を照射したときの硬化性を向上させる役割を有する。
上記多官能オリゴマー又はモノマーとしては、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは加熱又は光の照射による粘着剤層の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5,000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。このようなより好ましい多官能オリゴマー又はモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記粘着剤層は、粘着剤としての凝集力の調節を図る目的でイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着剤に配合される各種の多官能性化合物を適宜配合してもよい。また、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を加えることもできる。更に、粘着剤の安定性を高めるために熱安定剤、酸化防止剤を配合してもよい。
【0039】
本発明のマスキングテープを製造する方法は特に限定されず、例えば、上記基材上に上記共重合体を含有する粘着剤をドクターナイフやスピンコーター等を用いて塗工する等の従来公知の方法を用いることができる。
【0040】
本発明のマスキングテープは、上記基材の一方の面に上記共重合体を含有する粘着剤層が形成されていることから、めっき処理温度における粘着力が1N/インチ以上であり、かつ、剥離時の剥離力が0.5N/インチ以下とすることができる。
このような性能を有する本発明のマスキングテープは、常温における粘着力に優れ、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮し、かつ、使用後は容易に剥離することができる。従って、本発明のマスキングテープを用いれば、めっき時にウエハの表面を簡便かつ確実に保護することができるウエハの表面処理方法を提供することができる。
【0041】
片面に回路が形成されたウエハの該回路が形成されていない側にマスキングテープを貼付する工程と、マスキングテープが貼付されたウエハに、電解めっき法又は無電解めっき法によりめっきを施す工程と、めっき後のウエハから、マスキングテープを剥離する工程を有するウエハの表面処理方法であって、上記マスキングテープは、基材と上記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、上記粘着剤層は、めっき処理温度における粘着力が1N/インチ以上であり、かつ、剥離時の剥離力が0.5N/インチ以下であるウエハの表面処理方法もまた、本発明の1つである。
【0042】
本発明のウエハの表面処理方法は、片面に回路が形成されたウエハの該回路が形成されていない側にマスキングテープを貼付する工程を有する。
上記マスキングテープは、基材と上記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、上記粘着剤層は、めっき処理温度における粘着力が1N/インチ以上であり、かつ、剥離時の剥離力が0.5N/インチ以下である。このような性能を有するマスキングテープを用いることにより、80〜100℃の比較的高温のめっき液にウエハを浸漬する工程を有するめっき処理を行った場合にでも、マスキングテープがウエハから剥離することがなく確実にウエハの表面を保護することができ、かつ、めっき処理後には不要となったマスキングテープを容易に剥離することができる。
【0043】
上記マスキングテープのめっき処理温度における粘着力が1N/インチ未満であると、めっき処理時にマスキングテープが剥離してしまい、確実な保護を行うことができない。上記めっき処理温度における粘着力は、1.5N/インチ以上であることが好ましい。
なお、本明細書においてめっき処理温度における粘着力とは、電解めっき法又は無電解めっき法によりめっきを施す工程におけるめっき浴の温度(通常、80〜100℃)と同じ温度において、180°ピール測定法(JIS Z 0237)に準じた方法により測定したSiウエハからの剥離力を意味する。
【0044】
上記マスキングテープの剥離時の剥離力が0.5N/インチを超えると、ウエハからマスキングテープを剥離することが困難だったり、剥離時にウエハを破損してしまったりする。上記剥離時の剥離力は、0.2N/インチ以下であることが好ましい。
なお、本明細書において剥離時の剥離力とは、後述するマスキングテープの粘着力を低下させる刺激を与えた後に、常温(通常、剥離を行う温度、23℃程度)において、180°ピール測定法(JIS Z 0237)に準じた方法により測定したSiウエハからの剥離力を意味する。
【0045】
本発明のウエハの表面処理方法に用いるマスキングテープは、めっき処理温度における粘着力が1N/インチ以上であり、かつ、剥離時の剥離力が0.5N/インチ以下であるものであれば特に限定されないが、具体的には本発明のマスキングテープが好適である。
【0046】
ウエハにマスキングテープを貼付する際には、該ウエハからのマスキングテープのはみ出し部分の幅が2mm以下であるように貼付することが好ましい。はみ出し部分の幅が小さいほど、めっき浴に浸漬した状態で撹拌を行ったときに水流が当たる部分が小さくなり、発生する剥離圧力も小さくなる。
【0047】
本発明のウエハの表面処理方法では、次いで、マスキングテープが貼付されたウエハに、電解めっき法又は無電解めっき法によりめっきを施す工程を行う。上記めっき方法は特に限定されず、従来公知の方法が挙げられる。
通常のめっき方法では、80〜100℃の比較的高温のめっき液にウエハを浸漬することが行われるが、上記マスキングテープのめっき処理温度における粘着力が1N/インチ以上であることから、マスキングテープが剥離することなく、確実な保護を行うことができる。
【0048】
本発明のウエハの表面処理方法では、次いで、めっき後のウエハから、マスキングテープを剥離する工程を行う。上記マスキングテープの剥離時の剥離力が0.5N/インチ以下であることから、ウエハを破損等させることなく、容易に剥離を行うことができる。なお、上記マスキングテープが上記刺激を与えることにより粘着力を低下させる工夫を施した粘着剤からなる粘着剤層を有するものである場合には、剥離に先立って該刺激を与える。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、常温における粘着力に優れ、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮し、かつ、使用後は容易に剥離可能なマスキングテープを提供することができる。本発明によれば、めっき時にウエハの表面を簡便かつ確実に保護することができるウエハの表面処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
