説明

マッサージ機用のエア分配ユニット及びマッサージ機

【課題】複数のエアセルを備えている場合であっても、構成の簡素化が図れるエア分配ユニットを提供する。
【解決手段】複数のチャンバー5a〜5gを備えている。チャンバー毎に吐出口が二つ設けられており、それぞれの吐出口は異なるエアセルに対してエアを吐出可能である。また、チャンバー毎に弁体が設けられており、この弁体は、エアを吐出させる吐出口を切り替えるために位置変化可能として設けられている。動作部20は、複数のチャンバー5a〜5gに設けられている弁体31a〜31gをまとめて位置変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機用のエア分配ユニット及びマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
背凭れ部や座部等に、膨縮自在な袋状のエアセルが複数設けられた椅子型のマッサージ機が知られている。これらエアセルにエア(空気)が供給されることで当該エアセルは膨張し、使用者の身体を押圧してマッサージを行なうことができる。
このような複数のエアセルを備えた椅子型マッサージ機は、ポンプと、このポンプから供給されたエアを各エアセルへと分配するためのエア分配ユニットとを備えている。エア分配ユニットは複数の電磁弁を有しており、一つのエアセルに対して一つの電磁弁が接続されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、ポンプからエア分配ユニットに送られたエアは、開状態となっている電磁弁を通じてエアセルに供給され、当該エアセルは膨張することができる。そして、電磁弁を閉状態とすることで、エアセルは膨張しない。このように、従来では、一つのエアセルに対してエアの供給と供給停止を行なうためには、その一つのエアセルに対して一つの電磁弁が必要である。
【0003】
【特許文献1】特開2005−87765号公報(図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、エアセルが動作することによってマッサージを行なうマッサージ機では、使用者の身体のうちマッサージを行なう部位(マッサージ対象部位)が増加している。このために、エアセルの数を増加させる必要がある。
このようにエアセルの数が増加すると、従来のように一つのエアセルに対して一つの電磁弁を必要とする場合、電磁弁等の構成機器が増加することとなり、エア分配ユニットの構成が複雑化する。
そこで、本発明では、エアによって動作するエアアクチュエータ(エアセル)が複数設けられている場合であっても、構成の簡素化が図れるエア分配ユニット及びこれを備えたマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のマッサージ機用のエア分配ユニットは、エアの給気によって動作する複数のエアアクチュエータにエアを分配するマッサージ機用のエア分配ユニットであって、複数のチャンバーを有している本体ブロックと、前記チャンバー毎に設けられエアを異なる前記エアアクチュエータにそれぞれ向かわせるように吐出する複数の吐出口と、前記チャンバー毎に設けられ前記複数の吐出口のうちエアを吐出させる吐出口を切り替えるために位置変化可能である弁体と、前記複数のチャンバーの前記弁体をまとめて位置変化させる動作部とを備えているものである。
本発明によれば、チャンバー毎において弁体が位置変化することでエアを吐出させる吐出口が切り替わり、動作するエアアクチュエータを切り替えることができる。そして、動作部は複数のチャンバーの弁体をまとめて位置変化させることにより、エアを吐出させる吐出口がまとめて切り切り替わり、動作するエアアクチュエータをまとめて切り替えることができる。したがって、弁体を位置変化させる動作部がチャンバー毎に不要となり、マッサージ機用のエア分配ユニットの構成が簡素化される。
【0006】
また、前記動作部は、開状態で前記複数のチャンバーにまとめてエアの供給を行なう動作用切替弁を有し、前記動作用切替弁を通じて前記複数のチャンバーに供給した前記エアの圧力によって、前記弁体をまとめて位置変化させるように構成するのが好ましい。
これによれば、動作用切替弁が開状態となることで、複数のチャンバーにまとめてエアの供給が行なわれ、このエアの圧力によって、前記弁体はまとめて位置変化する。また、前記のとおり、エアアクチュエータは、チャンバーから吐出口を通じて供給されたエアにより動作する構成であり、かつ、前記動作部についてもエアが利用された構成となる。
【0007】
また、この場合において、前記動作用切替弁が開状態で前記複数のチャンバーにまとめて供給する前記エアは、前記エアアクチュエータを動作させるためにエア分配ユニットに供給されたエアの少なくとも一部であるのが好ましい。
これによれば、エアアクチュエータを動作させるためにエア分配ユニットに供給されたエアの少なくとも一部を、弁体を位置変化させるための動力に使用することができる。
【0008】
また、前記マッサージ機用のエア分配ユニットは、前記チャンバー毎に接続され、前記吐出口から吐出させるためのエアを当該チャンバーに供給又は供給停止すべく開閉動作する給気用切替弁を更に備えているのが好ましい。
これによれば、チャンバー毎に接続された給気用切替弁が開閉動作することによって、当該チャンバーに対して、吐出口から吐出させるためのエアの供給又は供給停止が行なわれる。これにより、給気用切替弁が開状態では、エアが供給されたチャンバーからは、当該エアが吐出口を通じて吐出され、当該チャンバーに対応しているエアアクチュエータは動作する。一方、給気用切替弁が閉状態では、当該給気用切替弁と接続されているチャンバーにはエアが供給されず、吐出口からエアが吐出されないため、そのチャンバーに対応しているエアアクチュエータは動作しない。
【0009】
また、このエア分配ユニットにおいて、前記給気用切替弁が開状態となることで前記チャンバーに供給する前記エアによって、前記動作部により位置変化した前記弁体を、当該位置変化前の位置に復帰させるように構成するのが好ましい。
