説明

マッサージ機

【課題】新たな感覚を使用者に与えることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】使用者の臀部を下から支える座板10を有する座部1と、座板10が上下動可能に取り付けられているベース部5と、座板10を動作させると共に当該動作を制御する動作装置とを備えている。座板10は左右に分割された二つの分割座板11,12を有している。動作装置は、分割座板11,12それぞれを持ち上げて動かすエアセル21,22と、これらエアセル21,22の動作を制御することで分割座板11,12を交互に上下往復動させる制御装置とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られているマッサージ機として、使用者が着座する座部と、使用者の背中を支持する背凭れ部とを備え、背凭れ部に昇降可能なマッサージユニットが設けられているものがある。マッサージユニットは、施療子及びこの施療子を動作させる駆動部を有しており、施療子が動作することによって、使用者の肩部、背中及び腰部に対して揉みや叩き等のマッサージ動作を行なうができる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−197676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マッサージ機では、使用者に対して新たな感覚を与えるために、様々な改良が加えられている。例えば、前記特許文献1では、座部にバイブレータが設けられており、使用者に対して振動によるマッサージを施すことができ、この振動によって使用者に例えばリラックス感を与えている。このように、近年では、これまでとは異なる感覚を与えることができる構成が要求されている。
そこで、本発明は、使用者に新たな感覚を与えることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明のマッサージ機は、使用者の臀部を下から支える座板を有する座部と、前記座板が上下動可能に取り付けられているベース部と、前記座板を動作させると共に当該動作を制御する動作装置とを備え、前記座部は、前記座板が複数に分割された複数の分割座板を有し、前記動作装置は、前記複数の分割座板それぞれを持ち上げて動かす駆動部と、この駆動部の動作を制御することで前記複数の分割座板を相互の動作タイミングを相違させて繰り返し上下往復動させる制御装置とを有している。
本発明によれば、制御装置が駆動部の動作を制御することで、複数の分割座板を相互の動作タイミングを相違させて上下往復動させるので、座板を複雑に動作させることができる。この動作により、一つの分割座板上の使用者の臀部の一部が下位置にある状態で、他の分割座板上の使用者の臀部の他部を、前記下位置よりも上に持ち上げた状態とすることができ、この場合、使用者の身体を傾けることができる。さらに、複数の分割座板の上下往復動が、繰り返し行なわれることで、使用者の身体を交互に傾けるようにして揺することができ、使用者に新たな感覚を与えることができる。
【0006】
また、前記マッサージ機において、前記座板は、左側の分割座板と右側の分割座板とを有するように分割され、前記複数の分割座板それぞれが、前記ベース部に、前記座板の中央側を揺動中心とし左右方向の外側縁部が上下動するように揺動可能に取り付けられている構成とすることができる。
この構成によれば、前記制御装置が前記駆動部の動作を制御することで、左右の分割座板を相互の動作タイミングを相違させて繰り返し上下往復揺動させるので、使用者の身体を左右交互に傾けるようにして左右に揺することができる。さらに、左右の分割座板それぞれは、座板の中央側を揺動中心とし左右方向の外側縁部が上下動するように揺動することができるので、座板の左右方向の外側縁部が高くなり、座板の外側縁部から落ちそうになる感覚を使用者に与えることを防止することができる。
【0007】
また、前記マッサージ機は、前記座板の左右両側に設けられた側壁部を更に備え、前記分割座板と前記側壁部との間に形成されている隙間を塞ぐ塞ぎ部材が設けられているのが好ましい。
分割座板が上下動することによって使用者の身体が揺すられても、このマッサージ機によれば、左右両側に側壁部が設けられているので、使用者に安心感を与えることができる。側壁部が設けられることによって、分割座板と側壁部との間に隙間が形成され、しかも、分割座部が上下動するため、その隙間に手指が入ると、分割座部によって手指が挟まれるおそれがある。そこで、塞ぎ部材は前記隙間を塞いでいるので、当該隙間に使用者の手指が入り込むのを防止することができ、手指が挟まれてしまうことを防ぐことができる。
【0008】
また、前記マッサージ機において、前記座部は、使用者の臀部を左右両側から挟む挟み動作部を有し、前記制御装置は、前記挟み動作部が使用者の臀部を挟んだ状態で前記駆動部を動作させるのが好ましい。
このマッサージ機によれば、挟み動作部が使用者の臀部を左右両側から挟んだ状態として、前記駆動部を動作させ、複数の分割座板をそれぞれ持ち上げて動かすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマッサージ機によれば、使用者の身体を傾けるようにして揺することができ、使用者に新たな感覚を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明のマッサージ機の実施の一形態を示す斜視図である。このマッサージ機は、脚部フレーム5aを有するベース部5と、使用者を着座させる座部1と、座部1及びベース部5の前側に設けられ使用者の脚を載せる脚載せ部2と、使用者が凭れる背凭れ部3と、左右の腕を載せる左右の肘掛け部4L,4Rとを備えた椅子型である。ベース部5は、床面に置かれ床面に対して固定状態となる。なお、本発明において、座部1に着座した使用者が正面を向いて、その前方が前であり、後方が後であり、左手側が左であり、右手側が右である。
【0011】
背凭れ部3は、ベース部5に対して、座部1側の左右水平軸心回りに回動可能であり、座部1と背凭れ部3との間に設けられた背凭れ用アクチュエータ40(図7参照)によってリクライニング動作をする。図1において、背凭れ部3には、マッサージ具として、中央のマッサージユニット36、左右の背中用エアセル37L,37R及び左右の肩用エアセル38L,38Rが設けられている。マッサージユニット36は、背凭れ部3内を昇降駆動するように構成されており、また、揉み玉からなる施療子36a、施療子36aを取り付けているアーム(図示せず)、モータを含む駆動部(図示せず)を有していて、モータの回転によってアームは揺動し、施療子36aに揉みや叩き等のマッサージ動作を実行させる。なお、マッサージユニット36及び施療子36aの動作は、後述する制御装置7によって制御される。
【0012】