(1)粘着剤の調製
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量50万の共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
エチルアクリレート 75重量部
メチルメタクリレート 20重量部
アクリル酸 3重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 2重量部
光重合開始剤 1重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
【0052】
(2)粘着剤層用組成物溶液の調製
得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート0.5重量部を混合し粘着剤層用組成物溶液を調製した。
【0053】
(3)マスキングテープの製造
得られた粘着剤層用組成物溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ75μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのコロナ処理上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、マスキングテープテープを得た。
【0054】
(実施例2)
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量50万の共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
ブチルアクリレート 65重量部
アクリロニトリル 30重量部
アクリル酸 3重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 2重量部
光重合開始剤 1重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
上記光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、グリシジルアジドポリマー(GAP5003、日油社製)を10重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート1.0重量部を混合し、気体発生粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を調製した。
得られた気体発生粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてマスキングテープを得た。
【0055】
(実施例3)
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量50万の共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
エチルアクリレート 77重量部
メチルメタクリレート 19重量部
アクリル酸 2重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 2重量部
光重合開始剤 1重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
得られた気体発生粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてマスキングテープを得た。
【0056】
(実施例4)
実施例3で得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、グリシジルアジドポリマー(GAP5003、日油社製)を10重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)2重量部、ポリイソシアネート1.0重量部を混合し、気体発生粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を調製した。
得られた気体発生粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を用いた以外は実施例3と同様にしてマスキングテープを得た。
【0057】
(実施例5)
実施例3で得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、熱発泡微粒子(アドバンセルEMH403、積水化学工業社製)を10重量部、ポリイソシアネート1.0重量部を混合し、熱発泡型粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を調製した。
得られた熱発泡型粘着剤層用粘着剤の酢酸エチル溶液を用いた以外は実施例3と同様にしてマスキングテープを得た。
【0058】
(比較例1)
リードフレームのめっき保護用として市販されているマスキングテープ(積水化学工業社製、$6364F)を準備した。
【0059】
(比較例2)
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量50万の共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
エチルアクリレート 73重量部
メチルメタクリレート 15重量部
アクリル酸 10重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 2重量部
光重合開始剤 1重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
その後実施例3と同様に粘着剤組成物溶液を調整した後、マスキングテープを製造した。
【0060】
(比較例3)
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量50万の共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