これによれば、給気用切替弁が開状態となり、吐出口から吐出させるためのエアをチャンバーに供給すると、そのエアの圧力によって弁体を位置変化前の位置へと復帰させる。
【0010】
また、前記マッサージ機用のエア分配ユニットにおいて、前記複数のチャンバーが、一体として前記本体ブロックに形成されているのが好ましい。
これによれば、複数のチャンバーは一体として本体ブロックに形成されており、エア分配ユニットをコンパクトにすることができる。
【0011】
また、前記弁体は、位置変化する方向について自由に移動自在となっている状態で前記チャンバー内に設けられているのが好ましい。
【0012】
また、本発明のマッサージ機は、エアの給気によって動作する複数のエアアクチュエータと、前記マッサージ機用のエア分配ユニットと、このエア分配ユニットにエアを供給するエア源と、前記動作部の動作を制御する制御部とを備えているものである。
本発明のマッサージ機によれば、エア分配ユニットの構成を簡素化することができることから、マッサージ機全体としても構成の簡素化が図れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るマッサージ機用のエア分配ユニットによれば、複数のチャンバーの弁体をまとめて位置変化させることにより、エアを吐出させる吐出口がまとめて切り切り替わり、これにより、動作させるエアアクチュエータをまとめて切り替えることができる。このため、弁体を位置変化させる動作部がチャンバー毎に不要となり、マッサージ機用のエア分配ユニットの構成が簡素化される。
また、本発明に係るマッサージ機によれば、エア分配ユニットの構成を簡素化することができることから、マッサージ機全体としても構成の簡素化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[マッサージ機の全体構成について]
図1は本発明のエア分配ユニット1を備えたマッサージ機の実施の一形態を示す斜視図である。このマッサージ機は、椅子型であり、座部2、背凭れ部3、脚載せ部4及び左右の肘掛け部35を備えている。座部2、背凭れ部3及び脚載せ部4には、使用者の身体に対してマッサージを施すことのできるマッサージ具が設けられている。
【0015】
座部2には、マッサージ具として、左右の座部エアセル(エアアクチュエータ)11a,11bが設けられている。これら座部エアセル11a,11bが膨張すると、使用者の臀部乃至大腿部を押圧することができる。
背凭れ部3には、マッサージ具として、施療子36aを有しているマッサージユニット36及び複数のエアアクチュエータが設けられている。図1の実施形態では、前記エアアクチュエータとして、左右の肩用エアセル12a,12b、左右の背中用エアセル13a,13b及び左右の腰用エアセル14a,14bを備えている。これらエアセルが膨張することで使用者の肩、背中及び腰を押圧することができる。
【0016】
前記マッサージユニット36は、施療子36aに揉みや叩き等のマッサージ動作を行なわせる駆動部(図示せず)を有している。駆動部は、モータ、減速器及びモータの動力によって動作するアーム部材等を有している。この駆動部は後述する制御部9(図2参照)によって制御され、この駆動部が動作することで施療子36aにマッサージ動作を行なわせることができる。また、マッサージユニット36は、制御部9の制御によって背凭れ部3内を昇降移動することができ、施療子36aによる施療対象部位の変更が可能となっている。
【0017】
脚載せ部4には、マッサージ具として、左脚用のエアアクチュエータと右脚用のエアアクチュエータとが設けられており、左脚用として、脹脛用エアセル15a、足基部用エアセル16a及び足先部用エアセル17aがあり、右脚用として、脹脛用エアセル15b、足基部用エアセル16b及び足先部用エアセル17bがある。脹脛用エアセル15a,15bのそれぞれは、膨張することで脹脛を左右両側から挟む対のエアセルからなり、足基部用エアセル16a,16bのそれぞれは、膨張することで足首乃至かかとを左右両側から挟む対のエアセルからなる。足先部用エアセル17a,17bは、膨張することで使用者の足の甲を上から押圧することができる。なお、脚載せ部4において、これらエアセルを覆うカバー部材が設けられているが、図1では、このカバー部材を省略している。
【0018】
図2はこのマッサージ機の要部の概略構成を示している構成図である。左半身用の前記エアセル11a〜17a及び右半身用の前記エアセル11b〜17bのそれぞれには、エア配管37が取り付けられており、これらエア配管37は、マッサージ機が備えているエア分配ユニット1に接続されている。エア分配ユニット1は、ポンプPを有するエア源と接続されており、ポンプPからエア(加圧エア)が供給される。前記エア分配ユニット1は、ポンプPから供給されたエアを各エアセルへと分配するためのものである。前記エアセルのそれぞれは袋状の部材であり、ポンプPから供給されたエアによって膨張することができ、かつ、そのエアが排出されると収縮する。
前記エア源(ポンプP)は座部2(図1参照)の下に設けられており、エア分配ユニット1は、座部2の下や背凭れ部3の内部に設けられている。
【0019】
[エア分配ユニット1の構成]
図2において、エア分配ユニット1は複数の電磁弁(以下、給気用切替弁ともいう)6a〜6g及び電磁弁(以下、動作用切替弁ともいう)7を有しており、マッサージ機が備えている制御部(マイコン)9がこれら電磁弁6a〜6g及び電磁弁7の開閉動作を制御する。電磁弁6a〜6gが開状態となることによって、後に詳しく説明するが、前記エアセルにエアを供給することができる。このように、制御部9の制御に応じて電磁弁6a〜6gを開状態とし、所望のエアセルを膨張させることができる。なお、電磁弁7は、膨張させるエアセルを切り替えるために使用されるものであり、後に説明する。
【0020】
図3はエア分配ユニット1の斜視図である。図4及び図5はエア分配ユニット1の平面図であり、エア分配ユニット1が備えている本体ブロック8を断面(A−A矢視における断面)として示している。