左右の背中用エアセル37L,37Rは、背凭れ部3の左右側部に設けられている。座部1の下方にエアポンプ(図示せず)を有するエアユニット8が設けられており、このエアユニット8から空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。エアセル37L,37Rの膨張方向は、背凭れ部3に凭れている使用者の背中の左右部を前方へ押す方向である。
背凭れ部3の左右両側部には、前方へ突出している突出壁39が設けられている。突出壁39は使用者の肩側面に対向する位置に設けられている。この突出壁39の使用者側(左右方向の内側)に、前記肩用エアセル38L,38Rが設けられている。このエアセル38L,38Rは、エアユニット8から空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。エアセル38L,38Rの膨張方向は、使用者を左右両側から挟む方向で、かつ、使用者の肩を前方から後方へ押し付ける方向である。
【0013】
脚載せ部2は、ベース部5に対して、座部1側の左右水平軸心回りに回動可能であり、座部1と脚載せ部2との間に設けられた脚載せ用アクチュエータ41(図7参照)によって、下がった状態(図1の実線で示している状態)と上がった状態(図1の二点鎖線で示している状態)との間を移動することができる。脚載せ部2には、マッサージ具として、左の脚用エアセル45L及び右の脚用エアセル45Rが設けられている。左の脚用エアセル45Lは、相互が対向した対のエアセルを有し、右の脚用エアセル45Rは、相互が対向した対のエアセルを有している。エアセル45L,45Rは、エアユニット8から空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する。エアセル45L及びエアセル45Rそれぞれの膨張方向は、使用者の脚(脹脛乃至足首)を左右両側から挟む方向である。
【0014】
〔座構造の第一の実施の形態〕
図2は座部1及びベース部5の一部(第一の実施の形態)の斜視図である。ベース部5は、左右の側部フレーム16L,16Rと、左右の側部フレーム16L,16Rを連結している座部用フレーム6と有している。座部1、側部フレーム16L,16R、座部用フレーム6及び後述するエアセル21,22によって、座構造が構成される。ベース部5は金属製である。
【0015】
図3は肘掛け部及び前記座構造の正面図である。図4及び図5は座構造の下面図及び平面図である。図6は図2の座構造から座部1を省略した斜視図である。図2と図3と図4とにおいて、側部フレーム16L,16Rそれぞれは、前後方向に延びている前後部材16aと、高さ方向に延びている上下部材16bとを有している。側部フレーム16L,16Rは、前記脚部フレーム5a(図1参照)と一体となっている。座部用フレーム6は左右の側部フレーム16L,16R間にわたって設けられている平盤部材であり、この座部用フレーム6の上に座部1が設けられている。
【0016】
座部1は、使用者の臀部乃至大腿部を下から支える座板10を有している。本発明のマッサージ機が備えている座板10は、左右に二分割された二つの分割座板11,12を有している。つまり、座板10は、左側の分割座板11と右側の分割座板12とを有するように分割されている。分割座板11,12は、左右で隣り合って設けられている。分割座板11,12は、座部1の左右方向に関して中心であり前後方向に延びる中心線に対して対称形状であり、座部用フレーム6上において対称の配置にある。左の分割座板11を代表して説明すると、図5において、分割座板11は平面視略矩形であり、図3において、その上面11aは、座板11の中央M側の内側縁部11cが座板11の左右方向の外側にある外側縁部11bよりも低くなるように傾斜している傾斜面部を有している。この傾斜面部により、使用者の身体を座板10の中央で支持し易くしている。分割座板11の内側縁部11cには、当該分割座板11を座部用フレーム6に取り付けるための被取付部11dが設けられている。分割座板11は、樹脂製または鋼製(鉄板)である。
【0017】
図3において、座部1は、座板10を上から覆うカバー本体部14aを有している第一のカバー部材14、座板10の上に載せられている座部材13、座部材13上に設けられた挟み用エアセル13a,13bを更に有している。座部材13は、クッション性(弾力性)のある部材であり、座板10と略同じ輪郭形状を有している。第一のカバー部材14は、座板10、駆動用エアセル21,22及び座部用フレーム6を包む部材であり、伸び縮みが可能な布を縫製することによって製造されている。また、座部1は、座部材13およびエアセル13a,13bを包む第二のカバー部材15を更に有していて、この第二のカバー部材15も伸び縮みが可能な布を縫製することによって製造されている。そして、第一のカバー部材14の左右両側部(後述する延長カバー部14L,14R)は、その前後方向の全長にわたって、肘掛け部4L,4Rの側壁面4a,4aに固定されている。または図示しないが、カバー部材14の左右両端部は、側部フレーム16L,16Rそれぞれの前後部材16aに固定されていてもよい。
または図示しないが、第二のカバー部材15を省略して、第一のカバー部材14が、座板10、駆動用エアセル21,22および座部用フレーム6、並びに、座部材13、エアセル13a,13bを包む構成であってもよい。
【0018】
挟み用エアセル13a,13bは、空気が供給されることで膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する袋部材である。座部1の下方にエアポンプ(図示せず)を有するエアユニット8(図1参照)が設けられており、このエアユニット8からエア配管(図示せず)を通じて空気が供給されることで膨張する。そして、エアユニット8が空気を外部に排出可能な排気状態となることで、エアセル13a,13b内の空気は排出される。エアセル13a,13bの膨張方向は、座部1に着座している使用者の臀部乃至大腿部Hを左右両側から挟む方向である。これらエアセル13a,13bは、後にも説明するが、使用者の臀部乃至大腿部Hを左右両側から挟む挟み動作部として機能する。
【0019】
左右の分割座板11,12は、座部用フレーム6に上下動可能に取り付けられている。分割座板の取り付け構造について、左の分割座板11を代表して具体的に説明すると、図5に示しているように、分割座板11の内側縁部11cには、前記被取付部11dとして、前後方向を軸線としたピン部材(軸部材)11eが取り付けられている。一方、座部用フレーム6の左右方向中央部には、取付部として、前記ピン部材11eを支持している支持部6aが設けられている(図6参照)。
【0020】
