説明

マスクシステムの特性付け

【課題】複数の異なるマスクシステム、例えばマスクおよびホースを特徴付ける方法およびCPAP装置を提供する。
【解決手段】CPAP装置10は、CPAP装置10のフロージェネレータ12での流れおよび圧力を測定するように構成されたセンサ13、15を有することによって、異なるマスクシステム14およびホース16に対して較正可能である。フロージェネレータ12が新しいマスクシステムに合わせられると、あるいは既存のマスクシステム14、マスクまたは患者用インタフェース34および/あるいはホース16に対して何らかの変更がなされると、その新しいマスクシステム14、マスク34および/あるいはホース16についてフロージェネレータ12を較正する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2000年12月29日に出願された米国仮出願第60/258,606号に基づく優先権を主張しており、その内容はここで完全に援用される。
【0002】
本発明は、睡眠時呼吸障害(SDB)の治療において用いられるマスクシステムの特性付けのための方法および装置に関する。特に本発明は、異なるマスクシステムの空気流の特性を決定することができる、異なるマスクシステムとともに用いられる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
経鼻的持続的気道陽圧(CPAP)を閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療に用いることは、サリバンによって教示されており、「いびきをかく病気を治療する装置」と題する米国特許第4,944,310号明細書(特許文献1)に開示されている。その治療は一般的に、典型的には4〜20cmHOの範囲にある圧力で患者の上気道へ空気を供給し、その空気が患者の気道を「添え木をあてて」開放するように働く。典型的にはCPAP装置は、(1)患者への加圧された呼吸可能な空気の供給源を提供する送風機と、(2)患者が取り外し可能に着用する患者用インタフェースと、(3)加圧された呼吸可能な空気を送風機から患者用インタフェースへと運ぶ空気配送ホースとを備えている。送風機は典型的には、電気モータとインペラ(impeller)とを有している。空気配送ホースまたは管の一端は送風機の出力に接続されており、他端は患者用インタフェースに接続されている。
【0004】
SDBを治療する、あるいは換気を補助する装置のいくつかは、2つの圧力レベル、すなわち患者が息を吸っている間は一方のレベル、息を吐いている間は異なるレベルを提供する。2つの圧力の間の切換は、タイマ、圧力センサ、フローセンサ、体積センサあるいは、換気装置の分野でよく知られている技術を用いた組み合わせのいくつかによって引き起こされる。
【0005】
自動調節方法および装置は、サリバンおよびリンチによって米国特許第5,245,995号明細書(特許文献2)において最初に述べられた。この特許は、いびきの音を検出することに加えて、呼吸速度、吸気流の体積および吸気流量というような他の呼吸のパラメータを検出することができる圧力トランスデューサを記載している。この装置はまた、いびきあるいは異常な呼吸パターンの検出に応じて出力圧力を増やし、そのようなパターンがないときには圧力を減らすように空気源の出力圧力を制御するフィードバックシステムを備えている。そのような装置の使用は、患者の快適さを向上させることになる。なぜなら患者は、OSAの徴候がない睡眠の期間中はより低い圧力を受け取り、より高い圧力が必要とされるときにより高い圧力を受け取るからである。このように動作する装置の例には、オーストラリアのレスメッドリミテッドによって製造される経鼻CPAP装置のAutoSet(登録商標)ブランドがある。
【0006】
他の状況は、国際公開第99/61088号パンフレット(特許文献3)に記載されているようにチェーン・ストークス呼吸のような鼻からの換気によって治療されてもよい。このような装置は、流れおよび圧力の非常に正確な計測を必要とする。
【0007】
OSAは、睡眠時呼吸障害(SDB)と一般的に称されるより広いクラスの疾患の一例である。本明細書では、OSAの治療用装置というときにはSDBを治療する装置をさすことを意図するものとする。
【0008】
SBDを治療する経鼻的CPAP装置は、機械式換気装置のより広いグループの中の特定のサブグループを構成する。機械式換気装置は、空気流に関して閉じられたシステムであることが多く、睡眠時呼吸障害の治療に用いられる送風機、管および患者用インタフェースシステムは、典型的には空気流に関して開かれたシステムである。つまり、SDBを治療するシステムは、典型的には意図的な空気漏れを有している。意図的な漏れは、意図しないリークと対比されるべきである。SDBを治療するシステムの患者用インタフェースは典型的には意図的な空気漏れを生成するディフューザを備えており、他のものの中でもこの意図的な空気漏れが、吐き出された空気の再呼吸を減らす。またほとんどのシステムのように、意図しないリーク流の可能性が存在する。例えば、もしマスクが顔上に正しく配置されていなければ、あるいは患者の顔に合っていなければ、マスクの顔との接触部の周縁部のあたりでリークがあるかもしれない。SDB治療の用途のいくつか、例えば、送風機の流れを患者の自発的な呼吸と正しく同期させる補助をするという用途においては、システムからのリーク、意図的なリークおよび意図しないリークの両方を正確に計測することが重要である。
【0009】
送風機、スイッチ、電源、および制御回路を内蔵する「ブラックボックス」は、よく「フロージェネレータ」という用語で呼ばれる。あるいは、高圧の空気の供給源は、要求される圧力および流量で空気を提供するように制御可能なバルブ構成に接続されてもよい。これらのシステムは全て、呼吸可能なガスの制御可能な供給源として記載され得る。
【0010】
SDBを治療する最も近代的な装置、特に手の込んだ治療を提供する装置においては、その装置が患者用インタフェースにおける圧力および患者への空気流を正確に計測することができる必要がある。これを実現する一つの方法は、患者用インタフェース(例えばマスク)内に直接フローおよび圧力センサを置くことである。これを実現する他の方法は、フロージェネレータにフローおよび圧力センサを起き、フロージェネレータから患者用インタフェースまで接続されたセンスチューブ(sense tube)を有することである。
【0011】
例えば圧力および流れの正確な測定は直接マスクで行うことができるが、このような構成は、患者の視点からは不便である。なぜなら、それは、フロージェネレータから患者用インタフェースまで通される付加的な検出チューブ(sensing tubes)を必要とするかもしれないからである。センスチューブは、組み立てが難しく、清掃が難しく、使用中にもつれるかもしれない。あるいは、管および患者用インタフェースの特性が既知であれば、フロージェネレータでの測定を用いてマスク内の圧力およびフローというような所望の変量を推定することが可能である。
【0012】
したがって、管および患者用インタフェースの特性を測定する方法が必要とされている。このようにして、SDBを治療する精密な装置は、フロージェネレータとマスクとの間に接続されるセンスチューブを必要とせずにマスク圧を正確に測定することができる。
【特許文献1】米国特許第4944310号明細書
【特許文献2】米国特許第5245995号明細書
【特許文献3】国際公開第99/61088号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
今日、非常に多様なマスクシステムが利用可能であり、それぞれは、管およびディフューザの流れに沿って圧力低下が異なっているというような異なる特性を有している。さらに、与えられたマスクシステムの異なるサンプルの特性は、製造時のばらつきによって変化し得る。与えられたフロージェネレータが幅広いマスクシステムで動作可能であるためには、各マスクシステムは、フロージェネレータとの使用のために製造者によって特徴付けられなければならず、その特性は、例えばフロージェネレータあるいは他の記録可能な媒体装置に記憶されてもよい。新しいマスクシステムが開発されたときには、フロージェネレータは、その新しいマスクシステムとともにテストされるために、製造者に戻されなければならないかもしれない。
【0014】
そしてフロージェネレータは、この特定のホースおよびマスクシステムの流れおよび圧力モデルを生成し、これらのパラメータをその通常の動作の一部としてのホースの圧力降下、ディフューザの流れおよびマスクのリークを計算するのに用いる。この手順は、操作者が確実に正しいことを行うようにというチェックとともにLCDディスプレイ上で促される。特徴づけの手順には、1分とかからない。
【0015】
フロージェネレータを製造者に戻す必要なく幅広い範囲の患者用インタフェースおよび管の特性を決定することを可能にする方法および装置が必要とされている。
