説明

マスタシリンダ

【課題】簡易な構造でシリンダ本体をシールするシール部材の反転を防止するマスタシリンダを提供する。
【解決手段】シリンダ本体11の内部を外気から遮断する環状のシール部材33が、シリンダ本体11の内周面の全周にわたって形成された溝部15に収容されている。シール部材33は、ピストン21と摺接する内側リップ33aと、内側リップ33aよりも径方向外側に設けられるとともに、内側リップ33aとピストン21の押圧方向上手側で接続される外側リップ33bと、を備え、内側リップ33aのピストン21の押圧方向下手側の端面の全周にわたって、押圧方向下手側に突出する突出部33dが形成されている。突出部33dは、内側リップ33aの径方向中央近傍または径方向中央よりも内径側の位置において押圧方向下手側に最も突出する先端部33eを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動装置のマスタシリンダ、特に、シリンダ本体と、シリンダ本体に挿通されるピストンと、ピストンの外周に設けられ、シリンダ本体の内部を外気から遮断する環状のシール部材とを備えたマスタシリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
上述のようなマスタシリンダが採用された制動装置では、制動装置の非作動時には、シリンダ本体とピストンとで構成される圧力室と、ブレーキ液を貯蔵するリザーバとが連通している。ピストンの外周に設けられたシール部材は、ピストンの外周と摺接し、シンリンダ本体を外気から遮断するシール性を有している。
【0003】
ブレーキペダル等を操作して制動力を生じさせる際には、ブレーキペダル等に加えられた踏力等がピストンに伝達され、ピストンが軸芯方向で圧力室の容積を圧縮する方向に移動する。このとき、シール部材のピストンとの摺接面にはピストンの移動に伴う摩擦力が生じる。この摩擦力により、シール部材が反転し、シール性を確保できなくなるおそれがある。
【0004】
このような問題点を解決するために、例えば、小径部と大径部とを有する段状のシンリンダ孔の大径部側に、シリンダ孔に摺動自在に内挿されるプランジャを支持するブッシュ部材を嵌着し、ブッシュ部材とシリンダ孔の段部との間にカップシールをシリンダ孔の軸方向に移動可能に配置し、カップシールの内周リップ部をプランジャの外周に密接させるマスタシリンダにおいて、ブッシュ部材のカップシール側外周に凹部を設けるとともに、カップシールに凹部に摺動可能に係合する突起を設け、その突起をカップシールが段部に当接するまで移動したときに凹部から脱落しない長さに形成したマスタシリンダがある(特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1のマスタシリンダでは、カップシールに形成された突起と、プランジャに形成された凹部とが係合するため、カップシールの反転を防止することができる。
【0006】
また、ピストンの前部側外周にカップシールを嵌着したセンタバルブ型車両用液圧マスタシリンダにおいて、ピストンの先端側外周面とバルブガイドの筒部との間に環状の連結部材を介装し、連結部材に、カップシールのめくれを防止するカップシールガイドを一体に設けたセンタバルブ型車両用液圧マスタシリンダがある(特許文献2参照)。
【0007】
この特許文献2のマスタシリンダでは、連結部材に設けられたカップシールガイドによって、カップシールのめくれ(反転)を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平2−96257号公報
【特許文献2】特許第4383003号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1,2のマスタシリンダでは、カップシールに突起を設けたり、プランジャや連結部材に特別な形状の部位を形成したりする必要がある。これらは、工数の増加に繋がるため、コストや製造期間の観点から問題がある。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造でシリンダ本体をシールするシール部材の反転を防止するマスタシリンダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明のマスタシリンダは、シリンダ本体と、前記シリンダ本体の内周面に全周にわたって設けられた溝部と、前記シリンダ本体に内挿されるとともに、制動操作時に制動操作部材により前記シリンダ本体の軸芯方向に押圧されるピストンと、前記溝部に収容されつつ前記ピストンの外周に設けられ、前記シリンダ本体の内部を外気から遮断する環状のシール部材と、を備え、前記シール部材は、前記ピストンと摺接する内側リップと、前記内側リップよりも径方向外側に設けられるとともに、前記内側リップと前記ピストンの押圧方向上手側で接続される外側リップと、を備え、前記内側リップの前記ピストンの押圧方向下手側の端面の全周にわたって、前記押圧方向下手側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、前記内側リップの径方向中央近傍または径方向中央よりも内径側の位置において前記押圧方向下手側に最も突出する先端部を備えている。
【0012】