図3に示しているように、支持部6aは、左右の分割座板11,12それぞれを、座板10の中央M側を揺動中心とし左右方向の外側縁部11b,12bが上下動するように、揺動可能に取り付けている。揺動中心は、分割座板11,12の間に設けられた前後方向に延びる軸線である。なお、図3では、右の分割座板12のみが上に揺動した状態を示している。分割座板11,12が座部用フレーム6の上に載った状態が、下位置にある状態であり、この状態では、分割座板11,12は略水平の姿勢となる。そして、分割座板11,12は、上に揺動すると、座板10の中央M側へ向かって下傾した姿勢となる。
【0021】
図14は、座部用フレーム6、分割座板11,12および分割座板11,12の取り付け構造についての他の実施形態を正面から見た断面図である。図15と図16とは取り付け構造(支持部)を説明する拡大断面図である。左右の分割座板11,12は、座部用フレーム6に上下動可能に取り付けられている。左側の分割座板11を代表して具体的に説明すると、図15において、分割座板11の内側縁部11cには、前記被取付部11dとして、板部材を断面円弧形状に形成した円弧部81aを有する円弧被支持部81が設けられている。円弧部81aは前後方向の軸線を中心とした円弧形状に形成されている。一方、座部用フレーム6の左右方向中央部には、取付部として、前記円弧部81aを支持している支持部86が設けられている。支持部86は、前記円弧部81aを挿入状として取り付けている受け部86aを有している。つまり、受け部86aには、断面が円弧形状に形成されたスリット86bが形成されていて、図15と図16とに示しているように、このスリット86b内を円弧部81aが進退することで、分割座板11を揺動させることができる。スリット86bは、円形の凹溝が前後方向に延びて形成されている第一部材82の上に、円形の凸条が前後方向に延びて形成されている第二部材83を載せ、第一部材82および第二部材83を、固定部材84によって座部用フレーム6との間で挟んで固定することで、前記凹溝と前記凸条との間に構成される。
【0022】
この取り付け構造によれば、支持部86は、左右の分割座板11,12それぞれを、座板10の中央M側を揺動中心とし左右方向の外側縁部11b,12bが上下動するように、揺動可能に取り付けることができる。揺動中心は、分割座板11,12の間に設けられた前後方向に延びる軸線である。なお、図14の二点鎖線は、左右の分割座板11,12が上に揺動した状態を示している。分割座板11,12が座部用フレーム6の上に載った状態が、下位置にある状態であり、この状態では、分割座板11,12は略水平の姿勢となる。そして、分割座板11,12は、上に揺動すると、座板10の中央M側へ向かって下傾した姿勢となる。
【0023】
本発明のマッサージ機は、座板10(左右の分割座板11,12)を動作させると共に、当該動作を制御する動作装置9を更に備えている(図7参照)。動作装置9は、左右の分割座板11,12それぞれを持ち上げて動かす駆動部17と、この駆動部17の動作を制御する制御装置7とを有している。制御装置7は、CPU及び記憶部を有しているプログラマブルなマイコンからなり、座部1の下方に設けられている。制御装置7には、所定の各機能を実行するプログラムが記憶されている。この機能については後に説明する。
【0024】
前記駆動部17を図3、図6及び図7により説明すると、駆動部17は、座部用フレーム6上に設けられている左右の駆動用エアセル21,22と、これらエアセル21,22を膨張収縮させるエアユニット8である。エアセル21,22は、空気が供給されると膨張し、内部の空気が排出されると収縮する袋部材である。左のエアセル21は、左の分割座板11と、座部用フレーム6の左側部分との間に介在している。右のエアセル22は、右の分割座板12と、座部用フレーム6の右側部分との間に介在している。エアセル21(22)は分割座板11(12)よりも輪郭形状が小さく設定されている。
【0025】
図6において、エアセル21,22の空気の供給口21a,22aそれぞれは、膨張部分であるエアセル本体21b,22bよりも左右方向の中央側に設けられており、供給口21a,22aそれぞれには、前記エアユニット8と繋がるエア配管(図示せず)が接続されている。このエア配管は、座部用フレーム6の上面側から、当該座部用フレーム6に上下方向に貫通して形成された孔6b(図4参照)を通じて、座部用フレーム6の下面側へと導かれ、座部1の下方のエアユニット8へと延びている。または、孔6bを省略して、エア配管を座部用フレーム6の後方へ導き出してから、座部1の下方へと延びていてもよい。
【0026】
エアユニット8から、座部用フレーム6上にあるエアセル21,22に空気が供給されることで、エアセル21,22は上に向かって膨張する。一方、エアユニット8が、エアセル21,22内の空気を外部に排出することができる排気状態となれば、エアセル21,22は収縮する。使用者が座部1(座板10)に座った状態であれば、エアユニット8が排気状態となれば、膨張状態にあったエアセル21,22は使用者の体重によって分割座板11,12を介して下方へ押され、自動的に収縮することができる。
【0027】
エアユニット8は、空気を吐出する出力ポートを切り替える切替弁を有しており、この切替弁の切り替え動作は制御装置7によって制御される。この制御によって、左右のエアセル21,22の内の一方のみに空気を供給したり、エアセル21,22の内の空気を供給するエアセルを択一的に切り替えたり、さらには、双方に同時に空気を供給したりすることができる。空気が供給され膨張したエアセルは、当該エアセルの上にある分割座板の裏面を上方へ押すことにより当該分割座板を持ち上げ、当該分割座板を上に揺動させる。左右の分割座板11,12の内の一方のみが持ち上げられると、当該一方側が他方側よりも高くなった座板10を構成する。空気を供給するエアセルを交互に切り替えると、左右交互に高くなる座板10を構成する。両方の分割座板11,12が同時に持ち上げられると、中央が低く、左右両側縁部が高くなった座板10を構成する。
【0028】
図3において、分割座板11,12は、その下面から下方へ突出した突起部31,32を有している。この突起部31,32の下端が座部用フレーム6の上面に接触することで、分割座板11,12は略水平の姿勢となる。分割座板11,12の内のエアセル21,22が接触する下面から、突起部31,32の内の座部用フレーム6に接触する下端までの高さは、収縮状態にあるエアセル21,22の上下方向の厚さよりも大きく設定されている。これにより、略水平の姿勢にある分割座板11,12に載っている使用者の体重は、前記突起部31,32及び前記ピン部材11e,12eを介して、座部用フレーム6に伝達させ、収縮状態にあるエアセル21,22に荷重が作用しないようにしている。これにより、収縮状態にあるエアセル21,22を保護することができる。
【0029】
