説明

マッサージャー

【課題】マッサージ手段の位置を検知する検知手段をケーシング等の接触や衝突から、保護することができるマッサージャーを提供する。
【解決手段】被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段34と、該マッサージ手段を患部に沿って移動させる移動手段101と、を具えるマッサージャーにおいて、マッサージ手段の移行路に沿って延びるように突設された案内条103を有し、マッサージ手段には、マッサージ手段と一体に移動可能であり、前記案内条を跨ぐ、凹部110を有するスライダー105を具え、案内条又はスライダーの一方に検知手段102、他方に該検知手段により検知可能な被検知手段104を具え、検知手段が被検知手段を検知することでマッサージ手段の位置を検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の患部にマッサージを施すマッサージャーに関するものであり、具体的には、被施療者の患部に沿って移動して、マッサージを施すマッサージ手段の移動範囲を検知することのできるマッサージャーに関するものであり、また、被施療者の患部と接触する部分に保護シートを取り付けたマッサージャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段を患部に沿って往復移動可能に具えたマッサージャーが知られている。この種のマッサージャーでは、マッサージ手段の移行路に接近して検知手段を配備し、マッサージ手段の位置や移動範囲の限界を検知するようにしている(例えば特許文献1の段落0008、特許文献2の段落0025参照)。
【0003】
また、一般にマッサージャーのケーシングやマッサージ手段が、患部に直接当たることを防ぎ、マッサージ時の快適性を高めるために、布等の保護シートが張設されている。保護シートは、ケーシングに専用の取付フックを別途突設し、保護シートを取付フックに引っ掛けたり、ケーシングにネジ孔を別途形成して、ネジ止め等することで、ケーシングに取り付けられている(例えば特許文献3の図3参照)。特許文献3では、保護シートの端部をケーシングに形成された爪片に引っ掛けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−161437号公報
【特許文献2】特開2000−167021号公報
【特許文献3】特開2005−279146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マッサージ手段がマッサージ中に患部から受ける応力やケーシング等のバラツキ、ガタ、経年劣化等により、マッサージ手段の移行路にずれが生じることがあった。その結果、検知手段が、マッサージ手段やケーシング等と接触して損傷することがあり、マッサージ手段の正確な位置等を検知できなくなる虞がある。
【0006】
また、保護シートは、マッサージ手段の出没や移動により、弛みや引張りを繰り返すから、ケーシングから外れ易い。また、ケーシングに別途取付フックを設けたり、ネジ孔を形成することは、コスト増に繋がり、又、保護シートの取付けに手間がかかる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、マッサージ手段の位置を検知する検知手段を、ケーシング等の接触や衝突から、保護することができるマッサージャーを提供することである。また、本発明の目的は、本体ケーシングの組立てと共に保護シートを取り付けることができるマッサージャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージャーは、
被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段と、
マッサージ手段を患部に沿って移動させる移動手段と、を具えるマッサージャーにおいて、
マッサージ手段の移行路に沿って延びるように突設された案内条を有し、
マッサージ手段には、マッサージ手段と一体に移動可能であり、前記案内条を跨ぐ、凹部を有するスライダーを具え、
案内条又はスライダーの一方に検知手段、他方に該検知手段により検知可能な被検知手段を具え、検知手段が被検知手段を検知することでマッサージ手段の位置を検出するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明のマッサージャーは、
