説明

マスフローコントローラ

【課題】マスフローコントローラの流量制御バルブのより長期間の使用を可能にするとともに、流量設定値を減少させた場合に実流量をより正確に制御可能にする。
【解決手段】流量センサ部2と、その流量センサ部2の上流側または下流側に設けた流量制御バルブ3と、流量測定値と流量設定値との偏差に少なくとも比例演算を施して流量制御バルブ3へのフィードバック制御値を算出する算出部6と、フィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、流量制御バルブ3に出力する開度制御信号出力部7とを備えており、前記比例演算における偏差に乗算するゲイン値を、流量設定値を所定量以上減少させた時点から所定期間である減少変化期間において、減少前の設定流量値と減少後の設定流量値との変化分を用いて得られる演算値が小さくなれば大きな値が算出される関数を用いて算出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガスや液体などの流体の流量を制御するマスフローコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体の製造に用いられる各種ガス等を半導体製造装置に供給する場合、それらの供給流路にマスフローコントローラをそれぞれ設け、これによってガス流量をそれぞれ調節するようにしている。
【0003】
前記マスフローコントローラにおける流量制御方式としては、PID制御が基本であるが、例えば、特許文献1に示すように、PID制御にバリエーションを施したフィードバック制御を行うようにしたものも知られている。具体的に前記特許文献1に示すものは、偏差にPID演算を施し、その演算結果に、流量設定値が小さくなるほど値が大きくなるような関数を乗算して、フィードバック制御値を算出するようにしたものである。
【0004】
この制御方式で最適な制御が可能であるものの、より高精度の制御を追求する場合には、以下のおそれがある。つまり、特許文献1に示す制御方式のマスフローコントローラでは、流量設定値を例えば100%から2%等の所望の流量設定値に減少させた場合(立ち下がり時)には以下のおそれがある。つまり、立ち下がり時における流量設定値変化後においては、図5に示すように、マスフローコントローラの流量制御バルブのバルブ印加電圧や、マスフローコントローラにより制御される実流量が目標値を超えた値になるおそれがある。またバルブ印加電圧が目標値を超えることにより流量制御バルブに余計に力がかかり、バルブの劣化を早めてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−280689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、マスフローコントローラの流量制御バルブのより長期間の使用を可能にするとともに、流量設定値を減少させた場合に実流量をより正確に制御可能なマスフローコントローラを提供することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係るマスフローコントローラは、流路内を流れる流体の流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサ部と、その流量センサ部の上流側または下流側に設けた流量制御バルブと、前記流量測定信号の示す流量測定値と目標値である流量設定値との偏差に少なくとも比例演算を施して流量制御バルブへのフィードバック制御値を算出する算出部と、前記フィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、流量制御バルブに出力する開度制御信号出力部とを備えたものであって、前記比例演算における偏差に乗算するゲイン値として、前記流量設定値を所定の関数に代入して得られる値を用いるとともに、前記流量設定値を所定量以上減少させた時点から所定期間である減少変化期間において、前記所定の関数が、減少前の設定流量値と減少後の設定流量値との変化分を用いて得られる演算値が代入され、当該演算値が小さくなれば大きな値が算出されるものであることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、減少前の設定流量値と減少後の設定流量値との変化分を用いて得られる演算値が小さくなれば大きな値が算出される関数を用いてゲイン値を算出しているので、減少変化期間において、実流量を正確に制御することができる。また、上記の関数を用いることによって、減少変化期間にバルブ印加電圧が目標値を超えることを防止することができ、流量制御バルブに余計な力がかかることを防ぎ、流量制御バルブの長期間使用が可能となる。
【0009】