制御装置7(図7参照)は、前記駆動部17の動作を制御することで、左右の分割座板11,12を、相互の動作タイミングを相違させて繰り返し上下往復動させる機能を備えている。つまり、制御装置7は、エアユニット8(前記切替弁)を制御することで、左右の駆動用エアセル21,22の膨張収縮動作を制御し、これにより、左右の分割座板11,12を、交互に上下往復動させる機能を有している。
左右の分割座板11,12の動作を具体的に説明すると、図8(a)に示しているように、右のエアセル22が収縮状態で、左のエアセル21を膨張させると、右の分割座板12は略水平姿勢のままであるが、左の分割座板11は傾斜した姿勢となる。その後、図8(b)に示しているように、膨張状態にあった左のエアセル21を収縮可能な状態とし、収縮状態にあった右のエアセル22を膨張させると、左の分割座板11は略水平姿勢に戻り、右の分割座板12は傾斜した姿勢となる。そして、制御装置7は、図8(a)の状態と図8(b)の状態との間を切り替える動作を、繰り返して行なうことができる。
【0030】
この制御装置7によれば、左右の分割座板11,12を、相互の動作タイミングを相違させて(つまり、非同期とした状態で)上下往復動させるので、図8(a)のように、右の分割座板12上の使用者の臀部乃至大腿部の一部が下位置にある状態で、左の分割座板11上の使用者の臀部乃至大腿部の他部を、前記下位置よりも上に持ち上げた状態とすることができる。一方、図8(b)のように、左の分割座板11上の使用者の前記他部が下位置にある状態で、右の分割座板12上の使用者の前記一部を、前記下位置よりも上に持ち上げた状態とすることができる。このように、使用者の臀部乃至大腿部のうちの一部をそのままにして、他部を持ち上げることで、使用者の身体を左右に傾けることができる。そして、分割座板11,12の上下往復動が交互に繰り返し行なわれることで、使用者の身体を左右交互に傾けるようにして揺することができ、使用者に新たな感覚を与えることができると共に、使用者は臀部から腰部が左右に揺れる運動を行なうことができる。
【0031】
さらに、左右の分割座板11,12それぞれは、座板10の中央M側を揺動中心とし、左右方向の外側縁部11b,12bが上下動するように揺動するので、座板10の左右方向の外側縁部(11b,12b)が交互に高くなり、座板10の外側縁部(11b,12b)から落ちそうになる感覚を使用者に与えない。したがって、この動作により、使用者にはリラックス感を与えることができる。さらに上下動する座板10によって使用者が左右に揺すられても、座部1の左右両側には肘掛け部4が設けられているので、使用者に安心感を与えることができる。
【0032】
また、制御装置7は、前記挟み動作部が使用者の臀部乃至大腿部を左右から挟んだ状態として、駆動部17を動作させる機能を備えている。つまり、制御装置7は、座部1の挟み用エアセル13a,13bに空気を供給し膨張させた状態で、駆動用エアセル21,22を、前記のとおり膨張させる機能を備えている。このように、座部1上に設けられた左右の挟み用エアセル13a,13bが膨張した状態で、左右の分割座板11,12をそれぞれ持ち上げて動かすことにより、左右の挟み用エアセル13a,13bが使用者の臀部乃至大腿部を挟んで座部1に固定した状態として(使用者の身体を座部1にホールドした状態として)、使用者の身体を左右方向に揺することができる。このため、身体の揺れに伴って身体が座部1から位置ズレすることを抑制することができ、使用者は無理な力で体を踏ん張る必要がなく、リラックスすることができる。
【0033】
以上のように構成されたマッサージ機によって使用者へ与えることができる作用について説明する。制御装置7は、背凭れ部3及び脚載せ部2に設けられた他のマッサージ具の動作及び前記挟み動作部(エアセル13a,13b)の動作の少なくとも一方の動作と連動させて、前記駆動部17を動作させる機能を備えている。図9はマッサージ機に設けられているマッサージ具及びエアセルの配置図である。
【0034】
〔腰捻り動作〕
制御装置7は、挟み動作部としての両エアセル13a,13bを膨張させた状態として、駆動部17のエアセル21,22を交互に膨張させる。この動作により、エアセル13a,13bによって使用者の臀部乃至大腿部を座部1に固定した状態で、使用者の腰を左右に揺すり、使用者の腰部よりも上の身体部分が背凭れ部3に凭れていることにより当該身体部分の左右方向の動きが制限されていることによって、使用者に腰の捻り動作を与えることができる。なお、この腰捻り動作は、背凭れ部3を後方へ倒した状態又は背凭れ部3を起立させた状態のいずれであってもよい。
また、挟み動作部としての両エアセル13a,13bの膨張度合いを適宜調整することによって(つまり、両エアセル13a,13bの膨張度合いを、前記のように使用者の臀部乃至大腿部を座部1に固定する場合よりも、弱くすることによって)、駆動部としてのエアセル21,22による前記腰の捻り動作を行いながら、臀部乃至大腿部の側部を、前記エアセル13a,13bによってさすることもできる。
〔臀部乃至大腿部さすり動作〕
制御装置7は、挟み動作部としての両エアセル13a,13bを膨張させながら、駆動部17の両エアセル21,22を膨張及び収縮させる。この動作によれば、エアセル13a,13bが使用者の臀部乃至大腿部を左右方向から押しながら、エアセル21,22が使用者の上半身を上下動させることができ、これにより、使用者の臀部乃至大腿部をエアセル13a,13bがさする動作を与えることができる。
【0035】
〔腰捻り動作〕
制御装置7は、駆動部17の左のエアセル21と、左の背中用エアセル37Lとを膨張させる。これにより、エアセル21とエアセル37Lとは、使用者の脚を除く左半身を前方へ押出すことができる。使用者は、左右の脚を脚載せ部3に残した状態で、左半身が前方へ押出されるため、使用者に腰部を捻る動作を与えることができる。この動作の際、制御装置7は、右の肩用エアセル38Rを膨張させてもよい。この場合、右肩が後方へ押えられるため、前記腰部を捻る動作が強まる。そして、制御装置7は、左のエアセル21及びエアセル37Lを収縮させ、右のエアセル22及びエアセル37R(さらには、左のエアセル38L)を膨張させる。これにより、使用者の腰部を反対方向に捻ることができる。また、制御装置7がこれらエアセルを左右交互に膨張収縮させれば、左右交互に腰部を捻ることができる。さらに、この動作の際、制御装置7は、挟み動作部としての両エアセル13a,13bを膨張させた状態としてもよい。なお、この腰捻り動作は、背凭れ部3を後方へ倒した状態とするのが好ましい。
また、制御装置7は、駆動部17の左のエアセル21と、右の背中用エアセル37Rとを膨張させる。これにより、エアセル21は使用者の下半身の左側を押すと共に、エアセル37Rは上半身の右側を押すことで、使用者を下半身と上半身との間で左右方向に捻る動作を与えることができる。この動作の際、制御装置7は、左の肩用エアセル38Lを膨張させてもよい。この場合、左肩が後方へ押えられるため、前記捻る動作が強まる。そして、制御装置7は、左のエアセル21及びエアセル37R(エアセル38L)を収縮させ、エアセル22及びエアセル37L(さらには、エアセル38R)を膨張させる。これにより、使用者を反対方向に捻ることができる。また、制御装置7がこれらエアセルを左右交互に膨張収縮させれば、左右交互に捻ることができる。なお、この捻り動作は、背凭れ部3を後方へ倒した状態として行ってもよい。