【0016】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできるマスクシステムの特徴付けを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の一局面は、先行技術の欠点を克服することである。他の局面は、異なる圧力および/または流れの特性を有する多様なマスクシステムとともに用いることができる呼吸補助装置、例えばCPAP装置を提供することである。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態によれば、フロージェネレータを備えているCPAP装置に接続されたマスクシステムの空気流特性を決定する方法が提供される。マスクシステムは、空気配送ホースと、ディフューザを有する患者用インタフェースとを有しており、フロージェネレータは制御可能な空気送風機、フローセンサおよび圧力センサを有している。この方法は、患者用インタフェースを通る流れが開かれている第一のテスト期間中になされた流れの特性を用いて空気配送ホースの空気流特性を決定し、患者用インタフェースを通る流れが塞がれている第二のテスト期間中に患者用インタフェースにおける圧力を測定し、第一のテスト期間中に決定された空気配送ホースの空気流特性と第二のテスト期間中になされた圧力測定とを用いてディフューザの空気流特性を決定することを包含している。
【0019】
発明の一実施形態によると、マスクシステムは、送風機の流量の関数として管に沿った圧力降下を決定するように特徴付けられる。発明の一実施形態によると、ディフューザを横切る圧力降下は、マスク圧の関数として決定される。
【0020】
発明の他の実施形態によると、CPAP装置内のフロージェネレータに接続された空気配送ホースの空気流特性を決定するための方法が提供される。フロージェネレータは制御可能な空気送風機と、フローセンサと、圧力センサとを有している。この方法は、テスト期間中に制御可能な空気送風機を通る空気流量を測定することと、テスト期間中になされた流量測定を用いて空気配送ホースの空気流特性を決定することとを包含する。
【0021】
他の実施形態によると、呼吸可能なガスの制御可能な供給源に接続されたマスクシステムの空気流特性を決定する方法が提供される。マスクシステムは空気配送ホースと患者用インタフェースとを有している。この方法は、マスクシステムが開いている圧力が制御されたテスト期間中に呼吸可能なガスの制御可能な供給源で空気流量を測定することと、マスクシステムが塞がれている流れが制御されたテスト期間中に呼吸可能なガスの制御可能な供給源で圧力を測定することと、圧力が制御されたテスト期間および流れが制御されたテスト期間中にそれぞれ測定された圧力および空気流量に基づいてマスクシステムの空気流特性を決定することとを包含している。
【0022】
さらに他の実施形態では、患者の治療に有用であるCPAP装置は、ハウジングと、ハウジングに連通している呼吸用マスクシステムであって、空気配送ホースとディフューザを有する患者用インタフェースとを有している呼吸用マスクシステムと、呼吸可能なガスの供給を患者に届けるように構成されており、ハウジングに関連しているフロージェネレータであって、テスト期間中に空気配送ホースを通して患者用インタフェースに呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であり、呼吸可能なガスの制御可能な供給源の流れの複数の測定がテスト期間中に行われるようなフロージェネレータと、テスト期間中になされた複数の流れの測定に少なくとも基づいて呼吸用マスクシステムの複数の空気流特性を決定するように構成されたプロセッサとを備えている。
【0023】
他の実施形態は、請求項1〜16のいずれか一つに記載された方法を行うための機械で実行可能である指示を含む機械で読み取り可能な媒体を包含する。
【0024】
さらに他の実施形態では、患者の治療に有用であるCPAP装置は、ハウジングと、ハウジングに連通している呼吸用マスクシステムであって、空気配送ホースとディフューザ開口部を有する患者用インタフェースとを有している呼吸用マスクシステムと、患者に呼吸可能なガスの供給を届けるように構成されており、ハウジングに関連しているフロージェネレータであって、テスト期間中に空気配送ホースを通って患者用インタフェースに呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であり、テスト期間中に呼吸可能なガスの制御可能な供給源の複数の測定が行われるようなフロージェネレータと、患者用インタフェースを通る流れが開いているテスト期間の第一の部分中に流れの測定を用いて空気配送ホースの空気流特性を決定する手段と、患者用インタフェースを通る流れが塞がれているテスト期間の第二の部分中に患者用インタフェースにおける圧力を測定する手段と、テスト期間の第一の部分中に決定された空気配送ホースの空気流特性およびテスト期間の第二の部分中になされた圧力測定を用いて開口部の空気流特性を決定する手段とを備えている。
【0025】
さらに他の実施形態では、空気配送ホースとディフューザを有する患者用インタフェースとを有する呼吸用マスクシステムとともに使用されるCPAP装置は、ハウジングと、患者に呼吸可能なガスの供給を届けるように構成されており、ハウジングに関連しているフロージェネレータであって、テスト期間中に空気配送ホースを通って患者用インタフェースに呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であり、テスト期間中に呼吸可能なガスの制御可能な供給源の複数の流れの測定が行われるようなフロージェネレータと、テスト期間中になされた複数の流れの特性に少なくとも基づいて呼吸用マスクシステムの複数の空気流特性を決定するように構成されたプロセッサとを備えている。このCPAP装置とともに用いられる呼吸用マスクシステムも想定される。
【0026】
また、マスクシステムとともに用いられるCPAP装置におけるフロージェネレータを較正するための方法も提供される。マスクシステムは、ディフューザと、フロージェネレータをマスクシステムに接続する空気配送ホースとを有している。この方法は、マスクシステムを通る流れが開いているときの空気配送ホースにおける圧力降下を表している2つの異なる空気流をフロージェネレータに提供することと、ディフューザの流れとマスクシステムからの他のリークとを表している2つの圧力をマスクシステムに提供することと、2つの異なる圧力がマスクシステムに提供されている間マスクシステムを通る流れを塞ぐこととを包含している。
【0027】
発明の一実施形態によると、管が送風機の出口に接続された状態である送風機および管と、送風機の出口で空気の流れを測定するフローセンサと、送風機の出口での空気圧を測定する圧力センサとを有している装置において、送風機の流量の範囲に対して管沿いの圧力降下を推定する方法が提供される。この方法は、管沿いの圧力降下を2つのパラメータを有する流れの二次式としてモデル化し、(1)第一の流量で送風機を動作させ、第一に送風機出口圧力を展開する第一のテストおよび(2)送風機を第二の流量で動作させて第二の送風機出口圧力を展開する第二のテストという2つのテストを行ってこの2つのパラメータを決定することにより、管沿いの圧力降下を推定する。
【0028】
発明の一実施形態によると、管が送風機の出口に接続された状態である送風機および管と、送風機出口での空気流を測定するフローセンサと、送風機出口での空気圧を測定する圧力センサと、ディフューザを有するマスクであって、ディフューザがディフューザ流れを有しているようなマスクとを備えている装置において、ディフューザを横切る圧力降下をマスク圧および送風機の流れの二次式としてモデル化することによって、送風機の流量の範囲についてディフューザを横切る圧力降下を推定する方法が提供される。発明のある実施形態はここである特徴を有するものとして示されて説明されているが、示されて説明されている実施形態の少なくとも1つ以上の特徴のそれぞれ、あるいは組み合わせに基づいて発明の他の実施形態が提供され得ることは当業者であれば理解するであろう。
【0029】
即ち、本発明の第1の形態によると、フロージェネレータを備えているCPAP装置に接続されたマスクシステムの空気流特性を決定する方法であって、前記マスクシステムは、空気配送ホースと、ディフューザを有する患者用インタフェースとを有しており、前記フロージェネレータは、制御可能な空気送風機とフローセンサと圧力センサとを有しており、前記方法は、前記患者用インタフェースを通る流れが開放されている第一のテスト期間中になされた流れの測定を用いて前記空気配送ホースの空気流特性を決定し、前記患者用インタフェースを通る前記流れが塞がれている第二のテスト期間中に前記患者用インタフェースにおける圧力を測定し、前記第一のテスト期間中に決定された前記空気配送ホースの前記空気流特性および前記第二テスト期間中になされた前記圧力測定を用いて前記ディフューザの空気流特性を決定することを特徴とする。
【0030】
前記空気配送ホースの前記空気流特性および前記ディフューザの前記空気流特性を処理することをさらに備えていてもよい。
【0031】
前記空気配送ホースの前記空気流特性の決定は、2つのホース定数を有する二次式の関数として計算されてもよい。
【0032】
前記2つのホース定数は、
【数1】

