説明

マスター・クロック調停方法と装置。

【課題】安定で精度の良い特定のデジタル・トランク・ユニットを優先的にマスター・クロック源として採用し、かつ、従来型との互換性を保証する。
【解決手段】
あらかじめ定めた高精度で優先度の高い優先デジタル・トランク・ユニットと、優先度の高くはない精度の悪い非優先デジタル・トランク・ユニットとがあり、優先および非優先デジタル・トランク・ユニットは、非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に接続し、同時に、優先デジタル・トランク・ユニットは、優先ビジー信号を優先ビジー信号共通線に接続して、優先ビジー信号を非優先ビジー信号に優先させるように処理する。
優先ビジー信号が優先ビジー信号共通線に存在しない場合には、非優先デジタル・トランク・ユニットが、マスター・クロック候補をマスター・クロックとして出力することを指示するようにマスター・クロック調停装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル通信路のマスター・クロック調停方法と装置に関する。具体的には、PBXシステムにおいて複数のデジタル・トランク・ユニットを接続する場合に、複数のマスター・クロック候補の中から、システム全体の同期を制御するための1つのマスター・クロックを得るための改良されたマスター・クロック調停方法と装置を提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来のマスター・クロック調停の概念を説明するためのマスター・クロック調停概念図である。PBXシステムにおけるデジタル・トランク・ユニットDT0〜nを使用した通話では、PBXシステム全体の動作クロックを、デジタル・トランク・ユニットDT0〜nから抽出し選択したマスター・クロックMCに従属同期させることが要求される。
【0003】
動作を開始したデジタル・トランク・ユニットDT0〜nのそれぞれは、マスター・クロックMCから作成されたサンプリング・タイミング基準信号STを基準にしてデジタル回線からマスター・クロック候補MCCの抽出をしている。マスター・クロック候補MCCを抽出することができたデジタル・トランク・ユニットDT0〜nは、ビジー状態ではないときに、マスター・クロック候補MCCi(n=i)をオープン・ドレイン方式で出力することができる。
【0004】
ビジー状態ではないときに2回続けてマスター・クロック候補MCCiを出力すると、そのデジタル・トランク・ユニットDTiは、ビジー信号を出力(ビジー状態に)して他のデジタル・トランク・ユニットDTに知らしめると同時に、マスター・クロック選択機能(オープン・ドレイン)41Bにより、マスター・クロック候補MCCiをマスター・クロックMCとして得ている。このマスター・クロックMCは、システム・タイミング制御ユニット21Bに印加され、マスター・クロックMCに同期した所定周期のサンプリング・タイミング基準信号STとなる。
【0005】
ビジー状態にある間は、マスター・クロック源となったデジタル・トランク・ユニットDTi以外のデジタル・トランク・ユニットDTは、マスター・クロック候補MCCを出力せず、ビジー状態にない場合(非ビジー状態)にのみ、デジタル・トランク・ユニットDT0〜nは、マスター・クロック候補MCCを出力することができる。
【0006】
すなわち、多くのマスター・クロック候補MCCから調停して1つのマスター・クロックMCを選択抽出しており、マスター・クロックMCを抽出できた場合は、ビジー状態を示すと同時に、抽出したクロックをマスター・クロックMCとして出力している。マスター・クロックMCを抽出できなかった場合は、ビジー状態を示しておらず、2回連続してマスター・クロック候補MCC0〜nを出力することができた、デジタル・トランク・ユニットDT0〜nのうちの1つがマスター・クロック源となり、ビジー状態とする。
【0007】
図10には従来のマスター・クロック調停装置の回路構成図が示されている。複数のデジタル・トランク・ユニットDT0〜nとシステム・タイミング制御ユニット21Bとの間には、非優先ビジー信号共通線BC、マスター・クロックMC(オープン・ドレイン信号)があり、各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nの間は、非優先ビジー信号B0〜nおよびマスター・クロック候補MCC0〜nにより、接続されている。非優先ビジー信号B0〜nは、オープン・ドレイン信号形式となっている。ビジー(ビジー状態)はLレベル、ビジーでない場合(非ビジー状態)はHレベルとなっている。
【0008】
システム・タイミング制御ユニット21Bにはマスター・クロックMCが供給され、各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nには、システム・タイミング制御ユニット21Bからサンプリング・タイミング基準信号STが供給されている。サンプリング・タイミング基準信号STは、各デジタル・トランク・ユニットDT0〜n内部での動作の基準タイミングとなっている。また、各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nには、フレーム構成で伝送されるデジタル回線D0〜n(たとえば、INS64など)が接続されている。
【0009】
1つのデジタル・トランク・ユニットDTiがマスター・クロック源となっていることを示すビジー状態は、非優先ビジー信号共通線BCによりオープン・ドレイン形式で全てのデジタル・トランク・ユニットDT0〜nに伝えられる。
【0010】
ここで、マスター・クロック候補MCCとマスター・クロックMCについて説明する。デジタル・トランク・ユニットDT0〜nの1つ、たとえばDT2がマスター・クロックMCに同期したサンプリング・タイミング基準信号STに同期して、マスター・クロック候補MCC2を送出可能な状態になると、デジタル・トランク・ユニットDT2はマスター・クロック候補となる。
【0011】
マスター・クロック候補となったデジタル・トランク・ユニットDT2は、非優先ビジー信号共通線BCが、“2回続けてビジーでないこと”を検出した場合に、非優先ビジー信号Bを非優先ビジー信号共通線BCに対して送出し、ビジー(レベル:L)にする。デジタル・トランク・ユニットDT2の出力するマスター・クロック候補MCC2は、マスター・クロック選択機能(オープン・ドレイン)41B(図9参照)によりマスター・クロックMCとして認定され、システム・タイミング制御ユニット21Bにおいてマスター・クロックMCに同期したサンプリング・タイミング基準信号STを作成し、すべてのデジタル・トランク・ユニットDT0〜nにおいて使用される。
【0012】
すでにビジー(レベル:L)となっているか否かを調べるビジー・チェックの結果、非優先ビジー信号共通線BCがすでにビジー(レベル:L)となっている場合には、マスター・クロック源となったデジタル・トランク・ユニットDT2以外のデジタル・トランク・ユニットDTは、マスター・クロック候補とはなり得ても、デジタル・トランク・ユニットDT2が非優先ビジー信号を出している間は、マスター・クロック源となったデジタル・トランク・ユニットDT2以外のデジタル・トランク・ユニットDTは、マスター・クロック源とはなり得ない。デジタル・トランク・ユニットDT2が、非優先ビジー信号を出さなくなった場合には、マスター・クロック候補の中から次のマスター・クロック源が選ばれる。
【0013】
図11は、図10の回路構成において、ビジーでないことを2回検出したら非優先ビジー信号Bを非優先ビジー信号共通線BCに出力する場合のタイムチャートである。ここでは説明の便宜上n=15とし、フレーム構成の非優先チャネルch0〜15として例示している。デジタル・トランク・ユニットDT0〜15のそれぞれは、対応するデジタル回線Dおよび非優先ビジー信号共通線BC上の非優先チャネルch0〜15をそれぞれ用いている。フレームの先頭はチャネルch0(DT0)であり、時間軸は右回転で進行する。
【0014】
各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nにおけるビジー・チェックは、各デジタル・トランク・ユニットDT0〜15により所定の手順で実行される。ビジー・チェック・スタートCSの時間的位置(チャネルchの番号)は、システム・タイミング制御ユニット21Bにより定まり、チャネルchの番号は、所定の時間間隔で、変更される。
【0015】
たとえば、チャネルch1の先頭がビジー・チェック・スタートCSとなる場合は、チャネルch1を先頭にしてチャネルch2,3,・・・15,0と進み、再びチャネルch1からのビジー・チェックをする。図11では、チャネルch2と8がマスター・クロック抽出に成功し、マスター・クロック候補となっている。非優先ビジー信号共通線BCに非優先ビジー信号Bを出力しているチャネルchすなわちデジタル・トランク・ユニットDTは存在しておらず、非優先ビジー信号共通線BCは、ビジーでない(レベル:H)と仮定する。
