説明

マッサージ機

【課題】 身体部位に対し好適な擦りマッサージを行うことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 マッサージ機1は、被施療者の身体部位の両側部を擦りマッサージする側面マッサージユニット(第1マッサージユニット)3を備え、該側面マッサージユニット3は、前記身体部位を両側方から挟むように対向配置された一対の側面施療板46,46を有し、該一対の側面施療部46,46を、動作方向が互いに逆向きとなるように往復動作させるべく構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被施療者の下腿などの身体部位に対し、両側方から擦りマッサージを施すことが可能なマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の下腿などの身体部位に対し、擦るようにしてマッサージするマッサージ機が提供されている(例えば、特許文献1参照)。このマッサージ機は、所定の間隔をおいて設けられた一対のマッサージ部材を備え、間に身体部位を挟持させた状態で前記一対のマッサージ部材を往復動作させることにより、挟持された身体部位を擦るようにマッサージしようとするものである。
【特許文献1】特開2005−349123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記特許文献1に開示されたマッサージ機は、一対のマッサージ部材が動作方向を一致させて往復動作する構成となっている。従って、マッサージ部材により挟持された身体部位は、該マッサージ部材と共に往復移動させられてしまう場合がある。この場合、身体部位はマッサージ部材と共に移動するだけであって、両者間での位置ズレが生じないこととなるため、効果的な擦りマッサージを実現できない。また、被施療者の下腿や腕などの身体部位は、各個人に応じて寸法が異なるが、上記マッサージ機では、このような身体部位の寸法的な個人差に適切に対応することはできない。更に、各個人の嗜好によりマッサージ力の強弱を調整できることも要望されているが、上記マッサージ機はこのような要望に応えられるものでもない。
【0004】
そこで本発明は、身体部位に対し好適な擦りマッサージを行うことができるマッサージ機を提供することを目的とする。また、身体部位の寸法的な個人差や、マッサージ力の強弱に関する各個人の嗜好にも対応することができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係るマッサージ機は、被施療者の身体部位の両側部を擦りマッサージする第1マッサージユニットを備え、該第1マッサージユニットは、前記身体部位を両側方から挟むように対向配置された一対の側面施療部を有し、該一対の側面施療部を、動作方向が互いに逆向きとなるように往復動作させるべく構成されている。
【0006】
このような構成とすることにより、一対の側面施療部は動作方向が互いに逆向きとなるように往復動作するため、身体部位は側面施療部の動作に釣られて移動しにくい。従って、側面施療部の往復動作時に該側面施療部と身体部位との間に位置ずれが生じ、該身体部位を適切に擦りマッサージすることが可能である。
【0007】
また、前記身体部位を側方から押圧して揉みマッサージすべく、前記一対の側面施療部の対向距離を変更する距離変更機構を更に備えていてもよい。このような構成とすることにより、擦りマッサージに加えて揉みマッサージも行うことができる。
【0008】
また、前記距離変更機構は、前記第1マッサージユニットとは独立して動作可能であってもよい。このような構成とすることにより、擦りマッサージ及び揉みマッサージのうち所望する方を選択的に実行することができる。また、距離変更機構により一対の側面施療部の離隔距離を適宜設定した後に擦りマッサージを実行すれば、身体部位の寸法的な個人差や、マッサージ力の強弱などの個人の嗜好に対応し、好適な擦りマッサージを行うことが可能である。
【0009】
また、前記身体部位の背部に対向するように配設された背面施療部を有し、該背面施療部を前記身体部位の背部に近接及び離反するように動作させる叩きマッサージ、又は、前記背面施療部を前記身体部位の背部の表面に沿って往復動作させる擦りマッサージを行う第2マッサージユニットを更に備えていてもよい。このような構成とすることにより、一台のマッサージ機で身体部位の両側部に対する擦りマッサージ、両側部に対する揉みマッサージ、更には身体部位の背部に対する叩きマッサージ又は擦りマッサージまでも実行することができ、一台のマッサージ機で多様なマッサージを行うことが可能である。
