説明

マッサージャー

【課題】サブユニットの回動範囲を規制するマッサージャーを提供する。
【解決手段】被施療者のふくらはぎ及び足先にマッサージを施す本体マッサージ手段を有する本体ユニット20と、該本体ユニット20の上方に前後方向に平行な面内で揺動可能に支持され、被施療者の膝の周囲及び/又は大腿を挿入可能な左右一対の凹部58,58と、該凹部の内面に配備されたサブマッサージ手段を有するサブユニット50と、本体ユニット20とサブユニット50を同軸でない異なる枢支点により揺動可能に連結し、サブユニット50を本体ユニット20に対して上下方向を含む前後方向に平行な面内で揺動可能とする連結部材と、を具えるマッサージャーにおいて、連結部材に対するサブユニット50の回動角度を規制する回転制限機構13を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の下半身、より具体的には、被施療者の脚部にマッサージを施すマッサージャーに関するものであり、さらには腰部にもマッサージを施すことのできるマッサージャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の脚部をマッサージできるフットマッサージャーが知られている。この種のフットマッサージャーとして、被施療者の左右のふくらはぎと足先を挿入可能な左右一対の凹部を有するものがある。凹部には、エアバッグ等のマッサージ手段が配備され、これらによって、被施療者のふくらはぎと足先にマッサージを施す。
【0003】
また、被施療者のふくらはぎと足先に加えて、大腿にもマッサージを施すことのできるフットマッサージャーが提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1のフットマッサージャーは、ふくらはぎ及び足先をマッサージできる本体ユニットと、被施療者の膝の周囲と大腿をマッサージできるサブユニットを有している。サブユニットは本体ユニットの上端に、前後方向に平行な面内で回動可能となるよう軸支されており、サブユニットを回動させることによって位置を変えたマッサージを施すことができる。具体的には、サブユニットを前方向に回動することで膝の周囲にマッサージを施すことができ、後ろ方向に回動することで大腿にマッサージが施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国実用新案公告第201342077号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サブユニットの回動可能な範囲は、本体ユニットへの軸支部分を中心とした円弧範囲に限られる。従って、大腿の膝に近い部分から大腿の付け根に近い部分までの広い範囲にマッサージを施すことはできない。
【0006】
そこで出願人は、本体ユニットに対するサブユニットの揺動可能な範囲の自由度を高めるために、本体ユニットとサブユニットを、同軸でない異なる枢支点を有する連結部材で連結し、サブユニットを本体ユニットに対して上下方向を含む前後方向に平行な面内で揺動可能とすることを提案している。
【0007】
しかしながら、上記フットマッサージャーにおいて、サブユニットの回動範囲が大きくなり過ぎると、サブユニットを回動させても被施療者の患部に当たらない領域が生じてくる。
【0008】
本発明の目的は、サブユニットの回動範囲を規制したマッサージャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージャーは、被施療者のふくらはぎ及び足先にマッサージを施す本体マッサージ手段を有する本体ユニットと、
該本体ユニットの上方に前後方向に平行な面内で揺動可能に支持され、被施療者の膝の周囲及び/又は大腿を挿入可能な左右一対の凹部と、該凹部の内面に配備されたサブマッサージ手段を有するサブユニットと、
本体ユニットとサブユニットを同軸でない異なる枢支点により揺動可能に連結し、サブユニットを本体ユニットに対して上下方向を含める前後方向に平行な面内で揺動可能とする連結部材と、
を具えるマッサージャーにおいて、
連結部材に対するサブユニットの回動角度を規制する回転制限機構を具えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマッサージャーによれば、連結部材に対するサブユニットの回動範囲を規制することで、患部に当たらない領域へのサブユニットの回動を抑えることができ、操作性を向上できる。
