説明

マスク形成装置及びマスク形成方法

【課題】精度よくマスクを形成できるマスク形成装置及びマスク形成方法を提供すること。
【解決手段】第1画素及び第2画素がX方向及びY方向に配列された表示パネル9にマスクMを形成するマスク形成装置1は、出射装置5と、撮像装置3と、表示パネル9と出射装置5及び撮像装置3との一方を他方に対してX方向に移動させる移動台座2と、出射装置5をY方向に移動させる移動装置と、撮像装置3をY方向を中心として回動させる回動装置と、制御装置とを備える。制御装置は、視点上の一方の目と遮蔽対象の画素とを結ぶ仮想の直線と、撮像装置3の光軸とを一致させる回動制御部と、撮像装置3の撮像範囲内に遮蔽対象の画素が含まれるように前述の一方を他方に対して移動させ、移動装置により出射装置5をY方向に移動させる移動制御部と、遮蔽対象の画素が覆われるまで、出射装置5により遮蔽材を出射させてマスクMを形成する出射制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク形成装置及びマスク形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左目用画像及び右目用画像を形成して、視差により立体視可能な画像を表示する画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の画像表示装置は、表示パネルと、視差バリアとを有する。
このうち、表示パネルは、それぞれ異なる画像を表示する第1画素及び第2画素が交互に複数配列されている。
【0003】
一方、視差バリアは、表示パネルから出射された光を遮断する遮光部(マスク部)と、当該光を透過させる複数の透過部(開口部)とを有する。この視差バリアは、表示パネルの第1画素により形成される第1画像を第1視方向に向けると共に、第2画素により形成される第2画像を第2視方向に向けることで、当該第1画像及び第2画像を分割し、それぞれ異なる方向に表示する障壁として機能する。具体的に、視差バリアは、第1画像としての右目用画像を観察者の左目に入射させずに右目に入射させ、第2画像としての左目用画像を観察者の右目に入射させずに左目に入射させて、観察者がこれら右目用画像及び左目用画像を視認することで、視差により立体画像が観察されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3096613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述の視差バリアは、表示パネルとは別体として製造されることが多く、表示画像における右目用画像と左目用画像とのクロストークを抑制して画像の分解能を高めるためには、当該視差バリアと表示パネルとの位置合わせを適切に行う必要がある。
しかしながら、視差バリアの遮光部及び透過部、並びに、表示パネルの画素は、非常に細かい精度で形成されており、当該位置合わせは非常に複雑である他、多くの工数を要するため、表示装置の製造コストが増大する。一方、当該位置合わせが適切に行われないと、表示された画像にモアレ(干渉縞)が発生するという問題がある。
このため、表示パネルに精度よくマスク(遮蔽部)を形成できる装置及び方法が要望されてきた。
【0006】
本発明の目的は、表示装置に精度よくマスクを形成できるマスク形成装置及びマスク形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明のマスク形成装置は、第1画素及び第2画素が第1方向及び当該第1方向に直交する第2方向に配列された表示装置の表示面に、前記第1画素により形成される第1画像と前記第2画素により形成される第2画像とを分離するマスクを形成するマスク形成装置であって、前記第1画素及び前記第2画素のうち、前記表示装置に設定された視点上の一方の目から見て遮蔽対象の画素に応じた前記表示面の位置に遮蔽材を出射する出射手段と、前記遮蔽対象の画素を撮像する撮像手段と、前記表示装置と前記出射手段及び前記撮像手段との一方を、他方に対して前記第1方向に相対的に移動させる第1移動手段と、前記出射手段を前記第2方向に沿って移動させる第2移動手段と、前記撮像手段を前記第2方向に沿う仮想の回動軸を中心として回動させる回動手段と、装置全体を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記回動手段を動作させて、前記一方の目と前記遮蔽対象の画素とを結ぶ仮想の直線と、前記撮像手段の光軸とを一致させる回動制御部と、前記第1移動手段を動作させて、前記撮像手段の撮像範囲内に前記遮蔽対象の画素が含まれるように、前記表示装置と前記出射手段及び前記撮像手段との一方を他方に対して相対的に移動させ、前記第2移動手段を動作させて、前記出射手段を前記第2方向に移動させる移動制御部と、前記撮像手段による撮像画像において前記遮蔽対象の画素が前記遮蔽材により覆われるまで、当該遮蔽材を前記出射手段により前記表示面に出射させて前記マスクを形成する出射制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
なお、第1方向は、表示装置において第1画素及び第2画素が配列される配列方向のうちの行方向とすることができ、第2方向は列方向とすることができる。
また、撮像手段の光軸は、視点における一方の目と遮蔽対象の画素とを結ぶ仮想の直線と完全に一致していなくてもよく、僅かにずれていてもよい。
更に、遮蔽材は、画素から出射される光を遮光可能な材料とすることができる。
【0009】
本発明によれば、表示パネルに直接マスクを形成することができる。
