説明

マッサージ機

【課題】被施療者の座に対して擦りマッサージを施すことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】少なくとも被施療者の座を載置することができるマッサージ機1において、前後方向に往復動し、座の側面に対向する側部21を有する左右対の外側擦り部19,19と、前記対の外側擦り部19,19の間に設けられ、座の下面に対向する面が略平面又は左右中央側に向かうにつれて上方へ傾斜した中間擦り部20と、により構成されて座に擦りマッサージを施す擦り部13と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の座に擦りマッサージを施すことができるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の脚部や腕部を擦るマッサージ機が知られている。このようなマッサージ機の一例として、例えば、被施療者の脚部を挟むように脚部の両側方に配置された一対の施療板を、脚部の側面に沿って往復動させて脚部の側面に擦り動作を施すよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示されたマッサージ機においては、両脚部の両側面を擦ることができるよう、片脚毎に対して脚部の両側面に施療板を配置する構成となっているため、このマッサージ機を用いて被施療者の座に擦りマッサージを行おうとした場合、各脚部の内側に位置する施療板が邪魔となって良好に擦りマッサージを行うことができない。
【0005】
そこで本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、被施療者の座に対して擦りマッサージを施すことができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも被施療者の座を載置することができるマッサージ機において、前後方向に往復動し、座の側面に対向する側部を有する左右対の外側擦り部と、前記対の外側擦り部の間に設けられ、座の下面に対向する面が略平面又は左右中央側に向かうにつれて上方へ傾斜した中間擦り部と、により構成されて座に擦りマッサージを施す擦り部と、を有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、中間擦り部の上面が略平面又は左右中央側に向かうにつれて上方へ傾斜した上方傾斜面とされているので、中間擦り部の上面に座を載置することができ、外側擦り部の側部によって良好に座の側面に擦りマッサージを施すことができる。
【0007】
また、前記中間擦り部に設けられ座を下方から前記側部に向けて押圧するマッサージ部を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、中間擦り部に設けられたマッサージ部が、座を下方から外側擦り部の側部に向けて押圧するので、側部に座の側面を押し付けた状態で、良好に座の側面に擦りマッサージを施すことができる。
【0008】
また、前記外側擦り部の側部に設けられ略上方から座を押圧するマッサージ部を有することが好ましい。この場合、前記外側擦り部の側部に設けられたマッサージ部は、下側を基部として上側が展開するエアセルにより構成され、前記中間擦り部に設けられたマッサージ部は、左右外側を基部として左右内側が展開するエアセルにより構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、外側擦り部に設けられたマッサージ部と中間擦り部に設けられたマッサージ部とにより、座を略上下方向から包み込むようにホールドした状態で擦りマッサージを施すことができる。
【0009】
また、前記中間擦り部は、前記外側擦り部の前後方向への往復動とは異なる位相で前後方向に往復動することが好ましい。この場合、前記外側擦り部は、座の下面に対向する底部を有し、前記外側擦り部の底部と前記中間擦り部の上面との両方により、座における大腿部を支持するよう構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、外側擦り部及び中間擦り部の前後方向への往復動につられて、座が前後方向へ移動しにくくなるため、座の側面に対して良好に擦りマッサージを施すことができる。また、外側擦り部の底部と中間擦り部の上面との両方によって、座を擦り部に安定して支持することができる。
【0010】
また、他の観点から見た本発明は、少なくとも被施療者の座を載置することができるマッサージ機において、前後方向に往復動し、座の側面に対向する側部と、座の下面に対向する底部と、をそれぞれ有して座に擦りマッサージを施す擦り部と、座を下方から前記側部に向けて押圧するマッサージ部と、を有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、マッサージ部が、座を下方から外側擦り部の側部に向けて押圧するので、側部に座の側面を押し付けた状態で、良好に座の側面に擦りマッサージを施すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被施療者の座に対して擦りマッサージを施すことができるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る非リクライニング状態のマッサージ機の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフットレストを上昇させた状態のマッサージ機の左側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る前倒し状態のマッサージ機の左側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る非リクライニング状態のマッサージ機の平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るマッサージ機の機能ブロック図である。
【図6】座部の斜視図である。
【図7】座部の正面図である。
【図8】擦り部の一部を省略した座部の斜視図である。
【図9】ベース部を省略した座部の他の方向から見た斜視図である。
【図10】ベース部を省略した座部の左側面図であり、擦り部の動作について説明する図である。
【図11】座部を前方から見た正面模式図であり、(a)は外側擦り部の前端部が最も下降し、中間擦り部の前端部が最も上昇した状態を示しており、(b)は外側擦り部の前端部が最も上昇し、中間擦り部の前端部が最も下降した状態を示している。
【図12】フットレストの斜視図である。
【図13】フットレストの底面図である。
【図14】擦り部の一部を省略したフットレストの斜視図である。
【図15】ベース部を省略したフットレストの他の方向から見た斜視図である。
【図16】ベース部を省略したフットレストの左側面図であり、擦り部の動作について説明する図である。