又、回動範囲を規制することで、サブユニットと連結部材に生ずる隙間を狭くすることができるから、このような隙間への異物の挟み込みを抑えることができ、マッサージャーの破損等を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明のマッサージャーを斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1のマッサージャーの側面図である。
【図3】図3は、被施療者が椅子に腰掛けて、サブユニットにより、大腿にマッサージを受けている状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1の線A−Aに沿うサブユニットの矢視断面図であって、サブユニットとアームとのエアホースの連結部分を拡大して示している。
【図5】図5は、アームとサブユニットとの連結部材の分解図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、サブユニットとアームの連結部分を拡大した側面図であり、回転ストッパがストッパ用凹部の各受け部に当接した状態を示す図である。
【図7】図7は、アームを後方に回動させたマッサージャーの斜視図である。
【図8】図8は、アームを後方に回動させた状態を示す斜視図である。
【図9】図9は、サブユニットにマッサージローラを配備し、被施療者が大腿にマッサージを受けている状態を示すサブユニットの平面図である。
【図10】図10は、図9の線B−Bに沿うサブユニットの矢視断面図である。
【図11】図11は、図10の線C−Cに沿うサブユニットの矢視断面図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施例のマッサージャーの斜視図であって、第2サブユニットを具えたマッサージャーを斜め前方から見た斜視図である。
【図13】図13は、図12のマッサージャーの側面図である。
【図14】図14は、図12のマッサージャーの収納状態を示す斜視図である。
【図15】図15は、図14のマッサージャーの側面図である。
【図16】図16は、被施療者が椅子に腰掛けて、マッサージャーにより腰にマッサージを受けている状態を示す斜視図である。
【図17】図17は、被施療者が椅子に腰掛けて、第2サブユニットによって大腿の上面にマッサージを受けている状態を示す斜視図である。
【図18】図18は、第2サブユニットを斜め前方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施例>
図1及び図2は、本発明のマッサージャー(10)を示している。
マッサージャー(10)は、床面に載置されるベース(11)、該ベース(11)に搭載され、被施療者のふくらはぎ及び/又は足先にマッサージを施す本体ユニット(20)、膝の周囲及び/又は大腿にマッサージを施すサブユニット(50)、及び本体ユニット(20)とサブユニット(50)の連結部材であるアーム(80)(80)を有する。本体ユニット(20)の両側には、後方上端にアーム(80)(80)の一端が夫々回動可能に軸支されており、両アーム(80)(80)の他端にサブユニット(50)が回動可能に枢支されている。これにより、サブユニット(50)は本体ユニット(20)に対して、上下方向を含む前後方向に平行な面内で揺動可能となっている。
【0013】
図1及び図2に示すように、ベース(11)は、内部中空の樹脂製のベースケーシング(12)から形成され、上部にて本体ユニット(20)を支持し、下面にて安定してマッサージャー(10)を床面に載置する。ベースケーシング(12)の内部にはエアポンプや商業電源へ接続するための電源ユニット(共に図示せず)などが収容される。
【0014】
図1及び図2に示すように、本体ユニット(20)は、内部中空の本体ケーシング(21)を有する。本体ケーシング(21)はベースケーシング(12)上に、ゆりかごの如く前後方向に揺動可能に配備され、任意の位置で位置決めできる。図示の実施例では、本体ケーシング(21)は下部が前方に向けて突出し、後部が上方に向けて突出した形状であり、内部には、マッサージャー(10)の制御手段、電磁バルブ(共に図示せず)等が収容される。
【0015】
図1、図3及び図8に示すように、本体ケーシング(21)には、被施療者のふくらはぎ及び足先を挿入する左右一対の本体凹部(24)(24)を有する。該本体凹部(24)は、凹部底面(25)と、該凹部底面(25)の後端から略垂直上方に向けて配置された凹部後面(26)と、前記凹部底面(25)と凹部後面(26)の側部を結ぶように設けられた凹部内側面(27)(28)によって形成され、本体凹部(24)は前方及び上方が開口している。
【0016】