【0016】
チャネルch1の先頭でビジー・チェック・スタートCSすると、チャネルch1はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch2は、1回目のビジーでない状態を検出(c1)する。チャネルch3〜7はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch8はマスター・クロック候補となっているから、1回目のビジーでない状態(レベル:H)を検出(c1)する。チャネルch9〜15およびチャネルch0はマスター・クロック候補とはなっていない。
【0017】
そこで2回目のビジー・チェック・スタートCSをする。1回目と同様に、チャネルch1はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch2は、2回目のビジーでない状態を検出(c2)する。チャネルch2を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT2は、非優先ビジー信号B2を非優先ビジー信号共通線BCに出力し(d2)、チャネルch2はマスター・クロック源となる。非優先ビジー信号共通線BCはビジー(レベル:L)となる。
【0018】
チャネルch3〜7はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch8はマスター・クロック候補となってはいるが、2回目のビジー・チェックでは、ビジー(レベル:L)を検出(c1)する。それは、すでにチャネルch2によって非優先ビジー信号B2が非優先ビジー信号共通線BCに出力されているからである。このようにして、チャネルch2(を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT2)は、マスター・クロック源となる。
【0019】
システム・タイミング制御ユニット21Bは、このマスター・クロック源からのマスター・クロックMCを基にしてサンプリング・タイミング基準信号STを作成し、各デジタル・トランク・ユニットDTに供給している。チャネルch1の先頭でビジー・チェック・スタートCSが実行される動作が所定回続くと、他のチャネルchの先頭でビジー・チェック・スタートCSが実行される。どのチャネルにとっても、チャネルchの先頭でビジー・チェック・スタートCSが実行される確率は、等しくなる。特定のチャネルchの先頭でビジー・チェック・スタートCSが実行されるように設定することも可能である。
【0020】
図12は、図10の回路構成において、ビジー・チェック・スタートCSとマスター・クロック源との関係を表すタイムチャートである。図11に用いた記号により表される事項に同じものについては、同じ記号を用いている。各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nにおけるビジー・チェックは、システム・タイミング制御ユニット21Bにより所定の手順で実行される。
【0021】
たとえば、チャネルch6の先頭が(1回目の)ビジー・チェック・スタートCSとなる場合は、チャネルch6を先頭にしてチャネルch7,8,・・・15,0,1,・・・,5と進み、再び(2回目)チャネルch6からのビジー・チェックをする。この2回目のビジー・チェックは、必ずしもチャネルch6からスタートしなければならない理由はないが、図示及び説明の都合上1回目と2回目のビジー・チェック・スタートCSは同一点(チャネルch6の先頭)とした。この1回目と2回目のビジー・チェック・スタートCSを同一点としての説明は、他の図においても、同様である。
【0022】
図12では、チャネルch2と8がマスター・クロックMCのクロック抽出に成功してマスター・クロック候補となっている。非優先ビジー信号共通線BCに非優先ビジー信号Bを出力しているチャネルchすなわちデジタル・トランク・ユニットDTは存在しておらず、非優先ビジー信号共通線BCは、ビジーでない(レベル:H)と仮定する。
【0023】
チャネルch6の先頭でビジー・チェック・スタートCSすると、チャネルch6,7はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch8は、1回目のビジーでない状態を検出(c1)する。チャネルch9〜15,0,1はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch2はマスター・クロック候補となっているから、1回目のビジーでない状態(レベル:H)を検出(c1)する。チャネルch3〜5はマスター・クロック候補とはなっていない。
【0024】
そこで2回目のビジー・チェック・スタートCSをする。1回目と同様に、チャネルch6,7はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch8は、2回目のビジーでない状態を検出(c2)する。そこでチャネルch8を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT8は、非優先ビジー信号B8を非優先ビジー信号共通線BCに出力し(d2)、チャネルch8はマスター・クロック源となる。非優先ビジー信号共通線BCはビジー(レベル:L)となる。
【0025】
チャネルch9〜15,0,1はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch2はマスター・クロック候補となってはいるが、2回目のビジー・チェックでは、ビジー(レベル:L)を検出(c1)する。それは、すでにチャネルch8によって非優先ビジー信号B8が非優先ビジー信号共通線BCに出力されているからである。このようにして、チャネルch8(を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT8)は、マスター・クロック源となり、システム・タイミング制御ユニット21Bは、このマスター・クロック源からのマスター・クロックMCを基にしてサンプリング・タイミング基準信号STを作成し、各デジタル・トランク・ユニットDTに供給している。
【0026】
図13は、図10の回路構成において、マスター・クロック源がクロック抽出不能となったときのタイムチャートである。図11および12に用いた記号により表される事項に同じものについては、同じ記号を用いている。各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nにおけるビジー・チェックは、システム・タイミング制御ユニット21Bにより所定の手順で実行される。たとえば、チャネルch6の先頭がビジー・チェック・スタートCSとなる場合は、チャネルch6を先頭にしてチャネルch7,8,・・・15,0,1,・・・,5と進み、再びチャネルch6からのビジー・チェックをする。
【0027】
図13では、チャネルch2がクロック抽出に2回連続して成功し、マスター・クロック源となっていた。しかし、何等かの理由(たとえば、デジタル・トランク・ユニットDT2の電源オフ)により、クロック抽出が不能となって非優先ビジー信号共通線BCへの出力をしないドライブ・ストップ(ds)となる。チャネルch8は、すでにマスター・クロックMCのクロック抽出に成功してマスター・クロック候補となっている。
【0028】
非優先ビジー信号共通線BCに非優先ビジー信号Bを出力しているチャネルch、すなわちデジタル・トランク・ユニットDTは存在しておらず、非優先ビジー信号共通線BCは、ビジーではない(レベル:H)と仮定する。
【0029】
チャネルch6の先頭でビジー・チェック・スタートCSすると、チャネルch6,7はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch8は、1回目のビジーでない状態を検出(c1)する。チャネルch9〜15,0,1はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch2もマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch3〜5はマスター・クロック候補とはなっていない。
【0030】
そこで2回目のビジー・チェック・スタートCSをする。1回目と同様に、チャネルch6,7はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch8は、2回目のビジーでない状態を検出(c2)する。そこでチャネルch8を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT8は、非優先ビジー信号B8を非優先ビジー信号共通線BCに出力し(d2)、チャネルch8はマスター・クロック源となる。非優先ビジー信号共通線BCはビジー(レベル:L)となる。
【0031】
