説明

マスキング治具を用いたマスキング装置

【課題】マスキング治具を用いたマスキング作業をロボットにより効率的に行うことができるマスキング装置の提供。
【解決手段】マスキング治具26を第2のロボット20で取り出すステップS5は、ステップS6の前までに完了していればよく、ステップS2が終了するまで、或いはステップS4と並行して行うことができる。第2のロボットによるマスキング治具の取出し作業を、第1のロボットによるワークの検出・取出し又は接着剤の塗布と並行して行うことができるので、サイクルタイムを短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスキング治具を用いて行う塗装前のマスキング作業を、ロボットで行うマスキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装対象物への塗装前に、非塗装部位を予め被覆するいわゆるマスキングを行う際は、マスキングテープ又はマスキング治具等を該非塗装部位に取り付けることが一般的である。例えば特許文献1には、「装作業において、塗装したくない箇所がある場合には、その箇所にマスキングテープ等のマスキング材を貼着してから全体を塗装し、塗装後にマスキングテープを剥離する方法が効率的である」と記載されている。
【0003】
マスキングシートを用いたマスキング方法も周知である。例えば特許文献2には、「機体1を洗浄、塗装する際に、洗浄液や塗料などの異物から搭載電子部品などの精密装置を保護すべく、伸縮性及び粘着性を有しかつ繰り返し使用可能なマスキングシート10にて、前記精密装置に連通する機体孔5を覆う」と記載されている。
【0004】
また、マグネット体によってマスキング部材を位置決めする技術も周知である。例えば特許文献3には、「マスクをマグネット体で被塗装物の所定面にズレ動かないよう確実に位置決め被着でき、また、マグネット体を備えるだけの簡単な構成でマスク共々被塗装物を位置ズレさせないよう位置決め配置することができる」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2000−70800号公報
【特許文献2】特開2004−202348号公報
【特許文献3】特開平6−99118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、マスキング治具を用いたマスキング作業をロボットによって行うマスキング装置を提供するものである。しかし、マスキング治具を接着剤等によりワークに取り付ける作業をロボットで行う場合、供給されたワークを取出す工程、ワークを所定の位置に位置決めする工程、ワークに接着剤を塗布する工程、ワークに取り付けるべきマスキング治具を取出す工程、マスキング治具をワークに取り付ける工程、マスキング治具を取り付けたワークを払い出す工程等を含む一連の工程をロボットで逐次的に行う必要があり、マスキング作業のサイクルタイムが長くなってしまう虞がある。
【0007】
そこで本発明は、マスキング治具を用いたマスキング作業をロボットにより効率的に行うことができるマスキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願第1の発明は、対象物を把持するための対象物把持手段を有する第1のロボットと、マスキング治具を把持するためのマスキング治具保持手段を有する第2のロボットと、前記第1のロボットの前記対象物把持手段に把持された対象物に接着剤を塗布するための塗布装置と、を備え、前記第2のロボットの前記マスキング治具保持手段によって保持されたマスキング治具を、前記第1のロボットの前記対象物把持手段により把持された前記対象物の、前記塗布装置によって接着剤が塗布されたマスキング部位に、前記第1のロボット及び前記第2のロボットの何れか一方の動作、又は両者の動作により取り付けるように構成したことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1のロボットは、前記第2のロボットの前記マスキング治具保持手段によって保持されているマスキング治具の把持ズレを検出する第1の検出手段を備え、前記第1の検出手段で検出されたマスキング治具の把持ズレに基づいて、前記マスキング治具と前記対象物の相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って、前記対象物のマスキング部位にマスキング治具を取り付けるようにしたことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第2のロボットは、前記第1のロボットの前記対象物把持手段によって把持されている前記対象物の把持ズレを検出する第2の検出手段を備え、前記第2の検出手段で検出された対象物の把持ズレに基づいて、前記塗布装置と前記対象物の相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って、前記対象物のマスキング部位に接着剤を塗布するようにしたことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0011】
第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記塗布装置は前記第2のロボットに搭載され、前記対象物把持手段によって対象物を把持している前記第1のロボットと、前記塗布装置を搭載した前記第2のロボットのいずれか一方の動作、或いは両方の動作により、前記塗布装置と前記対象物とを相対的に動かして該対象物のマスキング部位に接着剤を塗布するように構成したことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0012】