前記本体凹部(24)(24)の凹部底面(25)、凹部後面(26)及び凹部内側面(27)(28)には、図8に示すように、被施療者の足裏やふくらはぎの後部、ふくらはぎの左右両側部にマッサージを施す本体マッサージ手段を具える。本体マッサージ手段として、エアバッグ(32)(29)(30)(31)を例示でき、各エアバッグ(32)(29)(30)(31)は、電磁バルブを介してエアポンプに接続され、膨張、収縮可能となっている。
【0017】
図1及び図2に示すように、本体ケーシング(21)の両側には、マッサージャー(10)を持ち運びするための持ち手(33)が凹設されている。
【0018】
図1乃至図3に示すように、本体ユニット(20)の両側後方上端には、サブユニット(50)が左右一対の連結部材を介して揺動可能に配備される。
連結部材は、アーム(80)(80)を例示できる。アーム(80)の一端は、前記本体ケーシング(21)の側部後方上端に回動可能に軸支されている。また、アーム(80)の他端には、サブユニット(50)のサブケーシング(51)の側部前方下端が回動可能に枢支されている。これによりサブユニット(50)は、アーム(80)と本体ユニット(20)の軸支点を中心とした円弧上、すなわち本体ユニット(20)に対して上下方向を含む前後方向に平行な面内で揺動することができる。さらに、サブユニット(50)は、アーム(80)とサブユニット(50)の枢支点を中心とする円弧上をアーム(80)に対して前後方向に平行な面内で回動可能であるため、被施療者は所望する患部の位置までサブユニット(50)を移動させることができる。
なお、連結部材であるアーム(80)(80)の詳細は後述する。
【0019】
図1に示すように、サブユニット(50)は、内部中空の樹脂製のサブケーシング(51)を有する。該サブケーシング(51)は、側部前方下端がアーム(80)(80)に回動可能に枢支される左右一対の外壁(52)(52)と、該外壁(52)(52)の間を仕切る中央壁(53)を有しており、外壁(52)(52)と中央壁(53)の後方下端は、幅狭の接続片(54)(54)によって連繋されている。
【0020】
また、図1に示すように、サブケーシング(51)には、外壁(52)、中央壁(53)、及び接続片(54)の各内面(55)(56)(57)によって、被施療者の膝の周囲及び/又は大腿を挿入可能な左右一対のサブ凹部(58)(58)が形成されている。
【0021】
図1、図9及び図11に示すように、該サブ凹部(58)の各内面(55)(56)(57)は被施療者の膝の周囲及び/又は大腿にマッサージを施すサブマッサージ手段を有する。
サブマッサージ手段として、外壁(52)及び中央壁(53)の内面(55)(56)には施療者の膝の周囲及び/又は大腿の各側部にマッサージを施すエアバッグ(59)(60)を例示でき、各エアバッグ(59)(60)は、電磁バルブを介してエアポンプに接続され、膨張、収縮可能となっている。
【0022】
また、図8乃至図11に示すように、サブマッサージ手段として、接続片(54)の内面(57)には、被施療者の膝の周囲及び/又は大腿の各裏部にマッサージを施すマッサージローラ(61)を配備することができる。該マッサージローラ(61)の周面には、複数のコロ(63)が前後方向に回転可能に支持されている。前記マッサージローラ(61)は、両接続片(54)(54)内の底面にて軸受(74)に支持される主軸(62)に一体回転可能に嵌まっている。主軸(62)は、減速機構(75)を介して、サブケーシング(51)内に配備されたモータ(76)に接続され、モータ(76)の駆動により回転可能となっている。主軸(62)を回転させることで、マッサージローラ(61)も回転し、コロ(63)もサブユニット(50)に被せられる図示しないカバーとの摩擦により転動する。
【0023】
図1に示すように、中央壁(52)には、被施療者がマッサージャー(10)を操作するための操作部(110)及びマッサージャー(10)の動作状況をLED等により視認できるようにした表示部(111)を有している。操作部(110)及び表示部(111)は、制御手段(図示せず)に電気的に接続されている。
【0024】
図4は、図1の線A−Aに沿うサブユニット(50)の矢視断面図であって、サブユニット(50)のサブユニット用フレーム(64)とアーム(80)の連結リンク(81)との接続部と、エアホース(73)(82)の接続部とを拡大して示している。また、図5は、アーム(80)とサブユニット(50)との連繋部分の分解図である。
【0025】