前記流量設定値を所定量以上増加させた時点から所定期間である増加変化期間において、前記増加変化期間に用いられる前記所定の関数が、代入される流量設定値が小さくなれば大きな値が算出されるものであることが望ましい。これならば、増加変化期間と減少変化期間とで制御を切り換えているので、増加変化期間の流量変動特性及び減少変化期間の流量変動特性に合った最適な流量制御を行うことができる。したがって、増加変化期間及び減少変化期間のいずれにおいても、変化後の流量設定値に実流量を非常に早く追従させることができ、流量安定性を向上させることができる。
【0010】
ここで増加変化期間又は減少変化期間は常に一定であってもよいし、制御安定性を向上させるために状況によって継続時間を変動させてもよい。その一例としては、前記増加変化期間又は前記減少変化期間を、流量測定値と流量設定値との偏差が一定の範囲内に収束した時点で終了するようにしたものが挙げられる。
【0011】
また本発明に係る流量制御プログラムは、流路内を流れる流体の流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサ部と、その流量センサ部の上流側または下流側に設けた流量制御バルブとを備えたマスフローコントローラに用いられる流量制御プログラムであって、前記流量測定信号の示す流量測定値と目標値である流量設定値との偏差に少なくとも比例演算を施して流量制御バルブへのフィードバック制御値を算出する算出部と、前記フィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、流量制御バルブに出力する開度制御信号出力部と、としての機能をコンピュータに備えさせるものであり、前記算出部が、前記比例演算における偏差に乗算するゲイン値として、前記流量設定値を所定の関数に代入して得られる値を用いるとともに、前記流量設定値を所定量以上減少させた時点から所定期間である減少変化期間において、前記所定の関数が、減少前の設定流量値と減少後の設定流量値との変化分を用いて得られる演算値が代入され、当該演算値が小さくなれば大きな値が算出されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように構成した本発明によれば、マスフローコントローラの流量制御バルブのより長期間の使用を可能にするとともに、流量設定値を減少させた場合に実流量をより正確に制御可能なマスフローコントローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る流量計測システムの模式的構成図。
【図2】同実施形態に係るマスフローコントローラを用いた流量制御システムの構成例。
【図3】同実施形態における制御部の機能ブロック図。
【図4】同実施形態における制御フローチャート。
【図5】従来の立ち下がり時におけるバルブ印加電圧及び実流量の変化を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る流量計測システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
<装置構成>
本実施形態に係るマスフローコントローラ100は、図1に模式図を示すように、内部流路1と、その内部流路1内を流れる流体Fの流量を測定する流量センサ部2と、その流量センサ部2の例えば下流側に設けた流量制御バルブ3と、制御部4とを備えているもので、例えば図2に示すように、半導体プロセスにおけるチャンバへのガス供給システムに用いられる。
【0016】
各部を説明すると、内部流路1は、上流端を導入ポートP1、下流端を導出ポートP2としてそれぞれ開口するもので、例えば、導入ポートP1には、外部配管を介してボンベ等の流体供給源Bが接続され、導出ポートP2には、外部配管を介して、半導体製造のためのチャンバ(図示しない)が接続されている。なお、この実施形態では、同図に示すように、1つの流体供給源Bから配管を複数分岐させ、各配管にそれぞれマスフローコントローラ100を設けるようにしている。また、圧力レギュレータPRは、流体供給源Bの出口にのみ設けてあり、各配管それぞれには、マスフローコントローラ100用の圧力レギュレータは設けられていない。なお符号FVは空圧弁である
【0017】
流量センサ部2は、詳細は図示しないが、例えば、流路1に設けられた一対の感熱センサ(サーマルセンサ)を備えたものであって、流体Fの瞬時流量がこの感熱センサによって電気信号として検出され、内部電気回路によってその電気信号が増幅等されて、検出流量に応じた値を有する流量測定信号として出力されるようにしたものである。
【0018】
流量制御バルブ3は、やはり詳細は図示しないが、例えば、その弁開度をピエゾ素子よりなるアクチュエータによって変化させ得るように構成したものであって、外部からの電気信号である開度制御信号を与えられることによって前記アクチュエータを駆動し、その開度制御信号の値に応じた弁開度に調整して流体Fの流量を制御するものである。
