説明

マスク印刷方法および装置

【課題】マスクを1対のマスク支持部材により下方から支持した状態で印刷剤の印刷を行い、あるいは印刷後にマスクを1対のマスク支持部材により下方から支持した状態でマスクと回路基板との離間を行う方法,装置におけるマスク清掃を改善する。
【解決手段】マスク412のマスク吸着支持部材62により支持される被支持部の基板206に近い側の端と、マスク412とマスク保持シート414との境界との間の距離Lが、マスク吸着支持部材62の幅Fと拭取り部627の幅Wとの和以上であれば、拭取り部627を、マスク412の被支持部から基板206とは反対側へ出外れた位置まで移動させてはんだを拭き取り、距離Lが幅Fと幅Wとの和より小さければ、拭取り部627を、マスク412の基板206が接触させられた部分を過ぎた後、上記境界に至るまでの間にマスク412に平行な方向に移動させつつマスク412から離間させてマスク412を拭き上げさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを1対のマスク支持部材によって下方から支持した状態で印刷剤の印刷を行い、あるいは印刷後にマスクを1対のマスク支持部材によって下方から支持した状態でマスクと回路基板との離間を行う方法および装置に関するものであり、特に、マスクの清掃に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1ないし3にはそれぞれ、拭取シートによりマスクの下面を拭いて清掃を行うマスク印刷装置が記載されている。特許文献1に記載のマスク印刷装置に記載の清掃装置は、吸引部と、清掃時における清掃装置の移動方向において吸引部の上流側に設けられた主拭取り部と、下流側に設けられた副拭取り部とを備え、それら吸引部,主拭取り部および副拭取り部は拭取シートを介してマスクに接触させられる。清掃装置は、マスクに沿って予め設定されたクリーニング開始位置からクリーニング終了位置へ移動させられ、マスクの下面に付着したクリーム状はんだの副拭取り部による拭取りと、マスクの貫通穴の内周面や開口近傍に付着したクリーム状はんだの吸引部による吸引および拭取りと、吸引部において拭き残されたクリーム状はんだの主拭取り部による拭取りとが行われ、マスクの汚れができる限り残らないように拭取りが行われる。
また、特許文献2に記載のマスク印刷装置においては、回路基板の既知の寸法および清掃装置のマスクに沿った移動方向において回路基板の上流側端と下流側端とに設定された既知の余裕寸法に基づいて、清掃装置のクリーニング開始位置とクリーニング終了位置とが自動的に演算され、マスクの回路基板が接触させられる部分が清掃されるようにされている。
さらに、特許文献3に記載のマスク印刷装置は1対のマスク支持部材を備え、回路基板へのクリーム状はんだの印刷時および回路基板のマスクからの離間時に、マスクの回路基板の両側端部から外れた2部分を下方から支持させるようにされている。マスク清掃時には、1対のマスク支持部材は、マスクとの間に清掃装置の進入を許容する位置へ下降させられ、清掃装置によりマスクが下方から清掃される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−100388号公報
【特許文献2】特開平11−165402号公報
【特許文献3】特開2006−281712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3に記載のマスク印刷装置のように、1対のマスク支持部材によってマスクを支持するマスク印刷装置には未だ改善の余地がある。例えば、マスクの回路基板が接触させられる部分について拭取りが行われ、清掃装置は、マスクのその部分から外れた位置において停止させられることとなるが、その部分に拭取シートが拭き取ったクリーム状はんだが残り、マスク支持部材に付着して汚してしまうことがあるというように未だ実用性が十分とは言えないのである。特に、本願出願人は、マスク支持部材を、上面に開口する吸引孔を有し、その吸引孔からの空気の吸引により、マスクを吸着して支持するマスク吸着支持部材とするマスク印刷装置を開発したが、マスク支持部材がマスクを吸着して支持する際に、マスクの下面に付着したクリーム状はんだが吸引孔内に吸い込まれて詰まり、マスクの吸着支持に支障を来たす恐れがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、マスクを1対のマスク支持部材によって下方から支持した状態で印刷剤の印刷を行い、あるいは印刷後にマスクを1対のマスク支持部材によって下方から支持した状態でマスクと回路基板との離間を行う方法および装置におけるマスク清掃の改善を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、(A)複数の貫通穴が形成されたマスクを保持するマスク保持装置と、(B)回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、(C)前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、(D)前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、(E)前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、(F)(a)長尺の拭取シートを供給する繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、(G)前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、それら一対のマスク支持部材を前記清掃装置による清掃時に前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置とを含むマスク印刷装置により回路基板に印刷剤を印刷する方法を、前記スキージ装置による印刷剤の印刷後に、前記接近・離間装置によりマスクと回路基板とを互いに離間させるとともに、前記マスク支持部材移動装置により前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させた状態で前記清掃装置に清掃を行わせ、その清掃に際して、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、前記支持位置に位置させられたマスク支持部材に接触させられた部分から、前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させた後に、前記マスクの下面から離間させる方法とすることにより解決される。
【0006】
上記の課題はまた、(I)金属製シートに複数の貫通穴が形成されたマスクが、前記金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたマスク体を保持するマスク保持装置と、(II)回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、(III)前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、(IV)前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、(V)前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、(VI)(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、(VII)前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、それら一対のマスク支持部材を前記清掃装置による清掃時に前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置とを含むマスク印刷装置により回路基板に印刷剤を印刷する方法を、前記スキージ装置による印刷剤の印刷後に、前記接近・離間装置によりマスクと回路基板とを互いに離間させるとともに、前記マスク支持部材移動装置により前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させた状態で前記清掃装置に清掃を行わせ、その清掃に際して、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、少なくとも、回路基板が接触させられた部分の端を前記マスク支持部材に接触させられた部分側へ過ぎた後、そのマスクと前記低弾性係数シートとの境界に至る前に、前記マスクの下面に平行な方向の移動を継続させつつそのマスクの下面から離間させる拭上げを行う方法とすることにより解決される。
【0007】
上記の課題はさらに、マスク印刷装置を、(i)複数の貫通穴が形成されたマスクを保持するマスク保持装置と、(ii)回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、(iii)前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、(iv)前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、(v)前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、(vi)(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、(vii)その清掃装置の前記押付部材に前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために必要な運動を付与する押付部材移動装置と、(viii)その押付部材移動装置を制御することにより前記押付部材の移動を制御する清掃制御装置と、(ix)前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、前記清掃装置による清掃時に、それら一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置とを含み、かつ、前記清掃制御装置が、(ア)前記マスク保持装置に保持されたマスクと前記基板保持装置に保持された回路基板との大きさに関する情報を入力可能な入力装置と、(イ)その入力装置に入力された前記情報に基づいて、前記拭取シートによる前記マスクの下面拭取りのために前記押付部材に付与すべき、その押付部材のマスクへの接近・離間とマスクに沿った移動とを含む運動を、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの前記支持位置に位置させられたマスク支持部材に接触させられた部分から、前記回路基板とは反対側へ出外れた位置までマスクに沿って移動させた後に、前記マスクの下面から離間させる運動に決定する運動決定部とを含むものとすることにより解決される。
【0008】
上記の課題はさらにまた、マスク印刷装置を、(Α)金属製シートに複数の貫通穴が形成されたマスクが、前記金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたマスク体を保持するマスク保持装置と、(Β)回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、(Γ)前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、(Δ)前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、(Ε)前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、(Ζ)(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、(Η)その清掃装置の前記押付部材に前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために必要な運動を付与する押付部材移動装置と、(Θ)その押付部材移動装置を制御することにより前記押付部材の移動を制御する清掃制御装置と、(Ι)前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、前記清掃装置による清掃時に、それら一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置とを含み、前記清掃制御装置が、(α)前記マスク保持装置に保持されたマスクおよび低弾性係数シートと前記基板保持装置に保持された回路基板との大きさに関する情報を入力可能な入力装置と、(β)その入力装置に入力された前記情報に基づいて、前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために前記押付部材に付与すべき、その押付部材のマスクへの接近・離間とマスクに沿った移動とを含む運動を、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、少なくとも、回路基板が接触させられた部分の端を前記マスク支持部材に接触させられた部分側へ過ぎた後、そのマスクと前記低弾性係数シートとの境界に至る前に、前記マスクの下面に平行な方向の移動を継続させつつそのマスクの下面から離間させる拭上げを行う運動に決定する運動決定部と含むものとすることにより解決される。
【0009】