を備えており、xは前記空気配送ホースの低い方の空気流であり、Xは前記空気配送ホースの高い方の空気流であり、yは前記低い方の空気流での前記空気配送ホース内の圧力降下であり、Yは前記高い方の空気流での前記空気配送ホース内の圧力降下であってもよい。
【0033】
前記2つのホース定数(Hose A、Hose B)は前記ディフューザについての真の低い方のテスト圧(TrueDiffTP1)および真の高い方のテスト圧(TrueDiffTP2)を計算するために用いられ、前記真の低い方のテスト圧は、TrueDiffTP1 = DiffTP1 − HoseA*x − HoseB*HoseA(x)2として定義され、ここでDiffTP1は前記ディフューザについての低い方の圧力での前記ディフューザの流れであり、前記真の高い方のテスト圧は、TrueDiffTP2 = DiffTP2 − HoseA*X − HoseB*HoseA(X)2として定義され、ここでDiffTP2は前記ディフューザについての高い方の圧力での前記ディフューザの流れであってもよい。
【0034】
前記マスクシステムの前記空気流特性の決定は、2つのディフューザ定数(Diff A、Diff B)を有する二次式の関数として計算されてもよい。
【0035】
前記2つのディフューザ定数は、
【数2】

を備えており、vは前記ディフューザについての低い方の圧力であり、Vは前記ディフューザについての高い方の圧力であり、zは前記ディフューザについての真の低い方の圧力であり、Zは前記ディフューザについての真の高い方の圧力であってもよい。
【0036】
前記患者用インタフェースの形状に相補的な形状を有するフローブロック部材で前記患者用インタフェースを塞ぐことをさらに備えていてもよい。
【0037】
前記フローブロック部材の前記形状は、人間の鼻および人間の顔の少なくとも一方を表していてもよい。
【0038】
前記フローブロック部材を前記患者用インタフェースに貼ることをさらに備えていてもよい。
【0039】
本発明の第2の形態によれば、CPAP装置のフロージェネレータに接続された空気配送ホースの空気流特性を決定する方法であって、前記フロージェネレータは、制御可能な空気送風機と、フローセンサと、圧力センサとを有しており、前記方法は、テスト期間中に前記制御可能な空気送風機を通る空気流量を測定し、前記テスト期間中になされた前記流量測定を用いて前記空気配送ホースの空気流特性を決定することを特徴とする。
【0040】
本発明の第3の形態によれば、呼吸可能なガスの制御可能な供給源に接続されたマスクシステムの空気流特性を決定する方法であって、前記マスクシステムは、空気配送ホースと患者用インタフェースとを有しており、前記方法は、前記マスクシステムが開放されている圧力が制御されたテスト期間中に前記呼吸可能なガスの制御可能な供給源での空気流量を測定し、前記マスクシステムがふさがれている流れが制御されたテスト期間中に前記呼吸可能なガスの制御可能な供給源での圧力を測定し、前記圧力が制御されたテスト期間および前記流れが制御されたテスト期間中にそれぞれ測定された圧力および空気流量に基づいて、前記マスクシステムの空気流特性を決定することを特徴とする。
【0041】
前記圧力が制御されたテスト期間中に、第一の実質的に一定の圧力で空気を届け、続いて第二の実質的に一定の圧力で空気を届けるように呼吸可能ガスの前記供給源を制御することをさらに備えていてもよい。
【0042】
前記第一の実質的に一定の圧力は、前記第二の実質的に一定の圧力よりも低くしてもよい。
【0043】
前記流れが制御されたテスト期間中に第一の実質的に一定の流量で空気を届け、続いて第二の実質的に一定の流量で空気を届けるように呼吸可能ガスの前記供給源を制御することをさらに備えていてもよい。
【0044】
前記第一の実質的に一定の流量は、前記第二の実質的に一定の流量よりも低くしてもよい。
【0045】
本発明の第4の形態によれば、患者の治療に有用なCPAP装置であって、ハウジングと、前記ハウジングと連通している呼吸用マスクシステムであって、空気配送ホースと、ディフューザを有している患者用インタフェースとを備えている呼吸用マスクシステムと、前記患者に呼吸可能なガスの供給を届けるように構成されており、前記ハウジングに関連しており、テスト期間中に前記空気配送ホースを通して前記患者用インタフェースに呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であるフロージェネレータであって、呼吸可能なガスの前記制御可能な供給源の複数の流れの測定が前記テスト期間中に行われる、フロージェネレータと、前記テスト期間中になされた前記複数の流れの測定に少なくとも基づいて、前記呼吸用マスクシステムの複数の空気流特性を決定するように構成されたプロセッサとを備えていることを特徴とする。
【0046】
前記フロージェネレータはフローセンサを有しており、該フローセンサは、前記患者用インタフェースを通る流れが開放されている前記テスト期間中に前記患者用インタフェースを通る少なくとも1つの空気流を測定するように構成されていてもよい。
【0047】
前記フロージェネレータは圧力センサを有しており、該圧力センサは、前記患者用インタフェースを通る前記流れが塞がれている前記テスト期間中に前記患者用インタフェースにおける少なくとも1つの圧力を測定するように構成されていてもよい。
【0048】
前記プロセッサは、前記テスト期間の第一の部分中に決定された前記空気配送ホースの前記空気流特性、および前記テスト期間の第二の部分中になされた前記圧力測定を用いて前記ディフューザの空気流特性を決定するように構成されていてもよい。
【0049】
前記プロセッサは、前記空気配送ホースの前記空気流特性を2つのホース定数を用いた二次式の関数として計算するように構成されていてもよい。
【0050】
前記2つのホース定数は、
【数3】

を備えており、xは前記空気配送ホースの低い方の空気流であり、Xは前記空気配送ホースの高い方の空気流であり、yは前記低い方の空気流での前記空気配送ホース内の圧力降下であり、Yは前記高い方の空気流での前記空気配送ホース内の圧力降下であってもよい。
【0051】
前記2つのホース定数(Hose A、Hose B)は前記ディフューザについての真の低い方のテスト圧(TrueDiffTP1)および真の高い方のテスト圧(TrueDiffTP2)を計算するために用いられ、前記真の低い方のテスト圧は、TrueDiffTP1 = DiffTP1 − HoseA*x − HoseB*HoseA(x)2として定義され、ここでDiffTP1は前記ディフューザについての低い方の圧力での前記ディフューザの流れであり、前記真の高い方のテスト圧は、TrueDiffTP2 = DiffTP2 − HoseA*X − HoseB*HoseA(X)2として定義され、ここでDiffTP2は前記ディフューザについての高い方の圧力での前記ディフューザの流れであってもよい。
【0052】
前記マスクシステムの前記空気流特性の決定は、2つのディフューザ定数(Diff A、Diff B)を有する二次式の関数として計算されてもよい。
【0053】
前記2つのディフューザ定数は、
【数4】