【0019】
制御部4は、CPUやメモリ、A/D変換器、D/A変換器等を有したデジタル乃至アナログ電気回路で構成されたもので、専用のものであってもよいし、一部又は全部にパソコン等の汎用コンピュータを利用するようにしたものであってもよい。また、CPUを用いず、アナログ回路のみで前記各部としての機能を果たすように構成してもよいし、物理的に一体である必要はなく、有線乃至無線によって互いに接続された複数の機器からなるものであってもよい。
【0020】
そして前記メモリに所定のプログラムを格納し、そのプログラムにしたがってCPUやその周辺機器を協働動作させることによって、この制御部4が、図3に示すように、信号受信部5、算出部6、開度制御信号出力部7及び流量出力部8としての機能を少なくとも発揮するように構成している。
【0021】
信号受信部5は、流量センサ部2から送信されてくる流量測定信号、別コンピュータ等から入力される流量設定信号等を受信し、それらの値を例えばメモリ内の所定領域に格納するものである。
【0022】
算出部6は、前記流量測定信号の示す流量測定値を取得するとともに、その流量測定値と目標値、すなわち前記流量設定信号が示す流量設定値との偏差を算出する偏差算出部61と、その偏差に少なくとも比例演算(本実施形態ではPID演算)を施して流量制御バルブ3へのフィードバック制御値を算出する制御値算出部62と、を備えたものである。
【0023】
開度制御信号出力部7は、前記フィードバック制御値に基づく値を有する開度制御信号を生成し、その開度制御信号を流量制御バルブ3に出力するものである。
【0024】
流量出力部8は、前記流量測定値に所定の演算を施して流量表示値を算出し、その流量表示値を値として有する流量表示信号(アナログ又はデジタル信号)を、外部での利用が可能なように出力するものである。
【0025】
しかして、この実施形態では、制御値算出部62が、PID演算における偏差に乗算されるゲイン値として、前記流量設定値を所定量以上増加させた時点から一定期間である増加変化期間(例えば2秒程度)と、前記流量設定値を所定量以上減少させた時点から一定期間である減少変化期間(例えば2秒程度)とで互いに異ならせるようにしている。
【0026】
具体的に制御値算出部は、PID演算における偏差に乗算するゲイン値として、前記流量設定値を所定の関数に代入して得られる値を用いるとともに、その関数を、前記増加変化期間と前記減少変化期間とにおいて、前記関数に互いに異なるものを用いるようにしている。さらに制御値算出部は、PID演算における偏差に乗算されるゲイン値として、前記増加変化期間及び前記減少変化期間以外の期間である安定期間において用いる関数を、前記増加変化期間及び前記減少変化期間の関数と異ならせるようにしている。
【0027】
増加変化期間で用いられる関数(以下、区別するときは、第1の関数ともいう)は、代入される流量設定値が小さくなれば大きな値が算出されるものであり、ここでは例えば以下の式(1)で表される。
【0028】
(S)=(100+a)/(a+S)・・・(1)
【0029】
ここでSは増加後の流量設定値(フルスケールに対する%値)、aは調整係数である。
【0030】
減少変化期間で用いられる関数(以下、区別するときは、第2の関数ともいう)は、減少前の設定流量値と減少後の設定流量値との差分を用いて得られる演算値が代入され、当該演算値が小さくなれば大きな値が算出されるものであり、ここでは例えば以下の式(2)で表される。
【0031】
(S)=(100+a)/(a+S)・・・(2)
【0032】
ここで、S=(S−Sn−1)×K+Sn−1、aは調整係数である。
【0033】
また、Sは減少後の設定流量値(フルスケールに対する%値)、Snは今回計算された演算値、Sn−1は前回計算された演算値、Kは任意の係数である。
【0034】
安定期間で用いられる関数(以下、区別するときは、第3の関数ともいう)は、代入される流量設定値が小さくなれば小さな値が算出されるものであり、ここでは例えば以下の式(3)で表される。
【0035】
(S)=S・a+D・・・(3)
【0036】
ここで、aは調整係数、Dはオフセット定数である。
【0037】
次に上記構成のマスフローコントローラ100の作動について制御部4を中心に図4のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
信号受信部5は、流路センサ部2から常時出力されている流量測定信号と、専用の入力手段や他のコンピュータから出力されている流量設定信号とを受信し、一定間隔でサンプリングしている(ステップS1)。
【0039】
そこで、もし流量設定値が所定量以上変化した場合には、信号受信部5はその時点から一定期間(約2秒間)は変化期間と判断して、ステップS2に進み、それ以外の期間は安定期間と判断してステップS9に進む。
【0040】
変化期間と判断した場合は、さらに流量設定値の所定量以上の変化が増加であるか、又は減少であるかを判断して、増加である場合には増加変化期間と判断してステップS3に進み、減少である場合には減少変化期間と判断してステップS6に進む。
【0041】
増加変化期間と判断した場合は、偏差算出部61が、信号受信部5で受信された流量測定信号の値(流量測定値)と前記流量設定信号の値である流量設定値との差、すなわち偏差εを算出する(ステップS3)。
【0042】
そして制御値算出部62が、その偏差にPID演算を施して流量制御バルブ3へのフィードバック制御値を算出する。このとき、PID演算における偏差εに乗算されるゲイン値として、前記流量設定値を前記第1の関数に代入して得られる値を用いる(ステップS4)。
【0043】
次に、開度制御信号出力部7が、そのフィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、その開度制御信号を流量制御バルブ3に出力し、その弁開度を変えて流量調整を行う(ステップS5)。
【0044】
一方、減少変化期間と判断した場合は、偏差算出部61が、信号受信部5で受信された流量測定信号の値(流量測定値)と前記流量設定信号の値である流量設定値との差、すなわち偏差εを算出する(ステップS6)。
【0045】
そして制御値算出部62が、その偏差にPID演算を施して流量制御バルブ3へのフィードバック制御値を算出する。このとき、PID演算における偏差εに乗算されるゲイン値として、前記流量設定値を前記第2の関数に代入して得られる値を用いる(ステップS7)。
【0046】
次に、開度制御信号出力部7が、ステップS5同様、そのフィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、その開度制御信号を流量制御バルブ3に出力し、その弁開度を変えて流量調整を行う(ステップS8)。
【0047】
また、安定期間と判断した場合は、ステップS3、S6同様、偏差算出部61が、信号受信部5で受信された流量測定信号の値(流量測定値)と前記流量設定信号の値である流量設定値との差、すなわち偏差εを算出する(ステップS9)。
【0048】
そして制御値算出部62が、その偏差εにPID演算を施して流量制御バルブ3へのフィードバック制御値を算出する。このとき比例演算における偏差εに乗算されるゲイン値として、前記流量設定値を前記第3の関数に代入して得られる値を用いる(ステップS10)。
【0049】
このようにしてフィードバック制御値が算出されると、ステップS5、S8同様、開度制御信号出力部7が、そのフィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、その開度制御信号を流量制御バルブ3に出力し、その弁開度を変えて流量調整を行う(ステップS11)。
【0050】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態のマスフローコントローラ100によれば、安定期間と増加変化期間と減少変化期間とで制御を切り替えているので、流量設定値が変化する変化期間では、その変化後の流量設定値に実流量を非常に速く追随させることができ、流量設定値がほとんど変化しない安定期間では、一次側の圧力(マスフローコントローラ100の上流側の圧力)の変動などの外乱が生じても、それに対する過敏反応を抑えて実流量の安定化を図ることができる。また、増加変化期間と減少変化期間とで制御を切り換えているので、増加変化期間の流量変動特性及び減少変化期間の流量変動特性に合った最適な流量制御を行うことができる。したがって、増加変化期間及び減少変化期間のいずれにおいても、変化後の流量設定値に実流量を非常に早く追従させることができ、流量安定性を向上させることができる。特に、本実施形態のマスフローコントローラ100によれば、減少前の設定流量値と減少後の設定流量値との変化分を用いて得られる演算値が小さくなれば大きな値が算出される関数を用いてゲイン値を算出しているので、減少変化期間において、実流量をより正確に制御することができる。また、上記の関数を用いることによって、減少変化期間にバルブ印加電圧が目標値を超えることを防止することができ、流量制御バルブに余計な力がかかることを防ぎ、流量制御バルブのより長期間の使用が可能となる。
【0051】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0052】
例えば変化期間は常に一定でなくともよく、変化期間の終了を、タイマー以外の何らかトリガによって行っても良い。その一例としては、前記変化期間を、流量測定値と流量設定値との偏差が一定の範囲内に収束した時点で終了するようにしたものが挙げられる。
【0053】
また、増加変化期間及び減少変化期間をそれぞれ一定とした場合においても、それらを同一にする必要はなく、互いに異なるようにしても良い。