【図17】フットレストを下方から見た底面模式図であり、(a)は外側擦り部の下端部が最も後退し、中間擦り部の下端部が最も前進した状態を示しており、(b)は外側擦り部の下端部が最も前進し、中間擦り部の下端部が最も後退した状態を示している。
【図18】施療パターン1における各エアセル及び擦り駆動源の動作説明図である。
【図19】施療パターン2における各エアセル及び擦り駆動源の動作説明図である。
【図20】施療パターン3における各エアセル及び各擦り駆動源の動作説明図である。
【図21】本発明の他の実施形態に係る座部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[全体構成]
以下、本発明の実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について、図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る非リクライニング状態のマッサージ機1の斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係るフットレストを上昇させた状態のマッサージ機1の左側面図であり、図3は、本発明の実施形態に係る前倒し状態のマッサージ機1の左側面図であり、図4は、本発明の実施形態に係る非リクライニング状態のマッサージ機の平面図であり、図5は、本発明の実施形態に係るマッサージ機1の機能ブロック図である。なお、視認性を考慮して、図2及び図3においては、左側の肘掛け部6を省略して図示しており、図1〜図3においては、座部3とフットレスト4をそれぞれ覆うカバー部24,53を省略して図示している。
【0014】
図1〜図4に示す通り、マッサージ機1は、床面に設置される本体フレーム2と、本体フレームの上側に設けられ被施療者の臀部及び/又は大腿部(以下、臀部及び/又は大腿部を座と称することもある)を載置する座部3と、座部3及び本体フレーム2の前側に回動可能に設けられ被施療者の脚を載せるフットレスト4と、座部3及び本体フレーム2の後側に回動可能に設けられ被施療者が凭れる背凭れ部5と、座部3及び本体フレーム2の左右に設けられ被施療者の腕を載せる肘掛け部6とを備える椅子型に構成されている。なお、本発明において、図1の状態におけるマッサージ機1に着座した被施療者が正面を向いて、その前方が「前」であり、後方が「後」であり、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭部側が「上」であり、腰部側が「下」であり、その他の場合は適宜説明することとする。
【0015】
図2及び図3に示す通り、背凭れ部5は、本体フレーム2と背凭れ部5の下部との間に介在して、背凭れ部5を起立させる方向(図2では右方向)に常時付勢するバネ等よりなる付勢部材61と、付勢部材61の先端部に設けられ背凭れ部5に当接する当接部材62と、付勢部材61及び当接部材62の伸縮をガイドする両部材61,62の内部に挿通された棒状のガイド軸65とにより構成されるリクライニング機構60によりリクライニング可能である。すなわち、被施療者が背凭れ部5に凭れかかることにより、上下方向における中途部(略中央部)に設けられた回動軸63を中心として、図2に示す非リクライニング状態から図示しない後方に倒れたリクライニング状態までの間の任意の位置に背凭れ部5をリクライニングさせることができる。また、図3に示す通り、背凭れ部5と当接部材62とは固着されておらず、背凭れ部5は、回動軸63を中心として前方へ回動させた前倒し状態とさせることができる。
また、図1〜図5に示す通り、フットレスト3は、電動モータ、流体圧シリンダ、又はエアセル等によりなるアクチュエータ64(図5参照)により左右水平方向の軸回りに上下回動可能であり、図1に示すフットレスト4が垂下した状態から図2に示すフットレスト4が上昇した状態までの間の任意の位置で停止できる。なお、本実施形態では、アクチュエータ64は、エアの給排気により膨縮するエアセルにより構成されている。
【0016】
図1及び図5に示す通り、座部3は、座をマッサージするマッサージ部として擦り部13及びエアセル7を有しており、フットレスト4は、脚をマッサージするマッサージ部として擦り部40及びエアセル8を有しており、背凭れ部5は、胴体(背中及び腰部)をマッサージするマッサージ部としてエアセル9を有している。座部3の下方には、各エアセル7〜9にエアを給排気するポンプ及びバルブ等を有する給排気装置10と、各擦り部13,40を駆動する後述する擦り駆動部14,41、及び給排気装置10の駆動制御を行うCPU、メモリ(RAM)、及び記憶部(ROM)を有するマイコン等よりなる制御部11とが設けられている。この制御部11は、被施療者が操作する操作部12に電気的に接続されており、操作部12から入力される入力信号に基づいて擦り駆動部14,41、給排気装置10、及びアクチュエータ64を駆動制御するための出力信号を出力する。また、座部3には、擦り部13の前後方向位置を検出する第1センサS1が設けられており、フットレスト4には、擦り部40の上下方向位置を検出する第2センサS2が設けられている。
【0017】
[座部の構成]
以下、図6〜図9に基づいて本発明の実施形態に係るマッサージ機1の座部3の構成について説明する。図6は、座部3の斜視図であり、図7は、座部3の正面図であり、図8は、擦り部13の一部を省略した座部3の斜視図であり、図9は、ベース部15を省略した座部3の他の方向から見た斜視図である。
【0018】
図6及び図8に示す通り、座部3は、被施療者の座における側面及び下面に対してそれぞれ擦りマッサージを施す擦り部13と、この擦り部13を駆動して擦りマッサージを行わせる擦り駆動部14と、本体フレーム2の上側に設けられ擦り部13及び擦り駆動部14を支持するベース部15と、によって構成されている。すなわち、擦り部13及び擦り駆動部14は、ベース部15が本体フレーム2に固定されることによって、本体フレーム2に支持されている。
【0019】
[ベース部の構成]
図8に示す通り、ベース部15は、板状の底部15aと、この底部15aの左右両側から立設される板状の側部15bとによって上方及び前後が開放された構成となっている。ベース部15の左右の側部15bには、動力伝達部16を介して擦り部13が移動可能に支持されている。また、ベース部15の底部15aには、動力伝達部16と、動力伝達部16を介して擦り部13を駆動するモータ等により構成される擦り駆動源17とが支持されている。また、図7に示す通り、左右の側部15bの外側には、本体フレーム2に対して上方から載せて固定する前方から見てL字型に形成された取り付け部18が設けられている。
【0020】
[擦り部の構成]
図6〜図9に示す通り、擦り部13は、動力伝達部16を介してベース部15に支持されており、動力伝達部16に連結されて上下方向及び前後方向へ移動可能であり、座の外側部分に配置されている左右対の外側擦り部19と、動力伝達部16に連結されて上下方向及び前後方向へ移動可能であり、この左右対の外側擦り部19,19間であって、座の内側部分に配置されている中間擦り部20とを有している。