清掃装置としては、例えば、繰出し部が供給ロールにより構成され、巻取ロールにより繰込み部が構成され、巻取ロールがロール駆動装置によって回転させられることにより、供給ロールにより供給される拭取シートの押付部材によってマスクの下面に押し付けられて拭取りに使用された部分が巻取ロールによって巻き取られる装置や、特開2010−201797号公報に記載されているように、ガイドローラにより繰出し部が構成され、駆動ローラおよびピンチローラにより繰込み部が構成され、無端形状の拭取シートがガイドローラに巻き掛けられるとともに、駆動ローラとピンチローラとの間に挟まれ、駆動ローラがローラ駆動装置によって回転させられることにより、拭取シートの押付部材によってマスクの下面に押し付けられた部分がマスク下面の拭取り後、拭取シート清掃部を通過して付着した印刷剤が除去され、ガイドローラへ戻されて循環させられる装置の採用が可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマスク印刷方法によれば、拭取シートのマスクに押し付けられた部分がマスクのマスク支持部材に接触させられた部分を通り過ぎた位置まで移動させられるため、マスクの下面の回路基板が接触させられる部分に加えて、マスク支持部材により支持される部分全体が拭取シートによって拭かれるとともに、その部分全体から印刷剤が拭き出される。そのため、マスクの下面の回路基板に接触させられる部分に付着した印刷剤が拭き取られ、回路基板を汚すことがない上、マスクのマスク支持部材により支持される部分に、拭取シートにより拭き寄せられた印刷剤や、拭取シートに付いた印刷剤が付着して残り、マスク支持部材に付いて汚すことが回避される。
本発明に係る別のマスク印刷方法によれば、拭取シートのマスクの下面に押し付けられた部分が、マスクの下面に平行な方向に移動させられつつ、離間させられることにより、離間までに拭き取った印刷剤を拭いつつマスクから離間させられる。この拭上げは、マスクの回路基板が接触させられていた部分と、その部分の端と、マスクと低弾性係数シートとの境界との間の部分において行われ、この拭上げ実行部分にはマスクのマスク支持部材に接触させられた部分が含まれるが、その部分に付着して残る印刷剤を低減させつつ、拭取シートをマスクから離間させることができ、拭取シートのマスクの下面に押し付けられた部分の移動を停止させた後、直角に離間させる場合に比較して、マスク支持部材への印刷剤の付着が低減される。拭上げによれば、拭取シートのマスクの下面に平行な方向の移動と、マスクからの離間とを制御することにより、拭取シートのマスクの下面に押し付けられた部分の移動距離を短くしつつ、汚れを拭き取ることができる。また、低弾性係数シートについては拭取りは行われず、低弾性係数シートの損傷が回避される。
本発明に係るマスク印刷装置によれば、拭取シートのマスクに押し付けられた部分に、マスクのマスク支持部材により支持される部分全体を拭き取らせることができる。
本発明に係る別のマスク印刷装置によれば、拭取シートのマスクに押し付けられた部分に、マスクの下面の拭上げを行わせることができる。
【発明の態様】
【0011】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、特許請求の範囲に記載の発明である本願発明やその下位概念発明あるいは上位概念発明を含み得、別概念の発明を含むことがある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0012】
なお、以下の各項において、(3)項が請求項1に相当し、(6)項が請求項2に、(7)項が請求項3に、(8)項が請求項4に、(9)項が請求項5に、(21)項が請求項6に相当し、(22)項が請求項7に、(23)項が請求項8に、(24)項が請求項9にそれぞれ相当する。
【0013】
(1)複数の貫通穴を形成したマスクの上面に印刷剤を載せ、その印刷剤を、マスクの上面に沿って移動するスキージにより、前記貫通穴を通して、マスクの下に配置した回路基板に印刷する印刷工程と、
その印刷工程の実施後に、前記回路基板の両側端部から外れた支持位置に位置させた一対のマスク支持部材に前記マスクの下面を支持させた状態で、そのマスクと前記回路基板とを互いに離間させ、その後に前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させる離間工程と、
その離間工程の実施により互いに離間させられた回路基板とマスクとの間に、(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備えた清掃装置を進入させ、その清掃装置を前記マスクの下面に沿って移動させることにより前記拭取シートに前記マスクの下面を拭き取らせる清掃工程と
を含み、その清掃工程において、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、前記支持位置に位置させられたマスク支持部材に接触させられた部分から、前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させた後に、前記マスクの下面から離間させることを特徴とするマスク印刷方法。
本項に記載のマスク印刷方法によれば、マスクの清掃について(3)項に記載のマスク印刷方法と同様の作用,効果が得られる。また、マスクと回路基板とが互いに離間させられる際に1対のマスク支持部材によりマスクが支持されるため、離れ易く、離間が良好に行われる。
マスクは、(4)項に記載のマスクと同様に、低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたものでもよく、低弾性係数シートを介することなくマスク枠に張られたものでもよい。(2)項および(3)項に記載のマスク印刷方法および(21)項に記載のマスク印刷装置においても同様である。
マスク支持部材は、マスクの下面との間に隙間を有し、マスクを支持するときにのみ、マスクの下面に接触する状態で支持位置に位置させられてもよく、常時、マスクの下面に接触する状態で支持位置に位置させられてもよい。また、マスク支持部材は、マスクとマスク支持部材とのマスクに直角な方向における相対移動により、マスクとマスク支持部材とが互いに離間させられて支持位置から退避させられるようにしてもよく、マスクとマスク支持部材とのマスクの下面に平行な方向の相対移動により、支持位置から退避させられるようにしてもよい。さらに、回路基板はマスクの下面に接触または近接させてもよい。近接とは、常にはマスクとの間に隙間があるが、貫通穴を通して印刷剤が回路基板に印刷される際にはマスクが回路基板に接触した状態となることである。これらは、(2)項〜(6)項に記載のマスク印刷方法および(21)項, (22)項に記載のマスク印刷装置においても同様である。
拭取シートのマスクの下面からの離間は、マスクに平行な方向においては拭取シートを移動させず、マスクに対して直角に下降するように行われてもよく、拭取シートをマスクに沿って移動させつつ下降させ、マスクに対して斜めに離間するように行われてもよい。直角離間の場合、マスクに平行な方向において離間のためのスペースを要さず、迅速に離間させることができ、斜め離間の場合、拭取シートによりマスクの下面を拭いつつ離間させることができ、マスクに残る印刷剤を低減させることができる。
(2)複数の貫通穴を形成したマスクの下方にそのマスクに平行に回路基板を配置するとともに、その回路基板の両側端部から外れた支持位置に一対のマスク支持部材を配置し、前記マスクの上面に印刷剤を載せ、その印刷剤を、そのマスクの上面に沿って移動するスキージにより、前記貫通穴を通して前記回路基板に印刷する印刷工程と、
その印刷工程の実施後に、前記マスクと前記回路基板とを互いに離間させるとともに、前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させる離間工程と、
その離間工程の実施により互いに離間させられた回路基板とマスクとの間に、(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備えた清掃装置を進入させ、その清掃装置を前記マスクの下面に沿って移動させることにより前記拭取シートに前記マスクの下面を拭き取らせる清掃工程と
を含み、その清掃工程において、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、前記支持位置に位置させられたマスク支持部材に接触させられた部分から、前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させた後に、前記マスクの下面から離間させることを特徴とするマスク印刷方法。
一対のマスク支持部材は、常にはマスクの下面との間に隙間を有し、印刷時にマスクを支持する際にマスクの下面に接触して支持する状態で配置されてもよく、常時、マスクの下面に接触する状態で配置されてもよい。
本項に記載のマスク印刷方法によれば、マスクの清掃について(3)項に記載のマスク印刷方法と同様の作用,効果が得られる。また、回路基板に印刷が行われる際に1対のマスク支持部材によりマスクが支持され、印刷が良好に行われる。(5)項に記載のマスク印刷方法についても同様である。
(3)複数の貫通穴が形成されたマスクを保持するマスク保持装置と、
回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、
前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、
(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、
前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、それら一対のマスク支持部材を前記清掃装置による清掃時に前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置と
を含むマスク印刷装置により回路基板に印刷剤を印刷する方法であって、
前記スキージ装置による印刷剤の印刷後に、前記接近・離間装置によりマスクと回路基板とを互いに離間させるとともに、前記マスク支持部材移動装置により前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させた状態で前記清掃装置に清掃を行わせ、その清掃に際して、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、前記支持位置に位置させられたマスク支持部材に接触させられた部分から、前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させた後に、前記マスクの下面から離間させることを特徴とするマスク印刷方法。
ここにおいて一対のマスク支持部材のマスクに接触する支持位置とは、一対のマスク支持部材が印刷時にマスクを支持するのであれば、最初から、すなわち印刷開始前からマスクに接触する位置であり、一対のマスク支持部材がマスクと回路基板との離間時にマスクを支持するのであれば、最初から、すなわち離間開始前からマスクに接触する位置である。また、一対のマスク支持部材のマスクに近接する支持位置とは、常にはマスクとの間に隙間があるが、一対のマスク支持部材が印刷時にマスクを支持するのであれば、貫通穴に印刷剤が押し込まれる際にマスクに接触して支持する状態となる位置であり、マスクと回路基板との離間時にマスクを支持するのであれば、回路基板がマスクから離れる際にマスクに接触して支持する状態となる位置である。マスク支持部材として、後述するマスク吸着支持部材が使用される場合、一対のマスク支持部材のマスクに近接する支持位置は、吸着によりマスク支持部材がマスクに接触する状態となる位置である。
本項に記載のマスク印刷方法によれば、回路基板への印刷剤の印刷時と、マスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において1対のマスク支持部材によりマスクが支持され、印刷と離間との少なくとも一方が良好に行われる。(6)項に記載のマスク印刷方法についても同様である。
(4)金属製シートに複数の貫通穴が形成されたマスクが、前記金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたマスク体を用い、前記マスクの上面に印刷剤を載せ、その印刷剤をマスクの上面に沿って移動するスキージにより、前記貫通穴を通してそのマスクの下に配置した回路基板に印刷する印刷工程と、
その印刷工程の実施後に、前記回路基板の両側端部から外れた支持位置に位置させた一対のマスク支持部材に前記マスクの下面を支持させた状態で、そのマスクと前記回路基板とを互いに離間させ、その後に前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させる離間工程と、
それら互いに離間した回路基板とマスクとの間に、(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備えた清掃装置を進入させ、その清掃装置を前記マスクの下面に沿って移動させることにより前記拭取シートに前記マスクの下面を拭き取らせる清掃工程と
を含み、その清掃工程において、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、少なくとも、回路基板が接触させられた部分の端を前記マスク支持部材に接触させられた部分側へ過ぎた後、そのマスクと前記低弾性係数シートとの境界に至る前に、前記マスクの下面に平行な方向の移動を継続させつつそのマスクの下面から離間させる拭上げを行うことを特徴とするマスク印刷方法。
本項に記載のマスク印刷方法によれば、マスクの清掃について(6)項に記載のマスク印刷方法と同様の作用,効果が得られる。
(5)金属製シートに複数の貫通穴が形成されたマスクが、前記金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたマスク体を用い、マスクの下方にそのマスクに平行に回路基板を配置するとともに、その回路基板の両側端部から外れた支持位置に一対のマスク支持部材を配置し、前記マスクの上面に印刷剤を載せ、その印刷剤を、そのマスクの上面に沿って移動するスキージにより、前記貫通穴を通して前記回路基板に印刷する印刷工程と、
その印刷工程の実施後に、前記マスクと前記回路基板とを互いに離間させるとともに、前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させる離間工程と、