被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段と
該マッサージ手段が配備され、被施療者の患部を収容する凹部を具えた第1ケーシング半体と、
該第1ケーシング半体と係合する第2ケーシング半体と、
少なくとも前記凹部を覆うように張設された保護シートと、を具えたマッサージャーであって、
第1ケーシング半体と第2ケーシング半体は、互いに連結可能な第1係合部と第2係合部を有し、
前記保護シートは、第1係合部及び/又は第2係合部に嵌まる係合孔を有し、第1係合部と第2係合部を連結する際に、保護シートは係合孔を第1係合部及び/又は第2係合部に嵌めることで取り付けられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマッサージャーによれば、マッサージ手段を移動させると、スライダーは、凹部が案内条に跨った状態で移動するから、スライダーの移行路から案内条が外れることはない。
従って、案内条又はスライダーに配備された検知手段が、他方に配備された被検知手段と衝突等することを防止できる。
特に、マッサージ手段がマッサージ中に患部から受ける応力やケーシング等のバラツキ、ガタ、経年劣化等により、変形や歪みなどがあった場合でも、検知手段を保護することができ、正確なマッサージ手段の位置検知を行うことができる。
【0011】
また、本発明のマッサージャーによれば、第1ケーシング半体の第1係合部と第2ケーシング半体の第2係合部を連結する際に、これら係合部に保護シートの係合孔を嵌めることで、保護シートを同時に取り付けることができる。
従って、保護シートを取り付けるために別途取付用フックやネジ孔等を設ける必要がない。
さらに、ケーシングの組立てと保護シートの取付けを同時に行うことができるから、作業工程の簡略化を図ることができる。
加えて、ケーシング半体どうしの係合部に保護シートを取り付けることで、使用時に保護シートは外れてしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用したマッサージャーを斜め前方から見た斜視図である。
【図2】保護シートを外した状態のマッサージャーを斜め前方から見た斜視図である。
【図3】図2のマッサージャーの側面図である。
【図4】図2のマッサージャーの背面図である。
【図5】図1の線A―Aに沿うマッサージャーの断面図である。
【図6】本体ユニットの第2ケーシング半体を取り外して斜め側からみた斜視図である。
【図7】足裏用マッサージ手段の背面図である。
【図8】図7の足裏用マッサージ手段を、指圧子を含む面で切断して示す断面図である。
【図9】足裏用マッサージ手段を斜め前方から見た斜視図である。
【図10】案内条に沿う足裏用マッサージ手段の側面図である。
【図11】案内条とスライダーの拡大図である。
【図12】第1係合部に保護シートを装着した第1ケーシング半体を背面下方から見た斜視図である。
【図13】本体ケーシングの拡大断面図である。
【図14】保護シートの平面図である。
【図15】第1係合部と保護シートの係合状態を示す平面図である。
【図16】図16(a)乃至図16(d)は、本体ケーシングと保護シートの係合状態を拡大して示す断面図である。
【図17】本発明のフットマッサージャーの制御ブロックである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を被施療者の脚部をマッサージするマッサージャーに適用した例について説明するが、本発明は脚部用のマッサージャーに限定されるものではなく、例えば、被施療者の上半身や腕などにマッサージを施すマッサージャーにも適用できる。
【0014】
図1乃至図4は、本発明を適用することのできるマッサージャー(10)の一例を示している。図1は、マッサージャー(10)の被施療者の患部の当たる部分に保護シート(203)を取り付けた状態、図2乃至図4は、保護シート(203)を外した状態のマッサージャー(10)を示している。
【0015】