を備えており、vは前記ディフューザについての低い方の圧力であり、Vは前記ディフューザについての高い方の圧力であり、zは前記ディフューザについての真の低い方の圧力であり、Zは前記ディフューザについての真の高い方の圧力であってもよい。
【0054】
前記CPAP装置は前記患者用インタフェースを塞ぐように構成されたフローブロック部材をさらに備えており、前記フローブロック部材(50)は、前記患者用インタフェースの形状に相補的な形状を有していてもよい。
【0055】
前記フローブロック部材の前記形状は、人間の鼻および人間の顔の少なくとも一方を表現していてもよい。
【0056】
前記フローブロック部材は前記患者用インタフェースに貼り付けられてもよい。
【0057】
前記患者用インタフェースは空気を通すように構成されており、前記ディフューザは、前記患者の呼吸サイクルの息を吐くフェーズ中に吐き出された息を前記ディフューザを通して拡散するように構成されていてもよい。
【0058】
上記のいずれか1つに記載の方法を行うための機会で実行可能な指示を含んでいる機械で読み取り可能な媒体であってもよい。
【0059】
本発明の第5の形態によれば、患者の治療に有用なCPAP装置であって、ハウジングと、前記ハウジングと連通している呼吸用マスクシステムであって、空気配送ホースと、ディフューザ開口部を有する患者用インタフェースとを備えている呼吸用マスクと、前記患者に呼吸可能なガスの供給を届けるように構成されており、前記ハウジングに関連しており、テスト期間中に前記空気配送ホースを通して前記患者用インタフェースへ呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であるフロージェネレータであって、前記テスト期間中に呼吸可能なガスの前記制御可能な供給源の複数の流れの測定が行われる、フロージェネレータと、前記患者用インタフェースを通る流れが開放されている前記テスト期間の第一の部分中になされた流れの測定を用いて、前記空気配送ホースの空気流特性を決定する手段と、前記患者用インタフェースを通る前記流れがふさがれている前記テスト期間の第二の部分中に前記患者用インタフェースにおける圧力を測定する手段と、前記テスト期間の前記第一の部分中に決定された前記空気配送ホースの前記空気流特性および前記テスト期間の前記第二の部分中になされた前記圧力測定を用いて、前記開口部の空気流特性を決定する手段とを備えていることを特徴とする。
【0060】
本発明の第6の形態によれば、空気配送ホースと、ディフューザを有する患者用インタフェースとを備えている呼吸用マスクシステムとともに用いられるCPAP装置であって、 ハウジングと、前記患者に呼吸可能なガスの供給を届けるように構成されており、前記ハウジングに関連しており、テスト期間中に前記空気配送ホースを通して前記患者用インタフェースに呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であるフロージェネレータであって、呼吸可能なガスの前記制御可能な供給源の複数の流れの測定が前記テスト期間中になされる、フロージェネレータと、前記テスト期間中になされた前記複数の流れの測定に少なくとも基づいて、前記呼吸用マスクシステムの複数の空気流特性を決定するように構成されたプロセッサとを備えていることを特徴とする。
【0061】
上記のCPAP装置とともに用いられる呼吸用マスクシステムであってもよい。
【0062】
本発明の第7の形態によれば、ディフューザと空気配送ホースとを有するマスクシステムとともに用いられるCPAP装置のフロージェネレータを較正する方法であって、前記空気配送ホースは、前記フロージェネレータと前記マスクシステムとを接続し、前記方法は、前記マスクシステムを通る流れが開放されているときに前記空気配送ホースにおける圧力降下をあらわす2つの異なる空気流を前記フロージェネレータに与え、前記ディフューザの流れおよび前記マスクシステムからの他のリークをあらわす2つの異なる圧力を前記マスクシステムに与え、前記マスクシステムに前記2つの異なる圧力が与えられている間、前記マスクシステムを通る流れを塞ぐことを特徴とする。
【0063】
本発明の第8の形態によれば、フロージェネレータを備えているCPAP装置に接続されたマスクシステムの空気流特性を決定する方法であって、前記マスクシステムは、空気配送ホースと、ディフューザを有する患者用インタフェースとを備えており、前記CPAP装置は、制御可能な空気送風機、フローセンサ、および圧力センサを備えており、前記方法は、前記空気配送ホースの空気流特性を提供し、前記患者用インタフェースを通る流れがふさがれているときに前記患者用インタフェースにおける圧力を測定し、前記患者用インタフェースがふさがれているときの前記圧力測定と、提供された、あるいは決定された前記空気配送ホースの前記空気流特性とを用いて、前記ディフューザの空気流特性を決定することを特徴とする。
【0064】
前記空気配送ホースの前記空気流特性は予め定められていてもよい。
【0065】
前記空気配送ホースの前記空気流特性は、前記患者用インタフェースを通る流れが開放されているときに測定されてもよい。
【0066】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0068】
図1〜3は、本発明の原理に応じて患者を治療するCPAP装置を示している。図示されている実施形態では、一般的に10で示されるCPAP装置は、制御可能な空気送風機すなわちフロージェネレータ12を備えている。フロージェネレータ12は、一般的に14で示される呼吸用マスクシステムに連通している。呼吸用マスクシステム14は、呼吸可能なガスを呼吸用マスクシステム14を通して患者に供給するように呼吸用マスクシステム14をフロージェネレータ12に接続する空気配送ホース16を有している。
【0069】
フロージェネレータ12は、例えば特定の流量および圧力で患者に呼吸可能なガスの供給を実現するように構成されている。図2および3に示されているように、フロージェネレータ12は、流量および圧力をそれぞれ測定するためのフローセンサ13と圧力センサ15とをフロージェネレータ12の出力17に有している。出力17は、好ましくは空気配送ホース17に接続されている。
【0070】
フロージェネレータ12は、テスト期間中に空気配送ホース16を通してマスクシステム14に、例えば酸素のような呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように構成されている。これは後で詳細に説明する。呼吸可能なガスの制御可能な供給源の複数の流れの測定、例えば流量および圧力の測定が、フロージェネレータ12の出力17でテスト期間中に行われる。
【0071】
フロージェネレータ12は、約0.25から約2cmHOの範囲の低い圧力で、例えば約100L/minまでの流量で呼吸可能なガスの供給源を滑らかにかつ正確に実現することができる。
【0072】
図1に最もよく示されているように、フロージェネレータ12は、ハウジング18内に設けられることができる。また、例えばプラスチックまたは金属のような十分に弾力性を有する材料から形成することができる。あるいは、フロージェネレータ12をハウジング18から離れて設けることもできる。
【0073】
ハウジング18は、その外側に形成された開口部あるいはスロット19を有していてもよく、それはCPAP装置10を運ぶためのハンドルとして用いられて得る。ハウジング18の弾力のある構造は、プロセッサ20、インペラ22、モータ24、サーボ制御回路26、ディスプレイ28、ユーザインタフェース30および制御部32の支持および保護に十分に役立つ。制御部32は、一般的に知られているように、プロセッサ20、インペラ22、モータ24、サーボ制御回路26、ディスプレイ28およびユーザインタフェース30の1つ以上の動作を制御するように構成されてもよい。
【0074】
図1においてわかるように、ユーザインタフェース30およびディスプレイ28は、CPAP装置10のハウジング18内に設けられており、特定のCPAP装置10に対して利用可能である様々な機能を制御し、操作するように構成されている。ユーザインタフェース30は、例えば、患者または医者といったユーザからの入力を受け付けるように、例えば、バーコード、キーボード、マウス、タッチスクリーン、リモートターミナル、あるいは音声によって作動するシステムの形態であってもよい。ディスプレイ28は、タッチスクリーンディスプレイまたはLCDディスプレイであってもよく、例えば、空気配送ホース16またはマスクシステム14の空気流特性、フローセンサ13によって測定される流量および圧力センサ15によって測定される圧力といった様々なパラメータを表示するように構成されてもよい。ディスプレイ28は、ユーザまたは患者が空気流特性測定を行う前に届けられる流れを最小にすることができるように指示とともに(フロージェネレータ12によって)届けられる流れを表示するように構成することができる。
【0075】
モータ24は、インペラ22を駆動するようにインペラ22に連結されている。インペラ22は、駆動時に呼吸可能なガスの供給源を生成し、そのガスが空気配送ホース16を通ってマスクシステム14に供給されることができる。
【0076】
プロセッサ20は、テスト期間中になされた複数の流れの測定を用いて呼吸用マスクシステム14の複数の空気流特性を決定するように構成され、配置されている。
【0077】
さらに、プロセッサ20は、特定の精度、例えば32ビットの浮動小数点まで様々な計算を行うことが可能であってもよい。プロセッサ20は、同様にして他の精度で計算を行うように構成され配置されてもよく、それは、例えば要求される計算および用途に依存する。
【0078】
サーボ制御回路26は、プロセッサ20およびフロージェネレータ20と協働して、マスクシステム14内の圧力を、例えば厳密に規定された誤差限界内で維持することを可能にする。
【0079】
以下に示す表1は、届けられる流れの精度、安定性および線形性、ならびに届けられる圧力の精度および安定性というような様々なシステムパラメータに関して、好ましい最小精度および好ましい最適精度のモデルを示している。
【表1】

