マッサージユニット
【課題】シートの座り心地を阻害すること無しにマッサージ効果の向上を図る。
【解決手段】支持手段(スライダ6及びエアバッグ7)は、駆動手段(電磁ソレノイド3)が停止した状態で施療部2が身体を押圧しない非施療位置と、少なくとも電磁ソレノイド3が動作している状態で施療部2が身体を押圧する施療位置との間で可動ベース3を移動自在に支持している。このため、非施療位置にあるときは施療部2が身体を押圧しないためにシート100の座り心地が阻害されない。しかも、施療位置(第1の施療位置及び第2の施療位置)では施療部2が身体を押圧してマッサージするので、従来例のようにガスバッグ(エアバッグ)でマッサージする場合と比較して、マッサージ効果の向上を図ることができる。
【解決手段】支持手段(スライダ6及びエアバッグ7)は、駆動手段(電磁ソレノイド3)が停止した状態で施療部2が身体を押圧しない非施療位置と、少なくとも電磁ソレノイド3が動作している状態で施療部2が身体を押圧する施療位置との間で可動ベース3を移動自在に支持している。このため、非施療位置にあるときは施療部2が身体を押圧しないためにシート100の座り心地が阻害されない。しかも、施療位置(第1の施療位置及び第2の施療位置)では施療部2が身体を押圧してマッサージするので、従来例のようにガスバッグ(エアバッグ)でマッサージする場合と比較して、マッサージ効果の向上を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のシートなどに組み込まれて身体をマッサージするマッサージユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マッサージを主目的とするマッサージシートだけでなく、車両(例えば、自動車)のシートにマッサージ機能を搭載した車両用マッサージシートが提供されている。例えば、特許文献1に記載されている車両用マッサージシートは、シートバック(背もたれ)内にマッサージ部(マッサージユニット)が収納されている。このマッサージ部は、ガスバッグ(エアバッグとも呼ばれる。)にガス(例えば、空気)が吸気・排気されることで着座者の身体(背中)を押圧するものである。なお、ガスバッグ内のガスが排気された状態に維持されてマッサージ部から着座者の身体に押圧力が作用しないため、車両用シートの座り心地が阻害されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−198069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の従来例では、ガスバッグの伸縮で身体を押圧するエア式マッサージ機能しか有しないので、マッサージを主目的とするマッサージシートのように身体を叩くマッサージを行うことができず、充分なマッサージ効果を得ることができない虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、シートの座り心地を阻害すること無しにマッサージ効果の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマッサージユニットは、シートの背もたれや座部の内部に収納され、当該シートに着座する人の身体をマッサージするマッサージユニットであって、身体を押圧して施療する施療部と、当該施療部を駆動して往復運動させる駆動手段と、当該駆動手段を保持する可動ベースと、被固定部位に固定される固定ベースと、当該固定ベースに対して前記可動ベースを移動自在に支持する支持手段とを備え、当該支持手段は、前記駆動手段が停止した状態で前記施療部が身体を押圧しない非施療位置と、前記施療部が身体を押圧する施療位置との間で前記可動ベースを移動自在に支持することを特徴とする。
【0007】
このマッサージユニットにおいて、前記支持手段は、気体が流入及び流出することで伸縮するエアバッグを用いて前記可動ベースを移動させることが好ましい。
【0008】
このマッサージユニットにおいて、前記駆動手段は、プランジャの先端に前記施療部が固定された電磁ソレノイドを有することが好ましい。
【0009】
このマッサージユニットにおいて、前記支持手段は、前記施療位置よりも身体に近い第2の施療位置まで前記可動ベースを移動自在とすることが好ましい。
【0010】
このマッサージユニットにおいて、身体を押圧する面が前記施療部よりも大きく且つ前記施療部に着脱自在に取り付けられる第2施療部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマッサージユニットは、シートの座り心地を阻害すること無しにマッサージ効果の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示し、非施療位置における斜視図である。