すなわち、回動制御部が、回動手段により、視点における一方の目と遮蔽対象の画素とを結ぶ直線と、撮像手段の光軸とを一致させる。また、移動制御部が、第1移動手段により、撮像範囲内に遮蔽対象の画素が含まれるように、表示装置と、出射手段及び撮像手段とのうちの一方を他方に対して第1方向に相対的に移動させる。そして、出射制御部が、撮像画像において遮蔽対象の画素が遮蔽材で覆われるまで、当該遮蔽材を出射手段により出射させつつ当該出射手段を第2方向に移動させて、表示装置にマスクを形成する。
【0010】
これによれば、撮像手段による撮像画像は、視点における一方の目による見え方と同じ見え方での遮蔽対象の画素の撮像画像となる。すなわち、表示面に対する撮像手段の光軸の交差角は、当該一方の目から遮蔽対象の画素を観察する場合の偏角と同じとなる。そして、当該撮像画像にて遮蔽対象の画素が覆われるまで遮蔽材が出射されて、表示装置にマスクが形成されるので、当該遮蔽対象の画素の実際の見え方に応じて、マスクを形成することができる。従って、表示装置に精度よくマスクを形成できる。
【0011】
また、表示装置にマスクを直接形成することにより、前述の遮光部を有する基板を表示パネルに取り付ける場合に比べ、当該基板の表示パネルに対する精度の高い取付工程を省略できる。従って、立体視可能な画像を表示する表示装置(立体画像表示装置)の製造工程を簡略化できる他、当該表示装置の製造コストを低減できる。
更に、表示装置に予め透光性の基板を設けた上で前述のマスクを形成すれば、当該基板を取り外すことにより、立体画像表示装置から二次元画像を表示する表示装置(二次元画像表示装置)として再利用することができる。一方、既存の二次元画像表示装置に前述のマスクを形成することで、立体画像表示装置とすることもできる。
【0012】
本発明では、当該マスク形成装置は、前記表示装置と接続され、前記制御手段は、前記遮蔽対象の画素を点灯させる点灯制御部を有することが好ましい。
本発明によれば、点灯制御部が、遮蔽対象の画素を点灯させるので、表示装置と、出射手段及び撮像手段とのうち一方を他方に対して相対的に移動させる際に、撮像画像中の遮蔽対象の画素の位置を把握しやすくすることができる。この他、遮蔽対象の画素が遮蔽材により覆われたか否か、すなわち、マスクの形成が適切に行われたか否かを適切に判定できる。従って、マスクの形成を一層適切に行うことができる。
【0013】
本発明では、前記出射手段は、それぞれ前記遮蔽材を出射する複数のノズルが前記第1方向に沿って配列されたヘッドを有し、前記出射制御部は、前記撮像手段による撮像画像に基づいて、前記遮蔽対象の画素が覆われるように、前記複数のノズルのうちの少なくともいずれかから前記遮蔽材を出射させることが好ましい。
本発明によれば、出射制御部により、撮像画像において遮蔽対象の画素が遮蔽材で覆われるように、第1方向に沿って配列されたノズルのうちの少なくともいずれかのノズルから遮蔽材が出射される。これによれば、第2方向へ進退するヘッドにおいて、遮蔽材の出射位置(撮像画像における遮蔽画素の位置)に応じたノズルから当該遮蔽材を出射できる。従って、マスクをより適切な位置に形成できる。
【0014】
本発明では、前記撮像手段は、前記表示面における前記第2方向の両端近傍にそれぞれ位置する第1スコープ及び第2スコープを有し、前記第1スコープは、前記第2移動手段により前記出射手段とともに前記第2方向に移動することが好ましい。
本発明によれば、撮像手段が、表示面における第2方向の両端近傍にそれぞれ位置する第1スコープ及び第2スコープを有することにより、これら各スコープから得られる撮像画像に基づいて、第2方向に進退する出射手段の第1方向へのずれを確認できる。そして、当該ずれが確認された場合に、各スコープからの撮像画像に基づいてずれ量を検出し、第1方向へのずれを補正することにより、出射手段を第2方向に沿って適切に進退させることができる。従って、マスクを一層適切に形成できる。
また、第1スコープが出射手段とともに第2方向に進退するので、当該第1スコープの撮像画像に基づいて、出射手段による遮蔽材の出射状態(すなわち、マスクの形成状態)を確認できる。従って、遮蔽対象の画素が遮蔽材により覆われたか否かを適切に把握でき、マスクの形成をより適切に行うことができる。
【0015】
本発明では、前記撮像手段は、前記表示面において前記出射手段により前記遮蔽材が出射される出射位置近傍に配置されることが好ましい。
ここで、遮蔽材が出射される出射位置近傍は、例えば、表示面から視点に至るまでの範囲とすることができる。
本発明によれば、撮像手段が、表示面において出射手段により遮蔽材が出射される出射位置近傍に配置されていることにより、出射手段に近い位置で、当該出射手段による遮蔽材の出射状態(すなわち、マスクの形成状態)を撮像できる。従って、遮蔽対象の画素に対するマスクのずれを抑制でき、一層適切にマスクを形成できる。
【0016】
また、本発明のマスク形成方法は、第1画素及び第2画素が第1方向及び当該第1方向に直交する第2方向に配列された表示装置の表示面に、前記第1画素により形成される第1画像と前記第2画素により形成された第2画像とを分離するマスクを形成するマスク形成方法であって、前記第1画素及び前記第2画素のうち、前記表示装置に設定された視点上の一方の目から見て遮蔽対象の画素を撮像する撮像手段を移動させて、前記一方の目と前記遮蔽対象の画素とを結ぶ仮想の直線と、前記撮像手段の光軸とを一致させる第1移動工程と、前記撮像手段の撮像範囲内に前記遮蔽対象の画素が含まれるように、前記表示装置と、遮蔽材を出射する出射手段及び前記撮像手段との一方を他方に対して前記第1方向に相対的に移動させる第2移動工程と、前記出射手段を前記第2方向に移動させる第3移動工程と、前記撮像手段による撮像画像において前記遮蔽対象の画素が前記遮蔽材により覆われるまで、当該遮蔽材を前記出射手段により前記表示面に出射させて前記マスクを形成させる出射工程と、を実施することを特徴とする。
本発明によれば、前述のマスク形成装置と同様の効果を奏することができ、これにより、表示装置に精度よくマスクを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るマスク形成装置の構成を示す模式図。