エア分配ユニット1は、複数(7つ)のチャンバー5a〜5gを有する本体ブロック8と、チャンバー毎に設けられ位置変化可能である弁体(スプール)31a〜31gと、チャンバー毎に二つ設けられている吐出口(図3参照)と、複数のチャンバー5a〜5gに設けられている複数の弁体31a〜31gをまとめて位置変化させる単一の動作部20とを備えている。また、一つのチャンバー及びこのチャンバー内に設けられている一つの弁体によって、一つの弁本体部が構成される。
【0021】
さらに、エア分配ユニット1は、前記チャンバー毎に接続された複数(7つ)の給気用切替弁6a〜6gを備えている。つまり、エア分配ユニット1は、チャンバー5a〜5gと同数(7つ)の給気用切替弁6a〜6gを備えており、チャンバー毎に一つの給気用切替弁が一対一で接続されている。
【0022】
また、このエア分配ユニット1が有している単一の本体ブロック8に、7つチャンバー5a〜5gが一体として形成されている。さらに、この単一の本体ブロック8に、複数の給気用切替弁6a〜6gが一体として取り付けられている。なお、図示しないが、複数のチャンバーが、複数の本体ブロックに分かれて形成されていてもよい。
チャンバー5a〜5g及び弁体31a〜31gは全て同じ形態であり、また、給気用切替弁6a〜6gは全て同じ形態である。そこで、図6と図7とについては、代表として図4の右端に存在しているチャンバー5a、弁体31a及び給気用切替弁6aを説明している。
【0023】
図4において、本体ブロック8には一条の直線的な主流路10が形成されている。この主流路10の端部にエア配管(図示せず)が接続され、このエア配管を介して前記エア源のポンプPが繋がっており、エア分配ユニット1はこの主流路10にポンプPからエアの供給を受ける。なお、図4では、主流路10の両端部にエア配管の接続ポートが設けられており、どちらの端部にもポンプP用のエア配管を接続させることができる。なお、エア配管を接続しない接続ポート(図4では右側の接続ポート)には栓部材42が取り付けられている。そして、この主流路10に、前記給気用切替弁6a〜6gのそれぞれの給気部が繋がっている(図6参照)。
【0024】
図4において、本体ブロック8には、チャンバー5a〜5gのそれぞれと繋がっている枝流路19a〜19gが形成されている。そして、チャンバー5a〜5gのそれぞれは、図6に示しているように、三つの室部26a,26b,26cと、隣り合うこれら室部同士を繋ぐ部分(小径の空間部)とを有している。
図6と図7に示しているように、前記枝流路19a〜19gのそれぞれは、主流路10と繋がることができる流路である。つまり、枝流路19a〜19gのそれぞれは、主流路10から分岐する流路であり、給気用切替弁6a(6a〜6g)が開状態で、主流路10内のエアは、枝流路19a(19a〜19g)を通じてチャンバー5a(5a〜5g)の第1室部26a又は第2室部26bへと流れることができる。
【0025】
エア分配ユニット1は、前記チャンバー(第1室部26a又は第2室部26b)内のエアを吐出させる吐出口を有しており、吐出口はチャンバー毎に二つ設けられている。具体的に説明すると、一つのチャンバー5aの第1室部26a及び第2室部26b内のエアを吐出させる吐出口として、第1吐出口21a及び第2吐出口22aが設けられており、第1吐出口21aは左側の座部エアセル11aと繋がっており、第2吐出口22aは右側の座部エアセル11bと繋がっている。このように、二つの吐出口21a,22aは、それぞれが異なるエアセルに向かってエアを吐出することができる。
また、第1吐出口21aと第2吐出口22aとは、弁体31aの移動方向に並んで設けられている。第1吐出口21aはチャンバー5aの第1室部26aと繋がっており、第2吐出口22aはチャンバー5aの第2室部26bと繋がっている。
【0026】
チャンバー5a内の弁体31aは、当該チャンバー5a内をスライドして移動可能として設けられている。弁体31aは、第1位置と第2位置とに位置変化可能となっており、この位置変化によって、第1吐出口21aと第2吐出口22aとの内、エアを吐出させる吐出口を切り替えることができる。
具体的に説明すると、図6に示しているように、弁体31aが第1位置に存在している状態で、主流路10から開状態にある給気用切替弁6aを流れたエアは、第1室部26a内に供給され、その後第1吐出口21aから吐出され、吐出したエアは図外のエア配管を通して座部エアセル11aへと向かい、当該座部エアセル11aを膨張させる。
一方、図7に示しているように、弁体31aが第2位置に存在している状態で、主流路10から開状態にある給気用切替弁6aを流れたエアは、弁体31a内に形成された内部流路32aを流れた後に、第2室部26b内に供給され、その後第2吐出口22aから吐出され、吐出したエアは図外のエア配管を通じて座部エアセル11bへと向かい、当該座部エアセル11bを膨張させる。
【0027】
前記給気用切替弁6aは三方切替弁であり、本体ブロック8に取り付けられている。この給気用切替弁6aは電磁弁であり、制御部9からの信号に基づいて開閉動作する。給気用切替弁6aが開状態で、主流路10内のエアは枝流路19aを通じてチャンバー5a(第1室部26a又は第2室部26b)内へと流れることができる。一方、給気用切替弁6aが閉状態では、主流路10内のエアは枝流路19a及びチャンバー5aの第1室部26a又は第2室部26b内へと流れることができない。このように、給気用切替弁6aは、前記吐出口(21a又は22a)から吐出させるためのエアをチャンバー5aの第1室部26a又は第2室部26bに対して供給又は供給停止すべく開閉動作する。
また、図6の状態において、この給気用切替弁6aが閉状態にあると、チャンバー5aの第1室部26a内のエアが、枝流路19aを介して当該給気用切替弁6a側へと流れ、当該エアを外部に排気することができる。また、図7の状態において、給気用切替弁6aが閉状態にあると、チャンバー5aの第2室部26b内のエアが、枝流路19aを介して当該給気用切替弁6a側へと流れ、当該エアを外部に排気することができる。
