説明

マッサージ器

【課題】容器内に差し込まれた手を容易に且つ確実に噴出水が当たる位置に位置させることができるマッサージ器を提供する。
【解決手段】マッサージ室7の側面に、使用者が該マッサージ室7内に両手を差し込むための差込口9L,9Rが設けられている。マッサージ室7内に、使用者が両手で握るための1対の握り棒11L,11Rが設けられている。各握り棒11L,11Rの外周面には、親指及び人差し指を掛けるための溝12が周設されている。各握り棒11L,11Rの側周面から側方へ張り出す張出部13が設けられている。各握り棒11L,11Rにより、マッサージ室7内における手の水平方向の位置決めが行われ、溝12により高さ方向の位置決めが行われ、張出部13により各握り棒11L,11Rの周方向の位置決めが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手に水を当てて手をマッサージするマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
手に水を当てて手をマッサージするマッサージ器として、特開平10−263032号公報に記載されたものがある。
【0003】
同号公報のマッサージ器は、内部にシャワー室を有しており、側面に該シャワー室内への手の挿入口が設けられた容器(同号公報では呼称なし。)と、該容器内に設置された貯水タンク及び湯沸装置と、シャワー室の天井面に設置された、該湯沸装置からの温水を下方に向って噴出するシャワー等を備えている。
【0004】
同号公報のマッサージ器により手をマッサージする場合には、手を容器の側面の挿入口からシャワー室内に差し込み、シャワーから噴出した温水を手に当てて手をマッサージする。
【0005】
同号公報にあっては、シャワー室内は、挿入口から該シャワー室内に挿入した手を、引っ繰り返したり、握ったり開いたりして自由に動かすことができるスペースとなっている。
【特許文献1】特開平10−263032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特開平10−263032号公報のマッサージ器にあっては、シャワー室内に差し込んだ手にシャワーからの噴出水を当てるために、容器の側面に設けられた覗き窓を覗きながら、又は手に当たる水の感触を頼りに、噴出水の落下地点まで手を移動させなければならない。また、噴出水の落下地点まで手を移動させた後、手がこの地点からずれないように注意を払い続けなければならない。
【0007】
本発明は、容器内に差し込まれた手を容易に且つ確実に噴出水が当たる位置に位置させることができるマッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のマッサージ器は、使用者が内部に手を差し込むための差込口を有した容器と、該容器内に差し込まれた手に噴出水を当てて手をマッサージする吐水ノズルとを有するマッサージ器であって、該容器内に、手を該吐水ノズルからの噴出水が当たる位置に位置させるための手の位置決め手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のマッサージ器は、請求項1において、前記手の位置決め手段は、該容器内に設置された、使用者が手で握るための握り棒を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のマッサージ器は、請求項2において、該握り棒の軸心線方向の所定位置において、該握り棒の外周面に、指を掛けるための溝が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のマッサージ器は、請求項2又は3において、該握り棒の周方向の所定位置において、該握り棒の外周面から張り出した張出部が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5のマッサージ器は、請求項2ないし4のいずれか1項において、前記吐水ノズルは、該握り棒を握った手に向って水を噴出するように設置されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6のマッサージ器は、請求項2ないし5のいずれか1項において、該握り棒は、その軸心線方向の鉛直方向又は水平方向に対する角度を調整可能に構成されており、前記吐水ノズルは、該握り棒の角度調整に連動して移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7のマッサージ器は、請求項6において、該握り棒は、使用者が手で押すことにより屈曲させることが可能な材質よりなり、該吐水ノズルは、該握り棒に設置されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8のマッサージ器は、請求項7において、該握り棒は、エラストマーよりなることを特徴とするものである。
【0016】
請求項9のマッサージ器は、請求項2ないし8のいずれか1項において、該握り棒に、前記吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項10のマッサージ器は、請求項1において、前記手の位置決め手段は、前記容器内に設置された基板部と、該基板部の上面から突設された、使用者が掌を載せる張出部と、該基板部のうち、該張出部に掌を載せた状態において各指の指先が重なる位置に設けられた、該基板部を貫通する指挿入口とを備えていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項11のマッサージ器は、請求項10において、前記吐水ノズルは、該基板部の下方において、該指挿入口に挿入された各指の指先に向って水を噴出するように設置されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項12のマッサージ器は、請求項10又は11において、該張出部は、使用者が手で押すことにより下方へ湾曲させることが可能な材質よりなることを特徴とするものである。
【0020】
請求項13のマッサージ器は、請求項12において、該張出部は、エラストマーよりなることを特徴とするものである。
【0021】
請求項14のマッサージ器は、請求項10ないし13のいずれか1項において、該張出部に、前記吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項15のマッサージ器は、請求項1において、前記手の位置決め手段は、前記容器内に設置された基板部と、該基板部の上面に形成された、使用者の手が嵌合可能な手形状の凹部とを備えていることを特徴とするものである。
【0023】
請求項16のマッサージ器は、請求項15において、前記吐水ノズルは、該凹部に嵌合した使用者の手に向って水を噴出するように設置されていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項17のマッサージ器は、請求項16において、前記吐水ノズルは、該凹部に嵌合した使用者の手の側面に向って水を噴出するように設置されていることを特徴とするものである。
【0025】