【0021】
図6及び図7に示す通り、外側擦り部19は、座の左右外側面に対向する対向内側面21aを有する板状の側部21と、この側部21と略一体的に構成されて側部21の下端部から左右内側方に向かって延設され、座の下面における外側部分に対向する対向内底面22aを有する板状の底部22とによって構成されている。この左右対の外側擦り部19はベース部15の両側部15b,15bに動力伝達部16を介して移動可能に支持されている。本実施形態における側部21は、合成樹脂製のブロー成形体等よりなる比較的硬質の部材により構成され、底部22と一体に構成された第1側部34と、鋼製(鉄板)等よりなる硬質の部材により構成され、底部21の対向内底面21aにヒンジ部36を介して回動可能に結合された第2側部35とにより構成されている。この第2側部35は、左右外側面にウレタン等よりなる比較的軟質のクッション材が固着されている。また、第2側部35は、第1側部34の内側部に位置しており、ヒンジ部36に設けられたトーションバネ(図示せず)により、左右外側方に向かって常時付勢されている。したがって、背凭れ部5を前倒し状態とさせる際に、トーションバネの付勢力に抗して、第2側部35を左右内側方に回動させることで、背凭れ部5と第2側部35との干渉を防止することができる。なお、本実施形態では、図7に示す通り、外側擦り部19の側部21は、被施療者の大腿部Mの上下寸法(高さ寸法)よりも大きく設定されており、側部21に設けられた後述するエアセル7により、大腿部Mを略上方から押圧可能に構成されている。ブロー成形体によりなる第1側部34のみでは、十分な上下寸法を確保することが困難であるが、本実施形態は鋼製よりなる第2側部35を追加することにより、十分な上下寸法を確保している。
【0022】
左右対の外側擦り部19,19が有する側部21の対向内側面21a(より具体的には第2側部35の対向内側面)には、それぞれマッサージ部としての左右対のエアセル7L,7Rが前後方向に複数設けられており、このエアセル7L,7Rは、エア配管(図示せず)を介して給排気装置10に接続されており、エアの給排気により膨縮可能とされている。この左右対のエアセル7L,7Rは、対向内側面21aにおける座の側面に対応する位置に設けられており、下側を基部として上側が展開して膨張するよう蛇腹状に構成されている(図7の二点鎖線参照)。したがって、左右対のエアセル7L,7Rは、互いに相反する方向に展開して膨張し、左側のエアセル7Lが、左の大腿部Mを中間擦り部20が有する対向内底面20a(後述する左内底面20aL)に向けて略上方から押圧し、右側のエアセル7Rが、右の大腿部Mを中間擦り部20が有する対向内底面20a(後述する右内底面20aR)に向けて略上方から押圧する。
【0023】
図6に示す通り、中間擦り部20は、座の下面における内側部分に対向する対向内底面(上面)20aを有する略平面の板状に構成されている。この対向内底面20aは、座の左部分を載置する左内底面20aLと、座の右部分を載置する右内底面20aRと、座の後部分を載置する後内底面20aBと、を有している。この中間擦り部20はベース部15の両側部15b,15bに動力伝達部16を介して移動可能に支持されている。この中間擦り部20は、合成樹脂製のブロー成形体等よりなる比較的硬質の部材により構成されている。
【0024】
中間擦り部20の対向内底面20aには、マッサージ部としての前後方向に長寸の左右対のエアセル7l,7rが設けられており、このエアセル7l,7rは、エア配管(図示せず)を介して給排気装置10に接続されており、エアの給排気により膨縮可能とされている。この左右対のエアセル7l,7rは、対向内底面20aにおける大腿部Mに対応する位置(すなわち、左内底面20aL及び右内底面20aR)に設けられており、左右外側を基部として左右内側が展開して膨張するよう蛇腹状に構成されている(図7の二点鎖線参照)。したがって、左右対のエアセル7l,7rは、互いに相反する方向に展開して膨張し、左の大腿部Mを左側の外側擦り部19が有する側部21に向けて下方から押圧し、右の大腿部Mを右側の外側擦り部19が有する側部21に向けて下方から押圧する。
【0025】
この左右の外側擦り部19の底部22が有する対向内底面22aと、中間擦り部20が有する対向内底面と20aにより座を載置する載置面が形成されている。したがって、被施療者が座部3に着座したとき、左側の外側擦り部19が有する対向内底面22aと中間擦り部20が有する左内底面20aLとに亘って左の大腿部Mが載置され、右側の外側擦り部19が有する対向内底面22aと中間擦り部20が有する右内底面20aRとに亘って右の大腿部Mが載置され、左右の外側擦り部19が有する対向内底面22aと中間擦り部20が有する後内底面20aBとに亘って臀部が載置されることとなる。なお、外側擦り部19の底部22と中間擦り部20は、両擦り部19,20間に大腿部Mが落ち込まない程度に左右方向に近接して配置されている。
【0026】
図4及び図7に示す通り、これら左右対の外側擦り部19と中間擦り部20とにより構成される擦り部13は、その表面が伸縮性を有する布地等により構成されるカバー部24により一体的に被覆されており、擦り部13が外部へ露出することを防止するとともに、両擦り部19,20間に座が挟み込まれるリスクを低減している。このカバー部24は、擦り部13を上方から覆うよう略平面に形成されており、より具体的には、外側擦り部19の底部22及び中間擦り部20を上方から一体的に覆い、かつ、座部の前方まで延設されて下方へ垂れ下がる被覆部24aと、外側擦り部19の側部21が上方に向かって露出するよう上下方向に開口する左右対の切り欠き部24bとを有している。被覆部20aの前端部には、詳細は後述するフットレスト4を被覆するカバー部53の上端部と重合させて係合する面ファスナー等よりなる係合部24cを有している。カバー部24を前述した構成とすることにより、擦り部13の前後動(擦り動作)を阻害せず、擦り部13が前後に往復動することにより本体フレーム2と座部3との間に座が挟み込まれるリスクを低減することができ、かつ、フットレスト4の上下回動により本体フレーム2又は座部3とフットレスト4との間に座が挟み込まれるリスクを低減することができる。
【0027】
[擦り駆動部の構成]
以下、図8及び図9に基づいて擦り駆動部14の構成について説明する。
図8及び図9に示す通り、擦り駆動部14は、制御部11により駆動制御されるモータ等よりなる擦り駆動源17と、擦り駆動源17の回転動力を伝達して擦り部13を動作させる動力伝達部16とを有しており、この擦り駆動部14はベース部15に設けられている。擦り駆動源17の出力軸は、上下方向に沿って設けられており、動力伝達部16は、擦り駆動源17の出力軸の回転方向を変更して減速するウォームギヤを有するギヤケース25と、このウォームギヤに接続されて左右方向を向く軸芯回りに回転する伝達シャフト26とを有している。この伝達シャフト26は、ベース部15の前後方向一端部側(本実施形態では後端部)に回転可能に支持されている。本実施形態では、擦り駆動源17はモータよりなり、制御部11によりその出力軸の回転方向、及び回転速度が可変であるよう構成されている。
