説明

マスタスライス方式の半導体装置

【構成】マスタスライス方式の半導体装置において、入出力セルのPchトランジスタを構成するNウエルを、各入出力セル下のNウエル毎に電気的に分離して構成する。内部セル領域はPchトランジスタ列とNchトランジスタ列を交互に隣接して複数段配置する。トランジスタ列方向に垂直な方向に対して上端と下端のトランジスタ列はPchトランジスタ列で構成する。さらに電位の異なる第1電源配線と第2電源配線を有し、第1電源配線は内部セル領域と入出力セル領域の間に配置し、第2電源配線は内部セル領域における上端と下端のPchトランジスタ列上に配置する。
【効果】入出力セル毎に個別の電位を設定でき、半導体基板外部に対して2電源動作を可能とする。電源配線への電流供給用の配線を容易にし、またレベル変換用回路等を有効配置できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2電源動作を可能にするマスタスライス方式の半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体装置は図3または図4の様な構造をしていて、入出力セルのPchトランジスタ下のNウエルが図3のNウエル領域332のように電気的につながっている場合と、図4のNウエル領域432のように4領域を形成し、前記4領域は個別に電気的に分離している場合があった。従って図3の構成によれば入出力セルにより単1電源のみの入出力が可能であり、図4R>4の構成によれば2電源の入出力が可能であった。また、内部セル領域は、基本セル列方向を第1の方向、前記第1の方向に垂直な方向を第2の方向とすると、前記第2の方向に対し、上端がNchトランジスタ列で下端がPchトランジスタ列、または上端がPchトランジスタ列で下端がNchトランジスタ列になるように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の半導体装置では、図3の構成の場合入出力セル毎に異なった電位の信号を入出力できず、かつ内部セル領域の2電源動作ができない。また図4の構成の場合、異なる電位の信号を入出力でき、かつ内部セル領域の2電源動作ができるが、入出力セルのNウエル領域は各入出力セル毎に電気的に分離していないため、各入出力セルの電位を個別に設定できず、配線も複雑になる。そこで、本発明は以上の如き欠点をなくし、入出力セルのPchトランジスタを構成するNウエルを各入出力セル下のNウエル毎に電気的に分離し、基本セル列は基本セル列方向に垂直な第2の方向に隣接して複数段配置し、かつ前記第2の方向の上段の基本セル列の上側のトランジスタ列がNchトランジスタ列の場合、前基Nchトランジスタ列の上側、前記第2の方向の下段の基本セル列の下側のトランジスタ列がNchトランジスタ列の場合、前記Nchトランジスタ列の下側にPchトランスタ列1列を配置して内部セル領域を構成し、第1電源配線と第2電源配線からなる2種類の電源配線のうち第1電源配線は内部セル領域と入出力セル領域の間に配置し、第2電源配線は前記内部セル領域において前記第2の方向に対する上端と下端のPchトランジスタ列上に配置することにより、各入出力セル毎に第1電源電位と第2電源電位の2種類の信号を入出力でき、前記トランジスタ列毎に前記2種類の電位でトランジスタを動作させることができ、第2電源配線に電流を供給するとき前記第2電源配線が内部セル領域の前記第2の方向に対して最外列に位置するPchトランジスタ列上にあることから前記電流供給用の配線が容易になり、かつ前記最外部のPchトランジスタ列、前記Pchトランジスタ列の内側に隣接したNchトランジスタ列、前記Nchトランジスタ列の内側に隣接したPchトランジスタ列の3種類の各トランジスタから、第1電源電圧から第2電源電圧、または第2電源電圧から第1電源電圧に電圧レベルを変換するレベル変換用回路を構成し、前記最外部のPchトランジスタ列と前記Pchトランジスタ列の内側に隣接したNchトランジスタ列を第2電源用トランジスタ列に割り当てるとき、従来の内部セル領域の最外部に前記レベル変換用回路及び前記2電源用トランジスタ列を構成する際に無駄になる前記第2の方向に対する上端または下端のNchトランジスタ列1列を有効に利用することが可能な配置構造の半導体装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】半導体基板表面の中央部にPchトランジスタとNchトランジスタで構成された基本セルが複数段アレイ状に配置されて内部セル領域を構成してなり、前記内部セルの外周部に1個以上のPchトランジスタおよび1個以上のNchトランジスタにより構成される入出力セルが複数個配置されて入出力セル領域を構成し力パッド領域を構成してなるマスタスライス方式の半導体装置において、前記入出力セルのPchトランジスタはNウエル上に形成されてなり、前記入出力セルのNchトランジスタはPウエル上に形成され、かつ前記入出力セル下のNウエルは隣接する前記入出力セル下のNウエルと電気的に分離し、前記Pchトランジスタは、共通のNウエル上で第1の方向に複数段アレイ上に配置されてPchトランジスタ列をなし、前記Nchトランジスタは、共通