【0036】
〔腰捻り動作〕
制御装置7は、左右の脚用エアセル45L,45Rを膨張させた状態として、駆動部17のエアセル21,22を交互に膨張させる。この動作により、脚用エアセル45L,45Rによって使用者の脚を脚載せ部3に固定した状態で、使用者の腰を左右に揺することができ、使用者に腰の捻り動作を与えることができる。さらに、エアセル45L,45Rによって使用者の脹脛乃至足首が拘束された状態で、臀部乃至大腿部が持ち上げられるため、脚を伸ばす動作(ストレッチ動作)を与えることもできる。さらに、この動作の際、制御装置7は、挟み動作部としての両エアセル13a,13bを膨張させた状態としてもよい。
【0037】
〔施療子36aによる腰の下部の施療〕
制御装置7は、施療子36aを使用者の腰部に当る下位置に降下させた状態で、当該施療子36aに揉みや叩き等のマッサージ動作をさせながら、駆動部17の両エアセル21,22を膨張させる。この動作によれば、エアセル21,22が使用者の身体を持ち上げることができるので、施療子36aによって、使用者の腰部の内の下部(臀部)についてまで、マッサージを施すことができる。つまり、施療子36aによるマッサージ可能領域を広げることができる。さらに、この動作の際、制御装置7は、挟み動作部としての両エアセル13a,13bを膨張させた状態としてもよい。
【0038】
〔手指の挟まれ防止手段(その1)について〕
図3において、本発明のマッサージ機は、左右の肘掛け部4L,4Rを備えており、これら肘掛け部4L,4Rは、座板10の左右両側に、当該座板10との間に隙間を有して設けられている。肘掛け部4L,4Rそれぞれは、座部1の上面(図3では座部材13の上面)よりも高い肘掛け上面4bと、座部1の左右側方から立設状となる内側の側壁面4aと、外側の側壁面4cとを有している。なお、図1の実施形態では、外側の側壁面4cに、使用者の手を入れる手入れ部42が設けられており、この手入れ部42内には、手を押圧してマッサージするためのマッサージ具(エアセル)が設けられている。このように、肘掛け部4L,4Rは、座板10の側方で立設されている側壁部を構成している。
【0039】
そして、図3において、左の分割座板11の外側縁部11bと左の肘掛け部4Lの内側の側壁面4aとの間、及び、右の分割座板12の外側縁部12bと右の肘掛け部4Rの内側の側壁面4aとの間には、分割座板11,12を動作させるために、隙間ga及び隙間gbが形成されている。そこで、本発明のマッサージ機は、この隙間ga及び隙間gbを塞ぐ塞ぎ部材25L,25Rを備えている。
塞ぎ部材25L,25Rの具体的構成を説明する。塞ぎ部材25L,25Rは、座部1が有している前記カバー部材14の一部によって構成されている。すなわち、座部1は、前記のとおり、座板10を上から覆うカバー本体部14aを有しているカバー部材14を備えている。このカバー部材14は、カバー本体部14aの左右両側から左右方向外側へ延長して設けられた延長カバー部14L,14Rを有している。この延長カバー部14L,14Rが、前記塞ぎ部材25L,25Rとなる。左の延長カバー部14Lと右の延長カバー14Rとは左右対称で同じ構成であり、代表して左側の延長カバー14Lを説明する。延長カバー部14Lは、カバー部材14の内、分割座板11の外側縁部11bから肘掛け部4Lの内側の側壁面4aにわたって設けられた部分であり、延長カバー部14Lの内の外側縁部11b側は、カバー本体部14aと連続しており、延長カバー部14Lの内の側壁面4a側は、当該側壁面4aに固定されている。
【0040】
左側の延長カバー部14Lは、左の分割座板11の外側縁部11bの上面から、左上方へ延び、当該上面よりも高い位置で左の側壁面4aに取り付けられている。同様に、右側の延長カバー部14Rは、右の分割座板12の外側縁部12bの上面から、右上方へ延び、当該上面よりも高い位置で右の側壁面4aに取り付けられていることから、図3に示しているように、当該分割座板12は延長カバー部14Rを持ち上げることが可能であり、当該分割座板12は上へ揺動することができる。つまり、延長カバー部14Rが分割座板12の上への揺動を阻害しない。そして、右側の延長カバー部14Rは、下位置にあって略水平状態にある分割座板12の上面12aよりも下へ弛んでいない。同様に、左の延長カバー部14Lは、下位置にあって略水平状態にある分割座板11の上面11aよりも下へ弛んでいない。すなわち、左右の延長カバー部14L,14Rは、分割座板11,12の上への揺動を許容しつつ、分割座板11,12が下位置にある状態で当該分割座板11,12の下方へ潜り込まない余裕長に設定されている。
【0041】
このような延長カバー部14L,14Rによれば、(代表して左側について説明すると)延長カバー部14Lは、分割座板11の外側縁部11bと肘掛け部4Lの側壁面4aとの間に形成されている隙間gaを塞いでいるので、上下揺動する分割座板11の外側縁部11bと、肘掛け部4Lの側壁面4aとの間に、使用者の手指が入り込むのを防止することができ、当該外側縁部11bと当該側壁面4aとの間で、手指が挟まれてしまうことを防ぐことができる。さらには、延長カバー部14Lは前記余裕長に設定されているので、分割座板11は上へ揺動することができ、当該余裕長は、分割座板11が下位置にある状態で当該分割座板11の下方へ潜り込まない長さであるため、分割座板11が下へ揺動した際に、当該分割座板11と、その下方にある座部用フレーム6との間で使用者の手指が挟まれるのを防ぐことができる。さらに、座部1のカバー部材14の一部(延長カバー部14L)によって塞ぎ部材25Lを構成することができ、別部材は不要となる。
【0042】
〔座構造の第二の実施の形態〕
図17は、座部1及びベース部5の一部(第二の実施の形態)の斜視図である。図18は肘掛け部及び座構造の正面図である。
このベース部5は、前記第一の実施の形態と同様に、左右の側部フレーム(図示せず:図2参照)と、これら左右の側部フレームを連結している座部用フレーム6とを有している。座部1、側部フレーム、座部用フレーム6及び後述するエアセル21,22によって、座構造が構成されている。ベース部5は金属製である。座部用フレーム6は左右の側部フレーム間にわたって設けられている平盤部材であり、この座部用フレーム6の上に座部1が設けられている。
【0043】