【0028】
伝達シャフト26は、その左右両端部がベース部15の両側部15b,15bに回転可能に支持されており、より具体的には両側部15b,15bが有する円環状の第1ホルダ27,27に、伝達シャフト26の回転軸の外周部に外嵌されたベアリング28を介して支持されている。また、伝達シャフト26の軸方向(左右方向)における中途部には、各擦り部19,20に対応する位置に偏心カム29が一又は複数設けられている。なお、本実施形態では、左右対の外側擦り部19に連結される外側偏心カム29aが左右2個ずつ、中間擦り部20に連結される中間偏心カム29bが左右2個の計6個の偏心カム29が設けられている。
【0029】
これらの偏心カム29は、左右方向に厚みのある円盤形状を成し、その外形の幾何学的な円の中心から離れた位置に回転軸芯が設けられている。なお、この回転軸芯は、伝達シャフト26の軸芯と一致している。偏心カム29の回転軸芯は左右方向に貫通する貫通孔29dを有しており、この貫通孔29dに伝達シャフト26を挿通することによって偏心カム29は伝達シャフト26に支持され、これら複数の偏心カム29は伝達シャフト26と一体回転可能となっている。そして、左右対の外側擦り部19に連結された外側偏心カム29aは、その回転軸芯に対する位相が互いに同位相であり、左右対の外側擦り部19に連結された外側偏心カム21aと中間擦り部20に連結された中間偏心カム29bは、その回転軸芯に対する位相が互いに異なっている。なお、本実施形態では、外側偏心カム29aと中間偏心カム29bの回転軸芯に対する位相は、互いに180度異なっている。
【0030】
また、これらの偏心カム29は、左右方向を向く開口を有する円環状の第2ホルダ30を介して外側擦り部19及び中間擦り部20に取付けられている。この第2ホルダ30は、ボルト等の連結手段(図示せず)により各擦り部19,20に取付けられており、偏心カム29はこの環状の第2ホルダ30内に遊嵌している。なお、これらの偏心カム29の外周部には、ベアリング29cが外嵌されている。
【0031】
また、ベース部15の前後方向他端部側(本実施形態では前端部)には、ベース部15に対する擦り部13の移動をガイドする左右方向に向く軸芯を有する棒状のガイドシャフト31が支持されており、より具体的には、このガイドシャフト31はその左右両端部がベース部15の両側部15b,15bに支持され、回転不能とされている。このガイドシャフト31は、第3ホルダ32を介して外側擦り部19及び中間擦り部20の前後方向他端側(本実施形態では前端部)に取付けられており、より具体的には、第3ホルダ32が有する前後方向に長寸の左右方向に開口するガイド孔33に挿通されている。この第3ホルダ32は、擦り部13毎に対応して(すなわち、左右対の外側擦り部19,19及び中間擦り部20に対応して)設けられており、1本のガイドシャフト31が、各擦り部13に設けられた第3ホルダ32が有するガイド孔33に串刺し状に挿通されている。従って、各擦り部13は、その前端部側がガイドシャフト31によって回転運動を規制されながら、ガイド孔33の範囲内においてガイド孔33の長手方向に沿って相対的に前後方向に移動可能となっている。なお、座部3を前後逆にして本体フレーム2の上側に配置してもよい。
【0032】
[擦り部の動作]
以下、図10に基づいて擦り部13の動作について説明する。図10は、ベース部15を省略した座部3の左側面図であり、擦り部13の動作について説明する図である。
前述した構成を有する擦り駆動部14は、擦り駆動源17が駆動されてその出力軸が回転すると、ギヤケース25を介することによって出力軸の回転に連動してベース部15の前後方向一端側(本実施形態では後端部)に設けられた伝達シャフト26がその軸芯回りに回転し、伝達シャフト26の左右中途部(軸方向における中途部)に取付けられた偏心カム29が伝達シャフト26の回転軸芯を中心として公転する。そして、偏心カム29の公転により、偏心カム29を支持する第2ホルダ30が偏心カム29の公転軌道に沿うように円運動することとなる。一方、ベース部15の前後方向他端側(本実施形態では前端部)に設けられたガイドシャフト31が、各擦り部13に設けられた第3ホルダ32が有するガイド孔33に挿通されているため、第2ホルダ30の円運動にも拘らず擦り部13自体の円運動は規制される。その結果、伝達シャフト26が1回転する間に擦り部13は前後方向に所定距離だけ1往復するとともに、上下方向に傾動する周回動作を行う。
【0033】
このとき、左右対の外側擦り部19が有する側部21の側方から見て略中央に位置する定点21Aは、前後方向に長寸の略楕円形状の軌道21Bに沿って周回し、側部21の上端前部に位置する定点21Cは、前記定点21Aの軌道より長寸の略楕円形状の軌道21Dに沿って周回することとなる。また、外側擦り部19が有する底部22は、側部21と一体的に構成されているため、側部21の周回に連動して前後方向に所定距離だけ1往復する間に、上下方向に傾動する周回動作を行うこととなる。なお、擦り駆動部14の擦り駆動源17は、駆動回路(図示せず)を介して制御部11に電気的に接続されており、制御部11からの制御信号に基づいて前記駆動回路から出力される電気信号によりその動作が制御されるようになっている。
【0034】
ところで、前述した通り、外側擦り部19に取付けられた外側偏心カム29aと中間擦り部20に取付けられた中間偏心カム29bは、互いの位相が180度異なっている。従って、周回中の外側擦り部19と中間擦り部20も位相が180度だけ異なるために互いに反対方向へ移動する。すなわち、外側擦り部19が前後方向一方側(後方)へ移動しているときに、中間擦り部20は前後方向他方側(前方)へ移動し、外側擦り部19の前後方向一端側(後端部)が上下方向一方側(下方)へ移動して前後方向他端側(前端部)が上下方向他方側(上方)へ移動しているときに、中間擦り部20の前後方向一端側(後端部)は上下方向他方側(上方)へ移動して前後方向他端側(前端部)が上下方向一方側(下方)へ移動することとなる。
【0035】
[挟み込み防止機構の構成]
以下、図7及び図11に基づいて挟み込み防止機構について説明する。図11(a)は、座部3を前方から見た正面模式図であり、外側擦り部19の前端部が最も下降し、中間擦り部20の前端部が最も上昇した状態である。図11(b)は、座部3を前方から見た正面模式図であり、外側擦り部19の前端部が最も上昇し、中間擦り部20の前端部が最も下降した状態である。
【0036】