【0028】
[動作部20の構成]
図4と図5とにおいて、前記動作部20は、単一の動作用切替弁7と、この動作用切替弁7が開状態でチャンバー5a〜5gの全ての第3室部26cに対してエアを供給可能とする動作用流路18とを有している。
動作用切替弁7は三方切替弁であり、給気用切替弁6aと同じものを採用することができる。動作用切替弁7は本体ブロック8に一体として取り付けられており、動作用切替弁7の給気部は、給気用切替弁6a〜6gの場合と同様に、主流路10と繋がっている。この動作用切替弁7は電磁弁であり、制御部9からの信号によって開閉動作する。
【0029】
動作用流路18は、主流路10と繋がることができる流路である。つまり、動作用流路18は、主流路10から分岐する流路である。
動作用切替弁7が開状態で、主流路10内のエアは動作用流路18を通じて全てのチャンバー5a〜5gの第3室部26cへと流れることができる。これにより、開状態にある動作用切替弁7は、全てのチャンバー5a〜5gの第3室部26cにまとめてエアの供給を行なうことができる。
一方、動作用切替弁7が閉状態では、主流路10内のエアは動作用流路18及びチャンバー5a〜5gの第3室部26cへと流れることができない。このように、動作用切替弁7は、複数のチャンバー5a〜5gの第3室部26cに対するエアの供給と供給停止とを行なうべく開閉動作する。
また、動作用切替弁7が開状態でチャンバー5a〜5gの第3室部26cにまとめて供給されるエアは、エアセルを動作させるために主流路10に供給されたエアの少なくとも一部となっている。
【0030】
[動作部20が弁体31aを位置変化させる動作について]
図6の状態は、弁体31aが第1位置に位置している状態である。給気用切替弁6aが開状態で、主流路10内のエアは、枝流路19aへと流れ、チャンバー5aの第1室部26aを経て、第1吐出口21aから左側の座部エアセル11aへと吐出される。これにより左側の座部エアセル11aが膨張する。
【0031】
この状態において、弁体31aの内部流路32aの吐出側開口端部32bは、チャンバー5aを形成している壁面によって閉ざされた状態にあり、エアは内部流路32aを流れ出ることができない。また、弁体31aの第1膨出部41aに設けられているシール部45aが第1室部26aの壁面46aと接触し、第1室部26aと第2室部26bとの間でエアが漏れることを防止している。
また、この状態では、動作用切替弁7(図4参照)は閉状態にあり、動作用流路18内にエアは供給されていない。このため、枝流路19a及び第1室部26a内のエアの圧力は、動作用流路18内のエアの圧力よりも大きくなり、弁体31aは第1室部26a内のエアによって動作用流路18側へと押されている状態となり、弁体31aは第1位置に維持される。
【0032】
図6の状態から、弁体31aを第2位置(図7)に位置変化させるために、給気用切替弁6aを先に閉状態とし(図示せず)、その後、動作用切替弁7を開状態とする。これにより、主流路10内のエアは、動作用切替弁7を経て動作用流路18を流れ、枝流路19a内にエアは供給されない。この結果、動作用流路18内のエアの圧力は、枝流路19a及び第1室部26a内のエアの圧力よりも大きくなり、弁体31aは動作用流路18から供給されたエアによって枝流路19a側へと押され、弁体31aは第1位置から第2位置へと移動する。
【0033】
弁体31aが第2位置へ移動すると、弁体31aの内部流路32aの吐出側開口端部32bは、第2室部26b内で開放された状態となる。そして、給気用切替弁6aが開状態となり(図7)、主流路10内のエアは枝流路19aを流れ、枝流路19a内のエアは、弁体31a内の内部流路32aを経て、第2室部26b内へと供給される。そして、第2室部26b内のエアは、第2吐出口22aから右側の座部エアセル11bへと吐出される。これにより右側の座部エアセル11bが膨張する。
【0034】
なお、この状態で、弁体31aの第2膨出部41bに設けられているシール部45bが第2室部26bの壁面46bと接触し、第2室部26bと第1室部26aとの間でエアが漏れることを防止している。さらに、弁体31aの第3膨出部41cに設けられているシール部45cが第3室部26cの壁面46cと接触し、第2室部26bと第3室部26cとの間でエアが漏れることを防止している。
また、図7の状態では、動作用切替弁7及び給気用切替弁6aが開状態にあり、動作用流路18と枝流路19aとは同圧であるが、一旦第2位置に移動した弁体31aはそのまま第2位置に維持される。
【0035】
以上より、動作用切替弁7が開状態で、主流路10内のエアは動作用切替弁7を通じて複数のチャンバー5a〜5gの第3室部26c(図6参照)へ流れることができ、この動作用切替弁7を通じてチャンバー5a〜5gの第3室部26c(図6参照)へ流れたエアの圧力により、複数の弁体31a〜31gを、一方の第1吐出口よりエアを吐出させる第1位置(図4)から、他方第2吐出口よりエアを吐出させる第2位置(図5)へと(一方向に)まとめて位置変化させることができる。すなわち、左半身用のエアセル11a〜17aを膨張させていた状態から、右半身用の前記エアセル11b〜17bを膨張させている状態へと、動作するエアセルをまとめて切り替えることができる。
【0036】
そして、弁体31a(31a〜31g)が第2位置に存在している状態から、前記制御部9による制御によって、動作用切替弁7を閉状態とし、給気用切替弁6a(6a〜6g)が開状態にあると、枝流路19a及び第1室部26a内のエアの圧力は、動作用流路18内のエアの圧力よりも大きくなり、弁体31a(31a〜31g)は第1位置へと戻る。すなわち、開状態にある給気用切替弁6aからチャンバー5a(第1室部26)に対して供給されたエアの圧力によって、第1位置から第2位置へと位置変化した弁体31aを、第2位置から第1位置へと復帰させることができる。