【0010】
また、前記第1マッサージユニットは、モータと、該モータの回転を伝達する回転軸と、前記一対の側面施療部の夫々に対応して前記回転軸に設けられた一対のクランクと、該クランク及び前記側面施療部を連結するロッドとを有し、前記一対のクランクは互いに位相が異なるように設けられていてもよい。このような構成とすることにより、簡単な構成によって好適な擦りマッサージを行うことのできるマッサージ機を実現できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、身体部位に対し好適な擦りマッサージを行うことができるマッサージ機を提供することができる。また本発明によれば、身体部位の寸法的な個人差や、マッサージ力の強弱に関する各個人の嗜好にも対応することができるマッサージ機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係るマッサージ機について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
図1は、マッサージ機1の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示すマッサージ機1の平面図である。図1及び図2に示すマッサージ機1は、主として被施療者の脚部又は腕部等の身体部位をマッサージするためのものであり、使用時に被せられるカバーは省略して図示している。
【0014】
図1及び図2に示すように、マッサージ機1は横長の長方形状のベースプレート2を備え、その上部に右側マッサージ機1a及び左側マッサージ機1bを備えている。これらのマッサージ機1a,1bは、被施療者の身体部位に対し側方から擦りマッサージをすると共に揉みマッサージも可能な側面マッサージユニット(第1マッサージユニット)3と、身体部位を背面側から叩きマッサージするための背面マッサージユニット(第2マッサージユニット)4とを備えている。また、両マッサージ機1a,1bは共通の駆動源として第1モータ5及び第2モータ6を備えている。後に詳述するが、第1モータ5は、側面マッサージユニット3に擦りマッサージを実行させ、又は背面マッサージユニット4に叩きマッサージを実行させる。第2モータ6は、側面マッサージユニット3に揉みマッサージを実行させる。これらの第1モータ5及び第2モータ6は、ベースプレート2の長手方向の中央位置に並設されている。
【0015】
第1モータ5は出力軸を下方へ向けて設けられ、該出力軸は減速機7を介して該減速機7から左右方向(ベースプレート2の長手方向)へ延びる第1回転軸8に接続されている。従って第1モータ5の回転力は、減速機7にて適宜減速されて第1回転軸8へ伝達されるようになっており、更にこの第1回転軸8から、側面マッサージユニット3及び背面マッサージユニット4へと伝達されるようになっている。なお、右側マッサージ機1aと左側マッサージ機1bとは略左右対称の構成となっているため、以下の説明では右側マッサージ機1aについて主に説明し、左側マッサージ機1bについては両マッサージ機1a,1bに共通する構成についての説明を省略する。
【0016】
[背面マッサージユニット]
図3は、図1に示すマッサージ機1の別の方向から見たときの斜視図であり、側面マッサージユニット3を取り外した状態を示している。また図4は、背面マッサージユニット4の構成を示す模式的側面図である。図3に示すように、第1回転軸8の右側端部は、ベースプレート2の中央に配設された減速機7とベースプレート2の右側端との中間に位置し、この第1回転軸8の右側端部にはカムクラッチ等の一方向クラッチであるクラッチ10,11を介して平歯車状の駆動ギヤ12とカム13とが設けられている(図4も参照)。一方のクラッチ10は、第1回転軸8の一方向への回転のみを駆動ギヤ12へ伝達するよう構成されている。従って、駆動ギヤ12は第1回転軸8と共に一方向(図4における時計回り方向)へのみ回転可能であって、第1回転軸8が他方向へ回転した場合であっても駆動ギヤ12は回転しないようになっている。他方のクラッチ11は、第1回転軸8の他方向への回転のみをカム13へ伝達するよう構成されている。従って、カム13は第1回転軸8と共に他方向(図4における反時計回り方向)へのみ回転可能であって、第1回転軸8が一方向へ回転した場合であってもカム13は回転しないようになっている。
【0017】