図7及び図11に示す通り、外側擦り部19は、その底部22の対向内底面22aの左右方向における内側端部、及び前後両端部から下方に向かって延設され、上下方向に所定寸法D1を有する板状の側壁22bを有している。また、外側擦り部19と同様に、中間擦り部20は、左右内底面20aL,20aRのそれぞれ左右方向における外側端部、及び前後両端部から下方に向かって延設され、上下方向に所定寸法D2を有する板状の側壁20bを有している。なお、本発明の実施形態においては、所定寸法D1と所定寸法D2とは同じ寸法に設定されているが、異なる寸法であってもよい。
【0037】
図11(a)に示す通り、外側擦り部19の前端部が最も下降し、中間擦り部20の前端部が最も上昇した状態において、外側擦り部19の側壁22bの下端部から中間擦り部20の側壁20bの上端部(中間擦り部20の対向内底面20a)までの距離D3が、側壁22bの所定寸法D1と側壁20bの所定寸法D2の合計より小さくなるよう設定されている。また、図11(b)に示す通り、外側擦り部19の前端部が最も上昇し、中間擦り部20の前端部が最も下降した状態において、外側擦り部19の側壁22bの上端部(外側擦り部19の対向内底面22a)から中間擦り部20の側壁20bの下端部までの距離D4が、側壁22bの所定寸法D1と側壁20bの所定寸法D2の合計より小さくなるよう設定されている。
【0038】
したがって、擦り部13の動作中において、外側擦り部19が有する側壁22bの側面と中間擦り部20が有する側壁20bの側面とが常時オーバーラップすることとなり、外側擦り部19の底部22と中間擦り部20との間に座が挟み込まれることを防止することができる。すなわち、この外側擦り部19が有する側壁22bと中間擦り部20が有する側壁20bとによって、被施療者の座が挟み込まれることを防止する挟み込み防止機構が構成されている。
【0039】
[フットレストの構成]
以下、図12〜図15に基づいて本発明の実施形態に係るマッサージ機1のフットレスト4の構成について説明する。図12は、フットレスト4の斜視図であり、図13は、フットレスト4の底面面図であり、図14は、擦り部41の一部を省略したフットレスト4の斜視図であり、図15は、ベース部15を省略したフットレスト4の他の方向から見た斜視図である。
【0040】
図12及び図15に示す通り、フットレスト4は、被施療者の脚における側面及び後面に対してそれぞれ擦りマッサージを施す擦り部40と、この擦り部40を駆動して擦りマッサージを行わせる擦り駆動部41と、ベース支持部43を介して本体フレーム2の前部に設けられ擦り部40及び擦り駆動部41を支持するベース部42と、によって構成されている。すなわち、擦り部40及び擦り駆動部41は、ベース支持部43を介して、ベース部42が本体フレーム2に固定されることによって、本体フレーム2に回動可能に支持されている。さらに、ベース部42は、ベース支持部43に対して、上下方向(脚の長手方向)へスライド移動可能に支持されている。
【0041】
[ベース部の構成]
図14に示す通り、ベース部42は、板状の底部42aと、この底部42aの左右両側から立設される板状の側部42bとによって上下及び前方が開放された構成となっている。ベース部42の左右の側部42bには、動力伝達部44を介して擦り部40が移動可能に支持されている。また、ベース部42の底部42aには、動力伝達部44と、動力伝達部44を介して擦り部40を駆動するモータ等により構成される擦り駆動源45とが支持されている。
【0042】
[擦り部の構成]
図12〜図15に示す通り、擦り部40は、動力伝達部44を介してベース部42に支持されており、動力伝達部44に連結されて上下方向及び前後方向へ移動可能であり、脚の外側部分に配置されている左右対の外側擦り部46と、動力伝達部44に連結されて上下方向及び前後方向へ移動可能であり、この左右対の外側擦り部46,46間であって、脚の内側部分に配置されている中間擦り部47とを有している。
【0043】
図12及び図13に示す通り、外側擦り部46は、脚の左右外側面に対向する対向内側面48aを有する板状の側部48と、この側部48と一体に構成されて側部48の後端部から左右内側方に向かって延設され、脚の後面における外側部分に対向する対向内底面49aを有する板状の底部49とによって構成されている。この左右対の外側擦り部46はベース部42の両側部42b,42bに動力伝達部44を介して移動可能に支持されている。この外側擦り部46は、合成樹脂製のブロー成形体等よりなる比較的硬質の部材により構成されている。
【0044】
左右対の外側擦り部46,46が有する側部48の対向内側面48aには、それぞれマッサージ部としての上下方向(脚の長手方向)に複数の左右対のエアセル8L,8Rが設けられており、このエアセル8L,8Rは、エア配管(図示せず)を介して給排気装置10に接続されており、エアの給排気により膨縮可能とされている。この左右対のエアセル8L,8Rは、対向内側面48aにおける脚の外側面に対応する位置に設けられており、後側を基部として前側が展開して膨張するよう蛇腹状に構成されている。したがって、左右対のエアセル8L,8Rは、互いに相反する方向に展開して膨張し、左側のエアセル8Lが左の脚を略前方から押圧し、右側のエアセル8Rが右の脚を略前方から押圧する。
【0045】
中間擦り部47は、両脚の内側面にそれぞれ対向する対向内側面50a,50aを有する板状の側部50と、この側部50と一体に構成されて側部50の後端部から左右両側方に向かって延設され両脚の後面にそれぞれ対向する対向内底面51a,51aを有する板状の底部51,51とによって構成されており、この中間擦り部47はベース部42の両側部42b,42bに動力伝達部44を介して移動可能に支持されている。この中間擦り部47は、合成樹脂製のブロー成形体等よりなる比較的硬質の部材により構成されている。
【0046】
中間擦り部47の対向内底面50aには、マッサージ部としての前後方向に長寸の左右対のエアセル8l,8rが設けられており、このエアセル8l,8rは、エア配管(図示せず)を介して給排気装置10に接続されており、エアの給排気により膨縮可能とされている。この左右対のエアセル8l,8rは、対向内側面50aにおける脚に対応する位置に設けられており、後側を基部として前側が展開して膨張するよう蛇腹状に構成されている。したがって、左右対のエアセル8l,8rは、互いに相反する方向に展開して膨張し、左側のエアセル8lが左の脚を略前方から押圧し、右側のエアセル8rが右の脚を略前方から押圧する。
【0047】
この左右対の外側擦り部46,46及び中間擦り部47が有する側部48,50と、底部49,51とによって、前方及び上下両端が開放された脚を収容するための左右対の凹部52,52が構成され、この左右対の凹部52,52に収容された両脚の両側面が側部48,50に支持され、両脚の後面が底部49,51に支持されることとなる。なお、外側擦り部46の底部49と中間擦り部47の底部51は、両擦り部46,47間に脚が落ち込まない程度に左右方向に近接して配置されている。
【0048】