チャネルch9〜15,0〜5はマスター・クロック候補とはなっていない。このようにして、チャネルch8(を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT8)は、マスター・クロック源となり、システム・タイミング制御ユニット21Bは、このマスター・クロック源を基にしてサンプリング・タイミング基準信号STを作成し、各デジタル・トランク・ユニットDTに供給している。
【0032】
図14は、図10の回路構成において、特定のチャネルをマスター・クロック源として選択することが不可能であることの理由を示すタイムチャートである。図11〜13に用いた記号により表される事項に同じものについては、同じ記号を用いている。各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nにおけるビジー・チェックは、システム・タイミング制御ユニット21Bにより所定の手順で実行される。たとえば、チャネルch6の先頭がビジー・チェック・スタートCSとなる場合は、チャネルch6を先頭にしてチャネルch7,8,・・・15,0,1,・・・,5と進み、再びチャネルch6からのビジー・チェックをする。
【0033】
図14では、チャネルch2と8がマスター・クロックMCに同期し、クロック抽出に成功してマスター・クロック候補となっている。非優先ビジー信号共通線BCに非優先ビジー信号Bを出力しているチャネルchすなわちデジタル・トランク・ユニットDTは存在しておらず、非優先ビジー信号共通線BCは、ビジーでない(レベル:H)と仮定する。
【0034】
チャネルch6の先頭でビジー・チェック・スタートCSすると、チャネルch6,7はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch8は、1回目のビジーでない状態を検出(c1)する。チャネルch9〜15,0,1はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch2はマスター・クロック候補となっているから、1回目のビジーでない状態(レベル:H)を検出(c1)する。チャネルch3〜5はマスター・クロック候補とはなっていない。
【0035】
そこで2回目のビジー・チェック・スタートCSをする。1回目と同様に、チャネルch6,7はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch8は、2回目のビジーでない状態を検出(c2)する。そこでチャネルch8を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT8は、非優先ビジー信号B8を非優先ビジー信号共通線BCに出力し(d2)、チャネルch8はマスター・クロック源となる。非優先ビジー信号共通線BCはビジー(レベル:L)となる。
【0036】
チャネルch9〜15,0,1はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch2はマスター・クロック候補となってはいるが、2回目のビジー・チェックでは、ビジー(レベル:L)を検出(c1)する。それは、すでにチャネルch8によって非優先ビジー信号B8が非優先ビジー信号共通線BCに出力されているからである。このようにして、チャネルch8(を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT8)は、マスター・クロック源となり、システム・タイミング制御ユニット21Bは、このマスター・クロック源を基にしてサンプリング・タイミング基準信号を作成し、各デジタル・トランク・ユニットDTに供給している。
【0037】
ここで、チャネルch2はマスター・クロック候補となっても、マスター・クロック源とはなり難い。マスター・クロック源となり易いチャネルchは、ビジー・チェック・スタートCSの時点後に最も早くビジー・チェックを受ける位置にあることが必要であるにもかかわらず、マスター・クロック候補となっているチャネルch8よりも後にビジー・チェックを受けるから、2回目のビジー・チェックの時点では、すでにビジー(レベル:L)を検出するからである。
【0038】
しかしながら、ビジー・チェック・スタートCSをチャネルch9〜15,0,1のいずれかにした場合には、チャネルch2がチャネルch8よりもマスター・クロック源として選択され易くなる。ビジー・チェック・スタートCSのチャネルchを所定の時間間隔で変更、あるいは、全くランダムにチャネルchを変更することによって、特定のチャネルchだけがマスター・クロック源として選択され易くならないようにして、特定のチャネルchがマスター・クロック源として選択され易くなってしまうという問題を解決している。
【0039】
図15は、図10の回路構成において、マスター・クロック源のチャネルがクロック抽出不能となったときのマスター・クロック源チャネルの選択をする場合のタイムチャートである。 図11〜14に用いた記号により表される事項に同じものについては、同じ記号を用いている。各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nにおけるビジー・チェックは、システム・タイミング制御ユニット21Bにより所定の手順で実行される。たとえば、チャネルch6の先頭がビジー・チェック・スタートCSとなる場合は、チャネルch6を先頭にしてチャネルch7,8,・・・15,0,1,・・・,5と進み、再びチャネルch6からのビジー・チェックをする。
【0040】
図15では、チャネルch2がクロック抽出に2回連続して成功し、マスター・クロック源となっていた。しかし、何等かの理由(たとえば、デジタル・トランク・ユニットDT2の電源オフ)により、クロック抽出が不能となって非優先ビジー信号共通線BCへの出力をしないドライブ・ストップ(ds)をする。チャネルch8およびチャネルch13は、すでにマスター・クロックMCのクロック抽出に成功してマスター・クロック候補となっている。
【0041】
非優先ビジー信号共通線BCに非優先ビジー信号Bを出力しているチャネルch、すなわちデジタル・トランク・ユニットDTは存在しておらず、非優先ビジー信号共通線BCは、ビジーではない(レベル:H)と仮定する。
【0042】
チャネルch6の先頭でビジー・チェック・スタートCSすると、チャネルch6,7はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch8は、1回目のビジーでない状態を検出(c1)する。チャネルch9〜12はマスター・クロック候補とはなっていない。マスター・クロック候補となっているチャネルch13は、1回目のビジーでない状態を検出(c1)する。チャネルch14,15,0,1はマスター・クロック候補とはなっていない。ドライブ・ストップ(ds)したチャネルch2もマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch3〜5はマスター・クロック候補とはなっていない。
【0043】
そこで2回目のビジー・チェック・スタートCSをする。1回目と同様に、チャネルch6,7はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch8は、2回目のビジーでない状態を検出(c2)する。そこでチャネルch8を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT8は、非優先ビジー信号B8を非優先ビジー信号共通線BCに出力し(d2)、チャネルch8はマスター・クロック源となる。非優先ビジー信号共通線BCはビジー(レベル:L)となる。
【0044】
チャネルch9〜12はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch13は2回目のビジー・チェックにおいては、すでにチャネルch8を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT8により、非優先ビジー信号共通線BCに出力され(d2)ているから、ビジーを検出する。したがって、チャネルch13はマスター・クロック源とはなれない。もし、ビジー・チェック・スタートCSがチャネルch8の後とチャネルc13の前までの間に実行されれば、そのときには、チャネルch13がマスター・クロック源となり、チャネルch8はマスター・クロック源とはなれない。
【0045】
図16は、従来のシステム・タイミング制御ユニット21Bの内部構成を示す回路構成図である。サンプリング・タイミング基準信号STを作成する作成回路と、ビジー・チェック・スタートCS時点を制御する制御部が含まれているが、この制御部に関しては、従来公知の技術であり本願発明において重要ではないのでので、図示することは省略する。
【0046】