マッサージャー(10)は、床面に載置されるベース(11)に被施療者の足先とふくらはぎをマッサージする本体ユニット(20)をリクライニング可能に搭載し、該本体ユニット(20)の上端にサブユニット(40)を揺動可能に支持したものである。サブユニット(40)は、図1に示すように本体ユニット(20)に近接した状態で被施療者の膝関節の周囲及び/又はふくらはぎの上部をマッサージし、連結機構(16)により本体ユニット(20)に揺動可能に配備され、本体ユニット(20)に対して後方に揺動させることで、被施療者の大腿をマッサージすることができる。
【0016】
本発明において、脚部とは、被施療者の下肢全体を意味し、大腿とは脚部の膝よりも上の部分、膝関節とは膝の屈折部分及びその周辺、ふくらはぎとは膝と足首の間であって、脛の裏側部分、足先とはくるぶしよりも下の部分を意味する。
【0017】
ベース(11)は、内部中空の樹脂製のベースケーシング(12)から形成され、上部にて本体ユニット(20)を支持し、下面にて安定してマッサージャー(10)を床面に載置する。ベースケーシング(12)の内部には、図17に示すように、エアポンプ(14)、制御手段(60)、商業電源へ接続するための電源ユニット(図示せず)、電磁バルブ(31a)等が収容される。
【0018】
ベース(11)には、本体ユニット(20)のリクライニング機構(72)が配備されている。リクライニング機構(72)として、図4に示すように、ベースケーシング(12)の上面左右に形成された円弧状のベース側ガイド(73)と、該ベース側ガイド(73)の後方端に配備されたベース側ローラ(74)を有する。
又、図4に示すように、本体ユニット(20)には、円弧状のユニット側ガイド(76)と図示省略する本体ユニット側ローラを有しており、本体ユニット側ガイド(76)に、前記ベース側ローラ(74)が嵌まり、前記ベース側ガイド(73)に本体ユニット側ローラが嵌まっている。
本体ユニット(20)を後方に向けて傾けると、ベース側ガイド(73)を本体ユニット側ローラが転動し、本体ユニット側ガイド(76)をベース側ローラ(74)が転動することで、本体ユニット(20)は、ベース(11)に対してリクライニングする。
【0019】
本体ユニット(20)は、内部中空の樹脂製の本体ケーシング(21)を有している。本体ユニット(20)には、被施療者の足先及び/又はふくらはぎをマッサージする本体マッサージ手段(30)が配備される。本体ケーシング(21)は、上述の如く、ベース(11)に対してリクライニング可能に配備することもできるし、固定して配備することもできる。
【0020】
本体ケーシング(21)は、前方側の第1ケーシング半体(201)と後方側の第2ケーシング半体(202)を連結することにより構成することができる。第1ケーシング半体(201)は、被施療者の足先及びふくらはぎが挿入可能な左右一対の凹部(22)(22)を有し、該凹部(22)(22)には、被施療者の足裏をマッサージする足裏用マッサージ手段(34)が臨出可能な開口(204)を具える。
【0021】
また、第1ケーシング半体(201)には、本体マッサージ手段(30)が、被施療者の患部に直接接触することを防ぐと共に、第1ケーシング半体(201)に直接患部が当接し、冷たさ、硬さなどの不快感を感じないように、保護シート(203)が張設されている。また、保護シート(203)は、第1ケーシング半体(201)の開口(204)を塞ぐように取り付けられる。なお、保護シート(203)の取付方法の詳細については、後述する。
【0022】
本体ケーシング(21)は、図1乃至図3に示すように、下側が前方に向けて突出し、後側が上向きに突出している。
本体ケーシング(21)には、図1及び図2に示すように被施療者の足先及びふくらはぎを挿入する左右一体の凹部(22)(22)が形成されている。凹部(22)(22)は、図1及び図2に示すように、本体ケーシング(21)がベース(11)に対してほぼ垂直に立設した状態で、底面(23)が床面とほぼ平行となり、底面(23)の後端から上方に向けてほぼ垂直に後面(24)を有し、底面(23)と後面(24)の側部を結ぶように内側面(25)と外側面(26)を有しており、前方及び上方が開口した形状を例示できる。
【0023】
本体ユニット(20)に被施療者が足を挿入したときに、凹部(22)(22)の底面(23)(23)には、被施療者の足裏が当接し、凹部(22)(22)の後面(24)(24)にはふくらはぎが当接し、内側面(25)(25)及び外側面(26)(26)には、ふくらはぎの内側及び外側が夫々当接又は近接する。
【0024】
