説明

マスク保管用ケース

【課題】簡単な操作を通じてマスクをコンパクトかつ適正に折り畳んで確実に閉止、保管し得るようにしたマスク保管用ケースを提供する。
【解決手段】接続部3Aを介して開閉可能に接続された定型性のあるケース本体1と蓋2の間のマスク収容空間SにマスクMを折り畳んで収容するようにしたものであって、マスク収容空間Sと接続部3Aとの間を仕切る位置にインナーカバー5を、開放時に蓋2に連動して開き、閉止時に蓋2に連動してマスク収容空間S側に閉じる状態で設けることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な操作を通じてマスクをコンパクトかつ適正に折り畳んで保管し得るようにしたマスク保管用ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、感染性の強いインフルエンザの流行等により、マスクの需要が高まっており、不測の事態に備えて防災等の観点からも平素よりマスクを備蓄、携帯しておく人も急増している。
【0003】
このようなマスクは、通勤時の人混みのように装着が欠かせない場面だけではなく、会議や飲食時のように一時的に外さなければならない場面や、単に携帯しているだけの場面のように、常時装着しているわけではない。
【0004】
このような不使用時に、無造作にマスクをポケット等にしまい込むと不衛生であるほか二次感染の恐れがあり、都度マスクを使い捨てるのでは無駄が多く、エコロジーにも反する。
【0005】
これらの不具合を解消する上で参考になるものとして、マスクを一時的に保管するための保管用ケースが考えられている(例えば特許文献1、2等参照)。これらの文献では、マスクを構成する耳掛け紐を口当て部分であるマスク本体ともどもケース内に開閉可能に収容するようにした蓋構造にしたり、不要時にマスクを清潔な状態で保管できるようにケースの内部に薬剤等を収容したもの等が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2のものは、マスクを展開した状態で収納するために、ケースが大きくなって取扱いに不便であり、また、いわゆる立体マスクと称されるものは展開状態で立体をなし折り畳んだ状態で平面をなすため、折り畳んだときのマスクよりもケースが異様に大きいものとなって無駄も多くなる。
【0007】
そこで、特許文献3のように、ケース本体と蓋の間にマスクを2つに折り畳んで収容するようにしたものも考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3158159号公報
【特許文献2】実開平06−48698号公報
【特許文献3】特開2005−613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3のものは、布製であるケース本体と蓋の間にマスクを2つに折り畳んで収容し、接続辺以外の3辺をファスナーで閉じるようにしているので、マスクの紐がファスナーに食い込み易く、密閉性やマスクの形状保持性も悪いうえに、閉じた状態のケースがぶ厚くなってやはり取り扱いに不便である。マスクの紐を接続辺側に向けて収容することでファスナーへの食い込みをある程度防止することは可能であるが、密閉性やマスクの形状保持性、ぶ厚くなる点に関する問題は依然として解消されない。
【0010】
そこで、樹脂等を素材とする定型性を有したケース本体と蓋の間を接続部で開閉可能に接続し、マスクを折り畳んで収容するように構成することが有効な手段として考えられるが、紐が飛び出さないように接続部側に紐を向けてマスクを収容すると、紐が接続部に食い込んで、蓋の閉止状態が不十分になり易くなる。特に、密閉性を担保するために、閉止時にマスク収容空間の周囲をシールするシール部をケース本体と蓋の間に設けた場合には、マスクの紐がシール部に入り込んで密閉性も損なわれるものとなる。
【0011】
本発明は、このような課題を解消すべく、定型性のあるケース本体と蓋を用い、簡単な操作を通じてマスクをコンパクトかつ適正に折り畳んで確実に閉止、保管し得るようにしたマスク保管用ケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0013】
