マッサージ機
【課題】薄型に構成することができるとともに、製造が容易となるマッサージ機を提供する。
【解決手段】第1シート材11と、この第1シート材11に重ねて設けられている第2シート材12とを有する施療シート5を備えている。流体を流す流路部、及び、この流路部と連通し流体によって施療のために膨張するする風船部8aが、施療シート5の内部に設けられている。前記流路部は、第1シート材11と第2シート材12との合わせ面に設けられた凹溝によって形成されている。
【解決手段】第1シート材11と、この第1シート材11に重ねて設けられている第2シート材12とを有する施療シート5を備えている。流体を流す流路部、及び、この流路部と連通し流体によって施療のために膨張するする風船部8aが、施療シート5の内部に設けられている。前記流路部は、第1シート材11と第2シート材12との合わせ面に設けられた凹溝によって形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
エア(空気)を給気又は排気することによって動作するマッサージ具として、膨張収縮可能なエアセルがある(例えば、特許文献1参照)。このようなエアセルを備えたマッサージ機は、ポンプ及び各種バルブを有したエアユニットを動力源としてさらに備えており、このエアユニットからパイプを通じてエアを給気することでエアセルを膨張させ、使用者の被施療部を押圧し、施療を行うことができる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−295751号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記エアセルは膨張収縮することができるように蛇腹形状となっており、また、その基部にパイプを接続するための接続部を設ける必要があるために、エアセル全体の厚さ(嵩)が大きくなってしまう。また、エアセルを蛇腹形状に製造し、このエアセルに対して別部材であるパイプを接続させ、さらに、このパイプを配管する必要があるため、製造(組み立て)に手間を要する。
【0005】
そこで、この発明は、薄型に構成することができるとともに、製造が容易となるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するためのこの発明のマッサージ機は、第1シート材とこの第1シート材に重ねて設けられている第2シート材とを有する施療シートを備え、流体を流す流路部、及び、この流路部と連通し前記流体によって施療のために作用する作用部が、前記施療シートの内部に設けられており、前記流路部は、前記第1シート材と前記第2シート材との合わせ面に設けられた凹部によって形成されているものである。
このマッサージ機によれば、第1シート材と第2シート材とを有する施療シートの内部に流路部及び作用部が設けられているため、薄型に構成することができる。そして、第1シート材と第2シート材との合わせ面に凹部を設け、第1シート材と第2シート材とを重ねることにより流路部を形成することができるので、製造が容易となる。
【0007】
また、前記マッサージ機において、前記流路部は、前記第1シート材と前記第2シート材とのうちの一方のシート材の合わせ面に設けられた前記凹部、及び、この凹部に合わせられる他方のシート材の平滑な平滑面部によって構成されており、前記作用部は、この一方のシート材に設けられた凹部又は孔、及び、この凹部又は孔に合わせられる前記他方のシート材の平滑な平滑面部によって構成されているのが好ましい。
これによれば、第1シート材と第2シート材とのうちの一方のシート材の合わせ面に凹部、孔を形成し、これに他方のシート材の平滑面部を重ね合わせることにより、流路部及び作用部を構成することができるので、製造が容易となる。
【0008】
また、前記マッサージ機において、複数種類の異なる前記作用部が設けられているのが好ましい。これによれば、複数種類の作用を有するものが得られる。
また、前記マッサージ機において、前記作用部を、前記流路部から供給された前記流体によって膨張する部分とすることができる。これによれば、作用部が膨張することにより使用者の被施療部を押圧することができる。
【0009】
また、前記マッサージ機において、前記作用部を、使用者側の外部に開口している吸引用孔とすることができる。これによれば、吸引用孔によって被施療部を吸引することができる。
また、前記作用部を、使用者側の外部に開口し前記流路部から送られる流体を吐出する吐出用孔とすることができる。これによれば、吐出用孔から被施療部に対して流体を供給する(吹き付ける)ことができる。
【0010】
また、前記マッサージ機において、前記施療シートは、前記第1シート材及び前記第2シート材のいずれか一方のシート材に重ねて設けられた第3シート材をさらに有し、前記一方のシート材及び/又は前記第3シート材の内部に、流体を流す第2の流路部、及び、この第2の流路部と連通し前記流体によってマッサージのために作用する第2の作用部が設けられているのが好ましい。これによれば、作用部を複数設けることができる。また、このために適した構造となり、特に種類の異なる複数の作用部を設ける際に、各作用部をそれぞれ独立させた構造にしやすい。
【0011】
さらに、この場合において、前記第1シート材と前記第2シート材との内部に設けられている第1の前記作用部と、前記第2の作用部とが、前記施療シートの厚さ方向に重なって存在しているのが好ましい。これによれば、第1の作用部と第2の作用部とが厚さ方向に重なって存在しているので、これらの作用部の双方又は一方を作動させることによって多様な施療が可能となる。
さらに、前記第1の作用部と前記第2の作用部とのうちの使用者側となる一方の作用部と、これと連通している前記流路部との双方が、他方の作用部に対して前記施療シートの厚さ方向に重なって存在している構成とすることができる。このように、一方の作用部と連通している流路部が、他方の作用部と厚さ方向に重なり使用者側に存在していても、前記のとおり、当該流路部は施療シートの内部に設けられているため、使用者に対して当該流路部の存在を認識させにくい構造となっている。
【0012】
また、前記マッサージ機において、前記施療シートは、薬剤、香料及び鉱石の少なくとも一つを含有しているのが好ましい。
これによれば、このマッサージ機を被施療部に接近させた状態とすると、薬剤、香料及び鉱石のうちの少なくとも一つによる作用を、被施療部へ与えることができる。
【0013】
また、前記マッサージ機は、前記施療シートが使用者側として設けられているベース材をさらに備え、このベース材が、使用者の顔面に装着するマスク形であるものとすることができる。これによれば、使用者の顔面に対して施療を行うことができるマッサージ機となる。
または、前記マッサージ機は、前記施療シートが使用者側として設けられているベース材をさらに備え、このベース材が、表面積を変えないでエアによって膨縮するエアセルであるものとすることができる。これによれば、エアによって膨縮するエアセルと、施療シートとにより、複合的な施療が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明のマッサージ機によれば、施療シートの内部に流路部及び作用部が設けられているため、薄型に構成することができ、また、第1シート材と第2シート材との合わせ面に凹部を設け、これらシート材を重ねることにより流路部を形成することができるので、製造が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1はこの発明のマッサージ機の実施の一形態を示す正面図である。図2はこのマッサージ機の断面図である。図1と図2のマッサージ機は、使用者の顔面に装着するマスク形であり、顔面に対して施療を行うものである。なお、後にも説明するが、この施療には、使用者の被施療部(図では顔面)に対して、押圧(押圧による揉みと叩き)や吸引等の物理的な外力を作用させる(刺激を与える)施療以外に、薬液を吹き付ける等の美容的な作用を与える施療、香料等のパーティクルを吹き付ける等のリラックスさせる作用を与える施療が含まれる。
【0016】
このマッサージ機は、使用者の顔に装着させるマスク形のマスク本体部1と、このマスク本体部1とパイプ2a〜2i及びリード線3を介して繋がっている動力部4とを備えている。図2において、マスク本体部1はベース材10と施療シート5とからなる。ベース材10は顔面に装着するマスク形であり、例えば樹脂により成形することができる。ベース材10は、その内面10aに、施療シート5を使用者側(被施療部側)の部材として取り付けている。この取り付けは接着とすることができる。つまり、マスク本体部1の装着状態で、施療シート5を被施療部に当接させる。
【0017】
施療シート5は、複数枚の薄いシート状のシート材からなる。図2では、施療シート5は第1シート材11と第2シート材12との2枚からなり、第2シート材12は、第1シート材11に重ねて設けられている。第1シート材11及び第2シート材12は樹脂製やゴム製とすることができ、少なくとも被施療部側のシート材(図例では第2シート材12)は弾性変形が可能な部材である。具体的には、シリコンゴムとすることができ、薄くて柔軟な構造となっている。
【0018】
図1において、動力部4はマスク本体部1と別体となっており、動力部4は、パイプ2a〜2i及びリード線3を接続させるポート部(図示せず)と、流体(液体又は気体)を吐出する吐出ポンプ(図示せず)を有している吐出部26と、流体を吸引する吸引ポンプ(図示せず)を有している吸引部27と、吐出部26及び吸引部27の動作を制御する制御部28とを備えている。パイプ2a〜2iのそれぞれの一端部は前記マスク本体部1(後述する流路部7)と繋がっており、他端部は動力部4の前記ポート部と繋がっている。
【0019】
マスク本体部1を図1と図2とにより説明する。
ベース材10は、人面に対応した形状を有する板状のものであり、目、鼻、口に対応する部分が開口している。このベース材10は、顔面の略全体を覆う形状を有しているが、顔面の少なくとも一部を覆う形状のものであればよい。
施療シート5(第1シート材11及び第2シート材12)は人面に対応した形状の部材であり、目、鼻、口に対応する部分が開口している。なお、図示しないが、この施療シート5は、ベース材10に対して部分的に重ねて設けられたものであってもよい。
【0020】
図3は、マスク本体部1の要部(図1の一点鎖線で囲んでいる部分)を示している正面図である。図4は図3のA−A矢視における断面図である。第1シート材11と第2シート材12とは合わせ面11a,12aにおいて接着している。そして、第2シート材12を使用者側として、このマスク本体部1が使用者に装着される。
このマスク本体部1の施療シート5には、動力部4から供給された流体を流す複数本の流路部7、及び、この流路部7と連通している複数個の作用部8a,8bが設けられている。作用部8a,8bは、後にも説明するが、流体が入る(充填される又は通過する)ことにより、被施療部に対して施療のために作用することができる部分である。なお、図4において、流路部7は図3のA−Aにおける断面には存在していないが、つまり、流路部7は作用部8a,8b内に存在しているものではないが、流路部7の横断面の形状を説明するため、図4において流路部7を記載している(後述する図9も同様)。そして、複数個の作用部8a(8b)が流路部7によって直列に繋がっており、繋がっている複数個の作用部8a(8b)によって一列の作用部列を構成している。そして、施療シート5には複数列の作用部列が設けられている。図1では、左右のそれぞれにおいて、目の側部に2列、頬部に7列の作用部列が設けられている。各作用部列が有している流路部7と、前記パイプ2a〜2iのそれぞれとが繋がっている。なお、作用部列は直線状又は湾曲状に配置される以外に、蛇行状に配置されていてもよい。
【0021】
この施療シート5には2種類の異なる作用部8a,8bが設けられている。つまり、施療の性質が異なる2種類の第1の作用部8aと第2の作用部8bとが設けられている。
第1の作用部8aは内部に空室部を有する風船部であり(以下、風船部8a)、この風船部8aは、前記動力部4の吐出部26からパイプ(2a〜2h)及び流路部7を介して供給された流体(エア)によって膨張する(図4(b)参照)。この膨張した風船部8aにより、被施療部を押圧することができる。