この構成では、ピストンが押圧されて移動すると、シール部材のピストンと摺接する面に摩擦力が生じ、シール部材の内側リップが変形する。また、上記構成では、ピストンが押圧された際に移動する側のシール部材の内側リップの端部に先端部を有する突出部が形成されている。そのため、内側リップが変形すると先端部が溝部の内壁面に当接する。このとき、先端部には内壁面からの応力が作用する。先端部の径方向位置が径方向外側になるほど、シール部材に作用する回転モーメントが大きくなり、シール部材が反転し易くなる。そのため、本発明のマスタシリンダでは、この先端部の径方向位置を内側リップの径方向中央よりも内径側としている。また、先端部の径方向位置が径方向内側になるほど、内側リップの摺接面に対する押圧力が高くなり、ピストンの移動を阻害し、ブレーキペダルの操作感を損なうおそれがある。そのため、本発明のマスタシリンダでは、この先端部の径方向位置を内側リップの径方向中央近傍としている。さらに、突出部はシール部材の全周にわたって形成されているため、よりシール部材の反転を防止することができる。
【0013】
本発明のマスタシリンダの好適な実施形態の一つでは、前記溝部の前記押圧方向下手側の内壁面は、径方向内側ほど前記押圧方向下手側に傾斜している傾斜面を有する。
【0014】
この構成では、先端部が当接する溝部の内壁面が径方向内側ほど押圧方向下手側に傾斜している。そのため、先端部に応力が作用した際に径方向内側に作用しやすくなり、シール部材の反転を防止することができる。
【0015】
本発明のマスタシリンダの好適な実施形態の一つでは、前記内側リップは、当該内側リップの前記ピストンとの摺接部分と前記突出部との間にくびれ部が形成されている。
【0016】
この構成では、突出部の径方向内側の部位がくびれているため、突出部の径方向外側部分が内側部分よりも剛性が高くなり、先端部に応力が作用した際に径方向内側に作用しやすくなる。そのため、シール部材の反転を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るマスタシリンダの断面図である。
【図2】制動装置が作動していない状態における本発明に係るマスタシリンダのセカンダリカップの断面図である。
【図3】制動装置が作動している状態における本発明に係るマスタシリンダのセカンダリカップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を用いて本実施形態におけるマスタシリンダを説明する。図1は、制動装置が作動していない状態(以下、初期状態と称する)におけるマスタシリンダの断面図である。なお、本実施形態のマスタシリンダはタンデム型に構成されている。
【0019】
図1に示すように、シリンダ本体11の内部には第1ピストン21(本発明のピストン)、第2ピストン23が備えられている。第1ピストン21の一端(図中左側)がシリンダ本体11に内挿され、他の一端(図中右側)はシリンダ本体11の外に突出している。この第1ピストン21のシリンダ本体11から突出している端部側にはブレーキペダルの操作に応じて第1ピストン21に対して図中左方向への押圧力を作用させる制動操作部材(図示せず)が接続されている。したがって、以下の説明では押圧方向を基準として、図中右を上手、左を下手と表現する。一方、第2ピストン23は全体がシリンダ本体11の内挿されている。
【0020】
シリンダ本体11、第1ピストン21および第2ピストン23により囲まれた空間が第1圧力室55を構成している。また、シリンダ本体11および第2ピストン23により囲まれた空間が第2圧力室57を構成している。したがって、ブレーキペダルが操作されて、第1ピストン21を押圧する力が加えられると、第1圧力室55および第2圧力室57は圧縮、加圧されることとなる。
【0021】
第1圧力室55の内部には復帰スプリング75が備えられ、第2圧力室57の内部には復帰スプリング77が備えられている。復帰スプリング75,77はそれぞれ第1ピストン21および第2ピストン23に対して上手方向への付勢力を作用させている。
【0022】
第1圧力室55はシリンダ本体11に形成された連通路51を介してリザーバ(図示せず)と連通している。一方、第2圧力室57はシリンダ本体11に形成された連通路53を介してリザーバと連通している。
【0023】
第1ピストン21,第2ピストン23にはそれぞれ径方向に貫通する第1ピストンポート25、第2ピストンポート27が形成されている。なお、第1ピストンポート25,第2ピストンポート27は周方向において複数形成されている。図1に示すように、初期状態においては、第1ピストンポート25は連通路51に対して開口しているため、第1圧力室55はリザーバと連通状態となっている。同様に、第2ピストンポート27は連通路53に対して開口しているため、第2圧力室57はリザーバと連通状態となっている。
【0024】
第1ピストン21の外周には、第1ピストン21の外周面と摺接するようにゴム等の弾性体で形成された環状のプライマリカップ31およびセカンダリカップ33(本発明のシール部材)が備えられている。このプライマリカップ31は第1ピストン21の外周をシールしている。一方、セカンダリカップ33は第1ピストン21のシリンダ本体11への挿入部分において、シリンダ本体11の内部を外部の大気から遮断している。