作成回路は、フェーズ・ロック・ループ(PLL)動作をするデジタルPLL回路22Bを含んでいる。マスター・クロックMCを印加されたデジタルPLL回路22Bは、マスター・クロックMCに位相同期して、サンプリング・タイミング基準信号STを発生している。このサンプリング・タイミング基準信号STは、各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nにおける動作のタイミングとして使われる基準信号である。
【0047】
図17は、従来のデジタル・トランク・ユニットDTの内部構成を示す回路構成図である。そこには、デジタル回線インタフェース31とトランク・アービタ32が含まれている。デジタル回線インタフェース31は、デジタル回線D(たとえば、INS64など)からのデジタル信号DとPCM信号PCMとを受けてサンプリング・タイミング基準信号STのタイミングで同期用の周期信号SYを作成している。この周期信号SYの周期は、たとえば、125μsである。
【0048】
トランク・アービタ32は、非優先ビジー信号B、周期信号SYを受けてサンプリング・タイミング基準信号STのタイミングで動作し、非優先ビジー信号Bがすでに存在する(レベル:Lのビジーの)ときには、他のデジタル・トランク・ユニットDTのマスター・クロック候補MCCが現在のマスター・クロック源として使用されているから、当該デジタル・トランク・ユニットDTiは、オープン・ドレイン信号である非優先ビジー信号Bをオフのままとし、マスター・クロック候補MCCを作成しない。
【0049】
非優先ビジー信号Bが存在しない(レベル:Hのビジーでない)とき、当該デジタル・トランク・ユニットDTiは、周期信号SYに同期してマスター・クロック候補MCCを作成して、2度続けてビジーでないときには、当該デジタル・トランク・ユニットDTiはマスター・クロック源となり、非優先ビジー信号B(レベル:Lのビジー)を非優先ビジー信号共通線BCに出力し、これがマスター・クロックMCとなる。
【0050】
このようなPBXシステムを接続する場合の同期装置は、たとえば、特許文献1および2に詳細に開示されている。
【特許文献1】特開平4-165729号公報
【特許文献2】特開平5-316251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0051】
たとえば、デジタル回線INS1500に接続可能で、精度の高い同期をとることができる最新型の高精度のデジタル・トランク・ユニットが開発されても、従来型の、たとえばデジタル回線INS64に接続可能な精度の高い同期をとることのできない低精度のデジタル・トランク・ユニットも混在したままのPBXシステムで利用できなければ、極めて不経済であり、資源の有効活用もできない。すなわち、高精度および低精度デジタル・トランク・ユニットの混在したままのPBXシステムを実現したいという第1の課題があった。
【0052】
従来は、複数のマスター・クロック候補のうちの最先のものを基にしてマスター・クロックを作成する先着方式をとっていた。そのために、複数のデジタル・トランク・ユニットの中に、安定で精度の良い同期を可能とする高精度デジタル・トランク・ユニットが含まれていたとしても、それが最先の候補でない場合には、優先的にマスター・クロックとして採用されず、低精度デジタル・トランク・ユニットのマスター・クロック候補が採用されてマスター・クロックとなり、高精度デジタル・トランク・ユニットの機能を十分に発揮することができないという解決されねばならない第2の課題があった。
【0053】
このような課題を新規のプロトコルを用いて解決することも可能ではあるが、その場合には、品質の良いマスター・クロックを作成可能な高精度のデジタル・トランク・ユニットを採用して、低精度デジタル・トランク・ユニットと混在して用いようとしても、その互換性を確保することができないという新たな課題が発生する。したがって、低精度デジタル・トランク・ユニットとの互換性を保証することが第3の課題である。
【0054】
PBXシステムの初期化(スイッチ・オンなど)の直後であっても、クロック源として選択する優先度を高くしたい高精度デジタル・トランク・ユニットからのマスタ―・クロック候補を優先的に採用して、それをマスタ―・クロック源とすることにより、PBXシステムの同期安定度をより高めることを第4の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0055】
あらかじめ定めた優先度の高い高精度の優先デジタル・トランク・ユニットと、優先度の高くはない低精度の非優先デジタル・トランク・ユニットとがあり、優先および非優先デジタル・トランク・ユニットは、非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に接続し、デジタル回線に同期してマスター・クロック候補を得て、同時に、優先デジタル・トランク・ユニットは、優先ビジー信号を優先ビジー信号共通線に接続して、優先ビジー信号と非優先ビジー信号とを受けて、優先ビジー信号が優先ビジー信号共通線に存在しないことを1回検出した場合には、非優先デジタル・トランク・ユニットがマスター・クロック源となることを防止するために擬似非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に出力し、優先ビジー信号が優先ビジー信号共通線に存在しないことを続けて2回検出した場合には、非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に出力すると同時に優先ビジー信号を優先ビジー信号共通線に出力し、優先デジタル・トランク・ユニットは、マスター・クロック候補をマスター・クロックとして出力することを指示するための判別されたビジー信号を出力する優先度判別手段と、
デジタル回線とPCM信号とのインタフェースをし、デジタル回線から周期信号を抽出するデジタル回線インタフェース手段と、
周期信号と判別されたビジー信号およびマスター・クロックに同期したサンプリング・タイミング基準信号とを受けて、マスター・クロック候補を出力するためのトランク・アービタ手段と、
マスター・クロックを受けて、このマスター・クロックに同期したサンプリング・タイミング基準信号を得るシステム・タイミング制御手段とを含む
マスター・クロック調停装置を構成した。
【発明の効果】
【0056】
たとえば、デジタル回線INS1500に接続可能で、精度の高い同期をとることができる最新型の高精度のデジタル・トランク・ユニットが開発されても、従来型の、たとえばデジタル回線INS64に接続可能な精度の高い同期をとることのできない低精度のデジタル・トランク・ユニットも混在したままのPBXシステムを構築することができるから、経済的であり、資源の有効活用にもなる。複数のデジタル・トランク・ユニットの中に、優先的にマスター・クロックとして採用したい安定で精度の高いものがある場合には、それを優先的にマスター・クロック源として採用することができるようになった。
【0057】
新規のプロトコルを用いていないので、従来型デジタル・トランク・ユニットとの互換性を確保することができた。PBXシステムの初期化(スイッチ・オンなど)の直後から、優先度を高くしたいデジタル・トランク・ユニットからのマスタ―・クロック候補を優先的にマスタ―・クロックとして採用し、それを基にしてデジタル・トランク・ユニットの動作に必要なサンプリング・タイミング基準信号を作成することにしたから、PBXシステムの同期安定度をより高めることができた。
【0058】
優先度を高くしたいデジタル・トランク・ユニットを、優先度を高くしないデジタル・トランク・ユニットとして使用するには、優先ビジー信号共通線へ出力(レベルをLに)する優先ビジー信号を、ビジーではない(レベルがHの)状態に固定するのみでよい。したがって、製造上、在庫管理上においても、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
あらかじめ定めた優先度の高い高精度の優先デジタル・トランク・ユニットと、優先度の高くはない低精度の非優先デジタル・トランク・ユニットとがあり、優先および非優先デジタル・トランク・ユニットは、非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に接続し、デジタル回線に同期したマスター・クロック候補を得て、同時に、優先デジタル・トランク・ユニットは、優先ビジー信号を優先ビジー信号共通線に接続して、優先ビジー信号と非優先ビジー信号とを受けて、優先ビジー信号が優先ビジー信号共通線に存在しないことを1回検出した場合には、非優先デジタル・トランク・ユニットがマスター・クロック源となることを防止するために擬似非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に出力し、優先ビジー信号が優先ビジー信号共通線に存在しないことを続けて2回検出した場合には、非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に出力すると同時に優先ビジー信号を優先ビジー信号共通線に出力し、優先デジタル・トランク・ユニットは、マスター・クロック候補をマスター・クロックとして出力することを指示するための判別されたビジー信号を出力する優先度判別手段と、