この場合において、膨張動作をさせたいエアセルと繋がっているチャンバーに対応している給気用切替弁のみを開状態とすることによって、当該チャンバーの弁体のみを第1位置へと復帰させることができ、当該チャンバーの第1吐出口と繋がっているエアセルのみを膨張動作させることができる。つまり、この場合において、給気用切替弁を閉状態としているチャンバーの吐出口と繋がっているエアセルでは、膨張動作の切り替えが行なわれない。
【0037】
弁体31aを位置変化させる動作についてまとめて説明すると、制御部9(図2)は、給気用切替弁6a〜6gを閉状態としチャンバー5a〜5gの第1室部26aへのエアの給気を停止させている状態で、動作用切替弁7を開状態とし動作用流路18へのエアの給気を行なう第1動作制御と、動作用切替弁7を閉状態とし動作用流路18へのエアの給気を停止させている状態で、給気用切替弁6a〜6gの少なくとも一つを開状態としチャンバー5a〜5gの第1室部26aへのエアの給気を行なう第2動作制御とを行なうことができる。第1動作制御により、第1位置にあった弁体31aを第2位置へと位置変化させることができ、第2動作制御により、第2位置にあった弁体31aを第1位置へと位置変化させることができる。
このように、制御部9が、動作用切替弁7及び給気用切替弁6a〜6gの開閉動作を制御することによって、チャンバー5a〜5gにおいて弁体31a〜31gの位置変化を行なうことができ、対となっている吐出口のうちからエアを吐出させる吐出口を選択することができる。これにより、対となっている吐出口にそれぞれ繋がっているエアセルのうちの一方を、膨張動作させることができる。
【0038】
[具体的なマッサージ動作について(その1)]
図1に示している椅子型マッサージ機の場合について、具体的に説明する。制御部9がエア分配ユニット1を制御することにより、図4に示しているように、チャンバー5a〜5g内の弁体31a〜31gを第1位置とする。さらに、給気用切替弁6b,6c,6dを開状態とすると(他の給気用切替弁6a,6e,6f,6gは閉状態)、チャンバー5b,5c,5dにおける第1吐出口21b,21c,21d(図3参照)のみからエアが吐出され、左側の肩用エアセル12a、左側の背中用エアセル13a及び左側の腰用エアセル14aのみが膨張動作を行なう。
【0039】
そして、全ての給気用切替弁6aから6gを閉じた状態とし、動作用切替弁7を開くと、全てのチャンバー5a〜5g内の全ての弁体31a〜31gは第2位置へ位置変化する(図5参照)。そして、前記給気用切替弁6b,6c,6dを開状態とすると(他の給気用切替弁6a,6e,6f,6gは閉状態)、チャンバー5b,5c,5dにおける第2吐出口22b,22c,22d(図3参照)のみからエアが吐出され、右側の肩用エアセル12b、右側の背中用エアセル13b及び右側の腰用エアセル14bのみが膨張動作を行なう。
【0040】
動作用切替弁7を閉じ、再び給気用切替弁6b,6c,6dを開状態とすると(他の給気用切替弁6a,6e,6f,6gは閉状態)、前記チャンバー5b,5c,5d内の弁体31b,31c,31dは第1位置へと戻る。これとともに、チャンバー5b,5c,5dにおける第1吐出口21b,21c,21dからエアが再び吐出され、左側の肩用エアセル12a、左側の背中用エアセル13a及び左側の腰用エアセル14aのみが膨張動作を行なう。
このように、制御部9の制御によって、膨張動作させるエアセル(例えば背凭れ部3のエアセル)を選択したり、選択したエアセルの膨張動作を例えば左右で交互に切り替えたりすることができる。この選択は、前記のような背凭れ部3のみに限らず、全てのエアセルから任意のものとすることができ、膨張動作の切り替えは左右に限らず、他の組み合わせとすることができる。
【0041】
[具体的なマッサージ動作について(その2)]
また、マッサージ機の他の実施形態として、図8に示しているような身体の一部を押すマッサージを行なうマッサージ部50が設けられたマッサージ機がある。例えば、図1の椅子型のマッサージ機が有している肘掛け部35に、このマッサージ部50が腕用として設けられる。そして、マッサージ部50は、使用者の腕(手)を両側から押すように動作してマッサージを行なう。
【0042】
このマッサージ部50は、左右方向一方側(図8の右側)に設けられた第1エアセル51及び第2エアセル52と、他方側(図8の左側)に設けられた第3エアセル53及び第4エアセル54とを有している。第1エアセル51と第2エアセル52との間に移動可能な壁部材55aが介在しており、この壁部材55aに第2エアセル52が取り付けられている。したがって、第1エアセル51が膨張すると、壁部材55a及び第2エアセル52は、使用者の身体(腕)A側へ移動する。また、他方側の第3エアセル53、壁部材55b及び第4エアセル54についても同様に構成されている。
【0043】
左右方向一方側の第1エアセル51は、図3に示したエア分配ユニット1の一つのチャンバー5aの第1室部26aに対応して設けられている第1吐出口21aと接続され、第2エアセル52は、当該一つのチャンバー5aの第2室部26bに対応して設けられている第2吐出口22aと接続されている。そして、左右方向の他方側の第3エアセル53は、前記エア分配ユニット1の他のチャンバー5bの第1室部26aに対応して設けられている第1吐出口21bと接続され、第4エアセル54は、当該他のチャンバー5bの第2室部26bに対応して設けられている第2吐出口22bと接続されている。
【0044】
このように構成されたマッサージ機において、前記制御部9の制御により以下の動作を行なうことができる。
第1の制御として、給気用切替弁6aが開状態で、弁体31aが第1位置(図6の状態)にある。これにより、エアが給気用切替弁6aから第1吐出口21aを通じて流れ、図8の第1エアセル51が膨張する。そして、前記給気用切替弁6aを閉状態とする。これにより、膨張していた第1エアセル51内のエアは、第1吐出口21a及び閉状態である給気用切替弁6aを通じて外部へ排気され、第1エアセル51は収縮することができる。