【0025】
一方、第2ピストン23の外周には、第2ピストン23の外周面と摺接するようにゴム等の弾性体で形成された環状のプライマリカップ35およびプレッシャカップ37が備えられている。このプライマリカップ35は第2ピストン23の外周をシールしている。一方、プレッシャカップ37は第2ピストン23の外周において、第1圧力室55と連通路53とを遮断している。
【0026】
シリンダ本体11には、プライマリカップ31,35、セカンダリカップ33、プレッシャカップ37を収納するための収納溝13,17,15,19(収納溝15が本発明の溝部)が形成されている。収納溝13の下手側には、収納溝13と第1圧力室55とを連通する溝61が形成されている。同様に、収納溝17の下手側には、収納溝17と第2圧力室57とを連通する溝63が形成されている。一方、収納溝19の上手側には、収納溝19と第1圧力室55とを連通する溝65が形成されている。これらの溝61,63,65は周方向において複数形成されている。
【0027】
上述したように、制動装置を作動させるためにブレーキペダルに踏力を加えると、その踏力が制動操作部材を介して、第1ピストン21に対して下手方向の押圧力を加える。この力によって第1ピストン21は下手方向に移動する。第1ピストン21の移動によって、第1ピストンポート25がプライマリカップ31よりも下手方向に移動すると、リザーバと第1圧力室55との連通が遮断される。その後、第1ピストン21が下手方向に移動すると、第1圧力室55内のブレーキ液が加圧される。
【0028】
同時に、復帰スプリング75の付勢力により第2ピストン23も下手方向に移動を開始する。第2ピストン23の移動によって、第2ピストンポート27がプライマリカップ35よりも下手方向に移動すると、リザーバと第2圧力室57との連通が遮断され、第2圧力室57内のブレーキ液が加圧される。この第1圧力室55および第2圧力室57内の加圧されたブレーキ液によって制動装置を作動させることができる。
【0029】
上述したように、セカンダリカップ33は第1ピストン21の外周面と摺接するように備えられている。したがって、第1ピストン21が移動すると、第1ピストン21の外周面と摺接するセカンダリカップ33の面に摩擦力が作用し、セカンダリカップ33は第1ピストン21の移動方向に引きずられるおそれがある。この場合、セカンダリカップ33が反転し、シール性が低下する。また、この反転によって、セカンダリカップ33に断裂等が生じるおそれもある。
【0030】
本発明のマスタシリンダでは、第1ピストン21の移動に起因するセカンダリカップ33の反転を防止するために、図2,3に示すような形状のセカンダリカップ33を採用している。
【0031】
図2,3は、本実施形態におけるセカンダリカップ33の断面図である。なお、図2は初期状態における形状であり、図3は制動装置が作動し、第1ピストン21が下手側に移動した際の形状である。
【0032】
図に示すように、セカンダリカップ33は、第1ピストン21と摺接する内側リップ33aと、内側リップ33aよりも外径側に設けられた外側リップ33bとを備えている。内側リップ33aと外側リップ33bとは、それぞれの上手側の端部において接続部33cにより接続されている。そのため、セカンダリカップ33の断面形状は略コの字状になっている。また、内側リップ33aの下手側の端面には、下手側に突出する突出部33dがその全周にわたって形成されている。
【0033】
一方、セカンダリカップ33を収納する収納溝15はシリンダ本体11の内周面全周にわたって形成されており、図2に示すように、第1ピストン21側に開口している。収納溝15の径方向外側の内壁面(以下、上内面15aと称する)は外側リップ33bの径方向外側の面と当接している。また、収納溝15の下手側の内壁面(本発明の内壁面であり、以下、前内面15bと称する。)は外側リップ33bの下手側の端部と当接している。一方、収納溝15の上手側の内壁面(以下、後内面15cと称する)と接続部33cとの間には若干のクリアランスが形成されている。このような構成により、収納溝15内におけるセカンダリカップ33の位置決めを行うことができる。なお、図2から明らかなように、初期状態において先端部33eは前内面15bとは当接していない。
【0034】
このような形状のセカンダリカップ33に対して下手方向への摩擦力が生じると、図3に示すように、内側リップ33aが下手方向に引きずられ、先端部33eが前内面15bに当接する。その後の下手方向への摩擦力により、先端部33eには前内面15bからの応力が作用する。このとき、第1ピストン21の外周面を基準とする先端部33eの径方向の長さが大きいと、セカンダリカップ33に作用する回転モーメントが大きくなり、セカンダリカップ33が図中時計回りに反転し易くなる。
【0035】