【図2】同上を示し、非施療位置における側面図である。
【図3】同上を示し、第1の施療位置における斜視図である。
【図4】同上を示し、第1の施療位置における側面図である。
【図5】同上を示し、第2の施療位置における斜視図である。
【図6】同上を示し、第2の施療位置における側面図である。
【図7】同上が背もたれ内に収納されたシートを示し、マッサージユニットが非施療位置である場合の一部省略した断面図である。
【図8】同上が背もたれ内に収納されたシートを示し、マッサージユニットが第1の施療位置である場合の一部省略した断面図である。
【図9】同上が背もたれ内に収納されたシートを示し、マッサージユニットが第2の施療位置である場合の一部省略した断面図である。
【図10】同上を示し、施療部に第2の施療部が取り付けられた状態の斜視図である。
【図11】同上が背もたれ及び座部内に収納されたシートを示す一部省略した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本実施形態のマッサージユニット1は、図1〜図6に示すように施療部2、電磁ソレノイド3、可動ベース4、固定ベース5、スライダ6、エアバッグ7、復帰ばね8、支持台9などを備える。なお、以下の説明では図1において上下左右前後の向きを規定する。
【0015】
施療部2は軟質合成樹脂製であって、円筒形状の主部20と、主部20の上面より上向きに突出する半球状の押圧部21と、主部20の下面より下向きに突出する突部22とが一体に形成されている。主部20及び突部22には突部22の下面に開口する差込孔(図示せず)が設けられており、後述するように電磁ソレノイド3のプランジャ(図示せず)が差込孔に差し込まれることによって、施療部2がプランジャの先端部分に取り付けられる。
【0016】
電磁ソレノイド3は従来周知の構成を有するものであって、電磁石の磁力で上下方向に移動する可動鉄心にプランジャが固定されてなり、プランジャを電磁石から出し入れすることで施療部2を上下方向に移動させる。
【0017】
可動ベース4は、長手方向を左右方向とする主片40と、主片40の長手方向における両端(左右両端)よりそれぞれ下向きに垂下された一対の取付片41とが金属板の打ち抜き及び曲げ加工によって一体に形成されている。主片40は、復帰ばね8の上端が係止される係止部42が中央部に設けられ、プランジャ及び施療部2の突部22が挿通される挿通孔43が係止部42の左側の部分に設けられ、エアバッグ7の取付片71が挿通される矩形の挿通孔44が係止部42の右側の部分に設けられる。円形の挿通孔43が設けられている左側の部分は、矩形の挿通孔44が設けられている右側の部分よりも前後方向の幅寸法が大きくなっており、その下面側に、プランジャを挿通孔43に挿通するようにして電磁ソレノイド3がねじ止めされている。
【0018】
一方、左右両側の取付片41に、それぞれスライダ6の外側レール60がねじ止めによって取り付けられる。このスライダ6は従来周知であって、断面形状が略コ字形の外側レール60と、外側レール60の内側にスライド自在に取り付けられた内側レール61とを有している。なお、図1及び図2では内側スライダ61が外側スライダ60内に完全に収納された状態(スライダ6が最も縮んだ状態)を示している。
【0019】
エアバッグ7は、周部に蛇腹構造を有し略楕円筒形状に形成された本体70と、本体70上面の中央部分より上向きに突出する矩形板状の取付片71とを有し、本体70の下部に開口部(図示せず)が設けられている。この開口部には図示しない接続具を介して配管(ホース)が接続される。本体70は周部が蛇腹構造となっているので、開口部を通して内部空間に気体が流入すると蛇腹構造が開いて上下方向に伸長し、反対に開口部を通して内部空間から気体が流出すると蛇腹構造が閉じて上下方向に収縮する。なお、本体70の内部空間への気体の流入及び流出は、配管及び接続具を介して開口部と接続されたポンプ(図示せず)によって行われる。また、取付片71には厚み方向(左右方向)に孔71Aが貫通している。このエアバッグ7は、可動ベース4の主片40の下側に配置され、挿通孔44に挿通されて主片40の上面側に突出した取付片71の孔71Aにクリップ72が挿通され、挿通孔44から取付片71が抜け止めされることで可動ベース4に取り付けられる。
【0020】