第5の発明は、第1〜第3の発明において、前記塗布装置は、接着剤第1のロボットの作業領域内の所定位置に設置され、前記第1のロボットの前記対象物把持手段によって前記対象物を把持して取出し、取出した該対象物を前記塗布装置に対して動かして該対象物のマスキング部位に接着剤を塗布するように構成したことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0013】
第6の発明は、第1〜第5の発明において、前記第1のロボット及び前記第2のロボットが共有する共通作業領域内に設置された仮置き台を備え、前記第2のロボットは、前記第1のロボットの前記対象物把持手段によって把持されている前記対象物の把持ズレを検出する第2の検出手段を備え、前記第2の検出手段により検出された、前記第1のロボットの前記対象物把持手段によって把持されている対象物の把持ズレに基づいて、前記第1のロボットが前記対象物と前記仮置き台との相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って、前記対象物を前記仮置台に置き、前記塗布装置を搭載した前記第2のロボットにより、前記塗布装置を前記仮置き台上の前記対象物に対して相対的に動かして該対象物のマスキング部位に接着剤を塗布し、前記第2のロボットによって前記マスキング治具を取出し、取出した該マスキング治具を、前記仮置き台に置かれた前記対象物の、接着剤が塗布されたマスキング部位に取り付けるようにしたことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0014】
第7の発明は、第6の発明において、前記第2のロボットの前記第2の検出手段によって、前記仮置き台に置かれた前記対象物の位置ズレを検出し、前記第2の検出手段により検出された位置ズレに基づいて、前記第2のロボットが前記塗布装置と前記仮置き台上の前記対象物との相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って前記対象物のマスキング部位に接着剤を塗布するようにしたことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0015】
第8の発明は、第1〜第7の発明において、前記接着剤は、水溶性でありかつ含有水分の減少によって粘性が増加する性質を有するものであり、前記マスキング治具は吸水性を有する材料から作製されることを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0016】
第9の発明は、第1〜第8の発明において、供給された対象物の位置姿勢を検出する第3の検出手段を備え、前記第3の検出手段に基づき検出された位置姿勢に基づいて、前記第1のロボットが位置補正、或いは位置補正及び姿勢補正を行って、前記対象物を取出すことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【0017】
第10の発明は、第1〜第9の発明において、供給されたマスキング治具の位置姿勢を検出する第4の検出手段を備え、前記第4の検出手段に基づき検出された位置姿勢に基づいて、前記第2のロボットが位置補正、或いは位置補正及び姿勢補正を行って、前記マスキング治具を取出すことを特徴とする、マスキング装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マスキングに必要な作業工程を第1のロボットと第2のロボットに振り分け、同時に作業させることができるので、トータルの作業時間すなわちサイクルタイムを短縮することができる。
【0019】
第2のロボットに保持されているマスキング治具の把持ズレを検出する第1の検出手段を第1のロボットに設けることにより、第2のロボットが把持しているマスキング治具の把持ズレを検出し、正確な位置へのマスキング治具の取り付けができるようになる。
【0020】
第1のロボットに把持されている対象物の把持ズレを検出する第2の検出手段を第2のロボットに設けることにより、第1のロボットが把持している対象物の把持ズレを検出し、正確な位置への接着剤の塗布ができるようになる。
【0021】
第1のロボット及び第2のロボットが共有する共通作業領域内に仮置き台を設けることにより、第1のロボットが把持しているためにマスキング治具を貼れないマスキング箇所がある場合でも、該仮置き台を使用することによって、マスキング治具を効率的に取り付けることができる。
【0022】
対象物に塗布する接着剤が水溶性であり、かつ含有水分の減少によって粘性が増加する性質を有するものであって、かつマスキング治具に吸水性のある材質を用いることによって、マスキング治具の取り付けや把持に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1のロボットに取り付けた第1の検出手段でワークを検出している状態を示す図である。
【図2】第1のロボットでワークを把持した状態を示す図である。
【図3】第2のロボットに取り付けた第2の検出手段で、第1のロボットが把持しているワークを検出している状態を示す図である。
【図4】ワークに接着剤を塗布している状態を示す図である。
【図5】第2のロボットに取り付けた第2の検出手段で、マスキング治具を検出している状態を示す図である。
【図6】第2のロボットでマスキング治具を保持した状態を示す図である。
【図7】第1のロボットに取り付けた第1の検出手段で、第2のロボットに把持されているマスキング治具を検出している状態を示す図である。