図4に示すように、連結リンク(81)の先端には、エアポンプに連結されるアーム側連結パイプ(84)が後述する保持部材(83)を介して取り付けられている。アーム側連結パイプ(84)は、空気通路が90°曲がっており、該アーム側連結パイプ(84)の先端にサブユニット側連結パイプ(72)が被さるように嵌まっている。これら連結パイプ(84)(72)は、リング状のシール部材(90)(90)を介して互いに回動可能且つ気密に接続される。
サブユニット側連結パイプ(72)は、エアホース(73)を経由して外壁用エアバッグ(59)及び中央壁用エアバッグ(60)に接続されて、これらエアバッグ(59)(60)への空気の給排を可能としている。
【0026】
図4及び図5に示すように、サブユニット用フレーム(64)には、第1フランジ(65)及び第2フランジ(66)がネジ止め(67)により固定されている。また、第1フランジ(65)及び第2フランジ(66)には、内部に連結パイプ(84)(72)を挿通可能な孔(78)(79)が開設されている。
【0027】
内側の第1フランジ(65)は、連結パイプ(84)(72)を挿通する筒状体であって、外側端に鍔(77)が形成されている。鍔(77)には、内側に向けてギア(70)が形成されている。
【0028】
また、第2フランジ(66)は円盤状に形成されており、図5に示すように、後述の保持部材(83)のストッパ用凹部(85)に嵌まる回転ストッパ(68)を有する。回転ストッパ(68)は図5において上下となる両端が、連結リンク(81)側に向けて屈曲した当り片(69)(69)を形成している。
【0029】
図4及び図5に示すように、連結リンク(81)の先端には、前記第1フランジ(65)及び第2フランジ(66)を収容する保持部材(83)が取り付けられている。
図5に示すように、該保持部材(83)は、前述の第1フランジ(65)及び第2フランジ(66)を内部に嵌めることが可能な円筒部を有し、後方に前記アーム側連結パイプ(84)を挿通可能な切り込み部を具える。前記保持部材(83)の円筒部の内側には、突条(86)を有し、該突条(86)の連結リンク(81)側端面には、前記第1フランジ(65)のサブユニット側回転ギア(70)と噛み合うアーム側回転ギア(88)が設けられている。また、図5に示すように、保持部材(83)のサブユニット側回転ギア(70)の後方には、前記第2フランジ(66)の回転ストッパ(68)を所定角度揺動可能に納めることができるストッパ用凹部(85)を有する。ストッパ用凹部(85)は上端及び下端に受け部(89)(89)を有し、回転ストッパ(68)の当り片(69)(69)が当接して、アーム(80)に対するサブユニット(50)の回動角度を規制する回転制限機構(13)をなす。
【0030】
図4、図5に示すように、保持部材(83)及びサブユニット用フレーム(64)の間にはスプリング(71)が配備され、該スプリング(71)はサブユニット側回転ギア(70)とアーム側回転ギア(88)が噛み合う向きに保持部材(83)を付勢している。
【0031】
上記構成により、被施療者がサブユニット(50)を持ち上げ又は押し下げることで、アーム(80)に対して回動させようとすると、第1フランジ(65)にトルクが加わり、サブユニット側回転ギア(70)及びアーム側回転ギア(88)の凹凸の噛み合いがスプリング(71)の付勢力に抗してズレて、次の凹凸どうしが噛み合う。これにより、サブユニット(50)をアーム(80)に対して位置決め可能に回動させることができる。
【0032】
また、サブユニット(50)が回動したときに、回転ストッパ(68)は、ストッパ用凹部(85)内を動く。所定角度以上サブユニット(50)が回動すると、一方の当り片(69)が、ストッパ用凹部(85)の受け部(89)に当たり、その揺動が規制される。
【0033】
回転ストッパ(68)は、サブユニット(50)と一体に回動するから、回転ストッパ(68)の揺動が止められると、サブユニット(50)の回動も止まる。
即ち、サブユニット(50)の回動可能な角度は、ストッパ用凹部(85)に対する回転ストッパ(68)の揺動可能角度による制約を受け、いずれか一方の当り片(69)が、対向するストッパ用凹部(85)の受け部(89)に当たるまでの間しか、サブユニット(50)は回動させことができない。
【0034】
従って、上記回転制限機構(13)により、サブユニット(50)のアーム(80)に対する回動角度を規制することができる。
なお、サブユニット(50)のアーム(80)に対する回動角度は、サブユニット(50)がアーム(80)から離れる方向(図7の矢印A方向)に対しては、上限を30°〜45°とすることが好適である。