【図2】前記実施形態における表示パネルの構成を示す模式図。
【図3】前記実施形態におけるサブ画素の配列パターンを示す図。
【図4】前記実施形態におけるマスク形成装置の構成を示すブロック図。
【図5】前記実施形態における回動装置により回動される撮像装置を示す模式図。
【図6】前記実施形態におけるマスク形成方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔マスク形成装置の機能〕
図1は、本実施形態に係るマスク形成装置1の構成を示す模式図である。なお、以降の図で示すX方向は、表示パネル9における画素の配列方向のうちの行方向(左右方向)を示し、Y方向は、当該配列方向のうちの列方向(上下方向)を示す。また、Z方向は、表示パネル9における表示面の垂線が当該表示面から離間する方向を示す。これらのうち、X方向及びY方向は、それぞれ本発明の第1方向及び第2方向に相当する。
本実施形態に係るマスク形成装置1は、表示パネル9を構成する透光性の基板93に、当該表示パネル9により表示される右目用画像及び左目用画像を観察者の右目及び左目にそれぞれ入射させるマスク(遮蔽層)Mを形成して、当該表示パネル9を視差により立体視可能な画像表示装置として機能させるものである。このマスク形成装置1は、図1に示すように、移動台座2、撮像装置3及び遮蔽材を出射する出射装置5を備える。
【0019】
〔表示パネルの構成〕
図2は、表示パネル9の構成を示す模式図であり、換言すると、表示パネル9のXZ平面での断面図である。
ここで、マスク形成装置1によりマスクMが形成される表示パネル9の構成について先に説明する。
表示パネル9は、入力される画像信号に応じた画像を表示する表示装置であり、図2に示すように、バックライト91、液晶パネル92及び基板93を備える。
【0020】
これらのうち、バックライト91は、液晶パネル92に向けて光を出射する。このようなバックライト91は、冷陰極管及びリフレクターを備える構成や、LED(Light Emitting Diode)等の固体光源が複数配設された構成を採用できる。
基板93は、液晶パネル92の表示領域921を覆う透光性の基板である。この基板93の外表面(液晶パネル92に対向する面とは反対側の面)は、表示パネル9の表示面DSであり、当該表示面DSにマスク形成装置1によりマスクMが形成される。この基板93は、液晶パネル92に対して着脱自在に設けられている。
【0021】
液晶パネル92は、それぞれ赤、緑及び青のカラーフィルターが光束出射側に配設された3つのサブ画素により構成された画素がX方向及びY方向に複数配列された略矩形状の表示領域921を有し、当該表示領域921により1画面分の画像が表示される。
このような液晶パネル92により右目用画像及び左目用画像を表示する際には、各サブ画素は、右目用画素を構成する右目用サブ画素R(赤、緑及び青のカラーフィルターが配設されたサブ画素をそれぞれRR,RG,RBとする)と、左目用画素を構成する左目用サブ画素L(赤、緑及び青のカラーフィルターが配設されたサブ画素をそれぞれLR,LG,LBとする)とに分けられる。そして、これら右目用サブ画素R及び左目用サブ画素Lにより、右目用画像及び左目用画像が表示される。
このような右目用サブ画素R及び左目用サブ画素Lのうち、一方は本発明の第1画素に相当し、他方は本発明の第2画素に相当する。また、右目用サブ画素Rが第1画素に相当する場合には、右目用画像は本発明の第1画像に相当し、左目用画像は本発明の第2画像に相当する。同様に、左目用サブ画素Lが第1画素に相当する場合には、左目用画像は本発明の第1画像に相当し、右目用画像は本発明の第2画像に相当する。
【0022】
図3は、液晶パネル92に配列されたサブ画素の配列パターンを示す図である。換言すると、図3は、液晶パネル92の一部を拡大して示す正面図である。
これら右目用サブ画素R及び左目用サブ画素Lは、それぞれY方向に沿って設定され、図3に示すように、右目用サブ画素Rの列と、左目用サブ画素Lの列とを構成する。また、これら右目用サブ画素の列と左目用サブ画素の列とは、図2及び図3に示すように、X方向に沿って交互に配列される。
【0023】
例えば、図3に示すように、右目用サブ画素RRの列のX方向側(図3における右側)には、左目用サブ画素LGの列が配列される。また、当該左目用サブ画素LGの列のX方向側には、右目用サブ画素RBの列が配列される。更に、当該右目用サブ画素RBの列のX方向側には、左目用サブ画素LRの列が配列される。
このように、X方向におけるサブ画素の配列は、RR,LG,RB,LR,RG,LB,RR…となる。そして、互いに近い位置に配列された右目用サブ画素RR,RG,RBにより、右目用画像を形成する1つの右目用画素が構成され、また、互いに近い位置に配列された左目用サブ画素LR,LG,LBにより、左目用画像を形成する1つの左目用画素が構成される。
【0024】
〔マスク形成装置の構成〕
図4は、マスク形成装置1の構成を示すブロック図である。
マスク形成装置1は、前述のように、表示パネル9により表示される右目用画像及び左目用画像を、設計上の視点に位置する観察者の右目及び左目にそれぞれ個別に入射させるマスクMを基板93に形成する。換言すると、マスク形成装置1は、視点上の一方の目(例えば左目)に、他方の目に入射させるべき画像(例えば右目用画像)が入射されないように、当該画像を遮蔽するマスクMを形成する。
このマスク形成装置1は、前述の移動台座2、撮像装置3及び出射装置5の他、図4に示すように、回動装置4、移動装置6及び制御装置7を備える。
【0025】
〔移動台座の構成〕