【図8】第1及び第2のロボットを操作して、ワークにマスキング治具を取り付けている状態を示す図である。
【図9】マスキング治具が取り付けられたワークを所定の場所に払い出した状態を示す図である。
【図10】本発明の応用例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るマスキング装置を用いたマスキング作業の手順を示すフローチャートである。
【図12】図11の他の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願発明の好適な実施形態を、図1〜図10及びフローチャート(図11、図12)を参照しつつ説明する。なお本願発明は、マスキング治具を用いたマスキング作業を複数台のロボット(図示例では2台)を用いて行うことを要旨とする。
【0025】
図1〜図8は、マスキング装置を用いたマスキング作業の流れを示している。先ず図1に示すように、第1のロボット10の可動部に第1の検出手段(図示例ではビジョンセンサ)12を取り付け、第1の検出手段12によってマスキング対象物であるワーク14を検出する(図11のステップS1)。具体的には、第1のロボット10に設けた対象物把持手段(図示例ではハンド16)によってワーク14を把持するために、第1の検出手段によってワーク14の画像を撮像して、画像処理等によってワーク14の位置や姿勢を測定する。
【0026】
次に、図2に示すように、第1のロボット10を用いてワーク14を取り出す(図11のステップS2)。例えば、第1のロボット10のハンド16によってワーク14の予め定めた部位18(図1参照)を把持し、後述する作業に適した所定の高さまで引き上げる。
【0027】
次に、図3に示すように、第1のロボット10に把持された状態のワーク14が、予め定めた位置及び姿勢となっているかを検出する(図11のステップS3)。本願明細書では、把持された状態のワーク14が、前記予め定めた位置又は姿勢となっていない場合を「把持ズレ」と称する。例えばワーク14の把持ズレは、図3に示すように、第1のロボット10とは異なる第2のロボット20に取り付けた第2の検出手段(図示例ではビジョンセンサ)22によってワーク14を撮像し、そのデータを第1のロボット10に転送することにより検出することができる。
【0028】
次に、図4に示すように、接着剤の塗布装置24を用いて、第1のロボット10に把持されたワーク14の所定部位(後述するマスキング治具を取り付けるべき部位)に接着剤を塗布する(図11のステップS4)。この塗布作業は、塗布装置24を第2のロボット20に設けてロボット10、20を相対移動させて行ってもよいし、塗布装置24を他の固定部位に設けて第1のロボット10を移動させて行ってもよい。またステップS3において把持ズレが確認された場合は、ステップS4の塗布作業において、該把持ズレを補正するように、具体的にはワーク14塗布装置24の相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行うように、ロボット10、20の少なくとも一方を動作させることができる。
【0029】
図5及び図6は、第2のロボット20によるマスキング治具26の取出しを説明する図である。先ず図5に示すように、第2の検出手段22によって、所定の場所に配置されているマスキング治具26(図示例では積み重ねた状態でトレイ28に格納されている板状の部材)を検出し、その位置及び姿勢を測定する。次に図6に示すように、第2のロボット20の先端に取り付けた吸着手段30やハンド等の把持手段等の、マスキング治具保持手段によってマスキング治具26を取り出す。
【0030】
マスキング治具26を第2のロボット20で取り出すステップ(S5)は、後述するステップS6の前までに完了していればよく、故に図11に示すように、ステップS2が終了するまで、或いは、マスキング作業の他の形態を示す図12のように、ステップS4と並行して行うことができる。但し、塗布装置24を第2のロボット20に取り付けてステップS4の塗布作業を行う場合は、ステップS5はステップS2が終了するまでに行われる(図11)。一方、塗布装置24を第1のロボット10の作業領域内の所定位置に設置する場合、ステップS5は図11のようにステップS2が終了するまでに行ってもよいし、図12のようにステップS4と並行して行ってもよい。このように本願発明では、第2のロボット20によるマスキング治具の取出し作業を、第1のロボットによるワークの検出・取出し又は接着剤の塗布と並行して行うことができるので、サイクルタイムを短縮することができる。
【0031】
次のステップS6では、図7に示すように、第2のロボット20に把持された状態のマスキング治具26が、予め定めた位置及び姿勢となっているかを検出する。本願明細書では、把持された状態のマスキング治具26が、前記予め定めた位置又は姿勢となっていない場合も「把持ズレ」と称する。例えばマスキング治具26の把持ズレは、図7に示すように、第1のロボット10に取り付けた第1のビジョンセンサ12によってマスキング治具26を撮像することによって検出することができる。
【0032】