固定ベース5は、長手方向を左右方向とする固定片50と、固定片50の長手方向における両端(左右両端)よりそれぞれ上向きに起立した一対の取付片51とが金属板の打ち抜き及び曲げ加工によって一体に形成されている。固定片50の中央部には復帰ばね8の下端が係止される係止部52が設けられている。また、左右両側の取付片51に、それぞれスライダ6の内側レール61がねじ止めによって取り付けられる。さらに、固定片50の上面には、金属材料によって直方体形状に形成された支持台9が取り付けられている。支持台9はエアバッグ7の下に位置しており、エアバッグ7の下端部から下向きに突出している固定片73がねじ止めされることでエアバッグ7を下から支持している。
【0021】
つまり、エアバッグ7の下部が支持台9を介して固定ベース5に固定されるとともにエアバッグ7の上部が可動ベース4に固定されているので、エアバッグ7が伸長すると可動ベース4が上向きに移動する(図3〜図6参照)。反対にエアバッグ7が収縮すると、主に復帰ばね8のばね力によって可動ベース4が下向きに移動する。しかも、可動ベース4及び固定ベース5の取付片41,51がそれぞれスライダ6に取り付けられているため、可動ベース4を滑らかに移動させることができる。ただし、エアバッグ7の気体の流入・流出を止めることにより、可動ベース4を任意の位置(固定ベース5の主片50を基準とする上下方向の位置)で停止させることができる。以下の説明では、図1,2に示す可動ベース4(施療部2)の位置を非施療位置、図3,4に示す位置を第1の施療位置、図5,6に示す位置を第2の施療位置と呼ぶ。
【0022】
本実施形態のマッサージユニット1は、図7に示すようにシート100の背もたれ(シートバック)101の内部に収納される。シート100は、着座者200の臀部を支える座部102と、座部102の後端から立ち上がり、着座者200の背中を支える背もたれ101とを有している。ただし、背もたれ101と座部102との角度を調節する機構(いわゆるリクライニング機構)が設けられる場合もある。この種のシート100では、表側(着座側)に弾性を有する部材(クッション材)が配置されているので、クッション材の変形量に応じて着座者200の背中や臀部が背もたれ101及び座部102の内側に沈み込むことになる。
【0023】
マッサージユニット1は、図7に示すように施療部2を非施療位置とした状態で着座者200の身体(背中)と施療部2との間に所定距離が空くように、背もたれのフレーム(図示せず)に固定ベース5が固定される。この状態ではマッサージユニットによるマッサージ動作が行われないが、施療部2との間に所定距離が空いていて着座者200の背中に施療部2の押圧力が作用しないので、施療部2によってシート100の座り心地が阻害されることがない。
【0024】
次に、マッサージユニット1を用いて着座者200の身体をマッサージする手順を説明する。マッサージには、叩き、揉み、押し(指圧)などの複数種類の施療方法があるが、本実施形態のマッサージユニット1は主に叩きと指圧のマッサージ動作を行う。
【0025】
まず、叩きのマッサージ動作について説明する。叩きのマッサージを開始する前に、図8に示すよう施療部2を第1の施療位置に移動させる。第1の施療位置においては、クッション材(図示せず)を介して施療部2の押圧部21から着座者200の背中に押圧力を作用させることができる。そして、可動ベース4が第1の施療位置に留まった状態で電磁ソレノイド3に高周波の励磁電流が通電されると、電磁ソレノイド3のプランジャに固定されている施療部2が短い周期で上下方向(図8では右斜め上及び左斜め下の方向)に移動する。その結果、施療部2の押圧部21から着座者200の背中へ短い周期で繰り返し押圧力が作用し、着座者200の背中を叩いてマッサージすることができる。
【0026】
次に、指圧のマッサージ動作について説明する。指圧のマッサージは、図9に示すように電磁ソレノイド3を停止した状態でエアバッグ7を伸長させ、施療部2を第2の施療位置に移動させることで行われる。つまり、施療部2が第2の施療位置に移動することで押圧部21から着座者200の背中に作用する押圧力が増大して指圧のマッサージ効果を得ることができる。
【0027】
上述のように、支持手段(スライダ6及びエアバッグ7)は、駆動手段(電磁ソレノイド3)が停止した状態で施療部2が身体を押圧しない非施療位置と、少なくとも電磁ソレノイド3が動作している状態で施療部2が身体を押圧する施療位置との間で可動ベース3を移動自在に支持している。このため、非施療位置にあるときは施療部2が身体を押圧しないためにシート100の座り心地が阻害されない。しかも、施療位置(第1の施療位置及び第2の施療位置)では施療部2が身体を押圧してマッサージするので、従来例のようにガスバッグ(エアバッグ)でマッサージする場合と比較して、マッサージ効果の向上を図ることができる。また、支持手段にエアバッグ7が用いられているので、エアバッグ7がエアダンパとしても機能し、施療部2から身体に過度の押圧力が作用することを抑えることができる。