デジタル回線とPCM信号とのインタフェースをし、デジタル回線から周期信号を抽出するデジタル回線インタフェース手段と、
周期信号と判別されたビジー信号およびマスター・クロックに同期したサンプリング・タイミング基準信号とを受けて、マスター・クロック候補を出力するためのトランク・アービタ手段と、
マスター・クロックを受けて、このマスター・クロックに同期したサンプリング・タイミング基準信号を得るシステム・タイミング制御手段とを含む
マスター・クロック調停装置を構成している。
【実施例1】
【0060】
図1は、本願発明の実施例を示した構成図である。ここで、図10に対応する要素については、対応する記号を付してある。優先デジタル・トランク・ユニットDTP1,2と非優先デジタル・トランク・ユニットDT0〜nおよびシステム・タイミング制御ユニット21がある。優先デジタル・トランク・ユニットDTP1,2および非優先デジタル・トランク・ユニットDT0〜nは、多くの信号線によって接続されている。それらの信号線は、優先ビジー信号共通線BPC、サンプリング・タイミング基準信号ST、非優先ビジー信号共通線BC、マスター・クロックMCである。
【0061】
各優先デジタル・トランク・ユニットDTP1,2および非優先デジタル・トランク・ユニットDT0〜nには、デジタル回線D0〜nが接続されている。システム・タイミング制御ユニット21は、マスター・クロックMCを受けて、このマスター・クロックに同期したサンプリング・タイミング基準信号STを得て、各デジタル・トランク・ユニットDTに供給している。
【0062】
優先および非優先デジタル・トランク・ユニットDTP1,2,DT0〜nから出力され得るマスター・クロック候補MCC1〜nは、オープン・ドレイン信号形式のマスター・クロックMCとして出力される。優先デジタル・トランク・ユニットDTP1,2の優先ビジー信号BP1,2は、優先ビジー信号共通線BPCに接続されている。優先ビジー信号共通線BPCがビジー(レベルは、L)であるときには、必ず非優先ビジー信号共通線BCもビジー(レベルは、L)である。しかしながら、優先ビジー信号共通線BPCがビジーではない(レベルは、Hの)ときには、非優先ビジー信号共通線BCは、ビジー(レベルは、L)あるいはビジーではない(レベルは、Hの)状態である。
【0063】
非優先ビジー信号B0〜nは、非優先ビジー信号共通線BCに接続されている。すべての優先および非優先デジタル・トランク・ユニットDTには共通のサンプリング・タイミング基準信号STが接続され、優先および非優先ビジー信号BP1,2,B0〜nは、オープン・ドレイン信号形式となっている。各デジタル・トランク・ユニットDTには、サンプリング・タイミング基準信号STが供給されて、各デジタル・トランク・ユニットDT内部での動作の基準タイミングとなっている。
【0064】
優先デジタル・トランク・ユニットDTP1,2は、精度の高い同期をとることができる最新型の高精度のデジタル・トランク・ユニットであり、たとえばINS1500などで使用される。非優先デジタル・トランク・ユニットDT0〜nは、従来型の、たとえばデジタル回線INS64に接続可能な精度の高い同期をとることのできない低精度のデジタル・トランク・ユニットである。
【0065】
従って高精度の優先デジタル・トランク・ユニットDTPは、低精度のデジタル・トランク・ユニットDTに較べて、出力するマスター・クロック候補の同期精度は極めて高い。図1においては、優先および非優先デジタル・トランク・ユニットDTP1,2,DT0〜nが混在したままのPBXシステムを表している。
【0066】
図2は、図1の回路構成において、ビジーでないことを1回検出したら擬似非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線BCに出力する場合のタイムチャートである。ここでは説明の便宜上n=15とし、フレーム構成の非優先チャネルch0,4〜7,10〜12,15とし、優先チャネルch1P〜3P,8P,9P,13P,14Pとして例示している。
【0067】
優先チャネルch2P,8P(を使用するデジタル・トランク・ユニットDTP1,DTP8)は、供給されているサンプリング・タイミング基準信号STを用いて、デジタル回線Dよりクロックを抽出することに成功していることを判別している。デジタル・トランク・ユニットDTのそれぞれは、対応するデジタル回線Dおよび非優先ビジー信号共通線BCと優先ビジー信号共通線BPC上の非優先チャネル(ch0,4〜7,10〜12,15)および優先チャネル(ch1P〜3P,8P,9P,13P,14P)をそれぞれ用いている。フレームの先頭はチャネルch0(DT0)であり、時間軸は右回転で進行する。
【0068】
各非優先あるいは優先デジタル・トランク・ユニットDTにおけるビジー・チェックは、システム・タイミング制御ユニット21により所定の手順で実行される。ビジー・チェック・スタートCSのチャネルchの番号は、システム・タイミング制御ユニット21により選ばれ、チャネルchの番号は、所定の時間間隔で、変更される。
【0069】
たとえば、チャネルch1Pの先頭が(1回目の)ビジー・チェック・スタートCSとなる場合は、チャネルch1Pを先頭にしてチャネルch2P,3P,4,・・・12,13P,14P,15,0と進み、再び(2回目)チャネルch1Pからのビジー・チェックをする。図2では、チャネルch2Pと8Pがクロック抽出に成功して、マスター・クロック候補となっている。この2回目のビジー・チェックは、必ずしもチャネルch1Pからスタートしなければならない理由はないが、図示及び説明の都合上1回目と2回目のビジー・チェック・スタートCSは同一点(チャネルch1Pの先頭)とした。この1回目と2回目のビジー・チェック・スタートCSを同一点としての説明は、他の図においても、同様である。
【0070】
非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCに非優先ビジー信号Bあるいは優先ビジー信号BPを出力しているチャネルchすなわちデジタル・トランク・ユニットDTは存在しておらず、非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCは、ビジーでない(レベル:H)と仮定する。
【0071】
チャネルch1Pの先頭でビジー・チェック・スタートCSすると、チャネルch1Pはまだマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルchP2は、非優先ビジー信号共通線BCを調べて1回目のビジーでない状態を検出(c1)する。そこでチャネルchP2を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT2Pは、擬似非優先ビジー信号B2(レベル:L)を非優先ビジー信号共通線BCに出力する(d1)。この非優先ビジー信号共通線BC上の擬似非優先ビジー信号B(レベル:L)は、非優先ビジー信号B(レベル:L)とは区別がつかない。
【0072】
ここで、擬似非優先ビジー信号について説明する。従来例を示す図11では、チャネルch2を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT2は、1回目のビジー・チェックで非優先ビジー信号共通線BCを調べて1回目のビジーでない状態(レベル:H)を検出(c1)する。さらに2回目のビジー・チェックで2回目のビジーでない状態を検出(c2)して、はじめてチャネルch2を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT2は、非優先ビジー信号B2を非優先ビジー信号共通線BCに出力し(d2)、チャネルch2はマスター・クロック源となることができる。
【0073】
ところが、本願発明を説明する図2においては、1回目のビジー・チェックで優先ビジー信号共通線BPCを調べて1回目のビジーでない状態を検出(c1)すると、チャネルch2Pを使用している優先デジタル・トランク・ユニットDT2Pは、擬似非優先ビジー信号B2(レベル:L)を非優先ビジー信号共通線BCに出力する(d1)。すなわち、この擬似非優先ビジー信号動作処理によって非優先ビジー信号共通線BCはビジー(レベル:L)状態になる。
【0074】
すると非優先ビジー信号共通線BCによりビジー状態を調べている非優先デジタル・トランク・ユニットDTは、ビジーでない状態を検出することができなくなるから、マスター・クロック源となることができない。優先デジタル・トランク・ユニットDTP2は、この擬似非優先ビジー信号B2を出力することによって、非優先デジタル・トランク・ユニットDTがマスター・クロック源となることを防止している。これが擬似非優先ビジー信号動作処理の効果である。