移動台座2は、本発明の第1移動手段に相当する。この移動台座2は、図示を省略するが、表示パネル9が載置される載置部と、当該載置部をX方向とは反対方向(図1における左側)にスライド移動させる移動部とを有し、これらにより、表示パネル9をX方向とは反対方向にスライドさせる。このような移動台座2には、撮像装置3と、Y方向を中心軸として当該撮像装置3を回動させる回動装置4と、出射装置5と、当該出射装置5をY方向に沿ってスライドさせる移動装置6とが設けられている。そして、移動部により表示パネル9がX方向とは反対方向に移動されることにより、当該表示パネル9に対して、撮像装置3、回動装置4、出射装置5及び移動装置6がX方向に相対的に移動される。
【0026】
〔撮像装置の構成〕
撮像装置3は、遮蔽対象のサブ画素を撮像するものであり、本発明の撮像手段に相当する。この撮像装置3は、それぞれマイクロスコープにより構成された第1スコープ31及び第2スコープ32を有する。
これら各スコープ31,32は、それぞれ表示パネル9のY方向両端近傍に配置されている。すなわち、第1スコープ31は、遮蔽対象のサブ画素の列におけるY方向とは反対方向側(図1における上側)の端部近傍に配置され、第2スコープ32は、当該列におけるY方向側(図1における下側)の端部近傍に配置される。この他、第1スコープ31及び第2スコープ32は、表示面DSにおいて、後述する出射装置5により遮蔽材が出射される出射位置近傍に配置される。本実施形態では、各スコープ31,32は、表示面DSから視点VPに至るまでの範囲のうち、可能な限り表示面DSに近い位置に配置される。
これらのうちの第1スコープ31は、出射装置5(ヘッド51)とともに、移動装置6によりY方向に進退する。このような撮像装置3は、回動装置4により回動され、視点上の一方の目から見た場合に遮蔽対象となるサブ画素を各スコープ31,32により撮像し、撮像画像を制御装置7に出力する。
【0027】
〔回動装置の構成〕
回動装置4は、本発明の回動手段に相当する。この回動装置4は、詳しい図示を省略するが、ウォームホイールと、当該ウォームホイールに噛合するウォームギアと、当該ウォームギアを回転させるステッピングモーターとを、それぞれ2つずつ有し、減速比が大きな回動機構として構成されている。
これらのうち、各ウォームホイールには、第1スコープ31及び第2スコープ32がそれぞれ載置されている。また、ステッピングモーターは、制御装置7による制御下で駆動し、当該ステッピングモーターの駆動によってウォームギアが回転し、ひいては、ウォームホイールが回動する。これにより、第1スコープ31及び第2スコープ32がそれぞれ同じ角度で回動される。
【0028】
このような回動装置4は、後述する角度設定部72により設定される角度に各スコープ31,32を回動させて、当該各スコープ31,32の光軸を、表示パネル9に対して設定された視点における一方の目と当該一方の目から見て遮蔽対象となるサブ画素とを結ぶ仮想の直線VLに一致させる。この際、回動装置4は、出射装置5が有するヘッドの出射面におけるX方向中央を通り、かつ、Y方向に沿う仮想の直線を中心として各スコープ31,32を回動させる。なお、これに限らず、遮蔽対象のサブ画素のX方向中央を通り、かつ、Y方向に沿う仮想の直線を中心として回動させてもよい。
【0029】
図5は、回動装置4により回動される撮像装置3を示す模式図である。この図5においては、右目用サブ画素Rを「R」で示し、左目用サブ画素Lを「L」で示す。
例えば、回動装置4は、図5に示すように、視点VPにおける左目LEと、当該左目LEから見た場合に遮蔽対象となる右目用サブ画素RRとを結ぶ仮想の直線VLと、各スコープ31,32の光軸とが一致するように、これら各スコープ31,32を回動させる。
【0030】
このようにして各スコープ31,32が回動されることで、当該各スコープ31,32の光軸と表示パネル9の表示面DSとの角度が、右目用サブ画素RRから左目LEに入射される光の出射角と一致することとなる。これにより、各スコープ31,32の撮像画像に基づいて、右目用サブ画素RRから出射された光が右目REには入射されるが左目LEには入射されないマスクMの範囲が決定され、後述する出射装置5のヘッド51に設けられた複数のノズルのうち、遮蔽材を出射するノズルが設定される。
【0031】
なお、上記説明及び図5においては、右目用サブ画素Rのうち、右目用サブ画素RRに応じてマスクMを形成する際の第1スコープ31の回動状態について説明したが、他の右目用サブ画素RG,RBに応じてマスクMを形成する場合も同様である。
また、視点VP上の右目REに対して遮蔽対象のサブ画素となる左目用サブ画素Lに応じてマスクMを形成する場合でも、各スコープ31,32の光軸が、当該右目REと左目用サブ画素Lとを結ぶ仮想の直線と一致するように、当該各スコープ31,32を回動させる点は同じである。
【0032】
〔出射装置の構成〕
図4に戻り、出射装置5は、本発明の出射手段に相当し、基板93に遮蔽材を出射してマスクMを形成する。この出射装置5は、詳しい図示を省略するが、X方向に配列された複数のノズルを有するヘッド51を備え、制御装置7による制御の下、当該ノズルから遮蔽材を出射する。このヘッド51におけるノズルの配列範囲は、少なくともX方向における2つのサブ画素の寸法以上に設定されている。このような出射装置5により出射される遮蔽材としては、表示パネル9に出射された際に、対応するサブ画素から出射された光が透過されない材料を採用でき、例えば、黒色塗料を挙げることができる。
【0033】
〔移動装置の構成〕
移動装置6は、本発明の第2移動手段に相当する。この移動装置6は、図1に示すように、出射装置5及び第1スコープ31をY方向に沿って進退させ、これにより、遮蔽対象のサブ画素の列に沿って表示面DSに遮蔽材を出射させる。この移動装置6は、図示を省略するが、Y方向に沿うガイドレールと、当該ガイドレールに係合し、出射装置5と、第1スコープ31及び当該第1スコープ31を回動させる回動装置4とを支持する支持部材と、当該支持部材をY方向に沿って進退させるモーターとを有する。