ベースプレート2には、前記駆動ギヤ12及びカム13を上方から覆うようにして背面支持板14が設けられている。図4に示すように、この背面支持板14は側面視で略門形状を成し、その上面は被施療者の身体部位の背部を支持する支持面14aとなっている。図3に示すように、この支持面14aにはその長手方向(前後方向)に延びる複数本のスリット14b(本実施の形態では3本)が形成されている。支持面14aの左右の端部からは下方へ向けて下垂板14cが延びている。該下垂板14cは支持面14aと前後方向の寸法が略同一であり、後部には左右方向へ貫通する支持孔14dが形成されている。
【0018】
図4に示すように、支持面14aの下方には、被施療者の身体部位の背部に叩きマッサージを行う背面施療板15が設けられている。該背面施療板15は、前後方向へ長寸の板状を成すベース部15aと、該ベース部15aの上面から突出する複数の施療突起15bとを有している。該施療突起15bは円柱状を成し、前後方向に沿って3列にして設けられている。また、ベース部15aの後部(基部)側面からは側方へ軸芯を向けた揺動軸16が設けられている。ベース部15aは、揺動軸16を上記支持孔14dにて支持することにより該揺動軸16を中心として上下方向へ揺動可能となっており、上方に位置するときには、各施療突起15bが支持面14aのスリット14bを下方から通って上方に突出した状態となる。
【0019】
背面施療板15のベース部15aの基部近傍には下方へ延びるアーム17が設けられ、該アーム17の下端には合成樹脂製の車輪17aが回転自在に支持されている。この車輪17aは、第1回転軸8に対しクラッチ11を介して設けられたカム13の周面上を転動するようになっている。従って、第1モータ5の駆動により、第1回転軸8と共にカム13が他方向(図4の反時計回り方向)へ回転すると、車輪17aは、カム13の周面に接触した状態を維持しつつ転動して、カム13の周形状に応じて第1回転軸8に対し近接又は離反するよう動作する。このような車輪17aの動作は、アーム17を介して背面施療板15へ伝達され、該背面施療板15は揺動軸16を中心として上下方向へ揺動される。その結果、背面施療板15の上昇時には、支持面14aの上に支持された被施療者の身体部位の背面を、複数の施療突起15bによって叩きマッサージすることができる。なおこのとき駆動ギヤ12は、クラッチ10を介して第1回転軸8に設けられているため、上記のように叩きマッサージを行う場合には、第1回転軸8と共に回転しないようになっている。
【0020】
[側面マッサージユニット]
一方、図3に示すように、ベースプレート2の前後方向の中央位置には、第1回転軸8と平行に延びる第2回転軸20が設けられている。該第2回転軸20には、第1回転軸8に設けられた駆動ギヤ12と噛合する従動ギヤ21が一体的に設けられている。従って、第1回転軸8が一方向へ回転すると、その回転力は駆動ギヤ12及び従動ギヤ21を介して第2回転軸20へ伝達されてこれを回転させる。そして、上述した背面マッサージユニット4の左右の側方には、第2回転軸20の回転力によって駆動し、側面マッサージユニット3を成す左右一対の側面施療機構22,22が配されている。
【0021】
図5は、図1に示す右側マッサージ機1aが有する側面マッサージユニット3を成す右側の側面施療機構22の構成を示す斜視図であり、図6は、図5に示す側面施療機構22について異なる方向から見たときの斜視図である。また図7は、図5に示す側面施療機構22をVII-VII線に沿って切断したときの断面形状を示す断面図である。左右の側面施療機構22,22は、互いに左右対称の構成となっているため、以下では右側の側面施療機構22について説明し、左側の側面施療機構22についての詳説は省略する。
【0022】
まず図1に示すように、側面施療機構22は長方形状を成す側方移動プレート30を備えている。この側方移動プレート30は、長手方向の両端部に貫通孔31,31が形成され、該貫通孔31には筒状のガイドチューブ32が内嵌して固定されている。マッサージ機1は、ベースプレート2の前後の端部上方に、左右方向(ベースプレート2の長手方向又は第1回転軸8の軸芯方向)に延びる2本のガイドロッド33,33を有し、該ガイドロッド33は、ベースプレート2の左右の端部に立設されたフランジ2aにて両端部が支持されている。そして、側面施療機構22が有する側方移動プレート30は、ガイドチューブ32がガイドロッド33に外嵌するように配され(図5も参照)、ガイドロッド33に沿って左右方向へ移動可能になっている。
【0023】
図6及び図7に示すように、側方移動プレート30の長手方向の中央位置には貫通孔35が形成されており、該貫通孔35には平歯車状の駆動ギヤ36が装着されている。より詳しくは、図7に示すように駆動ギヤ36は、周部に歯が形成されたギヤ部36aと、該ギヤ部36aから同軸芯状に突出した円筒部36bとを有している。駆動ギヤ36は、ギヤ部36bが側方移動プレート30の外方に露出した状態で、円筒部36bが貫通孔35に遊嵌されている。従って、駆動ギヤ36は、側方移動プレート30の貫通孔35に装着された状態で回転可能になっている。