そのため、本実施形態では、突出部33dのうち最も下手側に突出する先端部33eの径方向の位置を内側リップの径方向中央近傍よりも径方向内側、または、先端部33eの径方向の位置を内側リップ33aの径方向中央近傍としている。前者の場合には、回転モーメントが小さくなるために、セカンダリカップ33の反転を防止することができる。一方、後者の場合には前者よりも回転モーメントが大きくなる場合があり、その場合には前者よりセカンダリカップ33の反転の可能性が高くなる。この場合には、図2に示すように、前内面15bを径方向内側ほど下手側に傾斜するように構成することが望ましい。この傾斜により、前内面15bの応力が内側リップ33aを第1ピストン21側に押圧するように作用するため、セカンダリカップの反転を防止することができる。なお、前内面15bの傾斜角度はセカンダリカップ33の剛性や摩擦力の大きさ等によって決定されるべき値であるが、本実施形態では7°としている。また、内側リップ33aの径方向中央近傍とは、例えば、内側リップ33aの径方向中央を基準として、内側リップ33aの厚みの1/3程度である。なお、内側リップ33aの厚みとは、初期状態における内側リップ33aの径方向外側の面(以下、外周面33fと称する)と内側リップ33aの径方向内側の面(以下、内周面33gと称する)との距離である。
【0036】
また、別の観点から先端部33eの径方向の位置を決定することもできる。上述のように、先端部33eを径方向外側に移動させるほど回転モーメントが大きくなり、セカンダリカップ33が反転し易くなる。一方、先端部33eを径方向内側に移動させるほど内周面33gの下手側の端部にかかる押圧力が大きくなり、第1ピストン21の摺動を阻害し、ブレーキペダルの操作感を損なうおそれがある。これらを防止するためには、先端部33eに前内面15bからの応力が作用した際に、内側リップ33aが座屈することが望ましい。すなわち、内周面33gに第1ピストン21からの摩擦力が作用した際に内側リップ33aに作用する回転力の中心点(以下、曲がり点と称する)の径方向位置と、先端部33eの径方向位置とを同じに設定することができる。このように先端部33eの径方向位置を決定すると、前内面15bからの応力が曲がり点にまっすぐに作用するため、内側リップ33aが座屈し、セカンダリカップ33の反転を防止することができる。なお、セカンダリカップ33の曲がり点の位置は、内側リップ33aの剛性や形状等に基づいて定まるものである。
【0037】
さらに、突出部33dはセカンダリカップ33の全周にわたって形成されているため、よりセカンダリカップ33の反転を防止することができる。
【0038】
また、本実施形態では、図2に示すように、内側リップ33aの内周面33gの下手側の端部と先端部33eとの間にくびれ部33hを形成している。このくびれ部33hを形成することにより、突出部33dの先端部33eよりも径方向外側部分よりも内側部分の方が剛性が低くなっている。そのため、先端部33eが撓む場合には径方向内側に撓みやすくなる。この場合には、力が内側リップ33aを第1ピストン21の外周面に押圧する方向に作用するため、反転を防止することができる。なお、くびれ部33hはセカンダリカップ33の全周にわたって形成してもよいし、その周上に離散的に形成しても構わない。
【0039】
〔別実施形態〕
上述の実施形態では収納溝15の前内面が傾斜するように構成したが、傾斜しない、すなわち、第1ピストン21の外周面に直交するように構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、シリンダ本体と、シリンダ本体に挿通されるピストンと、ピストンの外周に設けられ、シリンダ本体の内部を外気から遮断する環状のシール部材とを備えたマスタシリンダに適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
11:シリンダ本体
15:収納溝(溝部)
15b:前内面(内壁面)
21:第1ピストン(ピストン)
33:セカンダリカップ(シール部材)
33a:内側リップ
33b:外側リップ
33d:突出部
33e:先端部
33h:くびれ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ本体と、
前記シリンダ本体の内周面に全周にわたって設けられた溝部と、
前記シリンダ本体に内挿されるとともに、制動操作時に制動操作部材により前記シリンダ本体の軸芯方向に押圧されるピストンと、
前記溝部に収容されつつ前記ピストンの外周に設けられ、前記シリンダ本体の内部を外気から遮断する環状のシール部材と、を備え、
前記シール部材は、
前記ピストンと摺接する内側リップと、
前記内側リップよりも径方向外側に設けられるとともに、前記内側リップと前記ピストンの押圧方向上手側で接続される外側リップと、を備え、
前記内側リップの前記ピストンの押圧方向下手側の端面の全周にわたって、前記押圧方向下手側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、前記内側リップの径方向中央近傍または径方向中央よりも内径側の位置において前記押圧方向下手側に最も突出する先端部を備えたマスタシリンダ。
【請求項2】
前記溝部の前記押圧方向下手側の内壁面は、径方向内側ほど前記押圧方向下手側に傾斜している傾斜面を有する請求項1記載のマスタシリンダ。
【請求項3】
前記内側リップは、当該内側リップの前記ピストンとの摺接部分と前記突出部との間にくびれ部が形成されている請求項1または2に記載のマスタシリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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