請求項18のマッサージ器は、請求項16において、前記吐水ノズルは、該凹部に嵌合した使用者の手の上方から、各指の指先から掌又は甲にかけて噴出水を当てるように構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項19のマッサージ器は、請求項18において、前記吐水ノズルは、各指の延在方向に沿って前後進可能に、又は揺動可能に設置されており、該吐水ノズルからの噴出水が各指の指先から掌又は甲にかけて当たるように該吐水ノズルを前後進又は揺動させる駆動装置が設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
請求項20のマッサージ器は、請求項18において、該吐水ノズルは、各指の指先から掌又は甲まで連続する帯状の噴出水を噴出するように構成されていることを特徴とするものである。
【0028】
請求項21のマッサージ器は、請求項15ないし20のいずれか1項において、前記基板部は、上下方向に回動可能に設置されており、且つその重心位置からずれた位置に回動軸を有していることを特徴とするものである。
【0029】
請求項22のマッサージ器は、請求項15ないし21のいずれか1項において、該凹部の底面に、該凹部内の水を排出するための排水口が設けられていることを特徴とするものである。
【0030】
請求項23のマッサージ器は、請求項15ないし22のいずれか1項において、該凹部は、使用者が手で押すことにより下方へ湾曲させることが可能な材質よりなることを特徴とするものである。
【0031】
請求項24のマッサージ器は、請求項23において、該凹部はエラストマーよりなることを特徴とするものである。
【0032】
請求項25のマッサージ器は、請求項15ないし24のいずれか1項において、該凹部に、前記吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明のマッサージ器にあっては、容器内に、手を吐水ノズルからの噴出水が当たる位置に位置させるための手の位置決め手段が設けられているので、容器内に差し込まれた手を容易に且つ確実に噴出水が当たる位置に位置させることができる。
【0034】
請求項2の態様にあっては、容器内に設置された握り棒を使用者が手で握ることにより、手の位置決めが行われる。
【0035】
請求項3の態様にあっては、握り棒の外周面に設けられた溝に所定の指を掛けるようにして握り棒を握ることにより、該握り棒の軸心線方向における手の位置決めが行われる。
【0036】
請求項4の態様にあっては、握り棒の外周面から張り出した張出部を手の所定の箇所(例えば人差し指と親指との間の股部や、各指の関節部など)に当てるようにして握り棒を握ることにより、該握り棒の周方向における手の位置決めが行われる。
【0037】
これらの握り棒、溝及び張出部は、いずれも使用者が手で触れることにより位置を感取することができるので、使用者が容器内を視認できなくても、容易に且つ確実に手の位置決めを行うことが可能である。
【0038】
請求項5のように、この握り棒を握った手に向って水を噴出するように吐水ノズルを設置することにより、確実に手に噴出水を当てて手をマッサージすることができる。
【0039】
請求項6の態様にあっては、握り棒を使用者の好みの角度に調整することができる。また、この際、吐水ノズルが握り棒の角度調整に連動して移動するので、握り棒の角度調整を行った後、吐水ノズルの位置調整を行わなくとも、該吐水ノズルからの噴出水が手に当たるようになる。
【0040】
この場合、請求項7のように、握り棒を、使用者が手で押すことにより屈曲させることが可能な材質にて構成することにより、使用者は手で握り棒を握ったまま、握り棒を好みの角度に調整することができる。また、吐水ノズルを握り棒に設置することにより、該吐水ノズルを握り棒の屈曲に追従させて移動させることができる。
【0041】
請求項8の通り、この握り棒の材質としては、エラストマーが好適である。
【0042】
請求項9の態様にあっては、握り棒に、吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられているので、このスイッチ操作の後に握り棒の位置がわからなくなることが防止される。
【0043】
請求項10の態様にあっては、容器内に設置された基板部の張出部に掌を載せると共に、この張出部の近傍の指挿入口に各指を挿入することにより、手の位置決めが行われる。
【0044】
これらの張出部及び指挿入口は、いずれも使用者が手で触れることにより位置を感取することができるので、使用者が容器内を視認できなくても、容易に且つ確実に手の位置決めを行うことが可能である。
【0045】
請求項11のように、この指挿入口に挿入された各指の指先に向って水を噴出するように吐水ノズルを設置することにより、各指の指先に確実に噴出水を当てて指先をマッサージすることができる。
【0046】
請求項12のように、張出部を、使用者が手で押すことにより下方へ湾曲させることが可能な材質にて構成することにより、使用者は掌を張出部に載せ、且つ各指を指挿入口に挿入したまま、手の高さ調整を行うことができる。
【0047】
請求項13の通り、この張出部の材質としては、エラストマーが好適である。
【0048】
請求項14の態様にあっては、張出部に、吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられているので、このスイッチ操作の後に張出部の位置がわからなくなることが防止される。
【0049】
請求項15の態様にあっては、容器内に設置された基板部に手を載せ、この基板部の上面の凹部に手を嵌合させることにより、手の位置決めが行われる。この凹部は、使用者が手で触れることにより位置を感取することができる。また、この凹部は手形状となっているので、手の向きや各指の位置を直感的に把握することができる。これにより、使用者が容器内を視認できなくても、容易に且つ確実に手の位置決めを行うことが可能である。
【0050】
請求項16のように、この凹部に嵌合した手に向って水を噴出するように吐水ノズルを設置することにより、確実に手に噴出水を当てて手をマッサージすることができる。
【0051】
この場合、請求項17のように、該凹部に嵌合した使用者の手の側面に噴出水を当てるように構成してもよく、請求項18のように、該凹部に嵌合した使用者の手の上方から、各指の指先から掌又は甲にかけて噴出水を当てるように構成してもよい。
【0052】
この請求項18の態様においては、請求項19のように、吐水ノズルを各指の延在方向に沿って前後進可能に又は揺動可能に設置し、この吐水ノズルからの噴出水が各指の指先から掌又は甲にかけて当たるように該吐水ノズルを前後進又は揺動させる駆動装置を設けてもよい。あるいは、請求項20のように、吐水ノズルを、各指の指先から掌又は甲まで連続する帯状の噴出水を噴出するように構成してもよい。
【0053】
請求項21の態様にあっては、使用者が凹部から手を離すと、基板部がその自重により回動して傾斜した姿勢となる。これにより、凹部内から水が排出され、凹部内を衛生的に保つことができる。
【0054】
請求項22のように、凹部の底面に、該凹部内の水を排出するための排水口が設けられてもよい。
【0055】
請求項23のように、凹部を、使用者が手で押すことにより下方へ湾曲させることが可能な材質にて構成することにより、使用者は手を凹部に嵌合させたまま、手の高さ調整を行うことができる。
【0056】
請求項24の通り、この凹部の材質としては、エラストマーが好適である。
【0057】
請求項25の態様にあっては、凹部に、吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられているので、このスイッチ操作の後に凹部の位置がわからなくなることが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0059】