次に、図8に示すように、第1のロボット10と第2のロボット20とを互いに相対移動させて、第2のロボット20で把持しているマスキング治具26を、第1のロボット10で把持しているワーク14の所定部位に取り付け(接着剤が塗布された部位に貼り付け)る(ステップS7)。なおステップS6においてマスキング治具26の把持ズレが確認された場合は、ステップS7の取り付け作業において、該把持ズレを補正するように、具体的にはマスキング治具26とワーク14の相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行うように、ロボット10、20の少なくとも一方を動作させることができる。本願発明では、このようにマスキング治具26の取り付け作業において、一方のロボット(第1のロボット10)がワーク14を把持し、他方のロボット(第2のロボット20)がマスキング治具26を把持して、一方のロボットの検出手段によって他方のロボットの把持状態を検出して位置補正等を行った上でマスキング治具26をワーク14に取り付けるという構成が実現できるので、取り付けに要する時間を短縮することができる。
【0033】
最後に、図9に示すように、マスキング治具26が貼り付けられたワーク14を、第1のロボット10の動作によって所定の場所32に移動させる動作(いわゆる払い出し)を行う(ステップS8)。なお図9は、ワーク14に3つのマスキング治具26を取り付けた例を示しているが、マスキング治具の形状や個数はワークの形状等に応じて種々変更可能である。
【0034】
図10は、本願発明の応用例を示している。第1のロボット(図示せず)及び第2のロボット20が共有する共通作業領域内に仮置き台34が設置される。先ず第1のロボットにより取出されてロボットハンド16(図2参照)等の対象物把持手段で把持されているワーク14の把持ズレに基づいて、第1のロボットがワーク14と仮置き台34との相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って、ワーク14を仮置き台34に載置する。次に、塗布装置24を搭載した第2のロボット20により、塗布装置24を仮置き台34上のワーク14に対して相対的に動かして、ワーク14のマスキング部位(接着剤塗布部位)に接着剤を塗布する。次に、第2のロボット20によって、マスキング治具26を取出し、該マスキング治具26を、仮置き台34に置かれたワーク14の、接着剤が塗布されたマスキング部位に貼り付ける。
【0035】
仮置き台34を設けることにより、第1のロボット20が把持しているためにマスキング治具を貼れない場合、より具体的には第1のロボット10のハンド16が干渉してワーク14のマスキング部位にマスキング治具26を取り付けることができないような場合でも、仮置き台34に一旦ワーク14を載置することによって、マスキング治具26を適切に取り付けることができるようになる。
【0036】
また図10の形態において、第2のロボット20に搭載した第2の検出手段22によって、仮置き台34に置かれたワーク14の位置ズレを検出することもできる。この場合、第2の検出手段22により検出された位置ズレに基づいて、第2のロボット20が塗布装置24と仮置き台34上のワーク14との相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って、ワーク14のマスキング部位(接着剤塗布部位)に接着剤を塗布することができる。
【0037】
なお上述の実施形態では、第1のロボット10に取り付けた第1の検出手段12が、供給されたワーク14の位置姿勢(位置及び姿勢)の検出(ステップS1)と、第2のロボット20が把持しているマスキング治具26の把持ズレ検出(ステップS6)とを兼ねているが、両検出機能を別の検出手段で行ってもよい。例えば、供給されたワークの位置姿勢(位置ズレ)を検出する別途の第3の検出手段(図示せず)を適当な固定部位等に設置し、該第3の検出手段に基づき検出された位置ズレに基づいて、第1のロボット10が位置補正、或いは位置補正及び姿勢補正を行なって、検出されたワークを取出すこともできる。
【0038】
また上述の実施形態では、第2のロボット20に取り付けた第2の検出手段22が、供給されたマスキング治具26の位置姿勢(位置及び姿勢)の検出(ステップS5)と、第1のロボット10が把持しているワーク14の把持ズレ検出(ステップS3)とを兼ねているが、両検出機能を別の検出手段で行ってもよい。例えば、供給されたマスキング治具26の位置姿勢(位置ズレ)を検出する別途の第4の検出手段(図示せず)を適当な固定部位等に設置し、該第4の検出手段に基づき検出された位置ズレに基づいて、第2のロボット20が位置補正、或いは位置補正及び姿勢補正を行なって、検出されたマスキング治具を取出すこともできる。
【0039】
なお、ワークに塗布する接着剤は、水溶性でありかつ含有水分の減少によって粘性が増加する性質のものとし、一方マスキング治具は、吸水性を有する材料から作製されることが好ましい。このようにすれば、マスキング治具がワークの接着剤塗布部位に接触してから該ワークに接着固定されるまでの時間が、他の接着剤を使用した場合より短くなるので、第1のロボット及び第2のロボットによってワーク及びマスキング治具を互いに動かないように保持する時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 第1のロボット
12 第1の検出手段
14 ワーク
16 ロボットハンド
20 第2のロボット
22 第2の検出手段
24 塗布装置
26 マスキング治具
28 トレイ
30 吸着手段
34 仮置き台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を把持するための対象物把持手段を有する第1のロボットと、
マスキング治具を把持するためのマスキング治具保持手段を有する第2のロボットと、
前記第1のロボットの前記対象物把持手段に把持された対象物に接着剤を塗布するための塗布装置と、を備え、
