説明

マスキング材連結体およびフェンダ下面の処理方法

【課題】 本発明は、塗装時の表面処理の際、マスキング材の保護対象個所への被着または挿着および脱着を容易に行うことを課題とする。
【解決手段】 発泡倍率5〜100倍のプラスチック発泡体からなるマスキング材3の複数個を縦および/または横に連結したマスキング材連結体1を提供する。
このようなマスキング材連結体1から逐次マスキング材3を折り取り、移送し、保護対象個所へ被着または挿着および脱着する作業は、ロボット8によって行うことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば自動車のフェンダ下面に樹脂液を形成する場合に使用されるマスキング材の連結体およびフェンダ下面の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車のフェンダ下面に樹脂製のフェンダカバーが取付けられていた(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−228285号公報
【特許文献2】特開平5−35279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、該フェンダカバーは樹脂板をホットプレスして製造され、またフェンダに取付けるためにはクリップ等の締結具が必要であり、またフェンダカバーは硬質であるから、自動車走行時に跳ね上げられる石や土砂が衝突して騒音が発生したり、破れや亀裂が発生すると云う不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、発泡倍率5〜100倍のプラスチック発泡体からなるマスキング材3の複数個を縦および/または横に連結したマスキング材連結体1を提供するものである。
該マスキング材3の厚みは7mm以上に設定されていることが望ましく、更に該連結部分2の断面積は10〜150mm2 に設定されていることが望ましい。また該マスキング材3の材料であるプラスチック発泡体はポリスチレン発泡体であることが望ましい。また更に該マスキング材の片面には粘着層4が設けられていることが望ましい。そして該マスキング材3の折り取りと保護対象個所への該マスキング材3の移送および被着または挿着および脱着とは、ロボット8によって行われる。
本発明にあっては、更に自動車フェンダ6下面に樹脂液10を吹付けて軟質な保護樹脂膜を形成するに際し、前記マスキング材連結体1からロボット8によって逐次マスキング材3を折り取り、該フェンダ6下面の各穴部7に該マスキング材3を移送し、該粘着層4を介して該マスキング材3を各穴部7に被着した上で該樹脂液10を塗布するフェンダ6下面の処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
本発明のマスキング材連結体1は、連結部2から逐次マスキング材3を折り取り、対象とするマスキング個所に被着する。該マスキング個所が穴部7であれば、該マスキング材3の径を該穴部7の径と略等しく設定して該穴部に密嵌するか、あるいは該マスキング材3の径を該穴部7の径より若干大きく設定して粘着層4によって該穴部7に被着する。該マスキング材の厚みが7mm以上に設定され、かつ該連結部分の断面積は10〜150mm2 に設定されていると、該マスキング材3の折り取りと各穴部7への被着および脱着とをロボットによって行うことが容易となる。
【0007】
自動車フェンダ6下面処理の場合には、該フェンダ6の各穴部7に該マスキング材3を密嵌するか、あるいは被着した上で樹脂液を吹付け、軟質な保護樹脂膜を形成する。
該軟質な保護樹脂膜は自動車走行時に跳ね上げられる石や土砂が衝突した場合、衝撃を効率良く吸収し、騒音の発生を軽減し、かつ樹脂膜に破れや亀裂が生じにくい。
【0008】
〔効果〕
本発明のマスキング材は、連結体から容易に千切ることが出来、ロボットが使用出来るから、例えば自動車フェンダ下面の処理に使用して有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施例を図1〜図4に示す一実施例によって以下に説明する。
図1に示すマスキング材連結体1は連結部2を介して縦横(3×5)に連結した複数個の平面形状円形マスキング材3からなる。
【0010】
該マスキング材3の厚みは7mm以上(例えば10mm)、望ましくは15mm以下の範囲に設定され、該連結部2の断面積は10〜150mm2 (例えば100mm2 )の範囲に設定されており、本実施例では折り易くするために該連結部2の中央両面にはV溝2Aが形成されている。
該V溝2Aを設けた場合には、該連結部2の断面積とはV字を設けた部分の断面積を云う。そして該V溝2Aの深さは1〜5mmに設定することが望ましい。
該連結部2の断面積が10mm2 以下では、不測の外力により連結部2が折れ易くなり、150mm2 以上では該連結部2から折り取りにくゝなる。また該V溝2Aの深さが5mm以上では不測の外力により連結部2が折れ易くなり、1mm以下では該V溝2Aに沿って折りにくゝなる。
この範囲で該マスキング材3はロボットによって掴んで連結部2から折り取り保護対象個所へ移送することが容易になる。
【0011】