図1〜3に示すように、空気配送ホース16はいかなる従来のホースであってもよい。しかしながら、急性のあるいは具合の悪い患者についての病院での臨床的な状況というようないくつかの用途においては、ホースシステム16に関して異なる用件が必要とされるかもしれない。特に、これらの状況においては、メンテナンスが継続して行われている抗菌フィルタが有用であり得る。
【0080】
この状況において、ホースを患者から外すたびに、ホースの簡略化した較正を自動的にあるいは手動で行ってもよい。この較正については後で詳述する。このシステムはまた、抗菌フィルタの使用を追跡して、抗菌フィルタが詰まって、変える必要があるときには警告することができる。
【0081】
マスクシステム14は、空気配送ホース16によってフロージェネレータ12が提供する空気供給源に接続される。マスクシステム14は、空気配送ホース16に一体的に取り付けられていてもよく、マスクシステム14の交換または互換性のためにクランプのような締め具で空気配送ホース16に接続されてもよい。空気供給源はマスクシステム14に整流されていない空気を届けてもよい。なぜなら、フロージェネレータ12と関連する圧力センサ15は、患者の息の相対的な強さによって患者が必要とする空気の圧力を決定するように構成されてもよいからである。
【0082】
マスクシステム14は、患者用インタフェースすなわちマスク34と、細長い突出部35とを有しており、空気配送ホース16に接続され得る。開口部の形態であるディフューザ36は細長い突出部35に形成されており、患者が吐き出した息を拡散する。本発明の実施形態による装置とともに他のマスクを用いてもよい。例えば、発明による装置は、MIRAGE(商標)マスク、ULTRA MIRAGE(商標)マスク、BUBBLE(商標)マスクあるいはMODULAR(商標)マスクというようなマスクシステムの流れの特性を決定するのに用いられてもよい。これらのマスクは全てオーストラリアのレスメッドリミテッドによって製造されている。
【0083】
患者用インタフェース34は、鼻用マスク、鼻と口とのマスク、顔全体のマスク、鼻用の突起(カニューレ)と鼻用枕というような異なる数多くの患者用インタフェースの中のいずれであってもよい。一般的に患者用インタフェース34は、患者の顔上にマスクシステム14を配置し、加圧された空気を与えることに起因する力と平衡をとるために、ヘッドギアのような何らかの形態のマスクを保持する特徴を有している。加圧された空気は、マスク34またはマスクシステム14を顔から離すように押そうとする。
【0084】
ディフューザ36は、パッシブあるいはセミアクティブであり得る。例えば、ディフューザ36は、空気が通り抜けることを可能にする一つの開口部、複数の開口部、あるいは部分的に覆われた、格子を付けられた等の一つまたは複数の開口部であり得る。
【0085】
マスク34は鼻用マスクとして示されており、ポリカーボネイトのような比較的剛性のある材料から構成された略三角形状のチャンバ38を有しており、使用時には、その開いている側が患者の顔に対して配置される。開いている側の縁、すなわち顔接触部40は、患者の顔上で密閉状態を形成するのに役立つ。顔接触部40は、典型的には患者の快適さを支援するように柔らかく、例えば発泡体、ゴムあるいはポリスチレンから形成されてもよい。
【0086】
患者の顔と顔接触部40との間には、リークのほとんどない良好な密閉状態が提供されなければならない。なぜならリークは、患者にとっては不快であるかもしれない空気の噴出や雑音を引き起こすからである。したがってマスク34は、例えばヘッドギアのストラップや他の部分を受けるための、マスク34の対向する側部から伸びるいくつものヘッドギア受け部42を有する。患者の快適さは重要であり、患者はマスク34を着用したまま眠るまたは休息するかもしれないので、マスク34のタイプを選択する際には患者の快適さを考慮しなければならない。
【0087】
発明の一実施形態によると、患者用インタフェース内の圧力は、管の特性が一旦決定されれば推定可能である。このような実施形態においては、わかっている管の特性と関連して、患者用インタフェース内の圧力を推定するためには、送風機出口での圧力と送風機出口での流れを決定することが必要であるのみである。したがって、このような実施形態は、患者用インタフェース内の圧力トランスデューサあるいはセンスチューブを介して患者用インタフェースに接続されている圧力トランスデューサを必要としない。さらに、発明のこのような実施形態は、マスク内に圧力トランスデューサを有していない、あるいはマスク内に圧力センスチューブを有していない商業的に入手可能である幅広い範囲のマスクと関連して用いられることが可能である。
【0088】
また、患者の気道の入口に届けられる圧力も患者用インタフェース34内で直接測定することができる。この場合、圧力センサ44、例えば圧力トランスデューサを患者用インタフェース34上あるいはその近傍に搭載してもよく、圧力センサは、ポートあるいはリンクセンスチューブ46によって、内部チャンバ38あるいはマスク34の突出部35と連通してもよい。あるいは、検出チューブ(sensing tube)を、患者用インタフェース34の適切なポートと、患者用インタフェース34から離れて、例えば空気送風機ハウジング18内に配置された圧力センサ(図示せず)との間に接続することもできる。
【0089】
他の実施形態では、図示していないが、CPAP装置は、マスク圧の正確な測定のために、マスク34から伸びている圧力チューブに連結された圧力不足アラームあるいは圧力超過アラームを有することもできる。この構成は、一般的には、可変圧力の養生法を提供するのに最も適している。圧力不足あるいは超過アラームは、ホースの圧力降下の継続的な正確なモデルを維持するようにフロージェネレータ12での圧力を測定することができ、それによってアラームシステムがフロージェネレータ12での圧力を測定することを可能にする。
【0090】
よくあるのマスクおよびホースシステムの特性を、フロージェネレータ内または取り外すことができる記憶媒体内に記憶することができる。あるいは、これらの共通の特性をキーボードあるいはバーコードを介して手動で入力することもできる。したがってCPAP装置は、例えばスロットを有していてもよく、このスロットは、よくあるマスクおよびホースシステムに関する集められたデータあるいは特性を記憶するために取り外し可能な記憶媒体をスロットに挿入することができるように構成される。スロットをCPAP装置のどこにでも都合よく配置することができるが、記憶媒体をCPAP装置10に挿入したり、CPAP装置10から取り外したりするときに必要な手間が最小限となるように配置されるべきである。
【0091】
取り外し可能な記憶媒体は、パーソナルコンピュータ、携帯端末、カメラ、およびプリンタで一般的に互換性のある、最小でも数百メガバイトを記憶することができる磁気あるいはフラッシュタイプの記憶媒体であり得る。
【0092】
また、取り外し可能な記憶媒体は、マスクシステム14についての情報を含むことができ、あるいは例えば医者によって提供される他のパラメータを含んでもよい。この場合には、取り外し可能な記憶媒体は読み書き可能であろうし、患者または医者が取り外し可能な記憶媒体に与える情報は、あるパラメータを制御するためにCPAP装置10によって利用されることができる。例えば、異なるマスクは異なる流れの特性を有しており、マスクについての情報を、CPAP装置がそれにしたがって提供する空気圧あるいは流量を変更することができるように、取り外し可能な記録媒体に提供することは有用である。この場合には患者は安価にマスクを変えることができるようになる。なぜならマスク情報および特性を、例えば異なるマスクに対応するように容易に変更することができるからである。各特性のマスクについてのデータは、マスク製造者によって提供され得、患者がマスクを購入するときに、患者は単にカードをCPAP装置10に挿入することができ、装置はそれに従って自身を再構成する。
【0093】
CPAP装置10において、フロージェネレータ12を、空気配送ホース16を通って患者に届けられる圧力の粗い制御を与えるような与えられた速度範囲内で動作するように予め設定してもよい。しかしながら、患者用インタフェースでの実際の圧力は、呼吸サイクルを通じて変化する。例えば、患者または他のユーザが吸い込むと患者用インタフェースで測定される圧力は増加するのに対して、息を吐いている間は測定圧力は減少する。患者に対する平均的な空気流は、ゼロと仮定される。なぜなら患者に供給される空気は、患者が吐き出す空気と事実上つりあっているからである。
【0094】
患者の気道の入口に届けられる圧力は、以下に詳述するように、フロージェネレータ12の出力17での圧力を測定し、関連する管および患者用インタフェースのわかっている特性に応じた補正係数を適用することによって推定可能である。
【0095】
大半のマスクシステムでは、リークする流れの可能性が存在する。例えば、もしマスクが顔の上に適切に配置されていなければ、あるいは特定の顔に合っていなければ、マスクの顔接触部の周縁部のあたりでリークがあり得る。いくつかの用途においては、例えば自発呼吸している患者において、フロージェネレータ12からの空気流を患者の呼吸活動と正しく同期させるのに役立つように患者の呼吸のシステムからのリークを正確に測定することが重要である。
【0096】
表1に示すように、流れおよび圧力の測定の精度は、得られるマスクリークの精度に直接的な影響を及ぼす。しかしながらこの精度は、マスクリークのゼロ点の精度には影響しない。測定のいかなるゼロドリフトも、マスクリークのスケールおよびゼロの両方ともに影響しない。
【0097】
マスクの構成要素(例えば、ホースの圧力降下、マスクディフューザの流れ、および他のいかなるリーク)を流れに関して圧力降下の二次式として示すモデルを、次の二次式で表すことができる。
【数5】