次に、動作用切替弁7を開状態とすることで、弁体31aを第2位置(図7の状態)に移動させ、給気用切替弁6aを開状態とすることによって、エアが給気用切替弁6aから第2吐出口22aを通じて流れ、図8の第2エアセル52が膨張する。その後、給気用切替弁6aを閉状態とする。これにより、膨張していた第2エアセル52内のエアは、第2吐出口22a及び閉状態である給気用切替弁6aを通じて外部へ排気され、第2エアセル52は収縮することができる。
【0045】
次に、給気用切替弁6aを開状態とすることで、弁体31aを第1位置へと移動させ、第1エアセル51を膨張させることができる。そして、給気用切替弁6aを閉状態とすると、この第1エアセル51を収縮させることができる。
以上より、この制御によれば、左右方向で一方側(図8の右側)において、膨張して収縮する動作を、第1エアセル51と第2エアセルとの順で行なわせることができ、また、左右方向で他方側にある第3エアセル53と第4エアセル54についても、前記と同じ動作が行なわれ、使用者の腕に対して左右から挟んで押圧するマッサージが可能となる。
【0046】
また、第2の制御として、給気用切替弁6aが開状態で、弁体31aが第1位置(図6の状態)にある。これにより、エアが給気用切替弁6aから第1吐出口21aを通じて流れ、図8の第1エアセル51が膨張する。そして、給気用切替弁6aを開状態としたまま、動作用切替弁7を開状態とすることで、弁体31aを第2位置(図7の状態)へ移動させる。これにより、エアが給気用切替弁6aから第2吐出口22aを通じて流れ、図8の第2エアセル52が膨張する。さらに、この図7の状態では、第1エアセル51及び第1室部26a内のエアは流れることができない状態(閉塞状態)となり、膨張状態にある第1エアセル51は、その状態で保持される。すなわち、第1エアセル51を膨張状態に保持してさらに第2エアセル52を膨張させることができる。
次に、給気用切替弁6aを閉状態とすると、膨張状態にあった第2エアセル52内のエアは、第2吐出口22a及び閉状態である給気用切替弁6aを通じて外部へ排気され、第2エアセル52は収縮する。そして、給気用切替弁6aを開状態とすることで弁体31aを第1位置(図6の状態)とし、直ぐに当該給気用切替弁6aを閉状態とすることで、膨張していた第1エアセル51内のエアは、第1吐出口21a及び閉状態である給気用切替弁6aを通じて外部へ排気され、第1エアセル51は収縮する。
【0047】
また、左右方向で他方側(図8の左側)にある第3エアセル53及び第4エアセル54についても、前記と同じ動作が同時に行なわれ、これにより、使用者の腕に対して左右から挟んで押圧するマッサージが可能となる。そして、この第2の制御によれば、第1エアセル51及び第3エアセル53が膨張した状態で、さらに第2エアセル52及び第4エアセル54が膨張動作を行なうことから、腕を強く押すことができる。または、この第2の制御によれば、第1エアセル51及び第3エアセル53の膨張によって両側にある壁部材55a,55bの間隔を変更してから(間隔を調整してから)、第2エアセル52及び第4エアセル54が膨張動作を行なうことにより、体型(太い又細い)に応じたマッサージが可能となる。つまり、腕の細い使用者に対しても強い押圧力を与えることができる。
【0048】
また、第3の制御として、給気用切替弁6aが開状態で、弁体31aが第2位置(図7の状態)にある。これにより、エアが給気用切替弁6aから第2吐出口22aを通じて流れ、図8の第2エアセル52が膨張する。そして、給気用切替弁6aを開状態とし、動作用切替弁7を閉状態とすることで、弁体31aを第1位置(図6の状態)へ移動させる。これにより、エアが給気用切替弁6aから第1吐出口21aを通じて流れ、図8の第1エアセル51が膨張する。さらに、この図6の状態では、第2エアセル52及び第2室部26b内のエアは流れることができない状態(閉塞状態)となり、膨張状態にある第2エアセル52は、その状態で保持される。すなわち、図8の第2エアセル52を膨張状態に保持してさらに第1エアセル51を膨張させることができる。
次に、給気用切替弁6aを閉状態とすると、膨張状態にあった第1エアセル51内のエアは、第1吐出口21a及び閉状態である給気用切替弁6aを通じて外部へ排気され、第1エアセル51は収縮する。そして、動作用切替弁7を開状態とすることで弁体31aを第2位置とし、給気用切替弁6aを閉状態とすることで、膨張状態にあった第2エアセル52内のエアは、第2吐出口22a及び閉状態である給気用切替弁6aを通じて外部へ排気され、第2エアセル52は収縮する。
【0049】
また、左右方向で他方側(図8の左側)にある第3エアセル53及び第4エアセル54についても、前記と同じ動作が同時に行なわれ、これにより、使用者の腕に対して左右から挟んで押圧するマッサージが可能となる。そして、この場合、第2エアセル52及び第4エアセル54が膨張した状態で、第1エアセル51及び第3エアセル53が膨張動作を行なうことから、使用者の腕を強く押すことができる。または、腕の細い使用者に対しても強い押圧力を与えることができ、体型に応じたマッサージが可能となる。
以上のように、このエア分配ユニット1を用いて、制御部9が前記第1、第2または第3の制御を選択して行なうことにより、複雑なマッサージ、多様なマッサージを行なうことができる。そして、このようなマッサージが可能でありながら、エア分配ユニット1の構成は簡単なものである。
【0050】
以上の実施形態によるエア分配ユニット1によれば、チャンバー毎において、弁体が位置変化することでエアを吐出させる吐出口が切り替わり、動作させるエアセルを切り替えることができる。そして、動作部20は複数のチャンバーの弁体をまとめて位置変化させることにより、エアを吐出させる吐出口がまとめて切り切り替わり、これにより、動作させるエアセルをまとめて切り替えることができる。
【0051】
したがって、弁体を位置変化させる動作用切替弁7がチャンバー毎に不要となり、つまり、一つのエアセルに対して一つの電磁弁(動作用切替弁)を有している構成とする必要がなくなり、エア分配ユニット1の構成の簡素化が図れる。また、この実施形態では、全ての吐出口の数の半分の数の供給用切替弁6a〜6gを有していれば良い。
【0052】