第1図は実施の形態に係るマッサージ器の全体斜視図、第2図(a)はこのマッサージ器の座席の側面図、第2図(b)はこの座席の上面図、第3図はこのマッサージ器の握り棒の斜視図、第4図は使用者がこの握り棒を握った状態を示す斜視図、第5図はこの握り棒と使用者の手との上面図、第6図はこの握り棒を曲げた状態を示す斜視図である。なお、第3〜6図には左手用の握り棒が図示されているが、右手用の握り棒はこの左手用の握り棒と左右対称の構成となっている。
【0060】
以下の説明において、前後左右はマッサージ器使用者にとっての前後左右と一致する。
【0061】
この実施の形態では、マッサージ器1は、床上に設置されるベース2と、該ベース2上に設置されたマッサージ器本体3と、該マッサージ器本体3と対面するように該ベース2上に設置された、マッサージ器使用者が座るための座席4等を備えている。
【0062】
該マッサージ器本体3は、この実施の形態では、該ベース2の上面から立設された略円筒形のハウジング(容器)5を備えている。このハウジング5内は、下段のタンク収容室6と、中段のマッサージ室7と、上段のヘッダー室8とに分画されている。
【0063】
このハウジング5は、水や薬効成分等に対する耐食性を有した材質よりなる。このハウジング5の材質としては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリル樹脂等が好ましい。また、このハウジング5は、各室6〜8間での漏水やハウジング5外への水の飛散が防止された防水構造となっている。なお、このハウジング5は、各室6〜8が一体に構成されたものであってもよく、各室6〜8ごとに別体に構成され、これらが上下多段に連結されたものであってもよい。
【0064】
マッサージ室7の座席4側の側面には、この座席4に座った使用者が該マッサージ室7内に両手を差し込むための差込口9L,9Rが設けられている。これらの差込口9L,9Rは、ハウジング5の周方向に位置を異ならせて配置されている。また、これらの差込口9L,9Rは、座席4に座った使用者が楽な姿勢にて両手をそれぞれ該差込口9L,9Rに差し込みうる高さに配置されている。各差込口9L,9Rの径は100〜200mm、特に120〜150mmであることが好ましい。ベース2の上面から各差込口9L,9Rの中心までの高さは600〜900mm、特に700〜800mmであることが好ましい。また、差込口9L,9Rの中心同士の間隔は250〜600mm、特に300〜500mmであることが好ましい。
【0065】
各差込口9L,9Rには、これらに手が差し込まれていないときにはこれらを閉鎖していると共に、これらに手が差し込まれたときには該手(又は腕)とこれらの内周縁との間を塞ぐように構成されたシール部材10が設けられている。この実施の形態では、該シール部材10は、各差込口9L,9Rを覆ったゴムシートよりなる。このゴムシートには、各差込口9L,9Rの中心付近から放射状にスリットが設けられており、このスリットを押し広げるようにして手をマッサージ室7に差し込みうるようになっている。手を引き抜くと、このスリットが閉じて差込口9L,9Rが閉鎖状態となる。なお、シール部材10の構成はこれに限定されない。
【0066】
この実施の形態では、マッサージ室7内に、手の位置決め手段として、使用者が両手で握るための1対の握り棒11L,11Rが設けられている。これらの握り棒11L,11Rは、左右に位置を異ならせて配置されており、使用者は左側の握り棒11Lを左手で握り、右側の握り棒11Rを右手で握る。
【0067】
この実施の形態では、各握り棒11L,11Rは、それぞれマッサージ室7の底面から立設されている。第3図の符号11aは、各握り棒11L,11Rの下端に設けられた、マッサージ室7の底面に重なるベースプレートを示している。このベースプレート11aがマッサージ室7の底面の所定位置に重ね合わされてビス又はボルト(図示略)等により該底面に固定されている。なお、握り棒11L,11Rは、マッサージ室7の天井面から下方へ立設されたものであってもよく、マッサージ室7の側面に支持されたものであってもよい。
【0068】
左側の差込口9Lから左側の握り棒11Lまでの距離は50〜200mm、特に100〜150mmであることが好ましく、右側の差込口9Rから右側の握り棒11Rまでの距離は50〜200mm、特に100〜150mmであることが好ましい。
【0069】
使用者が両手で握り棒11L,11Rをそれぞれ握ることにより、この両手のマッサージ室7内における水平方向の位置決めが行われる。
【0070】
各握り棒11L,11Rの外周面には、それぞれ所定高さに溝12が周設されている。この実施の形態では、第4図に示す通り、使用者は親指及び人差し指をこの溝12に引っ掛けるようにして各握り棒11L,11Rを握る。これにより、両手の高さ方向の位置決めが行われる。なお、親指及び人差し指が引っ掛かる溝12だけでなく、上下に位置を異ならせて中指、薬指、小指がそれぞれ引っ掛かる溝も設けられてもよい。
【0071】
この実施の形態では、各握り棒11L,11Rに、該握り棒11L,11Rの外周面から側方へ張り出す張出部13が設けられている。なお、第5図に示すように、この張出部13の外面は各握り棒11L,11Rの外周面と滑らかに連続しており、各握り棒11L,11Rは、いわゆる卵形の断面形状となっている。左側の握り棒11Lの張出部13は左側の差込口9L側へ向って張り出しており、右側の握り棒11Rの張出部13は右側の差込口9R側へ向って張り出している。第5図の通り、この張出部13は、使用者の手の親指と人差し指との間の股部にフィットする形状となっている。この張出部13が親指と人差し指との間の股部に当るように使用者が各握り棒11L,11Rを握ることにより、各握り棒11L,11Rの周方向における両手の位置決めが行われる。
【0072】
なお、これらの握り棒11L,11R、溝12及び張出部13は、いずれも使用者が手で触れることにより位置を感取することができるので、使用者がマッサージ室7内を視認できなくても、容易に且つ確実に両手の位置決めを行うことが可能である。
【0073】
この実施の形態では、各握り棒11L,11Rは比較的柔軟な材質よりなり、第6図の如く、使用者が手で押すことにより、各握り棒11L,11Rを前後左右に屈曲させうるように構成されている。このように握り棒11L,11Rを屈曲させることにより、該握り棒11L,11Rの角度を使用者の好みの角度とすることができる。この握り棒11L,11Rの材質としては、エラストマーが好適であるが、これに限定されない。
【0074】
この実施の形態では、各握り棒11L,11Rに、それぞれ、該握り棒11L,11Rを握った手に噴出水を当てて手をマッサージするための吐水ノズル14が設けられている。第4,5図の通り、この実施の形態では、該吐水ノズル14は、溝12よりも上方の張出部13側の側面に設けられている。この吐水ノズル14は、第4図の如く、該溝12に親指と人差し指とを掛け、且つこの親指と人差し指との間の股部に張出部13を当てるようにして各握り棒11L,11Rを手で握った状態において、この手の親指の付け根と人差し指の付け根との中間付近に向って水を噴出するように構成されている。
【0075】
なお、このように吐水ノズル14を各握り棒11L,11Rに設けたことにより、第6図のように各握り棒11L,11Rを屈曲させた場合には、各握り棒11L,11Rと一体的に吐水ノズル14が移動する。そのため、各握り棒11L,11Rを屈曲させても、該吐水ノズル14からは、各握り棒11L,11Rを握った手の親指の付け根と人差し指の付け根との中間付近に向って水が噴出する。