のPウエル上で第1の方向に複数段アレイ上に配置されてNchトランジスタ列をなし、前記Pchトランジスタ列と前記Nchトランジスタ列は第1の方向に垂直である第2の方向隣接して基本セル列をなし、前記基本セル列は前記第2の方向に隣接して複数段配置し、かつ前記第2の方向の上段の基本セル列の上側のトランジスタ列がNchトランジスタ列の場合、前記Nchトランジスタ列の上側、前記第2の方向の下段の基本セル列の下側のトランジスタ列がNchトランジスタ列の場合、前記Nchトランジスタ列の下側にPchトランジスタ列1列を配置して、前記内部セル領域を構成し、前記Pchトランジスタ、前記Nchトランジスタを動作させるため、電位の異なる電源配線として第1電源配線と第2電源配線を有し、前記第1電源配線は前記入出力セル領域と前記基本セル領域の間に配置し、前記第2電源配線は前記入出力セル領域における前記第2の方向に対する上端と下端に配置されたPchトランジスタ列上に配置してマスタスライス方式の半導体装置を構成することを特徴とする。
【0005】
【作用】本発明の上記の構成によれば、各入出力セル下のNウエルを電気的に分離することにより、前記半導体装置外部と2電源の入出力が可能になり、内部セル領域と入出力セルの間に第1電源配線、内部セル領域における基本セル列方向に垂直な第2の方向に対して上端と下端に位置するPchトランジスタ列上に第2電源配線を配置することにより、内部セル領域のトランジスタの2電源動作が可能になり、第2電源配線に電流を供給するための配線が容易になり、また従来の内部セル領域の構成で内部セル領域における前記第2の方向の最外部にレベル変換用回路及び第2電源用トランジスタ列を配置するときに無駄になるNchトランジスタ列1列を有効に活用できる。
【0006】
【実施例】図1に本発明の半導体装置の構造を示す。半導体チップ110は中央に位置する内部セル領域120、その外部の入出力セル130、入出力パッド140から構成される。内部セル領域120は、Pchトランジスタ列121、Nchトランジスタ列122、基本セル列方向に垂直な第2の方向上端と下端のPchトランジスタ列123から構成される。入出力セル領域130は、入出力セル131と、入出力セル下のNウエル132から構成される。
【0007】図2に図1の入出力セル付近の拡大図を示す。出力セル領域130は、入出力セル131と、前記入出力セルのPchトランジスタを構成するNウエル132、前記入出力セルのNchトランジスタを構成する Pウエル133から構成される。電源配線は、GND150、第1電源配線151、第2電源配線152から構成される。
【0008】図3は、従来の半導体装置1を示す。前記半導体装置1は入出力セルのPchトランジスタ下のNウエル332が電気的につながった構成からなる。
【0009】図4は、従来の半導体装置2を示す。前記半導体装置2は入出力セルのPchトランジスタ下のNウエル432が4領域を形成し、各領域が電気的に分離した構造からなる。
【0010】また、前記従来の半導体装置1、半導体装置2の各内部セル領域において前記第2の方向に対する上端または下端(図3、図4では上端)はNchトランジスタ列323、423で構成される。
【0011】以下、従来の欠点を挙げながら、本発明の長所を説明する。
【0012】まず、入出力セルのPchトランジスタ下のNウエル332、432を、各入出力セルのPchトランジスタ233の下部に位置するNウエル234毎に電気的に分離することにより、従来の半導体装置1と半導体装置2では不可能な、各入出力セルの入出力電位を個々に設定し、かつ外部と2電源の入出力を行なうことか可能になる。
【0013】また、前記の構成において、入出力信号は前記入出力パッド240および前記入出力セル領域230を介して内部セル領域220に入出力される。そして、前記上端または下端(図2では上端)のPchトランジスタ列223、前記Pchトランジスタ列の内側に隣接したNchトランジスタ列225、前記Nchトランジスタ列の内側に隣接したPchトランジスタ列226の3種類の各トランジスタから、第1電源電圧から第2電源電圧、または第2電源電圧から第1電源電圧に電圧レベルを変換するレベル変換用回路224を構成したとき、前記入出力信号を前記レベル変換回路224に入出力することにより前記Pchトランジスタ列223上に配置された第2電源配線252を電圧レベル変換後の第2電源電圧に設定することができる。この結果、内部セル領域220と入出力セル領域230の間に第1電源配線251、内部セル領域220の上端または下端(図2R>2では上端)に位置するPchトランジスタ列223上に第2電源配線252を配置でき、前記第2電源配線252に電流を供給するための配線が容易になる。更に内部セル領域220の任意のトランジスタ列毎に2電源で動作させる場合の電源配線が容易になる。
【0014】そして上記の電源配線を構成する場合、前記Pchトランジスタ列223と前記 Pchトランジスタ列の内側に隣接したNchトランジスタ列225を第2電源用トランジスタ列に割り当てることが有効になり、従来の内部セル領域の最外部に前記レベル変換用回路及び前記2電源用トランジスタ列を構成する際に無駄になる、前記第2の方向に対する上端または下端のNchトランジスタ列331または431を有効に利用することが可能になる。
【0015】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、半導体基板外部に対して2電源の入出力ができまた、内部セル領域の各トランジスタを第1電源と第2電源で動作させるための電源配線が容易にでき、Nchトランジスタ列1列を無駄にしないで済むので、簡単で短い電源配線と、前記Nchトランジスタ列1列を有効に活用したた構成で2電源動作を可能にする半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置を示す平面図。
【図2】図1の入出力セル付近の拡大図。
【図3】従来の半導体装置1(入出力セルのNウエル領域が電気的につながった構成からなる)を示す平面図。
【図4】従来の半導体装置2(入出力セルのNウエル領域が4領域で形成され、各領域で電気的に分離した構成からなる)を示す平面図。
【符号の説明】
110・・・半導体基板
120・・・内部セル領域
121・・・Pchトランジスタ列
122・・・Nchトランジスタ列
123・・・内部セル領域の上端と下端のPchトランジスタ列
124・・・レベル変換用回路
130・・・入出力セル領域
140・・・入出力パッド
220・・・内部セル領域
221・・・Pchトランジスタ列
222・・・Nchトランジスタ列
223・・・内部セル領域上端のPchトランジスタ列
224・・・レベル変換用回路
225・・・Pchトランジスタ列
226・・・Nchトランジスタ列
230・・・入出力セル領域
231・・・入出力セルのNchトランジスタ
232・・・入出力セルのNchトランジスタ下のPウエル
233・・・入出力セルのPchトランジスタ
234・・・入出力セルのPchトランジスタ下のNウエル
240・・・入出力パッド
250・・・GND
251・・・第1電源配線
252・・・第2電源配線
310・・・半導体チップ
320・・・内部セル領域
321・・・Pchトランジスタ列
322・・・Nchトランジスタ列
323・・・内部セル領域の上端(または下端)のNchトランジスタ列
331・・・入出力セルのNchトランジスタ下のPウエル
332・・・入出力セルのPchトランジスタ下のNウエル
340・・・入出力パッド
410・・・半導体チップ
420・・・内部セル領域
421・・・Pchトランジスタ列
422・・・Nchトランジスタ列
423・・・内部セル領域の上端(または下端)のNchトランジスタ列
431・・・入出力セルのNchトランジスタ下の
432・・・入出力セルのPchトランジスタ下のNウエル
440・・・入出力パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体基板表面の中央部にPchトランジスタとNchトランジスタで構成された基本セルが複数段アレイ状に配置されて内部セル領域を構成してなり、前記内部セルの外周部に1個以上のPchトランジスタおよび1個以上のNchトランジスタにより構成される入出力セルが複数個配置されて入出力セル領域を構成してなり、前記入出力セル領域の外周部に外部入出力パッドが複数個配置して入出力パッド領域を構成してなるマスタスライス方式の半導体装置において、前記入出力セルのPchトランジスタはNウエル上に形成されてなり、前記入出力セルのNchトランジスタはPウエル上に形成されてなり、かつ前記入出力セル下のNウエルは隣接する前記入出力セル下のNウエルと電気的に分離することを特徴とするマスタスライス方式の半導体装置。
【請求項2】 請求項1記載の半導体装置において前記Pchトランジスタは、共通のNウエル上で第1の方向に複数段アレイ上に配置されてPchトランジスタ列をなし、前記Nchトランジスタは、共通のPウエル上で第1の方向に複数段アレイ上に配置されてNchトランジスタ列をなし、前記Pchトランジスタ列と前記Nchトランジスタ列は第1の方向に垂直である第2の方向に隣接して基本セル列をなし、前記基本セル列は前記第2の方向に隣接して複数段配置し、かつ前記第2の方向の上段の基本セル列の上側のトランジスタ列がNchトランジスタ列の場合、前記Nchトランジスタ列の上側、前記第2の方向の下段の基本セル列の下側のトランジスタ列がNchトランジスタ列の場合、前記Nchトランジスタ列の下側にPchトランジスタ列1列を配置して、請求項1で記載した内部セル領域を構成することを特徴とするマスタスライス方式の半導体装置。
【請求項3】 請求項1、請求項2記載の半導体装置において、前記Pchトランジスタ、前記Nchトランジスタを動作させるため、電位の異なる電源配線として第1電源配線と第2電源配線を有し、前記第1電源配線は前記入出力セル領域と前記基本セル領域の間に配置し、前記第2電源配線は前記入出力セル領域における前記第2の方向に対する上端と下端に配置されたPchトランジスタ列上に配置することを特徴とするマスタスライス方式の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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