Aの項は、流れに比例する摩擦損失に帰するものであり、Bの項はベルヌーイの式に基づいており、ここで圧力降下は流れの二乗(Flow)に比例している。
【0098】
マスクのリークのより正確な測定のために、マスクシステム14を通る流れを塞ぐように、フローブロック部材50(図3)を患者用インタフェース34と突出部35との間に設けることができる。適切なかみ合いを確実にするために、フローブロック部材50の形状は、患者用インタフェース34の形状に対して相補的なものである。またフローブロック部材50の形状は、人間の鼻、人間の顔あるいは患者の顔を表現するようなものであってもよい。フローブロック部材50は、異なる構成の数多くのマスクにおける流れを塞ぐのに役立つような形状であってもよい。フローブロック部材50は、なくなったりしないように、かつ容易に患者に触ることができるままであるようにフロージェネレータ12に貼り付けられてよい。あるいはフローブロック部材50は、フロージェネレータ12への取り付けがない状態にすることも可能である。
【0099】
ここで図4を参照する。図4には、発明の原理に基づく異なるマスクシステムを特徴付ける方法が示されている。この方法は、ホース16での圧力降下、マスクディフューザ36の流れ、およびマスクシステム14における何らかの他のリークというようなマスク構成要素の様々な特性のモデルを示すことができる。
【0100】
図4において、フローチャートは、発明の原理による異なるマスクシステムを特徴付ける方法を表すために用いられる。400でこの方法が始まる。402で、フロージェネレータ12に関連している圧力センサ15がゼロとされ、404で、フロージェネレータ12に関連しているフローセンサ13がゼロにされる。データを集めている間、フローセンサ13によって測定された得られた流れと、圧力センサ15によって測定された得られた圧力は、できるだけ一定に保たれなければならない。
【0101】
406で、空気配送ホース16における圧力降下が第一のテスト流量で測定される。408で、空気配送ホース16における圧力降下が第二のテスト流量で測定される。空気配送ホース16の空気流特性を決定あるいは計算するために、定数Hose AおよびHose Bを有する二次式を用いることができる。この二次式は以下のように表される。
【数6】

第一および第二の流量での空気配送ホース16における圧力降下は、それぞれyおよびYで表される。低い方の流量および高い方の流量でのディフューザ36におけるリークは、それぞれxおよびXで表される。これらの構成要素の典型的な圧力/流れの特性のポジティブな二次的な性質、第一及び第二の流量(あるいは圧力)は、一方は高い値で、他方は高い値の半分でという実質的によりよい解決策が提供される。この関係を図5に示す。ここでテスト1はテスト2の値の半分の値を有する流量であり、テスト2が高い値を有する流量である。図5において、直線100からの最大線形偏差(約5%)は、テスト1によって表される流量に対応して示されており、これは高い値の半分の値に等しい値である。
【0102】
マスクの構成手順は、表2に示すように、次の測定を生成する。これらの測定は、上述したマスクシステムモデルに関するAおよびBの係数を生成するために解析される。
【表2】

表2に示されている値は例示的なものに過ぎず、限定するものではなく、理解のためだけに提供されるものである。
【0103】
ディフューザについての真のテスト圧力(TrueDiffTP1、TrueDiffTP2)は、次の式を用い、HoseAおよびHoseBを用いて計算することができる。TrueDiffTP1 = DiffTP1− Hose A * HoseTF1 - Hose B * HoseATF1、および、TrueDiffTP2 = DiffTP2− Hose A * HoseTF2 - Hose B * HoseATF2。ここで、DiffTP1は、ディフューザに関する低い方の圧力でのディフューザの流れであり、DiffTP2は、ディフューザに関する高い方の圧力でのディフューザの流れである。
【0104】
このようにして、マスク内に圧力トランスデューサ、あるいはマスクに直接接続された圧力トランスデューサを必要とすることなく、わかっているホース特性からマスク圧を推定することができる。
【0105】
410で、装置10はユーザに、マスク34またはマスクシステム14を塞いでいるかどうかの判断について促す。412で示すように、もし呼吸用マスク34が開かれていれば、装置10は、ユーザが例えばフローブロック部材50でマスク34を塞ぐまでユーザを促しつづける。414で示すように、もしマスク34が塞がれていれば、第一のテスト圧がディフューザ36に与えられる。マスク34は、例えばフローブロック部材50を例えばマスク34の患者用インタフェースに隣接して配置することによって、塞ぐことができる。
【0106】
416で、第一のテスト圧、あるいは得られた空気の流れが、CPAP装置10のディスプレイ上に表示される。418で、CPAP装置は、マスクシステム14がリークしているかどうかを判断するようにユーザに促す。もしそうであれば、420で、制御は410に戻る。もしそうでなければ、制御は424に進み、そこで第一のテスト圧でのディフューザ36の流れが測定され、その後に、426で、CPAP装置は患者すなわちユーザに、マスクをフローブロック部材50で塞いだままにするようにと促す(実際には念を押す)。428で、第二のテスト圧(通常は第一のテスト圧よりも低い圧力であるが、必ずしも低くなくてもよい)ディフューザ36のディフューザの流れの測定が行われ、その後に、430で、CPAP装置は患者すなわちユーザに、マスク34をフローブロック部材50で塞いだままにしておくように促す(実際には念を押す)。第一および第二の圧力でディフューザの流れを測定した後、ユーザは、432でCPAP装置を止めるように促される。434で処理が始まる。
【0107】
例えばプロセッサでの処理の間、マスク34の空気流特性を決定あるいは計算するために、定数Diff AおよびDiff Bを有する二次式を用いることができる。この二次式は次のように表される。
【数7】

ここで、vはディフューザ36に関する低い方の圧力であり、Vはディフューザに関する高い方の圧力であり、zはディフューザ36に関する真の低い方の圧力であり、Zはディフューザ36に関する真の高い方の圧力である。
【0108】
他の実施形態では、フロージェネレータ12のバックグラウンドのレベルを、ディフューザのテスト中に、バックグラウンドの雑音として特徴付けるように測定することができる。このバックグラウンドレベルを未処理のいびき信号から引いて、CPAP装置10およびいびきを測定する他のフロージェネレータ上での真のいびきレベルを導き出すことができる。この手順は、フローブロック部材50がこのようにして動作するあるタイプのいびきのもとを有している場合に、いびきのスケールファクターを較正するのに用いられ得る。
【0109】
図5に示されている測定にしたがって、テスト圧または流れは、約10秒から約20秒の間実質的に一定に保持され、平均の流れおよび圧力がこのテスト期間中に記録される。
【0110】
この動作中に、マスクシステム14は、いかなるリークをもあらわにするために最高テスト圧で加圧される。これは、ディスプレイ上で表示される流れを観察して、例えば表示される流れが実質的に一定のままで最小であるようにフローブロック部材50を調整することによって確認することができる。
【0111】
動作および上述した方法の実行中に、マスクの特徴付けが正しいかどうかを確認する数多くの整合性のチェックがある。これは436で行われ得る。もし特徴付けが正しければ、この方法は終了する。もし特徴付けが何らかの理由で正しくなければ、この方法は、400でやり直されるが、特徴付けが正しければ方法は440で終了する。
【0112】
図4に記載した方法の原理をさらに示すために、ある仮定的な例を以下に説明する。その結果を表3に示す。
【0113】
40L/minのテスト流について、例えば、圧力降下=HoseA*F + HoseB*F = 0.75cmH2Oである。もし仮定上のマスクシステムがマスク圧20cmH2Oで50L/minの流れのディフューザリークを有していると、これの10cmHOは線形の要素であり、2つのディフューザ定数はDiffA = 0.2およびDiffB = 4*10−3となる。20L/minのテスト流では、テスト圧(マスクでの)は5.6cmHOとなる。
【0114】
このディフューザテスト流についてホースの圧力降下を計算するために、以下の式が用いられる。ホースの降下=HoseA*F + HoseB*F。20L/minの流れでは、ホースの圧力降下=0.3125cmHOであり、ディフューザテスト圧(フロージェネレータでの)=5.9125cmHOである。しかし50L/minの流れでは、ホースの圧力降下=1.015652cmHOであり、ディフューザのテスト圧(フロージェネレータでの)=21.01562cmHOである。
【0115】
表3を以下に示す。我々の例についての結果をまとめている。
【表3】

上述した圧力およびフローセンサにおける二乗非線形性は、このシステムに最小の影響しか与えない。なぜならこれらはマスクシステムの二乗特性に付加され、したがって図4に述べられている方法へ自動的に較正される傾向にあるからである。さらに、フローおよび圧力センサのゼロ点における誤差は、図4に述べられている方法の間蓄積される。
【0116】
発明の原理に従って上で示されて説明された関数は、いかなるタイプのプログラム言語で実行されることができる。一般的なソースコードのフラグメントの例を、添付している。この一般的なソースコードのフラグメントは、例えばC++のような汎用的なコンピュータ言語で示されている。しかし、他の汎用的なプログラム言語あるいはプログラムで実行されてもよい。
【0117】
発明の他の形態では、送風機すなわちフロージェネレータを備えている装置が提供され、送風機は、圧力およびフローセンサを有している。この装置はユーザに促すためのディスプレイと、マスクブロック部材とを備えている。この装置は、表4に示す一連のステップを行うようにプログラムされる。表4は、各ステップの間にフロージェネレータが行うこと、ユーザが行うように促されること、およびそれにユーザがどう対応すべきかを示している。最初のステップでは、システムはゼロにされる。ステップ2および3は、ホース特性が測定されるシークエンスの一部を構成する。ステップ4および5において、ユーザはマスクを塞ぐように促され、続いて塞いでいることが確認される。ステップ6および7において、マスクを塞いだままディフューザ特性が測定される。最後にステップ8および9において、前のステップの間に集められたデータが処理されて、管の特性およびディフューザの特性が決定される。またステップ9において、データおよび結果が整合性をチェックされる。
【表4】