前記第2のロボットの前記マスキング治具保持手段によって保持されたマスキング治具を、前記第1のロボットの前記対象物把持手段により把持された前記対象物の、前記塗布装置によって接着剤が塗布されたマスキング部位に、前記第1のロボット及び前記第2のロボットの何れか一方の動作、又は両者の動作により取り付けるように構成したことを特徴とする、マスキング装置。
【請求項2】
前記第1のロボットは、前記第2のロボットの前記マスキング治具保持手段によって保持されているマスキング治具の把持ズレを検出する第1の検出手段を備え、
前記第1の検出手段で検出されたマスキング治具の把持ズレに基づいて、前記マスキング治具と前記対象物の相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って、前記対象物のマスキング部位にマスキング治具を取り付けるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載のマスキング装置。
【請求項3】
前記第2のロボットは、前記第1のロボットの前記対象物把持手段によって把持されている前記対象物の把持ズレを検出する第2の検出手段を備え、
前記第2の検出手段で検出された対象物の把持ズレに基づいて、前記塗布装置と前記対象物の相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って、前記対象物のマスキング部位に接着剤を塗布するようにしたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のマスキング装置。
【請求項4】
前記塗布装置は前記第2のロボットに搭載され、
前記対象物把持手段によって対象物を把持している前記第1のロボットと、前記塗布装置を搭載した前記第2のロボットのいずれか一方の動作、或いは両方の動作により、前記塗布装置と前記対象物とを相対的に動かして該対象物のマスキング部位に接着剤を塗布するように構成したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマスキング装置。
【請求項5】
前記塗布装置は、接着剤第1のロボットの作業領域内の所定位置に設置され、
前記第1のロボットの前記対象物把持手段によって前記対象物を把持して取出し、取出した該対象物を前記塗布装置に対して動かして該対象物のマスキング部位に接着剤を塗布するように構成したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマスキング装置。
【請求項6】
前記第1のロボット及び前記第2のロボットが共有する共通作業領域内に設置された仮置き台を備え、
前記第2のロボットは、前記第1のロボットの前記対象物把持手段によって把持されている前記対象物の把持ズレを検出する第2の検出手段を備え、
前記第2の検出手段により検出された、前記第1のロボットの前記対象物把持手段によって把持されている対象物の把持ズレに基づいて、前記第1のロボットが前記対象物と前記仮置き台との相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って、前記対象物を前記仮置台に置き、前記塗布装置を搭載した前記第2のロボットにより、前記塗布装置を前記仮置き台上の前記対象物に対して相対的に動かして該対象物のマスキング部位に接着剤を塗布し、前記第2のロボットによって前記マスキング治具を取出し、取出した該マスキング治具を、前記仮置き台に置かれた前記対象物の、接着剤が塗布されたマスキング部位に取り付けるようにしたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマスキング装置。
【請求項7】
前記第2のロボットの前記第2の検出手段によって、前記仮置き台に置かれた前記対象物の位置ズレを検出し、前記第2の検出手段により検出された位置ズレに基づいて、前記第2のロボットが前記塗布装置と前記仮置き台上の前記対象物との相対位置の補正、或いは相対位置及び相対姿勢の補正を行って前記対象物のマスキング部位に接着剤を塗布するようにしたことを特徴とする、請求項6に記載のマスキング装置。
【請求項8】
前記接着剤は、水溶性でありかつ含有水分の減少によって粘性が増加する性質を有するものであり、前記マスキング治具は吸水性を有する材料から作製されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のマスキング装置。
【請求項9】
供給された対象物の位置姿勢を検出する第3の検出手段を備え、
前記第3の検出手段に基づき検出された位置姿勢に基づいて、前記第1のロボットが位置補正、或いは位置補正及び姿勢補正を行って、前記対象物を取出すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマスキング装置。
【請求項10】
供給されたマスキング治具の位置姿勢を検出する第4の検出手段を備え、
前記第4の検出手段に基づき検出された位置姿勢に基づいて、前記第2のロボットが位置補正、或いは位置補正及び姿勢補正を行って、前記マスキング治具を取出すことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のマスキング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−103211(P2013−103211A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250690(P2011−250690)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】