エチルアクリレート 45重量部
2−エチルへキシルアクリレート 45重量部
メチルメタクリレート 6重量部
アクリル酸 2重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 2重量部
光重合開始剤 1重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
その後実施例3と同様に粘着剤組成物溶液を調整した後、マスキングテープを製造した。
【0061】
(評価)
実施例及び比較例で製造したマスキングテープについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
【0062】
(1)初期接着力の評価
実施例及び比較例で得られた粘着テープを25mm×100mmにカットした後、Siウエハに貼り合わせた。23℃×20分放置後、JIS Z 0237に規定された180°ピール測定法に準じた方法により初期接着力を測定した。
【0063】
(2)90℃における接着力の評価
実施例及び比較例で得られた粘着テープを25mm×100mmにカットした後、Siウエハに貼り合わせた。23℃×20分放置後、ウエハにマスキングテープを貼付した状態で90℃に加熱し、その状態でJIS Z 0237に規定された180°ピール測定法に準じた方法により接着力を測定した。
【0064】
(3)めっき浴浸漬試験
実施例及び比較例で得られた粘着テープをカットした後、直径150mmのSiウエハの片面に貼り合わせた後、23℃で20分静置した。その後、90℃に保温した無電解Niめっき溶液(pH5)に60分間浸漬した。浸漬後、ウエハ端部とテープ間を目視にて観察し、めっき液の染み込みの有無を評価した。
めっき処理を行った後、マスキングテープを貼着したウエハを取り出し、常温で1時間乾燥した。乾燥後、実施例、比較例で得られたマスキングテープについては、ウエハにマスキングテープを貼付した状態で、実施例1、2、3、4、比較例2、3で得られたマスキングテープを貼付したものはマスキングテープの基材側から2000mJ/cmの紫外線を照射した。実施例5で得られたマスキングテープについては、ウエハにマスキングテープを貼付した状態で、130℃で5分間加熱した。紫外線照射後に、マスキングテープを剥離し、ウエハの表面を目視にて観察して、糊残りの有無を評価した。比較例1で得られたマスキングテープについては、紫外線照射を行わずに、マスキングテープを剥離し、ウエハの表面を目視にて観察して、糊残りの有無を評価した。
【0065】
【表1】

【0066】
(実験例1)
(1)粘着剤の調製
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量30万の共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
エチルアクリレート 75重量部
メチルメタクリレート 20重量部
アクリル酸 3重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 2重量部
光重合開始剤 1重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
【0067】
(2)粘着剤層用組成物溶液の調製
得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート0.5重量部を混合し粘着剤層用組成物溶液を調製した。
【0068】
(3)マスキングテープの製造
基材として、片面にコロナ処理を施した厚さ38μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が60N)、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が200N)、片面にコロナ処理を施した厚さ75μmの透明なポリプロピレンフィルム(幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が25N)の3種類を準備した。
得られた粘着剤層用組成物溶液を、各基材のコロナ処理上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、マスキングテープテープを得た。
【0069】
(4)評価
得られたマスキングテープを一定の大きさに切断したうえで、離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、直径20cm、厚さ200μmのシリコンウエハの片面に貼着した。このとき、ウエハからのマスキングテープのはみ出し部分の幅が0、0.5、1、2及び5mmとなるようにした。
マスキングテープを貼着したウエハの全体を、80℃のめっき浴中に浸漬し、300rpmの撹拌速度で60分間撹拌した。撹拌終了後にウエハを取り出し、マスキングテープの剥離を確認した。
この実験を各々のマスキングテープ、はみ出し部分の幅について10回行い、マスキングテープの剥離が発生した数を計数した。
結果を表2に示した。
【0070】
【表2】

【0071】
(実験例2)
(1)光硬化型粘着剤の調製
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量50万の共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
エチルアクリレート 75重量部
メチルメタクリレート 20重量部
アクリル酸 3重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 2重量部
光重合開始剤 1重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
【0072】
(2)粘着剤層用組成物溶液の調製
得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート0.5重量部を混合し粘着剤層用組成物溶液を調製した。
【0073】
(3)マスキングテープの製造
基材として、厚さ50μmの高延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポン社製、テイジンテトロンフィルムSL)の片面にコロナ処理を施したものを準備した。この高延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムについて、JIS K 7126に準じた方法により酸素透過率を測定したところ、7.0cc/m/hr/atmであった。