また、このエア分配ユニット1において、ポンプPから主流路10にエアが供給されると、この主流路10内のエアを給気用切替弁6a〜6gからチャンバー5a〜5gの第1室部26a又は第2室部26bを経て各エアセルへと流すことができ、かつ、主流路10内のエアを動作用切替弁7からチャンバー5a〜5gの第3室部26cへと流し、弁体31a〜31gを位置変化させることができる。
すなわち、動作用切替弁7が開状態でチャンバー5a〜5gの第3室部26cにまとめて供給するエアは、エアセルを動作させるためにエア分配ユニット1に供給されたエアの少なくとも一部であり、このように一つのエア源によって、エアセルを膨張させる動力と、弁体31a〜31gを位置変更させる動力との両方が得られ、エア分配ユニット1の構成の簡素化が図れる。
【0053】
また、このエア分配ユニット1によれば、弁体31a(31a〜31g)は、チャンバー5a(5a〜5g)内に、位置変化する方向について自由に移動自在として設けられている。すなわち、本発明では、弁体31aはバネ等の弾性部材によって第1位置と第2位置との内の一方側に向かって付勢する構成とすることもできるが、この実施形態では、前記のような弾性部材は存在していない。したがって、チャンバー5aにエアの供給が行なわれていない状態で、弁体31aは自由に移動自在となっている。このため、動作用切替弁7又は給気用切替弁6aを開状態として、弁体31aを移動させるための動力(エア圧)は小さくてもよい。すなわち、小さな出力のポンプPによって、弁体31aの位置変化が可能となる。なお、弁体31aが前記のような弾性部材(バネ)で一方側に向かって付勢されている場合、ポンプPは、この弾性部材の付勢力に抗する動力がさらに必要となる。
このように、弁体が自由に移動自在として設けられていることから、ポンプPの容量を小さくすることができ、この結果、エア分配ユニット1、エアパイプ及びエアセルは、この容量によるエア圧に耐え得る強度を有していれば良く、これら構成機器を小さく(薄肉に)することが可能となる。
【0054】
さらに、このエア分配ユニット1において、複数のチャンバー5a〜5g、給気用切替弁6a〜6gからチャンバー5a〜5gまでの枝流路19a〜19g、及び、動作用切替弁7から複数のチャンバー5a〜5gまでの動作用流路18が、単一の本体ブロック8に形成されている。そして、この本体ブロック8に給気用切替弁6a〜6g及び動作用切替弁7が接続されている。これにより、チャンバー5a〜5g、給気用切替弁6a〜6g、動作用切替弁7、これら切替弁6a〜6g,7とチャンバー5a〜5gとの間の流路17a〜17g,18を、一体として形成することができ、エア分配ユニット1を全体としてコンパクトにすることができる。また、エア分配ユニット1が一つのユニットとして構成されているため、このエア分配ユニット1を、マッサージ機の所定の位置に取り付ける作業が容易となる。
【0055】
なお、図示している形態では、本体ブロック8は、動作用流路18、チャンバー5a〜5g及び枝流路19a〜19gが形成されている部分(第1本体部)と、給気用切替弁6a〜6g及び動作用切替弁7が取り付けられている部分(第2本体部)とが一体となっているが、これ以外として、図示しないが、本体ブロック8は、前記第1本体部と前記第2本体部とが別体となっており、これらの間が別の流路(エア配管)によって接続されたものであってもよい。
【0056】
また、図4に示しているように、動作用流路18の途中には、流路断面が拡大している空室部18aが形成されている。この空室部18aではエアが溜まることができ、この空室部18aは、例えば給気用切替弁6a〜6gの少なくとも一つが開閉動作した際に生じる動作用流路18(及び主流路10)内の圧力変動の影響を抑制することができる。また、動作用流路18における圧力損失を低減するために、動作用流路18の断面積は枝流路19a〜19gの断面積よりも大きく設定されているのが好ましい。これにより、流路による圧力損失を低減し、弁体31a〜31gを移動させるためのエアの圧力の低下を抑制することができる。
【0057】
また、前記マッサージ機は、複数のエアセルを備えているが、当該マッサージ機が備えているマッサージプログラム中において、前記マッサージ動作(その1)のように、これら全てのエアセルを同時に膨張させないマッサージ動作(マッサージステップ)が存在している。これは、このマッサージステップでは、全てのエアセルを同時に膨張させ体全身を同時に押圧すると、使用者の意識が分散されてしまい、効果が弱まってしまうことを防止するためである。
すなわち、既に説明したように、前記マッサージ動作(その1)として、複数のエアセルの内のいくつかのエアセル(エアセル群Aという)を動作させ、その後、別のエアセル(エアセル群Bという)を動作させている。具体的には、図1において、エアセル群Aは、左側における肩用エアセル12a、背中用エアセル13a及び腰用エアセル14aであり、エアセル群Bは、右側における肩用エアセル12b、背中用エアセル13b及び腰用エアセル14bである。
従来のマッサージ機(エア分配ユニット)では、一つのエアセルに対して少なくとも一つの電磁弁が必要である。このために、多くのエアセルを動作させるためには、電磁弁の数が多くなっている。そして、前記マッサージ動作を得る場合では、機能していない(休止状態にある)電磁弁が発生する。
しかし、本発明によれば、前記マッサージ動作を得るために、エアセル群Aを膨張させるために機能する給気用切替弁と、別であるエアセル群Bを膨張させるために機能する給気用切替弁とが同じとなっている(給気用切替弁6b,6c,6d)。これにより、切替弁の数を従来よりも少なくすることができる。つまり、エアセル群Aを膨張させる給気用切替弁を切り替えると、別のエアセル群Bを膨張させることができ、効率よく切替弁が用いられた構成とすることができる。
【0058】
また、本発明のエア分配ユニット1及びマッサージ機は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。椅子型のマッサージ機において、図示しないが、脚載せ部3が省略されたものであってもよい。また、マッサージ機は椅子型に限らず、脚載せ部3のみからなるものであってもよい。