【0024】
この駆動ギヤ36には、ギヤ部36aと円筒部36bとを貫通する貫通孔36cが設けられており、この貫通孔36cに第2回転軸20が挿通され(図1及び図2も参照)、第2回転軸20の端部はフランジ2bにて枢支されている。また図5に示すように、貫通孔36cの内周面には、周方向の2箇所に、駆動ギヤ36の軸芯方向に延びる係合溝36dが形成されており、第2回転軸20の外周面には、周方向の2箇所に、軸芯方向に延びる係合突起20aが形成されている(図2も参照)。第2回転軸20は、このような係合突起20aが係合溝36dに嵌まるようにして貫通孔36cに挿通されている。従って、駆動ギヤ36は、係合溝36d及び係合突起20aが延びる第2回転軸20の軸芯方向へは、該第2回転軸20に対して相対移動することが可能である一方、軸芯回りへは、駆動ギヤ36と第2回転軸20とが一体となってのみ回転可能になっている。
【0025】
図7に示すように、側方移動プレート30において駆動ギヤ36の上方位置にはクランク37が回転可能に支持されている。該クランク37は、2つのクランクジャーナル37aとこれらの間に位置するクランクピン37bとを有し、回転軸芯を駆動ギヤ36の回転軸芯方向(左右方向)と一致させた状態でクランクジャーナル37aが枢支されている。そして、一方のクランクジャーナル37aは側方移動プレート30の外方へ突出し、この突出部分に、駆動ギヤ36に上方から噛合する従動ギヤ38が取り付けられている。従って、駆動ギヤ36が回転すると従動ギヤ38も回転し、クランク37のクランクピン37bは、クランク37の回転軸芯回りに公転する。
【0026】
図7に示すように、クランクピン37bには、上下方向へ延びる伝達ロッド40の下端部が枢支され、該伝達ロッド40の上端部には枢軸41を介して上下移動プレート42が支持されている。該上下移動プレート42は、法線方向を左右方向に一致させて設けられている。また図5に示すように、側方移動プレート30からは、所定間隔を空けて設けられた丸棒状の2本のガイドロッド43が上方へ延設されており、その上端部間には断面がチャネル形状を成す支持プレート44が架設されている。
【0027】
上下移動プレート42の前端部及び後端部には、ガイドロッド43が挿通されるロッド受孔45が上下の2箇所に設けられ、上下移動プレート42はガイドロッド43に沿って上下方向へ移動可能となっている。図6及び図7に示すように、このような上下移動プレート42の一面(図7における左側面)、即ち、左側の側方施療機構22側の面に、側面施療板46が支持部47を介して取り付けられている。この側面施療板46は前後方向に長い長方形状を成し、被施療者の身体部位に対向する面(図7における左側面)には、扁平な半球状の施療突起46aが複数設けられている。
【0028】
このような構成を成す側面施療機構22は次のようにして動作する。即ち、第1モータ5の駆動により、第1回転軸8(図1参照)と共に駆動ギヤ12が一方向へ回転すると、従動ギヤ21と共に第2回転軸20が回転する(図5参照)。すると、第2回転軸20に設けられた駆動ギヤ36が回転して従動ギヤ38と共にクランク37を回転させる。その結果、伝達ロッド40を介してクランクピン37bに接続された上下移動プレート42は、側面施療板46と共に上下方向へ往復動作(擦り動作)することとなる。なおこのとき駆動ギヤ12に隣接配置されたカム13は、クラッチ11を介して第1回転軸8に設けられているため、上記のように側面施療板46を往復動作させるときには第1回転軸8と共に回転せず、従って背面マッサージユニット4は動作しないようになっている。
【0029】
このような側面施療機構22は、既に説明したように、背面マッサージユニット4を挟んで左右に対向配置されて側面マッサージユニット3を構成している。そして、右側に配設された側面施療機構22と左側に配設された側面施療機構22とでは、互いのクランク37の位相が180度だけ異なるように設定してある。従って、左右の側面施療機構22,22が有して対向配置される一対の側面施療板46,46は、動作方向が互いに逆向きとなるように往復動作し、例えば、一方の側面施療板46の上昇時には他方の側面施療板46が下降するように往復動作(擦り動作)するようになっている。
【0030】