【0034】
〔制御装置の構成〕
制御装置7は、本発明の制御手段に相当する。この制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)等の回路素子が実装された回路基板として構成され、マスク形成装置1全体を制御する。この他、制御装置7は、表示パネル9と接続され、当該表示パネル9におけるサブ画素の点灯を制御する。
このような制御装置7は、図4に示すように、サブ画素点灯部71、角度設定部72、回動制御部73、撮像画像解析部74、移動制御部75、パターン設定部76、出射制御部77、出射判定部78及び完了判定部79を有する。
【0035】
サブ画素点灯部71は、本発明の点灯制御部に相当する。このサブ画素点灯部71は、図示しない端子を介して接続された表示パネル9のバックライト91の点灯及び液晶パネル92の駆動を制御して、前述の一方の目(図5の例では左目LE)から見た際の遮蔽対象のサブ画素(図5の例では右目用サブ画素R)を点灯させる。このサブ画素点灯部71は、本実施形態では、遮蔽対象の全てのサブ画素を点灯させることとしているが、出射装置5によるマスクMの形成に際して、1列ごとに遮蔽対象のサブ画素を点灯させてもよい。
【0036】
角度設定部72は、回動装置4による各スコープ31,32の光軸と表示面DSとのXZ平面での角度を算出及び設定する。この際、角度設定部72は、表示パネル9の正面中央に設定された視点VPにおける左目LE及び右目RE間の距離、当該視点VPと液晶パネル92の表示領域921との距離、当該表示領域921におけるX方向中央から遮蔽対象のサブ画素までの距離、サブ画素間のピッチ(サブ画素のX方向の寸法)、及び、表示パネル9の解像度(サブ画素数)に基づいて、当該角度を算出及び設定する。
なお、マスク形成装置1は、X方向基端側の遮蔽対象のサブ画素の列からマスクMを形成するため、角度設定部72は、当該サブ画素の列の位置に応じた各スコープ31,32の光軸と表示パネル9の表示面DSとの角度を最初に算出及び設定する。
【0037】
回動制御部73は、各スコープ31,32の光軸と表示面DSとのXZ平面での角度が、角度設定部72により設定された角度となるように、回動装置4を動作させてスコープ31,32を回動させる。
撮像画像解析部74は、各スコープ31,32により撮像された画像を解析する。そして、当該撮像画像解析部74は、これらスコープ31,32の撮像範囲内に、点灯されたサブ画素(すなわち、遮蔽対象のサブ画素)が入っているか否かを判定する。
移動制御部75は、撮像画像解析部74により、各スコープ31,32の撮像範囲内に遮蔽対象のサブ画素が入ったと判定されるまで、移動台座2を駆動させて、表示パネル9をX方向とは反対方向に移動させる。この他、移動制御部75は、移動装置6を制御して、出射装置5(ヘッド51)、第1スコープ31及び当該第1スコープ31を回動させる回動装置4をY方向に沿って進退させる。
【0038】
パターン設定部76は、撮像画像における遮蔽対象のサブ画素の形状、寸法及び角度に基づいて、出射装置5による遮蔽材の出射パターンを設定する。この出射パターンは、出射装置5のヘッド51においてX方向に沿って配列された複数のノズルのうち、遮蔽材を出射するノズルの位置(或いは番号)を示すパターンである。
出射制御部77は、移動制御部75によりY方向に沿って進退する出射装置5を制御して、設定された出射パターンに基づいて、上記ノズルから遮蔽材を出射させる。
【0039】
出射判定部78は、移動装置6により出射装置5とともにY方向に進退する第1スコープ31による撮像画像に基づいて、遮蔽対象のサブ画素の点灯が確認されなくなったか否かを判定する。すなわち、撮像画像における当該サブ画素の点灯が確認されなくなったことは、当該サブ画素が遮蔽材(マスクM)により覆われたことを示す。このため、出射判定部78は、撮像画像を解析して、遮蔽対象のサブ画素の点灯が確認されるか否かを判定し、点灯が確認される場合にはマスクMの形成が未完了であると判定し、また、点灯が確認されない場合にはマスクMの形成が完了したと判定する。
完了判定部79は、全ての遮蔽対象のサブ画素に対するマスクMの形成が完了したか否かを判定する。これは、直前に形成されたマスクMに対応するサブ画素の位置等に基づいて判定される。
【0040】
〔マスク形成方法〕
次に、上記マスク形成装置1によるマスク形成方法について説明する。なお、以下の説明では、視点VP上の左目LEから見た場合に遮蔽対象となる右目用サブ画素Rに応じてマスクMを基板93上に形成する方法について説明するが、右目REから見た場合に遮蔽対象となる左目用サブ画素Lに応じてマスクMを形成する場合でも同様である。
【0041】
図6は、当該マスク形成方法を示すフローチャートである。
上記マスク形成装置1によるマスク形成方法では、図6に示すように、まず、サブ画素点灯部71が、移動台座2に載置された表示パネル9のサブ画素のうち、遮蔽対象のサブ画素を点灯させる(ステップS1)。すなわち、本実施形態では、右目用サブ画素Rに応じてマスクMを基板93上に形成するため、右目用サブ画素R(RR,RG,RB)を全て点灯させる。
【0042】
次に、角度設定部72が、前述のパラメーターに基づいて、第1スコープ31及び第2スコープ32の角度を設定する(ステップS2)。この角度は、本実施形態では、視点VP上の左目LEと遮蔽対象の右目用サブ画素Rの中心とを結ぶ仮想の直線VLと、表示面DSとのXZ平面における交差角である。
この後、回動制御部73が、角度設定部72により設定された角度に基づいて、回動装置4により第1スコープ31及び第2スコープ32を回動させる(ステップS3)。