第2の作用部8bは、使用者側の外部に開口している吸引用孔であり(以下、吸引用孔8b)、前記動力部4の吸引部27がエア(空気)を吸引することによって、パイプ2i及び流路部7を介して、この吸引用孔8bから使用者側のエア(空気)を吸うことができる。これにより、吸引用孔8bによって被施療部を吸引することができる。
【0022】
この吸引用孔8bにおける吸引作用は、使用者の皮膚に対して刺激を与えるマッサージ機能以外にも、マスク本体部1を使用者の身体(顔面)に吸着させて位置保持する機能も有している。この場合、複数の吸引用孔8bをマスク本体部1に適宜配置することで、マスク本体部1を顔面に密着させることができる。そして、この密着させた状態で、風船部8aによる押圧作用を与えることができる。このために、位置保持用(吸着用)としての吸引用孔8bは、マスク本体部1の周縁部に複数設けることができる。
【0023】
また、この吸引用孔8bを吐出用孔8cとして用いてもよい。つまり、吸引用孔8bと繋がっている動力部4の吸引部27を、吐出部29として機能させ、この吐出部29が、エア(又は液体)及びこのエア(又は液体)に含ませた香料等のパーティクルを、または、薬液(エアに含ませた薬液)を、パイプ2i及び流路部7を介して吐出用孔8cから使用者側へ吹き付けることができる。なお、パーティクル(薬液)は、動力部4が備えるパーティクル(薬液)溜まり部(図示せず)内にある。
または、吸引用孔8b及び吸引部27とは別に、使用者側の外部に開口している吐出用孔8cをマスク本体部1にさらに設け、動力部4に吐出部29をさらに設け、この吐出部29が動作することにより、パイプ2i及び流路部7から送られた流体を、この吐出用孔8cから吐出させるようにしてもよい。
【0024】
図5は図3のB−B矢視における断面図であり、図6はC−C矢視における断面図である。前記作用部(8a,8b,8c)及び流路部7は、施療シート5の内部(つまり、第1シート材11と第2シート材12との厚み内)に設けられている。具体的に説明すると、流路部7は、第1シート材11と第2シート材12との間の合わせ面に設けた凹溝21によって形成されている。特に、この実施形態では、第1シート材11と第2シート材12とのうちの一方の第2シート材12の合わせ面12aに凹溝21を設け、この凹溝21に第1シート材11の平滑な平滑面部15(合わせ面11a)を重ね合わせることにより、凹溝21の底面と両側面、及び、当該凹溝21の底面との対向面となる平滑面部15によって、横断面において、周方向に囲まれた流路部7が構成される。
【0025】
さらに、第1の作用部である風船部8aについて図4と図5とにより説明する。流路部7を構成するために凹溝21を設けた第2シート材12の前記合わせ面12aに窪み形状の凹部22を設け、この凹部22に第1シート材11の平滑な平滑面部15(合わせ面11a)を重ね合わせることにより、凹部22の底面と側面、及び、当該凹部22の底面との対向面となる平滑面部15によって囲まれた、風船部8aの空室部が構成される。そして、凹部22は、前記凹溝21と合わせ面12a側において繋がっている。
また、風船部8aの空室部は、これに繋がっている流路部7の凹溝21よりも深い凹部22によって構成されており、また、図4において、風船部8aの空室部の横断面は、流路部7の横断面よりも大きくなっている。
【0026】
また、第2シート材12に凹部22を形成することにより、当該凹部22よりも使用者側の部分に薄膜部19が形成される(残される)。この薄膜部19は、第2シート材12の本体部(凹部22、凹溝21が形成されていない部分)よりも厚さが薄くなっているため、空気が風船部8aに供給されることによって薄膜部19においてその表面積を拡大させながら膨張することができる。そして、この膨張した薄膜部19が被施療部を押圧することができる。つまり、第2シート材12の合わせ面12a側には凹部22が形成されており、その反対である表面側には被施療部を押圧する押圧部となる薄膜部19が形成されている構成となっている。
【0027】
空気が供給され風船部8a内が加圧されると、風船部8aはその表面積を弾性的に拡大させながら膨張するため(図4(b))、この風船部8aへの加圧を解除すると、薄膜部19の弾性復元力により、風船部8aは加圧前の自然状態(図4(a))に自動的に戻ることができる。
また、この構成によれば、薄い薄膜部19によって、風船部8aは被施療部に対して外力を付与する程度に大きく膨張し、施療の作用を与えることができるが、流路部7から表面までの厚さ(被施療部側の厚さ)は薄膜部19に比して充分に厚いため、流路部7では被施療部に対して施療の作用を与える程の膨張が生じない構造である。このため、流路部7によって意図しない部位に対して押圧による施療が行われたり、流路部7の存在によって使用者に不快感を与えたりすることを防止できる。
【0028】
なお、図1及び図3に示しているように、風船部8aの空室部(凹部22)の正面視における輪郭形状を円形としているが、この空室部の形状は矩形としてもよく、また、凹部22を一方向に長い凹溝としてもよく、また、この場合、風船部8aは直線的なもの以外に湾曲している形状であってもよい(図7参照)。なお、図1と図7とにおいて、風船部8a及び流路部7について、説明を容易とするために、実線で示している。
【0029】
第2の作用部である吸引用孔8b(吐出用孔8c)について図6により説明する。流路部7を形成するために凹溝21が第2シート材12の合わせ面12aに設けられており、この第2シート材12に厚さ方向に貫通した孔23を設け、この孔23の一端部(第2シート材12の合わせ面12a)に第1シート材11の平滑な平滑面部15(合わせ面11a)が重ね合わされることにより、当該平滑面部15を底面とした有底状の孔として、吸引用孔8b(吐出用孔8c)は構成される。この吸引用孔8b(吐出用孔8c)は、流路部7を構成するための凹溝21と合わせ面12a側において繋がっている。
【0030】
以上のようにこの実施形態では、第2シート材12(合わせ面12a)に、流路部7及び作用部(8a,8b,8c)を構成するための凹溝21、凹部22及び孔23が形成されているが、他方の第1シート材11(合わせ面11a)には、流路部7及び作用部(8a,8b,8c)を構成するための凹溝、凹部及び孔が形成されておらず、合わせ面11aにおける流路部7及び作用部(8a,8b,8c)に重ね合わせる部分は、平滑な面(平滑面部15)としている。そして、流路部7と作用部(8a,8b,8c)とは複数枚(2枚)が重ね合わされたシート材(11,12)により一体として形成されている。
【0031】
[第2実施形態]
図8はマスク形マッサージ機の第2の実施形態を示す断面図である。このマスク本体部1の施療シート5は、3枚のシート材(第1シート材11、第2シート材12、第3シート材13)からなる。この第2の実施形態は、第1の実施形態と比べて施療シート5の形態が異なるが、マスク本体部1のベース材10及び動力部4等は同じである。
【0032】
施療シート5は人面に対応した形状の部材であり、目、鼻、口に対応する部分が開口している。第1シート体11の第1の合わせ面11aに第2シート体12が重ね合わせて設けられており、第1シート体11の反対側である第2の合わせ面11bに第3シート材13が重ね合わせて設けられている。なお、この施療シート5は、ベース材10に対して部分的に重ねて設けられたものであってもよい。第1シート材11と第2シート材12とは合わせ面11a,12aにおいて接着しており、第1シート材11と第3シート材13とは合わせ面11b,13aにおいて接着している。そして、第2シート材12を使用者側として、このマスク本体部1が使用者に装着される。
【0033】
第1シート材11と第2シート材12とによるシート層の内部(厚み内)に設けられた第1の作用部(風船部8a)及びこれに繋がっている第1の流路部7は、第1の実施形態と同じであるが、第2の作用部(吸引用孔8b、吐出用孔8c)及びこれに繋がる第2の流路部17の形態が異なっている。
図9と図10と図11とはマスク本体部1の要部の断面図であり、それぞれ第1の実施形態の図4と図5と図6とに対応している。
この第2の実施形態においても、第1の作用部(風船部8a)及びこれに繋がっている第1の流路部7は、第1シート材11と第2シート材12とによるシート層の内部(厚み内)に設けられている。つまり、第1シート材11と第2シート材12とのうちの一方の第2シート材12の合わせ面12aに凹溝21を設け、この凹溝21に第1シート材11の平滑な平滑面部15(第1合わせ面11a)を重ね合わせることにより、横断面において、周方向に囲まれた第1の流路部7が構成される。
【0034】
さらに、第1の作用部である風船部8aの空室部は、第1の流路部7を構成するために凹溝21を設けた第2シート材12の合わせ面12aに凹部22を設け、この凹部22に第1シート材11の平滑な平滑面部15(第1合わせ面11a)を重ね合わせることにより構成される。そして、凹部22は、前記凹溝21と合わせ面12a側において繋がっている。また、風船部8aの空室部は、これに繋がっている流路部7の凹溝21よりも深い凹部22によって構成されており、また、図9において、風船部8aの空室部の横断面は、流路部7の横断面よりも大きくなっている。そして、凹部22よりも使用者側の部分に薄膜部19が形成されている。
【0035】
図11において、第2の作用部(吸引用孔8b(吐出用孔8c))及びこれに繋がっている第2の流路部17は、第1シート材11と第2シート材12とによるシート層の内部(厚み内)に設けられている。そして、第1シート材11と第3シート材13とのうちの一方の第1シート材11の第2の合わせ面11bに凹溝21を設け、この合わせ面11bに第3シート材13の平滑な平滑面部16(合わせ面13a)を重ね合わせることによって、横断面において、周方向に囲まれた第2の流路部17が構成される。なお、第1シート材11の第2の合わせ面11bは、第1の合わせ面11aの反対側の面である。
【0036】
第2の作用部である吸引用孔8b(吐出用孔8c)について図9と図11とにより説明する。第1シート材11及び第2シート材12にこれらの厚さ方向に貫通した孔23が形成されており、この孔23の一端部(第2の合わせ面11b)に第3シート材13の平滑な平滑面部16(合わせ面13a)が重ね合わされることにより、当該平滑面部16を底面とした有底状の孔として、吸引用孔8b(吐出用孔8c)は構成される。この吸引用孔8b(吐出用孔8c)は、第2の流路部17を構成するための凹溝21と第2の合わせ面11b側において繋がっている。
【0037】
以上のように、この実施形態では、図10において、第2シート材12(合わせ面12a)に、第1の流路部7及び第1の作用部(8a)を構成するための凹溝21及び凹部22が形成されているが、他方の第1シート材11の第1の合わせ面11aには、流路部7及び第1の作用部(8a)を構成するための凹溝及び凹部が形成されておらず、第1の合わせ面11aにおける流路部7及び第1の作用部(8a)に重ね合わせる部分は、平滑な面(平滑面部15)を有している。
また、図11において、第1シート材11の第2の合わせ面11bに、第2の流路部17及び第2の作用部(8b)を構成するための凹溝21及び孔23の一部が形成されているが、他方の第3シート材11の合わせ面13aには、流路部17及び第2の作用部(8b)を構成するための凹溝及び孔が形成されておらず、第3シート材13の合わせ面13bにおける流路部17及び第2の作用部(8b)に重ね合わせる部分は、平滑な面(平滑面部16)を有している。
そして、流路部7と第1及び第2の作用部(8a,8b,8c)とは、複数枚(3枚)が重ね合わされたシート材(11,12,13)によって一体として形成されている。
【0038】
[第3実施形態]
図14は、マッサージ機の第3の実施形態を示している正面図である。図12は、このマッサージ機の要部の断面図であり、図14の頬部の最下位置にある作用部列における断面図である。このマスク本体部1の施療シート5は、第2実施形態と同様に、3枚のシート材(第1シート材11、第2シート材12、第3シート材13)からなる。この施療シート5が、マスク形のベース材10に取り付けられている。そして、この実施形態では、第1の作用部と第2の作用部とが施療シート5の厚さ方向に重なって存在している。