【0076】
各握り棒11L,11R内には、後述の給水タンク20からこの吐水ノズル14に噴出水を供給するための給水路15が設けられている。この実施の形態では、該給水路15は、各握り棒11L,11Rの屈曲に追従して屈曲可能なフレキシブルホースよりなる。
【0077】
図示は省略するが、握り棒11L,11Rの少なくとも一方には、吐水ノズル14からの水の噴出及び噴出停止を切り替えるON/OFFスイッチと、この噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整又は切り替えるためのスイッチが設けられている。なお、このON/OFFスイッチとして、各握り棒11L,11Rに感圧センサ(図示略)を設け、使用者が握り棒11L,11Rを手で握ったことを該感圧センサが検知したときに吐水ノズル14から水が噴出するように構成してもよい。
【0078】
第1図に示すように、この実施の形態では、各握り棒11L,11Rの前方にも、該握り棒11L,11Rを握った両手に向ってそれぞれ水を噴出する吐水ノズル16L,16Rが設けられている。この吐水ノズル16L,16Rからの水の噴出のON/OFFの切り替え、並びに噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の調整又は切り替えは、握り棒11L,11Rに設けられたスイッチにより行われてもよく、別途設けられたスイッチにより行われてもよい。なお、この吐水ノズル16L,16Rは省略されてもよい。
【0079】
マッサージ室7の底面には、各吐水ノズル14,16L,16Rから吐出された水を排出するための排水口17が設けられている。
【0080】
この実施の形態では、マッサージ室7の天井面には、該マッサージ室7内を昇温させるための加熱ランプ18と、該マッサージ室7内に紫外線を照射して該マッサージ室7内を殺菌するための殺菌ランプ19とが設けられている。
【0081】
なお、この実施の形態では、マッサージ室7内に手が差し込まれたことを検知する手検知センサ(図示略)が設けられており、マッサージ室7内に手が差し込まれたことが該手検知センサにより検知されると、自動的に加熱ランプ18が点灯してマッサージ室7内が暖められ、手が検地されなくなると、加熱ランプ18が消灯すると共に、殺菌ランプ19が点灯してマッサージ室7内の殺菌が行われるように構成されている。
【0082】
このマッサージ室7の下側のタンク収容室6内には、各吐水ノズル14,16L,16Rに供給される水が貯留された給水タンク20と、排水口17から排出された水を溜めておくための排水タンク21と、後述の気体散布ノズル30に供給される気体が充填された気体タンク22等が収容されている。この実施の形態では、気体タンク22内に気体として酸素富加空気が充填されている。
【0083】
該給水タンク20からポンプ23を介して各吐水ノズル14,16L,16Rにそれぞれ給水管24が接続されている。この実施の形態では、該給水タンク20は水を温めるヒータ(図示略)を備えており、該給水タンク20から各吐水ノズル14,16L,16Rに温水を供給可能となっている。この温水の水温は、前述の握り棒11L,11Rに設けられたスイッチ又は後述の操作パネル32を操作することにより調整可能となっている。
【0084】
マッサージ室7の排水口17と排水タンク21とは排水管25により接続されている。符号26は、この排水管25に設けられた開閉弁を示している。
【0085】
気体散布ノズル30と気体タンク22とは給気管27により接続されている。
【0086】
この実施の形態では、該タンク収容室6の座席4側の側面に、この座席4に座った使用者の脚部を温めるための脚部加温装置28が設けられている。この脚部加温装置28は、使用者の体格や着座姿勢に合わせて前後、左右及び上下に位置変更可能となっている。
【0087】
この実施の形態では、ヘッダー室8は、第1図に示すように、座席4に座った使用者の頭部の前方に位置する高さに設置されている。
【0088】
このヘッダー室8の座席4側の側面には、使用者の頭部を受け止めるための頭部支持部材29が設けられている。この頭部支持部材29は、座席4に座った使用者の額付近に対面する高さに配置されている。なお、この頭部支持部材29は、使用者の体格等に合わせて上下に位置変更可能に設けられていてもよい。この頭部支持部材29は、発泡ウレタン等のクッション材よりなるが、この頭部支持部材29の材質に特に制限はない。
【0089】
この実施の形態では、該頭部支持部材29の前面に、カバーシート(図示略)が貼り付けられるようになっている。
【0090】
このヘッダー室8の座席4側の側面のうち、座席4に座った使用者の口又は鼻孔と対面する高さ付近には、該使用者に向って気体を噴出する気体散布ノズル30が設けられている。
【0091】
なお、この実施の形態では、ヘッダー室8の座席4側の側面のうち頭部支持部材29よりも下側の部分は、第1図の如く使用者の顔面から離隔するように後方へ後退した凹所となっている。この凹所の下側の段差面は、頭部支持部材29に額を当ててうつむいた状態の使用者の顔面と正対しうるように、該使用者側ほど下位となる傾斜面となっている。この傾斜面に気体散布ノズル30が設置されている。
【0092】
この実施の形態では、気体散布ノズル30には香りシート設置部31が設けられており、使用者がこの香りシート設置部31に、好みの香りを発する香りシート(図示略)、即ち芳香剤を設置することができるようになっている。この香りシート設置部31に香りシートを設置して気体散布ノズル30から気体を噴出させると、この気体散布ノズル30から香り付きの気体が噴出するようになる。
【0093】
前述の通り、この実施の形態では、この気体散布ノズル30に気体を供給するための気体タンク22には酸素富加空気が充填されているが、これ以外の気体が充填されてもよい。
【0094】
頭部支持部材29の下側の凹所の奥側面には、このマッサージ器1に装備された各機器を操作するための操作パネル32が設けられている。詳しい図示は省略するが、この実施の形態では、該操作パネル32には、使用者を識別するためのIDカードを読み取るカード読取機と、各機器の操作スイッチが表示されるタッチパネル式のディスプレーとが設けられている。
【0095】
第1図に示すように、この実施の形態では、ヘッダー室8の上部に、上方から使用者の頭部に被さるフード33が取り付けられている。このフード33は、使用者の頭部を首付近まですっぽりと覆う大きさとなっている。このフード33は、上下動可能に該ヘッダー室8に取り付けられている。
【0096】
このフード33の後部の下縁部には、使用者の首を温めるためのヒータ34が設けられている。このヒータ34は、使用者の首の左右の側面及び後面を取り囲むように配設されている。また、このフード33の後部内面には、指向性スピーカ35が設けられている。
【0097】
このフード33は、遮音性を有する材質にて構成されている。このフード33の材質としては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)が好適である。
【0098】
なお、このフード33の代わりに、使用者が遮音型ヘッドフォン(図示略)を装着するようにしてもよい。
【0099】
ヘッダー室8内には、音響装置及び通信装置(いずれも図示略)と、前記操作パネル32のスイッチ操作に基づいて各機器の作動を制御する制御回路(図示略)とを備えた制御ユニット36が設置されている。