本体ユニット(20)には、凹部(22)(22)に本体マッサージ手段(30)が配備される。本体マッサージ手段(30)として、ふくらはぎ用の内側エアバッグ(32)、外側エアバッグ(33)、ふくらはぎ用後面エアバッグ(31)を例示できる。さらに本体ユニット(20)には、足裏をマッサージする足裏用マッサージ手段(34)が配備されている。なお、足裏用マッサージ手段(34)については後述する。
【0025】
図5に示すように、ふくらはぎ用内側エアバッグ(32)は、前記凹部(22)の内側面(25)に配備され、ふくらはぎ用外側エアバッグ(33)は、凹部(22)の外側面(26)に配備される。また、ふくらはぎ用後面エアバッグ(31)は、凹部(22)の後面(24)に配備される。各エアバッグ(31)(32)(33)は、電磁バルブ(31a)(32a)(33a)(図17参照)を介してエアポンプ(14)に連繋されている。
【0026】
エアバッグ(31)(32)(33)は、ベースケーシング(12)に収容されたエアポンプ(14)からバルブ(31a)(32a)(33a)を介して圧縮空気が送給され、膨張、収縮可能となっている。バルブ(31a)(32a)(33a)は制御手段(60)により動作を制御される。
【0027】
サブユニット(40)は、本体ユニット(20)の上端に連結機構(16)を介して揺動可能に接続されており、左右一対の凹部(42)(42)の内面に複数のサブマッサージ手段(50)(50)が配備される。サブマッサージ手段(50)として、図2に示すように、凹部(42)に配備されるサブユニット用側面エアバッグ(51)(51)を例示することができる。サブユニット用側面エアバッグ(51)(51)は、同期して膨張、収縮可能となるように1個のバルブ(51a)(図17参照)を介してエアポンプ(14)に接続することができる。バルブ(51a)は、制御手段(60)により動作を制御される。
【0028】
サブユニット(40)には、図1及び図2に示すように、被施療者がマッサージャー(10)を操作するための操作部(65)及びマッサージャー(10)の動作状況をLED等により視認できるようにした表示部(66)を有している。操作部(65)及び表示部(66)は、制御手段(60)に電気的に接続されている(図17参照)。
【0029】
<足裏用マッサージ手段>
足裏用マッサージ手段(34)は、本体ユニット(20)の凹部(22)の底面(23)の下方に配備される。足裏用マッサージ手段(34)は、図5乃至図10に示すように被施療者の足裏をマッサージする指圧子(106)を有し、該指圧子(106)は、凹部(22)の底面(23)に開設された前後方向に長い開口(204)から臨出可能となっている。
【0030】
指圧子(106)は、基端側に配備された足裏用エアバッグ(107)に連結されており、足裏用エアバッグ(107)の膨張、収縮により開口(204)より出没可能となっている。足裏用エアバッグ(107)は、電磁バルブ(35a)を介してエアポンプ(14)に連繋される。バルブ(35a)は制御手段(60)により動作を制御される。
【0031】
足裏用エアバッグ(107)及び指圧子(106)は、図7乃至図10に示すようにケーシング(108)に収容されており、該ケーシング(108)の上面に形成された孔(109)から指圧子(106)が突出している。
ケーシング(108)は、移動手段(101)に連繋されており、凹部(22)の底面(23)に沿って移動可能となっている。
【0032】
図7及び図8に示すように、移動手段(101)は、駆動源となるモータ(36)と、プーリ(111)、ベルト(115)及びプーリ(112)からなる減速機構を有し、プーリ(112)には、凹部(22)の底面(23)の長手方向に沿って延びるネジ軸(113)が連結されている。
ネジ軸(113)には、前記ケーシング(108)の略中央に形成されたナット部材(114)が噛合している。
【0033】
上記構成の足裏用マッサージ手段(34)は、モータ(36)を正転又は逆転させることで、ネジ軸(113)が回転し、ネジ推力によりナット部材(114)がネジ軸(113)上をスライドする結果、ケーシング(108)が凹部(22)の底面(23)に沿って前後に移動する。
このとき、足裏用エアバッグ(107)を膨張、収縮又は膨張させておくことで指圧子(106)が、凹部底面(23)の開口(204)より出没又は突出した状態で移動し、被施療者の足裏に押圧や指圧の如きマッサージを施すことができる。
【0034】
モータ(36)は、図17に示すように、制御手段(60)と該制御手段(60)に電気的に接続されたモータ駆動回路(61)を介して制御することができる。
【0035】
制御手段(60)は、足裏用マッサージ手段(34)、具体的には指圧子(106)が収容されたケーシング(108)の位置を検出し、その移動範囲を制限するよう、モータ(36)を制御するために、制御手段(60)と電気的に接続された検知手段(102)を具える。
【0036】
足裏用マッサージ手段(34)の位置を検知する検知手段は、検知手段(102)から検知される被検知手段(104)から構成することができる。検知手段(102)として、光素子及び受光素子、マグネットセンサを例示できる。
検知手段(102)に光素子及び受光素子を用いた場合、光被検知手段(104)として、透光部を有する遮蔽板を例示できる。
また、検知手段(102)としてマグネットセンサを用いた場合、被検知手段(104)としてマグネットを例示できる。
【0037】
いずれの場合においても、検知手段(102)は、上記の如く制御手段(60)に電気的に接続され、被検知手段(104)を検知すると、その検知情報を制御手段(60)へ送信する。
【0038】
検知手段(102)と被検知手段(104)は、いずれか一方が、足裏用マッサージ手段(34)のケーシング(108)と一体に移動可能となっており、他方が、その移行路に接近した位置に配備される。
【0039】
図8乃至図12では、検知手段(102)をケーシング(108)と一体に移動するスライダー(105)に配備し、被検知手段(104)をスライダー(105)の移行路に沿って形成された案内条(103)に配備している。
【0040】
スライダー(105)は、図9の丸囲み部分の拡大図に最も良く表されているように、ケーシング(108)の上面に突設され、移動方向に平行な溝を有する凹部(110)の形成されたカバー体(116)を具える。
【0041】
カバー体(116)は、ケーシング(108)の移動方向である前後方向に長く形成されており、内部前端及び後端には、検知手段(102)となる光素子及び受光素子のユニットが夫々配備されている。
【0042】
前側の検知手段(102)は、ケーシング(108)の前方への移動限を検知するものであり、後ろ側の検知手段(102)は、ケーシング(108)の後方への移動限を検知し、それぞれ制御手段(60)に信号を送信する。
【0043】
被検知手段(104)は、前記スライダー(105)の凹部(110)に嵌まり、前後方向に延びる案内条(103)に配備される。
【0044】
案内条(103)は、図11に示すように第1ケーシング半体(201)の下面から下方に突出する薄板状のレールを例示できる。
【0045】
案内条(103)は、検知手段(102)である光素子と受光素子の透光を遮る遮蔽板の役割をなし、前端側下面及び後端側下面には、透光を許容し、検知手段(102)により検知される被検知手段(104)をなす切欠きが形成されている。
案内条(103)に沿ってスライダー(105)が前後に移動することで、ケーシング(108)が最も前方まで移動した場合には、前方の検知手段(102)が前方の被検知手段(104)を検知し、ケーシング(108)が前方向の移動限に達したことを制御手段(60)に送信する。逆に、ケーシング(108)が最も後方まで移動した場合には、後方の検知手段(102)が後方の被検知手段(104)を検知し、ケーシング(108)が後方向の移動限に達したことを制御手段(60)に送信する。
【0046】
上記検知手段(102)から受信される信号に基づいて制御手段(60)がモータ(36)を制御することで、足裏用マッサージ手段(34)の指圧子(106)を前後に往復移動させることができる。
【0047】
スライダー(105)に配備された検知手段(102)は、カバー体(116)の内部に収容されているから、案内条(103)と直接当接することはない。従って、足裏用マッサージ手段(34)がマッサージ中に患部から応力を受けたり、ケーシング(21)や案内条(103)等のバラツキ、ガタ、経年劣化等により、変形や歪みなどがあった場合でも、検知手段(102)は直接案内条(103)、より具体的には被検知手段(104)である切欠きの端面や本体ケーシング(21)等に接触したり衝突することはない。従って、これらを原因とする損傷等を防止でき、正確に足裏用マッサージ手段(34)の位置を検知することができる。
【0048】
<保護シート>
図1に示した本体ユニット(20)の凹部(22)の内面を覆う保護シート(203)は、図13に示すように、第1ケーシング半体(201)と第2ケーシング半体(202)との間に張設される。
【0049】
第1ケーシング半体(201)及び第2ケーシング半体(202)には、夫々対向する位置に複数の第1係合部(205)(図12参照)と第2係合部(206)が突設されており、これらは、本体ユニット(20)を組み立てる際にネジ(209)により連結される。
【0050】
保護シート(203)は、図14に示すように、第1係合部(205)に嵌まる係合孔(207)が開設されており、該係合孔(207)を図15に示すように第1係合部(205)に嵌めた状態で、第1係合部(205)と第2係合部(206)を図13に示す如くネジ(209)止めすることにより、第1ケーシング半体(201)と第2ケーシング半体(202)の間に張設することができる。
保護シート(203)の係合孔(207)は、保護シート(203)に樹脂の薄板(例えばPPシート)などの布以外の材質のものを縫合し、この布以外の材質の部分に開口されている。図13で布以外の材質の部分を符号(203a)で示す。
【0051】
なお、係合孔(207)は、第1係合部(205)に嵌めやすくするために、図14及び図15に示すように、係合孔(207)から径方向に1又は複数のスリット(208)を切り込んでおくことが望ましい。また、スリット(208)の端部には、裂け止め用の丸孔(208a)を形成し、スリット(208)の端部から保護シート(203)が裂けないようにしておくことが望ましい。
【0052】
図16は、第1係合部(205)の形状を種々変形させた実施例を示している。
図16(a)は、第1係合部(205)を筒状に形成したもの、図16(b)は、保護シート(203)が抜けないように、第1係合部(205)の周面に抜止手段(210)を環状に突設したものである。また、図16(c)は、第1係合部(205)の周面に微細な凹凸を多数形成してなる抜止手段(210)を具え、摩擦によって保護シート(203)の抜止めを図っている。さらに、図16(d)は、図16(b)に示した環状の抜止手段(210)に加えて、第1係合部(205)及び第2係合部(206)に保護シート(203)を挟む押え突片(205a)(206a)を形成し、第1係合部(205)と第2係合部(206)を連結したときに、押え突片(205a)(206a)により保護シート(203)が動かないように抑えている。
【0053】
本体ユニット(20)を組み立てに際し、予め第1ケーシング半体(201)の第1係合部(205)に保護シート(203)の係合孔(207)を嵌めて、第1ケーシング半体(201)の第1係合部(205)と第2ケーシング半体(202)の第2係合部(206)とをネジ(209)で連結することにより、保護シート(203)を外れることなく装着することができ、保護シート(203)の取付工程を簡略化することができる。
また、保護シート(203)を取り付けるために別途取付フック等を設ける必要もない。
【0054】
保護シート(203)により本体ユニット(20)の凹部(22)を覆うことができるから、凹部(22)に被施療者が足先等を挿入したときでも、冷たさや硬さを感じることはなく快適であり、さらに、足裏用マッサージ手段(34)の指圧子(106)がスライドする開口(204)に異物等を挟み込むことも防止できる。
【0055】
本発明のマッサージャー(10)の全ての制御は、制御手段(60)により行われる。制御手段(60)には、図17に示すように、上記した操作部(65)、表示部(66)、エアポンプ(14)、バルブ(31a)(32a)(33a)(35a)(51a)、足裏用マッサージ手段(34)のモータ(36)、モータ駆動回路(61)、検知手段(102)等が電気的に接続されており、被施療者の操作部(65)の操作に基づいて、予め設定された種々の動作、プログラムされたマッサージコースに従って、各々を動作すべく制御する。
制御手段(60)には、その他、上記動作を制御するためのプログラム等を記憶したメモリ等の種々の回路、電子部品等が接続されている。
【0056】