【0039】
具体的に説明すると、この第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態と同様に、第1の作用部(風船部8)及び第1の流路部7が、第1シート材11と第2シート材12とによるシート層の内部に設けられている。第2シート材12の合わせ面12aに凹溝21を設け、この凹溝21(合わせ面12a)に第1シート材11の平滑な平滑面部15(第1の合わせ面11a)を重ね合わせることにより、横断面において、周方向に囲まれた第1の流路部7が構成される。
【0040】
さらに、第1の作用部である風船部8aの空室部は、第1の流路部7を構成するために凹溝21を設けた第2シート材12の合わせ面12aに凹部22を形成し、この凹部22(合わせ面12a)に第1シート材11の平滑な平滑面部15(第1の合わせ面11a)を重ね合わせることにより構成される。
【0041】
また、第2の実施形態と同様に、第1シート材11の第2の合わせ面11bに重ねて設けられた第3シート材13をさらに備えており、この第1シート材11と第3シート材13とによるシート層の内部に、流体を流す第2の流路部17、及び、この第2の流路部17と連通し前記流体によってマッサージのために作用する第2の作用部(18a)が設けられている。
【0042】
第2の流路部17は、第1シート材11の(第1の合わせ面11aと反対側の面である)第2の合わせ面11bに凹溝31を設け、この凹溝31(合わせ面11b)に第3シート材13の平滑な平滑面部16(合わせ面13a)を重ね合わせることにより、横断面において、周方向に囲まれた構成となっている。
さらに、第2の作用部である風船部18aの空室部は、第2の流路部17を構成するために凹溝31を設けた第1シート材11の第2の合わせ面11bに凹部32を設け、この凹部32に第3シート材11の平滑な平滑面部16(合わせ面13a)を重ね合わせることにより構成される。なお、図示しないが、第3シート材13に、第2の流路部17及び第2の作用部(18a)が設けられていてもよい。
【0043】
そして、第1シート材11と第2シート材12とのシート層の内部に設けられている第1の作用部(8a)と、第1シート材11と第3シート材13とのシート層の内部に設けられている第2の作用部(18a)とが、施療シート5(3枚のシート材11,12,13)の厚さ方向に重なって存在している。つまり、第2の作用部(18a)の被施療部側の位置に第1の作用部(8a)が重なるようにして、これら作用部(8a,18a)が配設されている。
なお、図12において、重なる作用部は共に風船部8a,18aであり、風船部8a,18aのそれぞれの構成は、前記実施形態と同様であるが、使用者側に近い風船部8aは小さい円形乃至矩形であり、使用者側と離れている風船部18aは、風船部8aよりも輪郭形状が大きい長円形乃至矩形である。
【0044】
また、図13において、重なる作用部のうち、第3シート材13側の第2の作用部は風船部18aであるが、被施療部側の第1の作用部は、前記第1の実施形態で説明したものと同様の吸込用孔8b(吐出用孔8c)である。この図12の構成と図13の構成とを一つのマスク本体部1に併存させたものとすることができる。
【0045】
この実施形態によれば、施療シート5の厚さ方向に、2層の風船部8a,18aを設けることができる。また、使用者側(被施療部側)の第1の流路部7と第1の風船部8aとを一つの層間に設け、第2の流路部17と第2の風船部18aとを別の層間に設けていることから、流路部などの配置が煩雑とならず、2層の風船部8a,18aを有する構成を容易に得ることができる。
また、各層に独立して設けられている複数の作用部のそれぞれは、吐出部26、吸引部27(吐出部29)によって、別個独立して動作することができるようになっている。つまり、使用者側の層にある作用部(8a)と、この作用部(8a)の下層にある作用部(18a)とは、相互関係なく独立して機能(動作)するように構成されている。
【0046】
そして、図12において、2つの作用部(風船部8aと風船部18a)を、それぞれ異なる層に設けていることから、流路部7,17が交わらず、風船部8aと風船部18aとを独立させて膨縮動作させることができる。
また、図13において、種類の異なる2つの作用部(吸引用孔8bと風船部18a)を設ける場合、それぞれ異なる層に設けていることから、流路部7,17が交わらず、吸引用孔8bと風船部18aとを独立して動作させる構成とすることができ、異なる機能をそれぞれ発揮することができる。
【0047】
以上のように、図12の作用部によれば、第1の作用部(風船部8a)と第2の作用部(風船部18a)とが、マスク本体部1の厚さ方向に重なって存在しているので、これらの作用部(8a,18a)の双方、又は一方を作動させることによって多様な施療が可能となる。
例えば、図12(b)に示しているように、風船部8a,18aの双方を動作させると押し出し量が大きくなって押圧力が大きくなり、一方のみを動作させると押し出し量が小さくなって押圧力が小さくなるというように、マッサージ強さ(押圧力)を変更することができる。
また、図13の吸引用孔8bと風船部18aによれば、図13(b)に示しているように、風船部18aを膨張させることで吸引用孔8bを被施療部に押し付けながら、当該吸引用孔8bによって被施療部を吸引することができる。
また、図13の吸引用孔8bを吐出用孔8cとして機能させた場合は、風船部18aを膨張させることで吐出用孔8cを被施療部に押し付けながら、当該吐出用孔8cによって被施療部に対して流体を吹き付けることができる。
【0048】
さらに、図12において、第1の作用部としての風船部8a及び第2の作用部としての風船部18aが施療シート5の厚さ方向に重なっている形態において、使用者側となる第1の作用部としての風船部8a、及び、これと連通している第1の流路部7の一部の双方が、第2の作用部としての風船部18aに対して施療シート5の厚さ方向に重なって存在している。さらに、一つの風船部18aに対して、複数(2つ)の風船部8aが厚さ方向に重なって存在している。
このように、使用者側の風船部8aと連通している流路部7が、下層の風船部18aと厚さ方向に重なり使用者側に存在していても、この流路部7は施療シート5の内部に埋まっているようにして設けられているため、使用者に対して当該流路部7の存在により違和感を与えにくい。すなわち、図示しないが(図12を参考にして説明すると)、使用者側の風船部8aと連通している流路部が、施療シート5の内部に埋まっている状態ではなく、流路部がパイプからなり露出状態で設けられている場合(比較例)、下層の風船部が膨張すると、このパイプが使用者(被施療部)に押し付けられる。この比較例では、下層の風船部が膨張するとパイプが使用者に対して線接触している状態となり、使用者はパイプの存在を感じてしまう。
しかし、図12のように、流路部7が施療シート5の内部に設けられているため、下層の風船部18aが膨張して流路部7の一部が使用者側へ押し出されても、この施療シート5のうちの当該流路部7が存在している部分は、使用者に対して広い面で面接触することができるため、使用者はこの流路部7の存在を感じることがない。
【0049】
以上の各実施の形態によれば、施療シート5の内部に流路部7及び作用部(8a,8b,8c)が設けられているため、本体部1を薄型に構成することができる。したがって、使用者が顔に装着して用いるマスク形のマッサージ機として本体部1は好ましい構造となる。
さらに、第1シート材11と第2シート材12とのうちの一方のシート材(第2シート材12)の合わせ面12aに凹部(凹溝21、凹部22)を形成し、これに他方のシート材(第1シート材11)を重ねることにより、流路部7及び作用部(8a)を形成することができるので、製造が容易となる。
すなわち、図示しないが、第1シート材11の合わせ面11aと第2シート材12の合わせ面12aとの双方にそれぞれ、凹部等を加工し、この加工部分を組み合わせることによって一つの流路部及び一つの作用部を構成する場合、第1シート材11のその加工部分と第2シート材12のその加工部分との厳密な位置合わせが必要となる。しかし、図示した前記各実施形態の場合、第1シート材11の合わせ面12aは一面状である平滑面からなるために、第2シート材12にのみ凹部を設け、この上に第1シート材11を重ねる際、第2のシート材12に対して第1のシート材11を厳密に位置合わせして重ねる必要がないため、製造が容易となる。
【0050】
[施療動作について]
図1(図7)及び図14において、作用部としての風船部8aは、左右の頬部、左右の目の側部に設けられており、また、作用部としての吸引用孔8b(吐出用孔8c)は左右の頬部に設けられている。さらに、(図1と図14とでは複数の風船部8aが繋がって)一方向に長く構成された前記作用部列は、頬部において、左右横方向を長手方向とし、上下に複数列(6列)が設けられている。そして、この上下方向の中央部に、複数の吸引用孔8bが繋がって一方向に長く構成された別の作用部列が一列設けられている。また、目の側部において、複数の風船部8aによる別の作用部列が、上下方向を長手方向とし、左右に複数列(2列)設けられている。
【0051】
そして、動作部4の制御部28は、風船部8aによる複数の作用部列をシーケンシャル制御する。例えば、頬部において、作用部列を上から下へ(又は下から上へ)順番に切り替えて動作させ、頬部に対して、波打つように押圧するマッサージを行う。これにより、揉みに相当する施療が可能となる。または、上下両側から中央へと向かうように順番に、作用部列を動作させ、頬部を上下から挟むように押圧するマッサージを行う。これにより、挟み揉みに相当する施療が可能となる。
また、目の側部において、作用部列を中央側から側部側へ順番に切り替えて動作させ、目尻を側方へ引張るように押圧するマッサージを行う。または、作用部列を側部側から中央側へ順番に切り替えて動作させ、目の側部を中央へ押圧するマッサージを行う。
また、制御部28が、風船部8aを短い周期で膨張、収縮させることにより、叩きに相当する施療が可能となる。
【0052】
また、図12及び図14のように、施療シート5において、使用者側に小さな作用部(風船部8a)が設けられたミクロ構造部と、使用者側から離れている下層側に(風船部8aよりも)大きな作用部(風船部18a)が設けられたマクロ構造部とを備えている構成において、前記マクロ構造部を動作させると大きな揺れを与えるような粗い動作によるマッサージが行われる。また、ミクロ構造部を動作させると小さな点で刺激を与える細やかな動作によるマッサージが行われる。また、マクロ構造部及びミクロ構造部を同時に動作させると、被施療部に対して、大きな揺れを与えながら小さな点で刺激を与える複合的なマッサージが可能となる。
【0053】
さらに、動作部4は、風船部8a及び吐出用孔8cへ供給する流体(空気又は液体)の温度を調整する温度調整部(図示せず)を備えている。温度調整部は、サーモスタットとヒータとを有しており、供給する流体の温度を高めることで、被施療部を温めながら前記作用部による施療を行うことができる。また、供給する流体の温度を低くすることで、被施療部を冷しながら前記作用部による施療を行うことができる。なお、流体の温度を検出するセンサは、マスク本体部1に設けられていてもよい。
【0054】
さらに、マスク本体部1には、ヒータ部36(図1参照)が設けられており、このヒータ部36はリード線3を介して動力部4が有している温度調整部37と繋がっている。ヒータ部36は、例えば、第1シート11と第2シート12との間に介在しており、面状のヒータとすることができる。図1では、ヒータ部36は、目の周囲を温めるように目開口部の周囲に設けられている。温度調整部37は、マスク本体部1に設けたセンサ(図示せず)からリード線3と介して検出信号を受け、ヒータ部36の温度制御を行う。そして、このヒータ部36を、前記風船部8a、吸引用孔8b、吐出用孔8cと共に機能させ、複合的な施療を行うことができる。
【0055】
また、前記各実施形態において、2枚のシート材により本体部1を構成した場合(図4)、これらシート材11,12のうちの少なくとも一方が、薬剤(薬液)、香料及び鉱石(鉱石の粒子)の少なくとも一つを含有している。また、3枚のシート材により本体部1を構成した場合(図9)、これらシート材11,12,13のうちの少なくとも一つが、薬剤(薬液)、香料及び鉱石(鉱石の粒子)の少なくとも一つを含有している。