その離間工程の実施により互いに離間させられた回路基板とマスクとの間に、(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備えた清掃装置を進入させ、その清掃装置を前記マスクの下面に沿って移動させることにより前記拭取シートに前記マスクの下面を拭き取らせる清掃工程と
を含み、その清掃工程において、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、少なくとも、回路基板が接触させられた部分の端を前記マスク支持部材に接触させられた部分側へ過ぎた後、そのマスクと前記低弾性係数シートとの境界に至る前に、前記マスクの下面に平行な方向の移動を継続させつつそのマスクの下面から離間させる拭上げを行うことを特徴とするマスク印刷方法。
本項に記載のマスク印刷方法によれば、マスクの清掃について(6)項に記載のマスク印刷方法と同様の作用,効果が得られる。
(6)金属製シートに複数の貫通穴が形成されたマスクが、前記金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたマスク体を保持するマスク保持装置と、
回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、
前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、
(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、
前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、それら一対のマスク支持部材を前記清掃装置による清掃時に前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置と
を含むマスク印刷装置により回路基板に印刷剤を印刷する方法であって、
前記スキージ装置による印刷剤の印刷後に、前記接近・離間装置によりマスクと回路基板とを互いに離間させるとともに、前記マスク支持部材移動装置により前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させた状態で前記清掃装置に清掃を行わせ、その清掃に際して、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、少なくとも、回路基板が接触させられた部分の端を前記マスク支持部材に接触させられた部分側へ過ぎた後、そのマスクと前記低弾性係数シートとの境界に至る前に、前記マスクの下面に平行な方向の移動を継続させつつそのマスクの下面から離間させる拭上げを行うことを特徴とするマスク印刷方法。
(7)前記清掃装置によるマスクの清掃時に、マスクの前記マスク支持部材に接触させられた部分の前記回路基板に近い側の端と、前記マスクと前記低弾性係数シートとの境界との間に、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、その押付状態に保ったままで、前記マスクの前記マスク支持部材に接触させられた部分から前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させるに十分な距離がある場合はその位置まで移動させた後にマスクから離間させ、その距離がない場合に前記拭上げを行う(4)項ないし(6)項のいずれかに記載のマスク印刷方法。
本項に記載のマスク印刷方法によれば、マスクのマスク支持部材に接触させられた部分の回路基板に近い側の端と、マスクと低弾性係数シートとの境界との間の距離に応じて清掃態様を選択することができ、その距離が十分であれば、拭取シートは、マスクのマスク支持部材が接触させられた部分全体を拭き取って通り抜け、その部分に印刷剤が残らないように清掃を行うことができる。距離が十分ではなくても、拭上げにより、低弾性係数シートとの干渉を回避しつつ、マスクのマスク支持部材に接触させられた部分の拭取りが行われ、マスク支持部材への印刷剤の付着を低減させることができる。マスクのマスク支持部材に接触させられた部分から出外れた位置まで拭取シートを移動させて印刷剤を追い出すことはできないが、拭上げによる印刷剤の拭取りにより、マスク支持部材への印刷剤の付着を低減させることができる。
上記距離が十分で拭取シートのマスクの下面に押し付けられた部分が上記出外れた位置まで移動させられた状態でマスクから離間させられる場合、拭取シートは、マスクのマスク支持部材により支持される部分から出外れた位置まで移動させられるため、離間箇所に印刷剤が残ってもマスク支持部材に付いて汚すことがなく、拭取シートをマスクに対して直角に離間させてもよく、斜めに離間させてもよい。
(8)前記マスク支持部材として、上面に開口する吸引孔を有し、その吸引孔からの空気の吸引により、前記マスクを吸着して支持するマスク吸着支持部材を使用する(1)項ないし(7)項のいずれかに記載のマスク印刷方法。
印刷時にマスク支持部材がマスクを支持する場合、マスクの吸着によりマスクの回路基板に対するずれが防止されて印刷精度の低下が防止され、離間時にマスク支持部材がマスクを吸着して支持する場合、貫通穴からの印刷剤の抜け出しが容易になるようにすることができる。
拭取シートのマスクの下面に押し付けられた部分が、マスクのマスク支持部材に接触させられた部分から回路基板とは反対側へ出外れる位置まで移動させられた後にマスクの下面から離間させられる場合にも、マスクの下面の拭上げを行う場合にも、マスクのマスク支持部材に接触させられた部分が拭取シートによって拭かれるため、マスク吸着支持部材によるマスクの吸着支持時にマスクに付着した印刷剤が吸引孔内に吸い込まれ、目詰まりが発生することが低減される。
(9)前記マスクの、前記清掃工程の末期に前記拭取シートが離間させられた部分である離間部分を、前記拭取シートに再び拭かせることにより、その離間部分に残った印刷剤を除去する残印刷剤除去工程を含む(1)項ないし(8)項のいずれかに記載のマスク印刷方法。
残印刷剤の除去により、例えば、マスクの拭取シートの離間部分にマスク支持部材が接触させられることがあっても、マスク支持部材に残印刷剤が付着して汚れることが回避され、あるいは、マスクに残った印刷剤が固まってしまい、マスクの清掃が困難になることが回避される。また、残印刷剤の除去によりマスクの洗浄回数が低減され、マスク交換回数の低減による印刷能率の向上やマスクの寿命向上が図られ得る。
(10)前記残印刷剤除去工程を、前記清掃工程の設定回数実行毎に行う(9)項に記載のマスク印刷方法。
設定回数は1回でもよく、2回以上の複数回でもよい。残印刷剤除去を行えば、マスクをきれいにすることができる反面、清掃時間が長くなるが、設定回数を複数回にすれば、清掃時間の増加による印刷能率の低下を抑制しつつ、残印刷除去を行うことができる。
(11)前記残印刷剤除去工程を、(a)液体を浸み込ませた前記拭取シートに前記離間部分を拭かせる湿式拭取りと、それに続く、(b)液体を浸み込ませない前記拭取シートに前記離間部分を拭かせる乾式拭取りとの併用により行う(9)項または(10)項に記載のマスク印刷方法。
湿式拭取りによれば、マスクの下面に付着して固まった印刷剤を容易に拭き取ることができ、それに続く乾式拭取りにより、マスクの下面に付いた液体や拭き残された印刷剤が除去され、マスクがよりきれいにされる。
(12)前記印刷剤としてクリーム状はんだを印刷する(1)項ないし(11)項のいずれかに記載のマスク印刷方法。
印刷剤には、クリーム状はんだの他、例えば、導電性ペーストや絶縁体ペーストがある。
(21)複数の貫通穴が形成されたマスクを保持するマスク保持装置と、
回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、
前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、
(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、
その清掃装置の押付部材に前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために必要な運動を付与する押付部材移動装置と、
その押付部材移動装置を制御することにより前記押付部材の移動を制御する清掃制御装置と、
前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、前記清掃装置による清掃時に、それら一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置と
を含み、かつ、前記清掃制御装置が、
前記マスク保持装置に保持されたマスクと前記基板保持装置に保持された回路基板との大きさに関する情報を入力可能な入力装置と、
その入力装置に入力された前記情報に基づいて、前記拭取シートによる前記マスクの下面拭取りのために前記押付部材に付与すべき、その押付部材のマスクへの接近・離間とマスクに沿った移動とを含む運動を、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの前記支持位置に位置させられたマスク支持部材に接触させられた部分から、前記回路基板とは反対側へ出外れた位置までマスクに沿って移動させた後に、前記マスクの下面から離間させる運動に決定する運動決定部と
を含むことを特徴とするマスク印刷装置。
入力装置は、操作パネル,キーボード等、作業者により操作されてデータの入力が行われる装置でもよく、マスク印刷装置の制御装置内の記憶手段や外部記憶装置に記憶させられている情報の読込みを行う部分でもよい。
本項に記載のマスク印刷装置によれば、(3)項に記載の方法を好適に実施し得る。
(22)金属製シートに複数の貫通穴が形成されたマスクが、前記金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたマスク体を保持するマスク保持装置と、
回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、
前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する1対のマスク支持部材と、
(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、
その清掃装置の前記押付部材に前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために必要な運動を付与する押付部材移動装置と、
その押付部材移動装置を制御することにより前記押付部材の移動を制御する清掃制御装置と、
前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、前記清掃装置による清掃時に、それら一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置と
を含み、かつ、前記清掃制御装置が、
前記マスク保持装置に保持されたマスクおよび低弾性係数シートと前記基板保持装置に保持された回路基板との大きさに関する情報を入力可能な入力装置と、
その入力装置に入力された前記情報に基づいて、前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために前記押付部材に付与すべき、その押付部材のマスクへの接近・離間とマスクに沿った移動とを含む運動を、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、少なくとも、回路基板が接触させられた部分の端を前記マスク支持部材に接触させられた部分側へ過ぎた後、そのマスクと前記低弾性係数シートとの境界に至る前に、前記マスクの下面に平行な方向の移動を継続させつつそのマスクの下面から離間させる拭上げを行う運動に決定する運動決定部と
を含むことを特徴とするマスク印刷装置。
本項に記載のマスク印刷装置によれば、(6)項に記載の方法を好適に実施し得る。
(23)前記運動決定部が、前記押付部材に付与すべき運動を、前記清掃装置による清掃の実行時に、マスクの前記マスク支持部材に接触させられた部分の前記回路基板に近い側の端と、マスクと低弾性係数シートとの境界との間に、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、その押付状態に保ったままで、前記マスクの前記マスク支持部材に接触させられた部分から前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させるに十分な距離がある場合はその位置まで移動させた後にマスクから離間させる運動に決定し、その距離がない場合に前記拭上げを行う運動に決定する(22)項に記載のマスク印刷装置。
本項に記載のマスク印刷装置によれば、(7)項に記載の方法を好適に実施し得る。
(24)前記一対のマスク支持部材が、それぞれ上面に開口する吸引孔を有し、その吸引孔からの空気の吸引により、マスクを吸着して支持するマスク吸着支部材である(21)項ないし(23)項のいずれかに記載のマスク印刷装置。
前記(9)項ないし(12)項の各々に記載の特徴は上記(21)項ないし(24)項の各々に記載の特徴と組み合わせて採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】請求可能発明の一実施形態であるマスク印刷装置を概略的に示す側面図である。
【図2】上記マスク印刷装置のマスク支持装置,基板保持装置および基板支持装置等を示す側面図である。
【図3】上記マスク支持装置等を示す斜視図である。
【図4】上記マスク支持装置のマスク吸着支持部材を示す平面図である。
【図5】上記基板支持装置の一部を示す側面断面図である。
【図6】上記マスク支持装置等を示す側面断面図である。
【図7】上記マスク印刷装置のマスク保持装置を示す平面図である。
【図8】上記マスク印刷装置のスキージ装置を示す平面図である。
【図9】上記マスク保持装置の位置調節装置の前後方向調節ユニットを示す斜視図である。
【図10】上記スキージ装置のスキージヘッド昇降装置を示す斜視図である。