そして、第1スコープ31及び第2スコープ32から取得された撮像画像に遮蔽対象のサブ画素が含まれると撮像画像解析部74により判定されるまで、移動制御75が、移動台座2により表示パネル9をX方向とは反対方向に移動させ、表示パネル9に対して、撮像装置3、回動装置4、出射装置5及び移動装置6をX方向に相対的に移動させる(ステップS4)。
【0043】
この後、パターン設定部76が、遮蔽対象のサブ画素が含まれる撮像画像に基づいて、前述の出射パターンを設定する(ステップS5)。
そして、出射制御部77が、設定された出射パターンに基づいて出射装置5を制御して、基板93において遮蔽対象のサブ画素に対応した位置に遮蔽材を出射させる。これとともに、移動制御部75が、移動装置6を制御して、出射装置5のヘッド51及び第1スコープ31を遮蔽対象のサブ画素の列に沿ってY方向に進退させる(ステップS6)。
【0044】
ここで、撮像装置3が、移動装置6による移動前で表示パネル9(より詳しくは、遮蔽対象のサブ画素の列)のY方向両端に位置する第1スコープ31及び第2スコープ32を有するのは、当該移動装置6によるY方向への進退の際にヘッド51がX方向に僅かにずれる場合に、遮蔽材の出射範囲を調整するためである。
例えば、第1スコープ31による撮像画像における遮蔽対象のサブ画素の位置と、第2スコープ32による撮像画像における当該サブ画素の位置とがずれている場合には、移動装置6により移動されるヘッド51がX方向にずれながらY方向に進退することを示している。このため、当該各撮像画像におけるサブ画素のずれ量に基づいて、ヘッド51がY方向に進退する間に、パターン設定部76が、X方向へのずれを補正するように出射パターンを変更したり、或いは、移動装置6が、進退されるヘッド51の移動方向を調整する。これにより、当該ヘッド51が遮蔽対象のサブ画素の列に沿って遮蔽材を表示面DSに出射できるようになる。
【0045】
この後、出射判定部78が、第1スコープ31による撮像画像に基づいて、1列分のマスクMの形成が完了したか否かを判定する(ステップS7)。詳述すると、出射判定部78は、撮像画像に含まれる遮蔽対象のサブ画素がマスクMにより覆われたか否かを判定する。
ここで、出射判定部78により、遮蔽対象のサブ画素の列がマスクMにより覆われていないと判定された場合(ステップS7:NO)には、制御装置7は、処理をステップS6に戻し、出射装置5による遮蔽材の出射、及び、移動装置6による出射装置5及び第1スコープ31のY方向への進退を継続させる。
【0046】
一方、出射判定部78により、遮蔽対象のサブ画素がマスクMにより覆われたと判定された場合(ステップS7:YES)には、完了判定部79が、全ての遮蔽対象のサブ画素の列がマスクMにより覆われたか否か、すなわち、表示パネル9に対するマスクMの形成が完了したか否かを判定する(ステップS8)。
【0047】
ここで、完了判定部79により、マスクMにより覆われていない遮蔽対象のサブ画素の列が他にあると判定される(ステップS8:NO)と、制御装置7は、処理をステップS2に戻す。これにより、マスクMの形成対象となるサブ画素が、直前の遮蔽対象のサブ画素からX方向側に位置する遮蔽対象のサブ画素となり、ステップS3以降の処理が実施される。
一方、完了判定部79により、全ての遮蔽対象のサブ画素の列に対してマスクMの形成が完了したと判定される(ステップS8:YES)と、制御装置7は、移動台座2及び各装置3〜6を初期位置に戻し、処理を終了する。
以上の処理により、表示パネル9の基板93上に前述のマスクMが形成される。
【0048】
以上説明した本実施形態に係るマスク形成装置1によれば、以下の効果がある。
すなわち、撮像装置3の第1スコープ31及び第2スコープ32による撮像画像は、視点VPにおける一方の目(例えば、左目LE)による見え方と同じ見え方での遮蔽対象のサブ画素の撮像画像となる。すなわち、表示パネル9の表示面DSに対するXZ平面での各スコープ31,32の光軸の角度は、当該一方の目から遮蔽対象のサブ画素を観察する場合の偏角と同じとなる。そして、当該撮像画像にて遮蔽対象のサブ画素が覆われるまで遮蔽材が出射され、表示パネル9にマスクMが形成されるので、当該遮蔽対象のサブ画素の実際の見え方に応じて、マスクMを形成することができる。従って、表示パネル9に、右目用サブ画素Rにより形成される右目用画像を観察者の右目REに入射させ、かつ、左目用サブ画素Lにより形成される左目用画像を観察者の左目LEに入射させるマスクMを精度よく形成できる。
【0049】
また、表示パネル9の基板93にマスクMを直接形成することにより、マスクMが形成された基板93を液晶パネル92に取り付ける場合に比べ、当該基板93の液晶パネル92に対する精度の高い取付工程を省略できる。従って、立体視可能な画像を表示する表示パネル(立体画像表示装置)の製造工程を簡略化できる他、当該表示パネルの製造コストを低減できる。
更に、マスクMが形成された基板93を液晶パネル92から取り外すことにより、立体視可能な画像を表示する表示パネル9を二次元画像を表示する表示パネル(二次元画像表示装置)として再利用することができる。
加えて、既存の表示パネルにマスクMを形成することで、立体画像表示装置として機能する表示パネルを製造できる。
【0050】
サブ画素点灯部71が、表示パネル9における遮蔽対象のサブ画素を点灯させるので、表示パネル9に対して出射装置5及び撮像装置3をX方向に相対的に移動させる場合に、撮像装置3による撮像画像中の遮蔽対象のサブ画素の位置を把握しやすくすることができる。この他、出射判定部78が、遮蔽対象のサブ画素が遮蔽材により覆われたか否か、すなわち、マスクMの形成が適切に行われたか否かを適切に判定できる。従って、マスクMの形成を一層適切に行うことができる。
【0051】
出射制御部77は、撮像装置3による撮像画像に基づいて、ヘッド51においてX方向に沿って配列されたノズルのうち、パターン設定部76により設定された出射パターンに応じたノズルにより、遮蔽材を出射させる。これによれば、Y方向へ進退するヘッド51において、遮蔽材の出射位置(撮像画像における遮蔽対象のサブ画素の位置)に応じたノズルから当該遮蔽材を適切に出射できる。従って、マスクMをより適切な位置に形成できる。