【0028】
ところで、図11に示すようにマッサージユニット1がシート100の座部102内に収納されてもよい。ただし、座部102内に収納される場合、施療部2が身体を押圧する面、すなわち、施療部2と施療部位(着座者200の臀部又は大腿部)との接触面の大きさ(面積)を大きくすることが好ましい。そのために本実施形態では、図10に示すように施療部2の押圧部21よりも施療部位との接触面の面積の大きい第2施療部10が施療部2に取り付けられている。第2施療部10は、施療部2と同じく軟質合成樹脂製であって、全体が略直方体形状に形成されている。第2施療部10の下面側には施療部2の主部20及び押圧部21と嵌合する嵌合凹部(図示せず)が設けられている。つまり、主部20及び押圧部21が嵌合凹部に嵌合されることで第2施療部10が着脱自在に施療部2に取り付けられる。なお、第2施療部10が取り付けられた場合と第2施療部10が取り付けられていない場合とで、マッサージユニット1のマッサージ動作は共通である。
【符号の説明】
【0029】
1 マッサージユニット
2 施療部
3 電磁ソレノイド(駆動手段)
4 可動ベース
5 固定ベース
6 スライダ(支持手段)
7 エアバッグ(支持手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のシートなどに組み込まれて身体をマッサージするマッサージユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マッサージを主目的とするマッサージシートだけでなく、車両(例えば、自動車)のシートにマッサージ機能を搭載した車両用マッサージシートが提供されている。例えば、特許文献1に記載されている車両用マッサージシートは、シートバック(背もたれ)内にマッサージ部(マッサージユニット)が収納されている。このマッサージ部は、ガスバッグ(エアバッグとも呼ばれる。)にガス(例えば、空気)が吸気・排気されることで着座者の身体(背中)を押圧するものである。なお、ガスバッグ内のガスが排気された状態に維持されてマッサージ部から着座者の身体に押圧力が作用しないため、車両用シートの座り心地が阻害されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−198069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の従来例では、ガスバッグの伸縮で身体を押圧するエア式マッサージ機能しか有しないので、マッサージを主目的とするマッサージシートのように身体を叩くマッサージを行うことができず、充分なマッサージ効果を得ることができない虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、シートの座り心地を阻害すること無しにマッサージ効果の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマッサージユニットは、シートの背もたれや座部の内部に収納され、当該シートに着座する人の身体をマッサージするマッサージユニットであって、身体を押圧して施療する施療部と、当該施療部を駆動して往復運動させる駆動手段と、当該駆動手段を保持する可動ベースと、被固定部位に固定される固定ベースと、当該固定ベースに対して前記可動ベースを移動自在に支持する支持手段とを備え、当該支持手段は、前記駆動手段が停止した状態で前記施療部が身体を押圧しない非施療位置と、前記施療部が身体を押圧する施療位置との間で前記可動ベースを移動自在に支持することを特徴とする。
【0007】
このマッサージユニットにおいて、前記支持手段は、気体が流入及び流出することで伸縮するエアバッグを用いて前記可動ベースを移動させることが好ましい。
【0008】
このマッサージユニットにおいて、前記駆動手段は、プランジャの先端に前記施療部が固定された電磁ソレノイドを有することが好ましい。
【0009】
このマッサージユニットにおいて、前記支持手段は、前記施療位置よりも身体に近い第2の施療位置まで前記可動ベースを移動自在とすることが好ましい。
【0010】
このマッサージユニットにおいて、身体を押圧する面が前記施療部よりも大きく且つ前記施療部に着脱自在に取り付けられる第2施療部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマッサージユニットは、シートの座り心地を阻害すること無しにマッサージ効果の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示し、非施療位置における斜視図である。