座部1は、使用者の臀部乃至大腿部を下から支える座板10を有している。座板10は、左右に二分割された二つの分割座板11,12を有している。つまり、座板10は、左側の分割座板11と右側の分割座板12とを有するように分割されている。分割座板11,12は、左右で隣り合って設けられている。分割座板11,12は、座部1の左右方向に関して中心であり前後方向に延びる中心線に対して対称形状であり、座部用フレーム6上において対称の配置にある。左の分割座板11を代表して説明すると、分割座板11は平面視略矩形であり、図18において、その上面11aは、座板11の中央M側の内側縁部11cが座板11の左右方向の外側にある外側縁部11bよりも低くなるように傾斜している傾斜面部を有している。この傾斜面部により、使用者の身体を座板10の中央で支持し易くしている。また、分割座板11の外側縁部11bには、後述する(手指の挟まれ防止手段としての)縁部材50が取り付けられている。また、分割座板11の内側縁部11cには、当該分割座板11を座部用フレーム6に取り付けるための被取付部11dが設けられている。分割座板11は、樹脂製または鋼製(鉄板)である。
【0044】
図18において、座部1は、座板10を上から覆うカバー本体部14aを有している第一のカバー部材14、座板10の上に載せられている座部材13、座部材13上に設けられた挟み用エアセル13a,13bを更に有している。座部材13は、クッション性(弾力性)のある部材であり、座板10と略同じ輪郭形状を有している。第一のカバー部材14は、座板10、駆動用エアセル21,22及び座部用フレーム6を包む部材であり、伸び縮みが可能な布を縫製することによって製造されている。また、座部1は、座部材13およびエアセル13a,13bを包む第二のカバー部材15を更に有していて、この第二のカバー部材15も伸び縮みが可能な布を縫製することによって製造されている。
または図示しないが、第二のカバー部材15を省略して、第一のカバー部材14が、座板10、駆動用エアセル21,22および座部用フレーム6、並びに、座部材13、エアセル13a,13bを包む構成であってもよい。
【0045】
挟み用エアセル13a,13bは、エアの供給を受けて膨張することにより、使用者の臀部乃至大腿部Hを左右両側から挟む挟み動作部として機能する。
左右の分割座板11,12は、座部用フレーム6に上下動可能に取り付けられている。分割座板の取り付け構造は、図5または図14に示した構造と同様であり、左右の分割座板11,12それぞれは、座板10の中央M側が揺動中心となって左右方向の外側縁部11b,12bが上下動するように、揺動可能に取り付けられている。
【0046】
また、この第二の実施の形態においても、座板10(左右の分割座板11,12)を動作させると共に、当該動作を制御する動作装置9を更に備えている(図7参照)。動作装置9は、左右の分割座板11,12それぞれを持ち上げて動かす駆動部17と、この駆動部17の動作を制御する制御装置7とを有している。
図7、図17および図18において、駆動部17は、座部用フレーム6上に設けられている左右の駆動用エアセル21,22と、これらエアセル21,22を膨張収縮させるエアユニット8である。左のエアセル21は、左の分割座板11と、座部用フレーム6の左側部分との間に介在していて、右のエアセル22は、右の分割座板12と、座部用フレーム6の右側部分との間に介在している。
【0047】
エアユニット8から、座部用フレーム6上にあるエアセル21,22に空気が供給されることで、エアセル21,22は上に向かって膨張し、分割座板11,12の一方または双方を上に揺動させることができる。一方、エアユニット8が、エアセル21,22内の空気を外部に排出することができる排気状態となれば、エアセル21,22は収縮する。使用者が座部1(座板10)に座った状態であれば、エアユニット8が排気状態となれば、膨張状態にあったエアセル21,22は使用者の体重によって分割座板11,12を介して下方へ押され、自動的に収縮することができる。
【0048】
前記動作装置9の構成および機能は、第一の実施の形態と同じであり、また、このマッサージ機によって使用者へ与えることができる作用(例えば前記〔腰捻り動作〕)についても、第一の実施の形態と同じである。さらに、この第二の実施の形態に関して以上説明した構成、および、次に説明する手指挟まれ防止手段以外は、前記第一の実施の形態の各構成と同様である。
【0049】
〔手指の挟まれ防止手段(その2)について〕
この第二の実施の形態における手指の挟まれ防止手段について説明する。前記のとおり、分割座板11,12の外側縁部11b,12bには、縁部材50がそれぞれ取り付けられている。左の分割座板11を代表して説明すると、図17において、縁部材50は、分割座板11の前後方向の全長にわたって取り付けられている。縁部材50はクッション性を有する部材からなり、具体的にはゴム製である。なお、縁部材50の前後方向の中央部が凹んでいるのは、分割座板11が下位置にある状態で座部用フレーム6との干渉を防止するためのものである。このクッション性を有する縁部材50によれば、上下揺動する分割座板11の外側縁部11bと、肘掛け部4Lの側壁面4aとの間、および、上下揺動する分割座板11の外側縁部11bと、座部用フレーム6との間に、使用者の手指が入り込んだとしても、縁部材50は容易に弾性変形することができるので、手指が強く挟まれてしまうことを防ぐことができる。
【0050】
〔座構造の第三の実施の形態〕
図19は、座部1及びベース部5の一部(第三の実施の形態)の斜視図である。図20は肘掛け部及び座構造の正面図である。このベース部5は、前記第一及び第二の実施の形態と同様に、左右の側部フレーム(図示せず:図2参照)と、これら左右の側部フレームを連結している座部用フレーム6とを有している。座部1、側部フレーム、座部用フレーム6及び後述するエアセル21,22によって、座構造が構成されていて、座部用フレーム6の上に座部1が設けられている。
【0051】
座部1は、使用者の臀部乃至大腿部を下から支える座板10を有していて、座板10は、左右に二分割された二つの分割座板11,12を有している。左右の分割座板11,12は、座部用フレーム6に上下動可能に取り付けられている。分割座板の取り付け構造は、図5または図14に示した構造と同様であり、左右の分割座板11,12それぞれは、座板10の中央M側が揺動中心となって左右方向の外側縁部11b,12bが上下動するように、揺動可能に取り付けられている。
【0052】
