説明

マスキング材

【課題】 本発明の課題は、被塗物の所定個所に塗装が施されないようにするために使用されるマスキング材をマスキング個所に取付け取りはずしする際、該マスキング個所の周りの塗膜に傷付きが発生しないようにすることにある。
【解決手段】 マスキング材11の材料として、25℃、50%RHにおいて平衡含水率が1質量%以上であるポリアミドまたはポリアミドと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイを選択する。このようなポリアミドまたはポリアミドと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイは、耐熱性、成形性が良好で、かつ水によって可塑化されているから該マスキング材を取付け取りはずしの際、該マスキング個所の周りの塗膜に傷付きが発生しにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗装の際に被塗物の所定位置に該塗装が及ぼされないように、該所定位置を保護するために用いられるマスキング材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗装に際しては被塗物に存在する塗装が施されるべきではない個所(マスキング個所)にマスキング材が取付けられる。該マスキング材は塗装後加熱処理によって塗膜が乾燥硬化して流動性を消失した後で取はずされる。したがってマスキング材はこのような塗装工程における加熱処理に耐えるものでなければならない。
【0003】
このようなマスキング材としては従来、無機充填材を混合したポリプロピレン等のポリオレフィンを材料とするものが提供されている(例えば特許文献1参照)。
上記ポリオレフィンは耐溶剤性に富み、また無機充填材を混合することによって該ポリオレフィンが機械的に補強され、更に熱伝導率が高くなって耐熱性が向上するので、上記マスキング材は塗装工程において繰返し使用することが可能である。
【0004】
しかしながら上記従来のマスキング材にあっては、無機充填材を熱可塑性プラスチックに混合しても耐熱性は高々100℃程度であり、それ以上の温度での加熱処理を要求される塗装工程の場合では、マスキング材が変形してしまい繰返し使用が出来なくなると云う問題点があった。
【0005】
このような問題点を解決するための手段として、エンジニアリングプラスチックを材料とするマスキング材が提供された(例えば特許文献2参照)。
エンジニアリングプラスチックを材料とするマスキング材は150℃以上の高温加熱処理にも耐え、このような高温加熱処理を含む塗装工程においても繰返し使用が可能である。
【0006】
【特許文献1】特開平2−126966号
【特許文献2】特開平5−261323号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記エンジニアリングプラスチックは軟化点が高く溶融物の流動性も悪いので成形性に劣ること、硬度が高いので、上記エンジニアリングプラスチックを材料とするマスキング材を被塗物のマスキング個所に取付け取りはずす際、該マスキング個所の周りの塗膜を傷付けるおそれがあること、塗膜との密着性に乏しくマスキング材表面に形成された塗膜が剥離して飛散し、周囲に付着して汚染すると云う問題点があった。またエンジニアリングプラスチックは高価でもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、ポリアミドまたはポリアミドと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイを材料とし、所定形状に成形されており、25℃、50%RHにおいて平衡含水率が1質量%以上であるマスキング材を提供するものである。通常該マスキング材はポリアミドまたはポリアミドと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイのシートを真空および/または圧空成形することによって所定形状に成形されており、上記ポリマーアロイ中ポリアミドは20質量%以上含有されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
〔作用〕
本発明のマスキング材の材料であるポリアミドまたはポリアミドと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイ、特にポリアミドを20質量%以上含有するポリマーアロイは25℃、50%RH(通常状態)において平衡水分含有量が1質量%以上であり、水分によって可塑化されている。したがって上記マスキング材は可撓性を有し、マスキング材の取付け取りはずしの際、マスキング個所の周りの塗膜を傷付けるおそれがない。更に上記ポリアミドまたはポリマーアロイは160℃以上の耐熱性を有し、かつ成形時に及ぼされる引張り応力によって容易に延伸されるので、深絞り形状にも容易に成形され、また塗膜との密着性が良好である。
【0010】
〔効果〕