【0075】
このようにして優先デジタル・トランク・ユニットDTP2は、2回目のビジーでない状態を検出し(c2)、非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCをドライブ(レベルをLに)して、チャネルch2Pは、マスター・クロック源となることができる。チャネルch2Pの優先デジタル・トランク・ユニットDTP2は、安定した高精度のマスター・クロック候補MCC2をマスター・クロックMCとして送出することができる。
【0076】
このマスター・クロックMCを受けたシステム・タイミング制御ユニット21は、すべてのデジタル・トランク・ユニットDTで使用するサンプリング・タイミング基準信号STを、マスター・クロックMCに精度良く同期させることができる。
【0077】
図2において、優先チャネルch8Pはクロック抽出に成功して、マスター・クロック候補となっており、1回目のビジー・チェックにおいては、優先ビジー信号共通線BPCはビジーでない状態(レベル:H)を検出(c1)する。2回目のビジー・チェックにおいては、優先ビジー信号共通線BPCは優先デジタル・トランク・ユニットDTP2によってビジー状態(レベル:L)となっているから、2回目のビジーでない状態(レベル:H)を検出することはできない。
【0078】
2回目のビジー・チェックは1回目のビジー・チェックと同じチャネルchからスタートする必要性はないが、図面上の表現および説明の便宜上から、図2においては1回目および2回目のビジー・チェック・スタートCSはともにチャネルch1Pからとした。
【0079】
このようにして、優先チャネルch8P(優先デジタル・トランク・ユニットDTP8)はマスター・クロック源となることができず、優先チャネルch2P(優先デジタル・トランク・ユニットDTP2)だけがマスター・クロック源となる。図2においては、ビジー・チェック・スタートCSがチャネルch1Pの先頭であった。
【0080】
もし、このビジー・チェック・スタートCSの時点が、チャネルch3Pの先頭からチャネルch8Pの先頭までの間に発生していたならば、マスター・クロック源となるのは、優先チャネルch2Pではなくて、優先チャネルch8Pとなっていた。ビジー・チェック・スタートCS時点の設定により、マスター・クロック源となる優先チャネルchを選択することが可能である。
【0081】
図3は、図1の回路構成において、マスター・クロック源がクロック抽出不能となったときのタイムチャートである。図2,図11〜15に用いた記号により表される事項に同じものについては、同じ記号を用いている。各デジタル・トランク・ユニットDTにおけるビジー・チェックは、システム・タイミング制御ユニット21により所定の手順で実行される。たとえば、チャネルch6の先頭がビジー・チェック・スタートCSとなる場合は、チャネルch6を先頭にしてチャネルch7,8P,・・・15,0,1P,・・・,5と進み、再びチャネルch6からのビジー・チェックをする。
【0082】
図3では、チャネルch2Pがクロック抽出に2回連続して成功し、マスター・クロック源となっていた。しかし、何等かの理由(たとえば、デジタル・トランク・ユニットDT2Pの電源オフ)により、クロック抽出が不能となって非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCへの出力をしないドライブ・ストップ(ds)をする。チャネルch7と13Pは、すでにデジタル回線Dよりクロックを抽出することに成功してマスター・クロック候補となっている。
【0083】
非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCに非優先ビジー信号Bおよび優先ビジー信号BPを出力しているチャネルch、すなわちデジタル・トランク・ユニットDTは存在しておらず、非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCは、ビジーではない(レベル:H)と仮定する。
【0084】
チャネルch6の先頭でビジー・チェック・スタートCSすると、チャネルch6はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにマスター・クロック候補となっているチャネルch7は、非優先ビジー信号共通線BCを調べて1回目のビジーでない状態を検出(c1)する。チャネルch8P〜12はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch13Pはマスター・クロック候補となっている。チャネルch13P(優先デジタル・トランク・ユニットDTP13)は1回目のビジー・チェックで優先ビジー信号共通線BPCがビジーではない(レベル:Hである)ことを検出して(c1)、非優先ビジー信号共通線BCに擬似非優先ビジー信号を出力して(d1)レベルをLにする。チャネルch14,15,0〜5は、マスター・クロック候補ではない。
【0085】
そこで2回目のビジー・チェック・スタートCSをする。1回目と同様に、チャネルch6はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch7は非優先ビジー信号共通線BCが擬似非優先ビジー信号によりビジー(レベル:L)であることを検出する。ここで非優先チャネルch7には、非優先ビジー信号共通線BCのレベルがLであることの原因が、擬似非優先ビジー信号によるものか、それとも非優先ビジー信号によるものか、の区別はつかない。したがって、非優先チャネルch7は、ビジーでないことを2回続けて検出することはできない。
【0086】
つぎに、擬似非優先ビジー信号を出力している優先チャネルch13Pは、優先ビジー信号共通線BPCを調べて、2回目のビジーでない状態を検出(c2)する。そこで優先チャネルch13Pを使用している優先デジタル・トランク・ユニットDTP13は、非優先ビジー信号B13を非優先ビジー信号共通線BCに、さらに優先ビジー信号共通線BPCに優先ビジー信号BP13を出力し(d2)、優先チャネルch13Pはマスター・クロック源となる。非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCはビジー(レベル:L)となる。
【0087】
チャネルch14P,15,0,1P〜3P,4,5はマスター・クロック候補とはなっていない。このようにして、優先チャネルch13P(を使用している優先デジタル・トランク・ユニットDTP13)は、マスター・クロック源となり、システム・タイミング制御ユニット21は、このマスター・クロック源からのマスター・クロックMCに位相同期させたサンプリング・タイミング基準信号STを作成し、各デジタル・トランク・ユニットDTに供給している。
【0088】
2回目のビジー・チェックは1回目のビジー・チェックと同じチャネルchからスタートする必要性はないが、図面上の表現および説明の便宜上から、図3においては1回目および2回目のビジー・チェック・スタートCSはともにチャネルch6からとした。
【0089】
図4は、図1の回路構成において、非優先チャネルがマスター・クロック源となっている場合の優先チャネルの作用を示すタイムチャートである。非優先チャネルch(非優先デジタル・トランク・ユニットDTが使用)がマスター・クロック源となるのは、優先チャネルch(優先デジタル・トランク・ユニットDTPが使用)が動作しておらずマスター・クロック候補となっていない場合である。
【0090】
チャネルch6の先頭でビジー・チェック・スタートCSすると、チャネルch6はマスター・クロック候補とはなっていない。つぎにチャネルch7は、すでにマスター・クロック源になっており、非優先ビジー信号共通線BCに非優先ビジー信号B7を出力している。チャネルch8P〜12は、マスター・クロック候補とはなっていない。優先チャネルch13Pはマスター・クロック候補となっている。
【0091】
優先チャネルch13P(優先デジタル・トランク・ユニットDTP13)は1回目のビジー・チェックで優先ビジー信号共通線BPCがビジーではない(レベル:H)ことを検出して(c1)、非優先ビジー信号共通線BCに擬似非優先ビジー信号を出力して(d1)レベルをLにする。チャネルch14,15,0〜5は、マスター・クロック候補ではない。
【0092】
そこで2回目のビジー・チェック・スタートCSをする。1回目と同様に、チャネルch6はマスター・クロック候補とはなっていない。チャネルch7は非優先ビジー信号共通線BCが擬似非優先ビジー信号によりビジー(レベル:L)であることを検出する。ここでチャネルch7には、非優先ビジー信号共通線BCのレベルがLであることの原因が、擬似非優先ビジー信号によるものか、それとも非優先ビジー信号によるものか、の区別はつかない。したがって、チャネルch7は、非優先ビジー信号の出力をドライブ・ストップdsする。それと同時にチャネルch7はマスター・クロック源ではなくなり、チャネルch7を使用しているデジタル・トランク・ユニットDT7は、マスター・クロック候補MCC7の出力を停止する。
【0093】
つぎに、擬似非優先ビジー信号を出力している優先チャネルch13Pは、優先ビジー信号共通線BPCを調べて、2回目のビジーでない状態を検出(c2)する。そこで優先チャネルch13Pを使用している優先デジタル・トランク・ユニットDTP13は、非優先ビジー信号B13を非優先ビジー信号共通線BCに、さらに優先ビジー信号共通線BPCに優先ビジー信号BP13を出力し(d2)、優先チャネルch13Pを使用している優先デジタル・トランク・ユニットDTP13は、マスター・クロック源となる。非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCはビジー(レベル:L)となる。
【0094】
チャネルch14P,15,0,1P〜3P,4,5はマスター・クロック候補とはなっていない。このようにして、優先チャネルch13P(を使用しているデジタル・トランク・ユニットDTP13)は、非優先チャネルch7に代わってマスター・クロック源となり、システム・タイミング制御ユニット21は、このマスター・クロック源からのマスター・クロックMCに位相同期したサンプリング・タイミング基準信号STを作成し、各デジタル・トランク・ユニットDTに供給している。
【0095】
2回目のビジー・チェックは1回目のビジー・チェックと同じチャネルchからスタートする必要性はないが、図面上の表現および説明の便宜上から、図4においては1回目および2回目のビジー・チェック・スタートCSはともにチャネルch6からとした。
【0096】
以上の説明から明らかなように、複数の優先チャネルchが存在する場合には、ビジー・チェック・スタートCS後の最初のマスター・クロック候補が、マスター・クロック源として最も選択され易くなる。そこで、ビジー・チェック・スタートCS時点を、最も望ましい(精度の高い)デジタル・トランク・ユニットDTPの使用する優先チャネルchの直前に設定するならば、そのデジタル・トランク・ユニットDTPがマスター・クロック源となる確率は、最も大きくなる。
【0097】
図5は、図1の重要な構成要素であるシステム・タイミング制御ユニット21の内部構成を示す回路構成図である。ここで、図16に対応する要素については、対応する記号を付してある。そこには、サンプリング・タイミング基準信号STを作成する作成回路と、ビジー・チェック・スタートCS時点を制御する制御部が含まれているが、この制御部に関しては、従来公知の技術であり本願発明において重要ではないのでので、図示することは省略する。
【0098】
作成回路は、フェーズ・ロック・ループ(PLL)動作をするデジタルPLL回路22を含んでいる。デジタルPLL回路22は、図16に示したデジタルPLL回路22Bよりも高い精度で位相同期できるものを使用している点が特徴である。マスター・クロックMCを印加されたデジタルPLL回路22は、マスター・クロックMCに十分な高精度で位相同期して、サンプリング・タイミング基準信号STを発生している。このサンプリング・タイミング基準信号STは、各デジタル・トランク・ユニットDT0〜nにおける動作のタイミングとして使われる基準信号である。本発明によるマスター・クロック調停装置に要求される十分な高精度で位相同期可能なデジタルPLL回路22を採用している。
【0099】
図6は、図1の重要な構成要素である優先デジタル・トランク・ユニットDTPの内部構成を示す回路構成図である。優先デジタル・トランク・ユニットDTPには、デジタル回線インタフェース31、トランク・アービタ32および優先度判別器33が含まれている。デジタル回線インタフェース31は、デジタル回線D(たとえば、INS1500)からのデジタル信号とPCM信号PCMとの間のインタフェースをし、サンプリング・タイミング基準信号STのタイミングで同期用の周期信号SYを作成している。周期信号SYの周期は、たとえば、15.625μsである。
【0100】
優先度判別器33は、優先ビジー信号BPと非優先ビジー信号Bおよびサンプリング・タイミング基準信号STを受けて、優先ビジー信号BPが優先ビジー信号共通線BPCに存在しないことを1回目のビジー・チェックで検出した場合には、非優先ビジー信号共通線BCに擬似非優先ビジー信号Bを出力し、続く2回目のビジー・チェックで検出した場合には、非優先ビジー信号Bおよび優先ビジー信号BPを、非優先ビジー信号共通線BCおよび優先ビジー信号共通線BPCに出力する。さらに、マスター・クロック候補MCCをマスター・クロックMCとして出力することを指示するための判別されたビジー信号SBを出力する。
【0101】
トランク・アービタ32は、判別されたビジー信号SBおよびサンプリング・タイミング基準信号STを受けて、周期信号SYに同期してマスター・クロック候補MCCをマスター・クロックMCとして出力する。このようにして、優先度判別器33は、優先ビジー信号BPと非優先ビジー信号Bおよび擬似非優先ビジー信号とをオン(レベル:L)にして、優先ビジー信号共通線BPCと非優先ビジー信号共通線BCに送出し、マスター・クロック源となる。
【0102】
図7および図8は、図1の重要な機能であるマスター・クロック選択機能の動作の流れを示すフローチャートである。マスター・クロック選択機能が動作を開始すると、非優先ビジー信号共通線BCを調べて、非優先ビジー信号Bが存在する場合には最先の非優先ビジー信号Bに対応するマスター・クロック候補MCCを基にしてマスター・クロックMCを選択する(S1、図7)。
【0103】
優先ビジー信号共通線BPCと非優先ビジー信号共通線BCとを調べて、優先ビジー信号BPが存在する場合には(S2Y)、優先ビジー信号BPに対応したマスター・クロック候補MCCを選択すべきか否かを調べる(S3)。選択すべきである場合は(S3Y)、優先ビジー信号BPをオンにしている優先デジタル・トランク・ユニットDTPの出力しているマスター・クロック候補MCCの有無をチェックする(S4)。
【0104】
そのマスター・クロック候補MCCが存在する場合には(S5Y)、マスター・クロック候補MCCの抽出作業に入るが、その作業が1回不成立になると(S6Y、図8)、該当する優先デジタル・トランク・ユニットDTPから、優先ビジー信号BPと非優先のビジー信号Bを出力する(S7)。つぎのマスター・クロックMCの更新時期に達すると(S8Y)、該当する優先デジタル・トランク・ユニットDTPのマスター・クロック候補MCCをマスター・クロックMCとして動作し、一連の動作を終了し(S10Y)、ステップS1の動作にもどる。
【0105】
以上の動作から明らかなように、PBXシステム中に少なくとも1つの優先デジタル・トランク・ユニットDTPが混在して動作しているならば、安定で精度の高いマスター・クロックMCを得ることができる。かりに、優先デジタル・トランク・ユニットDTPのすべてが、電源オフなどにより動作していない場合であっても、非優先デジタル・トランク・ユニットDTからマスター・クロックMCを得ることができ、従来のPBXシステムと同じ動作をすることができるから、支障を生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本願発明の実施例を示した回路構成図である。(実施例1)
【図2】図1の回路構成において、ビジーでないことを1回検出したら擬似非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に出力する場合のタイムチャートである。
【図3】図1の回路構成において、マスター・クロック源がクロック抽出不能となったときのタイムチャートである。
【図4】図1の回路構成において、非優先チャネルがマスター・クロック源となっている場合の優先チャネルの作用を示すタイムチャートである。
【図5】図1の重要な構成要素であるシステム・タイミング制御ユニットの内部構成を示す回路構成図である。
【図6】図1の重要な構成要素であるデジタル・トランク・ユニットの内部構成を示す回路構成図である。
【図7】図1の重要な機能であるマスター・クロック選択機能の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】図7とともに、図1の重要な機能であるマスター・クロック選択機能の動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】従来のマスター・クロック調停の概念を説明するためのマスター・クロック調停概念図である。
【図10】従来のマスター・クロック調停装置の回路構成図である。
【図11】図10の回路構成において、ビジーでないことを2回検出したら非優先ビジー信号を非優先ビジー信号共通線に出力する場合のタイムチャートである。
【図12】図10の回路構成において、ビジー・チェック・スタート時点とマスター・クロック源の関係を表すタイムチャートである。