また、図1に示した椅子型マッサージ機において、肘掛け部35(図1)に、図示しないがマッサージ具としてエアセルが設けられていてもよい。この肘掛け部35に設けたエアセルについても、エア配管を介して前記エア分配ユニット1に接続することができる。
【0059】
また、前記実施形態では、ポンプPを一つとした場合を説明したが、(図示しないが)ポンプは二つであってもよい。この場合、前記主流路10は、動作用切替弁7と繋がる第1主流路と、給気用切替弁6a〜6gと繋がる第2主流路とを有しており、これら第1主流路と第2主流路とは繋がっておらず、独立した流路となっている。そして、第1主流路の接続ポートにエア配管を介して一方のポンプを繋ぎ、第2主流路の接続ポートにエア配管を介して他方のポンプを繋ぐ。これ以外の形態は、図示したものと同じである。このようにポンプPを二つとした場合では、給気用切替弁6a〜6g(図4と図5参照)の開閉による動作用流路18内の圧力変動が生じることが無く、弁体31a〜31gの位置変化の動作を安定させることができる。また、前記エアアクチュエータをマッサージのためのエアセルとして説明したが、エアアクチュエータは、例えば脚載せ部4を上下回動させるためのエアシリンダであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のエア分配ユニットを備えたマッサージ機の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】このマッサージ機の要部の概略構成を示している構成図である。
【図3】エア分配ユニットの斜視図である。
【図4】弁体が第1位置にある状態でのエア分配ユニットの平面図であり、本体ブロックを断面として示している。
【図5】弁体が第2位置にある状態でのエア分配ユニットの平面図であり、本体ブロックを断面として示している。
【図6】弁体が第1位置にある状態でのエア分配ユニットの断面図である。
【図7】弁体が第2位置にある状態でのエア分配ユニットの断面図である。
【図8】マッサージを行なうマッサージ部の断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 エア分配ユニット
5a〜5g チャンバー
6a〜6g 給気用切替弁
7 動作用切替弁
8 本体ブロック
9 制御部
10 主流路
11a,11b 座部エアセル(エアアクチュエータ)
12a,12b 肩用エアセル(エアアクチュエータ)
13a,13b 背中用エアセル(エアアクチュエータ)
14a,14b 腰用エアセル(エアアクチュエータ)
15a,15b 脹脛用エアセル(エアアクチュエータ)
16a,16b 足基部用エアセル(エアアクチュエータ)
17a,17b 足先部用エアセル(エアアクチュエータ)
18 動作用流路
19a〜19g 枝流路
20 動作部
21a〜21g 第1吐出口
22a〜22g 第2吐出口
31a〜31g 弁体
P ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアの給気によって動作する複数のエアアクチュエータにエアを分配するマッサージ機用のエア分配ユニットであって、
複数のチャンバーを有している本体ブロックと、前記チャンバー毎に設けられエアを異なる前記エアアクチュエータにそれぞれ向かわせるように吐出する複数の吐出口と、前記チャンバー毎に設けられ前記複数の吐出口のうちエアを吐出させる吐出口を切り替えるために位置変化可能である弁体と、前記複数のチャンバーの前記弁体をまとめて位置変化させる動作部と、を備えていることを特徴とするマッサージ機用のエア分配ユニット。
【請求項2】
前記動作部は、開状態で前記複数のチャンバーにまとめてエアの供給を行なう動作用切替弁を有し、
前記動作用切替弁を通じて前記複数のチャンバーに供給した前記エアの圧力によって、前記弁体をまとめて位置変化させる請求項1に記載のマッサージ機用のエア分配ユニット。
【請求項3】
前記動作用切替弁が開状態で前記複数のチャンバーにまとめて供給する前記エアは、前記エアアクチュエータを動作させるために供給されたエアの少なくとも一部である請求項2に記載のマッサージ機用のエア分配ユニット。
【請求項4】
前記チャンバー毎に接続され、前記吐出口から吐出させるためのエアを当該チャンバーに供給又は供給停止すべく開閉動作する給気用切替弁を更に備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機用のエア分配ユニット。
【請求項5】
前記給気用切替弁が開状態となることで前記チャンバーに供給する前記エアによって、前記動作部により位置変化した前記弁体を、当該位置変化前の位置に復帰させる請求項4のいずれか一項に記載のマッサージ機用のエア分配ユニット。
【請求項6】
前記複数のチャンバーは、一体として前記本体ブロックに形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ機用のエア分配ユニット。
【請求項7】
前記弁体は、位置変化する方向について自由に移動自在となっている状態で前記チャンバー内に設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載のマッサージ機用のエア分配ユニット。
【請求項8】
エアの給気によって動作する複数のエアアクチュエータと、請求項1〜7のいずれか一項に記載のマッサージ機用のエア分配ユニットと、このエア分配ユニットにエアを供給するエア源と、前記動作部の動作を制御する制御部とを備えていることを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−247481(P2009−247481A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96928(P2008−96928)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】