耐熱性に優れ、マスキング材の取付け取りはずしの際、マスキング個所の周りの塗膜を傷付けるおそれがなく、成形性、特に深絞り形状や複雑形状が正確に得られ、大量生産にも適した真空成形や真空圧空成形あるいは圧空成形における成形性が良好で被マスキング個所のどのような形状にも対応して成形が出来、更にマスキング材に形成された塗膜の密着性が良好で、該塗膜が剥離して周囲に飛散することのないマスキング材が得られる。したがって本発明のマスキング材は繰返し使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のマスキング材はポリアミドまたはポリアミドと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイを材料とする。
上記ポリアミドとしては例えばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66等が包含される。また上記ポリアミドとポリマーアロイを形成する他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル(PE)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミノビスマレイミド、メチルペンテンコポリマー(TPX)、セルロースアセテート(CA)等が包含される。
上記熱可塑性樹脂は二種以上混合されてもよい。
【0012】
上記ポリアミドまたはポリマーアロイは、25℃、50%RH(通常状態)において平衡含水率が1質量%以上になるように設定する。そのためには、上記ポリマーアロイ中にポリアミドが20質量%以上含有されていることが望ましい。
【0013】
上記ポリアミドまたはポリマーアロイには、所望ならば、更に例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、カーボン繊維、ケイ酸カルシウム、ベンナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材、木綿、麻、竹繊維、ヤシ繊維、羊毛、絹等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ビニロン繊維、アセテート繊維等の有機合成繊維、アスベスト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー等の無機繊維、リンター、リネン、サイザル、木粉、ヤシ粉、クルミ粉、でん粉、小麦粉等の有機充填材等、また更に顔料や染料、DOP,DBP等の可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、化学発泡剤またはカプセル型発泡剤のような発泡剤等を添加してもよい。これらの成分は一種または二種以上相互に混合して添加せられてもよい。上記充填材の場合には成形性や機械的強度を損なわないよう、添加量は40質量%以下とする。
【0014】
本発明のマスキング材を製造するには通常上記ポリアミドまたはポリマーアロイのシートを使用して、真空成形あるいは真空圧空成形を行ない所定形状に成形する方法が深絞り形状や複雑形状が正確に成形出来、また大量生産にもっとも適した方法ではあるが、それ以外に、圧空成形、プレス成形、ブロー成形、射出成形等が適用されてもよい。
【0015】
〔第1実施例〕
図1〜図4に本発明の第1実施例が示される。本実施例のマスキング材11は例えば自動車のセンターピラー12のような柱状体のマスキングに使用される。そして該マスキング材11は内側にセンターピラー12の本体12Aの嵌合部11Bを形成した断面コの字型の本体11Aと、該本体11Aの両側壁11C,11Cの下縁に沿って形成された該センターピラー12のフランジ12B,12Bを嵌合するフランジ嵌合部11D,11Dと、該フランジ嵌合部11D,11Dから延設された裏当て部11E,11Eと、上部に延設された上当て部11Fとからなり、本体11Aのには長手方向の補強縦リブ11Gと短手方向の補強横リブ11Hとが形成されている。該マスキング材11はポリアミド6のシート(厚み0.4mm)を真空成形することによって製造される。
【0016】
上記マスキング材11は図2に示すようにセンターピラー12の本体12Aを該マスキング材11の嵌合部11Bに嵌合し、更に該センターピラー12側縁のフランジ12Bを該マスキング材11のフランジ嵌合部11D,11Dに嵌合して仮止めを行なう。
上記仮止めの後、図3に示すように該マスキング材11の裏当て部11E,11Eを折返してセンターピラー12の裏当て12Cに当て、該裏当て部11E,11Eを粘着テープ14やタッカー等で固定する。
このようにして上記マスキング材11を図4に示すようにセンターピラー12に取付けた後、熱硬化性メラミン−アルキド樹脂塗料等によってマスキング材11と共に塗装する。
【0017】
〔第2実施例〕
図5には本発明の第2実施例が示される。本実施例のマスキング材21は内側にセンターピラー22の本体22Aの嵌合部21Bを形成した断面コの字型の本体21Aと、該本体21Aの両側壁21C,21Cの下縁に沿って形成された該センターピラー22のフランジ22B,22Bを嵌合するフランジ嵌合部21D,21Dと、該フランジ嵌合部21D,21Dから延設された裏当て部21E,21Eと、上部に延設された上当て部21Fとからなり、本体21Aの周囲には長手方向の補強リブ21Gと短手方向のリブ21Hとが形成されているが、第1実施例の場合と異なり本実施例では、長手方向の補強リブ21Gが断続されている。該マスキング材21はポリアミド11のシート(厚み0.3mm)を真空圧空成形することによって製造される。
【0018】