注記:
1.全ての測定について、テスト圧あるいは流れは10から20秒間安定しているように保持されなければならず、この期間中に平均の流れおよび圧力が記録される。
2.ステップ2および3の間の測定圧力は、非常に低い(0.2〜2cmH2O)。これは、異常に低い(CPAPについて)圧力でのファンの正確かつ安定した制御を必然的に伴う。この制御の理想的なモードは、一定の流れを届けることである。
3.ステップ5において、良好なリークに耐え得る密閉状態はブロック部材を用いて提供される。このステップの間、マスクはいかなるリークをもあらわにするように最高テスト圧で加圧される。これは、表示される流れを観察し、これが安定し、かつ最小であるようにブロック部材を調節することによってチェックすることができる。
4.特徴付けを確認するためにステップ8において行われ得る数多くの整合性のチェックがある。これらのいくつかは、
・テスト圧および流れの境界のチェック
・ホースの降下およびディフューザのリークのモデルに関するAおよびBの係数についての期待値のチェック
・AおよびBの係数のどちらも負でないことのチェック(圧力流れ曲線は、増加する勾配を有していなければならない)
である。
【0118】
説明した実施形態のこれまでの描写は、当業者が本発明を作るまたは使うことを可能にするように提供されている。例えば、発明は、アナログまたはデジタル回路として、配線で構成された回路として、特定の用途用の集積回路へ製造される回路構成として、あるいは不揮発性記憶装置にロードされるファームウェアプログラム、またはマイクロプロセッサまたは他のデジタル信号処理ユニットのような論理素子のアレイによって実行可能な指示であるようなコードのように機械で読み取り可能なコードとしてデータ記憶媒体からロードされる、あるいはデータ記憶媒体へロードされるソフトウェアプログラムとして、全体的にあるいは部分的に実行されてもよい。
【0119】
他の例では、発明による装置および方法は、ディフューザの特性を決定するために予め決定されている管の特性を用いてもよい。このようにして、2つのステップ、すなわち、マスクが塞がれていない第一の部分とマスクが塞がれている第二の部分とを用いる特徴付け手順の代わりに、特徴付け手順は第二のステップしか必要としない。第一のステップはそれよりも早い段階で既に行われている。したがって、もし専門家あるいは医者がある完全な特徴付けと行い、それが管およびマスクディフューザの両方であり、その後の段階でマスクおよびディフューザを変えるだけであれば、管の特徴付けを再び行う必要はない。あるいは、その特性が既にわかっており(例えば、工場でのテストで決定された)、装置に記憶されているような管とともに装置が用いられるとすると、上記手順の第二のステップのみが必要とされる。
【0120】
したがって、本発明を上で示した実施形態に限定することは意図しておらず、本発明は、ここで何らかの形で開示された原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲に合わせられるべきである。
【0121】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。



【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の原理に基づくCPAP装置を示す図である。
【図2】図1に示されているCPAP装置の概略図であり、患者への空気流は開放されている。
【図3】図1に示されているCPAP装置の概略図であり、患者への空気流派ふさがれている。
【図4】本発明の原理に基づく方法を示す図である。
【図5】図1に示されているCPAP装置に関する、圧力対流れを示す図である。
【符号の説明】
【0123】
10 CPAP装置
12 フロージェネレータ
13、15 センサ
14 マスクシステム
16 ホース
34 患者用インタフェース
36 ディフューザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロージェネレータを備えているCPAP装置に接続されたマスクシステムの空気流特性を決定する方法であって、前記マスクシステムは、空気配送ホースと、ディフューザを有する患者用インタフェースとを有しており、前記フロージェネレータは、制御可能な空気送風機とフローセンサと圧力センサとを有しており、前記方法は、
前記患者用インタフェースを通る流れが開放されている第一のテスト期間中になされた流れの測定を用いて前記空気配送ホースの空気流特性を決定し、
前記患者用インタフェースを通る前記流れが塞がれている第二のテスト期間中に前記患者用インタフェースにおける圧力を測定し、
前記第一のテスト期間中に決定された前記空気配送ホースの前記空気流特性および前記第二テスト期間中になされた前記圧力測定を用いて前記ディフューザの空気流特性を決定することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記空気配送ホースの前記空気流特性および前記ディフューザの前記空気流特性を処理することをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気配送ホースの前記空気流特性の決定は、2つのホース定数を有する二次式の関数として計算されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記2つのホース定数は、
【数1】

を備えており、xは前記空気配送ホースの低い方の空気流であり、Xは前記空気配送ホースの高い方の空気流であり、yは前記低い方の空気流での前記空気配送ホース内の圧力降下であり、Yは前記高い方の空気流での前記空気配送ホース内の圧力降下であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記2つのホース定数(Hose A、Hose B)は前記ディフューザについての真の低い方のテスト圧(TrueDiffTP1)および真の高い方のテスト圧(TrueDiffTP2)を計算するために用いられ、
前記真の低い方のテスト圧は、TrueDiffTP1 = DiffTP1 − HoseA*x − HoseB*HoseA(x)2として定義され、ここでDiffTP1は前記ディフューザについての低い方の圧力での前記ディフューザの流れであり、
前記真の高い方のテスト圧は、TrueDiffTP2 = DiffTP2 − HoseA*X − HoseB*HoseA(X)2として定義され、ここでDiffTP2は前記ディフューザについての高い方の圧力での前記ディフューザの流れであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マスクシステムの前記空気流特性の決定は、2つのディフューザ定数(Diff A、Diff B)を有する二次式の関数として計算されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記2つのディフューザ定数は、
【数2】

を備えており、vは前記ディフューザについての低い方の圧力であり、Vは前記ディフューザについての高い方の圧力であり、zは前記ディフューザについての真の低い方の圧力であり、Zは前記ディフューザについての真の高い方の圧力であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者用インタフェースの形状に相補的な形状を有するフローブロック部材で前記患者用インタフェースを塞ぐことをさらに備えていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記フローブロック部材の前記形状は、人間の鼻および人間の顔の少なくとも一方を表していることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フローブロック部材を前記患者用インタフェースに貼ることをさらに備えていることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
CPAP装置のフロージェネレータに接続された空気配送ホースの空気流特性を決定する方法であって、前記フロージェネレータは、制御可能な空気送風機と、フローセンサと、圧力センサとを有しており、前記方法は、
テスト期間中に前記制御可能な空気送風機を通る空気流量を測定し、
前記テスト期間中になされた前記流量測定を用いて前記空気配送ホースの空気流特性を決定することを特徴とする、方法。
【請求項12】
呼吸可能なガスの制御可能な供給源に接続されたマスクシステムの空気流特性を決定する方法であって、前記マスクシステムは、空気配送ホースと患者用インタフェースとを有しており、前記方法は、
前記マスクシステムが開放されている圧力が制御されたテスト期間中に前記呼吸可能なガスの制御可能な供給源での空気流量を測定し、
前記マスクシステムがふさがれている流れが制御されたテスト期間中に前記呼吸可能なガスの制御可能な供給源での圧力を測定し、
前記圧力が制御されたテスト期間および前記流れが制御されたテスト期間中にそれぞれ測定された圧力および空気流量に基づいて、前記マスクシステムの空気流特性を決定することを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記圧力が制御されたテスト期間中に、第一の実質的に一定の圧力で空気を届け、続いて第二の実質的に一定の圧力で空気を届けるように呼吸可能ガスの前記供給源を制御することをさらに備えていることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の実質的に一定の圧力は、前記第二の実質的に一定の圧力よりも低いことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記流れが制御されたテスト期間中に第一の実質的に一定の流量で空気を届け、続いて第二の実質的に一定の流量で空気を届けるように呼吸可能ガスの前記供給源を制御することをさらに備えていることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記第一の実質的に一定の流量は、前記第二の実質的に一定の流量よりも低いことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
患者の治療に有用なCPAP装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングと連通している呼吸用マスクシステムであって、空気配送ホースと、ディフューザを有している患者用インタフェースとを備えている呼吸用マスクシステムと、
前記患者に呼吸可能なガスの供給を届けるように構成されており、前記ハウジングに関連しており、テスト期間中に前記空気配送ホースを通して前記患者用インタフェースに呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であるフロージェネレータであって、呼吸可能なガスの前記制御可能な供給源の複数の流れの測定が前記テスト期間中に行われる、フロージェネレータと、
前記テスト期間中になされた前記複数の流れの測定に少なくとも基づいて、前記呼吸用マスクシステムの複数の空気流特性を決定するように構成されたプロセッサと
を備えていることを特徴とする、CPAP装置。
【請求項18】
前記フロージェネレータはフローセンサを有しており、該フローセンサは、前記患者用インタフェースを通る流れが開放されている前記テスト期間中に前記患者用インタフェースを通る少なくとも1つの空気流を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項17に記載のCPAP装置。
【請求項19】
前記フロージェネレータは圧力センサを有しており、該圧力センサは、前記患者用インタフェースを通る前記流れが塞がれている前記テスト期間中に前記患者用インタフェースにおける少なくとも1つの圧力を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項17または18に記載のCPAP装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記テスト期間の第一の部分中に決定された前記空気配送ホースの前記空気流特性、および前記テスト期間の第二の部分中になされた前記圧力測定を用いて前記ディフューザの空気流特性を決定するように構成されていることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1つに記載のCPAP装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記空気配送ホースの前記空気流特性を2つのホース定数を用いた二次式の関数として計算するように構成されていることを特徴とする、請求項17〜20のいずれか1つに記載のCPAP装置。
【請求項22】
前記2つのホース定数は、
【数3】