【図13】図10の回路構成において、マスター・クロック源がクロック抽出不能となったときのタイムチャートである。
【図14】図10の回路構成において、特定のチャネルをマスター・クロック源として選択できない理由を示すタイムチャートである。
【図15】図10の回路構成において、マスター・クロック源のチャネルがクロック抽出不能となったときのマスター・クロック源チャネルの選択をする場合のタイムチャートである。
【図16】従来のシステム・タイミング制御ユニットの内部構成を示す回路構成図である。
【図17】従来のデジタル・トランク・ユニットの内部構成を示す回路構成図である。
【符号の説明】
【0107】
21,21B システム・タイミング制御ユニット
22 デジタルPLL回路
31 デジタル回線インタフェース
32 トランク・アービタ
33 優先度判別器
41B マスター・クロック選択機能
B 非優先ビジー信号
BC 非優先ビジー信号共通線
BP 優先ビジー信号
BPC 優先ビジー信号共通線
D デジタル回線
DT0〜n 非優先デジタル・トランク・ユニット
DTP1,2 優先デジタル・トランク・ユニット
MC マスター・クロック
MCC0〜n マスター・クロック候補
PCM PCM信号
SB 判別されたビジー信号
ST サンプリング・タイミング基準信号
SY 周期信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ定めた優先度の高い優先ビジー信号(BP1,2)を優先度の高い優先ビジー信号共通線(BPC)に接続し、優先度の高くはない非優先ビジー信号(B0,n)を非優先ビジー信号共通線(BC)に接続することができ、デジタル回線(D)よりクロック抽出した場合にマスター・クロック(MC)となり得るマスター・クロック候補(MCC)を出力可能な少なくとも1つの優先デジタル・トランク・ユニット処理(DTP1,2)をし、
優先度の高くはない非優先ビジー信号(B0,n)を前記非優先ビジー信号共通線(BC)に接続することができ、デジタル回線(D)よりクロック抽出した場合にマスター・クロック(MC)となり得るマスター・クロック候補(MCC)を出力可能な少なくとも1つの非優先デジタル・トランク・ユニット処理(DTP0,n)をし、
前記優先デジタル・トランク・ユニット処理(DTP1,2)において、
前記優先ビジー信号(BP1,2)が前記優先ビジー信号共通線(BPC)に存在しないことを1回検出した場合には(c1)、前記非優先デジタル・トランク・ユニット(DTP0,n)がマスター・クロック(MC)を出力するマスター・クロック源となることを防止するために前記非優先ビジー信号(B0,n)とは区別のつかない擬似非優先ビジー信号を前記非優先ビジー信号共通線(BC)に出力し(d1)、前記優先ビジー信号(BP)が前記優先ビジー信号共通線(BPC)に存在しないことを続けて2回検出した場合には(c2)、前記非優先ビジー信号(B0,n)を前記非優先ビジー信号共通線(BC)に出力すると同時に前記優先ビジー信号(BP)を前記優先ビジー信号共通線(BPC)に出力する(d2)ために優先度判別処理(33)をする
マスター・クロック調停方法。
【請求項2】
前記非優先デジタル・トランク・ユニット処理(DTP0,n)において、
前記擬似非優先ビジー信号を確認した場合は、前記非優先ビジー信号共通線(BC)に出力している前記非優先ビジー信号(B0〜n)の出力を停止するように擬似非優先ビジー信号動作処理をする
請求項1のマスター・クロック調停方法。
【請求項3】
前記優先度判別処理(33)において、
前記優先ビジー信号(BP)および前記非優先ビジー信号(B0,n)のそれぞれの存在の有無を判別し、その結果を判別されたビジー信号(SB)として出力する
請求項1のマスター・クロック調停方法。
【請求項4】
前記優先度判別処理(33)をし、
前記デジタル回線(D)とPCM信号(PCM)とのインタフェースをし、前記デジタル回線(D)から周期信号(SY)を抽出するデジタル回線インタフェース処理(31)をし、
前記判別されたビジー信号(SB)と前記周期信号(SY)とを受けて、前記マスター・クロック候補(MCC1,2)を前記マスター・クロック(MC)として出力するためのトランク・アービタ処理(32)をする、
請求項3のマスター・クロック調停方法。
【請求項5】
前記マスター・クロック(MC)を受けて、前記優先デジタル・トランク・ユニット処理(DTP1,2)および前記非優先デジタル・トランク・ユニット処理(DTP0,n)において必要な制御タイミングとするための前記マスター・クロック(MC)に同期したサンプリング・タイミング基準信号(ST)を供給するシステム・タイミング制御ユニット処理(21)をする
請求項1のマスター・クロック調停方法。
【請求項6】
前記システム・タイミング制御ユニット処理(21)において、
前記マスター・クロック(MC)にフェーズ・ロック・ループ(PLL)により位相同期して前記サンプリング・タイミング基準信号(ST)を作成する
請求項5のマスター・クロック調停方法。
【請求項7】
あらかじめ定めた優先度の高い優先ビジー信号(BP1,2)を優先度の高い優先ビジー信号共通線(BPC)に接続し、優先度の高くはない非優先ビジー信号(B0,n)を非優先ビジー信号共通線(BC)に接続することができ、デジタル回線(D)よりクロック抽出した場合にマスター・クロック(MC)となり得るマスター・クロック候補(MCC)を出力可能な少なくとも1つの優先デジタル・トランク・ユニット手段(DTP1,2)と、
優先度の高くはない非優先ビジー信号(B0,n)を前記非優先ビジー信号共通線(BC)に接続することができ、デジタル回線(D)よりクロック抽出した場合にマスター・クロック(MC)となり得るマスター・クロック候補(MCC)を出力可能な少なくとも1つの非優先デジタル・トランク・ユニット手段(DTP0,n)とを含み、
前記優先デジタル・トランク・ユニット手段(DTP1,2)が、
前記優先ビジー信号(BP1,2)が前記優先ビジー信号共通線(BPC)に存在しないことを1回検出した場合には(c1)、前記非優先デジタル・トランク・ユニット(DTP0,n)がマスター・クロック(MC)を出力するマスター・クロック源となることを防止するために前記非優先ビジー信号(B0,n)とは区別のつかない擬似非優先ビジー信号を前記非優先ビジー信号共通線(BC)に出力し(d1)、前記優先ビジー信号(BP)が前記優先ビジー信号共通線(BPC)に存在しないことを続けて2回検出した場合には(c2)、前記非優先ビジー信号(B0,n)を前記非優先ビジー信号共通線(BC)に出力するための優先度判別手段(33)を含んでいる
マスター・クロック調停装置。
【請求項8】
前記非優先デジタル・トランク・ユニット手段(DTP0,n)が、
前記擬似非優先ビジー信号を確認した場合は、前記非優先ビジー信号共通線(BC)に出力している前記非優先ビジー信号(B0〜n)の出力を停止するように擬似非優先ビジー信号動作をする
請求項7のマスター・クロック調停装置。
【請求項9】
前記優先度判別手段(33)が、
前記優先ビジー信号(BP)および前記非優先ビジー信号(B0,n)のそれぞれの存在の有無を判別し、その結果を判別されたビジー信号(SB)として出力する
請求項7のマスター・クロック調停装置。
【請求項10】
前記優先度判別手段(33)が、
前記デジタル回線(D)とPCM信号(PCM)とのインタフェースをし、前記デジタル回線(D)から周期信号(SY)を抽出するデジタル回線インタフェース手段(31)と、
前記判別されたビジー信号(SB)と前記周期信号(SY)とを受けて、前記マスター・クロック候補(MCC1,2)を前記マスター・クロック(MC)として出力するためのトランク・アービタ手段(32)とを含んでいる
請求項9のマスター・クロック調停装置。
【請求項11】
前記マスター・クロック(MC)を受けて、前記優先デジタル・トランク・ユニット手段(DTP1,2)および前記非優先デジタル・トランク・ユニット手段(DTP0,n)において必要な制御タイミングとするための前記マスター・クロック(MC)に同期したサンプリング・タイミング基準信号(ST)を供給するシステム・タイミング制御ユニット手段(21)を含んでいる
請求項7のマスター・クロック調停装置。
【請求項12】
前記システム・タイミング制御ユニット手段(21)が、
前記マスター・クロック(MC)にフェーズ・ロック・ループ(PLL)により位相同期して前記サンプリング・タイミング基準信号(ST)を作成する
請求項11のマスター・クロック調停装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−16992(P2009−16992A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173920(P2007−173920)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】