このような擦り動作によれば、左右の側面施療板46の間に置かれた被施療者の身体部位に対して適切な擦りマッサージを施すことが可能である。即ち、本実施の形態に係る側面マッサージユニット3の場合、上述したように一対を成す左右の側面施療板46が、互いに動作方向が逆向きとなるように往復動作するため、一方の側面施療板46と共に移動して身体部位が浮いてしまうなどといったことが生じにくい。従って、側面施療板46は身体部位に当接した状態で上下方向へスライドし、身体部位に対して確実に擦りマッサージを施すことが可能である。
【0031】
[距離変更機構]
次に、側面マッサージユニット3を成す側面施療機構22,22の対向距離を変更するための機構(距離変更機構)について説明する。この機構は、上述した擦りマッサージを行う際に一対の側面施療板46,46の対向距離を調整するため、及び、一対の側面施療板46,46を近接させて身体部位を押圧し、揉みマッサージを行うためのものである。
【0032】
図1に示すように、マッサージ機1が備える第2モータ6は、出力軸を下方へ向けて設けられている。図2に示すように、該出力軸は減速機50を介し、該減速機50から左右方向(ベースプレート2の長手方向)へ延びるボールネジ51に接続されている。このボールネジ51は、ベースプレート2と略同じ長さ寸法を有し、両端部がフランジ2bにて枢支されている。一方、図5に示すように、側面施療機構22が有する側方移動プレート30にはボールナット52が設けられており、該ボールナット52には上記ボールネジ51が螺挿されている(図1参照)。
【0033】
また、このボールネジ51は、減速機50から背面マッサージユニット4へ至るまでの部分51aと、背面マッサージユニット4からフランジ2bへ至るまでの部分51bとで、ネジが逆向きに切られている。従って、第2モータ6が駆動してボールネジ51が一方向へ回転すると、一対を成す左右の側面施療機構22は互いに近接する方向へ移動し、ボールネジ51が他方向へ回転すると、左右の側面施療機構22は互いに離隔する方向へ移動する。そして、左右の側面施療機構22を互いに近接する方向へ移動させることにより、間に位置された被施療者の身体部位を、側面施療板46によって両側方から押圧して揉みマッサージすることができる。
【0034】
また、マッサージ機1は、上述した擦りマッサージを実行するための第1モータ5と、側面施療機構22を側方へ移動させる第2モータ6とを別個に備えているため、側面施療板46による擦りマッサージ動作と側方への移動動作とは独立して制御可能である。従って、被施療者の嗜好や身体寸法に応じて左右の側面施療板46,46の離隔距離を調節した上で擦りマッサージを行うことができ、また、擦りマッサージの実行中であっても側面施療板46を側方へ移動させて、身体部位との接触圧力を調整することが可能である。
【0035】
以上に説明したように、本実施の形態に係るマッサージ機1によれば、被施療者の身体部位を背面支持板14にて支持した状態で、第1モータ5の駆動により第1回転軸8を他方向へ回転させると、背面マッサージユニット4が駆動して当該身体部位の背部を叩きマッサージすることができる一方、第1回転軸8を一方向へ回転させると、側面マッサージユニット3が駆動して当該身体部位の側部を擦りマッサージすることができる。また、第2モータ6を駆動してボールネジ51を一方向へ回転させると、側面マッサージユニット3が有する一対の側面施療板46,46は互いに近接し、当該身体部位を押圧して揉みマッサージすることができる。更に、この側面施療板46,46は第2モータ6の回転方向に応じて近接及び離反可能であるため、被施療者の嗜好又は身体寸法に応じて擦りマッサージ時における側面施療板46と身体部位との接触圧力を調整することができる。
【0036】
なお、上述では背面マッサージユニット4として、背面支持板14にて支持された身体部位の背部を叩きマッサージする構成を説明したが、これに限定されず他の構成を有していてもよい。
【0037】
[背面マッサージユニットの他の構成]
図8は、身体部位の背部を擦りマッサージすることが可能な背面マッサージユニット60の構成を示す模式的側面図である。図8に示すように、この背面マッサージユニット60は、図4にて説明したものと同様の外観形状を有する略門形状の背面支持板61を有し、その上面は、被施療者の身体部位の背部を支持する支持面61aとなっている。この支持面61aには、その長手方向に延びる複数本のスリット(図示せず)が形成されており、支持面61aの左右の端部からは下方へ向けて下垂板61cが延びている。この下垂板61cは、支持面61aと前後方向の寸法が略同一であり、前後方向へ延びる所定長さのガイド孔61dが形成されている。
【0038】