第三の実施の形態の座板10が、第二の実施の形態の座板10と異なる点は、分割座板11,12の外側縁部11b,12bに縁部材50が取り付けられていない点であり、その他はほぼ同じ構成である。そして、第三の実施の形態では、座板10の上にシート部材55が設けられている。シート部材55は、左の分割座板11の外側縁部11bから右の分割座板12の外側縁部12bにわたって連続した部材であり、さらに、シート部材55の左右端部は、外側縁部11b,12bの裏面に折り返されている。そして、止め具56によってシート部材55は座板10に固定されている。シート部材55は、伸び縮みが可能な布を縫製することによって製造されていて、分割座板11,12の上下揺動を阻害しない。座板10は樹脂製または鋼製であるが、シート部材55(厚さが2〜5mm程度)はクッション性を有することから、このシート部材55が分割座板11,12の外側縁部11b,12bを覆うことにより、当該外側縁部11b,12bから使用者の手指を保護することができる。つまり、このシート部材55(手指の挟まれ防止手段(その3))によれば、上下揺動する分割座板11の外側縁部11bと、肘掛け部4Lの側壁面4aとの間、および、上下揺動する分割座板11の外側縁部11bと、座部用フレーム6との間に、使用者の手指が入り込んだとしても、シート部材55は使用者の手指を保護することができるので、手指が強く挟まれてしまうことを防ぐことができる。そして、このシート部材55の上に、図示しないが面ファスナを介して、座部材13が取り付けられている。
【0053】
また、この第三の実施の形態においても、座板10(左右の分割座板11,12)を動作させると共に、当該動作を制御する動作装置9を更に備えている(図7参照)。動作装置9は、左右の分割座板11,12それぞれを持ち上げて動かす駆動部17と、この駆動部17の動作を制御する制御装置7とを有している。
前記駆動部17、前記動作装置7の構成および機能は、第一及び第二の実施の形態と同じであり、また、このマッサージ機によって使用者へ与えることができる作用(例えば前記〔腰捻り動作〕)についても、前記実施の形態と同じである。さらに、この第三の実施の形態に関して以上説明した構成以外は、前記第一及び第二の実施の形態の各構成と同様である。
【0054】
また、本発明のマッサージ機は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。例えば、前記実施形態では、座板10は左右に二分割された場合を説明したが、この他に、座板10は、複数に分割された複数の分割座板を有していればよく、座板10は三分割であってもよい(図示せず)。この場合、左の分割座板、右の分割座板、これらの間の中央の分割座板とすることができる。そして、左右の分割座板は、前記実施形態のように上下動し、中央の分割座板はベース部の座部用フレーム上に固定されており、動作しないものとすることができる。
さらに、座板10は、前後左右の四分割であってもよく(図示せず)、各分割座板を独立して上下動させるためには、エアセルを分割座板と同数設ければよい。この場合でも、揺動中心は、前後方向に向いており、揺動中心は、座部1の中央に設けられている。
【0055】
また、図3において、挟み用エアセル13a,13bを座部材13の上面に設けた場合を説明したが、これらエアセル13a,13bは、座部材13内に埋め込まれていてもよい。さらに、これら挟み用エアセル13a,13b及び座部材13は、袋状のカバー部材(図示せず)によって覆われていてもよい。
さらに、駆動部17を、エアセル21,22とエアユニット8とによる構成として説明したが、駆動部17はこれ以外の形式であってもよく、図示しないが、モータと、モータの回転数を減速する減速部と、減速部の出力軸の回転によって往復動するクランク部材とを有し、クランク部材が分割座板11,12を押し上げる構成とすることができる。
また、座板10の左右側方に設けられる側壁部を、肘掛け部4L,4Rとして説明したが、側壁部は他の形態であってもよく、使用者の肘を載せる部分(肘掛け部)と側壁部とは別体となっていてもよい。
【0056】
〔参考発明〕
参考発明を説明する。参考発明のマッサージ機は、図1のマッサージ機と全体構成は略同じであり、図1において、脚部フレーム5aを有するベース部5と、使用者を着座させる座部1と、座部1及びベース部5の前側に設けられ使用者の脚を載せる脚載せ部2と、使用者が凭れる背凭れ部3と、左右の腕を載せる左右の肘掛け部4L,4Rとを備えた椅子型である。このマッサージ機についても、使用者に新たな感覚を与えることを目的としている。
【0057】
図10は、参考発明のマッサージ機が備えている座構造の斜視図である。座部1は、使用者の臀部乃至大腿部を下から支える座板60を有している。ベース部5が有している座部用フレーム61は、座板60を支持しており、座板60は、座部用フレーム61上で、上下動を伴う左右動を行なうことができる。また、このマッサージ機は、座板60を動作させると共に当該動作を制御する動作装置を備えている。図1のマッサージ機と参考発明のマッサージ機とで大きく異なる点は、座板の構成及び動作装置の構成及び機能である。なお、図10に示している座構造は、図2の座構造と置き換え可能である。
【0058】
図10において、この座構造は、座部1、側部フレーム16L,16R及び座部用フレーム61を備えている。図11は座構造の正面図である。図12は図10の座構造から座部1(座板60)を省略した斜視図である。座部用フレーム61は、左右の側部フレーム16L,16R間にわたって設けられている平盤部材であり、この座部用フレーム61の上に座部1が設けられている。図12に示しているように、座部用フレーム61は、前フレーム61aと後フレーム61bとを有している。
【0059】
座部1は、座板60、座板60の上に載せられた中間部材62(図11参照)を有している。座板60は、一枚の樹脂製または鋼製のプレートからなり、座部用フレーム61によって動作可能に支持されている。中間部材62は、クッション性(弾力性)を有する部材であり、座板60と略同じ輪郭形状を有している。
図11において、座板60の下面には、座部用フレーム61によって支持される被支持部材63が設けられている。この被支持部材63は、前部材63aと後部材63bとを有している。図12では前部材63aも省略している。前部材63a及び後部材63bは同じ形状であり、左右方向に長い部材である。それぞれの左右端部にはローラ64L,64Rが取り付けられている。すなわち、座板60の下面側の前後左右の四箇所にローラが設けられている。
図11と図12とにおいて、座板60の下面の左右両側には、受圧部材66L,66Rが設けられている。受圧部材66L,66Rは、座板60の下面から下方へ延びている壁部材であり、後述するエアセル71,72によって押圧される。
【0060】
座部用フレーム61は、前記ローラ64L,64Rを転動させるレール部材65L,65Rを有している。前フレーム61aの左右両側部それぞれに、レール部材65L,65Rが取り付けられており、後フレーム61bの左右両側部それぞれに、レール部材65L,65Rが取り付けられている。すなわち、座部用フレーム61の上面側の前後左右の四箇所にレール部材が設けられている。各レール部材は、座部1の中央に向かって下方へ傾斜しているローラ面65aを有しており、このローラ面65aを前記ローラは転動する。これにより、座板60は左右方向に移動自在となる。
【0061】