各マスキング材3の裏面には、図2に示すように粘着層4が設けられ、該粘着層4表面には該マスキング材連結体1裏面全面にわたって、離型シート5が被着されている。該離型シート5としてはポリエチレンシート、ポリプロピレンシート等のポリオレフィンシート、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、パラフイン系離型剤等の離型剤を紙の表面に塗布した離型紙等が使用される。
【0012】
該マスキング材3はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の発泡体を材料とするが、硬質でロボットで折り取り易いポリスチレンが最も望ましいプラスチック発泡体である。
【0013】
該マスキング材3を使用する場合には、先ず該マスキング材連結体1から離型シート5を剥離し、該連結体1から逐次マスキング材3を折り取り、保護対象個所に被着する。
例えば保護対象個所から図3に示す自動車フェンダ6に設けられている穴7である場合、該マスキング材3はロボット8によって逐次連結体1から折り取られ、塗装現場まで移送され、図4に示すように粘着層4を介して各穴7に被着される。なお、該マスキング材3の径はフェンダ6の穴7の径よりも若干大きく設定されている。
【0014】
このように各穴7にマスキング材3を被着した上でスプレーガン9から樹脂液10をフェンダ6下面にスプレー塗布する。
【0015】
該樹脂液10としては、例えばポリ塩化ビニルペーストレジンのような粉末樹脂を可塑剤に分散させたプラスチゾル、アクリル樹脂エマルジョン、スチレン系エラストマーエマルジョン、合成ゴムラテックス等の水性樹脂エマルジョン、アクリル樹脂有機溶剤溶液、スチレン系エラストマー有機溶剤溶液、合成ゴム有機溶剤溶液等の樹脂溶液、上記樹脂の液状プレポリマー等が使用される。該樹脂は軟質であることが望ましく、軟質樹脂膜は、自動車走行時に跳ね上げられる石や土砂の衝突時の衝撃を有効に吸収する。
【0016】
上記実施例以外、図5に示すマスキング材連結体11にあっては、マスキング材3相互は連結部を介することなく、直接連結している。また該マスキング材3は粘着層を介することなく、直接穴に挿着されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のマスキング材は、ロボットで折り取り、移送し、保護対象個所に被着または挿着、脱着されるので、大量連続生産工程に有用に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1〜図4は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】マスキング材連結体平面図
【図2】マスキング材連結体側面図
【図3】フェンダ下面処理説明図(マスキング材被着前)
【図4】フェンダ下面処理説明図(マスキング材被着後)
【図5】他の実施例のマスキング材連結体平面図
【符号の説明】
【0019】
1,11 マスキング材連結体
2 連結部
3 マスキング材
4 粘着層
6 自動車フェンダ
7 穴(穴部)(保護対象個所)
8 ロボット
9 スプレーガン
10 樹脂液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡倍率5〜100倍のプラスチック発泡体からなるマスキング材の複数個を縦および/または横に連結したことを特徴とするマスキング材連結体。
【請求項2】
該マスキング材の厚みは7mm以上に設定されている請求項1に記載のマスキング材連結体。
【請求項3】
該連結部分の断面積は10〜150mm2 に設定されている請求項1または2に記載のマスキング材連結体。
【請求項4】
該マスキング材の材料であるプラスチック発泡体はポリスチレン発泡体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のマスキング材連結体。
【請求項5】
該マスキング材の片面には粘着層が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のマスキング材連結体。
【請求項6】
該マスキング材の折り取りと保護対象個所への該マスキング材の移送および被着または挿着および脱着とは、ロボットによって行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載のマスキング材連結体。
【請求項7】
自動車フェンダ下面に樹脂液を吹付けて軟質な保護樹脂膜を形成するに際し、請求項5に記載のマスキング材連結体からロボットによって逐次マスキング材を折り取り、該フェンダ下面の各穴部に該マスキング材を移送し、該粘着層を介して該マスキング材を各穴部に被着した上で該樹脂液を塗布することを特徴とするフェンダ下面の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−330850(P2007−330850A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162636(P2006−162636)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)
【Fターム(参考)】