すなわち、本発明のマスク保管用ケースは、接続部を介して開閉可能に接続された定型性のあるケース本体と蓋の間のマスク収容空間にマスクを折り畳んで収容するようにしたものであって、前記マスク収容空間と前記接続部との間を仕切る位置にインナーカバーを、開放時に蓋に連動して開き、閉止時に蓋に連動してマスク収容空間側に閉じる状態で設けたことを特徴とする。
【0014】
ここに、定型性があるとは、樹脂や金属等のように形が定常的であって、布で作った場合のような可撓性に乏しいものを言う。
【0015】
このようにすれば、ケースが折り畳んだマスクの大きさに対応するコンパクトなもので済み、定型性を有しているため薄肉にしても収容したマスクが皺になること等を防止することができる。しかも、インナーカバーを設けることによって、折り畳んだマスクのマスク本体や耳掛け紐が接続部と干渉することを防止して、適切な閉止状態を得ることができ。さらに、マスク収容空間側に閉じられる際にインナーカバーにマスク本体や紐の折り畳みを補助する役割を担わせることも容易に可能となり、インナーカバーが開閉動作と干渉することも有効に回避することができる。
【0016】
前記ケース本体と前記蓋の間に、閉止時にマスク収容空間の周囲をシールするシール部が設けられている場合に、マスク収納空間の密閉性を有効に担保するためには、前記接続部をそのシール部よりも外側へオフセットした位置に配置し、前記インナーカバーを当該シール部の内側に設けることが望ましい。
【0017】
マスクをマスク収納空間に適切に収容するためには、前記ケース本体に、前記蓋とは別異の方向に開閉可能なように接続部を介してマスク保持部材を接続し、このマスク保持部材を収容空間側に閉じた際にマスクを折り畳んだ状態に保持し、その上から前記インナーカバーを前記蓋に連動して収容空間側に閉じ得るように構成していることが好ましい。
【0018】
具体的には、マスク保持部材に、マスクの一部と係合する係合部を設け、開いた位置にある当該マスク保持部材の係合部に折り畳んだ状態で係合させたマスクを、マスク収容空間側に閉じる動作によって当該マスク収容空間内に導入し得るようにしていることも好適である。
【0019】
また、マスク保持部材に、マスクの一部と係合する係合部を設け、開いた位置にある当該マスク保持部材の係合部に係合させたマスクを、マスク収容空間側に閉じる動作に伴って折り畳みながらマスク収容空間内に導入し得るようにしていることも好適である。
【0020】
この場合、マスク保持部材それ自体が、複数の折り畳み片によって折り畳み展開可能に構成されており、マスク保持部材を閉じる方向にマスクを3つ折り以上に折り畳み得るようにしていることが望ましい。
【0021】
マスク保持部材がマスク収容空間側に閉じた際に当該マスク収容空間に略対応する形状をなす板状のものである場合には、内部の通気性を担保するために、マスク保持部材の一部に肉厚方向の貫通孔を設けていることが効果的である。
【0022】
マスクを簡単に取り出し可能とするためには、ケース本体と蓋の間に、蓋を閉じる動作に伴って反発力を蓄積する弾性部材と、閉止位置で蓋の開放を規制する係止部と、係止部の規制を解除する解除部とを設けていることが望ましい。
【0023】
或いは、ケース本体とマスク保持部材の間に、マスク保持部材を閉じる動作に伴って反発力を蓄積する弾性部材と、閉止位置で蓋の開放を規制することを通じてマスク保持部材の開き動作を規制する係止部と、係止部の規制を解除する解除部とを設けているものも好適である。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以上説明した構成であるから、定型性のあるケース本体と蓋を用い、簡単な操作を通じてマスクをコンパクトかつ適正に折り畳んで確実に閉止、保管するとともに、随時随所にて簡単に取り出して利用できるようにした、使い勝手に優れたマスク保管用ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るマスク保管用ケースの分解斜視図。
【図2】同マスク保管用ケースの展開状態を示す斜視図。