香料としては従来知られているものを適用することができ、また、鉱石は、遠赤外線放射による温感作用を被施療部に与えるものや、マイナスイオンを発生するものであり、従来知られている三仙石赤、三仙石青、黒点花蛇紋石、石英変岩石、トルマリン鉱石等がある。これによれば、前記作用部による施療と共に、香料、鉱石による作用を、被施療部へ与えることができる。薬剤としては、例えば美肌作用を有するアミノ酸がある。
【0056】
[他の形態によるマッサージ機(第4実施形態)]
図15は、別のマッサージ機の実施形態を示す説明図である。このマッサージ機は、例えば座部(図示せず)と、この座部の後部にある背凭れ部39とを有している椅子型である。そして、背凭れ部39に、表面積を変えないでエアによって膨縮するエアセル40が設けられている。また、座部の下にはこのエアセル40にエア(空気)を供給する図示しないエアユニット(動力部)が設けられている。このエアユニットによるエアの給排によってエアセル40は膨縮動作することができる。エアセル40は、表面積を変えないで膨縮することができるように、全体又は一部(側周部)が山折り及び谷折りが交互に繰り返されて形成されたものであり、例えば蛇腹形状となっている。
【0057】
そして、このエアセル40の使用者側に、複数枚のシート材からなる前記の各形態と同様の施療シート5が設けられている。この施療シート5の輪郭形状は、エアセル40の先端部に対応する形状(例えば円形や楕円形)となっており、前記各実施形態と同様に、第1シート材及び第2シート材(さらには第3シート材)を有している。つまり、ベース材10をエアセル40としており、このエアセル40の使用者側に施療シート5が設けられている。
【0058】
この場合において、エアセル40の先端部の膜部材の表面に、第1シート材及び第2シート材(さらには第3シート材)を取り付けてもよいが、エアセル40の先端面を形成する膜部材を、前記第1シート材及び第2シート材(さらには第3シート材)のうちの一つとすることができる。このような、エアによって膨縮するエアセル40と、シート材の間に設けた作用部(8a,8b,8c)とにより、複合的な施療が可能となる。
【0059】
さらに、この発明のマッサージ機は、図示した形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。例えば、この発明のマッサージ機は、図1又は図14のマスク形の本体部1と、座部及び背凭れ部を有する椅子本体部(図示せず)とを備えた椅子型のマッサージ機(図示せず)であってもよい。この場合、座部と背凭れ部とのうちの少なくとも一方に、前記(図15)と同様のエアセル40が設けられており、このエアセル40にエアを給気するエアユニットが椅子本体部の内部に設けられている。そして、このエアユニットによってマスク形の本体部1にエアを供給する構成とすることができる。
または、前記エアセル40にエアを供給するエアユニットとは別のエアユニットを、マスク形の本体部1用として椅子本体部が備えていてもよい。この場合、表面積を増大させないで膨張させる前記エアセル40と、表面積を増大させるようにして弾性的に膨張させる作用部(前記風船部)を有する施療シート5とでは、エアを供給するためのエアユニットのエア吐出圧及びエア吐出量(流量)が大きく異なることから、このように別のエアユニットを備えている構成とするのも好ましい。
【0060】
また、前記実施形態では、マスク形(図1)又はエアセル40を有する身体支持体(背凭れ部39)を備えた椅子型(図15)として説明したが、これ以外に、使用者の身体(上半身のみ、脚のみなど)を支持する身体支持体として平板状乃至マット状のパッド(ベース材)にエアセル40を設け、さらにこのエアセル40に前記施療シート5を取り付けたものであってもよい。
【0061】
[他の形態によるマッサージ機(第5実施形態)]
図16は、さらに別のマッサージ機の実施形態を示す説明図である。このマッサージ機は、ベース材10に施療シート5が設けられている点で前記各実施形態と同様であり、また、ベース材10と施療シート5とからなる本体部1を使用者の身体に付けて(貼り付けて)使用するものであるが、その位置を所望の位置に付けかえる(貼りかえる)ことができる。具体的には、ベース材10は所定形状(図例では矩形)となっており、その中央部に施療シート5が設けられており、縁部に使用者の身体の一部に付く(貼り付く)取付部44が設けられている。そして、この本体部1を、例えば、使用者の肩部、腰部、腕部、脚部等の各部に対して選択的に付けることができる。ベース材10及び施療シート5は柔軟な部材であり可撓性があることから、本体部1を使用者の身体に沿って面接触した状態で付けることができる。また、ベース材10(本体部1)は手のひらと同等の大きさ乃至これよりも小さい大きさとすることができる。
【0062】
施療シート5は、前記各実施形態と同様であり、図4を参考にして説明すると、第1シート材11と、この第1シート材11に重ねて設けられている第2シート材12とを有している。さらには、図9に示しているように、第3シート材13を有していてもよい。そして、流路部及び作用部がこれらシート材に設けられている。
図16において、ベース材10の少なくとも縁部が粘着性のある部材からなり、この部分を取付部44としている。つまり、ベース材10を粘着部材(粘着パッド)とすることができ、この粘着部材のうちの露出した部分によって取付部44を構成することができる。粘着部材としては、ゲルを有するものや、水、オイル等の多量の液体成分を含んだ高分子材料を有するものを採用することができる。また、貼り付けの強度を高めるために、ベルト(図示せず)によってこの本体部1を身体の一部と共に巻き付けてもよい。
【0063】
また、前記実施形態(例えば図1)では、本体部1に、2種類以上の異なる作用部が設けられたものとしたが、作用部の種類は3種類以上であってもよい。なお、この作用部の「種類が異なる」とは、押圧する作用部(風船部8a)と吸引を行う作用部(吸飲孔部8b)とのように、施療の性質が異なることをいう。これにより、2以上の異なる種類の施療作用を有するものが得られる。
【0064】
また、作用部の種類は、前記作用部8a,8b,8cのうちの1種類のみを有するマッサージ機であってもよい。
また、一つの本体部1において、大きさ、形状が異なる作用部が複数設けられていてもよい。
さらに、前記実施形態では、使用者側の第2シート材12に凹部、孔を形成することで、流路部7及び作用部(8a,8b,8c)を構成した場合を説明したが、(図示しないが)第1シート材11に凹部、孔を形成することで、流路部7及び作用部(8a,8b,8c)を構成してもよい。この場合、例えば、作用部としての風船部8aに空気を供給することで、第2シート材12の一部が、その表面積を拡大させながら膨張することができ、被施療部を押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明のマッサージ機の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】このマッサージ機の断面図である。
【図3】このマッサージ機のマスク本体部の要部を示している正面図である。
【図4】(a)は図3のA−A矢視における断面図であり、(b)は作用部が機能している状態を示している。
【図5】図3のB−B矢視における断面図である。
【図6】図3のC−C矢視における断面図である。
【図7】この発明のマッサージ機の変形例を示す正面図である。
【図8】マスク形マッサージ機の第2の実施形態を示す断面図である。
【図9】(a)はマスク本体部の要部の断面図であり、(b)は作用部が機能している状態を示している。
【図10】マスク本体部の要部の断面図である。
【図11】マスク本体部の要部の断面図である。
【図12】この発明のマッサージ機の第3の実施形態を示している断面図である。
【図13】第3の実施形態における作用部を説明する断面図である。
【図14】第3の実施形態のマッサージ機の正面図である。
【図15】この発明のマッサージ機の第4の実施形態を示している説明図である。
【図16】この発明のマッサージ機の第5の実施形態を示している説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1 本体部(マスク本体部)
4 動力部
7 流路部(第1流路部)
8a 風船部(作用部)
8b 吸引用孔(作用部)
8c 吐出用孔(作用部)
11 第1シート材
12 第2シート材
13 第3シート材
17 流路部(第2流路部)
18a 風船部(第2作用部)
18b 吸引用孔(第2作用部)
18c 吐出用孔(第2作用部)
21 凹溝(凹部)
22 凹部
23 孔
31 凹溝(凹部)
32 凹部
33 孔
【技術分野】
【0001】
この発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
エア(空気)を給気又は排気することによって動作するマッサージ具として、膨張収縮可能なエアセルがある(例えば、特許文献1参照)。このようなエアセルを備えたマッサージ機は、ポンプ及び各種バルブを有したエアユニットを動力源としてさらに備えており、このエアユニットからパイプを通じてエアを給気することでエアセルを膨張させ、使用者の被施療部を押圧し、施療を行うことができる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−295751号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記エアセルは膨張収縮することができるように蛇腹形状となっており、また、その基部にパイプを接続するための接続部を設ける必要があるために、エアセル全体の厚さ(嵩)が大きくなってしまう。また、エアセルを蛇腹形状に製造し、このエアセルに対して別部材であるパイプを接続させ、さらに、このパイプを配管する必要があるため、製造(組み立て)に手間を要する。
【0005】
そこで、この発明は、薄型に構成することができるとともに、製造が容易となるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するためのこの発明のマッサージ機は、第1シート材とこの第1シート材に重ねて設けられている第2シート材とを有する施療シートを備え、流体を流す流路部、及び、この流路部と連通し前記流体によって施療のために作用する作用部が、前記施療シートの内部に設けられており、前記流路部は、前記第1シート材と前記第2シート材との合わせ面に設けられた凹部によって形成されているものである。
このマッサージ機によれば、第1シート材と第2シート材とを有する施療シートの内部に流路部及び作用部が設けられているため、薄型に構成することができる。そして、第1シート材と第2シート材との合わせ面に凹部を設け、第1シート材と第2シート材とを重ねることにより流路部を形成することができるので、製造が容易となる。
【0007】
また、前記マッサージ機において、前記流路部は、前記第1シート材と前記第2シート材とのうちの一方のシート材の合わせ面に設けられた前記凹部、及び、この凹部に合わせられる他方のシート材の平滑な平滑面部によって構成されており、前記作用部は、この一方のシート材に設けられた凹部又は孔、及び、この凹部又は孔に合わせられる前記他方のシート材の平滑な平滑面部によって構成されているのが好ましい。
これによれば、第1シート材と第2シート材とのうちの一方のシート材の合わせ面に凹部、孔を形成し、これに他方のシート材の平滑面部を重ね合わせることにより、流路部及び作用部を構成することができるので、製造が容易となる。
【0008】
また、前記マッサージ機において、複数種類の異なる前記作用部が設けられているのが好ましい。これによれば、複数種類の作用を有するものが得られる。
また、前記マッサージ機において、前記作用部を、前記流路部から供給された前記流体によって膨張する部分とすることができる。これによれば、作用部が膨張することにより使用者の被施療部を押圧することができる。
【0009】
また、前記マッサージ機において、前記作用部を、使用者側の外部に開口している吸引用孔とすることができる。これによれば、吸引用孔によって被施療部を吸引することができる。