サブユニット(50)の回動角度は、ストッパ用凹部(85)の受け部(89)(89)の間隔と、回転ストッパ(68)の当り片(69)(69)の間隔の一方又は両方を変えることで調整できる。
【0035】
上記の如く、回動角度を規制することで、サブユニット(50)が、角度規制を受けることなく回動する場合に比して、サブユニット(50)の無駄な回動を抑えることができ、また、大きな異物をサブユニット(50)とアーム(80)との間に挟んでしまうことを防止でき、マッサージャー(10)の損傷等を低減できる。
【0036】
また、サブユニット(50)がアーム(80)に接近する方向(図7の矢印B方向)に対しては、サブユニット(50)の外壁(52)の外側面に形成した手掛け用段部(52a)がアーム(80)とほぼ平行になるところでサブユニット(50)の回転が規制されるようにするとよい。このようにすれば、サブユニット(50)をアーム(80)に対して回動させる際、段部(52a)に手を掛けてサブユニット(50)を回動させるが、段部(52a)に掛けた手が、アーム(80)との間に挟まれることがない。
【0037】
被施療者は、図3に示すように、椅子に腰掛けた状態でも、本体ケーシング(21)を後方へ揺動させて寝転んだ状態でも、マッサージャー(10)によるマッサージを受けることができる。
【0038】
図3に示す椅子に腰掛けた状態でマッサージを受ける場合、まず図1及び図2に示すように、サブユニット(50)を本体ユニット(20)に最も接近するよう前方に揺動させて、被施療者は本体凹部(24)(24)にふくらはぎと足先を挿入し、サブ凹部(58)(58)に膝の周囲を挿入する。被施療者の足裏は本体凹部(24)の凹部底面(25)に当接し、ふくらはぎの側面及び裏面は夫々凹部内側面(27)(28)及び凹部後面(26)に近接する。また、被施療者の膝の周囲の側面はサブ凹部(58)の外壁(52)及び中央壁(53)の各内面(55)(56)に近接し、膝の周囲の裏面は接続片(54)の内面(57)に当接する。
この状態で、被施療者は操作部(110)を操作し、本体マッサージ手段及びサブマッサージ手段を作動させることにより、脚部にマッサージを施すことができる。
【0039】
具体的には、本体凹部(24)の内側面用エアバッグ(30)(31)を膨張させ、その押圧力でふくらはぎの側面を固定した状態で、後面用エアバッグ(29)及び底面用エアバッグ(32)を膨張、収縮させることにより、被施療者の足裏とふくらはぎの裏面にマッサージを施すことができる。そして、内側面用エアバッグ(30)(31)を膨張、収縮させることにより、ふくらはぎの側面にマッサージを施すことができる。
【0040】
また、サブ凹部(58)の外壁用エアバッグ(59)及び中央壁用エアバッグ(60)を膨張させ、その押圧力で膝の周囲の側面を固定した状態で、接続片(54)の内面(57)に配備されたマッサージローラ(61)を回転させると、該マッサージローラ(61)とコロ(63)により膝の周囲の裏面にマッサージを施すことができる。そして、外壁用エアバッグ(59)及び中央壁用エアバッグ(60)を膨張、収縮させることにより、膝の周囲の側面にマッサージを施すことができる。
【0041】
図8は、図1及び図2の状態から被施療者がアーム(80)を掴み、サブユニット(50)を本体ユニット(20)に対して後方に揺動させた状態を示している。この状態で被施療者はサブ凹部(58)(58)に大腿を挿入することで、被施療者の大腿の側面は外壁(52)及び中央壁(53)の各内面(55)(56)に近接し、大腿の裏面は接続片(54)の内面(57)に当接する。
【0042】
図8の状態から、サブ凹部(58)の外壁用エアバッグ(59)及び中央壁用エアバッグ(60)を膨張させ、その押圧力で大腿の側面を固定し、接続片(54)の内面(57)に配備されたマッサージローラ(61)を回転させると、マッサージローラ(61)及びコロ(63)により大腿の裏面にマッサージを施すことができる。さらに、外壁用エアバッグ(59)及び中央壁用エアバッグ(60)を膨張、収縮させることにより、大腿の側面にマッサージを施すことができる。
【0043】
本体ユニット(20)に対するアーム(80)の角度を変えたり、アーム(80)に対してサブユニット(50)を回動させることで、サブユニット(50)の位置(高さや角度)を広い範囲で調節することができ、被施療者の所望する患部の高さや位置に応じた大腿のマッサージを施すことができる。
例えば、図3及び図7に示すようにサブユニット(50)を移動させると、被施療者はサブユニット(50)によって、図8の状態に比べてさらに大腿の付け根に近い部分にマッサージを施すことができる。
【0044】