【0054】
さらに、また各期間において用いられる関数は、各期間において変動しない一定のものであってもよいし、変動するものであっても良い。
【0055】
例えば、前記変化期間において用いられる関数(第1の関数)が、時間経過とともに、徐々に(段階的ないし連続的に)変化するように構成したものが考えられる。この場合、変化期間から安定期間に切り替わる際の、第1の関数の値と第2の関数の値とがほぼ同じとなるようにする、すなわち切り替わり時の制御係数(ゲイン値)がほぼ同じとなるように構成すれば、切り替わり時の制御係数の変動による制御不安定要素を払拭することができる。
【0056】
その上、前記実施形態の第2の関数に代入するSは、S=(S−Sn−1)×K+Sn−1で得られる演算値の他に、移動平均によって得られる演算値を代入するようにしても良い。その他、第1の関数の調整係数aと第2の関数の調整係数aとを異ならせることによって、増加変化期間のゲイン値と減少変化期間のゲイン値とを互いに異ならせるようにしても良い。
【0057】
加えて、制御バルブを流量センサ部2の上流側に設けてもよいし、流量センサ部2は、前記サーマルセンサに限られるものではなく、差圧式センサなど他の流量測定方式のものであってもよい。
【0058】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
100・・・マスフローコントローラ
1 ・・・流路(内部流路)
2 ・・・流量センサ部
3 ・・・流量制御バルブ
6 ・・・算出部
7 ・・・開度制御信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内を流れる流体の流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサ部と、その流量センサ部の上流側または下流側に設けた流量制御バルブと、前記流量測定信号の示す流量測定値と目標値である流量設定値との偏差に少なくとも比例演算を施して流量制御バルブへのフィードバック制御値を算出する算出部と、前記フィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、流量制御バルブに出力する開度制御信号出力部とを備えたものであって、
前記比例演算における偏差に乗算するゲイン値として、前記流量設定値を所定の関数に代入して得られる値を用いるとともに、
前記流量設定値を所定量以上減少させた時点から所定期間である減少変化期間において、前記所定の関数が、減少前の設定流量値と減少後の設定流量値との変化分を用いて得られる演算値が代入され、当該演算値が小さくなれば大きな値が算出されるものであることを特徴とするマスフローコントローラ。
【請求項2】
前記流量設定値を所定量以上増加させた時点から所定期間である増加変化期間において、前記増加変化期間に用いられる前記所定の関数が、代入される流量設定値が小さくなれば大きな値が算出されるものである請求項1記載のマスフローコントローラ。
【請求項3】
前記増加変化期間又は前記減少変化期間を、流量測定値及び流量設定値との偏差が一定の範囲内に収束した時点で終了するようにしている請求項1又は2記載のマスフローコントローラ。
【請求項4】
流路内を流れる流体の流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサ部と、その流量センサ部の上流側または下流側に設けた流量制御バルブとを備えたマスフローコントローラに用いられる流量制御プログラムであって、
前記流量測定信号の示す流量測定値と目標値である流量設定値との偏差に少なくとも比例演算を施して流量制御バルブへのフィードバック制御値を算出する算出部と、前記フィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、流量制御バルブに出力する開度制御信号出力部と、としての機能をコンピュータに備えさせるものであり、
前記算出部が、前記比例演算における偏差に乗算するゲイン値として、前記流量設定値を所定の関数に代入して得られる値を用いるとともに、
前記流量設定値を所定量以上減少させた時点から所定期間である減少変化期間において、前記所定の関数が、減少前の設定流量値と減少後の設定流量値との変化分を用いて得られる演算値が代入され、当該演算値が小さくなれば大きな値が算出されるものであることを特徴とする流量制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−103812(P2012−103812A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250208(P2010−250208)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】