また、前記作用部を、使用者側の外部に開口し前記流路部から送られる流体を吐出する吐出用孔とすることができる。これによれば、吐出用孔から被施療部に対して流体を供給する(吹き付ける)ことができる。
【0010】
また、前記マッサージ機において、前記施療シートは、前記第1シート材及び前記第2シート材のいずれか一方のシート材に重ねて設けられた第3シート材をさらに有し、前記一方のシート材及び/又は前記第3シート材の内部に、流体を流す第2の流路部、及び、この第2の流路部と連通し前記流体によってマッサージのために作用する第2の作用部が設けられているのが好ましい。これによれば、作用部を複数設けることができる。また、このために適した構造となり、特に種類の異なる複数の作用部を設ける際に、各作用部をそれぞれ独立させた構造にしやすい。
【0011】
さらに、この場合において、前記第1シート材と前記第2シート材との内部に設けられている第1の前記作用部と、前記第2の作用部とが、前記施療シートの厚さ方向に重なって存在しているのが好ましい。これによれば、第1の作用部と第2の作用部とが厚さ方向に重なって存在しているので、これらの作用部の双方又は一方を作動させることによって多様な施療が可能となる。
さらに、前記第1の作用部と前記第2の作用部とのうちの使用者側となる一方の作用部と、これと連通している前記流路部との双方が、他方の作用部に対して前記施療シートの厚さ方向に重なって存在している構成とすることができる。このように、一方の作用部と連通している流路部が、他方の作用部と厚さ方向に重なり使用者側に存在していても、前記のとおり、当該流路部は施療シートの内部に設けられているため、使用者に対して当該流路部の存在を認識させにくい構造となっている。
【0012】
また、前記マッサージ機において、前記施療シートは、薬剤、香料及び鉱石の少なくとも一つを含有しているのが好ましい。
これによれば、このマッサージ機を被施療部に接近させた状態とすると、薬剤、香料及び鉱石のうちの少なくとも一つによる作用を、被施療部へ与えることができる。
【0013】
また、前記マッサージ機は、前記施療シートが使用者側として設けられているベース材をさらに備え、このベース材が、使用者の顔面に装着するマスク形であるものとすることができる。これによれば、使用者の顔面に対して施療を行うことができるマッサージ機となる。
または、前記マッサージ機は、前記施療シートが使用者側として設けられているベース材をさらに備え、このベース材が、表面積を変えないでエアによって膨縮するエアセルであるものとすることができる。これによれば、エアによって膨縮するエアセルと、施療シートとにより、複合的な施療が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明のマッサージ機によれば、施療シートの内部に流路部及び作用部が設けられているため、薄型に構成することができ、また、第1シート材と第2シート材との合わせ面に凹部を設け、これらシート材を重ねることにより流路部を形成することができるので、製造が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1はこの発明のマッサージ機の実施の一形態を示す正面図である。図2はこのマッサージ機の断面図である。図1と図2のマッサージ機は、使用者の顔面に装着するマスク形であり、顔面に対して施療を行うものである。なお、後にも説明するが、この施療には、使用者の被施療部(図では顔面)に対して、押圧(押圧による揉みと叩き)や吸引等の物理的な外力を作用させる(刺激を与える)施療以外に、薬液を吹き付ける等の美容的な作用を与える施療、香料等のパーティクルを吹き付ける等のリラックスさせる作用を与える施療が含まれる。
【0016】
このマッサージ機は、使用者の顔に装着させるマスク形のマスク本体部1と、このマスク本体部1とパイプ2a〜2i及びリード線3を介して繋がっている動力部4とを備えている。図2において、マスク本体部1はベース材10と施療シート5とからなる。ベース材10は顔面に装着するマスク形であり、例えば樹脂により成形することができる。ベース材10は、その内面10aに、施療シート5を使用者側(被施療部側)の部材として取り付けている。この取り付けは接着とすることができる。つまり、マスク本体部1の装着状態で、施療シート5を被施療部に当接させる。
【0017】
施療シート5は、複数枚の薄いシート状のシート材からなる。図2では、施療シート5は第1シート材11と第2シート材12との2枚からなり、第2シート材12は、第1シート材11に重ねて設けられている。第1シート材11及び第2シート材12は樹脂製やゴム製とすることができ、少なくとも被施療部側のシート材(図例では第2シート材12)は弾性変形が可能な部材である。具体的には、シリコンゴムとすることができ、薄くて柔軟な構造となっている。
【0018】
図1において、動力部4はマスク本体部1と別体となっており、動力部4は、パイプ2a〜2i及びリード線3を接続させるポート部(図示せず)と、流体(液体又は気体)を吐出する吐出ポンプ(図示せず)を有している吐出部26と、流体を吸引する吸引ポンプ(図示せず)を有している吸引部27と、吐出部26及び吸引部27の動作を制御する制御部28とを備えている。パイプ2a〜2iのそれぞれの一端部は前記マスク本体部1(後述する流路部7)と繋がっており、他端部は動力部4の前記ポート部と繋がっている。
【0019】
マスク本体部1を図1と図2とにより説明する。
ベース材10は、人面に対応した形状を有する板状のものであり、目、鼻、口に対応する部分が開口している。このベース材10は、顔面の略全体を覆う形状を有しているが、顔面の少なくとも一部を覆う形状のものであればよい。
施療シート5(第1シート材11及び第2シート材12)は人面に対応した形状の部材であり、目、鼻、口に対応する部分が開口している。なお、図示しないが、この施療シート5は、ベース材10に対して部分的に重ねて設けられたものであってもよい。
【0020】
図3は、マスク本体部1の要部(図1の一点鎖線で囲んでいる部分)を示している正面図である。図4は図3のA−A矢視における断面図である。第1シート材11と第2シート材12とは合わせ面11a,12aにおいて接着している。そして、第2シート材12を使用者側として、このマスク本体部1が使用者に装着される。
このマスク本体部1の施療シート5には、動力部4から供給された流体を流す複数本の流路部7、及び、この流路部7と連通している複数個の作用部8a,8bが設けられている。作用部8a,8bは、後にも説明するが、流体が入る(充填される又は通過する)ことにより、被施療部に対して施療のために作用することができる部分である。なお、図4において、流路部7は図3のA−Aにおける断面には存在していないが、つまり、流路部7は作用部8a,8b内に存在しているものではないが、流路部7の横断面の形状を説明するため、図4において流路部7を記載している(後述する図9も同様)。そして、複数個の作用部8a(8b)が流路部7によって直列に繋がっており、繋がっている複数個の作用部8a(8b)によって一列の作用部列を構成している。そして、施療シート5には複数列の作用部列が設けられている。図1では、左右のそれぞれにおいて、目の側部に2列、頬部に7列の作用部列が設けられている。各作用部列が有している流路部7と、前記パイプ2a〜2iのそれぞれとが繋がっている。なお、作用部列は直線状又は湾曲状に配置される以外に、蛇行状に配置されていてもよい。
【0021】
この施療シート5には2種類の異なる作用部8a,8bが設けられている。つまり、施療の性質が異なる2種類の第1の作用部8aと第2の作用部8bとが設けられている。
第1の作用部8aは内部に空室部を有する風船部であり(以下、風船部8a)、この風船部8aは、前記動力部4の吐出部26からパイプ(2a〜2h)及び流路部7を介して供給された流体(エア)によって膨張する(図4(b)参照)。この膨張した風船部8aにより、被施療部を押圧することができる。
第2の作用部8bは、使用者側の外部に開口している吸引用孔であり(以下、吸引用孔8b)、前記動力部4の吸引部27がエア(空気)を吸引することによって、パイプ2i及び流路部7を介して、この吸引用孔8bから使用者側のエア(空気)を吸うことができる。これにより、吸引用孔8bによって被施療部を吸引することができる。
【0022】
この吸引用孔8bにおける吸引作用は、使用者の皮膚に対して刺激を与えるマッサージ機能以外にも、マスク本体部1を使用者の身体(顔面)に吸着させて位置保持する機能も有している。この場合、複数の吸引用孔8bをマスク本体部1に適宜配置することで、マスク本体部1を顔面に密着させることができる。そして、この密着させた状態で、風船部8aによる押圧作用を与えることができる。このために、位置保持用(吸着用)としての吸引用孔8bは、マスク本体部1の周縁部に複数設けることができる。
【0023】
また、この吸引用孔8bを吐出用孔8cとして用いてもよい。つまり、吸引用孔8bと繋がっている動力部4の吸引部27を、吐出部29として機能させ、この吐出部29が、エア(又は液体)及びこのエア(又は液体)に含ませた香料等のパーティクルを、または、薬液(エアに含ませた薬液)を、パイプ2i及び流路部7を介して吐出用孔8cから使用者側へ吹き付けることができる。なお、パーティクル(薬液)は、動力部4が備えるパーティクル(薬液)溜まり部(図示せず)内にある。
または、吸引用孔8b及び吸引部27とは別に、使用者側の外部に開口している吐出用孔8cをマスク本体部1にさらに設け、動力部4に吐出部29をさらに設け、この吐出部29が動作することにより、パイプ2i及び流路部7から送られた流体を、この吐出用孔8cから吐出させるようにしてもよい。
【0024】
図5は図3のB−B矢視における断面図であり、図6はC−C矢視における断面図である。前記作用部(8a,8b,8c)及び流路部7は、施療シート5の内部(つまり、第1シート材11と第2シート材12との厚み内)に設けられている。具体的に説明すると、流路部7は、第1シート材11と第2シート材12との間の合わせ面に設けた凹溝21によって形成されている。特に、この実施形態では、第1シート材11と第2シート材12とのうちの一方の第2シート材12の合わせ面12aに凹溝21を設け、この凹溝21に第1シート材11の平滑な平滑面部15(合わせ面11a)を重ね合わせることにより、凹溝21の底面と両側面、及び、当該凹溝21の底面との対向面となる平滑面部15によって、横断面において、周方向に囲まれた流路部7が構成される。
【0025】
さらに、第1の作用部である風船部8aについて図4と図5とにより説明する。流路部7を構成するために凹溝21を設けた第2シート材12の前記合わせ面12aに窪み形状の凹部22を設け、この凹部22に第1シート材11の平滑な平滑面部15(合わせ面11a)を重ね合わせることにより、凹部22の底面と側面、及び、当該凹部22の底面との対向面となる平滑面部15によって囲まれた、風船部8aの空室部が構成される。そして、凹部22は、前記凹溝21と合わせ面12a側において繋がっている。
また、風船部8aの空室部は、これに繋がっている流路部7の凹溝21よりも深い凹部22によって構成されており、また、図4において、風船部8aの空室部の横断面は、流路部7の横断面よりも大きくなっている。
【0026】
また、第2シート材12に凹部22を形成することにより、当該凹部22よりも使用者側の部分に薄膜部19が形成される(残される)。この薄膜部19は、第2シート材12の本体部(凹部22、凹溝21が形成されていない部分)よりも厚さが薄くなっているため、空気が風船部8aに供給されることによって薄膜部19においてその表面積を拡大させながら膨張することができる。そして、この膨張した薄膜部19が被施療部を押圧することができる。つまり、第2シート材12の合わせ面12a側には凹部22が形成されており、その反対である表面側には被施療部を押圧する押圧部となる薄膜部19が形成されている構成となっている。
【0027】
空気が供給され風船部8a内が加圧されると、風船部8aはその表面積を弾性的に拡大させながら膨張するため(図4(b))、この風船部8aへの加圧を解除すると、薄膜部19の弾性復元力により、風船部8aは加圧前の自然状態(図4(a))に自動的に戻ることができる。