図13は座板60の動作を説明する説明図である。座板60が座部用フレーム61の中央位置(基準位置)に存在していると、当該座板60は略水平姿勢にあるが、前記ローラ面65aは傾斜面であるため、座板60が左右方向の一方側へ移動すると、座板60が中央位置にある場合よりも、当該座板60の一方側端は高い位置となる。さらに、この状態では、座板60の一方側端は当該座板60の他方側端よりも高い位置となる。
【0062】
座板60を動作させると共に当該動作を制御する動作装置について説明する。図11において、動作装置は、座板60を左右動させる駆動部67と、この駆動部67の動作を制御する制御装置68とを有している。制御装置68は、CPU及び記憶部を有しているプログラマブルなマイコンからなり、座部1の下方に設けられている。
図11に示している駆動部67は、左右の駆動用エアセル71,72と、これらエアセル71,72を膨張収縮させるエアユニット69である。これらエアセル71,72は、空気が供給されることで左右方向に膨張し、内部の空気が排出されることによって収縮する袋部材である。
【0063】
これら駆動用エアセル71,72は、前フレーム61aと後フレーム61bとの間に設けられた左右の取付部材70,70に取り付けられている。取付部材70は、座部用フレーム61と共に側部フレーム16L(16R)に取り付けられている。そして、左のエアセル71は、左の取付部材70と、座板60の左の前記受圧部材66Lとの間に介在している。右の駆動用エアセル72は、右の取付部材70と、座板60の右の前記受圧部材66Rとの間に介在している。
【0064】
制御装置68は、前記駆動部67の動作を制御することで、座板60を繰り返し左右往復動させる機能を備えている。つまり、制御装置68は、エアユニット69を制御することで、左右の駆動用エアセル71,72の膨張収縮動作を制御することができ、これにより、座板60を左右交互に移動させる機能を有している。
座板60の動作を、図11及び図13により具体的に説明すると、図11において、左のエアセル71を収縮可能な状態とし、右のエアセル72に空気を供給して当該エアセル72を膨張させると、右のエアセル72は受圧部材66Rを左へ押す。これにより、図13(a)に示しているように、左側のローラ64Lは左のレール部材65Lのローラ面65aを上り、かつ、右側のローラ64Rは右のレール部材65Rのローラ面65aを下りながら、座板60は左へ移動する。これにより、座板60の左側端は右側端よりも高い位置となる。
【0065】
その後、図11において、膨張状態にあった右のエアセル72を収縮可能な状態とし、収縮状態にあった左のエアセル71に空気を供給して当該エアセル71を膨張させると、左のエアセル71は左の受圧部材66Lを右へ押す。これにより、図13(b)に示しているように、右側のローラ64Rは右のレール部材65Rのローラ面65aを上り、かつ、左側のローラ64Lは左のレール部材65Lのローラ面65aを下りながら、座板60は右へ移動する。これにより、座板60の右側端は左側端よりも高い位置となる。そして、制御装置68は、図13(a)の状態と図13(b)の状態との間を切り替える動作を、繰り返して行なうことができる。
この参考発明によれば、座板60に上下動を伴う左右動を繰り返し行なわせることで、座板60上の使用者の身体を左右交互に揺することができ、使用者に新たな感覚を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明のマッサージ機の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】座部及びベース部の一部(第一の実施の形態)の斜視図である。
【図3】肘掛け部及び座構造の正面図である。
【図4】座構造の下面図である。
【図5】座構造の平面図である。
【図6】座構造から座部を省略した斜視図である。
【図7】本発明のマッサージ機のブロック図である。
【図8】分割座板の動作を説明する説明図である。
【図9】マッサージ具及びエアセルの配置図である。
【図10】参考発明のマッサージ機が備えている座構造の斜視図である。
【図11】座構造の正面図である。
【図12】座構造から座板を省略した斜視図である。
【図13】座板の動作を説明する説明図である。
【図14】座構造を正面から見た断面図である。
【図15】図14の支持部の拡大断面図である。
【図16】図14の支持部の拡大断面図である。
【図17】座部及びベース部の一部(第二の実施の形態)の斜視図である。
【図18】肘掛け部及び座構造の正面図である。
【図19】座部及びベース部の一部(第三の実施の形態)の斜視図である。
【図20】肘掛け部及び座構造の正面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 座部
4L,4R 肘掛け部(側壁部)
5 ベース部
7 制御装置
8 エアユニット
9 動作装置
10 座板
11,12 分割座板
11b,12b 外側縁部
13a,13b エアセル(挟み動作部)
17 駆動部
21 エアセル
22 エアセル
25L,25R 塞ぎ部材
H 使用者の臀部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の臀部を下から支える座板を有する座部と、前記座板が上下動可能に取り付けられているベース部と、前記座板を動作させると共に当該動作を制御する動作装置とを備え、
前記座部は、前記座板が複数に分割された複数の分割座板を有し、
前記動作装置は、前記複数の分割座板それぞれを持ち上げて動かす駆動部と、この駆動部の動作を制御することで前記複数の分割座板を相互の動作タイミングを相違させて繰り返し上下往復動させる制御装置とを有していることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記座板は、左側の分割座板と右側の分割座板とを有するように分割され、
前記複数の分割座板それぞれが、前記ベース部に、前記座板の中央側を揺動中心とし左右方向の外側縁部が上下動するように揺動可能に取り付けられている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記座板の左右両側に設けられた側壁部を更に備え、
前記分割座板と前記側壁部との間に形成されている隙間を塞ぐ塞ぎ部材が設けられている請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記座部は、使用者の臀部を左右両側から挟む挟み動作部を有し、
前記制御装置は、前記挟み動作部が使用者の臀部を挟んだ状態で前記駆動部を動作させる請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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