図4及び図13に示す通り、フットレスト4は、その表面が伸縮性を有する布地等により構成されるカバー部53により、ベース支持部43を除いて一体的に被覆されており、擦り部40が外部へ露出することを防止するとともに、両擦り部46,47間に脚が挟み込まれるリスクを低減している。すなわち、カバー部53は、左右対の外側擦り部46と中間擦り部47とにより構成される擦り部40及びベース部42を一体的に被覆している。そして、カバー部53は、その上端部に設けられた面ファスナー等よりなる被係合部53cと、前述した座部3を被覆するカバー部24の係合部24cと係合することにより、カバー部24と連結されている。また、底部49及び底部51それぞれの対向内底面49a,51aに位置するカバー部53の内部には、両対向内底面49a,51aを跨いで、マッサージ部としての左右対のエアセル8Bl,8Brが設けられており、このエアセル8Bl,8Brは、エア配管(図示せず)を介して給排気装置10に接続されており、エアの給排気により膨縮可能とされている。このエアセル8Bl,8Brは、前述したエアセル8L,8R,8l,8rと異なり伸縮性を有するカバー部53の内部に設けられているため、擦り部40の上下動(擦り動作)を阻害しない。
【0049】
[擦り駆動部の構成]
以下、図14及び図15に基づいて擦り駆動部41の構成について説明する。
図14及び図15に示す通り、擦り駆動部41は、制御部11により駆動制御されるモータ等よりなる擦り駆動源45と、擦り駆動源45の回転動力を伝達して擦り部40を動作させる動力伝達部44とを有しており、この擦り駆動部41はベース部42に設けられている。擦り駆動源45の出力軸は、上下方向に沿って設けられており、動力伝達部44は、擦り駆動源45の出力軸の回転方向を変更して減速するウォームギヤを有するギヤケース54と、このウォームギヤに接続されて左右方向を向く軸芯回りに回転する伝達シャフト55とを有している。この伝達シャフト55は、ベース部52の上下方向一端部側(本実施形態では下端部)に回転可能に支持されている。本実施形態では、擦り駆動源45はモータよりなり、制御部11によりその出力軸の回転方向、及び回転速度が可変であるよう構成されている。
【0050】
伝達シャフト55は、その左右両端部がベース部52の両側部52b,52bに回転可能に支持されており、より具体的には両側部52b,52bが有する円環状の第1ホルダ56,56に、伝達シャフト55の回転軸の外周部に外嵌されたベアリング57を介して支持されている。また、伝達シャフト55の軸方向(左右方向)における中途部には、各擦り部46,47に対応する位置に偏心カム58が一又は複数設けられている。なお、本実施形態では、左右対の外側擦り部46に連結される外側偏心カム58aが左右2個ずつ、中間擦り部47に連結される中間偏心カム58bが左右2個の計6個の偏心カム58が設けられている。
【0051】
これらの偏心カム58は、左右方向に厚みのある円盤形状を成し、その外形の幾何学的な円の中心から離れた位置に回転軸芯が設けられている。なお、この回転軸芯は、伝達シャフト55の軸芯と一致している。偏心カム58の回転軸芯は左右方向に貫通する貫通孔58dを有しており、この貫通孔58dに伝達シャフト55を挿通することによって偏心カム58は伝達シャフト55に支持され、これら複数の偏心カム58は伝達シャフト55と一体回転可能となっている。そして、左右対の外側擦り部46に連結された外側偏心カム58aは、その回転軸芯に対する位相が互いに同位相であり、左右対の外側擦り部46に連結された外側偏心カム58aと中間擦り部47に連結された中間偏心カム58bは、その回転軸芯に対する位相が互いに異なっている。なお、本実施形態では、外側偏心カム58aと中間偏心カム58bの回転軸芯に対する位相は、互いに180度異なっている。
【0052】
また、これらの偏心カム58は、左右方向を向く開口を有する円環状の第2ホルダ59を介して外側擦り部46及び中間擦り部47に取付けられている。この第2ホルダ59は、ボルト等の連結手段(図示せず)により各擦り部46,47に取付けられており、偏心カム58はこの環状の第2ホルダ59内に遊嵌している。なお、これらの偏心カム58の外周部には、ベアリング58cが外嵌されている。
【0053】
また、ベース部52の上下方向他端部側(本実施形態では上端部)には、ベース部52に対する擦り部40の移動をガイドする左右方向に向く軸芯を有する棒状のガイドシャフト60が支持されており、より具体的には、このガイドシャフト60はその左右両端部がベース部52の両側部52b,52bに支持され、回転不能とされている。このガイドシャフト60は、第3ホルダ61を介して外側擦り部46及び中間擦り部47の上下方向他端側(本実施形態では上端部)に取付けられており、より具体的には、第3ホルダ61が有する上下方向に長寸の左右方向に開口するガイド孔62に挿通されている。この第3ホルダ61は、擦り部40毎に対応して(すなわち、左右対の外側擦り部46,46及び中間擦り部47に対応して)設けられており、1本のガイドシャフト60が、各擦り部40に設けられた第3ホルダ61が有するガイド孔62に串刺し状に挿通されている。従って、各擦り部40は、その上端部側がガイドシャフト60によって回転運動を規制されながら、ガイド孔62の範囲内においてガイド孔62の長手方向に沿って相対的に上下方向に移動可能となっている。なお、フットレスト4を上下逆にして本体フレーム2の前側に配置してもよい。
【0054】
[擦り部の動作]
以下、図16に基づいて擦り部40の動作について説明する。図16は、ベース部42を省略したフットレスト4の左側面図であり、擦り部40の動作について説明する図である。
前述した構成を有する擦り駆動部41は、擦り駆動源45が駆動されてその出力軸が回転すると、ギヤケース54を介することによって出力軸の回転に連動してベース部52の上下方向一端側(本実施形態では下端部)に設けられた伝達シャフト55がその軸芯回りに回転し、伝達シャフト55の左右中途部(軸方向における中途部)に取付けられた偏心カム58が伝達シャフト55の回転軸芯を中心として公転する。そして、偏心カム58の公転により、偏心カム58を支持する第2ホルダ59が偏心カム58の公転軌道に沿うように円運動することとなる。一方、ベース部52の上下方向他端側(本実施形態では上端部)に設けられたガイドシャフト60が、各擦り部40に設けられた第3ホルダ61が有するガイド孔62に挿通されているため、第2ホルダ59の円運動にも拘らず擦り部40自体の円運動は規制される。その結果、伝達シャフト55が1回転する間に擦り部40は上下方向に所定距離だけ1往復するとともに、前後方向に傾動する周回動作を行う。
【0055】
このとき、左右対の外側擦り部46が有する側部48の側方から見て略中央に位置する定点48Aは、上下方向に長寸の略楕円形状の軌道48Bに沿って周回し、側部48の前端下部に位置する定点48Cは、前記定点48Aの軌道より長寸の略楕円形状の軌道48Dに沿って周回することとなる。また、外側擦り部46が有する底部49は、側部48と一体に構成されているため、側部48の周回に連動して上下方向に所定距離だけ1往復する間に、前後方向に傾動する周回動作を行うこととなる。なお、擦り駆動部41の擦り駆動源45は、駆動回路(図示せず)を介して制御部11に電気的に接続されており、制御部11からの制御信号に基づいて前記駆動回路から出力される電気信号によりその動作が制御されるようになっている。