支持面61aの下方には、被施療者の身体部位の背部に擦りマッサージを行う背面施療板62が設けられている。この背面施療板62は、平面視で矩形板状のベース部62aと、該ベース部62aの上面から突出する複数の施療突起62bとを有している。この施療突起62bは、叩きマッサージ用の背面施療板15の施療突起15bと同様の構成となっているが、半球状など他の形状であってもよい。ベース部62aの側面からは前後に配設された2つの突起62cが設けられている。背面施療板62は、この突起62cを背面支持板61が有するガイド孔61dに挿通させた状態で設けられ、このとき背面施療板62が有する施療突起62bは、背面支持板61の支持面61aに形成されたスリット(図示せず)から上方へ突出している。従って、背面施療板62は、施療突起62bを支持面61aから上方へ突出させた状態で、ガイド孔61dに沿って前後方向へ移動可能となっている。
【0039】
背面施療板62のベース部62aからは下方へ延びるアーム63が設けられている。該アーム63の下端部は、リンクロッド64の一端部が枢支されており、該リンクロッド64の他端部は、第1回転軸8に対しクラッチ11を介して設けられたカム13の突出部13aに枢支されている。これらカム13、リンクロッド64、及びアーム63により、第1回転軸8の回転動作を背面施療板62の往復動作に変換して伝達するリンク機構65が構成されている。
【0040】
このような背面マッサージユニット60の場合、第1モータ5(図1参照)の駆動により、第1回転軸8と共にカム13が他方向(図8の反時計回り方向)へ回転すると、この回転動作はリンク機構65を介して前後方向の往復動作に変換されて伝達される。その結果、背面施療板62は、突起62cがガイド孔61dに案内されて前後方向へ往復動作する。この際、支持面61aにて被施療者の身体部位が支持されていると、背面施療板62は身体部位の背部の表面に沿って往復動作することとなり、当該身体部位の背部に対して擦りマッサージすることができる。
【0041】
図9は、身体部位の背部を擦りマッサージすることが可能な他の背面マッサージユニット70の構成を示す模式的側面図であり、図10は、図9に示す背面マッサージユニット70の動作図である。図9に示すように、この背面マッサージユニット70は、ベースプレート2上に脚部71bが固定された略門形状の背面支持板71を有し、その上板71aには図示しないスリットが形成されている。上板71aの前後の端部から脚部71bの下部に至るまで、該脚部71bに沿って延びる板状のリブ71cが設けられており、背面支持板71が補強されている。このようなリブ71cは、図4及び図8に示した背面マッサージユニット4,60が夫々有する背面支持板41,61に対しても設けることができる。
【0042】
背面支持板71の上板71aの上方には、被施療者の身体部位の背部に擦りマッサージを行う背面施療板72が設けられている。この背面施療板72は、平面視で矩形板状のベース部72aと、該ベース部72aの上面に突設された複数の施療突起72bとを有し、該施療突起72bは半球状を成している。
【0043】
ベース部72aの前部下面には、揺動ロッド73の一端部(上端部)が図示しない枢軸を介して支持されており、ベース部72aの後部下面には、他の揺動ロッド74の一端部(上端部)が図示しない枢軸を介して支持されている。これらの揺動ロッド73,74は、前記枢軸から、背面支持板71の上板71aに形成されたスリットを通じて下方へ垂下されている。また、背面支持板71の下方におけるベースプレート2の前部及び後部には、該ベースプレート2の上面から上方へ延びる支持突起75,75が設けられている。そして、前後の揺動ロッド73,74はその他端部(下端部)が、前後の支持突起75の上部に設けられた枢軸75aによって支持されている。
【0044】
このように揺動ロッド73,74によって下方から支持された背面施療板72は、揺動ロッド73,74がベースプレート2に対して直立した状態で、背面支持板71の上板71aの上面から若干上方に隙間を有して位置している。
【0045】
また、第1回転軸8(図1参照)に対しクラッチ11(図4参照)を介して回転板77が設けられている。この回転板77の回転中心から偏芯した位置には、回転板77の回転中心軸に平行な枢軸77aが設けられ、リンクロッド78の一端部がこの枢軸77aを介して支持されている。リンクロッド78の他端部は、後側の揺動ロッド74の途中にて、枢軸74aを介して支持されている。
【0046】