【図3】同マスク保管用ケースの折り畳み途中の状態を示す斜視図。
【図4】同マスク保管用ケースの折り畳み途中の状態を示す斜視図。
【図5】同マスク保管用ケースの折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図6】同マスク保管用ケースの他の使用例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
図1及び図2は、本実施形態のマスク保管用ケースを示している。このマスク保管用ケースは、平面視長方形状をなし、ケース本体1と蓋2とで作った樹脂製のハードケースタイプのものである。
【0028】
ケース本体1は、矩形状をなす底部11の四辺に起立壁12、13、14、15を有した上方に開口する扁平な箱状のもので、これらの起立壁12、13、14、15の上面には溝が周回して設けられ、その溝にパッキンpが埋設されている。
【0029】
蓋2は、矩形状をなす頂部21を主体とする板状のもので、前記パッキンpに対応する位置に垂下壁22、23、24、25が周回して設けられている。
【0030】
そして、ケース本体1の一方の短辺側の起立壁12に設けた切欠部12aに蓋2の対応する短辺側に突出させて設けた支持片22aを挿入し、この支持片22aに貫通させた軸31を切欠部12aの両側に位置する軸受部12bに回転可能に支持させて、蓋2とケース本体1との間に第1の接続部3Aを構成している。この接続部3Aは、周回するパッキンpよりも外側へオフセットした位置にあり、支持片22aの頂部21からの突出量は、蓋2を閉止した際に蓋2がケース本体1に対して略平行となって蓋2の垂下壁22、23、24、25がケース本体1のパッキンpに均等に密着してシール部SL(図5参照)をなすように構成してある。その際、前記ケース本体1の切欠部12aに前記支持片22aとともに弾性部材であるねじりコイルバネ31aを装着して、当該ケース本体1に対して蓋2を開く方向に付勢するように関連づけている。
【0031】
また、ケース本体1の他方の短辺側の起立壁14には挿入窓16が上方に開口した状態で設けてあり、蓋2の対応位置には係止爪26が垂下していて、蓋2の閉止時にその係止爪26がケース本体1の挿入窓16に挿入されて内部に設けた図示しない被係止部に係合し、蓋2の開放を規制する係止部3B(図5参照)を構成するようにしている。ケース本体1の起立壁14の外面には、押圧することによって前記係止部3Bの規制を解除する解除部18がケース本体1に対して突没可能に設けてあり、解除部を押圧することによって挿入窓16内の被係止部に対する係止爪26の係合を解除するものである。
【0032】
さらに、図1及び図2に示すように、前記ケース本体1の一方の長辺側の起立壁13に、前記蓋2と直交する方向に開閉可能なようにマスク保持部材4を接続しており、このマスク保持部材4を図2→図3→図4に示すようにマスク収容空間S側に閉じた際にマスクMを折り畳んだ状態に保持するようにしている。
【0033】
マスク保持部材4は、2つの折り畳み片である基片41と先端片42とを樹脂ヒンジ43で接続して折り畳み展開可能に構成されている。そして、ケース本体1の一方の長辺側の起立壁13に設けた切欠部13aに基片41の対応位置に突出させて設けた支持片41aを挿入し、この支持片41aに貫通させた軸33を切欠部13aの両側及び中間に設けた軸受部13bに回転可能に支持させて、基片41をケース本体1に回転可能に支承する第2の接続部3C(図5参照)を構成している。この接続部3Cは、周回するシール部SLの内側、すなわちマスク収容空間S内にあり、支持片41aの基片41からの突出量は、マスク保持部材4を折り畳んで閉じる方向に移動させた図4の状態で当該マスク収容空間Sの領域内に収まるように設定してある。その際、前記ケース本体1の切欠部13aに前記支持片41aとともに弾性部材であるねじりコイルバネ33aを装着して、当該ケース本体1に対して基片41を開く方向に付勢するように関連づけている。
【0034】
このマスク保持部材4を構成する基片41のうち、ケース本体1の他方の短辺側に対応する短辺側には、一方の短辺側に向けて延びる係合片44が基片41との間に所要の間隙を介して設けてある。マスク保持部材4を構成する基片41や先端片42には、肉厚方向に貫通する貫通窓45が設けてある。