図7は、本発明のマッサージャー(10)において、サブユニット(50)を、アーム(80)に対して限界まで離した状態で、本体ユニット(20)の後方に揺動した状態を示している。
マッサージャー(10)は、前記回転制限機構(13)によって、アーム(80)に対するサブユニット(50)の回動範囲を規制することで、サブユニット(50)が患部に当たらない範囲での無駄な回動を抑えることができ、操作性を向上できる。
又、サブユニット(50)とアーム(80)に生ずる隙間を狭くすることができるから、大きな異物の挟み込みを防上でき、マッサージャー(10)の破損等を低減できる。
【0045】
なお、図示及び上記した回転制限機構(13)は、一例であり、これら回転ストッパ(68)及びストッパ用凹部(85)からなるものに限定されない。
【0046】
又、上記実施例では、アーム(80)に対して、サブユニット(50)の揺動を阻止するために、回転ギア(70)(88)の噛み合いによる機構を例示しているが、アーム(80)とサブユニット(50)をモータ駆動の接続機構により連繋することもできる。
【0047】
この場合、マッサージによる反力やサブユニット(50)等の自重により、サブユニット(50)が、所定角度より下降することがある。そこで、モータの回転をエンコーダで検出し、アーム(80)とサブユニット(50)との所定の角度位置を測定し、設定された角度から、エンコーダパルスが検出されたときに、サブユニット(50)の角度を復帰する方向にモータを作動させることで、サブユニット(50)の角度を補正するようにしてもよい。
【0048】
サブユニット(50)の角度を検出するために、必要に応じて、初期位置を検出するセンサを配備すればよい。
上述した接続機構は、本体ユニット(20)とアーム(80)との接続機構にも採用できる。
【0049】
<第2実施例>
図12及び図13は、本発明の異なる実施例を示している。
第2実施例では、マッサージャー(10)は、2つのサブユニット(50)(120)を具えている。以下の説明では、上記第1実施例のサブユニット(50)を同じ符号を用いて第1サブユニット(50)と称し、その他、第1実施例と同じ符号は特に説明しない限り同様の部材を意味する。
【0050】
第2実施例は、第1実施例のマッサージャー(10)に、図16に示すように被施療者の腰や背中、骨盤の近傍をマッサージでき、さらには、前方に回動させることで、図17に示すように被施療者の大腿の膝上側をマッサージすることができる第2サブユニット(120)を配備したものである。第2サブユニット(120)は、図示のように、第1サブユニット(50)に対して前後方向に平行な面内で回動可能に配備されている。
【0051】
具体的実施形態として、図12及び図13に示すように、第2サブユニット(120)は内部中空の第2サブケーシング(121)を有する。具体的には、第2サブケーシング(121)は、左右一対の第2サブ外壁(123)(123)と、第2サブ外壁(123)(123)の後部間を接続する略長方形の第2サブ接続壁(124)を具え、これらによって第2サブ凹部(125)を形成している。
【0052】
第2サブユニット(120)は、第1サブユニット(50)に回動可能且つ接近、離間可能となるように連繋されている。図示の実施例では、第2サブユニット(120)と第1サブユニット(50)を伸縮ロッド(122)で連繋している。
【0053】
より具体的には、伸縮ロッド(122)は、第1サブケーシング(51)の第1サブ外壁(52)(52)の両外側と、第2サブケーシング(121)の第2サブ外壁(123)(123)の両外側とを連繋している。
【0054】
伸縮ロッド(122)は、上記第1サブ外壁(52)と第2サブ外壁(123)を、上下方向を含む前後方向に平行な面内で揺動可能に連繋しており、図示の実施例では、伸縮ロッド(122)は、第1サブユニット(50)側に枢支された第1ロッド(130)と、該第1ロッド(130)にスライド可能に嵌まり、第2サブユニット(120)側に枢支された第2ロッド(131)を有する。また、第1ロッド(130)に対して第2ロッド(131)は所望の長さで位置決め可能となっている。この種の位置決め機構としてラチェット機構を例示できるがこれに限定されるものではない。
【0055】
前記第2サブ凹部(125)には、図12及び図18に示すように、前記第2サブ凹部(125)の内面、即ち第2サブ外壁(123)(123)の内面(126)(126)及び第2サブ接続壁(124)の内面(127)には、第2サブ凹部(125)の対向する被施療者の患部、即ち、被施療者の腰や背中、骨盤の近傍、さらには、大腿の膝上側にマッサージを施す第2サブマッサージ手段を具える。