【図2】同上を示し、非施療位置における側面図である。
【図3】同上を示し、第1の施療位置における斜視図である。
【図4】同上を示し、第1の施療位置における側面図である。
【図5】同上を示し、第2の施療位置における斜視図である。
【図6】同上を示し、第2の施療位置における側面図である。
【図7】同上が背もたれ内に収納されたシートを示し、マッサージユニットが非施療位置である場合の一部省略した断面図である。
【図8】同上が背もたれ内に収納されたシートを示し、マッサージユニットが第1の施療位置である場合の一部省略した断面図である。
【図9】同上が背もたれ内に収納されたシートを示し、マッサージユニットが第2の施療位置である場合の一部省略した断面図である。
【図10】同上を示し、施療部に第2の施療部が取り付けられた状態の斜視図である。
【図11】同上が背もたれ及び座部内に収納されたシートを示す一部省略した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本実施形態のマッサージユニット1は、図1〜図6に示すように施療部2、電磁ソレノイド3、可動ベース4、固定ベース5、スライダ6、エアバッグ7、復帰ばね8、支持台9などを備える。なお、以下の説明では図1において上下左右前後の向きを規定する。
【0015】
施療部2は軟質合成樹脂製であって、円筒形状の主部20と、主部20の上面より上向きに突出する半球状の押圧部21と、主部20の下面より下向きに突出する突部22とが一体に形成されている。主部20及び突部22には突部22の下面に開口する差込孔(図示せず)が設けられており、後述するように電磁ソレノイド3のプランジャ(図示せず)が差込孔に差し込まれることによって、施療部2がプランジャの先端部分に取り付けられる。
【0016】
電磁ソレノイド3は従来周知の構成を有するものであって、電磁石の磁力で上下方向に移動する可動鉄心にプランジャが固定されてなり、プランジャを電磁石から出し入れすることで施療部2を上下方向に移動させる。
【0017】
可動ベース4は、長手方向を左右方向とする主片40と、主片40の長手方向における両端(左右両端)よりそれぞれ下向きに垂下された一対の取付片41とが金属板の打ち抜き及び曲げ加工によって一体に形成されている。主片40は、復帰ばね8の上端が係止される係止部42が中央部に設けられ、プランジャ及び施療部2の突部22が挿通される挿通孔43が係止部42の左側の部分に設けられ、エアバッグ7の取付片71が挿通される矩形の挿通孔44が係止部42の右側の部分に設けられる。円形の挿通孔43が設けられている左側の部分は、矩形の挿通孔44が設けられている右側の部分よりも前後方向の幅寸法が大きくなっており、その下面側に、プランジャを挿通孔43に挿通するようにして電磁ソレノイド3がねじ止めされている。
【0018】
一方、左右両側の取付片41に、それぞれスライダ6の外側レール60がねじ止めによって取り付けられる。このスライダ6は従来周知であって、断面形状が略コ字形の外側レール60と、外側レール60の内側にスライド自在に取り付けられた内側レール61とを有している。なお、図1及び図2では内側スライダ61が外側スライダ60内に完全に収納された状態(スライダ6が最も縮んだ状態)を示している。
【0019】
エアバッグ7は、周部に蛇腹構造を有し略楕円筒形状に形成された本体70と、本体70上面の中央部分より上向きに突出する矩形板状の取付片71とを有し、本体70の下部に開口部(図示せず)が設けられている。この開口部には図示しない接続具を介して配管(ホース)が接続される。本体70は周部が蛇腹構造となっているので、開口部を通して内部空間に気体が流入すると蛇腹構造が開いて上下方向に伸長し、反対に開口部を通して内部空間から気体が流出すると蛇腹構造が閉じて上下方向に収縮する。なお、本体70の内部空間への気体の流入及び流出は、配管及び接続具を介して開口部と接続されたポンプ(図示せず)によって行われる。また、取付片71には厚み方向(左右方向)に孔71Aが貫通している。このエアバッグ7は、可動ベース4の主片40の下側に配置され、挿通孔44に挿通されて主片40の上面側に突出した取付片71の孔71Aにクリップ72が挿通され、挿通孔44から取付片71が抜け止めされることで可動ベース4に取り付けられる。
【0020】
固定ベース5は、長手方向を左右方向とする固定片50と、固定片50の長手方向における両端(左右両端)よりそれぞれ上向きに起立した一対の取付片51とが金属板の打ち抜き及び曲げ加工によって一体に形成されている。固定片50の中央部には復帰ばね8の下端が係止される係止部52が設けられている。また、左右両側の取付片51に、それぞれスライダ6の内側レール61がねじ止めによって取り付けられる。さらに、固定片50の上面には、金属材料によって直方体形状に形成された支持台9が取り付けられている。支持台9はエアバッグ7の下に位置しており、エアバッグ7の下端部から下向きに突出している固定片73がねじ止めされることでエアバッグ7を下から支持している。