【0035】
このような構成において、本実施形態はさらに、図2に示すように前記マスク収容空間Sと前記第1の接続部3Aとの間を仕切る位置にインナーカバー5を、図4に示すように開放時に蓋2に連動して開きながらマスク収容空間Sより退避し、閉止時に蓋2に連動してマスク収容空間S側に閉じる状態で設けている。
【0036】
具体的に説明すると、図1に示すケース本体1の一方の起立壁12の内側には、当該起立壁12との間に所定の間隙を形成する上向きの突出片17が、蓋2の下面における長辺側には蓋2の頂板21の下面との間に所定の間隙を形成する内向きの突出片27が、それぞれ設けてある。一方、インナーカバー5は、前記起立壁12と突出片17との間隙に差し込まれて固定される第1のカバー片51と、このカバー片51に樹脂ヒンジ52を介して基端を連設され先端の拡開部53aを前記蓋2の頂板21の下面と突出片27との間隙にスライド可能に係合される第2のカバー片53とからなるもので、蓋2が開いた状態で樹脂ヒンジ52を介して山折りとなり、蓋2が閉まるにつれて先端をスライドさせながら図4に想像線で示す中間位置を経て谷折りに折り返して、蓋2とともにマスク収容空間S側へ倒れるように構成している。
【0037】
なお、ケース本体1の一部には、図1に示すように二酸化塩素などの薬剤を充填したアンプルAを取り替え自在に装着する装着部10が設けられ、薬剤が収容空間S内で気化するように構成される。アンプルAは、ケース本体1においてマスクMの収容の邪魔にならない位置として、図示のように底部11と起立壁15との入隅部に配置されているが、これ以外に、底部11を中蓋を用いた二重底構造にして中蓋の下にアンプルAを収容するようにしてもよい。
【0038】
次に、このマスク保管用ケースの取扱い方法について説明する。先ず、図2に示すように開いたマスク保持部材4の基片41に設けた係合片44にマスクMを構成するマスク本体mを2つ折りにして保持させる。このとき、マスク本体m1は基片41から先端片42に亘る位置に配置、保持される。このとき、マスク本体m1の一部はケース本体1側にはみ出した状態となっても構わない。マスクMを構成する耳掛け部たる紐m2は蓋2側に位置する向きに配置する。紐2は基片41や先端片42から蓋2側にはみ出した状態となっても構わない。
【0039】
次に、先端片42を樹脂ヒンジ43の回りに図2→図3のように回転させて基片41側に反転して倒し、さらに基片41を先端片42とともに接続部3Cの回りに図3→図4のように回転させてケース本体1側に倒す。このとき、マスクMは基片41と先端片42の間、先端片42とケース本体1の間に挟まれるようにして3つ折りに畳まれる。このとき、マスク本体m1からはみ出した紐m2は蓋2に設けたインナーカバー5上に位置する。
【0040】
このようにして、マスク保持部材4をマスク収容空間S側に閉じて、図4に示す矢印の一方に沿って蓋2を閉じる方向に回転させる。蓋2の回転に伴って、マスク保持部4の上からインナーカバー5が蓋2に連動して覆いかぶさるように収容空間S側に倒れて閉じられる。そして、蓋2の閉止時に係止爪26がケース本体1の挿入窓16に挿入されて内部に設けた被係止部に係合し、図5に示すように蓋2の開放を規制する係止部3Bを構成する。このとき、ケース本体1と蓋2の間に設けたねじりコイルバネ31a、およびケース本体1とマスク保持部材4の基片41との間に設けたねじりコイルバネ33aは、蓋2を開く方向の反発力を蓄積する。
【0041】
マスクMを取り出したいときは、図5に矢印で示すように解除部18を押圧する。これにより、ケース本体1に対する蓋2の規制が解除され、蓋2がねじりコイルバネ31a、33aによって図5→図4のように開くとともに、マスク保持部材4の基片41がねじりコイルバネ33aによって更に図4→図3(→更には図2)のように開く。このため、係合部44に挟んであるマスクMを即座に取り出して使用することができる。
【0042】