【0056】
ところで、前述した通り、外側擦り部46に取付けられた外側偏心カム58aと中間擦り部47に取付けられた中間偏心カム58bは、互いの位相が180度異なっている。従って、周回中の外側擦り部46と中間擦り部47も位相が180度だけ異なるために互いに反対方向へ移動する。すなわち、外側擦り部46が上下方向一方側(下方)へ移動しているときに、中間擦り部47は上下方向他方側(上方)へ移動し、外側擦り部46の上下方向一端側(下端部)が前後方向一方側(後方)へ移動して上下方向他端側(上端部)が前後方向他方側(前方)へ移動しているときに、中間擦り部47の上下方向一端側(下端部)は前後方向他方側(前方)へ移動して上下方向他端側(上端部)が前後方向一方側(後方)へ移動することとなる。
【0057】
[挟み込み防止機構の構成]
以下、図13及び図17に基づいて挟み込み防止機構について説明する。図17(a)は、フットレスト4を下方から見た底面模式図であり、外側擦り部46の下端部が最も後退し、中間擦り部47の下端部が最も前進した状態である。図17(b)は、フットレスト4を下方から見た底面模式図であり、外側擦り部46の下端部が最も前進し、中間擦り部47の下端部が最も後退した状態である。
【0058】
図13及び図17に示す通り、外側擦り部46は、その底部49の対向内底面49aの左右方向における内側端部、及び上下両端部から後方に向かって延設され、前後方向に所定寸法d1を有する板状の側壁49bを有している。また、外側擦り部46と同様に、中間擦り部47は、その底部51の対向内底面51a,51aのそれぞれ左右方向における外側端部、及び上下両端部から後方に向かって延設され、前後方向に所定寸法d2を有する板状の側壁51bを有している。なお、本発明の実施形態においては、所定寸法d1と所定寸法d2とは同じ寸法に設定されているが、異なる寸法であってもよい。
【0059】
図17(a)に示す通り、外側擦り部46の下端部が最も後退し、中間擦り部47の下端部が最も前進した状態において、外側擦り部46の側壁49bの後端部から中間擦り部47の側壁51bの前端部(中間擦り部47の対向内底面51a)までの距離d3が、側壁49bの所定寸法d1と側壁51bの所定寸法d2の合計より小さくなるよう設定されている。また、図17(b)に示す通り、外側擦り部46の下端部が最も前進し、中間擦り部47の下端部が最も後退した状態において、外側擦り部47の側壁49bの前端部(外側擦り部46の対向内底面49a)から中間擦り部47の側壁51bの後端部までの距離d4が、側壁49bの所定寸法d1と側壁51bの所定寸法d2の合計より小さくなるよう設定されている。
【0060】
したがって、擦り部40の動作中において、外側擦り部46が有する側壁49bの側面と中間擦り部47が有する側壁51bの側面とが常時オーバーラップすることとなり、外側擦り部46の底部49と中間擦り部47の底部51との間に脚が挟み込まれることを防止することができる。すなわち、この外側擦り部46が有する側壁49bと中間擦り部47が有する側壁51bとによって、被施療者の脚が挟み込まれることを防止する挟み込み防止機構が構成されている。
【0061】
[施療パターン]
以下、図18〜図20に基づいて本発明の実施形態に係るマッサージ機1の施療パターンについて説明する。図18は、施療パターン1における各エアセル7及び擦り駆動源17の動作説明図であり、図19は、施療パターン2における各エアセル7及び擦り駆動源17の動作説明図であり、図20は、施療パターン3における各エアセル7,8及び各擦り駆動源17,45の動作説明図である。なお、図18及び図19において、縦軸は給排気装置10のバルブ及び擦り駆動源17のON/OFF状態を示し、横軸は時間を示している。また、図20において、縦軸は給排気装置10のバルブ及び擦り駆動源17,45のON/OFF状態、並びに擦り部13,40の位置を示しており、横軸は時間を示している。
【0062】
図18に示す通り、施療パターン1は、エアセル7L,7R,7l,7rによって被施療者の座を押圧した状態で、擦り部13を動作させて擦りマッサージを行うパターンである。制御部11は、エアセル7L,7R,7l,7rを膨張させて、これらエアセルの膨張を維持した状態で擦り駆動源17を駆動させる。この施療パターン1によれば、座にエアセル7L,7R,7l,7rを接触させた状態で擦り部13を動作させるので、座の側面及び後面に対して良好に擦りマッサージを施すことができる。
【0063】
図19に示す通り、施療パターン2は、エアセル7L,7R,7l,7rによって被施療者の座を左右いずれか一方へ押圧して傾けた状態で、擦り部13を動作させて擦りマッサージを行うパターンである。この施療パターン2では、座を右方向に押圧するエアセル7L,7rを同期して膨張収縮させ、座を左方向に押圧するエアセル7R,7lを同期して膨張収縮させるよう制御される。制御部11は、エアセル7L,7rを同期して膨張させて被施療者の姿勢を右に傾けた状態で擦り駆動源17を駆動させる。続いて、エアセル7L,7rを同期して収縮させると同時にエアセル7R,7lを同期して膨張させて被施療者の姿勢を左に傾けた状態で擦り駆動源17を駆動させる。この施療パターン2によれば、被施療者の上半身に捻り動作を施しつつ、座の側面及び後面に対して擦りマッサージを施すことができる。
【0064】
図20に示す通り、施療パターン3は、座部3が有するエアセル7によって被施療者の座を押圧し、かつ、フットレスト4が有するエアセル8によって被施療者の脚を押圧した状態で、擦り部13の側部21と擦り部40の側部48を相互に近接離反させるパターンである。制御部11は、エアセル7,8を膨張させて、これらエアセルの膨張を維持した状態で、第1センサS1及び第2センサS2に基づいて、擦り部13の側部21が最も前方に位置するときに擦り部40の側部48が最も上方に位置し、擦り部13の側部21が最も後方に位置するときに擦り部40の側部48が最も下方に位置するよう擦り駆動源17,45を駆動させる。この施療パターン3によれば、擦り部13の側部21と擦り部40の側部48を相互に近接離反させることができるので、座から脚にかかる部位に対して伸長させるストレッチ動作を施しつつ、座の側面及び後面に対して擦りマッサージを施すことができる。特に、図2に示すフットレスト4を上昇させた状態で施療パターン3を行った場合、擦り部13と擦り部40の移動方向がともに前後方向となり、図1に示すフットレスト4を下降させた状態で行うよりも、座から脚にかかる部位に対して大きなストレッチ感を得ることができる。
