説明

マスキング材取り外し方法および該方法に使用する標示冶具

【課題】
本発明は、被処理面にマスキング材を被着して表面処理を施工する際、表面処理の施工に影響を与えることなく、マスキング位置を標示させて、マスキング材の取り外し忘れを防止するマスキング材の取り外し方法およびこの方法に使用する標示冶具を得ることを目的とする。
【解決手段】
被処理面に表面処理を施したとき、弾性力により表面処理剤の上面より突出する長さのポールを備えた標示冶具を、マスキング材を施した被処理面に被着して表面処理を行い、表面処理施工後にポールの位置を目印にしてマスキング材を取り外すようにした。
弾性材で形成され、被処理面に表面処理を施したとき、弾性力により表面処理剤の上面より突出するポールと、該ポールを固定する基盤とから構成される標示冶具を得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面や壁面などの表面処理において使用されるマスキング材の取り外し方法および該取り外し方法に使用する標示冶具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、床面や壁面などに表面処理を施す際、被処理面に処理を施す要がない個所があるときには、この個所にマスキング材を被着して全体的に表面処理を行い、表面処理が終わった段階でマスキング材を取り外している(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ビルの壁面塗装や船舶上甲板のノンスキッド施工など広範囲の表面処理を行うとき、マスキング材を被着した個所は作業員の記憶によっていたので、マスキング材を取り外し忘れることがあった。
【0003】
このようにマスキング材の取り外し忘れがあると、例えば、船舶の上甲板に航空機や車両を搭載して、これを上甲板上に固縛するような場合、固縛用のロープを締結するための窪みの上面に施したマスキング材が取り外し忘れられていると、固縛ができないと云う不都合があった。また、取り外し忘れたマスキング材やその上のノンスキッド剤の破片が剥がれて、車両や航空機のエンジンの吸気孔に入ったりすると事故に繋がる恐れがあった。同様にビル壁面や建物の屋根などに、例えば、太陽光発電装置や太陽熱利用装置などを設置する際に、装着ができないと云う不都合があった。
【0004】
【特許文献1】特開平3−8473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のごとき問題点を解決するもので、被処理面にマスキング材を被着して表面処理を施工する際、表面処理の施工に影響を与えることなく、マスキング位置を標示させて、マスキング材の取り外し忘れを防止するマスキング材の取り外し方法およびこの方法に使用する標示冶具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
被処理面に表面処理を施したとき、弾性力により表面処理剤の上面より突出する長さのポールと該ポールを固定する基盤を備えた標示冶具をマスキング材を施した被処理面に被着して表面処理を行い、表面処理施工後にポールの位置を目印にしてマスキング材を取り外すようにした。
また、マスキング材に細孔を設け、該細孔に標示冶具のポールを挿入して標示冶具とマスキング材を一体化するようにした。標示冶具の基盤裏面に粘着性を持たせ、標示冶具をマスキング材の表面に粘着させて標示冶具とマスキング材とを一体化するようにした。
【0007】
被処理面にマスキング材を被着して表面処理を行い表面処理施工後にマスキング位置を確認可能とする標示冶具を、弾性材料で形成され、被処理面に表面処理を施したとき、弾性力により表面処理剤の上面より突出するポールと、該ポールを固定する基盤とで構成した。また、前記標示冶具の基盤裏面に粘着性を持たせた。
【発明の効果】
【0008】
被処理面に表面処理を施したとき、弾性力により表面処理剤の上面より突出する長さのポールを備えた標示冶具をマスキング材と一体化し、該標示冶具を一体化したマスキング材を被処理面に被着するようにしたので、表面処理施工後に、ポールは弾性力によって、表面処理剤の上面より突出する。このポールの位置を目印にしてマスキング材を取り外すようにすれば、マスキング材の取り外し忘れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図示した本発明の最良の形態について、航空機を艦載する船舶を例にとって説明する。図1は本発明のマスキング材の取り外し方法に使用する標示冶具の全体図、図2はマスキング材の被着、取り外しの状況を示す説明図である。
【0010】
船舶の上甲板1には、全面的にノンスキッド剤が表面施工される。航空機が艦載される船舶では、航空機を固縛する固縛ロープを締結するために、上甲板1上面には、ロープを固縛するバー材3を備えた多数の窪み2が形成されている。この窪み2にマスキング材4をあてがってノンスキッド剤が施工される。図2の(A)は窪み2にマスキング材4を当てがった状態を示している。