【図11】上記スキージ装置のスキージヘッドを示す斜視図である。
【図12】上記マスク印刷装置の清掃装置を移動装置等と共に示す斜視図である。
【図13】上記マスク印刷装置における清掃装置および清掃液塗布装置を示す斜視図である。
【図14】上記清掃装置を清掃装置本体の一部を除去して示す側面図(一部断面)である。
【図15】上記マスク印刷装置の制御装置を示すブロック図である。
【図16】上記マスク印刷装置における回路基板の搬入,支持,クリーム状はんだの印刷等を説明する図である。
【図17】上記清掃装置の押付部材に清掃時に付与すべき運動の一つである出外れ位置移動運動を説明する図である。
【図18】上記清掃装置の押付部材に清掃時に付与すべき運動の別の一つである拭上げ運動を説明する図である。
【図19】上記清掃装置の押付部材に出外れ位置移動運動が付与される場合に行われる残はんだ除去を説明する図である。
【図20】上記清掃装置の押付部材に拭上げ運動が付与される場合に行われる残はんだ除去を説明する図である。
【図21】上記制御装置の主体を成すコンピュータのROMに記憶させられた清掃態様設定ルーチンを示すフローチャートである。
【図22】上記コンピュータのROMに記憶させられたマスク清掃ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0016】
請求可能発明の一実施形態であるマスク印刷装置であって、請求可能発明の一実施形態であるマスク印刷方法が実施されるマスク印刷装置を図1に概略的に示す。本マスク印刷装置は、請求可能発明に関する部分以外の部分は、未だ公開されていないが、本出願人の出願に係る特願2010−110428の明細書および特願2010−102298の明細書に記載のマスク印刷装置と同様に構成されており、簡単に説明する。
【0017】
本マスク印刷装置の印刷装置本体10は、ベッド12(図3参照),複数の桁,梁およびコラム等が一体的に組み付けられて成り、その前部の下部側に基板保持装置14およびマスク支持装置16が設けられている。マスク支持装置16は、図2に示すように、マスク支持装置本体60,1対のマスク支持部材たるマスク吸着支持部材62,64,マスク支持部材進退装置たるマスク吸着支持部材進退装置66,68を含む。マスク吸着支持部材62,64はそれぞれ、図3に示すように、門形の脚体70と板状の支持体72とを備え、マスク支持装置本体60の上面上に、後述するマスク保持装置に保持されたマスクに平行な方向であって、前後方向に移動可能に設けられており、可動部材である。本マスク印刷装置においては、基板搬送装置による回路基板の搬送方向に平行な方向を左右方向、搬送方向と直交する方向を前後方向とする。左右方向および前後方向はいずれも水平である。マスク吸着支持部材進退装置66はマスク支持装置本体60に設けられた2つのエアシリンダ80を備え、ピストンロッドの伸縮により、案内装置81に案内させつつマスク吸着支持部材62を移動させる。マスク支持部材進退装置68については後述する。
【0018】
マスク吸着支持部材62,64の各支持体72は、図2に示すように、軸82により、脚体70の梁部84上に搬送方向に平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられ、脚体70の各々との間に張り渡された付勢手段の一種である弾性部材としての引張コイルスプリング86により、梁部84に接近する向きに付勢されている。スプリング86の付勢による支持体72の回動限度は、支持体72の梁部84への当接により規定され、水平な姿勢で支持される。
【0019】
支持体72は梁部84から他方のマスク吸着支持部材側へ突出させられ、その上面全体がマスク支持面90を構成し、突出部の下面が基板受け面92を構成している。また、支持体72の後述するクランプ部材と対向する側面の上部は、図4にマスク吸着支持部材62を示すように、支持体72の長手方向全体に渡って多次関数、あるいは三角関数曲線から成る凸状に緩やかに湾曲させられ、後述するスキージの長手方向に対して傾斜させられた傾斜側面94とされている。支持体72の側面の下部は、傾斜側面94の両端よりクランプ部材とは反対側へ引っ込まされるとともに、搬送方向に平行な一平面状の平行側面96とされ、基板受け面92の縁が画定されている。支持体72には、そのマスク支持面90に開口させられた複数の吸引孔98が形成されている。吸引孔98は支持体72を厚さ方向に貫通して形成され、図3に示すように、梁部84に、その上面に開口して形成された通路99を経てバキューム装置100に接続され、空気が吸引される。
【0020】
マスク支持装置16は、マスク支持装置昇降装置110により昇降させられる。マスク支持装置昇降装置110は、図3に示すように、案内装置112および昇降駆動装置114を含む。本昇降駆動装置114は、マスク支持装置本体60に軸方向に相対移動不能かつ相対回転不能に設けられた4本の送りねじ116と、ベッド12に軸方向に相対移動不能かつ相対回転可能に設けられ、4本の送りねじ116の各々と螺合された4つのナット118と、相対回転装置120とを含む。相対回転装置120は電動モータ124,4つのナット118の各々と一体的に設けられた4つのプーリ126を含む複数のプーリ126,プーリ126に巻き掛けられたベルト128(図6参照)を含み、4つのナット118が一斉に回転させられ、4本の送りねじ116が一斉に軸方向に移動させられ、マスク支持装置16が案内装置112により案内されつつ印刷装置本体10に対して昇降させられる。案内装置112は、ガイドロッド130およびガイドスリーブ132を含む。プーリ126およびベルト128としては、タイミングプーリおよびタイミングベルトが好適であり、送りねじ116としてはボールねじが好適であり、電動モータ124としてはサーボモータ等回転角度の制御が可能電動モータが好適である。以下の送りねじ,プーリ,ベルトおよび電動モータについても同様である。
【0021】
前記基板保持装置14は、図3に示すように、基板支持装置150およびサイドクランプ装置152を含む。サイドクランプ装置152は、クランプ装置本体154,1対のクランプ部材156,158およびクランプ部材駆動装置160(図2参照)を含む。クランプ部材156,158はそれぞれ長手形状を成し、サイドフレーム162,164に取り付けられている。サイドフレーム162はクランプ装置本体154上に搬送方向に平行に固定され、その上端部にクランプ部材156が長手方向が搬送方向に平行な姿勢で固定されている。以後、クランプ部材156を固定クランプ部材と称する場合がある。固定クランプ部材156は、図4に示すように、そのクランプ部材158と対向する側面は搬送方向に平行な平面状のクランプ面166とされ、背面の上部は前記傾斜側面94に対応する湾曲を有し、傾斜側面94と平行な傾斜側面168とされている。本マスク印刷装置は、1対のクランプ部材156,158のうち、固定クランプ部材156が設けられた側が正面側ないし前側であり、1対のマスク吸着支持部材62,64のうち、固定クランプ部材156側のマスク吸着支持部材62が前側に位置する。
【0022】
サイドフレーム164は、図3に示すように門形を成し、図2に示すように、クランプ装置本体154に前後方向に移動可能に設けられている。サイドフレーム164は、搬送幅変更装置184により移動させられ、サイドフレーム162との間隔が変更され、基板搬送幅が変更される。本搬送幅変更装置184は、駆動源たる電動モータ182と、それぞれ複数のプーリ186およびベルト188を含み、電動モータ182の回転を直線運動に変換してサイドフレーム164に伝達する1対の運動伝達機構190とを含む。
【0023】
クランプ部材158は、サイドフレーム164上に、長手方向が搬送方向に平行となる姿勢で、回路基板の両側端面の一方に接近離間可能に保持され、クランプ部材駆動装置160により移動させられる。以後、クランプ部材158を可動クランプ部材158と称する場合がある。可動クランプ部材158は、固定クランプ部材156と同様に、基板206と対向する側面がクランプ面192とされ、背面の上部が傾斜側面194とされている。クランプ部材駆動装置160は、詳細な図示および説明は省略するが、エアシリンダを駆動源とする1対の駆動ユニットを含む。
【0024】
図2に示すように、サイドフレーム162,164にはそれぞれ無端のベルト200が周回可能に取り付けられ、それぞれ電動モータ202を駆動源とするベルト周回装置204により周回させられ、1対のベルト200により両側端部を支持された回路基板206(以後、基板206と略称する)を水平な姿勢で搬送する。ベルト200およびベルト周回装置204が基板搬送装置208を構成している。搬送時には、クランプ部材156,158は基板206をクランプせず、その移動を許容するとともに、基板206の両側においてその移動を案内し、基板ガイド部材としても機能し、また、サイドフレーム162,164はレール部材を構成する。
【0025】
前記マスク吸着支持部材進退装置68は2つのエアシリンダ210を備え、図2に一方のエアシリンダ210を示すように、そのシリンダハウジング212はマスク吸着支持部材64の脚体70に固定され、ピストンロッド214の先端部には、サイドフレーム164が、その係合部216において、上下方向に相対移動可能かつ前後方向に相対移動不能に係合させられている。そのため、マスク吸着支持部材64は、前記搬送幅変更装置184の駆動によりサイドフレーム164と共に、基板206の幅(基板保持装置14により保持された状態において前後方向に平行な方向の寸法)に応じて前後方向に移動させられ、ピストンロッド214の伸縮により、案内装置81に案内されつつサイドフレーム164、ひいては可動クランプ部材158に対して前後方向に移動させられる。マスク吸着支持部材進退装置66,68によるマスク吸着支持部材62,64の駆動により、それらのマスクに平行な方向の間隔が変更される。マスク吸着支持部材進退装置66,68がマスク支持部材間隔変更装置を構成している。また、マスク吸着支持部材64は、図示は省略するが、マスク支持部材固定装置によりマスク支持装置本体60に固定される。
【0026】
前記基板支持装置150は、装置本体230(図3参照),ピン支持台232および基板支持部材の一種である基板吸着支持部材たる複数の支持ピン234(図5参照)を含む。本基板支持装置150は、基板206を支持ピン234によって下方から支持するとともに吸着して保持するものとされ、支持ピン234は、その先端面が水平な支持面236とされるとともに、ゴム製のカップ238が取り付けられている。本基板支持装置150は特開2002−118399号公報に記載の基板支持装置と同様に構成されており、説明を省略する。
【0027】
基板保持装置14は、基板保持装置昇降装置250により昇降させられる。基板保持装置昇降装置250は、図3に示すように昇降駆動装置252を含む。本昇降駆動装置252は、マスク支持装置本体60に回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられた4つのナット254および相対回転装置256を含む。相対回転装置256は、図6に示すように、電動モータ260,4つのナット254と一体的に設けられたプーリ262を含む複数のプーリ262およびそれらプーリ262に巻き掛けられたベルト264を含む。
【0028】
基板支持装置150は、図6に示すように、ガイドロッド270およびガイドスリーブ272を含む案内装置274により案内されつつ、昇降駆動装置276によりサイドクランプ装置152に対して昇降させられる。案内装置274および昇降駆動装置276が基板支持装置昇降装置278を構成している。
【0029】
昇降駆動装置276は、図3に示すように、基板支持装置本体230から下方へ相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に延び出させられた4本の送りねじ280,クランプ装置本体154に固定され、回転不能かつ軸方向に移動不能な4つのナット282および相対回転装置284を含む。4本の送りねじ280はそれぞれナット282に螺合されるとともに、前記昇降駆動装置252の4つのナット254にも螺合されている。相対回転装置284は、基板支持装置本体230に設けられた電動モータ286,4本の送りねじ280にそれぞれ設けられたプーリ288を含む複数のプーリ288およびそれらプーリ288に巻き掛けられたベルト290を含む。
【0030】
4本の送りねじ280の回転停止状態において相対回転装置256によってナット254が回転させられることにより、送りねじ280が昇降させられ、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して昇降させられる。この昇降はガイドロッド270,130により案内される。4本の送りねじ280の回転停止状態は、電動モータ286に保持トルクを作用させて回転停止状態に保つことにより得られる。また、4本の送りねじ280が回転させられることにより、基板支持装置150がサイドクランプ装置152に対して昇降させられる。この際、電動モータ260に保持トルクが作用させられ、4つのナット254が回転停止状態に保たれる。マスク支持装置16の昇降時には、基板保持装置14がマスク支持装置16と共に昇降させられる。本実施形態においては、ナット254および相対回転装置256が送りねじ280と共同して、昇降駆動装置252を構成している。
【0031】