上記構成のマッサージャー(10)は、被施療者が椅子などに腰掛けた状態で、脚部を挿入することにより使用する。
具体的には、被施療者は、図2に示すように、本体ユニット(20)に対してサブユニット(40)が最も接近するよう揺動させた状態で、本体ユニット(20)の凹部(22)(22)に左右の脚部の足先及びふくらはぎを挿入し、サブユニット(40)の凹部(42)(42)に膝関節の周囲及び/又はふくらはぎの上部を挿入する。
【0057】
この状態で、操作部(65)を操作して、被施療者が所望するマッサージ手段(30)(34)(50)を作動させ、又は予めプログラムされたコースに従ってマッサージ手段(30)(34)(50)を作動させることにより、足裏を含む足先やふくらはぎ、膝関節の周囲及び/又はふくらはぎの上部にマッサージを施すことができる。
【0058】
なお、足裏用マッサージ手段(34)は、モータ(36)の正転、反転のタイミングを検知手段(102)から送信される信号に基づいて行なうことができる。この場合、検知手段(102)は被検知手段(104)や本体ケーシング(21)等と衝突することがないから、正確な検知を長期に亘って実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、マッサージ手段を検知する検知手段とケーシングとの接触、衝突による損傷を防ぐことにより、マッサージ手段の正確な位置を検知し続けるマッサージャーとして有用である。また、本体ケーシング作製と同時に、保護シートを取り付けることができるマッサージャーとして有用である。
【符号の説明】
【0060】
(10) マッサージャー
(20) 本体ユニット
(21) 本体ケーシング
(30) 本体マッサージ手段
(31) ふくらはぎ用後面エアバッグ(本体マッサージ手段)
(32) 内側エアバッグ(本体マッサージ手段)
(33) 外側エアバッグ(本体マッサージ手段)
(34) 足裏用マッサージ手段
(101) 移動手段
(102) 検知手段
(103) 案内条
(104) 被検知手段
(105) スライダー
(110) 凹部
(116) カバー体
(201) 第1ケーシング半体
(202) 第2ケーシング半体
(203) 保護シート
(204) 開口
(205) 第1係合部
(206) 第2係合部
(207) 係合孔
(208) スリット
(210) 抜止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段と、
マッサージ手段を患部に沿って移動させる移動手段と、を具えるマッサージャーにおいて、
マッサージ手段の移行路に沿って延びるように突設された案内条を有し、
マッサージ手段には、マッサージ手段と一体に移動可能であり、前記案内条を跨ぐ、凹部を有するスライダーを具え、
案内条又はスライダーの一方に検知手段、他方に該検知手段により検知可能な被検知手段を具え、検知手段が被検知手段を検知することでマッサージ手段の位置を検出するようにしたことを特徴とするマッサージャー。
【請求項2】
検知手段は、スライダーに配備されたカバー体の内部に収容される請求項1に記載のマッサージャー。
【請求項3】
被施療者の患部にマッサージを施すマッサージ手段と
該マッサージ手段が配備され、被施療者の患部を収容する凹部を具えた第1ケーシング半体と、
該第1ケーシング半体と係合する第2ケーシング半体と、
少なくとも前記凹部を覆うように張設された保護シートと、を具えたマッサージャーであって、
第1ケーシング半体と第2ケーシング半体は、互いに連結可能な第1係合部と第2係合部を有し、
前記保護シートは、第1係合部及び/又は第2係合部に嵌まる係合孔を有し、第1係合部と第2係合部を連結する際に、保護シートは係合孔を第1係合部及び/又は第2係合部に嵌めることで取り付けられることを特徴とするマッサージャー。
【請求項4】
第1係合部及び/又は第2係合部は、保護シートの抜止手段を有する請求項3に記載のマッサージャー。
【請求項5】
係合孔は、第1係合部又は第2係合部に嵌め易くするために、係合孔の径方向にスリットを有する請求項3又は請求項4に記載のマッサージャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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