第2サブマッサージ手段として、第2サブ外壁(123)(123)の内面(126)(126)に配備された第2サブ外壁用エアバッグ(128)(128)、第2サブ接続壁(124)の内面(127)に配備された左右一対の第2サブ接続壁用エアバッグ(129)(129)を例示できる。望ましくは、該第2サブ接続壁用エアバッグ(129)(129)は、図12及び図18に示すように、間隔を存して2つ設けることができ、その間隔は、図17に示すように、第2サブユニット(120)を被施療者の大腿に被せたときに、第2サブ接続壁用エアバッグ(129)(129)が、第1サブユニット(50)に当たることなく、直接被施療者に当たる間隔とする。
【0056】
上記した各エアバッグ(128)(128)(129)(129)は、伸縮ロッド(122)、第1サブユニット(50)及びアーム(80)を経由して、電磁バルブ及びエアホース(共に図示せず)によってベース(11)内のエアポンプに接続されており、膨張、収縮可能である。
【0057】
また、前記第2サブ凹部(125)は、両第2サブ外壁(123)(123)の内間隔(内横幅)が、第1サブユニット(50)の第1サブ外壁(52)(52)の全幅(外側の幅)よりも広くなるように形成することができる。即ち、第2サブ接続壁(124)は、第1サブ外壁(52)(52)の全幅よりも長く形成することができる。
【0058】
これにより、図14、図15及び図17に示すように、被施療者がマッサージを受けている状態(図17)や、マッサージャー(10)の収納状態(図14及び図15)において、第2サブユニット(120)を第1サブユニット(50)に被せることができ、マッサージをする時には、上記した第2サブ接続壁用エアバッグ(129)(129)をより強く被施療者の大腿に押し当てることができ、収納状態ではよりコンパクト化を図ることができる。
【0059】
さらに、第2サブユニット(120)と連結部材であるアーム(80)が衝突することを防止するために、図12乃至図18では、第2サブ外壁(123)(123)の回動方向前方に凹み(123a)(123a)が形成されている。これら凹み(123a)(123a)を有することで、第2サブユニット(120)を前方に倒したときに、図14、図15及び図17に示すように、第2サブユニット(120)とアーム(80)との当たりを回避でき、第2サブユニット(120)を前方に大きく回動させることができる。
【0060】
上記構成のマッサージャー(10)において、被施療者が第2サブユニット(120)を使用して所望する腰部の患部にマッサージを施すには、図12及び図13に示すように、第1サブユニット(50)を本体ユニット(20)の後方に揺動させ、次に第1サブユニット(50)の後方に第2サブユニット(120)を揺動させる。この状態で、図16に例示するように、被施療者は椅子に腰掛けて、腰部を第2サブ凹部(125)に挿入する。この時、被施療者の腰部の裏面は第2サブ接続壁(124)の内面(127)に当接し、腰部の側面、即ち骨盤部は第2サブ外壁(123)(123)の内面(126)(126)に近接する。
この状態で、被施療者は操作部(110)を操作し、第2サブマッサージ手段を作動させることにより、腰部にマッサージを施すことができる。
【0061】
具体的には、第2サブ外壁用エアバッグ(128)(128)を膨張させ、被施療者の骨盤部を固定した状態で、第2サブ接続壁用エアバッグ(129)(129)を膨張、収縮させることにより、被施療者の腰部の裏面にマッサージを施すことができる。また、第2サブ外壁用エアバッグ(128)(128)を膨張、収縮させることにより、被施療者の骨盤部の近傍にマッサージを施すことができる。
【0062】
なお、伸縮ロッド(122)が伸縮可能であるため、被施療者の体型に合わせて、伸縮ロッド(122)の長さを調整し、第2サブユニット(120)の位置を変えることで、所望する患部にマッサージを受けることができる。
【0063】
図17は、第2サブユニット(120)によって被施療者の大腿の膝上側をマッサージしている状態を示している。
第2サブユニット(120)を予め前方に回動させておき、被施療者は、椅子に腰掛けた状態で、第1サブユニット(50)と第2サブユニット(120)の間に膝、大腿を挿入している。
この状態において、第2サブ接続壁(124)の内面(127)に配備された左右一対のエアバッグ(129)(129)は、夫々第1サブ凹部(58)(58)の開口に嵌まっており、該エアバッグ(129)(129)は被施療者の大腿の膝上側に近接している。そのため、第1サブ凹部(58)の第1外壁用エアバッグ(59)及び第1サブ中央壁用エアバッグ(60)を膨張させ、その押圧力で大腿の側面を固定した状態で、第2サブ接続壁用エアバッグ(129)(129)を膨張、収縮させることによって、被施療者の大腿の膝上側にマッサージを施すことができる。