【0011】
この例において、マスキング材4にはその中央に細孔が設けられており、該細孔に通して標示冶具5が装着されている。
標示冶具5は基盤6と、該基盤6に固定されるポール7とから構成されており、ポール7はゴムや合成樹脂など、ノンスキッド剤8を施工したとき、該ノンスキッド剤8を突き抜けて、起立できるだけの弾性力を有する材料で形成されている。
【0012】
また、このポール7はノンスキッド剤8を施工したとき、ノンスキッド剤8の上面より突出する長さとなっている。例えば、ノンスキッド剤8の施工厚さによるが、その上面から30〜40mm程度は突出する長さとする。なお、基盤6の厚さは2mm、マスキング材4の厚さは2mm程度である。
【0013】
ノンスキッド剤8は滑り止め物質を含んだ塗料であって、広範囲な上甲板1の面に自動塗装装置によって敷かれるが、このときポール7は自動塗装装置の進行により一旦変形され倒伏するが、弾性力によって、敷かれたノンスキッド剤8を突き抜けて、その上面より突出し起立状態に戻る。図2(B)はノンスキッド剤8を施工した状態を示している。
【0014】
ノンスキッド剤8の施工が完了し、ノンスキッド剤8が乾燥したあと、マスキング材4を取り外すが、このときマスキング材4を被着した個所をポール7が標示しているので、このポール7を目印にしてマスキング材4を取り外すことになる。図2の(C)はマスキング材4の取り外し状態を示している。
【0015】
なお、ポール7はノンスキッド剤8と対比して、色彩の目立つものを使用するのが効果的である。また、標示冶具5のポール7と基盤6とは一体に形成してもよい。
ポール7をマスキング材4の細孔に挿入して標示冶具5を保持するが、窪み2のロープを固縛するバー材3は、平面的に十字状や人手状の形状をしているので、その中央部に標示冶具5を配置すれば、標示冶具5が抜け落ちることはないない、
【0016】
また、マスキング材4に細孔を設け、該細孔にポール7を挿入して標示冶具5をマスキング材4と一体化させる手段の他に、粘着剤や両面テープなどを用いて基盤6に粘着性を持たせ、マスキング材4の表面に粘着させて標示冶具5をマスキング材4と一体化するようにしてもよい。
【0017】
本発明の構成は以上の通りである。したがって、マスキング材4を取り外す際には、マスキング材4を被着した個所を標示するポール7を目印にしてマスキング材4を取り外せばよいので、マスキング材4を取り外し忘れることが防止できる。
また、弾性材で形成したポール7は、ノンスキッド剤8の施工に際し、塗装装置の進行により一旦変形され倒伏するが、施工後は、その弾性力によりノンスキッド剤8の上面より突出し、起立状態に戻るものであり、このような標示冶具5を使用するので、ノンスキッド剤8の施工に何ら影響を与えず、確実にマスキング材4の被着個所が標示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のマスキング材の取り外し方法に使用する標示冶具の全体図。
【図2】マスキング材の被着、取り外しの状況を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 上甲板 2 固縛窪み
3 ロープ締結リング 4 マスキング材
5 標示冶具 6 基盤
7 ポール 8 ノンスキッド剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理面に表面処理を施したとき、弾性力により表面処理剤の上面より突出する長さのポールと該ポールを固定する基盤を備えた標示冶具を、マスキング材を施した被処理面に被着して表面処理を行い、表面処理施工後にポールの位置を目印にしてマスキング材を取り外すようにしたことを特徴とするマスキング材の取り外し方法。
【請求項2】
マスキング材に細孔を設け、該細孔に標示冶具のポールを挿入して標示冶具とマスキング材を一体化するようにしたことを特徴とする請求項1記載のマスキング材の取り外し方法。
【請求項3】
被処理面にマスキング材を被着して表面処理を行い、表面処理施工後にマスキング位置を確認可能とする標示冶具を、弾性材料で形成され、被処理面に表面処理を施したとき、弾性力により表面処理剤の上面より突出するポールと、該ポールを固定する基盤とで構成したことを特徴とする標示冶具。
【請求項4】
標示冶具の基盤裏面に粘着性を持たせたことを特徴とする請求項3記載の標示冶具。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−297302(P2006−297302A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123734(P2005−123734)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(503218067)住友重機械マリンエンジニアリング株式会社 (55)
【Fターム(参考)】