上記マスキング材21は第1実施例のマスキング材11と同様にしてピラー22の本体22Aを該マスキング材21の嵌合部21Bに嵌合し、更に該センターピラー22側縁のフランジ22Bを該マスキング材21のフランジ嵌合部21D,21Dに嵌合して仮止めを行ない、該マスキング材21の裏当て部21E,21Eを折返してピラー22の裏当てに当て、該裏当て部21E,21Eを粘着テープやタッカー等で止着する。
このようにして塗料等によってマスキング材21と共に塗装する。
第1実施例のマスキング材11は長手方向の補強リブ11Gが連続しているから、該補強リブ11Gに沿って折り曲がり易かったが、本実施例のマスキング材21は長手方向の補強リブ21Gが断続しているから、リブ21Gに沿っての折り曲げ剛性が向上する。
【0019】
〔第3実施例〕
図6〜図8に本発明の第3実施例を示す。図6において33は自動車の車体であり、塗装に際してはフロントバンパー34の下側スカート部35の空気取入れ口36に本実施例のマスキング材31が取付けられる。該スカート部35の空気取入れ口36の内側には縦横の補強桟36A,36Bと左右一対の支柱36Cとが設けられており、該マスキング材31には該補強桟36A,36Bおよび支柱36Cを嵌合するための縦横の嵌合溝32A,32Bおよび嵌合溝32Cが形成されており、前面周縁にはフランジ32Dが形成されており、更に周面には粘着層32Eが形成されている。該マスキング材31はポリアミド46:ポリプロピレン(60:40質量比)ポリマーアロイのシート(厚み0.2mm)を真空成形することによって製造される。
【0020】
該マスキング材31は該空気取入れ口36の内側に嵌着され、該空気取入れ口36の補強桟36A,36Bはマスキング材31の嵌合溝32A,32Bに嵌合され、支柱36Cは嵌合溝32Cに嵌合される。そして該マスキング材31は粘着層32Eによって該空気取入れ口36の内側に固定される。なお粘着層32Eは必ずしも形成されなくてもよい。
このようにしてマスキング個所であるスカート部35の空気取入れ口36にマスキング材31を取付けた上で車体33を塗装し、該塗装後熱処理によって塗膜を乾燥硬化させる。
【0021】
〔第4実施例〕
図9〜図12に本発明の第4実施例を示す。本実施例のマスキング材41は自動車のドア44の窓枠44Aのマスキングに使用され、該マスキング材41は断面L字形の3個の部材41A,41B,41Cからなり、各部材41A,41B,41Cには長手方向の補強用縦リブ41Dと短手方向の補強用横リブ41Eが形成されている。該マスキング材41はポリアミド6:PPE(40:60質量比)ポリマーアロイのシート(厚み0.5mm)を真空圧空成形することによって製造される。
【0022】
該マスキング材41をドア44の窓枠44Aに取付けるには、図10に示すように該マスキング材41の各部材41A,41B,41Cを該窓枠44Aに当接すると共に各部材41A,41B,41Cの接続部相互を重ね合わせて例えば粘着テープ42等で該接続部分を上から固定する。
この場合、図11に示すように各部材41A,41B,41C相互の接続部分において、一方の接続端の横リブ41Eを他方の接続端の横リブ41Eの下側に嵌合し、また図12に示すように各部材41A,41B,41Cの上縁鉤部41Fを該窓枠44Aの上縁に引掛ける。
塗装後は該マスキング材41をドア44の窓枠44Aから剥離する。該ドア44の窓枠44Aはマスキング材41によって保護されていたので塗膜は形成されない。
【0023】
〔第5実施例〕
本発明を図13〜図17に本発明の第5実施例を示す。52は自動車のインストルーメントパネルであって、前面にはグローブボックス取付け穴55、オーディオ取付け穴56,57、計器類取付部58、小物入れ取付部59等が設けられており、該インストルーメントパネル52は上部52Aと下部52Bとに分割されている。
【0024】
該インストルーメントパネル52は、図14に示すように基材54と、該基材54表面に貼着される表装材53とからなり、該表装材53は不織布、合成皮革等からなる表皮材53Aと、該表皮材53Aに裏打ちされている不織布、プラスチック発泡体シート等からなるワディング材53Bとからなり、該表皮材53Aは所定の色(基色)に着色されており、該ワディング材53Bの厚みを弾性的に変化させることが可能である。
【0025】
上部52Aと下部52Bとの境界に沿って基材54には凹溝54Aが設けられており、表装材53はこの部分で該凹溝54A内にきめ込むことによってパーティングラインPLが形成されている。該表装材53はきめ込み部分でワディング材53Bが厚みを圧縮され、その弾性復元力によって凹溝54A内に固定されている。
【0026】
上記インストルーメントパネル52は上下共通の表装材53によって化粧されているから上下同色(基色)である。これをこのまゝ自動車車体に取付けてもよいが、上下異色にするには図13に示すようなマスキング材51を使用する。該マスキング材51はインストルーメントパネル52上部52Aに適嵌する形状を有し、端縁部には係合フランジ51Aが形成されている。
【0027】
該マスキング材51は図15に示すように該インストルーメントパネル上部52Aに被着され、図16に示すように係合フランジ51AをパーティングラインPLの隙間Sに挿着することによって固定される。該マスキング材51の係合フランジ51AをパーティングラインPLの隙間Sに挿着すると、該表装材53のワディング材53Bが厚みを圧縮され、その弾性復元力によって該係合フランジ51Aが表装材53によって挾圧され固定される。
【0028】
マスキング材51をインストルーメントパネル上部52Aに取付けた上で、インストルーメントパネル下部52Bをスプレー塗装等で上部52Aとは異色に塗装する。塗装後はマスキング材51を取りはずす。
このようにして図17に示すような上下異色のインストルーメントパネル52が簡単に得られる。
【0029】
本実施例のマスキング材51はポリアミド66:ポリスチレン:PPE(40:10:50質量比)のポリマーアロイシート(厚み0.4mm)を真空成形することによって製造される。
【0030】
〔第1比較例〕
ポリアミド66:PS:PPE=15:20:65質量比のポリマーアロイによって、第1実施例と同様なマスキング材を製造した。
【0031】
〔第2比較例〕
PPE:ポリスチレン80:20質量比のポリマーアロイによって、第2実施例と同様なマスキング材を製造した。
【0032】
〔試験〕
1.平衡含水率の測定
第1実施例のマスキング材(試料No.1)、第2実施例のマスキング材(試料No.2)、第3実施例のマスキング材(試料No.3)、第4実施例のマスキング材(試料No.4)、第5実施例のマスキング材(試料No.5)、第1比較例のマスキング材(比較試料No.1)、第2比較例のマスキング材(比較試料No.2)を製造後1日放置してから120±3℃で8時間加熱処理後重量(A)を測定する。次に25±1℃、50%RHの雰囲気に24時間放置後の重量(B)との差から含水率を測定する。測定結果は表1に示される。
【0033】
【表1】

【0034】
2.傷付き試験
第1実施例、第2実施例、第3実施例、第4実施例、第5実施例および第1比較例、第2比較例で用いた各々の材料を使用し、第3実施例におけるマスキング材31の形状に真空成形し製造した。製造後、各々の該マスキング材を1日放置してから120±3℃で8時間加熱処理後重量を測定する。次に7日間室内で放置した後、重量を測定して含水率を測定し、その後第3実施例、図6に示すような塗装済みのフロントバンパーに取付け、取りはずしの操作を10回繰返し被塗物におけるマスキング個所の周りの傷の発生の有無を調べた。結果は表2に示される。
【0035】
【表2】

【0036】
表2に示されるように含水率が1質量%以下の比較試料No.1、No.2はフロントバンパーに取付け、取りはずしの操作を2〜3回行なった時点で、マスキング個所の周りの塗膜(特に角部)に傷が発生したが、本発明のマスキング材は含水率1質量%以上であり、可撓性を有し、取付け、取りはずしの操作を10回繰返してもマスキング個所の周りの塗膜に傷の発生は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のマスキング材は耐熱性があり、成形性が良好で、該マスキング材を取付け取りはずしの際、該マスキング個所の周りの塗膜に傷が付きにくゝ、更に塗膜との密着性にも富み、繰返し使用が出来るから、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1〜図4は本発明の第1実施例を示すものである。
【図1】斜視図
【図2】仮止め状態の図5におけるA−A断面図
【図3】固定状態の図5におけるA−A断面図
【図4】ピラー取付状態斜視図
【図5】第2実施例の斜視図 図6〜図8は第3実施例を示すものである。
【図6】斜視図
【図7】マスキング材取付状態の横断面図
【図8】マスキング材取付状態の縦断面図 図9〜12は本発明の第4実施例を示すものである。
【図9】斜視図
【図10】マスキング材取付状態斜視図
【図11】図10におけるA−A断面図
【図12】図10におけるB−B断面図 図13〜図17は本発明の第5実施例を示すものである。
【図13】塗装前のインストルーメントパネルとマスキング材の斜視図
【図14】図13におけるA−A断面図
【図15】マスキング材被着塗装状態の斜視図
【図16】図15におけるB−B断面図
【図17】異色インストルーメントパネルの斜視図
【符号の説明】
【0039】
11,21,31,41,51 マスキング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドまたはポリアミドと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイを材料とし、所定形状に成形されており、25℃、50%RHにおいて平衡含水率が1質量%以上であることを特徴とするマスキング材。
【請求項2】
該マスキング材はポリアミドまたはポリアミドと他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイのシートを真空および/または圧空成形することによって所定形状に成形されている請求項1に記載のマスキング材。
【請求項3】
上記ポリマーアロイ中ポリアミドは20質量%以上含有されている請求項1または2に記載のマスキング材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−69103(P2007−69103A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257622(P2005−257622)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)
【Fターム(参考)】