基板保持装置14およびマスク支持装置16の上方であって、印刷装置本体10の最上部に、図1に示すように、マスク保持装置390およびスキージ装置392が設けられている。マスク保持装置390は、図7に示すマスク枠受け400および位置調節装置402を含み、マスク体410を水平な姿勢で保持する。マスク体410は、マスク412がマスク保持シート414を介してマスク枠416に張られたものである。マスク412は、金属製、例えば、ステンレス製のシートの印刷領域418に複数の貫通穴420が形成されたものである。マスク保持シート414は、マスク412を形成する金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シート、例えば、ポリエステル製のメッシュがアクリル製のテープによって裏打ちされたシートにより形成され、マスク412の下面の外周縁と、マスク枠416の下面との間に、マスク412にマスク枠416側へ引っ張る向きの張力を付与する状態で張られている。マスク412およびマスク枠416は、正方形あるいは長方形とされ、マスク412は、その中心がマスク枠416の中心と一致する状態でマスク枠416に張られている。本実施形態においては、マスク体410のマスク印刷装置の前後方向に平行な方向の寸法を幅、搬送方向ないし左右方向に平行な方向の寸法を長さとする。基板206,マスク吸着支持部材62,64,クランプ部材156,158についても同様である。
【0032】
マスク枠416の大きさは、複数種類の回路基板に共通とされている。マスク412は、基板206が一対のクランプ部材156,158と共に接触させられるとともに、前記1対のマスク吸着支持部材62,64のマスク支持面90によって下方から支持される被支持部が確保される幅を有し、マスク保持シート414の幅はマスク412の大きさに応じて複数種類ある。前後方向において、マスク枠416のマスク412側とは反対側の端と、マスク保持シート414のマスク412側の端との間の距離を、マスク保持シート414の幅とする。
【0033】
マスク枠受け400は、マスク枠416を下方から受けるものであり、図7に示すように、一対の受け部426と、それらにマスク枠416を押し付けて固定する固定装置としての複数のエアシリンダ428とを備えている。位置調節装置402は、印刷装置本体10とマスク枠受け400との間に設けられ、マスク枠受け400の位置を調節することにより、マスク枠受け400に保持されたマスク412と、前記基板保持装置14に保持された基板206との相対的な位置ずれを解消するものである。
【0034】
位置調節装置402は、互いに左右方向に隔たった2つの前後方向調節ユニット434と、それら2つの前後方向調節ユニット434から前後方向に隔たった1つの左右方向調節ユニット436と、その1つの左右方向調節ユニット436から左右方向に隔たった1つの浮動支持ユニット438とを含んでいる。前後方向位置調節ユニット434の各々は、図9に一方を代表的に示すように、印刷装置本体10に、前後方向に平行に固定されたガイド444と、そのガイド444に平行にかつ軸方向に移動不能に設けられた送りねじ446と、その送りねじ446を回転駆動する電動モータ448と、スライド450とを含んでおり、電動モータ448の回転によりスライド450が前後方向に移動させられる。そのスライド450には別のスライド452が左右方向に相対移動自在に保持されており、そのスライド452に回転部材454が、鉛直な回転軸線のまわりに回転自在に保持されている。
【0035】
左右方向調節ユニット436は、図7に示すように、ガイド464,送りねじ466,電動モータ468,スライド470,472および回転部材474を含んでいる。この基本的な構成は前後方向調節ユニット434と同じであるが、ガイド464および送りねじ466が左右方向に平行に配設されている点と、スライド470が前後方向に長い形状を有し、スライド472が前後方向に大きな距離移動自在とされている点とにおいて異なっている。浮動支持ユニット438は、前後方向に平行なガイド480、そのガイド480上を移動自在なスライド482、そのスライド482上を左右方向に移動自在な別のスライド484、およびそのスライド484に鉛直な回転軸線のまわりに回転可能に保持された回転部材486を含み、ユニット434,436の作動によるマスク枠受け400の位置調節時に、マスク枠受け400の対応部分の水平方向の自由な移動を許容しつつ荷重を受ける。
【0036】
上記マスク枠受け400の上面に、図7に二点差線で示すように、前記スキージ装置392のスキージ装置本体500が固定されている。スキージ装置本体500上に、図8に示すように、スキージスライド504が前後方向に移動可能に支持されており、スキージスライド駆動装置506により、案内装置を構成する2本のガイド502に案内されつつ移動させられる。本実施形態におけるスキージスライド駆動装置506は、複数のプーリ510と、それらに巻き掛けられたベルト512と、複数のプーリ510の1つを回転駆動する電動モータ514とを含む。
【0037】
スキージスライド504には、図11に示すスキージヘッド520が2つと、2つのスキージヘッド520をそれぞれ昇降させるスキージヘッド昇降装置524,526(図10参照)が搭載されている。スキージヘッド昇降装置524,526はそれぞれ、昇降部材528,530および昇降駆動装置532,534を含む。昇降駆動装置532,534は、送りねじ536,ナット538,電動モータ540(図8参照),プーリ542およびベルト544(図10参照)を含む。2つのスキージヘッド520によりそれぞれ、スキージ546が、その長手方向が搬送方向に平行となる姿勢で保持されている。
【0038】
印刷装置本体10の前記基板保持装置14およびマスク支持装置16が設けられた部分とマスク保持装置390およびスキージ装置392が設けられた部分との間の部分には、図1および図12に示すように、基準マーク撮像装置560,清掃装置562,清掃液塗布装置564(図13参照)および移動装置566が設けられている。移動装置566は、図12に示すように、スライド570およびスライド駆動装置572を含む。スライド駆動装置572は、印刷装置本体10に前後方向に平行な軸線まわりに回転可能かつ軸方向移動不能に取り付けられた送りねじ576,スライド570に固定のナット578および電動モータ580を含み、送りねじ576が電動モータ580によって回転させられることにより、スライド570が案内装置を構成するガイド582に案内されつつ、前後方向に移動させられる。
【0039】
上記スライド570に清掃装置562が取り付けられており、清掃装置562を前後方向に移動させる。また、スライド570には、図12に示すように、別のスライド584がガイド586により案内されて左右方向に移動可能に設けられており、図示を省略する送りねじおよび電動モータにより移動させられる。このスライド584には基準マーク撮像装置560が取り付けられ、マスク412および基板206に設けられた基準マークを撮像する。
【0040】
前記清掃装置562の詳細を図13,図14に示す。清掃装置本体600は前述のスライド570に固定されて、スライド570の一部として機能するようにされている。清掃装置本体600には、2つのロール保持装置602(図13には一方のみ図示されている)が前後方向に距離を隔てて保持されており、長尺の拭取シート604が保持されている。ロール保持装置602は、拭取シート604をロール状に巻かれた状態で供給する繰出し部たる供給ロール606と、使用済みの拭取シート604を巻き取る繰込み部たる巻取ロール608とをそれぞれ、左右方向に平行な軸線のまわりに回転可能に保持する。2つのロール保持装置602のうち、供給ロール606を保持するものが繰出し部保持装置を構成し、巻取ロール608を保持するものが繰込み部保持装置を構成している。本清掃装置562においては、供給ロール606は清掃装置本体600により回転可能に支持されているのみであるのに対し、巻取ロール608がロール駆動装置としての電動モータ610により回転させられ、拭取シート604の、供給ロール606から巻取ロール608へ渡る部分(以下、渡り部612と称する)を送る。また、供給ロール606が後側、巻取ロール608が前側に設けられている。供給ロールおよび巻取ロールの両方がロール駆動装置により回転させられ、拭取シート604が送られるとともに、渡り部に張力や弛みが与えられるようにしてもよい。
【0041】
ロール606,608間にはシート押付装置620が設けられている。シート押付装置620は、押付部材622と、その押付部材622を昇降させる押付部材駆動装置としての複動型のエアシリンダ624とを含んでいる。押付部材622は、連続気泡を有する発泡材から成っており、ロール606,608の軸線に平行な方向に長い長手形状を有し、その上面が渡り部612をマスク412の下面に押し付ける押付面626を構成している。拭取シート604のマスク412の下面に押し付けられる部分を拭取り部627と称する。
【0042】
また、押付部材622は、その全長に亘って延び、押付面626に開口させられた吸引口628を備えている。押付部材622は、図14に示すように、保持部材630に保持されているが、この保持部材630には、吸引口628とほぼ同じ長さを有する開口632を備えている。開口632は下部ほど横断面積が広くなる形状を有し、その下端に負圧発生装置634が接続されている。負圧発生装置634は良く知られたものであるため、図示および詳細な説明は省略するが、加圧空気を噴射する噴射ノズルの周囲の圧力が低下することを利用して負圧を発生させるものであり、開口632および吸引口628の長手方向の中央部において負圧を発生させる。その結果、開口632,吸引口628および拭取り部627を経て、空気が吸引口628の全長にわたってほぼ均一に吸引され、その空気と共に後述の清掃液や、マスク412の貫通穴420内に残るはんだが吸引される。
【0043】
前記清掃装置本体600には、渡り部612を支持するシート支持部材640が固定的に設けられているが、押付部材622はエアシリンダ624により、シート支持部材640より下方に引っ込んだ下降位置と、シート支持部材640から上方へ突出した上昇位置とに移動させられ、マスク412に接近,離間させられ、拭取り部627をマスク412に押し付け、離間させる。しかも、エアシリンダ624が、支持軸642により、前後方向に平行な回転軸線のまわりに回転可能に清掃装置本体600に保持されているため、押付部材622が全長にわたって均一な圧力でマスク412に押し付けられ、拭取り部627がマスク412の下面に良好に密着することが保証される。
【0044】
上記拭取り部627には、印刷機10の後部に設けられた清掃液塗布装置564により清掃液が塗布される。清掃液塗布装置564は、図13に示すように、清掃液塗布ヘッド652と、それをロール606,608の軸線に平行な方向に移動させる塗布ヘッド移動装置654とを含んでおり、前記スライド570が後退端位置へ移動させられた状態で、清掃液塗布ヘッド652が清掃装置562(厳密には拭取シート604の拭取り部627)の上方に位置するように、印刷装置本体10に取り付けられている。スライド570の後退端位置は、清掃装置562が前後方向において、基板保持装置14,マスク支持装置16,マスク保持装置390およびスキージ装置392から後方へ外れ、退避した状態となる位置であり、清掃装置562が後退端位置である退避位置に位置させられる。
【0045】
清掃液塗布ヘッド652は、ガイド656に案内される移動部材658に保持されており、この移動部材658が、電動モータ660,プーリ662,ベルト664を含む塗布ヘッド移動装置654により移動させられることにより、清掃液塗布ヘッド652が任意の移動範囲において移動させられるのである。したがって、清掃液塗布ヘッド652は、拭取り部627の、実際にマスク412の清掃を行うべき部分に限定して清掃液を塗布することとなる。清掃液は溶剤を主体とするものであり、図示を省略する清掃液供給装置から、加圧されて清掃液塗布ヘッド652のノズルに供給され、ノズルから水平に吐出された清掃液は、そのノズルに対向して設けられた受け部材670に受けられ、拭取り部627に滴下させられる。
【0046】
本マスク印刷装置は、図15に示す制御装置680により制御される。制御装置680はコンピュータ682を主体として構成され、その入出力部には電動モータ124等の電動アクチュエータがそれぞれ駆動回路684を介して、また、エアシリンダ80等および負圧発生装置634等の流体アクチュエータがそれぞれ制御弁駆動回路686および制御弁688等を介して接続されている。入出力部にはまた、本マスク印刷装置を構成する種々の装置の駆動源を構成するサーボモータの各エンコーダ700が直接、基準マーク撮像装置560が制御および画像処理装置702を介して、操作パネル704が制御回路706を介して接続されている。操作パネル704は、操作部708および表示画面710等を備え、作業者は表示画面710の表示を見ながらデータ,指示等の入力等を行うことができる。また、コンピュータ682のROMには、各種装置を制御してはんだの印刷を行うためのプログラムおよび図21,図22にフローチャートで示すプログラム等が格納されている。
【0047】
本マスク印刷装置による基板206へのはんだの印刷を説明する。
本マスク印刷装置への基板206の搬入時には、図16(a)に示すように、マスク支持装置16は下降端位置である退避位置に位置し、基板保持装置14,基板支持装置150はそれぞれ、マスク支持装置16,サイドクランプ装置152に対して下降端位置に位置する。また、マスク吸着支持部材62,64は後方位置に位置し、マスク吸着支持部材64はマスク支持装置本体60に固定されていない。後方位置は、マスク吸着支持部材62,64が水平方向ないしマスク412に平行な方向においてクランプ部材156,158に隣接し、基板保持装置14に保持された基板206の搬送方向に平行な両側端部から外れた状態となる位置である。また、可動クランプ部材158は、基板206から離間し、クランプしない離間位置ないし解放位置に位置する。
【0048】
基板搬送装置208によりマスク印刷装置へ搬入された基板206は、搬送方向において予め設定された停止位置に停止させられる。この位置は、基板206の搬送方向の中心が、マスク412の搬送方向の中心と一致することが予定された位置である。前後方向においては、マスク枠受け400が前後方向調節ユニット434によって移動させられることにより、マスク412が、基板206の大きさに応じて、両者の中心が一致することが予定された位置へ移動させられており、基板206とマスク412との中心が一致する状態で印刷が行われる。
【0049】