【0100】
座席4は、ベース2から立設された脚部37と、ヒンジ38を介して該脚部37の上部に前後方向に回動可能に連結された座部39等を備えている。
【0101】
第2図(a)に示すように、該脚部37の下端にはスライド支持部40が設けられている。ベース2の上面には、前後方向に延在するガイド溝41が設けられており、このガイド溝41にスライド支持部40が前後方向移動可能に係合している。
【0102】
座部39は、使用者が腰掛ける座面42と、該座面42の後部から立ち上がる背凭れ43とを有している。該座面42の表面にはクッション材44が設けられている。
【0103】
第2図(b)に示すように、該座面42は、略U字形の平面視形状を有しており、その左右方向の中央部が前方に向って開放した凹所42aとなっている。この実施の形態では、座席4を前進させると、ハウジング5の下部即ちタンク収容室6がこの凹所42a内に入り込むように構成されている。即ち、この実施の形態では、マッサージ器1の非使用時には、座席4をハウジング5に密着させてコンパクトに収納することができるようになっている。
【0104】
ベース2上には、座席4に座った使用者が足を置くフットレスト45が設けられている。
【0105】
このように構成されたマッサージ器1の使用方法について次に説明する。
【0106】
まず、座席4を好みの位置及び角度として該座席4に腰掛ける。次に、操作パネル32のカード読取機に各自のIDカードを読み取らせ、個人認証を受ける。次いで、操作パネル32のタッチパネルを操作して温水や各ヒータの温度、作動時間など、各機器の作動条件や、好みの音楽等を入力する。また、香りシート設置部31に香りシートを設置すると共に、頭部支持部材29の前面にカバーシートを貼り付ける。
【0107】
その後、フード33を下ろして頭に被せる。そして、両手を各差込口9L,9Rからマッサージ室7内に差し込んで各握り棒11L,11Rを握ると共に、額を頭部支持部材29に当てる。このとき、手検知センサがこの手の進入を検知して加熱ランプ18が点灯し、マッサージ室7内が暖められる。その後、握り棒11L,11Rのスイッチを操作して各吐水ノズル14,16L,16Rから水(温水)を噴出させ、この噴出水を手に当てて手をマッサージする。該吐水ノズル14からは、握り棒11L,11Rを握った手の親指の付け根と人差し指の付け根との中間付近に向って水が噴出されるため、該吐水ノズル14からの噴出水によりこの部分のツボが刺激される。
【0108】
この際、気体散布ノズル30から好みの香り付きの酸素富加空気が噴出する。また、フード33により周囲の雑音等が遮断されると共に、該フード33内の指向性スピーカ35から好みの音楽が流れる。さらに、脚部加温装置28により脚部が温められ、ヒータ34により首が温められる。これにより、高いリラクゼーション効果が得られる。
【0109】
所定時間(例えば10分程度)経過すると、各機器の作動が停止する。その後、両手をマッサージ室7から抜き出すと、手検知センサがこれを検知して加熱ランプ18が消灯すると共に、殺菌ランプ19が点灯してマッサージ室7内の殺菌が行われる。
【0110】
このマッサージ器1にあっては、使用者が両手でそれぞれ握り棒11L,11Rを握ることにより、この両手のマッサージ室7内における水平方向の位置決めが行われる。また、この際、両手の親指及び人差し指を各握り棒11L,11Rの外周面の溝12に引っ掛けることにより、両手の高さ方向の位置決めが行われる。さらに、各握り棒11L,11Rの側周面から張り出した張出部13を両手の親指と人差し指との間の股部に当てることにより、各握り棒11L,11Rの周方向における両手の位置決めが行われる。これにより、両手を容易に且つ確実に各吐水ノズル14,16L,16Rからの噴出水が当たる位置に位置させて両手をマッサージすることができる。
【0111】
なお、この実施の形態では、座席4、脚部加温装置28及びフード33を手動で好みの位置及び角度まで移動させるように構成しているが、これらが自動的に指定の位置まで移動するように構成してもよい。例えば、カード読取機で各使用者のIDカードを読み取ったときに、座席4、脚部加温装置28及びフード33が、それぞれ予め各使用者が登録しておいた位置及び角度まで自動的に移動するように構成してもよい。
【0112】
マッサージ室7を昇降可能に設置し、差込口9L,9Rの配置高さを調節しうるように構成してもよい。
【0113】
第7図は、手の位置決め手段の別の構成例を示す平面図であり、第8図は第7図のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0114】
この実施の形態では、手の位置決め手段として、マッサージ室7内に、使用者が両手をそれぞれ載せる1対の手支持部材50が設けられている。第7,8図は、右手用手支持部材50を示している。左手用手支持部材50は、この右手用手支持部材50と左右対称の構成となっている。
【0115】
この手支持部材50は、使用者が上方から手を重ねる基板部51と、該基板部51から上方に張り出した略半円球状の張出部52と、該基板部51を上下方向に貫通した指挿入口53a,53b,53c,53d,53e等を有している。該張出部52は、使用者が掌の中央部を当てて包み込むように保持するのに適した形状及び大きさとなっている。
【0116】
第7図の通り、指挿入口53a〜53eは、使用者が掌の中央部を該張出部52に当てた状態において、それぞれ親指、人差し指、中指、薬指及び小指の指先が重なる位置に配置されている。第8図の通り、各指挿入口53a〜53eは、それぞれ、各指を挿入したときにその指先を第1関節付近まで基板部51の下面側に露呈させうる形状及び大きさとなっている。
【0117】
この実施の形態では、該張出部52はエラストマー製であり、使用者が手で張出部52を下方へ押すことにより、該張出部52が下方へ湾曲して手の高さ位置を調整しうるようになっている。なお、張出部52の材質はこれに限定されない。
【0118】
マッサージ室7内には、この手支持部材50が取り付けられるフランジ部54(第8図)が該マッサージ室7の内周面から突設されている。手支持部材50は、基板部51の周縁部がこのフランジ54に重ね合わされ、該周縁部のボルト挿通孔55(第7図)を介してボルト56及びナット57(第8図)により該フランジ部54に固定されている。
【0119】
この実施の形態では、第8図に示すように、手支持部材50の下方に、各指挿入口53a〜53eに挿入されて該手支持部材50の下面側に露呈した各指の指先に噴出水を当ててマッサージするための吐水ノズル60が設けられている。この実施の形態では、該吐水ノズル60は、各指の第1関節よりも先端側の腹部中央付近に向って水を噴出するように配置されている。符号61は、前記給水タンク20からこの吐水ノズル60に水を供給するための給水管を示している。
【0120】
なお、親指用、人差し指用、中指用、薬指用、小指用として計5個の吐水ノズル60を設置してもよく、1個の吐水ノズル60を左右方向に移動可能に又は水の噴出方向を変更可能に設置し、共通の吐水ノズル60で各指をマッサージするように構成してもよい。
【0121】
図示は省略するが、この実施の形態では、手支持部材50の張出部52に、吐水ノズル60からの水の噴出及び噴出停止を切り替えるON/OFFスイッチと、この噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整又は変更するためのスイッチが設けられている。なお、このON/OFFスイッチとして、張出部52に感圧センサ(図示略)を設け、使用者が張出部52に手を載せたことを該感圧センサが検知したときに吐水ノズル60から水が噴出するように構成してもよい。