を備えており、xは前記空気配送ホースの低い方の空気流であり、Xは前記空気配送ホースの高い方の空気流であり、yは前記低い方の空気流での前記空気配送ホース内の圧力降下であり、Yは前記高い方の空気流での前記空気配送ホース内の圧力降下であることを特徴とする、請求項21に記載のCPAP装置。
【請求項23】
前記2つのホース定数(Hose A、Hose B)は前記ディフューザについての真の低い方のテスト圧(TrueDiffTP1)および真の高い方のテスト圧(TrueDiffTP2)を計算するために用いられ、
前記真の低い方のテスト圧は、TrueDiffTP1 = DiffTP1 − HoseA*x − HoseB*HoseA(x)2として定義され、ここでDiffTP1は前記ディフューザについての低い方の圧力での前記ディフューザの流れであり、
前記真の高い方のテスト圧は、TrueDiffTP2 = DiffTP2 − HoseA*X − HoseB*HoseA(X)2として定義され、ここでDiffTP2は前記ディフューザについての高い方の圧力での前記ディフューザの流れであることを特徴とする、請求項22に記載のCPAP装置。
【請求項24】
前記マスクシステムの前記空気流特性の決定は、2つのディフューザ定数(Diff A、Diff B)を有する二次式の関数として計算されることを特徴とする、請求項17から23のいずれか1つに記載のCPAP装置。
【請求項25】
前記2つのディフューザ定数は、
【数4】

を備えており、vは前記ディフューザについての低い方の圧力であり、Vは前記ディフューザについての高い方の圧力であり、zは前記ディフューザについての真の低い方の圧力であり、Zは前記ディフューザについての真の高い方の圧力であることを特徴とする、請求項24に記載のCPAP装置。
【請求項26】
前記CPAP装置は前記患者用インタフェースを塞ぐように構成されたフローブロック部材をさらに備えており、前記フローブロック部材(50)は、前記患者用インタフェースの形状に相補的な形状を有していることを特徴とする、請求項17〜25のいずれか1つに記載のCPAP装置。
【請求項27】
前記フローブロック部材の前記形状は、人間の鼻および人間の顔の少なくとも一方を表現していることを特徴とする、請求項26に記載のCPAP装置。
【請求項28】
前記フローブロック部材は前記患者用インタフェースに貼り付けられることを特徴とする、請求項26または27に記載のCPAP装置。
【請求項29】
前記患者用インタフェースは空気を通すように構成されており、前記ディフューザは、前記患者の呼吸サイクルの息を吐くフェーズ中に吐き出された息を前記ディフューザを通して拡散するように構成されていることを特徴とする、請求項17〜28のいずれか1つに記載のCPAP装置。
【請求項30】
請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法を行うための機会で実行可能な指示を含んでいる機械で読み取り可能な媒体。
【請求項31】
患者の治療に有用なCPAP装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングと連通している呼吸用マスクシステムであって、空気配送ホースと、ディフューザ開口部を有する患者用インタフェースとを備えている呼吸用マスクと、
前記患者に呼吸可能なガスの供給を届けるように構成されており、前記ハウジングに関連しており、テスト期間中に前記空気配送ホースを通して前記患者用インタフェースへ呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であるフロージェネレータであって、前記テスト期間中に呼吸可能なガスの前記制御可能な供給源の複数の流れの測定が行われる、フロージェネレータと、
前記患者用インタフェースを通る流れが開放されている前記テスト期間の第一の部分中になされた流れの測定を用いて、前記空気配送ホースの空気流特性を決定する手段と、
前記患者用インタフェースを通る前記流れがふさがれている前記テスト期間の第二の部分中に前記患者用インタフェースにおける圧力を測定する手段と、
前記テスト期間の前記第一の部分中に決定された前記空気配送ホースの前記空気流特性および前記テスト期間の前記第二の部分中になされた前記圧力測定を用いて、前記開口部の空気流特性を決定する手段と
を備えていることを特徴とする、CPAP装置。
【請求項32】
空気配送ホースと、ディフューザを有する患者用インタフェースとを備えている呼吸用マスクシステムとともに用いられるCPAP装置であって、
ハウジングと、
前記患者に呼吸可能なガスの供給を届けるように構成されており、前記ハウジングに関連しており、テスト期間中に前記空気配送ホースを通して前記患者用インタフェースに呼吸可能なガスの制御可能な供給源を供給するように制御可能であるフロージェネレータであって、呼吸可能なガスの前記制御可能な供給源の複数の流れの測定が前記テスト期間中になされる、フロージェネレータと、
前記テスト期間中になされた前記複数の流れの測定に少なくとも基づいて、前記呼吸用マスクシステムの複数の空気流特性を決定するように構成されたプロセッサと
を備えていることを特徴とする、CPAP装置。
【請求項33】
請求項32のCPAP装置とともに用いられる呼吸用マスクシステム。
【請求項34】
ディフューザと空気配送ホースとを有するマスクシステムとともに用いられるCPAP装置のフロージェネレータを較正する方法であって、前記空気配送ホースは、前記フロージェネレータと前記マスクシステムとを接続し、前記方法は、
前記マスクシステムを通る流れが開放されているときに前記空気配送ホースにおける圧力降下をあらわす2つの異なる空気流を前記フロージェネレータに与え、
前記ディフューザの流れおよび前記マスクシステムからの他のリークをあらわす2つの異なる圧力を前記マスクシステムに与え、
前記マスクシステムに前記2つの異なる圧力が与えられている間、前記マスクシステムを通る流れを塞ぐ
ことを特徴とする方法。
【請求項35】
フロージェネレータを備えているCPAP装置に接続されたマスクシステムの空気流特性を決定する方法であって、前記マスクシステムは、空気配送ホースと、ディフューザを有する患者用インタフェースとを備えており、前記CPAP装置は、制御可能な空気送風機、フローセンサ、および圧力センサを備えており、前記方法は、
前記空気配送ホースの空気流特性を提供し、
前記患者用インタフェースを通る流れがふさがれているときに前記患者用インタフェースにおける圧力を測定し、
前記患者用インタフェースがふさがれているときの前記圧力測定と、提供された、あるいは決定された前記空気配送ホースの前記空気流特性とを用いて、前記ディフューザの空気流特性を決定することを特徴とする、方法。
【請求項36】
前記空気配送ホースの前記空気流特性は予め定められていることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記空気配送ホースの前記空気流特性は、前記患者用インタフェースを通る流れが開放されているときに測定されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
請求項1〜16および34〜37のいずれか1つに記載の方法を行うCPAP装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−67667(P2011−67667A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−580(P2011−580)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【分割の表示】特願2008−65275(P2008−65275)の分割
【原出願日】平成13年12月24日(2001.12.24)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD