説明

マッサージ機

【課題】 動作ユニットの移動目的に応じて、適切な速度で移動できるようにする。
【解決手段】 使用者に対してマッサージを施すためのマッサージ動作ユニット2と、当該動作ユニットをマッサージ機本体内で移動駆動するための移動駆動部5と、当該移動駆動部5を制御して前記動作ユニット2の移動速度を変えるための制御部18と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型に構成されたマッサージ機では、背もたれ部の内部にマッサージ動作ユニットを備え、その動作ユニットによってマッサージを使用者に施すようにしたものがある。このようなマッサージ機においては、モータ駆動により動作ユニットを背もたれ部の上下方向に移動させて背中の任意の位置をマッサージできるようにされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のマッサージ機では、動作ユニットの移動は一定の速度で行われていた。しかし、動作ユニットの移動は、様々な目的を持って行われるものであり、一定の速度では様々な目的に十分対応できない。
【0004】
すなわち、動作ユニットの移動には、例えば、マッサージ動作ユニットが動作(マッサージ)しながら移動する場合や、単に動作ユニットの移動だけを目的としマッサージを伴わない場合がある。単なる移動としては、マッサージ機の電源ON/OFF時等に動作ユニットを移動原点(例えば、背もたれ上部)に復帰させるための移動がある。
【0005】
また、マッサージ動作ユニットを動作させないで移動させる場合にも、単なる移動目的ではなく、使用者の背中に施療子を当てたまま動作ユニットを上下させて背中をさするようなマッサージを目的とした移動の場合もある。
【0006】
また、使用者の体型を測定するために、動作ユニットを上下移動させて施療子の背中への当たりで肩位置を検出することもある。
【0007】
このような様々な移動目的に対して、一定の速度でしか移動できなかったため、ある目的の移動に対しては速度が大きすぎたり、他の目的の移動に対しては速度が十分でないことがあった。
【0008】
また、前述のさするようなマッサージの場合等、動作ユニットの移動速度が使用者の受けるマッサージ感に影響を与える場合もあるが、従来のマッサージ機では、速度が一定であったので、動作ユニットの移動速度を変えることによるマッサージ感の調整もできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、次の技術的手段を採用した。すなわち、本発明は、使用者に対してマッサージを施すためのマッサージ動作ユニットと、当該動作ユニットをマッサージ機本体内で移動駆動するための移動駆動部と、当該移動駆動部を制御して前記動作ユニットの移動速度を変えるための制御部と、を備えていることを特徴とするマッサージ機である。
【0010】
この構成によれば、マッサージ動作ユニットの移動速度が可変であるので、動作ユニットの移動目的に応じて速度を調節することが可能となる。
【0011】
前記制御部は、マッサージを目的とする動作ユニットの移動時と、マッサージを目的としない動作ユニットの移動時とでは、異なる速度で移動するように設定されているのが好適である。
【0012】
マッサージを目的とする移動としては、マッサージ動作ユニットが動作しながら移動する場合や、マッサージ動作ユニットが動作していなくとも、動作ユニットの移動自体がマッサージ目的の場合(さすりマッサージ等の場合)等が該当する。また、マッサージを目的としない動作ユニットの移動時としては、施療部位の変更の為の移動(例えば、肩から腰への移動)や、肩位置の検出のための移動や、移動原点復帰のための移動等が該当する。
【0013】
この場合、マッサージを目的としない動作ユニットの移動時の方が、マッサージを目的とする動作ユニットの移動時より高速移動であるのが好ましい。
【0014】
また、前記マッサージ動作ユニットは、当該動作ユニットによってマッサージ動作を行うように動作される施療子を備え、前記施療子は、出退動作機構によって使用者側へ出退移動可能とされ、マッサージを目的としない動作ユニットの移動時には、前記施療子は出退動作機構によって使用者側とは反対側へ移動するのが好適である。
【0015】
この場合、マッサージを目的としない移動のときには、施療子が使用者からみて引っ込んだ状態となり、使用者へ不必要な刺激を与えることを抑えることができる。
【0016】
また、前記出退動作機構は、前記動作ユニットを使用者側へ出退移動させるものであるのが好ましく、この場合構成が簡単となる。
【0017】
また、前記制御部は、前記動作ユニットを目標位置に移動させ、その目標位置から所定の範囲内で動作ユニットを微動させるように構成されているのが好適である。これは、あるツボをマッサージするために、そのツボ位置を目標位置として動作ユニットを移動させたい場合があり、動作ユニットを微動(例えば3〜4cm程度の範囲)させるのは、ある範囲を微動させてマッサージすることでツボの位置が正確に把握できていなくても確実にそのツボをマッサージするためである。
【0018】
そして、このときの前記動作ユニットの前記微動は、目標位置への移動より低速で行われるように設定されているのが好適である。
【0019】
この場合、マッサージとあまり関係ない目標位置の移動は高速で迅速に行われる一方、微動はより低速でじっくりとマッサージを施すことができる。
【0020】
また、前記制御部は、動作ユニットの移動中にその移動速度を変化させるように設定されているのが好適である。
【0021】
また、移動速度の調節は、予め制御部(の記憶部)に各種の目的に応じて設定された速度による自動調節であってもよいが、それに代えて又はそれに加えて、前記動作ユニットの移動速度を手動操作で調節するための速度操作部を備えているのが好適である。
【0022】
この場合、使用者が速度操作部を操作することで、動作ユニットの移動速度を所望の速度に調節することができる。ここで、少なくとも動作ユニットの移動がマッサージを目的としているときの移動速度を手動で調節できれば、動作ユニットの移動によるマッサージ感を調節できる。
【0023】
また、マッサージを目的としない移動であっても、動作ユニットの移動速度は使用感に影響を与えるので、これを使用者が自由に調節できることになる。
【0024】
また、前記制御部は、前記動作ユニットを目標位置に移動させる場合に、目標位置の手前で減速するように制御するのが好ましい。減速なしで目標位置まで移動させる場合、移動による慣性で動作ユニットが目標位置で正確に停止せず、目標位置を過ぎてしまうこともあるが、目標位置の手前で減速することで正確に目標位置に停止させることができる。したがって、例えば、目標位置がツボ位置である場合には、正確にツボ位置をマッサージできる。
【発明の効果】
【0025】
以上、本発明によれば、マッサージ動作ユニットの速度が可変であるので、マッサージ動作ユニットの移動目的に応じた速度で移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、椅子型に構成されたマッサージ機の背もたれ部(マッサージ機本体)1を示している。この背もたれ部1内には、背もたれ部1の上下方向(使用者の身長方向)に移動自在なマッサージ動作ユニット2が設けられている。
【0027】
動作ユニット2は、ユニットベース2aに設けられたナット部3に上下方向に延びるネジ軸4が螺合されて、ネジ軸4に沿って背もたれ部1内を上下動自在とされている。このように本実施形態では、ユニット2の上下移動機構としてネジ移動機構を採用しているが、この機構に限定されるものではない。
【0028】
なお、図示はしていないが、ユニットベース2aの左右両側には回転自在なローラが取り付けられており、これらのローラが、ユニット2の左右側方で上下方向に延びるガイドレール(図示省略)に沿って回転して、ユニットの上下移動がガイドされている。
【0029】
また、ネジ軸4の下端には、ネジ軸4を回転させてユニット2を上下移動させるための移動駆動部としてモータ5が設けられている。このモータ5の回転方向を正逆に切り換えることで、ユニットの上下動を切り換えることができる。
【0030】
前記動作ユニット2は、使用者の背中に当たってマッサージを施すための施療子7,7が設けられている。施療子7,7は、ローラ状に形成されており、上下に対を為す2個がブーメラン状の支持アーム8の上下両端に横軸回りに回動自在に設けられている。なお、ここでは、図示はしていないが、上下に対を為す施療子7,7はユニット2の左右にそれぞれ設けられており、ユニット2には計4個の施療子が設けられている。
【0031】
施療子7,7の支持アーム8は、その上下方向中途の屈曲部付近において駆動アーム9の先端に対して横軸回りに揺動自在に保持されている。この駆動アーム9は、ユニット2に設けられたモミ軸10とタタキ軸11によって施療子7がモミ動作するようにモミ駆動したり、施療子7がタタキ動作するようにタタキ動作する。すなわち、左右の駆動アーム9は、その後端が横軸回りに回転するモミ軸10の左右両端にそれぞれベアリングを介して連結されており、このモミ軸10は、その左右両端が偏心・偏角して形成されているので、モミ軸10が回転すると施療子7は楕円軌道を描いて動作(モミ動作)する。また、駆動アーム9の後端には、ボールベアリング12を介してロッド13が連結されており、ロッド13はベアリングを介してタタキ軸11と連結されている。このタタキ軸11は、偏心して形成されているので、タタキ軸11が回転するとロッド13が駆動アーム9をモミ軸10回りに揺動させるように動作する。駆動アーム9の揺動によって施療子7は前後動し、使用者の背中へのタタキ動作となる。
【0032】
モミ軸10とタタキ軸11の回転駆動は、ユニット2に設けられたマッサージ駆動用モータ15によって行われる。ユニット2は、モータ15が一方に回転した場合には、モミ軸10を回転させ、他方に回転した場合にはタタキ軸11を回転させるクラッチ機構を備えている。なお、マッサージ駆動用モータ15としては、モミ駆動用のモータとタタキ駆動用のモータをそれぞれ設けておいてもよい。また、施療子7にバイブレーション(微振動)を発生させるためのバイブレーション発生用モータを支持アーム8等に取り付けてもよい。
【0033】
図2は、移動駆動部としてのモータ5やマッサージ駆動用モータ15の制御ブロック図を示している。マイクロコンピュータなどから構成される制御部18には、モータ5の駆動回路19が接続され、この駆動回路19にモータ5が接続されている。モータ5が例えばDCモータの場合、駆動回路19は、制御部18からの動作信号に応じて、DCモータに供給される電力を制御するための増幅回路等から構成される。また、モータ5がステッピングモータであれば、駆動回路19は、制御部18からの動作信号に応じて、ステッピングモータに供給されるパルスの制御をするためのパルス回路等から構成される。いずれの構成であっても、制御部18からの動作信号に基づき、モータ5の回転のON/OFFや正逆転を制御したり、モータ5の回転速度を制御することができる。そしてモータ5の回転速度を変化させることによって、動作ユニット2の移動速度を変化させることができる。
【0034】
また、制御部18には、マッサージ駆動用モータ15の駆動回路20も接続され、この駆動回路20にモータ15が接続されている。モータ15も、制御部18からの動作信号に基づき、モータ15の回転のON/OFFや正逆転を制御したり、モータ15の回転速度を制御することができる。
【0035】
図3は、動作ユニット2の上下移動の様子を施療子7の移動として示したものである。なお、ここでは、上下に対をなす施療子7,7のうち下側の施療子を省略し、上側の施療子の左右2つの対だけを示している。
【0036】
図3(a)は、動作ユニット2が動作していない状態、すなわち、施療子がモミ動作やタタキ動作をしていない状態の移動を示している。ここでは、ある位置にある施療子7a,7aが所定の速度で他の位置7b,7bまで移動(移動A,B)する。この移動A,Bが、例えば施療子7,7によるさすりマッサージやローラがけマッサージであれば、それに適した速度で施療子7,7を移動させればよい。すなわち、じっくりとマッサージをしたければ低速で移動させ、かるくマッサージしたければ高速で移動させればよい。また、肩位置検出のための移動や移動原点復帰のための移動であれば、所用時間が短くなるようにマッサージのために移動させる場合より高速で移動する。
【0037】
また、通常、施療子7,7を上から下に移動(移動A)させて施療子7,7の背中への当たりを判別して肩位置を検出するが、その場合、検出のために上から下に移動(移動A)させる場合と、検出後に下から上に施療子7,7を移動(移動B)させる場合とでは異なる速度にすることができる。すなわち、肩位置の検出の前後で異なる速度とすることができる。例えば、検出のため上から下に移動(移動A)するときは、確実に肩位置を検出するために低速にし、検出後に下から上に移動(測定と関係ない移動、復帰移動:移動B)するときは、高速にして測定時間を短縮することができる。なお、肩位置の検出は施療子の7,7の下から上への移動によって行うこともでき、この場合には、上から下への移動(移動A)を高速にし、下から上への移動(移動B)を低速にすることができる。
【0038】
図3(b)は、動作ユニット2が動作している状態、すなわち、施療子がモミ動作やタタキ動作をしている状態の移動を示している。ここでは、ある位置にある施療子7,7がマッサージ動作(モミ、タタキ、バイブレーション)しながら、ある位置から他の位置へ移動Cする。
【0039】
施療子が上下移動しない状態(上下移動停止状態)でのマッサージ動作に比較して、このような施療子7,7の上下移動を伴うマッサージ動作は、そのマッサージ動作軌跡に上下移動による上下方向成分が加わり、したがって、施療子の軌跡が変化し、上下移動停止状態でのマッサージ動作とは異なるマッサージ感が得られる。そして、上下移動速度を変化させることによって、マッサージ動作軌跡への上下方向成分の加わり方が変化するから、マッサージ感も変化する。
【0040】
図3(c)は、ある位置にある施療子7c,7cがマッサージ動作をせずに、他の位置(目標位置)7d,7dへ移動する様子を示している。これば、例えば、首の位置7c,7cをマッサージした後、施療子のマッサージ動作を停止させて、肩のやや下の位置7d,7dまで施療子を移動させ(移動D)、その位置7d,7dにマッサージを施し、更に、その後施療子のマッサージ動作を停止させて、腰の位置7e,7eまで施療子を移動させ(移動E)て、その位置7e,7eにマッサージを施すというような動きである。
【0041】
このような動きの場合、ある位置から他の位置へ移動(移動D,E)するときには、図3(b)のようにマッサージ動作を伴わないから、図3(b)の移動より高速にして、移動時間を短縮し、使用者の待ち時間(マッサージが施されない時間)を短縮することができる。
【0042】
また、この場合、目標位置への位置決めを正確にするために、目標位置の手前で施療子の移動は減速し、通常の移動時より低速となって目標位置に達する。このような減速は、目標位置が、肩や腰といった漠然とした身体の部位ではなく、治療に効果のあるツボの位置である場合に特に有利である。なお、ツボの位置は予めマッサージ機のメモリに記録されている。
【0043】
図3(d)は、図3(c)と似ているが、ある位置から7f,7fから他の位置(目標位置)7g,7gへマッサージ動作せずに移動して、その目標位置から所定範囲移動(微動)しながらマッサージ動作するものである。
【0044】
これは、例えば、移動原点位置7f,7fから、肩位置7g,7gまで施療子を移動させ(移動F)、その位置から所定範囲(3〜4cm程度)施療子を下に移動させながら(移動G)マッサージ動作をさせ、必要ならその所定範囲内で施療子を再び上昇させて(移動H)、さらに必要なら、移動G,Hを何度か繰り返し、目標位置から一定の範囲をまんべんなくマッサージする。
【0045】
その後、施療子のマッサージ動作を再び停止させ、腰の位置7h,7hまで移動させる(移動I)。そして、その位置から所定範囲を移動J,Kさせて、目標位置(腰位置)の一定の範囲をまんべんなくマッサージする。
【0046】
このとき、専ら移動を目的とする移動F,Iでは、時間短縮のため高速で移動させ、マッサージを目的とする移動G,H,J,Kでは、より低速で移動させることができる。
【0047】
図3(e)は、ある位置7i,7iから他の位置7j,7jへ移動(移動L)するときの移動速度をその移動中に変化(上昇)させている様子を示している。図3(b)の説明で述べたように、施療子の上下方向移動速度の変化は、マッサージ感に影響を与えるので、図3(e)のように、移動中でその速度を変えることにより背中のある位置7i,7i(例えば、肩)と、他の位置7j,7j(例えば、腰)とでマッサージ感を異ならせることができる。ここでは、速度の変化として速度を上げるものを示したが、速度を下げてもよく、また、速度の上げ下げを何度も繰り返しても良い。
【0048】
なお、以上のような速度の変化は、制御部18の有する記憶部にマッサージ動作の方法とともに設定されている。
【0049】
また、移動速度は、手動操作によって変更することもできる。マッサージ機の操作装置(リモコン装置)25に設けられた速度操作部26を操作すると、制御部18に信号が与えられ、動作ユニット2の移動速度が変化する。前述のように施療子7の移動速度はマッサージ感に影響を与えるので、動作ユニット2の移動速度を変更することで、使用者の所望のマッサージ感を得ることができる。また、マッサージ目的以外の移動であっても、移動時間を短縮したりすることができる。
【0050】
図4及び図5は、他の実施形態として、動作ユニット2の出退動作機構49を備えたマッサージ機1を示している。出退動作機構49は、動作ユニット2を使用者側へ出退移動自在に支持する構造と、動作ユニット2を出退移動させる出退駆動部51とを有する。
【0051】
前記動作ユニット2は、ネジ軸4と螺合するナット部3を有して上下移動する移動機枠6に対して出退自在に設けられている。本実施形態では、動作ユニット2の下部を移動機枠6に対して左右方向の支軸50を介して前後揺動自在に支持する構造が採用されており、動作ユニット2を支軸50回りに前後揺動することにより使用者側へ出退移動自在に構成されている。
【0052】
出退駆動部51は、移動機枠6の後部に取り付けられた受け部材52と動作ユニット2の背面との間に介装されたエアセル53を有しており、該エアセル53は、酢酸ビニル等の可撓性及び弾力性に優れた樹脂により外周面を蛇腹形状とした略円筒形に形成されている。
【0053】
エアセル53には、エアコンプレッサー45からの圧縮空気が電磁弁54を介して供給されるようになっており、この圧縮空気によって前後方向に伸長(膨張)する。
【0054】
そして、エアセル53が前後に伸長すると、動作ユニット2が支軸50回りに前方揺動して使用者側へ進出し、使用者に対する施療子7の突出量が大きくなり、逆にエアセル53内の空気を排出すると、動作ユニット2が支軸50回りに後方揺動して使用者側から後退し、使用者に対する施療子7の突出量が小さくなる。
【0055】
したがって、エアセル53に給排気を行うことによって、施療子7の突出量を自在に調整することができる。
【0056】
なお、電磁弁52は、エアコンプレッサー45からの圧縮空気の供給を許容する状態、エアセル53内の空気の出入を閉止する状態、エアセル53内の空気の排出を許容する状態とに切換可能な切換弁とされ、エアセル53内の空気の給排気制御は、制御部18による電磁弁52への制御によって行われる。
【0057】
このような出退動作機構49を利用すると、図3に示す移動D,E,F,Iのようにマッサージを目的としない移動のときには、動作ユニット2(施療子7)を後退させておき、マッサージ動作中には動作ユニット2を後退させておくという制御を制御部18によって行うことができる。移動のときに施療子7を後退させておくことで、上下の移動中は施療子7が使用者に接触しないようにすることができる。
【0058】
図6は、出退動作機構49の変形例を示している。
【0059】
この出退動作機構49の出退駆動部51は、移動機枠6に回転自在に設けられた上下方向のネジ軸56と、該ネジ軸56に螺合する上下一対の雌ネジ体57と、各雌ネジ体57に左右方向の枢軸58回りに回動自在に連結された上下一対のリンク59とを有している。
【0060】
ネジ軸56には、正逆転可能な電動モータなどの駆動体60が接続されると共に、その上部側と下部側とに互いに逆方向となるネジ部56A,56Bが形成され、上下各ネジ部56A、56Bに対して各雌ネジ体57,57がそれぞれ螺合されている。
【0061】
上下各リンク59,59の先端部は、ともに動作ユニット2の背面に連結軸61を介して回動自在に枢結されている。
【0062】
上記構成により、制御部18による制御で電動モータ60を正逆回転すると、互いに逆ネジとなる上下のネジ部56A,56Bによって各雌ネジ体57,57が互いに近接離反する方向に移動し、これによって上下リンク59,59の相対角度が拡縮する。そして、このリンク59,59の運動によって動作ユニット2が前後に出退揺動し、使用者に対する施療子7の突出量を変更できるようになっている。
【0063】
図4及び図6の出退動作機構49においては、動作ユニット2を移動機枠6に対して左右方向の支軸50回りに前後揺動自在に支持する構造を採用しているが、図7に示すように、移動ユニット2を、前後方向に、言い換えれば使用者に対向する方向(使用者の高さ方向に略直交する方向)と略平行に、出退移動自在に支持する構造を採用することもできる。
【0064】
すなわち、図7(a)に示す支持構造は、移動機枠6に対して動作ユニット2を前後移動自在に案内支持する上下一対のレール76を設けたものであり、図7(b)に示す構造は、移動機枠に対して、パンタグラフ型のリンク機構77を設け、このリンク機構77の伸縮によって駆動ユニット20を前後移動自在に支持したものとなっている。
【0065】
そして、これらの支持構造と図4や図6で示した出退駆動部51とを組み合わせることによって、動作ユニット2を前後に出退移動させることができる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、動作ユニット2は、椅子型マッサージ機の背もたれ部に設けられているものに限られず、マット・ベッド型のマッサージ機に内蔵されているものであってもよい。また、マッサージ動作ユニットの移動方向は背もたれ部の上下方向を例示したが、幅方向に移動するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】マッサージ機の背もたれ内部機構を示す側面図である。
【図2】マッサージ機の制御ブロック図である。
【図3】施療子の移動状態を示す模式図である。
【図4】出退動作機構を示す側面図である。
【図5】出退動作機構の分解斜視図である。
【図6】出退動作機構の変形例を示す側面図である。
【図7】動作ユニットの支持構造の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1 背もたれ部
2 マッサージ動作ユニット
5 モータ
7 施療子
18 制御部
26 速度操作装置
49 出退動作機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に対してマッサージを施すためのマッサージ動作ユニット(2)と、
当該動作ユニットをマッサージ機本体内で移動駆動するための移動駆動部(5)と、
当該移動駆動部(5)を制御して前記動作ユニット(2)の移動速度を変えるための制御部(18)と、を備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記制御部(18)は、マッサージを目的とする動作ユニット(2)の移動時と、マッサージを目的としない動作ユニット(2)の移動時とでは、異なる速度で移動するように設定されていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
マッサージを目的としない動作ユニット(2)の移動時の方が、マッサージを目的とする動作ユニット(2)の移動時より高速移動であることを特徴とする請求項2記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記マッサージ動作ユニット(2)は、当該動作ユニット(2)によってマッサージ動作を行うように動作される施療子(7)を備え、
前記施療子(7)は、出退動作機構(49)によって使用者側へ出退移動可能とされ、
マッサージを目的としない動作ユニット(2)の移動時には、前記施療子(7)は前記出退動作機構(49)によって使用者側とは反対側へ移動することを特徴とする請求項2又は3記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記出退動作機構(49)は、前記動作ユニット(2)を使用者側へ出退移動させるものであることを特徴とする請求項4記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記制御部(18)は、前記動作ユニット(2)を目標位置に移動させ、その目標位置から所定の範囲内で動作ユニット(2)を微動させるように構成されているとともに、
前記動作ユニット(2)の前記微動は、目標位置への移動より低速で行われるように設定されていることを特徴とする請求項3記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記制御部(18)は、動作ユニット(2)の移動中にその移動速度を変化させるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記動作ユニット(2)の移動速度を手動操作で調節するための速度操作部(26)を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記制御部(18)は、前記動作ユニットを目標位置に移動させる場合に、目標位置の手前で減速するように制御することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−49177(P2008−49177A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286551(P2007−286551)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【分割の表示】特願2000−44656(P2000−44656)の分割
【原出願日】平成12年2月22日(2000.2.22)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】