【0122】
この手支持部材50を備えたマッサージ器のその他の構成は、前述の実施の形態と同様である。
【0123】
このマッサージ器でマッサージを行なう場合、使用者は、両手をそれぞれ差込口9L,9Rからマッサージ室7内に差し込み、掌の中央部を各手支持部材50の張出部52に当て、各指をそれぞれ対応する各指挿入口53a〜53eに挿入する。その後、前記ON/OFFスイッチを操作して吐水ノズル60から温水を噴出させ、この噴出水を各指の指先の腹に当てる。これにより、指先の腹のツボが刺激され、手がマッサージされる。このマッサージ器のその他の操作方法は前述の実施の形態と同様である。
【0124】
なお、この実施の形態の手支持部材50にあっても、張出部52及び各指挿入口53a〜53eは、いずれも使用者が手で触れることにより位置を感取することができるので、使用者がマッサージ室7内を視認できなくても、容易に且つ確実に両手の位置決めを行うことが可能である。
【0125】
第9図は、この手支持部材の変更例を示す断面図である。なお、第9図は第8図と同様部分の断面を示している。
【0126】
この第9図の手支持部材50Aにおいては、張出部52の中央部に、基板部51を上下方向に貫通する透孔58が設けられている。この実施の形態では、該手支持部材50Aの下方に、該透孔58を通して掌の中央部に水を当てるための吐水ノズル60が増設されている。
【0127】
この手支持部材50Aのその他の構成及びこの手支持部材50Aを備えたマッサージ器のその他の構成は、前述の第7,8図の実施の形態と同様であり、第9図において第7,8図と同一符号は同一部分を示している。
【0128】
この実施の形態にあっては、各指の指先だけでなく、掌の中央部にも吐水ノズル60からの噴出水を当ててマッサージすることができる。
【0129】
上記の第7,8図および第9図の各実施の形態では、各指の指先の腹側に吐水ノズル60からの噴出水を当てるように構成しているが、第10図のように、指先の側面に吐水ノズル60からの噴出水を当てるように構成してもよい。
【0130】
この第10図の実施の形態では、指挿入口53に挿入されて手支持部材(符号略)の下面側に露出した指先の左右両側に吐水ノズル60が設置されており、これらの吐水ノズル60から指先の左右の側面に向ってそれぞれ水が噴出される。これにより、指先の左右の側面のツボが刺激されるようになる。
【0131】
第11図は、手の位置決め手段のさらに別の構成例を示す平面図であり、第12図(a),(b)はそれぞれ第11図のXII−XII線に沿う断面図である。なお、第12図(a)は手支持部材に手を載せた状態を示し、第12図(b)は手支持部材から手を離した状態を示している。
【0132】
この実施の形態では、手の位置決め手段として、マッサージ室7内に、使用者が両手をそれぞれ載せる1対の手支持部材70が設けられている。第11,12図は、右手用手支持部材70を示している。左手用手支持部材70は、この右手用手支持部材70と左右対称の構成となっている。
【0133】
この手支持部材70は、使用者が上方から手を重ねる基板部71と、該基板部71の上面に形成された、手の形状を模した手形の如き平面視形状の凹部72と、該基板部71の周縁部から立設された周壁部73と、該基板部71上から水を排出するための排出口74等を備えている。この実施の形態では、基板部71は、凹部72の中指部分の先端側が最も前方に張り出した形状となっており、この基板部71の前端部に排出口74が配置されている。
【0134】
第11図の通り、凹部72は、開いた手を甲側から見た如き形状となっており、使用者は、掌を基板部71側に向けてこの凹部72に手を嵌め込みうるようになっている。
【0135】
この実施の形態では、基板部71上の凹部72左右両側に、それぞれ前後方向に配置位置を異ならせて複数個(この実施の形態ではそれぞれ3個)の吐水ノズル80が設置されている。これらの吐水ノズル80は、使用者が手を凹部72には嵌め込んだ状態においてこの手の左右の側面に向って水を噴出するように設置されている。
【0136】
この実施の形態では、マッサージ室7内に、この手支持部材70を回動可能に支持する支軸90が設けられている。この支軸90は、マッサージ室7内において略左右方向に延在している。第12図(a),(b)に示すように、手支持部材70の基板部71の下面には軸支部75が設けられており、この軸支部75に支軸90が挿通されることにより、手支持部材70が該支軸90回りに回動可能にマッサージ室7内に設置されている。
【0137】
この軸支部75は、手支持部材70の重心位置よりも後方に配置されている。そのため、手支持部材70は、基板部71上に手が載荷されていない状態にあっては、第12図(b)のように、前部側が自重により下方へ落下するように回動して傾いた状態となっている。この実施の形態では、手支持部材70の前部側が下方へ所定角度まで回動したときにストッパ91が手支持部材70の前端部に下方から当接して該手支持部材70の回動を停止させる。この状態で使用者が基板部71上に手を載せると、第12図(a)の通り、手支持部材70の後部側に荷重が加えられ、手支持部材70は前部側が上方へ持ち上げられるように回動する。この実施の形態では、手支持部材70が略水平となるまで回動したときにストッパ92が手支持部材70の後端部に下方から当接して該手支持部材70を略水平に支持するようになっている。
【0138】
この実施の形態では、基板部71はエラストマー製であり、使用者が手で該基板部71を下方へ押すことにより、該基板部71が下方へ湾曲して手の高さ位置を調整することができるようになっている。ただし、基板部71の材質はこれに限定されない。
【0139】
図示は省略するが、この実施の形態では、手支持部材70の凹部72に、各吐水ノズル80からの水の噴出及び噴出停止を切り替えるON/OFFスイッチと、この噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整又は切り替えるためのスイッチが設けられている。なお、このON/OFFスイッチとして、該凹部72に感圧センサ(図示略)を設け、使用者が凹部72に手を載せたことを該感圧センサが検知したときに各吐水ノズル80から水が噴出するように構成してもよい。また、ストッパ92にこのON/OFFスイッチを設け、ストッパ92に手支持部材70が接触したときに各吐水ノズル80から水が噴出するように構成してもよい。
【0140】
この手支持部材70を備えたマッサージ器のその他の構成は、前述の実施の形態と同様である。
【0141】
このマッサージ器でマッサージを行なう場合、使用者は、両手をそれぞれ差込口9L,9Rからマッサージ室7に差し込み、掌を下に向けて各手支持部材70の凹部72に手を嵌め込む。この際、各手支持部材70は、手からの荷重により第12図(a)の如く略水平となるように回動する。その後、前記ON/OFFスイッチを操作して各吐水ノズル80から温水を噴出させ、この噴出水を手の左右の側面に当てる。これにより、手の左右の側面のツボが刺激され、手がマッサージされる。このマッサージ器のその他の操作方法は前述の実施の形態と同様である。
【0142】