その他、図2に示すようにフットレスト4を上昇させ、フットレスト4が有するエアセル8によって被施療者の脚を押圧した状態で、擦り部13を動作させるよう擦り駆動源17を駆動制御してもよい。この際、擦り部40も擦り部13と合わせて動作させるよう擦り駆動源45も駆動制御してもよい。この動作によれば、脚を拘束した状態で座を上下に動作させることができるので、脚を伸長させるストレッチ動作を施すことができる。
【0065】
[座部の他の実施形態]
以下、図21に基づいて本発明の他の実施形態に係る座部70の構成について説明する。図21は、本発明の他の実施形態に係る座部70の斜視図である。なお、以下では、前述した座部3と同一の構成については同一の番号を付して説明を省略する。すなわち、座部70と前述した座部3と異なる構成は、中間擦り部71の形状のみであり、その他の構成は座部3と同一である。なお、図21では、視認性を考慮して、マッサージ部、第2側部35、及びヒンジ部36の図示を省略している。
図21に示す通り、中間擦り部71は、座の下面における内側部分に対向する対向内底面(上面)71aを有する板状に構成されている。この対向内底面71aは、左右中央側に向かうにつれて上方へ傾斜し、かつ、前後方向における略中央付近から後方に向かうにつれて下方へ傾斜している。対向内底面71aの構成を詳述すると、対向内底面71aの前部分は、左右中央部分が若干上方に隆起した分離丘72によって左右に振り分けられた左内底面71aLと右内底面71aRとを有し、対向内底面71aの後部分は、分離丘72が非形成とされた平坦面である後内底面71aBを有している。そして、この分離丘72によって左右の大腿部を座部70の左右所定位置に振り分けて位置決めすることができるよう構成されている。なお、この分離丘72の上下寸法は、外側擦り部19に設けられた側部21の上下寸法よりも十分小さく、座部70に座を載置した際に邪魔にならない程度に設定されており、中間擦り部71の対向内底面71aは全体として略平面ということができる。この中間擦り部71はベース部15の両側部15b,15bに動力伝達部16を介して移動可能に支持されている。なお、この中間擦り部71は、合成樹脂製のブロー成形体等よりなる比較的硬質の部材により構成されている。
【0066】
本発明のマッサージ機は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。
例えば、外側擦り部19の側部21の構成について、第2側部35を省略して第1側部34のみの構成とし、第1側部34の対向内側面にエアセル7を設けてもよい。この場合、第1側部34の上下寸法(高さ寸法)を被施療者の大腿部の上下寸法(高さ寸法)よりも大きく設定することが好ましい。また、第1側部34と底部22とを別体に構成し、第1側部34を底部22に対してヒンジ部等を介して回動可能に構成することが好ましい。
また、座部3及び/又はフットレスト4が有する擦り部13,40の構成について、中間擦り部20,47を省略して外側擦り部19,46のみの構成としてもよい。この場合、擦り部13を例示して説明すると、左右対の外側擦り部19,19をそれぞれ異なる位相で前後方向へ往復動させることが好ましく、擦り部40も同様である。
また、座部3及び/又はフットレスト4に設けるマッサージ部として、エアセル7,8に代えて、例えば、ローラ、バイブレータ、又は揉みや叩き等を行う施療子としてもよい。
【0067】
また、外側偏心カム29aと中間偏心カム29bの回転軸芯に対する位相は、180度に限らず他の角度で異なるものであってもよい。
また、左右一方の外側偏心カム29aと中間偏心カム29bの回転軸芯に対する位相を同位相とし、左右他方の外側偏心カム29aと中間偏心カム29bの回転軸芯に対する位相を例えば180度異ならせてもよい。この場合、被施療者の座を左右交互に上下動させることができ、身体を左右に揺らすことができる。さらに、フットレストを垂下させ(図1参照)、エアセル8を膨張させた状態でこの動作を行うことにより、被施療者の脚を交互に伸長させるストレッチを施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、被施療者の座に対して擦りマッサージを施すことができるマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 マッサージ機
7〜9 マッサージ部(エアセル)
13,40 擦り部
19,46 外側擦り部
20,47 中間擦り部
21,48,50 側部
22,49,51 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも被施療者の座を載置することができるマッサージ機において、
前後方向に往復動し、座の側面に対向する側部を有する左右対の外側擦り部と、
前記対の外側擦り部の間に設けられ、座の下面に対向する面が略平面又は左右中央側に向かうにつれて上方へ傾斜した中間擦り部と、
により構成されて座に擦りマッサージを施す擦り部と、
を有することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記中間擦り部に設けられ座を下方から前記側部に向けて押圧するマッサージ部を有することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記外側擦り部の側部に設けられ略上方から座を押圧するマッサージ部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記外側擦り部の側部に設けられたマッサージ部は、下側を基部として上側が展開するエアセルにより構成され、
前記中間擦り部に設けられたマッサージ部は、左右外側を基部として左右内側が展開するエアセルにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記中間擦り部は、前記外側擦り部の前後方向への往復動とは異なる位相で前後方向に往復動することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記外側擦り部は、座の下面に対向する底部を有し、
前記外側擦り部の底部と前記中間擦り部の上面との両方により、座における大腿部を支持するよう構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
少なくとも被施療者の座を載置することができるマッサージ機において、
前後方向に往復動し、座の側面に対向する側部と、座の下面に対向する底部と、をそれぞれ有して座に擦りマッサージを施す擦り部と、
座を下方から前記側部に向けて押圧するマッサージ部と、
を有することを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−254969(P2011−254969A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131573(P2010−131573)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】