基板206の停止後、図16(b)に示すようにマスク吸着支持部材62,64が前方位置へ移動させられる。前方位置は、基板受け面92がクランプ部材156,158およびベルト200の上方に位置する位置である。そして、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して上昇させられ、図16(c)に示すようにクランプ部材156,158が基板受け面92に当接させられる。
【0050】
次いで、基板支持装置150がサイドクランプ装置152に対して上昇させられる。それにより図16(d)に示すように支持ピン234が基板206に接触し、ベルト200から持ち上げ、その両側端部をそれぞれ基板受け面92に当接させる。基板支持装置150の上昇距離が過剰であれば、支持体68がスプリング86の付勢力に抗して回動させられて逃げ、基板206の損傷が回避される。
【0051】
次いで、クランプ部材駆動装置160が作動させられ、可動クランプ部材158が基板206に接近させられ、やがて図16(e)に示すように、固定クランプ部材156との間に基板206を挟んで固定する。クランプ後、支持ピン234に負圧が供給され、基板206を吸着し、支持面236により水平な姿勢で支持する。
【0052】
吸着後、図16(f)に示すように基板保持装置14がマスク支持装置16に対して下降させられ、クランプ部材156,158および基板206が基板受け面92から離間させられる。そして、図16(g)に示すように、マスク吸着支持部材62,64が後方位置へ後退させられ、マスク吸着支持部材64がマスク支持装置本体60に固定される。
【0053】
次いで、図16(h)に示すように、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して上昇させられ、クランプ部材156,158および基板206がマスク吸着支持部材62,64の間に位置させられ、それらの上面がマスク支持面90と同一平面内に位置させられる。この状態では、傾斜側面94と傾斜側面168,194とが互いに近接して対向するが、図4に示すように、それらの間の隙間が平面視においてスキージ546の長手方向に対して傾斜する。そのため、はんだの印刷時にスキージ546がマスク吸着支持部材62,64とクランプ部材156,158との間の隙間に落ち込むことがない。なお、図16においては、理解を容易にするために基板206とクランプ部材156,158との間の隙間を誇張して図示したため、傾斜側面94,194間の隙間が大きく図示されているが、実際にはそれより小さく僅かである。
【0054】
そして、基準マーク撮像装置560が移動させられ、マスク412,基板206にそれぞれ形成されたマークの撮像,両者の位置ずれの取得,修正等が行われる。これら撮像等はよく知られており、説明を省略する。撮像後、基準マーク撮像装置560は、搬送方向において、マスク412と基板206との間の空間から離脱し、退避した退避位置へ移動させられる。
【0055】
そして、マスク支持装置16が上昇させられる。基板保持装置14はマスク支持装置16に対して停止させられており、マスク支持装置16と共に上昇させられてマスク412に接近させられ、図16(i)に示すようにマスク支持面90とクランプ部材156,158および基板206の各上面とがマスク412の下面に接触させられる。この際のマスク吸着支持部材62,64の位置が支持位置であり、マスク支持面90は、マスク412の下面の、クランプ部材156,158,基板206が接触離間させられる部分より外側の部分であって、基板206の両側端部から外れた2部分に接触させられるとともに、吸引孔98から空気が吸引されてマスク412を吸着し、その下面を支持する。そして、スキージ546がマスク412の上面に接触させられ、その上面に沿って移動させられてはんだを移動させ、貫通穴420に充填して基板206に印刷する。
【0056】
印刷後、基板206がマスク412から離間させられる。本実施形態においては、マスク吸着支持部材62,64がマスク412を吸着したままの状態でマスク支持装置16が下降させられる。基板保持装置14はマスク支持装置16に対して上昇したままとされ、マスク支持装置16と一体的に下降させられる。そのため、図16(j)に示すように、マスク412がマスク吸着支持部材62,64により引っ張られて下方へ撓まされ、基板206はマスク412が接触したままの状態で下降させられる。
【0057】
マスク吸着支持部材62,64および基板206は、マスク保持シート414の弾性変形により許容される距離、一体的に下降させられた状態で急激に停止させられる。それにより、貫通穴420内に充填され、基板206に付着させられたはんだに基板206に向かう向きの慣性力が発生させられ、付着力が増す。停止後、マスク吸着支持部材62,64がマスク412を吸着したままの状態で、マスク支持装置16が基板保持装置14と一体的に、図16(i)に示す印刷時の位置へ上昇させられる。上昇後、マスク吸着支持部材62,64によるマスク412の吸着が解除される。そして、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して下降させられ、マスク吸着支持部材62,64がマスク412を支持した状態で基板206がマスク412から低速で離間させられ、基板206への付着力が増したはんだが貫通穴420から確実に抜け出させられる。
【0058】
離間後、マスク支持装置16が、基板206のマスク412からの離間速度より高速で下降させられ、それと一体的に基板保持装置14も下降させられる。この下降の間に、サイドクランプ装置152による基板206のクランプが解除されるとともに、基板支持装置150がサイドクランプ装置152に対して下降させられ、基板206がベルト200上に載置される。なお、図16(j)に示す工程は省略し、印刷終了後、マスク吸着支持部材62,64によるマスク412の吸着を解除した状態で基板保持装置14をマスク支持装置16に対して下降させ、マスク吸着支持部材62,64にマスク412を支持させた状態で基板206をマスク412から離間させてもよい。
【0059】
マスク412の清掃を説明する。
印刷によりマスク412の下面が汚れ、あるいは貫通穴420にはんだが残れば、印刷品質が低下するため、マスク412の清掃が行われる。清掃時には、マスク支持装置16は退避位置に位置し、基板保持装置14および基板支持装置150はいずれも下降端位置に位置し、マスク412から離間させられている。清掃装置562は、清掃が行われない場合には退避位置に退避させられていて、基板206等のマスク412への接触を許容し、清掃時には退避位置から前方へ移動させられ、基板保持装置14およびマスク支持装置16とマスク412との間のスペースに進入させられる。
【0060】
そして、エアシリンダ624により押付部材622が上昇位置へ上昇させられて、押付面626が拭取シート604の拭取り部627をマスク412の下面に押し付ける。その状態で、清掃装置562が移動装置566により前方へ直線的に移動させられ、押付部材622がマスク412の下面に沿って移動しつつ、拭取り部627によりマスク412の下面の汚れを拭き取る。清掃装置562の退避位置はマスク印刷装置の後部に設定されており、また、電動モータ610により回転駆動される巻取ロール608が供給ロール606に対して前側に設けられているため、清掃装置562は、拭取シート604がマスク412に押し付けられた状態では退避位置から前方へのみ移動させられ、拭取シート604がマスク412との間の摩擦によってロール606,608から引き出されることなく、拭取りが行われる。したがって、拭取りは一対のマスク吸着支持部材62,64のうち、前側に設けられたマスク吸着支持部材62側において終了し、拭取シート604がマスク412から離間させられた状態で清掃装置562が退避位置へ戻される。本マスク印刷装置においては、押付部材622のマスク412に沿った前後方向の移動と、昇降とを含む運動によって清掃が行われる。
【0061】
清掃時に押付部材622に付与すべき運動は、基板206の幅およびマスク体410のマスク保持シート414の幅等に基づいて決定される。図17(a)に示すように、マスク412の、清掃終了側に位置するマスク吸着支持部材62により支持される被支持部の基板206に近い側の端と、マスク412とマスク保持シート414との境界との間の距離Lが、マスク支持面90の幅Fと拭取り部627の幅Wとの和以上であり、拭取り部627をマスク412の下面に押し付けられた押付状態を保ったままで、マスク412の被支持部から基板206とは反対側へ出外れた位置まで移動させるに十分な距離がある場合は、押付部材622に付与すべき運動が、図17(b)に示すように、拭取り部627を上記出外れ位置まで移動させた状態で清掃装置562を停止させた後に、図17(c)に示すように、押付部材622を下降させ、拭取り部627をマスク412に対して直角に真っ直ぐ下方に離間させる運動に決定される。この運動を出外れ位置移動運動と称する。ここでは、マスク412とマスク保持シート414との境界は、マスク保持シート414のマスク412側の端により画定される。なお、図17および図18においては、図示が煩雑になることを回避するために、清掃装置562を、実際には拭取シート604がマスク412に押し付けられた状態とされる位置においても、離間した状態で図示されている。また、昇降によりマスク412に接近,離間させられるのは押付部材622であり、供給ロール606および巻取ロール608は接近,離間させられないが、押付部材622の昇降をわかり易くするために、供給ロール606および巻取ロール608も共に昇降させた状態が図示されている。後に説明する図19および図20についても同様である。
【0062】
上記距離Lは、図17(a)に示すように、マスク枠の幅M,マスク保持シート414の幅S,基板206の幅Bおよびクランプ部材156のマスク412に接触させられる部分の幅Cにより得られる。幅Mおよび幅Cと前記幅Fおよび幅Wとは、マスク印刷装置の構成上、固定の既定値である。幅Mは、マスク体410の幅でもある。幅Sおよび幅Bは、マスク体410の種類,基板206の種類によって変わり得る値であり、後述するように、作業者によって入力されるが、幅Sおよび幅Mによりマスク412の幅が演算により得られ、距離Lが得られるため、幅Sの入力がマスク412の大きさに関する情報の入力であることとなる。押付部材622に出外れ位置移動運動が付与される場合、清掃開始位置は、マスク412の基板206が接触させられる部分の、清掃時における移動方向(後方側から前方側)において上流側の端より上流側へ余裕幅A、隔たった位置に、拭取り部627の下流側の端が位置する位置とされ、上記出外れ位置が清掃終了位置とされる。余裕幅Aは既定値であるが、変更されるようにしてもよい。これら位置は、基板206の幅Bを基準として決められると考えることができる。このように押付部材622に付与すべき運動が出外れ位置移動運動に決定された場合、拭取り部627により拭き取られたはんだは、図17(c)に示すように、マスク412の被支持部から外れた位置まで運ばれ、マスク吸着支持部材62がマスク412を支持する際に付着することがない。
【0063】
それに対し、図18に示すように、基板206の幅が大きく、マスク吸着支持部材62,64の一部がマスク保持シート414と対向する状態となる場合のように、上記距離Lが、マスク支持面90の幅Fと拭取り部627の幅Wとの和より小さくなる場合には、押付部材622に付与すべき運動は、図18(a)に示すように、拭取り部627を、マスク412の基板206が接触させられた部分の端を被支持部側へ過ぎた後、図18(b)に示すように、マスク412とマスク保持シート414との境界に至る前に、マスク412の下面に平行な方向の移動を継続させつつ、マスク412の下面から離間させる拭上げを行う運動に決定される。この運動を拭上げ運動と称する。拭上げにより、拭取り部627はマスク412に対して斜めに離間させられることとなり、ここでは、図18(a)に示すように、拭取り部627が、マスク412の基板206が接触させられた部分を被支持部側へ通り過ぎた位置が拭上げ開始位置、すなわち拭取り部627のマスク412からの離間開始位置とされる。また、清掃開始位置は出外れ位置移動運動と同様に決められ、清掃終了位置は、拭取り部627の清掃時移動方向において下流側の端が、マスク412とマスク保持シート414との境界に位置する位置とされる。
【0064】
本マスク印刷装置によれば、拭取シート604をマスク412の下面に押し付けた状態で押付部材622をマスク412に沿って移動させ、拭取シート604にマスク412の下面に付着したはんだを拭き取らせる乾式拭取りと、拭取シート604に清掃液を染み込ませ、その拭取シート604をマスク412の下面に押し付け、マスク412に沿って移動させてマスク412の下面に付着したはんだや、貫通穴420の内周面に付着したはんだを拭き取る湿式拭取りとを行うことができる。ここでは、湿式拭取りは、押付部材622の吸引口628に負圧が供給され、汚れの吸引を伴って行われるとともに、押付部材622が乾式拭取り時より遅い速度で移動させられて行われる。また、ここでは、湿式拭取りが行われる場合、それに続いて乾式拭取りが行われる。このように湿式拭取りの方が乾式拭取りより丁寧な清掃であり、ここでは乾式拭取りのみの清掃を通常清掃とし、湿式拭取りを特別清掃とする。清掃は、印刷が設定回数、行われる毎に行われるのであるが、特別清掃は、通常清掃が設定回数行われた後、1回、行われることとする。なお、湿式拭取り時における押付部材622の移動速度は任意の大きさに設定可能である。
【0065】
乾式拭取りが行われる場合、清掃装置562は清掃開始位置から清掃終了位置へ移動させられた後、拭取り部627がマスク412から離間させられた状態で退避位置へ戻される。この間、あるいは次の清掃開始時に拭取シート604が送られ、拭取り部627が新しく、きれいな拭取シート604により構成される。湿式拭取りが行われる場合、清掃装置562が退避位置から清掃開始位置へ移動させられるのに先立って、清掃液塗布ヘッド652によって拭取り部627に清掃液が塗布される。そして、濡れた拭取り部627がマスク412に接触させられて拭取りを行い、清掃終了位置への移動後、拭取り部627がマスク412から離間させられた状態で、清掃開始位置へ移動させられるとともに拭取シート604が送られ、拭取り部627がきれいな面とされる。そして、拭取り部627がマスク412に接触させられた状態で移動させられて拭取りが行われ、清掃終了位置への移動後、拭取り部627がマスク412から離間させられた状態で清掃装置562が退避位置へ戻される。