また、この構成によれば、薄い薄膜部19によって、風船部8aは被施療部に対して外力を付与する程度に大きく膨張し、施療の作用を与えることができるが、流路部7から表面までの厚さ(被施療部側の厚さ)は薄膜部19に比して充分に厚いため、流路部7では被施療部に対して施療の作用を与える程の膨張が生じない構造である。このため、流路部7によって意図しない部位に対して押圧による施療が行われたり、流路部7の存在によって使用者に不快感を与えたりすることを防止できる。
【0028】
なお、図1及び図3に示しているように、風船部8aの空室部(凹部22)の正面視における輪郭形状を円形としているが、この空室部の形状は矩形としてもよく、また、凹部22を一方向に長い凹溝としてもよく、また、この場合、風船部8aは直線的なもの以外に湾曲している形状であってもよい(図7参照)。なお、図1と図7とにおいて、風船部8a及び流路部7について、説明を容易とするために、実線で示している。
【0029】
第2の作用部である吸引用孔8b(吐出用孔8c)について図6により説明する。流路部7を形成するために凹溝21が第2シート材12の合わせ面12aに設けられており、この第2シート材12に厚さ方向に貫通した孔23を設け、この孔23の一端部(第2シート材12の合わせ面12a)に第1シート材11の平滑な平滑面部15(合わせ面11a)が重ね合わされることにより、当該平滑面部15を底面とした有底状の孔として、吸引用孔8b(吐出用孔8c)は構成される。この吸引用孔8b(吐出用孔8c)は、流路部7を構成するための凹溝21と合わせ面12a側において繋がっている。
【0030】
以上のようにこの実施形態では、第2シート材12(合わせ面12a)に、流路部7及び作用部(8a,8b,8c)を構成するための凹溝21、凹部22及び孔23が形成されているが、他方の第1シート材11(合わせ面11a)には、流路部7及び作用部(8a,8b,8c)を構成するための凹溝、凹部及び孔が形成されておらず、合わせ面11aにおける流路部7及び作用部(8a,8b,8c)に重ね合わせる部分は、平滑な面(平滑面部15)としている。そして、流路部7と作用部(8a,8b,8c)とは複数枚(2枚)が重ね合わされたシート材(11,12)により一体として形成されている。
【0031】
[第2実施形態]
図8はマスク形マッサージ機の第2の実施形態を示す断面図である。このマスク本体部1の施療シート5は、3枚のシート材(第1シート材11、第2シート材12、第3シート材13)からなる。この第2の実施形態は、第1の実施形態と比べて施療シート5の形態が異なるが、マスク本体部1のベース材10及び動力部4等は同じである。
【0032】
施療シート5は人面に対応した形状の部材であり、目、鼻、口に対応する部分が開口している。第1シート体11の第1の合わせ面11aに第2シート体12が重ね合わせて設けられており、第1シート体11の反対側である第2の合わせ面11bに第3シート材13が重ね合わせて設けられている。なお、この施療シート5は、ベース材10に対して部分的に重ねて設けられたものであってもよい。第1シート材11と第2シート材12とは合わせ面11a,12aにおいて接着しており、第1シート材11と第3シート材13とは合わせ面11b,13aにおいて接着している。そして、第2シート材12を使用者側として、このマスク本体部1が使用者に装着される。
【0033】
第1シート材11と第2シート材12とによるシート層の内部(厚み内)に設けられた第1の作用部(風船部8a)及びこれに繋がっている第1の流路部7は、第1の実施形態と同じであるが、第2の作用部(吸引用孔8b、吐出用孔8c)及びこれに繋がる第2の流路部17の形態が異なっている。
図9と図10と図11とはマスク本体部1の要部の断面図であり、それぞれ第1の実施形態の図4と図5と図6とに対応している。
この第2の実施形態においても、第1の作用部(風船部8a)及びこれに繋がっている第1の流路部7は、第1シート材11と第2シート材12とによるシート層の内部(厚み内)に設けられている。つまり、第1シート材11と第2シート材12とのうちの一方の第2シート材12の合わせ面12aに凹溝21を設け、この凹溝21に第1シート材11の平滑な平滑面部15(第1合わせ面11a)を重ね合わせることにより、横断面において、周方向に囲まれた第1の流路部7が構成される。
【0034】
さらに、第1の作用部である風船部8aの空室部は、第1の流路部7を構成するために凹溝21を設けた第2シート材12の合わせ面12aに凹部22を設け、この凹部22に第1シート材11の平滑な平滑面部15(第1合わせ面11a)を重ね合わせることにより構成される。そして、凹部22は、前記凹溝21と合わせ面12a側において繋がっている。また、風船部8aの空室部は、これに繋がっている流路部7の凹溝21よりも深い凹部22によって構成されており、また、図9において、風船部8aの空室部の横断面は、流路部7の横断面よりも大きくなっている。そして、凹部22よりも使用者側の部分に薄膜部19が形成されている。
【0035】
図11において、第2の作用部(吸引用孔8b(吐出用孔8c))及びこれに繋がっている第2の流路部17は、第1シート材11と第2シート材12とによるシート層の内部(厚み内)に設けられている。そして、第1シート材11と第3シート材13とのうちの一方の第1シート材11の第2の合わせ面11bに凹溝21を設け、この合わせ面11bに第3シート材13の平滑な平滑面部16(合わせ面13a)を重ね合わせることによって、横断面において、周方向に囲まれた第2の流路部17が構成される。なお、第1シート材11の第2の合わせ面11bは、第1の合わせ面11aの反対側の面である。
【0036】
第2の作用部である吸引用孔8b(吐出用孔8c)について図9と図11とにより説明する。第1シート材11及び第2シート材12にこれらの厚さ方向に貫通した孔23が形成されており、この孔23の一端部(第2の合わせ面11b)に第3シート材13の平滑な平滑面部16(合わせ面13a)が重ね合わされることにより、当該平滑面部16を底面とした有底状の孔として、吸引用孔8b(吐出用孔8c)は構成される。この吸引用孔8b(吐出用孔8c)は、第2の流路部17を構成するための凹溝21と第2の合わせ面11b側において繋がっている。
【0037】
以上のように、この実施形態では、図10において、第2シート材12(合わせ面12a)に、第1の流路部7及び第1の作用部(8a)を構成するための凹溝21及び凹部22が形成されているが、他方の第1シート材11の第1の合わせ面11aには、流路部7及び第1の作用部(8a)を構成するための凹溝及び凹部が形成されておらず、第1の合わせ面11aにおける流路部7及び第1の作用部(8a)に重ね合わせる部分は、平滑な面(平滑面部15)を有している。
また、図11において、第1シート材11の第2の合わせ面11bに、第2の流路部17及び第2の作用部(8b)を構成するための凹溝21及び孔23の一部が形成されているが、他方の第3シート材11の合わせ面13aには、流路部17及び第2の作用部(8b)を構成するための凹溝及び孔が形成されておらず、第3シート材13の合わせ面13bにおける流路部17及び第2の作用部(8b)に重ね合わせる部分は、平滑な面(平滑面部16)を有している。
そして、流路部7と第1及び第2の作用部(8a,8b,8c)とは、複数枚(3枚)が重ね合わされたシート材(11,12,13)によって一体として形成されている。
【0038】
[第3実施形態]
図14は、マッサージ機の第3の実施形態を示している正面図である。図12は、このマッサージ機の要部の断面図であり、図14の頬部の最下位置にある作用部列における断面図である。このマスク本体部1の施療シート5は、第2実施形態と同様に、3枚のシート材(第1シート材11、第2シート材12、第3シート材13)からなる。この施療シート5が、マスク形のベース材10に取り付けられている。そして、この実施形態では、第1の作用部と第2の作用部とが施療シート5の厚さ方向に重なって存在している。
【0039】
具体的に説明すると、この第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態と同様に、第1の作用部(風船部8)及び第1の流路部7が、第1シート材11と第2シート材12とによるシート層の内部に設けられている。第2シート材12の合わせ面12aに凹溝21を設け、この凹溝21(合わせ面12a)に第1シート材11の平滑な平滑面部15(第1の合わせ面11a)を重ね合わせることにより、横断面において、周方向に囲まれた第1の流路部7が構成される。
【0040】
さらに、第1の作用部である風船部8aの空室部は、第1の流路部7を構成するために凹溝21を設けた第2シート材12の合わせ面12aに凹部22を形成し、この凹部22(合わせ面12a)に第1シート材11の平滑な平滑面部15(第1の合わせ面11a)を重ね合わせることにより構成される。
【0041】
また、第2の実施形態と同様に、第1シート材11の第2の合わせ面11bに重ねて設けられた第3シート材13をさらに備えており、この第1シート材11と第3シート材13とによるシート層の内部に、流体を流す第2の流路部17、及び、この第2の流路部17と連通し前記流体によってマッサージのために作用する第2の作用部(18a)が設けられている。
【0042】
第2の流路部17は、第1シート材11の(第1の合わせ面11aと反対側の面である)第2の合わせ面11bに凹溝31を設け、この凹溝31(合わせ面11b)に第3シート材13の平滑な平滑面部16(合わせ面13a)を重ね合わせることにより、横断面において、周方向に囲まれた構成となっている。
さらに、第2の作用部である風船部18aの空室部は、第2の流路部17を構成するために凹溝31を設けた第1シート材11の第2の合わせ面11bに凹部32を設け、この凹部32に第3シート材11の平滑な平滑面部16(合わせ面13a)を重ね合わせることにより構成される。なお、図示しないが、第3シート材13に、第2の流路部17及び第2の作用部(18a)が設けられていてもよい。
【0043】
そして、第1シート材11と第2シート材12とのシート層の内部に設けられている第1の作用部(8a)と、第1シート材11と第3シート材13とのシート層の内部に設けられている第2の作用部(18a)とが、施療シート5(3枚のシート材11,12,13)の厚さ方向に重なって存在している。つまり、第2の作用部(18a)の被施療部側の位置に第1の作用部(8a)が重なるようにして、これら作用部(8a,18a)が配設されている。
なお、図12において、重なる作用部は共に風船部8a,18aであり、風船部8a,18aのそれぞれの構成は、前記実施形態と同様であるが、使用者側に近い風船部8aは小さい円形乃至矩形であり、使用者側と離れている風船部18aは、風船部8aよりも輪郭形状が大きい長円形乃至矩形である。
【0044】
また、図13において、重なる作用部のうち、第3シート材13側の第2の作用部は風船部18aであるが、被施療部側の第1の作用部は、前記第1の実施形態で説明したものと同様の吸込用孔8b(吐出用孔8c)である。この図12の構成と図13の構成とを一つのマスク本体部1に併存させたものとすることができる。
【0045】
この実施形態によれば、施療シート5の厚さ方向に、2層の風船部8a,18aを設けることができる。また、使用者側(被施療部側)の第1の流路部7と第1の風船部8aとを一つの層間に設け、第2の流路部17と第2の風船部18aとを別の層間に設けていることから、流路部などの配置が煩雑とならず、2層の風船部8a,18aを有する構成を容易に得ることができる。
また、各層に独立して設けられている複数の作用部のそれぞれは、吐出部26、吸引部27(吐出部29)によって、別個独立して動作することができるようになっている。つまり、使用者側の層にある作用部(8a)と、この作用部(8a)の下層にある作用部(18a)とは、相互関係なく独立して機能(動作)するように構成されている。
【0046】
そして、図12において、2つの作用部(風船部8aと風船部18a)を、それぞれ異なる層に設けていることから、流路部7,17が交わらず、風船部8aと風船部18aとを独立させて膨縮動作させることができる。