【0064】
上記のように、大腿のふくらはぎ側だけでなく、膝上側にもマッサージを施すことができるようにしたことで、脚部全体に効果の高いマッサージを受けることができる。
【0065】
なお、第1実施例及び第2実施例では、本体ユニット(20)とサブユニット(50)を連結する連結部材は、1本のアーム(80)(80)であるが、該アームを1又は複数の関節を有するアームとすることで、サブユニット(50)の揺動範囲を広げ、被施療者の所望する患部のより広い範囲にマッサージを施すことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、サブユニットによって膝の周囲から大腿の付け根に近い部分までの広い範囲を自由に位置合わせしてマッサージを施すことが可能なマッサージャーとして有用である。
【符号の説明】
【0067】
(10) マッサージャー
(11) ベース
(13) 回転制限機構
(20) 本体ユニット
(24) 本体凹部
(29) 後面用エアバッグ(本体マッサージ手段)
(30) 内側面用エアバッグ(本体マッサージ手段)
(31) 内側面用エアバッグ(本体マッサージ手段)
(32) 底面用エアバッグ(本体マッサージ手段)
(50) サブユニット
(58) サブ凹部
(59) 外壁用エアバッグ(サブマッサージ手段)
(60) 中央壁用エアバッグ(サブマッサージ手段)
(61) マッサージローラ(サブマッサージ手段)
(68) 回転ストッパ(回転制限機構)
(80) アーム(連結部材)
(85) ストッパ用凹部(回転制限機構)
(120) 第2サブユニット
(125) 第2サブ凹部
(128) 第2サブ外壁用エアバッグ(第2サブマッサージ手段)
(129) 第2サブ接続壁用エアバッグ(第2サブマッサージ手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者のふくらはぎ及び足先にマッサージを施す本体マッサージ手段を有する本体ユニットと、
該本体ユニットの上方に前後方向に平行な面内で揺動可能に支持され、被施療者の膝の周囲及び/又は大腿を挿入可能な左右一対の凹部と、該凹部の内面に配備されたサブマッサージ手段を有するサブユニットと、
本体ユニットとサブユニットを同軸でない異なる枢支点により揺動可能に連結し、サブユニットを本体ユニットに対して上下方向を含む前後方向に平行な面内で揺動可能とする連結部材と、
を具えるマッサージャーにおいて、
連結部材に対するサブユニットの回動角度を規制する回転制限機構を具えることを特徴とするマッサージャー。
【請求項2】
前記連結部材は、一端が本体ユニットの後端上部に枢支され、他端がサブユニットの前端下部に枢支されるアームである請求項1に記載のマッサージャー。
【請求項3】
前記連結部材は、1又は複数の関節を有するアームである請求項1又は請求項2に記載のマッサージャー。
【請求項4】
被施療者の腰部を挿入可能である凹部を有し、該凹部に第2サブマッサージ手段を具える第2サブユニットを、前記サブユニットに前後方向に平行な面内で揺動可能に支持する請求項1乃至請求項3の何れかに記載のマッサージャー。
【請求項5】
第2サブユニットとサブユニットを連結する第2連結部材を有し、該第2連結部材はサブユニットと第2サブユニットを同軸でない異なる枢支点により揺動可能に連結し、第2サブユニットをサブユニットに対して上下方向を含む前後方向に平行な面内で揺動可能とする請求項4に記載のマッサージャー。
【請求項6】
前記第2連結部材は、一端がサブユニットの後端下部に支持され、他端が第2サブユニットの後端下部に枢支されるロッドである請求項5に記載のマッサージャー。
【請求項7】
前記ロッドが、位置決め可能に伸縮する請求項6に記載のマッサージャー。
【請求項8】
第2サブユニットの被施療者の腰部を挿入可能である凹部は、内横幅がサブユニットの全幅よりも大きい請求項5乃至請求項7の何れかに記載のマッサージャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−200361(P2012−200361A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66640(P2011−66640)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】