【0066】
ここでは、特別清掃時に残はんだ除去が行われる。残はんだ除去は、清掃装置562が清掃終了位置まで移動した状態において、拭取り部627による拭取りによって寄せ集められ、マスク412の清掃終了位置に対応する部分であって、拭取り部627の離間部分に残った汚れを除去する作業である。そのため、清掃装置562は、マスク412の拭取り部627の離間部分を拭取シート604によって拭くように作動させられる。
【0067】
押付部材622に付与すべき運動が出外れ位置移動運動の場合、図17(c)に示すように、拭取り部627がマスク412の被支持部を通り抜けた位置に停止させられるとともに、マスク412から直角に離間させられるため、はんだは、マスク412の清掃終了時に拭取り部627が接触していた部分に残る。この部分が、清掃工程の末期に拭取シート604が離間させられた離間部分である。したがって、図19(a)に示すように、拭取り部627を、清掃終了時の位置に対して、清掃時における移動方向の上流側に隣接する位置から、図19(b)に示すように、清掃終了時の位置に対して下流側に隣接する位置まで移動させれば、マスク412に残ったはんだを拭き取ることができる。そのため、図19(a)に示すように、拭取り部627の下流側端が、マスク412の被支持部の、基板206とは反対側の端と一致する位置が残はんだ除去開始位置とされ、図19(b)に示すように、残はんだ除去開始位置から拭取り部627の幅Wの2倍の距離、下流側へ移動した位置が残はんだ除去終了位置とされる。これら位置は、図19(a)に示すように、基板206の位置,基板206の幅B,クランプ部材156の幅C,マスク支持面の幅F,拭取り部627の幅Wに基づいて演算される。基板206の位置は、基板206の停止位置および基板206の寸法により得られる。
【0068】
押付部材622に付与されるべき運動が拭上げ運動である場合には、図20(a)に示すように、前記拭上げ開始位置が残はんだ除去開始位置とされ、図20(b)に示すように、拭上げ運動における清掃終了位置が残はんだ除去終了位置とされる。はんだは、マスク412の前後方向において、拭取り部627がマスク412に沿って移動させられつつ、下降させられる部分に残るからであり、マスク412の、拭上げ開始位置から清掃終了位置までに対応する部分が、清掃工程の末期に拭取シート604が離間させられた離間部分であることとなる。
【0069】
なお、押付部材622に付与されるべき運動が出外れ位置移動運動である場合に、前記距離Lが幅Fと距離2Wとの和より小さく、マスク412の被支持部の基板206側とは反対側の端と、マスク412とマスク保持シート414との境界との間の距離が距離2Wより小さい場合には、拭取り部627の下流側端が、マスク412と保持シート414との境界に位置する位置が残はんだ除去終了位置とされる。残はんだ除去開始位置および残はんだ除去終了位置の演算時に、マスク412の被支持部の基板206側とは反対側の端と、マスク412とマスク保持シート414との境界との間の距離が、距離Lから幅Fを引くことにより求められ、距離2Wと比較される。この距離が幅Wより大きくても、距離2Wより小さい場合には、押付部材622に付与されるべき運動が拭上げ運動とされてもよい。
【0070】
残はんだ除去は、乾式拭取りあるいは湿式拭取りによって行われる。乾式拭取りによって行われる場合、拭取り部627は、マスク412から離間させられた状態で清掃終了位置から残はんだ除去開始位置へ移動させられる。この際、拭取シート604が送られて汚れた面が巻き取られ、拭取り部627が新しいきれいな面とされる。押付部材622は、残はんだ除去開始位置において上昇させられて拭取り部627がマスク412の下面に押し付けられた後、押付状態を保って残はんだ除去終了位置へ移動させられ、拭取り部627が残はんだを拭き取る。押付部材622は残はんだ除去終了位置において停止させられた後、下降させられ、拭取り部627がマスク412に対して真っ直ぐ下方へ離間させられる。
【0071】
残はんだ除去が湿式拭取りによって行われる場合、清掃装置562は、清掃終了位置へ移動させられ、拭取り部627がマスク412から離間させられた状態で退避位置へ戻される。そして、拭取シート604が送られてきれいな面とされた拭取り部627に清掃液が塗布される。その状態で清掃装置562は残はんだ除去開始位置へ移動させられ、拭取り部627がマスク412に接触させられ、湿式拭取りによる残はんだ除去が行われる。押付部材622は残はんだ除去終了位置への移動後、マスク412に対して真っ直ぐ下方へ離間させられ、残はんだ除去開始位置へ移動させられる。また、拭取シート604が送られて拭取り部627がきれいな状態とされてマスク412に接触させられ、乾式拭取りを行う。拭取り終了後、清掃装置562は退避位置へ退避させられる。
【0072】
図21に示すフローチャートに基づいて、押付部材622に付与すべき運動の決定,清掃内容の設定を説明する。この設定は、一連の基板206へのはんだ印刷の開始前に行われ、ステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)において表示画面710に基板206の幅Bおよびマスク保持シート414の幅Sの入力実行を促すメッセージおよび入力項目等が表示される。次いでS2が実行され、入力が完了したか否かの判定が行われる。作業者が基板206およびマスク保持シートの各幅B,幅Sを入力し、入力完了指示を入力するまで、S1,S2が繰返し実行される。
【0073】
入力が完了すれば、S2の判定がYESになってS3が実行され、幅Bおよび幅Sが幅データメモリに記憶させられる。幅データメモリは、コンピュータ682のRAMに設けられて記憶手段を構成する。次いでS4が実行され、入力された基板206の幅Bおよびマスク保持シート414の幅Sと既定値とに基づいて押付部材622に付与すべき運動,清掃開始位置および清掃終了位置が決定される。既定値は、ここではマスク枠416の幅M,拭取り部627の幅W,クランプ部材156,158のマスク412に接触させられる部分の幅C,マスク吸着支持部材62,64のマスク支持面90の幅F,余裕幅Aであり、先に、図17および図18に基づいて説明したように距離Lが算出され、運動が出外れ位置移動運動と、拭上げ運動とのいずれかに決められる。
【0074】
次いでS5が実行され、清掃内容の入力を促すメッセージおよび入力項目等が表示画面710に表示される。ここでは、清掃内容として、通常清掃の実行間隔,特別清掃の実行間隔,通常清掃の内容,特別清掃の内容が入力されるようにされる。通常清掃および特別清掃の実行間隔はそれぞれ、印刷回数N1,N2の入力により設定される。この実行間隔は、例えば、基板206へのはんだの印刷状態を検査する印刷検査機の検査結果に基づいて設定され、例えば、検査により印刷不良と判定される基板206の率が高いほど、印刷回数が少なく設定され、清掃が頻繁に行われるようにされる。通常清掃の内容は、乾式拭取りを1回行うか、2回行うかのいずれかの選択により設定され、特別清掃の内容はここでは決められていて表示のみされ、1回の湿式拭取りおよび引き続いて行われる1回の乾式拭取りである。通常清掃の実施は必須であるが、特別清掃の実施は任意であり、印刷回数N2に0が入力されることにより特別清掃が行われないことが入力される。また、特別清掃が行われる場合、印刷回数N2として印刷回数N1より大きく、整数倍の値が入力されるようにされ、通常清掃が{(N2/N1)−1}回、行われた後、1回、特別清掃が行われるようにされる。
【0075】
次いでS6が実行され、入力が完了したか否かの判定が行われる。入力が完了するまでS5,S6が繰返し実行され、入力が完了すれば、S6の判定がYESになってS7が実行され、S4において決定された押付部材622に付与すべき運動等および通常清掃内容が通常清掃メモリに記憶させられる。
【0076】
次いでS8が実行され、S5において特別清掃が設定されたか否かが判定される。この判定は印刷回数N2が0でないか否かにより行われ、0であれば特別清掃は行われず、S8の判定がNOになってルーチンの実行が終了する。印刷回数N2が0でなければ、S8の判定がYESになってS9が実行され、表示画面710に残はんだ除去の態様(i)〜(iii)が表示され、作業者に選択させるようにされる。残はんだ除去は、特別清掃と同様に、通常清掃が{(N2/N1)−1}回、行われた後、1回、行われ、清掃が(N2/N1)回行われる毎に1回、行われるのである。S9においてはまた、特別清掃実施フラグFが1にセットされ、特別清掃が実行されることが記憶される。そして、S10において入力が完了したか否かの判定が行われ、入力が完了するまでS9およびS10が繰返し実行される。
【0077】
入力が完了すれば、S10の判定がYESになってS11が実行され、残はんだ除去が行われるか否かの判定が行われる。S9において態様(ii)あるいは態様(iii)が選択され、残はんだ除去実施が選択されたのであれば、S11の判定がYESになってS12が実行され、図19および図20に基づいて説明したように、残はんだ除去の開始位置および終了位置が設定される。設定後、S13が実行され、S4において決定された押付部材622に付与すべき運動等および残はんだ除去内容,残はんだ除去の開始位置,終了位置が特別清掃内容と共に特別清掃メモリに記憶させられる。残はんだ除去が行われないのであれば、S11の判定がNOになってS14が実行され、押付部材622に付与すべき運動等および特別清掃内容が特別清掃メモリに記憶させられる。
【0078】
基板206へのはんだの印刷開始後、図22に示すマスク清掃ルーチンが実行される。本ルーチンのS21においては1枚の基板206についてはんだの印刷が終了したか否かの判定が行われる。印刷終了までS21が繰返し実行され、印刷が終了すれば、S21の判定がYESになってS22が実行され、第1,第2カウンタの各カウント値C1,C2が1増加させられ、通常清掃を行うための印刷回数および特別清掃を行うための印刷回数がそれぞれカウントされる。次いでS23において全部の基板206についてはんだの印刷が終了したか否かが判定される。最後の基板206でなければ、S23がNOになってS24が実行され、通常清掃を行うための印刷回数を数えるカウント値C1が先に入力された印刷回数N1以上であるか否かが判定される。通常清掃が行われる時期であるか否かの判定が行われるのであり、まだ、印刷がN1回、行われていなければ、S24がNOになってS21が実行される。
【0079】
印刷がN1回、行われるまでS21〜S24が繰返し実行される。印刷がN1回、行われれば、S24の判定がYESになってS25が実行され、特別清掃実施フラグがセットされているか否かにより、特別清掃が行われるか否かの判定が行われる。特別清掃が行われるのであれば、S25の判定がYESになってS26が実行され、第2カウンタのカウント値C2が、先に入力された印刷回数N2以上であるか否かが判定される。印刷回数が特別清掃を行う回数に達したか否かが判定されるのであり、未だ印刷回数N2に達していなければ、S26がNOになってS27が実行され、カウント値C1が0にリセットされる。そして、S28が実行され、通常清掃メモリから通常清掃内容および押付部材622の運動が読み出され、それらに従ってS29が実行され、マスク清掃が行われる。
【0080】
カウント値C2はリセットされていないため、次にS22が実行されるとき、カウント値C1は0からカウントを開始させられるが、カウント値C2は前回のS22の実行時の値が引き続いて増大させられる。カウント値C2がN2以上になるまで、S21〜S29が繰返し実行され、N2以上になれば、S26の判定がYESになってS30が実行される。そして、カウント値C1,C2がリセットされた後、S31が実行され、特別清掃メモリから特別清掃内容および押付部材622の運動が読み出され、その内容に従ってS32が実行され、清掃が行われる。残はんだ除去の実施が設定されているのであれば、設定に従って残はんだ除去が行われる。
【0081】
S30においてカウント値C1,C2がリセットされることにより、次にS22が実行されるとき、いずれも0からカウントが行われ、印刷がN1回、行われる毎に通常清掃が行われ、印刷がN2回、行われる毎に特別清掃が行われる。予定された全部の基板206について印刷が行われれば、S23の判定がYESになってS33が実行され、カウント値C1,C2および特別清掃実施フラグのリセットが行われてルーチンの実行が終了する。特別清掃が行われない場合には、S25の判定がNOになってS27〜S29が実行され、通常清掃が行われる。そして、S23の判定がYESになるまで、S21〜S25,S27〜S29が繰返し実行され、印刷がN1回、行われる毎に通常清掃が行われる。
【0082】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、移動装置566およびエアシリンダ624が押付部材移動装置を構成し、マスク支持部材昇降装置110および基板保持装置昇降装置250が接近・離間装置を構成し、マスク支持部材昇降装置110がマスク支持部材移動装置を構成している。また、操作パネル704が入力装置を構成し、制御装置680のS4を実行する部分が運動決定部を構成し、S29およびS32を実行する部分が清掃実行部を構成し、これらが清掃制御装置を構成している。
【0083】
なお、清掃は、印刷が1回行われる毎に1回、行われてもよく、その清掃は特別清掃により行われてもよい。また、通常清掃時に残はんだ除去が行われてもよい。さらに、特別清掃時には、常に残はんだ除去が行われるようにしてもよい。
【0084】