なお、このようなマスク保管用ケースであれば、図6に示すような、いわゆる立体マスクMMの収納にも有効である。この種のマスクMMは、展開状態で立体をなし折り畳んだ状態で平面をなすものであり、上記実施形態と同様に2つ折りにしたマスク本体mm1をマスク保持部材の基片41と先端片42に亘って載せ置いて係合部44に係合させ、耳掛け部mm2を蓋2側にはみださせて配置した後、上記実施形態と同様にマスク保持部材4を折り畳み、蓋2を閉めれば、同様にしてマスク収容空間S内に収容することができる。
【0043】
このように、本実施形態のマスク保管用ケースはマスクM、MMを折り畳んで収容するものであることから、コンパクトな大きさ、例えばハードケースタイプの名刺入れに略対応する縦横寸法および厚み寸法に設定してある。
【0044】
以上のように、本実施形態のマスク保管用ケースは、接続部3Aを介して開閉可能に接続された定型性のあるケース本体1と蓋2の間のマスク収容空間SにマスクMを折り畳んで収容するようにしたものであって、前記マスク収容空間Sと前記接続部3Aとの間を仕切る位置にインナーカバー5を、開放時に蓋2に連動して開き、閉止時に蓋2に連動してマスク収容空間S側に閉じる状態で設けたものである。
【0045】
このようにすれば、マスク保管用ケースが折り畳んだマスクMの大きさに対応するコンパクトなもので済み、定型性を有しているため薄肉にしても収容したマスクMが皺になること等を防止することができる。しかも、インナーカバー5を設けることによって、折り畳んだマスクMのマスク本体m1や紐m2が接続部3Aと干渉することを防止して、確実な閉止状態、保管状態を実現することができ、また、図4に示す矢印の一方に沿ってマスク収容空間S側に閉じられる際にインナーカバー5にマスク本体m1や紐m2の折り畳みを補助する役割を担わせることも可能となり、インナーカバー5が開閉動作と干渉することも有効に回避することができる。
【0046】
特に、前記ケース本体1と前記蓋2の間に、閉止時にマスク収容空間Sの周囲をシールする図5のシール部SLが設けられ、前記接続部3Aはそのシール部SLよりも外側へオフセットした位置に配置されていて、前記インナーカバー5を当該シール部SLの内側に設けているので、シール部SLにマスクMが干渉することを防止して、マスク収容空間Sの密閉性を有効に担保することができる。
【0047】
また、前記ケース本体1に、前記蓋2とは別異の方向に開閉可能なように接続部3Cを介してマスク保持部材4を接続し、このマスク保持部材4をマスク収容空間S側に閉じた際にマスクMを折り畳んだ状態に保持し、その上から前記インナーカバー5を前記蓋2に連動してマスク収容空間S側に閉じ得るように構成しているので、折り畳んだマスクMをマスク保持部材4により安定させて、マスク収容空間S内での収まりを良好にするとともに、マスクMが蓋2の縁やインナーカバー5の開閉と干渉しないようにして、マスクをより適切な状態で収容しておくことができる。
【0048】
その際、マスク保持部材4に、マスクMの一部と係合する係合部44を設け、開いた位置にある当該マスク保持部材4の係合部44に折り畳んだ状態で係合させたマスクMを、マスク収容空間S側に閉じる動作によって当該マスク収容空間S内に導入し得るようにしており、マスクMを予め小さくした状態に保持することができるので、マスク収容空間Sに折り畳んで導入する操作が容易かつ適正化される。
【0049】
或いは、マスク保持部材4に、マスクMの一部と係合する係合部44を設け、開いた位置にある当該マスク保持部材4の係合部44に係合させたマスクMを、マスク収容空間S側に閉じる動作に伴って折り畳みながらマスク収容空間S内に導入し得るようにしているので、マスクMを折り畳みながらマスク収容空間Sに導入することができ、マスクMの収容操作がより簡単なものとなる。
【0050】
この場合、マスク保持部材4それ自体が、複数の折り畳み片41、42によって折り畳み展開可能に構成されており、マスク保持部材4を閉じる方向にマスクMを3つ折り以上に折り畳み得るようにしているので、マスクMをより小さく折り畳むことができ、これによりマスク収容ケースもより一層コンパクトに構成することができるようになる。
【0051】