【0021】
つまり、エアバッグ7の下部が支持台9を介して固定ベース5に固定されるとともにエアバッグ7の上部が可動ベース4に固定されているので、エアバッグ7が伸長すると可動ベース4が上向きに移動する(図3〜図6参照)。反対にエアバッグ7が収縮すると、主に復帰ばね8のばね力によって可動ベース4が下向きに移動する。しかも、可動ベース4及び固定ベース5の取付片41,51がそれぞれスライダ6に取り付けられているため、可動ベース4を滑らかに移動させることができる。ただし、エアバッグ7の気体の流入・流出を止めることにより、可動ベース4を任意の位置(固定ベース5の主片50を基準とする上下方向の位置)で停止させることができる。以下の説明では、図1,2に示す可動ベース4(施療部2)の位置を非施療位置、図3,4に示す位置を第1の施療位置、図5,6に示す位置を第2の施療位置と呼ぶ。
【0022】
本実施形態のマッサージユニット1は、図7に示すようにシート100の背もたれ(シートバック)101の内部に収納される。シート100は、着座者200の臀部を支える座部102と、座部102の後端から立ち上がり、着座者200の背中を支える背もたれ101とを有している。ただし、背もたれ101と座部102との角度を調節する機構(いわゆるリクライニング機構)が設けられる場合もある。この種のシート100では、表側(着座側)に弾性を有する部材(クッション材)が配置されているので、クッション材の変形量に応じて着座者200の背中や臀部が背もたれ101及び座部102の内側に沈み込むことになる。
【0023】
マッサージユニット1は、図7に示すように施療部2を非施療位置とした状態で着座者200の身体(背中)と施療部2との間に所定距離が空くように、背もたれのフレーム(図示せず)に固定ベース5が固定される。この状態ではマッサージユニットによるマッサージ動作が行われないが、施療部2との間に所定距離が空いていて着座者200の背中に施療部2の押圧力が作用しないので、施療部2によってシート100の座り心地が阻害されることがない。
【0024】
次に、マッサージユニット1を用いて着座者200の身体をマッサージする手順を説明する。マッサージには、叩き、揉み、押し(指圧)などの複数種類の施療方法があるが、本実施形態のマッサージユニット1は主に叩きと指圧のマッサージ動作を行う。
【0025】
まず、叩きのマッサージ動作について説明する。叩きのマッサージを開始する前に、図8に示すよう施療部2を第1の施療位置に移動させる。第1の施療位置においては、クッション材(図示せず)を介して施療部2の押圧部21から着座者200の背中に押圧力を作用させることができる。そして、可動ベース4が第1の施療位置に留まった状態で電磁ソレノイド3に高周波の励磁電流が通電されると、電磁ソレノイド3のプランジャに固定されている施療部2が短い周期で上下方向(図8では右斜め上及び左斜め下の方向)に移動する。その結果、施療部2の押圧部21から着座者200の背中へ短い周期で繰り返し押圧力が作用し、着座者200の背中を叩いてマッサージすることができる。
【0026】
次に、指圧のマッサージ動作について説明する。指圧のマッサージは、図9に示すように電磁ソレノイド3を停止した状態でエアバッグ7を伸長させ、施療部2を第2の施療位置に移動させることで行われる。つまり、施療部2が第2の施療位置に移動することで押圧部21から着座者200の背中に作用する押圧力が増大して指圧のマッサージ効果を得ることができる。
【0027】
上述のように、支持手段(スライダ6及びエアバッグ7)は、駆動手段(電磁ソレノイド3)が停止した状態で施療部2が身体を押圧しない非施療位置と、少なくとも電磁ソレノイド3が動作している状態で施療部2が身体を押圧する施療位置との間で可動ベース3を移動自在に支持している。このため、非施療位置にあるときは施療部2が身体を押圧しないためにシート100の座り心地が阻害されない。しかも、施療位置(第1の施療位置及び第2の施療位置)では施療部2が身体を押圧してマッサージするので、従来例のようにガスバッグ(エアバッグ)でマッサージする場合と比較して、マッサージ効果の向上を図ることができる。また、支持手段にエアバッグ7が用いられているので、エアバッグ7がエアダンパとしても機能し、施療部2から身体に過度の押圧力が作用することを抑えることができる。
【0028】