なお、この実施の形態の手支持部材70にあっても、凹部72は、使用者が手で触れることにより位置を感取することができる。また、この凹部72は手形状となっているので、手の向きや各指の位置を直感的に把握することができる。これにより、使用者がマッサージ室7内を視認できなくても、容易に且つ確実に両手の位置決めを行うことが可能である。
【0143】
この実施の形態にあっては、マッサージ終了後、使用者が手支持部材70から手を離すと、第12図(b)の如く、手支持部材70は自重により前部側が下方へ落下するように回動する。これにより、基板部71が傾き、凹部72内の水が排出されるようになる。
【0144】
なお、この凹部72の底面に、該凹部72内の水を排出するための排水口が設けられてもよい。
【0145】
第13図は、手の位置決め手段のさらに別の構成例を示す平面図であり、第14図(a),(b)はそれぞれ第13図のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【0146】
この実施の形態では、使用者の手の置き方や吐水ノズルの配置等が前述の第11,12図の実施の形態とは異なっている。
【0147】
この実施の形態における手の位置決め手段としての手支持部材70Aにあっては、基板部71上に形成された凹部72Aは、開いた状態の手を掌側から見た如き平面視形状となっている。第13図のように、使用者は、掌を上に向けてこの凹部72Aに手を嵌め込む。
【0148】
この実施の形態では、手支持部材70Aの凹部72Aの左右両側には吐水ノズル80が設置されていない。この実施の形態では、第14図(a),(b)のように、手支持部材70Aの上方に吐水ノズル81が配置されている。符号82は、前述の給水タンク20からこの吐水ノズル81に水を供給するための給水管を示している。ただし、手支持部材70と同様に、凹部72Aの左右両側にも、それぞれ前後方向に配置位置を異ならせて複数個の吐水ノズル80が設置されてもよい。
【0149】
この実施の形態では、吐水ノズル81は凹部72Aに嵌め込まれた手の各指の直上に配置されており、各指の延在方向に沿って各指の先端付近から掌まで前後進可能となっている。第13図の矢印Sは、それぞれ、この吐水ノズル81の移動経路を示している。この吐水ノズル81は、図示しない駆動装置によって前後進される。この吐水ノズル81から各指の腹及び掌に向って水が噴出される。
【0150】
なお、親指用、人差し指用、中指用、薬指用、小指用として計5個の吐水ノズル81を設置してもよく、吐水ノズル81を左右方向にも移動可能に又は水の噴出方向を変更可能に設置し、共通の吐水ノズル81で各指をマッサージするように構成してもよい。
【0151】
図示は省略するが、この実施の形態でも、手支持部材70Aの凹部72Aに、吐水ノズル81からの水の噴出及び噴出停止を切り替えるON/OFFスイッチと、この噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整又は切り替えるためのスイッチが設けられている。なお、このON/OFFスイッチとして、凹部72Aに感圧センサ(図示略)を設け、使用者が凹部72Aに手を載せたことを該感圧センサが検知したときに吐水ノズル81から水が噴出するように構成してもよい。また、ストッパ92にこのON/OFFスイッチを設け、ストッパ92に手支持部材70Aが接触したときに吐水ノズル81から水が噴出するように構成してもよい。
【0152】
なお、第13,14図は左手用の手支持部材70Aを示している。右手用の手支持部材70Aは、この左手用手支持部材70Aと左右対称の構成となっている。
【0153】
この手支持部材70Aのその他の構成及びこの手支持部材70Aを備えたマッサージ器のその他の構成は、前述の第11,12図の実施の形態と同様である。
【0154】
このマッサージ器でマッサージを行なう場合、使用者は、両手をそれぞれ差込口9L,9Rからマッサージ室7に差し込み、掌を上に向けて各手支持部材70Aの凹部72Aに手を嵌め込む。この際、各手支持部材70Aは、手からの荷重により第14図(a)の如く略水平となるように回動する。その後、前記ON/OFFスイッチを操作して吐水ノズル81から温水を噴出させ、この噴出水を各指の指先から掌に当てる。これにより、手の血行が促進されるようになる。このマッサージ器のその他の操作方法は前述の実施の形態と同様である。
【0155】
なお、この実施の形態の手支持部材70Aにあっても、凹部72Aは、使用者が手で触れることにより位置を感取することができる。また、この凹部72Aは手形状となっているので、手の向きや各指の位置を直感的に把握することができる。これにより、使用者がマッサージ室7内を視認できなくても、容易に且つ確実に両手の位置決めを行うことが可能である。
【0156】
この実施の形態にあっても、マッサージ終了後、使用者が手支持部材70Aから手を離すと、第14図(b)の如く、手支持部材70Aは自重により前部側が下方へ落下するように回動する。これにより、基板部71が傾き、凹部72A内の水が排出されるようになる。
【0157】
なお、この実施の形態においても、該凹部72Aの底面に、該凹部72A内の水を排出するための排水口が設けられてもよい。
【0158】
この実施の形態では、吐水ノズル81はビーム状に水を噴出するものであり、この吐水ノズル81を前後進させることにより指先から掌まで噴出水を当てるように構成しているが、吐水ノズル81として、指先の上方から掌の上方まで延在するスリット状の吐水口を有するノズルを用い、このノズルから帯状に水を噴出させて指先から掌まで同時に噴出水を当てるように構成してもよい。ビーム状に水を噴出するノズルを複数個、指先の上方から掌の上方まで配列することにより、指先から掌まで同時に噴出水を当てるように構成してもよい。
【0159】
この実施の形態では、吐水ノズル81は、各指の延在方向に沿って前後進するものとなっているが、前後方向に首振り(揺動)可能なものとされてもよい。
この実施の形態では、使用者は掌を上にして手を手支持部材70Aに載せるように構成しているが、甲を上にして手を手支持部材70Aに載せるように構成してもよい。掌を上にする場合と甲を上とする場合とでは、凹部72Aの形状は略左右対称となる。
【0160】
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は図示の構成に限定されない。
【0161】
例えば、本発明のマッサージ器は、水で手をマッサージするマッサージ機能のみを有した構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】実施の形態に係るマッサージ器の全体斜視図である。
【図2】マッサージ器の座席の側面図及び上面図である。
【図3】マッサージ器の握り棒の斜視図である。
【図4】使用者が握り棒を握った状態を示す斜視図である。
【図5】握り棒と使用者の手との上面図である。
【図6】握り棒を曲げた状態を示す斜視図である。
【図7】手の位置決め手段の別の構成例を示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】手支持部材の変更例を示す断面図である。
【図10】吐水ノズルの別の配置を示す斜視図である。
【図11】手の位置決め手段のさらに別の構成例を示す平面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】手の位置決め手段のさらに別の構成例を示す平面図である。
【図14】図13のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0163】