さらに、マスク保持部材4を、マスク収容空間S側に閉じた際に当該マスク収容空間Sに略対応する形状をなす板状のものにして、このマスク保持部材4の一部に肉厚方向の貫通孔45を設けているので、アンプルAから揮発した薬剤がマスク収納空間S内に収容したマスクMに効果的に接触して、薬剤を適切に充満させた状態を形成することができる。
【0052】
そして、ケース本体1と蓋2の間に、蓋2を閉じる動作に伴って反発力を蓄積する弾性部材たるねじりコイルバネ31aと、閉止位置で蓋2の開放を規制する係止部3Bと、係止部3Bの規制を解除する解除部18とを設けているので、解除部18を操作するだけでインナーカバー5とともに蓋2を開いて、マスクMを簡単に取り出すことができるようになる。
【0053】
さらに、ケース本体1とマスク保持部材4の間に、マスク保持部材4を閉じる動作に伴って反発力を蓄積する弾性部材たるねじりコイルバネ33aと、閉止位置で蓋2の開放を規制することを通じてマスク保持部材4の開き動作を規制する係止部3Bと、係止部3Bの規制を解除する解除部18とを設けているので、解除部18を操作することでねじりコイルバネ33aにより蓋2が開き易くなり、インナーカバー5とともに蓋2が開けば、更にマスク保持部材4がねじりコイルバネ33aにより開いて、マスクMを簡単に取り出すことができるようになる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した各実施形態のみに限定されるものではない。
【0055】
例えば、上記実施形態では、マスク保持部材が折り畳んだマスクを基片と先端片によって更に3つ折りできるように構成されていたが、2つ折りにして収容するように使用してもよく、また基片のみで構成しても構わない。また、インナーカバーは、マスク収容空間と接続部の間を仕切ることができれば、上述した形状や取付構造には限られない。
【0056】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…ケース本体
2…蓋
3A…接続部
3B…係止部
3C…接続部
4…マスク保持部材
5…インナーカバー
18…解除部
31a…弾性部材(ねじりコイルバネ)
44…係合部
45…貫通孔
M…マスク
S…マスク収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部を介して開閉可能に接続された定型性のあるケース本体と蓋の間のマスク収容空間にマスクを折り畳んで収容するようにしたものであって、
前記マスク収容空間と前記接続部との間を仕切る位置にインナーカバーを、開放時に蓋に連動して開き、閉止時に蓋に連動してマスク収容空間側に閉じる状態で設けたことを特徴とするマスク保管用ケース。
【請求項2】
前記ケース本体に、前記蓋とは別異の方向に開閉可能なように接続部を介してマスク保持部材を接続し、このマスク保持部材を収容空間側に閉じた際にマスクを折り畳んだ状態に保持し、その上から前記インナーカバーを前記蓋に連動して収容空間側に閉じ得るように構成している請求項1記載のマスク保管用ケース。
【請求項3】
マスク保持部材に、マスクの一部と係合する係合部を設け、開いた位置にある当該マスク保持部材の係合部に折り畳んだ状態で係合させたマスクを、マスク収容空間側に閉じる動作によって当該マスク収容空間内に導入し得るようにしている請求項2記載のマスク保管用ケース。
【請求項4】
マスク保持部材がマスク収容空間側に閉じた際に当該マスク収容空間に略対応する形状をなす板状のものであり、このマスク保持部材の一部に肉厚方向の貫通孔を設けている請求項2又は3に記載のマスク保管用ケース。
【請求項5】
ケース本体と蓋の間に、蓋を閉じる動作に伴って反発力を蓄積する弾性部材と、閉止位置で蓋の開放を規制する係止部と、係止部の規制を解除する解除部とを設けている請求項1〜4の何れかに記載のマスク保管用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−48715(P2013−48715A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188229(P2011−188229)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】