【0052】
撮像装置3が、表示面DSにおけるY方向の両端近傍にそれぞれ位置する第1スコープ31及び第2スコープ32を有することにより、これら各スコープ31,32による撮像画像に基づいて、Y方向に進退するヘッド51のX方向へのずれを確認できる。そして、当該ずれが確認された場合に、各スコープ31,32による撮像画像間の遮蔽対象のサブ画素のずれ量を検出し、当該ずれ量に基づいてX方向へのずれを補正することにより、ヘッド51をY方向に沿って適切に進退させることができる。従って、マスクMを一層適切に形成できる。
また、第1スコープ31が出射装置5とともにY方向に進退するので、出射判定部78が、当該第1スコープ31の撮像画像を解析することで、出射装置5による遮蔽材の出射状態(すなわち、マスクMの形成状態)を確認できる。従って、遮蔽対象のサブ画素が遮蔽材により覆われたか否かを適切に把握できるので、マスクMの形成をより適切に行うことができる。
【0053】
撮像装置3の第1スコープ31及び第2スコープ32は、表示面DSにおいて出射装置5により遮蔽材が出射される出射位置近傍に配置されている。これによれば、出射装置5に近い位置で、当該出射装置5による遮蔽材の出射状態(すなわち、マスクMの形成状態)を撮像及び確認できる。従って、遮蔽対象のサブ画素に対するマスクMのずれを抑制でき、一層適切にマスクMを形成できる。
【0054】
〔実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、第1移動手段に相当する移動台座2が、表示パネル9をX方向とは反対方向に移動させ、これにより、表示パネル9に対して出射装置5及び撮像装置3をX方向に相対的に移動させるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、表示パネル9が固定される台座に対して、出射装置5及び撮像装置3をX方向に移動させる構成としてもよい。また、マスクMの形成は、表示パネル9におけるX方向とは反対方向の端部近傍のサブ画素から開始しなくてもよく、X方向側の端部近傍のサブ画素から開始してもよい。すなわち、マスクMの形成はどの位置から開始してもよい。例えば、X方向側の端部近傍のサブ画素からマスクMの形成を開始する場合には、出射装置5及び撮像装置3が表示パネル9に対してX方向とは反対方向に移動するように、これら出射装置5及び撮像装置3と表示パネル9とを相対的に移動させればよい。
【0055】
前記実施形態では、撮像装置3は、遮蔽対象のサブ画素の列の両端(すなわち、表示面DSにおけるY方向両端)にそれぞれ配置される第1スコープ31及び第2スコープ32を有するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、第2移動手段である移動装置6により、出射装置5及び第1スコープ31が、X方向にずれることなく遮蔽対象のサブ画素の列に沿ってY方向に進退可能であれば、第2スコープ32はなくてもよい。
また、前記実施形態では、第1スコープ31は、移動装置6により、出射装置5とともにY方向に進退するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、出射装置5により遮蔽材を均一に出射することが可能であれば、遮蔽対象のサブ画素の列を構成する少なくとも1つのサブ画素を撮像する位置に固定されていてもよい。
【0056】
前記実施形態では、サブ画素点灯部71が、遮蔽対象のサブ画素を全て点灯させるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、形成されるマスクMに対応する遮蔽対象のサブ画素ごとに点灯させてもよく、また、当該遮蔽対象のサブ画素を点灯させずに、マスクMを形成してもよい。
【0057】
前記実施形態では、出射装置5のヘッド51には、複数のノズルがX方向に沿って配列され、パターン設定部76が、撮像装置3による撮像画像に基づいて、遮蔽材を出射するノズルを示す出射パターンを設定するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、このような出射パターンを設定せずに、少なくとも1つのノズルが遮蔽材を出射しつつ、当該ノズルをX方向及びY方向に移動させることで、1列に相当するマスクMを形成してもよい。
【0058】
前記実施形態では、撮像装置3の第1スコープ31及び第2スコープ32は、表示面DSにおける遮蔽材が出射される出射位置近傍に配置されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、これら各スコープ31,32は、視点VPにおける一方の目の位置を通り、かつ、Y方向に沿う仮想の直線上に配置されていてもよい。
【0059】
前記実施形態では、右目用サブ画素R及び左目用サブ画素LがそれぞれY方向に沿って配列された表示パネル9に対してマスクMを形成したが、本発明はこれに限らない。例えば、右目用サブ画素R及び左目用サブ画素Lが、X方向だけでなくY方向においても交互に配列される表示パネル9に対してマスクMを形成してもよい。この場合、各サブ画素の配列パターンを撮像画像等により取得した上で、遮蔽対象のサブ画素の位置に応じて、Y方向に進退する出射装置5が、遮蔽材を出射する構成とすることもできる。
【0060】