このような背面マッサージユニット70の場合、第1モータ5の駆動により、第1回転軸8と共に回転板77が他方向へ回転すると、リンクロッド78が前後へ往復動し、これに伴って揺動ロッド73,74が枢軸75aを中心として前後方向へ揺動する。その結果、揺動ロッド73,74の上端部に支持された背面施療板72が、前後方向へ往復動作することとなる。この際、背面施療板72にて被施療者の身体部位が支持されていると、背面施療板72は身体部位の背部の表面に沿って往復動作し、当該身体部位の背部に対して擦りマッサージすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、身体部位に対し好適な擦りマッサージを行うことができるマッサージ機に適用することができる。また本発明は、身体部位の寸法的な個人差や、マッサージ力の強弱に関する各個人の嗜好にも対応することができるマッサージ機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係るマッサージ機の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すマッサージ機の平面図である。
【図3】図1に示すマッサージ機を図1とは別の方向から見たときの斜視図であり、側面マッサージユニットを取り外した状態を示している。
【図4】背面マッサージユニットの構成を示す模式的側面図である。
【図5】図1に示す右側マッサージ機が有する側面マッサージユニットを示す右側の側面施療機構の構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示す側面施療機構について図5とは異なる方向から見たときの斜視図である。
【図7】図5に示す側面施療機構をVII-VII線に沿って切断したときの断面形状を示す断面図である。
【図8】身体部位の背部を擦りマッサージすることが可能な背面マッサージユニットの構成を示す模式的側面図である。
【図9】身体部位の背部を擦りマッサージすることが可能な他の背面マッサージユニット70の構成を示す模式的側面図である。
【図10】図9に示す背面マッサージユニット70の動作図である。
【符号の説明】
【0049】
1 マッサージ機
1a 右側マッサージ機
1b 左側マッサージ機
3 側面マッサージユニット(第1マッサージユニット)
4 背面マッサージユニット(第2マッサージユニット)
5 第1モータ
6 第2モータ
8 第1回転軸
10,11 クラッチ
15 背面施療板
15b 施療突起
20 第2回転軸
22 側面施療機構
30 側方移動プレート
37 クランク
42 上下移動プレート
46 側面施療板
46a 施療突起
60 背面マッサージユニット(第2マッサージユニット)
61 背面支持板
62 背面施療板
62b 施療突起
65 リンク機構
70 背面マッサージユニット
71 背面支持板
72 背面施療板
72b 施療突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の身体部位の両側部を擦りマッサージする第1マッサージユニットを備え、
該第1マッサージユニットは、前記身体部位を両側方から挟むように対向配置された一対の側面施療部を有し、該一対の側面施療部を、動作方向が互いに逆向きとなるように往復動作させるべく構成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記身体部位を側方から押圧して揉みマッサージすべく、前記一対の側面施療部の対向距離を変更する距離変更機構を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記距離変更機構は、前記第1マッサージユニットとは独立して動作可能であることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記身体部位の背部に対向するように配設された背面施療部を有し、該背面施療部を前記身体部位の背部に近接及び離反するように動作させる叩きマッサージ、又は、前記背面施療部を前記身体部位の背部の表面に沿って往復動作させる擦りマッサージを行う第2マッサージユニットを更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記第1マッサージユニットは、モータと、該モータの回転を伝達する回転軸と、前記一対の側面施療部の夫々に対応して前記回転軸に設けられた一対のクランクと、該クランク及び前記側面施療部を連結するロッドとを有し、前記一対のクランクは互いに位相が異なるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−80094(P2008−80094A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2601(P2007−2601)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】