1 マッサージ器
2 ベース
3 マッサージ器本体
4 座席
5 ハウジング
6 タンク収容室
7 マッサージ室
8 ヘッダー室
9L,9R 差込口
11L,11R 握り棒
12 溝
13 張出部
14 吐水ノズル
20 給水タンク
21 排水タンク
22 気体タンク
28 脚部加温装置
29 頭部支持部材
30 気体散布ノズル
31 香りシート設置部
32 操作パネル
33 フード
34 ヒータ
35 スピーカ
36 制御ユニット
50 手支持部材
51 基板部
52 張出部
53,53a〜53e 指挿入口
60 吐水ノズル
70,70A 手支持部材
71,71A 基板部
72,72A 凹部
80,81 吐水ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が内部に手を差し込むための差込口を有した容器と、
該容器内に差し込まれた手に噴出水を当てて手をマッサージする吐水ノズルと
を有するマッサージ器であって、
該容器内に、手を該吐水ノズルからの噴出水が当たる位置に位置させるための手の位置決め手段が設けられていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項2】
請求項1において、前記手の位置決め手段は、該容器内に設置された、使用者が手で握るための握り棒を備えていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項3】
請求項2において、該握り棒の軸心線方向の所定位置において、該握り棒の外周面に、指を掛けるための溝が設けられていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項4】
請求項2又は3において、該握り棒の周方向の所定位置において、該握り棒の外周面から張り出した張出部が設けられていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項において、前記吐水ノズルは、該握り棒を握った手に向って水を噴出するように設置されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか1項において、該握り棒は、その軸心線方向の鉛直方向又は水平方向に対する角度を調整可能に構成されており、
前記吐水ノズルは、該握り棒の角度調整に連動して移動するように構成されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項7】
請求項6において、該握り棒は、使用者が手で押すことにより屈曲させることが可能な材質よりなり、
該吐水ノズルは、該握り棒に設置されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項8】
請求項7において、該握り棒は、エラストマーよりなることを特徴とするマッサージ器。
【請求項9】
請求項2ないし8のいずれか1項において、該握り棒に、前記吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項10】
請求項1において、前記手の位置決め手段は、前記容器内に設置された基板部と、
該基板部の上面から突設された、使用者が掌を載せる張出部と、
該基板部のうち、該張出部に掌を載せた状態において各指の指先が重なる位置に設けられた、該基板部を貫通する指挿入口と
を備えていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項11】
請求項10において、前記吐水ノズルは、該基板部の下方において、該指挿入口に挿入された各指の指先に向って水を噴出するように設置されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項12】
請求項10又は11において、該張出部は、使用者が手で押すことにより下方へ湾曲させることが可能な材質よりなることを特徴とするマッサージ器。
【請求項13】
請求項12において、該張出部は、エラストマーよりなることを特徴とするマッサージ器。
【請求項14】
請求項10ないし13のいずれか1項において、該張出部に、前記吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項15】
請求項1において、前記手の位置決め手段は、前記容器内に設置された基板部と、
該基板部の上面に形成された、使用者の手が嵌合可能な手形状の凹部と
を備えていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項16】
請求項15において、前記吐水ノズルは、該凹部に嵌合した使用者の手に向って水を噴出するように設置されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項17】
請求項16において、前記吐水ノズルは、該凹部に嵌合した使用者の手の側面に向って水を噴出するように設置されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項18】
請求項16において、前記吐水ノズルは、該凹部に嵌合した使用者の手の上方から、各指の指先から掌又は甲にかけて噴出水を当てるように構成されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項19】
請求項18において、前記吐水ノズルは、各指の延在方向に沿って前後進可能に、又は揺動可能に設置されており、
該吐水ノズルからの噴出水が各指の指先から掌又は甲にかけて当たるように該吐水ノズルを前後進又は揺動させる駆動装置が設けられていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項20】
請求項18において、該吐水ノズルは、各指の指先から掌又は甲まで連続する帯状の噴出水を噴出するように構成されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項21】
請求項15ないし20のいずれか1項において、前記基板部は、上下方向に回動可能に設置されており、且つその重心位置からずれた位置に回動軸を有していることを特徴とするマッサージ器。
【請求項22】
請求項15ないし21のいずれか1項において、該凹部の底面に、該凹部内の水を排出するための排水口が設けられていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項23】
請求項15ないし22のいずれか1項において、該凹部は、使用者が手で押すことにより下方へ湾曲させることが可能な材質よりなることを特徴とするマッサージ器。
【請求項24】
請求項23において、該凹部はエラストマーよりなることを特徴とするマッサージ器。
【請求項25】
請求項15ないし24のいずれか1項において、該凹部に、前記吐水ノズルからの噴出水の噴出頻度、噴出強さ、噴出方向及び水温の少なくとも1つを調整するためのスイッチが設けられていることを特徴とするマッサージ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−219782(P2009−219782A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69791(P2008−69791)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】