また、図13において、種類の異なる2つの作用部(吸引用孔8bと風船部18a)を設ける場合、それぞれ異なる層に設けていることから、流路部7,17が交わらず、吸引用孔8bと風船部18aとを独立して動作させる構成とすることができ、異なる機能をそれぞれ発揮することができる。
【0047】
以上のように、図12の作用部によれば、第1の作用部(風船部8a)と第2の作用部(風船部18a)とが、マスク本体部1の厚さ方向に重なって存在しているので、これらの作用部(8a,18a)の双方、又は一方を作動させることによって多様な施療が可能となる。
例えば、図12(b)に示しているように、風船部8a,18aの双方を動作させると押し出し量が大きくなって押圧力が大きくなり、一方のみを動作させると押し出し量が小さくなって押圧力が小さくなるというように、マッサージ強さ(押圧力)を変更することができる。
また、図13の吸引用孔8bと風船部18aによれば、図13(b)に示しているように、風船部18aを膨張させることで吸引用孔8bを被施療部に押し付けながら、当該吸引用孔8bによって被施療部を吸引することができる。
また、図13の吸引用孔8bを吐出用孔8cとして機能させた場合は、風船部18aを膨張させることで吐出用孔8cを被施療部に押し付けながら、当該吐出用孔8cによって被施療部に対して流体を吹き付けることができる。
【0048】
さらに、図12において、第1の作用部としての風船部8a及び第2の作用部としての風船部18aが施療シート5の厚さ方向に重なっている形態において、使用者側となる第1の作用部としての風船部8a、及び、これと連通している第1の流路部7の一部の双方が、第2の作用部としての風船部18aに対して施療シート5の厚さ方向に重なって存在している。さらに、一つの風船部18aに対して、複数(2つ)の風船部8aが厚さ方向に重なって存在している。
このように、使用者側の風船部8aと連通している流路部7が、下層の風船部18aと厚さ方向に重なり使用者側に存在していても、この流路部7は施療シート5の内部に埋まっているようにして設けられているため、使用者に対して当該流路部7の存在により違和感を与えにくい。すなわち、図示しないが(図12を参考にして説明すると)、使用者側の風船部8aと連通している流路部が、施療シート5の内部に埋まっている状態ではなく、流路部がパイプからなり露出状態で設けられている場合(比較例)、下層の風船部が膨張すると、このパイプが使用者(被施療部)に押し付けられる。この比較例では、下層の風船部が膨張するとパイプが使用者に対して線接触している状態となり、使用者はパイプの存在を感じてしまう。
しかし、図12のように、流路部7が施療シート5の内部に設けられているため、下層の風船部18aが膨張して流路部7の一部が使用者側へ押し出されても、この施療シート5のうちの当該流路部7が存在している部分は、使用者に対して広い面で面接触することができるため、使用者はこの流路部7の存在を感じることがない。
【0049】
以上の各実施の形態によれば、施療シート5の内部に流路部7及び作用部(8a,8b,8c)が設けられているため、本体部1を薄型に構成することができる。したがって、使用者が顔に装着して用いるマスク形のマッサージ機として本体部1は好ましい構造となる。
さらに、第1シート材11と第2シート材12とのうちの一方のシート材(第2シート材12)の合わせ面12aに凹部(凹溝21、凹部22)を形成し、これに他方のシート材(第1シート材11)を重ねることにより、流路部7及び作用部(8a)を形成することができるので、製造が容易となる。
すなわち、図示しないが、第1シート材11の合わせ面11aと第2シート材12の合わせ面12aとの双方にそれぞれ、凹部等を加工し、この加工部分を組み合わせることによって一つの流路部及び一つの作用部を構成する場合、第1シート材11のその加工部分と第2シート材12のその加工部分との厳密な位置合わせが必要となる。しかし、図示した前記各実施形態の場合、第1シート材11の合わせ面12aは一面状である平滑面からなるために、第2シート材12にのみ凹部を設け、この上に第1シート材11を重ねる際、第2のシート材12に対して第1のシート材11を厳密に位置合わせして重ねる必要がないため、製造が容易となる。
【0050】
[施療動作について]
図1(図7)及び図14において、作用部としての風船部8aは、左右の頬部、左右の目の側部に設けられており、また、作用部としての吸引用孔8b(吐出用孔8c)は左右の頬部に設けられている。さらに、(図1と図14とでは複数の風船部8aが繋がって)一方向に長く構成された前記作用部列は、頬部において、左右横方向を長手方向とし、上下に複数列(6列)が設けられている。そして、この上下方向の中央部に、複数の吸引用孔8bが繋がって一方向に長く構成された別の作用部列が一列設けられている。また、目の側部において、複数の風船部8aによる別の作用部列が、上下方向を長手方向とし、左右に複数列(2列)設けられている。
【0051】
そして、動作部4の制御部28は、風船部8aによる複数の作用部列をシーケンシャル制御する。例えば、頬部において、作用部列を上から下へ(又は下から上へ)順番に切り替えて動作させ、頬部に対して、波打つように押圧するマッサージを行う。これにより、揉みに相当する施療が可能となる。または、上下両側から中央へと向かうように順番に、作用部列を動作させ、頬部を上下から挟むように押圧するマッサージを行う。これにより、挟み揉みに相当する施療が可能となる。
また、目の側部において、作用部列を中央側から側部側へ順番に切り替えて動作させ、目尻を側方へ引張るように押圧するマッサージを行う。または、作用部列を側部側から中央側へ順番に切り替えて動作させ、目の側部を中央へ押圧するマッサージを行う。
また、制御部28が、風船部8aを短い周期で膨張、収縮させることにより、叩きに相当する施療が可能となる。
【0052】
また、図12及び図14のように、施療シート5において、使用者側に小さな作用部(風船部8a)が設けられたミクロ構造部と、使用者側から離れている下層側に(風船部8aよりも)大きな作用部(風船部18a)が設けられたマクロ構造部とを備えている構成において、前記マクロ構造部を動作させると大きな揺れを与えるような粗い動作によるマッサージが行われる。また、ミクロ構造部を動作させると小さな点で刺激を与える細やかな動作によるマッサージが行われる。また、マクロ構造部及びミクロ構造部を同時に動作させると、被施療部に対して、大きな揺れを与えながら小さな点で刺激を与える複合的なマッサージが可能となる。
【0053】
さらに、動作部4は、風船部8a及び吐出用孔8cへ供給する流体(空気又は液体)の温度を調整する温度調整部(図示せず)を備えている。温度調整部は、サーモスタットとヒータとを有しており、供給する流体の温度を高めることで、被施療部を温めながら前記作用部による施療を行うことができる。また、供給する流体の温度を低くすることで、被施療部を冷しながら前記作用部による施療を行うことができる。なお、流体の温度を検出するセンサは、マスク本体部1に設けられていてもよい。
【0054】
さらに、マスク本体部1には、ヒータ部36(図1参照)が設けられており、このヒータ部36はリード線3を介して動力部4が有している温度調整部37と繋がっている。ヒータ部36は、例えば、第1シート11と第2シート12との間に介在しており、面状のヒータとすることができる。図1では、ヒータ部36は、目の周囲を温めるように目開口部の周囲に設けられている。温度調整部37は、マスク本体部1に設けたセンサ(図示せず)からリード線3と介して検出信号を受け、ヒータ部36の温度制御を行う。そして、このヒータ部36を、前記風船部8a、吸引用孔8b、吐出用孔8cと共に機能させ、複合的な施療を行うことができる。
【0055】
また、前記各実施形態において、2枚のシート材により本体部1を構成した場合(図4)、これらシート材11,12のうちの少なくとも一方が、薬剤(薬液)、香料及び鉱石(鉱石の粒子)の少なくとも一つを含有している。また、3枚のシート材により本体部1を構成した場合(図9)、これらシート材11,12,13のうちの少なくとも一つが、薬剤(薬液)、香料及び鉱石(鉱石の粒子)の少なくとも一つを含有している。
香料としては従来知られているものを適用することができ、また、鉱石は、遠赤外線放射による温感作用を被施療部に与えるものや、マイナスイオンを発生するものであり、従来知られている三仙石赤、三仙石青、黒点花蛇紋石、石英変岩石、トルマリン鉱石等がある。これによれば、前記作用部による施療と共に、香料、鉱石による作用を、被施療部へ与えることができる。薬剤としては、例えば美肌作用を有するアミノ酸がある。
【0056】
[他の形態によるマッサージ機(第4実施形態)]
図15は、別のマッサージ機の実施形態を示す説明図である。このマッサージ機は、例えば座部(図示せず)と、この座部の後部にある背凭れ部39とを有している椅子型である。そして、背凭れ部39に、表面積を変えないでエアによって膨縮するエアセル40が設けられている。また、座部の下にはこのエアセル40にエア(空気)を供給する図示しないエアユニット(動力部)が設けられている。このエアユニットによるエアの給排によってエアセル40は膨縮動作することができる。エアセル40は、表面積を変えないで膨縮することができるように、全体又は一部(側周部)が山折り及び谷折りが交互に繰り返されて形成されたものであり、例えば蛇腹形状となっている。
【0057】
そして、このエアセル40の使用者側に、複数枚のシート材からなる前記の各形態と同様の施療シート5が設けられている。この施療シート5の輪郭形状は、エアセル40の先端部に対応する形状(例えば円形や楕円形)となっており、前記各実施形態と同様に、第1シート材及び第2シート材(さらには第3シート材)を有している。つまり、ベース材10をエアセル40としており、このエアセル40の使用者側に施療シート5が設けられている。
【0058】
この場合において、エアセル40の先端部の膜部材の表面に、第1シート材及び第2シート材(さらには第3シート材)を取り付けてもよいが、エアセル40の先端面を形成する膜部材を、前記第1シート材及び第2シート材(さらには第3シート材)のうちの一つとすることができる。このような、エアによって膨縮するエアセル40と、シート材の間に設けた作用部(8a,8b,8c)とにより、複合的な施療が可能となる。
【0059】
さらに、この発明のマッサージ機は、図示した形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。例えば、この発明のマッサージ機は、図1又は図14のマスク形の本体部1と、座部及び背凭れ部を有する椅子本体部(図示せず)とを備えた椅子型のマッサージ機(図示せず)であってもよい。この場合、座部と背凭れ部とのうちの少なくとも一方に、前記(図15)と同様のエアセル40が設けられており、このエアセル40にエアを給気するエアユニットが椅子本体部の内部に設けられている。そして、このエアユニットによってマスク形の本体部1にエアを供給する構成とすることができる。
または、前記エアセル40にエアを供給するエアユニットとは別のエアユニットを、マスク形の本体部1用として椅子本体部が備えていてもよい。この場合、表面積を増大させないで膨張させる前記エアセル40と、表面積を増大させるようにして弾性的に膨張させる作用部(前記風船部)を有する施療シート5とでは、エアを供給するためのエアユニットのエア吐出圧及びエア吐出量(流量)が大きく異なることから、このように別のエアユニットを備えている構成とするのも好ましい。
【0060】
また、前記実施形態では、マスク形(図1)又はエアセル40を有する身体支持体(背凭れ部39)を備えた椅子型(図15)として説明したが、これ以外に、使用者の身体(上半身のみ、脚のみなど)を支持する身体支持体として平板状乃至マット状のパッド(ベース材)にエアセル40を設け、さらにこのエアセル40に前記施療シート5を取り付けたものであってもよい。
【0061】
[他の形態によるマッサージ機(第5実施形態)]
図16は、さらに別のマッサージ機の実施形態を示す説明図である。このマッサージ機は、ベース材10に施療シート5が設けられている点で前記各実施形態と同様であり、また、ベース材10と施療シート5とからなる本体部1を使用者の身体に付けて(貼り付けて)使用するものであるが、その位置を所望の位置に付けかえる(貼りかえる)ことができる。具体的には、ベース材10は所定形状(図例では矩形)となっており、その中央部に施療シート5が設けられており、縁部に使用者の身体の一部に付く(貼り付く)取付部44が設けられている。そして、この本体部1を、例えば、使用者の肩部、腰部、腕部、脚部等の各部に対して選択的に付けることができる。ベース材10及び施療シート5は柔軟な部材であり可撓性があることから、本体部1を使用者の身体に沿って面接触した状態で付けることができる。また、ベース材10(本体部1)は手のひらと同等の大きさ乃至これよりも小さい大きさとすることができる。
【0062】
施療シート5は、前記各実施形態と同様であり、図4を参考にして説明すると、第1シート材11と、この第1シート材11に重ねて設けられている第2シート材12とを有している。さらには、図9に示しているように、第3シート材13を有していてもよい。そして、流路部及び作用部がこれらシート材に設けられている。
図16において、ベース材10の少なくとも縁部が粘着性のある部材からなり、この部分を取付部44としている。つまり、ベース材10を粘着部材(粘着パッド)とすることができ、この粘着部材のうちの露出した部分によって取付部44を構成することができる。粘着部材としては、ゲルを有するものや、水、オイル等の多量の液体成分を含んだ高分子材料を有するものを採用することができる。また、貼り付けの強度を高めるために、ベルト(図示せず)によってこの本体部1を身体の一部と共に巻き付けてもよい。
【0063】
また、前記実施形態(例えば図1)では、本体部1に、2種類以上の異なる作用部が設けられたものとしたが、作用部の種類は3種類以上であってもよい。なお、この作用部の「種類が異なる」とは、押圧する作用部(風船部8a)と吸引を行う作用部(吸飲孔部8b)とのように、施療の性質が異なることをいう。これにより、2以上の異なる種類の施療作用を有するものが得られる。
【0064】
また、作用部の種類は、前記作用部8a,8b,8cのうちの1種類のみを有するマッサージ機であってもよい。
また、一つの本体部1において、大きさ、形状が異なる作用部が複数設けられていてもよい。
さらに、前記実施形態では、使用者側の第2シート材12に凹部、孔を形成することで、流路部7及び作用部(8a,8b,8c)を構成した場合を説明したが、(図示しないが)第1シート材11に凹部、孔を形成することで、流路部7及び作用部(8a,8b,8c)を構成してもよい。この場合、例えば、作用部としての風船部8aに空気を供給することで、第2シート材12の一部が、その表面積を拡大させながら膨張することができ、被施療部を押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明のマッサージ機の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】このマッサージ機の断面図である。
【図3】このマッサージ機のマスク本体部の要部を示している正面図である。
【図4】(a)は図3のA−A矢視における断面図であり、(b)は作用部が機能している状態を示している。
【図5】図3のB−B矢視における断面図である。
【図6】図3のC−C矢視における断面図である。
【図7】この発明のマッサージ機の変形例を示す正面図である。
【図8】マスク形マッサージ機の第2の実施形態を示す断面図である。
【図9】(a)はマスク本体部の要部の断面図であり、(b)は作用部が機能している状態を示している。
【図10】マスク本体部の要部の断面図である。
【図11】マスク本体部の要部の断面図である。
【図12】この発明のマッサージ機の第3の実施形態を示している断面図である。
【図13】第3の実施形態における作用部を説明する断面図である。
【図14】第3の実施形態のマッサージ機の正面図である。
【図15】この発明のマッサージ機の第4の実施形態を示している説明図である。
【図16】この発明のマッサージ機の第5の実施形態を示している説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1 本体部(マスク本体部)
4 動力部
7 流路部(第1流路部)
8a 風船部(作用部)
8b 吸引用孔(作用部)
8c 吐出用孔(作用部)
11 第1シート材
12 第2シート材
13 第3シート材
17 流路部(第2流路部)
18a 風船部(第2作用部)
18b 吸引用孔(第2作用部)
18c 吐出用孔(第2作用部)
21 凹溝(凹部)
22 凹部
23 孔
31 凹溝(凹部)
32 凹部
33 孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート材とこの第1シート材に重ねて設けられている第2シート材とを有する施療シートを備え、
流体を流す流路部、及び、この流路部と連通し前記流体によって施療のために作用する作用部が、前記施療シートの内部に設けられており、
前記流路部は、前記第1シート材と前記第2シート材との合わせ面に設けられた凹部によって形成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記流路部は、前記第1シート材と前記第2シート材とのうちの一方のシート材の合わせ面に設けられた前記凹部、及び、この凹部に合わせられる他方のシート材の平滑な平滑面部によって構成されており、
前記作用部は、この一方のシート材に設けられた凹部又は孔、及び、この凹部又は孔に合わせられる前記他方のシート材の平滑な平滑面部によって構成されている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
複数種類の異なる前記作用部が設けられている請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記作用部は、前記流路部から供給された前記流体によって膨張する部分である請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記作用部は、使用者側の外部に開口している吸引用孔である請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記作用部は、使用者側の外部に開口し前記流路部から送られる流体を吐出する吐出用孔である請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記施療シートは、前記第1シート材及び前記第2シート材のいずれか一方のシート材に重ねて設けられた第3シート材をさらに有し、前記一方のシート材及び/又は前記第3シート材の内部に、流体を流す第2の流路部、及び、この第2の流路部と連通し前記流体によってマッサージのために作用する第2の作用部が設けられている請求項1〜6のいずれか一方に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記第1シート材と前記第2シート材との内部に設けられている第1の前記作用部と、前記第2の作用部とが、前記施療シートの厚さ方向に重なって存在している請求項7に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記第1の作用部と前記第2の作用部とのうちの使用者側となる一方の作用部と、これと連通している前記流路部との双方が、他方の作用部に対して前記施療シートの厚さ方向に重なって存在している請求項8に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記施療シートは、薬剤、香料及び鉱石の少なくとも一つを含有している請求項1〜9のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記施療シートが使用者側として設けられているベース材をさらに備え、このベース材が、使用者の顔面に装着するマスク形である請求項1〜10のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記施療シートが使用者側として設けられているベース材をさらに備え、このベース材が、表面積を変えないでエアによって膨縮するエアセルである請求項1〜10のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項1】
第1シート材とこの第1シート材に重ねて設けられている第2シート材とを有する施療シートを備え、
流体を流す流路部、及び、この流路部と連通し前記流体によって施療のために作用する作用部が、前記施療シートの内部に設けられており、
前記流路部は、前記第1シート材と前記第2シート材との合わせ面に設けられた凹部によって形成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記流路部は、前記第1シート材と前記第2シート材とのうちの一方のシート材の合わせ面に設けられた前記凹部、及び、この凹部に合わせられる他方のシート材の平滑な平滑面部によって構成されており、
前記作用部は、この一方のシート材に設けられた凹部又は孔、及び、この凹部又は孔に合わせられる前記他方のシート材の平滑な平滑面部によって構成されている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
複数種類の異なる前記作用部が設けられている請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記作用部は、前記流路部から供給された前記流体によって膨張する部分である請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記作用部は、使用者側の外部に開口している吸引用孔である請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記作用部は、使用者側の外部に開口し前記流路部から送られる流体を吐出する吐出用孔である請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記施療シートは、前記第1シート材及び前記第2シート材のいずれか一方のシート材に重ねて設けられた第3シート材をさらに有し、前記一方のシート材及び/又は前記第3シート材の内部に、流体を流す第2の流路部、及び、この第2の流路部と連通し前記流体によってマッサージのために作用する第2の作用部が設けられている請求項1〜6のいずれか一方に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記第1シート材と前記第2シート材との内部に設けられている第1の前記作用部と、前記第2の作用部とが、前記施療シートの厚さ方向に重なって存在している請求項7に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記第1の作用部と前記第2の作用部とのうちの使用者側となる一方の作用部と、これと連通している前記流路部との双方が、他方の作用部に対して前記施療シートの厚さ方向に重なって存在している請求項8に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記施療シートは、薬剤、香料及び鉱石の少なくとも一つを含有している請求項1〜9のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記施療シートが使用者側として設けられているベース材をさらに備え、このベース材が、使用者の顔面に装着するマスク形である請求項1〜10のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記施療シートが使用者側として設けられているベース材をさらに備え、このベース材が、表面積を変えないでエアによって膨縮するエアセルである請求項1〜10のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−279015(P2008−279015A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124939(P2007−124939)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
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