前記実施形態では、表示装置としての表示パネル9は、バックライト91、液晶パネル92及び基板93を有するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、基板93は無くてもよく、液晶パネル92の光出射面にマスクMを直接形成してもよい。また、表示パネルは、バックライト91及び液晶パネル92を有する構成でなくてもよく、これらに代えて、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ及びCRT(Cathode Ray Tube)等の各種表示装置を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、表示装置にマスクを形成するマスク形成装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1…マスク形成装置、2…移動台座(第1移動手段)、3…撮像装置(撮像手段)、4…回動装置(回動手段)、5…出射装置(出射手段)、6…移動装置(第2移動手段)、7…制御装置(制御手段)、9…表示パネル(表示装置)、31…第1スコープ、32…第2スコープ、51…ヘッド、71…サブ画素点灯部(点灯制御部)、73…回動制御部、75…移動制御部、77…出射制御部、DS…表示面、L…左目用サブ画素(第1画素又は第2画素)、LE…左目(一方の目)、M…マスク、R…右目用サブ画素(第1画素又は第2画素)、VL…仮想の直線、VP…視点、X…方向(第1方向)、Y…方向(第2方向)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素及び第2画素が第1方向及び当該第1方向に直交する第2方向に配列された表示装置の表示面に、前記第1画素により形成される第1画像と前記第2画素により形成される第2画像とを分離するマスクを形成するマスク形成装置であって、
前記第1画素及び前記第2画素のうち、前記表示装置に設定された視点上の一方の目から見て遮蔽対象の画素に応じた前記表示面の位置に遮蔽材を出射する出射手段と、
前記遮蔽対象の画素を撮像する撮像手段と、
前記表示装置と前記出射手段及び前記撮像手段との一方を、他方に対して前記第1方向に相対的に移動させる第1移動手段と、
前記出射手段を前記第2方向に沿って移動させる第2移動手段と、
前記撮像手段を前記第2方向に沿う仮想の回動軸を中心として回動させる回動手段と、
装置全体を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記回動手段を動作させて、前記一方の目と前記遮蔽対象の画素とを結ぶ仮想の直線と、前記撮像手段の光軸とを一致させる回動制御部と、
前記第1移動手段を動作させて、前記撮像手段の撮像範囲内に前記遮蔽対象の画素が含まれるように、前記表示装置と前記出射手段及び前記撮像手段との一方を他方に対して相対的に移動させ、前記第2移動手段を動作させて、前記出射手段を前記第2方向に移動させる移動制御部と、
前記撮像手段による撮像画像において前記遮蔽対象の画素が前記遮蔽材により覆われるまで、当該遮蔽材を前記出射手段により前記表示面に出射させて前記マスクを形成する出射制御部と、を有する
ことを特徴とするマスク形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマスク形成装置において、
当該マスク形成装置は、前記表示装置と接続され、
前記制御手段は、前記遮蔽対象の画素を点灯させる点灯制御部を有する
ことを特徴とするマスク形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマスク形成装置において、
前記出射手段は、それぞれ前記遮蔽材を出射する複数のノズルが前記第1方向に沿って配列されたヘッドを有し、
前記出射制御部は、前記撮像手段による撮像画像に基づいて、前記遮蔽対象の画素が覆われるように、前記複数のノズルのうちの少なくともいずれかから前記遮蔽材を出射させる
ことを特徴とするマスク形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のマスク形成装置において、
前記撮像手段は、前記表示面における前記第2方向の両端近傍にそれぞれ位置する第1スコープ及び第2スコープを有し、
前記第1スコープは、前記第2移動手段により前記出射手段とともに前記第2方向に移動する
ことを特徴とするマスク形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のマスク形成装置において、
前記撮像手段は、前記表示面において前記出射手段により前記遮蔽材が出射される出射位置近傍に配置される
ことを特徴とするマスク形成装置。
【請求項6】
第1画素及び第2画素が第1方向及び当該第1方向に直交する第2方向に配列された表示装置の表示面に、前記第1画素により形成される第1画像と前記第2画素により形成された第2画像とを分離するマスクを形成するマスク形成方法であって、
前記第1画素及び前記第2画素のうち、前記表示装置に設定された視点上の一方の目から見て遮蔽対象の画素を撮像する撮像手段を移動させて、前記一方の目と前記遮蔽対象の画素とを結ぶ仮想の直線と、前記撮像手段の光軸とを一致させる第1移動工程と、
前記撮像手段の撮像範囲内に前記遮蔽対象の画素が含まれるように、前記表示装置と、遮蔽材を出射する出射手段及び前記撮像手段との一方を他方に対して前記第1方向に相対的に移動させる第2移動工程と、
前記出射手段を前記第2方向に移動させる第3移動工程と、
前記撮像手段による撮像画像において前記遮蔽対象の画素が前記遮蔽材により覆われるまで、当該遮蔽材を前記出射手段により前記表示面に出射させて前記マスクを形成させる出射工程と、を実施する
ことを特徴とするマスク形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−220707(P2012−220707A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86070(P2011−86070)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】