上記高延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、得られた粘着剤層用組成物溶液を乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、マスキングテープを得た。
基材として、「厚さ12μmのシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、テックバリアVX、酸素透過率は0.3cc/m/hr/atm)の片面にコロナ処理を施した基材」、「厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(日立エーアイシー社製、ヒタパックスVM−PET、酸素透過率は0.1cc/m/hr/atm)」、「厚さ50μmのポリエチレンフィルムと厚さ12μmの高延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層ラミネートした基材(酸素透過率は9.0cc/m/hr/atm)の片面にコロナ処理をした基材」、「厚さ50μmのアルミ蒸着されたポリエチレンフィルム(酸素透過率は0.2cc/m/hr/atm)の片面にコロナ処理をした基材」、「厚さ50μmの無延伸ポリエチレンテレフタレート(東レフィルム加工社製、トヨフロン、酸素透過率は15.0cc/m/hr/atm)の片面にコロナ処理をした基材」、「厚さ75μmのポリエチレンフィルム(酸素透過率は250cc/m/hr/atm)の片面にコロナ処理をした基材」を用いた以外は同様の方法により、マスキングテープを得た。
【0074】
(評価)
得られたマスキングテープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表3に示した。
【0075】
(1)塩素イオンの付着量の評価
厚さ200μm、直径150mmのSiウエハの片面に、実施例及び比較例で製造したマスキングテープを貼り合わせた後、23℃で20分間静置した。その後、ウエハの外周に沿って、マスキングテープを切断した。
マスキングテープにより保護されたウエハのめっきを施す面に80℃の無電解Niめっき溶液(ph5)に60分間浸漬した後、マスキングテープの基材側から2000mJ/cmの紫外線を照射して、マスキングテープを剥離した。
【0076】
マスキングテープ剥離後のウエハの表面の塩素イオンの付着量を、X線光電子分析装置(パーキン・エルマー社製、PHI15400MC)を用いて測定した。塩素イオンの付着量が1×1011atm/cm未満(装置の測定限界以下)であった場合を「○」、1×1011atm/cm以上であった場合を「×」と評価した。
【0077】
(2)めっき液の染み込みの評価
厚さ200μm、直径150mmのSiウエハの片面に、実施例及び比較例で製造したマスキングテープを貼り合わせた後、23℃で20分間静置した。その後、ウエハの外周に沿って、マスキングテープを切断した。
マスキングテープにより保護されたウエハのめっきを施す面に80℃の無電解Niめっき溶液(ph5)に10時間浸漬した。浸漬後、ウエハ端部とテープ間を目視にて観察し、めっき液の染み込みが認められなかった場合を「○」、認められた場合を「×」と評価した。
【0078】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、常温における粘着力に優れ、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮し、かつ、使用後は容易に剥離可能なマスキングテープを提供することができる。
本発明によれば、めっき時にウエハの表面を簡便かつ確実に保護することができるウエハの表面処理方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と前記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、80〜100℃の高温水中でも高い粘着力を発揮するマスキングテープであって、
前記基材は、幅10mm、長さ15cmのサンプルを、80℃、チャッキング距離10cmの条件下で引張り試験機にて引張り試験を行ったときに、伸張率20%時の引張り強度が60N以下である
ことを特徴とするマスキングテープ。
【請求項2】
無電解めっき法又は電解めっき法によるめっきの際に非めっき面を保護するためのマスキングテープであって、
基材と前記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、
前記基材は、JIS K 7126に準じた方法により測定した酸素透過率が9cc/m/hr/atm以下である
ことを特徴とするマスキングテープ。
【請求項3】
片面に回路が形成されたウエハの該回路が形成されていない側にマスキングテープを貼付する工程と、マスキングテープが貼付されたウエハに、電解めっき法又は無電解めっき法によりめっきを施す工程と、めっき後のウエハから、マスキングテープを剥離する工程を有するウエハの表面処理方法であって、
前記マスキングテープは、基材と前記基材の一方の面に形成された粘着剤層とからなり、前記粘着剤層は、めっき処理温度における粘着力が1N/インチ以上であり、かつ、剥離時の剥離力が0.5N/インチ以下である
ことを特徴とするウエハの表面処理方法。
【請求項4】
マスキングテープは、請求項1又は2記載のマスキングテープであることを特徴とする請求項3記載のウエハの表面処理方法。
【請求項5】
片面に回路が形成されたウエハの該回路が形成されていない側にマスキングテープを貼付する工程において、前記ウエハからのマスキングテープのはみ出し部分の幅を2mm以下とすることを特徴とする請求項3又は4記載のウエハの表面処理方法。

【公開番号】特開2011−26603(P2011−26603A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175699(P2010−175699)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【分割の表示】特願2010−510603(P2010−510603)の分割
【原出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】