残印刷剤の除去は、例えば、乾式拭取りあるいは湿式拭取りを、押付部材622の吸引口628に負圧を供給し、はんだを吸引しつつ、押付部材622を小刻みに繰返し昇降させて拭取り部627にマスク412を叩かせることにより行ってもよい。押付部材622の小刻みな往復運動は、例えば、制御弁688の制御により、エアシリンダ624の2つのエア室への圧縮エアの供給を短時間で切り換えることにより行ってもよく、電磁式の振動付与装置を設けて押付部材を上下に振動させることにより行ってもよい。振動付与装置を超音波振動装置により構成してもよい。
あるいは、拭取り部627を押付部材622により、マスク412のはんだが残っている部分に押し付け、押付部材622を停止させたままの状態で拭取シート604を巻取ロール608により巻き取って送り、拭取シート604のマスク412を拭う面を汚れのない新しいきれいな面に変えつつ、残ったはんだを拭き取るようにしてもよい。拭取シートが循環式のシートとされる場合は、拭取シートをマスクに押し付け、押付部材を停止させたままの状態で拭取シートを循環させて送り、拭取シートの拭取り部を構成する部分をきれいな面に変えつつ、残はんだを拭き取らせる。このように拭取シートをマスクに押し付け、押付部材を停止させたままの状態で拭取シートを送って残はんだを拭き取る場合は、押付部材による拭取り部のマスクへの押付力は、清掃時より小さくすることが望ましい。
【0085】
また、通常清掃についても、特別清掃についても、その清掃内容はユーザが適宜に設定することが可能であり、例えば、連続して2回、行う乾式拭取りが特別清掃とされてもよく、連続した2回の湿式拭取りとその後の1回の乾式拭取りが特別清掃とされてもよい。
【0086】
さらに、乾式拭取り時に押付部材に負圧が供給されて印刷剤の吸引が行われるようにしてもよい。
【0087】
また、清掃装置の往動時にも復動時にも、拭取シートによってマスクの拭取りが行われるようにしてもよい。この場合、繰出し部および繰込み部をいずれもモータにより回転させられるものとすることが望ましい。往動時における清掃と復動時における清掃とにおいてそれぞれ、清掃装置は出外れ位置移動運動と拭上げ運動とのいずれかを行わされる。運動は、往動時と復動時とにおいて同じでもよく、異なっていてもよい。
【0088】
さらにまた、清掃装置全体が昇降装置により昇降させられ、それにより押付部材が昇降させられてマスクに接近,離間させられ、拭取シートがマスクに接触,離間させられるようにしてもよい。この場合、押付部材移動装置は、清掃装置移動装置であることとなる。
【0089】
また、押付部材に拭上げ運動が付与される場合、拭取シートのマスクに押し付けられた部分が、マスクのマスク支持部材に接触させられた部分の回路基板に近い側の端を過ぎた後に、拭上げが開始されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10:印刷装置本体 14:基板保持装置 16:マスク支持装置 18:マスク保持装置 62,64:マスク吸着支持部材 392:スキージ装置 412:マスク 562:清掃装置 604:拭取シート 680:制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通穴が形成されたマスクを保持するマスク保持装置と、
回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、
前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、
(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、
前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、それら一対のマスク支持部材を前記清掃装置による清掃時に前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置と
を含むマスク印刷装置により回路基板に印刷剤を印刷する方法であって、
前記スキージ装置による印刷剤の印刷後に、前記接近・離間装置によりマスクと回路基板とを互いに離間させるとともに、前記マスク支持部材移動装置により前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させた状態で前記清掃装置に清掃を行わせ、その清掃に際して、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、前記支持位置に位置させられたマスク支持部材に接触させられた部分から、前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させた後に、前記マスクの下面から離間させることを特徴とするマスク印刷方法。
【請求項2】
金属製シートに複数の貫通穴が形成されたマスクが、前記金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたマスク体を保持するマスク保持装置と、
回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、
前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、
(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、
前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、それら一対のマスク支持部材を前記清掃装置による清掃時に前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置と
を含むマスク印刷装置により回路基板に印刷剤を印刷する方法であって、
前記スキージ装置による印刷剤の印刷後に、前記接近・離間装置によりマスクと回路基板とを互いに離間させるとともに、前記マスク支持部材移動装置により前記一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させた状態で前記清掃装置に清掃を行わせ、その清掃に際して、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、少なくとも、回路基板が接触させられた部分の端を前記マスク支持部材に接触させられた部分側へ過ぎた後、そのマスクと前記低弾性係数シートとの境界に至る前に、前記マスクの下面に平行な方向の移動を継続させつつそのマスクの下面から離間させる拭上げを行うことを特徴とするマスク印刷方法。
【請求項3】
前記清掃装置によるマスクの清掃時に、マスクの前記マスク支持部材に接触させられた部分の前記回路基板に近い側の端と、前記マスクと前記低弾性係数シートとの境界との間に、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、その押付状態に保ったままで、前記マスクの前記マスク支持部材に接触させられた部分から前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させるに十分な距離がある場合はその位置まで移動させた後にマスクから離間させ、その距離がない場合に前記拭上げを行う請求項2に記載のマスク印刷方法。
【請求項4】
前記マスク支持部材として、上面に開口する吸引孔を有し、その吸引孔からの空気の吸引により、前記マスクを吸着して支持するマスク吸着支持部材を使用する請求項1ないし3のいずれかに記載のマスク印刷方法。
【請求項5】
前記マスクの、前記清掃工程の末期に前記拭取シートが離間させられた部分である離間部分を、前記拭取シートに再び拭かせることにより、その離間部分に残った印刷剤を除去する残印刷剤除去工程を含む請求項1ないし4のいずれかに記載のマスク印刷方法。
【請求項6】
複数の貫通穴が形成されたマスクを保持するマスク保持装置と、
回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、
前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、
(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、
その清掃装置の前記押付部材に前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために必要な運動を付与する押付部材移動装置と、
その押付部材移動装置を制御することにより前記押付部材の移動を制御する清掃制御装置と、
前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、前記清掃装置による清掃時に、それら一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置と
を含み、かつ、前記清掃制御装置が、
前記マスク保持装置に保持されたマスクと前記基板保持装置に保持された回路基板との大きさに関する情報を入力可能な入力装置と、
その入力装置に入力された前記情報に基づいて、前記拭取シートによる前記マスクの下面拭取りのために前記押付部材に付与すべき、その押付部材のマスクへの接近・離間とマスクに沿った移動とを含む運動を、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの前記支持位置に位置させられたマスク支持部材に接触させられた部分から、前記回路基板とは反対側へ出外れた位置までマスクに沿って移動させた後に、前記マスクの下面から離間させる運動に決定する運動決定部と
を含むことを特徴とするマスク印刷装置。
【請求項7】
金属製シートに複数の貫通穴が形成されたマスクが、前記金属製シートより弾性係数の小さい低弾性係数シートを介してマスク枠に張られたマスク体を保持するマスク保持装置と、
回路基板を、前記マスク保持装置に保持されたマスクの下方に、そのマスクに平行に保持する基板保持装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクに沿って移動し、そのマスクの上面に載せられた印刷剤を前記複数の貫通穴を通して、前記基板保持装置に保持された回路基板に印刷するスキージ装置と、
前記マスク保持装置と前記基板保持装置とを相対的に昇降させることにより、マスク保持装置に保持されたマスクと基板保持装置に保持された回路基板とを互いに接近・離間させる接近・離間装置と、
前記マスク保持装置に保持されたマスクの、前記基板保持装置に保持された回路基板の両側端部から外れた2部分に接触または近接する支持位置に位置させられ、前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との少なくとも一方において、マスクの下面を支持する一対のマスク支持部材と、
(a)長尺の拭取シートを繰り出す繰出し部と、(b)その拭取シートを繰り込む繰込み部と、(c)それら繰出し部と繰込み部との間に延びる前記拭取シートを前記マスクの下面に押し付ける押付面を有する押付部材とを備え、前記接近・離間装置により互いに離間させられたマスクと回路基板との間に進入し、マスクの下面に沿って移動しつつ前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けた前記拭取シートによりマスクの下面を拭き取る清掃装置と、
その清掃装置の前記押付部材に前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために必要な運動を付与する押付部材移動装置と、
その押付部材移動装置を制御することにより前記押付部材の移動を制御する清掃制御装置と、
前記スキージ装置による印刷時と前記接近・離間装置によるマスクと回路基板との離間時との前記少なくとも一方において前記一対のマスク支持部材を前記支持位置に位置させ、前記清掃装置による清掃時に、それら一対のマスク支持部材を前記支持位置から退避させるマスク支持部材移動装置と
を含み、かつ、前記清掃制御装置が、
前記マスク保持装置に保持されたマスクおよび低弾性係数シートと前記基板保持装置に保持された回路基板との大きさに関する情報を入力可能な入力装置と、
その入力装置に入力された前記情報に基づいて、前記拭取シートによるマスクの下面拭取りのために前記押付部材に付与すべき、その押付部材のマスクへの接近・離間とマスクに沿った移動とを含む運動を、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、そのマスクの、少なくとも、回路基板が接触させられた部分の端を前記マスク支持部材に接触させられた部分側へ過ぎた後、そのマスクと前記低弾性係数シートとの境界に至る前に、前記マスクの下面に平行な方向の移動を継続させつつそのマスクの下面から離間させる拭上げを行う運動に決定する運動決定部と
を含むことを特徴とするマスク印刷装置。
【請求項8】
前記運動決定部が、前記押付部材に付与すべき運動を、前記清掃装置による清掃の実行時に、マスクの前記マスク支持部材に接触させられた部分の前記回路基板に近い側の端と、マスクと低弾性係数シートとの境界との間に、前記拭取シートの前記押付部材により前記マスクの下面に押し付けられた部分を、その押付状態に保ったままで、前記マスクの前記マスク支持部材に接触させられた部分から前記回路基板とは反対側へ出外れた位置まで移動させるに十分な距離がある場合はその位置まで移動させた後にマスクから離間させる運動に決定し、その距離がない場合に前記拭上げを行う運動に決定する請求項7に記載のマスク印刷装置。
【請求項9】
前記一対のマスク支持部材が、それぞれ上面に開口する吸引孔を有し、その吸引孔からの空気の吸引により、マスクを吸着して支持するマスク吸着支部材である請求項6ないし8のいずれかに記載のマスク印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−103417(P2013−103417A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249192(P2011−249192)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】