ところで、図11に示すようにマッサージユニット1がシート100の座部102内に収納されてもよい。ただし、座部102内に収納される場合、施療部2が身体を押圧する面、すなわち、施療部2と施療部位(着座者200の臀部又は大腿部)との接触面の大きさ(面積)を大きくすることが好ましい。そのために本実施形態では、図10に示すように施療部2の押圧部21よりも施療部位との接触面の面積の大きい第2施療部10が施療部2に取り付けられている。第2施療部10は、施療部2と同じく軟質合成樹脂製であって、全体が略直方体形状に形成されている。第2施療部10の下面側には施療部2の主部20及び押圧部21と嵌合する嵌合凹部(図示せず)が設けられている。つまり、主部20及び押圧部21が嵌合凹部に嵌合されることで第2施療部10が着脱自在に施療部2に取り付けられる。なお、第2施療部10が取り付けられた場合と第2施療部10が取り付けられていない場合とで、マッサージユニット1のマッサージ動作は共通である。
【符号の説明】
【0029】
1 マッサージユニット
2 施療部
3 電磁ソレノイド(駆動手段)
4 可動ベース
5 固定ベース
6 スライダ(支持手段)
7 エアバッグ(支持手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの背もたれや座部の内部に収納され、当該シートに着座する人の身体をマッサージするマッサージユニットであって、身体を押圧して施療する施療部と、当該施療部を駆動して往復運動させる駆動手段と、当該駆動手段を保持する可動ベースと、被固定部位に固定される固定ベースと、当該固定ベースに対して前記可動ベースを移動自在に支持する支持手段とを備え、当該支持手段は、前記駆動手段が停止した状態で前記施療部が身体を押圧しない非施療位置と、前記施療部が身体を押圧する施療位置との間で前記可動ベースを移動自在に支持することを特徴とするマッサージユニット。
【請求項2】
前記支持手段は、気体が流入及び流出することで伸縮するエアバッグを用いて前記可動ベースを移動させることを特徴とする請求項1記載のマッサージユニット。
【請求項3】
前記駆動手段は、プランジャの先端に前記施療部が固定された電磁ソレノイドを有することを特徴とする請求項1又は2記載のマッサージユニット。
【請求項4】
前記支持手段は、前記施療位置よりも身体に近い第2の施療位置まで前記可動ベースを移動自在とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のマッサージユニット。
【請求項5】
身体を押圧する面が前記施療部よりも大きく且つ前記施療部に着脱自在に取り付けられる第2施療部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のマッサージユニット。
【請求項1】
シートの背もたれや座部の内部に収納され、当該シートに着座する人の身体をマッサージするマッサージユニットであって、身体を押圧して施療する施療部と、当該施療部を駆動して往復運動させる駆動手段と、当該駆動手段を保持する可動ベースと、被固定部位に固定される固定ベースと、当該固定ベースに対して前記可動ベースを移動自在に支持する支持手段とを備え、当該支持手段は、前記駆動手段が停止した状態で前記施療部が身体を押圧しない非施療位置と、前記施療部が身体を押圧する施療位置との間で前記可動ベースを移動自在に支持することを特徴とするマッサージユニット。
【請求項2】
前記支持手段は、気体が流入及び流出することで伸縮するエアバッグを用いて前記可動ベースを移動させることを特徴とする請求項1記載のマッサージユニット。
【請求項3】
前記駆動手段は、プランジャの先端に前記施療部が固定された電磁ソレノイドを有することを特徴とする請求項1又は2記載のマッサージユニット。
【請求項4】
前記支持手段は、前記施療位置よりも身体に近い第2の施療位置まで前記可動ベースを移動自在とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のマッサージユニット。
【請求項5】
身体を押圧する面が前記施療部よりも大きく且つ前記施療部に着脱自在に取り付けられる第2施療部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のマッサージユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−223377(P2012−223377A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93796(P2011−93796)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]